絵里「ねぇ、誘ってるの？」

にこ「えっ？」

絵里「この猫、誘ってるように見えるのだけど」

にこ「ああ、顔を洗ってるのね」

絵里「顔を？」

にこ「猫が顔を洗うと雨が降るって言われてるわね」

絵里「そう、じゃあ誘ってるってことね」

にこ「え？」

絵里「雨が降るからこの喫茶店で休んでけってことでしょ？ 優秀な看板猫ちゃんね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

にこ「…ふふっ、そうね。じゃあ誘われましょうか」

絵里「ねぇ、誘ってるの？」

にこ「えっ？」

絵里「私にスプーン向けちゃって」

にこ「ええ、食べたそうにしてるんだもの。それともいらない？」

絵里「い、いる！」

にこ「じゃあ、あーん」

絵里「あ、あーん///」

絵里「ねぇ、誘ってるの？」

にこ「えっ？」

絵里「相合傘に」

にこ「ええ、それぞれが傘差してたら遠くて話しにくいじゃない」

絵里「でも、相合傘するには傘小さいわよ」

にこ「こんな風にくっつけば大丈夫よ」ｷﾞｭｰ

絵里「うっ…」

にこ「…絵里は嫌？」

絵里「い、嫌じゃないわ！」

にこ「そう、じゃあ行きましょっ？」

絵里「え、ええ…///」

絵里「ねぇ、誘ってるの？」

にこ「えっ？」

絵里「って思うくらい、引きこまれそうになる絵だわ」

にこ「そうね、すごい臨場感…。でも、」

ｷﾞｭ

絵里「にこ？」

にこ「…誘われても、にこのこと置いてっちゃヤだからね？」

絵里「もちろんよ、私はずっとにこのそばにいるわ」

にこ「…うん」

絵里「ねぇ、誘ってるのかしら？」

にこ「えっ？」

絵里「あの女神像、上半身裸じゃない」

にこ「…絵里ちゃんは彫像に興奮する変態さんにこ～？」

絵里「じょ、冗談よっ！」

にこ「知らないっ！」

絵里「ま、待ってにこ！ ご、ごめんなさいっ！」

絵里「ねぇ、誘ってるのかしら？」

にこ「えっ？」

絵里「このペアストラップ」

にこ「えっと、美術館限定？ ああ、２つくっつけると形になるってやつね」

絵里「…」

にこ「一緒につける？」

絵里「いいの！？ じゃあ買ってくるわ！」

にこ「ちょっと待って、別に割り勘でも…って」

絵里「これくださーい！」

店員「はい、1,080円です」

にこ「…後で払えばいいか」

絵里「ねぇ、誘ってるのかしら？」

にこ「えっ？」

絵里「このお店」

にこ「『ロシア人も唸るロシア創作料理店』…？お昼はここにする？」

絵里「ええ、私の舌はそんなに甘くないわよ！」

―――

絵里「ハラショー！ 美味しいわ、このボルシチ！」

にこ「ふふっ、良かったわね」

絵里「ええ」

絵里「ねぇ、誘ってるの？」

にこ「えっ」

にこ「だからそう言ってるじゃない、今日はこころとここあのお泊り会でママと虎太郎もいないから泊まってく？って」

絵里「えっと、いいのかしら…？」

にこ「にこがいいって言ってるのに…、それとも泊まりたくない」

絵里「そ、そんなわけない！ えっと、じゃあよろしくお願いします…」

にこ「はい♪ じゃあスーパー寄って、あとDVDも借りましょっ」

絵里「うん…」

絵里「ねぇ、誘ってるのかしら？」

にこ「えっ？」

絵里「『怖がりでも大丈夫！心霊特集！！』」

にこ「え、え、っと…、借りるの…？」

絵里「私もね、いつまでも怖がってちゃダメと思うのよ、借りるわ」

にこ「そ、そう…」

絵里「ねぇ、誘ってるのかしら？」

にこ「えっ？」

絵里「その右手のお肉と、左手のお魚」

にこ「こう持ってたら、食べたい方に寄ってくるかな～？って」

絵里「虫じゃないんだから…」

にこ「それで、どっちを食べたい？」

絵里「…じゃあお肉で」ｽｯ

にこ「わかったわ、ふふっ、やっぱり食べたい方に寄ってきたじゃない」

絵里「し、仕方ないじゃない！」

にこ「ふふふっ、じゃあ、このお魚は明日のお夕飯にするわね」

絵里「ねぇ、誘ってるの？」

にこ「えっ」

にこ「いや、全然誘ってないけど…」

絵里「さ、誘って、る…？」

にこ「だから、誘ってないってば」

絵里「さ、誘ってぇ…、うぅ…」

にこ「はぁ…、一緒にお風呂に入りたいならそう言えばいいじゃない」

絵里「ち、ちがっ…、いや、うん、そう。にこと一緒に入りたい…」

にこ「でもだめ、ご飯の用意しないといけないから。 …ほら、しょげないの！ また今度一緒に入ればいいじゃない」

絵里「…わかった。約束よ？」

にこ「ええ、もちろん」

絵里「ねぇ、誘ってるの？」

にこ「えっ？」

絵里「にこがお風呂から上がって来たから、さあDVD見ようかしらと思ったら、膝に頭を乗せてきて私のことを見上げちゃって…」

にこ「誘ってるわ」

絵里「っ！」

にこ「って言ったらどうする？」

絵里「…にこはズルいわ。そりゃにこに色々するわよ、嫌だって言ってもやめてあげない」

にこ「いや～ん♪ これからにこは絵里ちゃんに、何されちゃうのかしら～♪」

絵里「にこ」

にこ「…いいわよ」ｽｸｯ

絵里「ん…」

にこ「ちゅっ…」

ﾁｭﾝﾁｭﾝ

絵里「…ねぇ、誘ってるの？」

にこ「ん～…？ んー…」

絵里「ねぇって」

にこ「んー、いまなんじ～…？」

絵里「6時半ね」

にこ「まだ早いじゃない…、ママたち帰ってくるの9時頃って言ってたからもう少し寝かせてよ…」

絵里「ええ…、っていやだから、誘ってるの？って…、そんな格好して…」

にこ「え～？ あぁ、昨日そのまま寝ちゃったのね…、ていうかそれだけで興奮するの…？朝からしたいの？」

絵里「…っ」

にこ「…9時までに掃除、洗濯ぐらいは終わらせたいのよ…、だから時間はないわよ。…今日って、亜里沙ちゃんは？」

絵里「え？ どうして亜里沙が…、あぁ。確か雪穂ちゃんとショッピングモールに行くって言ってたわ」

にこ「そ、この後にこは暇だから、絵里の家におじゃましていいかしら？」

絵里「ええ、もちろん」

にこ「よかったわ、そうしたらにこはもうちょっと寝かせて貰うわ…」

絵里「おやすみ、にこ」

ﾁｭｯ

にこ「ん、おやすみ、絵里」


デート＆お泊り編　おわり

落ちる落ちない云々より、ネタが尽きたし終了
一応今回はストーリー仕立てでは書いたけど、短ネタ思いついたらストーリー、時系列関係なしに書くかも

デート＆お泊り編より前の話


海未「では、二人一組になってストレッチしてください」


にこ「絵里、組みましょ？」

絵里「ええ、いいわ」

にこ「じゃあ、まずは絵里からね」

絵里「わかったわ」

にこ「じゃあ押すわねー、っと。やっぱあんた柔らかいわね～」

絵里「バレエやってたしね、でもストレッチ怠るとすぐ硬くなっちゃうのよ」

にこ「へ～、っとこんなところかしら」

絵里「ありがと、じゃあ次はにこね」

にこ「ええ、お願い」

絵里「押すわよ、よっと」

にこ「いたたたたっ！」

絵里「ふふっ、にこは硬いわね」

にこ「うーん…、お風呂あがりにいつもストレッチしてるんだけどね」

絵里「じゃあもう少し強く押すわね」

にこ「お願い」

絵里（よっと…、って、あっ、にこの胸元が…って）

絵里「ええぇぇ！！？？」

海未「ど、どうしましたか！？ 絵里！」

穂乃果「絵里ちゃん、どうしたのー？」

絵里「な、何でもないわ！！」

にこ「…」ｸｽｯ

絵里「ちょっとにこ！もしかしてブラ着けてないの！？」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

にこ「あ、もしかして見えちゃった？」

絵里「え、えぇ、まぁ…」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

にこ「さっきの体育の時にホックが壊れちゃったのよ、替えがないからずっと着けてないわ」

絵里「でも、だからって…」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

にこ「？ あぁ、心配しないで。海未には伝えて、激しい練習は控えて欲しいってお願いしたから」

絵里「そ、そう…」

絵里（はっきり見ちゃったじゃない、にこの、ち、ちく、び…、だ、だいじょうぶ…、女の子同士なんだから気にすることないじゃない…）ﾓﾝﾓﾝ

にこ「…」ﾌﾌｯ

絵里「～♪」

にこ「…」ｶﾁｯｶﾁｯ

絵里「あっ、ねえにこ、この服なんだけど…」

にこ「ん、何？」ｸﾙｯ

絵里「っ！」

にこ「どうしたの？」

絵里「…に、にこ。その、イスに座ってる時に片膝立てるのは、色々と危ないわよ…？」

にこ「そうね。ちょっとはしたないわね」

絵里「え、ええ…」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

にこ「あれ～？ 絵里ちゃん、にこの下着見えそうでドキドキしちゃった～？」

絵里「っ…」ﾌﾟｲｯ

にこ「クスッ、なーんて、同性の下着なんてドキドキしないわよね？」

絵里「そ、そうね…」

にこ「それで、服がどうしたってー？」ｽｯ

絵里（か、顔が近っ…）

にこ「あら、かわいいわね。でもやっぱりファッション雑誌、高いわ…」

絵里「えっと、この服衣装に使えないかしらと思って…」

にこ「うーん…、ステージに上がるにしては地味じゃないかしら…」

絵里「そう…」

にこ「まあでも、一応ことりと相談して見るわね。この服をベースに派手にできるかもしれないし」

絵里「うん、ありがとう、にこ」

絵里（…にこのおっOいを偶然見ちゃった時から、どうもにこの言動にドキドキしちゃう。平常心、平常心）

ｶﾞﾁｬ

にこ「あら、絵里」

絵里「あっにこ…って！！ な、何で下着姿なのぉ！！？？」

にこ「何でって、さっき中庭で園芸部の子に水掛けられちゃってね、制服乾かしてるのよ。残念ながら、今日はジャージないし」

絵里「だったら、練習着に着替えればいいじゃない…」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

にこ「…、それもそうね、失念していたわ。じゃあ着替えようかしら」ｶﾞｻｺﾞｿ

絵里（な、何で、四つん這いになって、お尻を振ってるのよぉ…）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

にこ「クスッ、じゃあ着替えてくるわ」

絵里「え、ええ…」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

絵里「希、にこ。帰りましょう」

にこ「ええ、いいわよ」

希「ごめんな～、うち、これからリリホワの会議なんよ」

絵里「あら、そうだったの」

海未「ちょっと希をお借りしますね」

絵里「ええ、じゃあ帰りましょう、にこ」

にこ「うん」

にこ「絵里と2人で帰るなんて初めてね」

絵里「そうかしら？」

にこ「そうだ、せっかくだからクレープでも食べに行かない？」

絵里「…そうね、食べに行きましょうか。公園の移動販売でいいかしら？」

にこ「ええ、にこはいいわよ」

にこ「ん～♪ 美味しい♪」

絵里「ええ、ほんとにね、はむっ」

絵里（あ、にこのほっぺたにクリームが…）

絵里「…」

にこ「んむんむ…、ん。ごちそうさま、あー美味しかった♪」

絵里「にこ、ほっぺたにクリーム付いてるわよ」

にこ「え、こっち？」

絵里「そっちじゃなくて、こっち」

ペロッ

にこ「ふぇっ、え、いま、なに…///」

絵里「ん、美味し」

にこ「い、いま、なめ…///」

絵里「にこ」

ドサッ

にこ「え、えり…？」

絵里「ねぇ、誘ってるの？」

にこ「えっ」

絵里「私を挑発するかのように、下着見せたり、あまつさえ胸を見せたり」

にこ「…やっと気付いてくれた。そうよ、私はずっと絵里を誘惑していたわ、こんな風に押し倒される日を待ちながら」

絵里「でも何で…」

にこ「好きだからよ、絵里のことが」

絵里「っ！」

にこ「…告白する勇気なんてなかった。希と付き合ってるんじゃないかとか、両想いなんじゃないかとか思っていたわ」

絵里「…」

にこ「でも、誘惑し続けていればコロッと落ちるんじゃないかとも思ってしまったわ。そうして既成事実作ればいいじゃないって…」

にこ「好きな人がいるかもしれない人に誘惑するなんて、卑怯な女よ、にこは。ごめんね、絵里。それも今日でお終い。好きだったわ、絵里のこと」

絵里「…遅すぎるのよ、今更」

にこ「…そうね、遅すぎたわ。こんなことしてないでさっさと告白して、さっさと玉砕してれば良かったわ」

にこ「絵里、もうそろそろどけてくれない？ この体勢辛くなってきたから…」

絵里「遅すぎたってのはそういう意味じゃないわよ」

にこ「え、…ん！？ んーーー！！？？」

絵里「ん、ちゅぱっ…」

にこ「え、えり…？」

絵里「もう既ににこの誘惑にコロッと落ちちゃってるてこと。好きよ、にこ」

にこ「え…、の、希は…」

絵里「希とは恋人になったことないし、友情として好きというだけで、恋愛感情ではないわ」

にこ「で、でも、なんでにこなんかを…」

絵里「きっかけはにこの誘惑だけど、前から気にはなっていたのよ。それが恋愛感情だとは気付かなかったけどね」

にこ「っ…」

絵里「それで？ 私はにこが好きと言ったわ、にこはどうなの？」

にこ「…好き、大好きなのぉ…、絵里のことがぁ…」

絵里「私も大好きよ、ほら、泣かないの。可愛い顔が台無しよ？」

にこ「だ、だって…、嬉しいんだもの…、ぐすっ…、し、しかたないじゃなぁい…」

絵里「ふふっ、愛してるわ、にこ」

にこ「…にこも、絵里のこと愛してる…」


「ねぇ、誘ってるの？」の原点　おわり

オチついたから
おわりってことで

えっ？
なんだって？(難聴