1: 2016/11/18(金) 18:06:15.42 ID:8cscGvAq.net
~~~10年前~~~

海辺

まり「そ~れ!」ポーンッ

まり(見なさい果南!これがマリーのスーパーサーブよ!)


かなん「果南アターック!!」ボンッ


まり「ぐへぇ!?」ポコッ


かなん「あっ…ごめん」

まり「ちょっと果南!オトメのフェイスをねらうなんて、どういうつもりよ!?」

かなん「いや、ねらったわけじゃないんだけど…」

2: 2016/11/18(金) 18:11:51.67 ID:8cscGvAq.net
まり「だいたい果南はズルいのよ!!ホンキだされたらマリーが勝てるわけないじゃない!!」

かなん「わかったわかった。もう1回やろう?」

まり「うんやるー!」

 

まり「いくわよー!」

ポーン

かなん「わぁー。すごいサーブだ。とれないよー。」

まり「……」

まり「ふざけてるのかなん!!ぜんっぜんオモシロくないんだけど!!!」


かなん「もぅ…わがままだなぁ」

5: 2016/11/18(金) 18:14:30.58 ID:8cscGvAq.net
まり「くぅー!かなんのバカー!!」ポーン

かなん「あっ、ちょ!どこに飛ばして…」


ポカッ

おばあさん「おっと」


まり「あっ…ごめんなさい!」

おばあさん「いいよいいよ。はい、ボール」

かなん「ごめんなさい…」

おばあさん「謝らなくていいんだよ。避けられないおばあさんが悪いんだからね」

6: 2016/11/18(金) 18:17:23.76 ID:8cscGvAq.net
かなん、まり「……」

おばあさん「それにしても…こんな朝早くから元気だねぇ。他に誰もいないのに」

まり「…まってたの。おばあさんみたいな人がくるの」

おばあさん「んー?どうして?」

かなん「ごめんなさい…」

 

「いただきます」


おばあさん「ひっ…」


ガブガブ ムシャムシャ


まり(よかったね…かなん)

まり「ごちそうが食べられて」


――――――――――
―――――

9: 2016/11/18(金) 18:19:55.62 ID:8cscGvAq.net
現代

夜 高架下

女「い、いやぁ…」ブルブル

ウシ怪人「……」

女「来ないでっ…」

ウシ怪人「もう…ダメ…ずら」


ウシ怪人「…いただきます」


キャー!


ムシャムシャ バクバク


 


梨子の家

ピアノ「♪♪~~~~~~♪♪」

梨子「……♪」ジャンジャン


ジャーーン!


梨子「!」


梨子「また…」

梨子「また…音が一つ消えちゃった」
 

11: 2016/11/18(金) 18:22:33.23 ID:8cscGvAq.net
――――――

プール

曜「前逆さ宙返り三回半抱え型ー!」


バッシャーン!


ワーキャー! キャーキャー!


千歌「すごーい!すごいよ曜ちゃん!」パチパチ


曜「えへへ!」

12: 2016/11/18(金) 18:23:32.50 ID:8cscGvAq.net
―――――

海辺

千歌「……」テクテク

千歌(曜ちゃん…すごかったなぁ)

千歌(あの調子だと全国大会まで行けちゃうかも!)

千歌(頑張ってほしいなぁ…)


千歌「…ん?」


女の子「はぁ…」ガクッ

14: 2016/11/18(金) 18:26:34.16 ID:8cscGvAq.net
千歌「どうしたの?」

女の子「…ボール」

千歌「ボール?」

女の子「流されちゃった」


ボール「」プカプカ


千歌「あー…」

女の子「せっかく買ってもらったのに…ママに怒られちゃう」

千歌「……」

15: 2016/11/18(金) 18:27:37.16 ID:8cscGvAq.net
女の子「はぁ…」

千歌「…よしっ!」

千歌「ちょっと待ってて!私が取って来るよ!」

女の子「!」


ポチャ


千歌(あそこなら…制服濡らさないで済むかな)

千歌(スカートをまくり上げてっと)


ピチャピチャ


千歌(つめたっ、太ももまで濡れちゃったよぉー)

千歌「でも…」


女の子「……」ドキドキ


千歌「あの子のために頑張らないと!」

16: 2016/11/18(金) 18:29:33.68 ID:8cscGvAq.net
ピチャッ

千歌(あっ、あとちょっとでボールに届…)


ゴボゴボゴボゴボ


千歌「ん?」


バッシャーン!!


梨子「ゼェゼェ…危なかった」


千歌「……」ビチョビチョ

17: 2016/11/18(金) 18:31:18.90 ID:8cscGvAq.net
………

女の子「わーい!ありがとお姉ちゃん!」

千歌「うん、どういたしまして」ビチョビチョ

女の子「じゃーねー!」

千歌「ばいばーい」

 

千歌「……」

梨子「ごめんね、水かけちゃって」

千歌「ううん、私もまさか潜ってる人がいるとは思わなかったし…」

千歌「あんなに勢いよく飛び出してくるとも思わなかったから…」


梨子「うん、いつのまにか苦しくなってて」

18: 2016/11/18(金) 18:32:28.73 ID:8cscGvAq.net
千歌「あはは…潜るのが好きなの?」

梨子「わからない」

千歌「わからない?」

梨子「うん、潜ったのは初めてだから。でも好きなのかも。またやりたいと思ったから」

千歌「う、うん…?」

梨子「…私ね」


梨子「海の音が聞きたいの」


千歌「海の…音?」

19: 2016/11/18(金) 18:33:41.02 ID:8cscGvAq.net
梨子「知りたいんだ、海のこと」

梨子「海の音を聞けたらわかる気がするの。私ってなんなのか」

梨子「あなたは海の音を知ってる?」

千歌「…ごめん、よくわかんないや」

梨子「そう…」

千歌「……」

梨子「…あなたは」

梨子「あなたはどうしてボールを拾ったの?」

千歌「へっ?」

20: 2016/11/18(金) 18:36:10.89 ID:8cscGvAq.net
梨子「どうして?」

千歌「どうしてって…あの子が泣いてたから」

梨子「ふーん…」

千歌「そ、それに!いいことすると気持ちいいしね!」

梨子「……」

千歌「……」

梨子「変わってるね」

千歌「へっ?」

梨子「じゃあね」


テクテク


千歌(変わってるのはあなたの方だと思うけど…)

千歌「…まあいっか」

千歌(それにしても…)

千歌(あの人の手、すっごくきれいだったなぁ…)


 

22: 2016/11/18(金) 18:43:03.49 ID:8cscGvAq.net
~~~~~~~~~~

病院

ガララッ

ルビィ「あっ…お姉ちゃん」

ダイヤ「おはようルビィ、調子はどう?」

ルビィ「あんまり…よくない」

ダイヤ「そう……」


ダイヤ「今日はフルーツを持ってきましたの!とってもおいしいですのよ!」

ルビィ「ありがとう…」

ダイヤ「ルビィ…」

ダイヤ「大丈夫。もう少し休めばきっとよくなります。お医者様も言っていましたから」

ルビィ「……」

~~~~~~~~~~

23: 2016/11/18(金) 18:49:14.01 ID:8cscGvAq.net
―――――

ホテル

花丸「あわわ……」ブルブル

果南「マル?」

鞠莉「どうしちゃったのそんなに震えて。寒いの?」


花丸「……マル」

花丸「また…女の人を食べちゃった」


果南「……」


花丸「頃したんだよ!マルが人を!」

24: 2016/11/18(金) 18:50:21.86 ID:8cscGvAq.net
花丸「もう嫌だよ!マルは、マルは…」

果南「……」

果南「変身」

サメ怪人「…マル、よく見てて」


花丸「果南ちゃん?なんで急に変身して…」


サメ怪人「ハァッ!」


バリーン バシャーン!


花丸「窓から海に飛び込んだ!?」

25: 2016/11/18(金) 18:51:49.84 ID:8cscGvAq.net
 
ワーキャー! キャー!

バキッ ガブッ

サメ怪人「ふぅ…」

サメ怪人「よっと」


鞠莉「…お帰り」

果南「ただいま」ドサッ

氏体「」


花丸「ひっ…」

26: 2016/11/18(金) 18:53:18.37 ID:8cscGvAq.net
果南「…いただきます」


バクバクッ グシャグシャ!


花丸「あぁっ…」

果南「…いいんだよ」モグモグ

花丸「えっ?」

果南「食べなきゃ…私たちが氏んじゃうんだもん」

果南「だからいいんだよ、人を食べたって」


バクバクッ


花丸「食べなきゃ…氏んじゃう」


花丸「嫌だ…マルは氏にたくない」

花丸「いただきます」


ムシャムシャ


鞠莉(そう、それでいいの。しっかり食べて成長してもらわなきゃ)

鞠莉(あなたは…大事な商品なんだから)
 

28: 2016/11/18(金) 20:07:01.98 ID:8cscGvAq.net
――――――

カフェ

曜「えっ?朝起きれない?」

千歌「うん、最近毎朝寝坊しちゃて…」

曜「もしかして疲れてるの?それとも…夜眠れないせいとか?」

千歌「あ、ううん!そうじゃないの!えっと…」

曜「…?」

千歌「ピアノのせいっていうか…ピアノのおかげっていうか」

曜「ピアノ…?」

29: 2016/11/18(金) 20:08:11.36 ID:8cscGvAq.net
千歌「あっうん、最近ね、隣に新しく引っ越してきた人がいるみたいなんだけど…」

千歌「一日中ピアノを弾いてるんだ」

千歌「家から出てくるところも見たことないから、どんな人なのかもわからなくて…」

曜「…ピアノがうるさいの?」

千歌「違うの!とってもきれいな音なんだけど…」

曜「…?ごめん千歌ちゃん、ちょっとよくわかんないんだけど…」

千歌「そのピアノが、あんまりいい音だから…」

~~~~~~

千歌「はっ!もうこんな時間!そろそろ起きな…」

♪♪~~~~~♪♪

千歌「きゃ…」

千歌「…ムニャムニャ」スヤスヤ

~~~~~~

千歌「気持ちよくなって…眠っちゃうの」


曜「…ぷっ」

30: 2016/11/18(金) 20:14:26.84 ID:8cscGvAq.net
千歌「ど、どうしよう曜ちゃん!このままじゃ毎日遅刻で留年だよ!」

曜「ふふっ、じゃあ文句を言いに行く?『あなたのピアノのせいで眠っちゃうんです!』って」

千歌「そ、それはちょっと…」

曜「…あっそうだ!いいこと思いついたよ千歌ちゃん!」

千歌「えっなに!?」


曜「私の家に一緒に住まない?」


千歌「えっ?」

31: 2016/11/18(金) 20:15:36.50 ID:8cscGvAq.net
曜「そしたら遅刻なんてしないよ!毎朝私が起こしてあげるから!」

千歌「え、ええっと…」

曜「……」

千歌「さすがに曜ちゃんに悪い…」

曜「なーんて!冗談だよ!」

千歌「えっ?」

曜「まぁ、ピアノの音ぐらいなら防音すればいいし」

千歌「やっぱりそうだよね…」

32: 2016/11/18(金) 20:16:43.56 ID:8cscGvAq.net
曜「でもそのお隣さんと話してみるのもいいかも!どんな人なのか気になるしね!よかったら私も一緒に行く?」

千歌「曜ちゃん…ありがとう!」

曜「どうしたしまして!」

千歌「はぁ…曜ちゃんに相談してよかった。明日は頑張って早起きするね!」


曜「……」

曜(千歌ちゃん…)

曜(さっきの…ホントは冗談なんかじゃないよ)


 


帰り道

千歌「ふんふーん♪」テクテク

千歌「…!」

千歌(あれっ…気のせいかな。誰かに見られてる気がしたような…)

 

アリ怪人A「…」

33: 2016/11/18(金) 20:22:48.88 ID:8cscGvAq.net
桜内家

ピアノ「♪♪~~~~!!!」ジャーン

梨子「!」

梨子「また…嫌な音がする」

梨子「行かなきゃ…きれいな音が消される前に」


 


路地裏

千歌「……」テクテク


ゴンッ


千歌「うっ!」フラッ

千歌(な、なに!?頭が…痛…)

バタッ

千歌「」


アリ怪人A「イタダキマー…」


「変身」

 

アリ怪人A「!?」

34: 2016/11/18(金) 20:24:19.92 ID:8cscGvAq.net
バッタ怪人「……」

アリ怪人A「…?」

アリ怪人A「ゴハン…ワタサナイ」

アリ怪人A「グオォォオ!」


バキッ


アリ怪人A「ギャアア!」

バッタ怪人「…ごめんね」

 


善子「……」ジーッ

善子「フフッ……」
 

35: 2016/11/18(金) 20:27:21.42 ID:8cscGvAq.net
バッタ怪人「ハァッ!ヤアッ!」


バシッ ドカッ

 

善子(キタキタキタキタ!張り込み大成功!)

善子(とうとうヨハネの前に現れたわねこの悪魔!)

善子(アリの方は量産型だけど…)

善子(バッタの方は間違いない!例のアイツよ!)

善子「それにしても…」

 

バッタ怪人「タァッ!」

ドンッ バンッ


善子(あのバッタ…さっきから足技しか使ってない)


善子「そんなに手が大事なのかしら…」
 

36: 2016/11/18(金) 20:29:19.68 ID:8cscGvAq.net
    
アリ怪人A「グワッ…」フラッ


バッタ怪人「…決めるよ」

バッタ怪人「キック」バチバチッ

バッタ怪人「ハァァアア!!」


バゴォォオオオン!!


アリ怪人A「グギャアア!!」


バタッ


アリ怪人A「」ドロドロドロドロ


 

善子(うわ…怪人ってやられたら溶けてなくなるのね。キモチワルっ)

38: 2016/11/18(金) 20:31:34.70 ID:8cscGvAq.net
バッタ怪人「……」

梨子「ふぅ…」


善子(見つけた…あの女がバッタの正体…!)パシャパシャ

 

梨子「……」

千歌「」グッタリ

梨子「…よいしょっと」


テクテクテクテク
  
……

42: 2016/11/18(金) 20:46:28.38 ID:8cscGvAq.net
――――――

千歌「わぁ!」ムクッ

千歌「……」

千歌「ここはどこ…?」

 

梨子「気がついた?」

千歌「あっ!あなたはこの間の…。じゃあここは…」

梨子「私の家だよ」


千歌「……あれ?」

43: 2016/11/18(金) 20:48:23.21 ID:8cscGvAq.net
千歌「ごめんね、なんか頭がボケっとしてて…私なんでここにいるんだっけ?」

梨子「……」

梨子「あなたは…道で倒れてたの」

千歌「道で!?ホント?」

梨子「うん、だからうちに連れてきたんだ。」

千歌「そう…なんだ」

千歌「……」


千歌「…ありがとう」

千歌「よく覚えてないけど、助けてくれたんだよね」

44: 2016/11/18(金) 20:49:36.25 ID:8cscGvAq.net
梨子「別に…私はただ、音楽を守りたかっただけだから」

千歌「音楽?」

梨子「そう、あなたの音楽をね」

千歌「…どういうこと?」

梨子「人は…ううん、人だけじゃない」

梨子「木も鉄も虫も動物も、この世界のものはみんな自分の中で音楽を奏でてるの」

梨子「自分にしかない音を」


千歌「自分の…音」

梨子「私はみんなの音を聞くことが好き」

梨子「地球全体で奏でる音楽が好き」

梨子「だから…音が減るのは嫌なの」

45: 2016/11/18(金) 20:51:33.92 ID:8cscGvAq.net
千歌「…変わってるね」

梨子「そうなんだ、初めて言われた」

千歌「初めて?」

梨子「うん、私ずっとピアノを弾いてたから。人と話したこともほどんどなくて」

千歌「…ピアノ?」

千歌「まさかここって…!」


窓「」ガラッ


千歌「うちの隣だ!」

46: 2016/11/18(金) 20:52:08.21 ID:8cscGvAq.net
千歌(そっか、あのピアノはこの子が弾いてたんだ…)

梨子「…?」

千歌「ねえ!お名前は?」

梨子「…梨子。桜内梨子」

千歌「梨子ちゃんっていうんだ…」

千歌「私は高海千歌だよ!よろしくね!」

梨子「…よろしく」


 

47: 2016/11/18(金) 20:56:20.56 ID:8cscGvAq.net
―――――

津島家

善子「フッ…今日はいい知らせがあるわ。リトルデーモンたち」

善子「東京から消えたヤツを見つけたの。ここでね」

善子「これがその写真よ」スッ

善子「見て、バッタがアリと戦ってる」

善子「人間を食べようとしたアリをバッタが倒したの」

善子「仲間のLESを襲うなんて…ヤツ以外考えられない」

善子「今ある情報はこれだけだけど…ヨハネは調査を続行するわ」

善子「またよろしくね、リトルデーモン」


バチッ


善子「…ふぅ」

善子(さすがに…素顔をネットに晒すのは可哀想よね)


写真「」ビリビリ


 

48: 2016/11/18(金) 21:03:34.25 ID:8cscGvAq.net
―――――

夜 高海家

千歌「う~ん」ウットリ


♪♪~~~~~~♪♪


千歌(梨子ちゃんのピアノ、いいなぁ…)

千歌(ずっと聞いてたいなぁ…)


シーン


千歌「…あれ、止まっちゃった」

千歌「どうしたんだろう…?今日はもう終わりなのかな?」


 


梨子「…っ!」

梨子「行かなきゃ…!」

   

50: 2016/11/18(金) 21:09:25.13 ID:8cscGvAq.net
~~~~~~~~~~

病院

ガラッ

ダイヤ「ルービィ♪」

ルビィ「……」

ダイヤ「…ルビィ?」

ルビィ「あっお姉ちゃん…」

ダイヤ「どうかしたんですの?」

ルビィ「…ううん、なんでもないよ。ちょっとボーっとしてただけだから」

ダイヤ「そう…」

ルビィ「……」

ルビィ「あっそうだお姉ちゃん!」

51: 2016/11/18(金) 21:10:25.76 ID:8cscGvAq.net
ダイヤ「なんですの?」

ルビィ「プリン!」

ダイヤ「…プリン?」

ルビィ「忘れちゃったの…?デザートに買ってきてくれるって言ってたのに…」

ダイヤ「……」

ダイヤ「ああそうでしたわ!私としたことがルビィのお願いを忘れるなんて!!」

ルビィ「ふふっ…お姉ちゃんでもそんなことあるんだね」

ダイヤ「でも…こんなに食欲が出てくるなんて、ルビィの体がよくなってきている証拠ですわね」

ルビィ「そうかなぁ…えへへっ」

ダイヤ「そう…そうに決まっていますわ」


ダイヤ(言えませんわよね…)

 

ダイヤ(さっき食べた、なんて)


~~~~~~~~~~

52: 2016/11/18(金) 21:15:50.07 ID:8cscGvAq.net
――――――

トンネル

花丸「へへっ…おいしそう」

女「いやっ…来ないでっ」

花丸「いただきまーす…」


ドンッ


花丸「!?」


花丸「…なんずら?」


梨子「……」

53: 2016/11/18(金) 21:18:32.50 ID:8cscGvAq.net
花丸「マルのご飯、邪魔しないでほしいな」

梨子「…逃げて」


女「あっぁっ…」タタタッ


花丸「…まあいいや」


花丸「変身」

ウシ怪人「…食べちゃうずら」

 

梨子「変身」

バッタ怪人「……」

 

ウシ怪人「!?」

54: 2016/11/18(金) 21:19:17.28 ID:8cscGvAq.net
バッタ怪人「…ハッ!」ボゴコッ

ウシ怪人「うっ…どうして」

バッタ怪人「……セイッ!」


バキッ ドカッ


ウシ怪人「うわぁあ!」


ウシ怪人「くっ…」ガクッ

55: 2016/11/18(金) 21:21:09.52 ID:8cscGvAq.net
バッタ怪人「…決めるよ」

バッタ怪人「キック…」バチバチッ


ウシ怪人「なんで…?マルたちは仲間じゃないの?同じLESなのに…」


バッタ怪人「…LES?」


ウシ怪人「なんで…なんでマルを!」

ウシ怪人「いやだ…氏にたくない」

ウシ怪人(逃げなきゃ…やられる!)


ウシ怪人「うわあああ!!!」ダダダダダッ


ゴォン!


バッタ怪人「うぐっ…」

バッタ怪人(突進!?…なんてパワーなの)

バァン!


梨子「くっ…」ガクッ

梨子「逃げ…られた」

 

56: 2016/11/18(金) 21:24:27.61 ID:8cscGvAq.net
―――――

ホテル

鞠莉「LESに襲われた…?」

花丸「うん、バッタみたいなLESに…」

果南「へぇー…そんなのがいたんだ」

鞠莉(バッタ…まさかっ!)


果南「でも…どうして人を助けたりするんだろう?」

花丸「うん、食べなきゃマルたちは氏んじゃうのにね」


鞠莉「…氏なないからよ」


果南「え?」

57: 2016/11/18(金) 21:26:27.33 ID:8cscGvAq.net
鞠莉「ソイツは氏なないの。人も…モノも食べなくてもね」

花丸「で、でも、LESは女の人を食べなきゃ氏んじゃうんじゃ…」

鞠莉「果南やマルとは違うのよ」


鞠莉「アレは…生まれながらのLES。オリジナルのLESなんだから」


果南、花丸「!?」


鞠莉「やっと…見つけた」

鞠莉「ふふっ…ふふふふふ!」

 

キメラ怪人「グオォォ…」ジタバタ

 

鞠莉「あはははははっ!」

鞠莉(完全生命体は…私が手に入れる!)

59: 2016/11/18(金) 21:31:29.40 ID:8cscGvAq.net
――――――――――――
――――――

桜内家前

ピンポーン


千歌「……」

ピンポーン


千歌「梨子ちゃーん!おーい!」


シーン


千歌「……」

千歌(なんで出てきてくれないんだろう…)

千歌(ピアノの音がするし、中にいるはずなんだけど…)

60: 2016/11/18(金) 21:33:26.29 ID:8cscGvAq.net
ピアノの音「♪♪~~~~♪♪」


千歌「梨子ちゃん…」

千歌「えいっ!」ポチッ


ピンポピンポピンポーン

ピンピンポーン


千歌(ピアノに合わせて連打しちゃお)

ピンピンポーン


ガチャ

梨子「……」


千歌「…梨子ちゃん!」

61: 2016/11/18(金) 21:35:11.36 ID:8cscGvAq.net
千歌「ご、ごめんね急に。あの、実は…」


梨子「リズムがずれてるよ。ピンピンポーンじゃなくてピンポポポン」


千歌「あっなるほど!」


梨子「じゃあね」

バタンッ


千歌「……」

千歌「ちょっと待ってよー!」

 

梨子「…なに?」チラッ

千歌「あの…この間のお礼をしようと思って」

62: 2016/11/18(金) 21:37:40.38 ID:8cscGvAq.net
梨子の部屋

千歌「…この間はありがとう。梨子ちゃんがいなかったら私…どうなってたか」

梨子「……」

千歌「これ、作ってきたからよかったら食べてね」

千歌「ホントはもっと高いものにしようとしたんだけど、買ったものより手作りの方が気持ちが伝わるかと思って…」

梨子「……」

千歌「もしかして…あんまり好きじゃなかった?」

梨子「これ…なに?」

千歌「なにって…サンドイッチだよ?」

梨子「へぇ…初めて見た」

千歌「は、初めて…?」

63: 2016/11/18(金) 21:38:54.94 ID:8cscGvAq.net
………

千歌「えー!じゃあ梨子ちゃんってご飯食べないの!?」

梨子「うん」

千歌「ダメだよ!氏んじゃうよ!?」

梨子「氏んじゃうの?大丈夫だと思うけど。今まで何も食べてなかったしね」

梨子「それに…食べることってあんまり好きになれないの」


千歌「……」

千歌「で、でも…」

梨子「…?」


千歌「……」パクッ

千歌「……モグモグ」

千歌「もったいないよ。こんなにおいしいのに…」


梨子「……」

64: 2016/11/18(金) 21:41:01.49 ID:8cscGvAq.net
千歌「…モグモグ」

千歌「あー!おいしいなー!!」

千歌「こーんなにおいしいのになー!!梨子ちゃんにも食べてほしいなー!!」


梨子「はぁ…」

梨子「…一つもらえる?」

千歌「はい!」

梨子「……」ジロジロ

梨子「……」パクッ

梨子「……モグモグ」


千歌「…おいしい?」


梨子「……おいしい」


梨子「おいしい!」

 

65: 2016/11/18(金) 21:42:45.00 ID:8cscGvAq.net
ピアノ「♪♪~~~~~~♪♪」


「千歌ちゃん…ありがとう。サンドイッチっておいしいんだね。知らなかった」

「えへへ…そう言ってもらえるとうれしいよ。また作るね」

「でも…千歌ちゃんに悪いよ」

「いいよいいよ!私がやりたいんだから!だけど…」

「だけど…なに?」

「代わりに…梨子ちゃんのピアノ、聞かせてほしいな」

「…任せて」


ジャンジャンジャンジャン♪♪
 

66: 2016/11/18(金) 21:58:39.83 ID:8cscGvAq.net
千歌「あっ、そういえば」

梨子「なに?」

千歌「梨子ちゃん前に言ってたよね。みんな自分の中に音楽を持ってるって」

梨子「うん、そうだよ」

千歌「私の音楽ってどんな音なの?」

梨子「うーん…」


梨子「子供のピアノ…かな」


千歌「へっ?」

67: 2016/11/18(金) 21:59:28.56 ID:8cscGvAq.net
梨子「ところどころ音が外れてる」

千歌「そ、それってどういう意味…!?」


梨子「だけど…そこがかわいいの」


梨子「全然完璧じゃないし、リズムも不規則なんだけど…」

梨子「なんでだろう?すっごく惹きつけられるの。目が離せないっていうか」

梨子「素直で真っ直ぐで、純粋な音」


梨子「だから好きなんだ。千歌ちゃんのこと」


千歌「す、好きって…//」

68: 2016/11/18(金) 22:02:17.22 ID:8cscGvAq.net
ピアノ「♪♪~~~~~~♪♪」


ピタッ

シーン

梨子「ふぅ…」


千歌「わぁ…」パチパチパチパチ


梨子「…もう一曲、聞く?」

千歌「…うん!」


♪♪~~~~~~♪♪


………………………
……………

70: 2016/11/18(金) 22:04:36.71 ID:8cscGvAq.net
~~~~~~~~~~

病院

ダイヤ「おはようルビィ」

ルビィ「……」

ダイヤ(もう、しゃべることも…)

ルビィ「……」

ダイヤ「…そうですわ、今日はこれを持って来ましたの」

ルビィ「……」

ダイヤ「じゃーん!プリンですわ!」

ルビィ「……」

ルビィ「…プリン」

ダイヤ「ルビィ…!そうですの!プリンですのよ!!あなたの大好きなプリン!」

71: 2016/11/18(金) 22:06:53.61 ID:8cscGvAq.net
ダイヤ「はい、あーん…」

ルビィ「……」パクッ

ダイヤ「…おいしい?」

ルビィ「……」コクッ

ダイヤ「ふふっ、よかったですわ。いっぱい食べて、早く元気になっ…」


ガジガジ


ダイヤ「…ルビィ?」

72: 2016/11/18(金) 22:08:14.85 ID:8cscGvAq.net
ルビィ「……」ガジガジ

ダイヤ「ルビィ!それはスプーンですわ!」

ルビィ「うー……」ガジガジ

ダイヤ「ルビィ!ダメ…」

ルビィ「……」ポイッ

ダイヤ「いたっ…物を投げるのはやめてっ」


ポイポイッ


ダイヤ「あっ…」


プリン「」ベチャッ

73: 2016/11/18(金) 22:09:38.51 ID:8cscGvAq.net
ダイヤ「ルビィ…」

ルビィ「……」

ダイヤ「…どうして。どうしてルビィがこんな目に…」ウルウル

ルビィ「……」


「妹サンを助けたいですか?」


ダイヤ「!あなたは…?」

 

「ついて来て。その子を元気にしてあげる」


~~~~~~~~~~

74: 2016/11/18(金) 22:11:22.67 ID:8cscGvAq.net
路地裏

バッタ怪人「ハァァア!!」ボゴォン


アリ怪人B「ギャアア!」


アリ怪人B「」ドロドロドロドロ


梨子「ふぅ…」


氏体「」


梨子(守れなかった…この人の音楽を)

梨子(でも…)


梨子「襲われたのが千歌ちゃんじゃなくてよかった…」


梨子(って私、何考えてるんだろう…)


―――――

75: 2016/11/18(金) 22:24:40.81 ID:8cscGvAq.net
――――――――――
―――――

学校

曜「ねえねえ千歌ちゃん、この後…」

千歌「ごめん曜ちゃん!今日は急いでるんだ!」

曜「あっ…そうなんだ」

千歌「ホントにごめんね!」

曜「あっうん」


曜「……」

曜(千歌ちゃん…最近早く帰ること多いなぁ)

曜(何してるんだろう…?)

76: 2016/11/18(金) 22:26:36.71 ID:8cscGvAq.net
―――――

桜内家前

千歌「……」


ピンポーン


千歌「……」


ピンポンピンポンピンポーン

ピンポポポポン


ガチャ


梨子「…だいぶ上手になったね」


千歌「うん!」

77: 2016/11/18(金) 22:28:05.76 ID:8cscGvAq.net
梨子の部屋

千歌「はい!今日はおにぎり作ってきたよ!」

梨子「おにぎり…サンドイッチじゃないの?」

千歌「うん!一週間ずっとサンドイッチじゃ飽きちゃうかと思って!」

梨子「むぅ……」プクー

千歌「…梨子ちゃん?」

梨子「…サンドイッチじゃなきゃいや。いらない」

千歌「えー…」

梨子「……」

千歌「そうだ!」

78: 2016/11/18(金) 22:29:40.04 ID:8cscGvAq.net
キッチン

梨子「で…なんでこうなるの?」

千歌「だって今日はサンドイッチ作ってきてないもん。どうせ作るんだったら一緒にやった方がいいよね!」

梨子「そうかな…?」

千歌「そうそう!」


千歌「じゃあ梨子ちゃん、まずは包丁で野菜を切……」

梨子「……」

千歌「……」ジーッ

梨子「……?」

千歌「……」


梨子「…千歌ちゃん?」

79: 2016/11/18(金) 22:32:06.13 ID:8cscGvAq.net
千歌「あっ、ごめん…」

千歌(梨子ちゃんの手…やっぱりすっごくきれい)

千歌(ピアノを弾いてるから…なのかな。繊細なのに力強くて…)

千歌(人間の手じゃないみたい…)

千歌(なーんて、そんなわけないよね)

 

……………

梨子「できた…!」

千歌「うん!上手にできたね!」

梨子「そうかな…?」

千歌「そうだよ」

梨子「そうかも」


梨子「ふふっ…」

千歌「えへへ…」

 

80: 2016/11/18(金) 22:38:30.97 ID:8cscGvAq.net
……

ピアノ「♪♪~~~~♪♪」


千歌「…♪」ジャンジャン


梨子「……」


~~~~~

梨子「ピアノをやりたい…?」

千歌「うん!ほら、さっき私がサンドイッチの作り方教えたから、今度は梨子ちゃんにピアノを教えてほしいんだ」

梨子「……」

~~~~~


千歌(梨子ちゃん!私の音楽を聞いてね!)

81: 2016/11/18(金) 22:40:02.92 ID:8cscGvAq.net
ジャーン♪


千歌「ふぅ…」


梨子「……」

千歌「…どうだった?」

梨子「……」

千歌「…梨子ちゃん?」


梨子「……」スヤスヤ


千歌「寝てる!?」

82: 2016/11/18(金) 22:42:09.14 ID:8cscGvAq.net
千歌「ひどいよ梨子ちゃーん!」ユサユサ

梨子「あぅ…」ユラユラ

千歌「そりゃ私は初心者だけど…でも、でも!寝るほど退屈だったの!?」ユサユサ

梨子「ぁ…ちがうの」ムニャムニャ

梨子「千歌ちゃんのピアノ…すきだよ。かわいくて」

千歌「かわいい?」

梨子「うん、千歌ちゃんの中の音楽と同じ。子供のピアノみたいにメチャクチャで…お遊戯会みたいで…」

千歌「お、お遊戯会…」

梨子「懐かしい感じがして、聞いてると眠くな…」ウトウト


ジャーン!


梨子「!」

83: 2016/11/18(金) 22:45:49.45 ID:8cscGvAq.net
千歌「今、ピアノが勝手に…」

梨子「…千歌ちゃん。ちょっと一人でピアノの練習してて」

千歌「り、梨子ちゃん…?」

梨子「私は…ちょっと出かけてくるから」

千歌「どこに…行くの?」

梨子「……」

千歌「ねえ梨子ちゃ…」


梨子「千歌ちゃん!」


梨子「すぐ…戻ってくるから」


千歌「……」

85: 2016/11/18(金) 22:48:03.26 ID:8cscGvAq.net
―――――


アリ怪人C「グォォ」


バクバクムシャムシャ


アリ怪人C「…!」


バッタ怪人「また…音楽を奪ったんだね」

バッタ怪人「…許せない」


ボゴォ


蟻怪人C「ギャアアア!!」


ドロドロドロ


 


善子「……」ジーッ

86: 2016/11/18(金) 22:49:49.93 ID:8cscGvAq.net
―――――

梨子「……ただいま」

千歌「お帰り…」

梨子「……」

千歌「どこ…行ってたの?」

梨子「……」

千歌「あの…梨子ちゃん」

梨子「……」

千歌「あ、あの…その」


千歌「今度ピクニックでも行かない?」


梨子「ピクニック?」

87: 2016/11/18(金) 22:52:13.24 ID:8cscGvAq.net
千歌「うん!山に行こうよ!お弁当にサンドイッチも持って!」

千歌「おいしいよー野原で食べるサンドイッチ」

梨子「…いいね」

千歌「ね!」


千歌「でも、外じゃ梨子ちゃんのピアノが聞けないのが残念だよー。ピアノ聞きながらお昼寝できたら最高なのに!」

千歌「あー野原にピアノがあったらなー」

梨子「…持ってく?」

千歌「えっ」

88: 2016/11/18(金) 22:53:07.56 ID:8cscGvAq.net
梨子「担いでいけばなんとか…」

千歌「ごめんごめん!いいよ無理しなくて!」

梨子「無理じゃないと思うけど…」

千歌「わぁーー!!?」


 


高海家

千歌「梨子ちゃん…」

千歌(私は…梨子ちゃんのことを何も知らない)

千歌(ここに引っ越してくる前、どこに住んでたのかも)

千歌(何を隠してるのかも…)


――――――――――
―――――

101: 2016/11/19(土) 11:12:41.11 ID:EVq6+6Jr.net
――――――――――

ホテル

果南「…ヤァッ!ハッ!」

ボコボコ

果南(鞠莉…)


~~~~~~

果南「大変だよ鞠莉!」

鞠莉「う…そ」

鞠莉「倒産…?」

果南「まだ決まったわけじゃないらしいんだけどこのままだと…」

鞠莉「どういうことなの!パパ!」

ガチャッ

果南「あっダメッ…!」


鞠莉「ぁ……」


ブラーン


鞠莉「……」


 

102: 2016/11/19(土) 11:19:51.55 ID:EVq6+6Jr.net
鞠莉「……」

果南「鞠莉……」

鞠莉「これから…どうすればいいんだろう」

鞠莉「もう…何も残ってない。お金も、パパも」

鞠莉「あるのは…このホテルだけ」


「へぇ…なかなかいい場所ね」


鞠莉「っ!?あなたは…!」


「久しぶりね」


果南「お医者さんが…私たちに何か用?」


「…ええ、このホテル丸ごと貸してくれない?もちろんお金は払うわ」

~~~~~


果南「……」

103: 2016/11/19(土) 11:21:36.01 ID:EVq6+6Jr.net
花丸「ふぁー…あっおはよう果南ちゃん」

果南「マル…」

花丸「どうしたの?壁に穴なんてあけたら…鞠莉ちゃんに怒られちゃうよ」

果南「マル、あのさ…」

花丸「…?」


果南「鞠莉…変わったと思わない?」

104: 2016/11/19(土) 11:22:52.90 ID:EVq6+6Jr.net
花丸「…鞠莉ちゃんが?」

果南「うん…」

花丸「うーん…」


~~~~~

花丸「うっ…ここは?」

鞠莉「チャオー!」

花丸「あなたは…?」

鞠莉「マリーはマリーよ!」

花丸「え?」


果南「もう…ちゃんと説明してあげないと」

鞠莉「そうね!」

105: 2016/11/19(土) 11:25:45.60 ID:EVq6+6Jr.net
花丸「あ、あの…なにがなんだか」

鞠莉「マリーはあなたのママみたいなものよ!!」

花丸「ママ…?そんなこと言われても、マルにはお母さんがいるし…」

果南「生まれ変わったんだよ」

花丸「え?」

果南「マル?でいいんだよね。あなたはもう普通の人間じゃない」

果南「私と同じように…」

花丸「……?」

鞠莉「あははっ!」

鞠莉(今度の実験体は…結構いい出来みたいね)


~~~~~

花丸「うーん…変わったかなぁ?マルにはわかんないや」


果南「そっか……」

果南(マルは…昔の鞠莉を知らないもんね)

果南(鞠莉は変わっちゃったんだよ。あれ以来…)
  

106: 2016/11/19(土) 11:26:51.91 ID:EVq6+6Jr.net
~~~~~~~~~~

病院

ルビィ「うぅ…」

ダイヤ「ルビィ!…ルビィ!」

ルビィ「お、お姉ちゃん!そんなに強くつかまれたら痛いよ」

ダイヤ「いいんですわ!だって…だって!」

ルビィ「お姉ちゃん…。ルビィ、なんか記憶が飛んでるんだけど…」

ダイヤ「…心配ありません。手術の影響ですわ」

ルビィ「手術…?」

ダイヤ「ええ、あなたの病気は完全に治りましたの」

ダイヤ「これからは…ずぅーっと一緒ですわ。ルビィ」

ルビィ「お姉ちゃん…」


――――――――――

108: 2016/11/19(土) 14:12:24.69 ID:EVq6+6Jr.net
――――――――――
――――――



千歌「はぁ…やっと着いたー」

梨子「きれい…」


キラキラ サワサワ


千歌「風が気持ちいいね」

梨子「……」

千歌「梨子ちゃん?」

梨子「…きれいな音」

千歌「音…」

109: 2016/11/19(土) 14:14:16.66 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「こうして耳を澄ませると色んな音が聞こえるの。風の音、虫の音、木の音、千歌ちゃんの音」

千歌「そういえば…海の音が聞きたいって言ってたよね」

梨子「うん」

千歌「聞こえた?」

梨子「ううん、まだ」

千歌「じゃあ…今度は海に行こっか」

梨子「うん、千歌ちゃんと一緒なら…海の音を聞ける気がする」

千歌「えへへ…」


千歌「そろそろご飯にしよっか!」

梨子「うん!」

110: 2016/11/19(土) 14:15:39.42 ID:EVq6+6Jr.net
千歌、梨子「いただきまー…」


キャー!


千歌「!?ひ、悲鳴…?」

千歌「あっちの方から聞こえたけど……」

千歌「!」

 

アリ怪人D「グワァ」

バクバク ムシャムシャ

氏体「」


千歌「ひっ…」ブルッ

千歌(か、怪物…)


アリ怪人D「…!」


千歌(っ、こっちを見た!)

111: 2016/11/19(土) 14:17:14.12 ID:EVq6+6Jr.net
アリ怪人D「グオォォオ!」


千歌「梨子ちゃん!逃げよう!」

梨子「……」

千歌「梨子ちゃん!」

梨子「う、うん」


タタタタッ


千歌「…ハァハァ」

梨子「……」

梨子(…どうしてだろう)

112: 2016/11/19(土) 14:19:05.64 ID:EVq6+6Jr.net
梨子(今まで、誰から何と思われようとどうでもよかったのに…)

梨子(千歌ちゃんの前で…変身したくない)

梨子(千歌ちゃんに嫌われたくない…)


アリ怪人D「グルル…」


千歌「梨子ちゃん!こっち!」


千歌「…ハァハァ」

梨子(千歌ちゃん…)

113: 2016/11/19(土) 14:20:26.79 ID:EVq6+6Jr.net
アリ怪人D「グワァ」


千歌「ダメだ…逃げられないよ」

梨子「…千歌ちゃん、逃げて。私が囮になるから」

千歌「そ、そんなのダメだよ!」

梨子「私は大丈夫だから」


梨子「…変身」

梨子「……」

梨子「変身できない…?」


アリ怪人D「グオォオ!」


千歌「危ない梨子ちゃん!」


ドンッ

114: 2016/11/19(土) 14:21:57.49 ID:EVq6+6Jr.net
千歌「わぁっ!」バタッ


梨子「千歌…ちゃん」

千歌「だ、大丈夫…ちょっと足を捻っただけだから」


千歌「よかった…梨子ちゃんに何ともなくて」


梨子「……っ!」

梨子(私のせいだ…)

梨子(私が…中途半端な気持ちでいたから変身できなかったんだ)

梨子(私のせいで千歌ちゃんが…!)


千歌「…ハァハァ」


アリ怪人D「グワァアア!」


千歌「きゃっ……」


ボゴォン


アリ怪人D「ギャアアア!」


梨子「千歌ちゃん…下がってて」


千歌「梨子…ちゃん?」

115: 2016/11/19(土) 14:25:47.16 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「…変身」

バッタ怪人「……」


バッタ怪人「ハァァッ!!」


バシンッ


千歌「う、うそ…」

千歌(梨子…ちゃんが、怪物に…)

 

アリ怪人D「グワァ!」

バッタ怪人「タァッ!」

116: 2016/11/19(土) 14:27:14.70 ID:EVq6+6Jr.net
バッタ怪人「…いつもはね、悲しかったの」バキィ

アリ怪人D「ギャァ!」

バッタ怪人「あなたたちのせいで…音楽が消えちゃうから」

バッタ怪人「でもね、今は悲しくなんかない」


バッタ怪人「怒ってるのよ」


バッタ怪人「私の大事な人を」


バッタ怪人「千歌ちゃんを傷つけないで!!」

117: 2016/11/19(土) 14:28:27.35 ID:EVq6+6Jr.net
バッタ怪人「…キック」バチバチッ

バッタ怪人「ハァアアアア!!!」


バゴォォォン


アリ怪人D「ギャアァアア!!」


ドロドロドロドロ


バッタ怪人「……」

梨子「千歌ちゃん!大丈…」


千歌「……」ブルブルブルブル


梨子「……」

118: 2016/11/19(土) 14:30:15.35 ID:EVq6+6Jr.net
千歌「あ、ありがと梨子ちゃん…私を、助けてくれたんだよね」ブルブル

千歌「い、いやぁ、びっくりしちゃったなぁ。梨子ちゃんに、こんな、秘密があったなんて」

千歌「は、早く言ってくれればよかったのに。わ、私は全然気にしないから…」


梨子「……」


千歌「そ、そうだ!サンドイッチ食べる?さっきは食べれなかったもんね」

ガサガサ

千歌「あ、あれ?おかしいな…手が震えてうまく開けられないや」ブルブル

千歌「り、梨子ちゃん、開けてくれる?」

梨子「うん、貸して…」
バッタ怪人「グワァア」


千歌「ひっ…!」ポトッ


サンドイッチ「」グチャ

120: 2016/11/19(土) 14:32:40.74 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「あ…」

千歌「あ、あれ?手が滑っちゃった」

千歌(幻覚…だよね。梨子ちゃんが怪物に見えるなんて)


梨子「……」

梨子「…千歌ちゃん」

梨子「いいよ。無理しなくて」


千歌「……」


梨子「帰ろっか」

  

122: 2016/11/19(土) 16:08:25.93 ID:EVq6+6Jr.net
―――――

ホテル

鞠莉「マル、こんなとこにいたのね」

花丸「鞠莉ちゃん?」

鞠莉「やってもらいたいことがあるの」

花丸「マルに…?鞠莉ちゃんの言うことなら何でもやるけど…」

鞠莉「サンキューよマル」


鞠莉「氏なないように頑張ってね~」

花丸「!?」


果南「……」

果南(鞠莉……)

123: 2016/11/19(土) 16:09:23.28 ID:EVq6+6Jr.net
……………

山道

千歌「……」テクテク

梨子「……」テクテク

千歌「……」

グキッ

千歌「いたっ…!」

千歌(さっき…捻った足が…!)バタッ

梨子「千歌ちゃん!」
バッタ怪人「グワァア!」


千歌「ひっ…」ブルブル


梨子「…ごめん」

125: 2016/11/19(土) 16:11:20.77 ID:EVq6+6Jr.net
千歌「ってて……」スタッ

梨子「……」

千歌「うっ…」フラフラ

梨子「……っ!」


梨子「…千歌ちゃん」

千歌「……」

梨子「私が怖い…ってことはわかってる。でも、もう見てられないよ」

梨子「お願い千歌ちゃん…」


梨子「つかまって、私の手に」


♪♪~~~~~♪♪


千歌「あ…!」

126: 2016/11/19(土) 16:18:17.35 ID:EVq6+6Jr.net
 『りーこちゃん♪ピアノ弾いて♪』

 『いいけど…千歌ちゃんは飽きないの?毎日毎日同じ演奏を聞いて』

 『飽きないよ』

 『梨子ちゃんのピアノ…大好きだから』


♪♪~~~~~♪♪


千歌(どうして気づかなかったんだろう…)

千歌(やっと聞こえたよ。梨子ちゃんの、心の中の音楽が)

千歌(優しくて、すごく温かくて…)

千歌(そうだ、梨子ちゃんは私を助けてくれたんだ)

千歌(私の…音楽を守ってくれたんだ)

千歌(今日も…あの時も)

千歌(最初に助けてもらったあの時も!)

127: 2016/11/19(土) 16:19:53.31 ID:EVq6+6Jr.net
 
千歌「…梨子ちゃん」

梨子「……」

千歌「…変わって、あの姿に」

梨子「え…!?」

千歌「お願い」

梨子「でも…」

千歌「…信じて、私のこと」

梨子「……」


梨子「…変身」

128: 2016/11/19(土) 16:21:37.62 ID:EVq6+6Jr.net
バッタ怪人「……」

千歌「……」


ギュッ


千歌(やっぱり…梨子ちゃんは梨子ちゃんだ)

千歌(姿が変わっても…変わらない)

千歌(すっごくきれいな手も…)

♪♪~~~~~♪♪

千歌(梨子ちゃんの中の音楽も)


千歌「梨子ちゃん…っ」ギュゥーー

梨子「千歌ちゃん」

 

「「大好きだよ」」

 

ギュッ


 

130: 2016/11/19(土) 16:35:26.99 ID:EVq6+6Jr.net
―――――

病院

千歌「軽い捻挫だって!」

梨子「そう…よかった」

千歌「だから大丈夫だって言ったのにー」

梨子「でもほら、万が一ってこともあるし…」

千歌「もうー梨子ちゃんは心配性だなぁ。大丈…」

ドンッ

千歌「ああっごめんなさい!ぶつかっちゃって」


ダイヤ「…いえ、こちらこそすみませんでした」ニコッ

ダイヤ「さぁ、行きますわよルビィ」

ルビィ「うん!お姉ちゃん!」


テクテク

131: 2016/11/19(土) 16:36:48.79 ID:EVq6+6Jr.net
ルビィ「あれ?おうちに帰るんじゃないの?」

ダイヤ「ええ、これから私たちはあそこで暮らしますの」

ルビィ「わぁー…豪華なホテルだね!」

 


千歌「よかったー…いい人で」

梨子「……」

千歌「梨子ちゃん?どうかした?」

梨子「…なんでもない」

132: 2016/11/19(土) 16:39:14.99 ID:EVq6+6Jr.net
―――――

桜内家

梨子「千歌ちゃん、ご飯にする?お風呂にする?」

千歌「…ぷっ」

梨子「な、なんで笑うの!?」

千歌「だって…なんか変だよ」

梨子「そんな、私はただ…」

梨子「千歌ちゃんに謝りたくて…」

千歌「……」

梨子「…私のせいで、怪我させちゃったから」

千歌「ち、違うよ!梨子ちゃんのせいじゃな…」

梨子「違くないよ!」

133: 2016/11/19(土) 16:41:34.90 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「私が…黙ってたから。普通の人間じゃないってことを」

千歌「梨子ちゃん……」

梨子「だから千歌ちゃん」

梨子「怪我が治るまで、せめて今日一日ぐらいはお世話をさせて」

千歌「……」

千歌「じゃ、じゃあ…」

千歌「…お風呂」


 

風呂場

千歌「あぁ~」

梨子「……」ゴシゴシ

134: 2016/11/19(土) 16:44:36.59 ID:EVq6+6Jr.net
千歌「気持ちいい~」

梨子「……」

千歌「…梨子ちゃん」

梨子「なに?」

千歌「梨子ちゃんは…なんで変身できるの?」

梨子「…わからない、よく覚えてないの。でも…昔からできたんだと思う」

千歌「……」

梨子「私ね、ここに来る前は東京にいたの。東京でずっとピアノを弾いてた」

梨子「5歳くらいかな?その頃からずっと」

梨子「ずっと、一人でピアノを弾いてた」

梨子「でも…」


梨子「今は一人じゃない」ニコッ


千歌「…そうだね!」

135: 2016/11/19(土) 16:46:31.77 ID:EVq6+6Jr.net
ゴシゴシ

千歌「ふぅ…ありがと梨子ちゃん」

梨子「千歌ちゃん、こっちむいて」

千歌「えっ?」

梨子「前も洗わなきゃ」

千歌「ダ、ダメだよ梨子ちゃん!くすぐった…」

千歌「あひゃひゃ!」ジタバタ


ツルッ 


梨子「おっと……」ドンッ


千歌「あ…//」

136: 2016/11/19(土) 16:48:19.69 ID:EVq6+6Jr.net
千歌「り、梨子ちゃん…//」

梨子「……」ドンッ

千歌「……//」

梨子「……」

千歌「……」

梨子「……」

 

ドンドンドンドンッ!


 


――――――――――
―――――

翌朝

千歌「う、う~ん…」


ピアノ「♪♪~~~~~♪♪」

梨子「おはよう」


千歌「…おはよう」

139: 2016/11/19(土) 19:01:31.54 ID:EVq6+6Jr.net
―――――

学校

曜「千歌ちゃんおはヨーソロー!」

千歌「おはよー!」

曜「……」

千歌「…曜ちゃん?」

曜「あ、あのさ千歌ちゃん…」

曜「最近…何してるの」

千歌「へっ?」

140: 2016/11/19(土) 19:02:46.84 ID:EVq6+6Jr.net
曜「そ、その…最近ボーっとしてることが多いしさ」

曜「遊びに行くことも少なくなったし…」

曜「昨日は…家にも帰らなかったって」

千歌「……」

曜「私だって、千歌ちゃんが変なことするわけないってわかってる…けど!」

曜「千歌ちゃんのことが心配なんだよ!」

千歌「曜ちゃん…」

141: 2016/11/19(土) 19:04:07.52 ID:EVq6+6Jr.net
曜「今日は…足に怪我もしてるし」

千歌「……」

曜「ねえ千歌ちゃん」

曜「もう…やめてよ」

曜「また、昔みたいに私と一緒に…」


千歌「…曜ちゃんの言う通りだね」


曜「…!千歌ちゃん…」


千歌「でも…ごめん曜ちゃん」


千歌「私が決めたことだから」ニコッ


曜「……」

曜(千歌ちゃん……)

142: 2016/11/19(土) 19:07:24.37 ID:EVq6+6Jr.net
―――――

ホテル

花丸「……」

果南「マル…行くの?」

花丸「…うん」

果南「あ、あのさ、私が代わりに…」

花丸「…果南ちゃん」


花丸「マルがやるよ。せっかく…鞠莉ちゃんがマルを選んでくれたんだもん」


果南「マル…」

花丸「…行ってきます」


ダッ

143: 2016/11/19(土) 19:10:39.73 ID:EVq6+6Jr.net
―――――

梨子の家

ピアノ「♪♪~~~~~♪♪」

梨子「……♪」

梨子(ふふっ…)

梨子(千歌ちゃん、どうしてるかな)

梨子(そろそろ帰ってくる頃かな)

梨子(早く…会いたいな♪)


ドカーン!


梨子「…!」


ウシ怪人「…一緒に来てもらうずら」

144: 2016/11/19(土) 19:11:37.90 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「ずいぶん…乱暴だね」


梨子「…変身」

  

バッタ怪人「ハァッ!」

ウシ怪人「ヤァア!」


ガキンッ!

ドカッ バキッ

 

バッタ怪人「あんまりうちを壊してほしくないんだけど…」

バッタ怪人「…まあいいや」

バッタ怪人「ここを襲ってきたってことは…もうここにはいられないってことだもんね」


ウシ怪人「……」

145: 2016/11/19(土) 19:14:18.04 ID:EVq6+6Jr.net
バキィ

ウシ怪人「うぐっ…」

バッタ怪人「悪いけど…あなたにやられるつもりはないんだ」

ドゴォ

ウシ怪人「がっ…!」


バッタ怪人「…決めるよ」

バッタ怪人「…キック」バチバチッ

バッタ怪人「ハァアア!!」


ドゴオオォオン


ウシ怪人「うわぁあああ!!」


バタッ


花丸「」

146: 2016/11/19(土) 19:19:43.20 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「ふぅ…」


「いやだ」


梨子「!」


花丸「いやだ…マルは、氏にたくない」

花丸「食べな…きゃ。…食べなきゃ、氏んじゃう…」

花丸「はぐぁっ!」


バクバクムシャムシャ


梨子「っ!自分の腕を…」


花丸「い、いや…だ」

花丸「氏にたく…なっ…」


花丸「ぃ……」


バタッ


ドロドロドロドロ

 

148: 2016/11/19(土) 19:36:30.85 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「……」

梨子「…逃げなきゃ」

梨子(あの怪人は…私を狙ってきた)

梨子(ここにいたら…危ないよね)

梨子(逃げなきゃ!千歌ちゃんと一緒に!)

梨子(早く千歌ちゃんに会わないと)


「梨子ちゃん!」


梨子「千歌ちゃ…」

梨子「!」

 

千歌「」ガクッ

トラ怪人「……」

149: 2016/11/19(土) 19:38:48.59 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「千歌ちゃんに…何をしたの」

トラ怪人「……」

梨子「千歌ちゃんを返して!」

梨子「変しっ…」


「後ろにも気をつけた方がいいよ」


梨子「!?」


ライオン怪人「テェイ!」ガッ


梨子「ぐっ…」


千歌「」

ライオン怪人「この人はもらって行くね」

トラ怪人「返してほしければ…淡島のホテルに来てください」

150: 2016/11/19(土) 19:41:08.53 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「待って!」


ササササッ


梨子「逃が…さな」

ガシッ

梨子「!?離して!千歌ちゃんを追いかけないと!」


「…落ち着いて」


善子「今行っても氏ぬだけよ」

善子「あなたも、あの子もね」


梨子「……あなたは?」


善子「…ヨハネ」


善子「堕天使ヨハネよ…フフッ」

151: 2016/11/19(土) 19:47:45.35 ID:EVq6+6Jr.net
―――――

津島家

梨子「……」

善子「私は『降臨せし堕天使の集い』のリーダーのヨハネ…」

善子「私たちは最近頻発してる行方不明事件を調査してたの」

梨子「ヨハネ…?調査って…警察なの?」

善子「ネットのコミュニティよ」

梨子「……」

善子「……」


善子「ただ梨子さん、あなたが知りたい情報も持ってる」

善子「敵の正体をね」

152: 2016/11/19(土) 19:49:45.55 ID:EVq6+6Jr.net
善子「千歌さんを攫ったのは小原家よ。間違いない」

梨子「小原家…」

善子「知ってる?ホテルオハラって一回経営が危なくなったことがあったの」

善子「でも…急に資本が復活した。西木野病院との共同研究のおかげでね」

善子「その研究が…LESを作り出す実験だった」


梨子「LES…?」


善子「あなたたちのことよ」


善子「人間にLES細胞を埋め込んで生まれた化け物、それがLES」

梨子「LES…」

153: 2016/11/19(土) 19:52:45.00 ID:EVq6+6Jr.net
善子「まあ、梨子さんは普通のLESとは違うみたいだけどね。人を食べないんでしょ?」

梨子「どうして、そこまで知って…」

善子「堕天の力!」

梨子「……」


善子「とにかく、黒幕は小原鞠莉よ。千歌さんを助けたいなら小原鞠莉を倒すしかないわね」

梨子「だったら今すぐ…」

善子「それともう一つ。正面からホテルに突っ込んだら勝ち目はない」


善子「あのホテルには人間なんて一人も泊まってないの」

善子「あそこの客は…みんな改造されたLESなんだから」

善子「ホテルなんて名前だけ、実態は化物の巣なのよ」


梨子「それでも…行かなきゃ。千歌ちゃんを助けるために」

善子「…ついて来て」

154: 2016/11/19(土) 19:54:20.62 ID:EVq6+6Jr.net
―――――

ホテル

果南「マルが…やられた?」

トラ怪人「はい、私が駆け付けたときにはもう…」

果南「そんな…マル」

鞠莉「まあいいじゃない。この子が手に入ったんだから」


千歌「うっ…」


鞠莉「この子を餌にすれば…アイツがここに」

鞠莉「あはははは!」


果南(鞠莉…。私は…)

155: 2016/11/19(土) 19:59:02.89 ID:EVq6+6Jr.net
―――――



梨子「これは…」


水上バイク「」


善子「ホテルに正面から乗り込むのは無理。本館にはアリの大群がいるからね」

善子「でも…小原鞠莉のいる別館は海沿いにある」

善子「だったらこれで行くしかないでしょ?」

梨子「…そうだね」


善子「さぁ出発よ!ヨハネの力で、化物なんて退治…」

ドンッ

善子「なっ…、なん…で…っ」フラッ

バタッ


梨子「ごめんね、私一人で行った方が楽だから」

157: 2016/11/19(土) 20:01:31.30 ID:EVq6+6Jr.net
水上バイク「」ガガガガッ

梨子「…行くよ」


ブオォォォォン



……………

梨子(見えた…あれがホテルオハラ)


ドカーン


梨子「!?」

159: 2016/11/19(土) 20:03:06.63 ID:EVq6+6Jr.net
梨子(爆弾が仕掛けてあったんだ…)

梨子「さすがに…簡単には近づけないよね」


ドーン ドカーン

水上バイク「」グラグラ


梨子「っ…」


ドカーン!


ゴボゴボ


梨子(まずい…バイクに穴が!)

梨子「でも…この距離なら!」

梨子「変身!」


ダダダダッ
 

162: 2016/11/19(土) 20:07:05.88 ID:EVq6+6Jr.net
ホテル別館前

バッタ怪人(ここに…千歌ちゃんが)

バッタ怪人(千歌ちゃん、どこにいるの?教えて…)


ドクンドクン


バッタ怪人「!」

バッタ怪人「聞こえた…千歌ちゃんの音楽!」

バッタ怪人(待ってて千歌ちゃん、今助けに…)


バンッ


バッタ怪人「!」

163: 2016/11/19(土) 20:08:52.89 ID:EVq6+6Jr.net
トラ怪人、ライオン怪人「……」


バッタ怪人「待ち伏せ…ね」

バッタ怪人(倒さないと、二人相手でも!)


バッタ怪人「ハァッ!」


ライオン怪人「ヤァア!」ザクッ

トラ怪人「タァア!」ザシュッ


バッタ怪人「くっ…」

バッタ怪人(爪と牙…危ない)

164: 2016/11/19(土) 20:10:17.82 ID:EVq6+6Jr.net
バッタ怪人(でも…隙を突けば!)

バッタ怪人「タァ!」バキィ

トラ怪人「くっ…」


バッタ怪人(今だ!トドメを…)


ライオン怪人「ヤアアァ!」ザザザザッ


バッタ怪人「!?あぶなっ…」

165: 2016/11/19(土) 20:11:15.50 ID:EVq6+6Jr.net
バッタ怪人(すごいコンビネーション。それに…この二人の音楽、もしかして…)


ライオン怪人「ヤァアアア!」

バッタ怪人(って、今はそんなこと考えてる場合じゃない)


ボゴッ


ライオン怪人「うぅっ…」フラッ


バッタ怪人「…キック」バチバチッ

バッタ怪人「ハァアアア!!」


ライオン怪人(や、やられちゃう…!)


トラ怪人「…っ!」ダダダッ


ボゴォォン


バッタ怪人「!」

166: 2016/11/19(土) 20:13:24.00 ID:EVq6+6Jr.net
トラ怪人「きゃああ!!」

バタッ


トラ怪人「…」

ライオン怪人「お姉…ちゃん。どうして…」

ライオン怪人「……」


ライオン怪人「うわぁあああ!!」ダダダダダッ


バッタ怪人「…キック」


ボゴォォンン


ライオン怪人「あっ…うっ」

バタッ


バッタ怪人「うっ…」ガクッ

梨子「先を…急がなきゃ」


スタスタ
 

167: 2016/11/19(土) 20:14:40.11 ID:EVq6+6Jr.net
ライオン怪人「お、お姉…ちゃん」

ルビィ「…ハァハァ」


トラ怪人「……うっ」

ダイヤ「……ル、ビィ」


ダイヤ「ごめんねルビィ、わ、わたくしは少しお昼寝、しま…すわ」

ダイヤ「いつぶり、でしょう…ルビィに、寝顔…を見られ、るなんて」

ダイヤ「いつもは、わたく、しがルビィを、寝かせてあげていたのに」


ルビィ「お姉ちゃん…お姉ちゃん!」

168: 2016/11/19(土) 20:16:36.35 ID:EVq6+6Jr.net
ダイヤ「……」

ダイヤ(ルビィ…泣かないで。私は幸せですわ)

ダイヤ(もう二度と話すことなんてできないと思っていたルビィと、こうして再び話すことができて)

ダイヤ(そして、あなたの腕の中で眠りにつけるなんて)

ダイヤ(こんな幸せなことは…ありま、せん、わ)

ダイヤ「」ドロッ


ドロドロドロドロ


ルビィ「お姉ちゃん……」

ルビィ「うっ!」

ガクッ

ルビィ(ルビィも…もうダメみたい)

169: 2016/11/19(土) 20:18:36.28 ID:EVq6+6Jr.net
ルビィ(氏んじゃったら…どうなるんだろう)

ルビィ(天国に行って、生まれ変われるのかな)

ルビィ(今度生まれ変わるなら、お姉ちゃんと一緒に…)

ルビィ(…ううん、やっぱりいいや)

ルビィ(一緒に生まれ変わったら…お姉ちゃんはお姉ちゃんじゃなくなっちゃうもんね)


ルビィ(ごめんねお姉ちゃん、先に生まれて待っててね)


ルビィ(ちょっとだけ寂しい思いをさせちゃうかもしれないけど…)


ルビィ(ルビィはまた絶対、お姉ちゃんの妹にな…る、か、ら…)


バタッ


ドロドロドロドロ

170: 2016/11/19(土) 20:31:35.21 ID:EVq6+6Jr.net
ホテル内

鞠莉「ダイヤとルビィもやられちゃったんだ」

鞠莉「せっかくLESにしてあげたのに…短い命だったわね~」

果南「……」

鞠莉「果南?」

果南「……」


~~~~

病院

かなん「」

まり「うそ…果南!どうして!目をあけてよ!!」

かなん「」

まり「果南…」


医者「残念ですが…」

まり「うぅっ…果南…」ポロポロ

 

鞠莉父「まだ…その子を助ける方法があるかもしれない」

まり「!」

171: 2016/11/19(土) 20:32:48.41 ID:EVq6+6Jr.net
……………

かなん「うっ…」ムクッ

かなん「ま…り?」

まり「かーなん♪」

かなん「わたしは…」

まり「果南はね、生まれかわったの」

まり「もうだいじょうぶよ」

まり「パパがお金を払ってくれたから。西木野病院に」

かなん「西木野病院……?」

まり「大丈夫よ。何があったって、果南は果南だから」


~~~~~

172: 2016/11/19(土) 20:34:12.28 ID:EVq6+6Jr.net
果南「……」

果南(私は…鞠莉のおかげで生き返った)

果南(だから…鞠莉の言うことは何でも聞くし、鞠莉のやることに文句を言うつもりもない)

果南(だけど…)

果南(あの頃の鞠莉は…もういないの?)

果南(そんなに…完全生命体の力が欲しいの?)


ガンガンッ


鞠莉「…来たみたいね」


扉「」ガッシャーン


梨子「千歌ちゃんを…返して!!」

173: 2016/11/19(土) 20:41:07.94 ID:EVq6+6Jr.net
鞠莉「ようこそ~待ってたのよ~梨子」

梨子「…ふざけないで」

鞠莉「心配しなくてオッケーよ!ちかっちは無事だから」


千歌「…」グッタリ


梨子「千歌ちゃん!」


千歌「り…こ…ちゃ」

梨子「待ってて!今助けるから!」


千歌「…め」

梨子「え?」


千歌「梨子ちゃん!来ちゃダメ!」

174: 2016/11/19(土) 20:42:40.60 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「ち、千歌ちゃん?」


「グオォオオオ!」


梨子「うっ…!?」

梨子(な、なんなのこの感覚…体が勝手に…動…!)


鞠莉「ふふふふふっ!」


梨子「ぐ…あ…っ」ユラユラ

キメラ怪人「グオォオオ!」


梨子(あの…怪人の音楽…)

梨子(私の音と…共鳴してる)


鞠莉「やっぱり…あなたがそうだったのね」

175: 2016/11/19(土) 20:44:09.21 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「小原鞠莉…私に何をしたの!」

梨子「うっ…」ガクッ


鞠莉「何もしてないわよ?むしろマリーに感謝してほしいぐらい」


鞠莉「親子の再会の機会を作ってあげたんだから」


梨子「…どういう…こと」

鞠莉「そこにいるキメラ怪人。ソイツは人類で最初にLESの力に目覚めた」

鞠莉「LES細胞の源、オリジナルのLESなのよ」

鞠莉「まぁ、何回も実験に使ったせいでこんなになっちゃったけど」


キメラ怪人「グワァア」


千歌「ひ、ひどい…」

176: 2016/11/19(土) 20:45:41.10 ID:EVq6+6Jr.net
鞠莉「そして…あなたはその娘」

鞠莉「人間からLESになった果南たちとは違う…LESから生まれたLES。正真正銘のLESが梨子、あなたなの」

鞠莉「モノを食べなくても生きていける、完全生命体の遺伝子を持ってるのがその証拠」

鞠莉「その力…もらうわよ、小原家のために」


キメラ怪人「グワァアアア!!」

梨子「お母……さん?」


千歌「梨子ちゃん!逃げて!」


鞠莉「さぁ梨子!ママと一つになって進化しちゃって!」


キメラ怪人「グワァァ!!」


バクッ

177: 2016/11/19(土) 20:47:26.80 ID:EVq6+6Jr.net
千歌「梨子ちゃん…!」


梨子「……」


ヌルヌルヌルヌル


キメラ怪人「グルルル…」ギュルルル


千歌(梨子ちゃんが…取り込まれてる)


梨子(あったかい…これが、お母さんなんだね…)


ニュルッ


「グヲァアアアア!!」


鞠莉「やった…」


鞠莉「完全生命体…」


鞠莉「メノノリの誕生よー!!」

 

メノノリ「ガァアアアアア!!」

184: 2016/11/19(土) 21:13:19.22 ID:EVq6+6Jr.net
ゴゴゴゴゴゴッ

千歌「地震…?」

果南「…違う!」


アリ怪人軍団「グオォ…」ゾロゾロ


果南「LESが…集まって来てる?」

鞠莉「そうよ!」

鞠莉「メノノリの力で…LESは生まれ変わるの。食事の必要のない完全生命体に!」

鞠莉「果南!もう人を食べなくてもいいんだよ!」

果南「!」

果南(鞠莉、そのために今まで…!)


メノノリ「グワァアアアアア!!」


ガブッ


鞠莉、果南「!?」

186: 2016/11/19(土) 21:15:31.46 ID:EVq6+6Jr.net
千歌「あ、ぁ…」

鞠莉「そんな…どうして」

果南「あのバケモノ…」

 

メノノリ「グッシャァアア」ブチッ

アリ怪人「」

ムシャムシャ

 

果南「LESを食べてるっ…!」



メノノリ「ウガァアアア!!」ブチッ


ブッシャー

187: 2016/11/19(土) 21:17:12.32 ID:EVq6+6Jr.net
鞠莉「うそ…」ガクッ

果南「鞠莉!しっかりして!」

鞠莉「なんで…?そんなはずない…」

 


赤髪(…バカね、モノを食べないLESなんて存在しちゃいけないのよ。女を食べてこそLESなんだから)

赤髪(人を食べるLES、そのLESすらも食べるスーパーLES。生態系の頂点に立つのが完全生命体)

赤髪(そんなこともわからないなんて…あなたももう終わりね)

赤髪(サヨナラ、マリー)

 

メノノリ「グルゥゥ…」


千歌「こ、こっちに向かってきてる…」

鞠莉「……」

果南「っ…!」


「変身!」

189: 2016/11/19(土) 21:21:05.18 ID:EVq6+6Jr.net
サメ怪人「ウリャァアア!!」

サメ怪人(鞠莉に手は出させない…)


メノノリ「グワァ」バチン


ドーン!


果南「うっ…ぁ…」


鞠莉「果南!」


果南「ま…り。逃げ…て」

果南(ダメだ…レベルが違いすぎる)


メノノリ「グリャアア!!」


鞠莉「……」

鞠莉(私は…ただ果南に、果南に笑っていて欲しかっただけなのに…)

鞠莉(果南とずっと、遊んでたかっただけなのに…)

 

グシャ


果南「あ…ぁ…」

190: 2016/11/19(土) 21:23:35.44 ID:EVq6+6Jr.net
メノノリ「グルル…」


千歌「……」

千歌(逃げなきゃ…私も食べられちゃう)

千歌(でも…)

千歌(梨子ちゃん…)


メノノリ「グワァァ」


千歌「私は…」

千歌「逃げない!!」

 

ギュッ

191: 2016/11/19(土) 21:25:24.99 ID:EVq6+6Jr.net
メノノリ「……」

千歌「梨子ちゃんっ…!」ギューッ


果南「…ハァハァ」

果南(動きが…止まった?)

 

千歌「梨子ちゃん…聞いて。私の胸の音を」ギュッ

千歌「思い出して!梨子ちゃんの音楽を!」ギュウゥゥ


ドクンドクン

 


==========


梨子「……!」

192: 2016/11/19(土) 21:28:55.84 ID:EVq6+6Jr.net
マンションの部屋

梨子「ここは…?あれ、私何してたんだっけ…」


「りーこちゃん」


梨子「!」

 

幼女「う゛~~~」

梨子母「あら、眠れないの?」

幼女「うん…」

幼女「おかーさん、いつもの!」

梨子母「しょうがないわねー」

 

梨子「あ、あれは…」

ズキッ

梨子「うっ…頭が…」


梨子「お母さん…と」


りこ「やった!」


梨子「私…?」

193: 2016/11/19(土) 21:30:36.05 ID:EVq6+6Jr.net
りこ「おかーさん!はやくはやく!」

梨子母「はいはい」


梨子母「じゃあ行くわよ」

りこ「うん!」


♪♪~~~~~♪♪

 

梨子(あっ…)

梨子(このピアノの音…)

梨子(そっか。そうだったんだ)

梨子(どうして忘れてたんだろう…)


梨子「……」ウルッ

194: 2016/11/19(土) 21:32:54.34 ID:EVq6+6Jr.net
   
りこ「…ムニャムニャ」

梨子母「あら、もう寝ちゃったの?」

梨子母「そんなに私の演奏がすごかったのかしら?…ふふっ」

 

梨子「…うん、すごかったよお母さん」

梨子「すごいメチャクチャだった」

梨子「テンポは遅れてるし強弱もなくて一本調子。ミスタッチも多すぎて、まるで赤ちゃんが弾いてるみたい」


梨子「でも…」


梨子「大好き」

195: 2016/11/19(土) 21:35:27.85 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「どんな高いピアノの音より、どんな有名な音楽家の演奏より」

梨子「お母さんの弾いたピアノが大好きなの」


梨子「お母さん、私…」

 

梨子母「りこちゃん」ナデナデ

りこ「…スースー」スヤスヤ

梨子母「あなたは…幸せになって」

梨子母「いつまで追手から逃げられるかはわからない」

梨子母「でも大丈夫よ。どんなことがあってもあなたは私が守る」

梨子母「私はずっと戦ってきた…けどホントはね、戦いなんてしたくなかったの」

梨子母「好きなようにピアノを弾いて…そうやって暮らしたかった」

梨子母「あなたは…普通に生きて」

梨子母「音楽をやってほしい。一日中きれいな音を奏でてほしいな…」

 

梨子「お母さん…」


ドーン!


梨子「!」

196: 2016/11/19(土) 21:37:34.75 ID:EVq6+6Jr.net
  
白アリ怪人「グワァァ!!」


梨子母「っ…ここも見つかったの…!」

梨子母「変身!」


 


梨子「お母…さん」


♪♪~~~~~♪♪


「梨子ちゃん!戻ってきて!」


梨子「千歌…ちゃん?」


==========

ホテル


メノノリ「グワァァァ!!」ジタバタ


果南(メ、メノノリが苦しんでる…?)


千歌「梨子ちゃん…梨子ちゃん!」ギュッ

197: 2016/11/19(土) 21:39:15.84 ID:EVq6+6Jr.net
メノノリ「ギャアアアア!!」バキバキバキバキ


千歌「っ……!」ギューー


ピッカーーー


果南(この光は…)

千歌(ま、まぶし…)


「…ごめんね千歌ちゃん」


千歌「……!」

 

梨子「私は…もう大丈夫」


キメラ怪人「……」グタッ


果南(梨子が…メノノリから分離した)

198: 2016/11/19(土) 21:41:47.02 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「……」

千歌「梨子ちゃん、よかった…」

梨子「…ありがとう」

梨子「千歌ちゃんって…お母さんみたいだね」

千歌「どういうこと!?」


梨子「大好き」

梨子「…ってことかな」


千歌「梨子ちゃん…」

 

キメラ怪人「グオォォ…!」ジタバタ


梨子「!」

199: 2016/11/19(土) 21:50:08.91 ID:EVq6+6Jr.net
キメラ怪人「グワァァ!!」バンバン


梨子(お母さん…辛かったんだね)

梨子(ずっと一人で…こんな体になるまで)

梨子(もう…楽になろう?)


梨子「……キック」


バチバチッ


梨子「ハァアアア!!!」


 
バゴォォォン

 

200: 2016/11/19(土) 21:51:35.50 ID:EVq6+6Jr.net
キメラ怪人「ギャアアアァ!!」ジタバタ

キメラ怪人「ガァアア!!」

キメラ怪人「ガッ……」ピクピク


梨子「……」

千歌「梨子ちゃん…」

梨子「千歌ちゃん…」


梨子「…さよなら」


千歌「えっ?」


ダダダダッ ガシッ

バッシャーン!


果南(キメラを連れて…海に飛び込んだ?)

千歌「梨子ちゃん…」

 

千歌「梨子ちゃーん!!」

201: 2016/11/19(土) 21:54:18.10 ID:EVq6+6Jr.net
海中

ゴボゴボゴボゴボ


梨子(体が…沈んでいく)

梨子(…お母さん)ギューッ

キメラ怪人「……」


梨子(…お母さんの音が聞こえる)

梨子(ずっと探してた、ずっと聞きたかった音)

梨子(海の音は…海の音じゃなかった)

梨子(私が…一番初めに聞いた音)


梨子(お母さんの、お腹の中の音だったんだね)

202: 2016/11/19(土) 21:57:01.21 ID:EVq6+6Jr.net
ゴボゴボゴボ


梨子(ねえお母さん。このまま一緒に海の底まで行こう?)

梨子(そして二人でピアノを弾くの!)

梨子(朝も夜も!一日中ずーーっと!)

梨子(きっとすっごく楽しいよ!)

梨子(今まで寂しかったよね。でも、これからはずっと一緒だよ!)

梨子(…だからお母さん)


梨子「このまま…海の底まで」


『…ダメよ梨子ちゃん』


梨子「どうして?」


『あなたは…一人じゃないから』

203: 2016/11/19(土) 21:59:02.35 ID:EVq6+6Jr.net
『私には梨子ちゃんしかいなかった。だからもう何も悔いはないの』

『だけどあなたは違う。いるのよね、大事な人が』


梨子「大事な…人」


『…梨子ちゃん、私たちは化け物よ。この世界に居場所なんてないのかもしれない』

『だけど…あなたは生きて』

『たとえ世界から必要とされてなくても…』


『誰か一人でも、あなたを愛してくれるなら』


梨子「……」


『じゃあね』トンッ


ゴボゴボ

プカプカ

204: 2016/11/19(土) 22:01:44.75 ID:EVq6+6Jr.net
ホテル

千歌「……」

千歌(この下に…梨子ちゃんが)

千歌「行かなきゃ…梨子ちゃんを助けに」

千歌(よしっ、ここから海に飛び込ん……)


ゴボゴボ


バッシャーン!


千歌「……」ビチョビチョ


梨子「……」

梨子「…ごめんね、水かけちゃって」


千歌「梨子…ちゃん」

205: 2016/11/19(土) 22:03:05.18 ID:EVq6+6Jr.net
梨子「…戻ってきちゃった」

千歌「梨子ちゃん、心配したん…」

グキッ

千歌「うっ!」

千歌(安心したら…足が痛くなってきちゃった)


梨子「千歌ちゃん……」

梨子「…乗って」


千歌「で、でも…」


梨子「よっ…と」


千歌「あ…//」

千歌(梨子ちゃんに…おんぶされてる)


梨子「…しっかりつかまっててね」


 

果南「待って」


梨子「……」

206: 2016/11/19(土) 22:05:05.90 ID:EVq6+6Jr.net
果南「ここは…淡島は、西木野病院の実験場の一つでしかない」

果南「東京には…音ノ木坂には梨子だけじゃない、オリジナルのLESがたくさんいるんだ」

果南「ここが潰されたってわかったら…狙われるのは梨子だよ」

果南「奴らが追ってくるんだ。どうせ逃げ場なんかないよ」

 

梨子「……」

梨子「それでも」


梨子「それでも…生きていきたい。千歌ちゃんと一緒に…」


千歌「梨子ちゃん…」


果南「……」


梨子「…じゃあね」


スタスタ


 

207: 2016/11/19(土) 22:18:46.82 ID:EVq6+6Jr.net
果南「……」フラッ

フラフラ


鞠莉「……ハァ、ハァ」

果南「鞠莉…」

果南(手足が潰れて…。これじゃあもう…)


鞠莉「…か、なん」

鞠莉「私を…食べて」

果南「……」

鞠莉「ど、どうせ、氏ぬなら、せ、めて…果南に」

果南「鞠莉…」

210: 2016/11/19(土) 22:20:57.49 ID:EVq6+6Jr.net
~~~~~

海辺

バクバク ムシャムシャ

氏体「」

かなん「……」ガブッ


まり「ハァーイ!かな~ん!」

かなん「…見ないで」

まり「なに?どうしたの?」

かなん「見ないでって言ったの…」


かなん「わたし…人を食べてるんだよ!」


まり「…だから?」

211: 2016/11/19(土) 22:22:35.42 ID:EVq6+6Jr.net
かなん「だから…わたしはバケモノなんだよ!」

まり「だから?」

かなん「だから…その」


まり「……」

まり「…ごめん果南」

まり「わたしが…わたしが果南をそんな体にさせたの」

かなん「…なんで?なんでこんなことしたの!?」

かなん「怪物になるぐらいだったら…氏んだ方がよかったのに!」


ギュッ


かなん「!」

212: 2016/11/19(土) 22:24:20.82 ID:EVq6+6Jr.net
まり「それでも…果南と一緒にいたかったの」

まり「ごめん…ごめんね果南。お願い、わたしのこと嫌いにならないで」

まり「わたしは…果南が大好きだから」

まり「どんな姿になっても…果南は果南だから」


かなん「鞠莉…」

かなん「…嫌いになんかなるわけない」

かなん「私も…だよ」

かなん「私も鞠莉のこと…」

まり「果南…」

213: 2016/11/19(土) 22:26:43.72 ID:EVq6+6Jr.net
まり「でも果南、一つだけ約束してほしいの」

かなん「…なに?」


まり「マリーのことは食べちゃダメ☆」


かなん「はぁ?」

まり「だって果南は人を食べるから。お腹空いたらマリーを食べようとするかもしれないし…」

かなん「食べないよ!」

まり「ホント~?」

かなん「ホントだよ!私だって我慢できないわけじゃないし…」

214: 2016/11/19(土) 22:28:07.65 ID:EVq6+6Jr.net
まり「ん~怪しい。そうやってマリーを油断させるつもりなんじゃないのー?」

かなん「だから違うって!」

まり「まぁ、果南の気持ちもわかるけど」


まり「マリーの!オイシソウなこのボディ!」バイン


まり「に見とれちゃったんでしょ?」


かなん「……」


まり「……果南?」


かなん「鞠莉…」

かなん「あんまりからかうと…」


かなん「食べちゃうぞー!」


まり「キャー!食べられちゃう♡」

215: 2016/11/19(土) 22:29:39.87 ID:EVq6+6Jr.net
まり「こっちよかなーん!」

かなん「まてー!」

まり「またないー!」


タタタタッ


かなん「ふふっ…」

まり「あははっ!」


 

~~~~~

鞠莉「か、な、ん」

鞠莉「まりー、を、た、べ、て」


果南「…できないよ」


ポロポロ


果南「できないよ…鞠莉」


ギュッ
 

216: 2016/11/19(土) 22:35:06.73 ID:EVq6+6Jr.net
――――――――――

テクテク


千歌「……り、梨子ちゃん」

梨子「……」

千歌「もう降ろしていいよ。おんぶしてたら重くない…?」

梨子「…重くないよ」

梨子「それに…こうしてると音が聞こえるから。千歌ちゃんの心の音が」

千歌「梨子ちゃん…」


ギュッ


千歌(…聞こえる。梨子ちゃんの背中から、梨子ちゃんの音楽が…)

千歌(きれいな音で…気持ちよくて、眠くなってきて…)


千歌「って寝ちゃダメ!」

梨子「えっ?」

千歌「な、なんでもない!//」

217: 2016/11/19(土) 22:36:19.94 ID:EVq6+6Jr.net
テクテク


千歌「……」

千歌「…ねえ梨子ちゃん」

梨子「なに?」

千歌「これから…どこに行くの?」

梨子「…わからない」

千歌「そう…なんだ」

千歌「……」

千歌「また…海の音を聞きに行くの?」

梨子「ううん、海はいいや。もう聞こえたから」


梨子「今度は…月の音が聞きたい」

218: 2016/11/19(土) 22:38:08.12 ID:EVq6+6Jr.net
千歌「月?」

梨子「うん、お月さま。すごくきれいだったんだ、夜の海に映るお月さまが」

千歌「月の音…かぁ。どこで聞けるんだろう…?」

梨子「わからない…歩いて行けるかな?」

千歌「月まで!?無理だよ!」

梨子「そっか…そうだよね」

梨子「でも…」
 


梨子「行こっか。行けるところまで」


キラキラ キラキラ


梨子「あの光を目指して――


千歌「…うん!」


テクテク テクテク


 


おわり

220: 2016/11/19(土) 22:39:52.24 ID:EVq6+6Jr.net
もう言われてるけどファイズとキバとアマゾンズとZOと、あと海の底のピアノが元ネタです

224: 2016/11/19(土) 22:46:19.17 ID:EVq6+6Jr.net
続き書くとしたら曜主役にすると思う

225: 2016/11/19(土) 22:56:17.74 ID:+QDUX0TF.net

ライダーっぽいもの悲しい話で読みやすかった
続くなら期待

235: 2016/11/19(土) 23:21:41.17 ID:0f2M3MpO.net
|c||;.- ;||普通に感動しましたわ

236: 2016/11/19(土) 23:23:30.02 ID:nrh3GZVA.net
乙乙乙
溢れる平成一期感が心地良いSSだった

引用: 梨子「変身」