1: 2024/01/20(土) 21:50:37 ID:3NmjAHN600
─────────────⚫︎

さやか「……」

────────────⚫︎─

『さや…か…あら?……ンン…さやか…………ぽち』


さやか「ふふっ」


『さやか』


さやか「……はい」


『さや…か』


さやか「はぁい」


『さやか』


さやか「なんですか、梢先輩」


『さ「さやか」


さやか「えへへ、は────え?」


梢「そんな機械を相手にしなくても……」

梢「私はここにいるわよ………さやか♡」ボソッ

さやか「…////」プシュ~

12: 2024/01/21(日) 01:17:47 ID:6cayW5Jw00
>>1

──み、見られた!見られた!聞かれた!聞かれた!
どうしよう!どうしよう!!どうしよう!!!

梢「ノックはしたのだけれど、ごめんなさいね」

さやか「あ、わわわわわわ///」

梢「どうしたのかしら、さやか?」

違うと言ったところで見られた事実は消せない!
ああ!恥ずかしい!恥ずかしい!

13: 2024/01/21(日) 01:18:59 ID:6cayW5Jw00
さやか「わたっ!わたしっは…あぁ////」

上手く舌が回らない。
違う。そんなつもりはない。間違いだ。
そう言ってしまえば楽だと思う、しかしそれでは梢先輩を不快にさせてしまうかもしれない。

さやか「あ、の……これはその…」

梢「あら、さやかは私に用があるのではなくて?」

梢「だって、あんなに私の声を……ふふ」

ダメだ、氏のう。

14: 2024/01/21(日) 01:20:48 ID:6cayW5Jw00
綴理「こず、そのくらいにしてあげてほしい」

顔を真っ赤にして狼狽えるわたしを見かねたのだろう、綴理先輩が助け舟を出してくれた。

梢「そうね、これ以上"さやか"を困らせるのも本意じゃないわ」

さやか「……っ///」

綴理先輩の言葉に安心をした矢先、思いがけない追撃を浴びてしまった。

綴理「むぅ、なんだか今のこずはめぐみたいだ」

梢「それは……大変遺憾だわ」

梢「少し揶揄いすぎたわね、ごめんなさい"さやかさん"」

さやか「いえ、わたしこそ……えっと」

綴理先輩の暴言でようやく普段の調子に戻ってくれた。
でも、なんだろう──少しだけ。

15: 2024/01/21(日) 01:23:56 ID:6cayW5Jw00
綴理「じゃあボクは部屋に帰って寝るね」

さやか「え、待ってくだ」

綴理「明日はボクが起きるまで寝るから、さやも起きるまで寝ていいからね」

梢「ちょっと綴理」

綴理「おやすみ、えと何だっけ……昨日はお楽しみ?」

パタン

梢「行ってしまったわね」

さやか「ですね……はい」

この状況でわたしと梢先輩を二人きりにするなんて、綴理先輩は何を考えているんだろうか。
いや、何も考えていないんだろう。
だってあの人は悪巧みをできる人じゃない。
本当に何も考えずにこの気まずい状況を作り出したのだ。

16: 2024/01/21(日) 01:24:36 ID:6cayW5Jw00
さやか「……えっと、何か御用でしょうか」

今更ながら聞いてみる。
これで有耶無耶になるといいけど。

梢「綴理がね、さやかさんのお部屋に行こうって」

さやか「へ、へぇそうなんですね」

困った。用があるのは綴理先輩だったようだ。
だがここで解散の流れになれば万々歳だ。

さやか「配信終わりにわざわざありがとうございます、梢先輩もお疲れでしょうから今日はもう…」

17: 2024/01/21(日) 01:26:03 ID:6cayW5Jw00
梢「そうね、お暇しようかしら。そうそう、部屋の鍵はキチンと閉めておいた方がいいわよ?」

さやか「あっ」

梢「今回は私たちだからよかったものの、他の生徒だったらね?……もっとも綴理は合鍵で勝手に入りそうなものだけれど」

梢「それではおやすみなさい」

さやか「待ってください!まだ!待って!」

思わず引き留めてしまった。
梢先輩ならあのことを誰にも言わないと思うが、念には念を入れて口止めをしなければいけない。

18: 2024/01/21(日) 01:26:55 ID:6cayW5Jw00
さやか「さっき見たものは……誰にも……」

梢「さっき見たもの……ふふ、あの可愛らしいさやかさんのことかしら?」

梢「いえ、さや「ストップです!」

さやか「お願いします、それ以上は、それ以上はわたしが愧氏してしまいます……///」

梢「そ、そう……」

この人は想像以上に茶目っ気がある。
綴理先輩の言うように慈先輩そっくりだ。

19: 2024/01/21(日) 01:28:53 ID:6cayW5Jw00
さやか「本当に誰にも言わないでください、もし誰かに言うようならわたしは舌を噛んで氏にます……本気ですからね」

梢「氏……わ、わかったわ、誰にも言いません」

さやか「ありがとうございます」

さやか「言わないとお約束してくださいましたし、これ以上は引き留めません。あの、すみませんでした」

梢「……」

どうしたのだろう。
もう22時を回ってそろそろ梢先輩の就寝の時間だ。
なのになぜ。

20: 2024/01/21(日) 01:31:24 ID:6cayW5Jw00
梢「これは……そう、独り言なのだけれど」

そう言って梢先輩は"独り言"を話し始めた。

梢「もし、さやかさんが望むのならば私は貴女を呼び捨てで呼ぶわ」

さやか「えっ……」

梢「確かに貴女はユニットのパートナーではないし、"特別"な関係というわけでもないけれど……」

梢「私は花帆さんに救われた、だから決意と親愛と信頼の証として名前を呼んだ」

梢「でもね、その花帆さんをクラブに導いてくれたのは紛れもなく貴女よ」

梢「綴理のことも、沙知先輩のことも、貴女が欠けていたらずっと暗い底に沈んだまま」

梢「このクラブは……私は貴女にも救われたのよ」

梢「────さやか」

随分と長い独り言だった。
随分と、あたたかい独り言だった。

21: 2024/01/21(日) 01:32:11 ID:6cayW5Jw00
さやか「……っ」

梢「あ、さやかさんっ!?」

梢先輩が慌てた様子でこちらに駆け寄る。
どうしたのだろう。
彼女の手がわたしに向かって伸びる。

さやか「どうして?」

彼女の手が濡れている。
いや違う、濡れているのはわたしの瞳。
わたしは泣いていた。

22: 2024/01/21(日) 01:32:47 ID:6cayW5Jw00
悲しいわけではない。
感動をしたわけでもない。
ただ、言葉にできない感情が涙の形を成して溢れてくる。

その溢れたものに意味をつけるように、言葉を紡ぐ。

23: 2024/01/21(日) 01:34:06 ID:6cayW5Jw00
さやか「これは忘れてください」

梢「わかっているわ」

さやか「今日のこと、全部忘れてください」

梢「ええ、わかっているから」

さやか「それと」

さやか「二人の時だけでいいです」

さやか「この部屋にいる時だけでいいです」

さやか「わたしのこと、さやかって呼んでください」

梢「ええ、ええ、約束する」

さやか「いま、呼んでください」

梢「さやか」

さやか「もう一回」

梢「さやか」

さやか「……はい」

梢「ふふ、さやか」

さやか「はい!」

24: 2024/01/21(日) 01:34:36 ID:6cayW5Jw00
『さやか』

25: 2024/01/21(日) 04:36:47 ID:W0JM0FUU00
すばらしいわね

26: 2024/01/21(日) 04:53:58 ID:toq2YSS.Sa
完堕ちしたね
さやかのナイフはもうボロボロ

引用: スマホ<サヤカ…サヤカ…ポチ さやか「……」