49:◆GWARj2QOL2   2017/05/14(日) 23:38:23.45 ID:RTjDP4q9O





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チェイス「雛見沢…」その1

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仮面ライダードライブ TK10 仮面ライダーチェイサー


知恵「…は、はーい!じゃあ…岡村君?この問題は分かりますか?」

岡村「は、はい…えっと…」

富田「…」

岡村「え、えっと…こ、こう…でしょ…うか…?」

チェイス「違う」

岡村「ヒイッ!!?」

富田「うわっ!!?」

チェイス「文章を良く読め。大概の計算問題は文章にヒントが書いてある」

岡村「は、はいぃ…」

知恵「…」

チェイス「人間が作った問題だ。同じ人間に解けない筈はない」

岡村「はひぃ…」

…。

圭一「・・・」

魅音「・・・」

レナ「・・・」

沙都子「…」

梨花「…」

沙都子「…梨花?」

梨花「…」

沙都子「…どうして、こうなったんですの?」

50: 2017/05/14(日) 23:39:12.51 ID:RTjDP4q9O
…。

……。

梨花『機械生命体…ロイミュード…』

知恵『…これは…現実…なの…?』

校長『…』

チェイス『現実かどうか、それは知らない。ただ俺は自分の役目を果たしに来た。それだけだ』

校長『…その為に、未来から…』

チェイス『そうだ』

校長『…チェイスさん』

チェイス『…』

校長『…この老いぼれの耳が腐ってなければ確かに、何かが、この村を襲うと聞きましたが…』

チェイス『そうだ』

校長『それは、いつ、なのですか?』

チェイス『…少なくとも、今のままではお前達は7月を迎えることすら出来ない』

知恵『!』

校長『…ほう…』

チェイス『そうならない為に、まず情報を集めたい』

梨花『…』

校長『…古手さんは、この事を?』

梨花『…』

チェイス『梨花。嘘を吐くな。この男に嘘は通じない』

梨花『…!』

知恵『…』

校長『…人生経験は、貴方達よりは上ですからな…人を見極める力はそれなりにあると思いますが…』

梨花『…』

校長『…』

梨花『…話せば、長くなる。…だから、少しだけ』

校長『どうぞ』

知恵『…古手…さん…』

梨花『私も貴方達も、もう何百回も氏んでる』

知恵『!!』

校長『…!』

51: 2017/05/14(日) 23:39:53.57 ID:RTjDP4q9O
梨花『その度に、世界をやり直してる。…「今」、この世界は33年振りだけどね』

校長『…参りましたな』

知恵『…あ、あの…』

校長『…そのような事に、今まで気づかなかったとは…』

梨花『無理もないわ。記憶が残るのは私だけだもの』

知恵『…あの』

校長『知恵先生。このお二方は嘘なぞ吐いてはおりません。本心です』

知恵『…ですが、あまりに突拍子もない…』

校長『その為に、彼は正体を明かしてくれた。それにそう考えれば彼が何故この学校に来たのかも合点がいく』

知恵『…』

梨花『…』

校長『…雛見沢村の住人全員の命の危機。もしも、それが本当だとしたら…』

チェイス『…』

校長『…迷う必要はありませんな』

梨花『…じゃあ』

校長『私達で良ければいくらでも力になりましょう。場合によっては警察にも…信じてはもらえないかもしれませんが…』

チェイス『…ありがとう』

…。

……。

52: 2017/05/14(日) 23:40:38.07 ID:RTjDP4q9O
魅音「…うーん…にしても、あの左之助って先生にゃー驚いたね」

レナ「そうだねぇ。沙都子ちゃんのトラップも簡単に避けられちゃったし」

沙都子「うぐぐ…精度をもっと高めねばなりませんわね…」

魅音「オマケにあのポーカーフェイスだしねぇ…自己紹介の時も今も、眉一つ変わってないよ」

圭一「…梨花ちゃんの知り合い…なんだよな?ならどういう人なのか、知ってるのか?」

梨花「みー…ボクも久し振りにお会いしたので、細かい事は分からないのですよ」

圭一「…そ、そっか」

梨花「…」

チェイス「…勉強は、進んでいるか?」

圭一「うわっ!?」

チェイス「…」

魅音「あ、あははー…な、何とか…」

チェイス「…前原、圭一」

圭一「えっ?」

チェイス「…竜宮、レナ」

レナ「は、はうっ?」

チェイス「…園崎、魅音」

魅音「!」

チェイス「…お前達は、いつも3人で勉強をしているのか?」

魅音「…え、え…ええまあ!ほら!アタシらしか年長組はいないし…」

レナ「で、でも!圭一君がいつも教えてくれてて…」

チェイス「…そうか」

梨花「…」

チェイス「…圭一」

圭一「は、はい?」

チェイス「計算が途中から合っていない」

圭一「え?…あ」

チェイス「人に教えるのならば、もっと責任感を持って教えるべきだ」

圭一「…」

チェイス「レナと魅音はお前を信頼して、全てを委ねている」

魅音「え?す、全てはー…あはは…」

レナ「あ、あはは…」

圭一「…」

チェイス「…」

梨花「…」

53: 2017/05/14(日) 23:41:30.27 ID:RTjDP4q9O
梨花「(…結局あれから普通に授業して、お弁当食べて…)」

魅音「…んー…」

圭一「…」

梨花「(今日もこのまま、何も変化せずに終わるのかしら…)」

魅音「…これっ!!」ヒョイ

圭一「がっ…!?」

魅音「はーい!私の勝ちー!」

沙都子「おーほっほっほ!圭一さんのビリッッケツ決定!ですわね!」

圭一「あああああああ!!!昨日のカードはどうした!昨日の傷付きカードは!」

魅音「バレたのに使う訳ないじゃーん☆」

圭一「何ぃぃぃぃぃ!!?この卑怯者ぉぉぉぉおおおおお!!!」

魅音「あっはっはっは!まー新入りの通過儀礼だと思ってさー♪」

沙都子「さ!潔く罰ゲームを受け入れるんですのよぉ?」

圭一「うぐぐ…分かった!だが次はこうはいかねぇ!次は勝つ!絶対に勝つ!」

レナ「そうだよ圭一君!レナ応援してるからね!」

沙都子「…レナさん1番上がりでしたわよね?」

圭一「…さ!今日の罰ゲームは何だ!!」

梨花「(…けど、チェイスだって何か考えが…)」

魅音「はいよっ!…今日はぁ…これっ!」バサッ

梨花「(…でも、あの不器用が服着て歩いてるような奴に…)」

圭一「…なっ…?」

沙都子「今日の罰ゲームは…メイド服を着て村を練り歩く!ですわよ!」

圭一「…んなぁぁぁぁぁぁ!!?」

魅音「はいはーい!レナ!圭ちゃん抑えててー♪」

レナ「はう~…圭一君のメイド服姿…見たいよぅ、見たいよぅ」

圭一「お前ら…!覚えてろよー!!!」

梨花「(…でも、さっき…)」

沙都子「おーほっほっほっほ!それは負け犬の遠吠えと言うんですのよ!!」

圭一「だああああああ畜生ぉぉおおおおお!!!」

梨花「(確かに…チェイスは圭一に…)」

…。

54: 2017/05/14(日) 23:42:14.19 ID:RTjDP4q9O
圭一「…あーもう…何たってこんな格好…」

魅音「似合ってる似合ってる。可愛いよぉ」

圭一「嬉しくないんだよ!レナは俺の事お持ち帰りしようとしてたし…村の人はめちゃくちゃこっち見てくるし……ったく…」

魅音「あはは。そりゃそんだけ似合ってりゃみんな見るって」

圭一「嬉しくないんだよ!!」

魅音「…ちなみにそのメイド服…前に着たのはレナだよ」

圭一「えっっ!!?」

魅音「もしかして、洗ってなかったかも…」

圭一「えっっっ!!?」

魅音「……あーっはっはっはっは!!!圭ちゃん顔真っ赤ー!!」

圭一「…!!!み、魅音ー!!!」

魅音「あっはははは!!!ごめんごめんって…あはは…」

圭一「ったく…からかうのも大概にしろよなー…」

魅音「やー…でも圭ちゃん何だか元気無かったみたいだからさー…」

圭一「え?」

魅音「ん?」

圭一「そ、そうだったか?」

魅音「そうだよぉ。ずーっと何か考え事してた」

圭一「…」

魅音「で?何かあった?」

圭一「…えっと…さ、魅音」

魅音「ん?」

圭一「…そのー…昔、此処で…」

魅音「…」

圭一「…バラバラ殺人があったって…」

魅音「・・・無かった」

圭一「!」

55: 2017/05/14(日) 23:42:53.45 ID:RTjDP4q9O
魅音「…」

圭一「…」

魅音「…でさー!圭ちゃん帰ってくる前の沙都子がねー?」

圭一「…」

…。

チェイス『レナと魅音はお前を信頼して、全てを委ねている』

…。

圭一「…魅音」

魅音「ん?…」

圭一「…大丈夫だ」

魅音「…」

圭一「何があったって、この村を嫌いになったりしない」

魅音「…」

圭一「俺に気を遣ってくれてるなら、嬉しい…けどさ」

魅音「…」

圭一「俺もこの村の住人だし、良いところも、悪かったところも、知ってみたい」

魅音「…圭ちゃん…」

圭一「…でも、無理にとは言わない。お前がそこまで隠すってのは、理由があるってことだから」

魅音「…」

圭一「…」

魅音「…圭ちゃん」

圭一「…」

魅音「…面白い話じゃ、ないけど…」

圭一「…」

魅音「…あのね…」

56: 2017/05/14(日) 23:44:31.14 ID:RTjDP4q9O
沙都子「~♪」ジュー

梨花「昭和50年、ダム建設計画の話が出てきてね。この村を全部沈めるって…」

チェイス「…」

梨花「勿論、住人達には手厚い謝礼金が支払われる予定だったわ。老人が多かったし、何より彼らはこの村を愛してやまなかったから」

チェイス「…しかし、住人達は立ち退きを拒否した」

梨花「そう。…拒否だけじゃ済まなかったけどね」

チェイス「…」

梨花「昭和53年。当時の建設大臣の娘が誘拐される事件が起こったわ」

チェイス「…」

梨花「結果的に救えはしたけれど犯人は捕まらず、事件は未解決のまま」

チェイス「…お前は、その時も既に?」

梨花「ご想像にお任せするわ。…そして、遂に起こったのよ」

チェイス「…例の、バラバラ殺人か」

57: 2017/05/14(日) 23:45:06.60 ID:RTjDP4q9O
梨花「そう。犯人は恐らく村人の誰か。相手は建設会社の現場責任者」

チェイス「…状況的に、そう考えるのが妥当だろうな」

梨花「この現場責任者が隣町の興宮警察署のとある狸刑事の知り合いでね。躍起になって雛見沢に関わろうとして。…でも後にこの男のせいで圭一やレナ達はこの村全体に畏怖の念を抱いてしまうの」

チェイス「…刑事…か」

梨花「?」

チェイス「続けろ」

梨花「…でもね、結局捕まったのは1人だけ。納得いかないみたい。このた…大石刑事は」

チェイス「…」

梨花「…それで、もう限界だって建設会社が引き上げてね、ダム開発は白紙になったのよ」

チェイス「…しかし、33年後は違った」

梨花「誰もいないんだから。そりゃ丁度良い土地が出来たって話じゃない」

58: 2017/05/14(日) 23:45:40.62 ID:RTjDP4q9O
チェイス「…」

梨花「…でも、そうはさせないんでしょ?」

チェイス「その為に俺はここにいる」

梨花「…そう」

チェイス「…やはり、寂しいか?」

梨花「…」

チェイス「…」

梨花「…野暮な質問、するものじゃないわよ」

チェイス「…」

梨花「…こういうのは、察して気を遣うってのが男ってものよ」

チェイス「…すまない」

沙都子「…さ!出来ましたわよ!左之助さん!梨花!今日はハンバーグですのよ!」

チェイス「…」

梨花「…ほら!左之助!沙都子の美味しいご飯なのですよ!」ポン

チェイス「…了解した」

59: 2017/05/14(日) 23:46:25.39 ID:RTjDP4q9O
圭一「…」

…。

魅音『ごめんね圭ちゃん。…隠すつもりじゃなかったんだけど』

圭一『いや、分かってる。…そんな内容、これから楽しもうって新入りに話せたもんじゃないしな』

魅音『…全く、富竹さんもお喋りなんだからなー…』

圭一『?知り合いなのか?』

魅音『まあね。あの人毎年、この時期になると来るんだ。綿流しのイベントを見に』

圭一『へー…あ、カメラマンって言ってたもんな…』

魅音『…あ!でね?でね?これがもー…でも…あ、良いや、言っちゃえ』

圭一『?』

魅音『あのね?監督の診療所の…あ、まだ行ったことなかったっけ?』

圭一『あの診療所か?そういえば…え?監督?』

魅音『…あ。ごめんごめん。入江先生っていうんだけどさ。…ちなみに監督っていうのは、雛見沢ファイターズっていうこの辺の少年野球チームの、ね?…現場監督とかじゃないよ?』

圭一『分かってるよ……で?その診療所がどうしたんだよ』

魅音『あのね!そこのナースの鷹野っていう人と富竹さんが、…んもっ…すっっごく!仲が良くってねー…』

圭一『…へー…』

魅音『巷の噂じゃ、綿流しは二番手、一番は鷹野さんじゃないかってさー』

圭一『そりゃ…そうかもなー…』

魅音『でしょでしょ!?そう思うよねー!』

…。

圭一「…信頼、か…」

圭一「…レナも、俺に気を遣って…」

圭一「…!」パン

圭一「…よしっ…」

圭一「明日からは、またいつも通りの俺だ!」

圭一「…」

圭一「…全てを…」

圭一「委ねて…」

圭一「…!……いかんいかん…妄想が…」

60: 2017/05/14(日) 23:47:19.62 ID:RTjDP4q9O
沙都子「どうですの?左之助さん」

チェイス「…何がだ?」

沙都子「どうって…」

梨花「…」

沙都子「美味しいかどうか!ですのよ!食事中なんですから!!味の評価に決まってるでございましょう!!?」

チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「俺に味を感じる機能は…」

梨花「ン゛ン゛!!!」

チェイス「…」

梨花「ン゛ッン゛ン゛!!!」

チェイス「…美味い」

沙都子「!…そ、そうでございましょう?私が作ったハンバーグなのですから………というより」

チェイス「どうした?」

沙都子「美味しいなら!!もっと美味しいって顔出来ませんこと!?ポーカーフェイスにも程がありますわよ!!」

チェイス「…」

沙都子「ほら、もっとこう…口角を上げて、にぱーっと…」

チェイス「口角を…」

梨花「…」

チェイス「…」ググ…

沙都子「…」

チェイス「…」グググググ…

沙都子「…」

チェイス「…」ギギギ…

沙都子「…笑おうという意思は伝わりましたわ…」

チェイス「…」

梨花「・・・」

沙都子「しかし、素直なのはとても良い事でしてよ。圭一さんももっと左之助さんのようになって欲しいものですわね…」

チェイス「…」ギチギチギチ

梨花「もう戻して良いのですよ」

61: 2017/05/14(日) 23:47:51.53 ID:RTjDP4q9O
…。

?「…あのアマァ…!」

?「…なぁにが2人で一緒に、幸せにだ…!」

?「上納金掻っ攫って、1人だけ逃げよってからに…!!」

?「…こいつぁ…ちっとばかしマズい事になった…」

「…?お!おいおい!」

?「ああ…?何じゃ。ワシャあ今…お」

「鉄っつぁんじゃねえか!久し振りだなぁ!ええ?」

?「…何じゃ。随分立派な店構えたもんじゃのう…」

「そりゃあな。鉄っつぁんのおかげだよ。全く…どうしたんだよ。世界の終わりみたいな顔しちまって…」

?「…」

「…まあ、なんだ!どうだい?ちょっと一杯…」

?「…悪ぃが、ワシは今…」

「良いって良いって!それにもう店じまいだ。余りモンで良けりゃ食ってきなよ」

?「…すまんのう…」

…。

62: 2017/05/14(日) 23:48:28.16 ID:RTjDP4q9O
「…は…はァ!?そ、園崎組の上納金を…!!?」

?「シッ…!!何処で誰が聞いとんのか分からん。あまり大きな声を出すな…」

「い、いや…だけどよ…そりゃちっとマズいぜ?…いや、ちっとじゃねぇ。本当に…」

?「…まあ、バレたら指の一本や二本じゃ済まん…な」

「指どころじゃねぇ。腕脚全部切り取っても足りねぇ…何たってそんな…」

?「…このナリと歳で稼ごうとしたって…今の世の中甘くねぇっちゅう事じゃろうな…」

「…」

?「そこに、あんクソアマの話が舞い込んできた」

「…成る程な」

?「…正直、命なんてどうでもええOちゅう額じゃったわ。金の力っちゅうもんは末恐ろしいもんじゃ」

「…」

?「じゃが、やっぱり人間、いざという時にゃ自分の命が惜しくなる。…今みたいに全部の責任押し付けられちまったらな」

「…そりゃ大層な女に引っかかっちまったもんだな」

?「…」

「どうすんだい鉄っつぁん。この先…」

?「…」

「園崎のモンが鉄っつぁんに気付いちまったら、俺だってどうにも…」

?「…その時の為に、な」

「?」

?「…保険はかけとるんよ」

「…保険?」

?「まあな。当てならある」

「…?」

?「…待っとれや…」

「…」

?「…沙都子よぉ…」

第3話 終

63: 2017/05/14(日) 23:48:55.60 ID:RTjDP4q9O
続きまたそのうち書きます

65: 2017/05/16(火) 02:26:42.47 ID:EWKU9rb+O
待ってるぜ

67: 2017/05/16(火) 21:32:31.09 ID:fjZgGhIsO
…。

羽入『り、りぃかぁ…辛いのは食べないで欲しぃのでひゅぅ…』

羽入『苦いのも嫌なのです!甘いのが良いのです!』

羽入『シュークリームにぃ…シュークリーム…シュークリームぅ』

羽入『…!買ってくれるのですか!?ありがとうなのです!あうあう!』

羽入『は、早く…!久し振りのシュークリームなのです…!』

羽入『…あ、あうあう!焦らすのはダメなのですよ!梨花!』

羽入『…!お、おいひぃのでひゅ…』

羽入『梨花!ありがとうなのですよ!にぱー☆』

68: 2017/05/16(火) 21:33:19.10 ID:fjZgGhIsO
…。

梨花「…」

梨花「…!」

梨花「…夢…」

梨花「…そうよね」

梨花「…羽入は、もう…」

チェイス「…」

梨花「…!」

チェイス「…」

梨花「…起きてたの?」

チェイス「睡眠機能はあるが、したところで意味は無い。だから起きてお前達の身の安全を確保する方が合理的だ」

梨花「…そう」

チェイス「…泣いているのか」

梨花「!…な、泣いてなんか…」

チェイス「涙が、流れている」

梨花「…ほんっと…デリカシーが無いのね…!」ゴシゴシ

チェイス「…」

梨花「…アンタには、一生かかっても分からないわよ…」

チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「俺も、涙を流したことがある」

梨花「!」

69: 2017/05/16(火) 21:33:53.23 ID:fjZgGhIsO
沙都子「zzz…」

梨花「…アンタが?」

チェイス「人は、嬉しい時や悲しい時に涙を流す」

梨花「…まあ、そうね…」

チェイス「俺は、悲しい時だった」

梨花「…」

チェイス「…」

梨花「…何が…あったの?」

チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「失恋だ」

梨花「寝るわ。静かにしててよ」

チェイス「…」

70: 2017/05/16(火) 21:35:00.42 ID:fjZgGhIsO
チェイス「…」

梨花「…そういえば、だけど…」

チェイス「どうした」

梨花「…今日の夕方、圭一が魅音に事件のことを質問するのよ。魅音が明日の朝教えてくれるから分かるわ」

チェイス「それは羽入から聞いた」

梨花「…もし圭一が発症していたら、明日になればすぐ分かるわ」

チェイス「何故だ?」

梨花「昼ご飯の時に机をくっつけるんだけど、その動作が少し遅いのよ」

チェイス「…そうか」

梨花「…ねえ、チェイス」

チェイス「どうした」

梨花「…アンタ、圭一に変な事言ってたけど、アレはどういう意味だったの?」

チェイス「…」

梨花「魅音やレナが、圭一を信頼してるって…」

チェイス「…俺達ロイミュードは、単純な能力の他にも人間に対するセンサーが備わっている」

梨花「…」

チェイス「あの二人が圭一に接する時、心臓の鼓動が少し早くなり、体温が上昇している事に気がついた」

梨花「…あー…」

チェイス「特に魅音は顕著に表れていた」

梨花「…何?アンタってそういう話好きなの?」

チェイス「…」

梨花「…意外ね。もっとドライな奴かと思ってた」

チェイス「俺はお前達のように感情を自由に表すことが出来ない」

梨花「…」

チェイス「だから、学びたい。人間のコミュニケーションというものを」

梨花「…なら、アドバイスしてあげる」

チェイス「…」

梨花「…時には、熱い男も悪くないものよ」

チェイス「…」

…。

『ベルトさん!』
『アンタみたいな奴、どー…にも嫌いになれないんだよな』
『うわっ…霧子ォ!!?』
『考えるの、やーめた』

…。

チェイス「本当か?」

梨花「今の間は何?」

71: 2017/05/16(火) 21:35:58.10 ID:fjZgGhIsO
…。

沙都子「…むにゃ…けいいちさーん…しゅぎょーがたりなくてよぉ…」

梨花「…」

チェイス「…」

梨花「…」ムク

チェイス「まだ朝ではない」

梨花「分かってるわよ…何だか眠れなくなっただけ」

チェイス「お前は人間だ。睡眠は取らなくてはならない」

梨花「村がヤバイってのに、そんな事一々気にしないでよ」

チェイス「…」

梨花「…分かった。分かったわよ。じゃあ…もう少し話し相手になりなさい」カチャカチャ

チェイス「…待て」

梨花「何?」

チェイス「それは、酒か?」

梨花「…そうだけど…」

チェイス「ダメだ。お前は子供だ」

梨花「んがっ…!?あ、あのねぇ…こう見えて、アンタの10倍は…」

チェイス「だが、身体は子供だ。未成年の飲酒は健康に著しく害を与える」

梨花「もう何度も飲んでるわよ。それにちょっと酔ったくらいが…」

チェイス「それだけではない。発育にも大きく響く」

梨花「余計なお世話よ」

チェイス「…ルールはルールだ。守らなければならない」

梨花「…はぁ…分かったわよ…もう…」

72: 2017/05/16(火) 21:36:47.26 ID:fjZgGhIsO
梨花「…アンタ、綿流しの儀式については聞いてる?」

チェイス「実物は見ていないが、古手神社の巫女が古い布団を裂き、その中の綿に願いを込めて川に流す儀式だと聞いた」

梨花「そ。…なら、大体知ってると思うけど…」

チェイス「…」

梨花「私は明後日から暫く帰るのが遅れる事になるわ。奉納演舞の練習があるから」

チェイス「…その間は」

梨花「心配は無用よ。その「何か」がやってくるのは綿流し後だから」

チェイス「…」

梨花「ただ、この子は別よ」

チェイス「…」

梨花「…私がいない間、沙都子は一人になる」

チェイス「…」

梨花「…つまり、あの男の格好の餌食になる可能性があるってわけよ」

チェイス「あの男…沙都子の、叔父か」

梨花「そう。この男ははっきり言って正真正銘人間のクズよ」

チェイス「…」

梨花「沙都子が発症するのは、この男のせい」

チェイス「…」

梨花「薬も打たず、虐待されて…沙都子は壊れてしまうの。…ただ」

チェイス「…ただ?」

梨花「…事件を起こすのは、沙都子ではない…」

チェイス「…」

梨花「沙都子の兄、悟史は知ってる?」

チェイス「ああ」

梨花「…彼が行方不明になってから、沙都子は心の拠り所を探していた」

チェイス「…圭一、か」

梨花「…察しが良いわね」

73: 2017/05/16(火) 21:37:38.92 ID:fjZgGhIsO
梨花「圭一が疑心暗鬼になる要因は、一つだけじゃない」

チェイス「?」

梨花「圭一はね、沙都子の兄になろうとしたのよ」

チェイス「…兄…」

梨花「そう。悟史の代わり。…沙都子も次第に圭一の事を兄のように慕っていってね…」

チェイス「…兄…」

梨花「…それだけで、終われば良かったのに…」

チェイス「…発症か」

梨花「ええ。そのせいで殺意を抑えきれなくなった圭一は沙都子の叔父、北条鉄平を頃してしまったの」

チェイス「…」

梨花「それだけじゃない。…貴方、北条家については聞いてる?」

チェイス「…何のことだ?」

梨花「…昔ね、沙都子が産まれた当時。北条家の人間は園崎、公由家と折り合いが付かなくてね」

チェイス「…」

梨花「村八分って言葉は、知っているかしら?」

チェイス「ああ」

梨花「それが今でも続いてる。北条家はこの雛見沢では忌み嫌われる存在なのよ」

チェイス「…魅音やお前とは、仲が良いのに、か…?」

梨花「田舎にありがちな風習よ。私も魅音も、こればかりはどうしようもない」

チェイス「…」

梨花「…圭一は、そんな背景を知って雛見沢に敵意を向けるようになってしまうの」

チェイス「…この子の、為にか」

梨花「そう。…行き過ぎた正義感。褒められたものではないわ」

チェイス「…沙都子の親は、今何処にいる?」

梨花「…その辺は、またその内話すわ」

チェイス「…」

梨花「…可哀想。だなんて思わないであげて」

チェイス「…」

梨花「…この子の、精一杯のプライドの為に、ね」

チェイス「…」

沙都子「…zzz…」

74: 2017/05/16(火) 21:38:21.57 ID:fjZgGhIsO
チェイス「何故、兄になろうとする?」

梨花「え?…さぁ、ね。…同情、かしら」

チェイス「家族になりたい。それは愛しているということではないのか?」

梨花「…どうかしらね。ただ、家族愛っていうのもあったかもしれないわ」

チェイス「家族…愛…」

梨花「異性としてではない。本当の妹のように」

チェイス「…そうか」

梨花「…」

チェイス「不思議だ」

梨花「?」

チェイス「何故、家族なのに虐待など…」

梨花「…ああ、叔父の事?」

チェイス「家族愛は、無いのか?」

梨花「…肩を持つ訳ではないけど、沙都子の親がしたことで少なからず影響はあったみたい」

チェイス「だが、その恨みを沙都子にぶつけたところで何も解決はしない」

梨花「それは、向こうもよく分かってる筈よ。けど、どうしようもないんでしょ」

チェイス「…」

梨花「行き場の無い怒りを、この子にぶつけるしかストレス解消法が無い」

チェイス「…」

梨花「アンタ、生きとし生けるもの全てを守るって言ってたわよね?」

チェイス「ああ」

梨花「…なら、どう?」

チェイス「…」

梨花「目の前で、沙都子が暴力を振るわれたら、貴方は北条鉄平をどうする?」

チェイス「振るわれる前に取り押さえる」

梨花「や…そうじゃないわね。じゃあ、もしも、北条鉄平が、沙都子の親権を盾に沙都子を奪ってしまったら、どうする?」

チェイス「…」

梨花「ルールはルールなんでしょ?これなら向こうに問題は無いわ」

75: 2017/05/16(火) 21:40:28.91 ID:fjZgGhIsO
チェイス「…難しいな」

梨花「…そ」

チェイス「…」

梨花「…圭一は、解決させたわよ」

チェイス「!」

梨花「貴方には、出来るかしら?」

チェイス「…」

梨花「…まあ、その時は別の発症者が現れたんだけどね…」

チェイス「…」

梨花「大見得切ったんだから、やってみせなさい。出来ないだなんて絶対に言わせない」

チェイス「…どうやって、解決したんだ?」

梨花「あら?もう降参?」

チェイス「俺には出来ない、方法なのか?」

梨花「…この村の人間、隣町の人間。色んな人達を味方につけることが出来るかしら?」

チェイス「…」

梨花「圭一は口から産まれてきたような奴だから。見事に全員手玉に取っちゃったわよ」

チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「…」グググギギ…

梨花「…貴方はまず感情表現の練習からだったわね」

76: 2017/05/16(火) 21:41:13.38 ID:fjZgGhIsO
…。

沙都子「…んん…さのすけさん…わたくしのとらっぷをぉ…」

梨花「…」

チェイス「…寝ないのか?」

梨花「…もう少し、夜風に当たっていたいのよ」

チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「心配するな」

梨花「…え?」

チェイス「お前は…お前達は絶対に氏なせない」

梨花「…」

チェイス「そんな残り時間を惜しむような行動はするな」

梨花「…」

チェイス「もう「それ」以上、お前を悲しませたりはしない」

梨花「…」

チェイス「…」

梨花「…全く…」

チェイス「…」

梨花「…不器用な癖に…そういうところは鋭いのね」

チェイス「…」

梨花「…33年振りだもの」

チェイス「…」

梨花「怖くて、当然じゃない」

チェイス「…」

梨花「…」

77: 2017/05/16(火) 21:42:19.13 ID:fjZgGhIsO
チェイス「梨花」

梨花「?」

チェイス「…」ギュ

梨花「…口リコンに目覚めたの?」

チェイス「お前の不安や悲しみが、どうやったら止まるのか、考えた」

梨花「…」

チェイス「…だが、思いつかなかった」

梨花「…それで、これ?」

チェイス「俺には圭一のような器用さも、魅音やレナ、沙都子のように明るく振る舞う事も出来ない」

梨花「…」

チェイス「だが、約束する」

梨花「…」

チェイス「必ず、助ける」

梨花「…」

チェイス「だから、怯えるな」

梨花「…」

チェイス「…」

梨花「…アンタと圭一、似てなくもないわよ」

チェイス「…ん…?」

梨花「…こうやって、真っ直ぐ向き合うところ」

チェイス「…」

梨花「約束」

チェイス「…」

梨花「絶対に破らないでよ」

チェイス「…了解した」

第3.5話 終

78: 2017/05/16(火) 21:42:52.91 ID:fjZgGhIsO
続きまたそのうち書きます

79: 2017/05/17(水) 00:35:20.48 ID:nFZAru+Bo

チェイスの不器用さが再現されてる

80: 2017/05/17(水) 01:07:17.63 ID:kLLMHjrrO
ドライブのキャラはみんな良いよな



引用: チェイス「雛見沢…」