239: 2014/06/21(土) 17:15:10.60 ID:f4dPZ3VR0

240: 2014/06/21(土) 17:16:52.08 ID:f4dPZ3VR0
 

ミーティングルーム


芳佳「ん~……」パタパタ

リーネ「…芳佳ちゃん?」

芳佳「――ぇ? あっ、ごめんリーネちゃん! なにか言った?」

シャーリー「……あの子の事が気になるんだろ、宮藤?」

ルッキーニ「あのこ―って、キトゥンのこと?」

芳佳「はい……。 坂本さん真剣な顔だったから、なにかあったのかなって…」

芳佳「…バルクホルンさんも中に入れてくれないし」ショボン

リーネ「えっと…、それは……(軟禁されてるなんて、私の口からは言えない!)」ドギマギ

シャーリー「ん~。 そんな調子でもしっかり夕飯の準備は済ませるんだからすげぇよなー」

リーネ「あ、あの…シャーリーさん(フォローしてください!)」

241: 2014/06/21(土) 17:20:26.42 ID:f4dPZ3VR0
 
ルッキーニ「…芳佳はキトゥンのとこに行きたいの?」

芳佳「え…? ……うん」

ルッキーニ「じゃあ行けばいいじゃん!」ムクリ

シャーリー「……なに言ってんだお前?」

ルッキーニ「にゃ!」ピョン


スタンッ


ルッキーニ「…いこっ!」グイ

芳佳「えぇ!? でも、ルッキーニちゃん!」ヨロ

シャーリー「また少佐に怒鳴られるぞー?」オーイ?

芳佳「そ、そうだよルッキーニちゃん! それにバルクホルンさんが――」

ルッキーニ「なんで? お風呂もダメなの?」

242: 2014/06/21(土) 17:23:43.54 ID:f4dPZ3VR0
 
芳佳「…へ?」

リーネ「……お風呂にキトゥンさんがいるの…?」

ルッキーニ「キトゥンって昨日からまだお風呂入ってないよね? おっOい触ったときなんか泥臭かったから、きっとお風呂だよ!」

シャーリー(~っ! ルッキーニ理論すぎる!)クスクス

芳佳「……そ、そうかな? 私はあんまり分からなかったけど…」

リーネ「…ルッキーニちゃん。 そういうの、本人の前では言っちゃだめだよ……?」オズオズ

ルッキーニ「シャーリーもいこー!」

シャーリー「え? あたしはもういいよ」

ルッキーニ「えぇ~~!?」

シャーリー「いや、ていうか…あたしらさっき行ってきたじゃん。 また入るのかよ?」

ルッキーニ「だって、今度は芳佳も一緒だよ?」

243: 2014/06/21(土) 17:46:44.60 ID:f4dPZ3VR0
 
シャーリー「…まぁ、ルッキーニが良いなら別にいいけど。 あたしはパス」

ルッキーニ「む~~! ………じゃあリーネッ!」グイ

リーネ「えっ!?」ヨロ

ルッキーニ「いこーっ!!」グイグイー

芳佳「え、えぇ!? ルッキーニちゃん! 本当にキトゥンさんいるの?」

リーネ「お、お洋服が伸びちゃう…っ!」


バタバタバタ


シャーリー「……風呂なんか入れさせてもらえる状況じゃ無いよなぁ(ハルトマンから聞いた話じゃ)」

シャーリー(ん~…。 でもマジでいたら、あたしも一度ちゃんと話してみたいな)

246: 2014/06/21(土) 18:32:23.79 ID:f4dPZ3VR0
 

宿舎 お風呂


キトゥン「……」カポーン

美緒「……ふぅ…。 随分と気をもんだせいか、湯が沁みるな」チャプ

キトゥン「………」


キトゥン(…な、なんでこんな事に……!?)


美緒「…どうした? もう泳がないのか?」

キトゥン「う゛っ! …すみません。 こんなに広くて気持ちいいお風呂は初めてで…//」ブクブク…

美緒「露天風呂も初めてだと言っていたな? なら、あれだけはしゃぐのも無理はないか」

美緒「……自負はあったが、素直に喜んでもらえると誘った甲斐が有るというものだ!」ウム

247: 2014/06/21(土) 18:37:46.33 ID:f4dPZ3VR0
 
キトゥン(わたしん家のも半分野外みたいなものだけど、こんな解放感は全くないよ…!)ザバァ

キトゥン「…………」ペタペタ

キトゥン「……海ってすごいですね?」

美緒「ふふっ、わかるか?」

キトゥン「なんだか…訳もなく涙が出そうっていうか、……感動します!」

美緒「本当は日の出時の景色が格別なんだが、この時間も悪くはない」

美緒「…風情を楽しむのもひとつの嗜みだ。 大切にしろ?」チャプ

キトゥン「~………(すごいなぁ…!)」ボケー

美緒「あまり長く居ると湯冷めするぞ?」

キトゥン「――あ、はい(確かに、ちょっと寒い。 …戻ろう)」クル

248: 2014/06/21(土) 19:28:26.87 ID:f4dPZ3VR0
 
キトゥン「……」ペタペタ

キトゥン「よいしょ…」チャプン

キトゥン「んぅ~~♪(きもちい~!)」

美緒「……本当に風呂好きの様だな」フフ

キトゥン「…え?」

美緒「いや、すまん。 実はお前の所持品を拝見した」

キトゥン「所持品…?」

美緒「こちらと同じ時間が流れていれば、石鹸の特売はもう終わってしまったか?」フゥー

キトゥン「え? ………あっ! わたしの…!?」バシャ

美緒「すまないな。 押収した所持品はひとつを除き、後で返却させる」

249: 2014/06/21(土) 19:45:19.73 ID:f4dPZ3VR0
 
美緒「…もっとも、あの硬貨は使えんと思うがな」ワハハ

キトゥン「しまった! お財布…っ!!」ガーン

美緒「心配するな。 こっちでは価値のない銭だ、誰も盗らん」

キトゥン「(そういう問題…?)………そういえば、自分で言うのもアレですけど――」チャプ

キトゥン「わたしのこと、解放しちゃっていいんですか? なんかダメだったんですよね、わたし?」

美緒「あれはもう気にする必要はない。 何も無かったという事で処理するからな(ミーナが)」

キトゥン「えっ、そうなんですか?(やった!)」

美緒「お前の存在を記録に残すことはできん。 異世界の確かな証明など、今の我々には面倒なだけだ」

キトゥン「はあ……(事情はよくわかんないけど、やっぱり軍隊ってめんどくさそうだな)」

250: 2014/06/21(土) 19:57:14.13 ID:f4dPZ3VR0
 
美緒「だが、完全に自由と言う訳にはいかない。 当面、私と中佐以外にお前の正体は丸秘だ」

美緒「中佐も言ったが、お前は引き続きここで我々の監督下に置かれるぞ?」

キトゥン「はい、まぁ……帰る所もないし」

美緒「…とはいえ、あれだけ派手に力を披露してしまったからな。 このまま身元不明の一般人を保護する名目では怪しまれるだろう」

美緒「今後の対応を決めるまでは“客人のウィッチ”として、ここで生活してもらう」

キトゥン「(つまり、なんだかんだで面倒みてくれるってことだよね?)…ありがとうございます」

美緒「ん? ……くっふふ、ここで礼を言うか!」ワッハッハ

キトゥン「?」

美緒「ま、そういうことで――」バシャ

美緒「お前も今日から、同じ釜の飯を食う同胞〈はらから〉だ!」ベシッ

253: 2014/06/21(土) 20:22:45.89 ID:f4dPZ3VR0
 
キトゥン「あだっ!?(ま、またー!?)」

美緒「……扶桑海軍原隊少佐、ストライクウィッチーズの坂本美緒だ。 改めて、よろしく頼む!」ニッ

キトゥン「あ! えーっと……、キトゥンです! よろしくお願いします、ミオさん」

美緒「うむ。 …わっはっはっは!!」ザバァ

キトゥン「えっ…、えぇ!?(この人、すごくいい人なんだけど全然掴めないよっ!)」

美緒「いや、なに。 私を“美緒さん”などと呼ぶ者は久しぶりでな? 存外こそばゆい」フフ

キトゥン「え? あれ? ……すみません。 芳佳が同じ出身だって言ってたから、てっきり後が名前なのかと…!」

美緒「ああ、美緒が名前で合っている。 ただ、今は周りに私を名で呼ぶ者など僅かだ」チャプン

キトゥン「(そうなんだ…)……なんだか寂しいなぁ」

美緒「習慣の違いさ。 私とお前、“同じ”人間であってもな? 私は特に不満もないさ」

キトゥン「……」ブクブク

254: 2014/06/21(土) 21:07:59.57 ID:f4dPZ3VR0
 
美緒「ウィッチという建前だが、お前は軍属ではない。 好きに呼んでくれて構わん」

キトゥン「…はい、美緒さん」

美緒「ふっ…」


『ほらぁー!! いたー!』

『ええぇぇ!? うそぉー!!』

『ま、まってぇ~!』


キトゥン「!」

美緒「……賑やかになってきたな。 続きはまたの機会にしよう」

255: 2014/06/21(土) 22:07:58.01 ID:f4dPZ3VR0
 

――テテテテテッ


ルッキーニ「あたしサンジョー!! とぉ~~――」チラ


美緒「……」カポーン


ルッキーニ「――ッ!!? ぎじゅじゅ…!(少佐!?)」キキーッ

芳佳「――わ!? ルッキーニちゃん急にっ!!」ドン

ルッキーニ「うにゃあ!!?」ヨロ


ザッバーーン


キトゥン(……えぇー…!)

美緒「…正体がばれんように注意しろ?」ヒソ

キトゥン「! はいっ」ピク

256: 2014/06/21(土) 22:23:06.09 ID:f4dPZ3VR0
 
リーネ「大丈夫!? 芳佳ちゃん、ルッキーニちゃん!」ペテテ


ザバァー


ルッキーニ「――っぶあ! ……うぇ゛~~、はな゛に゛入っだ~」ツーン

芳佳「うぅ……私も…」ツーン

美緒「ああいう時は止まる方が反って危険だ。 二度とするなルッキーニ?」

ルッキーニ「だ……だっでぇ…(少佐がいたんだもん)」ツーン

美緒「ばつが悪くなるような事なら始めからやるな。 今後飛び込みは禁止する」

ルッキーニ「……ぁ゛ぃ」

芳佳「ふが…」

リーネ「芳佳ちゃん、痛くない?」ザポン

芳佳「……い、痛い…」ツーン

257: 2014/06/21(土) 22:40:16.94 ID:f4dPZ3VR0
 
キトゥン「芳佳、鼻から息を吹いてみたら?」

芳佳「あ、うん(…湯船じゃ汚いよね)」ザバァ



芳佳「……」ペタペタ

芳佳「…ふんっ! ふんんっ…っ!!」

芳佳「ふぐ…、ちょっとよくなったかも。 ありがとうキトゥンさ――」グシグシ


芳佳「――て、そうだ! キトゥンさんっ!?」バッ



キトゥン「ん?」ピュー

ルッキーニ「うぁっぷ!? うじゅあ~!」キャッキャ

美緒「ほぉー、水鉄砲か! 懐かしい」



芳佳「……」ツーン

リーネ「芳佳ちゃん、とりあえず風邪引いちゃうから浸かろう?」チョイチョイ

261: 2014/06/23(月) 18:17:10.26 ID:Y9+j1AI50
 
――――
――



台所(食堂)


キトゥン「…ん! 食欲をそそるいい匂いが…」クンクン

美緒「……我々が一番乗りか」

芳佳「じゃあ坂本さん達の分、配膳しますから!」テテッ

リーネ「芳佳ちゃん、私も盛り付け手伝う…!」テテッ


キトゥン(どんな料理が出てくるんだろう)

美緒「…先に席へ着かせてもらおう。 好きなところへかけろ」

キトゥン「は~い(…この辺でいいや)」ガタ

美緒「…――」ガタ


美緒「!」ピタッ

262: 2014/06/23(月) 19:00:16.46 ID:Y9+j1AI50
 
美緒「……茶ぐらい私が淹れるか」

キトゥン「え?」

美緒「お前はそこで待っていろ」クル

キトゥン「はあ…」


スタスタスタ――


キトゥン「……」


『あれ? どうしたんですか、坂本さん? ……あっ、いいですよ! やりますから、そんな…!』


キトゥン(なんか予想通り…)


キトゥン「……! そういえばルッキーニがいつの間にかいないじゃん!(ダスティみたいな子だなー!)」キョロキョロ

ダスティ「ニャア」ヒョコ

キトゥン「…………呼んでないよ(いつの間にエスパーになったの、こいつは?)」

263: 2014/06/23(月) 19:37:30.32 ID:Y9+j1AI50
 
キトゥン「ていうか、お前もお風呂入ればよかったのに」

ダスティ「……」

キトゥン「…ご飯、わたしのちょっと食べる?」

ダスティ「…!」ピクッ

ダスティ「ッ…」ダッ

キトゥン「あ! ちょっと、どこ行くの!?」

キトゥン「……あんなに落ち着きなかったかな?(居候なんだから、あんまり荒らさないで――)」

『よぉ! 隣いいか?』ガタ

キトゥン「え? はい、空いてます…」チラ

シャーリー「よっと」トスン

キトゥン「…あ!」

264: 2014/06/23(月) 20:28:02.62 ID:Y9+j1AI50
 
シャーリー「なんか普通にいるからさ、びっくりしたよ。 部屋出られたんだ? よかったな~!」

シャーリー「――ん? 髪がしっとりしてる……、もしかしてホントに風呂入ってたのか!?」

キトゥン「えっと、昼間の……?(あの大っきくてやわらかい…)」

シャーリー「あたしはシャーロット・E・イェーガー。 シャーリーでいいよ!」

キトゥン「…はい。 よろしくお願いします」

シャーリー「あはは! そりゃ自分だけアウェイじゃ気使うよな! …あたしは気にしないから、フランクにいこうよ?」ポンポン

キトゥン「う…うん。 ありがとう(いい人!)」

シャーリー「あたしさ、キトゥンとちゃんと話してみたかったんだよね」

キトゥン「えっ?」

シャーリー「ガリアでキトゥンを見つけた時、あたしも居たんだよ」

266: 2014/06/23(月) 21:31:09.48 ID:Y9+j1AI50
 
キトゥン「…そうだったの!」

シャーリー「いろいろ落ち着いてから、軽く挨拶でもしようかと思ってたんだけど……なかなか面白いことになっちまったからさ?」

キトゥン「面白いって……、銃向けられて閉じ込められたんだけど!」ムッ

シャーリー「違う違う! そっちじゃなくて、お前さ! まさかウィッチだったなんて思わなかったからマジで驚いたよ」

シャーリー「しかもユニットなしであんだけ飛べるなんてな!」

キトゥン「え? ……えーっと、うん。 まぁね…(とりあえずそういう設定でいくんだよね?)」

シャーリー「なあ! どんな魔法使ってんだ? 魔術式はどこの?」ワクワク

キトゥン「へっ? ……それは~(そんなの知らないよ!?)」


スタスタスタ


美緒「詳しいことは夜のミーティングで説明がある。 今はまず食事だ」コト

キトゥン「! 美緒さん(助かった!)」

267: 2014/06/23(月) 21:48:36.72 ID:Y9+j1AI50
 
シャーリー(み、美緒さんて…!?)ズコ

美緒「緑茶は飲めるか?」コト

キトゥン「ありがとうございます(……う! このお茶、なんかすごい色…!)」

美緒「熱いからな、啜って飲むといい」トスン

美緒「ん……」ズズズ

キトゥン「…へぇー(真似してみよう。 ……こうかな?)」ズズ…

シャーリー「あたしも、いただきまーす」スッ

美緒「それは宮藤とリーネの分だぞ?」

シャーリー「え? じゃあ、あたしのは?」ピタ

美緒「少々遅かったな」

268: 2014/06/23(月) 22:12:03.39 ID:Y9+j1AI50
 
シャーリー「…贔屓はよくないですよ~少佐? あたしも後輩なんですから」ニヤニヤ

美緒「お前はとうに一人前だ。 安心していいぞ」ズズズ

シャーリー「………へーい」

キトゥン「(美緒さん、つよっ!)…シャーリー、これ飲む?」

シャーリー「いんや、大丈夫。 どっちかってと、あたしはライスでもミルク派だから」

シャーリー「……それに多分~」キョロ

『あーー! シャーリーいたぁー!!』

シャーリー「ほら来た」

キトゥン「…ルッキーニ!(声おっきぃ!)」

269: 2014/06/23(月) 22:54:24.92 ID:Y9+j1AI50
 

スタタタター


ルッキーニ「せっかく呼びに行ったのに~! なんで先に来てるのー!?」ムー

シャーリー「無茶言うなって! …でもありがとう、こっち空いてるぞ?」ガラ

ルッキーニ「うん♪」テテテ

シャーリー「――と、待ったルッキーニッ! あたしとお前の飲み物がない!」ビッ

ルッキーニ「うじゅ? オッケー、ジュース~~!」スタター

シャーリー「おーい! あたしはミルクなー?」


ドタドタ

『わぁっ!? ルッキーニちゃん!? ダメだよ摘み食いしちゃ! 今持って行くから………あっ違う、ジュースは昨日そっちに――』


シャーリー「どうです? 少佐」ニッコリ

美緒「私の言った通り、心配いらんな」

シャーリー「あれっ? そうなっちゃいます?」ガク

270: 2014/06/23(月) 23:07:56.26 ID:Y9+j1AI50
  
キトゥン(…うーん。 わたしにはよくわからないやり取りをしてる…?)ズズー

美緒「……キトゥン。 食事が済んだら預かっている物を返すから、私と共に来てくれ」

シャーリー「あれ? 紹介していかないんですか?」

美緒「食事の時間は皆疎らだ、付き合わすのは酷だろう。 改まった話はミーティングの際に中佐がやる」


テテテー


ルッキーニ「シャーリー! はーい!」コト

シャーリー「お! サンキュー」

リーネ「お待たせしましたー」イソイソ

芳佳「すみません、お刺身がなかなか綺麗に盛り付けできなくて…」ヨイショ

美緒「おお、刺身かっ! 気張れとは言ったが、まさか刺身が出るとは」

キトゥン「サシミ……?(なんだろこれ?)」

シャーリー(……この扶桑式の生魚肉って、未だにどんな感じで食っていいのかわかんねーんだよなぁ)

271: 2014/06/24(火) 00:06:15.77 ID:mAxqe20X0
 
ルッキーニ「ほらっ! 見てシャーリー! タコもあるんだよ?」ワーイ

シャーリー「え゛!?」

芳佳「タコの刺身もあるって知ってからルッキーニちゃん、ずっと食べたいって言ってて」エヘヘ

ルッキーニ「やったー♪ たのしみ~!」

美緒「ほぅ…、筑前煮〈がめ煮〉の芋が里芋ではないな?」マジマジ

リーネ「あ、それはジャガイモです。 まだいっぱいあったので…」

芳佳「よーく煮込んだので、ジャガイモでもとろみはちゃんと出てますよ! それに野菜もやわらかくなりましたし」

シャーリー(う゛!? こっちにはあの木の枝のようなやつ〈ゴボウ〉が…!)ガーン

キトゥン「……わぁー、いい匂いがする!」

美緒「覚悟しろキトゥン? これは恐らくかなり美味い」フフフ

芳佳「さ、坂本さんっ! そんな、私自信ないですよぉ~!」

ルッキーニ「ねぇ~ライスまだー?」チンッ チン

リーネ「あ、うん。 今よそるね?」パタパタ

275: 2014/06/25(水) 18:00:44.51 ID:fzSDDROj0
 

夕食後

ミーティングルーム



キトゥン「……」


ミーナ「――というわけで、事故のショックで少し混乱してはいましたが、とりあえずは大丈夫です」

ミーナ「でも、彼女の記憶はまだ完全に戻ってはいません。 先日の災害の被害者なので、ガリア住民だとは思いますが、ハッキリした身元はまだわかっていません」

ペリーヌ「まさかガリアにこのようなウィッチがいたなんて…!」

エーリカ「……名前わかってるじゃん?」

ミーナ「キトゥンさんの名は所謂、愛称……それも略称などの元の名前からとった類のものでないので、そこから調べることは無理です」

バルクホルン「しかしこのぐらいの歳のウィッチならば軍に――」

ミーナ「いいえ、彼女は軍人ではありません」

シャーリー「……へぇ~!」

バルクホルン「馬鹿な!? 今この時代の欧州で、あれだけ飛べるウィッチが放っておかれる訳がない!」ガタ

エーリカ「まー、そうだねぇー」

276: 2014/06/25(水) 18:04:51.76 ID:fzSDDROj0
 
ミーナ「そこは偶々なのか、別の理由があったのかはわかりませんが、軍の目からは逃れていたと考えるべきです」

ミーナ「……考えてもみなさい、バルクホルン大尉? 生身でネウロイと戦えるほどのウィッチの話題がここにいる誰の耳にも届かず、メディアにすら載らないと思う?」

バルクホルン「………確かに、そうだが…」

ミーナ「但し民間人とは言っても、確かに彼女もウィッチです。 それも極めて特殊な」

ミーナ「…そういった点も考慮して地中海本部へ打診を求めた結果、具体的な対応を決めるまで引き続きうちで保護するよう指示が出ました」

美緒「……」

ミーナ「ただ、男性基地員への体裁を保つために……階級を持たないウィッチである彼女も私達ウィッチーズの下で生活してもらいます」


大尉以下一同「「!!」」

 

277: 2014/06/25(水) 18:45:46.16 ID:fzSDDROj0
 
ミーナ「軍事行動時は別にしても、普段の生活はこの宿舎で共に過ごすことになります」

エイラ「……アレ、でもさ? その子、無断介入で拘束されてたんじゃないのか?」

ミーナ「それも地中海本部との協議の結果、キトゥンさんが色々と特別な例なので一時的に保留になりました」

エイラ「ふーん」

ミーナ「………質問はもういいかしら?」

シャーリー「…キトゥンの魔術式はなんですか? あたしらとやっぱ違うんですか?」ハーイ

キトゥン「……」

ミーナ「ええ、そうね。 魔方陣も展開しないし、一般的な魔術式でないことは間違いないと思います」

ミーナ「でも、これもハッキリしたことは本人の記憶と共に闇の中です」

ルッキーニ「…あたしも足出して飛んでみたいな~!」

シャーリー「箒使うか?」

278: 2014/06/25(水) 19:28:34.45 ID:fzSDDROj0
 
ルッキーニ「そーじゃなくってぇ! こう、自由にバビューーンって」シュッ

キトゥン(ふふっ、ルッキーニっておもしろいなぁ。 明るく元気で、かわいいよね)クス

バルクホルン「……とにかく、その少女の使う魔法の詳細は謎という事か?」

ミーナ「概ねはね。 ……他に、今聞きたい事は?」キョロ


ミーナ「………では私からはもうひとつだけ――」

ミーナ「この件は軍組織にとっても非常に稀有な事態で、地中海本部を含む上層部も慎重に取り扱う方針でいます」

ミーナ「更に、彼女が公的に民間人であることと、また彼女個人の問題としても極めてデリケートな話です」

ミーナ「…なので、この件に関する必要以外での口外、情報漏洩は厳禁とします。 いいですね?」キリッ

一同「「了解」」


美緒「…………(もっともらしい嘘とはいえ、こうも毅然と捲し立てられると皆信じざるを得んな。 流石ミーナだ)」

キトゥン(わたしの事って美緒さんと隊長さんしか知らないんだよね? てことは軍の本部がどうとかってのは嘘か…! …わたしが信じそうになっちゃった!)ドキドキ

279: 2014/06/25(水) 19:50:27.54 ID:fzSDDROj0
 
ミーナ「……はい! じゃあ、改めてキトゥンさんから自己紹介をしてもらいましょう」ウフフ

キトゥン(…わ!? この人、急に雰囲気変わっちゃった!)

ミーナ「キトゥンさん、簡単でいいのでお願いできる?」ニコ

キトゥン「は、はい……(どっちが本当なんだろう…? 銃向けられたし、複雑だな)」

ミーナ「あら? ……私の顔に何か付いているかしら?(もしかして、寝不足で隈が出てる…!?)」

キトゥン「うぁっ! い、いえ! なんでもないです…!」ステテ


キトゥン「……」スタ


キトゥン「………えっと…、キトゥンです。 …お邪魔かもしれませんが、よろしくお願いします」

 

280: 2014/06/25(水) 20:30:04.75 ID:fzSDDROj0
 
バルクホルン「……~」

エーリカ「……(まーた気難しい顔しちゃって、トゥルーデったら)」チラ

エイラ「………(褐色って見るの初めてかもしれないぞ、……別に普通だよな? 何がそんなにダメなんだ??)」ジロー

サーニャ「……(お友達になれるかな…?)」

ペリーヌ「……っ(ガリア国民の方なら、わたくしが護って差し上げなくては…!)」


キトゥン(…うっ! やっぱり歓迎されてない空気が…――)タジ


芳佳「わぁーい! ようこそ、キトゥンさん!!」パチパチ

リーネ「~!」パチパチ


キトゥン「……芳佳! リーネ!」

281: 2014/06/25(水) 21:27:01.55 ID:fzSDDROj0
 
シャーリー「これからよろしくな!」パチパチ

ルッキーニ「やたー! 暇なときあそぼー?」ピョンピョン


キトゥン「シャーリー、ルッキーニ…!」

美緒「心配するな、ここに悪い奴はいない」ポン

ミーナ「もう、美緒ったら。 そういう裏を返した言い回しは誤解を生むわよ?」

ミーナ「……皆いい子達だから安心してね? キトゥンさん」

キトゥン「美緒さん……、隊長さん」

ミーナ「ミーナでいいわ、よろしくね。 わからないことは遠慮なく聞いて頂戴?」ニコ

キトゥン「はい…。 ミーナさん(やっぱりいい人かも…)」ジーン

ミーナ「…あらあら(少しは打ち解けてもらえたかしら?)」ウフフ

282: 2014/06/25(水) 22:33:32.85 ID:fzSDDROj0
 
美緒「よぉーし! これで我らストライクウィッチーズも12人だ!!」デーン

キトゥン「………はい??」

芳佳「わぁ~!」パチパチ

芳佳「――…て、ええぇえ!!?」ガビーン

ペリーヌ「そ、そんな少佐っ!?」

シャーリー「偶数はいいなー! 編隊が組みやすくなる」アハハ

ルッキーニ「ダメ! シャーリーはあたしとだよっ!?」

エーリカ「……えっ、本当に?」チラ

バルクホルン「そんなわけないだろ」キッパリ


ミーナ「…ちょっと“美緒さん”?」ジロ

美緒「わっはっは! 冗談だ」

キトゥン(こ、この人って……)ガク

283: 2014/06/25(水) 22:54:19.93 ID:fzSDDROj0
 
ミーナ「はぁー……(さっさとお終いにしましょう)」

ミーナ「…はい、では皆聞いてください」パンパン


しぃーーん…


ミーナ「ありがとう」

キトゥン(……すごい…!)

ミーナ「本日の連絡は以上です。 繰り返しますが、ネウロイの出現周期が不規則かつ頻繁化してきています。 徒な休暇や外出の申請は自重してください」

一同「「了解」」

ミーナ「はい、では解散! ご苦労様」パン

284: 2014/06/25(水) 22:57:37.96 ID:fzSDDROj0
 

ガヤガヤガヤ


キトゥン「……えーっと…、わたしはこれからどうすればいいんだろ?」キョロキョロ


ミーナ「――キトゥンさん、ちょっとこっちへいらっしゃい?」


キトゥン「? はーぃ…」スタタ


ミーナ「お疲れ様。 本当にいろいろあったけど、今日はもう休めるわよ」

キトゥン「(なんだ、よかった)…またお風呂に入ってもいいですか?」

ミーナ「うふふ、活動時間内なら自由に使っていいわ。 でもその前に、貴女の部屋についてだけど…」

キトゥン「…あっ、そっか!」

ミーナ「貴女は民間人だし、本当ならプライベートルームを用意してあげたいけど――」

キトゥン「あの…、べつに閉じ込められてた部屋でもいいですよ?(部屋としては、普通に悪くなかったし)」

285: 2014/06/25(水) 23:13:39.89 ID:fzSDDROj0
 
ミーナ「……いえ、そうじゃなくてね?」キョロキョロ

キトゥン「?」

ミーナ「…さっき聞いていた通り、貴女は私と坂本少佐以外には秘密を抱えたまま、此処で異世界暮らしをしなくちゃいけないから――」ヒソヒソ

ミーナ「何かあった時や、秘匿事項に関する話を自然にできる環境を作る必要があるの」

キトゥン「? ……そうなんですか?」

ミーナ「私達としても、貴女をこのままにしておく訳にはいかないから……出来れば貴女を無事に帰すために、積極的に話し合う必要もあるわ」ヒソヒソ

キトゥン「!」

ミーナ「かと言って、キトゥンさんが私や坂本少佐と頻繁に姿を消してコソコソするのは難しいから…」ヒソヒソ

ミーナ「……そ・こ・で♪」ニコ

キトゥン「!?」

286: 2014/06/25(水) 23:15:07.18 ID:fzSDDROj0
つ・づ・く

290: 2014/06/27(金) 10:29:45.70 ID:vL+81zIV0
 

消灯前


坂本の部屋



キトゥン「………」

美緒「…寝床は、今日の所はこれで我慢してくれ」ヨイセッ


キトゥン「な、…なんでこんな事にっ!?」ガビーン


美緒「おい、もう遅い。 あまり騒ぐな」

キトゥン「あ……ごめんなさぃ」

ダスティ「ニャアー!」

美緒「……お前もだ」ヒョイ

ダスティ「ッ! ニャアッ!」ジタバタ

キトゥン(…お前は夜行性だもんね?)アハハ…

291: 2014/06/27(金) 11:26:18.72 ID:vL+81zIV0
 
美緒「こら、静かにしないか」

ダスティ「~~!」ジタジタ

美緒「………うむ、そうか。 仕方ない」スタスタ

キトゥン「?(窓…?)」


美緒「……」カチャ

美緒「行って来い」ポーイ


『ニャアー……――』



美緒「…よし」パタム

キトゥン「……えー…(ダスティ……ごめん!)」

292: 2014/06/27(金) 12:46:32.64 ID:vL+81zIV0
 
美緒「では寝るか」スタスタ

キトゥン「…あれ? 美緒さん、そっちで寝るんですか?」

美緒「ああ。 私はいつもここで寝ている」イソイソ

キトゥン「え…でも、じゃあこっちのお布団は…?」

美緒「私の話を聞いていなかったのか? お前の寝床だ」ヌギッ

キトゥン「あれ? えぇ?」ドギマギ

美緒「すまないな。 明日にはちゃんとベッドを借り入れる、…今日はそれで勘弁してほしい」シュル

キトゥン「あっ、あの…ごめんなさい。 そうじゃなくって――」アセ

キトゥン「美緒さん……そんな隅っこで寝るんですか? こっちいっぱい余ってますけど…(ていうか、なんか脱いでるし!)」

美緒「こちらの世界には“起きて半畳、寝て一畳”という言葉がある。 畳1枚あれば十分だ」ファサ

キトゥン(タタミ? ……て、この変な絨毯みたいなのかな? 美緒さんの所にも1枚だけ敷いてあるし)

293: 2014/06/27(金) 13:27:24.79 ID:vL+81zIV0
 
美緒「お前も早く着替えろ。 寝間着も布団と共に用意してあるだろう?」クイ

キトゥン「え? あ、ホントだ」

キトゥン「(わたし、裸で寝ちゃう派だけど……流石に人前ではね) …じゃあ、お言葉に甘えて――」スッ…

美緒「まてっ、キトゥン。 止まれ」

キトゥン「――え?」ピタ

美緒「……床の間〈畳が敷いてある所〉に上がる際は、必ず靴を脱げ」キッ

キトゥン「あ…ぅ……、ごめん…なさぃ(急に怖くなる~っ!!)」

キトゥン「……よいしょ」ヌギ

美緒「…それでいい。 それから、掛け軸の下にある刀には決して触れるんじゃないぞ? いいな」

キトゥン「……はーぃ(ていうかこれ、どうやって着るんだろ…?)」ズーン


――――
――

294: 2014/06/27(金) 14:17:40.41 ID:vL+81zIV0
 

消灯後



キトゥン「……」モゾ

美緒「……」

キトゥン「…あの、美緒さん……起きてますか?」

美緒「もう消灯だ。 寝ろ」

キトゥン「………急に相部屋になっちゃって、迷惑じゃないですか…?」

美緒「……」


キトゥン「……」

美緒「………」


キトゥン「……ごめんなさい。 寝ます…」モゾ

美緒「…私は別段、迷惑な事などない。 寧ろお前が心配だ」

295: 2014/06/27(金) 14:32:48.84 ID:vL+81zIV0
 
キトゥン「へ…?」

美緒「私も中佐から話は聞いていた。 私か中佐の部屋の二択だったのだろう?」

美緒「……こんな殺風景な所で気が詰まるようなら、明日に中佐の元へ移るといい」

キトゥン「そ、そんな…」

美緒「……」

キトゥン「……わたし、自分で選んだんです。 美緒さんが平気なら、この部屋がいいですっ」ムッ

美緒「…そうか。 やはり中佐にもかなわんな」フッ

キトゥン「え、何がですか?」

美緒「……いい加減にお終いだ。寝るぞ?」モゾ

296: 2014/06/27(金) 14:51:52.26 ID:vL+81zIV0
 
キトゥン「そんな~、気になるんですけどっ?」ムク

美緒「…私の部屋に来た以上、朝は誰よりも早いからな?」

キトゥン「えぇ゛!?」ガーン

美緒「静かにしろ。 ………私はもう眠る。 お休み、キトゥン」

キトゥン「…えぇっと……いつも何時に起きて…?」ヒソー

美緒「……」

キトゥン「あ、あのー……?」

美緒「………」

キトゥン「……」

美緒「…………」シーン

キトゥン「ぅ……(…ね、寝ようっ!)」バサッ


美緒「……」


美緒(…キトゥン。 ミーナはお前に“何か”を期待しているのだろう。 故に私の近くに置いたんだ)

美緒(自分と同室を選ばれたなら、それはそれでお前を御し易いという打算も有りながら……ミーナは恐らくお前が私を選ぶことをわかっていた)

美緒「………」ギュ…

美緒(……悟られてはいないつもりだったのだが、“色々”とバレているかもしれんな。 ミーナには…)

297: 2014/06/27(金) 21:09:19.51 ID:vL+81zIV0
――――
――

 

翌朝



キトゥン「…zz」

キトゥン「えへへ……いやぁ~…お礼みゃん……て……zzz…」ムニャムニャ


――テテテッ


キトゥン「………こんにゃ……ん~……食べられにゃ…?」モゴモゴ


ボフンッ


キトゥン「zz……? …ッ…」モガ

キトゥン「……ッッ!? ~~ッ!!」

キトゥン「――っぶはぁ!!?」ガバッ


ダスティ「ニャア!」ポテ

298: 2014/06/27(金) 21:48:54.86 ID:vL+81zIV0
 
キトゥン「……?? なに…!? え?」ゼーハー

キトゥン「………なんかすっごく苦しかった気がするんだけど…!」キョロ


チュンチュン…


キトゥン「…まぶしい? ……ぁれ…?」


キトゥン「…………?」ポケー

キトゥン「……そっか。 ここ、わたしの家じゃないんだった…」

キトゥン「……」

キトゥン「…………ん~…(まだ眠いぃ…)」グシグシ

ダスティ「……」トテトテ

キトゥン「…あ、ダスティ……おはよう」

299: 2014/06/27(金) 22:06:03.68 ID:vL+81zIV0
 
キトゥン「……(…ん? というか――)」

キトゥン「――! さっき変な起こし方したのお前でしょっ!?」

ダスティ「…~」ゴロゴロ

キトゥン「まったく…(疲れは取れたみたいだから、いいけど)」

キトゥン「…お前は今から寝るの? 羨ましいね」

ダスティ「~~」スリスリ

キトゥン「お、タタミ気に入った? …でもここ美緒さんの部屋だから、昨日みたいに困らせてると居られないよ?」

ダスティ「……」ガリッ

キトゥン「あっ!! ちょっと、なにやってんのお前っ!?」バッ

ダスティ「…ニャア!」

300: 2014/06/27(金) 22:27:55.38 ID:vL+81zIV0
 
キトゥン「……うっ! 傷になってる…!」

キトゥン「…これ、まずいよね? だって昨日靴で上がろうとしたら怒られたし…」サスサス

ダスティ「……」

キトゥン「ダスティー…、ホント頼むよ~。 わざわざ他所でヤンチャしなくていいからさ?」

キトゥン「……はぁー。 …布団空けるからこっちで寝て」ポフ

ダスティ「…」

キトゥン「お前のお陰で完全に目が覚めちゃったよ…」クツハキ

キトゥン「わたしちょっと部屋出るけど、もう爪研いじゃダメだからね! それとそこの刀――…は、あれ? 無いや」

キトゥン(美緒さんが持って行ったのかな? ……そもそもどこ行ったんだろ?)

キトゥン「…ま、いいか。 ……とにかく留守番頼んだよ、ダスティ?」ピシッ

ダスティ「…~」クァ~

307: 2014/06/28(土) 14:16:12.79 ID:tm/a8/u90
 

宿舎 廊下


キトゥン「う~ん、気持ちいい朝だなぁ。 やっぱり人間はお日様浴びないとね」スタスタ

キトゥン「…わたしが寝坊するのも、家の日当りが悪いからだよきっと。 今度クロウにそう説明しよう!」

キトゥン(……それにしても、誰もいないなぁ…。 そういえば今何時なんだろう? 皆まだ寝てるのかな?)

キトゥン「――ん? あれは…!」


サーニャ「……」ヨロヨロ


キトゥン「…たしか、白くてアンテナの……サーニャちゃんって言ってたよね?(なんか足取りが不安な感じだけど…?)」

308: 2014/06/28(土) 14:25:52.86 ID:tm/a8/u90
 
サーニャ「……!」ピク

キトゥン「あ…、おはよう!」

サーニャ「……ぉ………ぃま…」モニョモニョ

キトゥン「…ぇ? なに?」

サーニャ「……」ペコ

サーニャ「…」ヨロヨロ~


キトゥン「……行っちゃった…(瞼が半分閉じてたけど……徹夜明け?)」


――――
――

309: 2014/06/28(土) 14:46:10.48 ID:tm/a8/u90
 
キトゥン「――ここだっ! ……やっと思い出した(セーフ!)」スタタ


ドンッ


キトゥン「きゃっ!?」ヨロ

バルクホルン「おっと! ………お前か、大丈夫か?」

キトゥン「あ、はい。 …すみません(げっ! 恐くてキツイ……ゲルトルー…なんとかさんっ!?)」ガーン

バルクホルン「朝からそそかっしい奴だな。 宿舎の廊下は不用意に走ってはいけない決まりだ、わかったか?」

キトゥン「……すみませーん…」シュン

バルクホルン(……? 何故怯える? …これでは私が民間人を糾弾している様ではないか!)

バルクホルン「…しかし起床前にちゃんと目覚めたのは感心だ。 その調子で励め!」デン

キトゥン「は、はあ…」

バルクホルン(…?? 褒めた筈だが……空振ったか? 何故だ!?)

325: 2014/06/28(土) 23:44:27.65 ID:tm/a8/u90

キトゥン「あのぉ…、今ってまだ起きる時間じゃないんですか?」オズオズ

バルクホルン「ん? ああ、もうそろそろ起床のラッパが鳴るだろう。 それまでに起きていれば問題ない」

キトゥン「……ふーん、ラッパが…」

バルクホルン「ちなみに起床とは、直ちに活動できる状態を言う。 その恰好〈寝間着〉ではダメだぞ?」ビッ

キトゥン「あ、はーい…(また説教臭くなった)」

バルクホルン「起床時刻後間もなくで朝食だが、そのままで行くなよ? …さっさと“済ませて”着替えてこい」

キトゥン「……あっ! そうだった!(トイレ!!)」スタタタ

バルクホルン「おい、走るな!」


312: 2014/06/28(土) 16:29:43.59 ID:tm/a8/u90
 

そんなこんなで 昼間



キトゥン「芳佳からお誘い受けたけど、一体なんだろう?」スタスタ

キトゥン「…ここかな?」コンコン


『……はーい、今開けまーす!』

ガチャ


リーネ「…ぁ!」

キトゥン「こんにちはぁ~…」

『リーネさん、どなたですのー?』

リーネ「あ、その……キトゥンさんです」

ペリーヌ「まぁ! いらっしゃい、どうぞお入りになってくださいな」ヒョコ

キトゥン「え? あ、はい」

313: 2014/06/28(土) 17:04:52.92 ID:tm/a8/u90
 
――――
――


トリオの部屋


リーネ「はい、どうぞ」コト

キトゥン「ありがとう、リーネ」

ペリーヌ「調度紅茶を淹れていた所でしたの。 ローマンカモミールにフルーツを混ぜたものですけど、宜しければお試しくださいな」

キトゥン「…へー(全然わかんない)」

リーネ「アイスティーのストレートが一番美味しいから、そのままで飲んでくださいね?」

キトゥン「うん。 …いただきまーす」

キトゥン「……」チューチュー

キトゥン「…んー! 美味しい!?」

リーネ「やったね、ペリーヌさん?」ニコ

314: 2014/06/28(土) 18:02:04.45 ID:tm/a8/u90
 
ペリーヌ「ええ。 わかっていたとはいえ、わたくし達以外の客観的な意見が聞けてよかったですわ」ウフフ

キトゥン「?」

リーネ「ペリーヌさんは紅茶にとっても詳しくて、自分でブレンドもするんです。 私も時々一緒にお手伝いしたりするんですよ?」

キトゥン「へぇー! なんか素敵…!(かっこいい!)」

ペリーヌ「お、おほほ! 別に褒められるほどのことでは……貴族の嗜みですわ!//」

キトゥン「え!? ペリーヌさんって貴族なの!?」

リーネ「はい。 ガリアの貴族、クロステルマン家のご令嬢さんです」

ペリーヌ「ふふ、見えませんでした?」

キトゥン「あっ! いや、そういう意味じゃ…っ!」

ペリーヌ「いいんですのよ。 既に落ちぶれた家ですもの」フフ

リーネ「そ、そんな。 ペリーヌさん…」

キトゥン「……」

315: 2014/06/28(土) 18:35:09.04 ID:tm/a8/u90
 
ペリーヌ「い、いやですわ…ちょっと! 別に湿っぽくなる話でもないでしょっ!」アセアセ

キトゥン(いろんな人がいるんだなぁ…)

ペリーヌ「コホンッ! …と、ところで、キトゥンさんは何か用があってお越しになったのではなくて?」

リーネ「あ、そうですね!(すっかり遊びに来てくれたつもりでもてなしちゃった)」

キトゥン「……えっと、芳佳に“後で私の部屋に来てねー!”って言われて…。 ここでいいんだよね?」

リーネ「そっか…芳佳ちゃんのお客さんだったんだ」

ペリーヌ「まったく間の悪い……約束があるならひと言伝えておくのが礼儀という物ですのに。 あの子ったら…」

リーネ「し、仕方ないよ! いきなり連れて行かれちゃったし、そういう時間もなかったんだよ」

ペリーヌ「……お優しいですわね、リーネさんは」カチャ

キトゥン「…芳佳、なんか用事?」

316: 2014/06/28(土) 19:27:47.47 ID:tm/a8/u90
 
ペリーヌ「昨日、貴女の部屋〈仮独房〉の前で騒いだ方々と一緒に、ランニングへ出かけましたわ」コクコク

キトゥン「……あ! あれかー!」

リーネ「調度キトゥンさんが来るちょっと前に、坂本少佐が連れて行っちゃいました…」

キトゥン「う~ん……美緒さんさすが、有無を言わさないなぁ」チュー

ペリーヌ「なっ…!!?」ポロ


カシャーーンッ


リーネ「ひゃっ! ペリーヌさん!?」

キトゥン「わっ!? ……大丈夫!?(高そうなカップがっ!)」

ペリーヌ「あ……あ、あっぁぁ貴女っ! …今、何とおっしゃいまして…?」ワナワナ

キトゥン「え…? ……“大丈夫?”って…」

ペリーヌ「そっちじゃありませんわっ!!」

キトゥン「ひぇっ!? (急にどうしたのー!?)」

317: 2014/06/28(土) 20:05:09.31 ID:tm/a8/u90
 
ペリーヌ「あ、あなっあな…貴女は……っ!! さっ…坂本少佐のことを今……な、なんと…!?」

キトゥン「ぇ? ……あっ!(そっか! 皆より偉い人だから…!?)」

キトゥン「すみません。 昨日、美緒さんとお風呂入った時に“軍人じゃないからいいよー”って言われて――」

ペリーヌ「ふぁぁあ!?? ふたりきりで入浴ですってぇ!!?」ガーン

リーネ「あ、あのぉ…ペリーヌさん……とりあえず片付けを…。 お洋服もシミになる前に洗わないと…」

キトゥン「一応部屋も一緒だし、いいかなーって思ってたんですけど…――」

ペリーヌ「はぎゃあっ!?!!? い……いっし、いし……一緒のぉ!!?」ガシャーン

リーネ「ペリーヌさん!? あ、あの……気を確かに…!」サスサス

ペリーヌ「おっおお落ち着きなさいペリーヌ・クロステルマン…。 こ…この方はガリアの民、この方はガリアの民、この方は――」ブツブツ

キトゥン(?? ……不思議な人だなぁ)

ペリーヌ「わたくしが護るべき方です……取り乱しては――」ブツブツ

318: 2014/06/28(土) 20:21:43.27 ID:tm/a8/u90
 
――――
――



基地 野外



美緒「どうしたー! まだまだ好きなだけ走っていいぞ!! 遠慮せずに声も出せーっ!!」

芳佳「はぁいぃいっ!! ……ふぁい、お~! ふぁい、お~!」フラフラ

エイラ「み、宮藤のやつ…慣れてやがる……ぐへぇ~…」ヨロヨロ

ルッキーニ「も疲れだぁ~~~!!」タッタ

シャーリー「まぁ、懲罰だからしかたねーな。 ……終わりを知らされないで走るのはしんどいけど」タッタッ

バルクホルン「………ぐぅぅ…、何故私まで…っ」タッタッ




キトゥン「…やっぱり軍人ってわたしには向かないな」ウン

319: 2014/06/28(土) 20:26:44.84 ID:tm/a8/u90
 

『ほーらー! トゥルーデしっかりー!』


キトゥン「? ……あそこにいる子…!」




エーリカ「ダッシュだ~っしゅ! 宮藤のお尻ばっかり見てないで、本気だしてよぉ~?」

芳佳「えぇぇ!? ///」サッ

バルクホルン「だまれぇええ!!! ハルトマンッ!!」




キトゥン「えっと名前は……そうだ、エーリカちゃん!」

320: 2014/06/28(土) 20:33:27.15 ID:tm/a8/u90
 
エーリカ「あー面白い! 危うく寝過ごす所だったよ」アハハー


キトゥン(ミーナさんと一緒に銃向けられたのが気まずくて、まだちゃんと話はできてないんだよね…。 自己紹介はされたけど)ススス…

キトゥン「(……せっかくだし、改めて挨拶しておこう)あ、あのー…」

エーリカ「――ん? …おお? 人気者の登場!」

キトゥン「…えっ! 人気…?」

エーリカ「みんな昨日からキトゥンの話で持ち切りだよ? ミーナはもちろん、トゥルーデやサーニャンも気にしてるみたいだし」

キトゥン「……トゥルーデ…?」

321: 2014/06/28(土) 20:42:13.70 ID:tm/a8/u90
 
エーリカ「昨日、アドリア海でキトゥンのこと捕まえてた“優しいお姉ちゃん”だよー」アレアレ

キトゥン「…優しいお姉ちゃん?」チラ




芳佳「……ば、バルク…ホルンさんっ。 …ぜぇっ……その、私のお尻なんか見ても… ///」サササ

バルクホルン「ちっ、違う!! 誤解だ宮藤ぃ!!」

シャーリー「…お前、そんな元気なら宮藤の前走ればいいじゃん」

ルッキーニ「………しゃ~りぃ……まって…」ヨロヨロ

美緒「よぉーし、いい度胸だ! まだまだ余裕の様だなお前達っ! ペースを上げろぉー!!」ビシビシッ

エイラ「オイ! 大尉達が漫才やってる限りおわんねーぞぉ!」ヤメロー!




キトゥン「……シャーリー?(優しい&お姉さん…?)」

エーリカ「よりも胸は小さい方の、髪結んでる」

328: 2014/07/02(水) 00:48:54.96 ID:8jN38ihK0
 
キトゥン「あっ、ゲルトルー……さん?」ゴニョゴニョ

エーリカ「そうそう。 あと“ト”で完成だよ」

キトゥン「ゲルトルートさん…(言えた)」

エーリカ「…………あれ、なんの話だっけ?」

キトゥン「え?」

エーリカ「まぁ私の話はいいや! …で、なにか用?」

キトゥン「えっ? あ……えーっと、改めてよろしくと思って…」

エーリカ「うん、よろしくねー。 エーリカ・ハルトマンだよ」

329: 2014/07/02(水) 01:03:14.33 ID:8jN38ihK0
 
エーリカ「…キトゥンは軍人じゃないし、ていうかそんなの関係ないけど、好きに呼んで!」

キトゥン「(……よかったぁ、全然仲良くなれそう)うん、よろしくね! エーリカちゃん!」マエカガミ

エーリカ「!」


エーリカ「…………」


キトゥン「(…あ、あれ?)……どうしたのかな…?」

エーリカ「…キトゥンさ? 私のこと、子供だと思ってない?」ジトー

キトゥン「……」


キトゥン「…………えっ!?(違うの!?)」
 

330: 2014/07/02(水) 01:28:34.18 ID:8jN38ihK0
 
エーリカ「私、シャーリーと同い年なんだけど?」

キトゥン「っ! うそっ!?」ガビーン

エーリカ「どっちかというと、ルッキーニ寄りの扱いだったよね……今?」

キトゥン「うっ! …だ、だって色々と……大きさがっ!?」

エーリカ「あー! ひっどいなぁ~、シャーリーのは特別じゃん!」

キトゥン「いや、それだけかな……? …あっでも、わたしもそっちを信じたいかも…!」ペタペタ

エーリカ「キトゥンと比べれば、私もほとんど変わらないじゃん?」エッヘン

キトゥン(えっ!! そんな!?)ガーン

エーリカ「だから私の事も呼び捨てで……ね、キトゥン!」

331: 2014/07/02(水) 01:43:54.41 ID:8jN38ihK0
 
キトゥン「……わかった。 ごめんね、エーリカ(好きに呼んでって言ったのに…)」

エーリカ「キトゥンは、サーニャンの所にはもう行った?」

キトゥン「え? サーニャン……サーニャちゃん?」

エーリカ「そうそう、サーニャン。 キトゥンと友達になりたいと思ってるから行ってあげてよ?」

キトゥン「…そうなの?」

エーリカ「多分ね」

キトゥン「(勘!?)そ、そう……。 じゃあ行こうかな…、芳佳もまだ終わらなそうだし」

エーリカ「部屋にいると思うけど、寝てたらごめんねー」

キトゥン「寝てるの!?」

332: 2014/07/02(水) 02:03:04.87 ID:8jN38ihK0
 

エイラーニャの部屋前



キトゥン「……ここだよね? 可愛い名札が付いてる」コンコン


キトゥン「………」


しぃ~~ん…


キトゥン「…寝てるのかな?」コンコンッ


しぃ~ーーん…

 

333: 2014/07/02(水) 02:23:56.33 ID:8jN38ihK0
 
キトゥン(……あんまり何度もやると迷惑だよね?)

キトゥン「……」

キトゥン「…行こう」クル


サーニャ「――ぁ…!」ピク

キトゥン「!」


サーニャ「……そこ、私とエイラの部屋…」

キトゥン「(いたー!)う、うぅんっ! ちょっと…」アハハ

サーニャ「…?」

336: 2014/07/02(水) 22:37:40.61 ID:8jN38ihK0
 

エイラーニャの部屋



サーニャ「……」

キトゥン「ということで、その……改めてよろしくお願いします…」

サーニャ「…はい」


キトゥン「……」

サーニャ「……」


キトゥン「~~っ!(大した用もないのに来たから、変な空気になってしまったっ!)」

サーニャ「…すみません。 ……お部屋、散らかってて…」

キトゥン「え? いや、平気平気! そんな事ないからっ(雰囲気似てるけど、アキん家の方が酷いし)」

337: 2014/07/02(水) 23:08:55.38 ID:8jN38ihK0
 
キトゥン「……この部屋は、なんで閉め切ってるの?」クライ…

サーニャ「…私は、ナイトウィッチだから……」

キトゥン「(? どういう事だろ…? わかんない!)へぇー、そっかぁ…」

サーニャ「日の光が眩しいと、うまく寝付けないから….」

キトゥン「(…あ、夜勤ってことか! それで今朝あんな眠そうに)大変だね?」

サーニャ「ううん…。 独りの時も多いし、簡単じゃないけど……でも、皆が安心して眠る為だから…」

キトゥン「……」

サーニャ「それに…皆、優しくしてくれるから……私も力になりたいって…」

キトゥン「っ…(な、なんて健気! 偉いっ!)」ジーン

キトゥン「…サーニャ!」ニギ

サーニャ「!?」

338: 2014/07/02(水) 23:42:42.55 ID:8jN38ihK0
 
キトゥン「わたしで力になれる事があれば、遠慮なく言ってね?」

サーニャ「…は――」

キトゥン「友達として!」

サーニャ「! ……ぅ、うん…!」

キトゥン「重い物とか運んだりするのは得意だから!」

サーニャ「……ありがとう…キトゥンさん」

キトゥン(暗い時間に飛ぶのって、結構大変なんだよね…)ウンウン

サーニャ「……」


バタムッ


エイラ「うなぁあ~~っ!! やってられるかぁー!」ヨロヨロ

キトゥン「! …あ、終わったんだ」

サーニャ「……エイラ、どうしたの?」

339: 2014/07/03(木) 00:17:01.66 ID:M6Lm+VQ30
 
エイラ「~はぁ……ふぅ…っ…」

キトゥン「昨日、美緒さんが怒ってたでしょ? それでさっき走らされてたみたい」

エイラ「!?」ギラ

サーニャ「そっか、…おかえり」

エイラ「…オマエぇぇ! サーニャに手出すなぁ!!」ガバッ

キトゥン「きゃ!? なにっ!?」


ドタンッ


エイラ「はぁ……ぜぇっ…」グデー

キトゥン「あ、あの!? ちょっと……どいて…(うぅ…! すごい汗!)」

340: 2014/07/03(木) 00:49:25.77 ID:M6Lm+VQ30
 
サーニャ「エイラ!? ……お客さ――」ピクッ


サーニャ「……」


サーニャ「……お友達に失礼よ?」

エイラ「んむぅ!? …ワタシの知らないうちに、…ぜぇ……親密…にっ!??」ガーン

サーニャ「…うん」

エイラ「“うん”~~っ!?」ガガーン

サーニャ「? ……うん」

キトゥン(なんか勘違いされてる気がする!)

341: 2014/07/03(木) 01:15:35.50 ID:M6Lm+VQ30
 
エイラ「クッッソォ~~!! サーニャにちょっかい出すなー! コノコノーー!」グリグリ

キトゥン「や! ちょっ…!? ベトベトする!!」

エイラ「コノ~コノ~~!」ハァハァ

キトゥン「きゃーー!!」ジタバタ

サーニャ(すごい絵図…)


エイラ「――ン!?」ピタッ

キトゥン「……な、なに…!?」


エイラ「………案外ムネないな?」サワサワ


キトゥン「……大きなお世話っ!//」ベシベシッ
 

342: 2014/07/03(木) 01:41:40.67 ID:M6Lm+VQ30
 
――――
――



サウナ室



キトゥン「……ここに水をかけるの?」

エイラ「そうそう。 かけ過ぎんなよ? 最初は3~4杯くらいでイイかんな?」

キトゥン「ふーん…」パシャ


ジュゥゥウゥウウ

モワモワァ~


キトゥン「わっ! 熱っ!?」

サーニャ「キトゥンさん…!」

エイラ「焼石近くの蒸気は熱いから気をつけろよ~?」

キトゥン「さ、先に言ってー!」

343: 2014/07/03(木) 02:05:33.27 ID:M6Lm+VQ30
 
エイラ「……やっぱりキトゥンじゃダメだな。 ワタシがやってやる」ズイズイ

サーニャ「…火傷してない? 後で芳佳ちゃんに見せにいかないと…」

キトゥン「あ~、ビックリした…」

エイラ「はじめは皆ちょっとビックリするんだ。 でもそんだけで、実際は大したこと無いさ」ビシャ


ジュゥゥウウウゥ


キトゥン「……これが本当に気持ちいいの?」

エイラ「なんだよ、お前も風呂好きなのかー? サウナをバカにすんなよ?」ハラリ

サーニャ「エイラ、そうじゃなくて。 キトゥンさん、初めてだから…」

エイラ「ならそこに座ってろ? 今に気持ちよくなるから…っな!」バサッ

344: 2014/07/03(木) 02:37:06.92 ID:M6Lm+VQ30
 
キトゥン「……」

エイラ「…フンッ! ……フッ!」バサバサ

キトゥン「……タオルで何やってるの、あれ?」

サーニャ「焼石から出た水蒸気を充満させてるの。 …もうすぐ暑くなってくるよ?」

キトゥン「へぇー……要するに、暑い部屋が気持ちいいってこと?」

サーニャ「うん…。 おもいっきり汗をかいてスッキリするの」

キトゥン(これ以上汗かいて干涸びないかな、エイラ?)

エイラ「オイ、こっち向け! サービスしてやるぞ!」

345: 2014/07/03(木) 02:41:22.16 ID:M6Lm+VQ30
 
キトゥン「え?」

エイラ「ソラッ!」バサッ

キトゥン「…っ!(熱い空気が!?)」

エイラ「どーだ? 気持ちイイだろ!」バサバサ

サーニャ「エイラは扇ぐのが凄く上手なの」

エイラ「っ! まっ、ま~なぁ~! ウヘヘ~//」バサバサバサ

キトゥン「わぁー! ちょっと、熱い! 熱い!!」


――――
――

349: 2014/07/03(木) 19:38:41.11 ID:M6Lm+VQ30
 
エイラ「…ふーん。 重力の固有魔法か、なんか凄そうだな?」

サーニャ「それで昨日も…?」

キトゥン「……まぁーね…。 結局美緒さん達に助けられちゃったけど」

エイラ「てゆうか、その“美緒さん”ってのなんだよ? ペリーヌ辺りがヒステリー起こすぞ?」

サーニャ「……」

キトゥン「え、ペリーヌさん? …………ああ、大丈夫! ちゃんと誤解は解いたから」

エイラ「解けたのか……スゲーな…」

サーニャ「エイラ、ペリーヌさんだって立派な人なんだから……そんな…」

エイラ「んー、まぁサーニャに嫌味言ってた頃に比べりゃ格段にマトモになったな」

キトゥン(…すごい言われ様)

350: 2014/07/03(木) 20:06:20.11 ID:M6Lm+VQ30
 
サーニャ「あれはっ………確かに、少し意地悪だっけど…」

サーニャ「でもそれは、ガリアがネウロイに進行されてて…!」

エイラ「サーニャ……なんて優しいんだ~!」デレー

サーニャ「エイラ、ちゃんと聞いて…」

キトゥン「……ガリアって、わたしが倒れてた所だっけ? あの黒い奴に襲われてるの?」

エイラ「去年まではな。 ワタシ達が解放したから今はネウロイなんていないぞ? …ていうかお前そんな事も知らないのか!?」

サーニャ「……キトゥンさん、記憶が…?」

キトゥン「えっ!? ………そ、そうなの~! 困っちゃうよね~ほんとっ!」アハハ

サーニャ「…?」

エイラ「記憶喪失してんのになんか明るいな…?」

351: 2014/07/03(木) 20:50:20.56 ID:M6Lm+VQ30
 
キトゥン「……そっか。 ペリーヌさん、確かガリアって国の貴族だから…」

エイラ「あん時はかなり追い詰められてたなー。 サーニャをいじめて良い理由には絶対なんねーけど」

サーニャ「エイラ!」

キトゥン「…でも、そのネウロイは追い出せたんでしょ? よかったじゃん!」

エイラ「……まぁワタシらは、そりゃそーなんだけどな」パタパタ

キトゥン「?」

サーニャ「ネウロイを追い出す事は出来たけど、ガリアの国内は殆ど荒らされて……人や動物も沢山亡くなったの」

キトゥン「ぇ…」ドキ

エイラ「ワタシらは救国の英雄扱いでイイけど、そこでこれから暮らしていかなきゃなんない人にとっては素直に喜べる事でもないんだよなー。 氏んだ奴も生き返んないし」

352: 2014/07/03(木) 21:32:17.15 ID:M6Lm+VQ30
 
サーニャ「ペリーヌさんは自分の国や被災した人々の為に、私財を投げうって復興活動を支援してるの…」

エイラ「キトゥンを見つけたのも、ウチの部隊で瓦礫処理を手伝った帰りだったんだぞ? ワタシ達は行ってないけどな」

キトゥン「……」

エイラ「ま、ペリーヌの中じゃガリアの戦いはまだ終わってねー……ていうか、これから本番だな」

サーニャ「エイラ! 他人事じゃないわ!」ムー

エイラ「ご、ごめんサーニャっ! その……そういうつもりで言ったんじゃ――」

キトゥン(…同じだ。 ヘキサヴィルと……ネヴィや重力嵐に襲われた街と!)

キトゥン「っ……」

エイラ「…オ、なんだ? 下向いちゃって。 もう限界か?」

サーニャ「……無理しない方がいいよ、キトゥンさん?」

キトゥン「う、うぅん……大丈夫…っ」グシグシ

353: 2014/07/03(木) 21:41:54.60 ID:M6Lm+VQ30
 
キトゥン「でも…そうだね。 そろそろ出ようかな…、喉乾いちゃった」

エイラ「なんだよぉ〜、こっから更に暑くすんのに…」チャポ

エイラ「…ソレ!」ジュゥウ

サーニャ「エイラ、私もそろそろ…」

エイラ「えっ! ウソだろサーニャ!?」

サーニャ「私達に気を使わないで、エイラはゆっくりしていて平気よ」

エイラ「ソンナァーー!!」

キトゥン「それじゃあエイラ、お先に」トテトテ

サーニャ「飲み物、エイラの分も用意しておくから」トテトテ

エイラ「まっ! 待ってくれワタシも――」ズル

エイラ「ァヴッ!?(と、トントに後髪を引っ張られている気がする…!)」ドテ

354: 2014/07/04(金) 12:24:59.95 ID:36/fChSe0
 

更衣室


キトゥン「…サウナって出た後がすごく気持ちいいね! なんか不思議!」フキフキ

サーニャ「うん…」

エイラ「はぁ……トントの“せい”で忘れてたランニングの疲れが…(“精”霊だけに…)」


キトゥン「…!」チラ

サーニャ「……」フキフキ


キトゥン「…………サーニャってさ、なんか色々と綺麗だよね?(いいなぁ)」マジマジ

サーニャ「ぇ…!」ビクッ

エイラ「あ? あたりまえだろ、サーニャだぞ?」

キトゥン「昨日、見つめ返した時は眼も綺麗だったし…」

エイラ「オィィイィイッ!!! ナニやってたんだよぉ!!?」ウガー

355: 2014/07/04(金) 12:39:01.91 ID:36/fChSe0
 
キトゥン「髪とか肌も、こうやって見るとビックリするよ」

サーニャ「…… ///」

エイラ「サーニャが…照れてる……ダト…?」

エイラ「キトゥン~~~ッ!!」ムムムー

キトゥン「えっ! なに!? 別に、ただそう思ったってだけなんだけど…!?」


エイラ「……ナンダト…?」


キトゥン「……エイラ?」

エイラ「…ナンテコッタ。 思ったことを素直に言えば、サーニャはこんなに可愛くなるのか!?」

キトゥン「……なに言ってるの?」

エイラ「(よ、よぉし…)サーニャっ! 可愛いぞ!!」ズイ

サーニャ「え、エイラまで…っ!? やめて//」

356: 2014/07/04(金) 12:45:15.59 ID:36/fChSe0
 
エイラ「やめるもんか! わ、ワタシはサーニャが――」

エイラ「…サーニャの事がっ! す……すす、すぅっ……っ!!///」ワナワナ

キトゥン「……」

キトゥン「…!(えっ!? なに、急に? …告白!?)」


エイラ「~~~////」

キトゥン「…」ゴクリ


エイラ「………~~っ……ダメだっ!! うわぁぁあん!!」

キトゥン(あちゃー! 諦めちゃったー!!)

サーニャ「…? エイラ? //」

エイラ「………きっとまだ時じゃないんだ、ウン。 そうだ、言えないんじゃないぞ?」ブツブツ

キトゥン(言い訳を始めた…)

357: 2014/07/04(金) 12:56:46.77 ID:36/fChSe0
 
サーニャ「…エイラ、よくわからないけど大丈夫?」サスサス

エイラ「ごめんサーニャ、今のは気にすんな」


キトゥン「(急になんだったんだろ、今の?)…エイラ、早く着替えないと風邪ひくよ?」

エイラ「あ! 待った、キトゥン!」

キトゥン「え?」

エイラ「ワタシは服を着るけど、オマエは着ちゃダメだ!」

キトゥン「……なんで?」ジト

エイラ「ちょっと素っ裸が見たい」ハシッ

キトゥン「はぁ!?(なに言い出すのこのひと―!?)」

サーニャ「……」

358: 2014/07/04(金) 13:10:28.56 ID:36/fChSe0
 
エイラ「ワタシ、褐色肌のヤツって見るの初めてだからさ? ちょっとよーく見せてくれよ、ナ?」グイグイー

キトゥン「やっ、ちょっと!? タオル剥ぎ取らないでよ!?」

エイラ「イイじゃん、イイじゃ〜ん。 チ○ビとかワタシらと同じなのかなー?」

キトゥン「変態ー!!///」キャー

サーニャ「……」ジー

キトゥン「さ、サーニャも見てないで助けてくれると嬉しいんだけど…//」

サーニャ「……綺麗…」

キトゥン「え!? な、なにっ!//」

エイラ「ンー、わかる! …なんていうか、白より体のラインがこう……工口いよな?」

キトゥン「…………エイラって中身おっさんでしょ?」サイテー

363: 2014/07/06(日) 00:16:49.24 ID:MjB6y6Hb0
 

宿舎 空き部屋


美緒「……んー、やはりひとりでは無理か」

美緒「仕方ない、誰か手の空いている者を――…む!」


『部屋に戻ってタロットやらないか? ワタシが占ってやるよ』

『う〜ん、占いは間に合ってるかなぁ』

『ナンダトー!』

『…ふふ』


美緒「おい、キトゥン!」


キトゥン「! …美緒さん?」

エイラ「ん? なんだ?」

サーニャ「?」

364: 2014/07/06(日) 00:38:39.79 ID:MjB6y6Hb0
 
キトゥン「…はい、なんですか?」スタスタ

美緒「悪いが少し手伝ってくれ」

キトゥン「いいですよ」

美緒「お前達も手が空いているなら手伝って欲しい」

サーニャ「…はい」トテトテ

エイラ「なにすんだ?」スタスタ

美緒「キトゥン。 このベッドをお前専用に借用するから、私の部屋まで運ぶぞ?」

キトゥン「え? あ、そっか!」

エイラ「……は? キトゥンって少佐の部屋に泊まってんのか?」

サーニャ「…!」

キトゥン「うん、そうだよ?」

365: 2014/07/06(日) 01:11:00.63 ID:MjB6y6Hb0
 
美緒「男手が欲しい所なんだが、ここでは私達でやる他ない。 骨は折れるが、自分で使う物だ……私と一緒に運ぶぞ?」

キトゥン「……」

美緒「そら、そっちを持て。 …4人で隅を持ち上げる」

エイラ「力仕事かよぉ〜、サーニャは勘弁してくれ少佐」

サーニャ「エイラ…私は別に……」

キトゥン「……いいですよ美緒さん。 わたし、ひとりで持っていきますから」

美緒「…気概は買うが、よせ。 怪我をする」

キトゥン「大丈夫ですよ! 危ないから皆下がっててね」

美緒「! おい、まさか――」

キトゥン「それっ」ブワン


グンッ


366: 2014/07/06(日) 01:45:40.71 ID:MjB6y6Hb0
 
エイラ「オオ!? なんだ!?」

サーニャ「……ベッドが浮いてる…!」

美緒「成る程な、本当に便利な力だ。 …だが――」

キトゥン「それじゃ持っていきまーす」スタスタ

美緒「こら、待てっ! そのままでは…!」


ガツンッ


キトゥン「…ぁ」

エイラ「出入口狭いから、気をつけないとぶつけるぞ?」

キトゥン「……エイラ、先に言ってぇ…」

367: 2014/07/06(日) 02:21:22.16 ID:MjB6y6Hb0
 



坂本の部屋


美緒「――さて。 少し早いが、寝支度をするか」スク

キトゥン「……」

ダスティ「~…」スリスリ

美緒「…お前も今夜は静かだな。 結構なことだが、床の間に上がる時は泥を落とせ」

ダスティ「……」ゴロゴロ

キトゥン「……ダスティ、やめて」グイ

ダスティ「ニャアー」

368: 2014/07/06(日) 02:24:10.83 ID:MjB6y6Hb0
 
キトゥン「…美緒さん、あの…」

美緒「ん?」

キトゥン「………実は…その、タタミの事なんですけど…」

美緒「……ほぉー。 面白そうな話だな? 聞こう」トスン


キトゥン「……」

美緒「……」ジッ


キトゥン「っ……。 そ、その…ごめんなさいっ!!」バッ

美緒「……」

キトゥン「~~っ」

美緒「…要領を得んな。 何を詫びるかちゃんと言え」クス

369: 2014/07/06(日) 02:27:34.51 ID:MjB6y6Hb0
 
キトゥン「…………そこの、タタミの引っ掻きキズ…」

美緒「ああ、これか? 昼に気づいたんだが、いつの間につけてしまっのか……まったく残念だ。 泣けてくる」サスサス

キトゥン「ぅ…っ!」

美緒「…で、これがどうかしたのか?」チラ

キトゥン「……ぁの、実はそれ…今朝うちのダスティがつけちゃったんです」

ダスティ「…~」クァ~

美緒「……ほ~ぅ…」

キトゥン「本当にごめんなさいっ!! すぐに謝りたかったんですけど、その……タイミングが無くて…!」

ダスティ「……」ゴロゴロ

キトゥン「お前も謝るのっ!」ムギュ

ダスティ「っ! ニャア~!」ジタジタ

370: 2014/07/06(日) 02:30:43.79 ID:MjB6y6Hb0
 
美緒「……そうか、お前達が」ジロ

キトゥン「っ……」

ダスティ「……」


美緒「…………ふっ――」ニヤ


美緒「はっはっはっは! …よし、許す!!」

キトゥン「……え?」

ダスティ「…ニャア」ダッ

美緒「よくぞ言ったなキトゥン。 私はお前を……いや、お前の相棒の悪戯を許そう」

キトゥン「……よかったぁ~…(絶対怒られると思った)」ヘナヘナ

371: 2014/07/06(日) 02:33:33.64 ID:MjB6y6Hb0
 
美緒「友の為に自身が正面から責任を負う事は、思ってもそう簡単に出来はしない。 お前は他を思いやり、己に誠実でいられる人間だ」

キトゥン「(そ、そんな大げさな事かな…?)……ありがとうございます」ポカーン

美緒「部屋を共にする仲だ、信用に足る相手か確認はしておきたかったのでな。 改めてお前を友として迎えよう!」ウム

キトゥン「はあ……(もしかして最初からタタミの事知ってたの?)」

美緒「ふふっ、しかし…。 思った通り、キトゥンは他を護れる素質を持つ者だな。 ……どこか宮藤と似ている」フフフ

キトゥン「へ? な、なんですか急に?」

美緒「ドクターとの問診記録を読んだ。 お前も我々と同じように、人々や街を護っていたのだろう?」

キトゥン「……まぁ、はい。 一応」

372: 2014/07/06(日) 02:34:51.14 ID:MjB6y6Hb0
 
美緒「謙遜するな。 お前が素人でないことなど、私にはひと目でわかる」

キトゥン(この人が言うと、冗談に聞こえないんだよねぇ…)

美緒「……」

美緒「あまり自覚は無いか。 ……だが、お前が含蓄するものから学べることもあるかもしれん」スク

キトゥン「……はい?(なんの話?)」

美緒「…消灯までまだ時間があるな、茶を淹れよう。 少し話を聞かせてくれ」スタスタ


――――
――

381: 2014/07/08(火) 00:43:58.24 ID:93m5cryc0
 
美緒「…呼吸?」

キトゥン「自分の中でそう例えてるだけなんですけどね。 実際に息が苦しくなることはないです」

キトゥン「重力の力を使い続けてると途中で切れちゃうので、そうなる前に一度使うのを止めて“息つぎ”をするんです」

美緒「そうか、それで昨日の戦闘も時折能力を断っていたんだな」

キトゥン「はい。 ……そこを狙われてちゃって、結局シャーリーに助けられたんですけど」

美緒「…息つぎをせずに、力が切れたらどうなる?」

キトゥン「少しの間、休む必要があります」

美緒「……それだけか?」

キトゥン「え? はい…。 …あ、あと結構疲れます」

382: 2014/07/08(火) 01:10:55.73 ID:93m5cryc0
 
美緒「……息つぎさえ出来ていれば、力は永続的に使えるのか?」

キトゥン「…どうなんだろう? 今の所は……はい…」

美緒「……」

キトゥン「……あっでも! わたしが疲れるのでやっぱり無理ですっ!」

美緒「…お前の飛び回りを見たが、あれだけの飛行に対して息つぎの時間があんな僅かでいいのか?」

キトゥン「少し前までは全然でした。 ちょっと力使ったらすぐ切れちゃったし――」

キトゥン「息つぎで余力が“戻る”のも遅くて……今と違って空中で切れたら絶望的でした」

美緒「成る程、元々はその程度の運用効率だったという訳か。 …能力の出鱈目さを考えれば当然だろう」

美緒「しかしお前は鍛錬を積み、ここまで能力を昇華させた……と」

キトゥン「(特に修行をしたわけじゃないんだけど)……えっと、…そんな感じ…です。 多分」ポリポリ

383: 2014/07/08(火) 01:23:19.43 ID:93m5cryc0
 
ダスティ「……」トテトテ

美緒「……大した奴だ」ヒョイ

キトゥン(あ…!)

ダスティ「! ニャア!」ジタジタ

美緒「私もキトゥンを見習わねばな」フキフキ

キトゥン「(ダスティの足拭いてる…!)そ、そうですか…?」

美緒「…ふふ、あやかりたい程だ」ポイ

ダスティ「ニャアー」ゴロン

キトゥン「……」

美緒「もうひとつ、気になっていた事があるんだが……いいか?」

キトゥン「あ、はい。 …なんですか?」

384: 2014/07/08(火) 01:41:32.71 ID:93m5cryc0
 
ダスティ「~…」スリスリ


美緒「お前はネウロイのコアが視えるのか?」

キトゥン「コア…?」

美緒「ネウロイの弱点だ。 昨日お前が討ち損じ、私が斬った赤い結晶がそれだ」

キトゥン「……あーっ、やっぱりあそこが弱点だったんですね!?」

美緒「ネウロイの体内にあるアレが、お前には視えていたのか?」

キトゥン「んー…ぼんやりと、赤いのがあるなぁってぐらいで。 ハッキリとは…」

キトゥン「でもなんとなく“あるんだろうな”っていう……感じというか、確信みたいのはあったかも」

美緒「…それもお前の能力なのか?」

キトゥン「うーん……前にも似たような事があったんですけど、わたしが操った訳じゃないし――」

キトゥン「昨日も、こいつが変なもの見せてから勝手に視えるようになったみたいで…」クリクリ

ダスティ「~~」ゴロゴロ

385: 2014/07/08(火) 01:59:07.76 ID:93m5cryc0
 
美緒「ふむ、私の魔眼とは違うようだな。 眼で視えるより前……何か別の力で知覚し、その結果視界に捉えているのかもしれん」

キトゥン「……そういえばあの時の声が…」ウーン

美緒「何だ?」

キトゥン「……“存在は気づき”?」ダッケ?

美緒「!」

キトゥン「私にはよくわかんないですけど。 夢に戻れーとか」

キトゥン「……てこんな事、美緒さんに言ってもしょうがないですよね?」アハハ

美緒(存在は気づき……か。 どこかで聞いた覚えが…)ムゥ

キトゥン「?」

美緒「………」

キトゥン「(どうしよう、美緒さん考え込んじゃった!)…あの――」


『消灯時間だ! 部屋に戻れー!』


キトゥン「!」

387: 2014/07/08(火) 02:15:09.70 ID:93m5cryc0
 
『えー、今日はアッチの木で寝たいのに~』

『ならばさっさと行け! そして寝ろ! ……お前達もだ』

『は、はいっ! …ルッキーニちゃんまたね? 行こうリーネちゃん』

『うん、おやすみなさいっ!』

『あーん! 続きが気になる~!』

『ルッキーニ少尉っ!!』




キトゥン(…廊下が楽しそう。 わたしも混ざればよかった)ポケー

美緒「……我々も寝よう。 消灯だ」スク

美緒「湯呑は盆の上に置いておけ。 明日起きたら片す」

キトゥン「そんな、自分で洗いますよ?」

388: 2014/07/08(火) 02:21:22.13 ID:93m5cryc0
 
美緒「ふっ……私より早く起きれたならば、やらせてやろう」スタスタ

キトゥン「……美緒さん、いったい何時に起きてるんですか…?」

美緒「そうだな。 …今朝、お前は寝坊はしなかったようだが――」

美緒「私は2時間ほど早くには起きていたと思うぞ?」

キトゥン(む、無理!)ガーン

美緒「どうした?」フフフ

キトゥン「…あのぉ~、そんなに早く起きて……いったい何するんですか…?」

美緒「知りたければ、お前も日の出と共に起きることだ」

キトゥン「……」ドヨーン

美緒「手洗いが不要なら、寝床へ行け。 明かりを消すぞ?」

391: 2014/07/08(火) 02:29:48.69 ID:93m5cryc0
 

早朝


キトゥン「zzz…」

キトゥン「…ん~……も~…シドーってばドジすぎぃ………へへ……zz」ムニャ


???「……計算外だな」ユラ…


キトゥン「………っ、~~?」

???「まさか記憶を維持しているとは…」

キトゥン「…ん……なに…?」ムクリ

???「お姫様には再び一から楽しんでもらいたかったのだが、飼猫まで付いて来てしまったか。 …つくづく私の期待を裏切る」

キトゥン「ぇ…? …………はぃ…??」グシグシ

キトゥン「――…わっ!!?」ビクゥ

???「お目覚めかな?」

392: 2014/07/08(火) 02:34:24.75 ID:93m5cryc0
 
キトゥン「ちょ……なんであんたがっ!?」

???「お前は時を逸り過ぎた。 結局、またも自分の都合で行動した…」

キトゥン「はぁ…? な、なにそれ?」

???「お前は箱の時を待てなかったんだよ、重力姫。 ……それが善だなどと、可愛いのいい正義に酔ってな」

キトゥン「……よくわかんない事ごちゃごちゃ言ってるけど、つまりケンカ売ってる?」ムカ

???「フォーマットには失敗したが、仕方が無い。 異世界の郷に従わぬのなら、私もお前に倣うとしよう…」

???「――踊ってもらおうか、……夢の外で…!」スゥ

キトゥン「っ!? なにす――」


コォォオォ

 

393: 2014/07/08(火) 02:37:05.94 ID:93m5cryc0
 
キトゥン「…や――」


『ニャアーッ!』シュダ


???「っ!? ぐっ…!」



ピカァァアアア――


 

394: 2014/07/08(火) 02:38:42.82 ID:93m5cryc0
 

――
――――


坂本の部屋


キトゥン「――っ!!」ガバッ

キトゥン「…………」

キトゥン「……ゆ、夢…?」


キトゥン「……」


モソ…


キトゥン「!」ビクッ


ダスティ「……」ヒョコ

395: 2014/07/08(火) 02:39:35.23 ID:93m5cryc0
 
キトゥン「……おはよう、ダスティ」ホッ

ダスティ「ニャア」

キトゥン「…はぁ~~ぁ(夢見最悪……なんであいつが出てくるの?)」

ダスティ「……」

キトゥン「…ていうか、外があんまり明るくないなぁ(たしか時計は…)」モソ

キトゥン「………うそっ、すごい!? わたしこんな早起きした事ないよ!」


キトゥン「……」チラ


キトゥン「っ!!(でも美緒さん、もういないしっ!)」ガーン

396: 2014/07/08(火) 02:41:12.78 ID:93m5cryc0
 
キトゥン「……早過ぎでしょ。 いったい何やってるの??」


(『知りたければ、お前も日の出と共に起きることだ』フッ)


キトゥン「…気になる。 まだ眠いけど見に行こう!」バサッ

ダスティ「…~」クテ

キトゥン「お前はわたしの代わりに二度寝を頼むよ?」

ダスティ「……」

401: 2014/07/11(金) 19:44:56.60 ID:OV7Z9z7y0
 

宿舎 廊下


キトゥン「……と、部屋を出たものの――」スタスタ

キトゥン「…美緒さん、どこにいるのか知らないや」

キトゥン「この宿の外とか、あんまり勝手に歩くと怒られそうだなぁ」

『あら、…キトゥンさん! どうしたの?』

キトゥン「! ……ミーナさん!」クル


――ツカツカツカ


ミーナ「随分早いわねぇ。 まだ6時前よ?」

キトゥン「あはは…そのぉ~、目が覚めちゃって」

402: 2014/07/11(金) 20:32:05.19 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「慣れない環境だとそうよね……体調を崩さないように気を付けた方がいいわ」

キトゥン「あ、ありがとうございます…(基本的には優しいんだよね、ミーナさん)」

ミーナ「それにしても……うふふ」クス

キトゥン「?」

ミーナ「美緒の寝間着よねそれ? 似合ってるわ、素敵よ」ウフフ

キトゥン「…そ、そうですか! ……えへへ」クイクイ

ミーナ「でもそれだと逆ね。 右前になってるわ」グィ

キトゥン「えっ?」

ミーナ「ごめんなさい、いいかしら?」シュル

キトゥン「きゃ!?//」

ミーナ「大丈夫よ、こんな時間に起きているのなんて私と美緒くらいだから。 誰も見てないわ」テキパキ

キトゥン(いや、でも半分外だし……なんだか照れくさい//)

403: 2014/07/11(金) 21:06:20.46 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「うふふ、起きたまま出てきたわね? 皺だらけ…」ピシピシ

キトゥン「……」

ミーナ「帯締めるから、腕を上げて?」

キトゥン「…はい」バンザーイ

ミーナ「…よいしょ」クイッ

ミーナ「……」ギュッ

キトゥン「ぅ…!?」

ミーナ「どう? きつくないかしら?」

キトゥン「す、すこし…」

ミーナ「あらっ、ごめんなさい!」シュル

キトゥン「…ふぅ」

404: 2014/07/11(金) 21:46:34.70 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「………」

ミーナ「…このぐらいかしらね?」ギュ

ミーナ「帯まわりの皺を両脇に寄せて、…前後ろをピッチリさせるといいわ」ピシッピシ

ミーナ「……はい、どうかしら?」ポン

キトゥン「…わぁ、きれい! 美緒さんより速いかも!」

ミーナ「そんなことないわよ? 私だって坂本少佐に教わったんだから……本格的な扶桑服の着付けは無理だし」ウフフ


キトゥン「……(なんか締め付けが強いとシャキっとする!)」クイクイ

ミーナ「…」


ミーナ「………髪もグシャグシャね?」

405: 2014/07/11(金) 21:50:59.05 ID:OV7Z9z7y0
 
キトゥン「あはは~、本当に起きたままなんで //」ポリポリ

ミーナ「触ってもいいかしら?」

キトゥン「え? …はい、まぁ」

ミーナ「手櫛でわるいんだけど、簡単に……ね?」サワ

キトゥン「…あのっ、別に平気ですよ!?」アワアワ

ミーナ「ダメよ? 女の子なんだから。 外を出歩くなら、それなりの身だしなみにしないと」クシクシ

ミーナ「うふふ、可愛く結っちゃって…。 意識は出来てるんだから、怠けちゃダメよ?」

キトゥン「は、はい…(ちょっと歩くだけなのに)」

ミーナ「……」スッスッ

ミーナ「………(前髪の分け目はこの辺りかしら?)」チョイチョイ

キトゥン(すごく真剣だ…!)

406: 2014/07/11(金) 22:18:49.20 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「…はい! とりあえずはこれで、恥ずかしくないわ」ニコ

キトゥン「……ありがとうございます(ちょっと鏡みたい…)」

ミーナ「こんな所で少しお行儀が悪かったかしらね?」

ミーナ「キトゥンさん、暇なら私の部屋でゆっくりして行く? お茶でも淹れようかしら」

キトゥン「あ、いえ…。 実は、美緒さんを探してて…」

ミーナ「美緒を?」

キトゥン「毎日こんなに朝早く起きて何してるのかなぁと思って」

ミーナ「……多分、今日も自主訓練でしょうね」

キトゥン「うわ…!?」ガーン

ミーナ「彼女の習慣なのよ。 宮藤さんを連れて指導している時もあるわ」

キトゥン(芳佳も大変だなぁ)

407: 2014/07/11(金) 22:40:22.81 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「さっき見てきたら宮藤さんも起きてるみたいだから、今朝はとりあえず安心ね」ハァー

キトゥン「? 安心ってどういうことですか?」

ミーナ「……」

キトゥン「…?」

ミーナ「…私達ウィッチには、ウィッチでいられる寿命があってね? 二十歳を過ぎるころには殆どが魔法力を失うの」

キトゥン「そうなんですか(という事は、皆20歳以下なんだ?)」

ミーナ「坂本少佐はもう二十歳を迎えていて、魔法力の減衰も始まっているわ。 シールドも張れないし、ネウロイと戦うなんて本当なら到底無茶なのよ」

キトゥン「……え? でも、この間だってやっつけたじゃないですか?」

ミーナ「少佐は抗っているのよ。 ウィッチである自分に抗って、ウィッチであり続けようと必氏なの」

ミーナ「烈風丸も、そんな彼女の想いが生んだひとつの答えなのかもしれないわね」

408: 2014/07/11(金) 22:43:11.77 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「……でもその矛盾が、余計に彼女の首を絞めてもいるから…」ギュ

キトゥン(ミーナさん? …なんだか辛そう)

ミーナ「ここだけの話、私達に隠れてかなり無茶な特訓もしているわ」

キトゥン「この時間にですか?」

ミーナ「ええ、独りの時はね。 宮藤さんが寝ていれば、いつも私がこっそり様子を見に行くのよ」

キトゥン(それでミーナさんもこんな早くに…!)

ミーナ「キトゥンさんが同室になれば少しは気にするかと思ったけど、昨日も結局……」

キトゥン「……」

ミーナ「ごめんなさい、こんなこと聞かされても困るわね?」ニコ

キトゥン「あ、いえ…」

ミーナ「いつもの場所にいると思うけど、見てくる?」

409: 2014/07/12(土) 11:39:51.52 ID:IPX4Jh5z0
 

浜辺


芳佳「えぃ! やぁ!」ブンブン

美緒「宮藤、振りが雑になっているぞ? 引き戻しも甘い! ひと振りずつ丁寧にだっ!」ペシッ

芳佳「はいっ!」ブン

美緒「これは剣術の修練ではない! その意味を考えろ」

芳佳「はい! …………よくわかりません!」ブン

美緒「ならば振り続けろ!」

芳佳「はいぃ!」ブンブン

美緒「足も動かせ」




キトゥン「……すごいね。 朝から」ノゾキ

410: 2014/07/12(土) 11:43:26.10 ID:IPX4Jh5z0
 
美緒「! 誰だ?」チラ


キトゥン「!?」ドキッ


美緒「……キトゥンか?」

芳佳「――ぇ? キトゥンさん!?」ピタ

美緒「そんな所でどうした? こっちへ来い」


キトゥン(ばれちゃった…!)ガサ


キトゥン「おはようございまぁーす…」スタスタ

芳佳「おはようごさいます、キトゥンさん!」

美緒「本当に起きてくるとはな、驚いたぞ? わっはっは!」

キトゥン「あはは、偶々です」ポリポリ

411: 2014/07/12(土) 11:47:00.60 ID:IPX4Jh5z0
 
美緒「だが寝巻きのまま外をうろつくのは感心できんな」

キトゥン「ぁ、すみません…」

芳佳「でも浴衣の着方上手ですね! 綺麗に着直してありますよ!?」

美緒「宮藤、あれは襦袢だ」

キトゥン「…これはさっきミーナさんにやってもらったの」エヘヘ

芳佳「へぇー! ミーナ中佐上手―!」

美緒「肌襦袢ではないから、みてくれは問題ないが……一応下着の一種だぞ?」

キトゥン「え゛っ!?」

芳佳「え? でも、襦袢は“見せ下着”だっておばあちゃんが言ってましたよ!?」

美緒「まぁな。 中佐も浴衣だと思ったのだろうし、黙っていれば平気か」

キトゥン「………」

412: 2014/07/12(土) 11:53:19.11 ID:IPX4Jh5z0
 
美緒「…しかしそうか、此処も中佐から聞いたんだな?」

キトゥン「…は、はい」

美緒「ミーナも早起きだな。 多忙なのだから睡眠ぐらいしっかり取ればいいものを」

キトゥン「……(余計なことは言わないでおこう)」

芳佳「坂本さん! 私も昨日の疲れが抜けてません!」ハイ!

美緒「…そうか。 よし、更に汗をかいて活を入れるぞ!」

芳佳「えぇー! なんでそうなるんですかぁ!?」ガーン

美緒「今寝たら、お前は起きられないだろう?」

芳佳「そんなぁ~」ヘナヘナ

キトゥン(そりゃ昨日あんなに走ってたもんね?)

413: 2014/07/12(土) 12:30:10.76 ID:IPX4Jh5z0
 
美緒「だらしのない奴だ。 ……まあいい、宮藤は少し休んでいろ」

芳佳「えぇ!? いいんですか!!」

美緒「……何を驚いている?」

キトゥン「やったね、芳佳」

美緒「…キトゥン! せっかくだ、お前も少し体を動かしていけ」

キトゥン「え?」

美緒「私と立ち合いだ、付き合え」

芳佳「坂本さん!?」

キトゥン「えっ! そんな……こんな格好で嫌です(どっちみち嫌だけど)」

美緒「ほんの軽くだ。 裾と袖は私が縛ってやろう」

キトゥン「えー…」


――――
――

416: 2014/07/13(日) 13:10:48.18 ID:MiJGp07M0
 
キトゥン(なんでこんなことに…)


芳佳「キトゥンさん! 頑張ってくださーい!」

美緒「剣術の心得は無いだろう? 武器は使わん」ポイ

美緒「素手空拳で試合う。 勝ちも負けもない、互いに攻撃を避け、防ぎ、中てるを行う」

キトゥン「…い、いつ終わるんですかそれ?」

美緒「程のいい時点で私が止める。 参ったなら降参してもいいが――」グッグッ

キトゥン「……」

美緒「下手な手抜きはするな。 軽くとは言ったが、手刀も中々に痛いぞ?」スッ

キトゥン(まるで罰ゲーム…)

417: 2014/07/13(日) 13:27:59.82 ID:MiJGp07M0
 
美緒「準備はいいか? 構えていない様だが」

キトゥン(……え~い、もうっ! さっさと終わらせよう!)グッ

美緒「…宮藤! 合図を頼む」

芳佳「あ、はい!」



美緒「……」


キトゥン「……」ゴクリ



芳佳「はじめーっ!」



美緒「――っ…」ダッ

キトゥン「わっ!?」

418: 2014/07/13(日) 13:38:16.98 ID:MiJGp07M0
 
美緒「ふぅっ――」シュッ

キトゥン「ッッ!」バッ


スカッ


美緒「!」

キトゥン「~ッ、…ビックリした!」ザザッ

美緒「……いい反応と身のこなしだ。 やはり私の見立て通り」

キトゥン(速いとか、そういうの以上になんか……怖いっ!)

美緒「どうした? お前も打ってこい」チョイチョイ

キトゥン「ぇ……でも…」

美緒「わっはっは! 心配するな、中る事などまずない」

キトゥン「!」ムッ

419: 2014/07/13(日) 13:43:25.00 ID:MiJGp07M0
 
美緒「(ふふっ…)私を掠めでもすれば、終わりにしてやる。 なんなら勝ちをつけてやってもいいぞ?」ワハハ

キトゥン「………わかりました! 怪我しても知りませんからねっ!!」ダッ

美緒「よし、来いっ!」


キトゥン「やぁ!」シュッ

美緒「!(蹴りか!)」スカ

キトゥン「ふん! やぁっ!」シュシュッ

美緒(多段蹴りが速いな、やはり戦い慣れている。 ここは返さず引――)ササッ

キトゥン「…っ」

美緒「(――! 呼吸が空いた)…は!!」シュッッ

キトゥン「ッ!」バッ

420: 2014/07/13(日) 13:51:31.16 ID:MiJGp07M0
 
美緒「……」

キトゥン「っ……はぁ…」フゥー


美緒(……間合いが甘かったか。 手刀と蹴りでリーチの差が出ているな)

キトゥン(どうしよう…、本当にあたらない!)




芳佳「…キトゥンさんすごい! 坂本さんと互角だ!」

芳佳(バック転で避けるなんて、漫画だけかと思ってた…!)ドキドキ

『ニャアー』

芳佳「?」チラ

ダスティ「……」トテ

芳佳「あ、猫だ(かわいい)」

422: 2014/07/13(日) 16:51:30.70 ID:MiJGp07M0
 

キトゥン「たっ! やぁ!」シュシュッ

美緒「攻撃のリズムがワンパターンだぞ、キトゥン!」サッ

美緒「…それでは簡単に割り込めるっ!」シュッ

キトゥン「ぅ…!?」カスッ

美緒(…とは言え、長襦袢にハイヒールにも拘らず砂地でこれだけできるのは予想以上だ)

美緒「(よし、だいたいわかった。 一度決めてから〆るか)……未熟ながら講導館剣術門下の腕前、そろそろ披露しよう!」シュダ

キトゥン「!!」

美緒「シッッ!!」ヒュッ

キトゥン「ひゃ!?」サッ

美緒「はぁっ!!」シュシュッ

423: 2014/07/13(日) 17:00:15.41 ID:MiJGp07M0
 
キトゥン「くっ…!」


美緒「――!」


美緒「甘い!!」ガッ

キトゥン(足を…!?)グラ


美緒「(悪いな、少し痛いぞ?)ッ――」シ

キトゥン「っ!!」ブワン


シュンッ


美緒「――!? (外した!?)」スカッ

キトゥン「やぁっ!」

美緒「な…!?(後ろ!!?)」

425: 2014/07/13(日) 17:05:47.92 ID:MiJGp07M0
 

ビュッ――


キトゥン「っ…」ザザッ


美緒「……」



キトゥン(…う~、やっぱり外した。 もうどうしようもないんだけど!?)ゼェー

美緒「……終了だ、キトゥン」スッ

キトゥン「…………へ?」

美緒「僅かだが、今のは頬を掠めた。 避けきれなかったようだ」ツンツン

キトゥン「うそ!? やった!」

426: 2014/07/13(日) 17:10:56.72 ID:MiJGp07M0
 
美緒「しかし能力を使っただろう? …残念だが、勝ちはやれんな」

キトゥン「ぁ……バレてました?」ギク

美緒「体制が崩れたあの状態から、急に体が横に流れるわけないだろう」

美緒「そのまま急旋回して後ろをとる所まで含めて常人業ではない。 おまけにいつの間にか跳躍して中段から顔めがけて蹴り下ろすとは」フッ

キトゥン「す、すみませんでした。 つい、うっかり……なんというか」

美緒「わかっている、体が動いてしまったのだろう? 熟練者にはある事だ、気にするな」ワッハッハ

『坂本さぁーん! キトゥンさぁーん!』


タッタッタッ


芳佳「終わったんですか? すごかったですね!」ステテ

美緒「ああ。 キトゥンは空戦だけでなく地上戦にも長けていたな」ウム

キトゥン「!? ……ちょっと芳佳、その抱えてるやつ…!」

427: 2014/07/13(日) 17:12:58.11 ID:MiJGp07M0
 
芳佳「はい! 猫です!」

ダスティ「ニャア」

芳佳「えへへ~」スリスリ

ダスティ「……」

キトゥン(ダスティ!)ガビーン

美緒「…よし、感謝するキトゥン。 いい刺激になった」

キトゥン「あ、いえ。 どういたしまして」

美緒「今日からまた、私もお前に倣って更に精進するとしよう!」ワハハ

キトゥン「……」


(『ウィッチである自分に抗って、ウィッチであり続けようと必氏なの』)
(『…でもその矛盾が、余計に彼女の首を絞めてもいるから』)


キトゥン(……あまり張り切りすぎないで欲しいなぁ)

430: 2014/07/13(日) 19:50:19.50 ID:MiJGp07M0
 

昼間

トリオの部屋


キトゥン「ん~~…」モゴモゴ

ペリーヌ「ちょっとキトゥンさん? スプーンを咥えたままそのようにするのは行儀が悪いですわ」

ペリーヌ「そもそも、ティースプーンは口に含むものではありません。 貴女もガリアの淑女なら――」

キトゥン「~~(美緒さん、大丈夫かなぁ?)」モゴモゴ

ペリーヌ「聞こえていましてっ!」

リーネ「ぺ、ペリーヌさん。 大きな声を出すのもあまりお行儀よくは…」

ペリーヌ「なんですか! リーネさん!?」キッ

リーネ「ぁ、その……ごめんなさぃ」

431: 2014/07/13(日) 20:25:32.33 ID:MiJGp07M0
 
芳佳「…キトゥンさん、どうかしたんですか?」ユサユサ

キトゥン「ぇ? …あ、なに? ごめん、聞いてなかった!」

芳佳「なにか悩み事ですか?」

キトゥン「あーっと、悩みってわけじゃないんだけどね。 ちょっと考え事してて、あはは~」

芳佳「力になれないかもしれないけど、私でよければ聞きますから!」

キトゥン「そっ、そんなんじゃないってば!」ワタワタ

ペリーヌ「宮藤さんも相変わらずですわね。 今朝までは自分の悩み事の話をしていたのに」ハァー

リーネ「その悩みもガリアの人達の事だもんね?」

芳佳「…だって、私は皆に……ペリーヌさんにも笑顔でいて欲しいですから!」

ペリーヌ「そっ、そういう恥ずかしい台詞はよしなさいっ! //」プイ

432: 2014/07/13(日) 20:30:17.22 ID:MiJGp07M0
 
キトゥン「……なんの話?」

リーネ「芳佳ちゃんの提案で、近いうちにもう一度ガリアに行けないかなって。 昨日から3人で話していたんです」

芳佳「治療した人達の容体も気になりますし、その……キトゥンさんも何か思い出すかもしれないと思って」

キトゥン「へ? わたしも!?」

ペリーヌ「ええ。 貴女を見つけたあの日、例の公園の近くにいた方を見つければ何かわかるかもしれませんし」

リーネ「復興のお手伝いもまた少し協力出来たらなって…」

キトゥン「そ、そっか。 あはは、そうだね…(記憶はバッチリあるんだけど)」

キトゥン(……でも確かに、記憶はともかく、色々謎なことやヘキサヴィルへ帰る手掛かりが見つかるかも!)

キトゥン「(ネウロイに襲われた国の人達もほっとけないし!)…その考え、わたしも賛成!」

芳佳「ほんとですか! やったー!」

リーネ「よかったね、芳佳ちゃん」ニコニコ

433: 2014/07/13(日) 20:33:53.14 ID:MiJGp07M0
 
ペリーヌ「“やった~”は結構ですけどっ! 実行するにはまだ問題がありますわ」

ペリーヌ「外出申請は控えるよう言われて早速、わたくし達が4人もガリアに行くことが許可されるわけありませんわ」

ペリーヌ「加えて言えば、キトゥンさんを連れ出してよろしいのかどうかも不明ですし」

芳佳「…またガリアの復興支援で行けばいいよね?」

リーネ「芳佳ちゃん、それは無理だと思う…」

芳佳「えぇ? どうして?」

ペリーヌ「先日の派兵だってかなりの無理をして頂いたのに、“またお願いします”なんて言えるわけないでしょう!」

ペリーヌ「501からの正式な支援はすぐには難しいですわ。 わたくし達が個人的に出向くしかありません」

芳佳「で、でもガリアまで外出なんてミーナ中佐は…」

リーネ「……許可してくれないよね…」

ペリーヌ「ロマーニャを護る役目も、決して疎かにはできませんもの。 仕方がありませんわ」

434: 2014/07/13(日) 20:35:39.99 ID:MiJGp07M0
 
キトゥン「…んー、ちゃんと理由はあるんだし、言うだけ言ってみない? ミーナさんならしっかり聞いてくれそう」

ペリーヌ「た、確かにそうでしょうけど……」

芳佳「そうだね! うんっ!!」ガタッ

リーネ「きゃ! 芳佳ちゃん?」

芳佳「それじゃあ、早速言いに行こう!」

キトゥン「よし!」ガタッ

リーネ「え? あの……今から?」


芳佳&キトゥン「そうだよ!」


ペリーヌ(困りましたわ、キトゥンさんも宮藤さんタイプのようですわね)ガク

435: 2014/07/13(日) 20:37:13.29 ID:MiJGp07M0
 

執務室


ミーナ「気持ちはわかるけど……そうねぇ…」

芳佳「お願いします!」

ミーナ「そういう場合、貴女達だけで行かせる訳にもいかなくなるわ。 士官クラスの上官を付けてウィッチが4人も留守にするのは駄目よ」

リーネ「……」

ペリーヌ「……」

芳佳「でも、この前は…!」

ミーナ「宮藤さん? 私は意地悪で言っている訳じゃないの。 わかるわよね?」

芳佳「……はい」

436: 2014/07/13(日) 20:39:18.71 ID:MiJGp07M0
 
キトゥン「ミーナさん、わたしからもお願いします! 帰る方法の手がかりが見つかるかもしれないし」

ペリーヌ「方法?」

ミーナ(キトゥンさん、それ以上はやめなさい)ジロ

キトゥン「!?」

ペリーヌ「?」

ミーナ(…このまま食い下がられたらキトゥンさんがボロを出しかねないわね…。 それに――)

ミーナ「……確かに、貴女の記憶の手掛かりにはなるかもしれないわ?」ンー

ミーナ「上からの指示もあるけど、出来るならキトゥンさんは早く家に返してあげるべきだし…」

437: 2014/07/13(日) 21:02:48.41 ID:MiJGp07M0
 
芳佳「! じゃあ…!?」

ミーナ「………」

ミーナ「…宮藤さんとキトゥンさんの動機はわかったわ。 それで、リーネさんとペリーヌさんだけど――」

リーネ「わ、わたしはその……芳佳ちゃんのお手伝いとか…」

ペリーヌ「はい、ガリア復旧活動の支援です!」

ミーナ「……私も貴女達の志には共感するわ。 だからこそ、また改めて派兵する機会を作ります」

ペリーヌ「えっ! しかしそんなこと…?」

ミーナ「必ず作ります」

ミーナ「…だから、今回は自重できないかしら?」

リーネ「ぅ…」

438: 2014/07/13(日) 21:22:16.89 ID:MiJGp07M0
 
ペリーヌ「…リーネさん、わたくしも残念ですがこう言われてしまっては――」

リーネ「で、でもっ! 野営の診療テントとか……だ、誰が設置するんですか!?」

ペリーヌ「ちょっとリーネさん!?」

ミーナ「輸送機の操縦者を含めて幾人かの基地員が随行します。 補助は彼らに任せなさい」

リーネ「……」

芳佳「リーネちゃん…」

キトゥン「……」

ミーナ「宮藤さんとキトゥンさんに監督者の士官を加えた3人で行ってもらいます。 いいですね?」

リーネ「……了解」

ミーナ「監督者と日程は私の方で指定しますから、ふたりは指示を待って頂戴」

芳佳「…はい」

キトゥン「はーぃ」

443: 2014/07/18(金) 01:50:29.99 ID:NKHtRcq80
 

宿舎 廊下


キトゥン「一応目的は果たせたけど、なんか後味悪くなっちゃったね?」スタスタ

芳佳「うん…」スタスタ

キトゥン「…仕方ないよ芳佳。 ふたりの分もガリアの人達助けてあげよう?」

芳佳「…………そうだよね。 うん!」

キトゥン「たしか瓦礫の片付けとかあるんでしょ? そういうのわたし得意だから!」

芳佳「はい! 頑張りましょう!」

『なんの話してーんのっ?』


ムギュ


キトゥン「ひゃっ!?//」ビクッ

芳佳「ルッキーニちゃん!」

444: 2014/07/18(金) 01:55:46.99 ID:NKHtRcq80
 
ルッキーニ「ん~♪ 今日はいい匂いだ~」スンスン

キトゥン「(今日は?)…ルッキーニ、ビックリするからそれやめてよ」

ルッキーニ「ねーねー、お風呂入ったの?」

芳佳「朝ごはんの前に坂本さんと一緒に入ったよ。 危うく行水になっちゃうところでしたよね?」

キトゥン「…あー、ホント危なかったね…アレは」

ルッキーニ「……ふーん、だから今日はにお――」

『おーい、ルッキーニ! 何やってんだよお前ー!!』

ルッキーニ「にゃ! シャーリー!」


タッタッタッ


シャーリー「お前さぁ……人に手伝わせといてサボるなよ…」ガク

ルッキーニ「ちがうよぉ~! 今から聞き込みしようと思ってたんだもーん!」

445: 2014/07/18(金) 01:58:24.38 ID:NKHtRcq80
 
キトゥン「聞き込み?」

芳佳「なにかあったんですか?」

シャーリー「いや、別に事件とかじゃないから。 …ちょっとルッキーニの探し物をさ?」

芳佳「何探してるの、ルッキーニちゃん?」

キトゥン「……(…あれ? これってなんか前にも――)」

ルッキーニ「あのねーぇ、こないだの黒猫! さっき見つけて追いかけてたの!」

芳佳「えぇ! まだ追いかけてたの!?」

キトゥン(やっぱり!)

シャーリー「ていうかあの猫、キトゥンの使い魔だろ? この前一緒に飛んでたじゃん。 あたしにフラッシュかました奴」

キトゥン「あ、それは……ごめん!」

シャーリー「ん? あはは! 別にキトゥンのせいじゃないよ」

446: 2014/07/18(金) 02:01:11.80 ID:NKHtRcq80
 
シャーリー「でも当事者には仕返ししないとなぁ~。 ……肉球フニフニしてやるか!」

キトゥン(ダスティも大変だ…)

芳佳「キトゥンさんの猫って……朝の、あの猫?」

キトゥン「そうそう、気儘でなまいきな奴。 一応ダスティって言うんだけど」

芳佳「キトゥンさんの使い魔だったんだ!?」

キトゥン「使い魔? ……まぁ、確かにそんな感じなのかな?(ちょっとかっこいいかも!)」

シャーリー「おもしろいよなぁ、体外で使役するなんてさ?」

芳佳「なんか本当に使い魔って感じがしていいですね!」

キトゥン「…芳佳達にもいるの、使い魔?」

芳佳「はい! いますよ」

447: 2014/07/18(金) 02:03:24.18 ID:NKHtRcq80
 
シャーリー「…本当になんにも知らないんだな?」フィィン ピョコ

キトゥン「!?」

シャーリー「これだよ」チョイチョイ

キトゥン「そっ、それ〈獣耳〉本物だったんだ!? てっきりかわいい衣装かなんかかと――」

シャーリー「あははは! そんなふざけたことはしねぇよ」シュルル

キトゥン「ぇ…」


シャーリー「でもいいな、それ?」

ルッキーニ「あたしはパンサー!」ガオー

シャーリー「…宮藤は犬の格好してさ?」クスクス

芳佳「えぇ! は、恥ずかしいですよぉ!」

キトゥン「……(わたしは近いことした経験あるよ、芳佳)」

448: 2014/07/18(金) 02:05:43.16 ID:NKHtRcq80
 
ルッキーニ「よしかー! ワンっていってぇ? ワンッ!」

芳佳「え、えぇ? ……わん」

ルッキーニ「ガオー!!」ダキ

芳佳「えぇぇ!? どういう事っ!?」

ルッキーニ「よしか~! ワンだってばぁー?」

芳佳「わ、わん!?」

ルッキーニ「ガオー!」ギュー


キトゥン(和むなぁ…)


シャーリー「……そんじゃあたしは用があるから、またな?」ポン

キトゥン「あ、うん」

449: 2014/07/18(金) 02:09:23.82 ID:NKHtRcq80
 
ルッキーニ「――あっ! 待ってシャーリー、猫まだ捕まえてないよ!?」

シャーリー「ちぇ、覚えてたか…。 あたしユニット弄りに戻りたいんだけど?」

ルッキーニ「ん~~~やだ~~!」グリグリ

芳佳「る、ルッキーニちゃん! 私はシャーリーさんじゃな……くすぐったいっ//」

シャーリー「駄々こねんなって」

ルッキーニ「~……」

シャーリー「明日また付き合ってやるよ?」

ルッキーニ「……芳佳のムネ、かたぃ…」ギュ

芳佳「ルッキーニちゃん!??」

450: 2014/07/18(金) 02:12:44.84 ID:NKHtRcq80
 
キトゥン「(ん~…ここはひとつ、ダスティ呼んでみるか)…ねぇ、誰かビスケット持ってない?」

シャーリー「? なんだよ急に……腹減ったのか?」

ルッキーニ「………あたしも食べたぃ…」ギュー

芳佳「ルッキーニちゃん。 私、動けないから…そろそろ…」モゾモゾ

キトゥン「えっと、そうじゃなくて。 ダスティ――使い魔呼ぶからさ?」

シャーリー「…? クラッカーならあるけど――」ゴソ

ルッキーニ「!」ピク


ルッキーニ「…ちょうだーい!」ピョン

シャーリー「おいおい」

ダスティ「ニャア」ピョン

シャーリー「うぉあ!? ビックリした!」

451: 2014/07/18(金) 02:15:08.71 ID:NKHtRcq80
 
キトゥン「ほら来た。 こいつ、いやしんぼだから」

芳佳「あはは(ルッキーニちゃんみたい)」

ダスティ「……」

キトゥン「なに? 不服? 間違ってないでしょ?」ジト

ダスティ「……」

シャーリー「ほら、ルッキーニ。 今チャンスだぞ?」ポイ


ダスティ「…………」プイ


シャーリー「あれ? 食わねぇ!」

キトゥン(ダスティもこういう所、人間くさいよね…)

ルッキーニ「捕まえたー!!」ウジュー

ダスティ「!」

452: 2014/07/18(金) 02:17:17.86 ID:NKHtRcq80
 
ルッキーニ「やたー!」ギュ

ダスティ「~!」ジタジタ

ルッキーニ「ほら、見て! キラキラカッチョイイ~!」

シャーリー「ホントだな? 改めて見ると結構かわいいじゃん」ニギ

シャーリー「…肉球もやわらかい」フニフニ

ダスティ「ニャアー!」ジタジタ

芳佳「あの、ふたりとも! あまり乱暴しちゃ駄目ですよ!?」

キトゥン(うーん…、ダスティがかつてないほど人気!)

453: 2014/07/18(金) 02:19:43.97 ID:NKHtRcq80
 

ダスティ「…っ――」フッ

ルッキーニ「にゃ?」

シャーリー「! 消えた!?」


ダスティ「――……」ユラ…

芳佳「わぁ!? え?」

ダスティ「……」ヨジヨジ

芳佳「わわっ! あの…?」

キトゥン「……芳佳のこと気に入ったの?」

ダスティ「ニャア」

芳佳「そ、そうなの? ……えへへ」ナデナデ

454: 2014/07/18(金) 02:22:16.74 ID:NKHtRcq80
 
ルッキーニ「あ~、芳佳! かえしてー!」

シャーリー「宮藤、そいつを渡してくれ? まだフニフニし足りねぇ!」

芳佳「ぅ、えっと…」

ダスティ「……」

ルッキーニ「うじゅじゅ~~…」ジリ

シャーリー「ぐへへ~~…」ジリジリ

芳佳「に、逃げよう! ダスティちゃん!!」ダッ

ルッキーニ「うじゃ! 逃げたっ!」

シャーリー「くそっ! 待てぇー!」


バタバタバタ――


キトゥン「……」

キトゥン「あの調子なら夜は寝そうだね(よかった、よかった)」チラ


キトゥン「――!」


キトゥン「…ん? なんだろう、あんな所に誰かいる…?」ジー

455: 2014/07/18(金) 02:25:48.41 ID:NKHtRcq80
 

???「…」



キトゥン「……芳佳達を見てる…? ていうか、あれ…男の人だよね?」

キトゥン(兵隊の人? でもそれっぽくないし……それにここ、確か女の子しか――)

キトゥン「!!」ハッ

キトゥン「…ま、まさか覗き!! ストーカーとか!?」



???「…」



キトゥン(やっぱり向こうの方を見てる! …芳佳達以外、特に眺めるような物もないよね!?)キョロ

キトゥン「…よーし! わたしが捕まえて問い質してみよう!」チラ

キトゥン「――…!?」


……


キトゥン「…………あ、あれ? いない…!?」

キトゥン「…うそ! あれっ?」キョロキョロ

キトゥン「……」

キトゥン(見間違いだったかな…??)

460: 2014/07/20(日) 01:54:27.94 ID:rkvzSuby0
 

執務室


ミーナ「ふぅ……」ギシ

ミーナ「……」

ミーナ(ガリアの件、やっぱり美緒に付いてもらうしかないわね。 私が行くわけにもいかないし)

ミーナ「…なんとかキトゥンさんに関する情報が見つかればいいけど」ガサ

ミーナ「……」ペラ

ミーナ(美緒が留守にするとなると、日程決めはミスできないわね…)

ミーナ(予報だと1週間以上は余裕があるはずだけど、1日置きでの敵襲が続いているから……判断に困るわ)ムー

ミーナ「………明日まで様子を見て、何も無ければ直ぐに――」


コンコンッ

 

461: 2014/07/20(日) 02:03:08.40 ID:rkvzSuby0
 
ミーナ「! …誰?」

『私だ、ミーナ。 バルクホルンだ、入るぞ?』

ミーナ「(……何かしら?)どうぞ」


ガチャ


バルクホルン「失礼する」パタン

ミーナ「何か記録書類でも頼んでいたかしら?」

バルクホルン「いや、違う。 ついさっきに、ペテルブルグ基地のロスマン曹長から連絡が来た」

ミーナ「ペテルブルグ……? 502の前進基地から?」

466: 2014/07/20(日) 02:57:43.72 ID:rkvzSuby0

バルクホルン「元々ハルトマンへの連絡だったようだが、あいつは寝ているので私が受けた」

ミーナ「……ロスマン曹長からだって言えば、あの子もすぐ起きたんじゃない?」アラアラ

バルクホルン「知らん。 自業自得だ」フン

バルクホルン「…そんな事よりミーナ。 大変なことが起きたかもしれないぞ?」

ミーナ「!」


ミーナ「………聞かせて頂戴」キリ

バルクホルン「今朝、オラーシャ北部防衛戦線の中枢がネウロイ群の急襲を受けた」

ミーナ「!? …まさか、オラーシャの防衛線が!?」

バルクホルン「心配はいらない。 どちらも502のウィッチが窓際で食い止めて、防衛ラインそのものは無事だったらしい――」

バルクホルン「…の、だが」

ミーナ「……“どちらも”って、まさか…」

バルクホルン「……突破された可能性がある」

ミーナ「っ…!!」

バルクホルン「例によってクルピンスキーの奴が後援に補充のユニットを調達しに行った、その折にネウロイと遭遇したそうだ」

ミーナ「……いったいどこから、どうやって…!」

バルクホルン「侵攻させまいと氏守していた筈のオラーシャ北部からネウロイが出現して、現場もかなり荒れたそうだが、クルピンスキ―がその場で殲滅したらしい」

ミーナ「独りで、…“群”を!?」

バルクホルン「すべて小型で2桁もいなかったそうだが、まぁ流石だな。 新調したばかりのストライカーは駄目にしてしまったらしいが」

ミーナ(なるほど……噂の“ブレイクウィッチーズ”の1角ね)

バルクホルン「最終的に残弾も打ち尽くしたからと、ストライカーを振り飛ばして残敵のコアを爆散させたらしい」

ミーナ「こ、細かいレポートね?」

バルクホルン「また聞きだがな。 ロスマン曹長も慣れた様子だった」

ミーナ(502の隊長に同情するわ…)

バルクホルン「それともうひとつある、ミーナ」

ミーナ「?」

バルクホルン「こちらの方が我々にも関係があるかもしれないのだが――」

バルクホルン「そのオラーシャ北部のネウロイ出現とほぼ同時に、ペテルブルグ基地も南から襲われたそうだ」

ミーナ「でしょうね。 どちらもということは、信じられないけど、挟撃されたんでしょうから」

バルクホルン「それだけじゃない。 南からのネウロイは今までと大分様子が違っていたらしい」

ミーナ「……様子が違う?」

470: 2014/07/20(日) 11:02:06.74 ID:rkvzSuby0
 
バルクホルン「ああ。 ベネツィア上空から来る新型とはまた違う、新たなネウロイとの事だ」

ミーナ「……参ったわね、今度は何角形に進化したのかしら…?」ギリ

バルクホルン「いや、それが。 ロスマン曹長いわく“軟体型ネウロイ”とかなんとか…」

ミーナ「軟体型……? 昔みたいに、有機的な擬態傾向を持っているの?」

バルクホルン「私も詳しいことはわからないが曹長の話によれば、行動パターンから攻撃法などあらゆる面で異質らしい」

バルクホルン「比較的サイズは小さく、撃破も容易だったそうだが……念のためハルトマンを通じて我々にも情報を共有しようとしてくれたのだろう」

ミーナ(…………何かしら、このタイミング。 胸騒ぎがするわ)

ミーナ「……じきに私達にも上から情報が回ってくるでしょうけど…」

ミーナ「そうね…。 私から直接、詳しい話を――」


ジリリリリッ


471: 2014/07/20(日) 11:10:01.13 ID:rkvzSuby0
 
ミーナ「……ごめんなさい、トゥルーデ? 少し待って」

バルクホルン「ああ」

ミーナ「…どうしたの?」カチャ

『失礼いたします中佐ッ! 第504から緊急の増援要請が来ております!!』

ミーナ「え…?」

『数時刻前にヴェネツィアから南東、アドリア西海域からネウロイが大群にて襲来! 現在ロマーニャ北部に侵攻中!!』

ミーナ「!! (西海域から!? そんなまさか…!?)」ザワッ

『アルダーウィッチーズがこれに応戦中ですが、アルプス南方に突如現れたネウロイとの多面戦に戦力を分断され苦戦! 一部の地域に甚大な被害が出ているため救援を求む、とのことでありますっ!!』

ミーナ「…わかりました。 直ちに援軍を送ると伝えて、整備班と管制に対地対応装備とストライカー数機発進の準備を急がせなさい!!」

ミーナ「私もすぐそっちに行きますから、それまで詳しい戦況を聞いておいて!」

『了解ッ!!』

472: 2014/07/20(日) 11:15:20.82 ID:rkvzSuby0
 
ミーナ「…トゥルーデ! 急いで皆を集めて!!」カチャン

バルクホルン「どうした? まさか陸戦か?」

ミーナ「今、ロマーニャにもネウロイが――」


ウゥゥゥウゥゥ――――!!


バルクホルン「!」

ミーナ「――ッ!! 警報!? そんな指示は…」


バタンッ


美緒「ミーナッ!! 敵襲だ!!!」

バルクホルン「少佐!」

ミーナ「……なんですって!?」ガタッ

475: 2014/07/20(日) 16:08:31.97 ID:rkvzSuby0
 
――――
――



ブリーフィングルーム


ミーナ「ネウロイ群の発見位置はこのポイント。 中型2体と無数の小型アンノウンの群れがまっすぐこの基地目がけて西進中です」

シャーリー「どうしてこんなに接近さちまったんだ!?」

エーリカ「しかもこんな大群でね」

美緒「観測班のレーダーがこの距離でいきなり捉えた。 それまで索敵範囲に一切の異常はなかったらしい」

バルクホルン「馬鹿な…!? 奴らは突然現れたというのかっ!?」

エイラ「サーニャだって気付けなかったんだ。 間違いないぞ」

サーニャ「……うん」

476: 2014/07/20(日) 16:13:33.24 ID:rkvzSuby0
 
芳佳「坂本さん! あの、アンノウンって…?」

美緒「無数の中小型反応が2体のネウロイと共に群れを成しているようだが、波長がネウロイのそれとは違っている」

エーリカ「…サーニャン、どう?」チラ

サーニャ「はい……今までのネウロイの反応ではありません」フィィィン

美緒「正体は直接確認する以外にない。 我々の全勢力をもって、万全の態勢で挑む!」

ミーナ「待って坂本少佐」

美緒「――む?」ピク


ミーナ「全員よく聞いてっ! ………基地防衛とは別に、数名は至急ロマーニャ北部へ援軍に行ってもらいます!」


一同「「!」」
 

477: 2014/07/20(日) 16:18:28.81 ID:rkvzSuby0
 
バルクホルン「ミーナ、先程の連絡はまさか…!?」

ミーナ「アルプス近郊を中心にロマーニャ北部も今、北と東からネウロイの挟侵攻を受けています」

ルッキーニ「ぇ…!!?」ドキッ

美緒「何っ!?」

バルクホルン「東からだと!? アドリア海を渡らずにどうやって来たんだ!」

ミーナ「……アドリア西海域からよ」

バルクホルン「そんなはずはないっ!!」バンッ

エーリカ「…んー、私達がうっかり通しちゃった?」

美緒「それこそ有り得ん筈だが…」

478: 2014/07/20(日) 16:21:43.31 ID:rkvzSuby0
 
ミーナ「時間が無いわ! いいから全員聞きなさい!」

ミーナ「…今は504のウィッチーズが分隊してそれぞれ氏守していますが、東部の防衛は市街地を巻き込む戦場になってしまって非常に厳しい状況です」

ルッキーニ「そ、そんな……ロマーニャが…ぁ……」

シャーリー「ルッキーニ落ち着け。 大丈夫、…大丈夫っ」ギュ

ミーナ「敵の数は飛行型と……どういう訳か地上型も大量にいて、住民避難と合わせて人手が足りていないわ」

ミーナ「そういうことで私達501に緊急支援の要請が来ています」

美緒「……しかしミーナ。 こちらもそう戦力は割けないぞ?」

ミーナ「わかっています! …だから2名。 私達からは至急ふたりのウィッチに北へ飛んでもらいます」

バルクホルン「……」

エイラ「……」

芳佳「…ミーナ中佐! 私が――」


ルッキーニ「あだしがい゛ぐっ!!!」

 

479: 2014/07/20(日) 16:25:14.55 ID:rkvzSuby0
 
芳佳「!」

ミーナ「……覚悟はあるの? ルッキーニさん」

ルッキーニ「あだしが…っ……ろま゛…にゃ゛を………ぅぐっ…」ポロポロ

ミーナ「……」

ルッキーニ「あだ……あだし…のぉ゛……っ~、…ぅぇぇえ~」

シャーリー「…ああ。 わかってるよ、ルッキーニ。 よしよし」ナデナデ

美緒「泣くな、ルッキーニ」

芳佳「ルッキーニちゃん…」

ルッキーニ「うぇえ~~ぅ…っ、……ぅあぁ~」エグエグ

480: 2014/07/20(日) 16:37:30.10 ID:rkvzSuby0
 
ミーナ(困ったわね。 これじゃあルッキーニさんはどちらにも出せそうにないわ…)チラ

美緒(駄目だ、現状でルッキーニの穴は大きすぎる。 どうにか持ち直させるしかない)フルフル

ミーナ「……美緒…」

シャーリー「中佐、…援軍にはあたしとルッキーニで行きます!」

ルッキーニ「~~…っ! しゃぁ…りぃ……?」グス

シャーリー「心配すんなよ、あたしも一緒だから。 ネウロイぶっ倒しにいこう」ニコ

ルッキーニ「! ……ぅん…、う゛んっ!!」ギュ

美緒「大丈夫か、シャーリー?」

シャーリー「任せてください。 こいつに無茶はさせません」ナデナデ

美緒「ふむ、わかった。 ……中佐?」チラ

ミーナ(…確かに、それ以外に選択肢はないわね)コク

481: 2014/07/20(日) 16:40:35.33 ID:rkvzSuby0
 
ミーナ「ではシャーリーさんとルッキーニさんの2名はハンガーへ急ぎ、装備を整えて504の支援に向かいなさい!」

シャーリー「了解! …立てるか、ルッキーニ? 走るぞ」スク

ルッキーニ「~グスッ……。 だ、だいじょぶ…」ヨロ


ダッタッタッ――


芳佳「ルッキーニちゃん…」

リーネ「大丈夫だよ、芳佳ちゃん。 シャーリーさんがついてるもん」ニギ

芳佳「…うん」

482: 2014/07/20(日) 17:04:56.44 ID:rkvzSuby0
 
ペリーヌ「……ルッキーニさんの為にも、これ以上ネウロイに好き勝手を許すわけにはいきませんわ!」

サーニャ「ペリーヌさん…」

エイラ「……」

バルクホルン「お前達!! 感傷に浸っている暇などないぞ!」

ミーナ「その通りよ。 敵の情報は少ないけど、もう間近まで迫られています!」

ミーナ「私達は坂本少佐の率いる先行と、私の指揮する後続部隊に分かれて目標へ向かいます!」

美緒「よし! 直ぐに出撃だ!!」


――――
――

483: 2014/07/20(日) 17:26:27.04 ID:rkvzSuby0
 
宿舎 廊下


バタバタバタ――


キトゥン「美緒さん! ミーナさん!」バッ

美緒「――!」タッ

ミーナ「……キトゥンさん!?」

キトゥン「わたしも手伝います!」

美緒「お前、…ここで聞いていたのか?」

キトゥン「シャーリー達の行き先を教えてください!」

ミーナ「駄目です」

美緒「……口で言ってわかる程の土地鑑は、お前には無いだろ」

キトゥン「なら――」

美緒「詳しく教える時間も今は無い。 お前も聞いていたならわかる筈だ」

484: 2014/07/20(日) 17:29:57.17 ID:rkvzSuby0
ブリーフィングルームが宿舎にあるのはおかしい気がするので、↑はただの廊下ということで

度々すみません

485: 2014/07/20(日) 17:31:39.49 ID:rkvzSuby0
 
キトゥン「ぅ……でも、わたしも…!」

ミーナ「そもそも、貴女を独りで基地の外に出す訳にはいきません。 ましてや戦地になんて」

キトゥン「そんなこと言ってる場合じゃないですよ!」

ミーナ「貴女は軍人でもなければウィッチでもないの。 直ぐに部屋へ避難しなさい」

美緒「…いや、それは待ってくれ中佐」スッ

ミーナ「えっ?」

美緒「………キトゥン。 ネウロイと戦う気なのか?」

キトゥン「もちろんっ! みんな酷い目にあってるんですよね!? なら助けなくちゃ!」

美緒「…命を捨てる覚悟はあるか?」

キトゥン「え!? ……ぇっと…、いちいちそんな事は…」タジ

486: 2014/07/20(日) 17:32:53.13 ID:rkvzSuby0
 
ミーナ「ちょ、ちょっと坂本少佐!」

美緒「……ならば“生きて帰る覚悟”はあるか?」

ミーナ「!」

キトゥン「! ………はい! 望むところっ!」ムッ

美緒「……よし、付いて来い。 派兵には出せんが、ここで共にネウロイを迎撃するぞ!」

ミーナ「何言ってるのよ美緒っ!?」

キトゥン「でも、シャーリー達は――」

美緒「お前のスピードでは追いつけん。 向こうはあいつ等に任せろ」

キトゥン「…………わ、わかりました。 なら私も美緒さん達と一緒に行きます!」グ

美緒「うむ! もう時間も無い、行くぞ!」

ミーナ「やめなさい!!」グイッ

487: 2014/07/20(日) 17:34:36.41 ID:rkvzSuby0
 
美緒「……中佐、今は戦力が欲しい時だ」

ミーナ「無茶言わないで! よりにもよって、こんな不確定要素の多い危険な戦場にキトゥンさんを連れていくなんて!!」

美緒「いや、この状況……むしろキトゥンなら何か視えるかもしれん」

ミーナ「ッ! そんなまさか…!?」

美緒「それに、こいつは必ず戦力になる! 我々の一員としての覚悟も、今聞いた通りだ」

キトゥン「……ごめんなさいミーナさん! わたし、行きます!!」ダッ

ミーナ「キトゥンさん!? 待ちなさい!」

美緒「私を信じろミーナ! …急ぐぞ!」ダダッ

ミーナ「あっ、美緒!?」

491: 2014/07/21(月) 10:53:31.00 ID:DZGyOCUE0
 
ロマーニャ北部


――ビゥゥウン


シャーリー「……市街地区に入ったし、そろそろ見えてくるころだな…」ブゥゥン

ルッキーニ「まだ人がたくさんいる……」ブゥゥン

シャーリー(…にしても、風が強いな。 この辺の夏にこんな気流が出るなんて聞いたことないけど)

ルッキーニ「……ねぇシャーリー?」

シャーリー「どうしたルッキーニ? もうちょい飛ばすか?」

ルッキーニ「…なんでキトゥン、一緒に来ちゃ駄目だったの?」

シャーリー「……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

キトゥン『シャーリー! 待って!』グイ

シャーリー『あだっ! …なんだキトゥン? 今急いでるから――』

キトゥン『わたしも行く! 街の人たちを助けなきゃ!』

シャーリー『――…。 お前…!』

キトゥン『っ…』ジ

シャーリー『……わるいけど、ダメだ』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


シャーリー「……あいつのスピードに合わせてたら援軍が間に合わなくなるかもしれないだろ? それに、勝手に連れて行く訳にもいかねぇし」

492: 2014/07/21(月) 11:21:42.61 ID:DZGyOCUE0
 
ルッキーニ「意地悪じゃないの?」

シャーリー「ちげぇよ。 キトゥンは本気っぽかったし、実際ネウロイとも戦えるから、個人的には協力してやりたかったさ」

ルッキーニ「キトゥンもロマーニャを…?」

シャーリー「ああ。 だからあいつにガッカリされない様に、守らなくちゃな! あたし等で」

ルッキーニ「うん! 絶対ロマーニャはあたしが守るんだからっ!!」

シャーリー「………見えたぞ! あそこだ!!」

ルッキーニ「!? なんか変なのが飛んでる!?」

シャーリー(ネウロイ? …ウィッチが戦闘中っぽいけど、他のウィッチはどうしたんだ?)ジー

シャーリー「……こちら、501のシャーロット・E・イェーガー大尉! 要請を受けて援軍に来ました! …聞こえますかっ!?」

シャーリー「………だめだ、やっぱり周波数が合ってねぇ!」

ルッキーニ「シャーリー!」

シャーリー「…うし、ならこのまま突っ込むぞルッキーニ! 例の新技だ」

493: 2014/07/21(月) 12:51:36.36 ID:DZGyOCUE0
 
――――
――



某市街 上空


醇子「…っ……コアはあとひとつ…!」ブゥウン

醇子(こんな所で時間を使うわけには……)


ネウロイ?「…」ズズズ


ボッボボボッ


醇子「くっ、また…!」

醇子(……回避じゃ駄目! 遅さに惑わされないで)パァア


ボボッボボボボ


醇子「うっ……ぐ! (しまった! こんなに攻撃が厚いなんて!?)」パァァ

494: 2014/07/21(月) 13:59:09.97 ID:DZGyOCUE0
 
ネウロイ?「…」


醇子(シールドを解く隙が……身動きが取れない…っ)


ネウロイ?「……」ズズ


ボボボッボ――



『音速! 神風アタァーーーーック!!!』

『くぅらぇえーーーー!!』



ヒュゴォォオオォオ


バキィイイィン


ネウロイ?「ッ…」

495: 2014/07/21(月) 14:33:35.10 ID:DZGyOCUE0
 

ネウロイ?「」シュゥゥ…



醇子「……えっ!?」


ブゥゥウン


シャーリー「ちっくしょー…、やっぱりルッキーニだき抱えたままじゃ音速は出ねぇか」

ルッキーニ「でも出てたら、ジュンジュンもやっつけちゃうとこだったよ?」


醇子「シャーリーさんに……ルッキーニさん!!」


シャーリー「ども! 援軍ですよ、竹井大尉?」ピシ

ルッキーニ「ジュンジュ~~ン! ひっさしぶりぃー!」ダキ

醇子「こ、こんなに早く来てくれるなんて…!」

シャーリー「これでも抑えた方ですよ!」ドヤ

496: 2014/07/21(月) 15:39:17.34 ID:DZGyOCUE0
 
ルッキーニ「ジュンジュンひとりなの? ニッキーは!?」

醇子「中島さんはアルプス方面へ行っているわ。 こっちは私と赤ズボン隊の皆でなんとかしてるけど…」

醇子「民間人の避難誘導や、敵の数が多すぎて皆散り散りになってしまったわ」

シャーリー「…でも殆ど片付いてるみたいですね? 地上型のネウロイもいないし」

ルッキーニ「やった! ロマーニャ守れたんだ! ありがとージュンジュン!」ギュー

醇子「……いいえ、まだ油断できないわ。 これで4度目だもの」

シャーリー「え?」

醇子「こちら竹井、皆無事!? 501から援軍のウィッチが到着したわ!“次”が来る前に一度集合して、体制を立て直すわよ!」

『大尉~! 街の人の避難がまだだよぉー!』ガザ

醇子「ならマルチナさんはそのまま避難誘導を続けて! フェルナンディアさん、ルチアナさん、アンジェラさん! 残存敵機の数は?」

『な、な~んとか掃除は完了したわ~。 でも、これ以上はもう御免よぉ……っぜぇ』

『隊長、しっかり! ……こちらは3人全員無事です。 地上の敵も掃討完了しました』

497: 2014/07/21(月) 16:01:27.38 ID:DZGyOCUE0
 
醇子「了解。 それじゃあ急いでポイント零に集合」

『了解!』ガザ

シャーリー「どういうことです? 敵がまだ来るんですか?」

ルッキーニ「えぇっ!?」

醇子「ハッキリとはわからないけど、恐らく続くわ。 だからこそ、あなた達を呼んだの」

シャーリー「わからないって……アドリア海を渡って西から来る事はもうないですよ。 今、あっちも戦闘中ですから」

醇子「501も!?」

シャーリー「地上型がどうやって海を渡ったか不思議ですけど、坂本少佐たちが食い止めてますから。 あたし等も住民の救助手伝いますよ」

醇子「…いえ、待ってシャーリーさん! 西海域から侵入したのは“ネウロイだけ”で、アレは違うの」

シャーリー「?」

ルッキーニ「“アレ”ってなにー?」

498: 2014/07/21(月) 16:43:31.55 ID:DZGyOCUE0
 
醇子「……ネウロイのようなもの。 もしかしたらネウロイなのかもしれないけれど…」

シャーリー「! …まさか波長が違う、アンノウンじゃ?」

醇子「そうよ。 あなた達がさっき最後のコアを破壊して倒したのもそ――」


……ゴォォォオオオオォオオ


醇子「!」

シャーリー「!? なんだいったい!? ……空に…渦?」

ルッキーニ「にゃっ!? なにあれ!??」

醇子「……やっぱり、まだ来るのね。 さっきより間隔が早いわ」


ゴォォオオォオ

 

500: 2014/07/21(月) 17:07:59.50 ID:DZGyOCUE0
 
醇子「ふたりとも、暴風に流されないように注意して!」

シャーリー「ぐっ!! 異常な気流の原因はこいつかよっ!」ブゥゥン

ルッキーニ「うじゃっ!? しゃ、シャーリーー!!」グラ

醇子「ルッキーニさん!?」

シャーリー「…掴まれっ!! ルッキーニ!」ガシッ


シャーリー「っ……んのぉ…!!」フィィイン

ルッキーニ「~ぅ…」


醇子(魔法念動力でルッキーニさんごと持ち堪えてる!? すごい…!)

502: 2014/07/21(月) 17:58:40.45 ID:DZGyOCUE0
 

ゴォオォオオォ……


シャーリー「…お、収まったか。 ふぅー…久々やったけど、キトゥンのおかげでイメージし易かったな」

ルッキーニ「ありがと…しゃーりぃ……」ギュ

シャーリー「おしおし」ナデナデ

醇子「危なかったわね…―― っ!」

醇子「……シャーリーさん、ルッキーニさん、ごめんなさい。 やっぱりあなた達の協力が必要みたい」

シャーリー「!」


もぞ…


…わらわらわらわら――



シャーリー「……なっ、なんだこいつら!!?」


 

503: 2014/07/21(月) 19:17:48.04 ID:DZGyOCUE0
 
一方

アドリア海 上空


美緒「……」ブゥゥン

キトゥン「美緒さん、あの……大丈夫ですか?」ビュゥウン

美緒「何がだ?」

キトゥン「え……あ、いやあの~…」

美緒「何を心配しているのか知らんが、いらぬ世話だ。 お前こそ“息切れ”に注意しろ?」

キトゥン「あ、はい。 というか…――」

美緒「そろそろか? 掴まれ」スッ

キトゥン「……すみません。 こんなに速いと、すぐ切れてきちゃって」ニギ

504: 2014/07/21(月) 20:08:02.66 ID:DZGyOCUE0
 
キトゥン「っ…」フッ…

芳佳「だ、大丈夫ですかキトゥンさん!?」ブゥゥン

キトゥン「うん、平気。 もう少しで回復するから…」

エーリカ「回復しちゃうんだ!? すごい!」ブゥゥン

バルクホルン「いや、こんな頻繁に魔力切れを起こしていたら意味ないぞ」ブゥゥン

エーリカ「キトゥンはストライカー履いてないんだから、無茶言わないでよトゥルーデ~」

バルクホルン「私は、こんな様で戦場に出るなと言っているんだ!!」

ペリーヌ「わたくしも大尉のご意見に同感ですわ! すぐにお戻りなさいっ!」ブゥゥン

キトゥン「……あ、回復しました」ブワァン

エーリカ「はやっ!?」

美緒「よし、離すぞ?」

505: 2014/07/21(月) 21:10:44.98 ID:DZGyOCUE0
 
バルクホルン「少佐ッ! 部外者を巻き込んで、責任は取れないぞ!?」

キトゥン「……」

芳佳「ば、バルクホルンさん!」

美緒「…キトゥンはお前達が思っている以上に戦闘慣れしている。 余計な気を使うな」

美緒「こいつの手綱は私が握っているから、お前たちは戦闘に集中しろ!」

キトゥン(わたし、犬!?)

美緒「宮藤はバルクホルン、ペリーヌはハルトマンの2番にそれぞれ付け!」

芳佳「は、はい!」

ペリーヌ「……」

美緒「ペリーヌ! 聞こえなかったか!!」

キトゥン「…ペリーヌさん、ごめんなさい。 でもわたし、皆が辛い思いをしてるのに見てるだけなんて我慢できないから…」

ペリーヌ「………了解ですわ。 少しでも危なくなったらすぐに逃げなさい?」

キトゥン「はい!」

506: 2014/07/21(月) 21:23:46.04 ID:DZGyOCUE0
 
美緒「よし。 …だがキトゥン、ペリーヌの言ったことも重要だ」

美緒「お前は航空ウィッチの戦闘訓練は全く積んでいない。 下手に出張ると邪魔にしかならんことを肝に銘じろ! 私のそばに付き、指示があれば直ぐに離脱しろ! いいな?」

キトゥン「ぇ…?」

美緒「返事っ!!」

キトゥン「ひぇっ!? …ぅぅあ、はいっ!」


ガザザッ


ミーナ『先行部隊坂本少佐、聞こえる?』ガザ

美緒「こちら坂本。 …そろそろか?」

ミーナ『ええ。 観測班の情報通り、中型のネウロイがもう貴女の眼でも確認できるはずよ』

美緒「了解」フィィイン

キトゥン(通信機って久しぶりだな…。 あの時は一応わたしも軍人だったっけ)

507: 2014/07/21(月) 21:52:38.66 ID:DZGyOCUE0
 
サーニャ『その他、数十のアンノウンもネウロイと一緒にいます』ガザッ

バルクホルン「……ミーナ、このアンノウンだが。 ロスマン曹長の言っていた…」

ミーナ『例の軟体型ね、…可能性はあるわ』

エーリカ「えっ!? ロスマン曹長から連絡あったの!!」

ペリーヌ「な、軟体型…?」

芳佳「なんですか、それ?」

美緒「…中佐、こちらも確認した! 見た事の無い連中だ」

美緒(――ん!? なんだこいつら…、まさか?)

エーリカ「私達にも見えて来たよー!」

芳佳「黒いですね?」

ペリーヌ「なにを当たり前のことを…。 貴女はもっと緊張感を持ちなさい」ハァ

508: 2014/07/21(月) 21:54:21.44 ID:DZGyOCUE0
 
バルクホルン「…おかしいぞ? 少佐の魔眼で捕捉できる距離からいくらもなく、我々の眼に見えるなんて――」

キトゥン「……なんか動いてない、あの影?」

美緒「当たり前だ、あれは群の影だ。 …空が不気味なほど黒くなっている」

エーリカ「うわ……蜂の大群みたい」

バルクホルン「くっ!! ダイナモ作戦を思い出す悪夢だ…!」ジャキッ

美緒「接敵が近い!! 全員戦闘態勢を取れ!」

芳佳「はいっ!」

キトゥン「……(またあの硬い奴と戦うんだ…、それも2体)」ゴクリ

ダスティ「…ニャア」ビュゥン

キトゥン「うん、わかってるよダスティ。 やるって決めたんだから…!」

509: 2014/07/21(月) 21:57:50.32 ID:DZGyOCUE0
 

ペリーヌ「ハッキリ見えてきましたわね」


エーリカ「…小さいやつらは初めて見るタイプだね?」


キトゥン「………ぇ、うそ…?(まさか――)」ドキッ


芳佳「えぇっ…!? さ、坂本さん! あれって…??」


バルクホルン「なっ! コアが剥き出ている!?」


美緒(……やはりか)




キトゥン「――ネヴィッ!!?」


 

510: 2014/07/21(月) 22:10:22.77 ID:DZGyOCUE0
501をも巻き込み、各地に来襲する不可解な怪異。

ウィッチーズの面々と徐々に打ち解けながらもキトゥンは、自分の世界へ帰るあても無いまま戦場へ身を投じていく…。

はたしてこの話はまとまるのか!?



(・×・)<来月以降の後編へ、つづく

512: 2014/07/21(月) 22:20:22.62 ID:GRtqP/n1o
乙です

513: 2014/07/22(火) 00:19:19.43 ID:UV8IGwLa0
おつですー
来月かぁ・・・待ってる!

514: 2014/07/23(水) 18:37:25.27 ID:IotwTlts0

【おまけ】

~ >>197にて、某人に連絡を取っていたミーナの会話内容↓ ~



『――重力魔法……ですか…?』

ミーナ「ええ。 私の憶えには無いんだけど、聞いたことないかしら?」

『……すみません。 私もそれは聞いたことがありません』

ミーナ「そう。 …なら、ひとつ目の質問はどうかしら?」

『…それも、正直なんとも申し上げにくいです。 異空間構成論の核心は宮藤博士の研究チームと共に消えてしまっていますから――』

『博士が唯一残された“宮藤理論”も、ブリタニア政府に提出されていたいくつかの資料と、ユニットの基礎構想を記したもの以外は不明なんです』

ミーナ「……素人意見で申し訳ないけど、設計図じゃわからないの?」

『確かに発生条件はわかります。 “ストライカーユニットを反証する”ことはできますが、異空間の詳しい性質……大げさに言ってしまえば、その正体は不確かなままなんです』

ミーナ「…そう。 つまりは、わからないという事ね?」

『すみません…』

ミーナ「いえ、責めている訳じゃないの。 ごめんなさい」

『重力を操る魔法も合わせて、こちらでも少し調べてみます』

ミーナ「ええ。 例の物も貴方宛てですぐに送りますから、そっちはできる限り秘匿にして頂戴?」

『了解しました。 楽しみにしています』

ミーナ「ありがとう。 …それじゃあ、お願いするわね」

ミーナ「……」カチャ


ミーナ「……はぁ、我ながらおかしな考えよね…。 まるでガリレオだわ(…それとも“狼女”かしら)」




(・×・)<以上、待て後半ダナ

516: 2014/08/01(金) 10:00:48.03 ID:hakboA2UO
もう八月だぞ!!

517: 2014/08/01(金) 12:41:17.24 ID:SRJAdnDBO
せ、せっかちナンダナ(そわそわ)

518: 2014/08/01(金) 14:57:21.72 ID:Dhr4yW3to

引用: 芳佳「ネヴィ?」 キトゥン「ネウロイ?」