309:◆zjbrhKqhzQ 2012/05/16(水) 19:35:32.49 ID:UQ5G9fGw
ドラえもん「道具を使って本気で戦いたいだって?」【その1】
ドラえもん「道具を使って本気で戦いたいだって?」【その2】
のび太「あんな大した事の無い相手に負けるなんてな……カッコつけずにみんなの協力を得ていれば良かったよ………」
それはのび太も意識しない内に
喉から不意にでた言葉だった
のび太〈何を言っているんだ僕は……〉
今、圧倒的な能力で追い詰められているにも関わらず
相手を下に見てしまったのだ……
相手は大した事がない
どうしてそう思えたのだろうか…
のび太〈そう遠くない……さっき……ほんのさっきだ……大佐に『違和感』を覚えたんだ……〉
のび太〈あんな圧倒的な実力の相手にも関わらず……こう、何というか……〉
――――――あえて言うならば、『虚勢』
三度目の滑空
大佐の大きな手はのび太の急所を完全に捉えた……!!
310: 2012/05/16(水) 19:36:15.44 ID:UQ5G9fGw
大佐「…!?」
しかしどうしたものか
のび太に直撃する筈であったその手を逸らした事によって
大佐はバランスを崩し、大地に激突する形となった…!
のび太「…………」
大佐〈……私の方が『反射的』に身を逸らしてしまった……!〉
大佐〈それもただの反射行動では無い…!何か……奴を『本能的』に危ないと感じた……!〉
大佐〈今、奴は一体何をッ!?……私に対し、何を『投げた』のだ…!?〉
311: 2012/05/16(水) 19:36:54.05 ID:UQ5G9fGw
のび太「………思った通りだ…」
のび太は振り向き
地に伏せている大佐を見下ろしながら言った……
のび太「僕は終始圧倒されっぱなしだった……だからこそ『違和感』を感じたんだ……」
大佐「……!?」
のび太「圧倒的優位な立場である君の言葉から…信じられない『違和感』を抱いた……」
のび太「エリマキトカゲの威嚇行動にも似た……『虚勢』を感じたんだ……」
大佐「私が………エリマキトカゲだと……?」
312: 2012/05/16(水) 19:37:15.33 ID:UQ5G9fGw
のび太「君は自身の事を……あらゆる障害や環境を克服した究極の生命体であるかのように自負していた……」
のび太「にも関わらず、ある一点において君は保守に回った……!」
大佐「……!」
のび太「君はあれだけ間髪をいれず攻撃してきたのに『下水道』まで逃げた僕を追い詰める事はしなかった……!」
大佐「ッ!!」
のび太「先程の音を利用した攻撃から察するに、君は暗闇に適した特性を得ているはず……」
のび太「ならば何故、ワニの遊泳能力やコウモリ等の特性を利用し、僕に追い討ちを仕掛けなかったのか……」
のび太「下水道に僕以上の天敵がいたとは考え辛い……ならば答えはひとつ……!!」
のび太「君は……本能的に『水辺』を恐れていたんだ……ッ!」
313: 2012/05/16(水) 19:37:45.73 ID:UQ5G9fGw
大佐「何を『投げた』……!?」
のび太「……君は急降下した時、『さっきの物体』に触れたようだね……」
大佐「何を『投げた』かと聞いているんだッ!!」
のび太「そろそろ兆候が現れるはずだ……!」
大佐「ウプッ………!!」
突如、大佐の身体に変化が訪れる…!
顔はブクブクに膨れ上がり
鎖骨から首周りに駆けて徐々に皮膚が裂けていったのである
のび太「僕が感じた違和感は……君があらゆる動物の長所を取り入れたにも関わらず……!」
のび太「水中で呼吸する為の『エラ』が無かった事だ!」
314: 2012/05/16(水) 19:38:17.64 ID:UQ5G9fGw
大佐「貴様……ッ!この私に『魚』を投げつけたのか…ッ!?」
のび太「急降下する寸前の君から取り寄せバッグで『合体のり』を奪い…続いて取り寄せたマンボウに合体のりを垂らした……ッ!」
大佐「マンボウ……だと……ッ!?」
のび太「君が何故、魚類を取り込まなかったのか……それは肉体にあると僕は考えた」
のび太「以前の様に脳で考え行動する以上、君は『哺乳類』である人間に近い形で肉体の機能を維持しなければならない」
のび太「君が恐れたのは『肺呼吸』と『エラ呼吸』の両立、そして……」
大佐「ガハ……ッ!?」
のび太「魚の体内にいる寄生虫だ……ッ!」
315: 2012/05/16(水) 19:39:06.41 ID:UQ5G9fGw
のび太「マンボウは数十種類もの虫に寄生されている……そのほとんどが人体に影響は無いが…」
のび太「中には『シュードテラノーバ』の様に人体の胃や腸を食い破る虫がいる……ッ!!」
のび太「『人間』がベースの君にマンボウをそのまま取り入れたら……寄生虫は瞬く間に全身を駆け巡るッ!!」
倒れていた大佐が鞭で打たれた様にもがき始める…!
地に何度も頭を打ちつけながら身を捩じらせ、胸を掻きむしる…
慣れない肉体へと変化した事で呼吸すらままならないのか
その口からは泡を吹き出していた……
のび太「『合体のり』で取り込んだ動物も、僅かながら意思や習性が残っている……」
のび太「寄生虫を送り込まれた事で危機を察知した動物達が統制から逃げたがり、肉体が意思に反している様だね……」
大佐「こんな……こんな事が許されていいのかッ!?」
のび太「『非人道的』と言いたいのだろうけど……君はもう『人間』ではないしそれだけの事をしてきた…」
のび太「それに……君を裁くのは僕じゃない………ッ!」
316: 2012/05/16(水) 19:39:41.38 ID:UQ5G9fGw
のび太は取り寄せバッグから
ひとつのペンを取り出した……
大佐「……何を……する気だ……ッ!?」
のび太「今朝、留置所から逃げ出すとき僕は銃で撃たれた……君が学校で起こしたテロ事件の被害者の親にね……」
大佐「………?」
のび太「『ブラックホールペン』で描いた円に物を投げ込むと、物が吸い込まれて消える……」
のび太「後で『ホワイトホールペン』を使って同じように円を描くと、その円から吸い込まれた物が飛び出す……ッ!」
大佐「ま……まさか………」
のび太は取り出した白いペンで手の平に丸を描き込むと、大佐の頭に向けた……!
のび太「これが……お前が傷つけた人達の痛みだ……!!」
317: 2012/05/16(水) 19:40:21.67 ID:UQ5G9fGw
――――――――――――…
ー夕刻、動物園ー
部下A「警部!?お体の方は大丈夫なんですか!?」
警部「ああ、心配ない……現場に呼ばれたからには寝込んではおれんよ……」
部下B「それより聞きましたか!?テロ事件の首謀者と思われる男、第二班の我々が着いた頃には既に銃殺された後だったとか……」
警部「ああ、その事でちょっと、な…………」
部下A「しかしあの怪物のような男を誰が仕留めたんでしょうね……」
警部「………神様が…天罰をお下しになったのかもしれんな………」
部下A「警部?どうかしました?」
警部「いや何でもない!引き続き現場に当たってくれ。」
318: 2012/05/16(水) 20:43:55.01 ID:UQ5G9fGw
長い戦いの一日は幕を閉じ
戦士達はそれぞれの帰路に着いた……
319: 2012/05/16(水) 20:45:08.16 ID:UQ5G9fGw
――――――――――…
しずか「のび太さん、明日は家に誰もいないわ……」
のび太「明日だね……わかった。」
のび太はそう言い終えると
電話を切った……
思春期のカップルが交わすような
やましい会話ではない
大佐でさえ公共施設に壊滅的な被害を与えたのだ
残る少将や中将がもたらす被害規模は恐らくそれ以上…
ドラえもんと戦う為、そして自分達の身を守るために
今一度みんなで作戦会議を開くことにした
320: 2012/05/16(水) 20:45:47.55 ID:UQ5G9fGw
――8月1日、朝――――――…
ーしずか宅ー
ジャイアン「さて、今日はみんなに集まってもらったわけだが…」
スネ夫「ちょ……ジャイアン、ここはしずちゃん家だし…ややこしいからのび太に仕切らせた方が……」
ジャイアン「お、おう…そうだったな……」
しずか「戸締り終わったわ…」
のび太「じゃあ始めるよ」
321: 2012/05/16(水) 20:46:23.04 ID:UQ5G9fGw
とうとう強敵の候補である『大佐』まで仕留めた
残る部下の内、脅威なのは『少将』と『中将』である
のび太はこれまでの記憶をもとに
相手が持っているであろう道具を分析し、今後の対策を練ろうと提案した
しかし……
ジャイアン「ちょっと待てよ!」
ジャイアンがのび太の話に割り込む
スネ夫「ちょ……ジャイアン……話はまだ始まったばっかりだよ……」
ジャイアン「のび太、俺達が聞きたいのはそういう話じゃねぇ……」
のび太「……?」
ジャイアン「出木杉が今どうなっちまっているのか!!まずはそこだぜ!!」
322: 2012/05/16(水) 20:50:26.37 ID:UQ5G9fGw
しずか「出木杉さんが……この戦いに巻き込まれているの!?」
スネ夫「そういえば、しずちゃんは知らないんだっけ……僕らは一度『階級ワッペン』を貼られてしまったのさ」
ジャイアン「ニュースで動物園の惨状を見たけどよ……あれは人を何とも思ってないような奴が暴れたとしか思えねぇ酷い有様だったぞ……!!」
ジャイアン「もし出木杉までああなっちまってたら……元に戻す手立てはあるのかよ!?」
のび太「それについては心配ない…」
三人「!?」
のび太「………………と思う」
スネ夫「なんじゃそりゃ」
323: 2012/05/16(水) 20:51:20.00 ID:UQ5G9fGw
のび太「いや、根拠が無いわけじゃない。ワッペン以外にも道具で洗脳しているとすればそれは『桃太郎印のきび団子』……」
ジャイアン「だから!それを出木杉が食っちまってたら……!」
のび太「君たちはワッペンを貼られた時、ドラえもんに直接会ったかい?きび団子は食べた?」
スネ夫「そういえば団子どころか………」
ジャイアン「ドラえもんにすら会ってねぇなあ……」
のび太「そう。君たちはワッペンを貼られた後すぐに、支給係から道具を貰いそのまま僕を倒しに来たんだ。」
スネ夫、ジャイアン「………?」
のび太「つまり准士官程度にワッペンを貼られた出木杉は放置プレイ状態!大した事ないってことさ!」
ジャイアン、スネ夫「……………根拠になってない!!」
しずか〈のび太さんは出木杉さんの事、嫌いなのかしら……?〉
324: 2012/05/16(水) 20:52:51.06 ID:UQ5G9fGw
スネ夫「あれから20日近く経ってるんだぞ?流石にドラえもんも全員の部下を召集して『きび団子』を食わせているんじゃ……」
のび太「それは無いよ。2日前、僕は中尉や大尉と一戦交えたけど…彼らは既に自分達でワッペンを破いて、ドラえもんへの忠誠すら無かった。」
スネ夫「ドラえもんも随分とずさんな管理体制だなぁ……」
のび太「そこだよ。色々思い返してみると道具もワッペンも下の階級に行くほど部下にまかせっきり……」
しずか「そこまで部下には期待していないのかしら?」
のび太「沢山戦わせて僕にいくつか道具を消費させるのが目的なんだと思う……だからドラえもんにとって下の階級の者は捨て駒みたいなものなんだ。」
ジャイアン「酷ぇ話だな……」
325: 2012/05/16(水) 20:53:45.45 ID:UQ5G9fGw
のび太「そこでさっきの話に戻るけど……現在、僕は見事に敵の術中にはまってしまっている訳だ……」
のび太「相手の持っている道具をとことん悪用すれば恐らく、大勢の人達が被害に巻き込まれる事になる……」
三人「!?」
のび太「起氏回生の道具が底を尽きた今の僕には人命救助が出来ない……だからこの道具を君たちに渡しておく」
のび太「この…『テキオー灯』で君達は人命救助に専念して貰いたい……!」
スネ夫「……てことは、のび太は今まで通り一対一で敵に挑むのかい!?」
しずか「そんな…!危ないわ!」
のび太「わかっておくれよ……そりゃあ四人で敵を迎え撃ちたいけど…そうすれば無関係の人達に被害が及んでしまうんだ……」
326: 2012/05/16(水) 20:54:45.11 ID:UQ5G9fGw
ジャイアン「わかったぜ!のび太の心意気、確かに受け取った…!」
スネ夫「ジャイアン…!?」
しずか「たけしさん……?」
ジャイアン「街の人達の救助は俺達に任せて、お前はお前の成すべき事をやりな!」
のび太「……ありがとう、ジャイアン!」
しずか「たけしさん……でも……」
ジャイアン「しずちゃん、そりゃあ俺達も協力してぇ……けど、俺達に出来るのはこいつの邪魔をしない事だけだぜ……!」
327: 2012/05/16(水) 20:55:18.78 ID:UQ5G9fGw
しずか「そ……そうね………少しこの場を外すわ……お手洗いに行ってくる……」タッタッタ…
のび太「なんだか具合悪そうだね…大丈夫かな……」
ジャイアン「これはひょっとすると…!」
スネ夫「しずちゃんはのび太の事が……!」
のび太「え?え?ええ!?」
スネ夫「おいおい耳まで赤くなっちゃって!」
ジャイアン「ほんとわかり易い奴!」
328: 2012/05/16(水) 21:39:27.41 ID:UQ5G9fGw
キャ――――z___ッ!!
三人の笑い声が
突如、悲鳴によって掻き消える…!
スネ夫「今の悲鳴は……!」
のび太「しずちゃん!?」
ジャイアン「……行くぜ!のび太、スネ夫!!」
329: 2012/05/16(水) 21:39:54.78 ID:UQ5G9fGw
のび太「こっちからだ!!」ガチャッ!
しずか「いやーーーまだ入っちゃだめーーーー!」 ドコ!バキ!グシャッ!!
のび太「……っ」
ジャイアン・スネ夫「oh……」
のび太〈こんな時に風呂に入ろうとするやつがあるかっ……!!〉
しずか「……着替えたわ…これ見て…」
しずかは浴室へ三人を案内し
浴槽に浮いている物体を指差した……
330: 2012/05/16(水) 21:40:20.98 ID:UQ5G9fGw
しずか「お風呂に入ろうと覗いてみたら既に……」
のび太「これは……『瞬間移動潜水艦』!!」
スネ夫「潜水艦って……なんでそんなものがここに?」
のび太「ただの潜水艦じゃない……これは中のスイッチを押せば水場から他の水場へワープできる……」
ジャイアン「てことはよぉ、つまり……」
しずか「誰かがこの『瞬間移動潜水艦』を使って……この家に侵入したって事…?」
のび太「……恐らく」
331: 2012/05/16(水) 21:41:04.61 ID:UQ5G9fGw
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・・
スネ夫「じ……冗談じゃないやい!今も僕らの様子を伺っているかも知れないなんて……」
のび太「待った!単独行動は危険だ…!少なくとも四人で固まっている内は大丈夫だと思う」
ジャイアン「確かに……始めから俺達を倒せるならこんな回りくどい方法で襲ってはこねぇ…!」
しずか「でも……この家へ侵入しているのなら、放っておくわけにはいかないわ」
スネ夫・ジャイアン「…………」
のび太「ひとまず部屋に戻ろう。もし家の排気口を使って移動していたら…『換気扇』があるこの場所は危険だ……」
332: 2012/05/16(水) 21:42:06.62 ID:UQ5G9fGw
ーリビングー
ジャイアン「おい……こりゃあ……!」
スネ夫「しずちゃん家ってこんなに広かったっけ……?」
しずか「どうなっているの……!?」
四人がリビングへ移動すると
そこは野球場がすっぽり収まるほどの巨大な空間となっていた…!
のび太「家具の位置や大きさはそのまま……部屋の幅だけが異様に大きくなっている…!」
ジャイアン「こんだけ広いと移動にも一苦労だぜ……」
333: 2012/05/16(水) 21:43:16.28 ID:UQ5G9fGw
スネ夫「……あの……ちょっと今、言いにくいんだけど……」モジモジ…
ジャイアン「どうしたスネ夫?」
スネ夫「その……こんな時になんだけど……トイレ貸してくれないかな……」
しずか「トイレならここの扉を戻って、さっきのお風呂場の隣の部屋よ」
スネ夫「はいはいさっきのとこね…」ガチャ
ジャイアン「何だ?忘れ物か?」
スネ夫「あれ?あれ?」
334: 2012/05/16(水) 21:45:11.71 ID:UQ5G9fGw
スネ夫「い…いや何でもない……」ガチャ
しずか「?」
スネ夫「あれ?」
ジャイアン「どうしたんだ?扉を出たり入ったりして………」
のび太「い……いや…これは………」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
スネ夫「なんで今、僕は部屋から出たのに……またこの部屋に戻ってくるんだ!?」
335: 2012/05/16(水) 21:45:54.92 ID:UQ5G9fGw
のび太「扉の先がこの部屋に繋がっているという事か……なら、秘密道具によるものだ……!」
ジャイアン「すると何だ?敵の攻撃は既に始まってるっていうのか!?」
しずか「一体どういう事……?」
スネ夫「それより、このままじゃ僕はトイレに行けない!!」
のび太「『無生物催眠メガホン』ッ!ここはトイレ前の廊下!」
のび太がメガホンで叫ぶと
のび太達のいたリビングの景色がうねり
廊下へと姿を変えた…!
スネ夫「うぉ!トイレ前に移動した!サンキュー、のび太!」ガチャ!
336: 2012/05/16(水) 21:46:32.48 ID:UQ5G9fGw
のび太「とりあえずこれで移動はできるけど……!」
ジャイアン「な…なぁ……この廊下も広くなってないか……?」
ジャイアンの言う通り
先程まで普通だった廊下の横幅は
電車が二台収まるほどの広さに達していた
スネ夫「お待たせ………何だか家中変になってるみたいだね……」
しずか「自分の家じゃないような気がして……気味が悪いわ……」
のび太「一旦外へ出よう!『無生物催眠メガホン』ッ!ここは玄関!」
338: 2012/05/16(水) 22:49:10.37 ID:UQ5G9fGw
のび太達は玄関の扉を開けた…!
スネ夫「ねぇ……これって……」
ジャイアン「外へ出たと思ったら………しずちゃん家の玄関に戻っちまった!!」
しずか「それに私の家の玄関……こんなに広くないわよ……」
のび太「これじゃあまるで大型ビルのエントランスだ……!」
ジリリリリリリ・・・・ジリリリリリリ・・・・・
スネ夫「ど……ど……どうなってるんだよのび太!」
のび太「……潜水艦で侵入した奴が道具を使って家の中を複雑にしているんだと思う……!」
339: 2012/05/16(水) 22:49:50.45 ID:UQ5G9fGw
ジリリリリリリ・・・・ジリリリリリリ・・・・・
しずか「電話が鳴ってるわ……どうしようかしら……」
のび太「取らないほうがいい……!今、鳴り響いている電話の着信音が途切れれば敵に位置を知らせるようなものだ……」
ジャイアン「こんな状況で宅配や何かに来られても出迎えようが無いしな……」
スネ夫「電話の音……!そうか!それだよのび太!」
のび太「?」
340: 2012/05/16(水) 22:50:26.52 ID:UQ5G9fGw
スネ夫「僕が電話に出る…!敵をおびき出してみんなで倒すんだ!」
のび太「!!」
しずか「そんな……危ないわ…!」
スネ夫「どうせ敵は隠れてコソコソしてる様な奴さ……!この一本道の広い廊下に誘き出せば逆にこっちが有利だよ!」
ジャイアン「よっしゃ!そんなら俺が…!」
スネ夫「駄目だよ…!ジャイアンこそ敵をやっつける役目じゃないと僕は安心して囮になれない!」
ジャイアン「スネ夫……!」
スネ夫「別に立派な事じゃあない……僕が怖いから……この状況をさっさと終わらしたいからやるんだぜ……!」
スネ夫「さぁのび太!そのメガホンで三人とも移動して身を潜めてくれよ!合図は僕が出す!」
341: 2012/05/16(水) 22:52:44.47 ID:UQ5G9fGw
廊下にスネ夫を残し
三人は付近の部屋へと移動し、身を潜めた……
ジリリリリリリ・・・・ジリリリリリリ・・・・・
スネ夫「さ……さぁ取るぞ……!どこからでもかかって来い!」 ガチャ!
スネ夫「はいもしもし!こちら源ですが――――――――」
スネ夫は警戒を強めつつ、相手の出方を考える……
自分が敵ならこの状況をどこから覗いているだろうか―――――
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・・
スネ夫「――――――――ッ!?」
342: 2012/05/16(水) 22:53:59.03 ID:UQ5G9fGw
しずか「遅いわね……何かあったのかしら……?」
ジャイアン「もう敵が出てきていてもおかしくねぇ!のび太!」
のび太「『無生物催眠メガホン』ッ!ここは電話前の廊下!」
――――――…
ジャイアン「な……なんてこった……!」
三人が援護に駆けつけるも
既にスネ夫の姿は無かった…!
343: 2012/05/16(水) 22:54:47.51 ID:UQ5G9fGw
ジャイアン「どこ行っちまったんだーーー!!スネ夫ーーーーッ!」
のび太「どういう事だ…!?『取り寄せバッグ』でもスネ夫を掴む事が出来ない…!!」
ジリリリリリリ・・・・ジリリリリリリ・・・・・
ジャイアン「また電話がかかってきた……話してる途中で襲われたのか…!?」
しずか「今度は囮になるわ…!」
のび太「そんな……!!」
しずか「のび太さん、私なら大丈夫。私ならどこから襲われようと、この『バリヤーポイント』が守ってくれるわ。」
344: 2012/05/16(水) 22:55:08.97 ID:UQ5G9fGw
のび太「いや……今度は三人だ……三人で迎え撃つ……!!」
しずか「大丈夫よ!私でも戦える!」
ジャイアン「い……いや得策だぜ…このまま得体の知れない敵に一人ずつ襲われたらそれこそ絶望的だ……!」
のび太「そういう事、三人でも敵わないんじゃ、どの道勝てっこない相手だってことさ……!!」
しずか「…そうね……ごめんなさい……強がっちゃって……」
のび太「いいさ…!!さぁ、しずちゃん!受話器を取って!」
しずか「ええ……!」 ガチャ!
345: 2012/05/16(水) 22:56:48.62 ID:UQ5G9fGw
しずか「はい、こちら源静香ですけど…」
宅配屋『ああ~、そちら源さんのお宅ですか?…アマゾン様から宅配物が届いております。今からお伺いしても―――――』
ジャイアン「さぁ……出て来い……!」
のび太「……!」
ジャイアンがリビングへと通じる扉を
のび太が玄関へと
それぞれ廊下の先を見据えて構える……!
ジャイアン「あーーーーーーーーー!お前はーーーーー!!?」
のび太「!?」
346: 2012/05/16(水) 22:57:35.00 ID:UQ5G9fGw
ジャイアンが叫ぶ!
その視線の先には少し開いた扉から顔を覗かせる出木杉の姿があった…!
ジャイアン「見たかのび太!!今のは出木杉……!!」
のび太「じゃ……ジャイアン、それより……!!」
ジャイアン「あ……あれ……!?」
二人が顔を見合わせ気付く!
しずちゃんの姿がない……!!
のび太「しずちゃんがいなくなった!!いつ攻撃されたッ!?」
ジャイアン「で……出木杉が逃げていくぜ!?どうする!?」
351: 2012/05/17(木) 19:12:25.48 ID:Ndo1KfHf
のび太「逃がさないッ!!」
稲妻ソックスによる踏み込みからの突進!
のび太は瞬く間に扉の向こう側まで駆け抜け
出木杉目掛けて体当たりした!
ジャイアン「す…すげぇ……ラグビー選手も真っ青だぜ……」
のび太「捕まえたぞ…ッ!!」
出木杉「は……離せぇ!!」
ジャイアン「ワッペンのついた上着を脱がすぜ!!」
352: 2012/05/17(木) 19:12:56.26 ID:Ndo1KfHf
ジャイアン「脱がしたぜ……どうだ!?」
のび太は嘘発見器を取り出し
出木杉に向けた
のび太「君は今もドラえもんに忠誠を誓っているのかい!?」
出木杉「ぼ……僕はもう正常だよ……離して……!!」
のび太〈反応無し……洗脳されていない!〉
出木杉「ふぅ……二人ともすごい形相で……殺されるかと思ったよ……!!」
353: 2012/05/17(木) 19:13:43.59 ID:Ndo1KfHf
ジャイアン「ワッペンを貼られる以外に何かされなかったのか?」
出木杉「何かされるどころか、ドラえもんはここ最近全然連絡を取り合ってくれなかったんだ……」
のび太「?」
出木杉「僕だけじゃない、他の幹部にものび太君達を抹頃する日程を指示してそれっきりみたいだよ」
ジャイアン「なるほど……通りで最近平和だったわけだ……」
のび太「それで君は今日襲って来たわけだ。」
出木杉「そう。以前、准士官に渡されたこの道具を使ってね……」
354: 2012/05/17(木) 19:14:26.77 ID:Ndo1KfHf
出木杉は手に持っている
『引き伸ばしローラー』と『空間ひん曲げテープ』を見せた
出木杉「非力なもんだよ。『ひき伸ばしローラー』で各部屋の幅を大きくして『空間ひん曲げテープ』で扉の先をごちゃごちゃにかき回すしか手が無かった」
ジャイアン「戦闘用じゃあねーな……」
のび太〈うーん、あの頭の良い出木杉がこんな手段しか使ってこないなんて……いや、この道具でよくここまでやったと言うべきか……〉
ジャイアン「それじゃあ、スネ夫やしずちゃんはどうやって消したんだ?」
のび太「そうだった…!二人はどこへ…!?」
出木杉「それが……言いにくいんだけど……」
355: 2012/05/17(木) 19:15:00.94 ID:Ndo1KfHf
ジャイアン・のび太「『中佐』と協力関係!?」
出木杉「ごめん!この程度の道具しか貰えなかった『上等兵』の僕じゃあ君達に負けてしまうから……上の階級の人に協力してもらったんだ………」
ジャイアン「や……やってくれるぜ………二人がいなくなっちまったのは『中佐』の攻撃ってわけか…!」
のび太〈やっぱり出木杉は敵にすると面倒くさい奴だなぁ……〉
出木杉「僕の役割は中佐から貰った『瞬間移動潜水艦』でここへ侵入し、君達を引っ掻き回して分断させる役割………」
ジャイアン「思惑通りじゃねーか……むしろ出来杉が戦闘用の道具を渡されてなくて良かったよ。」
のび太「まったくだよ。ところでその肝心の中佐は…?」
出木杉「それが……中佐の道具までは教えてもらえなかった。こういうケースも想定しているだろうね……」
356: 2012/05/17(木) 19:15:51.73 ID:Ndo1KfHf
ジリリリリリリ・・・・ジリリリリリリ・・・・・
ジャイアン「で……電話だ……!」
のび太「待ってジャイアン!その電話……何かおかしい……!」
ジャイアン・出木杉「………?」
のび太「スネ夫もしずちゃんもその受話器を取ってから行方を暗ましたんだ……!」
のび太「特にしずちゃんは『バリヤーポイント』があるにも関わらず行方を暗ました……」
のび太「『バリヤーポイント』は許可無き物を絶対に通さない……例外があるとすれば、その『受話器』……!」
ジャイアン「受話器から……攻撃したっつーのか!?」
のび太「それしか考えられない……」
357: 2012/05/17(木) 19:17:04.83 ID:Ndo1KfHf
ジリリリリリリ・・・・ジリリリリリリ・・・・・
出木杉「敵の攻撃を見極める方法ならあるんだけど……言いにくいなぁ……」
ジャイアン「本当か!?」
のび太「一人目の犠牲で攻撃を見極める……更に敵が二人目を仕留め油断したスキに、三人目が反撃をする……」
出木杉「そう!だけど言い換えれば犠牲は二人必要で、最後の一人は必ず勝たなければならない………」
ジャイアン「じゃあ俺が囮で、ラストはのび太でいいんじゃないか?」
のび太「元部下の出木杉が最後のほうが相手も油断するかも……」
出木杉「いや、僕は二人目の囮になるよ。道具はのび太君のほうが使い慣れているし、僕も信用を取り戻したいからね」
のび太・ジャイアン「出木杉……」
358: 2012/05/17(木) 19:18:15.50 ID:Ndo1KfHf
ジリリリリリリ・・・・ジリリリリリリ・・・・・
ジャイアン「じゃあ……受話器をとるぜ……!」
のび太・出木杉「うん……!」
ジャイアン「はいもしもし、こちら源ですが……!」ガチャ
宅配屋『ああ~やっと繋がった。さっきから電話が途切れてしまいまして……』
ジャイアン「え…ええちょっとゴタゴタで……!」
出木杉「のび太君……この電話の声……!」ヒソヒソ
のび太「……!!」
出木杉「『中佐』の声だ……!」
359: 2012/05/17(木) 19:18:53.47 ID:Ndo1KfHf
その時である……!
受話器の送話口から突如、手が飛び出し
ジャイアンに対しビー玉の様な物が投げつけられた!
ジャイアン「――――――――――――ッ!」
のび太〈ジャイアンが…!!〉
出木杉〈地面に沈んでいく!?〉
受話器から生えた手はその身を動かし
電話を元の位置へと戻すと、姿を消した
360: 2012/05/17(木) 19:19:20.60 ID:Ndo1KfHf
出木杉「送話口から手が生えた……!これって昔、僕が悩まされたイタズラ電話の犯人を捕まえる為に君が使ったっていう……!」
のび太「『物体電送アダプター』ッ!!あの道具で受話器から手を伸ばして『しずめ玉』をジャイアンに投げつけたんだ……!」
※しずめ玉
当たると身体が地に沈む。沈んだ後は意識が無くなり気絶した状態になる
出木杉「じゃあ、他のみんなもこの地面の下に沈んでいるんじゃ……?」
のび太「そうだろうね……みんなを戻すには沈んだ場所に『うかび玉』を投げつけるしか方法は無い…!」
ジリリリリリリ・・・・ジリリリリリリ・・・・・
のび太〈取り寄せバッグで『うかび玉』を奪いたいけど……掴むのに失敗したら奴は二度と電話をかけてこないだろう……これが最後のチャンス!〉
出木杉「準備はいいかい……取るよ……!」ガチャ!
361: 2012/05/17(木) 20:37:18.22 ID:Ndo1KfHf
宅配屋『お荷物が届いているんですが今からお伺いしてもよろしいでしょうか?』
出木杉「…………」
宅配屋『もしも~し?聴こえてますか~?』
出木杉「はい!!」
再び受話器から手が飛び出し
出木杉に『しずめ玉』が投げつけられる!
出木杉「のび太君!今――――――――――――ッ!」
のび太は受話器から伸びている手を掴み
向こう側へと移動した!
362: 2012/05/17(木) 20:38:19.68 ID:Ndo1KfHf
ーとある家ー
中佐「う……うわああああああッ!?」
のび太「お前が中佐か……!!」
中佐「ここまで伝って来たのか!?」
のび太〈今だッ!!〉
のび太は取り寄せバッグに手を突っ込んだ!
363: 2012/05/17(木) 20:39:08.73 ID:Ndo1KfHf
のび太「痛ッ……!!」
中佐「……君の狙いは僕のポケットに入っている『うかべ玉』という訳か……!」
のび太〈こいつ……カッターナイフを忍ばせていたのか……!!〉
中佐が床に散らばってある漫画を踏みつけると
その身体が徐々に沈んでいった…!
中佐「『絵本入りこみ靴』はそこにもう一足揃えてある……君も、ついて来るよな……?」
のび太〈何の漫画かわからないけど……奴を追わないと『うかび玉』は回収できないぞ……!〉
364: 2012/05/17(木) 20:40:08.17 ID:Ndo1KfHf
ー漫画の中の世界ー
のび太「どこにいったんだ……?」キョロキョロ
のび太は漫画に入り込むと
学校のグラウンドのような場所に飛び出した
のび太〈あそこにいるのは…中佐か!?何をやっているんだ!?〉
中佐〈ついて来たか……馬鹿め!〉
365: 2012/05/17(木) 20:41:00.18 ID:Ndo1KfHf
中佐「君の名前は……『野比のび太』……そう、『野比のび太』だ……」
のび太「……?」
中佐〈……校舎まで思ったより距離があるのが気に入らないが……まぁいいだろう!〉
中佐は校庭に落ちている黒いノートを拾うと
何かを記入し始めた…
のび太「そ……そのノートは……!?」
中佐〈いくら僕でも『稲妻ソックス』とやらを持つ相手に逃げ続けることは出来ない……だからここでケリをつけるッ!!〉
366: 2012/05/17(木) 20:42:09.98 ID:Ndo1KfHf
秘密道具には無い得体の知れないノート…
追い詰められたこの場で使うからには攻撃手段に違いない…!
のび太は中佐の行動を阻止する為
勢い良く前方に飛び出す!
しかし…!
のび太「うわ!?か……身体が…沈むッ!?」
中佐〈かかったッ!〉
中佐がニヤリと笑う…!
のび太がこの世界に潜り込むまでに
『しずめ玉』を地面にばら撒いていたのだ…!
中佐「これで君はゲームオーバー………だが念の為、『氏の状況』も記載しておくッ!僕の完全勝利の為に!」
367: 2012/05/17(木) 20:42:52.41 ID:Ndo1KfHf
中佐「ぐッ!?」
中佐にとって想定外の出来事が襲う…!
ノートに筆を走らせた瞬間
衝撃波がその手を貫いたのだ!
のび太〈漫画の中に入る直前、『空気ピストルの元』を手に塗っておいたのが功を奏した……!〉
中佐「指先から何かを飛ばしたのか!?……それはともかく、まだ地中に沈んでいないだとォ……ッ!?」
のび太は下半身こそ地に埋もれてしまっているものの
しずめ玉の効力に対し懸命に抗っていた
のび太「タ……タケコプターの持ち上げる力よりも強いのか……このままでは沈んでしまうのも時間の問題だ……!」
368: 2012/05/17(木) 20:43:56.51 ID:Ndo1KfHf
中佐〈『状況』だ……このまま待っても奴は氏ぬが……筆を拾い『氏の状況』を記載して奴の動きを完全に封じなければ……ッ!〉
のび太「筆を拾おうとしている……や、やっぱりあの黒いノートはこの世界にある特有の物だ……恐らく僕を抹頃する為の……!」
のび太は再び空気ピストルの弾を発射し
中佐の両足を貫く!
中佐〈くそッ!!気付かれたか!?だが、名前は書いたんだ……残り30秒で奴は氏ぬ…ッ!〉
のび太〈スネ夫から聞いた事あるぞ……ノートに名前を書かれたら40秒で氏んでしまう漫画の話……!〉
369: 2012/05/17(木) 20:44:53.84 ID:Ndo1KfHf
のび太は取り寄せバッグからフリスビーのような円盤を取り出し
中佐の近くへ放り投げた
中佐「何を投げた……あれは……『的』!?」
のび太「『はこび矢』……この矢は僕ごと『的』の真ん中へと飛んでくれる……!」
中佐「!!」
のび太は『はこび矢』を真上へ放つ
のび太〈この浮力でかろうじて身体が持ち上がる程度か……だけど、矢は着実に中佐の近くに向かって前進している……!〉
中佐〈23……22……21……20……19……〉
370: 2012/05/17(木) 20:45:35.21 ID:Ndo1KfHf
のび太〈かなり近づいたぞ……後はこの『N・Sワッペン』を空気ピストルで弾いて奴の額に命中させるッ…!〉
ビシィッ!!
中佐「何を……くそッ!剥がれないッ!?」
のび太「『N・Sワッペン』だ……君の額に張られたNワッペンと僕の持つSワッペンが磁石の様にお互いの体を引き合わせる……ッ!」
しずめ玉の効力に抗うので精一杯ののび太が
今更近づいてきたところで何が出来るというのだろうか…
しかし中佐の頭の中に巡ったのは慢心とは真逆に位置する考えであった…
中佐〈コイツは近づいた以上『何かする気』だ……そう考えて挑まなければ……!〉
中佐はかろうじて動かせる片腕で
胸ポケットからライターを取り出すと黒いノートに火をつけた
のび太「ッ!?」
371: 2012/05/17(木) 22:26:41.01 ID:Ndo1KfHf
中佐「君が『ノートの内容を消す』道具を持っていないとも限らない……可能性は潰しておかなきゃな……!」
のび太〈ノートが燃えても記載した事実は取り消されないのか……!!〉
中佐は腕時計を確認し
不敵に微笑む…!
中佐「残り8秒だ……!」
ノートの内容が変えられる可能性も潰えた…
中佐は嬉々として絶望へのカウントダウンを始めた…!
372: 2012/05/17(木) 22:27:57.11 ID:Ndo1KfHf
中佐「5……4……3……!」
のび太「うおおおおおおおおおおおッ!!」
中佐「!?」
のび太は雄叫びを上げながら中佐に飛びかかり
その足首を掴んだ…!
中佐「必氏に飛び掛ったところで僕にダメージは与えられず……悪あがきも空しく終わったな!これで僕の勝ちだッ!!」
のび太「――――――ッ!?」
ドクン!!
373: 2012/05/17(木) 22:28:27.91 ID:Ndo1KfHf
中佐「………」
のび太「………」
中佐「………」ヨロ…
のび太「おっと!」
地面に崩れ落ちる中佐を
支えるように抱え上げるのび太
のび太「……まず『うかび玉』を回収しなくちゃな……」ゴソゴソ…
374: 2012/05/17(木) 22:29:44.37 ID:Ndo1KfHf
のび太「あとはNSワッペンを剥がして……これで良し、と………」
のび太が両腕を放すと
中佐のその身は地の底へと沈んでいった……
のび太「『しずめ玉』は対象が地中に沈み気絶する事で初めて効果が発動したと言える……」
のび太「その黒いノートも君の秒読みが完了する事で本来の効果が発動する物なのだろう……」
のび太「効果が完全に発動する前なら『タッチ手ぶくろ』で全て君に押し付ける事が出来る……」
のび太「…………」
のび太「正当防衛とはいえ……後味の悪い結末だ………」
375: 2012/05/17(木) 22:30:11.90 ID:Ndo1KfHf
ーしずか宅ー
のび太「みんな……大丈夫かい…!?」
ジャイアン「どうやら終わったみてぇだな……」
回収した『うかび玉』を使った事により四人を救出する事に成功したのび太
四人は歓喜……というより落胆の気持ちの方がやや強い様子である…
スネ夫「……のび太の言う通り人命救助に専念するよ……早々離脱するようじゃこの戦いについていけそうもない……」
しずか「そうね……それより出木杉さん。広くなった家を元に戻せないかしら?」
出木杉「今から戻すけど……それよりテレビで確認したい事があるんだ……」
のび太「……?」
376: 2012/05/17(木) 22:34:09.19 ID:Ndo1KfHf
ーリビングー
出木杉「思ったとおりだ……ほら、このニュース……!」
映し出した映像は一局を除き
ほぼ全てのチャンネルが臨時中継へと繋がっていた…!
ジャイアン「ま……町の人たちが……!」
スネ夫「道路で溺れている!?」
しずか「水も無いのにどうして!?」
出木杉「本日強襲を指示されていたのは僕や中佐だけでは無かったってことさ……!」
のび太「先手を取られたわけか……けどやる事は変わらないんだ!!みんな、今すぐ都心部へ行こう!!」
377: 2012/05/17(木) 22:34:59.69 ID:Ndo1KfHf
ー都心部ー
しずか「着いたわね……」
スネ夫「それにしてもあっという間だなぁ」
のび太「タケコプターは時速80キロ近く出るからね……みんな、テキオー灯は浴びたかい?」
ジャイアン「おう!バッチリだ!」
出木杉「僕らはさっそく救援活動にあたろう……!のび太くん、無理をしちゃ駄目だよ!」
のび太「わかってるさ!みんな頼んだよ!」
ジャイアン「遠慮無くぶちのめしてこいよ!」
378: 2012/05/17(木) 22:35:33.58 ID:Ndo1KfHf
※ドンブラ粉
この粉を体に付けると体の触れている床、地面、壁などが水のようになり
床や地面で泳いだり、壁を泳いで突き抜けることができる
一般市民が地面に溺れる状況があるとすれば
それは『ドンブラ粉』によるものであろう…
のび太〈ドンブラ粉を散布しているとすれば……『高所』……!!〉
のび太〈そして風向きだ……この都心部に風が入り込む場所にそびえる建物……!!〉
のび太「あそこか……!!」
のび太は高層ビルの連なる一帯に向かい
屋上を見上げた…!
のび太「ここを上れば恐らく……!!」
379: 2012/05/17(木) 22:37:54.09 ID:Ndo1KfHf
のび太「―――うおッ!?」
タケコプターで屋上へ向かう途中…
ビルの側面からクレーンのアームの様な小型の二又銛が飛び出し
のび太の腕に深く食い込んだ!
のび太「これは……!?どんどん突き進んで来るッ!?」
二又銛はのび太の腕の中を伝い
胴体に達しようとしていた…!
のび太「こ……このままじゃあ心臓に達してしまう……チャンバラ刀で腕を切り離すッ!!」ブチン!!
380: 2012/05/17(木) 22:39:24.97 ID:Ndo1KfHf
切り離された腕が
ビルの屋上へとぐんぐん引き寄せられていく…!
のび太「……あれは釣り竿なのかッ!?ビルの壁から襲って来たって事は……『地中つりざお』か……!」
釣り上げられている腕を追っていけば屋上にいる敵
恐らく『少将』と対峙する事になるであろう……
のび太「あの腕に気を取られた一瞬がチャンス……奇襲だ…!」
のび太はがん錠を服用し
更にタケコプターのスピードを上げて上昇した
383: 2012/05/18(金) 18:31:15.45 ID:CJ4reNxU
ー高層ビル、屋上ー
謎の男「釣り上げたぜェェーーーッ!!………『腕』ッ!?」
のび太「かかったなッ!」
謎の男「えッ!?」
背後から飛び掛ったのび太が男の顔を勢い良く殴りつける
謎の男はそのまま高層ビルの屋上から放り出される形となった
謎の男「う、うわァァァァーーーッ!何をしやがるんだァーーーーーッ!!!」
384: 2012/05/18(金) 18:32:36.06 ID:CJ4reNxU
のび太「この高さから落ちたら即氏だ……」
謎の男「オレが墜ちてもいいのかァァァーーーーーッ!オメーの腕はオレがァーーーーッ!!」
のび太「君が釣り上げていたこれかい?釣竿が緩んでいたから取り寄せバッグで返してもらったよ」
謎の男「そんな…うわァァーーーーーーーーーー……」ヒューン・・・
のび太「さてと『タイム風呂敷』で腕を治して………」キョロキョロ…
のび太「あった!『ドンブラ粉』…やはりここから散布したのか……」
のび太「……全て散布されてしまった……僕もみんなと一緒に救助して回らなければ……!!」
385: 2012/05/18(金) 18:33:39.56 ID:CJ4reNxU
のび太「――――――…!?」
謎の男「よくも突き落としてくれたなッ!?」
のび太「コイツは……ッ!!空をとべるのかッ!?」
男はのび太が身構えるより先に胴体に組みかかり
ビルの屋上から飛び降りた!
謎の男「オメーもオレと同じ苦しみを味わえッ!!」
のび太「うわァッ!!」
386: 2012/05/18(金) 18:34:11.60 ID:CJ4reNxU
のび太〈――――僕ごと急降下して地面に叩きつけるつもりか……ッ!〉
謎の男「うおァァーーーーーーッ!!」
のび太「この体勢のまま地面に衝突したらお前もタダじゃあ済まないぞ……って聴こえてないか……ッ!」
のび太は腰に組まれた腕を無理やり引き剥がし
立て続けに拳を振り下ろした!
のび太「このォッ!」ゴシャア!
謎の男「げぇーーーーーーッ!!」ゴキベキバキッ!
のび太「一人で墜ちてろッ!」ボコォ!
謎の男「か…カハ………」ヒューン・・・
387: 2012/05/18(金) 18:35:22.20 ID:CJ4reNxU
のび太「ハァー……ハァー……体勢をとって……タケコプターで上昇を……ッ!」
タケコプターを装着し
上昇を試みようとしたその時である…
謎の男「うおおおおおーーーーーーッ!!」ギュォォォォ!!
下に叩き落されたはずの男は
再び上昇しのび太に掴みかかった…!
謎の男「へへへ……逃がさねェーーーーーーーッ!!」ガシッ
のび太〈ま……また組みかかってきた……!〉
謎の男「いい加減一緒に墜ちやがれェェーーーッ!!」
388: 2012/05/18(金) 18:36:36.88 ID:CJ4reNxU
再びのび太を下にして両者は落下する
途中、男の口元が不意に緩む…!
のび太〈何だ……奴の表情……一瞬だけど『自信』に満ちた…勝利を確信したような顔だった……!〉
のび太「落下方向に何かあるのか……?」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・・
のび太「うぉぉぉぉぉーーーッ!!?」
謎の男「へっへっへ……このあたりはビルが密集してるからなァーーーッ!!」
のび太が振り返った先に見えたのは
高層ビルの側面であった…!
389: 2012/05/18(金) 18:37:37.54 ID:CJ4reNxU
のび太〈い……いくら僕の体が鉄の硬度でも…この落下速度でビルの側面に叩きつけられたらタダじゃあすまないぞ…!!〉
のび太〈だが奴はなんだ…!?同じ状況の中、生身のくせに嬉々として突っ込もうとしている…!!〉
のび太〈とにかくパワーは僕の方が上なんだ……!奴だけビルに叩きつけて身を逸らすッ!!〉ギギギ…
謎の男「い、痛ぇッ!?さっきから腕のロックをほどく力が尋常じゃあ無いッ!?」
のび太「お前だけ壁に抱きついてろーーーッ!!」ドギャァ!!
謎の男「うわァァァァーーーッ!!」
390: 2012/05/18(金) 18:39:05.90 ID:CJ4reNxU
ザバァァァン!!
のび太「何だ――――――…!?」
本来なら渾身の力で殴られた事により
男は壁に叩きつけられるはずであった
しかし男は側面に激突すると
水面へ飛び込む様にビルの内部へと沈んでいったのである
のび太「ビルの壁が……まるで水のように奴を吸収した……!」
のび太「『ドンブラ粉』を自身にも塗っていたのか………!?」
391: 2012/05/18(金) 18:40:43.74 ID:CJ4reNxU
謎の男「少ォ~し違うんだなァこれが……!!」ユラァ~…
男がビルの側面から顔を覗かせる…!
謎の男「いつでも地の中を泳げる様にオレは『潜地服』を着ている……!!」
のび太〈『潜地服』か……では空を飛んだ道具は…………!〉
謎の男「そして……オレは『ソーナル錠』っていう道具も服用している……ッ!!」
のび太「…!!」
※ソーナル錠
一錠飲めば思い込んだとおりになる
服用者のみに効果があらわれる為、
竜巻等を発生させても現実の人々には一切影響が無い
392: 2012/05/18(金) 19:56:22.29 ID:CJ4reNxU
謎の男「そういや……その頭のやつで空を飛んでいるのか?」
のび太「……」
謎の男「そんな竹とんぼみたいな道具で空を飛べるんだから相当の馬力だろうなぁ……」
謎の男〈ならオレはジェット機だ……鋼鉄の……ジャンボジェット機……!〉
キィィ―――z___ン・・・
のび太「……!!!」
393: 2012/05/18(金) 19:56:41.47 ID:CJ4reNxU
ビルから超高速で発射された男の肉体は
一瞬でのび太の右腕ごと肩の周囲部分をもぎ取って行った……!
のび太「あぐぅ………!!!」ドバッ…
謎の男「オレの傷は治る……オレの骨は治る」シュウウウウ…
のび太〈……即氏さえしなければ傷は治せるけど……こんなの何発も喰らいたくないね……!〉
謎の男「このままどんどん突っ込んでいくぜーーーーッ!!」
のび太「奴は結構遠くまで飛んだようだがあのスピードならすぐ戻ってくるだろう……移動するなら今しかない……!!」
394: 2012/05/18(金) 19:57:18.77 ID:CJ4reNxU
のび太〈空中戦に持ち込まれたら勝ち目は無い……かといって地上で戦えば『潜地服』を着ている奴に分がある……!!!〉
のび太「奴が逃げられず…尚且つあの突進攻撃の道筋が予測出来る絶好の場所は………!!!」キョロキョロ
のび太は遥か後方から走ってくる物体目掛けて
高度を落とした…
謎の男「あいつがどんどん下降していく……あれは……ッ!」
ブロオオオオオオオ・・・・・・
謎の男「新幹線ッ!通り過ぎようとしている新幹線に乗り込むつもりなのかッ!!」
のび太「『通り抜けフープ』……おじゃまするよッ!!!」
395: 2012/05/18(金) 19:58:19.68 ID:CJ4reNxU
ー新幹線、内部ー
のび太「都心部からどんどん離れていくけど……奴の目的は僕をおびき出して抹頃する事だ。嫌でも追跡してくるに違いない…!!」
のび太「この地の利を活かせばそのうち倒せるチャンスがやってくる……奴に一撃をぶち込むチャンスが……!!」
のび太「奴を捉えるには速度だ……速度を計算しなければ……!!」
のび太「新幹線のスピードを時速300キロとして……後ろから追って来る奴のスピードが時速800キロとすると……」
のび太「ここから目視する奴のスピードは……足し算すると時速1100キロ!!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・・
のび太「奴は…マッハを超えるのか……!?」
396: 2012/05/18(金) 19:59:02.82 ID:CJ4reNxU
のび太「い……いや、何を言ってるんだ僕は……奴は追いかける、僕は逃げる。単純に引き算じゃあないか……」
のび太「新幹線のスピードを時速300キロとして……外から追って来る奴のスピードが時速800キロとすると……」
えーん!えーん!
のび太〈いや………60で割って1分間に進む距離を割り出さないと……そしてこの新幹線の全長も……〉
うわああああん!
のび太「ええい!泣き声がうるさくて集中できない……」
397: 2012/05/18(金) 20:00:27.34 ID:CJ4reNxU
のび太「新幹線の速度だけじゃなだめだな……内部で稲妻ソックスを着用した僕も走らないと……その場合、目視できる奴のスピードは……」
うわああああん!うわああああん!
のび太「さっきから……子供にしてはやけに声が低いと思ったら大人も叫んでるのか……?」
のび太の視線の先には
駅員が四つん這いで床を這うように歩いていた
のび太「何だあの駅員………コンタクトでも落としたのか……?」
駅員「あー……」
のび太「………!?」
398: 2012/05/18(金) 20:01:03.60 ID:CJ4reNxU
のび太〈油断しすぎだよなぁ僕も……!〉
のび太はタイム風呂敷で頭を包んだ
のび太「……通りで簡単な計算にも頭が回らないわけだ……!」
駅員だけでは無い…!
のび太が席を見回すと
大人の者とは思えない振る舞いの乗客で溢れ返っていた……!
ある者は窓に顔を擦り付け、涎を垂らし
ある者は大声で泣き喚き、食べ散らかし…
乗客がまるで幼児の様に戯れているのである
399: 2012/05/18(金) 20:03:18.86 ID:CJ4reNxU
のび太〈始めに赤ん坊の泣き声がした席は………この車両の先頭付近……!〉ダッ!
のび太は先頭の乗車席に駆け寄り
席を覗き込む…!
のび太「やっぱりだ……赤ちゃんに『ハンディキャップ』が被せてある…………!」
※ハンディキャップ
周囲の人の知力および体力がこの帽子を被った者と同じレベルになる
のび太「はやく外さないと……周りの乗客にお漏らしまでされたらシャレにならないぞ……!」
400: 2012/05/18(金) 20:07:57.60 ID:CJ4reNxU
赤ん坊のキャップに手をかけようとしたその時…
のび太はその隣に座る乗客に殴りかかった!
のび太「『ハンディキャップ』の効果範囲は四方5メートル外からッ!!つまり5メートル内に唯一いるお前が仕掛けた事になるッ!!」
?「油断した隙に襲うつもりが……このトラップまで見破るとはやはり頭がいいな……だけどよォ……」
のび太の拳が乗車席に座る男の頬を捉える!
しかし…!
のび太「き……効いていない……それどころかこっちの拳が……!」ミシミシミシ…
?「オレの身に着けている『安全カバー』はあらゆる攻撃を無効化するッ!」
401: 2012/05/18(金) 20:10:20.01 ID:CJ4reNxU
のび太「くっ……!」
のび太は連結部分の貫通扉を開き、乗客のいない隣の車両へ移ると
とりよせバッグでハンディキャップを奪った…!
?「そんな道具まであんのか……」ガララララ・・・・
のび太「その手首に貼られたワッペン……もしかしてお前が『少将』なのか……!?」
少将「どうした?さっきまで外で戦っていた相手が少将だと勘違いでもしたのか?」
のび太「……!」
少将「残念だがアイツは『少尉』……お前がこの新幹線へ辿り着いたのも全てオレの計算の内ってわけだッ!」
402: 2012/05/18(金) 20:17:05.85 ID:CJ4reNxU
ガラララララ・・・
のび太〈貫通扉が開いた……あれは―――!〉
少尉「兄貴ィッ!計画通りだねッ!やっぱり兄貴はスゲェーやッ!」
少将「!?…ば…バカ野郎ッ!手筈が違…!」
少尉の突然の乱入により少将の気が紛れる…
のび太はその油断を逃さなかった!
のび太「ここはマグマの底!!」
少尉「マグマの……底…?」
『ソーナル錠』により
服用者に思い込みの効果があらわれる……!
少尉「ギャアアァーーーーッ!!」ジュワアアア・・・・
少将「!?」
のび太〈今だッ!!〉ズァァ・・・!
視線を外した一瞬……!
のび太は少将に近づき、自身の掌を押し付けた…!
403: 2012/05/18(金) 21:14:12.64 ID:CJ4reNxU
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・・
少将〈何だ……ッ!?奴は手袋を外して……オレに何を塗った…ッ!?〉
のび太は再び『安全カバー』で身を包んでいる
少将に殴りかかる……!
のび太「……終わりだ!」ボコォッ!!
少将「おぅふッ!?」
ズシャァァ―――z___ッ!!
少尉「え?え?」
404: 2012/05/18(金) 21:14:53.25 ID:CJ4reNxU
のび太の痛烈な一撃…!
少将は乗車席をいくつもなぎ倒し
壁に激突する形となった……!
少将「……ガハ……ッ!」
少尉「あ……兄貴は『安全カバー』で身を守っているのに何で……ッ!?」
のび太「この、全てが逆効果になる『あべこべクリーム』を塗ってやれば『無敵の鎧』は『最弱の鎧』へと成り下がる…!」
のび太「後は取り寄せバッグで海水を取り寄せ、僕の手についた『あべこべクリーム』を洗い落とせば……!」
のび太「今まで通りスーパー手袋を着用して存分に戦う事が出来る……!」
少尉「そ……そんなァァーー兄貴ーーッ!!」
少将〈まさか少尉がここまで頭の回らない奴だったとは……プラン変更だ……ッ!〉
405: 2012/05/18(金) 21:15:31.48 ID:CJ4reNxU
少尉「……オレが気を取らせちまったばっかりにッ!!こうなったら奴はオレが……!!」
少将「それ以上言うんじゃねーーッ!!」
少尉「ひ……ッ!」ビクッ!
のび太「……?」
少将「少尉よ……そういう言葉はオレたちの世界にねーんだぜ……そんな弱虫の使う言葉はな……」
少将「なぜなら、その言葉を頭に思い浮かべた時にはッ!」
少将「その時すでに行動は終わっているからだッ!!」
のび太「え――――――――――――」
少将は『独裁スイッチ』を押した…!
406: 2012/05/18(金) 21:18:03.75 ID:CJ4reNxU
※どくさいスイッチ
任意の人物を消すことができる
消された人物は最初から世界にいなかったことになる
少尉「……あいつが……消えた…ッ!?」
少将「………みたいだな」
少尉「は…ははは!やったね兄貴ッ!!」
少将「それよりよォー……なんでオメー直接ここへ来たんだ」
少尉「え?い、いや……下手に外から突撃して兄貴の『ハンディキャップ』作戦に巻き込まれたら俺まで溺れちまうかもしれないし……!」
少将「そうならねー様に『ソーナル錠』で思い込めばいいだろーがよォーーーッ!!」ドゴォ!
少尉「痛いッ!!何で殴るんだよォー兄貴ッ!もう戦いは終わって……!」
少将「これで本当に終わっていたらなッ!」
少尉「え……?」
407: 2012/05/18(金) 21:18:57.97 ID:CJ4reNxU
ゴトンゴトン・・・
少尉「ど……どういう事だよ兄貴……」
少将「……ボスとのび太って奴は以前に一度殺り合ったって言うぜ。妙じゃあねえか?」
少将「相手をボタンひとつで抹消するってんならよォー…最初に殺り合った時点でこの『独裁スイッチ』を押せば勝敗は決したもんだろ?」
少尉「ボスは自分の手で抹頃したかったとかじゃあ……」
408: 2012/05/18(金) 21:19:56.18 ID:CJ4reNxU
少将は車内の手洗い場へ向かい
安全カバーに染み付いた『あべこべクリーム』を全て洗い流した…
少尉「もう戦いは終わったんだ……考えすぎですぜ兄貴……」
少将「いーや、まだ油断できねーな……今まで俺たち組織を引っ掻き回した相手が一瞬で、こんな簡単に事が運ぶわけがねぇ」
少尉「でも…ターゲットは消滅しちまいやしたぜ?」
少将「………」
410: 2012/05/18(金) 21:20:59.52 ID:CJ4reNxU
少将〈とりあえず……奴の落とした『あべこべクリーム』のケースの中身も全部水道に流しておくか………〉ジャー
駅員「すいませーん、切符拝見させてもらってよろしいですかー」
少尉「やべぇ…ど…どうする兄貴……」ヒソヒソ…
少将「おかしいなァー?切符ならさっき見せた筈なんだがなァー」
少尉「そ…そうだぞ!オレも見せたッ!」
駅員「そうですか……」
駅員「嘘ついたら………針千本飲む事になりますよ」
少尉・少将「ッ!!?」
411: 2012/05/18(金) 21:22:33.91 ID:CJ4reNxU
少尉「あ……あがが…………」ズブズブズブ……
少将「おいバカ野郎ッ!!思い込むなよッ!?」
少尉「 」ブシュウウウ…
少将「……!!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・・
駅員は少将に対し
不敵に微笑みながら告げた…!
駅員「さぁ……戦いの続きだ……!」
412: 2012/05/18(金) 21:22:58.45 ID:CJ4reNxU
少将〈新手がいやがったのか――――ッ!!〉
駅員が帽子を脱ぎ、身構える…!
少将「……おめぇー…見たところ野比のび太の仲間だな……残念だが奴は抹消したぜッ!」
多目「……何を言っている?お前達は僕以外にも他の誰かを敵に回していたのか……?」
少将「あいつの仲間じゃあねーのか…ッ!?」
多目「僕は多目〈ため〉だ……とっくにご存知の筈だと思ったんだがな……!」
413: 2012/05/18(金) 21:23:34.63 ID:CJ4reNxU
多目は取り寄せバッグから
舞台用の照明を取り寄せた…!
少将〈あれはッ!さっき奴が『ハンディキャップ』を回収した時の能力じゃあ……ッ!?〉
多目「ライトアップッ!!」ガシャンッ!!
ピカァァァァァァーーーーーッ!!
少将〈むッ!眩しい―――――ッ!?〉
414: 2012/05/18(金) 22:17:52.57 ID:CJ4reNxU
少将の目が眩んでいる内に
追い討ちをかけるように多目が襲い掛かる!
少将「目暗ましをしたところで……『あべこべクリーム』の中身は全部捨てたッ!オメーにはオレを攻撃する術は無ぇーーッ!!」
多目「そうかい…ッ!」
少将は多目の一撃をかわすと
大きく間合いを取った
少将「く……ッ!?」ミシミシミシ……!
多目「骨の軋む音が聴こえた……やはり通じる……!」
415: 2012/05/18(金) 22:18:24.23 ID:CJ4reNxU
少将〈野郎……何をしやがったッ!?オレは『安全カバー』を着用しているし……今の攻撃もかわした筈だ……!〉
少将〈だがオレはダメージを受けた……奴が攻撃した先にあるのは………!〉
少将「……………ま……まさか……オレの影を攻撃して……ッ!?」
多目「さぁね………」
※影ふみオイル
このオイルを影に垂らし危害を加えると、影の持ち主に同様の痛みが伝わる
少将〈この多目って野郎……完全に道具を使いこなしていやがるッ!!〉
416: 2012/05/18(金) 22:18:42.17 ID:CJ4reNxU
少将〈そして読めてきたぞ……『独裁スイッチ』のデメリットッ!!〉
少将〈こいつは対象者の存在を完全に抹消するが……誰かがその人物の代わりを埋め合わせる事になるんだ…ッ!!〉
少将〈生易しいデメリットじゃあねーな……消したと思ったら見ず知らずの敵に不意撃ちを許し、少尉を犠牲にしちまった……!〉
少将「……ボスは自分でスイッチを使う事を恐れ、部下を使って道具を試したかった、という事か……」ジョキジョキジョキジョキ…
少将がハサミを取り出し自身の影を切り取り始める……
切り取られた影はムクムク膨れ上がると人間の様に動き始め、隣の車両へと駆け抜けて行った…!
少将「こうやってオレの影を他の車両へ逃がしてやれば……その間、オレは無敵ってわけだッ!」
多目「『影切りばさみ』か……やはり少将相手となると一筋縄ではいかないようだ……!!」
417: 2012/05/18(金) 22:19:05.52 ID:CJ4reNxU
※影切りばさみ
人間の影をはさみで切り取ると、影の分身が出来る。分身は30分間だけ命令を聞いてくれる
少将「これで『安全カバー』の弱点は消えた……さぁどうするよ…!」
多目「解決策は無くもないさ……!!」
少将「ならよォー……やってみやがれーーーッ!!」
多目の腹部を目掛けて
少将の拳が放たれた!
418: 2012/05/18(金) 22:19:20.16 ID:CJ4reNxU
多目「へっへっへー…残念でしたー!」ジャ――z___ン!
少将「そ…その手にあるのは……ッ!?」
少将の繰り出した拳は
取り寄せバッグから覗かせている黒い物体に触れていた…
多目「『取り寄せバッグ』で君が隠している『影とり餅』を奪い、続いて逃げ出した君の影分身をとりよせた……!!」
少将「ま……まさかこれ程のやり手とは……ッ!!」
多目「君はこの影に触れた……よって影は再び君の元に戻る…ッ!!」
少将「うおおおおおおおおッ!?」ズズズズズズ・・・・・・
419: 2012/05/18(金) 22:19:42.55 ID:CJ4reNxU
多目「せっかく逃がした影分身も空しく……これでお前には再び弱点が出来たわけだ……」
少将「や…やろォ~…!」
多目「車内に照りつける太陽がお前の弱点を浮き彫りにしている内にケリを着ける……ッ!!」
少将「………どうやら現実はもっと残酷だった様だな……!」
多目「……!?」
多目の大きな誤算…!
新幹線がトンネルに入ってしまったのだ…!
少将「照りつける日差しも無くなったッ!蛍光灯だらけの車内に影は出来ないッ!!」
多目「くッ…!!」
420: 2012/05/18(金) 22:20:06.56 ID:CJ4reNxU
多目〈ならば『空気ピストル』で蛍光灯の一部を射る………!!〉
少将「先に言っておくけどよォー…蛍光灯は割れねーぜッ!!」
多目「!?」
少将「元々は『潜地服』を着た少尉が外から猛スピードで突っ込んでターゲットを車内で潰しちまう作戦だったんだぜ……?」
少将「この新幹線に乗り込んだ時から既にッ!!『材質変換機』でこの新幹線の壁や天井を限りなく硬い材質に変えてあるッ!!」
多目「くっ……!」
少将「楽しい鬼ごっこの始まりだぜ……今度はテメーが逃げる番だけどよォーッ!!」
421: 2012/05/18(金) 22:21:07.01 ID:CJ4reNxU
少将「オラオラオラオラオラオラオラァッ!!」
少将の怒涛のラッシュ…!
多目も負けじと反撃を繰り出すも、少将の『安全カバー』は全てのダメージを遮断し
多目は徐々に車両の隅へと追い詰められていった…!
少将「追い詰めたぜェーーーーーッ!!氏ねッ!!」
ゴシャアアッ!!
多目「……殴ったな……?」
少将の一撃が腹部に命中した瞬間……!
多目は真後ろにある貫通扉のノブを引き、もう片方の手でメガホンを構えて叫んだ
多目「『無生物催眠メガホン』ッ!この扉はホームドアッ!!」
422: 2012/05/18(金) 22:21:33.16 ID:CJ4reNxU
ドガァン!
少将「な…何ィィィッ!?」
多目が後ろの扉を開けたことにより
二人は新幹線からほの暗いトンネルに投げ出される形となった
多目「新幹線の中じゃあ明るすぎるから……トンネルに出ることにしたよ……!!」
多目「自分自身の影を良く見てみろッ!!」
少将「!?」
トンネルの僅かな照明によって映し出される少将の影…
その頭部分を新幹線の車輪が次々と轢いていく…!
少将「 」ブシュウウウウウウ・・・・・
多目「僕の……勝ちだ………」ドサッ・・・
423: 2012/05/18(金) 22:21:53.56 ID:CJ4reNxU
命を賭した最後の攻撃…!
多目はとうとう少将を撃破した
しかし、時速数百キロの乗り物から放り出され、地に叩きつけられた衝撃は
多目の肉体に深刻なダメージを与えていた…
多目〈おそらく僕はもう………助からない………〉
これまでの日々が走馬灯の様に頭の中をよぎる…
薄れゆく意識の中、最後に多目が思うこと
それは何も言わずに別れてきた両親のことではなかった
多目〈奴は……『野比のび太』を抹消したと言っていた………〉
多目〈存在を抹消する道具………独裁者を………懲らしめる道具…………〉
多目「もう腕もあがらないけど……バッグに手を突っ込むぐらいなら……」
424: 2012/05/18(金) 23:13:49.12 ID:CJ4reNxU
ゴトンゴトン・・・
のび太「―――――――――――……!?」
のび太は新幹線の中で意識を取り戻した…
のび太〈二人はどこへ行った…?いやそれよりも僕は確か………〉
バッグからデジタル時計を取り寄せ
のび太は時刻を確かめる……
のび太〈今日の日付は……8月5日……ッ!?〉
425: 2012/05/18(金) 23:14:24.04 ID:CJ4reNxU
多目は自分以外にも戦っている者の存在……
つまり自身がその人物の埋め合わせである可能性に気付き
氏の直前、『上げ下げくり』を使う事で『独裁スイッチ』の効力が切れる頃まで日付を進めた…
自身が氏に、本来戦っていた者が不在の間
敵組織に数日の猶予を与える結果になってしまうのを避けたかったからだ
多目の最期の抵抗…
それは、もう一人の戦う者に対するささやかな優しさであった
のび太〈戻ったときに襲われなかった点から察するに……少将は恐らく『僕の埋め合わせ』に敗れたと見ていいだろう…………〉
のび太〈僕は4日も無駄にしたのか……この4日間は埋め合わせが頑張ってくれていたのだろうか……………?〉
のび太〈それより…みんなは無事だろうか……ちゃんと家へ帰る事が出来たんだろうか……心配だ……〉
のび太は新幹線から抜け出し
タケコプターで都心部へ戻る事にした…
426: 2012/05/18(金) 23:19:01.33 ID:CJ4reNxU
歯車がひとつ欠けたまま全ては元に戻り……
孤独な戦士は人知れず永い眠りにつく……
別の車両にいた乗客も、戦っていたのび太にも
勇敢な決断をした彼の事を知る由も無いのであろう
だが、のび太にバトンを繋いだ彼は確かに存在したのだ……
427: 2012/05/18(金) 23:19:50.62 ID:CJ4reNxU
――8月5日、昼――――――…
瞼の痙攣
そんな日は必ずと言っていいほど良くない事が起こる……
のび太「今日のは特に……嫌な感じだ……」
時刻は昼を回り、のび太が都心部付近に着いた頃
向こうから見覚えのある二人がこちらに近づいて来た……!
出木杉「のび太君!!」
ジャイアン「おおい!!のび太~~ッ!!」
のび太「出木杉……ジャイアン……二人ともどうしたんだッ!?」
428: 2012/05/18(金) 23:20:12.53 ID:CJ4reNxU
のび太を探し駆け回っていたのか
二人とも息も絶え絶えの様子である……
ジャイアン「のび太……無事だったか………!!」
のび太「うん、少将を倒して来たよ……」
ジャイアン「そうか……だけど安心していられねぇ…!!」
のび太「?」
出木杉は先程町で起こった現象を
のび太に説明した…
429: 2012/05/18(金) 23:21:06.62 ID:CJ4reNxU
のび太「空から人や車が次々に落ちてくるだって………ッ!?」
ジャイアン「冗談じゃねぇっつうのッ!あんな光景見てられっかよォーーッ!!」
出木杉「テキオー灯を浴びた人達は問題ないんだけど……それ以外の大勢の市民や車が一斉に空へ向かって飛んでいったんだ……!!」
ジャイアン「今、しずちゃんとスネ夫がテキオー灯を使って地上に残っている人の救援に回っているけど、とても人手が足りねぇ!!」
のび太「ちょっと落ち着いてくれよ……言ってる意味が……」
出木杉「ほら、あれ……!!」
出木杉が指差す先…!
100……いや、200名ともあろう人の大群が空から墜ちて来ていた……!
430: 2012/05/18(金) 23:21:33.35 ID:CJ4reNxU
出木杉「ああやって飛ばされた人々が数分刻みで落下して来ている!!何とかならないのかい!?」
ジャイアン「のび太!!」
のび太「『安全ネット』、この網は墜ちてくる人を自動的に助けてくれる……!」
のび太は『安全ネット』を解き放った
のび太「あの人数なら何とかなりそうだけど……車も墜ちてくるとしたらまだ油断は出来ない……人々を安全な場所に誘導しておいてくれよ!」
ジャイアン「のび太!?どこ行くんだ!?」
のび太「諸悪の根源を突き止めてくる!!」
のび太は都心部へ向かい
走り出した…!
431: 2012/05/18(金) 23:24:18.80 ID:CJ4reNxU
のび太〈これ程の規模の災害を起こせる道具を持つ事が許されるのは恐らく一人………〉
残る敵、『中将』
ドラえもんを除けば最難関の敵である
のび太は今になって
准士官の言葉を思い出していた……
のび太〈下の者に道具を渡す役を任されるという事は道具の編成も好きに任されている………〉
中将は道具の支給係
今まで自分を窮地に追い込んできた部下の殆どの道具編成を任されている事になるのだ……
のび太「部下思いの遠慮した奴だったらいいんだけどなぁ……なんて希望的観測を抱いてもしょうがないか……」
のび太「僕も場数を踏んだ……戦いの駆け引きなら自信はある……!」
次の瞬間――――
のび太の甘い考えは一気に吹き飛ぶ事になる……
432: 2012/05/18(金) 23:30:40.39 ID:CJ4reNxU
のび太「――――――…」
のび太は絶句していた
高層ビルの密集する都心部に足を踏み入れた瞬間
天地がひっくり返ったのである…
のび太「あ…危うく『上』に落っこちる所だった……」
のび太は丁度、横断歩道を歩いていたため
信号機に掴まる事でかろうじて難を逃れていた……
のび太「地球の引力が……逆に働いているのか………?」
433: 2012/05/18(金) 23:32:37.75 ID:CJ4reNxU
のび太「とりあえずこのバッジを付けて元に戻るか…………」
※タテヨコバッジ
使用者のみ、バッジについている針の方向に重力が働く
のび太「……これだけの規模を逆さまにひっくり返す道具なんてあったか……?」
引力ねじ曲げ機など、重力の方向を変えてしまう道具は多くあるが
どれも使用している者にしか効果はない…
自分以外の者に働いている重力の方向まで変える事は出来ないのだ
のび太「周りのものにまで重力の影響を及ぼす道具は『重力調節機』だ……だけどこれは重力の『力』を調整する道具であって『力の働く方向』までは変えられない……」
のび太〈それとも何だ?道具の使い方次第で重力の方向まで変化させる事が出来るのか?………しかしどうやって……〉
435: 2012/05/19(土) 10:56:43.46 ID:EVqJIhgA
>>434
この殺伐としたのびに
目からビームでも飛び出す勢いのドラちゃん…
良いね…実に良いよッ!
そして頑張ってくださいだとォ!?´;ω;`ブワッ
よーしおらもがんばって土日投下ラッシュしちゃうぞ~(;`・ω・´)
この殺伐としたのびに
目からビームでも飛び出す勢いのドラちゃん…
良いね…実に良いよッ!
そして頑張ってくださいだとォ!?´;ω;`ブワッ
よーしおらもがんばって土日投下ラッシュしちゃうぞ~(;`・ω・´)
436: 2012/05/19(土) 10:57:34.12 ID:EVqJIhgA
のび太「実際にどういう使い方をしているのか見てみないとわからないな……早く探さなければ……」
のび太「…………………」
のび太はふと先の一戦を思い返す……
ドンブラ粉の被害を食い止める為、町に誘き出されたのび太は
敵の待ち構える新幹線まで選択肢を迫られ、追い詰められてしまった…
そして現在…
考えてみればこの町の状況も
のび太を誘い出す故である……
のび太〈相手が先に動いている以上……このまま敵の思惑通り動けば僕は間違いなく後手に回る事になる……〉
437: 2012/05/19(土) 10:58:12.40 ID:EVqJIhgA
のび太は新たな出方を考える為
長考にふける……
敵の手に対し
何とか奇策を打って出る事は出来ないだろうか……
これまでの経験をもとに
敵が持つ自分の情報を冷静に分析した…
のび太〈中将は恐らく……僕の事を『石橋を叩いて渡るタイプ』だと認識しているだろう……〉
ここに至るまで数々の一撃必殺の采配を凌いできたのだ
あらゆるリスクに警戒し、安全でなければ余計な手段は一切選択しない……そう思われているに違いない
これは自惚れでも何でも無く
相手が抱く正当な評価であろうとのび太は自負していた
438: 2012/05/19(土) 10:58:41.25 ID:EVqJIhgA
その先入観を利用して
のび太はあえて大胆な行動に出る……!
『重力調節機』を奪うべく
取り寄せバッグに手を突っ込んだのだ…!
のび太〈まさかこのタイミングで道具を直接奪ってくるとは思うまい……!〉
敵の姿を一度も目視せず
あえて対策されているであろう手段を選ぶのび太
のび太〈たとえ失敗したとしても……この手段は試しておいて損は無い……!〉
440: 2012/05/19(土) 11:00:08.01 ID:EVqJIhgA
のび太「――――やっぱり取れないな……手を伸ばそうにも何か強い力で押し戻されてしまう………」
相手も深読みしていたのか……
無難な防衛策を施していただけなのかはともかく
これでまた一つの指針が出来た
のび太「つまりこの街が逆さまになった原因は『重力調節機』によるものであり、敵にとって『重要』な道具という事……!」
片腕を切り離す覚悟で道具の奪取を試みたのび太にとって
何の被害も無く、敵の攻撃の要が判明しただけでも充分であった
取り寄せバッグから腕を引っ込めるのび太…
その腕の先…
バッグの中から数十ともあろう小さな眼が
のび太を見つめていた……
441: 2012/05/19(土) 11:01:13.46 ID:EVqJIhgA
忘れもしない裏山での出来事…
のび太の片腕をすり潰していった道具……
のび太「『玩具の兵隊』――――――ッ!?」
『重力調節機』を守っていた玩具の兵隊が腕を伝い
こちらへやってきたのだ……!
のび太「体ごと引きずり込むのでは無く、僕の元へと送り込む作戦に出たか……ッ!」
しがみついた玩具の兵隊達は
徐々にのび太の腕を上っていく……!
442: 2012/05/19(土) 11:01:55.45 ID:EVqJIhgA
のび太「だけどこれは良い手じゃあないな……」
玩具の兵隊達が肩までよじ登ってくる中
のび太はあくまで落ち着いていた
のび太「今は僕以外の重力が逆に働いているんだ。必氏にしがみ付いている兵隊等が僕の腕を攻撃することはまず無い……」
のび太「タテヨコバッジを付けている僕とは違い、『空』に落っこちてしまう可能性があるからね。」
のび太はよじ登る玩具の兵隊を
指でつまみブチブチと捻り潰していった
のび太「一体一体がこのスピードなら僕のスーパー手袋の力で処理できる。」
443: 2012/05/19(土) 11:02:57.20 ID:EVqJIhgA
安心していたのび太に
またしても予期していない出来事が襲う……!
逆立ちするように腕にぶら下がっていた無数の兵隊達が
うつ伏せに倒れこんだ……!
のび太「……逆に働いていた重力が……元に戻ったのか!?」
脅威再び……
兵隊達が一斉に体勢を立て直し、整列する
のび太「この絶妙なタイミングでの重力方向転換!!これは……!!」
のび太〈敵はどこかで僕の様子を伺っている――――――ッ!?〉
444: 2012/05/19(土) 11:03:21.95 ID:EVqJIhgA
襲いかかる兵隊の群…!
丁度その中の一体が飛びかかり、のび太の頬を蹴り飛ばした!
のび太「おうふッ!?」ブシュウウウウ……
あまりの脚力に頬の一部が削り取られ
肉片が飛び散る…!
のび太〈『がん錠』で鉄の硬度を保っているのに……ロボットってのは加減を知らないらしい………!〉
のび太はふと周囲の異変に気付く…
自身の周りを大きな影が覆っていた…
445: 2012/05/19(土) 11:04:03.07 ID:EVqJIhgA
のび太「うおォォォォォォーーーーッ!!?」
見上げるとコンテナ搭載のトラックが
のび太の目の前まで迫っていた…!
のび太〈『玩具の兵隊』はブラフ……本命はこっち――――――ッ!?〉
重力の方向が元に戻った事により
空高く上げられていた車が次々と地上に落下していたのだ…!
のび太「 」ゴシャアアッ!!
コンテナは玩具の兵隊ごとのび太を押し潰した……!
446: 2012/05/19(土) 11:54:26.99 ID:EVqJIhgA
のび太「……我ながら『石橋を叩いて渡る』って自己分析は間違っちゃいないな………」
落下物が押し潰そうとする直前……!
のび太は例の如く『液体』となって難を逃れていた……!
もしもの時を想定し
のび太はバッグに手を突っ込む際、サンタインを口に一粒含んでいたのだ
のび太「恐ろしい敵だ……貴重な玩具の兵隊達を犠牲にしてまでこのような手段に出るとは…………」
のび太「『サンタイン』はこの二粒で最後、か………」
度重なる戦闘で使い続けたサンタインもとうとう底をついてしまう……
今後、危機に陥ってもこの道具に頼る事は出来ない……
のび太は最後の二粒を頬張り実体に戻った
447: 2012/05/19(土) 11:54:58.07 ID:EVqJIhgA
?「成程、判断が良い……部下が全滅させられる訳だ…」
のび太「誰だ………!?」
のび太が振り返ると一人の女性が佇んでおり
その頬には『中将』のワッペンが貼られていた……
のび太「お前が………『中将』……!!」
中将「始めまして……と言っても、お互い自己紹介はいらないわね……」
448: 2012/05/19(土) 11:55:28.97 ID:EVqJIhgA
カタカタ……カタカタ……
のび太〈何の音だ………!?〉
足元に目をやると
コンテナに潰されてもなお身体を引きずりながら
のび太へ攻撃を仕掛けようとする無残な兵隊達の姿があった……
中将「大した執念ね……まるでゾンビの兵隊……」
のび太〈くっ………!〉
のび太は『通り抜けフープ』を使い
自身を押し潰そうとしたコンテナの内部に入り込んだ
中将「………?」
449: 2012/05/19(土) 11:55:55.91 ID:EVqJIhgA
ーコンテナ内部ー
のび太「今の兵隊達が僕を脅かす事は無いだろう……」
のび太「しかし『中将』相手にこのまま放って置いたんじゃ何をしでかすかわからないぞ………だからその前に…!」ゴソゴソ…
のび太「これで良し……!」
のび太はバッグから
ガソリンの入ったポリタンクを取り寄せ、中身をブチ撒けた
のび太「そしてこのタケコプターを装着して準備完了……!」
のび太「残りの兵隊にとどめ&中将へ奇襲だ……!」
450: 2012/05/19(土) 12:13:09.75 ID:EVqJIhgA
のび太はガソリンを垂らしながら
通り抜けフープでコンテナの上へ抜け出した
のび太「これでもくらえ!!」
中将「!!」
のび太はバッグから取り出したニトログリセリンの入った瓶を
上空からコンテナへ落とす……
トラックは瞬く間に燃え上がり
大爆発を起こした!
451: 2012/05/19(土) 12:14:19.34 ID:EVqJIhgA
ゴオオオオオオオ・・・・・・
のび太「目の前でこれだけの大爆発が起きたんだ……ただでは済まない筈…!」
中将「それはあなたにも同じ事が言えるわ。」
のび太「―――ッ!?」
声のする方へ振り向いたその時
爆風で吹き飛ばされた残骸のいくつかが
のび太に命中した!
のび太「ーー~~ッ!!」
中将「打撲程度で済むなんて……どうやらかなりの防御力を持っているようね……」
中将〈それにこの男、『重力調節機』の影響を受けていない……何か重力の方向を操る道具で中和している……〉
のび太「……何だこいつは?……宙に浮いてる………!?」
452: 2012/05/19(土) 12:14:42.77 ID:EVqJIhgA
のび太「そうか!この辺りを無重力にしたんだな!?通りでここまで破片が勢い良く飛んでくる訳だ………!」
中将「そういう事……!」ヒュッ!
のび太「うわっ……!!」バシャッ!!
のび太に液体が投げつけられた!
のび太「クソッ!!目潰しか……!!」ゴシゴシ…
中将「お気に召さないなら……この『重力調節機』を奪ってみる?」
中将は空高く『重力調節機』を放り投げて
そのままどこかへ飛んで行ってしまった…
453: 2012/05/19(土) 12:15:35.99 ID:EVqJIhgA
のび太〈迂闊な奴め………!!〉
のび太は視力を取り戻すと
取り寄せバッグで『重力調節機』を取り寄せた
のび太「このまま壊してしまってもいいけれど……上空に飛んでいってしまった人達はどうなったんだ?……まさか全員墜ちてしまって……」
しずか「のび太さ~~ん!!」
下を見下ろすと
しずかとスネ夫の二人が手を振っていた
のび太「二人とも!無事で何よりだよ!」
スネ夫「凄い爆発音がしたから急いでこっちに来て見たけど…やっぱ誰かと交戦中だったみたいだね」
454: 2012/05/19(土) 12:16:44.02 ID:EVqJIhgA
のび太〈そうだ!玩具の兵隊は壊れたんだ……今、ドラえもんの『苦手つくり機』を破壊すれば………!〉
のび太はバッグに手を突っ込むが
『苦手つくり機』を取り寄せる事は出来なかった……
のび太〈『しずめ玉』だな。やはり、二度と弄れない様に沈めている……この分だと『なくし物取り寄せ機』も恐らく……〉
スネ夫「ところでのび太、その手に持っている体重計みたいなのは何だい?」
のび太「ん?ああ……これは『重力調節機』といって……そうだ。二人ともお願いしていいかい?」
のび太はこれまでの経緯と
これからの目的を簡潔に述べた
しずか「……つまり住民を救助するまで、この『重力調節機』のスイッチを切らないほうがいいわけね?」
のび太「中将を不利にさせる為にも本当は今すぐスイッチを止めたいけど……まだ助かっていない人もいるからね。じゃあ二人とも頼んだよ!」
『重力調節機』を二人に託し
のび太は先程飛んで行った中将の後を追った
455: 2012/05/19(土) 12:17:14.32 ID:EVqJIhgA
のび太「追いついた……!」
中将「『重力調節機』より私を優先した様ね……フフッ……嬉しいわ……!」
のび太「…あいにく無重力だろうと僕には何のデメリットも無いんでね……!」
中将「へぇ……腕に覚えがあるみたいだけど……!」
中将は『空手ドリンク』を飲み干した……!
※空手ドリンク
飲むと体が鉄のように頑丈になる
また、素手で空き地の土管を粉々に砕く程の力を得る
中将「これでお互い攻撃力も防御力も互角ね……勝負ッ!」
456: 2012/05/19(土) 13:02:41.55 ID:EVqJIhgA
中将は飛びかかりざまに放たれたのび太の拳をかわし
その姿勢から脇腹目掛けて回し蹴りを放つ…!
のび太「ぐッ……!」
思わぬ動きに翻弄され
体勢を崩すのび太…
続いて中将は深く身を屈め、のび太の懐に潜り込むと
顔面に強烈なハイキックを繰り出した…!
中将「あら、女だからって加減しなくても結構よ!!」
のび太「何を……おうッ!?」
無防備となった胸部に間髪を入れず肘打ちの突進攻撃…!
そのままのび太を壁まで打ち付け、突込絞で首を締め上げる…!
457: 2012/05/19(土) 13:03:06.05 ID:EVqJIhgA
のび太〈い……息が……苦しいッ!!〉グググ…
のび太はもがきながらも拳を振るい
背後の壁を全力で打ちつける……!
中将〈ヒビを入れて逃げるつもりね。だけど……!〉
暴打の衝撃により壁の一部が崩れた瞬間……!
中将はのび太の顔面を即座に掴み上げ
壁を抉るようにゴリゴリと押し付けながら移動した……!
のび太〈だ……だめだ……このままでは………!〉
獅子奮迅の如く……
中将の猛追は終わらない
ぐったりしているのび太の体勢を無理矢理起こすと
無重力に身を任せ、空高く飛び上がった……!
458: 2012/05/19(土) 13:03:43.99 ID:EVqJIhgA
高い位置まで来たところで
中将はのび太に関節技<サブミッション>を仕掛ける…!!
中将「あなたは無重力の影響を受けていない……このまま行けば普段通り地面に叩きつけられる事になるわ……!」
のび太〈この高さはまずいな……落ちるわけにはいかない……!〉
中将「な……何!?」
のび太の片腕が
車ほどの大きさに変化する…!
のび太「手を出せず暇だったんでね……『からだポンプ』を取り付けていたのさッ!!」
459: 2012/05/19(土) 13:04:00.79 ID:EVqJIhgA
中将「足掻くなッ!」
中将がすかさず『からだポンプ』の吸盤を弾き
のび太の腕は徐々に元に戻っていく……!
しかしこれで関節技から解放され、片腕が自由に動かせる様になったのび太は
胸についた『タテヨコバッジ』の針をでたらめに動かした!!
460: 2012/05/19(土) 13:04:22.12 ID:EVqJIhgA
右から左へ……左から右へ……
舵取りの利かない氏のジェットコースターが徐々に高度を落とす……!
中将「こんな脅しが私に通じるとでも……!」
のび太「脅してなんかないさ…自分の背後をよく見てみろ!!」
中将「!?」
勢いのついた両者の身体は
ビルの側面に向かって突き進んでいた……!
461: 2012/05/19(土) 13:04:38.76 ID:EVqJIhgA
中将〈しまった……ここは離脱を……!!〉
のび太「させるか!お前が後ろだ!!」ガシッ!
掴まれた腕を振り解こうと中将が懸命に手刀を繰り出すも
のび太はその手を緩める事はない……!
両者激しい攻防の末
中将を壁にしてビルの側面と激突!
しかし、それでもなおジェットコースターは続く…!
そのまま削られるように下へ下へと叩きつけながら両者は落ちていった……
462: 2012/05/19(土) 14:00:39.42 ID:EVqJIhgA
地表に辿り着く頃……
のび太は中将の束縛からとうとう解放された
のび太「ハァ……ハァ……今のはかなりダメージがあった筈だ!!」
中将「お……お互い様よ……!」
終始戦局を圧倒していた中将が地に伏せている……!
チャンスがあるとすれば今しか無い……!!
のび太は身体を休める事なく
中将に渾身の一打を繰り出した……!
のび太「うおォォォォォーーーーーッ!!」
中将「―――――――――……ッ!!」
ゴキィッ!!
463: 2012/05/19(土) 14:01:01.86 ID:EVqJIhgA
のび太「…………痛ッ!!」ビキビキビキ…
中将「フフッ……拳の砕ける音がしたわ……!」
中将は即座に身を立て直し
のび太の拳を膝蹴りで迎撃して見せた……!
のび太〈何て重たい攻撃だ……体格は僕と殆ど変わらないのに……それにこの反応速度は……!!〉
中将「女だからって嘗めていた様ね……こんな身体だけどインナーマッスルだけなら私はボディービルダー級よ………!」
のび太「インナーマッスル…………!?」
464: 2012/05/19(土) 14:01:26.90 ID:EVqJIhgA
インナーマッスル
体の内側の筋肉の事を指す
体の外側の筋肉(アウターマッスル)が大きな力や持久力をつかさどるのに対し
インナーマッスルは反射神経等をつかさどる
また筋肉の動きや関節の働きを補助する役割がある
のび太〈聞いた事あるぞ……確か鍛えるのが難しいと言われる筋肉……!〉
のび太「無重力化での変則的な戦法は……その筋肉が可能にしているという事か……!?」
中将「絶望的な身体能力の差を実感できた?」
のび太「くっ……!!」
中将「あなたがこの場にいるという事は、いくつもの道具を看破してきた事になるわけだけど……」
中将「この劣勢な状況……私に対してはどんなミラクルで凌ぎ切るつもりなのかしら……?」
465: 2012/05/19(土) 14:01:46.30 ID:EVqJIhgA
のび太は取り寄せバッグから
バイオリンを取り寄せた…!
中将「肉弾戦の望みは捨てて今度は自棄……?」
のび太「情けないが……戦闘技術<マーシャルアーツ>に関しては君の方が遥かに上だ……!!」
のび太「……だから君の戦闘技術に対し……僕は『知恵』で挑む………!!」
中将「知恵、ね………で、そのバイオリンでどうやって戦うというのかしら……?」
のび太は自分のタテヨコバッジを外し
バイオリン本体ではなく弓にそれを取り付ける…
のび太「こんな物でも……何が出来るか考えるのが『知恵』ってもんだよ……!」
466: 2012/05/19(土) 14:02:03.47 ID:EVqJIhgA
中将の真上に
バイオリンの弓を放り投げた!
中将「――!?」
のび太「今だッ!!」
のび太はバイオリンの弓に『もどりライト』を照射…!
バイオリンの弓は徐々に『原料』へと姿を変える……!
中将「これはッ!?」
のび太「『ヒゲクジラ』まで戻ったッ!!潰れてしまえッ!!」
体長30メートルともあろうクジラが
中将に圧し掛かった!
467: 2012/05/19(土) 14:03:42.60 ID:EVqJIhgA
ズシーーーーーン・・・
のび太「やった……!!」
のび太「……厄介な相手だった……!」
緊張の糸が切れたように
尻餅を着くのび太…
空を見上げると
そこには軽トラックを持った中将が目の前まで迫っていた…!
のび太「ゲェェーーーーッ!?」
中将「今度はあなたが避ける番よッ!!」
468: 2012/05/19(土) 14:04:14.45 ID:EVqJIhgA
ゴシャアアアアッ!!
のび太「ハァー……ハァー………!」
中将「無重力下のおかげでとっさに身体が動かせた様ね……!」
のび太〈さ……さっきのクジラは決定打だった筈だ……あの攻撃を回避できる方法はひとつ……!〉
中将の頭の上には先程まで無かった
『エスパー帽子』が被せてあった!
のび太〈やはり……ッ!!『瞬間移動』でかわしたんだッ!!〉
※エスパー帽子
被ることで透視、瞬間移動、念力の3つの超能力が使えるようになる
のび太〈無重力下なら『エスパー帽子』に全神経を集中させる事で……町の人達や車を『念力』で空へ飛ばす事も可能という訳か……〉
469: 2012/05/19(土) 14:04:43.62 ID:EVqJIhgA
のび太「こんな物………!」
のび太は取り寄せバッグで『エスパー帽子』を奪い取り
紙クズの様に丸めて押しつぶした…!
中将「やけに焦っている様だけど大丈夫……?」
のび太〈そりゃあ焦りもするさ……!〉
中将の戦闘技術に圧倒されるばかりで
まだ道具を三つ程しか使わせていないのだ……!
のび太〈今までの目安から推測すると……中将はあと二つか三つ道具を持っている……!〉
470: 2012/05/19(土) 15:03:14.20 ID:EVqJIhgA
今度は取り寄せバッグで
『車』を取り寄せるのび太…
のび太〈やはり……無重力空間が功を奏した……スーパー手袋さえあれば片腕でも『車』を取り寄せられる……!〉
中将「まるで帽子から鳩を出すマジシャンね……」
のび太「そして『ゾウ印口紅』……これを唇に塗れば上唇がゾウの鼻のように扱える……!」
のび太は『ゾウ印口紅』で生えた鼻で建物の柱を掴み
車を投げる体勢に入った……!
のび太「この柱を軸足にして、遠心力を加え……車を放つッ!!」ブンッ!
中将〈速い…!〉
のび太〈この一撃で……残りの道具を炙り出してやる……ッ!!〉
471: 2012/05/19(土) 15:04:22.62 ID:EVqJIhgA
のび太「……!!」
中将「あなたがマジシャンなら……私は本物の魔法使いってところかしら……?」
のび太の投げつけた車は
中将の手前でピタリと静止していた……!
のび太「まいったな……『エスパー帽子』を壊したにもかかわらず……手も使わずに車を止めてしまうなんてね………」
中将「……その割にはあまり驚いていない様だけど……!」
のび太〈………手を使わずに物体を止めるとすれば……やはり念力(テレキネシス)以外にないだろう………〉
のび太〈そしてこの中将は……『玩具の兵隊』を囮にしてコンテナで押し潰す様な戦法を得意とする……つまり………〉
のび太「『エスパー帽子』をあえて破壊させて油断した所を……事前にさしていた『念力目薬』の力を使って奇襲ってのが僕の見解だけど………!」
中将「へえー、当たり…ッ!」
中将はそのまま車を念力で操り
のび太に向けて放り返した!
472: 2012/05/19(土) 15:05:01.08 ID:EVqJIhgA
のび太はゾウの鼻を駆使し
車をかわす……!
のび太「君の道具の秘密が段々と解けてきたぞ……!」
中将「あら、そうかしら?」
のび太「……?」
中将「渇ッ!!」
中将が大きく息を吐いた瞬間!
避けたはずの車がバラバラに分解した!!
のび太「うわッ!?」
飛散した車の部品が
のび太を容赦なく襲う……!
473: 2012/05/19(土) 15:05:22.60 ID:EVqJIhgA
のび太「………ッ!!」
中将「一方向に物体を移動させる念力(テレキネシス)も……多方向に力を分散させれば爆弾の様に物を扱う事だって出来るわ……!」
テレキネシスの一種
いわゆる念分裂〈サイコクラッシュ〉と言われる物である
中将は車を放った後、急激に息を吐く事によって横隔膜を収縮…
瞬間的に血圧を上げる事で念力を分散させ、念分裂〈サイコクラッシュ〉を発生させたのだ……!
474: 2012/05/19(土) 15:06:06.51 ID:EVqJIhgA
のび太「だけど肝心の威力は疎か……これじゃあただの出来の悪い花火だ…………」
のび太の言う通り
飛散した部品のダメージは
致命傷には遠く及ばないものであった
中将「……どうやらあなたの事を少々買いかぶり過ぎていた様ね……」
のび太「………?」
中将「自分の身体をよく見てみなさいッ!!」
475: 2012/05/19(土) 15:06:27.09 ID:EVqJIhgA
のび太「………えッ!?」
飛散したボルトやネジ等の細かい部品……
それだけでは無く
細かい金属の欠片やコンクリートの岩片……
本来なら動いている内に落ちる程度の物から
明らかに許容量をオーバーした握りこぶし程の石までもが
のび太の衣服に付着していたのだ……
中将「戦いに気取られて全く意識していなかった様ね……」
のび太「何だ……これ……一体どうなって………?」
中将「私が『重力調節機』を放り投げる前から既に……戦いは始まっていたのよ……!」
476: 2012/05/19(土) 15:06:46.35 ID:EVqJIhgA
のび太〈『重力調節機』を投げる前……?確か僕は目潰しを喰らって……『目潰し』………?〉
のび太「ま……まさかあの液体は………」
中将「そう……『重力ペンキ』よ……!!」
※重力ペンキ
これを塗った部分に重力が働く様になる。壁などに塗ればそこを歩く事も可能。
中将「衣服や身体に付着した『重力ペンキ』は……あなたが動いている間、この無重力に浮かぶ様々な破片〈デブリ〉を吸い寄せた……!」
のび太「………!!」
中将「そして……これが私の奥の手……ッ!」
477: 2012/05/19(土) 15:07:09.96 ID:EVqJIhgA
中将は『おもかる灯』を取り出し
のび太に向けて照射した!
のび太「何を………ッ!?」
中将「あなたに付着した破片〈デブリ〉は『おもかる灯』によって徐々に質量を大きくするッ!」
のび太「うッ!?」ミシミシミシ…!
付着した破片は重量を増し
のび太の肉体に深くめり込んでいく……!!
中将「……まるで人間の重みに耐えられなくなった地球ね………そのままミンチになるといいわッ!」
478: 2012/05/19(土) 15:07:37.84 ID:EVqJIhgA
のび太「……ふふ……くっくっく……!」ズブズブズブ…
中将「……ッ!?」
のび太「あっはっはっはっは……!」ブシュウウウ……!
中将「き、気でも狂ったの……!?」
のび太「計画通り……!!」
中将「なんですって……ッ!?」
のび太「しぶとく喰らい付いて君の切り札を搾り出すのに専念していたのさ!」
のび太はバッグからメガホンを取り出し
口に当てて叫んだ…!
のび太「『無生物催眠メガホン』ッ!!僕に食い込んだ破片は全て……僕の細胞になるッ!!」
479: 2012/05/19(土) 15:08:03.04 ID:EVqJIhgA
のび太に食い込んだ破片の傷が
徐々に治癒していく…!
中将「な……なんて奴なの……ッ!!」
のび太「それより気付いたかい……周囲の異変に……!」
中将「異変……ハッ!?」
あらゆる方位から
何か大きな物が落下したような轟音が響く……!
のび太「『重力調節機』が止まったんだ……重力が元に戻ったッ!」
480: 2012/05/19(土) 16:01:04.96 ID:EVqJIhgA
のび太「君が僕に足止めされている間に、僕の仲間が上空に飛んで行った市民の救助をしてくれた……それが今、終わったんだ!」
中将「まさか……時間稼ぎをしていたとでも言うの……っ!?」
のび太「そう、時間を稼ぎながら………万が一逆転される事の無い様に君の切り札を先に見せてもらった……!」
中将「へぇ……まるで何時でも私を倒せたかの様な口ぶりじゃない……!」
のび太「ああ、いつでも倒せたさ……!」
中将「……っ!?」
のび太「だけどこの手段は君の事を思うとあまりに不憫でね。他の方法で君を倒せないか幾つか考えた………!」」
のび太「しかし君の戦闘技術だけは正直、計算外だ……だから、やはり当初の方法で君を裁く……ッ!」
481: 2012/05/19(土) 16:01:50.81 ID:EVqJIhgA
のび太が指差す先……
中将の肩に『玩具の兵隊』がぽつりと乗っかっていた……!
中将「これはっ!?何時の間に!?」
のび太「その『玩具の兵隊』……壊れた内の一体だけ回収して『魂ふき込み銃』で操った物だ……ッ!」
※魂ふき込み銃
自分の魂の半分を対象に吹き込むことで、もう1つの体のように対象を意のままに動かすことができる
のび太「戦いは……終わりだ……!!」
中将「!!」
玩具の兵隊は手に持っている武器を
中将の首筋に突き刺した!
482: 2012/05/19(土) 16:02:27.19 ID:EVqJIhgA
中将「あ……ああ……………!」
のび太「勝負あった……!!」
中将が『重力ペンキ』を投げつけるより前……
のび太は既に戦いを仕掛けていた!
コンテナ内部に逃げ込んだ際
壊れた『玩具の兵隊』の一体を取り寄せバッグで回収し『魂ふき込み銃』を撃つ……
その後、接近戦に乗じて
武器を持たせた『玩具の兵隊』を中将の衣服に忍ばせていたのである……!
中将〈そ……そんな………!〉 ドクン… ドクン…
のび太〈君の『今後の事』を思うと可哀想だが……これしか手はなかった………〉
483: 2012/05/19(土) 16:02:55.72 ID:EVqJIhgA
中将「『玩具の兵隊』は………私に何を刺したの……?」モジモジ…
のび太〈……戸惑っているな。無理もない……何故なら今の君は『玩具の兵隊』に―――…〉
中将「一体何を刺したの!?あ、こらッ!?待ちなさい!!」がしっ!
のび太「は……離せッ!いでで…ぐるじい……」
中将「さぁ!『玩具の兵隊』が私に刺した物は何だったの!?言いなさい!!」
のび太「きゅ……『キューピッドの矢』……だよ……!!」
中将「………え?」 ズキュウウゥゥ―――z___ン!
のび太「『キューピッドの矢』!テレビでも恋のキューピッドが云々って言うだろ!あれと一緒だよ!」
中将「な……ッ!?///」カァァ…
484: 2012/05/19(土) 16:03:19.00 ID:EVqJIhgA
中将「何て事するのよッ!?信じられないッ!!」
のび太「だから言っただろう!?僕は必氏に悩んだ!!だけど君を止める方法が思いつかなかったんだよ!!」
中将「さっきの……ゾウの鼻を出す道具とか使えば、私を絞め頃す事ぐらい出来たでしょう!?」
のび太「いや……その……君だって苦しいのは嫌だろ………?」
中将「……ッ///」ボッ
のび太〈何にしても…これで彼女は『玩具の兵隊』にメロメロの筈だ。これ以上暴れる事は無いだろう………〉
のび太は『魂ふきこみ銃』から息を吸い込み
『玩具の兵隊』に宿った魂を回収した
のび太〈……これからは野蛮な命令を受ける事無く、その玩具の兵隊と共に自由に生きていくがいい……!!」
485: 2012/05/19(土) 16:04:00.91 ID:EVqJIhgA
中将「ま、待ちなさいよ!」グイッ!
のび太「!?」
中将「こんな場所に……か弱い女の子一人を置いてどこへ行く気!?」
のび太〈……な……何言ってんだコイツ……?ちゃんと兵隊はここに置いて……〉
中将「っ!」ゲシッ!
のび太「おぅふ!」
中将「せ……責任……とってよね……!///」
のび太「責任………!?」
のび太〈まさか……玩具の兵隊が壊れた事を根に持っているのか……!?〉
のび太〈大体コンテナを落としてきたのはそっちだろ!?……女ってのはみんなこういう生き物なのか……!?〉
486: 2012/05/19(土) 16:04:41.48 ID:EVqJIhgA
のび太〈……しかし『キューピッドの矢』さえなければ彼女は人形にこんな想いを抱く事も無かったのか……う~ん……〉
のび太「そりゃあ…お互い悪かったけどさ……どうしようもなかったじゃないか……」
中将「だ、だから責任とってって言ってるじゃない……!」
のび太〈まいったな~……壊れた未来デパートの道具は『復元光線』や『タイム風呂敷』でも直せないというのに……〉
のび太「……君はどうしたら許してくれるんだい?」
中将「……え?ちょ……ちょっと何よいきなり!それを私に言わせるわけ!?」
のび太「だって責任とらなきゃ」
中将「あ……うぅ……///」ドキドキドキ…
487: 2012/05/19(土) 16:05:10.79 ID:EVqJIhgA
中将〈あああ……なんでこんな奴にドキドキしちゃってるのよ……!〉
中将〈そうよ!所詮道具の力……!この男は私を誑かそうとしているんだわ……!〉
中将「そ……そうね……じゃあ証明してみせてよ………!」
のび太「証明?」
中将「私達の仲が…本物かどうか……」
のび太〈だから一人になれる様に気を使ってるのに……もしかして人形遊びしてる所を覗かれるのが嫌で僕に釘をさしているのか?〉
のび太「……君の言いたい事はよーくわかったよ。」
中将「えっ?〈ど……どどどどうしよう……まだ心の準備が……!///〉カァァ…
のび太「それじゃ、僕はこのへんで御暇させてもらうよ。」スタスタスタスタ……
中将「…………へ?」
488: 2012/05/19(土) 16:05:28.88 ID:EVqJIhgA
のび太〈ふう……やっと開放された……〉
中将「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」がしっ!
のび太「!?」
中将「やましい気持ちが無いのはわかったけど普通そこまでする!?」
のび太「だって証明しろって……!」
中将「証明しろって言ったけど、もっと他にも色々方法があるじゃない!?」
のび太「ー~ッッッ!???」
489: 2012/05/19(土) 16:06:10.41 ID:EVqJIhgA
のび太〈馬鹿なッ!?僕は離れる、彼女は人形と一緒、今のはお互い最良の選択だったはずだ……!〉
のび太〈先程から奴は僕が射程圏外に出るのを異常に恐れている……!〉
のび太〈考えられる理由は恐らく……まだドラえもんによる『洗脳』が解けていないという事……ッ!!〉
のび太〈考えてみればこの中将が得意とする戦法は『何かを囮にして油断した所を一気に叩く』……いわば陽動戦術!!〉
のび太「先程のコンテナの一撃や『念力目薬』での攻撃から推測すると………つまり……!」
のび太〈人形を好きだと思わせておいて、その一連の所作は『フェイク』!!実際は僕の隙を伺っている……ッ!?〉
のび太〈『桃太郎印のきび団子』と『階級ワッペン』の効力が『キューピッドの矢』の効果を打ち消してしまった、という事なのか……!?〉
490: 2012/05/19(土) 17:14:05.28 ID:EVqJIhgA
のび太は嘘発見器を取り出し
中将に向けた……!
のび太「君は今もドラえもんに忠誠を誓っているのかッ!?」
中将〈と、突然何よこいつ!私にあんな矢を刺しておいて……そこまで自分の事をどう思ってるか言わせたい訳!?///〉
中将〈それとも……はは~ん、さては嫉妬してるのね?〉
中将「そ、そうね…!私にとってボスの命令は絶対よ!!」 ブブー!
のび太〈嘘発見器が反応した!…という事は『洗脳』は解け、『キューピッドの矢』の効果を受けている……思い過ごしか……?〉
のび太〈とすれば……やはりどうあっても兵隊を壊した責任を僕にとらせたいらしいな……困ったぞ………〉
中将〈ふふん、ショックを受けている様ね……さっきのお返しよ…!〉
中将〈………でもちょっと言い過ぎたかしら……だ、だめじゃない…これじゃあせっかく近づいた二人の距離が……〉
中将〈でも……でも……!ああああああああどうしよどうしよーーー!〉
491: 2012/05/19(土) 17:14:25.66 ID:EVqJIhgA
のび太「わかった……責任は取るよ。だから少しの間待っててくれないかい?」
中将「…ひぇ?」
のび太「今すぐには無理なんだ……だから……」
中将〈そ……それってつまり……それってつまり………!〉
のび太「時期がくるまで我慢出来るかい?」
中将〈そ……そうよね……考えたら私達まだ10代前半よ………!〉
中将「わかったわ…!その代わり……忘れたら許さないんだから……っ!」
のび太「ありがとう……!」
中将〈………っ!///〉ボッ
のび太〈こればかりはタイムマシンがないと修理も出来ないからなー……〉
492: 2012/05/19(土) 17:14:45.04 ID:EVqJIhgA
のび太〈とにかく一件落着だ……みんなと合流しないと……!〉
中将「……」ジーッ…
のび太「ん?」
中将〈っ!///〉ジーッ…
のび太〈な……なんだ!?まだ何かあるのか……!?〉
中将「き、気付きなさいよ……」ボソ…
のび太「へ?」
のび太〈そういえばさっきから『玩具の兵隊』を拾おうとしないな……〉
のび太〈『玩具の兵隊』にトラップが張ってあると警戒しているのか……?〉
493: 2012/05/19(土) 17:15:09.45 ID:EVqJIhgA
のび太は壊れた玩具の兵隊を拾い上げ
中将に差し出した……
中将「……何よ」
のび太「ほら、何ともないだろ?あげるよ」
中将「あ、アンタってデリカシーの欠片も無いのね!普通渡す!?」
のび太「あ、ああゴメン……〈じ……自分で拾うつもりだったのか……?〉」
中将〈……ったく、こんな薄気味悪い人形拾って渡すなんてどういう神経してるのかしら……〉
中将〈でも……さっそく貰っちゃった……プレゼント………〉
中将〈考えてみれば……この人形があったから………今の私達があるのよね………〉
中将「………///」ギュッ・・・・
のび太〈やはり……『玩具の兵隊』にただならぬ愛着を示している様だ………〉
494: 2012/05/19(土) 17:15:27.65 ID:EVqJIhgA
のび太「………」スタスタ…
中将「………」テクテク…
のび太「………!?」クルッ!
中将「………」ジーッ…
のび太〈ま……まだ着いてくる!?どうなってんだッ!?〉
のび太〈………これ以上僕に付きまとう理由があるとすれば…………!!〉
中将〈な……何よ~人の顔ジロジロ見て……今更私のサインに気付いたって……///〉ドキドキドキ…
のび太〈こいつ……僕の『取り寄せバッグ』を奪うつもりだッ!!〉
のび太〈僕が遠くから『玩具の兵隊』を奪う可能性を潰そうとしているんだ………それしか考えられない!!〉
のび太〈何という人形への執着心だ…!!完全にイッちまってる……ッ!!〉
495: 2012/05/19(土) 17:15:52.79 ID:EVqJIhgA
「おお~い!のび太~~!!」
遠くから呼びかけるジャイアンの声
救助に出ていた四人が戻って来たのだ
のび太「みんな!!無事だったか!!」
中将「……?」
しずか「こっちは何とか区切りがついたわ。」
ジャイアン「それより敵はやっつけたか!?」
のび太「そ…その事なんだけど………」
496: 2012/05/19(土) 17:16:15.76 ID:EVqJIhgA
スネ夫「……ところでそっちの女の子は誰だい?」
中将「え……ええと私は……」
出木杉「え……!?」
全員がほぼ同時に
中将の頬に貼られているワッペンに気付いた……!
のび太〈しまった!!剥がすのを忘れてた!!〉
しずか「これって……!!」
ジャイアン「おい!どういう事だよのび太!!」
497: 2012/05/19(土) 17:16:34.12 ID:EVqJIhgA
しずか「のび太さん……何か複雑な事情があるんでしょう?」
のび太「彼女は……さっきまで中将だった。だけどもう洗脳が解けたから……」
ジャイアン「洗脳が解けたから何だ!?こんだけ町に被害を出しておきながら……沢山の人を頃しておきながら関係ねぇことあるかよ!!」
スネ夫「そうだぞ!救助だってどれだけ大変だったことか!」
中将「被害……人頃し……………?」
出木杉「ちょっと二人とも落ち着いて!……大体僕等だってワッペンを貼られてたじゃないか。」
スネ夫「まだこの女にはワッペンが貼ってあるじゃあないか!それに『中将』だぞ!?わかったもんじゃない!!」
中将「違う……私……違うもの…………」
498: 2012/05/19(土) 17:16:55.37 ID:EVqJIhgA
ジャイアン「おい!とりあえず取り押さえとかないと……!」
中将「……いや…………やめて……!」
スネ夫「のび太。もしかしてお前……洗脳されたんじゃあ………!」
のび太「な……何を……何をバカな事言ってるんだ!?どうしたんだ二人とも!?」
出木杉「無理もない……町であんな転落氏体の山を見たんだ……元凶と会った事で二人とも恐慌状態に陥っている……!」
ジャイアン「悪いけどよ……しばらくの間拘束させて貰うぜ………!」
中将「やめて……いやあああああああああ!!」
パァン!!
ジャイアン「 」ピューピューッ…
スネ夫「へっ?」
499: 2012/05/19(土) 17:17:26.75 ID:EVqJIhgA
ジャイアン「」ドサっ・・・
スネ夫「ジャ……ジャイアン?」
のび太「え…………!?」
その場にいた誰一人もが
現状を飲み込めずにいた……
ジャイアンの頭部が突然
無残にも弾け飛んでしまったのだ……!
出木杉「あ……ああ…………!!」
しずか「うそよ……たけしさん……?」
500: 2012/05/19(土) 18:13:01.15 ID:EVqJIhgA
のび太〈まさか……念分裂!?彼女が……!?〉
スネ夫「ま……魔女だ!お前がやったんだ!!」
中将「違う!……私じゃない!……私じゃない!」
横たわったジャイアンの体が
次々に弾け飛んでいく………!!
しずか「もう嫌よ……やめてええええ!」
のび太「う……うう………!?」
出木杉「のび太君……い……今の見たかい………!?」
のび太「……え?」
出木杉「この中でかろうじて平常を保っているとすれば君だけだ……落ち着いて……よく落ち着いて聞いてほしい……!」
501: 2012/05/19(土) 18:13:40.55 ID:EVqJIhgA
出木杉「ジャイアンに……『小型のミサイル』が着弾したんだ……!!」
のび太「小型……ミサイルだって………!?」
出木杉「『小型のミサイル』が高速で飛来してきた……心当たりは!?」
のび太「………!!」
出木杉「僕の恐慌状態による幻覚じゃなければ早急な対策が必要になる!!このままじゃ全滅だぞのび太君!!」
小型ミサイルを有し
残っている敵……
該当する者は一名しかいない……!
のび太「まさか………!?」
ドラえもん「のび太くんご苦労様。」
502: 2012/05/19(土) 18:14:04.02 ID:EVqJIhgA
スネ夫「うわああああああああああああああああ!!!」
最初に大声を上げたのはスネ夫だった
中将やのび太に半信半疑を抱いている状況の中
この戦いの元凶となる者が現れたのだ……
彼の頭の中の欠けたピースが埋め合わされ
のび太達とは別の解が導き出される……!
ドラえもん「のび太君。僕らの計画通りだね^^」
のび太「は………!?」
503: 2012/05/19(土) 18:14:33.46 ID:EVqJIhgA
スネ夫「やっぱり!!やっぱりだ!!!」
出木杉「スネ夫君……!?」
スネ夫「お前達……!グルだったんだな!?」
のび太「スネ夫……!?」
スネ夫「だ、だっておかしいじゃあないか!?何でのび太と中将とドラえもんが平然とそこにいるんだ!!」
ドラえもん「バレちゃあしょうがない。」
のび太「ドラえもん何を言って……!?おいスネ夫!!耳をかしちゃ駄目だ!!」
ドラえもん「いつも君とジャイアンがのび太君を虐めるからね。僕等でじっくり懲らしめてやろうと思ったんだ」
504: 2012/05/19(土) 18:15:01.41 ID:EVqJIhgA
スネ夫「うわああああああああ!!」ダッ!
しずか「スネ夫さん!!」
のび太「スネ夫!!」
ドラえもん「逃がさないよ……!」 パァン!
無敵砲台のミサイルが飛来し
スネ夫の足に直撃した…!
スネ夫「ぎゃあああああ!!痛いよ!!ママーーーーーーーーーッ!!!」
ドラえもん「ウフフフフ。」
505: 2012/05/19(土) 18:15:29.50 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「『らくらくシャベル』~!」てってれっててってってーー
※らくらくシャベル
どんな硬い岩や地面でも、豆腐のように簡単に掘ることのできる道具
スネ夫「助」スパァン!!
ドラえもん「ウフ、ウフフフフフ。」ザクッ!ザクッ!ザクッ!
頭を刎ね、崩れるようにして倒れたスネ夫の肉体を
ただひたすらにシャベルで削り取っていくドラえもん……
その腕に貼られた『大将』の階級ワッペンが返り血を浴び
みるみる内に赤く染まっていった……
中将「あ………」
出木杉「は……はは…………」
しずか「いやあああああああああああ!!」
のび太「スネ夫ーーーーーーーッ!!」
506: 2012/05/19(土) 18:16:06.66 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「さて……」クルッ!
のび太「ッ!!」ゾクッ…
のび太達の方へ振り返るドラえもん…
その表情に情けの二文字は無く
全てを破壊し尽くさんと言わんばかりの殺気に満ち溢れていた…!
ドラえもん「次は裏切り者の番だ……出木杉か……中将か………!」
出木杉「……!」
ドラえもん「ターゲット補足……!」
しずか「中将さん……貴方の名前を教えて……」
中将「私の……名前…………?」
ドラえもん「無敵砲台発射ッ!!」
507: 2012/05/19(土) 18:16:35.83 ID:EVqJIhgA
ドゴオオオオオオン・・・・・・
しずか「残念だったわね………!」
ドラえもん「ミサイルが全て迎撃された……いや、何かにぶつかったような感じがしたな……!」
しずか「そう……この『バリヤーポイント』は全ての攻撃を拒絶する………!」
ドラえもん「ほう……半径2メートル内にみんなを入れる事で守ったわけか……くふふふふ……!」
のび太〈何が可笑しいんだ……ドラえもんのやつ………!〉
ドラえもん「それにしても中将。この町でこれだけの被害を出しておきながらノコノコ生き長らえるなんて虫が良すぎるんじゃないかい?」
中将「ひっ…………!!」
のび太「ドラえもんッ!訂正しろッ!」
508: 2012/05/19(土) 18:17:32.78 ID:EVqJIhgA
のび太「君が『桃太郎印のきび団子』で洗脳して『殺戮マシーン』に仕立て上げたんじゃあないか!!」
中将「…………」
ドラえもん「『殺戮マシーン』に仕立て上げた、か……クックック…!」
のび太「何が可笑しい……!?」
ドラえもん「僕は『階級ワッペン』以外に『洗脳』なんか施した覚えはないよ。」
のび太「……なんだって………!?」
509: 2012/05/19(土) 18:18:36.36 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「僕は『のび太を殺せ』としか命令していない。」
ドラえもん「一般人に危害を加えたのは彼等の独断だよ。」
のび太「馬鹿な……ッ!?『階級ワッペン』だけであれほどの統率がとれるわけがない!!」
ドラえもん「中将、どうやらのび太君は君たちの事を『殺戮マシーン』だと思ってるみたいだよ。」
のび太「な……ッ!?」
中将「ううっ……………!」
510: 2012/05/19(土) 19:19:03.68 ID:EVqJIhgA
のび太「ドラえもん!嘘をつくんじゃあ無い!!ジャイアンやスネ夫に比べて他の部下の統率は異常だったんだ!!」
ドラえもん「人聞きの悪い事を言うねぇ。それは君の思い込みだろう?とにかく『桃太郎印のきび団子』なんてものは僕は一切使っていないよ。」
のび太「嘘だっ!!連続殺人犯だった『少佐』を除けば……君の部下の殆どが普通の生活を送っていた人間じゃあないか!それを君が洗脳して悪人に仕立て……!」
ドラえもん「『復讐の為なら殺人すら厭わない孤児』、『小動物を殺生して喜ぶ高校生』、『影で過度の暴力を振るう教師』『完全犯罪で罪を逃れた殺人犯』etc………」
のび太「……?」
ドラえもん「彼らの殆どは『怒りエネルギー観測チャート』で探し当て吟味、選出した……元々クレイジーな人材なのさ……!」
のび太「……そ……そんな……!」
ドラえもん「ほら……取り乱した彼女を見てごらんよ……!」
中将「あ………あ…………」
のび太「!?」
511: 2012/05/19(土) 19:21:34.48 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「彼女は私生活で色々と問題があったみたいだねぇ。冤罪で殺人犯に仕立て上げられてしまうなんて……」
中将「いや!……やめてママ!!」
しずか「離れてはダメよ!落ち着いて!!」
出木杉「駄目だ…フラッシュバックに陥ってしまっている!しずちゃん!無理やりにでも取り押さえて!!」
中将「やめて!離してママ!いや!!」
のび太「くっ………!」
ドラえもん「おいおいのび太君。見かけで判断されるのを人一倍嫌っていた君が……まさか同じものの見方で人を判断していたというのかい?」
ドラえもん「それじゃあ君が見た目で判断されようが自業自得ってもんだよ!くひゃひゃひゃひゃひゃ!」
512: 2012/05/19(土) 19:22:03.46 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「何よりのび太君。そんなクレイジーな人材を葬ってきた君こそ本物の『殺戮マシーン』だよ………!」
のび太「僕が……『殺戮マシーン』だって……!?」
出木杉「のび太君!耳をかしたら駄目だ!!」
ドラえもん「出木杉君。僕は事実を述べているまでだよ。」
のび太「僕は……『殺戮マシーン』なんかじゃない………!」
ドラえもん「ほう……じゃあ君は今まで僕の部下をどうやって退けてきたんだい………!?」
のび太「それは………!」
ドラえもん「そういえば動物園を襲撃した大佐の氏体がニュースで取り上げられてたけど……彼は頭部を撃ち抜かれていたそうだ………!」
のび太「う………!」
513: 2012/05/19(土) 19:22:28.87 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「ジャイアンに虐められ、帰ってきた時にいつも喉元で押し頃していた言葉を思い出してごらん?」
ドラえもん「私利私欲で弱い者を虐げているクズどもはいなくなればいい!……そしてその願望を君は叶えた!清々したろう…?」
のび太「ち……違う……僕は…ッ!」
ドラえもん「まさか僕の部下達を倒したときも、自分の都合の良い様に言い訳をして責任から逃れていたというのかい?」
のび太「う……うう……ッ!」
ドラえもん「綺麗事を吐いておきながら我が身がかわいくてしょうがないんだねぇ」
514: 2012/05/19(土) 19:22:46.64 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「君は立ちはだかる反対派を抹頃する事で己の身を守った……」
のび太「ち……違うッ!あれは……正当防衛で………!」
ドラえもん「いいや、それでも君は頃したんだよ。」
のび太「警察じゃどうにもならなかった……それに彼等は無関係の人を……!」
ドラえもん「暴力に対し同じ暴力でねじ伏せたんじゃないか。清々したろう?」
のび太「違う……ッ!」
ドラえもん「何が違うんだい?やっている事は同じだろう?」
ドラえもん「やっぱり君は……クズだよ。」ニタァ…
515: 2012/05/19(土) 19:23:34.57 ID:EVqJIhgA
のび太「うう………僕は……僕は………ッ!」
しずか「……口車に乗せられてはダメよ!」
のび太「しず……ちゃん……」
しずか「のび太さんも……中将も……二人ともしっかりしなさい!!」
しずか「特にのび太さんの方よ!こんな事になってしまった元々の原因は何!?」
のび太「……?」
516: 2012/05/19(土) 19:23:56.29 ID:EVqJIhgA
しずか「相手の過去だとか貴方が人を頃してしまっただとか……そんな事は今、関係無いでしょう!?」
しずか「あなたが今、悩んでいるのも……これだけの被害が出てしまっているのも……全てドラちゃんがバラ撒いた道具がもたらしたものよ!」
のび太「………!」
しずか「ドラちゃんもよ!自分の非を認めないあなたに……のび太さんの事を悪く言う資格なんてないわ!!」
ドラえもん「心外だなぁ。君の言う通りだとしても、のび太君が人を頃した事実は消えないだろう?」
のび太「そうだ……僕は人を……人を………!」
しずか「事実は変えられない……だけど私達には幸いにも、全てをやり直す事が出来る道具があるでしょう……?」
のび太「全てを……やり直す………」
しずか「全て変えてしまえばいいのよ……ドラちゃんを倒して……タイムマシンで過去を変えるの!!」
517: 2012/05/19(土) 19:24:23.63 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「おや、しずちゃん。そんな簡単に人の過去を変えてしまってもいいのかい?」
ドラえもん「どんな過去であれ……そういう過ちがあったからこそ今の君達が築かれているわけだよ?」
ドラえもん「君は自分の積み重ねた努力や過去の過ちを平気で否定するような人なんだねぇ」
しずか「ドラちゃん……あなたの戯言にはうんざりだわ……!」
しずか「努力や過ちで築かれてきた今の私たちが『過去を変える』という事を決めたのなら……」
しずか「私達にとっては何も間違ってはいないし、決して無意味なんかじゃないわ……!」
しずか「それに私達は過去を否定するんじゃない……受け入れた上で、先へ進む為に……過去を変えるのよ……!」
518: 2012/05/19(土) 19:25:00.04 ID:EVqJIhgA
虚ろだったのび太の目に光が宿る……
それは希望にも似た一筋の輝きであった…!
のび太「ドラえもん…僕は過去も、これからも変えてみせる……僕の過ちも……君の過ちもだ!」
ドラえもん「ちっ……!あともう少しで自滅を促せたものを……!」
しずか「当然よ…!元凶であるあなたの言葉には何の重みも感じないもの……!!」
ドラえもん「くふふ……ふふふふふふ……!」
ドラえもん「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
のび太「……!?」
ドラえもん「こんな単純なマインドコントロールに揺さぶられてしまうなんて!君は本当に脆いなぁ。」
519: 2012/05/19(土) 19:25:30.25 ID:EVqJIhgA
のび太「ドラえもん……君は………!」
しずか「!」
のび太「どこまで人をバカにすれば気が済むんだァーーッ!!」
出木杉「ダメだ!!飛び掛っては敵の思うツボ…!」
ドラえもん「出たな……?」
ドラえもんの挑発により
のび太はバリヤーポイントの結界から飛び出してしまった……!
のび太「……!!」
ドラえもん「かかったなアホが!!」
521: 2012/05/19(土) 20:26:01.15 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「『ひらりマント』ッ!!これを全身に纏えば……僕が体を逸らすだけで君の攻撃は全て外れるッ!」
のび太「くっ……!!」ブンッ!
ドラえもん〈そして……しずかのバリヤーポイントはのび太を受け入れた、という事はつまり……!〉
ドラえもんは先端に手の付いた
長い棒の様な物を取り出し、静香達の方へと向ける…!!
ドラえもん〈頭文字はのび太と同じ『の』ッ!!よって『ノビールハンド』はバリヤーポイントを貫通するッ!!〉
のび太「マズい!!『ノビールハンド』だ!!しずちゃん!!!」
522: 2012/05/19(土) 20:26:21.38 ID:EVqJIhgA
ガキィンッ!!
しずか「のび太さん……!」
ドラえもん「拒絶したか……だけどこれでのび太はバリヤーポイントから離れた!!!」
のび太「これが狙いだったのか……!!」
ドラえもん「うふふふふ……楽しいバトルの始まりだッ!」
のび太〈……………〉
523: 2012/05/19(土) 20:26:45.04 ID:EVqJIhgA
のび太「しずちゃん……さっきはありがとう…」
しずか「え…ええ………」
のび太「おかげで大分気持ちが楽になったよ……」
しずか「のび太さん……?」
のび太「出木杉も……この戦いに着いて来てくれた事……本当に感謝してる……!」
出木杉「の……のび太君……突然何を……!?」
のび太「それと……お願いがあるんだ……」
中将「………」
のび太「中将……」
524: 2012/05/19(土) 20:27:03.30 ID:EVqJIhgA
のび太「僕がやられてしまったら……しずちゃんのバリヤーポイントしか身を守る術が無い……」
のび太「だから……その時は中将……君の持っている道具の力で二人を助けて欲しい……」
中将「私が………?」
のび太「そうだ……!」
中将「私………」
のび太「じゃあ……頼んだよ……!」
のび太はタケコプターで空へ飛び上がり
しずか達から離れて行った…!
ドラえもん「あッ!!逃がすかッ!!」
525: 2012/05/19(土) 20:28:28.01 ID:EVqJIhgA
出木杉「行ってしまった……!」
しずか「のび太さんは……私達を戦いから遠ざけようと……自分から遠くへ行ったんだわ……!!」
出木杉「僕らには……のび太君の帰りを祈る事しか出来ないというのか……!?」
しずか「そんな……祈っている暇なんてないわ!!私達にも何か出来る事が……きっと出来る事があるはずよ……!」
中将「私達に…出来ること……」
しずか「どうしたの……?」
中将「二人とも……しっかりつかまってて……!」――――――――…
526: 2012/05/19(土) 20:29:28.38 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「どこへ逃げても無駄だぞ!!」
ドゴオオオン・・・・!ドゴオオオン・・・・!
のび太「くっ………!」
ドラえもん「残念だけど『ひらりマント』と『無敵砲台』を確保している時点で僕の勝利は約束されたようなものだ!諦めて氏ねっ!」
のび太「それはどうかな………!」
ドラえもん「………!?」
のび太は『空気ピストルの元』を手に垂らし
ドラえもんの方へ振り返った
527: 2012/05/19(土) 20:30:07.28 ID:EVqJIhgA
のび太「ドラえもん………無敵の道具って何だと思う…?」
ドラえもん「無敵の道具?そりゃ今の僕が使っている………」
のび太「例えば君が使った『ウソ8OO』や『タイムベルト』……これらも効果だけを見ると無敵そうに見える……』
のび太「けどね……君が失敗した様に、道具ってのは必ず弱点があるものなんだ……!!」
ドラえもん「……何が言いたい………?」
のび太「君の『ひらりマント』だって『無敵砲台』だって無敵じゃない……決して無敵じゃないんだ……!」
ドラえもん「僕の道具が……無敵じゃないだって……!?」
528: 2012/05/19(土) 20:31:16.44 ID:EVqJIhgA
のび太「例えばその『ひらりマント』は『電磁波の反発』を利用する事で攻撃を逸らしてしまうらしいね……!」
ドラえもん「な……なんだ!?」
ドラえもんの纏う『ひらりマント』の周りに
気流のようなものが浮かび上がる……!
のび太「それが『電磁波の反発』だ……実際目で見る事は出来ないが『具象化鏡』で映してやれば視覚で見る事が出来る……!」
※具象化鏡
『時の流れ』等、言葉の表現を具象化させる
のび太「そして……視覚化させた後は簡単だ……その『電磁波の反発』を『実体化』させる!」
※イメージベレー帽
目で見る事が出来ないイメージを実体化させる。
ドラえもん「う……!?」
529: 2012/05/19(土) 20:32:13.90 ID:EVqJIhgA
のび太「全身を取り巻いていた気流……『電磁波』が実体化したことによって君は身動きがとれない!!」
ドラえもん「くっ……だからどうした!?僕を殴ろうとしても全身のマントが反動でぶれる事によって攻撃は逸れる!!」
のび太「何も殴ろうってわけじゃあない……!」
のび太はバッグから
『NSワッペン』を取り出した
のび太「実体化した『電磁波』……マントの周囲で反発し合っている電磁波の部分に『NSワッペン』を貼り付ければッ!その間、電磁波の反発は行われなくなるッ!!」
ドラえもん「!?」
のび太は空気ピストルで『NSワッペン』を弾き
実体化した『電磁波』に命中させた!!
のび太「これで君の『ひらりマント』はただの布切れと化した………!!」
530: 2012/05/19(土) 20:33:20.08 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「だ……だったら何だというんだ!?『ひらりマント』は保険!!攻撃も防御も『無敵砲台』で補えるんだッ!!」
のび太「そうだろうね……君に近づけばミサイルが僕を迎撃しにかかるだろう……」
ドラえもん「……それなのに……君はなんで平然と僕に近づいて来れるんだァァーーーッ!?」
のび太はドラえもんと腕ひとつ分の距離まで迫っていた……!
ドラえもん「何故だッ!?何故ミサイルは迎撃しないッ!?」
のび太「……仲間を捨てゴマ同然の様に扱ってきた君にはわかるまい……!!」
531: 2012/05/19(土) 21:38:43.67 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「仲間!?仲間だと!?」
のび太「さっき別れた三人さ……!!」
ドラえもん「何処だ!?何処にいるッ!?」キョロキョロ…
のび太「ここにはいない……恐らく君が設置した『無敵砲台』の本体の所だろう……!」
ドラえもん「………何だって!?」
のび太「しずちゃんには『バリヤーポイント』があるからね……それに中将の『念力目薬』があれば浮遊する事だって出来る……」
ドラえもん「まさか………先程の会話だけで……のび太の為に『無敵砲台』を止めに行ったと言うのかッ!?」
のび太「僕はさっき彼等の目を見て確信した…………同じ立場なら………僕だってそうする…………!!」
532: 2012/05/19(土) 21:39:16.85 ID:EVqJIhgA
ドラえもん「バカな!?くだらない友情ごっこに命をかけたと……ッ!?」
のび太「これでも……追い詰められたこの状況でも……くだらないと思えるのかい……!?」
ドラえもん「……ッ!?」
のび太「ドラえもん……君は一体………どうしたんだ……!?」
ドラえもん「寄るな……僕のそばに寄るなァーーーーーッ!!」
ドラえもんは懐から束になったダイナマイトの様な物を取り出し
自身の口に含んだ!!
533: 2012/05/19(土) 21:39:40.33 ID:EVqJIhgA
のび太「!?」
ドラえもん「我……ピピ………ッ!!」
のび太〈まさか……『自爆』――――――!?〉
――――――………
534: 2012/05/19(土) 21:40:29.89 ID:EVqJIhgA
―――夕暮れ時……
のび太は窓の外を眺めながら
ドラえもんとのこれまでの日々を思い返していた……
しずか「のび太さん……目が覚めたのね……」
のび太「………二人は……?」
しずか「出木杉さんは帰ったわ……中将さんもよほど疲れたんでしょうね……寝室でぐっすり眠ってる………」
のび太「そう………」
しずか「…………」
535: 2012/05/19(土) 21:41:21.98 ID:EVqJIhgA
戦いはあっけなく幕を閉じた…
ドラえもんの突然の自爆……
タイム風呂敷など、あらゆる処置を施すも
ドラえもんが再び目を覚ます事は無く……
暴走した真意もわからぬまま
それぞれに癒える事の無い深い傷跡だけを残す結果となった
536: 2012/05/19(土) 21:42:08.05 ID:EVqJIhgA
しずか「――…お墓を……?」
のび太「うん。」
のび太「僕らがタイムマシンで歴史を変えればこの時間軸は劇的に変化するだろう……」
のび太「僕等も……もしかしたら今と全く異なる僕等になるのかも知れない……」
のび太「今の僕があるのはドラえもんのおかげだ……だから………」
しずか「……そうね………」
537: 2012/05/19(土) 21:42:54.81 ID:EVqJIhgA
新たなる時代へのけじめ……
それと同時にドラえもんに対する
のび太の感謝に他ならない……
その日の夜
二人はドラえもんの墓を立てる為
公園へと足を運んだ……
時刻は0時を過ぎ
次の日付を回っていた
538: 2012/05/19(土) 21:44:29.63 ID:EVqJIhgA
――8月6日、深夜――――――…
ー公園ー
のび太「この辺がいいかな………」
しずか「ええ、ここだと人目につく事も無いでしょう」
のび太「さて……まず穴を掘らなきゃ……」
しずか「……ええ。」
539: 2012/05/19(土) 21:45:15.92 ID:EVqJIhgA
のび太「ドラえもんの事だ……タイムマシンを修理に出してるだろう………」サクッサクッ
しずか「…………」
のび太「………はやくタイムマシンを見つけて……こんな歴史………!」
しずか「のび太さん……」
のび太「な、なんでもないよ……はねた土が目に入っただけ……」ゴシゴシ…
しずか「無理しないで………」
のび太「……うん……………」
540: 2012/05/19(土) 21:46:02.30 ID:EVqJIhgA
のび太「……早くお墓を作ってやらなきゃ……野ざらしじゃ…落ち着かないもんね……」
しずか「ええ………」
のび太「……」サクッサクッ
ガンッ!
しずか「……あら?今地面に……」
のび太「シャベルに何か当たったね……なんだろう…?」
542: 2012/05/19(土) 22:46:29.07 ID:EVqJIhgA
のび太達は
地面に埋まってた球状の物体を掘り起こした…
しずか「……何かしら……?」
のび太「丸い、ね……公園の設備に関するものじゃあないみたいだ……」
しずか「……誰かが埋めたのかしら…?」
のび太「う~ん……玩具かな…………」
しずか「あら?このボール、上半分が蓋みたいだわ?」
のび太「何かの入れ物なのかな……?」
543: 2012/05/19(土) 22:47:31.01 ID:EVqJIhgA
しずかが球状の物体の上部分を捻り
蓋を開いてみると
中には 一冊のノートと一枚のシール、それに時計がひとつ
ひっそりと置かれていた…
しずか「……誰かが記念品を埋めてたみたいね。」
のび太「タイムカプセルってやつかぁ………何だか悪い事をしたなぁ…………」
しずか「誰かのしまった思い出はむやみに覗くものじゃないわ…元に戻しておきましょう」
のび太「うん……それにしても変な形の入れ物だね。」
しずか「うふふ、まるでドラちゃんの道具みたい……」
544: 2012/05/19(土) 22:47:50.34 ID:EVqJIhgA
――――――――――――ドラえもんの道具……
のび太「……待ってしずちゃん!」
しずか「え…!?」
のび太はボールを両手に取り
見開いた目で中身を覗く…!
のび太「……ま、間違いない!じっくり見るまで何の道具か全く思い出せなかった……!」
545: 2012/05/19(土) 22:48:40.04 ID:EVqJIhgA
のび太「これは…………!」
のび太「このボールは……『タイムカプセル』だ……!」
しずか「……?」
のび太は中にあった一冊のノートを手に取り
ページをめくる…!
のび太「……………!?」
しずか「……どうしたの?のび太さん……?」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・
のび太「……こ……これ……これはどうなって……!」
546: 2012/05/19(土) 22:50:46.67 ID:EVqJIhgA
7月07日――――――
のび太は氏なない
7月08日――――――
のび太は氏なない
7月09日――――――
のび太は氏なない
…次々とページをめくるも
どのページも同じ事柄で埋め尽くされていた
のび太〈―――――――何だ……ッ!?これは……ッ!?〉
547: 2012/05/19(土) 22:51:25.72 ID:EVqJIhgA
のび太「どのページも…どのページもッ!!」
しずか「のび太さん…!?ちょっと落ち着いて…!」
のび太「お墓を作る為に…ここの地面を選んだのは……僕だ…!」
のび太「……だけどこれは?……誰が……誰が書いた?……これは僕の字じゃあ無いッ!」
のび太「これを埋めた奴は……どうして僕がここを掘る事を知っていたんだ!?」
のび太「………!」
548: 2012/05/19(土) 22:52:19.39 ID:EVqJIhgA
8月6日――――――
日記を付けたのは良いものの
のび太が好き勝手していないだろうか心配だ
8月6日に一度僕らで日記を掘り起こそうと思う
そこで話し合って、どうするか決めよう
それまでこの日記やタイムカプセルは誰にも見つかる事なく
ひっそりと地中に埋まる事
のび太「これは……?ドラえもんが書いたのか……!?」
しずか「そういえば、ドラちゃんがおかしくなったのはいつ頃からなの……?」
のび太「ドラえもんがおかしくなったのは……7月13日………」
しずか「……?」
のび太「無い……13日以前の記憶が……全く思い出せない……!!」
549: 2012/05/19(土) 22:53:23.64 ID:EVqJIhgA
のび太はバッグから
『いつでも日記』を取り寄せた
のび太「『いつでも日記』、これは記憶にないような過去の出来事を正確に書くことができる……!!」サラサラサラ…
のび太〈書いた通りになる『あらかじめ日記』に何故、僕が氏なないと書かれていたのか……『いつでも日記』で僕の抜け落ちた記憶を探れば何かわかるかも……!〉
7月07日――――――
もっと刺激のあるスリルに満ちた日々を送りたい
ドラえもんに『もしもボックス』を出してもらおう
のび太〈――――――っ!!〉ズキッ!
のび太〈……頭が……痛い……………!〉
しずか「何か思い出せた……?」
のび太「……見当はついたよ……後は『記憶とり出しレンズ』で念じて……曖昧な記憶を脳内で鮮明に映像化させる……!!」
550: 2012/05/20(日) 00:48:25.24 ID:Zg5RbYmj
いま333kbだ。
容量はもつのか?
容量はもつのか?
551: 2012/05/20(日) 07:53:07.58 ID:MKUIFUyi
ここは過疎板で流れ緩やかだし、危なくなったら次スレたてれば良いんじゃない
552: 2012/05/20(日) 08:20:07.19 ID:XxXGu0+A
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