187:◆zjbrhKqhzQ   2012/05/14(月) 00:52:48.07 ID:OLTzbudd

ドラえもん「道具を使って本気で戦いたいだって?」【その1】


―――『ツキの月』を服用してから、待つこと約2時間…



半分諦めかけていたその時である…!
町で時間を潰していたのび太に緊迫した空気が纏わりついてきた…!





┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨





のび太〈ドラえもんの奴…とうとう罠に引っかかった!〉

映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生

188: 2012/05/14(月) 00:53:13.10 ID:OLTzbudd

のび太「あっちから感じるぞ…!この異様な感じは……間違いない!」


のび太は街の本道を抜け、住宅街へと駆け出す


道行く人の影が落ち 町が徐々に色を付け始める頃
街角から流れるラジオが時刻を告げた…



「ピッ…ピッ…ピッ…ポーン……」



「―――さぁ17時を回りましたミュージックチャンネル。7月23日現在のヒットチャートをお送り致します…」



189: 2012/05/14(月) 00:54:36.00 ID:OLTzbudd

ー住宅街ー



のび太「――――――行き止まりッ!!?」



のび太〈参ったな…ここら辺の地理はあまり詳しくない…回り込んでる時間は無いぞ……!〉



のび太〈ドラえもんは明日まで『魔法事典』を持っているんだ…『ツキの月』の強運が味方をしているうちに対峙しないと…!〉



のび太「……回り道して時間を食うより……多少目立っても確実に近づいた方がマシだ…!」



のび太はタケコプターを取り出し
空を進んだ…

190: 2012/05/14(月) 00:56:49.26 ID:OLTzbudd

のび太「あまり上昇するとかえって危険だな……屋根に隠れる様に進まなければ……!」


前方の屋根にのび太が足をつけようとしたその時――――――
突如、銃弾のようなものが、のび太の肩をかすめた…!!


のび太「うわっ!!こ、この攻撃はッ!!?」


飛行機の漏れたエンジンが引火していく様に
傷口から赤々しい血液が飛散し墜落していく


のび太〈下に……誰かいる……ッ!!〉


下に居る男が再び目に見えぬ攻撃を繰り出す…!
のび太は思わぬ不意打ちに体勢を崩し尻餅をついた


のび太〈くそっ……こんな時に……ッ!!〉


大男「……そろそろのび太が来る頃だと思ってたぞ」


191: 2012/05/14(月) 00:57:51.54 ID:OLTzbudd

のび太が崩れた体勢から大男を見上げると
ジャケットに張られている『准士官』のワッペンが
夕日に照らされギラリと輝いていた


准士官「お前が今にボスの居場所を把握しようとしてるって『中将』が言うんでな」


のび太「…ドラえもんのやつ…自分の位置が割れている事に気がついてないのか…」


准士官「そぉいう事よ。上がボスに連絡を取ろうと躍起になってる間、俺達下っ端は道中見つけ次第足止め役ってわけだ」


のび太「大した統率力だよ…君達のボスはワッペン以外にも何か道具を使って従えてさせているようだね…」


准士官「さぁ…どうだったかな…」


のび太〈この忠誠と統率……『桃太郎印のきび団子』を使っていてもおかしくない……!〉

192: 2012/05/14(月) 00:59:12.31 ID:OLTzbudd

准士官「お前は中々の策士だと聞いてるが……まさか仲間を連れてくるとは…」


のび太「仲間?」


のび太は後ろに振り返った
次の瞬間、ナイフのように鋭い衝撃波が胴体を貫き、のび太を壁に叩き付けた!!


のび太「ガハッ!?」


准士官「おいおい……策士って情報は何かの間違いか?」



のび太〈き……気のせいか……後ろで気配がしたんだけど……!〉

193: 2012/05/14(月) 01:00:33.83 ID:OLTzbudd

のび太〈……い、いや……そんな事よりもだ………こいつのこの攻撃は……!〉


准士官は先端にスペースシャトルの付いたストローを咥えていた


※ロケットストロー
吹くと勢い良く空気を噴射する。下に向けて吹けば空を飛ぶことも可能


のび太「『ロケットストロー』?そんな……オモチャで攻撃を………!?」


准士官「そう……こいつは本来なら空を飛んで遊ぶ為の道具さ……」


のび太〈……まるで……投げナイフだ……これ程の空気圧を飛ばすなんて……!〉


准士官「そしてもうひとつのこれがッ……俺の真骨頂……!」バギッ


のび太「……!!」


准士官は素手でブロック塀を握り締め、粉々に砕いて見せた…!

194: 2012/05/14(月) 01:01:32.26 ID:OLTzbudd

准士官「『強力スーパーパワーゲン』ってのをだいぶ前から5分置きに服用してる。知ってるか?」


効果が現れるまでに30分かかるが
一粒飲むと力が2倍に、二粒飲むと力が4倍…と段々力が強くなっていく道具である


のび太〈それで『肺活量』も強化されていたって事か…なら、こいつの腕力は…!〉


准士官〈遠距離で動きを止めて……!近づいて仕留めるのが…俺の…ッ!!〉


准士官〈必勝の……戦法ッ!!〉  ズガァァァァァンッ!!



倒れているのび太に対し
准士官がその鋼の鉄槌を振り下ろした…!!


195: 2012/05/14(月) 01:02:11.42 ID:OLTzbudd

のび太「……悪いけど君のような格下に手を焼いているほど暇じゃ無いんだ……!!」

巨大なその拳はのび太の顔面を丸ごと覆っていた…!
しかし、自信の一撃を打ち込んでも崩れる事の無いのび太に対し
得体の知れない脅威を感じた准士官は警戒する様に腕を引っ込める……

振り下ろしたその拳からは水が滴っていた…!


准士官「……こいつッ!?体を『液体』にして今の攻撃を避けたのかッ!?」


のび太「『サンタイン』って道具さ……!!一粒飲めば体が『液体』になる…!」


准士官「…曹長のやつに渡した『ト口リン』ってやつも確か似た能力を…!」


のび太「あの道具、君が渡したのか…!」


准士官「俺や『中将』は道具の支給係だからな……」

196: 2012/05/14(月) 01:02:56.71 ID:OLTzbudd

のび太の頭の中に
相関図のようなものが浮かび上がってゆく……


10日前に戦った曹長の言動や行動から察するに
この組織は、部下が新たな人材を見つけワッペンを貼るシステム……


のび太〈ワッペンを貼られた後、道具を渡されそのまま戦いに向かう者もいれば……ドラえもんの『桃太郎印のきび団子』で洗脳されてしまう者もいるという事か…〉


のび太〈実際、即戦力要員であろうジャイアンなんかはバットを振り上げた時に隙が生まれるほど統率が弱かった……〉


のび太〈今朝戦った女の子はドラえもんによって直接道具が渡された、しかし彼女は『魔法事典』の能力でワッペンやきび団子の支配から逃れたって事か……?〉


のび太〈それより一番気になるのが出木杉だ。『桃太郎印のきび団子』で完全に洗脳されていた場合どうやって止めるべきか……〉


197: 2012/05/14(月) 01:04:37.48 ID:OLTzbudd

准士官「……他事でも考えてんのか?『液体』になっただけでもう勝った気でいやがる…気にいらねぇな……」


のび太「…僕も同じ手で苦労させられたんでね…これで君のパワーは封じ……!」


のび太が言い終える前に
准士官が呆れたように大きな溜息を付いた


准士官「……お前には『支給係』の意味がいまいち飲み込めてねぇようだな…」


のび太「…?」


准士官「下の者に道具を渡す役を任されるって事は…道具の編成も好きに任されているって事だ…」


准士官「自分で道具を管理出来るとしたら…てめぇの取り分をどうするよ……!」



のび太「………!」

198: 2012/05/14(月) 16:55:21.34 ID:OLTzbudd

准士官「遠近距離特化だけでは無く……俺はあらゆる事態を想定して自分の道具を選んだ…!!」


准士官は『ミニ・ブラックホール』を取り出し、その欠片を口に含んだ


※ミニ・ブラックホール
この道具を少し食べるだけでご飯を何杯も食べられるほど腹が減るようになる


のび太〈相変わらず戦闘用からは程遠い道具……今度は何をするつもりだ…?〉


准士官「鈍い奴だな……」


准士官「知ってるだろ?『ストロー』ってのはコップに入った飲料水を口に運ぶ為にあるんだ」


准士官は再び『ロケットストロー』を咥えた



のび太「…ま、まさか……!!」


199: 2012/05/14(月) 16:55:54.62 ID:OLTzbudd

准士官「ブラックホールにご招待だッ!!粉々になるんだなッ!!」


のび太「ウォォォォォォッ!!」


准士官が勢い良くロケットストローを吸い込む!
下水や砂埃をも巻き上げて
周囲の全てが准士官の口へと運ばれていく…!!



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・!!




のび太〈だ、駄目だ…ッ!この攻撃は…液体になった僕に対しての…言わば『最善手』ッ!!〉


のび太「の…飲み込まれる――――――ッ!!」


200: 2012/05/14(月) 16:56:14.33 ID:OLTzbudd

のび太「――――――…!!」



准士官「――――――ッ!!――――――ッ!!」



のび太「…………!?」



のび太が目を開くと
顔を真っ赤にしながら
咥えたストローを必氏に吸い込んでいる准士官がいた…



のび太「吸い……込まれてない……?吸引が止まった…!」



のび太「……ストローの吸引口に……ガムが引っかかってるのか……?」


201: 2012/05/14(月) 16:56:31.74 ID:OLTzbudd

准士官「ちくしょー……道端にガムなんか捨てやがって、ドアホ市民めッ!!」


怒りの赴くままストローを地面に叩き付ける准士官


のび太「ぐ、偶然にもほどがある……今度こそ駄目かと思った……」


准士官「ちっ…悪運の強い奴だ……!!」


のび太〈悪運……そうだった!『ツキの月』!効果は今も持続しているんだ!!〉


のび太「どうやら僕は幸運の女神に見放されていない様だ……!!」


のび太は取り寄せバッグからサンタインを二粒取り出し飲み込む…
液体だったのび太の体は、ぐんぐんとその形を元に戻していった…!


准士官「実体に…戻りやがった……!!」


のび太「『サンタイン』ってのは三態(さんたい)って言葉から来ているんだ。
     『液体』、『気体』とくれば、三錠目は当然『固体』に戻る…」


202: 2012/05/14(月) 16:56:49.62 ID:OLTzbudd

のび太「君には少し難しい話だったかな……?」


准士官「何を…!んぐ!!」バシャァ!!


のび太「口に含んだね…?…今の液体、『ブラックホール分解液』だ。」


准士官「な…何故おめぇがその道具を…!」


のび太「君が持ってるって言ったんだ、その『ミニブラックホール』、道具の管理を任されている身なら…」


のび太「当然『分解液』の方も持参してると思ってね、隙を見せた君から『取り寄せバッグ』で奪った…!!」


准士官「…!!」


203: 2012/05/14(月) 16:57:14.23 ID:OLTzbudd

准士官「まだだ…!俺には誰にも負ける事の無いパワーがっ!!」


准士官がのび太に飛びかかる…!


のび太「……君が事前に服用していたという『強力スーパーパワーゲン』」


のび太「あまり服用し過ぎると『くしゃみ』で人を吹き飛ばせる程のパワーになる…!」


のび太はバッグからコショウを取り出した…


准士官「…何ッ!?」



のび太「『爆発コショウ』だ!!『自分自身の』クシャミで遠くまで飛んでいけッ!!」


准士官「ウォォォォォォッ!!」



204: 2012/05/14(月) 16:57:32.10 ID:OLTzbudd

爆発コショウを振りかけられた准士官のくしゃみは
爆弾が炸裂したかの如く強烈な爆風を生み出し
准士官は遥か彼方まで吹き飛んでしまった…!


――――――…


のび太「『強力スーパーパワーゲン』で強化されたくしゃみだろうと……僕は『台風の複眼』で風を無力化出来る…」


のび太「『爆発コショウ』も本来なら使用者自身を飛ばすほどの設計はされていない……」


のび太「……みんなに……自分勝手に道具を使わせるから……こんな惨い結末を生む事になるんだ……」


のび太「許さないぞ……僕はドラえもんの事…絶対に許さないぞ……!」



敵を哀れんでいる暇は無い…
諸悪の根源と決着をつける為、のび太は再び走り出す

静けさを取り戻した住宅街の一角…
そこには、准士官の着ていたジャケットだけが空しく横たわっていた…


206: 2012/05/14(月) 18:01:11.19 ID:OLTzbudd


――――――…



のび太「街を抜けてからだいぶ経ったけど……!!」


のび太「段々距離が近づいて来たぞ……!!」



ドラえもんとの距離を徐々に詰めていったのび太だが
ここに来て一転、憂慮すべき事態に陥る…



のび太「ハァ…ハァ……」


のび太「な…なんだ…ドラえもんの奴…」


207: 2012/05/14(月) 18:01:33.19 ID:OLTzbudd

のび太「さっきまでこっちの方角…『西側』にいた筈だぞ!?」


のび太「真逆だ…今は『東』にいる……!」



のび太〈罠に気付かれたか――――――…ッ!?〉



のび太は進路を変えようと来た道を振り返る…
しかし…


のび太「今度は北ッ!!」



208: 2012/05/14(月) 18:02:45.40 ID:OLTzbudd

10日前から仕込んだ罠…
雲を掴むような話から始まり
やっと討つべき好機が訪れたというのに…!


のび太「くそ~…ここまで頻繁に移動されちゃ…!」


のび太「―――ッ!!」


それはドラえもんに気を取られていた一瞬の出来事であった…
違和感を感じたのび太は自分の足元へと視線を下ろす…



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・




のび太「この……足の刺し傷は……何だッ!?」


209: 2012/05/14(月) 18:03:13.58 ID:OLTzbudd

知らぬ間に足をやられてしまった事で体勢が崩れ
無防備の状態でその場に倒れてしまう

しかし、それよりものび太が恐れたのは…


のび太〈……今…僕は、刺されたのか…!?〉


のび太〈全くだ……全く気配を感じなかった……!!〉


バッグから『警察犬つけ鼻』を取り出し着用しようとしたその時…!!
のび太に無数の刺し傷が襲う!!



のび太「っ……!!まずい……!『タイムふろしき』で傷を……!」


210: 2012/05/14(月) 18:03:45.10 ID:OLTzbudd

真新しい傷口を風呂敷で押さえながら
のび太は思考をフルに回転させていた…

平静を保とうとする程、いつもより早い動悸が焦燥感を煽る…
それは、この攻撃を突破する糸口が掴めなかったからに他ならない…

現在、自分を襲っている敵が
今まで戦ったどの相手よりも『格』が違う事を認識せざるを得なかった


のび太〈攻撃が止んだ…追撃してこない……!?〉


のび太「考えられるとすれば遠距離からの攻撃……しかし……!」


再び激痛が走る…
今度は腕から血しぶきが上がった…!


のび太〈傷を付けられている方向が毎回違うッ!!この敵は近くに居る―――ッ!!〉


211: 2012/05/14(月) 18:04:21.52 ID:OLTzbudd

のび太は腕を治す為、視線を下ろす――――――…




ガヤガヤ・・・ガヤガヤ・・・




のび太「――――――…何の…声だ……?」





┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨




のび太「――――――……!」



212: 2012/05/14(月) 18:04:46.28 ID:OLTzbudd

のび太〈……僕は街の本道を抜けて住宅街へと入った……!〉


のび太〈そして『准士官』を倒して……!ドラえもんを探して…――――〉


のび太〈それまでに僕は何かされていたのか……?〉


のび太〈い…いや、僕の意識は…!僕は至って正常だった!〉


のび太〈それなのに何故だ……?何故、僕はここに――――――



「―――――さぁ今週のミュージックチャンネル!如何だったでしょうか?」



バァ――z___ン!!




のび太が立っていた場所は
先程時間を潰していた街の本道であった…!


213: 2012/05/14(月) 18:05:34.44 ID:OLTzbudd


――――――……



スネ夫「ああっ、あそこ!ねぇジャイアン!!」


ジャイアン「あれは…!のび太!?おい、どうしたのび太!!しっかりしろぉ!!」


抜け出したのび太の安否が気にかかり、街に繰り出した二人は
街からやや離れた裏通りにて、電柱にもたれ掛かる様にして倒れていたのび太を見つける…

意識を確かめるように二人が必氏に肩を摩るも
のび太のその目は焦点が合う事無く宙を漂い 表情は燃え尽きた炭の如く困憊しきっていた…


スネ夫「僕が…僕が単独行動を許したばっかりに……!」


ジャイアン「スネ夫!悔やむのは後だっ!とりあえずここはまずい…担いで家にかえっぞ」


?「そういう訳にはいかんな…」


スネ夫・ジャイアン「!?」


214: 2012/05/14(月) 18:05:59.92 ID:OLTzbudd

ジャイアン「なんだよオッサン!こいつは…のび太は俺達の…!!」


ジャイアンの言葉を遮るように男は手帳を見せる…!


スネ夫「ジャイアン……本物の警察だよ…!」


ジャイアン「…っ!」


警部「7月13日に学校で起きたテロ事件…この子はその重要参考人なんだ…」


警部「君たちに憎まれても構わない。だが私は、テロに巻き込まれた自分の子供の無念は晴らしたいと思っている…!!」


スネ夫・ジャイアン「……!!」


警部「事件解明の糸口を見つけたい。悪いが、この子は連れていかせてもらうよ…」


ただならぬ男の熱意と気迫に
二人は何も言い返す事が出来なかった…


215: 2012/05/14(月) 18:06:24.85 ID:OLTzbudd


―――――それから一週間が過ぎた…



朝日が街に差し込むより少し前…


二つの人影が街道を歩く…


男「本当に…覚悟はできてるんだろうな…」


街頭にぼんやり照らされた訝しげな表情が
もう一人を見据えて言った…


女「あたり前だろ?チャンスがあるとすれば今日さ…」


女が頷く様に答える
その右手には 透明な刃物が握られていた


女「今日…あたし達は自由になるんだ…!」


216: 2012/05/14(月) 19:13:13.46 ID:OLTzbudd

――7月30日、朝――――――…



ー留置所ー


警部「あの子は…あれからどうかね」


担当刑事「体調は大分回復した様ですけど…」


警部「依然、口は開かず…か」


担当刑事「ええ…」


警部「ふむ、困ったな…」



217: 2012/05/14(月) 19:13:40.96 ID:OLTzbudd

のび太は警察に身柄を拘束され
留置所で取調べを受けていた…

逃げようと思えば『通り抜けフープ』等で逃げる事も出来た
しかし、スネ夫やジャイアンに被害が及んでしまう事を思えば
留置所の方がいくらか安全と考え、踏み止まる

ここにいればドラえもんも襲ってはこない……


のび太〈もう……全部…疲れた………〉


いつもの様に、とある一室に呼び出され取調べが始まる…


我が子の仇を討たんとばかりに必氏に訴えかける警部
それでも、のび太は頑なに口を閉ざす…


無関係の者を巻き込みたくない
何よりのび太自身、この戦いを続けられる精神状態ではなかった…


218: 2012/05/14(月) 19:14:17.38 ID:OLTzbudd

いつも通りの空虚な時間が過ぎ
雑居房に戻るのび太

のび太〈おなかすいたな……ご飯にしよう………〉

留置所での食事は少しの自由が許されており
自費で出前を取ることも出来る

のび太は『グルメテーブルかけ』で注文し
自分で食事を用意していた…

標高7000メートル以上ともあろう高山から削り取った氷で冷やしたグラスに
遥か山脈の地中深くから汲み上げた良質な天然水を注ぎ、食事中はそれで水分を摂る

前菜はイタリア料理
生ハムやサーモン等を特製ソースで和えたサラダで始まり
パスタ、リゾットとその日の気分で一皿目を注文

フランスの最高峰グラニデ〈冷菓〉で口直しの後
メインディッシュのヴィヤンドに移る
こちらもフランス料理であり
皿に飾り付けられた華やか彩りは殺風景の留置所にどこか気品を持たせる……

それらを一通り食したのち
三ツ星レストラン専属のパティシエまでもが舌鼓を打つという最高級ケーキを一切れ…

食後のティータイムを楽しみ
『グルメテーブルかけ』の前で両手を合わせ深々とお辞儀をすることで
のび太の一食は終わる……


219: 2012/05/14(月) 19:14:48.63 ID:OLTzbudd

男「軽い気持ちでつまんでみたら……何と豊穣極まりない味!」


のび太「……」


隣でつまみ食いをしながらのび太を茶化すボサボサ髪の男…
同じ雑居房に住む同居人である


男「あんたも強情だね…毎度取調べを受けても相変わらず黙り込んでるらしいじゃないか…」


男「無関係ならありのまま吐いちまえばこんな豚箱から抜け出せるのに…」


男「この無愛想&物好き野郎めっ、このっこのっ…」グイグイ


のび太「………」


男「あーーー……退屈だ………」


220: 2012/05/14(月) 19:15:22.07 ID:OLTzbudd

男「……あんたはどんなヤマに首つっこんだんだ?」


のび太「…………」


男「俺はさ……クラッキングってやつさ………」


男「半月前……行政機関のサーバーにアクセスして……ある男の個人情報を抜き取った……」


男「……そいつは俺達の…大切な人の命を奪ったのさ………!」



――――――突如、見張りの警官達が慌しくなる…!

牢の前を次々と駆ける警官…
遠くの部屋から警報のような音が響いてきた……!


男「俺達は特定した……その男は…先日中学校で起こったテロ事件の組織に勧誘された一人だってな……!」


のび太「…!!」


221: 2012/05/14(月) 19:15:47.55 ID:OLTzbudd

男「奴は人の命を奪っておきながら今もこの街で生きている………!」


男「だから俺達は……復讐するのさ…!」  ボゴォンッ…!!


雑居房の壁が破壊される…!
崩れた横穴から出てきた男がこちらに手招きをしている

その上着には 半分に破れた『大尉』のワッペンが貼られていた…!


大尉「よぉ……豚箱生活ご苦労さん。」


のび太「まさか留置所にまで刺客を向けるとは……!!」


男「待て、こいつは俺の仲間だ…あんたを此処から出してやる。その代わり、力を貸して貰いたい…!」


のび太「誰がそんな事っ…信じられるとでも…!!」


大尉「何か勘違いしてる様だが……俺達は道具の力が欲しいだけで、てめぇを助ける義理なんて無ぇんだぜ…!」


大尉が腰に差した鞘から刀を抜き取る……!


222: 2012/05/14(月) 19:16:40.40 ID:OLTzbudd

男「二人とも落ち着いてくれ!」


男が二人を静止する


大尉「ちっ…仕方ねえ……」


男「悪いな…少し時間をくれ……」


のび太は『うそ発見器』を取り出し、二人にいくつか質問をした…
ワッペン以外に洗脳されていないか、逆スパイではないか…
しかし、うそ発見器が反応する事も無く 二人の述べた事が真意であると証明された


男「『野比 のび太』…あんたと出会ったのは偶然。いや、俺達にとっちゃまさに『奇跡』ってやつだ……」


男「あんたがいなきゃ『少佐』は倒せないんだ…頼む…!」


のび太「………」


223: 2012/05/14(月) 19:17:54.85 ID:OLTzbudd

男「……俺達は、そりゃ所詮ただの他人だよ………」


男「あんたが戦いから逃げてるだとか……人の心に土足で踏み込むような事は言わない………」


男「だけど…この組織のボスは例え、危害を加えようとしなくたって無関係の人間に仇なしていくぜ…」


男「先日の無差別テロのように……いずれあんたの周りの人間にも、だ……!!」


男「あんたは自分が此処にいた方が安全だと思うかもしれない…だけど、守れたはずの命が守れずに失っていくなんて……あんたには耐えられるか!?」


のび太「………っ!!」


のび太は男の差し出した手を掴んだ…!


男「行こうぜ……!戦いを終わらせにな……!」


224: 2012/05/14(月) 19:18:37.99 ID:OLTzbudd

「脱走だ!!取り押さえろ!!」


警官達が入り乱れ出入り口を塞ぐ…!


大尉「おっと…そうはいかねえ…!」


大尉は懐から取り出した手帳を
警官隊の目の前にちらつかせた


大尉「『PASSPORT OF SATAN』……読めるな?俺達の悪行を見逃せ」


「ぐぬぬ……!!ここは異常無し!通っていいぞっ!」


225: 2012/05/14(月) 19:18:55.10 ID:OLTzbudd

『悪魔のパスポート』を提示すれば、どんな悪事を働いても免罪になる
その先入観がわずかな弛緩を招く…

三人が留置所から出ようとしたその時である


――――――パァン!!


背後から響く発砲音と共に男がその場に崩れ落ちた…!



警部「何を……したか知らんが…!!ここは……通さん………!」


大尉「おい…!冗談じゃねぇぞ!!しっかりしやがれ!!」


男「う……うう………!」ドクドクドク・・・


大尉「他の警官の頭に隠れて『悪魔のパスポート』が見えなかったのか……!?」


226: 2012/05/14(月) 20:21:21.96 ID:OLTzbudd

警部が再度、男に銃口を向ける…!


大尉「こいつ!?『悪魔のパスポート』が通じねぇ…!」


再び留置所に鳴り響く発砲音!


しかし今度は着弾する事無く
その銃弾はのび太の手の平の中に吸い込まれた…!


のび太「危ない……銃弾はこの『ブラックホールペン』で描いた黒丸の中に吸い込ませた…!」


大尉「……!」ワナワナ…


のび太「今はこらえて早くここを出よう大尉…!男の怪我なら道具で治すことが……!」


227: 2012/05/14(月) 20:25:24.54 ID:OLTzbudd

のび太「待つんだ大尉!!」


大尉「てめぇ!!!」


大尉が刀を抜き警部に斬りかかる!


ズバッ!!


警部「ぐああああ………!」


そのままとどめを刺そうと大尉が切っ先を警部に向けた瞬間…
刀が、背後まで迫った『空気ピストル』の衝撃を弾き落とした!


大尉「……何のつもりだ!邪魔をするな!!」


のび太「もうやめるんだ!次、その警部に斬りかかったら今度は僕が『空気ピストル』でこの男の傷口を撃つ…!!」


大尉「ちっ…!」


228: 2012/05/14(月) 20:26:17.19 ID:OLTzbudd

ー外ー



大尉「――――――…ここまでくればもう大丈夫だろ…」


男「迷惑かけたな……」


のび太「怪我は大丈夫かい……?」


男「もう心配無い。助かったぜ。」


大尉「これから『中尉』と落ち合う予定になっている……中尉つっても俺が命令してお互いにワッペンは破いてあるけどな。」


男「女〈中尉〉を迎えにいってくる!二人はそこで大人しく待っててくれよ!」


大尉「頼んだぜ…俺達も一緒に移動したいが『少佐』に見つかった時点でアウトだ…」


229: 2012/05/14(月) 20:26:36.02 ID:OLTzbudd

男が女〈中尉〉を迎えに車を発進させる…

のび太は車が見えなくなった事を確認すると
来た道を再び引き返し始めた…


大尉「どこへ行く……!」


のび太「決まってるだろ…!警部の傷を治しに行く!!」


大尉「留置所に戻るのかっ!?」


のび太「あの傷は重症だ!僕の道具なら治せる!!」


大尉「バカが!!俺達がこの計画の為にどれだけ苦労したと思って…!」


のび太「……知らないよ、そんな事……!」


大尉「何だと……っ!!」


230: 2012/05/14(月) 20:27:21.39 ID:OLTzbudd

のび太「……お前が斬ったあの警部だって……被害者なんだ……!!」


のび太「…自分の子供が……学校でテロに巻き込まれていたんだよ!!」


大尉「…!!」


のび太「お前達からすればあの警部は……自分達の『障害』に見えたかもしれない…!!」


のび太「けどね……あの人だって必氏に悩んでいたんだよ…!あんな道具なんかに屈しない程にね……!!」


大尉「……」


のび太「どいつもこいつも同じだ!傲慢な考えで自分を納得させて…現実が見えていないのはどっちの方だ!!」


のび太「お前達が自分勝手に行動するなら……僕も好きにさせてもらう!!」


231: 2012/05/14(月) 20:28:41.34 ID:OLTzbudd

大尉「水と油だな……相容れない仲って事だ…!」


大尉が刀を抜く…!


大尉「傲慢かまして行こうってんなら……お前の道具だけは置いて行って貰う…!」


のび太「…!!」


大尉「思い通りにしたいんなら……実力で語るんだな……!」


のび太「戦うことでしか…互いの気持ちを交わすことが出来ないのか…このわからず屋!!」



のび太はジキルハイドを取り出すも
それらを踏み潰した…!


のび太〈こんな仮面の人格にはもう頼らない…!!自分で考え、こいつを出し抜くッ!〉


232: 2012/05/14(月) 20:29:25.92 ID:OLTzbudd

のび太〈あの刀は……名刀『電光丸』だ…!!〉


※電光丸
この刀にはレーダーが内臓されており
たとえ目を閉じていても襲ってくる相手の動きを自動的に探知し、撃退する


のび太〈『黄金バット』と違い、振る意思は必要ない。いわば『超反射』!!〉


のび太〈ならば…!!〉


のび太は『がん錠』を口に放り込む…!


のび太〈体の強度を『鉄』にして……あの刃をあえて受けて止める……!!〉


大尉「何を……ッ!?」


233: 2012/05/14(月) 20:30:00.81 ID:OLTzbudd

振り払った大尉の刀がのび太の脇腹に
ズブズブとめり込んでいく…!


大尉「…こいつッ!?自分から刀に突っ込んで…!」


のび太「体の強度を固めれば…肉体に食い込み徐々に勢いを失った刃は急所に達する前に『止まる』…!」


大尉「…!」


のび太〈いくら自動で追撃する刀でも、刀身が動かなければその機能を……!〉


大尉「その覚悟は認めてやる……だがな!」


のび太「!?」


のび太の胴体に大尉の拳が炸裂し
その体を三件先まで吹っ飛ばした…!


234: 2012/05/14(月) 20:30:33.78 ID:OLTzbudd

大尉「ちっ……隣の通りまでぶっとばしちまった……!」


大尉「やつの覚悟、相当なもんだ……徹底的に仕留めておかないと、いずれ『障害』に成りかねん……!」



――――――――――――…



のび太「ゴホッ!………とりあえず……回復を……!」


のび太は自身の傷口にタイム風呂敷を被せる…!


のび太「奴の指に…『ウルトラリング』をはめられているのが見えた………」


のび太〈あの道具で得られる腕力は『スーパー手袋』以上……飛び道具で仕留めなければ…!〉


しかし、大尉の『電光丸』は飛び道具であろうと自動で探知し、阻止する機能が備わっている……
レーダーでのび太の位置を特定し、追い詰められるのも時間の問題であった……!


のび太「考えろ……!奴にダメージを与えるには…ッ!!」


236: 2012/05/14(月) 21:27:44.18 ID:OLTzbudd

大尉〈見つけたぜ………!〉


のび太「後ろかッ!?」


大尉「これで終わりだ…!」


大尉が背後からのび太の間合いに詰め寄り
刀を引き抜く…しかし!


大尉「……浅かったか…いや、『逸れた』!?」


のび太の急所を捉えたはずの刀は上へと逸れ
そのダメージは致命傷には至らなかった


のび太〈くそ…!『電光丸』がここまで反射的な速さで動くとは…!〉


237: 2012/05/14(月) 21:28:00.65 ID:OLTzbudd

大尉が疑念を抱いたと同時…
電光丸が独りでに動き出す…!


〈カツカツカツカツ……〉


大尉「何だ!?『電光丸』が勝手に……!それにこの音は…何を斬っている…!?」


電光丸が四方八方に空を斬りつける
その刀身は氷の粒を弾いていた…!


大尉「これは『氷』…?『雹』が降っているのか…!?」


のび太「……殴り飛ばされた後、お前が来るまでに『お天気ボックス』で2分だけこの一帯に『雹』を降らせる様に設定しておいた…!」


大尉「…!!」


のび太「電光丸は、この『氷の粒』も探知せざるをえない…!」


238: 2012/05/14(月) 21:28:36.17 ID:OLTzbudd

のび太〈だけど…降り注ぐ氷を弾きながらも電光刀は僕に傷を負わす事が出来た…!〉


のび太はもうひとつの道具を取り出す


のび太「あらゆる手を使って…電光丸の隙を大きくしなければ…!」


※ころばし屋
小さなロボット。十円玉を入れてターゲットを指名するとどこまでも相手を追いかけ
手にした拳銃状の武器を使って必ず3回転倒させる


のび太「『ころばし屋』…目の前の男を三回転ばせるんだ!」


大尉「!」


のび太「そして更に!僕も『空気ピストルの元』を使って、各指から『空気の弾』を撃つ……!」


239: 2012/05/14(月) 21:28:59.40 ID:OLTzbudd

上空から降り注ぐ氷の雨、『ころばし屋』の銃弾
そして『空気ピストル』…


ありとあらゆる飛び道具が大尉を襲うも、全く隙を見せる事無く
電光丸は全ての攻撃を弾いていく…!


そして、その時が訪れた…


大尉「…上がったぜ……『雹』…!」


大尉の突き出した電光丸がころばし屋を貫く…!


大尉「あとはお前だけだ……!」


のび太「……!」


240: 2012/05/14(月) 21:29:14.96 ID:OLTzbudd

大尉「あらゆる飛び道具も……どうやらただの時間稼ぎにしかならなかった様だな…」


のび太「…その通りだよ、2分稼げただけでも十分な成果だ!」


大尉「バカが……時間稼ぎで俺は倒せねぇぞッ!!」


大尉が襲い掛かる瞬間…!
のび太は道路に設置してあった大きなビニールの袋を投げつけた!


大尉「そこらの物を投げつけた所で!!この刀に敵うかよッ!!」


電光丸が袋を撃墜する…!
破けた袋の中から粉のようなものが飛散した…!


大尉「何だこれは……目暗ましのつもりか?」


241: 2012/05/14(月) 21:29:31.24 ID:OLTzbudd

のび太「かかったなッ!!」


大尉「!?」


のび太の指先からほどばしる電流が
電光丸を通して大尉の体内に流れ込む……!


大尉「う……ッ!?」


のび太「時間を稼いだのはこの『蓄電スーツ』の電流を溜める為さ!!」


※ちく電スーツ
着用して動き回ると静電気が起き、スーツに電気がどんどん蓄積されていく。
専用のアースを付けておかないと電気がたまりすぎ、1万ボルトを超えた放電が始まる


大尉「……だが、電流如きで俺がダウンすると思ったら大間違いだ…!」


242: 2012/05/14(月) 21:29:58.18 ID:OLTzbudd

のび太「何も感電させて倒そうだなんて思っちゃいない!!」


のび太はバッグから『黄金バット』を取り出し
大尉に振り下ろした!



バリィィィィィンッ!!




大尉「――――――――――――…………馬鹿な……」





電光丸は黄金バットと共に
粉々に砕け散った…!




のび太「…これで…勝負あった……ッ!」


243: 2012/05/14(月) 21:30:39.10 ID:OLTzbudd

大尉はしばらく放心していた…


電光丸とともに
これまで自身を支えていた
復讐心までもが打ち砕かれたような錯覚を覚えていたのである…


大尉「一撃で刀がへし折られた………」


大尉〈奴は……一体何をしたんだ…!?〉



のび太は蓄電スーツの専用アースを取り付け終えると
大尉に向かい合った


のび太「1週間前の話だ……」


244: 2012/05/14(月) 21:30:59.04 ID:OLTzbudd

のび太「真夏にも関わらず、この街は深さ1メートル半以上もの猛吹雪に見舞われた…」


大尉「……?」


のび太「たった数時間で雪は止んだけれど…その後も分厚い雲は北上を続け、他の地域にまで微量ながら雪を降らした…」


のび太「各地域は異常気象を懸念して……道路にこの袋を設置していたのさ…!」


のび太は先程投げつけたビニール袋を拾い上げて見せた


大尉「融雪剤……だと?」


のび太「融雪剤の主成分は塩化カルシウム……袋を撃墜した時、その粉は雹で濡れた電光丸に染み付いた…!」


のび太「後は蓄電スーツで電流を流し込めば……微弱ながら反応を起こしたその刀身は劣化する…!!」


大尉「………!!」


のび太「昔は融雪剤で車のサビが云々……留置所ではくだらない話しか耳に入ってこなかったけど…人の話は聞いておくもんだね……」


245: 2012/05/14(月) 21:31:24.83 ID:OLTzbudd

「――――――――そこまでだっ!」



後方から不意に発せられる怒声……



男「何をしているんだ二人とも!大人しくしておけって言ったじゃないか…!」


女「おっと、動くなよ…男もあたしがやる事に余計な口を挟むな…いいな?」


のび太「………ッ!」


振り返ると
先程の男に中尉と思われる女…そして…


のび太「スネ夫……捕まってしまったのか……ッ!?」


246: 2012/05/15(火) 17:29:56.27 ID:543K2UQJ

女「見ろ…あたしの言う通り人質を用意しておいて良かった…!」


男「おい!落ち着け!今『少佐』にこの事が気付かれたら……」


女「黙りな!どの道あいつが仲間にならないんじゃ全員あの世逝きだよ!!」


女「だから…汚い手でも何でも使ってあいつの道具を奪うまでさ…!!」


女がガラスのような透明の刃を
スネ夫の首筋に突きつける…!


スネ夫「あ…あわわ………」ガクガクブルブル


女「大尉、あんたが負けるなんてね……如何にそこの男が危険かわかったよ…」


大尉「面目ねぇ……」


女「構いやしないよ……あたしが何とかする…!!」


247: 2012/05/15(火) 17:30:45.54 ID:543K2UQJ

女「道具を差し出せば、この人質の命は助けてやる…!」


のび太「……!」


女「差し出す気が無いなら……こいつもお前も始末して道具を奪う!」


男「無茶苦茶だぞ女!……第一道具を奪ったとしても使い方を覚えている猶予は……」


女「あんただってわかるだろ!やっと奴を裁ける兆しが見えてきたんだ…その為ならあたしは容赦しない…!」


男「……っ!」


女「さぁ、好きなほうを選びな…!!」


のび太「僕は……!」


248: 2012/05/15(火) 17:31:12.81 ID:543K2UQJ

のび太は取り寄せバッグからスネ夫をとりよせた!


スネ夫「のび太ぁぁ~~!」


女「!?」


のび太「スネ夫!泣いている暇は無い!!逃げよう!!」


のび太はスネ夫を担ぎ
その稲妻ソックスの足で逃げる…!


女「残念だけど…!あたしの攻撃からは逃げられないよ!!」


女はその手に持つ
透明の刃を放り投げた…!


249: 2012/05/15(火) 17:31:50.53 ID:543K2UQJ

三人を撒くべく、道行く道を曲がり
街を全速力で駆け抜けるのび太…しかし!


スネ夫「の…のび太…さっきからおかしいぞ…この『刃』は!!」


のび太「!?」


先程投げられた透明の刃は
ぶれる事無くのび太の後を追従する…!


のび太「僕らの後をピッタリと付いてくる…これは『エースキャップ』でコントロールされた物だッ!!」


スネ夫「名前の響きだけで…な…何だか嫌な予感がするよ…!!」


のび太「そう…エースキャップを被って投げた物は、狙ったところに必ず命中させる事ができる…!」


スネ夫「ど、どうやって避ければいいんだよそんな道具!?」


250: 2012/05/15(火) 17:32:09.53 ID:543K2UQJ

のび太は立ち止まり
向かってくる刃と向き合う…!


スネ夫「う…うわぁ危なぁぁぁい!!」



ザクッ!



スネ夫「……………?」



スネ夫が恐る恐る目を開けると
透明の刃はのび太の持つグローブのミットに収まっていた…!



のび太「『がっちりグローブ』……悪送球だろうと、このグローブは飛んできたものを全て受け止めるッ!!」


251: 2012/05/15(火) 17:32:46.76 ID:543K2UQJ

のび太「だ…だけど…ッ!!」


のび太の手の平から血が溢れ出す…
その手には透明の刃が突き刺さっていた…!


のび太「ミ…ミットにきっちり収まると言っても……掴むタイミングは自分で調整しなきゃあならない…ッ!!」


スネ夫「手が貫かれてる…あわわ……」


のび太「これぐらいの傷ならタイム風呂敷で治せるからいいんだけど……痛ッ……!」


のび太は突き刺さった刃を引き抜いた後
貫かれたがっちりグローブを破き、脱ぎ捨てた…!


のび太〈それにしても…この透明の刃は何だ……?硬度は『鉄』並だけど、この独特な手触りは……?〉


252: 2012/05/15(火) 17:33:07.43 ID:543K2UQJ

スネ夫「の……のび太…あ、あれ……」


スネ夫が指差す先…
そこには複数の新たな刃が、まっすぐとのび太達を目指し飛んで来ていた…!



のび太「スネ夫……『透明のナイフ』って…どこの店で取り扱ってると思う…?」


スネ夫「し、知らないよそんなの!大体『透明のナイフ』なんて危なっかしくて……!!」


のび太「そう、その通りだ…だけどあの『中尉』はそんな珍しい物を何故これほど持っているんだ…?」


スネ夫「う…うわぁ命中するぅぅぅぅッ!!」


253: 2012/05/15(火) 17:33:28.36 ID:543K2UQJ

スネ夫「……………?」



スネ夫が恐る恐る目を開けると
今度はのび太が杖を掲げていた…!



のび太「旧約聖書のモーゼは…エジプトで奴隷として虐げられていたユダヤ人を率いて脱出する際、海を2つに割ったという…」


スネ夫「な……なんだ……?飛んできた刃物が僕らを逸れていくぞ…!?」


のび太「この『モーゼステッキ』は海を割ったモーゼの伝説のように……『水』を寄せ付けない…ッ!」


のび太〈思ったとおり…!これはただの刃物じゃあ無い…『水加工用ふりかけ』で作られた『水』の刃物だ!!〉


※水加工用ふりかけ
水に振りかけると好きなように加工できる
粘土、スポンジ、鉄ふりかけ等、種類は様々


254: 2012/05/15(火) 17:33:47.64 ID:543K2UQJ

スネ夫「す、すごいじゃないか!のび太のくせに頼もしいや!!」


のび太「だけどこの『モーゼステッキ』……何時、電池が切れるかわからない…」


スネ夫「…へ?」



のび太達に第三波の刃が押し寄せる…!



スネ夫「お、おい!これじゃ何時刺さるか……!」


のび太「『水よけロープ』を使おう。このロープを結んでその輪の中に入れば水を寄せ付けずに済む」


スネ夫「始めから出しとけやい!そういうのは!」


255: 2012/05/15(火) 17:34:05.45 ID:543K2UQJ

女「様子を見に来てみれば……中々しぶといね…!」


投げた刃物の道筋を辿り
中尉がのび太達に追いつく…!


スネ夫「き、来た…!!」


のび太「大丈夫……!『水よけロープ』には電池切れとかそういうのは無い…!」


女「なるほどね…あたしのナイフが『水加工用ふりかけ』で作られた物だと見抜いたのか……!」


中尉の攻撃を凌いだのび太だがその警戒を緩める事は無かった…!

一週間前に戦った准士官は
『強力スーパーパワーゲン』、『ロケットストロー』、『ミニブラックホール』を所持していた…

准士官より上の階級である中尉が見せた道具は『水加工用ふりかけ』に『エースキャップ』……つまり…


のび太〈この女は少なくとも……あと1つ道具を隠し持っている事になる……ッ!!〉


257: 2012/05/15(火) 18:15:40.03 ID:543K2UQJ

女「水が駄目なら……こいつを喰らいな!!」


女が新たな道具を繰り出す…!!



のび太「あれは…『誘導ミサイル』だッ!!」


スネ夫「うわぁもう勝てっこないよぉぉぉ!ママーーーーッ!」


のび太はスネ夫を担ぎ込むと
全速力で逃げ出した…!


258: 2012/05/15(火) 18:16:04.77 ID:543K2UQJ

スネ夫「どうするんだよぉぉのび太!!」


のび太「『誘導ミサイル』の特性は確か……!!」


高級住宅街に逃げ込んだのび太達は
敷地内に停めてあったリムジンの屋根に飛び乗り
『通り抜けフープ』で車内へ飛び込んだ!



スネ夫「フーっ…フーっ…!!」


のび太「『誘導ミサイル』は障害物を突き破ってこない…!この鉄の密室ならひとまず安全だ…!」


誘導ミサイルはのび太達のなだれ込んだ
リムジンの前でピッタリと静止した


259: 2012/05/15(火) 18:16:26.31 ID:543K2UQJ

女が再び繰り出したであろう無数の水ナイフが
リムジンを直撃する!!


スネ夫「!!このリムジン、『防弾仕様』か……ひとまず助かった……」


のび太〈助かったけど……この猛攻をどうやって避わす…!?〉


戦えないスネ夫を安全な所まで逃がし、尚且つ猛攻をかい潜り中尉に近づく……
のび太はこれまでにない選択を迫られていた…!

相手がエースキャップを持っている以上、投げ物はどこまでも追ってくる
スネ夫を逃がす為、距離をとってしまえば相手を見失い
こちらにはまず勝ち目が無くなる
近くにいる今だけが唯一のチャンスであった…!


のび太〈今、中尉に近づけば勝てるかもしれない…だけどスネ夫をどうやって守ればいい………!?〉


のび太〈『サンタイン』でスネ夫を『液体化』させておいたとしても……誘導ミサイルで『吹き散らかされる』様な事があればスネ夫は……〉


260: 2012/05/15(火) 18:16:53.00 ID:543K2UQJ

のび太「…スネ夫、まだ車から出ちゃあ駄目だ……!!」


スネ夫「あ、ああ…わかってるさ……!」


スネ夫は車内の席を左右に移動する


のび太「スネ夫…?一体何をしてるんだ……?」


スネ夫「なぁのび太……この外にあるミサイル…空中で止まったまま動かないけど…」


のび太「そりゃあそうさ……『誘導ミサイル』は障害物を全て回避してターゲットに直接着弾するように出来てる……」


スネ夫「じゃあ、このミサイル……どっちが『ターゲット』だと思う……?」


のび太「……?」


261: 2012/05/15(火) 18:17:12.88 ID:543K2UQJ

スネ夫「僕は出た後の話をしているんだぜ…!」


のび太「……!?」


スネ夫「防弾仕様といっても…何回も同じ箇所にナイフをブチ込まれたらこのリムジンもおしまいだ…」


のび太達が話している間も水ナイフは次々と繰り出されている…
丁度、そのひとつが車の天井に突き刺り、車内にまで深く食い込んだ…!!


のび太「!!……確かに……車がつき破られるのも時間の問題だ…」


スネ夫「この状況を突破するには…『中尉』を直接叩く以外に方法は無いと僕は思う……!」


のび太「!」


262: 2012/05/15(火) 18:17:54.53 ID:543K2UQJ

スネ夫「僕らが二手に分かれれば…!その分のび太の負担が減ってあの女の所まで距離を詰める事もできる!」


のび太「スネ夫、君は……!」


スネ夫「僕がなるべく時間を稼ぐ…!だけどこのミサイルがもし道具を持ってない僕に矛先が向いているとしたら…!」


外に出た瞬間スネ夫は瞬殺され
のび太は二人分の猛攻を掻い潜って中尉に近づかなければならない事になる…


スネ夫「僕が人質にならなけりゃ君にこんな苦労をさせる事もなかった……僕は何て非力なんだ………」


のび太「いや…僕は大変な誤解をしていたよ…!」


スネ夫「のび太…?」


のび太「君が『戦う意思』を示してくれたおかげで…!僕の迷いは晴れた!」


263: 2012/05/15(火) 18:18:18.37 ID:543K2UQJ

天井に食い込んだいくつかの水ナイフの効力が切れ始める…
上から徐々に滴り落ちる水…
次にこの隙間を狙われたらひとたまりも無い状況であった


のび太「勝機なら…ある!……というより…君のおかげで今思い浮かんだ!」


スネ夫「本当か!?」


のび太「君も一緒に戦ってくれるかい……?」


スネ夫「勿論協力させてもらうけど……この状況でどうすりゃいいんだ…?」


のび太「……この水が良い……!」


スネ夫「?」


のび太「この隙間から滴る水がいいんだ!いいかい…」

264: 2012/05/15(火) 18:18:46.32 ID:543K2UQJ

水ナイフによりとうとう車は突き破られ
誘導ミサイルが再び作動する…!

しかし、車内は既にのび太達の脱出した後であった…!


―――――――――……



女「……反応が無いから仕留めたと思ったけど……ナイフの軌道が変わった……!」


大尉「……」


女「また逃げたのか……それとも…!!」


男「おい女!いい加減にしろ!!」


女「何だい…!口出しなら受け付けないよ…!」

265: 2012/05/15(火) 18:19:09.36 ID:543K2UQJ

男「大尉も何か言ったらどうなんだ!」


大尉「俺には何も言える資格はねぇ……けどよ、俺達の思いはこんなもんじゃねぇ筈だ……」


男「…!」


女「……あいつは牢を出るときに、ちゃんと協力を承諾してくれたんだろ?」


男「あ、ああ……大体話したけど……」


女「あいつは私達の心境を知りながら、それを蹴ったんだ……他に目的があるなら…相応の思いを示してもらわないと……!」


女「あたし達が……バカみたいじゃないかッ!!」


?「まったくだ!!お前達は…大馬鹿野郎だよ!!」


三人「!?」

266: 2012/05/15(火) 19:35:14.60 ID:543K2UQJ

三人が後ろを振り返ると
そこにはのび太にもスネ夫にも似た奇妙な男が佇んでいた…!


大尉「何だこいつは!?」


女「背後に回られた…何時の間に!?」


振り返りざまに女が放った水ナイフや誘導ミサイルを
奇妙な男は全て空気ピストルで弾いて見せた…!


男「は……速い…!!」


女「……何者だお前は!!」


?「僕は………『のび夫』ッ!!」


267: 2012/05/15(火) 19:35:51.30 ID:543K2UQJ

のび夫〈攻めるのも逃げるのも駄目なら……両方やればいい……!!〉


車から脱出する前…
のび太とスネ夫は『ウルトラミキサー』で合体し
天井から滴る水で濡らした『三倍時計ペタンコ』を体に貼る事によって
自身の速度を3倍に上げたのである

この『三倍時計ペタンコ』……ドラえもんと対峙するまで取っておきたい道具であったが
スネ夫の覚悟と誠意に答える為、のび太はあえてこの道具を使った


のび夫「今の僕なら『7秒』でこの場全員を仕留める事が出来る…!!」


大尉「………!!」


女「くそっ……こんな筈じゃ…!」


のび夫「もう……諦めるんだ…!」


268: 2012/05/15(火) 19:36:16.26 ID:543K2UQJ

にじり寄るのび夫の前に
男が立ちふさがる…!


大尉・女「男……!!」


のび夫「何で庇うんだ!こいつらは目的の為なら手段を選ばない…残酷な奴だ!!」


男「二人も俺も……始めから残酷だったわけじゃない……!」


のび夫「だけど……!」


男「後ろの二人は……妹の無念を晴らす為に……必氏だったんだ……!」


のび夫「……!!」


269: 2012/05/15(火) 19:36:34.87 ID:543K2UQJ


――――四人は同じ児童養護施設で出会った


無責任な、あるいは哀れな両親により
壮絶な幼少期を過ごして来た彼等の心は脆く荒んでいた……

互いの心の隙間を埋めあうかの様に寄り添う四人…
辛い時や苦しい時も兄弟の様に分かち合い共に過ごして来た

苦い経験……いつしかそれは思い出へと変わり
四人は遅れながらも人並みの至福を取り戻していた…


しかし、その幸せはいとも簡単に踏みにじられてしまう……


女の妹が殺されたのだ……



270: 2012/05/15(火) 19:37:14.80 ID:543K2UQJ

男「俺達は許せなかった……!だから、復讐する事を決めた…!」


男「その過程でおかしな組織にまで関わってしまったけど……今日、やっと復讐の機会が巡ってきた…!!」


のび夫「……!」


男「勝手な話かもしれないが……見ず知らずのあんたが最後の希望だったんだ………」


男「今回ばかりは俺達も……心を鬼にするしか無かった……!」


271: 2012/05/15(火) 19:38:02.04 ID:543K2UQJ

『そして……貴様ら子羊は愚かにもこの私に対し悪巧みを企てたわけだ…』


突如、空に暗雲が立ち込め
不気味な声が響き渡る…!


のび夫「何だ……空が…曇っていく……!」


男「こ…この声は……!!」


大尉「見つかっちまったか…!!」


女「こいつだ…!!あたし達の大切な者を奪った……『少佐』ッ!!」


『命令外の行動、不審に思い様子を伺っていたが……まさか私の本性を知る者が三人もいるとはな………』


272: 2012/05/15(火) 19:38:20.89 ID:543K2UQJ

直後、のび夫達四人の周囲を落雷が襲う!!


『貴様らをここで始末せねばなるまい……!』


のび夫〈こ、この道具は……ッ!?〉


男「協力して貰いたかった理由がこれさ……奴がこの組織に入ったことで俺達は迂闊に手を出す事が出来なくなった……!!」


大尉「奴はどこにいようがこちらの様子を見ることも、話しかける事も、攻撃する事も出来る……!!心当たりは…?」


落雷は止む事無く降り注ぎ
四人を取り囲むように接近する……!!


のび夫〈該当する道具なんて…ひとつしかないじゃないか…!〉


273: 2012/05/15(火) 19:38:42.71 ID:543K2UQJ

※神さまセット
神さまプール…直径1メートルほどの平べったいプールから好きな景色を覗く事が出来る
神さまマイク…プールに映っている人に語りかける事が出来る
神さまステッキ…プールに映っている場所へ雷や雨を撃ち出したり出来る



『10秒やろう……!言い残すことは無いかな?ん?』


女「あたし達を舐めてやがる…!!」


のび夫は対策を考えながら顔を俯かせる…
不意に、見覚えのある道具が視界に入りこんできた


274: 2012/05/15(火) 20:39:56.12 ID:543K2UQJ

のび夫〈この道具は『温泉ロープ』!?何でこんな物がここに…?〉


※温泉ロープ
ロープの輪の中が温泉になっている、いわば携帯できる露天風呂



男「水ナイフを奴に投げられないのか…!?」


女「あいつは『ナイヘヤドア』を使って壁の中の部屋に住んでいるんだ…!ここでナイフを投げても壁に突き刺さるだけだよ…!」


のび夫〈水ナイフ……そうか!中尉はこの『温泉ロープ』の温泉水を加工して水のナイフを作っていたのか!!〉


275: 2012/05/15(火) 20:40:24.57 ID:543K2UQJ

『5……4……3……』


のび夫は三人を『温泉ロープ』の中に突き落とした


男「ぷはっ……!何をするんだ!!」


のび夫「君達は僕の事を信じてくれた……だから僕もそれに答えようと思う…!」


三人「……!」


のび夫「『五分』…いまから五分間だ。五分経つまでこの『温泉』から出ないでくれ……!」


大尉「バカ野郎!それじゃあ俺達は無防備…!!」」


大尉の言葉を男が遮る


男「信じよう……この男の言う事を……!」


276: 2012/05/15(火) 20:40:50.33 ID:543K2UQJ

三人が温泉ロープに入った事を確認すると
のび夫はそのロープを抱え込んだ…!


『……何をしている?』


のび夫「お前の攻撃を『耐える』!!」


『耐える?この落雷を?……フハ……フハハハハハ!!』


少佐はのび夫を嘲り笑う


『言っておくが貴様を襲うのはこの杖の雷だけではない…上空の入道雲に刺激を加えた…本物の雷も落とす!』


『バーチャルと現実は違うのだ、実際の雷に耐えれる者などいない!!』


277: 2012/05/15(火) 20:41:09.73 ID:543K2UQJ

四方から落とされた雷が
のび太を直撃する!


―――――――――…



『な…何故だ!常人なら立ち上がることもままならない筈だ……』


のび夫「……こんなものじゃあ無い……!」


『……!?』


のび夫「こんなものじゃ無いぞ……三人の怒りは…!」


『き、貴様は……あいつらの何だと言うのだ……!?何故私に歯向かう…!?』


のび夫「お前のような奴を倒すために……僕はここにいるんだ……!!」


278: 2012/05/15(火) 20:41:27.14 ID:543K2UQJ

『奴等のよしみの者かと思っていたが………まさか、貴様がボスを脅かすというあの……!?』


のび夫「今頃気付いたのか……そう、僕にも『蓄電スーツ』という電撃を無効化させる道具があるのさ!」


のび夫「『五分』経過した。お前を裁きに向かう……!」


のび夫は温泉ロープを再び床に敷いた…!
中から赤色の肌に変色した三人が飛び出す…!


※ジークフリート
この入浴剤の入った湯に5分浸かると30分間不氏身になる


『ば……化け物共が……』


少佐が間を置かずにただひたすら落雷を落とすも
四人はビクともしない……


女「あたし達を化け物と呼ぶのなら……そうさせるように追い立てたアンタ自身を恨みな…!!」


279: 2012/05/15(火) 20:42:03.49 ID:543K2UQJ

大尉が『ウルトラリング』を差し出す…!
それを受け取った女は三人を持ち上げた…!


『何故だ……何故、雷が効かないッ!?』



のび夫「奴はこちらの様子を伺っている……という事は『神さまプール』は今、上空にある……!」


女「今そっちに向かってやるよ!!覚悟しなぁッ!!」


女が上空へ三人を放り投げた…!


280: 2012/05/15(火) 20:42:26.21 ID:543K2UQJ

ー壁の中の家ー


少佐「ば……馬鹿な!!どうやってここまで来た!!」


のび夫は取り寄せバッグで中尉を取り寄せながら
少佐に向かい言い放つ…


のび夫「知らなかった様だね…『神様プール』は使用者まで直通しているんだ。『エースキャップ』で上空に投げてもらえば逆に使用者まで辿る事もできる…!」


少佐「……!!」


男「今日という日を……どれ程待ちわびた事か……!!」バキッベキッ!


神様ステッキをへし折り
三人が少佐に詰め寄る……


女「さて…こいつをどう料理するよ…!」


大尉「当然、氏ぬより苦しい思いをさせなきゃあな……!」



少佐「ひぃぃ……――――――――――――――


281: 2012/05/15(火) 20:42:43.18 ID:543K2UQJ


―――――――――…





のび太「本当に……良いのかい?」


男「ああ、これでも思う存分制裁を加えたつもりさ……」


大尉「こいつは指名手配中の『連続殺人犯』だ。俺達以外にも沢山の被害者遺族が今も苦しんでいる。」


女「だから……こいつは司法に任せることにするよ。あたし達が我を貫いて手を下せばこいつと同じになってしまうからね…」


男「あんたは復讐心に取り憑かれた俺達の暗雲を拭ってくれた……本当に感謝してる……!」


のび太「そんな……でも良かった。初めて会ったときより、三人とも大分晴れやかになった気がするよ」


282: 2012/05/15(火) 20:43:04.47 ID:543K2UQJ

女「さて……私たちの道具を返さなきゃね……」


のび太「うーん……ジークフリードも使ってしまったし、僕はいいや。処分するなり使うなり好きにしてくれよ………どうしたんだスネ夫?」


神様プールで街の景色を覗いていたスネ夫の顔が青ざめていく……


スネ夫「大変だ……のび太……あれ………」


スネ夫が水面を指差す
そこに映っていたのは次々と動物を体に取り込んでいく一人の男の姿…


のび太「こ…こいつは……『大佐』ッ!?」


283: 2012/05/15(火) 20:43:25.18 ID:543K2UQJ

大尉「行くのか……」


のび太「うん……僕の戦いはまだ終わってはいないからね…!」


男「俺達も協力しようか?」


のび太「いや……今回ばかりは誰も手を出さないでもらいたい……!」


男「何か因縁があるみたいだけど……あんたならきっと上手くいくさ…!」


女「絶対負けるんじゃないよ…!!」


スネ夫「のび太……僕は待つことしかできないけど……氏ぬなよ…!」


のび太は四人に手を振り見送られるまま
大佐と決着をつける為、水面へと飛び込んだ…!


285: 2012/05/15(火) 21:41:16.00 ID:543K2UQJ

ー動物園ー


目的地にたどり着いたのび太…
あたりを見回すと周囲にパトカーの残骸らしきものが四散している


先行していた警官隊の壊滅……


今から戦う相手がどれほどの猛威を振るうのか
想像を苦にしない光景である



286: 2012/05/15(火) 21:42:09.39 ID:543K2UQJ

大佐「久しぶりだな……!」


のび太は声のする方へ目をやると
そこにはこの世の生物とは思えない程に豹変した男がそびえ立っていた


人間の胴をも鷲掴み出来るほどに大きな手には鋭利な爪が生えそろっており
鉄すらも噛み砕きそうな牙とアゴ
そしてその背には大きな翼が湛えていた…!


大佐「見たかね……これが進化の到達点だ……!」



287: 2012/05/15(火) 21:42:32.56 ID:543K2UQJ

のび太「学校で殆どの道具は壊したと思ってたけど……まだそんな道具を隠し持っていたとは……!」


大佐「他の生物を自身に取り込む『合体のり』も使い方次第でここまで昇華させる事が出来るのだ!」


のび太「何が昇華だ!そういうのは悪用って言うんだよ!」


大佐「君にはこの素晴らしさが理解できないらしい。残念だよ。」


のび太「大佐!今度こそお前を倒す!!」



のび太は『がん錠』を何粒か口に放り込み
渾身の力を込めて大佐に殴りかかった!



288: 2012/05/15(火) 21:42:53.91 ID:543K2UQJ

のび太「ぐッ……!!」ブシュウウウ…



のび太の拳が大佐の肉体へと沈み込む…
しかし大佐にダメージは無く、放ったその拳の方がズタズタに削られてしまった…!



のび太「―――…この皮膚は甲羅っ!?それに……無数の硬いトゲが鱗の様に張り巡らされている……!!」



大佐「………進化とは『克服』の系譜ッ!」



289: 2012/05/15(火) 21:43:15.88 ID:543K2UQJ

大佐「ある者は鎧で身を包み、ある者は自然にその身を委ね、ある者は空へ駆け上がり……!」


大佐「生物達はありとあらゆる障害や環境を克服することで激化した生存競争から生き残ってきた……!」


大佐「こうして長きに渡り積み重ね上げてきた『闘いの遺伝子』達が人の叡智によって交わり、今、一個の生命体と成した!」


大佐「それが………私だ!」



┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



のび太「くっ……クレイジーな奴だ……ッ!!完全にイッちまってる…!!」



大佐「非力な人間は『道具』を駆使する事で、辛うじて野生動物と対等の存在になる事が許される……!」


大佐「君も人間の端くれなら……進化のその先を見せてみるのだな!!」


290: 2012/05/15(火) 21:46:20.35 ID:543K2UQJ

のび太が後ろに駆け、距離を取ろうとするも
大佐に回り込まれてしまう…!



大佐「チーターの時速は100km以上……四足を持ってすれば君など捉えられぬ速度では無い……!!」


のび太〈間合いが……取れない……!!〉


大佐「園内に身を潜めてからの不意打ち……人間である君が至る考えは至極読みやすい」


大佐「しかし今の私は『視力』も、『嗅覚』も、『聴力』さえも常人のそれとは比べ物にならないほどに飛躍しているのだよ!」


のび太「……!!」


大佐「リスがくるみを割る程度の知恵で……この私を仕留められると思うなよッ!!」


大佐が急速に間合いを詰め
のび太に襲いかかる!!


291: 2012/05/15(火) 22:03:32.10 ID:543K2UQJ

大佐「知っているかね!檻に入れることで観察出来る様になったゴリラ……その野性の力を解放してやると……!」


のび太「何を…ッ!?」


大佐はのび太の腕を掴み上げると
雑巾の如く両手で捻りあげた!


のび太「うわぁぁああああ!」ベキッ!ボキッ!バキッ!


大佐「握力、実に500kgに及ぶ……その力を持ってすればご覧の通りだ。実に脆い生き物……!」


大佐「思い上がった人間は自分達の牙を磨くことさえ忘れてしまったのだ……その報いを受けるがいい……!」


のび太〈そんな……『がん錠』で鉄並の硬度を得ている肉体でさえも……!!奴には関係無いというのかッ!?〉


292: 2012/05/15(火) 22:06:02.23 ID:543K2UQJ

のび太「な……ならば……!!」


のび太はもう一方の手で取り寄せバッグからフラスコ瓶を取り出し
大佐の頭にその中身をぶち撒けた…!


大佐「ぐッ…!……これは……『酸』!?」


のび太「ただの酸じゃあ無い……硫酸の比じゃない腐食性を備えた『超酸』の一種だ……ッ!」


のび太「人間の戦争は『科学力』……ハイテクノロジーが戦力を決める……ッ!!」


のび太「獣の理論には無い……人間の力を教えてやるッ!!」



293: 2012/05/15(火) 22:06:57.74 ID:543K2UQJ

大佐「君はひとつ重大な事を忘れているようだ……」


のび太「!?」


大佐「究極の生命体である以前に……私は一人の人間だ……!」


酸によって溶けた皮膚が剥がれ落ちていく…!!
しかし、剥き出しとなった大佐の顔は全くの無傷であった


大佐「外殻は言わば膜…いかに強い酸と言えど、何層にも覆った鎧を全て溶かし貫くには多少の時間がかかるものだ…」


大佐「外殻が全て溶解する間に『脱皮』を済ませれば……酸が私の肉体に到達する事は無い……!」


のび太「そ…そこまで自分の体を操る事が出来るなんて……ッ!」


大佐「野生動物に人間の知恵が加われば、君の言う『科学力』も最早無に等しい!!」


294: 2012/05/15(火) 22:08:00.83 ID:543K2UQJ

大佐の大きな口が
のび太の首筋を捉える!


のび太〈まずいッ!!ワニにも似たこの口ッッ!!噛む力は恐らく先程の握力の比じゃない…ッ!!〉


これを喰らえば一撃…!!
避けようにも片方の腕を掴まれて動けない状況…
のび太はここにきて常軌を逸した選択を迫られた……!!



――――――ブチン!!



のび太「動けないなら……『チャンバラ刀』で掴まれた僕の片腕を斬り離すまでだ……ッ!!」


大佐「フハハ……そうこなくては。君も『野性の闘い』がどういう物かわかりかけてきた様だな」


のび太「狩るか狩られるか……なら当然僕は『狩る方』を選ぶよ……!!」


大佐「それを決めるのは君ではない……野性の闘いとは即ち、弱肉強食の世界ッ!!実力が物を言うのだッ!!」


295: 2012/05/15(火) 22:44:04.60 ID:543K2UQJ

のび太〈狩る……とは言ったものの……どうするッ!?奴の『弱点』がまるで見当たらない…!!〉


のび太〈油を付けて火を放とうが奴の身体機能はそれを超越するだろう…ッ!それ程までに満ち溢れた奴の自信…!!〉


取り寄せバッグから『近代兵器』でも取り寄せて
この目の前の生物を粉々にしてやりたいと思うのび太であったが…


中学生である彼には銃や爆弾の種類も、まして取り扱いすら知る由も無い
仮に拳銃を取り出し安全装置を探そうものなら、その間に相手の牙が自身を貫いているであろう


それ程に、大佐のその眼は全てを屈服させる迫力をはらんでいた…!


のび太〈この状況、ヘビに睨まれたカエル、いや…生きたまま丸呑みされているかの様だ……!!〉


296: 2012/05/15(火) 22:44:54.65 ID:543K2UQJ

大佐「攻めあぐねている様子だな。ひとつ、私がヒントをやろう」


大佐「ライオンにしろ……チーターにしろ……動物が標的を仕留める時、まず何をすると思う……?」


のび太「……?」


大佐「ある者は毒を用いて、ある者は呼吸器を狙い……」


大佐「そして私の場合、こうやって――――――――――――…」


297: 2012/05/15(火) 22:45:23.15 ID:543K2UQJ



キィィ――――z_______ン!!




のび太「――――――――――――!?」ビリビリビリビリ……!



のび太〈何だ……!?景色が歪んで……!?〉



のび太〈……僕は………その場に倒れているのか――――――ッ!?〉



大佐「――――――――――…相手の身動きを……封じる……ッ!」



298: 2012/05/15(火) 22:49:42.51 ID:543K2UQJ

大佐「良い眺めだろう?といっても今の君には聴こえていないだろうが……」


大佐「狼の喉笛と蝙蝠の超音波の原理を併用した『特殊な声帯』に大量の空気を通過させた……!」


大佐「これによって発せられた『音』は鼓膜を破り……三半規管にダメージを負った君は平衡感覚を失った…!!」


のび太〈耳が聴こえない――――――ッ!?それに黄金バットで殴られた時のような眩暈が…ッ!!〉


倒れているのび太の前に
大佐が詰め寄る…!!


大佐「正直残念だよ。君を倒してしまえばこの先、能力を思う存分に披露できる好敵手は恐らく現れまい……」


大佐「競争無き生物は己をも滅ぼす……しかしそれ以前にこの力は君を葬る為に与えられたものだ……目的が成就されるなら、私は滅びようとも構わん……!」



299: 2012/05/15(火) 22:54:39.87 ID:543K2UQJ

大佐の開いた大きな口が
のび太の胴に喰らいついた!!


大佐〈―――――内臓の一部は貫いた……しかし絶命してはいない様だ……〉


鋭い牙がのび太の体に食い込む……
しかしその一撃は肝心の急所を逸らす形となった


大佐〈この一瞬で上体を逸らし急所への一撃を避けたのか……!?〉


大佐はのび太の頭部に視線をやると
そこには、古いテレビに取り付けるアンテナの様な物体が刺さっていた…!


大佐「……これは……『道具』!?」


のび太〈『あらかじめアンテナ』……これを刺せばあらかじめ起こる出来事を予測して僕の体を自動で動かしてくれる……!〉


大佐「……道具を使おうとも肝心の体は身動きも取れず……致命傷には変わりあるまい!このまま噛み砕かせてもらおう!!」


大佐は顎に力を入れ
のび太の体を二つに噛み千切った!!


300: 2012/05/15(火) 23:44:06.58 ID:543K2UQJ

しかし…!!


大佐「……奴の体ッ!!一体何が起こった!?」


噛み切られたのび太の体はその場に崩れると
ドロドロに溶け出した…!


のび太〈『あらかじめアンテナ』が体を操ってくれたおかげで……片腕だけは自由に動かす事が出来た………!〉


のび太はあらかじめアンテナに操られた事により
取り寄せバッグからサンタインを取り出し、服用していたのである


大佐「……奴の体がッ!!『液体化』している!!この期に及んで何をする気だッ!?」


301: 2012/05/15(火) 23:44:58.43 ID:543K2UQJ


サンタインにより液体となったのび太は
ズルズルとその身を這わし
排水溝の金網へと落ちてゆく…!


大佐「逃げるか…!?……だが、この声帯が発する『超音波』のソナーを持ってすればどこへ逃げようと同じだ……!」


金網を通る事でのび太の頭から外れてしまった『あらかじめアンテナ』を踏み潰すと
大佐は狼の遠吠えにも似た、けたたましい雄叫びを上げた……!!



302: 2012/05/15(火) 23:45:55.17 ID:543K2UQJ

ー下水道ー



のび太「……ッ!!」


のび太〈タイム風呂敷で傷を塞ぎ一命は取り留めたものの……この倦怠感ッ!熱ッ!吐き気ッッ!〉


のび太〈僕は未知の生物に噛まれた事で『毒』もしくは何らかの『ウイルス』に犯されている可能性が高い……!!〉


のび太〈そしてこの不衛生な環境……感染症の疑いもあるな………!!〉


のび太「『お医者さんカバン』で血清を作り……『ウルトラスーパーオールマイティワクチン』で体内のウイルスを破壊するッ!!」




――――――――――――――――――……




のび太「ひとまず助かった……!しかし地上に戻った所でどうすればいいんだ……!?」


のび太「僕が奴に引けをとらない点は『スーパー手袋』の怪力……とすれば『車』を持ち上げて奴を叩き潰す以外に方法は無い……!!」


303: 2012/05/15(火) 23:46:18.77 ID:543K2UQJ

『――――――無駄な抵抗はせず!さっさと上がって来るがいい!!』



下水道に大佐の声が響き渡る…!!



のび太「さっき僕の耳がやられた攻撃は恐らく『音』によるものだ……」


のび太「『音』を操るなら……奴はコウモリのように跳ね返った『超音波』を聞き分け、こちらを探知できるはず……」


のび太「金網やマンホールから馬鹿正直に飛び出すのは駄目だ………『通り抜けフープ』で地上へ出る…!!」



『――――――早く出て来たまえよ!!君が生き延びているのはわかっているのだ!!』



のび太「……さっきから馬鹿みたいにデカイ声で喚きやがるね全く…!今すぐ出てくればいいんだろう!?」



304: 2012/05/15(火) 23:47:11.56 ID:543K2UQJ

ー動物園ー


『通り抜けフープ』を使い下水から地上へと飛び出したのび太
しかし、そこに大佐の姿は無かった…!


のび太〈しめたッ!!奴に見つかっていない!!今のうちにパトカーを持ち上げて……!〉



その時である……!
進行方向に突如、隕石の如き物体が飛来し
のび太の胸をかすめた…!


のび太「――――――ッ!?」



大佐「……ちっ、あと少し前に出ていれば楽になれたものを……!」



のび太「今のは大佐……!?大佐が『滑空』したのか……!?速すぎるッ!!」


305: 2012/05/15(火) 23:47:49.67 ID:543K2UQJ

のび太が空を見上げるとそこには
大きな翼を広げた大佐が旋回し、こちら側を見下ろしていた…


大佐「ツバメはその種類によっては時速170kmを超えるものも存在する…!」


のび太「……!」


大佐「更に……ハヤブサの急降下時のスピードは角度、高度によって時速300kmに達するッ!」


大佐「当然、それらを取り込んだ私にもその可動速度に達する事が可能だ!この意味がわかるな!?」



時速300km……!
それ程まで高速に動き回る相手に対し
果たして重い車を叩きつける事は出来るのだろうか……?


のび太「……非現実的すぎる……しかし、これしか手段は……!!」


306: 2012/05/15(火) 23:55:12.78 ID:543K2UQJ

二度目の滑空


大佐の持つ鋭利な爪は
がん錠によって鉄の硬度と化したのび太の肉体をも貫き
その脇腹を深く抉る…!!


大佐「深いな……今のは致命傷だろう!君はもう動き回る事は出来ない……!!次で最後だッ!!!」


大佐が再び上空へ舞い上がり
その身を旋回させる…!


のび太〈タイム風呂敷で傷を治している間に……!!次の急降下攻撃をモロに受けてしまう!!〉


のび太〈このままカウンターで迎撃するしかないけど……!!時速300km相手に重い物体を命中させるには……リスクが高すぎる…!!〉


307: 2012/05/16(水) 00:13:01.67 ID:T0kGR9By
ジョジョ風すぎるけど面白い。

308: 2012/05/16(水) 01:36:59.51 ID:KIB9M13N

引用: ドラえもん「道具を使って本気で戦いたいだって?」