1: 20/02/14(金)00:43:05 ID:PYm
2: 20/02/14(金)00:43:35 ID:PYm
P「うーっす。おじゃま~~」
夢見りあむ「ひっさびさに来た!
ひと月以上来てなかったよ! 体感だと半年以上!
なんで? 放置プレイ!? 倦怠期っ!?」
P「いやいや、普通に忙しかったんだって……。
……もう生存確認の必要もなくなったしな」ポソ
りあむ「? いくら忙しいって言ったってさー!
彼女だよ? ガールフレンド! 恋人を1ヶ月も放置する? 酷くない!?」
P「付き合ってねーから!
いや、しゃーないだろ。担当が一気に増えて忙しさが尋常じゃなかったんだって」
りあむ「また新しい子ひっかけたの? いつか本当に刺されるよ」
P「人聞きわりーなー。仕方ないだろ。そういう仕事なんだから」
4: 20/02/14(金)00:44:55 ID:PYm
りあむ「ホストなんか辞めて、もっと真っ当な職に就いたらいいのに……。
ちなみに新しい被害者ってどんな子?
やっぱ時間と暇を持て余したマダムとか?
それともOLさん?」
P「……色々とツッコミたいところはあるが……。
みんな学生さんだよ。主に中高生だな」
りあむ「中高生っ!? ダメでしょ!?」
P「なんて言うのかな?
ネットとかに詳しい今風の子や、地方から出てきたばかりのちょっと垢抜けない感じの可愛い女の子……かな?」
りあむ「今風の子はともかく、そんな無垢そうな子までいけない沼に引きずり込んで……」
P「すごく真面目な子だよ。実家の方からも応援されてるし。娘を頼みますってさ」
りあむ「実家っ!? 応援って……それマズくない!?」
P「……応援されてない方が大変な世界なんだけどな?」
りあむ「そうなんだ!?
奥が深い、闇が深いよ。恐るべしホスト業界……!」
5: 20/02/14(金)00:45:46 ID:PYm
P「……だからホストじゃねーって」ポソ
りあむ「うん? 何か言った?」
P「…………」
P「………別に?」
りあむ「何その間っ?」
P「他にも双子の女の子や……」
りあむ「まだいるの!?」
P「あと……ちょっと派手なピンク色の髪で胸が大きい娘とかかな?」
りあむ「へー。また色々濃い子を引っ掛けたねー。モテモテじゃん?」
P「モテモテ……かなー?」
りあむ「けど、頭ピンク色で胸が大きいって子、きっと色ボケでメンヘラってるから気をつけた方がいいよ。
油断してたら病んで刺しにくるよ!」
P「…………」
P「……おう。そうかもな」
りあむ「また間っ!」
P「あとその子、かなり鈍くて若干頭が弱そうなんだよな……」
6: 20/02/14(金)00:47:01 ID:PYm
りあむ「あー。ダメダメ。絶対ヤバイよ。その子。
知らないうちに、自分とPサマが本当に付き合ってると思い込んでめっちゃ病みまくるヤツだよ。
深入りしない方がいいって!」
P「…………」
P「…………」
P「………せやな」
りあむ「何その目っ!? 憐れみっ? 諦めっ?」
P「まぁ、乗りかかった舟だから……程々に頑張るよ。
女の子達に夢を見せて、夢を叶えてあげるのが俺の仕事だしな。
なぁ、夢見?」
りあむ「なんで急に名字呼びっ!?
いつもみたいに、りゃむむん♪ って呼んで! よ!」
P「呼んでねー! よ!」
りあむ「呼んでいい! よ!」
P「嫌だ! よ!」
りあむ「冷たいっ!」
※ ※ ※ ※ ※
7: 20/02/14(金)00:47:55 ID:PYm
りあむ「でさー。本当に酷いの、そのプロデューサーが!」
P「……ほーん」
りあむ「他のみんなにはそこそこ優しいのに、ぼくにだけめっちゃ遠慮なくて!
サボるなりあむ! 寝転がるなりあむ!
動けりあむ! 走れりあむ! 踊れりあむ!
少しは褒めて欲しい? 甘えるな!
お前は褒められて伸びるタイプじゃない!
カップ麺みたいに伸びてクタクタになるタイプだっ!
ってさ~。酷くない!?
厳しそうなトレーナーさんが、まぁまぁ、ってたしなめるくらい鬼なんだよ!」
P「……それだけ期待してるんだろ。
実際お前、甘やかされるとダメになりそうな感じだしな?」
りあむ「そんなことないよ! 褒められて甘やかされたら頑張るよ!
そこそこ! たぶん!」
P「…………」
8: 20/02/14(金)00:49:09 ID:PYm
りあむ「それに、あの鬼プロデューサー、きっと、ただのサディストだから!
ぼくをいたぶって楽しんでるんだよ。
ぼくのこと嫌いなんだ。
ぼく、新人の中で一番年食ってるし、辞めさせたいのかも。
うん。ほら。なんていうか、口リコンっぽいし!
言動や立ち振る舞いが!」
P「…………」
りあむ「む~~。話してたら、ますますムカついてきたぞ。
氏ねばいいのに! 急に! もしくは禿げろ!
禿げて風邪ひけ! あのコスプレ変質者っ!」
P「……いっくし!」
ずぼっ
りあむ「ぎゃーーーーっ!? み、みみ、耳にっ! 耳にささっ、刺さってっ!」
P「あー。すまん。
人の耳掃除なんて、慣れてないからな。ついウッカリウッカリ。あっ」
ごっ
りあむ「ぐげ」
9: 20/02/14(金)00:50:21 ID:PYm
P「足も痺れてな。つい滑った。大丈夫か?」
りあむ「おおぅ……。恋人の膝枕というリア充的天国から一気に地獄の苦しみ……!
氏ぬ……あの鬼畜の前に、ぼくが氏んじゃうよぅ……」
P「…………」
りあむ「あれ? なんか笑ってないっ!?
ハイライトの消えた黒幕っぽい薄ら笑顔で!」
P「………きのせいだヨ」
りあむ「なんでっ? DVっ!?」
P「てか、いまさらだけど、普通逆じゃね? 耳掃除イベント」
りあむ「悪びれない! そこに痺れる惚れ直すっ!
やるよ! して欲しいならよろこんで!」
P「断る」
りあむ「この流れでっ!?」
P「いやまぁ、普通に不安しかないからな? 仕返しとか抜きにしても」
りあむ「やらせて! よ!」
P「いやだ! よ!」
りあむ「一回だけ! 一回だけでいいから!」
P「ノゥッ!」
りあむ「先っぽ! 先っぽだけでいいから!」
P「なんだそのヨダレは。目が怖い!」
りあむ「怖くないから! 何もしないから!」
P「やーめーろー! なぜにズボンを掴む!」
りあむ「やーらーせーれー!」
P「脱げる脱げる! はーなーせー!」
りあむ「ヤーらーせーてー!」
P「耳掃除の話だよなっ!?」
10: 20/02/14(金)00:51:21 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
最初はただの苦し紛れ、あるいはある種の照れ隠しだったと記憶している。
ほら、砕けた関係の、親しい付き合いをしている友人が、急に自分の職場に来たら気まずかったりしない?
そう。それだ。
ついでに『周りに知り合いだから贔屓した』と思われるのも立場的にあまりよろしくなった……というのもある。
だから半ばノリで、ダメ元で、勢いで、やってしまったのだ。
同僚や上司にはそれっぽい理由を付けて、口八丁手八丁で。
(まさか彼らがあそこまで悪ノリするとは思っていなかったが……)
それに、すぐにバレると思っていたのである。
普段から好き好き言ってきてるクセに、ちょっとこっちが覆面を被ったくらいで全く自分だと気付かないとは思いもしなかったのである。
確かに最初はちょっと意識して声色を変えてみたりしていた。
だから気づかないのも、仕方なかったのかもしれない。
しかし、ここ最近は全く変えていない。なんの演技もキャラ作りもなく、素の自分である。
それなのに、あのどこまで本気なのか自称俺の恋人ピンク頭は、俺が……元隣人の俺が、自分のプロデューサーであることに全くもって気づきやがらないのである。
『Pの文字で出来た覆面』を付けた状態で、あれこれ指示し、厳しく指導する俺を、よく知る友人『Pサマ』と同一人物だと本当に気づいていないのである。
……なんでやねん!
脳味噌まで餃子の具で出来てるんじゃないかっ!?
11: 20/02/14(金)00:52:44 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
りあむ「へっっぷっじょい! じゃらちくしょぉぃ!!」
久川颯「ほわっ!?」
久川凪「男らしい」
辻野あかり「田舎の父ちゃんを思い出します」
りあむ「ずびっ。江戸っ子だがら! ね!」
砂塚あきら「#汚い #江戸っ子に謝れ」
ベテトレ「お前達、休憩は終わりだ。集まれー。
……あと、夢見は鼻から出てるモヤシをどうにかしろ」
りあむ「ふがっ!?」
あかり「もやし! アイドルっぽいんご!」
凪「わかりみが深い」
颯「そうなの?」
あきら「#アイドルにも謝れ」
りあむ「チーーーン。ずび。……うっうー?」
ベテトレ「……間違ってもSNSでそういうこと呟くなよ」
13: 20/02/14(金)00:55:00 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
千川ちひろ「今日は新人さん達のレッスン見に行かないんですか?」
P「うーん、行きたいとは思ってるんですけどね……」チラッ
ちひろ「あー。それ、被るのが嫌なんですね。
……って、いやいや、被るのやめればいいじゃないですか」
P「ですよねー」
ちひろ「引くに引けなくなってるんですか?」
P「まぁそんな感じというかなんというか……」
ちひろ「……私は……『私は』、もうやりませんよ?」
P「……なんで2回言ったん?
いや、あの時は結構ノリノリだったじゃないですか」
ちひろ「それはそれっ!」
P「なるほどっ!?」
ちひろ「もう普通にみんなに顔見せちゃえばいいじゃないですか。
新人以外の子達も戸惑っていましたよ」
P「まゆとかトライアドの3人とかは『そのままがいいと思う』って、覆面Pめっちゃ推してくるんですけど……」
ちひろ「その子たちは、まぁ……」
ちひろ(新しい子達のライバル化を警戒してるんでしょうねぇ……)
高垣楓「覆面をつけままでいるように言い含めんる……ふふっ」
P「俺としても最初は楽しかったり、顔隠してる強みで気が大きくなったりして、満更でもなかったんですが、やっぱりその……冷静になると……」
14: 20/02/14(金)00:56:06 ID:PYm
ちひろ「バカみたいですよね」
P「う」
ちひろ「蒸れそうですし」
P「ぐ」
ちひろ「禿げs…」
P「とにかく! そろそろ潮時かな、と思うんですよ!」
ちひろ「……はぁ」
P「いっそのこと誰かにうっかり素顔を見られてしまうアクシデントでもあれば諦めもつく…」
凪「……………」
P「…のです……が……」
凪「……………」
P「……………」
凪「……………」
P「………………」
ちひろ「あら。凪ちゃん? どうしたんですか?
レッスンは……ああ、終わった時間ですね」
凪「Pを罠に誘き寄……レッスンに来なかったから、心配して様子を見に来た」
P「ちょっと! ほぼ全部言い切ってから誤魔化すのやめない?」
凪「『覆面を引っぺがしてやろうぜ!作戦』なんてものは存在しない。
企画立案も普段いびられてる年長者だったりはしない」
P「おう。あのピンク」
15: 20/02/14(金)00:57:52 ID:PYm
凪「……………」
P「……………」
凪「……………」
ちひろ「凪ちゃん?」
凪「……………」
P「……………?」
ひょこ
颯「なー? どうし…」
凪「スラムダンクっ!!」ガボッ
P「ぐぼっ!?」
颯「うわっ!?」
ちひろ「……一瞬で被せましたねー」
凪「……ふぅ。危なかった」
颯「え? え? なに? なんでPちゃんの頭おさえつけてるの?」
凪「急に紫原さんのモノマネがしたくなって……」
颯「誰っ!?」
ちひろ「掛け声がややこしい!」
P「ちょ。逆。前後逆っ。これ逆だと息ができ」
凪「免疫のないはーちゃんが見たら命にかかわるところでした」
颯「なんの話っ!?」
ちひろ「……………」
凪「ここは凪にまかせて先にいけ」
颯「えっ? えっ? 先に行ってればいいの?」
凪「いいと思う。後から必ず追いかける」
ちひろ「またベタなフラグを……」
颯「あ。作戦用に激辛ラーメン買ってきたけど。これでいい?」
凪「いいと思う」
ちひろ「どんな罠にかけるつもりだったんですか……」
P「…………」
ちひろ「その絞められたニワトリみたいなのを」
凪「……おお」
颯「Pちゃん!?」
P「…………」ぐったり
♥
P「……………」
凪「……………」
ちひろ「凪ちゃん?」
凪「……………」
P「……………?」
ひょこ
颯「なー? どうし…」
凪「スラムダンクっ!!」ガボッ
P「ぐぼっ!?」
颯「うわっ!?」
ちひろ「……一瞬で被せましたねー」
凪「……ふぅ。危なかった」
颯「え? え? なに? なんでPちゃんの頭おさえつけてるの?」
凪「急に紫原さんのモノマネがしたくなって……」
颯「誰っ!?」
ちひろ「掛け声がややこしい!」
P「ちょ。逆。前後逆っ。これ逆だと息ができ」
凪「免疫のないはーちゃんが見たら命にかかわるところでした」
颯「なんの話っ!?」
ちひろ「……………」
凪「ここは凪にまかせて先にいけ」
颯「えっ? えっ? 先に行ってればいいの?」
凪「いいと思う。後から必ず追いかける」
ちひろ「またベタなフラグを……」
颯「あ。作戦用に激辛ラーメン買ってきたけど。これでいい?」
凪「いいと思う」
ちひろ「どんな罠にかけるつもりだったんですか……」
P「…………」
ちひろ「その絞められたニワトリみたいなのを」
凪「……おお」
颯「Pちゃん!?」
P「…………」ぐったり
♥
16: 20/02/14(金)01:01:12 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
りあむ宅にて
P「…………」
りあむ「ふぅーーっ。赤ちゃん用の柔らかくて細い綿棒で……ぐりぐりぐりぐり♪」
P「…………」
りあむ「もう少し奥の方も……。
……あ。お耳が少し冷たくなってるね。
もみもみもみもみ♪」
P「…………」
りあむ「いつもお仕事お疲れ様。ふーっ……」
P「…………」
りあむ「ふふっ。じゃあ、次は反対側……ごろんってしてね……」
P「…………」
りあむ「………反対側もするよ? ………Pサマ?」
P「…………」
りあむ「………つんつん」
P「ふぁっ!? 寝てた!」
りあむ「……ぐっすりだったね」
P「こわっ! 開始3分以降の記憶がないっ!
催眠音声!? こっわ!」
りあむ「勉強した甲斐があったよ!」
P「なんのっ!?
ていうか謎の才能もってんな、お前! ヤバない!?」
りあむ「えへへ。ぼく、癒し系? 癒し系?」
P「ぐ。癒された手前、否定できねぇ……」
りあむ「ふふふ。はい……。くすっ……。ごろんって……して?」
P「そのウィスパー風の囁き方やめれ! あかんやつや!」
りあむ「Pサマを……ぼくなしじゃ生きられない身体に……しちゃう……ぞ?」
P「おおおお……!?」ゾクゾクゾク
17: 20/02/14(金)01:02:09 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
りあむ「…………」
P「…………」
りあむ「……また寝ちゃった。歯まで食いしばって抵抗してたのに。
本当に疲れてるんだね。いつもお仕事、本当にお疲れ様」
P「…………」
りあむ「……しばらくはこのままぼくの膝枕で……ひとりじめ♪」
P「…………」
りあむ「明日もお仕事、頑張ってね。
ぼくもいっぱい……がんばる、よ」
P「…………」
※ ※ ※ ※ ※
♥??
18: 20/02/14(金)01:03:17 ID:PYm
レッスンルームにて
P「オラァ! 夢見ィ! 動きが鈍い!
俺の視線から外れた瞬間だけ露骨に手を抜くなァ!」
りあむ「ひぃッ!? なんで、ぼくだけぇっ!?」
P「お前だけサボってるからだ!」
りあむ「サボってない! よ! げほっぉ!」
凪「…………」
P「他のみんなは基礎体力がお前よりもあるんだ。
体力が落ちてる元引きこもりは頑張り過ぎくらいでちょうどいいだよ!おらぁ!」
りあむ「なんで引きこもってたの知ってるのぉ!
おに! あくまっ! サディストォ!」
P「愛の鞭だ! 愛の鞭っ! 」
凪「…………」
りあむ「ひーん。Pヘッド悪魔元気過ぎぃ。
過労氏しろぉ、しゃちくぅ……」
P「はっはっは! 今日の俺は色々リフレッシュして過労とは縁遠いぜ!
そういうお前もまだまだ余裕そうだな!
お前だけ、もうワンセット追加するか!」
りあむ「ぢぐじょー! やざじざがだりないっ!」
凪「……P。P」ツンツン
P「うん?」
??♥
19: 20/02/14(金)01:04:44 ID:PYm
凪「……凪にも……自分にも罵倒を。
甘い罵倒を。ぎぶみーちょっこれーと?」
P「へ? 罵倒って……いや、凪はちゃんと出来てるぞ?
最初の頃よりも随分と上達したな。えらいぞ?」
凪「…………」
P「…………」
りあむ「ぜはーぜはーぜはー」
P「這いつくばってサボるな夢見ィ!」
りあむ「びぇーーーん!!」
凪「むぅ……。愛が……愛の鞭が……足りない?」
P「な、何の話だ……」
りあむ「ぜ、ぜはー。ぜはー。ぜはー」
凪「凪の今の心境を例えるならば……ウサギ……耳の垂れた、ウサギ……ウナギ」
P「うん?」
凪「ウサギは寂しくなると……愛に飢えると氏んでしまうという俗説があります。
そう、これは俗説なので……かなりの信憑性があります」
颯「………?」
P「………?」
凪「つまり、孤独な凪は……このままではウサギになってしまい……ウサギ星人キャラでのデビューを画策してしまいます。
ウサギン星人。今までにないキャラ付け。
ナンバーワンよりオンリーワン。
ワンワン。……ワオーン。
ワンコキャラもいいですね。凪だけに?」
あかり「………?」
あきら「………?」
りあむ「げほっ! ぜはー……」
凪「………? つまり……凪は……何を言いたいんですか?」
P「こっちが聞きたいよっ!?」
りあむ「…………げほ」
ベテトレ「……最近仕事が……楽だな」
20: 20/02/14(金)01:05:30 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
りあむ「げぼっ。……やっと終わった……。
なんなのあいつ。いつもより元気で……もうやだぁ……」
あかり「お先ですー」
あきら「…………」ペコ
りあむ「ぜはー……」
凪「…………」
颯「……なー、帰らないの?」
凪「今日は先に帰ってて欲しい」
颯「……? うん。分かった。じゃあねー?」
凪「あすたらびすたべいべー……!」b
颯「なにそれ?」
りあむ「…………げほ」
※ ※ ※ ※ ※
21: 20/02/14(金)01:06:52 ID:PYm
凪「と言うわけで師匠」ヒョコ
りあむ「…………」
凪「師匠」
りあむ「…………」
凪「師匠」
りあむ「凪ちゃんかわええ、ぐへへ……」
凪「師匠」
りあむ「…………」
凪「無視しないで下さい師匠」チョップ
りあむ「ふあっ!? なんか見下ろされてると思ったら、それぼくのことだったのっ?」
凪「そうです師匠。ご教示下さい師匠」チョップチョップ
りあむ「え? へ? な、なにを?」
凪「その愛され体質を、です師匠。
聞くところによると師匠は百戦錬磨の愛され恋愛猛者とのことでししょ」チョップチョップ
りあむ「師匠が変な語尾みたいになってる!」
凪「いつも師匠ばかり構ってもらってズルいです。
どうしたらいいか教えてほしいシショ」
りあむ「わかった。わかった。
いやよくわかんないけどわかったから、そのチョップやめて!
いや、やっぱりやめないで!
ちっちゃなおてて、可愛い……ぐへへ」
凪「…………」
凪「…………」ぐっ
りあむ「拳はやめてっ!?」
22: 20/02/14(金)01:08:09 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
翌日、事務所にて
カパ
凪「おお。Pの今日のお弁当は唐揚げとハンバーグとピーマンですか。悪くない」
P「…………」
凪「凪のは……じゃん。肉じゃがとハンバーグとほうれん草……。
むぅ。ハンバーグとハンバーグが被ってしまった」
P「…………」
凪「お弁当のおかず交換しましょう?
まずは……ハンバーグと……ハンバーグ?」
P「なんでやねんっ!!」
凪「冗談。同じもの交換してもな?」
P「いや、そうじゃなくて!」
凪「?」
P「なんでお昼時に急に来たと思ったら、当然のように俺の膝の上に陣取ってんの!?」
凪「では逆に聞こう。
なぜPは凪のお尻の下を陣取ってるんですか? 尻派?」
P「ちょ」
凪「冗談です。しかし、なぜこのような状況になってるのかを説明するためには、少し遡り、昔のお話から始めなければなりません。
そう、時は戦国……」
P「あっ。いいっス。
説明はいいんで、降りて貰えると助かるんですけど」
凪「それは却下です。
まぁ、詳細はりあむ師匠に聞いていただければ何かわかるかもしれないし何もわからないかもしれない」
P「夢見ィ!」
?♥♥
23: 20/02/14(金)01:09:02 ID:PYm
凪「何はともあれ、まずハンバーグとハンバーグは交換しました。
むぐむぐ……美味いな。これ」
P「結局するんかい。いやまぁ、それはどうでもいい。
どちらかというと、俺がお昼休みにJCを膝に乗せてることの方が問題だ。
下手するとポリスメン沙汰だ」
凪「やくとくやくとく?」
P「うん。きいて?」
凪「でもほら、あちらの席の事務員兼アシスタントさんも生暖かい目で見守ってくれてますし」
ちひろ「…………」
P「俺には冷たい目に見える」
ちひろ「結構前に似たようなことがあったので、慣れっこですけどね」
P「それはそれで人聞きが悪い」
凪「なんと。 PがJSやJC好きの口リコンという情報まで事実だったとは。さすがおっOい師匠」
P「夢見ィッ!」
♥??
24: 20/02/14(金)01:10:26 ID:PYm
凪「……ともあれ、まぁ要約すると……凪とPの距離感が変わった。
でも法律の範囲内でいきましょう?って感じなわけでして?」
P「この状況は法律の範囲内なんですかね?」
凪「大丈夫だ。問題ない。双方合意の上ならば」
P「少なくとも俺は同意してないんだがな」
凪「神様は何も禁止なんかしてないそうですよ?」
P「神様の話はしてないよ?」
凪「神様、懺悔します。Pのお弁当が美味しいのであらかた食べ終えてしまいました。ごち」
P「おいこら。マジじゃねーか!」
凪「仕方ない。お代は身体で払うか……もしくは凪のお弁当を代わりにあげましょう。
はい。あーん?
ちなみに拒めば前者を求めたことに」
P「いやだか…むぐっ。……むぐむぐ。
……なかなか美味いな?」
凪「良いお嫁さんになりそうですよね?」
P「え? 手づくりなのか?」
凪「ええ。はーちゃんの」
P「颯のかよ!」
凪「お嫁にはあげませんよ?」
P「欲しいとも言ってないがな」
凪「姉の方が好みということですか?
身の危険を感じますね」
P「言いつつ、もたれ掛かるな目を瞑るな身を委ねるな。あたたかいしいいにお……じゃなくて!!」
ちひろ「さすがにここで一線越えるのはやめて下さいね」
P「受話器置いて! 越えないから!」
凪「ここでは?」
P「ここ以外でも!」
?♥?
25: 20/02/14(金)01:12:09 ID:PYm
凪「ではここでポエム集より一読。
『ここではないどこかへ』作:森久保乃々」
ガバッ
森久保乃々「何読んでるんですかっ! プライバシーの侵害なんですけどっ!?」
P「おおっ!? 下にいたのか乃々」
乃々「Pさんがまた浮気してるのを上目遣いで見てたんですけど……」
凪「『風 わたしは 風 どこにもいないし どこにでもいる』」
乃々「だから読まないで欲しいんですけどっ!?」
凪「……尊みを感じます。テーマは愛。破壊と創造。そして世界平和」
乃々「そんな大それたテーマを追い求めた記憶はありませんが……」
凪「ここの『愛はプラスチック。ロマンチックにプラスチック』の辺りがキレッキレでヤバかったですパイセン。
風刺というやつですね?」
乃々「あああ……勝手に先輩にされてるぅ……」
凪「うーむ。自分もポエムを嗜みますが……パイセンに比べるとまだまだだな?
癒しの中にピリリと刺さる毒が足りない」
乃々「盛ったつもりはないんですけど……」
P「そういう仲睦まじいやり取りはどこか別の場所でやってくれないか?」
乃々「睦まじくないんですけどっ!?」
凪「ポエミィ森久保先輩」
乃々「あだ名ですか!? あだ名なんですかそれっ!?」
27: 20/02/14(金)01:13:45 ID:PYm
P「似た者同士、続きは二人で楽しんでくれ。
俺は物足りないから下でうどんでも食ってくる」
乃々「似た者同士っ? 全然似てないんですけど!?」
凪「ふむ。人見知りで引っ込み思案なところが特にそっくり。目から鱗」
乃々「自己評価!」
P「よっこいしょ」ヒョイ
凪「あ。Pに持ち上げられました。
これは皆にPに抱かれたと報告せねば」
P「やめて」
乃々「も、もりくぼも抱いて下さいっ」
P「よじ登るなよじ登るな。あとその言い方やめなさい」
凪「これはもはや3ぴ」
P「シャラップ」
ぴっぴっぴっ
ちひろ「あーもしもし?」
P「通報もやめて!」
ちひろ「撮影は終わった?お疲れ様♪」
P「?」
ちひろ「ところでまゆちゃん」
P「もっとやめて!」
凪「……収集がつかないな?」
乃々「誰のせいですか誰の……」
凪「P。P。おろして下さい。
作戦を立て直すため、一時撤退したいので」
P「秒で帰ってくるらしいまゆに弁解して欲しいんだけどな?」
凪「そこはポエミィ先輩に」
乃々「そこだけ残さないで欲しいんですけど!?」
凪「そこはポエミィに?」
乃々「もはや悪口!」
P「……仲良いなー。まぁ、俺は避難も兼ねて、お昼外で食ってくるわ」
凪「なんと。 凪のお弁当が空っぽです。一体誰が?」
P「俺だよ!?」
凪「たくさん食べるところが男の人って感じで素敵ですね? 素敵ですか?」
P「聞かれても。特に成人男性の昼食を横取りした子に聞かれてもな?」
凪「言われてますよ。パイセン」
乃々「なすりつけないで欲しいんですけどっ!?」
P「……もうユニット組んじゃうか?」
乃々「!?」
?♥♥
28: 20/02/14(金)01:15:08 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
凪「そもそも師匠はあのPと知り合いなのですか?
とても遠慮のない仲に見えます。ラブです?」
りあむ「へ? ないない。あんなの知らない」
凪「あんなのて」
りあむ「そもそもぼくには心に決めた人がいるからね! ふふん!」ドヤ
凪「おお。さすが師匠。アイドルにあるまじき発言。だが、そこに痺れる憧れる」
りあむ「まーねー! そりゃもう、毎日ちゅっちゅする仲だよ!
超リア充! りあむのリアはリア充のリアだからね!」
凪「りあ無」
りあむ「? なに?」
凪「いえ別に?」
りあむ「? いやー。それにしても、凪ちゃんの前で言うのはあれだけど、あのプロデューサーはやめておいた方が良くない?
気に入っちゃったんだよね? 大丈夫?」
凪「おもしろい」
りあむ「まぁ見た目は大概面白いけど……」
凪「声も結構好きですね」
りあむ「声……うーん? まぁ、声は悪くないかな?
なんかどっかで聞いたことあるようなないような声だけど」
凪「あと、ちょっと熱血っぽいのも嫌いじゃないな。たぶんな?」
りあむ「ぼくは苦手だけど……まぁ、バランスは取れそうなのかな?」
29: 20/02/14(金)01:17:05 ID:PYm
凪「儚げな引っ込み思案少女と熱血漢のカップル。悪くない。エモい」
りあむ「うん。自己評価はあれだけど」
凪「年齢も足して二で割ったらちょうど同い年になる偶然。これはもしや運命では?」
りあむ「うん。……うん?」
凪「ともあれ師匠がこれからも応援してくれるというのなら、こんなに心強いことはない。……もう何も怖くない?」
りあむ「あ。そ、それはもう。任せといて!
と、友達のためだから! ね!」
凪「リアムゥ……マイフレンド」
りあむ「ぼく! ユアフレンド!」
凪「友達料金の支払いは月末締めでいいですか?」
りあむ「そんなビジネスライクな関係じゃないよ!?」
凪「最初の3ヶ月はお安めに設定しておきますね」
りあむ「しかもぼくが支払う側なんだ! そりゃそうか! ありがとう!」
凪「いえ、さすがに冗談ですが。まさかお礼を言われるとは」
りあむ「じょ、冗談ってどこから!?
まさか友達ってところから!? だよね!
仕方ないか! 仕方ないね! めっちゃやむ!」
乃々「あ……あの」
凪「はい?」
りあむ「?」
乃々「も、もりくぼのさんくちゅありぃで恋バナ?はやめて欲しいんですけど……。
ていうか……せまいぃ……」
凪「さすがにひとつの机の下に3人は無理があったな?」
りあむ「いい匂いがするし、なんか柔らかいし、ぼ、ぼくは楽し……あ、すんません!
そんな冷たい目で見ないで下さいっ!」
乃々「いえ、普通の目ですけど……」
凪「柔らかいとか、おめーにだけは言われたくねーんですけど、って目ですね。クォレハ」
乃々「思ってないんですけどっ!?」
30: 20/02/14(金)01:18:11 ID:PYm
りあむ「柔らかくてごめんなさいっ! 乃々ちゃん先輩と同じ身長なのに95とかでごめんなさいっ!」
乃々「…………」
凪「ともあれ『強引に膝の上、甘え倒して既成事実化作戦』の次はどうしたらいいでシショ?」
乃々「…………」
りあむ「あれっ!? いつの間にか乃々ちゃん先輩の目のハイライトが!?」
凪「愛され恋愛マスター師匠。とっとと次の作戦を」チョップチョップ
りあむ「しかもこっちからの扱いもぞんざいだ!
ありがとうござますありがとうござます!」
乃々「…………」
凪「して作戦は?」
りあむ「…………」
凪「作戦は?」
りあむ「…………」
凪「…………」
りあむ「…………」
凪「…………」
りあむ「…………う」
りあむ(やばいよやばいよ。作戦とか言われても知らないよ。
そもそもそんな恋愛マスターな手練手管持ってたら今頃とっくに既婚者養われコースだよ!)
凪「…………」
りあむ「……も、もっと……肌色を露出して、えOちな感じに誘…」
凪「凪は気弱な恋愛初心者なのでなるべく純愛コースでよろしくお願いします」
りあむ「…惑、ええぇ……? う、う~ん?」
凪「解説しよう。りあむ師匠のピンク色の脳味噌にはおよそ3000万兆の天才恋愛頭脳戦略が記憶されているのだ」
りあむ「なにそれ! 褒められてるの? なんかやむ! 」
♥??
31: 20/02/14(金)01:19:04 ID:PYm
乃々「…………」
りあむ「えーっと。えーっと……」
凪「ワクワク」
乃々「……わくわく」
りあむ「ノッてきた!? えーっと、えーっと……」
凪・乃々「ワクワク」
りあむ「……あ……」
凪「あ?」
りあむ「あう……」
乃々「あう?」
りあむ「あう……あう……あ……あ……アウトソーシングっ!」
凪・乃々「アウトソーシング?」
りあむ「アウトソーシング! そう! 外注だよ!
現代社会の病み……闇……もとい叡智! アウトソーシングっ!」
凪・乃々「おお……」
りあむ「ぼくの権謀術数はちょっと大人向けっていうか、上級者向け過ぎるからね!
第三者な知識人、腹心のブレーンを起用する! よ!」
凪「ぱちぱちぱち。
……して、そのブレーンとは?」
乃々「……とは?」
♥♥?
32: 20/02/14(金)01:20:49 ID:PYm
りあむ(!? そ、そんな人脈ないよ! あるわけないよ!
ないけど! ないとは言えない空気! 流れ!)
凪「ワクワク」
乃々「……わくわく」
りあむ「ぐぅっ!」
りあむ(仕方ない。かくなる上は、行き当たりバッタリのハッタリ! なるようになるさの精神で!)
りあむ「じ、実は事前に根回ししておいたよ!
次のアドバイザーがそろそろこの事務所にやってくるはず!」
凪「おお」
りあむ「でも都合により、あと2分で誰もやってこなかったら作戦は次の機会に延期d」
ガチャ
宮本フレデリカ「フンフンフフーンフンフフー。今日の社長のお弁当はそぼろごはーん♪」
りあむ「…………」
乃々「…………」
凪「おお。どこかで見たことあるようなないような。
彼女がその作戦のブレーンですねシショ?」
フレデリカ「うん?」
りあむ「…………」
乃々「…………」
凪「なるほど。漂う圧倒的なオーラ、恋愛力。師匠に負けるとも劣らないな?」
りあむ「…………」
乃々「…………」
凪「この世界では初めまして。お世話になります。
よろしくお願いします、マスター。お噂はかねがね?」
フレデリカ「うむ! 話は聞かせて貰った!
このマスターフレちゃんにお任せあれ!今来たところだけど!」
凪「おお」
りあむ「…………」
りあむ「…………」
りあむ「……よ、よし! 予定通り! いける!よ!」
乃々「さっきまで首筋にナイフを突き付けられたような顔してたんですけどっ!?
大丈夫なんですか!?
可燃物体質なのに頭から油かぶっていませんか!?」
りあむ「可燃物体質ってぼくのこと?」
乃々「自覚なかったんですか?」
凪「マッチでーす」v
乃々「そこに火種を自覚しないで下さいっ!?」
ぽん。
フレデリカ「乃々ちゃん……安心して?」
乃々「えっ……?」
フレデリカ「ストッパー役はLiPPSで慣れてるから!」サムズアップ
乃々「あああああっ……! 大丈夫なんですかっ? 本当に大丈夫なんですかこれっ!?」
りあむ「な、なんとかなるなるっ!」
乃々「取り返しのつかないことになったりしませんか!?」
34: 20/02/14(金)01:22:00 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
社長「取り返しのつかないことになったよ、きみぃ……」
その日、社長室に呼び出された俺を出迎えたのはそんな重々しい一言と、座椅子に深く腰掛け、うなだれる社長の姿だった。
P「何か……何があったんですか?」
問いかける俺に、ちらりと視線を向け、また俯く社長。
社長「そうだね……」
仕草で促され座についた俺に向かって、社長は訥々と語り始める。
社長「百聞は一見にしかずと言うし……まずはこれを見てくれ」
と、取り出されたのは……一枚の写真。
そこに写るのは……膝の上の颯と『あーん』される俺の姿!?
P「げ。い、いつの間に……!」
角度的に、どうやら自撮りっぽいその一枚は……控えめに言っても……かなりいかがわしい。
P「す、すみません!
何度も止めたのですが、彼女もいたずら好きと言うかなんと言うか……」
社長「ああ。勘違いしないでくれたまえ。
こういうこと自体を責めているわけではないんだ……」
P「え?」
社長「きみがアイドルの子たちに好かれ、仲良くしているのは大いに結構。
大切に……優しく接してあげる事、それ自体は望ましい……好ましいことだと思っとるよ……」
P「は……はぁ……」
35: 20/02/14(金)01:23:12 ID:PYm
社長「問題は、だ……」
P「………?」
社長「この写真が彼女の親御さんの目に入ったようでな……」
P「えっ……」
社長「きみが立場を利用して、娘に良からぬことを強要している……。
これは許せる事ではない、と大変ご立腹のようなのだよ……」
P「…………」
社長「場合によっては……こちらの対応次第では……法的な対応も辞さないと仰られててな……」
P「…………」
社長「今朝、私も直接訪問し、頭を下げてきたところなんだ……」
P「…………」
衝撃的な言葉、急な展開に頭が回らない。
クラクラと脳髄を揺さぶる目眩に抗いながら、俺は言葉が見つからず……。
P「す、すみませんっ! 申し訳ございません!
なんと……なんと言えば……どうすればいいのか……!」
そんな俺に社長はちらりと視線を向け、自身の鞄へと手を伸ばす。
??♥
36: 20/02/14(金)01:24:25 ID:PYm
社長「まず私が出向いたのも良かったのかもしれないな。
幸い親御さんは……今回だけは、誤解であると……こちらの不注意ではあるものの、危惧されるようなことはないと……ご納得頂けたようだ」
P「……!」
社長「その代わり……という訳ではないのだが……。
今後一切このようなことがないようにと……誓約書をお求めになられた」
P「誓約書……?」
社長「ああ、娘さん達を傷つけない……不本意な事を強要しない……。
当たり前なことだが、極めて重要な……、もっともな内容の誓約書だよ。
この誓約書を交わした上で……もし違えることがあればキミと……私のクビが飛ぶ」
P「……!」
社長「私はあちらのお宅で既に書かせてもらった。
後はキミだけだ。用紙……フォーマットは用意してある。
あとはここに……サインをしたまえ」
P「はい……」
促されるまま、ペンを持ち、走らせる。
社長は座したまま腕を組み、無言でそれをみつめる。
決して高圧的な態度ではない。
自然な、むしろ穏やかな物腰。
だが、目の前の彼に、俺は得体の知れないプレッシャー……オーラとでも言うのだろうか……を感じながら、とにかく素直に書き進める。
♥?♥
37: 20/02/14(金)01:25:21 ID:PYm
社長「そうだ。……その下の住所と本籍、あと、キミのご両親の名前までは書いてくれたまえ……」
P「はい………」
震える手でそれを………書き終えた所で、ふと、手を止める。
……………?
何か違和感を覚え、顔を上げ、社長に目を遣る。
社長「………なんだね?」
その正体を掴めぬまま、俺は視線を巡らせ……社長室の質素ながらも趣のある調度品の数々を見るともなしに見……やがて、ある一点で目を細める。
P「社長? 社長室に掃除用具入れなんて置いてましたか?」
社長「……置いてあったよ。前からね」
P「……小学校とかにあるレトロで縦長な灰色のヤツを?」
社長「ああ。小学校とかにあるレトロで縦長な灰色のヤツを」
漆黒や木目の調度品がほとんどな中で、それは明らかに浮いているような気もしたが……まぁ、些細なことであろう。
どうでもいいも言えばどうでもいい
P「あと社長?」
社長「なんだね?」
P「この誓約書? やけにフォーマットがピンク色じゃないですかね?」
目の前のこの違和感に比べれば。
社長「……ああ。うん……縁起がいいらしいよ?」
P「なるほど縁起が……」
社長「そう。たまたま都合良く、きみの机の上に雑誌があってね。
その付録についていたのをちょいと拝借して……」
P「って婚姻届じゃねーーかっ!!
記入項目が変だと思ったら!
何考えてるんですかあなたはっ!?」
社長「あんなに沢山積み上がってるんだから少しくらい使ってもいいじゃないか」
P「勝手に使ったことを責めてるわけじゃないですよ!?」
社長「地域によって値段が違うんだねぇ……ゼクシ◯」
P「そうですねぇっ!?」
♥♥?
38: 20/02/14(金)01:26:24 ID:PYm
社長「じゃあ、この婚姻届…もとい誓約書は私が預かっておくよ」
P「何が、じゃあ、なんですか! ちょ!
懐にしまうな! 出せ! 返して下さいっ!」
社長「えーっ……」
P「何が、えーっ、なんですか。何がっ!
何が目的なんすか!
いや、何が目的でも関係ない。とっとと破棄して…」
ガチャ
フレデリカ「バレた! 仕方ない!いまだ! かかれ~~!」
凪「おおーっ」
乃々「むぅーりぃー……」
りあむ「ぐえ」
突然目の前の(不自然極まりない)掃除用具入れが開き、飛び出してきたのは……四段重ねのアイドル達!
最上段フレデリカ、上から二段目凪、三段目潰れ気味乃々、最下段潰れまんじゅうりあむ!
一斉に飛び出し……その場で絡まり合ったまま自重で崩れ落ちる。
P「…………」
フレデリカ「…………」
凪「…………」
乃々「…………」
りあむ「…………」
社長「…………」
俺はそれを一瞥し……。
♥??
39: 20/02/14(金)01:27:40 ID:PYm
P「とにかく、記入してしまったそれは処分して下さい。
誰に悪用されるか分かったものじゃない」
フレデリカ「流された!」
凪「オノレP。なかなかのスルースキル」
乃々「………あ」
りあむ「……………………………」
社長「うーん。そこまで言われては……仕方ないねぇ……」
視界の隅っこで夢見りあむが俺の顔を……素顔を、何とも形容しがたい表情で凝視しているが……今はまぁ、構ってもいられない。
下手に反応したら俺とりあむの関係性が疑われるし。
社長「せっかく作戦が上手くいったのに、勿体無いけど……今回は処分するね?」
ちらりと凪達の方へと確認し……
フレデリカ「無念!」
凪「……仕方ない」
社長「はい。破棄……と」
手に持ったそれを社長室専用に設えられたシュレッダーへと放り込んだ。
ガガガガガガと数秒の騒音の後、それが姿を消す。
細切れになった紙切れが収まっているのを確認し、ようやく俺は胸を撫で下ろした。
自意識過剰と言われるかもしれないが、この事務所では、あの手の書類の存在が……本当にシャレにならないのだ。
毎月のように某誌を事務所に持ち込み、一通り読んだ後、俺の机に置いていく彼女らの事を思い浮かべ、冷や汗を拭う。
フレデリカ「惜しかった!」
凪「Pの弱点である権力者とアイドルの両親を持ち出す名采配。さすが」
乃々「鬼畜の所業なんですけど……」
りあむ「……………………………」
P「お前らなぁ……」
何があったのかはよく分からないが、何となく流れは察し、ただただ呆れの吐息をつく。
ついでにりあむの目の前で手を振ってみるが、微動だにしないので、そちらは放置。
社長「悪巧みは上手くいかないものだねぇ」
フレデリカ「パワハラ! ダメ! ゼッタイ!」
はっはっはっ。と悪びれない社長が強引にまとめた所で……。
ひょこ
まゆ「終わりましたぁ?」
颯「終わったー? なー。お昼食べに行こう?」
♥♥?
40: 20/02/14(金)01:28:08 ID:PYm
41: 20/02/14(金)01:29:49 ID:PYm
社長室を覗き込んできた彼女、もとい彼女らに俺は息を飲む。
いや、深い意味はないが。
まゆ「Pさん。まゆ、今日もPさんとお食事したいです」
颯「…………」
P「おお。……昨日みたいに普通の和食屋でいいのか?」
まゆ「ええ。まゆはPさんと一緒ならどんなお店でも♪
それに昨日のお店、とても美味しかったですよ?」
避難した先にまゆが既に微笑みながら待っていた時は肝が冷えたがな。
………。
ふと、思う所があり、言い直す。
P「今日は気分を変えて洋食でもいいかもな」
まゆ「はい。大好きです♪」
俺の正面、見上げ、言ってくるまゆの言葉は深読みせずに、とりあえず「そっか」と軽く頭を撫でておく。
あとは……。
P「乃々と輝子も一緒に行くか?」
視界に入った机の下の輝子と、座り込んだままの乃々に声をかける。
?♥♥
42: 20/02/14(金)01:30:14 ID:PYm
43: 20/02/14(金)01:31:12 ID:PYm
凪「むう。なぜか誘われませんでした」
P「だって今回の件の主犯っぽかったし」
凪「なるほど」
P「否定しないのな。あと颯が待ってるだろ?」
凪「あー」
ててて……と歩み寄ってくる乃々と輝子も引き連れて、デスクのちひろさんに手を振る。
P「お昼、外で食ってきます」
ちひろ「はいはい。いってらっしゃい。私も後から出ますけど」
手を振り返してくるちひろさんに見送られ、外に……
出る前にまた足を止め、ふと、奥を見遣る。
座り込んで呆然としているりあむは……まぁ、ちひろさんにでも任せておこう。
その横で何か物言いたげに佇む、真顔のフレデリカに手を振って、一言。
P「じゃあ、また後でな?」
ちょっとだけ微笑みかけておく。
さて。
P「行くぞ~。こら、まとわりつくな」
しがみつき絡みつく乃々まゆ輝子を引きずりながら、俺は廊下を進む。
途中すれ違った彼女とも軽く挨拶だけを交わし……。
外気に……真昼の陽光に目を細める。
さて。
今日はまだまだ始まったばかりだ。
※ ※ ※ ※ ※
?♥?
44: 20/02/14(金)01:31:51 ID:PYm
凪「…………」
颯「…………」
凪「…………」
颯「…………なー」
凪「…………?」
颯「さっきの……Pちゃん?」
凪「………そうですが?」
颯「ふ、ふーん……」
凪「…………」
颯「…………」
凪「…………」
♥??
45: 20/02/14(金)01:32:16 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
りあむ「……………………………」
りあむ「……………………………」
りあむ「……………………………」
りあむ「……………………………」
※ ※ ※ ※ ※
46: 20/02/14(金)01:33:01 ID:PYm
ガチャ
橘ありす「おはようございます」
社長「おや」
ちひろ「あら、いらっしゃい。おはようございます。ありすちゃん。
Pさんなら少し前に出ていきましたよ」
ありす「ええ。すれ違いました」
フレデリカ「……おはよー」
ありす「…………」
ありす「……濃い面子ですね」
ちひろ「そうですか?」
ありす「奥で微動だにしないりあむさんも含めて」
ちひろ「あー……」
社長「今日は午後からレッスンかい?」
ありす「……………………………」
ありす「……………………………」
ありす「はい」
ちひろ「……何か気になることでも?」
ありす「……いえ。別に。
……フレデリカさんはこんなところで何を?」
フレデリカ「うーん? 別にっ。ひまつぶし?」
?♥?
48: 20/02/14(金)01:35:52 ID:PYm
ありす「……そうですか。何かいつもより元気がないような気がしますが」
フレデリカ「そんなことないよ~。フレちゃんはいつでも元気!
元気元気! ほんとに元気!
ちょっと失敗しちゃったけどいっぱい元気~♪」
ありす「……そうですか。ならいいんですけど」
ちひろ「………………」
ちひろ「ありすちゃんはお昼ご飯、済ませたんですか?」
ありす「まだですね。………。……あ……」
フレデリカ「?」
ありす「ああ。う、うっかりお弁当を持って来るの忘れてしまいました」
ちひろ「まぁ、それは大変」
社長「それは困ったねぇ……」
ありす「……取りに帰るのも面倒ですし、今日は外食で済ませましょうか。
でもいくら私でも小学生がひとりでお店に入るのはマズイかもしれませんね」チラ
フレデリカ「?」
ありす「前々から気になってたパスタのお店があるんですが……付いてきてくれませんか?
……保護者として」
フレデリカ「?」
ありす「そう……あなたですよ。
駄目なら……嫌やら……別に構いませんけど……」
フレデリカ「! 行く。行くよ。行ってあげよう♪」
ありす「……ありがとうございます」
ちひろ「良かったですねー」
社長「めでたしめでたし、だねぇ」
ありす「……くっ」
フレデリカ「………?」
♥?♥
49: 20/02/14(金)01:36:51 ID:PYm
ちひろ「さて。私たちも戸締り戸締り……と」
社長「さすがにもぬけの殻で施錠しないのはマズイからねぇ」
ありす「ほら。フレデリカさん。行きますよ。
みんながま……お腹が空いて仕方ないんですから!」
フレデリカ「…………」
『じゃあ、また後でな?』
フレデリカ「…………!」
ありす「どうしたんですか。変な顔して」
フレデリカ「………フンフンフフーン。別にー♪」
ありす「変な人ですね。今に始まったことではありませんが」
フレデリカ「フンフンフフーンフンフフー。ウレデリカー♪」
社長「はっはっはっ」
ちひろ「……………………………」
ちひろ「……………………………」
ちひろ「……………………………」
ちひろ「……あの? 社長?」
社長「うん? なんだね」
ちひろ「さすがに外に出る時は……その……着替えませんか?」
社長「ええ? お気に入りの一張羅なんだけどねぇ……」
ちひろ「いくらなんでも会社の顔が……それで出歩くのはマズイというかなんというか……」
ありす「……………………………」
ありす「……社長、なんでいつもメイド服なんですか」
フレデリカ「可愛いと思うけど?」
ありす「圧がすごいんですよ!」
?♥♥
50: 20/02/14(金)01:37:33 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
バタン
ガチャガチャ……ガチン
りあむ「……………………………」
りあむ「……………………………」
りあむ「……………………………」
りあむ「……………………………」
りあむ「……………………………」
※ ※ ※ ※ ※
♥??
51: 20/02/14(金)01:38:13 ID:PYm
エピローグ
某所洋食店にて
P「フレデリカと雪乃さん~、誕生日~~」
一同『おめでとうーーー!!』
フレデリカ「わぉ! サブプライムパーティー? 気が付かなかった♪」
相原雪乃「ふふっ。ありがとうございます♪」
ありす「サプライズです」
フレデリカ「うむ! くるしゅうない。くるしゅうない。
フレちゃんが今夜の主役!
近う寄れ近う寄れ。プレゼントもめるしー?」
ありす「完全貸切ではないですからあんまり騒ぎ過ぎないで下さいね?
あと、まだお昼です」
フレデリカ「細かい事は気にしなーい♪」
ありす「はぁ……」
♥??
52: 20/02/14(金)01:38:40 ID:PYm
53: 20/02/14(金)01:40:42 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
輝子「フ、フヒ……。親友……お……おすそわけ……」
P「お。キノコパスタのキノコじゃん。いいのか?」
輝子「う、うん。……いい。美味しい……ぞ」
P「さんきゅーな。じゃあ、俺からもおすそわけ。
お前はちょっと痩せ過ぎだからな。
無理じゃないなら食え食え。でも無理なら言えよ?」
輝子「お……おお」
P「それにしてもなんか今日はご機嫌だな。良いことでもあったのか?」
輝子「もぐもぐ……うん? う、う~ん
た、たのしい……から?」
P「ほう」
輝子「みんなでワイワイ……た、楽しい……」
P「なるほど」
輝子「そ、それに……新しい……と、友達も……できた……から」
P「おー。それは良かったな!」
輝子「う、うん……。よ……良かった……う、うれしい……フヒ」
♥??
54: 20/02/14(金)01:41:38 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
ガサガサ
まゆ「……ありませんねぇ」
乃々「ちゅるちゅる……。何ですかその……袋に入ってる……紙くず?」
まゆ「シュレッダーの廃棄ゴミですよ」
乃々「シュレ……?」
まゆ「……無いんですよねぇ」
乃々「? 何が無いんですか?」
まゆ「紙くずの中に……ピンク色が見当たらないんですよぉ……」
乃々「…………?」
まゆ「…………」
まゆ「……もしあれを持ち去ったのが彼女……凪ちゃんだとしたら」
乃々「?」
まゆ「……侮れませんねぇ。それに……」
乃々「…………」
まゆ「今回の立ち回り……まるでPさんとりあむさんの関係性……アドバンテージを知っていて、敢えて情で縛り付けるような……」
乃々「??」
まゆ「いえ、それは……考え過ぎですよね……? そもそも情報源がありません……。
どちらにしても……」
乃々「……もぐもぐ」
まゆ「14歳……。現行法で猶予は2年、法改正も近いので……4年?
……短期決戦……ですかねぇ」
♥?♥
55: 20/02/14(金)01:43:46 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
凪「……ずるずる。うーむ。
このチャーシュー麺、チャーシューが小さいし……薄いな?」
颯「それ、カルボナーラだし、お肉はベーコンだよ」
凪「おお」
颯「ここのお店、オシャレだし美味しいね。ご馳走になっちゃって良かったのかな?」
凪「豚骨の風味がまったりとしてしつこく無く……」
颯「豚骨使ってないよ。たぶん」
P「よ。お二人さん、食ってるか?」
颯「! た、食べてるよ!」
P「席離れちゃって悪かったな。
予約はしてたんだが、全員まとめて座れる席はとれなかったんだ」
颯「気にしなくていいよ。これはこれで落ち着くし」
P「社長の奢りだ。遠慮せずどんどん注文してくれ!」
颯「あはは」
凪「ノットPPAY。バットPSAY。
何だかんだ言いつつも……誘ってもられえてごち感謝、YO!」
P「おう。気にすんな」
颯「会話が成立してる!?」
P「……と、そうだそうだ。忘れるところだった」
颯「?」
P「昨日の弁当、美味かったよ。
色々あって俺がいただいたから。ありがとな、颯」
颯「?」
P「?」
颯「お弁当? なにそれ」
P「え。ほら昨日のお昼に手作りの……」
颯「……? お弁当なんて作ってないけど?
あ。も、もしPちゃんが手作りのお弁当食べたいっていうなら……そ、その……がんばって作ってみてあげてもいいけど」
P「…………」
P「…………」チラ
凪「こ、これは中華料理界の革命や。
シェフを呼べ。礼を伝えたい。
あとキノコのグラタン2つ追加で」
颯「そんなに食べられないよ!?」
凪「1つは隣のテーブルに」
颯「なんでっ!?」
凪「戦友に」
颯「誰っ!?」
P「…………」
56: 20/02/14(金)01:44:32 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
フレデリカ「というわけで、第20回、フレちゃんお誕生日プレゼント大賞は社長ちゃんのが選ばれました~。
拍手ー!ぱちぱちぱち~!」
社長「はっはっはっ。いやいや。
大したものじゃないよ。はっはっはっ」
ありす「プレゼントって、さっきの封筒ですか?
何が入ってたんです?
まさか現金じゃ……」
フレデリカ・社長「ヒ・ミ・ツ?」
ありす「…………」イラッ
城ヶ崎美嘉(ありすちゃんいると楽だな……)
塩見周子「せんせー!カリスマJKがステルスにテンション低いでーす」
フレデリカ「なぁ~↑にぃ~↑!?」
美嘉「ちょ」
ありす(雪乃さんの所に避難しておこう……)ツツツ
雪乃「あらあら」
57: 20/02/14(金)01:44:57 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
P「ところでちひろさん?」
ちひろ「もぐもぐ……はい?」
P「夢見のやつの姿が見えないんですが」
ちひろ「…………あ」
P「…………」
ちひろ「…………」
P「…………」
♥?♥
58: 20/02/14(金)01:45:28 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
りあむ「ひっくし!
…………。…………。…………?
……あれ? なんか薄暗っ。なんで?
あれ? みんなは?
なんで事務所の電気消えて……」ガチャガチャ
りあむ「……鍵も閉まってる?」
??♥
59: 20/02/14(金)01:45:53 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
※ちゃんと迎えに行きました。
※ ※ ※ ※ ※
♥?♥
60: 20/02/14(金)01:46:43 ID:PYm
数日後
りあむ宅にて
P「うーっす。おじゃま~~」
りあむ「あ。Pサマ、いらっしゃい。待ってたよ!」
P「おう………なんだ? この部屋の真ん中に広げてる……マット?」
りあむ「お給料で買ってみた!」
P「うん?」
りあむ「まぁまぁ。ここに寝てみて!」
P「え? 俺が寝るのか? なんだろう。ヨガマットみたいだな」
りあむ「あ。寝転がる前に上着だけでも脱いでおいて。
まだあんまり慣れてないから汚しちゃうかもしれないし」
P「へ? 脱ぐ? 汚すってなんだよ。何する気だ?」
りあむ「ふふふ。耳掃除! だよ!」
P「………はい?」
♥??
61: 20/02/14(金)01:47:50 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
りあむ「わしわし。ごしごし。痒いところはございませんかー?」
P「なんだこれ……なんだこれ?
え? なんで俺、部屋の真ん中で寝そべって、急にシャンプーされてんの?」
りあむ「本日は、夢見ごこち耳掃除店。極みフルコースだから、シャンプーやオイルマッサージもついてくるよ!」
P「なんだそれっ!?」
りあむ「色々調べて勉強してたらハマっちゃって。
奥が深いね! 耳掃除業界!」
P「ハマり過ぎ凝り過ぎだろう!?
てか普通に気持ちいいし! 上手いなっ!?」
りあむ「良かった! ちなみにこのシャンプーはお水が要らないタイプのだから安心して。
パウダータイプとかミストタイプとか、色んな系統のがあるんだけど、今回は個人的にオススメの泡タイプで」
P「どんだけ試行錯誤してんだよ……」
りあむ「専門のお店でやったら1万円以上するらしいよ。ぼくなら無料! お得!」
P「なんの専門店やねん……。
あとどういう風の吹き回しだ?
俺にここまで……。ちょっと怖いんだけど」
りあむ「いやぁ。Pサマの為に何かしたいなぁ。何かできないかなぁ。
何かしないと捨てられそうだなぁ。っていう危機感やら何やらで……」
P「……いや、捨てないけど。……多分」ポソ
りあむ「あと、ぼく、純粋に尽くすタイプでしょ? 意外と?」
P「聞かれても」
りあむ「お金ないから貢ぎ続けるのは難しいし、ならば身体で払わなければ!と!」
P「ホストじゃないって分かったのに、まだホスト扱いかよ」
りあむ「実質ホストみたいなもんじゃない?」
P「全然ちげーよ!」
りあむ「とかなんとか言ってる内に、シャンプーはおしまいっ。
気持ち良かったでしょ?
次はこのオイルを使ってマッサージと耳掃除をするよ!」
♥♥?
62: 20/02/14(金)01:48:51 ID:PYm
ニチュニチュ
P「うわ。ヌルヌルで気持ち悪……うん?
気持ち……いい? あれ?」
りあむ「ふんふんふーん。ふふっ。ぬりぬり。ぬりぬり」
P「おお……。なんだこれ。なんだこれ。
気持ちいいけど……変な感じだ」
りあむ「そのうち慣れる慣れる。
それに……眠たくなったら……寝てもいい……よ?」
P「囁くな。囁くな。耳元で」
りあむ「……ふーっ」
P「おおおおお?」ゾワゾワゾワ
りあむ「ふふっ……」
P「お前はどこに向かってるんだっ!?」
りあむ「……一流の耳掃除嬢?」
P「……いや、トップアイドルを目指そうぜ?」
ピンポーン
P「うん?」
りあむ「あれ?」
P「こんな時間に……来客か?」
りあむ「うーん? 何か通販してたっけ?
特注の竹綿棒はまだ時間かかるはずだし……」
P「…………」
りあむ「とりあえずインターフォンのモニターを……と」ピッ
??♥
63: 20/02/14(金)01:49:27 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
玄関向こう
モニター越しに
輝子「………反応がないな?」
乃々「寝てるんでしょうか?」
チャリチャリ……ガチャ
まゆ「あら。カギが開いてますね?」
輝子「…………」
乃々「………今」
まゆ「さぁ。反応がないなら仕方ないです。入ってみましょう?」
乃々「仕方ないとは一体……。お邪魔します」
輝子「……言いつつ止めないのな……フヒ」
※ ※ ※ ※ ※
?♥?
64: 20/02/14(金)01:50:06 ID:PYm
りあむ「!?」
P「ちょっ!? えっ? まゆ達!? なんでここに!」
りあむ「み、見つかったら……ぼくの家にPサマ居るの見つかったら……ヤバくない!?」
P「ヤバいに決まってるだろう!
えっと、ど、どこか……どこかに隠れなきゃ……」
りあむ「どこかってどこに……。あっ」
P「うん? どうした?」
りあむ「そもそもPサマ……。靴、ちゃんと隠した?」
P「………あ」
りあむ「…………」
P「…………」
りあむ「…………」
P「…………」
りあむ「…………」
P「そ、それでも……! それでも一応隠れ……うわっ!?」ズルッ
りあむ「Pサマっ!?」
?♥?
65: 20/02/14(金)01:50:40 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
ひょこ
まゆ「うふ。りあむさん。お邪魔しま……」
ひょこ
乃々「まゆさん? どうかしたんです……かっ?」
ひょこ
輝子「…………? …………っ!?」
♥??
66: 20/02/14(金)01:51:10 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
眼前に広がるは
半裸のPが
オイルまみれでマットの上、
ナースコスチュームのりあむを押し倒し、
組み伏せる
そんな光景で……
67: 20/02/14(金)01:51:45 ID:PYm
※ ※ ※ ※ ※
まゆ「………うふ」
夢見りあむの未来は明るいエンド。
?♥♥
68: 20/02/14(金)01:52:24 ID:PYm
蛇足。
フレデリカ「うーん。これ、どうしよっかなー♪
フレちゃんの名前、書いちゃう?」
ちひろ「それ。……500万くらいで私に売ってくれません?」
フレデリカ「えー?」
Pの人生プライスレスエンド。
♥??
69: 20/02/14(金)01:53:12 ID:PYm
と言うわけで、フレデリカさん、雪乃さん、お誕生日おめでとうです!!
続きを書いて欲しいとのお声を頂いたので書いてしまいました。
期待されてたものとはだいぶ違うかもですが、少しでも楽しんで頂けたのなら嬉しかとです。
今までありがとうございました!
またご縁があれば…。??♥
続きを書いて欲しいとのお声を頂いたので書いてしまいました。
期待されてたものとはだいぶ違うかもですが、少しでも楽しんで頂けたのなら嬉しかとです。
今までありがとうございました!
またご縁があれば…。??♥
70: 20/02/14(金)01:54:08 ID:PYm
以下、色々な都合で入り切らなかったので、おまけ的誰得供養
♥??
71: 20/02/14(金)01:55:06 ID:PYm
ラブコメ
社長「む。キミ、ネクタイが歪んでいるよ。
キミも我が社の顔なんだから、ちゃんとしてくれないと困るね。どれ」ナオシナオシ
P「あ。すみません。ありがとうございま……あっ」
社長「うん?」
P「社長もちょっとズレちゃってますよ……その……メイド服のヘッドドレス」ナオシナオシ
社長「む。すまない。……なんか照れるね」/////
神谷奈緒「…………」
荒木比奈「…………」
大西由里子「………にゅ………」
奈緒「…………」
比奈「…………」
由里子「にゅふ……にゅふふ……新しい扉が開きそう……だじぇ?」
奈緒・比奈「「そこは開かなくていいと思う」っス」
?♥?
73: 20/02/14(金)01:56:44 ID:PYm
なーとはー
凪「ちなみに実際にPとのこの写真を見せてみたところ、ゆーこちゃん(母)からは
『ちゃんと2人で仲良く半分こしなさいよ?』
との前向きな反応が」
颯「な、何をっ!? 誰とっ!?」////
凪「……それはもちろんお弁当のお話だと思いますが?」
颯「うぐぅっ!?」
凪「可愛い可愛いはーちゃんは一体何を何と勘違いしたんですかね?」
颯「ふぐぅぅぅぅ……!」/////
おすまい。?♥♥
74: 20/02/14(金)03:14:16 ID:hS1
バレンタイン仕様?らしくて、レス尾になんかついてるっぽいですね
日を改めるわけにもいかないので申しわけないです
日を改めるわけにもいかないので申しわけないです
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります