700:◆TLyYpvBiuw   2014/12/16(火) 21:03:40.45 ID:S9OQCCtso



フィンランド
12月上旬

世界中の子どもたちに配るプレゼントの積み込み作業が行われていた。

ヴァイナモイネン「これでバッチリ!お姉ちゃんの方は?」

イルマリネン「終わった」

ヴァイナモイネン「子どもたちの喜ぶ顔が早く見たいね!」

イルマリネン「そうだな」

ヴァイナモイネン「早くクリスマスにならないかなぁ~」

イルマリネン「そうだな」

しかし、この会話を盗み聞きする不届き者がいた!

カ級(クックック……聞いたぞ!)


鎮守府狂騒曲 第二十九回
Model Graphix ARCHIVES 艦隊これくしょん -艦これ-
701: 2014/12/16(火) 21:04:11.29 ID:S9OQCCtso

深海大本営

ヲ級「北海艦隊からの情報によると世界中にプレゼントを配るそうです」

深海司令「そんなことはいちいち報告せんでも良い!」

ヲ級「いえいえ司令。これはチャンスなんですよ」

深海司令「何?チャンスだと?」

ヲ級「その通り。このプレゼントを奪い取り、我々が子どもたちに配ってしまえばいいんです」

深海司令「するとどうなる」

ヲ級「連合海軍は何をやっているか!と求心力はガタ落ち!深海棲艦はたちまち人気者に!
   深海グッズもバカ売れ!いいとこ尽くしの大儲け間違い無しですよ!」

深海司令「ふむ……私もそう思っていた所だ!お前は私の思っとることばかり言いおって!」

ヲ級「はあ、申し訳ありません」

深海司令「ふふ、私の天才的な作戦で連中の士気もガタ落ち!いい気味だ。よし!作戦の準備をしろー!」

ヲ級「ハッ!司令官!」

702: 2014/12/16(火) 21:04:46.48 ID:S9OQCCtso


翌朝、ヘルシンキのとある集積所

あーーーーーーーーーーっ!!


ヴァイナモイネン「プレゼントが無い!!」

イルマリネン「まさか」

芬提督「一体どうしてこんなことに!」


カ級(クックック……プレゼントは頂いていくぞ!)


703: 2014/12/16(火) 21:05:33.46 ID:S9OQCCtso

数日後、深海棲艦太平洋艦隊

戦艦棲姫「クリスマスプレゼントぉ?」

空母棲姫「大本営も粋なことするじゃない」

港湾棲姫「うん」

レ級「そんでこれがプレゼントなんだけど、太平洋の子供たちに配るんだよ」

戦艦棲姫「子供たちに?なぜだ?」

レ級「奴らを政治的に攻撃するためさ!敵対陣営が慈善活動して味方は何もしないという状況を作るのさ!」

戦艦棲姫「へぇーうまいこと考えるもんだ」

レ級「もちろん、欲しいモノがあれば取っておいてもいいよ、たんまりあるからね」

704: 2014/12/16(火) 21:07:02.62 ID:S9OQCCtso

鎮守府

提督「ふわぁ~あ、近頃は平和で退屈じゃのぉ」

大淀「提督、連絡です」

提督「お!任務か!貸してみろ!」

大淀「はい、どうぞ」

提督「なになに、むむむ、フィンランド政府からの極秘の通達……」


拝啓、提督諸君。

フィンランド政府より非公式の依頼がある。

なんと子供たちへのクリスマスプレゼントを深海棲艦に奪われてしまったのだ。

これが世に知れれば子供たちに海軍に対する不信感を植え付けることになるかもしれない。

その為、非公式にお願いすることとなった。

米、英、独、伊海軍の部隊にも同様の依頼を出している。

もちろん謝礼は、一つ回収するごとに支払おう。

どうかよろしく願いたい。

705: 2014/12/16(火) 21:07:57.28 ID:S9OQCCtso

提督「ふむふむ……」

大淀「どうでした?」

提督「これは良い!近頃たるんどる艦娘たちにも良い機会だ。大淀、出撃の準備命令を出せ」

大淀「えぇ?は、はあ」


一方その頃の深海棲艦北太平洋司令部

北方棲姫「プレゼント!わーい!わーい!」キャッキャッ

港湾棲姫「よかったね」ニコニコ


かくして、クリスマス攻勢が始まった!

706: 2014/12/16(火) 21:08:34.59 ID:S9OQCCtso

ネノヒエェーンドクマノォ!ネノクマレィディオ!

子日「ねのくまラヂオの時間だよ!」

熊野「子日と熊野、そして若葉がお送りいたしますわ」

子日「なんか投稿間隔がどんどん空いて行ってるような……」

熊野「よくない傾向ですわね」

若葉「全くだ」

熊野「お便り読んで行きますわね」

707: 2014/12/16(火) 21:09:00.67 ID:S9OQCCtso


青葉と赤城さん、この差は一体……


子日「日頃の行いかな……」

熊野「史実の行いではなくて?」

若葉「まあ、そう言ってやるなよ」

子日「そうだね……」

熊野「で、ねのくまチャレンジですが……」

若葉「今回投下すると約束したな、あれは嘘だ」

子日「ごめんなさい!もうちょっと待ってね!」

熊野「では次回こそ投下できることを祈りつつまたお会いしましょう!」

若葉「待て、次回」

708: 2014/12/16(火) 21:09:32.59 ID:S9OQCCtso

ここは酒保

皐月「こんにちは明石さん」

明石「はい、いらっしゃい」

皐月「雑誌が欲しいんですけど」

明石「あいすみません生憎ですが本はありません」

皐月「どして?」

明石「本はありません全部売り切れ、サイナラ」

皐月「だってこれ全部並んでるの本でしょ?」

明石「なに?ああ、これね。これのこと。これは……本ですけど」

皐月「そーでしょ?」

明石「これは……売約済です。サイナラ」

皐月「これ全部?」

709: 2014/12/16(火) 21:10:01.82 ID:S9OQCCtso

明石「はい、隅から隅まで一冊残らず全部売り切れ。サイナラ」

皐月「誰に?」

明石「えっ?」

皐月「誰に売ったの?」

明石「ああ、色んな人に……あら!もうこんな時間昼御飯にしますから閉店です」

皐月「だってまだ10時半だよ」

明石「でもねぇ、私は三日前から飲まず食わずだから半分氏んでるんですだから今日はもうおしまいなの」

皐月「へぇー」

明石「あ、初雪さんに借りたらどうですか?あの子も結構本持ってた気がするから言えば貸してくれるんじゃないかな」

皐月「ここに来いって言われたんだけどなー」

710: 2014/12/16(火) 21:10:43.07 ID:S9OQCCtso

明石「そうか……そうですか……なるほど」

皐月「どしたの?」

明石「『今年は霞が引きこもる、牛缶食うのは子日だよ』」

皐月「??なんだって?」

明石「えっ……そのぉ……わかってるでしょ?焦らしちゃってもう」

皐月「ええ?」

明石「今年は霞が引きこもりなの。とぼけちゃって、合言葉ですよ」

皐月「知らないなぁ」

明石「うんうん、それから?」

皐月「何が?」

明石「知らないなの次が?」

皐月「だから何が?」

711: 2014/12/16(火) 21:11:13.08 ID:S9OQCCtso

明石「『知らないなでも今日は卵焼き食べりゅ』ってそう言いたいんでしょ?」

皐月「いや」

明石「あっ、そう。じゃサイナラ」

皐月「えぇ」

明石「待った。誰に言われて来たの?」

皐月「睦月お姉ちゃんですよ?」

明石「眼帯つけてて外套着てる?」

皐月「全然」

明石「あはは、ごめんなさい人違いでした。じゃサイナラ」

皐月「ちょっと待って!なんか変じゃないかなぁ?」

712: 2014/12/16(火) 21:12:07.91 ID:S9OQCCtso

明石「なに?どこが?あんたなんか見たの?」

皐月「いいや。でもやっぱなんか変じゃないかなぁ?」

明石「いやいや何も変なことはないよ。なんでもないよー!サイナラ」

皐月「おかしんだよなぁー」

明石「変なこともおかしなことも何にもないの!私を信じなさいって」

皐月「えー?」

明石「何もない。裏で何かしてるの?」

レ級「いや、何もしちゃいねーよ」

明石「ほら何もしてないって」

皐月「あれ誰なのかな?」

明石「私の叔父さん。ところで何の雑誌が欲しかったの?さあどうぞ」

皐月「えーとね、日本陸軍の秘密兵器の雑誌なんだけどなぁ」

713: 2014/12/16(火) 21:12:37.06 ID:S9OQCCtso

明石「……おや、尻尾を出したわね」

皐月「何?」

明石「どこまで知ってるんだ」スチャ

皐月「わっ!銃!」

明石「お前は陸軍の回し者ね?」

皐月「いやいや海軍の駆逐艦だよ?」

明石「動くんじゃないわよ!」

皐月「いや、初雪のところに行こうと思ってさ」

明石「生きてここから出たいと思うんなら動くんじゃないわよ」

皐月「どして!?」

明石「あんた知りすぎたわね」

皐月「いや何にも知ってませんよ!」

明石「白状してお前の身分を言え」

皐月「だから、僕はただの駆逐艦ですよ!」

714: 2014/12/16(火) 21:13:28.85 ID:S9OQCCtso

明石「駆逐艦のクセに酒保に来て買うのが陸軍の本だとは恐れ入ったものよね。ハハハハ!」

舞風「さあ!銃を捨てろ!明石!」

明石「ま、舞風!」

皐月「やっぱおかしんだよなー!」

明石「おかしくない」

舞風「吐け、明石。これが最後よ。アレはどこにある?」

明石「アレって何よ?」

舞風「しらばっくれるな!復讐の為にはアレが必要ってことぐらいわかるでしょ?間宮の二の舞になりたいの?」

皐月「間宮さんに何があったの?」

明石「ダメコン付き撃沈20連発で廃人になりかけたわ」

皐月「やっぱり何かある」

明石「何もない」

舞風「言え!アレはどこだ?」

715: 2014/12/16(火) 21:14:06.48 ID:S9OQCCtso

明石「資材倉庫の地下に保管されているわ」

舞風「騙そうって言うの?ふっ」

グサッ!

明石「ぐああああ!!ぐぅ、鎮守府沖の孤島に隠してある」

舞風「よし!」

明石「鍵がいるわ」

舞風「それじゃああなた、道案内よろしくね」

長門「そうはいかんぞ舞風!」

舞風「長門!?」

長門「武器を捨てろ!」

皐月「なんかおかしんだよなー!」

明石「おかしくない」

長門「酒匂、銃を拾え」

酒匂「はい!」ヒョイ

716: 2014/12/16(火) 21:14:32.18 ID:S9OQCCtso

皐月「あの人はなんなの?」

明石「長門さんはこっちの味方よ」

長門「舞風、壁に向かって立て。お前もだ明石」

明石「私も!?」

長門「そうだお前もだ!」

明石「汚いわ!裏切ったわね!」

皐月「どうしたの?」

明石「ヤツは裏切ったのよ」

皐月「ご愁傷様」

長門「さあ言え!アレはどこにある!」

舞風「絶対言うもんか」

長門「答えろどこにある!」

皐月「なんか面白くなってきちゃったな!」

717: 2014/12/16(火) 21:15:09.87 ID:S9OQCCtso

まるゆ「そうはさせませんよ!」

長門「ま、まるゆ!?」

皐月「それ何だい?」

まるゆ「ロケット砲です。さあおとなしく壁に並んで立ってください!」

長門「くそ!」

まるゆ「これは四十糎噴進砲!五秒以内に答えてください!『木曾さんのクリスマスプレゼントは何にしたらいいか』!」

「「えっ?」」

まるゆ「あ!ごめんなさい、まだ決めてなくって。五秒以内に答えて!……忘れた」

明石「もう五秒数えてる?」

長門「し、質問はなんだ?」

皐月「本買いに来たの?」

718: 2014/12/16(火) 21:15:41.98 ID:S9OQCCtso

まるゆ「五秒以内に答えてください……えーっと」

長門「間宮のことか!?」

まるゆ「違います!」

舞風「祥鳳?」

まるゆ「いえ」

明石「アレだ!」

まるゆ「そうでした!アレですよね!なんて馬鹿なんでしょう!」

ウンウンヨカッタヨカッタ

まるゆ「それじゃあ五秒以内に答えてください!『アレはどこだ』!?5!」

明石「……くっ!」

まるゆ「4!」

舞風「……!」

まるゆ「3!」

皐月「……」

まるゆ「2!」

酒匂「ピャー……」

まるゆ「1!」

長門「ぐぅ……!」

719: 2014/12/16(火) 21:16:30.96 ID:S9OQCCtso

まるゆ「0!」

シーン……

まるゆ「0!……あっと、撃つの忘れてました。ごめんなさい、変な日ですね。ふふ」

ハハハハハ

まるゆ「気を取り直して、5!4!3!2!1!」

卯月「そいつを捨てるぴょん、陸の潜水艦」

まるゆ「う、卯月さん!」

卯月「みなさん、うーちゃんのパーティーに集まってくれてどうもありがとぴょん。うさちゃんも喜んでるぴょん」

うさちゃん「喜んでない」

卯月「うさちゃん!?」

ズドン

卯月「言うこと聞かないヤツはみんなこうなるぴょん。腰抜け揃いでご苦労ぴょん。アレはもう手に入れたぴょん」

長門「な、なんだと!?」

720: 2014/12/16(火) 21:17:50.98 ID:S9OQCCtso

卯月「みんなもう用済みぴょん。氏ぬぴょん。氏ぬ!氏ぬ!氏ぬ!氏んじゃうぴょん!」

舞風「くそぉ……」

卯月「うーちゃんは優しいからじわじわと嬲り頃しにしてあげるぴょん」

皐月「でももうお昼だよ?」

卯月「あ、ホントだ、じゃあ昼食にしようっぴょん」

長門「そうだな」

舞風「美味しいところ知ってるからそこ行きましょうよ!」

明石「いいねぇ!」

ワイワイ

皐月「……」スッ

プルルルルル

皐月「もしもし。近衛師団に繋いでくれ、大至急」


そう、皐月はやんごとなきお方の直属部隊である近衛師団のエージェントであった!
アレは無事近衛師団が回収、処分がなされたので安心して欲しい!

721: 2014/12/16(火) 21:18:38.07 ID:S9OQCCtso

~ここはよくある普通のペットショップ~

夕立「うーん、うーちゃん大活躍じゃないですか~~!」

「あ、駆逐艦じゃん」

夕立「ぽいぽい!ねーちゃん買ってかない?」

「駆逐艦だなんて今時流行んないわよ、じゃあね」スタスタ

夕立「……そっか……流行んないのか……」ショボン


今回どうだった?また次回の鎮守府狂騒曲も見たいって?もうそろそろエタるんじゃないかなー!?

722: 2014/12/16(火) 21:21:05.80 ID:lQz7oTdSO
乙です
さてクリスマスプレゼントを提督達が無事に奪還できるか見物だな

723: 2014/12/16(火) 23:41:47.77 ID:+rGiBrz5O
駆逐艦は流行るよッ!

次回:変な艦これ劇場 -鎮守府狂騒曲- 第三十回


引用: 変な艦これ劇場 -鎮守府狂騒曲-