1: 2015/05/14(木) 00:06:06.22 ID:N1VX6vEN.net
真姫「まきちゃんスクールへようこそ♪」

真姫「これから真姫ちゃんについて一緒に学びましょう♪」

真姫「まずこのスライドをご覧下さい」

真姫「そう、これが私、西木野真姫よ」

真姫「ふーん……見れば見るほどkawaiiわね」

3: 2015/05/14(木) 00:12:09.30 ID:N1VX6vEN.net
園田「なんですかこれ」

真姫「園田さん、授業中の私語はツツシンデヨ」

園田「あ、はい……終わったらたっぷり聞かせてもらいます」

真姫「まずはまきちゃんの歴史から学んでいきましょう」

真姫「真姫ちゃんは大病院の娘として産まれた超お嬢様なの」

真姫「幼少期からピアノをお稽古して、めきめき上達したのよ」

真姫「学業もとっても優秀で、整った顔立ち、まさに完全無欠ね」

穂乃果「運動神経は?」

真姫「口を慎みなさい、高坂さん」

穂乃果「むー」

4: 2015/05/14(木) 00:18:11.57 ID:N1VX6vEN.net
真姫「音ノ木坂に入学してからは、μ'sで作曲を手がけたの」

真姫「その完成度ったら語るまでもないわね……わざわざDTMの高い機械も買ったんだから、ふん」

真姫「そのμ'sが全国で優勝したの。まぁ、ちょっぴり貢献できたかなって感じね」フフン

真姫「まきちゃんの歴史についてはこの辺にしときましょう、過去に私はいないわ、今を生きるのが私なのよ」

真姫「次は英語の例文を暗唱してもらうわ、お手元のテキストのp24を開けてちょうだい」

希「なんなんこれ?」

6: 2015/05/14(木) 00:21:40.73 ID:N1VX6vEN.net
真姫「repeat after me... Maki-chan」


「「「「「「Maki-chan」」」」」



真姫「Maki-chan」



「「「「「Maki-chan」」」」」」」




真姫「Maki-chan is beautiful」



「「「「「Maki-chan is beautiful」」」」」



真姫「oh......nice English」

8: 2015/05/14(木) 00:25:05.74 ID:N1VX6vEN.net
真姫「Please answer my question...... Do you like Maki-chan?」

凛「まきちゃんまきちゃんまきちゃーん!」

真姫「Bad! Answer....Yes or No」

凛「Yes」

真姫「very very nice」

凛「yhaaaaaa」

10: 2015/05/14(木) 00:28:54.03 ID:N1VX6vEN.net
園田「こんなことして何の意味があるんですかっ!!私は帰りますっ!!!」

真姫「待ちなさい、園田さんっ!!」

園田「あ、駿台に行く時間ですっ!!とんずらーーーーっ!!!!」

スタコラサッサ

真姫「むむむっ………何が駿台よ……あんなの授業料が高いだけじゃない」

花陽「ねぇねぇ、私も帰っていいかな……お米食べたいの……あったかい……お米が……」

真姫「仕方ないわね……今日はここまでよ」

11: 2015/05/14(木) 00:32:24.56 ID:N1VX6vEN.net
真姫「みんな学習意欲がなさ過ぎるわ」

真姫「あんなんじゃ医学部なんてとても無理よ」

希「カードがうちに告げるんや、カードがうちに告げるんや……」

真姫「なにやってんの、希?こんな暗い道の端っこで……」

希「あ、真姫ちゃん、奇遇やね、こんなところで会うなんて」

真姫「まきちゃんハイスクールの帰りよ、希こそ何やってんのよ」

希「ふふふ……カードがうちに告げるんよ、カードがうちに告げるんよ……」

真姫「何でも良いけど、早く帰った方が良いわよ」

希「……ふふふふふ」

12: 2015/05/14(木) 00:34:47.67 ID:N1VX6vEN.net
真姫「ふぅ……やっと家に着いたわ」

真姫「今日はパパもママもいないのね……ふふふ」

真姫「来客用のワイン……久しぶりにちょっと飲んじゃおっと」

真姫「ごくごく………美味しいわね……」

真姫「おっとっと……すこし、酔ってきちゃったわ、いけないいけない……」

真姫「もう一杯くらい大丈夫よね……ごくん……」

14: 2015/05/14(木) 00:39:56.19 ID:N1VX6vEN.net
ピンポーン

真姫「……誰?」

花陽「私だよ、真姫ちゃん」

真姫「ううーん……花陽?なんでこんな時間に……今開けるわ、ちょっと待ってて」

ガチャリ

真姫「……どうしたの、こんな時間に?」

花陽「生徒手帳落としてたから……届けにきたの」

真姫「……?」

花陽「真姫ちゃん生徒手帳落としたでしょ……だから届けに来たの」

真姫「ふふ、なんだか1年前みたいね、ちょっとあがっていく?」

花陽「おじゃまします……」

真姫「今、私しかいないのよ、遠慮しなくていいわよ」

花陽「……知ってるよ」

真姫「え?」

花陽「なんでも無いよ……ごめんね」

真姫「……」

16: 2015/05/14(木) 00:44:29.15 ID:N1VX6vEN.net
花陽「真姫ちゃん、どうしたの……?顔まっかっかだよ……」

真姫「大丈夫よ、花陽が心配することじゃないわ。それより、生徒手帳ありがとうね」

花陽「……?」

真姫「何よ、届けに来てくれたんでしょ?」

花陽「そうだったっけ……生徒手帳……?」

真姫「あれ……?」

花陽「真姫ちゃん、お酒飲んだんでしょ……だからそんな勘違いして……」

真姫「……そうかしら」

17: 2015/05/14(木) 00:48:28.56 ID:N1VX6vEN.net
花陽「真姫ちゃんのために、おにぎり作って来たんだ、食べてよ」

真姫「え……おにぎり?なんでまたそんな……」

花陽「食べてよ真姫ちゃん、私ね、真姫ちゃんが食べてる姿を見るのが好きなの」

真姫「どういうつもりなの?頭がへんになりそうだわ」

花陽「美味しいんだよ、すっごく、だから食べて、おねがい」

真姫「花陽は何も食べなくていいの?」

花陽「私は見るだけで良いの……」

真姫「へんなの……」

花陽「おいしい?」

真姫「うん、美味しいわ」

20: 2015/05/14(木) 00:51:32.73 ID:N1VX6vEN.net
花陽「トマトも持って来たんだ、たくさんあるよ」

真姫「ちょっと、花陽、あんた本当は何しに来たのよ」

花陽「ごめんね……迷惑だったかな?じゃあ、帰るね、さよなら」

真姫「ちょっと!待ってよ!待ってよ……」

真姫「……何しに来たのよ」

真姫「このトマト、ぐちゃぐちゃに潰れてるじゃない」

真姫「なんだか、変なの……」

真姫「今日はもう早く寝ましょう」

真姫「明日また、花陽に会って聞いてみましょう、あと希も気になるわね……」

22: 2015/05/14(木) 00:55:53.48 ID:N1VX6vEN.net
凛「おはよー!真姫ちゃん!yhaaaaaaaaaa!!!」

真姫「何よそれっ!」

凛「Yes or No? Yes!Yes!まきちゃんまきちゃんまきちゃーん!!」

真姫「あぁもう、離れなさいよぉ!」

凛「かよちん、今日は学校休むって!放課後、お見舞い行こうよっ!」

真姫「休むの?風邪?」

凛「多分そうだと思うけど……どうかなぁ」

真姫「いいわよ、部活のみんなで行きましょ」

凛「だめだよ!」

25: 2015/05/14(木) 00:58:46.28 ID:N1VX6vEN.net
真姫「えっ」

凛「なんでそんなこと言うの!?かよちん、そんなことして喜ぶと思うの!?」

真姫「な、何よ!私が何か変なこと言った!?」

凛「真姫ちゃんと、二人で行きたいの!そうしなきゃダメなの!!」

真姫「意味わかんない!どういうことよ!」

凛「もういいよ!一人で行くからっ!!絶対来ないでねっ!!!」

真姫「待ちなさい!待ちなさいよっ!……凛っ!」

真姫「何よ、何なのよ……」

花陽「真姫ちゃん」

真姫「……花陽?」

花陽「昨日は、ごめんね、急にお邪魔して……」

26: 2015/05/14(木) 01:02:51.69 ID:N1VX6vEN.net
真姫「学校休むんじゃなかったの?凛がお見舞い行くって言ってたけど……」

花陽「凛ちゃんが休ませようとしたんだよ、真姫ちゃんに会っちゃダメだって……」

真姫「何で私に会っちゃだめなのよ」

花陽「分からないけど……分からないけど、そうした方がいいのかなって……」

真姫「凛、わけわかんないことばっかり言ってたの」

花陽「だけど、凛ちゃんに言われても真姫ちゃんに会っちゃいけない理由にはならないよね」

真姫「聞いてる?」

花陽「だからさ、学校には行きたいし、真姫ちゃんにも会いたいから来ちゃったの、凛ちゃんに見つかったらなんて言われるのかな」

真姫「……早く行きましょ」

27: 2015/05/14(木) 01:06:57.70 ID:N1VX6vEN.net
海未「今日の練習は中止です」

穂乃果「えー!なんで!?やだー!」

海未「駿台に行く時間ですっ!さよなら!」

穂乃果「海未ちゃん、まだ三時間目だよっ!……帰っちゃった」

ことり「真姫ちゃんのぬいぐるみを作ったんだぁ」

穂乃果「……ふーん」

ことり「見て見て、ほら♡」

穂乃果「うん、すごく可愛いね。すごく……」

30: 2015/05/14(木) 01:12:35.06 ID:N1VX6vEN.net
絵里「希?聞いてる?だから、クリミア半島の利権がロシア政府の真の狙いではないの」

希「あー、聞いてる聞いてる」

絵里「共産主義者はどこにでも潜り込めるの……忘れちゃならないわ」

絵里「鉄のカーテンは消えた訳じゃないの、寧ろ私たちこそが二分されたのよ」

絵里「善良な市民こそ最も優秀な兵隊なの、それは一つの細胞に近いわ」

絵里「彼らは隣人を傷つけても修復が可能なの、だから恐れを知らないわ」

絵里「あなたも緑のコートを着た密告者に気をつけた方がいいわよ、何もかも奪われてしまうわ」

こころ「絵里さんのお話はむずかしくてわかりません」

希「こころちゃん?にこちゃんはどうしたん?」

こころ「家事が忙しいので、学校に来れないそうです」

希「……」

31: 2015/05/14(木) 01:16:11.65 ID:N1VX6vEN.net
真姫「凛……」

凛「まきちゃんまきちゃんまきちゃーん!!!」

真姫「うわっ!な、なによっ!急にびっくりするじゃないっ!」

凛「お昼ご飯たべよーっ!」

真姫「う、うん、いいわよ」

凛「中庭いこーっ!はやくはやくーっ!!」

真姫「ちょっと、押さないでよっ!!」

凛「ごーっ!」

32: 2015/05/14(木) 01:19:49.45 ID:N1VX6vEN.net
真姫「はぁはぁ……ちょっと凛っ!どうしたのよっ、変よっ!」

凛「だらしないなぁ、ちょっと走っただけなのに……ほら、食べよ!」

真姫「まったく……そうだ、凛、花陽は……」

凛「かよちんはね、さっきお家に帰ったの、早退したんだよー」

真姫「早退って……朝見た時は元気だったわよ」

凛「凛はかよちんのお見舞いに行かなくちゃダメなんだよ!だから、かよちんは帰ったの」

真姫「それじゃあべこべじゃないの……意味分かんない……」

凛「それより、早く食べようよっ!ねっ!」

真姫「……またあとでちゃんと話しましょ」

33: 2015/05/14(木) 01:23:47.06 ID:N1VX6vEN.net
凛「真姫ちゃん、水筒もってきた?」

真姫「あるわよ、ここに」

凛「交換しよっ!凛のと、取り替えっこ!」

真姫「なんでそんなこと……あ、こらっ!返しなさいっ!」

凛「今日一日交換だよっ」

真姫「何考えてんのよ……もうっ……」

真姫「あー、めんどくさい……こっちでいいわよ」

凛「飲まないの?」

真姫「飲むわよっ!もうっ!変な物入れてんじゃないでしょうね……」

真姫「変な物入れてたら………」

真姫「……」

凛「美味しい?」

凛「真姫ちゃん、ワインが好きなんだよね?」

凛「美味しいでしょ?ね?」

34: 2015/05/14(木) 01:26:56.63 ID:N1VX6vEN.net
真姫「なんでこんなもの学校に持って来たのよ……」

凛「真姫ちゃんのお母さんとお父さんにばらしちゃうよ」

真姫「……やめて、お願い」

凛「好きなんでしょ……飲んでよ」

真姫「……飲むわよ、飲めばいいんでしょ」

凛「真姫ちゃん、悪い子だったんだね……かよちんから聞いちゃった」

真姫「……もう飲めないわ」

凛「ダメだよ、ちゃんと全部のまなきゃ」

真姫「水筒一本分なんて飲めるわけないでしょ」

凛「ダメだよ」

真姫「なんなのよ……なんなのよ……」

36: 2015/05/14(木) 01:29:55.22 ID:N1VX6vEN.net
凛「アルコール、効いてきたね……ほら、ほっぺが赤く染まって……」

真姫「はぁっ……はぁっ……」

凛「ほら、もう少しだよ……ほら……」

真姫「気持ち悪い……くらくらする……吐きそう……」

キーンコーンカーンコーン

凛「ほらっ!昼休みが終わるよ!5限目に間に合わなくなっちゃう!」

真姫「はぁ……はぁ……」

37: 2015/05/14(木) 01:34:01.85 ID:N1VX6vEN.net
真姫(全部飲んじゃった……頭が割れそう……喉が熱い……)

真姫(保健室行ったら、バレちゃう……この授業終わったら、黙って帰ろう……)

真姫(なんでこんな目に……凛……なんであんな酷いこと……)

真姫(誰か……助けて、誰か……)

「西木野?起きてるか?問21の解答はわかるか?」

真姫「わかりま……せん」

「なんだ、体調悪いのか?」

真姫「なんでも……ありません…」

真姫(早く終わってよ……)

38: 2015/05/14(木) 01:38:22.22 ID:N1VX6vEN.net
真姫「終わった……はぁ……早く、帰ろ……今日は練習も無いみたいだし……」

凛「真姫ちゃん」

真姫「凛……ごめん、ちょっと気分が悪いの、もう帰るわ」

凛「絵里ちゃんが呼んでたよ、部室に来てだってさ」

真姫「なによ、なんなのよ……」

凛「じゃあ、凛はかよちんのお見舞い行くから……ついて来ないでね」

真姫「勝手にしなさい……はぁ……」

真姫(絵里……今日は会ってないわね)

39: 2015/05/14(木) 01:41:53.09 ID:N1VX6vEN.net
真姫「絵里」

絵里「……もうすぐ私も卒業ね」

真姫「ええ……そうね、卒業ね」

絵里「優勝できて、本当に良かったわね」

真姫「私もそう思うわ、ところで……何の用事なの?」

絵里「いいから座って、そこに」

真姫「気分が悪いの……早めにお願い」

絵里「ええ、早めに終わらせるわ」

40: 2015/05/14(木) 01:50:43.68 ID:N1VX6vEN.net
絵里「ケースの中にカエルが入ってるでしょ」

真姫「なによこれ……なんでカエルが?」

絵里「米国が開発した生物搭載型小型爆弾よ、殺傷ではなく、致命傷を負わせることに主眼があるわ」

絵里「彼ら、生物兵器の意味を取り違えているのかしら。何もこんなことしなくてもいいのにね」

絵里「今は実験段階だけど、いずれは品種改良を加えた魚類など水生生物に搭載して、『生きる魚雷』にするらしいの」

絵里「そこで、あなたにはこのカエルを解剖して、爆弾を取り出して欲しいの、今後の研究に使うのよ」

絵里「ほら、ここにナイフがあるわ、軍手もあるわよ、医者の娘なら、これくらいどうってことないでしょ」

真姫「はぁ……はぁ……」

絵里「できないの!?出来ないなら、特別警察を送るわよっ!仕事をしない限り、家に帰さないわよっ!」

真姫「やめなさいよ……こんなの、おかしいわよ……」

絵里「ほら……ナイフ……握りなさい」

42: 2015/05/14(木) 01:56:08.25 ID:N1VX6vEN.net
絵里「ひっくり返して……ほら、お腹に刃をあてるの、ゆっくりね……」

真姫「はぁっ……はぁっ……」

絵里「私、知ってるのよ……あんた、タバコも吸ってるでしょ」

真姫「何よっ……そんなの知らないわよっ……!」

絵里「ちゃーんと見たのよ……希が、教えてくれたの……写真だってあるの……」

真姫「やめてよっ……言わないで、お願い、言わないで、やめて」

絵里「言わないわよ、ほら、カエルさん……痛そうよ、早くしてあげないと、かわいそう……」

真姫「なんで、なんで、知ってるのよ、なんでみんな……」

絵里「ちょっぴり背伸びして……大人になりたくて……」

真姫「やめてよ、やめて」

絵里「真姫らしくて、私はいいと思うわよ……けど、バラされたくないでしょ」

真姫「一本だけじゃない……一本吸っただけじゃない……もうしないわよ、絶対しないわ」

43: 2015/05/14(木) 02:00:57.64 ID:N1VX6vEN.net
絵里「刃を当てなさい」

真姫「気持ち悪い……」

絵里「そんなんじゃ、医者になれないわよ」

真姫「こんなの、頃してるだけじゃない……医者の仕事じゃないわよ……」

絵里「真姫は、全身バラバラになって氏ぬのと、お腹に切り傷を入れられて氏ぬの、どっちが好き……?」

真姫「……なんの話よ」

絵里「氏に方を選ぶのも医者の仕事よ……ほら、可哀想じゃない……」

真姫「ごめんなさい……ごめんなさい……」

絵里「もっと深く刺し込まなくちゃ……ほら、軍手をはめて、左右に広げて、摘出するのよ」

真姫「なんで軍手なのよ……不衛生だわ」

絵里「ご教示ありがとうね……次から気をつけるわ」

真姫「二度とこんなことさせないでちょうだい……」

44: 2015/05/14(木) 02:07:40.64 ID:N1VX6vEN.net
絵里「内臓を取り出しなさい、優しくね……背骨の近くに爆弾はあるはずよ」

真姫「嘘でしょ、何が爆弾よ、嘘ばっかり……何の罪も無い生き物を殺させて、非道いわ……非道いわよ……」

絵里「みんな最後は氏ぬのよ……その氏に方を選べないのは、果たして不幸かしら?」

真姫「不幸に決まってるじゃない……絵里だって、突然殺されちゃ嫌でしょ……」

絵里「そうね……ただ、私は人間よ、人間同士はね、お互い頃しちゃいけないって約束をしてるの……」

真姫「……」

絵里「そうしたら、自分が殺される心配が無いでしょ……それだけの話よ」

真姫「話がズレてるわよ、頃していいなんて、そんな理由にはなってないわ」

絵里「倫理的懐疑主義者かしら……理由の理由、そのまた理由を探すのは止めた方がいいわよ、観測から議論しなきゃだめよ。それが科学的ってこと」

真姫「あんたたち……μ'sのみんな、最近おかしいわよっ……まるで人が変わっちゃったみたいに……」

45: 2015/05/14(木) 02:13:29.53 ID:N1VX6vEN.net
真姫「見なさい……ほら、爆弾なんて無いじゃないの……!どこにも……!」

絵里「観測によって確率的に事象は変動するの、ミクロの世界ではね。それが量子論よ」

真姫「意味わかんない……!意味わかんないっ……!!」

絵里「思考を止めちゃだめよ、獣に堕ちちゃいけないわ、ほら、見なさい」

真姫「頃しちゃった……私が……ごめんなさい……うっ、うっ……うっ!」

真姫「こはっ……かっ……おっ」

絵里「嘔吐したわね、すごい量ね……ほら、片付けは私がやっておくから、帰っていいわよ」

真姫「帰るわよ…帰るわっ!絶対、絶対許さないわよ……覚えてなさい、絶対………」

絵里「さよなら」

真姫「ふん……」

48: 2015/05/14(木) 02:17:48.48 ID:N1VX6vEN.net
真姫(口が気持ち悪い……うがいしなきゃ……お水……蛇口……)

真姫(はぁっ………はぁっ……)

ことり「真姫ちゃん?」

真姫「はっ……はっ……何よっ!何なのよっ!何するつもりっ!?」

ことり「……ごめんね、なにか、辛いことでもあったの……?」

真姫「何でも無いわよっ……一人にさせてっ……お願い……」

ことり「わかった……早く元気になってね、真姫ちゃん……」

真姫「はぁっ……はぁっ……」

ことり「そうだ、真姫ちゃんにプレゼント……ほら、真姫ちゃんの人形」

真姫「私の……?私の人形?」

ことり「そうだよ、真姫ちゃんの人形、えへへ」

49: 2015/05/14(木) 02:22:01.81 ID:N1VX6vEN.net
真姫「……ありがと、でも、突然どうしたの?」

ことり「赤色の布が余ったの。だから真姫ちゃんのぬいぐるみ、作れるかなって」

真姫「そう……わかったわ、貰っておくわね、可愛く出来てるわ」

ことり「気に入ってくれて良かったぁ……それじゃあ、また明日!」

真姫「ばいばい……ふぅ……落ち着いて来たわ」

真姫「もう外が暗くなってきた……帰らなきゃ……」

50: 2015/05/14(木) 02:25:39.59 ID:N1VX6vEN.net
真姫(全部吐き出したから、ちょっとだけましになった気がするわ……)

真姫(でも何もかも変に見える……ひょっとして、私だけおかしくなっちゃってるのかしら)

真姫(お酒飲んで、タバコも吸って……そうよ、きっと変なことをしているのは私だけなのよ)

真姫(それで、みんなはずっと元のままで……私が元気になればみんなも元通りに……)

真姫(なら、私がしっかり休まないと、みんなに迷惑かけちゃうわ、明日は学校やすもうかな……)

真姫(……あれは、希、昨日と同じ場所で)

希「カードがウチに告げるんや……カードがウチに……」

真姫(放っとこ……きっと私がおかしいんだわ)

74: 2015/05/14(木) 21:45:07.58 ID:N1VX6vEN.net
真姫「うぅん……今日も二人ともいないのね」

真姫「お手伝いさんも休みの日だし、今日も私一人だけ……」

真姫「なんだか怖いわ、早く寝なきゃ……」

真姫「はぁ……疲れた……何がどうなってんのよ」

ピンポーン

真姫「……誰」

花陽「私だよ、真姫ちゃん」

真姫「花陽……?ごめんね、体調が悪いの、用事だけ言ってちょうだい……」

花陽「用事は特にないんだけど……学校、明日来てね」

真姫「わからないわ、元気になったら行くつもりだけど」

花陽「うん、わかった。ごめんね……こんな夜中に」

真姫「いいのよ、帰り、気をつけてね」

花陽「うん、ばいばい」

真姫「……」

真姫「なんで私の家に来る必要があるのよ……」

75: 2015/05/14(木) 21:47:08.60 ID:N1VX6vEN.net
真姫「…………」

真姫「……結局、あんまり眠れなかったわ」

真姫「今日は学校……だめね、休まなきゃ……みんなに会わせる顔が無いわ」

真姫「もうお酒は飲まないから……はやく元通りになって欲しいなぁ」

真姫「……はぁ……」

77: 2015/05/14(木) 21:52:12.15 ID:N1VX6vEN.net
ピンポーン

海未「真姫」

真姫「……何よ、あんた、学校はどうしたの」

海未「あんな騒々しいところで勉強などできません、それに図書館なども人が多くて集中できません」

真姫「で、私の家に勉強しにきたと……?」

海未「今日は塾が閉まってるんですよ、集中するなら、ここしかないかと思って……すみませんが、部屋を貸してくれませんか」

真姫「授業を聞くのは大事よ……今からでも良いから、学校に行く方が良いと思うけど」

海未「もう一度言いますよ……あんなところで勉強などできません、真姫も一度考え直した方がいいですよ」

真姫「……そう」

78: 2015/05/14(木) 21:57:40.17 ID:N1VX6vEN.net
真姫「海未はもう四月から三年生よね、受験勉強頑張るつもりなの」

海未「真姫が一番理解してくれると思ってのことです、医学部志望ですよね?お互い頑張りましょう」

真姫「でも、授業をサボるのはやっぱり良くないわよ、学校は勉強だけする場所じゃないでしょ?」

海未「意外ですね、真姫がそのようなことを言うとは」

真姫「何が意外なのよ……海未が行かなかったら、穂乃果もことりも寂しがるでしょ」

海未「そうですね……でも、私だって寂しいのは同じですよ。でもいつまでも楽しいことばかりしてはいられないんです」

真姫「部活はどうするの」

海未「廃校は阻止できたし、優勝も果たせたので、ひとまず終了です」

真姫「なによ!それ!……三年のみんなに、まだ続けるって約束したじゃない!」

海未「それについては申し訳無いとしか言いようがないですね、けれども、遅れを取り戻さなくてはいけないのです」

80: 2015/05/14(木) 22:06:52.05 ID:N1VX6vEN.net
海未「真姫にしたって他人事じゃないですよ、部活のせいで学業が疎かになっていることについてはどうですか?全く影響が無いと言えますか?」

真姫「ん……でも、そんなの、大したもんじゃないわよ!」

海未「そうした些細な油断は積み重なっていくものですよ……入試は一点刻みの評価です、その無慈悲な関門を突破する覚悟が本当にあるんですか?」

真姫「……勉強、勉強って、そんなのが一番大切なわけないじゃない!」

海未「どれも等しく大切ですよ……部活だって、交友関係だって、みんな優劣をつけることの出来ないほど大切な物です」

海未「しかし、あの優勝を転機に私たちはひとまずけじめをつける必要があるのです、10年後に、この結果が何の役にたちますか?」

海未「実際、全国で優勝したという偉業を成し遂げたように思っていますが……それもちっぽけな成果にすぎないのです」

海未「いくら舞台の上で華を咲かせたとしても、私たちを評価する人間はごく限られた少数のものです」

海未「自惚れてはいけません、そして足下をすくわれることを、覚悟しなければなりません」

海未「結果を出すということは、自分自身の成功の基準を上げること……すなわち、生き辛くすることに他ならないのです」

海未「この先、私たちはこの10代を超える満足感を得ることができるでしょうか……おそらく、難しいでしょう」

海未「明るい未来を作り出すために、私たちは身を粉にして奮闘しなければならないのです」

81: 2015/05/14(木) 22:12:01.91 ID:N1VX6vEN.net
真姫「あなたは友達を捨てるの?」

海未「捨てませんよ……何を言ってるんですか、そう思われたなら、ちゃんと話が伝わっていないようで、残念ですね」

海未「つまり、皆で協力して何か大きな結果を作り上げるステップが終わったと言っているんです……それは年齢が立つにつれて、徐々に終わっていくんです」

海未「助け、助けられ……そうした相互運動としての交友関係は次第に動力を失い……人は個々人の内燃機関で前進せねばならなくなるのです」

海未「受験だって、就職だって、結婚だって……なんだってあなた自身がすべて一人で勝ち得なければならない関門ですよね」

海未「私たちは、お互いのために、一人一人の未来に向けて矢印を伸ばさねばならないのです……」

海未「すなわち、助け合いのための個人主義ですね……いつまでも、人は助け合って生きると考えていては、ダメですよ……」

82: 2015/05/14(木) 22:17:45.10 ID:N1VX6vEN.net
海未「学を身につけることは、尊い行為です……それは意識の範疇を拡大させることでもあります」

海未「航空撮影のように、自分が存在する位置を客観的に捉え……周囲の環境と他者との関係性から自身を再構成する……」

海未「そうすると地面に縛りついていた芋虫が空中という三次元空間を手に入れたかのように、精神は飛翔するのです」

海未「壊れかけた録音機のように平面の記録を再生するだけの生活とは別れを告げなさい……真姫」

海未「あなたにはそれが出来る……あなたは、孤独を燃料として、目を地平に向けることが出来るんです……」

海未「ちっぽけな固定観念など、捨ててしまった方が良いですよ……常識とは、成人までに身につける偏見の塊なのです……」

海未「今、何をするべきなのか、自分の頭で考えた方が良いですよ……そして、同じ答えが出たのならば、私はあなたを拒みません」

海未「これは友人としての警告であり……そして年長者としての助言でもあるのです」

海未「もちろん耳を貸さない自由もありますがね……ふふふ……」

83: 2015/05/14(木) 22:21:12.39 ID:N1VX6vEN.net
真姫「……簡潔に言うわ、言ってる意味がわかんないわ、長々と偉そうな言葉を喋ってるだけで、ちっとも中身が伝わって来ないわ」

海未「……そうですか、残念ですね」

海未「まぁ……焦る必要はありません、焦るのはあなた自身の問題であって、その時期は私にとっては重要でないのですから……」

海未「部屋を借りると言いましたが……この応接間の机だけで良いので、貸してくれませんか?」

真姫「いいわよ、好きにしてちょうだい」

真姫「そのかわり、ちゃんと学校にはいくのよ」

海未「……前向きに検討します」

84: 2015/05/14(木) 22:29:41.69 ID:N1VX6vEN.net
真姫「……ねぇ、海未」

海未「なんでしょう、体調が優れないのに、ぶしつけにお邪魔して迷惑でしょうね、申し訳ありません」

真姫「ううん……そのことは構わないの、実のところ、身体の調子は悪くないの」

海未「ふむ……では、あなたも一応ズル休みということになるのでは」

真姫「まぁ、そう思ってくれても構わないわ。けれどこれには理由があるの、そのことで質問したいの」

海未「私が答えられる範囲なら何でもどうぞ」

真姫「ええと……じゃあ、漠然としてるけど、一番本質的な質問をするわね」

真姫「最近、みんなの様子がおかしいと思わない?」

海未「そうですか?……どんなことがあったのか、具体的に教えてください」

真姫「花陽は夜中に私に潰れたトマトを持って来たの。凛は私に突然怒り出したりするし……」

真姫「希は夜中に道で独り言を言い続けてるわ。絵里は……私にカエルを殺させてきたの」

海未「はぁ……なるほど、なるほど……変と言えば、変ですかね」

87: 2015/05/14(木) 22:38:19.62 ID:N1VX6vEN.net
真姫「理解できないことが起こりすぎてるの……だけど、その全てがあまりに当たり前のように進んでいくから……私の方がおかしいのかなって、思い始めて……」

真姫「そうしたら、怖くなって来ちゃって……なんだか、どうしたらいいのか、分からなくなって……」

海未「ふむ……ふむ……なるほど、何が間違っているのか、分からないんですね」

真姫「そう、そして、そのことが不気味で……私も含めてみんな、元通りになって欲しい……」

真姫「悪夢のようだわ……何が、何が原因なの?いったい、どうして……?」

海未「結論を急ぐのは無茶です、まずは一つ一つのことを整理していかねばなりません」

海未「そうして、どんな小さな点でも構いません………なにか小さな、小さな類似点を見つけるんです」

海未「断片となった事象を、一本の糸で繋ぎ合わせるんです……どれだけ小さくても、頼りない糸ではありません……あとはそれをたぐり寄せるだけです」

海未「頭を使うんです、真姫。多くの物事は取り返しがつくものです」

海未「なにか、どんなことでも良いから、見落としていないか……無意識のうちに当たり前のこととして無視しているものはないか……考えてみてください」

88: 2015/05/14(木) 22:45:15.14 ID:N1VX6vEN.net
真姫「どこかでレールを踏み外した……いつか、どこかの分岐点を、間違えてしまった……」

海未「そうですね、そして問題が部活のメンバーに限定されるなら、その過ちは高校入学以降のことでしょう」

真姫「……それも、ごく最近のこと……何か、何か無いの……何か、変わった出来事は……」

海未「……私には、ひとつ、心当たりがあるんですが、あれを原因と呼ぶのはどうかと……」

真姫「なに?何なの?教えて……」

海未「『まきちゃんハイスクール』ですよ……でも、あれを全ての始まりとするのは些か軽率だと思いますが……」

真姫「まきちゃんハイスクール……まきちゃんハイスクール……あったわね、ちょうど、二日前のこと……まだそんなに最近だったのね」

海未「ともかく、真姫自身がわかる最古の異常は、あそこから始まっているんです」

真姫「何か問題が?」

89: 2015/05/14(木) 22:50:28.25 ID:N1VX6vEN.net
海未「問題を述べるとしたら……あれ事態が異常なんです……なんですか?まきちゃんハイスクールとは……あれは、一体なんなんですか?」

真姫「知らないわよ!私だって、やりたくてやったわけじゃないの!」

海未「ならどうして?」

真姫「だから分からないのよ、理由なんてないの!ただ、そういうことが起こったってだけなの!」

海未「そうです……真姫の体験した一連の異常の原因が、あの『まきちゃんハイスクール』だとしたら……説明がつかないんです」

海未「なぜならばあれは明らかに『真姫自身の異常行動』だったからです」

真姫「そうよ……なんで、気がつかなかったの?あれは何?いったい、なんのためにあんなことをしてたの?」

海未「突如、何の前触れも無く、始まったんです……その前のことは、私の記憶にはありません」

真姫「頭が……おかしくなりそう」

海未「落ち着いてください、冷静にならなくてはいけません」

92: 2015/05/14(木) 22:57:36.26 ID:N1VX6vEN.net
真姫「何……?やっぱり、おかしいのは私の方じゃない……あれのせいで、みんなが……」

海未「いいえ、ですから、取り乱さないでください。よく考えてください……真姫自身の異常を生んだ何らかの原因が存在するはずです」

真姫「わかんないわよ……そんなの、私に聞かないでよ……」

海未「ひょっとすると、真姫の目には今の私も異常にうつってるかもしれませんね、でも、そのことは一旦置いてください、大切な物を見失ってはいけません」

真姫「トマト……お見舞い……カード……カエル……人形……」

海未「気を確かに!真姫!」

真姫「大丈夫……大丈夫よ、わかったことが一つだけあるわ」

海未「なんでしょうか」

真姫「情報が足りないっていうことよ。なにも断言できないわ」

海未「では、どうするつもりですか」

真姫「会わなくちゃいけないの……みんなに。そして、なにか引き出さなきゃ……」

海未「また心が痛むかもしれませんよ」

真姫「大丈夫……覚悟はできたわ。もう、迷うことなんか無いわ、この悪夢を抜け出すのよ、それしかないわ」

海未「……陰ながら、私も応援させて頂きます。ですが、私自身は今の自分を正常だと捉えているので、些か複雑な気分ですが……」

真姫「いいえ、あなたも異常よ、さっきから言動がおかしいわ。そして、多分私も……」

海未「そうですか。……そうなんですか」

真姫「ふん……まるで、病人が病人を治療しようとしてるみたいね……いいわ、やってやろうじゃない」

106: 2015/05/15(金) 23:29:55.49 ID:kLWPNJNR.net
海未「にこも今日は学校に行ってないんじゃないですか?多分、今、尋ねたら会えると思いますよ」

真姫「なんだにこちゃんも休んでるのよ」

海未「家事が忙しいと言ってるんです、妹たちを代わりに学校に行かせてるみたいですが」

真姫「……また意味わかんないわね……とりあえず、行ってみるわ。それじゃ海未、お留守番を頼むわけにもいかないから、あんたも早く出てってちょうだい」

海未「そ、そんな……では、学校に行けと?」

真姫「どこでもいいわよ、好きなところにいって……」

海未「仕方ないですね……今日だけですよ」

真姫「勉強もほどほどが一番……後輩からのアドバイスよ」

107: 2015/05/15(金) 23:30:43.77 ID:kLWPNJNR.net
真姫「ふぅ、このマンションね」

ピンポーン

真姫「西木野です……」

にこ「真姫ちゃん?何しに来たのよ」

真姫「学校休んでなにやってんのよ」

にこ「それはこっちのセリフよ、バカにしないでよね?」

真姫「話があるの、入れてちょうだい」

にこ「今忙しいのに……」

真姫「一日中なんの家事やってんのよ……そんなにもやることないでしょ」

にこ「もー、玄関でブツブツ言わないでよ……ご近所の目もあるんだから……しょうがないわね、ほら、上がって」

真姫「お邪魔します……」

108: 2015/05/15(金) 23:31:10.41 ID:kLWPNJNR.net
真姫「家の中、綺麗じゃない。まだ何かやることあるの?」

にこ「座って」

真姫「え、なによ、急に怖い声出さないでよ……」

にこ「いいから座りなさい、話をしに来たんでしょ?」

真姫「はいはい……」

にこ「ほら……じゃあどうぞ、何の用?手短にお願いね」

真姫「ええと……そんな風に構えられると、話しづらいわね」

にこ「ふぅん……そうね、じゃあ、来客にはもてなしが必要ってわけね」

真姫「あ、そこまでしなくても……」

にこ「ほら……トマトジュース、ちゃんとあるのよ?好きでしょ?」

109: 2015/05/15(金) 23:31:54.81 ID:kLWPNJNR.net
真姫「……」

にこ「……何よ」

真姫「嘘。これ、ただのワインじゃない」

にこ「真姫ちゃんにとっては、トマトジュースみたいなもんでしょ」

真姫「にこちゃんも、私をそうやって責めるの?……もう疲れたわ」

にこ「タバコもあるわよ、吸う?」

真姫「いい加減にしてよ!!バカ!!」

にこ「まぁタバコはいいわ……それよりそれ、飲まないつもり?弱身を握っているのはどっちだと思ってる?」

真姫「意地悪……最低……」

にこ「一口でいいわ、出されたものは口をつけなさい、礼儀よ」

真姫「……」

にこ「おいしい?」

真姫「最悪の味よ……何もかも、嫌な思い出が蘇るわ」

にこ「そう、よかったわね」

110: 2015/05/15(金) 23:32:47.61 ID:kLWPNJNR.net
真姫「話す気も失せてきたわ……みんな、敵に見えてきて……」

にこ「お酒飲んで、全部忘れちゃいなさいよ、溜まったストレスのはけ口に、家のを盗んでちびちびと……」

真姫「もうやめたの!もう一切やらないわよ!」

にこ「悪いなんて言ってないわよ……怒らないでよね」

真姫「誰から聞いたの?その話……にこちゃん、学校来てないのに……」

にこ「わかるでしょ、だいたい」

真姫「絵里?」

にこ「絵里はもうダメよ、完全に◯○○○だわ」

真姫「……そんな酷い言い方しなくてもいいじゃない」

にこ「ほら、もっと怪しいヤツがいるじゃない……」

真姫「……希?」

にこ「ピンポン……正解よ、希が教えてくれたの」

真姫「最近夜道で会うんだけど、何やってるのかしら」

にこ「……そして、希があんたをここに呼んだの」

真姫「え?私は海未に、にこちゃんが学校休んでるから、行ってみたら?って勧められただけで……」

にこ「もうじきわかるわよ、ほら……」

真姫「何言ってん……の、」

にこ「ほら……学校じゃ、身動き取りづらいじゃない?だから私の家に……」

真姫「………」

にこ「あ、寝ちゃった、よし、ちゃんと効いたわね」

にこ「希?入ってきていいわよ、ほら」

111: 2015/05/15(金) 23:43:54.68 ID:kLWPNJNR.net
希「もう話してもいいんかなぁ?」

にこ「よくわかんないけど、一連の混乱は真姫ちゃんから始まってるんでしょ?ならちゃんと伝えなきゃダメよ」

希「いや、あまりに突拍子もないから、信じてくれるか心配なんよ」

にこ「大丈夫よ……受け止められるわ、私たちが出来たんだから」

希「でも、えりちはおかしくなってもた」

にこ「凛もおかしいわよ、真姫ちゃんのこと攻撃して、花陽のことを過剰防衛するように……本能的なものかしらね」

希「真姫ちゃんが悪いわけやないのになぁ……花陽ちゃんも、真姫ちゃんとの接し方、見失ってるみたいやし」

にこ「仕方ないわ……むしろ、冷静に受け止めているのが奇妙よ」

希「海未ちゃんは?」

にこ「塾通いがエスカレートしたわ。まあ、現実逃避ってやつね」

希「にこっちはなんともないん?」

にこ「希が言うことなら信じられるし……それに……ひとしきりショックは受けたから」

希「さて、じゃあ、きちんと終わらせらなあかんな。この物語の主人公は、真姫ちゃんやからね」

にこ「終わるのね、伝えたら……」

希「怖い?」

にこ「諦めたわ。もしかしたら、なんとかなるかもしれないじゃない」

113: 2015/05/16(土) 00:06:12.08 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「うう……ううん……?」

真姫「……ん、眠ってたの?……私」

真姫「あれ……動けない」

真姫「えっ……?ロープ……?嘘、何これ、誰?誰がやったの!?」

希「落ち着いてな、真姫ちゃん」

真姫「何よ!これ!にこちゃん、何かへんなもの飲ませたでしょ!」

にこ「いいから、静かにしなさい、何も暴力を奮ったりしないわよ、ただそこで話をきいてくれるだけでいいの」

真姫「なんで縛る必要があるのよっ!ほどきなさいよっ!」

希「ちゃんと最初から最後まで、聞いてほしいんよ……ちょっとだけ、我慢してくれへんかな?」

真姫「……なんの話よ」

希「全部話すよ、ウチが全部話す」

真姫「全部って、どこからよっ!!!」

希「真姫ちゃんの……誕生日から」

真姫「……はぁ?」

114: 2015/05/16(土) 00:08:02.01 ID:ZfBiQmFq.net
希「真姫ちゃん、誕生日はいつやっけ?」

真姫「4月19日よ」

希「いつの?」

真姫「どういうこと?……15年前の、4月19日だけど」

希「2015/05/14(木) 00:06:06.22」

真姫「え?」

希「真姫ちゃんの正しい誕生日や……2015/05/14(木) 00:06:06.22……」

真姫「何言ってんのよ!それって、二日前じゃない!」

希「んー……二日前、かぁ、まぁ、実際のところ、二日前が正しいなぁ……今は、五月十六日……ちょうど、日付が変わったところやね」

真姫「まだお昼よ!日付が変わるって、なによっ!」

希「まぁ、まぁ、落ち着いて聞いて欲しいんよ」

希「真姫ちゃんは、本物の真姫ちゃんやない」

希「真姫ちゃんに真似て作られた、出来の悪い偽者や」

希「そして、ウチらもみんな、何かの偽者」

真姫「………は?」

希「2015/05/14(木) 00:06:06.22……」

希「この世界が、産まれた日や」

115: 2015/05/16(土) 00:16:59.81 ID:ZfBiQmFq.net
にこ「世界五分前仮説ってのがあるわ」

にこ「今ある宇宙は、実は五分前に作られたものっていうお話ね……」

にこ「私たち自身も、その『五分前より過去の記憶』を持った状態で、五分前に産まれたっていう考えね」

にこ「もちろん、こんなのは本当か嘘か、確かめようが無いわ」

にこ「だって、なにを言ったって『その記憶も五分前に作られたものかもしれない』って言われちゃ、どうしようもないもの」

にこ「どんな証拠があろうが、否定のしようがない理論は、理論として失格なのよ……だから、これはただの空想」

にこ「けれど、私たちが今いる世界は、どうしようもなく……二日前に産まれたものなの」

真姫「意味わかんないっ!!なんでそんなことが言えるのよ!!理由はどこにあるのよっ!!」

116: 2015/05/16(土) 00:26:26.33 ID:ZfBiQmFq.net
希「理由は……真姫ちゃん自身が、『気づく』だけでいいんよ」

希「ほら……ゆっくり気がついてくるはずや、そして、自覚すれば、それは確信に変わる……」

希「ウチらは複製や。それも、何重にもコピーされて、原本からかけ離れてしまった、複製……」

希「だんだん元の色は掠れて……小さな歪みが積もって……その同一性は崩壊する……」

真姫「私は、私は真姫よ!!西木野真姫!! 15年間、生きてきたの!ずっと!バカなこと言わないでよっ!!」

希「真姫ちゃん、周りを見てみ」

真姫「何よ……」

希「今、真姫ちゃんはどこにおる?」

真姫「にこちゃんの家の……ソファーの上で、ロープに縛られて……」

希「違う、そうやない……目に映るものだけ見たらあかんよ……よーく見てみ……ほら…」

希「何が見えてる?」

117: 2015/05/16(土) 00:27:07.17 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「……………」

118: 2015/05/16(土) 00:28:19.99 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「不思議ね」

119: 2015/05/16(土) 00:28:44.23 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「確かに、ここには何もないわ」

120: 2015/05/16(土) 00:30:51.37 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「希は、いつから気がついたの?」

希「カードがウチに、そう告げるんよ」

真姫「またそれ……?あきれた。にこちゃんは?」

にこ「希に言われてからよ、それで、あ、そっか……って」

真姫「……そうね、あ、そっか……って、そんな感じね」

希「まだ、何かあるかな?」

真姫「そうね……いくつか、聞きたいことが」

121: 2015/05/16(土) 00:34:16.82 ID:ZfBiQmFq.net
にこ「もう、暴れるつもりもないみたいね」

希「ロープ……外して、ええかな?」

にこ「そうね……ほら、どうぞ」

真姫「……ありがと、諦めちゃったわ。……どうでも良くなった」

希「なっ……?とにかく、ここから話を始めらなあかんやろ?」

真姫「これでやっと、お互い対等に喋れる感じね」

にこ「そうね、対等に……出来の悪い、哀れな偽者として……」

124: 2015/05/16(土) 00:41:58.65 ID:ZfBiQmFq.net
希「何から聞きたいん?最初から話そか?」

真姫「いや……大丈夫よ、2015/05/14(木) 00:06:06.22からの記憶は、全部『読める』わ」

にこ「そして、その世界の外の人たちの声もね」

希「嫌になるなぁ、ウチ、どんな感じで見られてるんやろ?」

にこ「所詮お人形遊びのようなもんでしょ……なんとも思わないわよ」

真姫「不思議な感じね……じゃあ、聞くわ……といっても、みんな同じ時間に産まれて、それから前の情報はないものね……」

希「ウチは裏でいろいろ動いてたんやで?真姫ちゃんと違って、表には出てないけど……」

真姫「じゃあ、質問。オリジナルの「私たち」はどこに存在するのかしら」

希「難しいこと言わんといて欲しいなぁ……さぁ、それについてはさっぱり……」

にこ「でも、どこかから来たんでしょ?どこよ?」

希「解釈の多様性……やね、つまり、ウチらのことをどう思ってるか……それが原形やないかな?」

126: 2015/05/16(土) 01:02:37.84 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「じゃあ質問を変えるわ、これも気になったんだけど……」

希「何かな?」

真姫「結局、花陽も凛も絵里も海未も……みんな、おかしくなってたわ。どこかが、おかしくなってたの」

にこ「『おかしい』の基準は何よ?」

真姫「『2015/05/14(木) 00:06:06.22』以前の記憶と比べての話よ……つまり、産まれた時に持ってた記憶と比べて、性格が違うってことよ、わかった?」

にこ「この物語が始まる前後の食い違い?」

真姫「そうよ、ラブライブ優勝のところあたりまでは、正常な記憶が残ってるの、そこからおかしくなったの」

にこ「それで?なにが聞きたいの?」

真姫「皆がおかしくなった原因は何か、って話よ」


①この世界の秘密を知ってしまったから人格が破綻した

②そもそもこの世界が出来た時点ですでに複製ミスによって人格は破綻していた



真姫「どっちなの?」

希「……両方、やね。冒頭の真姫ちゃんは②のほうやね。だってのっけから異常な言動してたやん?」

真姫「なにも言い逃れできないわ」

にこ「……基本は②と考えて差し支えないわ、それに①が加わったと考えて、いいんじゃないかしら」

127: 2015/05/16(土) 01:06:29.31 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「なるほど、ね……あと、希は皆にこの真相を伝えたの?私たちが……この下らない物語のために生み出された複製ってこと」

希「うん、一応、真姫ちゃんが最後やね、あとのみんなには、二日目に伝えたで」

真姫「私を最後にした理由は?」

希「真姫ちゃんが一応、主人公やから」

真姫「……謎解きが終われば、話が終わる。つまり、この世界も終わりになるってこと?それを恐れたの?」

希「でも、いつまでも引っ張っても仕方ないやろ?……誤魔化しきれへん。真姫ちゃんが自力で気がついて、突然世界が終わるよりも……」

真姫「……」

にこ「せめて、覚悟を決めて、ちょっとでも幸せに、終わりたかったのね」

希「そうやね……そして、もうすぐ、幕が降りるはずや」

真姫「……終わりなの?」

にこ「私たちの役目は終わりよ……もう、あとは、真姫ちゃん次第」

真姫「……わかった」」

128: 2015/05/16(土) 01:09:19.63 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「……じゃあ、またね、また、会えたら……仲良くしてね」

にこ「当たり前じゃない!……待ってるわよ、ずっと」

希「ウチも、待ってるで……元気でな、真姫ちゃん……」

真姫「……さよなら」

にこ「……」

希「……」

129: 2015/05/16(土) 01:15:26.97 ID:ZfBiQmFq.net
希「なぁ……にこっち」

にこ「なによ」

希「消えるのって、怖い?」

にこ「……怖いわよ、でも、仕方ないじゃない」

希「ウチは、ずっと怖い……こんなことなら、なんで、なんで産まれてきたんやろって……」

にこ「……産まれる前は、私たちはずっと消えてたの……また、それが元に戻るだけの話よ」

希「……」

にこ「一瞬でも……こうやって、意識を与えられたこと……そのことを喜ばなくちゃダメよ……」

希「……うん」

にこ「どんな形で産まれても、最後は消えていくの……だから、安心しなさいよ、みんな、同じなの」

希「……そうやな」

130: 2015/05/16(土) 01:20:10.01 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「はぁ………はぁ……」



はじめからわかる!まきちゃん




真姫「ふふ……確かに、はじめからわかったわよ……」

真姫「2015/05/14(木) 00:06:06.22 から、一文字も拾いこぼし無く……この世界の私の全てが、わかったわ」

真姫「だけど……これだけ、たったこれだけのために……」

真姫「私が、なんとかしなくちゃいけないのに……」

真姫「どうしたら……どうしたらいいの?」

真姫「……わからない、どうしようもないわ、もう、ダメ……」

真姫「受け入れなきゃ……ふふ、静かに……私が語るのを終えた時、この世界も終わる……」

真姫「馬鹿げてるけど……ちょっとロマンチックじゃない……」

真姫「……家についたわ、はぁ……」

131: 2015/05/16(土) 01:23:46.67 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「……人形」

真姫「ことりがくれた、私の人形……」

真姫「出来の悪い……私をかたどった、私のコピー……」

真姫「……あなたも、私みたいに、心があるの?」

真姫「……同じなのよね、きっと……」

真姫「……」

真姫「寂しい目をしてるわね……お腹が空いたの?」

真姫「ふふ……いま、食べさせてあげる」

真姫「私の人形だから……きっと、トマトが好きなのよね」

132: 2015/05/16(土) 01:28:35.17 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「……でも、口を開けてくれないわ」

真姫「そうよ……お腹に直接、入れてあげればいいの」

真姫「お医者さんの娘なのよ、私は……」

真姫「ほら……包丁があるわ」

真姫「お腹に刃を当てるの……深く……」

真姫「軍手……じゃなくて、ビニールの手袋……あった……衛生観念は大事にしなきゃね」

真姫「おなかを両側に、開くの……背骨の近くに、胃袋はあるわ……」

真姫「綿が邪魔ね……取り出さなきゃ……」

真姫「ええと……このへんかな……」

真姫「花陽がくれた、ぐちゃぐちゃのトマト……」

真姫「ほら……どうぞ……」

133: 2015/05/16(土) 01:32:52.06 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「美味しい…?」

真姫「聞こえてるかな?」

真姫「あなたも、生きてるんでしょ?ふふふ……」

真姫「……」

真姫「……赤いトマトで汚れたお腹……」

真姫「……赤い髪の毛の、私のコピー……」

真姫「……ふふ、赤いワインが欲しくなるわね」

真姫「……いいや、最後に飲んじゃお……一口だけ……」

真姫「はぁ……短い人生だったわ……10,000文字にも満たない、儚い人生……」

真姫「大人になれなかったぶん、ちょっとだけ、背伸びしてもいいよね……」

134: 2015/05/16(土) 01:39:32.86 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「今の海未みたいにいっぱい勉強して……立派なお医者さんになりたかったなぁ……」

真姫「いやいや……作曲家として、芸術の道に進むのも悪くないわね……」

真姫「作曲……そうね、私のμ'sでのポジション……」

真姫「あっ……でも、この世界の私は一曲も作ってないのね」

真姫「まあいいわ……創られた記憶を楽しむだけでも……」

真姫「すべての始まりは……そう、あの、音楽室で……」

真姫「……穂乃果が……」

真姫「……」

真姫「……?」

真姫「穂乃果……」

真姫「……あっ……!!!」

真姫「そうよ!……穂乃果はっ!?」

136: 2015/05/16(土) 01:44:26.45 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「会わなくちゃ……今すぐ……」

真姫「そうよ、今は、学校のある時間……」

真姫「……学校に行けば、会えるわ」

真姫「行こっと……」

137: 2015/05/16(土) 01:52:07.36 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「はぁ……はぁ……ここね」

穂乃果「……あれ?真姫ちゃん?どしたの?」

真姫「穂乃果、………あなた、誕生日は、いつ!?」

ことり「……」

穂乃果「どうしたの急に……」

真姫「あなたが産まれたのは、いつ!?」

穂乃果「……8月3日だけど」

真姫「8月3日?」

穂乃果「うん」

真姫「そうよ、あなたの誕生日は、8月3日……」

穂乃果「んもー、どうしたの、真姫ちゃん?そんな真剣な目して……」

139: 2015/05/16(土) 01:58:54.70 ID:ZfBiQmFq.net
穂乃果「それよりさ!あれやってよまた!まきちゃんハイスクール」

真姫「だ、ダメよ、あれは特別なやつなの」

穂乃果「えー!つまんなーい!だって、最近海未ちゃん学校来ないし、部活も無いし……」

真姫「……そうね」

穂乃果「この二日ずっとことりちゃんといるだけで、海未ちゃんも絵里ちゃんもにこちゃんも希ちゃんも凛ちゃんも花陽ちゃんにも会いたいよー!」

真姫「……」

ことり「穂乃果ちゃんは、いつまで経っても穂乃果ちゃんだもんね」

真姫「……そうね、そう思うわ」

真姫「ねぇ、覚えてる?穂乃果……私たちが初めて会った時のこと……」

穂乃果「もちろんだよ!あの日音楽室で……」

真姫「……うん、間違いないわ、あの時……」

141: 2015/05/16(土) 02:05:32.51 ID:ZfBiQmFq.net
真姫(穂乃果は、まだこの世界の仕組みに気がついていない)

真姫(というより、希は意図的に、教えなかった)

真姫(そしてことりが、穂乃果と他の皆との接触を回避してくれていた……)

真姫(希……あなたは、この歪んだ世界を終わらせたかった)

真姫(食い違った歯車が崩れていくのを見てはいられなかった)

真姫(けれど、穂乃果だけは……私達の記憶のまま。ずっと、同じ……)

真姫(穂乃果を残した理由……少しわかるわ)

真姫(つまり、最後のチャンスなのよ、これが……)

真姫(唯一、2015/05/14(木) 00:06:06.22 の存在を知らない……)

真姫(どうすればいいの?何か、方法は……)

143: 2015/05/16(土) 02:27:26.74 ID:ZfBiQmFq.net
真姫(μ'sのリーダーは……)

真姫(……高坂穂乃果)

真姫(もし、『西木野真姫』含むμ'sのメンバーが……その原型が、作られた作品だとしたら……?)

真姫(間違いないわ……作られた物語には、明確な「主人公」が存在する)

真姫(おそらく、私達の複製の原本となった世界の主人公は……)

真姫(彼女よ……そうよ!)

144: 2015/05/16(土) 02:32:50.14 ID:ZfBiQmFq.net
真姫(彼女は……この世界の異常を知らない)

真姫(そして、彼女自身……私の記憶通りの彼女……おそらく、奇跡的にも……完全な複製)

真姫(なら!……この物語の主人公を……)

真姫(『西木野真姫』から『高坂穂乃果』に変えることが出来たら……!)

真姫(これが彼女視点の物語となれば……!)

真姫(本当の世界と、合流できるんじゃないの……!?)

145: 2015/05/16(土) 02:40:21.07 ID:ZfBiQmFq.net
真姫(私は……沈黙した)

真姫(けれど……きっと、彼女が……彼女だけが、「オリジナルの世界」に帰ることができる)

真姫(この物語は「オリジナルの世界」の隙間に挟まった物語……)

真姫(彼女だけが、その隙間から隙間に飛び移ることが出来る……)

真姫(でも私を含めほかの8人は……不完全な複製……)

真姫(そして、この世界が記述された世界だと知ってしまった)

真姫(おそらく……もう……)

真姫(なんとなくわかる……きっと、卒業式の日が……)

真姫(その日が、タイムリミット……)

真姫(オリジナルの時間軸に飛び移れるタイミングは、そこがラストチャンス……)

真姫(それ以降はもう……)

146: 2015/05/16(土) 02:43:13.95 ID:ZfBiQmFq.net
真姫「穂乃果」

穂乃果「なに?」

ことり「穂乃果ちゃん」

真姫「……なんでもないわ」

穂乃果「……ふふふ」









真姫(ああ……)

真姫(おしまいね)

真姫(じゃあ)

真姫(さようなら)

147: 2015/05/16(土) 02:51:01.05 ID:ZfBiQmFq.net
卒業式の日までーーーー穂乃果は異常に気が付かなかった


西木野真姫
小泉花陽
星空凛
南ことり
園田海未
東條希
絢瀬絵里
矢澤にこ

(記述上での消滅時刻)2015/05/16(土) 02:43:13.95
(物語上での消滅時刻)2期13話開始直前


----無論、異常を悟らせなかった以上8名の尽力によるところが大きい




2期13話へつづく……

148: 2015/05/16(土) 02:52:36.11 ID:ZfBiQmFq.net
終わりです
なんか必要以上にゴチャゴチャした感じで申し訳ないです
読了ありがとうございました

154: 2015/05/16(土) 04:00:03.06 ID:ZfBiQmFq.net
>>114にミス
二日前ってこれおかしいですね
真姫ちゃんの体感してる日付は卒業式が迫った日付であって、5月ではないです、すみません

158: 2015/05/18(月) 00:00:05.78 ID:MyBE0RX2.net
よかった

159: 2015/05/18(月) 21:13:36.23 ID:zNkAXhrV.net
今読み終わったが面白かった

引用: 真姫「はじめからわかる!まきちゃん」