109:◆GWARj2QOL2   2017/05/21(日) 20:41:36.55 ID:wzoDjs7xO




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チェイス「雛見沢…」その1

…。

『えーと…北条…鉄平さん?…うーん…体格はまあ、良いけどさ…年齢がね…』

…。

『あー…その年齢じゃウチは募集してないねー』

…。

『んー…ちょっと…今回は…はい…』

…。

鉄平「…」

沙都子「…」

鉄平「…」ガタ

沙都子「!!?」ビクッ

鉄平「…」

沙都子「…あ、も、申し訳ありません…」

鉄平「…チッ…」

沙都子「あ、か、片付けます…すぐに…」

鉄平「…」

110: 2017/05/21(日) 20:42:22.42 ID:wzoDjs7xO
沙都子「…」ジャー

鉄平「…」

…。

『お前の目は、まだ氏んでいない』

『あまり自暴自棄になるな』

…。

鉄平「(…自暴自棄…)」

鉄平「…」

沙都子「…」ジャー

鉄平「(…元はといえばこいつの親のせいで…!!)」

沙都子「…」カチャカチャ

鉄平「(…この…!まるで借りてきた猫のようになりくさって…!!)」

沙都子「…」カチャカチャ

鉄平「(…ッ…!!この…!!)」

沙都子「…!」

鉄平「…」

沙都子「…あ…あ…」

鉄平「…」

沙都子「…ご、ごめんなさい…ごめんなさい…」

鉄平「…」

沙都子「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

鉄平「…」

沙都子「…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

鉄平「…チッ…」

沙都子「…」

鉄平「風呂じゃ、沸かしとけ」

沙都子「…は、はい…」

鉄平「…」

沙都子「…」トボトボ

鉄平「…」

鉄平「(…何なんじゃ…これは…)」

111: 2017/05/21(日) 20:43:01.22 ID:wzoDjs7xO
梨花「…」

チェイス「…」チュー

梨花「…アンタ、水で良かったの?」

チェイス「俺達ロイミュードはコア・ドライビアと呼ばれる動力源からエネルギーを自動で供給し活動する。食事は本来必要無い」

梨花「…でも、食べられたり飲めたりするんでしょ?」

チェイス「コア・ドライビアの熱で燃えて消滅する。それがエネルギーとなることはない」

梨花「…じゃあ、何で…」

チェイス「人間の身体をコピーした結果だ。特に意味は無い」

梨花「…人間と同じ生活を、送ってはいる…ってだけ?」

チェイス「それだけだ。人間としての機能はほとんどついていない」

梨花「…一体、何の為に…?」

チェイス「俺は元々、クリムという人間に作られたロイミュードのプロトタイプだった。人間に限りなく近い感情を持つ人工知能を搭載された」

梨花「…」

チェイス「その俺のデータを基に、合計108体のロイミュードが作られた」

梨花「…」

チェイス「しかし、俺以外のロイミュード達には、俺には無い感情プログラムが成されていた」

梨花「…何?」

チェイス「…人間が持つ、悪意だ」

梨花「!」

112: 2017/05/21(日) 20:45:09.17 ID:wzoDjs7xO
チェイス「その結果、ロイミュード達は人間に反旗を翻し、世界を滅ぼそうとした」

梨花「…はた迷惑な奴もいたものね」

チェイス「…主犯はクリムではない。クリムの知り合いの、蛮野という男だ」

梨花「…」

チェイス「…ロイミュード達はグローバルフリーズという事件を引き起こし、人間達を襲った」

梨花「…グローバルフリーズ?」

チェイス「ロイミュードの特殊能力として、周りの世界をスローモーションにすることが出来る。規模は個体によって様々だが」

梨花「…それでも100体以上が一度にそれを使えば…」

チェイス「全ての時間が、ほぼ静止した」

梨花「…」

チェイス「その状況にクリムは俺の封印を解いた。ロイミュード達と戦わせる為に俺に仮面ライダーの力を与えたんだ」

梨花「…それで?どうなったの?」

チェイス「結果としてグローバルフリーズを止めることには成功した。…しかし」

梨花「…何?」

チェイス「俺は敵に捕まり、洗脳された」

梨花「!!」

チェイス「その結果、俺はロイミュードを守る為の番人となり、新しい仮面ライダーの敵となってしまった」

梨花「…でも、今は…」

チェイス「…完全ではないが、記憶が戻っている」

梨花「…」

チェイス「勿論、罪は償う。生きている限り、償い続ける。出来る限りの人間を救うことで」

梨花「…そ」

チェイス「様々な人間と関わっていく中で、俺は再び仮面ライダーとしての力を手に入れた」

梨花「…」

チェイス「その後、仮面ライダー達によってロイミュード達は殲滅され、全ては終わった」

梨花「…」

チェイス「…この俺も含めて」

梨花「!」

113: 2017/05/21(日) 20:45:54.65 ID:wzoDjs7xO
チェイス「…」

梨花「…それって…」

チェイス「…後悔はしていない」

梨花「…でも…それじゃ…」

チェイス「俺は、生きているのか、それとも氏んでいるのか」

梨花「…」

チェイス「…」

梨花「…でも、こうして…触れるじゃない。話す事も…」ペタペタ

チェイス「…羽入に、触れることが出来た。最も、姿は見えなかったが」

梨花「…!」

チェイス「…」

梨花「…そう…」

チェイス「…」

梨花「…でも、今アンタはここにいるじゃない」

チェイス「…」

梨花「…ここで生きて、暮らしているじゃない」

チェイス「…そうだな」

梨花「…それで、良いじゃない」

チェイス「…」

114: 2017/05/21(日) 20:46:40.99 ID:wzoDjs7xO
チェイス「…沙都子の、叔父だが」

梨花「…ええ」

チェイス「一般的に「クズ」と呼ばれる者には2種類の人間がいる。と俺は考えている」

梨花「?」

チェイス「初めからそうなっている者と、そうならざるをえなかった者だ」

梨花「…叔父は、後者だってこと?」

チェイス「俺は、そう思う」

梨花「…でも、あいつは今まで何度も沙都子を壊してきたわ」

チェイス「それは誰もあいつを分かってやらなかったからだ」

梨花「分かることなんかないわよ。同情の余地も無い…」

チェイス「…そうやって、誰もがあいつを…」

梨花「…!!アンタに何が分かんのよ!!」

チェイス「…」

梨花「いじめ抜かれて!!壊されて!!何度も!!何度も!!私は見てきたのよ!?」

チェイス「…」

梨花「アンタに分かるの!?親友が、どんどん崩れていく姿を…」

チェイス「…」

梨花「親友が氏んでいく姿を見続けてきた私の思いが!!!」

チェイス「…その気持ちは、俺にも分かる」

梨花「…知った風な口…聞いてんじゃないわよ!!」

チェイス「…」

梨花「人間でもない癖に!!」

チェイス「…」

梨花「…!」

115: 2017/05/21(日) 20:48:15.90 ID:wzoDjs7xO
チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「…」

梨花「…ッ…」

チェイス「…確かに俺は、人間ではない」

梨花「…そうよ。アンタはロボットじゃない」

チェイス「…だからこそ。ロボットである俺にしか分からない事もある」

梨花「…?」

チェイス「人間の命は平等だ」

梨花「…」

チェイス「氏んで良い命など、この世には無い」

梨花「…!」

チェイス「お前は神ではない。特殊な能力を持っただけのただの人間だ」

梨花「…」

チェイス「お前に人の運命を決める権利は無い」

梨花「…なら、沙都子はどうなのよ…」

チェイス「沙都子も救う。北条鉄平も救う」

梨花「…そんな事…!」

チェイス「救える命ならば、救う。それだけだ」

梨花「…アンタの使命は、この村を救うことじゃないの?」

チェイス「そうだ」

梨花「…!なら…あんな男なんて…!!」

チェイス「目の前の命すら救えない者に、大勢の命を救う力など無い」

梨花「!!」

116: 2017/05/21(日) 20:49:18.48 ID:wzoDjs7xO
チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「お前は年齢を重ねたように振舞ってはいるが、その思考は年相応な子供と大差無い」

梨花「…」

チェイス「悟ったように見せても、その本質はまだ子供のままだ」

梨花「…」

チェイス「命の取捨選択など、するものではない。それは傲慢というものだ」

梨花「…何よ。叱ってるつもり?」

チェイス「お前は前に進む事だけを考え、置き去りにされた者の存在を無視している」

梨花「…」

チェイス「どんな悪人でも、クズだとしても」

梨花「…」

チェイス「裁くのは、お前ではない」

梨花「…そんな、甘くないのよ。現実って」

チェイス「…」

梨花「振り向いる暇なんか、無いのよ。私には」

チェイス「…」

梨花「…」

チェイス「ならば、振り向くのは俺の役目だ」

梨花「…え…?」

チェイス「お前は一人ではない」

梨花「…」

チェイス「少なくとも、今ここに、俺がいる」

梨花「…」

チェイス「…」

梨花「…何なのよ…」

チェイス「…」

梨花「…まるで、羽入みたいに…」

チェイス「…」

117: 2017/05/21(日) 20:50:29.56 ID:wzoDjs7xO
…。

「リナさん。その…今、話…良いかな?」

リナ「なーに?」

「…その…これからの事なんだけど…」

リナ「…あー…結婚の話?」

「うん…礼奈にも早く話しておきたいし…」

リナ「…うーん…まだちょっと…」

「そ、そうなのかい?…でも、こういうのは、早目に…」

リナ「分かってる分かってる。こっちにも色々準備があるんだって」

「う、うん…わ、分かったよ」

リナ「じゃ!アタシ寝るねー♪お休みー」

「あ…お、お休み…」

リナ「…」バタン

「…」

リナ「…」

「…」コツコツ

リナ「…」

118: 2017/05/21(日) 20:51:38.12 ID:wzoDjs7xO
リナ「…プッ…」

リナ「…何本気にしてんの…気持ち悪ッ」

リナ「抱かせてもらえるとでも思ってたの?…引くわー…」

リナ「こっちは貰えるもん貰ったらさっさとサヨナラしたいのに…」

リナ「…にしても逃げるなら灯台下暗しってやつよねー…」

リナ「まさか鉄平のバカもアタシがこんな近くにいるだなんて思わないもんねぇ…」

リナ「…っつーかあのクソガキ、マジでウザいわね…」

リナ「ゴミばっか集めて…気持ち悪いったらありゃしない…ヤクでもキメてんじゃないの?」

リナ「…マジ…いっぺんシメてやろうかしら…」

リナ「…でも、その前に…」

リナ「…あー…あんまムダ遣いするとダメね。もう元嫁さんの慰謝料1/3くらい使っちゃってんじゃん」

リナ「こっちはハンコが貰えりゃ良いのに…」

リナ「…何処に隠してんだか、あのクソメガネ…」

リナ「園崎の上納金だけじゃ、正直自信無いし…」

リナ「…あー…早くこんな辛気臭いトコ出てって外国で遊んで暮らしたいなー…」

リナ「…あーあ…」

…。

119: 2017/05/21(日) 20:53:37.13 ID:wzoDjs7xO
魅音「はぁ!!?」

レナ「お、叔父さんが帰ってきた…?」

圭一「?」

梨花「は、はい…だから今日からはボク一人だけなのです」

チェイス「…」

圭一「いや…一人じゃないと思うけど…」

魅音「ちょ…ちょっとぉ!!左之助先生!!沙都子が連れ去られた時何かしなかったの!?」

レナ「そ、そうですよ!!きっともう…!」

チェイス「法律的には、北条鉄平の方が正しい」

魅音「…!だからって…!」

チェイス「あの場で俺が何かをしたところで、事態は悪化するだけだ」

魅音「…そりゃ…確かに向こうは一応北条一族だから…」

梨花「左之助はルールに則ってでしか行動しないのです。ほっとくのです!」

チェイス「…」

圭一「…な、なあ…その、叔父って、何だ?」

レナ「…」

魅音「…えっと…うん。そうだね。いつかは分かった事かもしれないから…」

圭一「…」

魅音「…沙都子の叔父はね…」

沙都子「…おはようございます…」

レナ「!!」

魅音「!!」

圭一「!!」

梨花「!!」

120: 2017/05/21(日) 20:54:49.64 ID:wzoDjs7xO
梨花「沙都子!?ぶ、無事なのですか!?」

沙都子「…」

魅音「大丈夫!?あのクソ叔父に何かされてない!?」

沙都子「…」

圭一「お、おい…「何か」って…?」

レナ「…沙都子ちゃんの叔父さんは…凄く気性が荒くて…」

圭一「…え…?」

魅音「…それだけじゃない。弱い者にはこれでもかってくらい強気になって、強い者には媚びへつらって、とにかく人間のクズなんだよ」

圭一「…」

魅音「沙都子だって例外じゃない。あの叔父に何度となく…」

圭一「・・・んだと・・・?」

沙都子「…あ、あの…」

レナ「大丈夫?沙都子ちゃん…何処か、その…」

沙都子「…い、いえ…実は…私…」

魅音「?」

沙都子「…何も、されてませんの」

レナ「…え?」

魅音「え?」

梨花「!」

121: 2017/05/21(日) 20:56:14.28 ID:wzoDjs7xO
魅音「…そ、そんなわけないよ!!ちょっと!!こっち!!こっち来て!!」

梨花「チェックしますですよ!!」

レナ「あ!圭一君は来ちゃダメ!!」

圭一「え?」

沙都子「え?ちょ、何処に…!」

魅音「ちょっ…確認!!確認!!」

梨花「レナ!押さえるのです!!」

レナ「うん!ごめんね沙都子ちゃん!!」

沙都子「えっ!?ちょ…!」

魅音「嘘なんか吐いたらダメ!!ちゃんと正直に話すの!!」

沙都子「え?あ!あ!!あーーー!!!」

圭一「・・・」

チェイス「…」

…。

梨花「…」

魅音「…」

レナ「…」

沙都子「…まさかこんな形で穢されるとは思いませんでしたわぁ…」グスッ

魅音「…ごめん」

レナ「…ごめんね…」

梨花「…」

122: 2017/05/21(日) 20:57:42.07 ID:wzoDjs7xO
沙都子「確かに、叔父様は酷いお方でしたわ。前は」

魅音「…」

沙都子「…でも、今回は、何か…」

レナ「…?」

沙都子「その、何か…と言いますか…ちょっと、違うんですの」

圭一「…違う?」

沙都子「ええ。その…あまり、大声を出さない、と言いますか…」

魅音「…」

沙都子「ずっと、静かで…お皿もひっくり返さないし、何も言わずに寝ておりましたわ」

魅音「小学生におんぶにだっこの時点で相当酷いけどどう?」

沙都子「それは…何とも…」

レナ「…でも、何かあったら絶対に言わなきゃダメだよ?」

沙都子「え、ええ…」

梨花「…沙都子」

沙都子「?」

梨花「空返事ではいけないのです。ちゃんと、約束して下さい。何かあったらちゃんと報告すると」

沙都子「…はい」

チェイス「…」

123: 2017/05/21(日) 20:59:08.65 ID:wzoDjs7xO
…。

鉄平「…ん…」

鉄平「…朝か…」ムク

鉄平「…ああ、そうじゃ…確か、沙都子の家に…」

鉄平「…」

鉄平「…園崎の目と鼻の先で寝るなんざ、ワシもようやったもんじゃのう…」

鉄平「…む…」

鉄平「…これは…」

『叔父様へ。朝ご飯です。食べて下さい。沙都子』

鉄平「…朝飯…」

鉄平「…最近、まともに朝飯を食ったんはいつじゃったかのう…」

鉄平「…」

鉄平「…何で…こんな事になっちまったんか…」

鉄平「…」

…。

『あまり、自暴自棄になるな』

…。

鉄平「…」

鉄平「…アホが」

鉄平「…ワシかて、なりたくてなっちまったわけじゃ…」

鉄平「…」

鉄平「…」モグモグ

鉄平「…」

鉄平「…美味い…」

…。

124: 2017/05/21(日) 21:15:54.91 ID:wzoDjs7xO
知恵「ほ、北条君ですか?」

チェイス「北条悟史という生徒がいた筈だ」

知恵「…ええ。確かに…」

チェイス「北条家に関するデータが欲しい。悟史も例外ではない」

知恵「…警察には、お聞きにならないんですか?」

チェイス「経緯は知っている。届け出をされていないことも」

知恵「…お見通しですか」

チェイス「ならば、北条悟史の公式なデータが得られるのはここだけだ」

知恵「…そう言われても、通知表や、校内イベントの写真などしか…」

チェイス「十分だ」

知恵「…これ、です…」カサ

チェイス「…」

知恵「…彼は、とても真面目に勉学に取り組み、そしてとても優しく、妹思いでした」

チェイス「…」

知恵「…しかし、ある日を境に、彼は変わってしまいました」

チェイス「…」

知恵「…そのことに関しては?」

チェイス「知っている。無理に話すことはない」

知恵「…お気遣い、ありがとうございます」

チェイス「…」

知恵「…一体どうして、いなくなってしまったのか…」

チェイス「…」

知恵「思い出す度、悲しくなります」

チェイス「(この女は、悟史が何をしたかまでは知らないのか)」

知恵「…何か、分かりましたか?」

チェイス「(ここで、悟史の事を話せば、この女は傷つく…)」

知恵「…チェイスさん?」

チェイス「…いや」

知恵「…そうですか」

チェイス「…何かあれば、また頼む」

知恵「…はい」

125: 2017/05/21(日) 21:19:51.30 ID:wzoDjs7xO
梨花「…」

梨花「(何よ。これは…)」

梨花「(あいつの言葉で、惨劇が回避されていってる…)」

梨花「(誰も北条鉄平の事を分かってやれない…?)」

梨花「(それが、何だって言うのよ…)」

梨花「(…あんな奴…)」

魅音「梨花ちゃん?」

梨花「っ!?」ガタッ

魅音「うわびっくりした!!」

梨花「…ど、どうしましたですか?」

魅音「え、えーと…今日は部活、無しって事で…」

梨花「!」

沙都子「申し訳ありませんですわ。晩御飯を作らないと…」

梨花「…」

沙都子「…それでは…」ペコ

梨花「…」

レナ「…」

圭一「…やっぱり沙都子、叔父が…」

魅音「…何も無かったとはいえ、来てすぐに打ち解けるって訳じゃ、ないからね…」

レナ「…やっぱり、心配だね」

梨花「(そうよ。まだ沙都子は叔父を怖がってる)」

圭一「…俺も、そうだったな…」

梨花「?」

魅音「?」

圭一「…いや、こっちに来た当初はさ、まだ向こうでの生活が抜け切ってなくてさ」

梨花「…」

126: 2017/05/21(日) 21:21:42.60 ID:wzoDjs7xO
レナ「…しょうがないよ。みんな…」

圭一「…でも、そんな時に、魅音達が手を差し伸べてくれてさ」

魅音「…」

圭一「…何か、受け入れられたんだなって…」

魅音「…あ、あはは…そりゃ一緒にやってくんだもん。仲良くしなきゃさ」

梨花「…!」

レナ「…そう、だね」

圭一「…あのさ…こんな事言うと、ダメなのかもしれないけど…」

梨花「…」

圭一「…沙都子の叔父も、皆が受け入れたら、変わるのかな…」

魅音「!」

レナ「!」

梨花「…嘘…」

圭一「…今までは、色々あったのかもしれないけど」

魅音「…でも、あいつを受け入れるなんて…」

レナ「そうだよ。だって…」

圭一「確かに、沙都子の叔父は酷い奴なのかもしれない。とっつきにくい人かもしれない」

梨花「…」

圭一「…でも、本当は違うかもしれない…」

魅音「…でもね、圭ちゃん。あいつの悪人ぶりは、相当だよ?」

レナ「村の人達だって、叔父さんの事を怖がってるの。何をするか分からないし、いつも睨み付けてくるって…」

魅音「挨拶だって交わさないし、運転も乱暴だし…」

レナ「何より、沙都子ちゃんに対して…」

圭一「それは、分かってる。…でも、もしも、さ」

梨花「…」

圭一「…俺が、誰からも受け入れられず、一人で居たら、どうなってたんだろうって…」

梨花「…」

…。

チェイス『人間の命は平等だ』

チェイス『氏んで良い命など、この世には無い』

…。

127: 2017/05/21(日) 21:23:12.11 ID:wzoDjs7xO
魅音「…」

圭一「…わ、悪い。何も知らないのに…」

魅音「…ううん」

レナ「…圭一君の言うことも、分かるよ」

梨花「…圭一」

圭一「ん?」

梨花「…今の言葉は、本心ですか?」

圭一「え?あ、えっと…ああ」

梨花「…では、お聞きします」

圭一「…?」

梨花「圭一は、沙都子と、沙都子の叔父の命のどちらかが助かるとしたら、どちらを選びますか?」

圭一「!」

魅音「…」

レナ「…」

梨花「沙都子は、大事な大事なお友達なのです。でも叔父は…」

圭一「…梨花ちゃん」

梨花「?」

圭一「…それって、決められてることなのか?」

梨花「…もし、そうだとしたらということです」

魅音「…」

圭一「…」

梨花「沙都子の叔父が改心するという保証などありません。このままいけば、沙都子はあの男に壊されてしまうかもしれません」

レナ「…」

梨花「それでも圭一は、沙都子の叔父は救うべきだと思いますか?」

圭一「…」

128: 2017/05/21(日) 21:30:12.84 ID:wzoDjs7xO
圭一「…その、二択なら、確かに沙都子を選ぶよ」

梨花「…」

圭一「でも、そんなの、間違ってる」

梨花「…間違ってる?」

圭一「もし、可能性が1%でもあるなら、俺は試すべきだと思うんだ」

魅音「圭ちゃん…」

圭一「沙都子の叔父にも、そうなった背景がある筈なんだ」

レナ「…」

圭一「初めから、そうだった訳じゃないかもしれない」

魅音「…」

圭一「本当は、沙都子に対して優しくしてやりたいのかもしれない」

レナ「…」

圭一「もしも、本人が変わりたいって思ってるなら…俺達は手助けしてやるべきだと思う」

梨花「…」

圭一「…だから…」

魅音「…」フゥー

梨花「…」

魅音「…ん!」

梨花「?」

魅音「…良し!」パン

圭一「?」

129: 2017/05/21(日) 21:30:54.02 ID:wzoDjs7xO
魅音「…圭ちゃんがそこまで言うなら、分かったよ!」

圭一「…魅音…」

魅音「私も、しばらく見守ってみる事にする。実害は無いみたいだし…」

梨花「で、でも!何かあってからでは!」

レナ「…梨花ちゃん」

梨花「…ッ」

レナ「梨花ちゃんの気持ちも、すっごく分かるよ。レナも、魅ぃちゃんも」

梨花「…」

レナ「…圭一君だって分かってる。これは、賭けなんだって」

梨花「…」

レナ「…もし、圭一君の言うように叔父さんが、ちゃんと沙都子ちゃんと向き合えるっていうなら…」

梨花「…」

レナ「チャンスを、あげて欲しいの」

梨花「…チャンス…?」

レナ「うん。チャンスだよ」

梨花「…」

圭一「一度は過ちを犯したのかもしれない。けど、やり直しは出来る」

レナ「その為には、みんなが協力してあげないといけない」

魅音「…そう、だね」

梨花「…」

圭一「だから、梨花ちゃんにもお願いしたいんだ」

梨花「…どうして…」

圭一「…?」

梨花「…どうして、圭一達は…圭一は、あの男の、面識も無いあの男の為に…?」

130: 2017/05/21(日) 21:32:22.85 ID:wzoDjs7xO
圭一「…」

梨花「…」

圭一「…俺、ここに来る時、変な夢を見たんだ」

魅音「…夢?」

圭一「…ああ。夢、だと思いたい」

レナ「…?」

圭一「…誰か、分からないけど、何処かの山で、俺は、「誰か」を頃してた。金属バットで」

梨花「!」

圭一「…それで、雨の降る中、その人をスコップで埋めて…」

梨花「…圭一…」

圭一「…今思うと、その人が、聞く限りだと沙都子の叔父に似てるっていうか…」

魅音「…」

圭一「そんな事、あっちゃいけない。絶対にしない。って思って…」

梨花「…それで、救える命なら救いたい。と思ったのですか?」

圭一「ああ」

梨花「…そう、ですか…」

魅音「…」

梨花「…まさか…今回は…」

レナ「?」

梨花「…圭一」

圭一「ん?」

梨花「…分かったのです。ボクも、ほんの少しだけ、あの男を信じてみることにするのです」

圭一「…そっか。ありがとな。梨花ちゃん」

梨花「でも、一度だけなのです」

圭一「ああ!」

魅音「ん!じゃあ決まりだね!…あ!もうこんな時間!」

レナ「あ…」

魅音「じゃー…明日も沙都子関連の問題を会議してくよ!」

圭一「おう!じゃあな!」

魅音「バイバーイ!」

レナ「…」

圭一「ん?どうした?レナ」

レナ「え…あ、うん…」

131: 2017/05/21(日) 21:32:52.49 ID:wzoDjs7xO
圭一「どうしたんだよ。最近帰る時に限って元気無いな」

レナ「だ、大丈夫だよ。学校が楽しくて…」

圭一「…レナも、何かあるんだったら言わなきゃダメだぞ?」

レナ「う…うん」

圭一「じゃ、帰るか!梨花ちゃんも…」

梨花「みー…実はボクは…」

レナ「圭一君。梨花ちゃんは古手神社の巫女さんだから。綿流しの奉納演舞の練習があるんだよ。だよ」

圭一「えっ!?そ、そうなのか!?」

梨花「はいなのです。だから今日からは神社に直行なのです」

圭一「そっかー…大変だな。頑張れよ!梨花ちゃん!」

梨花「はい、なのです」

圭一「じゃあな!梨花ちゃん!」

レナ「バイバイ。梨花ちゃん」

梨花「…」ヒラヒラ

132: 2017/05/21(日) 21:33:23.04 ID:wzoDjs7xO
梨花「…」

梨花「…そう…」

梨花「…圭一が、こんなに…」

梨花「…もしかしたら、本当に…」

梨花「…今度こそ、みんなで…」

梨花「この長く続く惨劇を、終わらせ…」

チェイス「…」

梨花「エ゛ッ」

133: 2017/05/21(日) 21:34:09.23 ID:wzoDjs7xO
チェイス「…」

梨花「…何よ。盗み聞きなんて…」

チェイス「俺が入っていい話ではなかった。それだけだ」

梨花「…わざわざ教室の外で待ってたってわけ?」

チェイス「油断は出来ない。お前を無事に送り届け、寝かせつけることも役目の一つだ」

梨花「…」

…。

梨花『人間でもない癖に!!』

…。

梨花「…チェイス」

チェイス「何だ」

梨花「…昨晩の、事だけど…」

チェイス「気にするな。何度も言われている」

梨花「…」

チェイス「今日から古手神社に行くと言っていたが、何時から何時までだ」

梨花「…何で?」

チェイス「調べたい事がある。その時間を使う」

梨花「…6時から、7時30分まで…」

チェイス「了解した」

梨花「…」

チェイス「行くぞ」

梨花「…ねえ、チェイス」

チェイス「どうした」

梨花「…アンタ、前に失恋して泣いたって言ってたじゃない」

チェイス「ああ」

梨花「…あれ、教えなさいよ。暇潰しに」

チェイス「…あれは、俺が…」

第5話 終

134: 2017/05/21(日) 21:35:38.51 ID:wzoDjs7xO
続きまたそのうち書きます

135: 2017/05/21(日) 21:52:23.34 ID:gJ2T4ZXVo
おつー、まさかこんな面白いSSをみれるとはよふかしもわるくない


引用: チェイス「雛見沢…」