1: 2015/05/29(金) 23:21:16.12 ID:rNTW2e5K.net
うみりん
短め
じりじりじり、と、初夏の日差しが照りつける。
ちょっとお散歩してたら、買い物帰りの海未ちゃんとばったり。
「夏が近付いてるって感じがしますね」
太陽の眩しさに目を細めながら、海未ちゃんはそう呟く。
『夏が近付いてる』って、何だか詩的で、海未ちゃんらしい表現だ。
短め
じりじりじり、と、初夏の日差しが照りつける。
ちょっとお散歩してたら、買い物帰りの海未ちゃんとばったり。
「夏が近付いてるって感じがしますね」
太陽の眩しさに目を細めながら、海未ちゃんはそう呟く。
『夏が近付いてる』って、何だか詩的で、海未ちゃんらしい表現だ。
2: 2015/05/29(金) 23:21:47.01 ID:rNTW2e5K.net
「凛は、夏が似合いますよね」
それ、よく言われるんだよね。なんでだろ?
「活発で明るいからでしょうね。夏の暑さにも負けないパワーを持ってますから」
くすり、と笑う海未ちゃんの後ろの太陽が眩しくて、思わず目を逸らす。
「私は好きですよ、夏。活気に溢れてますし、早朝の冷たい空気の美味しさは格別です」
…凛は早起き出来ないから、その空気は分からないなぁ…
「1度夏に早起きしてみて下さい。すごく気持ちいいんですよ」
海未ちゃんがそこまで言うなら、ちょっと早起き頑張っちゃおうかなぁ。
「…それに、寝過ぎは良くないです」
…すいません。
それ、よく言われるんだよね。なんでだろ?
「活発で明るいからでしょうね。夏の暑さにも負けないパワーを持ってますから」
くすり、と笑う海未ちゃんの後ろの太陽が眩しくて、思わず目を逸らす。
「私は好きですよ、夏。活気に溢れてますし、早朝の冷たい空気の美味しさは格別です」
…凛は早起き出来ないから、その空気は分からないなぁ…
「1度夏に早起きしてみて下さい。すごく気持ちいいんですよ」
海未ちゃんがそこまで言うなら、ちょっと早起き頑張っちゃおうかなぁ。
「…それに、寝過ぎは良くないです」
…すいません。
3: 2015/05/29(金) 23:22:13.66 ID:rNTW2e5K.net
でも、凛も夏は好きだよ。海で泳げるし!
「え?私ですか?」
その『うみ』じゃないよ!
「ふふ、すみません、冗談です」
もう。海未ちゃんって普段冗談言わないから、冗談なのか本気なのか分からないよ。
「夏に食べるアイスも格別ですよね」
そうそう!あっつーい時に食べるアイスって、なんであんなに美味しいんだろう。
…なんだか、アイス食べたくなってきちゃった。
「え?私ですか?」
その『うみ』じゃないよ!
「ふふ、すみません、冗談です」
もう。海未ちゃんって普段冗談言わないから、冗談なのか本気なのか分からないよ。
「夏に食べるアイスも格別ですよね」
そうそう!あっつーい時に食べるアイスって、なんであんなに美味しいんだろう。
…なんだか、アイス食べたくなってきちゃった。
4: 2015/05/29(金) 23:23:13.83 ID:rNTW2e5K.net
「アイスですか…そうだ、凛、これからうちに来ませんか?」
「良いものがあるんです」
『良いもの』って、なんだろう?アイスかな?行く行く!
:
:
「ちょっと座って待ってて下さいね」
海未ちゃん家の広いお座敷にひとり、ぽつんと座る。
…相変わらず凄い家だなぁ…
「お待たせしました」
襖を開けてお座敷に入ってきた海未ちゃんの手には…
…かき氷機?
「良いものがあるんです」
『良いもの』って、なんだろう?アイスかな?行く行く!
:
:
「ちょっと座って待ってて下さいね」
海未ちゃん家の広いお座敷にひとり、ぽつんと座る。
…相変わらず凄い家だなぁ…
「お待たせしました」
襖を開けてお座敷に入ってきた海未ちゃんの手には…
…かき氷機?
5: 2015/05/29(金) 23:23:21.50 ID:rNTW2e5K.net
しかも、安っぽいのじゃなくて、喫茶店とかにありそうなレトロで本格的なやつ。
「そうです。先日、掃除をしていたら出てきたんです」
「アイスとは違いますが、良かったら一緒に食べませんか?」
…海未ちゃん、何言ってんの?
凛の言う『アイス』には、かき氷も含まれてるんだにゃー!
「ふふふ、それは良かったです。氷も持ってきますね」
:
:
「よいしょっと…これで準備完了です」
透明が涼しい器に、銀のスプーン。
いちごとメロンのシロップに、練乳。
そして、大きい氷の塊。
「そうです。先日、掃除をしていたら出てきたんです」
「アイスとは違いますが、良かったら一緒に食べませんか?」
…海未ちゃん、何言ってんの?
凛の言う『アイス』には、かき氷も含まれてるんだにゃー!
「ふふふ、それは良かったです。氷も持ってきますね」
:
:
「よいしょっと…これで準備完了です」
透明が涼しい器に、銀のスプーン。
いちごとメロンのシロップに、練乳。
そして、大きい氷の塊。
6: 2015/05/29(金) 23:24:34.50 ID:rNTW2e5K.net
…つい先日かき氷機が出てきた割には、準備が良すぎない?
「…実は、これを見つけた時からかき氷が食べたくて。今日は、シロップや氷を買いに行ってたんです」
そうなんだ。まだ夏じゃないけど、今日は暑いから、フライングしちゃっても良いよね。
「じゃあ、凛、削りますか?」
やったー!昔から、かき氷機でかき氷を作ってみたかったんだよね。
かき氷機の横に付いているハンドルを回すと、ガリガリと音を立てて、氷が削られていく。
削られた氷は雪みたいな白いふわふわになって、透明な器に山を作った。
「…実は、これを見つけた時からかき氷が食べたくて。今日は、シロップや氷を買いに行ってたんです」
そうなんだ。まだ夏じゃないけど、今日は暑いから、フライングしちゃっても良いよね。
「じゃあ、凛、削りますか?」
やったー!昔から、かき氷機でかき氷を作ってみたかったんだよね。
かき氷機の横に付いているハンドルを回すと、ガリガリと音を立てて、氷が削られていく。
削られた氷は雪みたいな白いふわふわになって、透明な器に山を作った。
7: 2015/05/29(金) 23:24:58.97 ID:rNTW2e5K.net
「季節はずれの雪みたいですね」
夏になる前にかき氷を作ってるのも季節はずれだしね。
:
:
机の上に2つ並んだ白い雪山に、色付け、もとい、味付け。
凛はメロンで、海未ちゃんはいちごのシロップ。
その上からまた、白い練乳でデコレーション。
「さあ、いただきましょう」
こんな季節にかき氷を食べるのって、初めてかも。
夏になる前にかき氷を作ってるのも季節はずれだしね。
:
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机の上に2つ並んだ白い雪山に、色付け、もとい、味付け。
凛はメロンで、海未ちゃんはいちごのシロップ。
その上からまた、白い練乳でデコレーション。
「さあ、いただきましょう」
こんな季節にかき氷を食べるのって、初めてかも。
8: 2015/05/29(金) 23:26:17.90 ID:rNTW2e5K.net
綺麗な山を崩すのは気がひけるけど、はやくしないと溶けちゃう。
雪山にスプーンを入れる度に、さく、さく、と小気味の良い音が耳に楽しい。
かき氷を頬張ると、ふわふわが一瞬で溶けて、冷たさとメロンの味が口いっぱいに広がる。
「うん、美味しいです」
「……っ!」
突然眉間に皺を寄せる海未ちゃん。
「キーンときました…」
あはは、海未ちゃんの弱点発見しちゃった。
雪山にスプーンを入れる度に、さく、さく、と小気味の良い音が耳に楽しい。
かき氷を頬張ると、ふわふわが一瞬で溶けて、冷たさとメロンの味が口いっぱいに広がる。
「うん、美味しいです」
「……っ!」
突然眉間に皺を寄せる海未ちゃん。
「キーンときました…」
あはは、海未ちゃんの弱点発見しちゃった。
9: 2015/05/29(金) 23:26:44.27 ID:rNTW2e5K.net
:
:
ごちそうさまでした。今日の収穫は、夏以外に食べるかき氷も美味しいと分かったことだな、うん。
「あ、凛。舌が緑色になってますよ」
ほんと!?でも、そういう海未ちゃんも、口紅したみたいに唇が赤いよ。
「え!?そうなんですか!?」
さっ、と口元を隠す海未ちゃん。
…可愛いから隠さなくても良いのに。
「かっ、可愛くなんかないです!からかわないでください!」
ぷい、とそっぽを向く海未ちゃんの顔は真っ赤で、唇が赤いどころじゃなくなってる。
:
ごちそうさまでした。今日の収穫は、夏以外に食べるかき氷も美味しいと分かったことだな、うん。
「あ、凛。舌が緑色になってますよ」
ほんと!?でも、そういう海未ちゃんも、口紅したみたいに唇が赤いよ。
「え!?そうなんですか!?」
さっ、と口元を隠す海未ちゃん。
…可愛いから隠さなくても良いのに。
「かっ、可愛くなんかないです!からかわないでください!」
ぷい、とそっぽを向く海未ちゃんの顔は真っ赤で、唇が赤いどころじゃなくなってる。
10: 2015/05/29(金) 23:27:52.49 ID:rNTW2e5K.net
「…なんだか暑くなってきました。少し風を入れましょう」
すらりと開けた障子の隙間から、初夏の爽やかな風が吹き込んでくる。
「風が気持ちいいですね。少し、ここを開けておきましょう」
外から差し込む日差しが透明な器に反射して、きらきらと光を振りまく。
「今度は、他のみんなも呼びましょう。穂乃果なんか、大はしゃぎしそうです」
夏に縁側にみんなで並んでかき氷、なんて良いかもね。
シロップも、9種類用意しないとね!
「そんなに探すのも大変そうですけどね。かき氷の食べ比べというのも楽しそうです」
すらりと開けた障子の隙間から、初夏の爽やかな風が吹き込んでくる。
「風が気持ちいいですね。少し、ここを開けておきましょう」
外から差し込む日差しが透明な器に反射して、きらきらと光を振りまく。
「今度は、他のみんなも呼びましょう。穂乃果なんか、大はしゃぎしそうです」
夏に縁側にみんなで並んでかき氷、なんて良いかもね。
シロップも、9種類用意しないとね!
「そんなに探すのも大変そうですけどね。かき氷の食べ比べというのも楽しそうです」
11: 2015/05/29(金) 23:28:24.12 ID:rNTW2e5K.net
かき氷の食べ比べかぁ、すっごく楽しみにゃー!
「あ、凛、飛行機雲ですよ」
真っ青に塗りつぶした空に、白い線が1本。
「夏って感じの、気持ちが良い空ですねぇ」
ついこの前までコートを着てたような気がするのに、いつの間にか冬はどっかに行っちゃったみたい。
夏が近付いてくる小さな気配に、少し心が躍ったのでした。
「あ、凛、飛行機雲ですよ」
真っ青に塗りつぶした空に、白い線が1本。
「夏って感じの、気持ちが良い空ですねぇ」
ついこの前までコートを着てたような気がするのに、いつの間にか冬はどっかに行っちゃったみたい。
夏が近付いてくる小さな気配に、少し心が躍ったのでした。
12: 2015/05/29(金) 23:29:06.92 ID:rNTW2e5K.net
おわり
13: 2015/05/29(金) 23:30:10.74 ID:vHfr//SX.net
とてもよかった
乙
乙
14: 2015/05/29(金) 23:30:33.18 ID:0OYvBYN1.net
乙!夏が待ち遠しくなったね
引用: 海未「夏の近付く気配」
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