520: 2014/08/03(日) 01:48:36.53 ID:TQ6NPUUX0
(・×・)<雑にあらすじダナ
芳佳「ネヴィ?」 キトゥン「ネウロイ?」【前編】
芳佳「ネヴィ?」 キトゥン「ネウロイ?」【中編】
遥かなる柱そびえ立つ世界に浮かぶ空中都市ヘキサヴィル…。
その危機を救いちょっぴり評判の重力使い“キトゥン”は、害敵ネヴィの急襲を受けて異世界へ飛ばされてしまう。
彼女が目覚めたそこは、ウィッチと呼ばれる魔法力を持った少女たちが人類の先頭に立ち、侵略者ネウロイと日夜戦い続けている世界であった…。
ロマーニャ南部を護る第501統合戦闘航空団(ストライクウィッチーズ)の戦闘に介入し、一度は拘束されてしまうキトゥンであったが、501の戦闘隊長“坂本美緒少佐”や同じく扶桑出身のウィッチ“宮藤芳佳軍曹”の助けもあり、徐々にウィッチーズと打ち解けていくことができた。
宮藤軍曹の提案で共にガリアへ行く事になったキトゥンは、自分の世界へ帰る手掛かりを探ろうと考える。
がその直後、ロマーニャ南北を大量の敵が襲い、キトゥンとウィッチーズは空を翔け戦地へと向かった。
怪異舞う戦地へ赴いたキトゥンが見たものは、2体のネウロイと……あろうことか無数のネヴィであった。
521: 2014/08/03(日) 01:52:30.35 ID:TQ6NPUUX0
アドリア海上空
キトゥン「……ネヴィ!」フワッ
美緒「なに? ネヴィだと…!?」
キトゥン(なんでこんな所に…? ……でも異次元世界だし、出ないこともないか)
美緒「……キトゥン。 ネヴィとはまさか、お前の国に出たという…?」
キトゥン「…はい、そうです!」
美緒「そうか、あれが……やはり…」
芳佳「さ、坂本さん! あの小さいネウロイ、コアみたいなのがいっぱい付いてますよっ!?」
ペリーヌ「き、気持ち悪いですわ…!」
バルクホルン「……ロスマン曹長の報告通りだ、間違いない! 奴がペテルブルグに出た新型ネウロイだ!」
エーリカ「えっ!? なにそれ!?」
キトゥン(……そうだった。 ここの世界にはネヴィなんて出たことなかったんだ! じゃあどうして急に…!?)
522: 2014/08/03(日) 01:57:01.60 ID:TQ6NPUUX0
美緒「全員静まれ!!」
芳佳・ペリーヌ「!」
バルクホルン「…少佐?」
美緒「敵の正体は掴んでいる。 落ち着いて話を聞いてくれ」
バルクホルン「なんだと? 本当か少佐?」
美緒「ああ。 今説明する」
芳佳「で、でも坂本さん! ネウロイがもうすぐそこまで…!」アワワ
エーリカ「大丈夫だよ宮藤。 少佐の話を聞こう?」
美緒「後続部隊、応答してくれ! こちら坂本、緊急だ! アンノウンの正体がわかった」
523: 2014/08/03(日) 01:59:15.81 ID:TQ6NPUUX0
ミーナ『なんですって!?』ガザ
美緒「敵の正体は“ネヴィ”、…キトゥンの世界の怪異だ」
ミーナ『!? 待ちなさい坂本少佐、こんな所で…!』
美緒「こうなってしまってはもう無理だ中佐。 隠す方がデメリットになる」
キトゥン「…美緒さん」
バルクホルン「……隠す? 一体なんの話だ少佐?」
エーリカ「キトゥンの世界ってなに?」
美緒「質問は後だ、今は黙って聞け」
ミーナ『…………そうね、わかったわ。 続けて頂戴』
美緒「奴らの体表面に点在する目玉のようなものは、厳密にはコアではないが弱点だ! すべて破壊すれば、その個体は消える」
美緒「…そうだったな、キトゥン?」
キトゥン「はいっ! …それからネヴィの攻撃は遅いですけど、こっちを追ってくるので気をつけてください!」
524: 2014/08/03(日) 02:11:02.92 ID:TQ6NPUUX0
美緒「と言うことだ。 2体のネウロイと合わせて、我々は先に打って出る! この数では討ち漏らしが出るだろう――」
美緒「ネウロイは引き受ける! 抜かれた分は任せていいな?」
ミーナ『了解。 …情報があるとはいえ、初めて戦う敵よ? 油断しないで!』
美緒「承知した」
美緒(……しかし想像以上に数が多い! 各個撃破で挑みたいが、ネヴィが例え雑魚であったとしても弱点の全破壊には恐らく一定以上の手間がかかる)
美緒(ミーナの言うように油断もできん。 勢力数も向こうが倍以上となると……個別で当たるのは駄目だっ!)
美緒「……いくぞお前達! 各ロッテで散会!! 突っ込みすぎず、撃型シグマでとにかく数を減らす!」
美緒「但し、2体のネウロイだけは絶対に抜かせるな!!」
「「「了解」」」
美緒「ストライクウィッチーズ、戦闘開始ッ!!」
ブゥゥウン――
527: 2014/08/03(日) 12:40:43.46 ID:TQ6NPUUX0
美緒「キトゥンッ! ネウロイのコアは視えているか!?」ブゥゥン
キトゥン「はい! ぼんやりとなら」
美緒「よし! 我々はネウロイを討つ! 左の奴からだ、後に続け!!」
キトゥン「わかりました!」ビュゥウン
ダスティ「ニャア」ビュゥン
虫っぽい雑魚ネヴィ「~!」スィー
美緒「……邪魔だッ!!」スラッ
シュパッ――
虫ネヴィ「~」ヒラ
美緒「!! なにっ!?(躱された!?)」
528: 2014/08/03(日) 12:43:23.16 ID:TQ6NPUUX0
キトゥン「――美緒さん!」ズォォオ
バキィン
虫ネヴィ「」シュゥゥ…
美緒「…よくやったキトゥン(……なんという運動性、まるで虫だ!)」
キトゥン「この前のお返しですよ! 美緒さんが追いやってくれたから狙えました」
美緒「ふっ…貸した覚えはないが、そうか。 ……よぉし! 急ぐぞ!?」ブゥゥン
キトゥン「はい!」ビュン
529: 2014/08/03(日) 12:45:12.03 ID:TQ6NPUUX0
雑魚ネヴィ「「~~!」」ウジャ
美緒「2度も外しはしない! はぁあっ!!」スパパァン
雑魚ネヴィ「「」」シュゥゥ…
キトゥン(すごい…!)ガビーン
美緒「ひとつ眼の雑魚共は止まらずに切り捨てるぞ!! 遅れるな!」
キトゥン「い、急ぐよダスティ!」
ダスティ「……」
530: 2014/08/03(日) 12:49:32.01 ID:TQ6NPUUX0
――ブゥゥウン
ネウロイ「…―」
キトゥン「よかった、この前よりは全然小さい」
美緒「油断するなよ?」
美緒(…キトゥンも私もシールドが張れないうえに近接戦闘型だ。 私には烈風丸があるが、こいつにはビームを防ぐ手立てがない)
美緒「……キトゥン、能力はまだ続くか?」
キトゥン「はい! 行きましょう美緒さん!」
美緒「よし、ならばお前は私の真後ろに付け。 いいな?」
キトゥン「え?」
美緒「懐へ入る。 絶対に外れず遅れずに、私の軌道に沿って来い!!」ブゥゥウン
キトゥン「ら、ラジャーっ!」アセアセ
美緒(コアが視える我々ふたりでネウロイを圧倒するのが理想! ……命懸けだが、キトゥンにはこの場でビーム回避に習熟させるっ!)クイ
531: 2014/08/03(日) 12:52:22.14 ID:TQ6NPUUX0
ネウロイ「!」
美緒「来るぞっ!!」フィィイン
キトゥン「っ…!」
ネウロイ「~~!」ビーム
美緒「――っ!」ヒラ
キトゥン「きゃっ!?」ビュン
ダスティ「……」ヒョイ
ネウロイ「~! ~~!!」ビビビー
美緒(よし、この程度なら問題ない!)ヒラヒラ
キトゥン「わっ! ひゃっ!? あ、あぶっ…!!」ビュンビュン
美緒「止まるなぁ!! キトゥン!」
キトゥン「む、無茶言わないで~っ!(氏んじゃうーー!!)」
532: 2014/08/03(日) 12:59:19.39 ID:TQ6NPUUX0
芳佳「――…キトゥンさん!?」チラ
虫ネヴィ「~!」スィー
ボボッボッ
バルクホルン「宮藤ッ!!」
芳佳「ぇ? …あっ、わぁ!? 変な黒いのが…!?」ブゥゥン
バルクホルン「下手に避けるな! シールドを張れぇ!!」
芳佳「……あわわっ!」パァア
533: 2014/08/03(日) 13:04:24.07 ID:TQ6NPUUX0
虫ネヴィ「「~~」」ウジャジャ
他 雑魚ネヴィ「「…~」」ワラワラ
ボボボボッ
芳佳「わっ! わぁ!? いっぱい来るぅ!?」パァア
バルクホルン「ッ! ぐぉぉおおぉ!!」ダダダダッ
バキッ バギィイン
虫ネヴィ「「」」シュゥゥ…
雑魚ネヴィ「「」」シュゥゥ…
バルクホルン「よそ見をするな、宮藤!」ブゥゥン
芳佳「す、すみません…!」
バルクホルン「向こうは少佐に任せろ。 ネウロイには私も目を光らせておくから、お前は自分の役目に集中するんだ」
芳佳「は、はいっ!」
534: 2014/08/03(日) 13:09:36.10 ID:TQ6NPUUX0
バルクホルン「…しかしこいつら、存外厄介な敵だ。 追尾性の鈍行弾幕を中距離以上から“置かれ”続けたらまずい」
雑魚ネヴィ「~」
バルクホルン「個々は脆弱だが数が多い…、群がられたら退路はないな」ダダダッ
芳佳「でも、バルクホルンさん!?」ダダダ
バルクホルン「わかっている!(…近接戦で潰していくのは厳しい。 私独りならまだしも、宮藤の戦術レベルでは効率が悪すぎる)」
バルクホルン(……この調子では殆どミーナたちの所へ行ってしまう!)
ガザザッ
エーリカ『トゥルーデー! 射撃で落とすなら攻守分担した方がいいよ?』ガザ
バルクホルン「ハルトマン!? ……余裕だな、こんな状況でこっちまで気を回すとは」ダダダッ
雑魚ネヴィ「「「」」」シュゥゥ…
535: 2014/08/03(日) 13:35:12.24 ID:TQ6NPUUX0
エーリカ『私はめんどくさいから魔法で特攻しちゃうけどね! 次行くよペリーヌ~♪』
ペリーヌ『ちょ、ちょっと中尉! 速過ぎますわ!?』
エーリカ『宮藤を上手に使いなよ~? ……シュトルムー!!』
ペリーヌ『中尉――!!』ガザ
バルクホルン「……相変わらず話を聞かない奴め!(しかし、なるほど…)」
芳佳「ハルトマンさん達すごい…! 消しゴムみたいにどんどん空がきれいになっていきます!!」
バルクホルン「ああ、ペリーヌとならば私もああするだろう」
芳佳「ご、ごめんなさい……私が足手まといに…」
バルクホルン「戦場で泣き言をいうな。 各々に出来る事が必ずある、お前――…いや“私達”はそれをするまでだっ!」
芳佳「バルクホルンさん…!」ジーン
バルクホルン「っ! //」ドキッ
536: 2014/08/03(日) 14:02:15.87 ID:TQ6NPUUX0
バルクホルン「……わ、私の顔より敵を見ろっ! ///」
芳佳「あぁぅっ、すみません!」ワタタ
バルクホルン「……コホン! …宮藤、お前のシールドを使って敵群に接近する」
芳佳「え?」
虫ネヴィ「~…」フラ~
バルクホルン「多少強引になるが、あの追尾弾幕を掻い潜るより反って安全な筈だ――」ダダ
虫ネヴィ「」シュゥゥ…
バルクホルン「…宮藤のシールドならな?」キリ
芳佳「で、でも……あんなにいっぱいいる所に出たら囲まれちゃいますよ!?」
バルクホルン「心配ない。 接近したら私の火力で即殲滅する」
537: 2014/08/03(日) 14:09:23.87 ID:TQ6NPUUX0
芳佳「ぅ…でも…」
バルクホルン「私は仲間を信じている! …宮藤、お前はどうだ?」
芳佳「!(バルクホルンさん…!)」
芳佳「………はいっ、私もバルクホルンさんを信じます!!」グッ
バルクホルン「よし、行くぞ!」ブゥゥン
芳佳「はい!」ブゥゥン
545: 2014/08/05(火) 04:09:02.04 ID:9v1DLcHK0
――ビュゴォオオァァ
バキバキバキィィインッッ!!
ネヴィ「「「」」」シュゥゥ…
エーリカ「ふぅ~…っと。 ちょっと休憩」ブゥゥン
エーリカ「…あっちの方はトゥルーデに任せて大丈夫だから、ペリーヌと合流したら少佐たちの方に――」キョロ
エーリカ「――! (あのネウロイ……一体だけ止まったままだ?)」
エーリカ「…………」
エーリカ「(ちょっと突いてみよっか)……ペリーヌ大丈夫―? 遅れてるけど」
『中尉! 後ろですわっ!!』ガザッ
エーリカ「ん?」クル
ネヴィ「「…~~」」ザワザワ
エーリカ「お!」
546: 2014/08/05(火) 04:43:17.92 ID:9v1DLcHK0
『トネーールッ!!』フィィイン
バリバリバギャァアッ
ネヴィ「「」」シュゥゥ…
エーリカ「……あちゃ~、コア潰しきれなかったのがいたかー」
ペリーヌ「ハルトマン中尉! お怪我はありませんこと!?」ブゥゥウン
エーリカ「ありがとー、ペリーヌ!」
ペリーヌ「…え、ええ。 でも、もう少し緊張感を持ってくださいな……やられる所でしたわ!?」
エーリカ「へーき! 頼りになるペリーヌが助けてくれたからさ?」
ペリーヌ「そっ、そういうことを言っているのではありませんわ! //」
エーリカ「それより、ほら! …次はあっち行くよ?」ビッ
ペリーヌ「え?」チラ
エーリカ「少佐たちがネウロイの相手してるけど、もう片方の様子が変だから!」ブゥゥン
ペリーヌ「あっ、ちょっと中尉!? ………もう! 心強いどころか、付いて行くのがこんなに大変だなんて…!」ブゥゥン
547: 2014/08/05(火) 05:05:22.49 ID:9v1DLcHK0
変なネウロイ「……」
エーリカ「ペリーヌ! 合わせてー!」
ペリーヌ「了解ですわ!」
エーリカ「それっ! 起きろ!」ダダダッ
ペリーヌ「…どうせなら、そのままやられてしまいなさい!」ダダン
キンキンッ チュンッ
変ネウロイ「……」
エーリカ「!? ……うっそ」
ペリーヌ「んなっ! …銃が全く効きませんわ!?」
エーリカ「…めんどくさいなぁ~」
548: 2014/08/05(火) 05:18:53.89 ID:9v1DLcHK0
変ネウロイ「……」
エーリカ(おかしいな、反撃もしてこない…?)
変ネウロイ「…―!」ググ…
変ネウロイ「~……、~~っ」ニョキニョキ
ペリーヌ「ひぃっっ!!? な、なんですの!?」ゾク
エーリカ「なんか生えた!? ……気をつけて、ペリーヌ!」
変ネウロイ「~……」
549: 2014/08/05(火) 05:19:46.08 ID:9v1DLcHK0
変ネウロイ「……――」
エーリカ「……? (こっちに来ない?)」
ペリーヌ「っ…」ゴクリ
変ネウロイ「――…………ッッ!」ギュワァ
ギュンッーー
エーリカ「ぅ…!?」
ペリーヌ「なっ!? ………速い!?」
エーリカ「……私達無視して、なにかする気だ!!」ブゥゥン
550: 2014/08/05(火) 05:26:35.53 ID:9v1DLcHK0
ネウロイ「~―」ビュゥン
美緒「……くっ! なかなか背中を見せんな、…コアを守っているつもりか!?」ブゥゥン
キトゥン「…美緒さん、わたしそろそろ“息が切れます”!」ビュウン
美緒「今止まれば的だ! 踏ん張れっ!!」
ネウロイ「~~!」ビー
キトゥン「わっ!?」ヒラ
美緒「キトゥン…!」
551: 2014/08/05(火) 05:29:12.67 ID:9v1DLcHK0
美緒「(仕方ない……まだ温存しておきたかったが)四の五の言っていられないか――」
美緒「…行くぞ、烈風丸」キキッ
キトゥン「ぇ…! 美緒さん!? 止まったら的ですってば!」
美緒「坂本美緒…――」スッ
ネウロイ「―! ~―!」ビビー
美緒「――推して参るっ!!」ビュゥゥンッ
キトゥン「っ!! 美緒さん、危ない…!?」
ビビィィイー――
552: 2014/08/05(火) 05:31:51.50 ID:9v1DLcHK0
美緒「……斬り裂けぇ!! 烈風斬っ!!」フィィイン
ズォオォオオオッ
キトゥン「…え、えぇー!? ビーム切ってるっ!!」ガーン
ズオォオオ――
ネウロイ「ッ!!? ~!」ビュン
美緒「逃がさん! このまま押し切る――」ズォォオ
美緒「 一 刀 両 断 ッ ! ! 」シュバァア
――オオォオァァ
ネウロイ「」パキィ
バリィインッ
パラパラパラ……
553: 2014/08/05(火) 05:35:12.09 ID:9v1DLcHK0
美緒「…はぁ……ふぅ…っ。 …よし」ブゥゥン
キトゥン「す、すご…(赤い弱点まで、正面からまっすぐごり押し…!)」
ダスティ「……」
美緒「…ふぅ」キョロ
美緒(この周辺からネヴィは殆ど消えたか…。 残るネウロイを片付けて、ミーナ達の加勢に急がなければ)
キトゥン「……もう美緒さんひとりいれば解決したりして…?」ムムー
ダスティ「…ニャア」
キトゥン「お! ダスティもそう思う?」
ダスティ「……」フルフル
美緒「…なにをしているキトゥン、今のうちに余力を回復し――」
ガザッ
『少佐ー、キトゥンッ! 危ない!!』
554: 2014/08/05(火) 05:40:37.63 ID:9v1DLcHK0
美緒「!」ピク
キトゥン「…エーリカ!?」
エーリカ『変なネウロイが高速でそっちに――』ザザ
…ゴゴォォオォ
美緒「――! 2体目かっ!」チャキ
キトゥン「ぅ…!? さっきのやつより大きい!」
変ネウロイ「ー!!」ビュォオ
美緒(…初めて見る型だ、コアはどこだ――)フィィイン
美緒「っ!!(馬鹿な、なんだこいつは…!?)」
555: 2014/08/05(火) 05:42:14.59 ID:9v1DLcHK0
変ネウロイ「―~!!」モジャモジャ
キトゥン「なっ! なにあれ!?」ギョ
美緒「……この方向、通せば基地に一直線だ。 なんとしても止めるっ!」スッ
美緒「キトゥン! あのネウロイは何か不気味だ、お前は一度距離を取れ!」
キトゥン「は、はいっ(なんかもう、わたしがいた方が邪魔になりそうだし…!)」ワタワタ
キトゥン(……美緒さんなら、また一撃でやっつけちゃうよね?)ビュゥウン
ダスティ「…」
556: 2014/08/05(火) 05:45:56.06 ID:9v1DLcHK0
美緒(奴のコア……なにか妙だが、残る大物はこいつだけだ。 もう一度烈風斬で――)フィィ
美緒「――っ!」ゾク
美緒「……くっ…、ふざけるな…! 一度放ったくらいで…っ!」ヨロ
変ネウロイ「―~~」
美緒(くそっ、何故だ…! 力が入らない)
変ネウロイ「~~――」チカチカ
美緒「(ビームが来る!)…れ、烈風丸ぅ!!」サッ
変ネウロイ「――…」グル
美緒(なにぃ! 向きを変えた!?)
変ネウロイ「…~~」
美緒「……まさかっ!!(奴の狙いは――)」
美緒「――…キトゥゥウウンッ!!! 避けろぉお!!」
562: 2014/08/07(木) 20:54:26.62 ID:sDpdkelt0
キトゥン「…あっちの方、よく見えないけど芳佳達がまだネヴィと戦ってるよね。 手伝いに行っちゃ駄目かな?」ビュゥウン
ダスティ「!」ピク
ダスティ「ニャアッ!!」
キトゥン「ん? どうしたのダスティ? ……あ、そろそろ息つぎしろって――」
チカッ…
ダスティ「-ッ!」ガブ
ダスティ「ーーッ!!」グィイー
キトゥン「きゃ!? ちょっと引っ張らないで!」ガク
ビビィィイーー
ヒュンッ
キトゥン「……ぇ…?」
563: 2014/08/07(木) 21:05:57.56 ID:sDpdkelt0
ダスティ「ニャア!」
キトゥン「………なに、今の!?」クル
変ネウロイ「~~!」ビュゥウン
キトゥン「げっ、ネウロイ! こっちに来てる!? …美緒さんはっ!?」
ダスティ「ニャア!」
キトゥン「わ、わかってるよ! こうなったらやるしか――」フッ
キトゥン「!」
キトゥン「…………しまった。 能力が切れちゃった!」ガクン
ヒューーーーン↓
564: 2014/08/07(木) 21:20:39.35 ID:sDpdkelt0
キトゥン(また肝心な時に…っ!! どうしよう、どうしようっ!?)
キトゥン「……ダスティ! お前は逃げて!」
ダスティ「ッ……」グイグイ
キトゥン「ダスティ、やめて!」
変ネウロイ「…ーー!」チカッ
キトゥン「!」
変ネウロイ「~~!!」ビビー
キトゥン(……ごめんっ、みんな…!)ギュ
――ブゥゥウウン
ガシッ
565: 2014/08/07(木) 21:30:12.00 ID:sDpdkelt0
エイラ「…よっと」ヒョイ
ビュゥンッ↑
キトゥン「…………あれ…?」パチ
エイラ「まったく、お前氏ぬトコだったじゃねーか」
キトゥン「ぇ…、エイラ!?」
エイラ「未来が変わってよかったな、ワタシのおかげだぞ?」
キトゥン「???」
エイラ「ところでキトゥン、お前飛べないのか?」ムリナノ?
キトゥン「え? あ、ぅうん……今は力が抜けちゃって…。 もうちょっとかかる…」
エイラ「なんだよソレ? よくそんなんで戦いに来たな~?」ヤレヤレダナ
エイラ「助けてやっから、しっかり捕まってろよ?」
キトゥン「うん…、ごめん」ギュゥ
エイラ「……お前もついて来るんだぞ?」チラ
ダスティ「ニャア」
566: 2014/08/07(木) 21:40:33.04 ID:sDpdkelt0
変ネウロイ「~~! ~!!」ビービビー
エイラ「そりゃ!」ヒラ
変ネウロイ「~ー! ーーッ!」ビーム
エイラ「ホホイのホイ~っとぉ!」ヒョイヒョイ
キトゥン「こっここ、怖いぃ!」
エイラ「心配すんなって。 ギリギリだ~けどあたらない~♪」ビュゥゥン
変ネウロイ「~!」ビー
エイラ「~♪」
ジュッ……
567: 2014/08/07(木) 21:44:22.33 ID:sDpdkelt0
キトゥン「きゃー! 髪が…!!」
エイラ「うるせーなぁ、髪ぐらいどうだっていいだろー?」
キトゥン「ひどいっ!」ガーン
エイラ「ちょっと先っぽ無くなっただけだろ?」
キトゥン「女の子の髪だよっ!?」
エイラ「(めんどくさいなぁ)………サーニャー、まだかー?」
サーニャ『……丁度よ。 離れて、エイラ』ガザ
バシュゥゥウウゥ
ドガァァアァアアン
変ネウロイ「ッ!!」
568: 2014/08/07(木) 21:47:35.88 ID:sDpdkelt0
バシュゥン バシュゥウゥゥ
バゴォオォオン
ドガァアァアアァアン
キトゥン「! 今度はなに!?」
エイラ「サーニャのフリガーハマーだ。 …勝ったナ」
キトゥン「サーニャがやったの!? あの爆発を!?」
エイラ「そうだぞ、スゴイダロ!」ムフフ-
『エイラさん!』
ブゥゥウン
569: 2014/08/07(木) 21:49:16.50 ID:sDpdkelt0
ミーナ「…大丈夫?」
リーネ「……キトゥンさん!」ブゥゥン
キトゥン「リーネ!?」
エイラ「なんてことないぞ中佐」
ミーナ「……よかったわ」ホッ
美緒「キトゥン!」
エーリカ「ミーナー!」ブゥゥン
ペリーヌ「キトゥンさんっ!」ブゥゥン
キトゥン「……美緒さん!」
570: 2014/08/07(木) 21:50:42.09 ID:sDpdkelt0
ミーナ「っ! 美緒! どうしたのっ!?」
美緒「心配するな……少し肩を借りただけだ。 …もういい、すまない」スッ
ペリーヌ「少佐、ご無理は…」
美緒「平気だ、有難う」フワ
エーリカ「……」
ミーナ「美緒…」
美緒「そんなことより……そっちは片付いたのか?」
ミーナ「ええ。 貴女達のお陰で難なく掃討出来たわ……けど――」チラ
ミーナ「…キトゥンさん、後で話を聞かせてもらってもいいかしら?」
キトゥン「は、はい…」
571: 2014/08/07(木) 21:55:16.19 ID:sDpdkelt0
ガザッ
バルクホルン『皆ブレイクしろ!! ネウロイは無傷だ! 狙われる!』
芳佳『……私が守ります!!』
バルクホルン『あ、待て宮藤!? お前まで集まってどうする!』ガザザ
キトゥン「無傷って……! あんなに大爆発してたんだよ!?」
エイラ「おっかしーなぁ。 サーニャの攻撃なのに」
美緒「超々速回復か…!?」
ハルトマン「多分違うよ。 超々硬いんだと思う」
ペリーヌ「魔法力を込めた弾丸をはじきましたものね」
リーネ「そ、そんな……」
ミーナ「貴女達、ゆっくり話す時間は無いわ! 散会します!」
577: 2014/08/08(金) 20:15:33.48 ID:4he07zM10
変ネウロイ「…~~!」ビー
サーニャ『……みんなッ! 逃げて…!』ガザッ
キトゥン「!」
ブゥゥウン
芳佳「させるもんかぁー!!」バッ
美緒「宮藤っ…!」
キトゥン「芳佳!?」
リーネ「……芳佳ちゃん!!」
芳佳「やぁああ!」パァァア
578: 2014/08/08(金) 20:19:14.72 ID:4he07zM10
ビィイーー
芳佳「ふんっ……ぐ…!」パァァア
芳佳「……な、なにこれ…!? あぐ……ぅ…っ!」ヨロ
エーリカ「…まずくない!? 宮藤のシールドが押されてる!」
ミーナ「全員で手を貸すわよ!?」
エイラ「リョーカイ! ……キトゥン、もうイイだろ?」
キトゥン「あ、ごめん! ありがとう、もう回復した」
キトゥン「…わたしも芳佳の助けに――」ブワァン
エイラ「お前はワタシと違ってシールド出せないからムリダナ」
ペリーヌ「エイラさん! お急ぎなさいなっ!!」
579: 2014/08/08(金) 20:21:12.69 ID:4he07zM10
芳佳「っ…」ググ…
――ブゥゥウン
ミーナ「しっかり、宮藤さん」パァア
芳佳「! ……ミーナ中佐!」
リーネ「頑張って、芳佳ちゃん!!」パァア
芳佳「リーネちゃん!」
エーリカ「しっかしとんでもないネウロイだね? 宮藤のシールドを押すなんて」パァア
ペリーヌ「エイラさん、ちゃんとシールドを出さないと承知しませんわよ?」パァア
エイラ「心配すんな。 ツンツンメガネ以外ならヤル気出るから」パァァ
芳佳「ハルトマンさん! ペリーヌさん、エイラさん!」
580: 2014/08/08(金) 20:32:29.52 ID:4he07zM10
バルクホルン『…わ、私も忘れるなよっ! 宮藤!』ガザ
エーリカ「なに言ってんのトゥルーデ……」パァァ
サーニャ『……芳佳ちゃん待ってて、もう一度ネウロイの動きを止めるから』ガザザ
芳佳「サーニャちゃん!?」
バシュゥウウウゥ
ドガァアアアァアン
変ネウロイ「ッ…」ピタ
バシュ バシュウウウァ
ドガガァァアアァン
581: 2014/08/08(金) 21:46:36.40 ID:4he07zM10
芳佳「ビームが止んだ……はふぅ…」
リーネ「芳佳ちゃん、大丈夫?」
芳佳「うん。 ありがとう、みんな…」
ミーナ「フリガーハマーの破壊力には流石に怯むということね」
エーリカ「…でも怯むだけじゃね~」
ビュゥゥン
キトゥン「サーニャってば、かわいい顔してワイルドキャットだ……!」
ダスティ「……」
美緒「ああ見えて、ミーナの懐刀だからな。 この状況下でも単独遂行を任せられる腹心のひとりだ」ブゥゥン
芳佳「坂本さん! キトゥンさん!」
ミーナ「ちょ、ちょっと美緒。 恥ずかしいからやめて」
エイラ「サーニャをソンナメデミンナー!」
ペリーヌ「“そんな目”で見ているのはエイラさんだけですわ」
582: 2014/08/08(金) 21:55:07.05 ID:4he07zM10
キトゥン「…ありがとう芳佳、また助けられちゃったね?」
芳佳「いえ、そんな! 私これしか出来ませんし」エヘヘ
『いいや、謙遜する必要はない。 宮藤』
ブゥゥウン
芳佳「バルクホルンさん!」
バルクホルン「まったく、ひとりで飛び出して……心配させる」
芳佳「ご、ごめんなさい…」
バルクホルン「だがよくやった!」
キトゥン(…へぇー! ゲルトルートさん、こんな顔もするんだ)
エーリカ「トゥルーデ、そっちは終わったの?」
バルクホルン「ああ、遅くなったが残らず消した。 ……掃討完了だミーナ」
ミーナ「ええ、後はあのネウロイだけね?」
583: 2014/08/08(金) 21:56:54.86 ID:4he07zM10
美緒「…むぅ……」
ペリーヌ「? …少佐、いかがされましたか?」
美緒「……サーニャ、そのまま残り全弾撃ち込め!」
サーニャ『……了解…』ガザ
バシュゥゥウゥ
ドゴォォアァン
変ネウロイ「ッ……ッ…」
ドゴォォオォゴゴゴ……
…もくもくもく――
584: 2014/08/08(金) 22:00:03.23 ID:4he07zM10
キトゥン「ホントすごいね、あのロケット弾!」
エイラ「ソウダロ? ソウダロ~!」ドヤァ
芳佳「…勝っちゃいましたかね?」
美緒「無理だろう、時間稼ぎにしかならん」
芳佳「ぇ、坂本さん? じゃあなんで…??」
美緒「……皆今のうちに聞け。 あのネウロイについて、幾つかわかったことがある」
芳佳「えぇ! 本当ですか!?」
ペリーヌ「流石少佐ですわ!」
ミーナ「……聞かせて?」
585: 2014/08/08(金) 22:02:18.24 ID:4he07zM10
美緒「まず奴の狙いだが、恐らくキトゥンで間違いない」
キトゥン「…………えっ、わたし!?」
バルクホルン「……」
美緒「あのネウロイは、目の前で恰好の的だった私を無視してキトゥンを追い撃った……確実に目標を定めて行動している」
リーネ「も、目標……」
芳佳「…どうしてキトゥンさんを狙うんですか?」
美緒「そこまではわからん。 しかしその他は眼中にない程の徹底ぶりだ」
エーリカ「なるほど。 私とペリーヌを無視したあの時も、基地じゃなくてキトゥンの所へ向かったんだね」
ミーナ「…………」
バルクホルン「…やはりミーナも変だと思うか?」チラ
ミーナ「ええ。 ……色々とね」
586: 2014/08/08(金) 22:07:28.59 ID:4he07zM10
美緒「それから、奴と対峙した際に魔眼でコアを探ったのだが――」
美緒「ネウロイの体表に……何か別な者が取り付いているかもしれん」
ペリーヌ「あ、あの気味の悪い触手ですわ…」
エーリカ「少佐、あれ生えてきたんだよ?」
ミーナ「……あれが別の何かである根拠は?」
美緒「奴の体表で蠢いてるひとつひとつの“殻の中”に、僅かにコアの光が視えた」
キトゥン「うそ!? ……わたし気付かなかった!」
美緒「ほんの僅かだ。 私も始めは見間違いだと思ったが、奴は普通のネウロイではない様なのでな」
ミーナ「まさかネヴィ…?」
美緒「問題はそこなんだが、ネヴィのコアは私の魔眼で透視はできない。 ……筈だ」
587: 2014/08/08(金) 22:14:01.61 ID:4he07zM10
芳佳「じゃあ、ネウロイですか!?」
美緒「…しかしネウロイと言うにはどうも違う気がする」
エイラ「ハッキリしないなー」
ペリーヌ「お黙りなさい!」ムカッ
バルクホルン「今まで倒したその……ネヴィとやらは、我々でも目視できる位置に弱点があったが?」
ミーナ「…キトゥンさん、なにか知らないかしら?」
キトゥン(触手っていうか…あの蛇みたいな部分、見覚えがあるなぁ)ドヨーン
キトゥン「………あの先っぽの殻の中に、すっごく目玉がありそうなんですけど…」
ミーナ「経験則ね」
エーリカ(……さっきからちょこちょこ置いてけぼり食らうけど。 ミーナと少佐、キトゥンの事で私達に隠しごとしてるな?)
バルクホルン「…ハルトマン、疑問は基地に戻ってから糾弾すればいい」
エーリカ「わかってるよ」
芳佳「?」
キトゥン「……」
588: 2014/08/08(金) 22:21:53.12 ID:4he07zM10
美緒「ネウロイのコアは超々硬度装甲の中にあって手が出せん。 が仮に、あの異常性が取り付いた者の仕業であれば、先にそっちを叩いて勝機を作れる!」
ミーナ「それで、それがもしネヴィであるなら…」
美緒「ああ。 キトゥンの予感は」チラ
――もくもくもく…
変ネウロイ「…」
変ネウロイ「……」モジャモジャ
蛇ネヴィ「「~!」」ウネ
美緒「……当たったな。 目玉だ」
592: 2014/08/10(日) 02:12:57.12 ID:fTrr3nOK0
キトゥン「やっぱりネヴィ…。 エコルの時と似た感じだ!」
ミーナ「…教えて頂戴、キトゥンさん?」
キトゥン「もしかしたらあれ、ネヴィに操られているかもしれません」
ミーナ「………まさか本当に、そんな事が…!?」
美緒「その場合、ネヴィを倒すとどうなる?」
キトゥン「……一応“元に戻る”と思いますけど…。 たぶん」ゴニョゴニョ
ミーナ「弱体化するとは限らない訳ね」
美緒「だがやる価値はある!」
バルクホルン「……つまりあの触手の目玉を全て潰すという事でいいんだな?」
エイラ「うぇー…」ジトー
エーリカ「めんどくさ~」グデー
593: 2014/08/10(日) 02:14:44.42 ID:fTrr3nOK0
リーネ「あ、あれと戦うの…?」オド
芳佳「が、頑張ろう!!」
ペリーヌ「ぐ……わたくし、あの物体だけは生理的に無理ですわ」
ガザ
サーニャ『坂本少佐……全弾命中しました。 ですが、一部の装甲〈殻〉を除きネウロイ依然健在…。 現在は衝撃で沈黙中です』
ミーナ「サーニャさん、そちらから破壊した装甲の再生は確認できる?」
サーニャ『……いえ、いまの所は…』
美緒「やはりあの箇所はネウロイとは別か…!」
ミーナ「わかったわ。 …貴女は一度帰投して頂戴。 その後は指示があるまで周囲の索敵と基地の護りをお願い」
594: 2014/08/10(日) 02:18:10.89 ID:fTrr3nOK0
サーニャ『……』
ミーナ「残弾が無ければ戦えないわ。 後は私達に任せなさい」
サーニャ『で、でも……』
キトゥン「…サーニャ! 終わったら今度は一緒にお風呂行こう?」
エイラ「おい! ズルいぞキトゥン!!」
芳佳「あぁっ私も! 私も、サーニャちゃん!」
リーネ「芳佳ちゃんが入るなら…私も…」
ペリーヌ「…も~貴女達、いい加減になさいっ!!」
ミーナ「大丈夫よ、サーニャさん。 ちゃんと全員揃って帰るから」ウフフ
エーリカ「…あんまり言いすぎると逆に縁起悪くない?」
サーニャ『……了解しました…。 …戦線離脱します』ガザ
595: 2014/08/10(日) 02:24:10.00 ID:fTrr3nOK0
ミーナ「さてと――」フィィィン
ミーナ「……敵の触手は9本。 各先端部にコアがひとつずつあるわ」
美緒「さしずめ九岐大蛇〈クマタノオロチ〉といったところか」
芳佳「い、イソギンチャクにしか見えません…!」
バルクホルン「9本か……ひとり1殺だな」
エイラ「大尉、それってキトゥンも数に入れてないか?」
バルクホルン「仕方ない。 帰したところでアレがキトゥンを追って基地まで行ってしまうんだ」
エイラ「……そうだったな」
エーリカ「だからって独り狙われるキトゥンを放っておくのもおかしいよね?」
バルクホルン「わかっている。 囮になどしない」
キトゥン(おとりって…!?)ガーン
596: 2014/08/10(日) 02:28:49.51 ID:fTrr3nOK0
美緒「……キトゥンには守備役が必要だ。 となれば――」チラ
美緒「宮藤、お前はキトゥンに付け」
芳佳「うぇ!? は、はいっ!」
ミーナ「ちょっと! 大丈夫なの、坂本少佐!?」
美緒「あふれた1本も私が斬る」
ミーナ「そうじゃなくて…!!」
美緒「どっちも似たもの同士だ、ぶつけでもきっとかみ合う」
キトゥン「……わたし達、似てるんだって?」チラ
ペリーヌ「確かに。 そっくりですわね」ハァ
芳佳「そ、そうですか? えへへ」
キトゥン(あれ、照れるとこ…!?)
597: 2014/08/10(日) 02:33:51.25 ID:fTrr3nOK0
美緒「心配するな! お前達ならやれる!」ワッハッハ
リーネ「……あ、あの……ネウロイがすぐそこにいるんですけど…」オズオズ
エーリカ「緊張感無いね」
バルクホルン「お前のが移ったんだろ?」ジト
ミーナ「(心配なのは貴女もよ、美緒)……トゥルーデ、エーリカ?」コソ
バルクホルン「ん?」
エーリカ「どうしたのミーナ?」
ミーナ「少佐のフォローをお願いできる?」ヒソ
バルクホルン「…了解」
エーリカ「あ! じゃあトゥルーデ、ついでに私のもお願―い」
バルクホルン「ふざけるな。 我々で2本ずつやるぞ?」
エーリカ「えー……魔法力もう無いよぉ」
598: 2014/08/10(日) 02:44:55.91 ID:fTrr3nOK0
ミーナ「全員聞きなさい! ネウロイ本体が沈黙しているうちに、あの触手のコアを破壊します!」
ミーナ「今ならビームは来ないと思うけど、宮藤さんはキトゥンさんの護衛に付きなさい! 他は各自散会で各個撃破を目指します!」
「「「了解」」」
ミーナ「キトゥンさん、宮藤さん。 絶対に無理はしないで!」
キトゥン「は、はーぃ…」キョロ
芳佳「わかりましたっ!」キリ
ミーナ「……」
エイラ(ウソくせー)
ペリーヌ(嘘っぽいですわ)
エーリカ(嘘だねぇ~)
――――
――
―
601: 2014/08/12(火) 23:15:43.79 ID:QXCJHkv80
キトゥン「やぁ!」ズォォオ
バキィン
蛇ネヴィ「」シュゥゥ…
キトゥン「よし、こっちも1体倒した!」フワッ
芳佳「はぁ……ふぅ…」
キトゥン「…芳佳、大丈夫? 肩で息してるけど…」
芳佳「は、はい……ちょっと魔法力を使い過ぎたけど…平気です!」ゼェー
キトゥン「そうは見えないけど…」
ガザザッ
ミーナ『皆、残りの触手は2本よ! 本体がいつ動き出すかわからないから注意して』ガザ
キトゥン「ミーナさん、芳佳が――」
芳佳「だ、大丈夫です!! わー、わー!!」
キトゥン「ちょっと芳佳!?」
602: 2014/08/12(火) 23:18:13.14 ID:QXCJHkv80
ダスティ「……」
変ネウロイ「……-ッ…」
ダスティ「…!」ピク
…
……コォォ…
ダスティ「……」
ダスティ「ニャア!」カプ
キトゥン「ひゃっ!? ……ダスティなに? 太もも噛まないで!」ペシ
603: 2014/08/12(火) 23:21:49.24 ID:QXCJHkv80
ダスティ「……」クイ
キトゥン「…なにったら?」チラ
ゴォォオォオオォオオ
キトゥン「…ぇ……、重力嵐…!?」
芳佳「!? なに、あの渦!?」
ミーナ『全員上空に注意してっ! なにか巨大な影が――』ガザ
美緒『なんだこれは!?』
ゴォオオォオォォォオ
リーネ『きゃぁあー!!』
エイラ『リーネ! あぶない!!』
芳佳「リーネちゃん!? どうしたの! 大丈夫!?」
キトゥン「…みんなっ、重力嵐だ! 吸い込まれないように気を付けて!!」
604: 2014/08/12(火) 23:26:50.18 ID:QXCJHkv80
バルクホルン『嵐だとっ!? これが――…ぐっ!』
エーリカ『も、もう踏ん張りがきかないよ……っ』
ペリーヌ『魔法力が…』
美緒『ぐ………踏ん張れぇ!!』
芳佳「み、みんな――…わっ!??」グラ
キトゥン「――!! 芳佳ぁー!」
芳佳「わぁぁっ!」ヒュゥ~
キトゥン「ッッ!(重力グラブ……届けぇ!!)」ブワァン
芳佳「!?」フワッ
605: 2014/08/12(火) 23:28:31.61 ID:QXCJHkv80
キトゥン「……と、届いた。 よし!」
ダスティ「ッ……ニャア!」
キトゥン「わかってるよ! わたしが吸い込まれたら意味ないことくらい」ビュゥン
芳佳「なっ! なんですかこれ!?」フワフワ
キトゥン「えっと、無重力ってやつ? 重力嵐が止むまで私が芳佳を“掴んで”るからね!」
芳佳「えっ!? えぇぇ!?」
ゴオオォオォ…………
オォォ……
……
606: 2014/08/12(火) 23:34:18.66 ID:QXCJHkv80
キトゥン「……止んだ」ホッ
ミーナ『皆大丈夫!?』ガザザ
美緒『なんとか無事だ』
エイラ『ワタシとリーネも平気だぞ』
バルクホルン『こちらも生きている』
エーリカ『し、しんど……』
ペリーヌ『…ですわ……』
キトゥン「私達も大丈夫です! ……芳佳“離す”よ?」
芳佳「え? あぁ、待ってくださいっ! さ、逆さまのままで――」グルグル
バルクホルン『ッ!? …待て! なんだこいつらは!!?』
キトゥン「!?」
607: 2014/08/12(火) 23:36:55.27 ID:QXCJHkv80
雑魚ネヴィ「「「「…~」」」」ウジャウジャ
ネヴィ「「~~」」ワラワラ
芳佳「…ね、ネヴィ!! なんでっ?? どこから!?」
キトゥン「……重力嵐だ…(やっぱり、ここでもこうなっちゃうの?)」
エイラ『おい! 冗談じゃないぞ!? モッカイ最初からやれってのか!?』
リーネ『そんな……だって、あんなネウロイもいるのにどうやって…?』
バルクホルン『流石に、弾も魔法力も持たないぞ…!』
ミーナ『皆落ち着いて、撤退か応戦か判断するわ!』
美緒『いや。 ……この最悪なネウロイを残して、引く訳にはいかない』
ミーナ『坂本少佐…!』
キトゥン(美緒さん?)ピク
608: 2014/08/12(火) 23:44:17.18 ID:QXCJHkv80
変ネウロイ「……~」ググ
変ネウロイ「~~…、……!」グググ
美緒『……奴が動き出した』
芳佳「えぇぇ! ど、どうしよう!? ネヴィもいっぱいいるのに!」
エーリカ『またあのとんでもないビームが来るわけ!?』
ミーナ『っ……キトゥンさん!! 貴女は早く逃げなさい! 狙われるわ!!』
キトゥン「えっ!? でも…」
変ネウロイ「~~ッ!」ニョキニョキ
蛇ネヴィ「「「――…」」」ウネ
美緒『ッ!!! 馬鹿なっ!?』
芳佳「……触手が、再生したぁ!?」ガーン
エイラ『フザケンナーッ!!』
バルクホルン『待て! あれはネウロイでは無いんじゃないのか!? コアも破壊した筈だ!』
ペリーヌ『中佐…! わたくしたち、どうすれば――』
ミーナ『っ……!!』
609: 2014/08/12(火) 23:49:29.75 ID:QXCJHkv80
キトゥン(…ネウロイだけでもなんとかしなきゃ!)
キトゥン「……もう、こうなったらマイクロブラックホールで――…それであの親玉はイチかバチかダスティと合体すれば…」
芳佳「(や、やっとバランスが取れそう!)キトゥンさん、もう離して平気で――」フワフワ
ガザッ
美緒『こうなれば本丸を討つ!! 私の真・烈風斬でっ!!』
キトゥン「!」
芳佳「ぇ? 坂本さん!?」
ミーナ『や、やめなさいっ! 坂本少佐!!』
バルクホルン『独りで突っ込むなんて無茶だぞ少佐!』
610: 2014/08/12(火) 23:51:56.02 ID:QXCJHkv80
美緒『ぉおぉおおおおっ!!』
キトゥン(美緒さんが敵群の中に…!?)
ミーナ『やめてぇ!! 美緒―ッ!!!』
キトゥン「っ!!」キッ
キトゥン「美緒さん!」ビュゥウン
芳佳「うあぅ!?」グン
ビュゥゥウウン
芳佳「き、キトゥンさん??」
キトゥン「芳佳、シールド出して! 今から突っ込む!」ビュゥウン
芳佳「えぇぇ!? あ、あのっ…! 私、このまま運ばれちゃうんですか!?」
キトゥン「お願い! 美緒さんを助けなきゃ!」
芳佳「!」
芳佳「…わかりました! やりましょう!!」
キトゥン「……いくよぉー!」ビュゥン
617: 2014/08/16(土) 00:01:18.20 ID:Vt0XSws40
ネヴィ「「~~」」
変ネウロイ「~…」
美緒(たとえどんな硬度だろうと、真・烈風斬さえ撃てれば!)ブゥゥウン
美緒「烈風丸……力を貸せぇ!!」フィィイン
美緒「――ッ…! ぅぐ…!?(くそっ、…また身体が――)」ゾク
――ビュゥゥウゥン
芳佳「坂本さぁーん!」パァア
キトゥン「まったぁー!」ビュゥゥン
美緒「!?」
618: 2014/08/16(土) 00:12:12.00 ID:Vt0XSws40
芳佳「キトゥンさん、これからどうするんですか?」パァア
キトゥン「任せて! 捕まえる」ビュゥン
美緒「来るなっ! お前達!!」
キトゥン「ミーナさんが、無茶するって心配してますから!」ブワァン
美緒「なっ!!? …おい、やめろ!」フワッ
キトゥン「交代しましょう! 今度はわたしがやりますっ」
美緒「離せ、キトゥン!」フワフワ
ネヴィ「!」
変ネウロイ「!」
キトゥン「(ぅ、囲まれる)……芳佳、美緒さん。 “投げる”から逃げてください!」
芳佳「えっ??」
美緒「なにを――」
キトゥン「ごめんなさい!」バシュン
619: 2014/08/16(土) 00:14:38.13 ID:Vt0XSws40
芳佳&美緒「「――っ!?」」グン
ヒュゥーーーーン……
芳佳『わぁぁあぁあっ!!?』
キトゥン(ごめんね、芳佳)
ダスティ「……ニャア」
変ネウロイ「~~-!!」ビーム
キトゥン「! …こいつ!」ヒラ
雑魚ネヴィ「「「~~」」」ウジャー
ネヴィ「「―!」」
ボボッボッ
620: 2014/08/16(土) 00:16:44.59 ID:Vt0XSws40
キトゥン「街を襲った大群に比べれば、こんなの!」バッ
ミーナ『キトゥンさん! 貴女までなにをしているの!? 速く逃げなさいっ!』ガザ
キトゥン「…わたし、やってみせます! みんなは離れてください!」
ミーナ『なにを言っているの! 氏んでしまうわ!?』
キトゥン「……ほらほら! わたしはここだよー、こっちにこーい!」ビュゥン
ミーナ『やめなさい、キトゥンさん!!』
蛇ネヴィ「「「~~」」」ウヨウヨ
ネヴィ「「~ー!」」ワラワラ
キトゥン「(よし!)…マイクロブラックホール、いくよっ!」
ダスティ「……」ブワァン
キトゥン「はぁあっ……!!!」グッ
シュゥゥウゥウッ……
…カッッ――
――シュバァゥッ
621: 2014/08/16(土) 00:19:14.43 ID:Vt0XSws40
バキバキバキィィイィン
蛇ネヴィ「「」」シュゥゥ…
エイラ「ワッ!? なんだっ!?」グラ
バルクホルン「っ…、すごい衝撃波だ。 あいつ、一体なにをした!?」
ミーナ「キトゥンさん…!?」
リーネ「あ、あれ見てください! 空が歪んで…!?」
ペリーヌ「……!? 真っ黒い穴も空いてますわ…!」
エーリカ「わ、すご…! 敵が全部吸われてる」
ミーナ(最初の衝撃に、真黒の穴…? ……いえ、あれは“黒色”なんかじゃないわ!)
ミーナ(キトゥンさんの力は重力……とういことは、敵の数を無視したあの吸い込みは恐らく圧縮で――)
ミーナ「――!」ビク
ミーナ「…うそ、まさか……重力崩壊っ!?〈※ブラックホールの命名は22年後の1967年〉」
622: 2014/08/16(土) 00:21:49.00 ID:Vt0XSws40
グォォオォオォン
ネヴィ「「ッ~…!」」ズズ
触手ネヴィ「「ッッ…!」」ズルー
グシャ
バギャッ バギパキィィイン
ネヴィ「「「」」」
触手ネヴィ「「」」シュゥゥ…
変ネウロイ「……!」メキメキィ
キトゥン(くっ……もう無理…!)
キトゥン「――――ったぁ! ……はぁ…っぁふ…」ビュゥン
623: 2014/08/16(土) 00:24:36.44 ID:Vt0XSws40
雑魚ネヴィ「「「」」」
ネヴィ「「」」シュゥゥ…
キトゥン(よし、ネヴィは倒した! …ネウロイは!?)キョロ
変ネウロイ「ッ…ッ~……ッ…」
キトゥン「(蛇は全部消えたけど、まだ本体が…!)半分削れて止まってる! 今がチャンス!」
キトゥン「……力を貸してっ、ダスティ!!」
ダスティ「ッ~~――」
ダスティ・フェリン「…グワァウ!!」
624: 2014/08/16(土) 00:30:51.62 ID:Vt0XSws40
キトゥン「黒豹〈フェリン〉にパワーアップしたダスティとグラビティ・キトゥンちゃんの最強コンビなら、ただのネウロイなんてもう楽勝だよっ!」ビシ
ダスティ・フェリン「…………」
キトゥン「……ごめん、嘘。 本当はもう吐きそう」
ダスティ・フェリン「……」
変ネウロイ「 …」ググ
キトゥン「しまった、再生し始めてる! ……こっちも氏にそうだけど今しかない! いくよっ!?」ビュゥウン
ダスティ・フェリン「……」ビュン
625: 2014/08/16(土) 00:32:39.71 ID:Vt0XSws40
変ネウロイ「…。 …ッ」グググ
キトゥン「やぁぁあーーっ!!」
ギュワァァアァアン
変ネウロイ「!」
ガリガリガリィッッ――
変ネウロイ「 」
キトゥン「(あった、コア!)…ダスティパーンチッ!!!」
パキィン…
626: 2014/08/16(土) 00:44:43.58 ID:Vt0XSws40
変ネウロイ「」
バリィィインッ
パラパラ……
――ビュゥゥン
キトゥン「……っだ! …ふぅ……」フワッ
キトゥン「ぜぇ……はぁ…。 …っ……ぅ(まずい、無理し過ぎた)」オエ
キトゥン「…ダスティ、ちょっと…もう……だるいから身体から出て」
ダスティ「ニャア」ユラ
キトゥン「ぅぅ…、本当に戻しそう……。 やっぱりブラックホールと黒豹はギリギリで使うの控えよぅ…」
ガザッ
美緒『――おい返事をしろ、キトゥン!』
芳佳『キトゥンさぁーん!』
キトゥン「……み…美緒さん、芳佳…」
627: 2014/08/16(土) 00:46:39.15 ID:Vt0XSws40
美緒『無事か!? 一体なにをした!?』
キトゥン「…ネウロイ……やっつけま…し……」フラッ
キトゥン「――………っ」
ヒューーン↓
美緒『おいっ! キトゥン!!』
芳佳『わぁ!! えぇぇ!?』
ヒューーン↓
ボチャーンッ
630: 2014/08/18(月) 19:53:00.75 ID:7ZU40v1l0
――――
――
―
基地 医務室
キトゥン「……ぅ…」パチ
キトゥン「……」
芳佳「キトゥンさん!」
キトゥン「…………芳佳」チラ
キトゥン「……ぁれ、ここ…?」
美緒「医務室だ」
ミーナ「貴女はネウロイとネヴィを独りで倒した後、海に落ちたのよ? キトゥンさん」
キトゥン「…ミーナさん、美緒さん」
美緒「お前の消耗もそうだが、なによりネウロイの破片による裂傷が酷かった」
キトゥン「え…?」
631: 2014/08/18(月) 20:21:57.37 ID:7ZU40v1l0
ミーナ「崩壊したネウロイの破片と一緒に海へ落ちたこと、覚えていない?」
キトゥン「??」
美緒「既に意識も途切れていたのだろう。 間一髪だったな? 運よく急所は外れていたが、宮藤の治療が遅れていれば参事だった」
キトゥン(……うそ!? えっでも、怪我の後なんて全然ない…!)モゾモゾ
芳佳「坂本さんと一緒に飛ばされちゃった後はどうなるかと思いましたけど、無事でよかったです!」
キトゥン「…芳佳、ごめんね。 わたし芳佳にはホントに頭が上がらないよ」
芳佳「な、なに言ってるんですか!? そんなことないですっ!」ワタワタ
ミーナ「貴女には先に色々聞きたいことがあるけど……そうねぇ。 援軍へ出たシャーリーさん達の報告もあるし、シャワーにでも行って来てもらおうかしら」
美緒「濡れタオルで拭っただけでは塩気が残っているだろうしな」
632: 2014/08/18(月) 20:31:21.09 ID:7ZU40v1l0
キトゥン「…シャーリー達、帰って来てるの?」
ミーナ「いいえ。 戦闘は無事に終了したらしいけど、色々と込み入っていてまだ向こうにいるわ。 …こっちに戻れるのは明日以降になるかもしれないわね」
芳佳「えぇ! もしかして怪我してるんですか!?」
美緒「……まぁ、多少な」
ミーナ「ちょっと、美緒!」
美緒「嘘をついてどうする?」
芳佳「…私、助けに行きます!!」
美緒「おいおい。 今のお前では治癒魔法どころか、10分と飛べんぞ?」グイ
芳佳「ぅ、…でもっ」
キトゥン(芳佳…?)
633: 2014/08/18(月) 21:02:27.43 ID:7ZU40v1l0
ミーナ「……ほら、こうなるから言ったのに」ハァ
美緒「む、すまん…。 しかしこれが宮藤の持ち味だ」
ミーナ「なに言ってるのよもぅ…」ガク
芳佳「ご、ごめんなさい。 でも、心配で」
ミーナ「…宮藤さん? 軽傷を負っただけで、ふたりは無事だからおとなしく待ちましょう?」
芳佳「はい…」
キトゥン「そっか。 シャーリーとルッキーニ、無事で帰ってくるんだ。 よかったぁ」
美緒「全員揃ったら、改めてお前のことを皆に話そうと思う」
ミーナ「……そうね。 今回のことを含めて、キトゥンさんも交えたミーティングが必要ね」
キトゥン「…いいんですか?(わたしは別にいいけど)」
美緒「ネヴィが出たんだ。 もうお前も部外者ではあるまい」
ミーナ(というより、可能性としてはむしろ…――)
634: 2014/08/18(月) 21:38:16.79 ID:7ZU40v1l0
美緒「少なくとも、我々ウィッチーズに対してはお前の秘密は解禁だ。 必要であれば、お前の口から話してもいいぞ」
芳佳「……なんの話ですか?」
キトゥン「えーっと………あとで説明~…でもいい? なんか、肌がヒリヒリしてきちゃって」モソ
ミーナ「あら、デリケートなのね? 早く洗い流した方がいいわ」
美緒「…そうだな。 宮藤、話は後にしてやれ」
芳佳「あ、はい! それじゃお風呂に急ぎましょう、キトゥンさん?」
キトゥン「うん――」ムク
ハラリッ~
キトゥン「……てぇ、なにこれ!? そういえばわたし裸じゃん!!」ガビーン
635: 2014/08/18(月) 21:55:42.44 ID:7ZU40v1l0
美緒「当たり前だ、海水塗れの服など、とうに脱がせてある。 お前は着替えの持ち合わせも無いから必然的に裸だ」
キトゥン「ぱ、パジャマがあるじゃないですかーっ!?///」バサッ
美緒「あれは私の物を貸し出しているだけだろう?」
ミーナ「…美緒? 多分、そういう意味じゃないと思うわよ」
芳佳「ご、ごめんなさい! 体中傷だらけだったので……その――」アワワ
ミーナ「……トゥルーデの時もこうだったから、私もついうっかりしていたわ」アラアラ
キトゥン「(なんかミーナさんも軽いし…!)うぅ…、とりあえずこのシーツ借りて行きます//」マキマキ
美緒「わっはっは! そうだな、流石に素っ裸では歩けんっ! 空でもなければ誰かに見られるしな!」
キトゥン(空でも嫌!!)
芳佳「あ、あのキトゥンさんっ? 入るかわかりませんけど、私のでよければ着替えを…!」
ミーナ「……ほら美緒? 笑ってないで浴衣用意してあげなさい」ウフフ
美緒「違うぞミーナ、あれは襦袢だ!」ワッハッハ
636: 2014/08/19(火) 01:12:20.34 ID:8ZR8Aiaq0
廊下
――バタン
キトゥン「はぁ、もう。 なんで私が遊ばれるの…? さっきまで命懸けで戦ってたのに」ガク
芳佳「きっと坂本さんもミーナ中佐も、キトゥンさんが無事で嬉しいんですよ!」
キトゥン「う、う~ん…。 あのふたりに限って、そんな可愛げ――」
『ぁ……キトゥンさん…!』
キトゥン「?」
芳佳「サーニャちゃん!」
サーニャ「…おかえりなさい。 身体はもう大丈夫…?」
キトゥン「ただいま、もう平気だよ。 ……というかサーニャ、ずっとここにいたの?」
サーニャ「うん…、約束したから。 ……お風呂行きましょう?」
637: 2014/08/19(火) 01:15:41.96 ID:8ZR8Aiaq0
キトゥン「あ、そうだったね? うんうん、行こう行こう!」
サーニャ「うん」
キトゥン(サーニャ、お風呂セット抱えちゃって……健気でかわいいなぁ)
芳佳「わぁい、サーニャちゃんも一緒だ!」
サーニャ「うん。 私も嬉しい、芳佳ちゃん」
キトゥン「……あれ? そういえばエイラは一緒じゃないんだ?」
サーニャ「…エイラは部屋で休んでる。 少し疲れたみたいだから」
キトゥン「そっか(余裕そうに見えてたけど、やっぱりエイラも大変だったんだ。 …後でお礼言っておかなきゃ)
サーニャ「……ところで、ぁの……キトゥンさん? その格好、どうしたの??」オズオズ
キトゥン「へ!? ……あーこれは、えっと――」モゾ
キトゥン「…気にしないで、お願いっ!」
芳佳「あ、あはは…」
サーニャ「ぇ…………うん(気になる)」
638: 2014/08/19(火) 01:19:14.53 ID:8ZR8Aiaq0
ダスティ「…」ヨロ
芳佳「あ! ダスティちゃん」
ダスティ「……」ヘナヘナ
芳佳「…どうかしたの?」
ダスティ「……」
キトゥン「なにしてるの芳佳?」
芳佳「キトゥンさん。 ダスティちゃん、なんだか元気がなさそうですよ?」
サーニャ「黒猫……(かわいい)」
ダスティ「……」
639: 2014/08/19(火) 01:25:21.10 ID:8ZR8Aiaq0
ダスティ「……」
キトゥン「こいつは普段から黙りっぱなしだけど、流石に疲れちゃったかな?」
キトゥン「――ん、でも…? ………ぁ!!」ハッ
。
○
(『間一髪だったな? 運よく急所は外れていたが――』)
○
。
キトゥン「お前まさか!?」
ダスティ「…」グデー
キトゥン「……ありがとう、ダスティ。 お前は偉い!」
芳佳「キトゥンさん?」
サーニャ「?」
キトゥン「おいで? お礼にわたしが洗ってあげるから!」ヒョイ
ダスティ「っ…ニャァ……!」ジタジタ
キトゥン「ふふ、照れなくてもいいのに。 綺麗にしてあげるよ!」
ダスティ「っ…。 …~!」ガク
――――
――
―
644: 2014/08/24(日) 20:33:59.44 ID:gV0hqVP10
宿舎 お風呂
――…チャプ
キトゥン「い゛っ……!?」ビクゥ
サーニャ「…どうしたの?」
キトゥン「な、なんでもない! ちょっとお湯が熱くてビックリしただけ(ヒリヒリな肌に沁みる~~!!)」
サーニャ「……キトゥンさん、ぬるめが好きなのね?」
キトゥン「う、うん…そう。 長湯にはいいよね…」アハハ
芳佳「ダスティちゃん、湯船は大丈夫? 溺れない?」
ダスティ「……」チャプ
ダスティ「……」スイー
芳佳「わぁ!? すごい!」
645: 2014/08/24(日) 20:36:56.12 ID:gV0hqVP10
キトゥン「ふぅー…(一度浸かれば痛みもないや)」
キトゥン「……あぁ~、力が抜けていく…」グデ
サーニャ「お疲れさま」
キトゥン「サーニャもね? …すごかったよあれ」
サーニャ「う、うん…//」
芳佳「はぁー……気持ちいぃー」チャプ
サーニャ「芳佳ちゃんもお疲れさま」
芳佳「えへへ、魔法力空っぽになっちゃった。 キトゥンさんとお揃いです」
キトゥン「芳佳……」
646: 2014/08/24(日) 20:40:40.94 ID:gV0hqVP10
サーニャ「ふたりとも無事に戻ってきて本当に良かった…」
キトゥン(私は傷だらけで帰ったらしいけど)
サーニャ「……あのネウロイはなんだか、その…変だったから」
芳佳「サーニャちゃん?」
サーニャ「今までのネウロイよりもっと冷たくて……少し怖かった…、ような気がして」
キトゥン「?」
サーニャ「…また、大切な人に合えなくなるのは……嫌だから」チャプ…
キトゥン「!」
芳佳「……大丈夫だよ、サーニャちゃん? サーニャちゃんのお父さんとお母さん、絶対どこかで生きてる。 きっと見つかるよ!」
キトゥン「ぇ!?」
647: 2014/08/24(日) 20:41:46.82 ID:gV0hqVP10
サーニャ「芳佳ちゃん…」
芳佳「私のお父さんみたいに氏亡通知が来たわけじゃないからきっと大丈夫っ!」
キトゥン「!!(芳佳のお父さんが…!?)」
サーニャ「ぁ…! ……ごめんなさい、私…」シュン
芳佳「えっ!? あぁ、いやその…。 そういう意味じゃないよっ? 謝らないでぇ~!」オロオロ
キトゥン(…そっか。 芳佳のなんか異常なくらいの正義感って、もしかしてお父さんを亡くしたから…?)
キトゥン(ペリーヌさんにサーニャに芳佳……みんな戦争のせいで悲しい思いをしてるんだ)
648: 2014/08/24(日) 23:04:25.58 ID:gV0hqVP10
翌日
ミーティングルーム
ミーナ「……皆揃ってるわね?」
シャーリー「帰って早々、ミーティングとはねぇ~」ポリポリ
ルッキーニ「お腹すいた…」クテ
美緒「すまんな、ふたりとも。 急いで戻って来てもらって悪いが、のんびり構えている訳にもいかん」
ミーナ「ええ、そうね。 シャーリーさん達の報告もまだ細かく考査してないけど、ここ最近から欧州各地を急襲している新型ネウロイ“らしきもの”について、貴女達にいくつか話しておかなきゃいけない事があるわ」
ハルトマン「……」
バルクホルン「昨日の一件から、私やハルトマンも色々と気になっていた。 ミーナと少佐は私達の知らない情報を予め持っていたんじゃないか?」
エイラ「そ、そうだワタシも! あのネヴィとかいう変なのはなんなんだ? なんで少佐達は知ってたんだよ?」
ミーナ「落ち着いて。 順番に話すから……どうか真剣に聞いて頂戴ね?」
美緒「……」
649: 2014/08/24(日) 23:06:49.80 ID:gV0hqVP10
ミーナ「…まず皆気づいてると思うけど、今日のミーティングにはキトゥンさんも参加しています」
ペリーヌ「……確かに、そうですわね? あまりにも自然にいたものですから驚きませんでしたわ」
キトゥン「よ、よろしくどうもー…」
バルクホルン「やはりキトゥンも今回の件に関係しているんだな?」
美緒「急ぐな、バルクホルン」
ミーナ「ええ。 キトゥンさんについての話で、まず私から皆に謝らなければならないことが――」
ハルトマン「…あんまり回りくどいのはやめてよミーナ?」
ミーナ「……そうね、わかったわ。 じゃあ直入に事実を言うから、いいわね?」
キトゥン「……」
ミーナ「実は…キトゥンさんは私達とは別の世界からやって来た、異世界人よ」
650: 2014/08/24(日) 23:14:34.69 ID:gV0hqVP10
バルクホルン「……」
ハルトマン「……」
エイラ「ハ…?」
サーニャ「…!」
シャーリー「……」
ルッキーニ「?」
ペリーヌ「……」
リーネ「……」
芳佳「えぇぇぇ!!? そうなんですかぁ!?」ガーン
キトゥン(芳佳だけいいリアクション)
美緒(まぁ、こうなるだろうな)
653: 2014/08/25(月) 00:02:31.87 ID:5JEggWka0
ミーナ「貴女達の言いたいことはわかるわ。 げどこれは事実。 いくつか裏付けになる状況証拠も、私と坂本少佐で確認済みです」
シャーリー「……あのー、本人はそう言ってるんですか?」
ルッキーニ「ねぇねぇ、つまりどゆこと?」クイクイ
ミーナ「……キトゥンさん?」
キトゥン「ぇ? は、はいっ」ドキ
ミーナ「貴女はどこから来たか、皆のいる前で教えて頂戴」
キトゥン「……」チラ
美緒「いい。 正直に話せ」コク
キトゥン「…えーっと。 ヘキサヴィルのヴァン・ダ・センタリアレから……。 家はオルドノワの土管に、自分で家具とかおいてー…その。 だから住所とかは……わかりませぇん…」
654: 2014/08/25(月) 00:03:48.46 ID:5JEggWka0
エイラ「うぇ~、ドカンに住んでんのかよ~!?」
サーニャ「素敵じゃないエイラ。 楽しそうだわ」
エイラ「そうだなっ! 私もそう思ってたぞ!」
ペリーヌ「…貴女達、もっと不思議な点がありましたでしょう?」
リーネ「芳佳ちゃん、ヘキサヴィルって確か…?」
芳佳「キトゥンさんがここで最初に目を覚ました時に言ってた名前だ!」
芳佳「――あれ? でも、それは妄想性の痴呆症だったんじゃ…?」ウーン
キトゥン(えっ!? なにそれ!?)ガーン
ミーナ「……あの時点では私も本気でそう思っていたわ」
キトゥン「ちょっ!?」ガガーン
655: 2014/08/25(月) 00:09:27.61 ID:5JEggWka0
ミーナ「けど常識外れの力で戦闘介入した事を皮切りに、キトゥンさんの言葉を支持し得る情報が出てきたの」
ミーナ「ただ、異世界がどうのこうのだなんて……皆が思うように私も簡単には信じられない話よ? …どう扱うべきか悩んだ結果、貴女達に嘘をついてしまったの。 ごめんなさい…」
美緒「私も同罪だ。 すまない」
キトゥン(わたしにも謝ろうよ!?)
エーリカ「……え、あのさ? 本気で言ってるの…?」
ミーナ「ええ、勿論。 キトゥンさんがウィッチであるという事も出鱈目よ。 魔法力診断の結果でも彼女が魔法を一切使えない事がはっきりと出ているわ」
シャーリー「は…? 魔法力が無い!? …それじゃ生身でレシプロ並に飛んだり、ネウロイ蹴り崩したりして たアレはなんなんですか?」
エイラ「“重力操作”の固有魔法だろ? ワタシらは本人から聞いたぞ。 なぁ、サーニャ?」
サーニャ「え…、えぇ……」
656: 2014/08/25(月) 00:15:57.96 ID:5JEggWka0
キトゥン「…ごめんエイラ。 実はわたしも口裏合わせてて……重力の能力は本当だけど、魔法とかじゃないの」
エイラ「ハ…? 重力操れるんだろ? 魔法じゃん」
シャーリー「エイラ、それあたしと同じ質問になってる」
ルッキーニ「……??? …つまりなにー??」クイクイ
ミーナ「…そうね。 当然の疑問だけど、彼女の能力を私達の持ちうる文明・科学で説明するのは難しいでしょう」
美緒「無理にでも言葉にするならば超能力……とでも言うか? 眉に唾して聞くような話には変わりないが」
ミーナ「でも、その御伽のような事がここに実在している。 それは彼女が異世界人だからに他ならないの」
芳佳「すごぉい! 違う世界だってリーネちゃん!?」ワァ
リーネ「う、うん……」
ペリーヌ「……」
657: 2014/08/25(月) 00:17:23.26 ID:5JEggWka0
サーニャ「どんな所なのかしら……?」
エイラ「えー…、サーニャ信じるのか?」
エーリカ「どう思う、トルゥーデ?」
バルクホルン「……んー…。 ミーナからまさかこんな話を真面目に聞かされるとは…」
ルッキーニ「? ……??」キョロキョロ
シャーリー「あとで説明してやるよ。 お前は喜びそうな話だ」
美緒「参ったな。 皆信じられん気持ちは解るが、これでは一向に本題へ入れん」ムゥ
キトゥン「……なんか、ごめんなさい」
658: 2014/08/25(月) 00:20:11.02 ID:5JEggWka0
ミーナ「…いいわ。 キトゥンさんの素性に関して納得のいかない人は、後で個別に私が話を聞きます」
美緒「うむ、私も受け付けよう。 我々には説明責任があるからな」
ミーナ「だから今はとにかく“そういうこと”として受け入れて、先の話を聞いてくれないかしら?」
バルクホルン「……了解」
エーリカ「オッケー」
エイラ「…まー、ワタシも別に不満がある訳じゃないし」
ミーナ「ありがとう。 それじゃあ改めて、昨日ロマーニャ公國を襲った敵についてだけど――」チラ
美緒「……そうだな、私が説明しよう」
美緒「シャーリーとルッキーニ以外の者は2度目になるが、件のアンノウンはキトゥンの世界の怪異だ」
シャーリー「えぇ!? マジかよっ!」
ルッキーニ「? あたしらのとこにも出たやつ?」
キトゥン(…ルッキーニたちの所にも出たの!?)
659: 2014/08/25(月) 00:43:03.66 ID:5JEggWka0
美緒「そうだ。 お前達の話を聞く限り、ネヴィとみて間違いない」
シャーリー「ネヴィ?」
ミーナ「キトゥンさんの居た世界でそう呼ばれているらしいの。 キトゥンさんは私達と同じように、人々や街を護るためネヴィと戦っていたそうよ?」
シャーリー「……名前もどことなく似てるし、なんだか皮肉だな…」
芳佳「そっか! この前ネウロイが出たとき、キトゥンさんは逆にネウロイのことをネヴィだと思って…!?」
キトゥン「う、うん……そんな感じ」アハハ
美緒「基本的に弱点を討つという撃墜法は変わらないからな。 ネヴィとの空中戦闘の経験もあってあの時は助けになった訳だが――」
美緒「しかし、ネウロイと異なる点もある! ネヴィは個体によってコアを複数持つタイプも存在し、その場合は全てのコアを破壊する意外に倒す方法は無いようだ。 その他胴体部への攻撃は一切通じない」
エイラ「……サーニャのフリーガーハマーくらっても平気だったぞ。 チクショ~」
美緒「…また、体験した通りコア自体もネウロイの物より頑丈だ。 色の異なるコアは耐久性が高く、赤味を帯びてゆく程壊し易いという事だ」
シャーリー「あー…そういうことだったのかアレ」
660: 2014/08/25(月) 00:48:17.34 ID:5JEggWka0
ルッキーニ「オレンジの目がいっぱい付いたあいつ、めんどくさかったね?」
シャーリー「あの巨人か……掴まれた時は流石に氏ぬかと思ったなぁ」アハハ
芳佳「えぇ!? ひ、人型もいるんですか!!」
キトゥン「ああ、あいつか…」
美緒「我々の方では見なかったな」
ミーナ「地上型も出てるって話だから、恐らくそれね。 飛べないタイプだったのよね、シャーリーさん?」
シャーリー「ええ。 パンチしかしてこないんで楽勝かと思ったら、急に腕が伸びてビビりましたよ」
バルクホルン「油断するからそうなる」
シャーリー「ちげぇよ。 他にも沢山いたんだよ、ウニみてぇなやつとか」
ルッキーニ「タコみたいなのとか~~!」
シャーリー「う゛っ! ……それの話はやめてくよ…」オエ
661: 2014/08/25(月) 00:52:21.42 ID:5JEggWka0
リーネ「い、生き物の真似してるのかな…?」
ペリーヌ「どんな格好をしていようと敵は敵っ! 話し合えるような相手ではないことは、確かですわね?」ジト
芳佳「ぅ……そ、そんなぁ」
キトゥン「……とりあえずさシャーリー? 壊したコアは再生とかもしないし、あのネヴィは意外と鈍いから落ち着いて一個ずつ攻撃すればやりやすいよ?」
シャーリー「いや、それ以前にタイマン勝負はしたくないんだけど…」ポリポリ
バルクホルン「――待て! 今、ネヴィは再生しないと言ったな?」
キトゥン「ぇ? は、はい…。 いいましたけど」
美緒「……」
ミーナ「……」
バルクホルン「ミーナ」
ミーナ「ええ、私も確かに見たわ。 あの時……キトゥンさんの言う“重力嵐”が起こってすぐ、ネウロイにとり付いていたネヴィが再生したわね」
662: 2014/08/25(月) 01:01:04.83 ID:5JEggWka0
エーリカ「そもそもアレはネウロイだったのかな? ネヴィ?」
サーニャ「……」
ルッキーニ「あらし!? そっちも出たのー!?」
シャーリー「“おかわり”来たのか、やっぱり。 こっちはあたしとルッキーニが着く前を入れると6回はあってさ、参っちまったよ」
エイラ「アレなんだったんだよー少佐~?」
美緒「わかっている。 落ち着け」ウム
美緒「……あの妙なネウロイだが。 まず私の魔眼で視たところ、本体にネウロイのコアがひとつ。 ネヴィと思しき触手部に怪しい輝きを視はしたが、そこにネウロイのコアは無かった。 間違いない」
ミーナ「つまりあの触手が独立してネウロイである事は無いわ。 可能性があるとすればネウロイの一部…」
美緒「だが目玉を持つ事から、ネヴィと考えるのが妥当だ。 キトゥンも同じ物をかつて見た経験があると言っている」
キトゥン「…はい。 でも再生はしなかったと思います。 9体もいなかったし」
エイラ「スッキリしねーな」
663: 2014/08/25(月) 01:29:54.88 ID:5JEggWka0
ミーナ「……皆、ここでひとつ思い出して欲しいの。 普通と違ったのはネヴィだけだったかしら?」
バルクホルン「…いや違う、ネウロイも明らかに異常だった。 昨日のは新型というのもあるが、その前のX-12型も別種かのように強かった」
バルクホルン「そしてなにより、その2機ともがキトゥンだけを狙っていた」
キトゥン「……」
ダスティ「……」
ミーナ「…キトゥンさんが狙われる理由はまだわからないけど、あの強化ネウロイと触手の再生についての検討はできてるわ」
バルクホルン「本当か!?」
ペリーヌ「……あのネウロイの正体はなんだったんでしょうか?」ゴクリ
美緒「これはキトゥンから聞いた情報を元に、私とミーナで推理した話に過ぎんが――」
美緒「恐らく秘密は“ネウロイ化”と“ネヴィ化”だ」
668: 2014/08/30(土) 01:52:20.27 ID:1YpeP4450
芳佳「えっ…!?」
リーネ「ネウロイ化って……ウォーロック事件の…?」
シャーリー「?? …あたしはそいつ見てないからよく知りませんけど、ネウロイがネウロイ化するんですか?」
エーリカ「というかネヴィ化ってなに?」
ミーナ「…キトゥンさんの話によると、ネヴィの中には人に取り付いてネヴィ化させてしまうものもいるらしいの」
リーネ「ぇぇ……」ゾワゾワ
サーニャ「……」
エーリカ「うわ、なにそれ。 こわっ!」
美緒「私とミーナはそれが起きた例の話を聞いたんだが…。 推察するに、ネヴィ化の過程で対象はネヴィ同等に強化され、自身のコントロールを失ってゆくのだろう」
シャーリー「…乗っ取られるってことですか?」
エーリカ「なんか言ってたね、そういえば」
669: 2014/08/30(土) 01:55:55.91 ID:1YpeP4450
バルクホルン「……という事は、つまり…」
ミーナ「昨日のネウロイは、ネヴィ化が進行していた可能性があるわ」
キトゥン「………ぇ? う、うそっ!?」ガビーン
エイラ「でもさ? ネウロイだったんだろ、少佐?」
美緒「ああ。 例えネヴィ化の影響を受けていたとしても、あれはまだネウロイだった。 それは間違いない」
ミーナ「侵略源はあの触手……つまりアレは、やっぱりネヴィだったと言えるわ」
バルクホルン「しかしネヴィならばどうして再生を――……っ!!」ハッ
美緒「そう、ネウロイ化だ。 ネヴィと同じく、ネウロイも取り付いてきた相手を乗っ取ろうとしたに違いない」
美緒「その結果、互いにネウロイでありネヴィである個体が誕生してしまったのだろう。 ネヴィのコアにネウロイのコアの輝きが宿り、私の魔眼で捉えることができたのは恐らくそういうカラクリだ」
ミーナ「あのネヴィが再生したのも、つまりはそういうことだと思うわ」
670: 2014/08/30(土) 02:00:14.28 ID:1YpeP4450
バルクホルン「くっ…、互いに影響し合い昇華してしまったということか。 厄介な…!」ギリ
ミーナ「これっきりにして欲しいけどね」ハァ
ミーナ「念の為……今後また出現した時の便宜を考えて、同化した個体はとりあえず“ネヴィロイ”と呼ぶ事します!」
美緒「むぅ…、私はやはり“邪気郎”の方がいいと思うのだが」
ペリーヌ「少佐。 大変素晴らしい名前ですけど、敵の呼称ですので…」
美緒「そうか。 ……そうだな」
エイラ(どっちもどっちだぞ?)
キトゥン「…ネヴィロイ(なんか、すごいことになってきちゃった…!)」
671: 2014/08/30(土) 02:02:42.69 ID:1YpeP4450
エーリカ「んー、そのネヴィロイのことはわかったけどさ? 重力嵐……だっけ、途中で出てきた黒い渦はなんだったの?」
ミーナ「……それについては、貴女の妹から説明があるわ」
エーリカ「…へ?」
ミーナ「入って来て頂戴、ウルスラ・ハルトマン中尉!」
…………。
一同「……」
…――スタスタスタ
ウルスラ「こんにちは、皆さん」
エーリカ「ウルスラ?」
ウルスラ「はい。 ご無沙汰してます、姉さま」
676: 2014/08/30(土) 02:25:29.86 ID:1YpeP4450
芳佳「わぁー! ウルスラさんだぁ!」
キトゥン(朝に会ったときは本当にビックリしたけど……やっぱりそっくり!!)
エーリカ「遊びに来たの?」
バルクホルン「そんなわけあるか。 お前じゃないんだぞ?」
ミーナ「ウルスラ中尉には私から少し頼んでいることがあったから、その用事で丁度今朝こっちへ到着したの」
ウルスラ「フリーガーハマーのデータもまたフィードバックしておきたかったので」
672: 2014/08/30(土) 02:08:22.81 ID:1YpeP4450
ウルスラ「…リトヴャク中尉、後で少しお時間をいただけますか?」チラ
サーニャ「……はい」
エイラ「ダメだー!! ……じゃなくってだ。 重力嵐とかいうヤツの説明してくれんだろー?」
ウルスラ「はい。 説明と言うよりは考察ですが、では――」クイ
ウルスラ「…昨日、オラーシャとロマーニャの防衛ラインが“内外”から挟襲を受けたことは皆さんご存知だと思います。 安全圏である筈の内側と、外のライン際にネウロイ及びネヴィが急に現れたそうです」
サーニャ「……」
ルッキーニ「……」
バルクホルン「私達が戦った連中も、ここからかなり近い位置で捕捉されたな。 なぜ接近を許してしまったのか…」ムム
ウルスラ「今朝そちらのキトゥンさんに伺いました話とイェーガー大尉達の報告から考えて、恐らく敵はその重力嵐を使って空間移動をしたのではと思われます」
リーネ「…?」
ペリーヌ「……またややこしい話を…」ガク
673: 2014/08/30(土) 02:11:08.07 ID:1YpeP4450
美緒「どういうことだ中尉?」
ウルスラ「重力嵐という事象はネヴィと同じく、元々キトゥンさんの世界で観測されていたものです。 また、キトゥンさんの存在自体もこちらの世界には――」
エーリカ「待ってウルスラ! …異世界とか信じるの?」
ウルスラ「? はい」
バルクホルン「そ、そうか…」
ウルスラ「……続けます。 それらのものがこちら側に“来た”ということは異空間――…異次元と言ってもいいかもしれませんね、…異次元を渡る術もしくは渡す術が向こうの世界に存在する筈です」
キトゥン「…う~~ん、ごめんね妹さん? でもわたし、どうやってここに来たのか解らないんだよね」
ウルスラ「はい。 しかしお伺いした話によると、キトゥンさんの向こうでの記憶の最後は重力嵐に飲み込まれる所…。 そして急襲があった戦闘域周辺ではそれぞれ重力嵐らしい現象や、不可解な気流が確認されています」
シャーリー「確かに、あたしらの所にもあったよ。 敵を片付けたかと思うとあの渦が出てきて、気付いたらまたネヴィとかいうのが湧いてくるんだ」
ルッキーニ「おかわり多すぎだった~~」ウジュー
674: 2014/08/30(土) 02:14:51.75 ID:1YpeP4450
ウルスラ「これらの事を踏まえると、キトゥンさんもネヴィも重力嵐をゲートにして異空間移動を行ったと考えるのが妥当です」
キトゥン(見てもいないのに、そんなにわかっちゃうんだ…!?)ガビン
美緒「…そうか。 それで昨日もああなったわけか」
エイラ「ナルホドナー」
サーニャ「…エイラ、今の話わかったの?」
エイラ「……ゴメン、あんまり」
芳佳「えーっと…?」チラ
リーネ「キトゥンさんの世界からネヴィがどんどんやってくるってこと……かな?」タブン
675: 2014/08/30(土) 02:17:33.92 ID:1YpeP4450
バルクホルン「――いや、待ってくれ! それではネウロイにまで急接近を許した理由がわからないぞ?」
ミーナ「………そうね?」
ウルスラ「同じ時間、場所、群で現れた訳ですからネウロイもやはり重力嵐を潜ってきた筈です」
バルクホルン「一緒にか!? しかしキトゥンの世界とやらにネウロイは…」
ウルスラ「はい。 ですからネウロイと共に現れたネヴィは向こう側ではなく、こちらの世界のどこかから移動してきたのかもしれません。 もしくは異空間の出口が同じだったのか」
キトゥン(えっ……それってつまり…!?)
ウルスラ「…いづれにしても、重力嵐に吸い込まれた行く先が突然こちらの世界になった事まで考えると――」
ウルスラ「キトゥンさんも、ネヴィやネウロイも“誰かが恣意的に送った”可能性があります」
バルクホルン「なっ…!?」
キトゥン「!!」
677: 2014/08/30(土) 02:29:36.88 ID:1YpeP4450
美緒「……もしそうだとすれば、とんでもない事になったな」
ミーナ「そうね。 私達の戦争に、初めて明確な対立意思がぶつかった事になるわ」
美緒「ましてやそれが人であった場合…」
芳佳「…えっ?」ドキ
バルクホルン「よしてくれ少佐。 ミーナも、あまり憶測で皆の不安を煽るのは得策ではないと思うが?」
ウルスラ「はい、全ては状況からの推察です。 確たる証拠はありません」
ミーナ「……ごめんなさい、少し軽率だったわね」
美緒「しかしこの状況、偶然で起きるなどまず有り得ない。 私は中尉の推理を支持する。 何か思惑によってキトゥンの世界から我々は一連の干渉を受けているのだろう」
芳佳「え……さ、坂本さん? それって誰かが大勢の人を――」
バルクホルン「やめろ宮藤! まだそう決まった訳ではない!」
リーネ「芳佳ちゃん…」
キトゥン「……」
678: 2014/08/30(土) 02:32:47.22 ID:1YpeP4450
エーリカ「…とりあえずさ、休憩しない? これ以上考えたって答えは出ないよ。 ウルスラも疲れたでしょ?」
ウルスラ「姉さま?」
エーリカ「ねー?」
ウルスラ「…………はい、そうですね。 少し」
エーリカ「よーっし、休憩~!」
バルクホルン「こら、勝手になにを言っているお前は!!」
ミーナ「…いえ、ハルトマン中尉の言う通りね。 今日の所はこの辺にしておきましょう。 皆も昨日の疲れがまだ抜けてないと思うから、ゆっくり休んで頂戴」
ミーナ「ウルスラ中尉、一息入れたら私の所で例の件について――」
ウルスラ「はい」
美緒「…その時は私も加わろう」
ミーナ「ええ。 私達はまだ打ち合わせておきたいことがあるから、この後ね。 ……それじゃあミーティングは解散します」
679: 2014/08/31(日) 22:40:40.81 ID:TSq714xT0
基地野外 巨大像の上
――ビュゥウン
キトゥン「…肩、失礼しまーす」シュタ
キトゥン「……ん~高い! 風が気持ちいい」
ダスティ「……」
キトゥン「なに? …わたしは別に馬鹿じゃないからね」ジト
ダスティ「……」
キトゥン「ヘキサヴィルの景色がさ、少し懐かしくなっただけだよ…」
ダスティ「……」
キトゥン「オージンのホットドッグ、結構おいしかったなぁ。 今度ダスティの分も買ってあげるよ」
ダスティ「…ニャア!」
680: 2014/08/31(日) 22:57:51.28 ID:TSq714xT0
キトゥン「…………ねえダスティ? 会議でミーナさん達が言ってたこと、お前はどう思う…? 」
ダスティ「……」
キトゥン「重力嵐に飛び込めば、わたし達帰れちゃうのかな?」
ダスティ「…!」チョイ
ダスティ「~~」グイグイ
キトゥン「……そうだね、危ないよね。 こっち来たとき、わたし氏にかけてたみたいだったし…」
ダスティ「~………」
キトゥン「それに、このままネヴィを放ったらかしじゃ帰れない――」
キトゥン「…お前はどう? やっぱり帰りたい?」
681: 2014/08/31(日) 23:39:25.31 ID:TSq714xT0
ダスティ「……」ピョン
キトゥン「あっ! ちょっと、どこ行くの!? …ダスティ!」
ダスティ「…――」ビュン
キトゥン「……もう! 気分屋なんだから」ムス
『――…その声、まさかキトゥンくんか!?』
キトゥン「! え…?」チラ
???「やっぱりそうだ! まさかまた君に合えるなんて…! ぼ、僕の声が聞こえるか!?」
キトゥン「わっ!! ……えっ!? し、シングラさん!!?」
シングラ「そうだとも! やっぱり君には僕の声が、姿が認識できるんだね!?」
682: 2014/09/01(月) 08:17:37.06 ID:dXSRSjyN0
キトゥン「お、お久しぶりですっ! …でもどうしてこんな所に? だってここは別の世界の筈じゃ…?」
シングラ「それはこちらの台詞でもある。 以前キトゥンくんと会った時、丁度アレが来て僕は別の時空へジャンプした筈だ。 ……もしや君が今いるそこはヘキサヴィル…?」
キトゥン「いえ、ちがいます! えっと…前に異次元空間でも会ったりしましたけど、ここはなんか……けっこう普通っていうか、そのぉ…人がいて! ……あの~~――」アセアセ
シングラ「……落ち着いてくれキトゥンくん!」
――――
――
―
シングラ「なるほど異世界か……どうりで…」
キトゥン「わ、わかるんですか!? シングラさん…!」
シングラ「……君は、世界の柱が1本しか無いと思うかい?」
キトゥン「え…? なんですか急に?」
シングラ「長い間、僕は様々な時空をさまよい続けてわかったんだが――」
シングラ「僕達が世界の柱と呼んでいたものは唯一ではない。 別の柱が存在し、別の世界で暮らす人々がいるんだ!」
キトゥン(……あれ? 前にもこんな話…?)
684: 2014/09/01(月) 20:13:45.66 ID:dXSRSjyN0
シングラ「ここもそんな別の世界のひとつなのかもしれない…。 なんということだ、別の時空を流れるだけの筈の僕が異世界に来てしまうとは!」
キトゥン「…それってなにか違うんですか?」
シングラ「大きく違う。 時空間移動と異世界移動とではそもそも移動の“軸”が全く別なんだ。 どういう訳か、僕もキトゥンくんも同じベクトルで世界軸がズレてしまったようだ」
キトゥン「え? それじゃあシングラさんって今わたしと同じ所にいるんですか! …じゃあ、ある意味これが初対面? は、はじめましてっ!」
シングラ「いや、残念だがそれも少し違う。 今の僕とキトゥンくんは世界間軸上の座標は一致しているが、時空間軸上の座標は相変わらずズレている。 僕にとっては前となんら変わりはない」
キトゥン「そうなんですか…」
シングラ「僕の時空から見たら、やはり君はずっと僕の目の前にいるのだが……君はこの間にもまた別の時間を…?」
キトゥン「あ、それはまだ大丈夫です! わたしもさっきお会いしてから、ずっとお話してますよ?」
シングラ「むむ…そうなのか。 理の違う異世界で偶然また時空の重なりを共有しているから、かなり不安定な状態になっているかと思ったが……逆に安定しているようだ」
キトゥン「はい。 シングラさんがいつも以上にくっきりしてる気がします! …相変わらずとんでもない場所に現れるけど」
685: 2014/09/02(火) 05:15:00.38 ID:oHEIiqXR0
シングラ「…しかしそうか、ううむ……」
キトゥン「?」
シングラ「……キトゥンくん、君、大丈夫だったかい?」
キトゥン「はい? えっと、なにがですか?」
シングラ「僕は事故の影響で多次元の移動に適応する存在になってしまったが、君はそうじゃない。 元の世界軸で会った時も、不安定な時空の歪みで記憶と時間の感覚に影響があったのだから」
シングラ「ましてや今度はその無防備な体で世界軸をズラしてしまったんだ、どんな異常が起きてもおかしくはない」
キトゥン「え? ……別になんともないですけど…」
シングラ「本当かい? 僕の予想では記憶や体質等のフォーマットや改ざんが起こると思ったのだが…」
キトゥン「フォーマット…ですか?」
シングラ「存在世界を変えてしまう弊害とも言えるだろう。 この世界軸以外での経験や記憶が認知できなくなってしまって、真っ白な状態になる可能性があるという事だ」
686: 2014/09/02(火) 05:56:48.81 ID:oHEIiqXR0
キトゥン「……つまり記憶が無くなっちゃうってことですか?」
シングラ「厳密には消えないのだけど、結果は同じになるね。 私と会った事を覚えているという事は、キトゥンくんはフォーマットされていないようだが…」
キトゥン「なんか怖いなぁ――」
。
○
(『…力が使えない!』)
(『全部夢だったんじゃないかなぁ……って』)
(『…………あれ? わた…し……の――』クラァ)
( ――忘れてはなりません―― )
○
。
キトゥン「あっ!! …よく考えたら、わたし、されそうになりました! フォーマット!」ガーン
シングラ「なんだって、“されそうになった”…!?」ギョ
シングラ「……君は本当に不思議だ、いったいどうやって世界の理から逃れたんだい!?」
687: 2014/09/02(火) 06:19:32.84 ID:oHEIiqXR0
キトゥン「えーっと…最初は、こっちで目が覚める前に“忘れないで”って声が聞こえて…」
シングラ「声…?」
キトゥン「はい。 あまりよく覚えてないんですけど、そんな夢を見ていたような気がします」
シングラ「ふむ……」
キトゥン「それとダス――…うちの飼猫を見つけて、思い出したと言いますか……自分の記憶に自信が持てたと言いますか」
シングラ「飼猫か……一緒に世界軸を移動してきたんだね? …なるほど、そうか」
キトゥン「?」
シングラ「…もしかしたら、その猫が君と元の世界とを紐づける役割を果たしたのかもしれない。 とても賢い忠猫だね?」
キトゥン「(ちゅ、忠猫! ダスティが!?)あはは、シングラさんが冗談言うの初めて聞きました!」
シングラ「……一緒にいるうちは、大事にしてやりなさい」
690: 2014/09/02(火) 22:52:31.38 ID:oHEIiqXR0
キトゥン「それにしても全然消えないですね、今回のシングラさん。 …こんなに長くお喋りできたの初めてだと思います」
シングラ「そうかい? 僕からすれば君に会うのはこれでまだ2度目なんだが、だいたいこれぐらい話していたような気がするな」
キトゥン「なら調子良いついでにもう少し聞いちゃいます!」
シングラ「いいとも、人と話しが出来るなんて僕にとっては大歓迎だ」
キトゥン「……あの、なんでこの世界に来ちゃったんでしょうか? わたしだけじゃなくて、シングラさんや他のも来たりしてるみたいですし…(ネヴィとか)」
シングラ「なに、そうなのかい?」
キトゥン「ええっと、はい…。 なんか迷惑かけてるし、なんとかしたいなぁと思ってるんですけど――」
キトゥン「わたしがこっちに来ちゃったのと同じくらいに現れたらしくて、……もしかしたらわたしのせいなのかなとか思ったり…」オズオズ
シングラ「ううむ…確かに、誰かが通った後が道となってしまって次々と流れてしまう可能性は有りそうだ。 ましてや君は元の世界と未だに繋がっているから、君が丁度蛇口のようになっているのかもしれない」
691: 2014/09/02(火) 22:54:44.57 ID:oHEIiqXR0
キトゥン「う……やっぱりわたしのせい…!?」
シングラ「いや、待ちたまえ! 仮にそうだとしても、キトゥンくんが突然異世界へ飛ぶことなど考えにくい」
シングラ「……時空が違うから自身は無いが、多分僕の方が君より先にこの世界軸に来ていると思う」
キトゥン「え…! それってつまり、シングラさんが道を作っちゃったってことですか?」
シングラ「その可能性も充分にある。 しかし僕と君達は別の時空に存在しているし、道があるからといってキトゥンくん達の世界軸が簡単にズレることなどないだろう。 世界の理が不安定に流れる事は絶対に無いからね」
キトゥン(……それじゃあ、エーリカの妹さんが言ったとおり、本当に誰かに飛ばされてきちゃったってこと!?)
シングラ「それに僕が今更世界軸上を移動したのもよくわからない。 事故のせいで別時空へと弾き飛ばされてしまった身だが、今まで世界軸の座標がずれる事などなかった」
692: 2014/09/02(火) 22:59:55.23 ID:oHEIiqXR0
キトゥン「…………結局、どういうことなんでしょうか?(質問ばかりでごめんなさい)」
シングラ「……僕が思うに、この世界にも僕と同じ事をしてしまった者がいたんじゃないかな?」
キトゥン「シングラさんと同じ…!? 重力エネルギーの実験で空間がどうとかってことですか!?」
シングラ「そこまで同じではないだろうが、……つまりは何某かの原因で不用意に次元の端を歪めてしまったということさ」
キトゥン「それって事故……なんですか?」
シングラ「さあね、これは僕の想像だよ。 だが万が一に、次元を歪めて僕の漂う時空やキトゥンくんの元の世界へ穴を通してしまった人がいるなら……恐らくそれは事故か、失敗によるものだろう」
キトゥン「ど、どうしてですか?」
シングラ「もしコントロール出来ているのなら、少なくともこんな事態にはなっていないからさ」
シングラ「…当事者は多分無事ではない。 別の世界か時空か他の何処かへ弾かれたか、少なくとも君が今いる次元座標には存在しないだろう」
693: 2014/09/02(火) 23:06:21.36 ID:oHEIiqXR0
キトゥン「……その人、なにをしようとしたんだろう…?」
シングラ「…きっと僕と同じく、災厄から世界を救うためだったのかもしれないね。 僕はそう信じたい」
シングラ「異世界にも同じ志を持つ者がいてくれるなら、少しは慰めにもなる。 ……たとえ過ちすら似ようとも」
キトゥン「シングラさん…」
シングラ「………妻も、この世界 に来て しまっ…のだろ …か」ボソ
キトゥン「…! (そうだナラさん!!)」
シングラ「僕 のせ…で 彼 女は…… …も…何 度後 悔 し…… と か … 」ユラ…
キトゥン「(まずい! また消えかかってる!)シングラさんっ、違うんです! ナラさんはシングラさんの事が――」
シングラ「… 」フッ
キトゥン「――消えちゃった! …今度はナラさんのこと、伝えそびれちゃったよ」ガク
キトゥン「……でも、この世界にもシングラさんみたいな人がいるかもしれないんだ…?(話が難しかったけど、そういうことだよね?)」
キトゥン(もしその人に会えたら、帰り方も、ネヴィの追い出し方もわかるのかな?)
695: 2014/09/05(金) 21:00:06.30 ID:8iLvKt6n0
執務室
美緒「……」
。
○
(『くそっ、何故だ…! 力が入らない』)
○
。
美緒「……(私はもう、飛べなくなってしまうのか…?)」
『…坂本少佐? ……ねぇちょっと――』
美緒「っ…(こんな中途半端な所で終わってしまうのか…!)」
ミーナ「――美緒! 聞いてるの!?」
美緒「ん!? ……あ、ああ。 すまない」
ミーナ「…大丈夫? 少し休む? 貴女、ネヴィロイに独りで対峙したそうじゃない」
696: 2014/09/05(金) 21:04:04.81 ID:8iLvKt6n0
美緒「……あんな横着しなければ、私が討てた。 余計なリスクは負わずに済んだ筈だ」
ミーナ「いいじゃない。 全員無事で帰って来られたんだから」
美緒「…そうだが……っ」
ミーナ「それより美緒、再生したネヴィロイと敵の増援に特攻したのはどういうつもり? あんな無謀な真似、貴女らしくないわ」
美緒「………無謀、か」フッ
ミーナ「美緒、貴女……」
美緒「……」
コンコンッ
ミーナ「!」
『ミーナ中佐、ウルスラ・ハルトマンです』
ミーナ「あら、早いわね? ……どうぞ、入って!」
697: 2014/09/05(金) 21:06:47.21 ID:8iLvKt6n0
ガチャ
ウルスラ「失礼します」パタン
ミーナ「もう少しゆっくりしてからでも良かったのよ?」
ウルスラ「お取り込み中でしたか?」
ミーナ「い、いいえ! 別に大丈夫よ」
美緒「……」
ミーナ「じゃあ早速、この前連絡した件だけど…」
ウルスラ「はい。 まず重力を操る固有魔法に関してですが……これはキトゥンさんが異世界人であり、異文明の超能力ということなので、割愛してよろしいですか?」
ミーナ「ええ。 一応、また今度時間がある時にでも聞かせてもらえるかしら?」
ウルスラ「……結局前例は見つからなかったというだけの話ですが、わかりました」
ウルスラ「それからユニット構成に使われる異空間について頂いていたご質問ですが、やはり私ひとりの手には余る問題でした」
ミーナ「そう。 ごめんなさい、無理を言ってしまって」
698: 2014/09/05(金) 21:12:19.67 ID:8iLvKt6n0
ウルスラ「ただ、私見で言わせて頂きますと、宮藤理論における異空間を通じて…俗に言う異世界との通信がとれるかは非常に難しいと思います」
美緒「……そんな事を考えていたのか?」チラ
ミーナ「可能性のひとつとしてよ。 本当に別の世界と繋がりを持つなら、その辺が怪しいと思っただけ」
ウルスラ「可能性の有無を述べる以前の問題ですが、私の知る限りでは異世界通信の技術が起きた話などは聞いた事がありません」
美緒「…やはり“むこう”の仕業か? そうなると我々ではどうしようもなくなるが」
ミーナ「……これに関してはもう少し情報が必要かしらね? こんな事にでもならなければ、ガリアでの情報収集に期待したかったけど…」
美緒「なんだそれは? 派兵でもする予定だったのか?」
ミーナ「一昨日に宮藤さん達がガリア被災地の支援に行きたいって嘆願してきたから、即事的に監督者を付ける条件で宮藤さんとキトゥンさんの派遣を許可したのよ」
美緒「ミーナが行くつもりだったのか?」
ミーナ「まさか。 …あのふたりだし、よっぽどそうしたかったけど私が席を立つのも難しいから、本当は貴女に引率してもらうつもりだったわ」
699: 2014/09/05(金) 21:14:56.42 ID:8iLvKt6n0
美緒「私が?」
ミーナ「宮藤さんをコントロールするなら美緒かシャーリーさんが適任だけど、キトゥンさんの謎に関する情報収集も狙っていたから美緒しかいないと考えていたのよ。 その矢先に警報が鳴ったの」
美緒「…そうか。 よしわかった、いつ出ればいい?」
ミーナ「え? ……ちょ、ちょっと待って! なにを言っているの?」
美緒「いや、だから私が宮藤とキトゥンを引率すると――」
ミーナ「こんな状況じゃ外出どころじゃないわ、わかるでしょ? 仮に行くとしても、キトゥンさんの秘密を明かしたんだからシャーリーさんやバルクホルン大尉でも…!」
美緒「しかし、あいつらもキトゥンの素性に100パーセント納得できてはいまい。 細かい話も聞いている私が行くべきだ」
ミーナ「……でも貴女、身体は大丈夫なの…?」
美緒「っ! …………ああ」
ミーナ「強がらないで。 今はいつどこにネウロイやネヴィが現れるかわからない状況なのよ? 出先でまたネヴィロイに襲われでもしたら危ないわ」
美緒「……」
ミーナ「……」
700: 2014/09/05(金) 21:20:39.90 ID:8iLvKt6n0
ウルスラ「…お取込み中恐縮ですが、よろしいですか?」ズイ
美緒「!」
ミーナ「あっ、あら…! ごめんなさいウルスラさん、なにかしら?」アセアセ
美緒「……中尉、今聞いた話は忘れてくれ」
ウルスラ「いいえ、そうはいきません。 私がお持ちしたものが、坂本少佐のお役に立つかもしれませんから」
美緒「なに?」
ミーナ「…どういうことかしら?」
ウルスラ「先日ミーナ中佐から送っていただきましたプレシャスジェムという鉱石ですが。 調べた結果、中佐のおっしゃる通り、特殊なエネルギーの結晶体でした」
ウルスラ「キトゥンさんの世界でどういった方法のエネルギー抽出を行っているのかは解りませんが、魔法力と大気中のエーテルとの反応時にエネルギーが放出されるのは確認できました」
ミーナ「魔法力に反応している訳じゃなくて、魔法発光現象に反応していたのね!」
701: 2014/09/05(金) 21:22:37.68 ID:8iLvKt6n0
ウルスラ「更にこの結晶から発生するエネルギーもエーテルに対して、少し弱いですが魔法力と同じ反応をするようです」ゴソゴソ
ウルスラ「…これを利用して少々面白いものを試作してみたので、本日はそのご紹介も兼ねてお持ちしました」スッ
美緒「……これは…?」
ウルスラ「魔動機運転補助装置です」
ミーナ「運転補助装置…?」
ウルスラ「運転補助と銘打ちましたが、つまりは補助バッテリーです。 航空ウィッチにおいて、魔動機で増幅された魔法力の使用率はユニットないし魔導エンジンの稼働が殆どを占めます」
ウルスラ「なので飛行機構の要である魔法呪符の構築と維持をこの装置で行うことにより、使用者の魔法力残量に大幅な余裕を生み出すことが可能となります」
美緒「……つまり、戦闘に使える魔法力が増えるということか?」
ウルスラ「はい。 他にも航空時間の延長や緊急離脱用の補助ストックとして温存するなど、幾つか効果は期待できます」
ウルスラ「本来はジェットストライカーの高燃費解消課題の為の案を用いたのですが、この結晶はこれ以外に手に入らないでしょうし、そもそも押収した私物だと言うので持て余していました」
702: 2014/09/05(金) 21:30:49.37 ID:8iLvKt6n0
ウルスラ「私からはここまでで、一度そちらにお返しいたします。 結晶は簡単に取り外せるので扱いについてはお任せしますが、不要であれば装置部は返却ください」
美緒「う、うむ……」ジー
ミーナ「美緒、貴女まさかそれを使う気じゃ…?」
美緒「……いずれにしても、これはキトゥンの物だ。 だがこれがあれば万一の備えとして、ガリアへ出ても平気なのではないか?」
ミーナ「そ、そんなことっ!」
ウルスラ「試作装置なので、もしユニットに装着されたい場合は私におっしゃってください。 それから減衰した魔法力の補助にはなるかと思いますが、シールドが出せることはありませんので」
美緒「……」
704: 2014/09/08(月) 19:00:39.52 ID:2EJcqCyM0
ミーティングルーム
ペリーヌ「……」カチャ
ペリーヌ「……」
ペリーヌ「はぁ…」カタン
キトゥン「――あ、見つけた」
ペリーヌ「…!」
キトゥン「ペリーヌさん」スタスタ
ペリーヌ「……ごきげんよう、キトゥンさん」
705: 2014/09/08(月) 19:02:19.52 ID:2EJcqCyM0
キトゥン「…お茶ですか?」
ペリーヌ「ええ」
キトゥン「……座ってもいいですか?」
ペリーヌ「……」
キトゥン「……」
ペリーヌ「…お好きにどうぞ」
キトゥン「し、しつれいします…」トスン
ペリーヌ「……」カチャ
キトゥン「…」
706: 2014/09/08(月) 19:06:24.60 ID:2EJcqCyM0
ペリーヌ「……」
キトゥン「……」
ペリーヌ「…なにか用があるのではなくて?」
キトゥン「ぅ……」
ペリーヌ「言い辛いことなんてありませんわ、言ってしまいなさいな」カタン
キトゥン「……ペリーヌさん、その…騙してごめんなさい」
ペリーヌ「それを、わたくしにだけ謝りに来たのかしら?」
キトゥン「…それと、ガリアの重力嵐のことも――」
ペリーヌ「……」
キトゥン「わたしのせいで…」
ペリーヌ「よしなさい」
キトゥン「ぇ…?」
707: 2014/09/08(月) 19:45:13.49 ID:2EJcqCyM0
ペリーヌ「そっちは謝る必要なんてないのではなくて? 別に貴女が犯してしまったことでもないのだから」
キトゥン「…ペリーヌさん」
ペリーヌ「別に素性を偽っていたことだって、事情があったのですから。 ……ご機嫌取りなんかで謝るのは失礼ですわ」
キトゥン「(うっ…、やっぱり怒ってる)……ごめんなさい」
ペリーヌ「……」
キトゥン「……」
――スタスタ
美緒「む、キトゥン! こんな所にいたか」
キトゥン「!」
ペリーヌ「少佐…!」
708: 2014/09/08(月) 19:51:29.75 ID:2EJcqCyM0
美緒「……なんだ、どうしたふたりとも? なにかあったか?」
ペリーヌ「い、いえ。 別に……お茶をしていただけですわ」カチャ
美緒「そうか。 …それでだな、キトゥン?」
キトゥン「あ、はい」
美緒「明日、私とお前と宮藤の3人でガリアへ行く事になった」
キトゥン「え! 明日ですか!?」
ペリーヌ「……」
キトゥン「…というか、行っていい状況なんですか?」
美緒「お前がこちらの世界に降り立った地だ、やはり何か手がかりがあると思う。 今の状況にネヴィが関わっている以上、必要な情報収集活動だ」
キトゥン「は、はあ…」
美緒「明日の午前には発つから、そのつもりでいろ。 いいな?」
キトゥン「…わかりました」
709: 2014/09/08(月) 19:55:57.17 ID:2EJcqCyM0
美緒「うむ。 では私は宮藤にも伝達しなくてはならんのでな、失礼する」クル
美緒「……それからペリーヌ」
ペリーヌ「?」
美緒「キトゥンに悪気はない。 出来る事ならば許してやってくれ」ヒソ
ペリーヌ「ご、誤解ですわ少佐…」コホン
美緒「…そうか」スタスタ
ペリーヌ「……」チラ
キトゥン「…ッ」ビク
ペリーヌ「………せ、せっかくですから…貴女の分も淹れて差し上げますわ。 よろしければ飲んでいきなさいな」カタ
キトゥン「…! うん、ありがとうペリーヌさん!」
710: 2014/09/09(火) 21:12:08.08 ID:nOqnWAuT0
宿舎 廊下
キトゥン「不安だったけど、ペリーヌさんと話が出来てよかった…」スタスタ
『キトゥンさーん、ちょっと待って頂戴』
キトゥン「? ミーナさん」
――ツカツカツカ
ミーナ「…ごめんなさいね? 呼び止めちゃって」
キトゥン「いえ、部屋に戻ろうとしてただけですから」
ミーナ「ガリアへ行くこと、美緒から聞いたかしら?」
キトゥン「あ、はい」
ミーナ「私はあまり賛成できないのだけど、あの人が…」ハァ
キトゥン「…なんとなくわかります(美緒さんのことだし)」
711: 2014/09/09(火) 21:13:54.84 ID:nOqnWAuT0
ミーナ「……美緒のこと、頼んでいいかしら?」
キトゥン「はい。 そんなに自信ないですけど、やってみます」
ミーナ「ありがとう、お願いね。 ……それから現地でのことなんだけど、貴女の世界の――」
『オーイ!! キトゥーン!』
キトゥン「!」
バタバタバタ
ミーナ「…エイラさん、サーニャさん。 廊下を走らないで頂戴」
エイラ「うぇっ! 中佐…!」
サーニャ「……すみません」
キトゥン「どうしたの、ふたりとも?」
エイラ「おいキトゥン、少佐から聞いたぞ! 明日ガリアに行くんだろ!?」
キトゥン「え? うん、そうだけど…」
712: 2014/09/09(火) 21:15:16.49 ID:nOqnWAuT0
エイラ「ホラ! やっぱり行っちまうんだ!」
キトゥン「…行っちゃうっていうか、別に戻って来るけど」
ミーナ「なにを慌てているの、貴女達?」
サーニャ「実は、エイラの占いで…」
エイラ「キトゥンが消えるって出たんだよ!」
キトゥン「………プフッ! エイラ、わたしが占い断ったからって」クスクス
エイラ「ホントなんだよぉ!」ムー
キトゥン「も~、わかったわかった! いいよ、今から部屋行くから占ってよ」
エイラ「ち、違うんだって~っ!」
ミーナ「……でもこう言ったらアレだけど、エイラさんの占いでしょう?」
サーニャ「はい。 …そうなんですけど、エイラの占いって悪いことだけは当たりますから」
エイラ「サーニャ!?」ガーン
713: 2014/09/09(火) 21:18:14.73 ID:nOqnWAuT0
サーニャ「キトゥンさん…」
キトゥン「サーニャまで、どうしたの?」
サーニャ「せっかくお友達になれたのに…」
キトゥン「大丈夫だよ。 別に芳佳の手伝いして帰ってくるだけなんだから」
サーニャ「……」ウルッ
キトゥン「えっ!? …ちょっとサーニャ!?」
ミーナ「あらあら…」
サーニャ「ごめ…なさぃ………寂しく…て……っ」グシグシ
エイラ「サーニャを泣かすなー!!」
キトゥン「わたしじゃないっ、わたしじゃないよ!?」アワアワ
ミーナ「……結局なんなの、貴女達」
714: 2014/09/09(火) 21:28:12.54 ID:nOqnWAuT0
――――
――
―
キトゥン「あー、ビックリしたなぁ。 サーニャったら急に涙ぐんじゃうんだもん」スタスタ
キトゥン(サーニャに泣かれちゃうと、なんかものすごい罪悪感だよ…)
『いたいたー! キトゥーン!!』
『おーい!』
キトゥン「……今度は誰?」クル
バタバタバタ
ルッキーニ「にゃっ!」バフッ
キトゥン「わっ!? …ルッキーニ!」
シャーリー「あたしと、リーネもいるよ」
715: 2014/09/09(火) 21:30:17.50 ID:nOqnWAuT0
リーネ「キトゥンさん…」
キトゥン「どうしたの? リーネまで不安そうな顔して」
ルッキーニ「キトゥン行かないで~!」ギュー
キトゥン「えっ!? ちょっと、それって…」
シャーリー「さっきエイラに聞いてさ、キトゥンがどっか行っちまうって」
キトゥン「やっぱりー!!」ガーン
リーネ「あの、元の世界に帰っちゃうんですか…?」
ルッキーニ「や~~だ~~!」
キトゥン「ま、待って待って! わたしはそんなこと一言もいってないってば!?」
シャーリー「え? そうなのか?」
716: 2014/09/09(火) 21:32:31.85 ID:nOqnWAuT0
ルッキーニ「やたー! キトゥンはあたしの~♪」スリスリ
リーネ「でもエイラさんが…」
キトゥン「リーネ落ち着いて、エイラの占いだよ? エイラが勝手に言い出しただけで、芳佳とガリアに行ってくるだけだから」
リーネ「あ、…この前の?」
キトゥン「そうそう」
シャーリー「……なーんだよ、エイラの占いか」ガク
ルッキーニ「じゃ当たんないね~?」グリグリ
キトゥン「る、ルッキーニ…ちょっとだけくすぐったいよ//」
ルッキーニ「大きくな~れ~、大きくな~れ~♪」モミモミ
キトゥン「ちょ…!!?」ビク
717: 2014/09/09(火) 21:39:25.79 ID:nOqnWAuT0
シャーリー「…つうか、なんでまたガリアに行くんだ? 帰るためじゃないのか?」
キトゥン「えっ? えーっと、それは……」
リーネ「元々は私と芳佳ちゃんが言い出したことなんです。 被災地の人達の容体が心配で…」
シャーリー「そっか…。 で、キトゥンが手伝いに?」
キトゥン「う、うん。 最終的にはわたしも元の場所へ帰るつもりだけど、明日はそのための手掛かりとか探す感じかな」
ルッキーニ「えー!? 結局帰っちゃうの!?」
キトゥン「……うん、流石にね。 ごめんね、ルッキーニ?」
ルッキーニ「や~! まだおっきくなってないのにーーっ!!」
キトゥン「なにそれっ!?」
718: 2014/09/09(火) 21:43:53.53 ID:nOqnWAuT0
シャーリー「胸が大きいキトゥンに抱きついてみたいんだってさ? 気に入られてんだよ」
キトゥン「いや、そんなこと言われても……(意味がよくわかんないよ)」
ルッキーニ「キトゥンはいい感じだから~、あとはココだけなんだよね~」モミモミ
キトゥン「や、やめて//」グイ
リーネ「あはは…」
シャーリー「…ま! 胸が大きくなるまでってのは難しいだろうけど、もう暫くはここにいるってことだよな?」
キトゥン「……んー、そうだね?」
シャーリー「あたしもさ、もうちょっとキトゥンとお喋りしたかったからさ~。 異世界の話も聞きたいし」
ルッキーニ「あっ、あたしもー!」ピョンピョン
キトゥン「…シャーリー、信じるんだ?」
シャーリー「いや、そりゃイキナリは無理だけどさ? そっちの方が楽しそうじゃん!」
719: 2014/09/09(火) 21:49:50.57 ID:nOqnWAuT0
キトゥン「う、うーん…。 わたしは当事者だからよくわかんないけど、案外そんなものなのかな?」
ルッキーニ「ねぇねぇ、あたしも異世界行けるかなー?」
シャーリー「ん? ……ムリダナー」バッテン
ルッキーニ「なにそれ~? エイラじゃーん!」
シャーリー「あははは!」
ルッキーニ「うじゅじゅ~~!」
キャイキャイ
キトゥン「ホント……賑やかなふたりだよね」
リーネ「ふふ、そうですね?」ニコ
キトゥン「リーネ? わたし、リーネの分も頑張ってくるからね」
リーネ「…うん、ありがとうキトゥンさん。 ペリーヌさんと美味しいスコーンを焼いて待ってますから」
725: 2014/09/14(日) 13:30:01.04 ID:yBB3EQ8p0
翌朝
美緒「忘れ物は無いな、ふたりとも? 問題なければ輸送機に乗り込め」
芳佳「はい!」ステテ
キトゥン(…うぅ、午前っていうか早朝じゃん。 なんでこんな時間に…)ボケー
ダスティ「zz…」
美緒「どうしたキトゥン。 舟を漕ぎたければお前だけ海路にするか?」
キトゥン「す、すみませぇん……」トボトボ
ダスティ「……zz」
キトゥン「…人の腕の中で熟睡しちゃってさ、猫はいいよね」
美緒「急げ」
キトゥン「は、はーい! 今いきますっ」スタタ
???『…』ユラ
キトゥン「――ん?」ピタ
726: 2014/09/14(日) 13:32:44.36 ID:yBB3EQ8p0
キトゥン「…今見えた人影って」クル
???『……』
キトゥン(この間宿舎で見たノゾキ…!?)
美緒「何をしている? 早く乗れ」
キトゥン「美緒さん! あ、あれっ…!!」ビシ
美緒「…どうした?」チラ
……
美緒「あそこがどうかしたのか?」
キトゥン「……あれ? またいない…」
美緒「しっかりしろ、キトゥン」ヤレヤレ
キトゥン「み、美緒さん! さっきまでそこに男の人が――」
美緒「こんな時間に見送りに来る奴などいない。 あの辺はさっきから誰もいなかった」
キトゥン「うそっ、そんなこと…!」
美緒「……寝ぼけるのも大概にしろ。 行くぞ?」グイ
キトゥン「あぅ!? ちょ、まってくださ――」ヨロ
727: 2014/09/16(火) 21:36:48.27 ID:0izvH3Sx0
数時間後
ガリア共和國
美緒「2名は医療テントの設置、1名は供給資材の準備だ。 日帰りのためあまり時間も無い、迅速に動け!」
モブ兵達「「了解であります!!」」ビシ
美緒「土方、この辺一帯のボランティアや民間救助を指揮している者に連絡を取れ」
土方「了解しました、…ガリアの復興軍部には?」
美緒「そっちはいい。 ミーナが話を付けている筈だ」
美緒「私もキトゥンと直ぐに復興作業に入るから、供給支援等の段取りはお前に任せる。 終わり次第こちらの支援に戻れ」
土方「はっ! 了解しました」
美緒「うむ。 頼んだぞ」
キトゥン「……ここがパリ…? ずいぶん荒れちゃってるね…」キョロキョロ
美緒「元々ネウロイに破壊されていたという面もあったが、先日の嵐でそこら中の大きな瓦礫が舞ってしまったのだろう。 ひどい有様だ…」
芳佳「…そんな、前来たときからほとんど変わってない…!」
728: 2014/09/16(火) 21:46:01.83 ID:0izvH3Sx0
美緒「圧倒的に人手不足の様だな。 特定のウィッチの力でも借りない限り、そう数日で変わるものでもない」
芳佳「どうしてみんな助けないんですか!?」
キトゥン「芳佳…」
美緒「お前と想いを同じくする者は多い。 だがペリーヌがここに来れなかった様に、そこには必ずしがらみも有る」
芳佳「……でも、それじゃ…」
美緒「だから我々が来たのだろう? なあキトゥン!」
キトゥン「え? あ、はい! うんうん、そうだよ芳佳?」
美緒「お前達がミーナに直談判したそうだな、流石だ! お前達のその行動力と意志力が、いつか導となる日が来るぞ?」ワッハッハ
キトゥン「……ミーナさんも苦労してるんだなぁ(ていうか、わたしも入れられてるし)」
美緒「何がだ?」
キトゥン「…なんでもないです」アハハ
芳佳「……」
『なあ、お姉ちゃん』
729: 2014/09/16(火) 21:53:12.12 ID:0izvH3Sx0
芳佳「ぇ…?」チラ
キトゥン「?」
美緒「む、子供か」
少年「……お姉ちゃん達、軍人…?」ジロ
芳佳「ぁ、うん。 そうだよ?」
キトゥン(わたしは違う)
少年「…やっぱり」ギリ
芳佳「?」
少年「…………なにしに来たんだよ」
芳佳「ぇ…?」
730: 2014/09/16(火) 21:58:52.65 ID:0izvH3Sx0
少年「………父さんがネウロイに殺されて……母さんも妹もこの前の嵐でいなくなっちまって――」
少年「今更なにしに来たんだよ!!」
芳佳「……!!」ビクッ
キトゥン「!」
美緒「……」
少年「っ…、なんでさっさとネウロイ倒さないんだよ!! なんで誰も母さん達を助けてくれないんだよ!!!」グスッ
美緒「……」
芳佳「……ご、ごめん。 …ごめんね……私…」
少年「今更救急箱なんか持ってなにしに来たんだよ!! 父さん達を返せよ! 氏んだ人はどうでもいいのかよ!!!」
芳佳「ッッ」ドキ
キトゥン(~~!!)ムカ
キトゥン「ちょっと君さ、いくら子供だからってそんな言い方はないよっ!?」ズイ
美緒「…よせキトゥン」
731: 2014/09/16(火) 22:03:39.71 ID:0izvH3Sx0
少年「……うるさい、俺の気持ちなんか…わかるもんか」
キトゥン「男の子が拗ねて女の子に八つ当たりなんてサイテーだよ!? そもそも芳佳にあんなこと言うのも筋違いっていうか――」
美緒「待て」
キトゥン「…君が今傷つけたこのお姉さん達が、ガリアからネウロイを追い出してくれたんだよ!!」プンプン
美緒「もういい、キトゥン!」
キトゥン「よくないです!! 確かに可哀想ですけど、あそこまで言われて――」
芳佳「……」
少年「~~っ………だったら…さっさと追い出せよっ!!!」ダッ
芳佳「ぁ…!」
キトゥン「――こら!! 逃げるな!」タッ
美緒「追うな!」グイ
732: 2014/09/16(火) 22:05:37.59 ID:0izvH3Sx0
キトゥン「いたっ!? ……美緒さんはなんとも思わないんですか!」
美緒「…………」
キトゥン「~~!」ムスー
美緒「……」
キトゥン「…? ……ぁ…あれ、美緒さん…?(もしかして怒らせちゃった!?)」
美緒「…宮藤、大丈夫か?」チラ
芳佳「……は、…はぃ…」
美緒「辛いだろうが、これも避けられない一面だぞ。 お前が……私達が目指す道にはな」
芳佳「……はぃ…」
美緒「今お前に出来ること、それを見失うなよ?」
芳佳「……」
美緒「私とキトゥンは少し離れる。 何かあれば連絡しろ」
芳佳「はい…」
733: 2014/09/16(火) 22:11:13.45 ID:0izvH3Sx0
美緒「……お前達、宮藤軍曹を頼むぞ? それの設置が終わったら器具の搬入を急げ」クイ
モブ兵「りょ、了解であります!」
キトゥン「あのー…?」オズオズ
美緒「…キトゥン、ついて来い」スタスタ
キトゥン「え? あぁ……はい!」
――――
――
―
美緒「……ふむ、この辺りはまだ手付かずだな」
キトゥン(さっきの話はどうなったんだろ……蒸し返したらマズイかな…?)スタスタ
美緒「キトゥン」
キトゥン「あっ、はい! なんですか?」ドキィ
美緒「お前の能力を借りて瓦礫を片づける。 この辺りはウィッチの私でも苦戦するサイズの物ばかりで、撤去が進んでいない」
キトゥン「わ、わかりました…(とりあえず手伝い頑張ろう)」
美緒「先に日が暮れても困るが、だからと言ってあまり一度に運び過ぎるなよ? まず、お前は上にある巨大な瓦礫からひとつかふたつずつ持っていけ」
キトゥン「…5個ぐらい持てちゃいますけど?」
美緒「あまり大雑把な扱いはよせ。 これは唯の瓦礫撤去作業ではない」
キトゥン「え…?」
美緒「……すぐにわかる」
734: 2014/09/21(日) 09:47:01.74 ID:sV0d+/cg0
――――
――
―
キトゥン「それ」フッ
ゴゴン…
キトゥン(……う~ん、これってただ瓦礫の山をあっちからこっちに移してるだけなんじゃないかな?)
キトゥン「……」シュダ
ビュゥゥン
スタッ
キトゥン「ここの山はあとこれを入れて3つくらいか」
キトゥン「…よっ――」ブワァン
キトゥン「ッ!!?(えっ!?)」ビクッ
735: 2014/09/21(日) 09:53:58.19 ID:sV0d+/cg0
キトゥン「……ぁ……ぅ…こ、これって!?」
ダスティ「…」トテトテ
キトゥン「!? だ、ダスティ! 触っちゃだめっ!!」
ダスティ「……」
キトゥン「………み、美緒さーーんっ!!!」
――タッタッタッ
美緒「どうしたキトゥン!?」ザッ
キトゥン「…あ、あぁ……あれ…!」
美緒「…! …………出たか」
キトゥン「で、出たかって…!?」ガーン
美緒「……」スッ
美緒「土方、応答しろ。 こちら坂本だ」
土方『はい、いかがされましたか?』ガザザ
736: 2014/09/21(日) 10:00:24.16 ID:sV0d+/cg0
美緒「輸送機を下ろした西の教会跡付近の瓦礫の中から、遺体を発見した。 損傷は中程度だが、なんとか身元はわかるかもしれん……現場指揮者に伝えて対応の要請を頼む」
土方『了解しました。 ご遺体はその方のみですか?』
美緒「いや、残念ながらまだ出るかもしれんと伝えてくれ」
土方『……了解しました』
キトゥン「……っ…」ドキドキ
美緒「…あまりこういう経験はないか? 目を背けたくなるのは私も常だが」
キトゥン「……ヘキサヴィルでわたしが目を覚ました時は、大きな被害は起きた後で…――うっ…!?」オエッ
美緒「とりあえず瓦礫を下ろせ。 ……ほら、水だ」
キトゥン「す……すみません…」フッ
ズズン…
キトゥン「……グジュグジュ……ぺっ! …はぁ~…」ガク
美緒「…先程の子供も――」
キトゥン(…!)
美緒「こんな光景を見たに違いない。 異臭が漂いこの何倍も凄惨な中で、家族を無くしたんだ」
キトゥン「……」
737: 2014/09/21(日) 10:05:33.18 ID:sV0d+/cg0
美緒「…儘ならない話だ。 正しい事をしたとしても、そこで得る全てが賞賛とは限らん」
キトゥン(確かに。 …わたしも誤解とか、街の人に文句言われたりすること多かった気がする)
美緒「何のために戦おうともこれは避けられない、仕方の無い事――」
美緒「…とはいえ、我々も人間だ。 お前の憤りは十分に解る、それもまた大切な事だと私は思う」
キトゥン「…………」
美緒「納得いかないか。 だが当の宮藤はお前の心配と全く別の事を気にしているぞ?」
キトゥン「ぇ…別?」
美緒「多分あいつは自分が傷ついた云々以上に、あの少年の無念に気を落としている」
美緒「……もし省みているとすれば、恐らくそれは救えなかった自分に対してだろうな」
キトゥン「い、いやいや! 確かに気の毒ですし、心は痛むというか…アレですけど。 ……それは芳佳のせいじゃないですって! 全く関係ないですよ!?」
美緒「だが宮藤芳佳とはそういうやつなんだ。 …あいつはそもそも戦争が嫌いでな、他を傷つけるのも他に傷つかれるのも好まん」
738: 2014/09/21(日) 10:12:53.26 ID:sV0d+/cg0
キトゥン「……それって、戦争で自分のお父さんに氏なれちゃったからですか?」
美緒「む、詳しいな。 …どこで聞いた?」
キトゥン「あ、ごめんなさいっ! えっと前に芳佳が話の流れでポロッと口にして…」
美緒「………確かに宮藤博士の失踪が与えた影響も大きいだろうな。 しかしあいつは憎しみでは戦わん」
キトゥン「…ネウロイを許すってことですか?」
美緒「それは有り得ん。 だが互に戦い、排除するという解決法に独り疑問を投じた事もあった」
キトゥン「でもそれって、なんか…」
美緒「勿論、話にもならんさ。 ネウロイは敵だ、奴等が人類を侵すならば倒す! …この惨状が答えだ」
キトゥン「……」
『フフフ……一方的な正義だな。 実にわかりやすい』
美緒「っ!? 誰だ!?」バッ
キトゥン「なっ、アイツ……!?」
???「屍の前で正義を語るとは素晴らしいが、うちのお姫様の情操教育上よくないのでその辺で止めてもらいたい」
739: 2014/09/24(水) 19:14:49.67 ID:eX/m/4vp0
美緒(こいつ、こんな足場で気配も無くいつの間に…!?)
キトゥン「だ、誰があんたのお姫様よっ…エイリアス!」
美緒「知り合いか?」
キトゥン「頭おかしくて迷惑な泥棒です! 言っておきますけどわたしあいつ大キライですから!!」
美緒「なるほど、“むこう”の者か」
エイリアス「フフフ…玄関が開けっぱなしだったのでね、お邪魔させて頂きました次第」
美緒「……真面目に話さんタイプか、やれやれ」
キトゥン「相手にしない方がいいですよ、美緒さん」
エイリアス「フフフ、ならば代わりの相手を用意しよう」パチン
ゴゴォォオォオオ
美緒「!!」
キトゥン「重力嵐!? …こいつっ!!」
740: 2014/09/24(水) 19:19:25.46 ID:eX/m/4vp0
ダスティ「ニャア!」ピョン
キトゥン「(このパターンだと多分出てくる)ダスティ、気をつけて!」
ダスティ「…!」ダッ
キトゥン「ちょっと!! どこ行くの!? …ダスティ!」
美緒「キトゥン、物陰に隠れろ!! 瓦礫が飛んで来るぞ!?」
キトゥン「くっ…、折角片付けたのに!」
エイリアス「ハーハハハッ!! 先ずは舞台を整えなければなぁ!」
オォオオォ…
ォォ…
……
ネヴィ「「「…~」」」ワラワラ
美緒「…くっ、最悪だ。 ミーナの心配が的中した! ……こちら坂本、土方っ、応答しろ!!」
キトゥン「やっぱり出た…」
744: 2014/09/24(水) 21:40:56.59 ID:eX/m/4vp0
エイリアス「さて……舞台衣装はそれで平気かな、重力姫? 穴だらけでいささか痴女的だが」
キトゥン「た、戦ってついちゃったの!! これ一着しかないんだから、ほっといてっ! ///」
エイリアス「なるほど、…怪異の破片は痛かったかな?」
キトゥン「…!! なんでアンタがそんなこと知ってるの!?」
エイリアス「フフフ…」
キトゥン「もしかして、今までのは全部…!」
エイリアス「……種明かしをしよう」パチン
ゴォオォオ――
キトゥン「! またっ!?」
エイリアス「慌てるな、これはすぐ消える」
ネヴィ「「「…!」」」グラ
ビュゥゥゥ
745: 2014/09/24(水) 21:47:50.48 ID:eX/m/4vp0
キトゥン(ネウロイが吸い込まれた!)
エイリアス「フフフ、送ってやったのさ。 便利だろう?」
キトゥン「!?」
――ォオォ…
キトゥン「っ…??」
エイリアス「…今頃お前のお友達はランチタイムかな?」
キトゥン「ぇ…? ……うそ、まさか!!」
エイリアス「ククク、…ネウロイとやらも送ってやろうか? 少々手はかかるが」
キトゥン「え、エイリアス!!!」
746: 2014/09/24(水) 21:59:12.26 ID:eX/m/4vp0
ヒュン――
チャキッ
エイリアス「!」ピク
キトゥン「美緒さん!」
エイリアス「……合挽き通信はもういいのか、エクスウィッチ〈元魔女〉?」
美緒「その巫山戯た口を閉じなければ両足が消えるぞ、下郎」
エイリアス「ククク、出来るかな?」
美緒「やれんと思うか? だが貴様が我々の“敵”ならば、人間だろうと容赦はしない」グイ
キトゥン「えっ…み、美緒さん本気ですか!?」
美緒「頃しはせん。 だが捕らえるために四肢から1~2本は奪ってもいいぞ? 刃を手にした時からその覚悟はある」
エイリアス「それは困るな、血が出てしまう」
美緒「安心しろ、私の弟子が氏なない程度に止血してやる。 ……さあ、ロマーニャの基地に送ったネヴィを戻せっ!!」
747: 2014/09/24(水) 22:27:04.82 ID:eX/m/4vp0
エイリアス「……もはや力の無い者が、玩具を手にして勘違いか。 偉そうに――」ククク
シュパッ
エイリアス「ぐっ…!?」ヨロ
キトゥン「わっ!! 美緒さん!?」
美緒「烈風丸は私の片腕だ。 ……口が減らんのなら次は本当に斬り落す」ブン
エイリアス「…っ……フッ、その烈風丸ちゃんは…はたしてそう思っているかな?」
美緒「っ! 黙れ!! さっさと言われた通りにしろ!」
エイリアス「………やれやれ、遊び相手が欲しいのなら慌てなくとも用意してやる」パチン
巨人ネヴィ「…~~」グググ
美緒「!」
キトゥン「!? 美緒さん、うしろ!」
750: 2014/10/03(金) 20:25:55.90 ID:Dwua0Uld0
巨人ネヴィ「ー!」ブンッ
美緒「!?」ダッ
バゴォッ
美緒「…くそ! どこから現れた!?」ザシャッ
エイリアス「注文通りに戻してやっただけだが?」
キトゥン「うそつけ! あのネヴィはさっきいなかったでしょ!?」
エイリアス「ユーモアだよ。 楽しめ」クク
美緒「……貴様を野放しには出来んな」チャキ
エイリアス「ジャカゴはお気に召さないか……だがそいつは特別だぞ? 踊ってみたまえ」
キトゥン(…特別?)
美緒「舐めるな!」ダッ
751: 2014/10/03(金) 20:35:40.67 ID:Dwua0Uld0
美緒(このネヴィはシャーリーから聞いた奴だ。 …足元から回り込んで、後ろに5つと頭に1つあるコアを一息で討つ!!)
シュタタタッ
巨人ネヴィ「…! …!?」ワタワタ
美緒「やはり遅い」シュダ
キトゥン「――ぁ!(あのネヴィの雰囲気、もしかして…)」
美緒「はぁっ!!!」シュッ
シュピピピーッ
巨人ネヴィ「……!」
美緒「――…」スタ
巨人ネヴィ「ッ… 」ガク
美緒「……多少図体はでかいが、届かん距離ではない」
753: 2014/10/03(金) 22:23:46.79 ID:Dwua0Uld0
エイリアス「クク…」
美緒「次はお前を捕らえて、この騒動の顛末を聞――」
巨人ネヴィ「 ……~~ー!!」グググ
キトゥン「美緒さん!! そいつまだ生きてます!」
美緒「!?」
巨人ネヴィ「ーーーッ!!」ブンッ
美緒(な――)
『坂本さぁーーんっ!!』
ダダダダッ
バキィィイン
巨人ネヴィ「ッ…!?」ビクッ
キトゥン「! …芳佳!」
美緒「宮藤!?」
754: 2014/10/03(金) 23:07:31.57 ID:Dwua0Uld0
――ブゥゥウン
芳佳「坂本さん、キトゥンさん! 大丈夫ですか!?」フワ
美緒「すまない、助かった! …しかし、よくこんな早くに駆けつけたな?」
ダスティ「…ニャア!」ヒョコ
キトゥン「あ! ダスティ、どこ行ってたの!? お前がいなきゃ能力ちゃんと出せないじゃない!」
芳佳「ダスティちゃんが知らせてくれたんです! それから土方さんも直ぐそこまで来てます」
美緒「…よしわかった! すまんが、一時だけ時間を稼いでくれ!」
芳佳「はい! すぐにやっつけます!」ブゥゥウン
キトゥン「あっ、待って芳佳!? そのネヴィは多分希少種!」
芳佳「やぁーー!」ダダダ
バキバキィン
巨人ネヴィ「ッ…ッ……!」
キトゥン「ぇ……うそ、意外にもろい?」
755: 2014/10/03(金) 23:45:23.44 ID:Dwua0Uld0
エイリアス「ほぅ、さっきの攻撃でコアがここまで弱ったとは……あの刀、唯のおもちゃではないのか」
キトゥン「…! そうだ、エイリアス!」ハッ
キトゥン「アイツをとっ捕まえるよ、ダスティ!?」
ダスティ「ニャア」
エイリアス「…お誘いは嬉しいが、子犬ちゃんが危ないぞ?」ククク
キトゥン(!? 芳佳!)チラ
キトゥン「……芳佳、近づきすぎっ! そいつの正面は――」
巨人ネヴィ「ーー!」ブゥンッ
芳佳「わっ!?(シールド…!)」パァア
バゴォオッ
芳佳「っーー!?」
ヒューーーン→
エイリアス「……ホームラン」ククク
キトゥン「芳佳ぁーー!」
――――
――
―
756: 2014/10/04(土) 00:03:48.24 ID:GHe/36mW0
『少佐ーー!!』
美緒「……土方ぁー!」タッタッタッ
土方「紫電改、お持ちしましたぁ!」ゼェ ハァ
美緒「よくやった!! そのまま脇にしっかり担いでいろっ!?」
美緒「ふっ…!!」ダッ
スポッ
美緒「ッ…おっと!」ヨロ
バフ…
土方「モガッ!?」
美緒「む、すまん。 勢い余ってしまった」フィィイン ピョコ
土方「い、いえ……失礼しました//」ササッ
美緒「今更言う必要も無いだろうが、つまらん気を起こすなよ? お前がいないと何かと困るからな」ブゥゥン
土方「ご、ご冗談を…」
757: 2014/10/04(土) 00:06:43.26 ID:GHe/36mW0
美緒「はっはっは! お前は近隣の軍拠点へ連絡をとった後、一般人の避難誘導を指揮しろ!」
土方「了解しました」
美緒「私は敵の怪人を捕らえに行く、奴を放っておけば欧州の被害は無限に広がりかねん!」
土方「少佐、くれぐれもご無理は――」
美緒「…」ビッ
土方「――っ!」ピタ
美緒「………土方。 せめてお前だけは黙って私の我儘を許してくれ」
土方「少佐…」
美緒「心配するな、今回ばかりは備えもある。 とっておきだ!」
土方「……ご武運を!」
美緒「お前もしっかり頼むぞ」フワ
土方「はっ!」
ブゥゥウン
――――
――
―
759: 2014/10/04(土) 00:45:10.75 ID:GHe/36mW0
巨人ネヴィ「」シュゥゥ…
キトゥン「ふぅ……はぁ…。 ほ、ほら! 落ち着いてやれば…っ……こんなヤツ楽勝!」ゼェ ゼェ
ダスティ「……」
芳佳「う、うん。 キトゥンさん大丈夫ですか?」
キトゥン「……ごめん、ちょっと一息つく」
エイリアス「…モノ・ジャカゴを倒すか。 犬猫の躾も楽ではないな」
――ブゥゥウンッ
美緒「宮藤! キトゥン!」
芳佳「坂本さん!」
エイリアス「フフ、これはまた…」
760: 2014/10/04(土) 01:00:57.80 ID:GHe/36mW0
美緒「エイリアス…と言ったか? お前を拘束する、覚悟しろ」
エイリアス「それはガラスの靴ですよシンデレラ。 0時はとっくに過ぎている」
美緒「悪いが私は魔女なのでな、最後まで泥臭く足掻かせてもらおう」スラァ
エイリアス「…………おもしろい。 では主役を出さねばな」パチン
ゴォォオオォ
???「……」ゴゴゴ
キトゥン「! …なにあれ!? ネウロイ?」
芳佳「!! さ、坂本さん…アレって…!?」
エイリアス「ククク、見覚えがあるかな?」
美緒「…奴め、カールスラントから連れて来たな?」ギリ
芳佳「……ネウロック…!!」
761: 2014/10/04(土) 08:25:41.32 ID:GHe/36mW0
キトゥン「ネウロック?」
美緒「いや、よく見るとネヴィが既に取り憑いてネヴィロイと化している。 さしずめ“ネヴィロック”と言うところか」
キトゥン「ね、ネヴィロック??(ややこしい!)」
芳佳「で、でもネウロックは前に私達が…!?」
美緒「他の巣でも出たのか居たのか――……ネウロイ共の関係図は分からんが、争う所もあれば、一部で情報共有をするような面もあるからな」
エイリアス「さて――」スタ
エイリアス「…工業都市以来の再戦だ、重力姫」ズズズ…
ネヴィロック「ッ…ー!」ギラッ
キトゥン「あっ! アイツ、またネヴィとくっついて…!!(いつの間にあっちへ!?)」ムッ
美緒「“ネヴィロック”だ、キトゥン」
芳佳「え、え?? どうなっちゃうんですか!?」オロオロ
美緒「…取り込まれたようにも見えるが、奴は食われないのか?」
キトゥン「はい、多分逆です。 ……めんどくさいことになったなぁ、もう」
ダスティ「…」
762: 2014/10/04(土) 08:42:53.77 ID:GHe/36mW0
エイリアス「ハーッハッハッハァ! 宿敵の登場だ、悪い魔女達よ!」
美緒「……キトゥン、宮藤も気を抜くな? 相手はあのネウロック以上だ」
芳佳「ぅ…」
キトゥン「そ、そんなすごいの?」
美緒「……私の想像通りなら、はっきり言って勝ちの目は薄い」
キトゥン「…!?(あの美緒さんがこんなこというなんて!)」
芳佳「なら援軍を呼びに行きましょう!」
美緒「ここから離脱できればそうしたいが、振り切るのは無理だ。 ここで討ち果たすしかない!」チャキ
美緒「宮藤、キトゥンを頼んだぞ! お前たちは一組で当たれ」
芳佳「え、…坂本さん!?」
美緒「攻めの要は私がやるっ!」ブゥゥン
キトゥン「ちょ…!? 美緒さーん!」
763: 2014/10/04(土) 08:57:54.61 ID:GHe/36mW0
エイリアス「ククク…、王子様発進」
ネヴィロック「――!」ビーム
ビビィーー
美緒「ッ…」ヒュン
ビービビーー
美緒(相変わらず厄介な弾幕だ、戦艦と戦っている気になる!)ヒュン ヒュン
エイリアス「…素晴らしい、最高じゃないか」ククク
ネヴィロック「ー!!」ビー
美緒(……避け続けるのがやっとだ、近づけん!?)ブゥゥウン
エイリアス「そうか。 お前は魔法の盾は出せないんだったな、エクスウィッチ」
エイリアス「………熟れきった果実は甘過ぎる。 腐って落ちる前にジャムにしてしまおうか」
ネヴィロック「~ー!」
ボボッボ
美緒「! …ネヴィの鈍行追尾弾か!」ブゥゥン
ビビィーー
美緒「――ぐっ!? …くそ! ビームが邪魔だ!」
764: 2014/10/04(土) 09:03:00.65 ID:GHe/36mW0
エイリアス「早く逃げないと摘まれるぞ?」ククク
ネヴィロック「~!」ビー
美緒「っ…!」ブゥゥン
エイリアス「……さぁ、当たるかな?」
美緒「!!(追尾弾が目前に…っ!? 逃げられないか!)」
エイリアス「ククク」
美緒「…烈風丸!!」バッ
ギィィインッ
エイリアス「なにっ!? ……刀でいなしただと!?」
美緒(今だ!)ビュゥンッ
エイリアス「――な!!?」
美緒「……シッッ!!!」ヒュッ
ザシュゥッ
エイリアス「っ!! …グゥッツッ…ッ!!?」
ネヴィロック「…」ピタ
765: 2014/10/04(土) 09:08:54.03 ID:GHe/36mW0
エイリアス「~……ッッ…」
美緒「…言っただろう? 次はその腕を斬り落とすと」
エイリアス「…………クク…」ヨロ
美緒「まだ笑うか。 気がふれているのか知らんが、ある意味天晴だな」
エイリアス「…フハッハァ! お前はからかい甲斐のあるやつだ」ニョキニョキ
美緒「!!(腕が再生している!?)」
エイリアス「これは実に楽しいな」
美緒(こいつ、さっきからネヴィロックを操っているのか? まさか本当に同化をして…!?)
エイリアス「…しかし痛いのは適わないな、サービスはこの辺にしておこう」
美緒「…ちぃっ!」ギリ
『坂本さぁーーん!!』
766: 2014/10/04(土) 09:13:42.17 ID:GHe/36mW0
エイリアス「……来たな」
美緒「! 宮藤、キトゥン!? …お前達何をする気だ!」
――ビュゥウゥン
キトゥン「いくよ、芳佳! おもいっきりやるからね?」
芳佳「はいっ!」パァァ
キトゥン「…重力スロー!!」バシュンッ
ビュォォオォ
エイリアス「!」
芳佳「シールドストライクー!」ゴォォ
ッゴガァアン
ネヴィロック「!!」
エイリアス「ッ!?」
ヒューーーン→
美緒「……ネヴィロックを弾き飛ばした!?」
771: 2014/11/03(月) 00:01:19.22 ID:RRObEXqF0
キトゥン「――やった、芳佳! いいかんじ♪」
芳佳「…ぁあ~、手が…ビリビリするぅ」ジンジン
美緒「お前達」
キトゥン「美緒さん! 急にひとりで飛んで行っちゃわないでくださいよ?」
美緒「いや、それより今の攻撃は…?」
キトゥン「この前美緒さんを助けに入ったときに思いついたんです、“重力スロー・シールドストライク”!」
芳佳「実はシャーリーさんとルッキーニちゃんの真似なんですけどね」
美緒「むぅ、そうか。 しかし中身はともかく、名はシャーリー達の“音速☆神風アタック”の方が良いと思うぞ?」
キトゥン「うそ!? 絶対こっちの方がいいですよ! なにするのか分かりやすいし」
芳佳「投げられた私がシールドで突進するだけですもんね」
772: 2014/11/03(月) 00:02:59.36 ID:RRObEXqF0
ダスティ「……」ピク
美緒「む、どうした麻畳〈またたみ〉?」
キトゥン「…あの、うちの猫に勝手に変な名前つけないでくださいよぉ」
ダスティ「~!」
美緒「わかっている麻畳、油断などない。 もうすぐ敵も戻ってくるだろうからな」
ダスティ「ニャア」
キトゥン「……ちょっとダスティ、なに普通に受け入れてんのよ? わたしのつけた名前があるでしょ?」
ダスティ「…………」
キトゥン「……いいよ、わかった! あっちに帰れたら家にタタミ入れてあげるから!」
ダスティ「!」
芳佳「よかったね、ダスティちゃん?」
美緒「人に注意したそばから己の気を崩してどうする麻畳」
773: 2014/11/03(月) 00:05:58.21 ID:RRObEXqF0
美緒「…お前達も! ネヴィロックはおそらく無傷で戻ってくるぞ?」
芳佳「あ、そうだった! どうしよう!?」
キトゥン「戦うしかないよ、芳佳!」
美緒「その通りだ! だが、ネヴィロイ化した装甲に生半可な攻撃では太刀打ちできん」
キトゥン「じゃあ先にネヴィのコアを壊しましょう!」
美緒「アレをひとつずつ消すのは厳しい。 今まで奴は木偶の坊だったが、足を使ってきたらとても我々の余力のあるうちには無理だろう」
キトゥン「……そ、そんなにすごいの?」チラ
芳佳「はい…。 とっても速いですよ」
美緒「ましてやネヴィロイは超速再生までするからな」
キトゥン「…どうしよう……」
774: 2014/11/03(月) 00:07:50.53 ID:RRObEXqF0
美緒「……狙うは1点だ、そこを一撃で仕留める!」
芳佳「ぇ?」
キトゥン「! なにか弱点とかがあるんですか!?」
美緒「…奴の急所はふたつ。 まず、今のネヴィロックは恐らくエイリアスが操っている状態になっている。 つまりエイリアスを討てば――」
芳佳「まっ、待ってください坂本さん!! そんなこと出来ません!!」
美緒「落ち着け宮藤、私も人頃しは御免だ」
キトゥン(うーん……でも人外じみてるんだよねぇ、アイツだけは)
美緒「キトゥンや我々のためにも、奴は捕らえる必要がある。 故に敵のもうひとつの弱点を狙う」
芳佳「…もうひとつの弱点ですか?」
775: 2014/11/03(月) 00:10:10.21 ID:RRObEXqF0
美緒「言うまでもない、ネウロイのコアだ。 ネウロイとしての力を先に奪ってしまえば、残りは何とかなる」
芳佳「で、でもどうやって…!?」
美緒「だから言っただろう、一撃で仕留める! 私の烈風斬でな」チャキ
美緒「…宮藤、お前はキトゥンを守れ。 キトゥンは私と同様、ネウロイのコアを狙うぞ?」
キトゥン「わたしが!?」
美緒「先日のネヴィロイを倒したアレなら、ネヴィロックの装甲も突破できるかもしれん。 コアの位置は視えるな?」
キトゥン「…はい。 一応、ぼんやり」
美緒「よし! 私とお前達の二手で撹乱し、チャンスを得た方が全力突破だ」
芳佳「え、それじゃあ坂本さんは…!」
776: 2014/11/03(月) 00:12:32.31 ID:RRObEXqF0
美緒「私は独りでいい。 互いの動きにはこちらで注意を払うから、お前達は他を気にせず全力で当たれ」
キトゥン(……大丈夫かな、美緒さん?)
芳佳「でも!」
美緒「かたまれば火力差であっという間に負ける。 こうする他ない」
ゴォォ…ォ…
ダスティ「…!」
美緒「来たか。 行くぞ宮藤、キトゥン!!」ブゥゥン
芳佳「坂本さん!?」
キトゥン「…芳佳、もうやるしかないよ! 美緒さんを信じよう?」
781: 2014/12/02(火) 00:04:55.61 ID:YbAhtbRa0
エイリアス「……さぁ続きだ」
ネヴィロック「ー!」ビー
美緒「ふっ!」ブゥゥン
美緒「(先ずは当たるか、小手調べ)……はぁ!!」シュバッ
ネヴィロック「……!」ゴゥン
――スカッ
美緒「…やはり動いたか」
エイリアス「ククク、サービスはここまでだ。 本気でいくぞ?」
782: 2014/12/02(火) 00:08:01.39 ID:YbAhtbRa0
ネヴィロック「…!」ビュゥウン
美緒「!?」
エイリアス「ハーハハッハ! 素晴らしい動きだ、これはいいぞ!」
美緒(…おかしい。 ……こいつ、まさか)
美緒「……ならば今のうちに決めるっ!!」ブゥウン
エイリアス「!?」
美緒「宮藤ぃ、キトゥン! 牽制しろぉー!! 今の奴はノロマだっ!!」
芳佳『は、はい!』
キトゥン『なら芳佳、わたしがちょっかい出してみるから援護して!』
783: 2014/12/02(火) 00:10:48.84 ID:YbAhtbRa0
――
―
ダダダダダッ
ビュゥウウン
ヒュン ヒュン
ネヴィロック「ッ…」
エイリアス「クッ、小賢しい!」キョロキョロ
美緒(…目を離したな? チャンスだ)
美緒「勝負っ!!」
ブゥゥウン――
785: 2014/12/02(火) 01:13:57.38 ID:YbAhtbRa0
ネヴィロック「……!?」ピクッ
エイリアス「グッ!? おい、どうした! 何を――……ぐぉ!?」ガクンッ
美緒(やはりエイリアスが足を引っ張っている、ネヴィロック自身が先に気付いた)
美緒「だがもう遅い! 懐に入った!!」
ネヴィロック「…~!」
美緒「逃がさん!!」
ブゥゥウン
キトゥン「美緒さん…! すごい!?」
芳佳『小回りと接近戦で坂本さんに勝てる人はいませんよ!』
キトゥン「へぇ…(なんだか嬉しそうじゃん、芳佳)」
786: 2014/12/02(火) 01:17:36.39 ID:YbAhtbRa0
美緒「読めた!」チャキ
エイリアス「なっ…! いつの間に!?」
美緒「必中のチャンス、はぁあっ!!!」フィィィイン
美緒「烈風斬ッッ!!」ズォオオ
ネヴィロック「ッーーーッー」ベキベキベキ
エイリアス「ぐぉあ゛っ!!?」
美緒「ぉおおおお!!」
ズァアァアアアーー
787: 2014/12/02(火) 01:59:34.05 ID:YbAhtbRa0
――――
――
―
ネヴィロック「…………」
美緒「……くっ! 馬鹿な!?」
美緒(全力の烈風斬でも装甲を破るのがやっとだとは…!?)
エイリアス「こ、この魔女がぁ!」ギリ
美緒「ぐ……(コアに刃を突き立てているのに、もう力が入らん)」
美緒「…つ、使うか。 アレを――」
ネヴィロック「ーー!!」ギロ
美緒「!?」
ビカァアッッ
芳佳「!? 坂本さぁーーんっ!!」
キトゥン「美緒さんっ!? う、うそ!!」
ダスティ「……」
789: 2014/12/06(土) 17:13:53.21 ID:B6hzlaYv0
――ブゥゥウン
美緒「……むぅ、危なかった…」
芳佳『坂本さん! よかったあ、無事ですか!?』ガザ
キトゥン『やられちゃったのかと思いましたよ!』
美緒「すまない、ウルスラ中尉の補助ユニットでなんとか逃れた(あと1秒でもあれば先に討てたのだが…)」
美緒「それより、一度合流しよう。 ネヴィロックの様子が変だ」
790: 2014/12/06(土) 17:16:06.93 ID:B6hzlaYv0
――――
――
―
美緒「……」
芳佳「坂本さーん!」ブゥゥン
キトゥン「ふぅ……芳佳そろそろ肩借りてもいい? 息継ぎを…」
芳佳「あ、うん。 いいですよ」
美緒「…お前達、アレを見ろ」
芳佳「?」
キトゥン「…!」
ネヴィロック「ーー! ~!!」グググ
エイリアス「ッ…どうした怪物!? 私の命令に通りに……!」ジタバタ
ネヴィロック「ー~!」
キトゥン「…エイリアスのやつ、どうしちゃったの!?」
美緒「恐らくエイリアスとネヴィロック……いや、ネウロックとの間で摩擦が生じている」
791: 2014/12/06(土) 17:20:24.08 ID:B6hzlaYv0
キトゥン「摩擦…ですか?」
美緒「ああ。 今奴の中はネヴィ、ネウロック、エイリアスの三つ巴……それらの力や意思関係がどうなっているかは知らんが、どこかしらで衝突が起きている」
芳佳「どうしてわかるんですか!?」
美緒「どんなに優秀な者同士の二人三脚であろうと、息が合わなければ互いの足を引っ張り合うだけだ」
美緒「奴らがもし噛み合っているか何れかの意志の下に統制されているなら、少なくとももっと動きはいい筈。 ネヴィロイ化した装甲は無敵かもしれんが、その他に関して今の奴はネウロック以下だ」
キトゥン(そういえばこの前のネヴィロイもサーニャの攻撃を受けて不自然に硬直してた…!)
美緒「そもそも変形飛行すらしない時点で、完全に実力を発揮できていまい。 そしてそれをエイリアスは知らん」
キトゥン「……そ、そうなんだ。 じゃあ今がチャンスですね!」
芳佳「でも坂本さん、あの…烈風斬は効かなかったし……攻撃が通じないんじゃどうやって倒せばいいか…」
美緒「そうだな。 結局ネヴィロックである以上、奴のコアを破壊するのは絶望的と言っていい(烈風斬は効かなかったわけではないんだがな…)」
芳佳「えぇ!?」
キトゥン「……それじゃあどうするんですか!?」
美緒「…私に考えがある。 少し時間を稼ごう」
792: 2014/12/06(土) 17:26:49.07 ID:B6hzlaYv0
エイリアス「くっ……黙れぇ!!」ギィィン
ネヴィロック「ッッ……~…」ヨロ
エイリアス「っ…、よし」
美緒「――随分手こずっている様だな?」ブゥゥン
エイリアス「……! …これはこれは、恥ずかしいところを見られてしまった」
キトゥン「今さらカッコつけたって遅いよ」
エイリアス「……」
美緒「貴様にひとつ聞きたい」
エイリアス「…なんだと?」ピク
美緒「何故こんな事をする? 目的は何だ?」
芳佳「そ、そうですよ! 同じ人間じゃないですか!?」
キトゥン「ていうか、アンタって人間なの?(わたしの中ではそろそろネヴィと同列になるんだけど)」
793: 2014/12/06(土) 17:52:22.67 ID:B6hzlaYv0
エイリアス「……ククク、時間稼ぎか? 何を待っている?」
芳佳・キトゥン「!?」ギクッ
美緒「質問に質問で返すとは無粋な奴だな、得意の戯言はどうした?」
エイリアス「…まぁいいだろう。 だがお前達にとってまるで意味のない問いだな? 時間稼ぎの為なのだから当然だが」
キトゥン「バレバレっぽいですね、美緒さん?」チラ
美緒「いや、しかし実際こいつが何のつもりでこんな馬鹿をするのか気にはなる」
芳佳「わ、私も!」
キトゥン「どうせまた訳わかんないこと言うだけですって」
794: 2014/12/06(土) 17:56:42.24 ID:B6hzlaYv0
エイリアス「気になるだと? …ククク、それを知っていったいどうする。 納得がいけば協力でもするのか?」
美緒「……」
エイリアス「お前達は全員、己が儘で動く“盲者”」
エイリアス「自分が正しい、自分が正義、自分が救い……ククク。 本当にそうかな?」
芳佳「そ、それってどういう…?」
美緒「宮藤。 これは時間稼ぎだ、聞き流せ。 奴の話に呑まれるな」
エイリアス「どんなに繕ってもやることは殺戮に変わりない。 銃が癒しをもたらすことは無いぞ?」
芳佳「っ…!」ドキッ
キトゥン「殺戮ってアンタ……それをやってるのはそっちでしょ!?」ビシッ
エイリアス「ククク、こいつらとお前達にどんな差がある?」
キトゥン「はぁ??」
795: 2014/12/06(土) 18:01:55.30 ID:B6hzlaYv0
エイリアス「…同種以外は氏んでも構わないのだろう?」
芳佳「そんなこと…!」
エイリアス「だが鳥や熊…畜生は助けるか? ならば何故“総て”にそうしない? その手にある物は必要か?」ジロ
芳佳「!」ビク
キトゥン(……あれ、いつの間にか芳佳と話してる感じになってる?)
美緒「(これは…!? いかん!)宮藤、聞くなっ!」バッ
エイリアス「怪異に命はないか、それとも氏んでもいい命なのか…」ジー
芳佳「…それは……」
エイリアス「お前のやっていることは自己満足の頃しだ」
芳佳「!!!」ゾワッ
エイリアス「ククク……綺麗な綺麗な頃し」
芳佳「ぅ……ぁ…」ワナワナ
美緒「詭弁だ、宮藤!! ネウロイは敵だ!!」
796: 2014/12/06(土) 18:04:18.76 ID:B6hzlaYv0
エイリアス「もう遅い。 仔犬は迷いの園に堕ちた」ククク
美緒「くっ…! 舌戦にしたのが裏目に出たか」
キトゥン「ぇ? あの、どういうことですか!?」
美緒「宮藤を誑かされた」
キトゥン「へ…?」
美緒「震電の件で吹っ切れているかと思ったが、やはり甘かったか。 …私の責任だ!」
キトゥン「どういうことですか? 芳佳はいったい…?」
美緒「言っただろう、宮藤は元々戦争に反対だった。 だが自分が戦うことに迷えば、ここでは命取りになる」
キトゥン「!?」
799: 2014/12/11(木) 22:49:34.65 ID:uDPgdQm40
芳佳「…わ、私……」
美緒「しっかりしろ宮藤! 奴の屁理屈に惑わされるな!!」
キトゥン「芳佳!」
芳佳「…っ」
エイリアス「フッ、盲者などこんなもの」
エイリアス「さて、何が始まるか楽しみだったが…そろそろお喋りは終わりにしよう」ズズズ
キトゥン「! 美緒さん! エイリアスがまた来る気ですよ!?」
美緒「ちぃっ、上手くいかんか…!」
芳佳「……」
800: 2014/12/11(木) 23:24:31.62 ID:uDPgdQm40
エイリアス「閉幕にしよう。 そして重力姫、お前を――」スッ
ネヴィロック「…………」
エイリアス「――…? おい、どうした?」
ネヴィロック「………………」シーン
エイリアス「チッ、またか。 御し難い奴め、動け!!」ギィィン
ネヴィロック「…」
ネヴィロック「!!」ビカッ
ペキペキ…
801: 2014/12/11(木) 23:28:26.55 ID:uDPgdQm40
エイリアス「――!!? な、なんだこれはっ!?」ギョ
ネヴィロック「…~~」
ペキペキペキ――
エイリアス「私の身体が…!!? こ、こいつ!!」
ネヴィロック「――!」
エイリアス「やめろぉお!!」
キトゥン「……な、なに? 急にどうしたの?」
芳佳「坂本さん! あれって…!?」
美緒「うむ、ギリギリ間に合ったか」
803: 2014/12/11(木) 23:55:31.64 ID:uDPgdQm40
キトゥン「え? え?? なんですか、なにが起きてるんですか!?」
美緒「ネウロイ化だ」
キトゥン「ネウロイ化!?」
芳佳「やっぱり……、でもどうして」
美緒「奴の中は三つ巴になっていると言ったのは覚えているか?」
キトゥン「はい。 たしかエイリアスとネヴィとネウロイでって…」
美緒「そもそもネヴィロイというものは、互いに浸食し合った結果生まれた者だ。 つまりは身体の取り合い」
芳佳「そ、それじゃあ…!?」
美緒「普通のネウロイ相手では支配力は拮抗できていたかもしれんが、ネウロックは特別だ」
芳佳「やっぱりカールスラントで戦った時にいろんな兵器やネウロイと合体したみたいに…?」
美緒「うむ、あれの融合能力はかなり強力だ。 更に他のネウロイを従える力すら持っている。 恐らくエイリアスとネヴィはネウロックに取り込まれるだろう」
804: 2014/12/12(金) 00:38:42.11 ID:adtS99MA0
キトゥン「うーん……エイリアスってば、ドジだなぁ(自分でくっついたのに)」
ダスティ「……」
美緒「ネヴィロックとしての均衡が崩れてネウロックになってしまえば、手強くはなるが超硬度装甲は消える筈だ。 我々に勝の目が出てくる!」
キトゥン「美緒さん達はやっつけたことある相手ですもんね!」
美緒「まあな。 辛勝と言えなくもなかったが、あの時も3対1で討てた」
キトゥン「ならダスティも入れて4対1ですね! 勝てます勝てます!」
ダスティ「……」
美緒「…あの時は宮藤がベストコンディションだったが」チラ
芳佳「……」
キトゥン「な、なに言ってるんですかぁ!? さっきの話ですよね? 大丈夫ですって!」
美緒「なら、いいがな」
805: 2014/12/12(金) 00:50:56.97 ID:adtS99MA0
キトゥン「エイリアスの言ってることなんて基本的に意味わからないですから! ね、芳佳?」
芳佳「ぅ…うん…」
キトゥン「……芳佳?」
芳佳「……」
美緒「宮藤、今更迷うな。 お前は既に1人のウィッチとしてネウロイと戦ってきているんだぞ?」
芳佳「……でも、それなら私はもしかして取り返しのつかないことを…」
キトゥン「芳佳? なにを言って――」
芳佳「お父さんを奪ったことと同じことを、私……っ!!」
美緒「違うっ!! お前のやっていることは正しい!」
芳佳「戦争で……、戦争で頃し合うのが正しいことなんですか!!!」
キトゥン「ちょ、ちょっと! こんなときに喧嘩はやめてー!」
806: 2014/12/12(金) 00:59:25.81 ID:adtS99MA0
美緒「……お前だけじゃない、我々だってウィッチだ。 お前は私達を…501の仲間を否定するのか?」
芳佳「っ! そ、それは…………いいえ」シュン
美緒「……」
芳佳「…ごめんなさい、坂本さん」
美緒「私達はお前の力が必要だ宮藤。 やれるな?」
芳佳「……はぃ」
美緒「うむ、やるぞ!」
キトゥン「…だ、大丈夫なんですか美緒さん?」ヒソヒソ
美緒「わからん、あいつは他が言った所で簡単に聞くようなやつではない」
キトゥン「えっ!? まずいじゃないですか!(ちょっとわかるけど…)」ヒソヒソ
美緒「だが今はやるしかない。 ネウロック相手に手は抜けん」
芳佳「……」
809: 2014/12/14(日) 14:36:33.72 ID:i/K4nemI0
――――
――
―
エイリアス「ぅぅ……あ゛ぁ…っが…!?」
ネヴィロック「――」
エイリアス「な゛……なぜ…っ…!?」
バキィンッ ベキ
美緒「ネウロックのコアの輝きが増している」フィィン
キトゥン「取り付いてるネヴィの目玉がどんどん砕けてますね…」
美緒「ということは、ネウロックは合体ではなく“異物”を取り潰す気だ」
キトゥン「なんで!?」
美緒「ネウロイは基本的に金属を好む傾向にある。 我々人類を含め、それ以外は敵なのかもしれん」
芳佳「……」
810: 2014/12/14(日) 14:53:42.79 ID:i/K4nemI0
エイリアス「ぁあ゛あ゛あぁ゛ああ゛あ!!?!?」ペキペキ
ネヴィ「ッ…!? ~…!」
ネウロック「――! ――――!!」
カッ――
美緒「!」
芳佳「わっ!?」
キトゥン「きゃ!? まぶしっ…!」
ネウロック「~………」
811: 2014/12/14(日) 15:49:19.34 ID:i/K4nemI0
美緒「予想していたとはいえ、なんてやつだ……ネウロック」
キトゥン「…本当にエイリアスとネヴィやられちゃったの?」
芳佳「あ、あのマスクの人は…?」
キトゥン(マスクの人!?)ガビーン
美緒「ネウロイ化……というよりネウロイに食われたんだ、生きてはいまい」
芳佳「そんな…」
キトゥン「……」
美緒「気を付けろキトゥン、ネウロックのスピードは今までと桁が違う。 飛行形態に変形したら注意しろ」
キトゥン「りょ、リョーカイ!」
美緒「宮藤!」
芳佳「…はい」
美緒「やれるか? どうしてもと言うなら、お前は避難民の護りに移れ」
芳佳「……」
キトゥン「芳佳…」
812: 2014/12/14(日) 16:14:48.08 ID:i/K4nemI0
芳佳「や…やります坂本さん! 私、戦います!」
美緒「…よしわかった。 奴を倒して、基地の救援に向かうぞ?」
芳佳「はい!」
キトゥン「――! 美緒さん、ネウロックが!?」
美緒「!」
ネウロック「……~――!」
美緒「…来るぞっ! 戦術を変える、三人一組で波状攻撃だ! 全火力で突破する!!」
キトゥン「ラジャー! 行こう芳佳、ダスティ!」
芳佳「う、うん!」
ダスティ「……」
815: 2014/12/19(金) 05:23:40.23 ID:15/Huqgs0
ネウロック「――!」ビーム
美緒「ネヴィの追尾弾が消えたな、いける! 2人とも止まるなっ! 突っ込むぞ!!」ブゥゥン
キトゥン「む、無茶言ってるー!! …きゃあ! あぶなっ!?」ワタワタ
芳佳「キトゥンさん、私の後ろに!」パァア
ネウロック「―! ~―!!」ビビー
美緒「っ…!(ネウロックの動きがまだ鈍い!? …腹でも下したか)」ヒュン
美緒「(ならば今討つしかない!)宮藤、キトゥン! 好機だっ!」
キトゥン『えぇ!? なんですか!?』ガザッ
美緒「私が道を開く! コア目掛けてまっすぐ行く、続けぇ!!」フィィイン
ネウロック「―~~ッ!」ギラッ
ビビィィイイーー
美緒「(持ってくれよ、私の魔法力…!)うぉぉお!! れっぷうざぁああん!!!」シュバァッ
ズァォアアアアッ――
816: 2014/12/19(金) 05:26:19.35 ID:15/Huqgs0
芳佳「さ、坂本さぁんっ!」
キトゥン(またビームを…!)
美緒『っ……ぃ、今だぁ!! 討てぇ!!!』
キトゥン「! …ダスティ!! スクラッチトルネードッ!」バッ
ダスティ「ッ!」ブワァン
……ギュオォォオォオオォオ
キトゥン「たぁぁああーっ!!!」ギュオオ
ネウロック「!?」
ギャリギャリリメ゛ギャァッッ
ネウロック「ッ――~ッッ……」
818: 2014/12/19(金) 13:30:14.69 ID:15/Huqgs0
ビュゥンッ
キトゥン「――っぜは……ぐ…(ギリギリコアまで届かなかった…!)」フワ
キトゥン「(でも――)…よしかぁー!」
美緒『宮藤ぃ! 撃てぇ!!』
――ブゥゥウン
芳佳「っ……!」チャキ
ネウロック「…~ッ……っッ…」
芳佳「ぅ…」
美緒『何をしているっ宮藤!? 敵はすぐ再生するぞ!』
819: 2014/12/19(金) 13:53:53.59 ID:15/Huqgs0
ネウロック「……~~」ヨロヨロ
芳佳「……」カタカタ
。
○
(『私達はこの上を渡ってくるネウロイを撃退してるんです』)
(『これ以上ネウロイに好き勝手を許すわけにはいきませんわ!』)
(『敵は敵っ! 話し合えるような相手ではないことは、確かですわね?』)
(『今お前に出来ること、それを見失うなよ?』)
○
。
芳佳「……う、撃たなきゃ…私…」
。
○
(『こいつらとお前達にどんな差がある?』)
(『父さん達を返せよ! さっさと追い出せよっ!!』)
(『同種以外は氏んでも構わないのだろう?』)
○
。
芳佳「っ…」
。
○
(『銃が癒しをもたらすことは無いぞ? その手にある物は必要か?』)
(『氏んだらどうでもいいのかよっ!!』)
(『辛いだろうが、これも避けられない』)
○
。
芳佳「…わ、私は……ただ…」カタカタ
――『自己満足の頃しだ』――
芳佳「ち、違う…! そんな……つもりじゃ――」
キトゥン『芳佳―! 危ないっ!!』ガザッ
美緒『反撃されるぞ!!? シールドをだせぇ!!』
820: 2014/12/19(金) 13:58:59.70 ID:15/Huqgs0
芳佳「ぇ…?」ハッ
ネウロイ「~……!」ギラ
ビィイィイイイーー
芳佳「ぁ――」
美緒「ぐぉおおあ! 間に合えぇぇえええ!!」ビュゥンッッ
ガィィイイィッ――
825: 2014/12/28(日) 10:28:48.95 ID:ilNBG1Jf0
芳佳「……さ、さかもとさん…!?」
美緒「ぜぇ……はぁ…っ、呆けている場合か…ばっ……馬鹿者…」ゼェ ハァ
芳佳「ぁ……ぁの…すみません、私…」オロオロ
ネウロック「……~」ゴゴゴ
美緒「ぐっ…!(もう烈風斬どころか、飛んでいるのがやっとだ…)」ガク
芳佳「さ、坂本さん!?」
美緒「み……宮藤、迷うな…我々の……戦いは…っ」ゼェ ゼェ
芳佳「無理に喋らないでください!」
ネウロック「―!」ギラッ
826: 2014/12/28(日) 10:30:52.05 ID:ilNBG1Jf0
芳佳「! や、やめてぇ!!」パァァ
ネウロック「~――」
キトゥン『やぁぁあっ!! 重力キーック』ガザザ
芳佳「――! キトゥンさん!?」
ネウロック「!! ……~―!」ガシィン
キトゥン(変形した!?)ズォォオ
ネウロック「――」ギュゥウン
――スカッ
827: 2014/12/28(日) 10:32:28.79 ID:ilNBG1Jf0
キトゥン「…速い! ど、どこにいっちゃった!?」フワッ
ダスティ「……っ」ピク
ダスティ「ニャアッ!」
キトゥン「!(上からく――)」チラ
ネウロック「――――!」ゴォオオ
ドゴォッッ
キトゥン「おぶっっ!!?」
ヒューーーーン↓
\ドガシャーン/
828: 2014/12/28(日) 10:35:10.02 ID:ilNBG1Jf0
芳佳「!!」
美緒「キトゥンッ!!」
芳佳「ぅ…、わ…私のせいで…」ワナワナ
ネウロック「…」
ネウロック「……」クル
美緒「い…いかん、奴がこっちに来る(これではもう勝てないか…!)」ゼェ ハァ
芳佳「!」
美緒「(…ならばせめて)宮藤、キトゥンを救出して逃げろ」グイ
芳佳「えっ…、坂本さん?」
美緒「私が残った魔法力で時間を稼……うっ…!」フラ
芳佳「だ、ダメですよそんなっ! こんな状態の坂本さんを置いてなんて…!」
美緒「……片道覚悟ならば、お前達を逃がすくらいはできる…っ!」チャキ
芳佳「坂本さん!!」
829: 2014/12/28(日) 10:38:18.13 ID:ilNBG1Jf0
ネウロック「ッーー!」ガシィィイン
ネウロック「~~」ギラ
美緒「グズグズするな、早くいけぇ!」
芳佳「嫌です!! 私、坂本さんを見捨てるなんて出来ません!」パァア
美緒「み、宮藤…!」
ネウロック「―――ッ~」ビィー
――――
――
―
830: 2014/12/28(日) 10:44:08.23 ID:ilNBG1Jf0
キトゥン「…………」
『――――――さぃ』
キトゥン「…………」
『――きて――――ぃ」
キトゥン「……ぅ…」
???「起きてください」
キトゥン「…っ……~~」
キトゥン「……あれ、わたし…」
???「……」
キトゥン「(そっか、確かネウロックにぶっとばされ――)……ん?」ペト
キトゥン「わっ!? …どうしよ、なんか血とか出てるし…!!」
???「…いいや、見た目程酷くはないよ」
キトゥン「ぇ…?」チラ
???「……」
キトゥン(!?)
831: 2014/12/28(日) 11:19:29.33 ID:ilNBG1Jf0
???「君はその力に護られてるんだね。 傷は負ってるけど、診たところ致命傷は無さそうだ」
ダスティ「……」
キトゥン「ぇ…、ていうか――」ムク
キトゥン「ぅぐっ!?」ズキッ
???「ゆっくり動いた方がいい。 あの勢いで瓦礫の山に落ちたんだ、流石に身体が軋んで痛い筈だよ」
キトゥン「いたた……。 あの…そうじゃなくて、アナタは確か基地でなん回か見た…?(ノゾキの人!!)」
???「やはり君には見えていた様だね。 居場所がズレてしまった者同士だから、何か干渉しうるのか……もしくは君も特別なのか」
キトゥン「えっ!?(もしかして、シングラさんの言ってた…!?)」
???「いずれにしても、君にも謝らなければならない。 申し訳なかった」
キトゥン「?」
832: 2014/12/28(日) 11:22:59.37 ID:ilNBG1Jf0
???「“ここ”からできる範囲で責任はとろう。 …私はまた何処かへ行ってしまうかもしれないが」スッ
グゥォォォ~ォ
キトゥン「んなっ…! 重力嵐!?」
???「ある意味で似ているかもしれないけど、違うものだよ」
キトゥン「! …違う?」
???「……それより、君に頼みがある。 あの子に伝えて欲しい」
キトゥン「へっ!? た、頼み??」
ゴォォオォ――
???「――――、――」ボソ
キトゥン「…!」
833: 2014/12/28(日) 11:24:58.66 ID:ilNBG1Jf0
――ォオォォ…
???「……彼女達に、よろ…く…」ユラ…
キトゥン「(うそ、消えちゃう!?)あの、ちょっと!? 今のって誰に伝えれば!」
???「…さ… な…。…し… か… …」
キトゥン「えっ!?」
???「… ……」
キトゥン「あーっ、待って!!! あなたってもしかして――」バッ
???「… 」フッ
キトゥン「……消えちゃった」
『キトゥンッ!』
キトゥン「!?」
834: 2014/12/28(日) 11:32:54.50 ID:ilNBG1Jf0
ビュゥゥウン――
シュダッ
キトゥン「……!」
クロウ「ひどい格好だな、お前」ファサ
キトゥン「…………あれ…クロウ…?」
シアネア「クロウ、この混沌に長居は禁物。 夢の修正が起こる前に終わらせます」ギュー
クロウ「訳の分からないことを言ってないで、もう降りろ。 いつまでも抱き着かないでくれ」
キトゥン「…シアネアも……??」ポカーン
シアネア「キトゥン。 どうやら忘河は渡っていない様ですね」
キトゥン「ぇ、ええっ!? なんで? なんでここに!??」
クロウ「私にもわからないが、突然こいつがお前を助けに行けと……妙な扉を通って」チラ
シアネア「私がこれ以上夢への干渉を行うことは避けるべきでしたが、“あの”エイリアスが予想以上に混沌を生んだため止むを得ません。 今一度私が手を加えましょう」
835: 2014/12/28(日) 11:35:43.39 ID:ilNBG1Jf0
クロウ「……こんな調子だ。 急に人が変わった様に」
キトゥン「ま、まさか…あっちのシアネア?」
クロウ「あっち?」
シアネア「禁忌に触れし人が、夢を結ぶ通路を再び広げました。 急いで決着を付けねばなりません」
キトゥン「……ごめん、もう少し解りやすくお願い」
クロウ「…とりあえず、向こうのアレを倒せばいいのか?」チラ
シアネア「その通り。 しかしこれ以上こ――」
キトゥン「!! そうだ、ネウロックは!?」バッ
キトゥン「…うっ!!」ズキッ
クロウ「お前は来るな、私が行く」
キトゥン「ぃたた……でもクロウ、わたしも…!」
836: 2014/12/28(日) 11:37:47.02 ID:ilNBG1Jf0
クロウ「地の利を生かせ、周りをよく見ろ」
キトゥン「え? ……あっ、そっか!」
クロウ「私が動きを止める。 その隙にお前は“撃ち落とせ”」
キトゥン「クロウ! あいつ強いから気をつけて!」
クロウ「ああ」ブワァン
ビュゥウウン
シアネア「……キトゥン、聞きなさい」
キトゥン「ごめんシアネア! ちょっとあとでね?」
キトゥン「ダスティ! グラビティ・タイフォン! ここの瓦礫全部アイツにぶつけてやるから!」
ダスティ「ニャア」
シアネア「……」
837: 2014/12/28(日) 12:06:49.56 ID:ilNBG1Jf0
ネウロック「~~―」ビー
芳佳「ふぅ…っ! ぐ…!!」パァ
美緒「宮藤、このままではいくらお前のシールドでも持たん! 私を捨てて逃げろ!」
芳佳「……っ…」パァァ
美緒「宮藤…!!」
ネウロック「―~……、!」ピタッ
ネウロック「ッーー」ビュン
芳佳「!?」
美緒「…な、なんだ?」
――ビュゥウン
クロウ「……チッ、勘のいい奴だ。 逃げられた」フワ
芳佳「!??」
美緒「誰だ…?」
838: 2014/12/28(日) 12:08:24.36 ID:ilNBG1Jf0
クロウ「……」チラ
クロウ「お前達は邪魔だ」
芳佳「え、あの…!?」
クロウ「降りて避難でもしていろ」ビュゥウン
芳佳「あっ!」
美緒「……あれは、キトゥンと同じ能力…!?」
840: 2014/12/28(日) 15:57:51.44 ID:ilNBG1Jf0
クロウ「まて! ネヴィもどき」ビュゥン
ネウロック「ー!」ビー
クロウ「!? ……速い、光線か?」ヒュン
ネウロック「―! ―~!!」ビビー
クロウ「忙しい攻撃だな。 あいつが言うくらいだ、まだ何かありそうだが…」ヒュン ヒュン
ネウロック「……」
ネウロック「ッ!!」ガシィイン
クロウ「! 変形した!?」
841: 2014/12/28(日) 16:00:05.21 ID:ilNBG1Jf0
ネウロック「…――ッ」ゴォォオ
ヒュォオンッ
クロウ「なにっ!? 速い!」
ネウロック「―!」ビー
クロウ「く…っ!」サッ
クロウ「なんて怪物だ、あんな図体で!」
クロウ(…こいつを捕まえるには――)
――ヒュゥン
ネウロック「―…!?」ガゴッ
クロウ「! …これは、キトゥン!?」
842: 2014/12/28(日) 16:01:28.45 ID:ilNBG1Jf0
ヒュゥン ビュン
ネウロック「!」ゴォオ
ネウロック「ー―~―」ヒュン ヒュン
ネウロック「―ッ…?……!」バコォ ゴン
キトゥン「てやぁーー! それそれー!」ビュン ビュン ビュビュン
キトゥン「ガリアの人達の怒り、くらえー!」
シアネア「……キトゥン、待ちなさい」
キトゥン「それから昨日やられたロマーニャとかの人達と、ルッキーニを泣かした分ー!!」ビュン
キトゥン「ペリーヌさんを悲しませた分―! 芳佳と美緒さんを襲った分ーー!!」ビュン ビュン
シアネア「……」
843: 2014/12/28(日) 16:04:04.59 ID:ilNBG1Jf0
クロウ「しめた! 投礫で敵の動きが鈍ってる」ビュゥウン
ネウロック「ッ…――」ゴォォ
クロウ「……くそ、まだ追いつけない!」
――ヒュゥンッ
ネウロック「―ッッ!」ボガッ
クロウ「! …今だっ!」
ネウロック「~~…」ヨロ
ビュゥウンッ
ネウロック「!」
クロウ「……捕まえたぞ」ピト
844: 2014/12/28(日) 16:06:28.89 ID:ilNBG1Jf0
クロウ「はぁっ!!!!」グワァァン
ネウロック「ッっーッ!? …~」ズズン
ネウロック「…~ッ……!」
クロウ「無駄だ。 私が今お前の中心に何倍も重力をかけてる、自分の質量に縛られろ」
クロウ「…よし、今だキトゥン!」
ヒュゥン ヒュンッ――
ネウロック「ッ……!!」ベキィ ボコッ ドゴン
ネウロック「…-……っ~…!?!」バギン バゴォ ゴギャッ
ネウロック「――――!」ゴンッ バギャ ベキィ
クロウ「…! なんだ、赤い光が……これがこいつの弱点か?」
845: 2014/12/28(日) 16:08:26.22 ID:ilNBG1Jf0
ダスティ「…ニャア」
キトゥン「ぜぇ……っはぁ…。 コアがみえた…はぁっ……よ、よぉ~し」ヘト
キトゥン「最後にいっぱつ~~! これはわたしの――」
シアネア「止めなさい、重力姫!」スッ
キトゥン「…!!?」ゾク
ダスティ「ッ!」ピクッ
キトゥン「……な、なに今の?」ヨロ
キトゥン「…あれ? …………あれ、なんで?? 能力がでない!?」
シアネア「聞きなさい、キトゥン」
キトゥン「ちょ、シアネア! これアンタがやったの!?」
シアネア「もはや重力姫だけの手でこの夢は戻りません。 彼女が混沌に飲まれかかっています」
キトゥン「彼女? …だれ?」
シアネア「あなたがとどめを刺せば、英雄の灯にとって代わってしまう」
キトゥン「……??」
846: 2014/12/28(日) 16:10:56.68 ID:ilNBG1Jf0
シアネア「続けるべき夢のため、私は彼女に干渉します。 キトゥン、あなたも彼との約束を果たしなさい」
キトゥン「だから彼とか彼女とか、誰なの!? 約束って…??」
シアネア「伝言を伝えるのです」
キトゥン「伝言? ………………あっ!!」
シアネア「私ではなく、彼の言葉で彼女を救いなさい。 それがこの夢の混沌を祓います」
キトゥン「ま、まってよ! でもあれ、誰に伝えるのか聞いてなくて――」
シアネア「耳を澄ましていなさい……」フッ…
キトゥン「ちょ!? 消えたっ!! …シアネア!?」
ダスティ「……」
キトゥン「……耳をすますって」ス
キトゥン「! …まさか通信機のこと?」
847: 2014/12/28(日) 16:46:01.28 ID:ilNBG1Jf0
芳佳「ネウロックが…!」
美緒「っ……いったい何がどうなっている? …ぅ!」ヨロ
芳佳「坂本さん、大丈夫ですか!?」
美緒「あ、ああ。 宮藤、とにかくお前は――」
シアネア「怪異を倒しなさい」ユラ…
美緒「!?」ビク
芳佳「わっ!! うぇ、えぇ!? 急に人が……お化けっ!?」
シアネア「こちら側の責任として助力はしました。 しかし、この夢を戻すのはあなた達でなければなりません」
芳佳「???」
美緒「お、お前は?」
848: 2014/12/28(日) 17:04:34.30 ID:ilNBG1Jf0
シアネア「……」チラ
美緒「……何者だ? エイリアスやキトゥンと同じ世界の者なのか…?」
シアネア「今のあなたでは無理の様ですね」
美緒「何…?」
シアネア「ならばやはり……宮藤芳佳」ギョロ
芳佳「うぇ!? は、はい!」ビク
シアネア「あなたが怪異のコアを砕きなさい」
芳佳「っ…!」ドキッ
シアネア「クロウが怪異を止めていられる間にこの混沌の決着をつけるのです。 それが人の身で夢を繋げた咎を、縁を持って償う事にもなるでしょう」
美緒「た、確かに今なら奴を倒せる。 私はもう銃弾に魔法力を込めることすらままならないが……宮藤」
芳佳「で、でも私……もうこれ以上…戦争なんて…」
シアネア「……」
芳佳「戦うなんて……わたし…ぅ…」
849: 2014/12/28(日) 17:21:54.36 ID:ilNBG1Jf0
シアネア「…ある面において、生とは争い。 憎しみと無意味な淘汰が戦いとするのは人の奢り」
芳佳「ぇ…」
シアネア「この夢において、あなたの光にも意味はあるのです」
芳佳「私の…意味?」
シアネア「…キトゥン、約束を果たしなさい」
芳佳「ぇ…?」
ガザッ
キトゥン『やっぱり芳佳のことだったんだ!』ガザザ
芳佳「…!」
850: 2014/12/28(日) 17:32:15.89 ID:ilNBG1Jf0
キトゥン『芳佳、聞いてっ! 芳佳の力は多くの人を守るためのものだよ!!』
芳佳「!?」
キトゥン『約束、思い出してぇー!!』
芳佳「……約束…」
――その力で、みんなを守る様な立派な人になりなさい――
芳佳「ぉ……お父…さん?」
美緒「なに?」
シアネア「……」
芳佳「……」
芳佳(その力を、多くの人を守るために……)
851: 2014/12/28(日) 17:43:45.35 ID:ilNBG1Jf0
芳佳「…っ!」グッ
芳佳「……うん…、私にできること…。 みんなを……守るために!」チャキ
ネウロック「~~…ッ!」
芳佳「…………」
芳佳「…ごめんね……」ボソ
ダダダダダッ
ネウロック「ーーーー!」
ネウロック「」
バギィィイィン
852: 2014/12/28(日) 19:09:08.45 ID:ilNBG1Jf0
――――
――
―
美緒「……本当に帰れるのか?」
キトゥン「なんかシアネア…この子が言うには、すぐに帰らないとダメみたいで」
芳佳「そんな…」
シアネア「エイリアスが消滅した事で私達以外の干渉源はなくなりました。 これ以上この夢が荒れる前に元へと戻り、繋がった扉を完全に閉じます」
シアネア「そうすれば夢の改変により、ネヴィは消えるでしょう」
キトゥン「基地のみんなや他にエイリアスがばら撒いたネヴィに襲われてる人達を助けるためには、こうするしかないから…」
美緒「そうか。 …すまないな」
キトゥン「いえ、そんな…元々わたし達のせいっぽいですし」ワタタ
853: 2014/12/28(日) 19:13:01.33 ID:ilNBG1Jf0
芳佳「キトゥンさんっ! 私、キトゥンさんのこと絶対に忘れませんから!」
キトゥン「芳佳………うん、わたしも絶対忘れないよ!」ニコ
シアネア「それは無理です、キトゥン」
キトゥン「ちょ!? 変なこと言って水ささないでよシアネア!」
シアネア「混沌の繋がりは消え、存在の寄る辺のない異物は全て修正されます」
キトゥン「な、なにそれ……まさかフォーマット? ネヴィどころか、わたし達に関係する記憶も消えちゃうの!?」
美緒「なんだと?」
芳佳「そ、そんなぁ!?」ガーン
シアネア「厳密には消滅しませんが、これ以上の会話も意味を成すことはありません。 一刻も早く戻りなさいキトゥン」
ダスティ「……」
854: 2014/12/28(日) 19:14:53.81 ID:ilNBG1Jf0
キトゥン「意味があるとかないとか、そういうことじゃないよ。 友達とか大事な人に挨拶するのに理由なんているの?」
芳佳「キトゥンさん!」
シアネア「……」
美緒「ふっ、そうだな」クス
キトゥン「ね?」
シアネア「……わかりました、私はクロウと共にあちらで先に待ちます」
シアネア「しかし彼が広げた通路は既に元に戻り始めている、急ぎなさい」
キトゥン「うん、わかった」
シアネア「……」スタスタ
855: 2014/12/28(日) 19:19:12.92 ID:ilNBG1Jf0
キトゥン「…えっと。 ということらしいので、ごめんなさい、わたし元いた世界に帰ります」
美緒「……ああ、世話になったな」
キトゥン「えへへ、なに言ってるんですか美緒さん! 逆ですってば」
キトゥン「美緒さんのおかげで基地でもよくしてもらえたし……叱らもしたけど、わたしの為に色々してくれて感謝してます!」
美緒「…そうか」フフ
キトゥン「もぉ~! そんな遠慮しないで、いつもみたいに元気に笑ってくださいよ!」
美緒「! ……そうだな、湿っぽくした所で意味などないか」ウム
美緒「わっはっはっは!」
キトゥン「うんうん」ニコ
856: 2014/12/28(日) 19:21:48.97 ID:ilNBG1Jf0
美緒「キトゥン、お前は私の友であり仲間だ…とこしえにな? 住む世界など関係ない、我々の空はきっと繋がっている!」
キトゥン「はい!」
ダスティ「……」ヒョコ
美緒「お前もだ、麻畳。 私の代わりにキトゥンを頼んだぞ?」
ダスティ「…~」クァ~
美緒「はっはっは、相変わらずだな」
キトゥン(ダスティだってば!)
858: 2014/12/28(日) 19:27:17.59 ID:ilNBG1Jf0
芳佳「…キトゥンさん」オズオズ
キトゥン「芳佳も色々とありがとう、また怪我も治してもらっちゃったし」
芳佳「いえ、私の方こそ…」
美緒「宮藤、友との別れ際だ。 胸を張れ」
芳佳「で、でも……これでお別れなんて、寂しいですよぉ…」シュン
美緒「やれやれ」
キトゥン「…うん、正直言うとわたしも。 短かったけど、芳佳はわたしの大切な友達だもん!」
芳佳「!」
キトゥン「あ、ごめん。 実はそんなでもなかった…?」
芳佳「いえっ!! 私も、キトゥンさんとはずっと友達でいたいです!!」
キトゥン「あはは、なんかハッキリ言われると照れちゃう//(…ホントありがとう、芳佳)」
『おい! なにしてるキトゥン! 戻れなくなるぞ、急げ!!』
859: 2014/12/28(日) 19:32:49.81 ID:ilNBG1Jf0
キトゥン「あ、うん! もうちょっとだけ待ってー!?(クロウは相変わらずせっかち!)」
美緒「いよいよ行くのか」
芳佳「…あっ! そうだ!!」ハッ
美緒「ん?」
キトゥン「?」
芳佳「ちょっと待ってください! えっと…」ゴソゴソ
芳佳「これ、どうぞ!」スッ
キトゥン「…リンゴ?」
美緒「土産か?」
芳佳「キトゥンさんを最初に見つけた時も林檎を追いかけてたんです。 目を覚ました時に剥いてあげようと思ってたんですけど、忘れてて――」
芳佳「本当は今日のお昼にでも3人で食べようと、持って来たんですけど…」
キトゥン「…そっか」
芳佳「この町の人達がお返しにってくれた林檎です! とってもおいしいので、向こうで食べてください!」
860: 2014/12/28(日) 19:43:55.89 ID:ilNBG1Jf0
美緒「そうだな。 共に街を護ったお前にはその権利がある、貰っておけ」
キトゥン「……うん、ありがとう!」パシ
ダスティ「……」スス
キトゥン「あ、こら! 盗っちゃダメだからね!?」サッ
ダスティ「ニャア」
――ビュゥウウン
シュタッ
クロウ「いい加減にしろ! 時間が無い!!」
シアネア「キトゥン、あと1分で帰路を失います」スタ
キトゥン「え!? あ、ごめん!」
シアネア「…間に合いません、強制的に連れて行きます。 クロウも私に触れなさい」ガシ
クロウ「ああ」ポン
ダスティ「……」ピト
キトゥン「ちょ、ちょっと! わたし、まだちゃんと――」
シアネア「いきます…」ユラッ~
キトゥン「ま、待ってーー!!」
861: 2014/12/28(日) 19:48:33.88 ID:ilNBG1Jf0
美緒「キトゥン!!」
芳佳「キトゥンさんっ!!」
キトゥン「!」
美緒「…達者でな」
芳佳「絶対にまた会いましょうねー!」ブンブン
キトゥン「……うん、またね! みんなにもよろ…く… …」ユラ~
芳佳「さようならぁー!!」
キトゥン「……… 」スゥー
芳佳「…………」
美緒「……行ってしまったか」
芳佳「はぃ…」
862: 2014/12/28(日) 19:51:11.55 ID:ilNBG1Jf0
美緒「…ああは言ったが……少しだけ、寂しくなるかもな」
芳佳「ぇ…!?」
美緒「ん? なんだ?」
芳佳「ぁ、あぁ…なんでもないですっ!(坂本さん…)」
美緒「ふむ…。 それにしても、随分と忙しかった」
芳佳「……そうですね」
美緒「…………」
芳佳「…………」
美緒「……」
芳佳「…~――」クラァ
863: 2014/12/28(日) 19:55:11.71 ID:ilNBG1Jf0
芳佳「~っ! ぉっと…と…!?」ヨロ
美緒「! どうした宮藤、大丈夫か?」
芳佳「す、すみません。 なんだか急に力が抜けちゃって//」エヘヘ
美緒「緊張の糸が切れたのだろう。 無理もない」
美緒「…だが、まだ我々にはやる事がある! 気張るぞ!?」
芳佳「はいっ!」
美緒「まずは急いで基地に連絡だ! いつ消えるのかわからんが、未だネヴィと交戦中ならばすぐ援軍に戻るぞ」
芳佳(…ネヴィ?)ポケ
美緒「……なんだ宮藤、へばって返事もできんか?」
芳佳「あ、いえ! すみません坂本さんっ!」ワタワタ
美緒「?」
864: 2014/12/28(日) 20:12:14.42 ID:ilNBG1Jf0
芳佳「…そのぉ、あの。 今の“ネヴィ”ってなんでしたっけ…?」
美緒「!? …お、おい宮藤。 何を言って…」
芳佳「ネウロイ…じゃ、ないんですか??」
美緒「……!?」
美緒「…………これは、まさか――」
西暦1945年某日。 オラーシャ帝国への急襲から始まり、ガリア共和国、ロマーニャ公国をネウロイが襲った一連の騒動は、ウィッチの活躍によって親玉ネウロイの撃破で治まりを得た――…と一時囁かれた。
しかし、この事件が歴史や記録に語られることは一切として無く。ウィッチと共に空を舞った少女の活躍もまた、ただ一人を除いて思い出す者はいなかった。
869: 2014/12/28(日) 23:21:03.11 ID:lDxkAmFLo
乙です
865: 2014/12/28(日) 20:14:28.58 ID:ilNBG1Jf0
(・×・)<もちょっと続くゾ!
866: 2014/12/28(日) 20:30:28.96 ID:ilNBG1Jf0
【エピローグ】 ~グラビティ・ウィッチに忘却なし~
―空中都市 ヘキサヴィル―
旧市街オルドノワ 下層
土管の家先
キトゥン「ちょっと出掛けてくる」ヒラ
ダスティ「……」トテトテ
ゲイド「…またセンタリアレに行くのか?」
キトゥン「ん、今日はお散歩。 ちょっとゆっくりしたい気分なの♪」
ゲイド「だったら家にいればいいじゃろ」
キトゥン「……さすがに一日中ここにいたら気持ちも暗くなっちゃうじゃん」
871: 2014/12/29(月) 00:40:55.72 ID:tt7wuxYZ0
ゲイド「偶にはわしが話し相手になってやるぞ?」
キトゥン「それはまた今度ね? それじゃあ、いってきま――」
シアネア「…キトゥン」パチ
キトゥン「わっ…!? お、おはようシアネア。 なに?(うぅ…あっちのシアネアだ)」
シアネア「まさか、まだ憶えているのではありませんか?」
キトゥン「えっ!!」ギクッ
シアネア「……」
キトゥン「な、なにが?」
シアネア「…………」
キトゥン「っ…」
シアネア「……そうですか」
キトゥン「…はぁ」ホッ
872: 2014/12/29(月) 00:43:54.94 ID:tt7wuxYZ0
キトゥン「そ、それじゃわたし急ぐからっ! …ダスティ、行くよ!」ブワッ
ダスティ「ニャア」ピョン
ビュゥウンッ
シアネア「……」
ゲイド「…あいつ、嘘が下手だな」
シアネア「……」
ゲイド「お前さんにそんな茶目っ気があったとはな。 わざわざ聞かなくたってわかってるんじゃろ?」
シアネア「…重力姫の精神は夢の修正に耐性を持ちつつあります」
ゲイド「あっちの世界でそうだった様にか?」
シアネア「向こうでそうだったからこそ……です」
873: 2014/12/29(月) 00:47:01.74 ID:tt7wuxYZ0
ゲイド「けど完全じゃないじゃろ? さすがに」
シアネア「ええ。 人は神になれません。 彼女は“導”を所持しています」
ゲイド「ダスティか?」
シアネア「いえ、守護者はこちらの導となる者。 重力姫の記憶を繋いでいるのは、彼女が持ち込んだ“証”」
ゲイド「……いいのか?」
シアネア「私がこれ以上この夢に干渉することはまだ出来ません」
ゲイド「修正は干渉にならないと思うがな。 お前さんなら一瞬じゃろ?」
シアネア「…今私が可能な範囲で、アレを消すことは無理でした。 恐らく楔と繋がっているのでしょう」
ゲイド「!! ……たしか扉はもう閉じてるんじゃったな? てことは…」
シアネア「はい、無理です」
874: 2014/12/29(月) 00:48:37.04 ID:tt7wuxYZ0
ゲイド「…なんてこった。 でもまぁ…いいか、わしにはどうしようも出来んし」
シアネア「……創造主よ、この歪みの端はあなたが――」
ゲイド「いや待て、そもそもあんな奴が入って来ることなんぞ解りようがない。 平行世界はわしの畑違いじゃ」
シアネア「……」
ゲイド「キトゥンにどんな恨みがあって来たのか解らんが、あいつのせいじゃろ」
シアネア「……」
シアネア「…………zz」
ゲイド「……」
875: 2014/12/29(月) 00:52:21.28 ID:tt7wuxYZ0
旧市街オルドノワ 表層
街道 路地
キトゥン「はぁー…」スタスタ
ダスティ「……」トテトテ
キトゥン「昨日まではあんなに賑やかだったのに、なんだか2人暮らしが寂しくなっちゃったかも。 シアネアはおとなしいし」
ダスティ「ニャア」
キトゥン「あ、そっか。 ごめん、お前もいるよね? 2人と1匹暮らし」
ダスティ「……」
キトゥン「朝早くに体動かしてたり、大勢で賑やかに食事したり楽しかったなぁ! …みんないい人たちだったね?」
ダスティ「……」
キトゥン「…こらダスティ、お前も憶えてるんでしょ? なんとなくわかるよ」
ダスティ「…~」クァ~
876: 2014/12/29(月) 00:57:36.79 ID:tt7wuxYZ0
キトゥン「もぅ…」ゴソゴソ
ダスティ「!」
キトゥン「これなーんだ?」
ダスティ「ニャア!」ピョン
キトゥン「ほら憶えてる! ダメだよ、このリンゴはわたしの!」サッ
ダスティ「……」
キトゥン「そ、そんなにしょげないでよ…。 約束どおりホットドッグ買ってあげるから」
ダスティ「…ニャア」カリカリ
キトゥン「え? ……あ、あー。 うんうん、タタミもね(どこに売ってるんだろう…?)」
ダスティ「~…」
877: 2014/12/29(月) 01:01:44.60 ID:tt7wuxYZ0
キトゥン「……でもさぁ? こうしてフラフラしてると、ちょっと期待しちゃうよね――」
キトゥン「また後ろから抱き着かれちゃうんじゃないかなーって」
ダスティ「……」
キトゥン「“うじゃ~~”ってさ♪」
ダスティ「…ゥニャー」
キトゥン「あはは、似てる似てる! うじゃ~!」
――そ~っ
キトゥン「――!?(後ろに気配!)」
キトゥン(……まさかっ!?)バッ
シドー「うわあっ!! な、なんだよ…バレてたのか」ギク
キトゥン「あ、シドーか(なんだ…)」
878: 2014/12/29(月) 01:04:33.82 ID:tt7wuxYZ0
シドー「やぁ、キトゥン! 見つけたからちょっと脅かしてやろうと思ってさ?」
キトゥン「……まぁ、そうだよね。 いるわけないもん」ハァー
ダスティ「ゥニャ~」
シドー「おいおい、なんだよ? 誰かと間違えたのか?」
キトゥン「…もしシドーが胸触ったらひっぱたくから」ジト
シドー「いや、なんの話だよ…。 ていうか俺は敏腕の警務官だぞ? ちゃんと胸は大きくないと何とも思わ――」
キトゥン「なっ!!? なにそれ? ひどい! ちかんっ!」ムッ
シドー「えぇ!?」ガビーン
ダスティ「……」
879: 2014/12/29(月) 01:09:46.88 ID:tt7wuxYZ0
キトゥン「…というか、制服着てるってことは仕事中でしょ? こんなことしてていいの、敏腕警務官さーん?」ジト
シドー「あ、そうそう! そのことでこの数日ずっとキトゥンを探してたんだよ!」
キトゥン(うわぁ、いやな予感…)
シドー「また手伝ってくれないかな? 今回の事件は結構大きくてさ! 最近手柄をあげてないから、ここいらで一発どうしても欲しいんだよ」ヘラ
キトゥン「…たまには自分で手柄をあげてみるのもいいんじゃないの、敏腕なら(わたしを探し回ってる間に何かできたでしょ)」
シドー「そうは言っても相手はあのエイリアスだし…」
キトゥン「えっ! うそ!?」ガーン
シドー「あ、いや…多分また成りすましの嘘予告だと思うんだけどさ。 前の偽物騒動の一件以来、愉快犯が増えてるみたいで」
キトゥン「……なんだ。 もぅ、驚かさないでよ!」
シドー「でも本物の可能性も無いわけじゃないからさ…一応キトゥンにも協力してもらおうかと思って」
880: 2014/12/29(月) 01:11:56.74 ID:tt7wuxYZ0
キトゥン「あのねぇ、そんなわけないじゃん! あいつはもう2回も氏んでるんだよ?」
シドー「2回…?」
キトゥン「そうっ! もぉ~こっちは大変だったんだから!」
シドー「?」
ダスティ「……」ウズウズ
ダスティ「ニャア」ピョン
キトゥン「あ! こらダスティ! このリンゴは駄目だってば!?」
ダスティ「~~」ベシ
キトゥン「きゃっ!」
ポテンッ
ゴロゴロゴロ…
881: 2014/12/29(月) 01:14:57.68 ID:tt7wuxYZ0
キトゥン「…あーっ!」
ダスティ「……」
シドー「あらら、転がって行っちゃった。 ここの傾斜って確か広場の近くまで続いてたような…」
キトゥン「重力スライドで追っかけるよダスティ!」バッ
ダスティ「…………」
キトゥン「…タタミ、いらないの?」ボソ
ダスティ「ニャア!」ブワァン
シドー「え、拾いに行くのか!? それくらい俺が奢るから、捜査の手伝いを――」
ビュゥウウン
シドー「っておーーい!」
――――
――
―
882: 2014/12/29(月) 01:35:52.25 ID:tt7wuxYZ0
少女「…………」ヨロヨロ
コロコロ…
少女「……?」
コロ…
少女「………たべも……の…」
少女「……」ヨロヨロ
少女「……」ヒョイ
少女「…………」
――ビュゥウウン
ザザザァッ
キトゥン「ちょっと待ってぇー!」
ダスティ「~…」シュタ
883: 2014/12/29(月) 01:37:38.63 ID:tt7wuxYZ0
少女「……」
キトゥン「あの…。 そのリンゴ、お姉さんが落としちゃったんだ」
少女「……」
キトゥン「だから返してくれないかな?」ネ?
少女「……」
キトゥン「……」
少女「…………」
キトゥン「………えぇ~とぉ…」ポリポリ
少女「……」グゥー
キトゥン「!」
884: 2014/12/29(月) 01:39:46.62 ID:tt7wuxYZ0
少女「……」
キトゥン「…君、ご飯食べてないの?」
少女「……」コク
キトゥン「……」
少女「……」グゥー
キトゥン「お腹空いてるならいいよ、食べて」
少女「……」コク
ダスティ「! ニャア!」ペシ
キトゥン「お前は我慢しなさい!」
ダスティ「……」
少女「はぐっ…、…~っ…」シャクシャク
キトゥン「あっ! ちょっと待って、そのままだと汚いよ!?」
885: 2014/12/29(月) 01:41:47.02 ID:tt7wuxYZ0
少女「んぐ……ぁぐ…」ムシャムシャ
キトゥン「…す、すごい勢いで食べてる!(そんなにお腹が空いてたの?)」
少女「~~」モグモグ
キトゥン「……君、こんな所でなにしてたの? お父さんとお母さんは?」
少女「…んぐ……パパもママも、まだ帰ってこない」
キトゥン「お仕事?」
少女「ううん、お買いもの」
キトゥン「ふぅーん。 子供を外に置いて買い物なんて無責任だなぁ」
少女「…ルゥはおうちにいたよ」
キトゥン「? ルゥちゃんって…君のこと?」
少女「うん。 ……ルゥはおうちでお留守番してたよ」
キトゥン「え? じゃあルゥちゃん、お家から出てきちゃったの?」
少女「うん。 だっておうち壊されちゃったんだもん」
キトゥン「??」
タッタッタッ
シドー「おーいっ、キトゥン!」
886: 2014/12/29(月) 01:44:07.91 ID:tt7wuxYZ0
シドー「ぜぇ……はぁ…! ま、待ってくれよ…っ!」ガク
キトゥン「ねぇシドー、この女の子迷子かも。 なんとかできないかな?」
シドー「ぇ…? ……なんだこの子? お前のリンゴ食ってるじゃないか」
少女「……」シャクシャク
キトゥン「すっごくお腹が空いてたみたいで…。 両親は買い物中で、家は壊されたんだって……どういうことかわかる?」
シドー「それって、……この汚れた格好は多分…」
キトゥン「なに? わかるのシドー!?」
シドー「そりゃ……この女の子の親も家も、重力嵐で亡くなったんだろ」
キトゥン「ぇ…!」
887: 2014/12/29(月) 01:46:25.48 ID:tt7wuxYZ0
シドー「お嬢ちゃん、お父さん達を待ってどれくらい経つんだい?」
少女「……」モグモグ
シドー「…………あれ?」
キトゥン「ルゥちゃん、パパとママいつから帰ってこないの?」
少女「わからない、…ずっとまえ。 ルゥのたんじょう日のケーキを買いにいったの」
キトゥン「……ルゥちゃん、今何日かとかってわかる?」
少女「……」フルフル
キトゥン「……」
シドー「重力嵐の大災害でスラム化したのは大人だけじゃないんだよな…。 むしろ身寄りも何もかも無くした子供の方が気づかれにくいし」
キトゥン「そ、そうなの…?」
シドー「ああ。 社会的な繋がりもある大人と違って、親や親戚がいなければ小さな子供なんかは誰にも探されないよ」
シドー「消えた区画と一緒に大半の行方不明者も戻ってきたけど、全員じゃないし……その子と同じことになってる人も多分まだそこそこいると思うぞ」
キトゥン「そんな…」
少女「……」ムシャムシャ
888: 2014/12/29(月) 01:49:35.94 ID:tt7wuxYZ0
シドー「あの重力嵐の件からだとしたら、少なくとも1年以上はこんな生活してたってことだよな…。 正直よく生きてたと思うよ」
キトゥン「……シドー。 偽物の捜査手伝う代わりに、頼みがあるんだけど」キリ
シドー「わかってるって。 俺だってこんな子ほっとけないし、…管轄外なんだけど保護してもらえるようになんとかやってみるよ」
キトゥン「うん、ありがと! さすが敏腕お巡りさん!」
シドー「警務官!」
キトゥン「…ルゥちゃん、もう大丈夫だよ! このオジサンがなんとかしてくれるからね?」ニコ
シドー「お、おじさん…」ガーン
少女「……パパとママは?」
シドー「ぅ…! そ…それはね、お嬢ちゃん――」アセアセ
キトゥン「パパとママはお姉さんが探してみるから、ちょっと待っててね?」
889: 2014/12/29(月) 01:52:47.40 ID:tt7wuxYZ0
シドー「!? おいキトゥン、そんな事言って大丈夫かよ? この子の親は多分もう…」
キトゥン「わかってる! でも確認もしてないのに諦めろなんて、そんなの酷いよ。 わたしが一度探してみる」
シドー「探すって……エイリアスの件はどうするんだよ?」
キトゥン「そっちも探すから大丈夫、ちゃんとやるから」
シドー「できれば先に俺の方をやって欲しいんだけど…」
キトゥン「……ねぇ、シドー? わたしのこの能力ってさ、護るためにあると思わない?」
シドー「え…?」
キトゥン「いたずらの犯人を懲らしめるのも大事だと思うけど、みんなを悲しいことから護りたいよ! この能力で」
キトゥン「あの子なら、きっとそうする!」ムン
ダスティ「ニャア」
シドー「あの子…?」
890: 2014/12/29(月) 01:57:58.76 ID:tt7wuxYZ0
少女「……ごちそうさま…でした」ペコ
シドー「お、偉いね……て、ぅわっ! 芯まで食べたのか!?」ギョッ
少女「…おねいちゃん……ありがとぅ」
キトゥン「うん、すっごくおいしかったでしょ?」
少女「……」コク
ダスティ「……」
少女「……これ、埋めればまた食べれる…かな?」スッ
シドー(あ、種は残したんだ)
キトゥン「そうだね、ルゥちゃんが大きくなるころにはきっといっぱいリンゴができるよ!(リンゴの木とか全然詳しくないけど)」
少女「~…」ギュ
キトゥン「…これから一生懸命生きて、頑張って育てて行こうよ!」ニコ
少女「……」コク
シドー「フッ」ニコ
891: 2014/12/29(月) 02:03:15.23 ID:tt7wuxYZ0
キトゥン「……ねぇルゥちゃん? その種、ひとつだけお姉さんにくれないかな?」
シドー「?」
少女「…うん。 ……はぃ」スッ
キトゥン「ありがとう!」ヒョイ
シドー「そんなの、貰ってどうするんだ? まさか本当に埋めるのか?」
キトゥン「ふふん、これは お・ま・も・り ♪ 大事な友達のおもいでなの!」パシ
シドー「おもいでぇ? ……林檎の種が?」
キトゥン「それよりさシドー、わたしもお腹空いちゃった!」ニマ
シドー「はい…?」
キトゥン「いつも仕事手伝ってるんだからさぁ、ホットドッグ奢ってよ?」
ダスティ「!」ピク
892: 2014/12/29(月) 02:05:27.16 ID:tt7wuxYZ0
シドー「ぇ…なんで俺が」
キトゥン「さっき奢るって言ったじゃん!」
ダスティ「ニャア!」
シドー「げっ、中途半端に聞かれてた…」
少女「…?」
キトゥン「ルゥちゃんも一緒に食べよ? オジサンが奢ってくれるって!」
少女「……」コクコク
ダスティ「…ニャア!」ペシペシ
キトゥン「わかってるよ、お前の分も買ってもらうから」
ダスティ「~~!」ピョン
シドー「あの、いや――」
キトゥン「ほらほら! 広場で売ってるから、行こう行こう!」グイー
シドー「ちょ、勘弁してくれぇ!?」ヨロ
おしまい
893: 2014/12/29(月) 02:16:39.04 ID:tt7wuxYZ0
更新も遅く、最初から最後まで横着してしまってすみませんでした
そんな中でも見てくれた方、レスをくれた方々に感謝します
以降書きたいものは沢山ありますが、クロス無しでキトゥンの話もやってみたくなりました
そんな中でも見てくれた方、レスをくれた方々に感謝します
以降書きたいものは沢山ありますが、クロス無しでキトゥンの話もやってみたくなりました
894: 2014/12/29(月) 09:09:49.70 ID:2Eb/Diffo
乙です
895: 2014/12/29(月) 12:39:30.42 ID:lo1PzOshO
おつでした
キトゥンの事を思い出せるのって結局誰だったの?坂本さん?
キトゥンの事を思い出せるのって結局誰だったの?坂本さん?
896: 2014/12/29(月) 17:52:04.76 ID:tt7wuxYZ0
>>895
坂本さんです。出涸らしになったプレシャスジェムを持っていたので
芳佳があげたリンゴと紐づいてしまって消え難くなってます。シアネアが言った導と楔はこの2つのアイテムの関係のこと
坂本さんです。出涸らしになったプレシャスジェムを持っていたので
芳佳があげたリンゴと紐づいてしまって消え難くなってます。シアネアが言った導と楔はこの2つのアイテムの関係のこと
897: 2015/01/21(水) 02:25:17.13 ID:ztbutppV0
おお、完結してたお疲れ様ー
DAZEのSSとかはじめて見たから完走できて何よりです
DAZEのSSとかはじめて見たから完走できて何よりです
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります