1: 2015/04/21(火) 18:35:00 ID:q76kDgdg
モンハンSSです。
>>1はP2Gから始めました。
多少、公式とルールの違う箇所があると思いますが
「こまけぇこたぁいいんだよ!」の精神で見ていただけると嬉しいです。
申し訳ありませんが、不定期更新です。あしからず……
それでは始めます。
2: 2015/04/21(火) 18:36:09 ID:q76kDgdg
ふもと村 集会所
ガヤ ガヤ
狩人「…………」
狩人(……ここはふもと村の集会所)
狩人(集会所とは、食堂も兼ねているが)
狩人(少々手ごわいモンスター等を他のハンターと共同で受注する事ができる場所だ)
狩人(…………)
狩人(ここには『村つき』と呼ばれるハンターや)
狩人(流れのハンター、依頼主の旅商人や村人の憩(いこ)いの場でもあったりする)
狩人(運営はハンターズギルドが行っている)
狩人(…………)
狩人(今の俺は駆け出しのペーペー)
狩人(もちろんハンターランク(以下HR)は最下級の 1 ……)
3: 2015/04/21(火) 18:37:52 ID:q76kDgdg
狩人(いずれはここを利用する様になるだろうけど)
狩人(他のハンターがどんなものなのか、見ておきたくてここに来た)
狩人(あれが、あの姿が、未来の自分なんだと……!)
??「……あの」
狩人「はひっ!?」
??「あなたもハンターなんですか?」
狩人「え? ああ、はい! そうです!」
狩人「もっとも、昨日この村に着いたばかりのド新人ですけどね……」 ハハハ…
狩人「名前は狩人、って言います」
??「へえ、奇遇ですね!」
??「私も先週ここに来たばかりなんですよ!」
4: 2015/04/21(火) 18:38:32 ID:q76kDgdg
??「あ、自己紹介がまだでしたね」
??「私、少女って言います。 よろしくね!」
狩人「ああ、よろしく!」
狩人「……で、少女はここの仕事、受けるつもりなの?」
少女「うん。 そのつもり」
少女「狩人は?」
狩人「あ……えと……俺は」
少女「HR1でもキノコ狩りとかは一人でできるよ?」
少女「ちょっと量が多くなるけどね」
狩人「…………」
少女「私も最初は怖かったんだけど、やってみれば案外大した事ないよ?」
少女「何なら今から一緒に付き合ってあげようか?」
5: 2015/04/21(火) 18:39:24 ID:q76kDgdg
狩人「!」
狩人「そ、そうだな……」
狩人「よ、よし! やってみる!」
少女「うんうん。 じゃ、クエスト受注してくるね」
スタ スタ スタ…
狩人「…………」
狩人(思いがけず、クエストへ行く事に)
狩人(しかも割と可愛い女の子ハンターと!)
狩人(緊張するなぁ……)///
狩人(よし! ここはひとつ俺の才能の片鱗を見せてやるぞ!)
少女「お待たせ!」
6: 2015/04/21(火) 18:40:14 ID:q76kDgdg
少女「武器は私と同じ片手剣でいいの?」
狩人「ああ、問題ないよ!」
狩人「どんと来いさ!」
少女「うふふ、なぁに? 急に張り切って」 クスッ
少女「じゃ、装備や持ち物に問題がないのなら」
少女「掲示板に貼ってある受注クエストの張り紙にサインしてね」
狩人「ほいほい……これでいい?」
少女「うん!」
少女「それじゃ雪山へキノコ狩りに出発ー!」
狩人「おー!!」
パァ~フォ~
7: 2015/04/21(火) 18:41:03 ID:q76kDgdg
―――――――――――
少女「…………」
狩人「ご、ごめん! 少女!」
狩人「ま、まさかただの鹿があんなに強いなんて思わなくて!」
少女「う、うん。 まあ……そういう時もあるよね」
少女(ガウシカに喧嘩売って3乙とか……無いでしょ)
少女「狩人、今日は調子が悪いみたいだから」
少女「また今度一緒に行こうね!」
少女「じゃ!」
狩人「あ……」
狩人「…………」
8: 2015/04/21(火) 18:41:48 ID:q76kDgdg
????「はっはっはっ!」
????「どうやらお前さん、振られたらしいな!」
狩人「……ほっといてください」
????「まあガウシカに負けるようじゃ、言わずもがな、だな!」
狩人「だからほっといてくださいって!」
????「まあ落ち着けって」
????「俺はイケメンって名前だ」
イケメン「お前みたいな新人は大事にしなくちゃな」
狩人「はあ……」
イケメン「そこで、だ」
イケメン「俺がいろいろと基本を教えてやってもいいぜ?」
狩人「え?」
9: 2015/04/21(火) 18:42:42 ID:q76kDgdg
イケメン「もちろんタダじゃないがな」
イケメン「もう一度キノコ狩りのクエを受注してこい」
イケメン「で、そのクエの報酬を全額俺にくれるのなら」
イケメン「ガウシカとの戦い方だけでなく、他の小型モンスターの対処法も教えてやるよ」
狩人「…………」
狩人「そういう事なら……お願いします」
イケメン「ようし。 契約成立だ」
イケメン「じゃ、頑張って行こうぜ!」
狩人「はい!」
パァ~フォ~
10: 2015/04/21(火) 18:43:18 ID:q76kDgdg
―――――――――――
雪山
狩人「では、教えてもらえますか?」
イケメン「まあまあ慌てなさんな」
イケメン「先に手分けしてキノコを集めておこう」
イケメン「そうすりゃ残った時間をフルに訓練へ使える」
狩人「なるほど。 確かにそうですね」
イケメン「そうだな……せっかくだし」
イケメン「ひとつ競争しないか?」
狩人「競争?」
イケメン「どっちがより多くキノコを集められるか勝負しないか?って事だよ」
狩人「え? でも俺、まだここのマップにも慣れていませんし……」
イケメン「なら、ハンデをくれてやるぜ?」
11: 2015/04/21(火) 18:44:08 ID:q76kDgdg
狩人「ハンデ?」
イケメン「そうだな……キノコ6つ分、お前さんにハンデとしてやるよ」
狩人「6つも!?」
狩人「……いくらなんでもそれじゃ俺が勝っちゃいますよ?」
イケメン「ほう……なら、何も問題はないよな?」
狩人「……わかりました」
狩人「受けて立ちます!」
イケメン「その息その息♪」
イケメン「じゃ……お先に!」
狩人「あ! ずるいですよ!」
12: 2015/04/21(火) 18:44:47 ID:q76kDgdg
―――――――――――
狩人「よし……これで10個目だ!」
狩人「ハンデと合わせれば16個。 いくらなんでも勝てるな!」
狩人「BC(ベースキャンプ)に戻ろう」
―――――――――――
狩人「……ふう」
狩人「…………」
狩人「イケメンはまだか」
狩人「…………」
―――――――――――
狩人「…………」
狩人「……もうすぐ日が暮れる」
狩人「いくらなんでも遅すぎる」
13: 2015/04/21(火) 18:45:38 ID:q76kDgdg
狩人「…………」
狩人(……まさか)
狩人(モンスターの乱入!?)
狩人(…………)
狩人(もし……そうだったら)
狩人(俺の実力じゃ話にならない)
狩人(急いで戻って、ギルドに応援を呼ばないと!)
―――――――――――
ふもと村 集会所
狩人「す、すみません!」
14: 2015/04/21(火) 18:46:24 ID:q76kDgdg
受付嬢「はい?」
狩人「あ、あの! イケメンってハンターが」
狩人「たぶんモンスターの乱入に襲われたみたいで!」
受付嬢「ああ、そのハンターなら、とっくに戻って報酬を受け取ってますけど?」
狩人「…………」
狩人「……は?」
受付嬢「そういう契約をあなたと交わしたと承っておりますので」
受付嬢「こちらはお支払いしていますが……」
狩人「そ、それは! 確かにそうですが……!」
受付嬢「それよりも依頼内容のキノコの納品はどうなっているのでしょうか?」
狩人「!!」
狩人「え……と」
15: 2015/04/21(火) 18:47:02 ID:q76kDgdg
受付嬢「……依頼の半分足らずですね」
狩人「で、ですが! こちらにも事情が!」
受付嬢「残念ですが。 クエストは失敗したとみなします」
受付嬢「先払いした報酬は、あなたが支払ってください」
狩人「」
受付嬢「この命に従えないのなら」
受付嬢「あなたには少々怖い思いをしてもらう事になります」
受付嬢「よろしいですね?」
狩人「」
16: 2015/04/21(火) 18:47:42 ID:q76kDgdg
こうして……
俺の集会所デビューは
くそみそで、クソッタレな感じで
幕を閉じた……
17: 2015/04/21(火) 18:49:51 ID:q76kDgdg
ちょっと間抜けで不器用な新米ハンターの物語です。
それでは、また。
それでは、また。
19: 2015/04/23(木) 14:56:36 ID:xrmDDe1k
―――――――――――
数日後の午後
ふもと村 村長宅前
村長「はい、ご苦労様」
村長「これが報酬だよ」
狩人「どうも」
村長「明日もよろしくね」
狩人「もちろん頑張ります」
狩人「じゃ……」
20: 2015/04/23(木) 14:57:23 ID:xrmDDe1k
狩人「…………」
狩人(あれから数日過ぎて……ようやく落ち着いてきた)
狩人(ギルドに立て替えてもらったお金は)
狩人(ギルドに支給してもらった初期装備の武器をいくつか売って何とかした)
狩人(…………)
狩人(何だか本末転倒で、申し訳ない気もするが……)
狩人(改造しようが、ホコリを被ろうが、好きにしていいと言われていたので)
狩人(売っても問題ないだろう)
狩人(…………)
狩人(あのイケメンとかいうハンターは流れ者で)
狩人(そういう連中は、何も知らない新人をカモにする事はよくあるのだとか……)
狩人(…………)
狩人(嫌なことは早く忘れて、次の仕事に集中しよう)
21: 2015/04/23(木) 14:57:58 ID:xrmDDe1k
―――――――――――
数日後の午前
雪山
ギュアッ! ギュアッ!
狩人「くっ……! このっ!」
ブンッ ブンッ!
狩人(くそぉ……どうして当たらないんだよッ!)
ギュアッ! ギュアッ!
狩人「わ、わああああっ!!」
22: 2015/04/23(木) 14:58:58 ID:xrmDDe1k
―――――――――――
ふもと村
狩人「」
救助アイルー「じゃ、確かに届けたニャ」
ガラガラガラ…
村長「…………」
―――――――――――
村長「大丈夫かい?」
狩人「……ええ、おかげ様で何とか」
村長「……時に」
村長「3乙はこれで何回目かな?」
狩人「……5回目です」
23: 2015/04/23(木) 14:59:48 ID:xrmDDe1k
村長「……私も長いことハンターを見てきたけど」
村長「ギアノス5匹狩猟にこんなに手間取るハンターは始めてだよ」
狩人「…………」
村長「キツい言い方になるけど」
村長「もっとしっかりしてくれないと困る」
狩人「…………」
狩人「……すみません」
村長「本当に頼むよ……」
テク テク テク…
狩人「…………」
24: 2015/04/23(木) 15:00:45 ID:xrmDDe1k
―――――――――――
狩人の家
ドサッ…
狩人「……疲れた」
狩人「…………」
狩人(村長さんが怒るのも当然だ……)
狩人(村付きハンターは、ハンターズギルドに依頼してハンターを派遣するが)
狩人(そのハンターの住まいなどは、維持費も含めて村が支払わなくてはならない)
狩人(簡単に言えば、村がモンスターに対する用心棒を雇っているという事)
狩人(…………)
狩人(その用心棒がそこら辺の下っ端モンスターに手こずっていりゃ)
狩人(金返せ、とも言いたくなるわな……)
狩人「はあ……」
25: 2015/04/23(木) 15:01:37 ID:xrmDDe1k
―――――――――――
翌日の朝
村長宅前
狩人「おはようございます」
村長「おはよう」
村長「今日はいつものキノコ狩りかい?」
狩人「ははは……はい」
狩人「また契約金稼ぎしてきます」
村長「そうかい」
村長「めげないのは、いい事だね」
26: 2015/04/23(木) 15:03:44 ID:xrmDDe1k
狩人(契約金か……)
狩人(これが意外とバカにできない)
狩人(依頼の多くは契約料が発生する)
狩人(不測の事態に備え、救出ネコタクがいざという時、助け出す為の契約料なのだが……)
狩人(…………)
狩人(そして一回乙する度に、賞金を3分の1ずつ取って行き……)
狩人(3回乙するとクエストは失敗となる)
狩人(まあこれはハンターが無茶をしない様に、という配慮でもあるが)
狩人(そして……クエスト失敗となれば賞金を出している依頼者は丸損)
狩人(採取クエなら目的のブツは手に入らず、出したお金がパァ……)
狩人(狩猟目的なら金を出したのにモンスターは生きたまま……)
狩人(村長さん、マジすんません……)
27: 2015/04/23(木) 15:05:02 ID:xrmDDe1k
―――――――――――
数日後の午後
ふもと村 広場
狩人(よし……そろそろ契約金が払えるくらいは溜まった)
狩人(キノコ狩りのついでに見かけたギアノスを相手に訓練もした)
狩人(一匹ずつ相手にするなら……何も問題はない)
狩人(今度こそ……!)
??「あ……」
狩人「!!」
狩人「……少女」
28: 2015/04/23(木) 15:05:40 ID:xrmDDe1k
少女「……久しぶり」
狩人「あ、ああ……久しぶり」
少女「…………」
少女(防具……ギルドから支給されたマフモフスーツのまま)
少女(苦労しているみたいね)
狩人「…………」
狩人(あれは……ギアノス……じゃないな?)
狩人(ギアノスよりもっと強い青色している……そのウロコや皮を使った鎧)
少女「…………」
狩人「…………」
少女「じゃ、私……行くね?」
狩人「……ああ」
29: 2015/04/23(木) 15:06:20 ID:xrmDDe1k
スタ スタ スタ…
狩人「…………」
狩人(彼女……)
狩人(順調みたいだな……)
狩人(…………)
―――――――――――
狩人の家
狩人「…………」
狩人「明日は……どうする?」
狩人「思い切って武器を変えてみるか?」
30: 2015/04/23(木) 15:07:55 ID:xrmDDe1k
狩人「…………」
狩人(いや……やっと慣れてきたところだし)
狩人(片手剣でギアノスを倒せるようになってきたんだ)
狩人(これで行こう)
狩人(…………)
狩人「明日も頼むぞ、相棒」
俺は、ハンターナイフの手入れを始めた。
31: 2015/04/23(木) 15:22:20 ID:xrmDDe1k
※注
公式はどうなっているのか知らないのですが
>>1の解釈で、ハンターが払う契約料はネコタクへの契約料、という事になっています。
ゲームで3分の1ずつ減っていくのは、救出ネコタクの使用料と解釈。
また、賞金は依頼者が負担していますが、これとは別に
ギルド側にも仲介料が発生していて、簡単にまとめると
ギルド側 依頼者から仲介料を徴収(儲け)。 集会所の運営費を負担
救出ネコタク 契約料、及び救出(命懸け)ごとに賞金のお金
ハンター 契約料を負担 依頼達成で賞金がハンターの儲け
依頼者 ギルドへの仲介料と賞金の負担 クエ達成がメリット
と、なっております。
34: 2015/04/25(土) 07:59:55 ID:1RftGQsY
―――――――――――
翌日の午前中
雪山
ギュアッ! ギュアッ!
狩人「でやああああああああっ!!」
ザシュッ! キュウウウゥゥ…
狩人「よし、次っ!」
ガブッ!!
狩人「ぐっ……! このぉっ!」
ザシュッ!
35: 2015/04/25(土) 08:00:34 ID:1RftGQsY
―――――――――――
BC(ベースキャンプ)
狩人「」
狩人「……はっ!?」
救助アイルー「気がついたかニャ」
狩人「ここは……BC」
狩人「という事は……1乙しちまったのか」
救助アイルー「そういう事だニャ」
狩人「けど、3匹はやったはず……」
狩人「あと2匹やれば、クエストクリアだ!」
救助アイルー「…………」
36: 2015/04/25(土) 08:01:34 ID:1RftGQsY
救助アイルー「なあ、新人ハンターさん」
狩人「ん?」
救助アイルー「あんた……こんな調子で、この先やっていけるのかニャ?」
狩人「…………」
狩人「……んな事、わからねーよ」
救助アイルー「まあ俺らはギアノス程度で、こんなに稼がせてもらってありがたいけど」
救助アイルー「あんた、こんなこと繰り返していたら」
救助アイルー「体の方が先に参ってしまうニャ」
狩人「…………」
救助アイルー「俺から言うのも何だけど……」
救助アイルー「武器を鍛えてからとか、防具を買い揃えてからとか」
救助アイルー「もうひと工夫してから挑戦した方がいいと思うニャ」
37: 2015/04/25(土) 08:02:47 ID:1RftGQsY
狩人「……契約金稼ぐので精一杯なんだよ」
狩人「とてもじゃないが、そんな余裕は……」
救助アイルー「狩りに行くのを一回我慢すりゃ」
救助アイルー「簡単な武器の改造くらいはできるはずニャ」
狩人「…………」
狩人「でも……他のハンターは、そんな事しなくてもこのクエをクリアしている」
救助アイルー「…………」
狩人「やっぱり俺……才能無いのかな」
救助アイルー「いいや。 それは絶対に無いニャ」
狩人「え……」
救助アイルー「ギルドがあんたをハンターと認めているのなら」
救助アイルー「少なくとも最低限の才能は持ち合わせていると判断しているニャ」
38: 2015/04/25(土) 08:03:36 ID:1RftGQsY
狩人「…………」
狩人「……慰めなんて」
救助アイルー「そんなつもりは無いニャ」
救助アイルー「ギルドに認められるハンターってのは」
救助アイルー「現存するすべての種類の武器を、ある程度使えないと許可が降りないニャ」
救助アイルー「あんたは、大剣やランス、ガンランスの重量武器を振えるけど」
救助アイルー「普通の人は持って歩く事すら出来ないニャ」
狩人「…………」
救助アイルー「ハンターになれる」
救助アイルー「それだけで、十分才能は持ち合わせているニャ」
狩人「…………」
39: 2015/04/25(土) 08:04:41 ID:1RftGQsY
救助アイルー「……それに」
狩人「それに?」
救助アイルー「力尽きたハンターを救助するのは」
救助アイルー「俺たちだって命懸けニャ」
狩人「…………」
救助アイルー「ハンターが乙しなければ」
救助アイルー「俺たちは何の苦労もなく、契約料が手に入るニャ!」
狩人「……おいおい」
救助アイルー「んじゃ……俺はそろそろ行くニャ」
救助アイルー「健闘を祈るニャ」
タッ タッ タッ…
狩人「…………」
40: 2015/04/25(土) 08:05:33 ID:1RftGQsY
―――――――――――
その日の午後
ふもと村 村長宅前
村長「おお、狩人!」
村長「どうにかギアノス5匹狩猟できたみたいだね!」
狩人「ええ」
村長「……?」
村長「どうしたんだい? あまり嬉しそうじゃないみたいだが……」
狩人「一回乙しましたしね……素直に喜べませんよ」
村長「……そうかい」
狩人「それじゃ……今日はもう休みます」
村長「ああ、お疲れ様」
41: 2015/04/25(土) 08:06:04 ID:1RftGQsY
―――――――――――
狩人の家
狩人「…………」
救助アイルー「武器を鍛えてからとか、防具を買い揃えてからとか」
救助アイルー「もうひと工夫してから挑戦した方がいいと思うニャ」
狩人「…………」
救助アイルー「ハンターになれる」
救助アイルー「それだけで、十分才能は持ち合わせているニャ」
狩人「…………」
42: 2015/04/25(土) 08:07:00 ID:1RftGQsY
狩人(工夫……か)
狩人(…………)
狩人(才能を言い訳にして愚痴るのは)
狩人(誰にだってできる)
狩人(有名なハンターだって……最初から何もかも出来たんだろうか?)
狩人(……そんなわけ無いよな)
狩人(…………)
狩人(きっと……)
狩人(俺の知らないところで、何か努力をしていたんだろう)
狩人(…………)
43: 2015/04/25(土) 08:07:42 ID:1RftGQsY
―――――――――――
翌日の朝
村長宅前
村長「おや? 狩人」
村長「今日も早いね」
狩人「おはよう、村長さん」
村長「ああ、おはよう狩人」
狩人「採取クエ、あるかい?」
村長「もちろんあるけど……ギアノス狩猟で疲れているんじゃないのかい?」
狩人「大丈夫。 それよりも目的ができたんでね」
狩人「しばらくお金を貯めようと思う」
44: 2015/04/25(土) 08:08:40 ID:1RftGQsY
村長「そうかい」
村長「まあ疲れていないのなら、こちらとしては断る理由はないよ」
村長「薬草、鉱石、お馴染みのキノコと」
村長「選り取りみどりだ」
狩人「どれどれ……」
狩人「割が良さそうなのは鉱石か」
狩人「じゃ、これを」
村長「ほいほい」
村長「じゃ、頑張ってね」
狩人「ああ」
パァ~フォ~
45: 2015/04/25(土) 08:09:12 ID:1RftGQsY
―――――――――――
雪山
カーン… カーン…
狩人「ふう……また鉄鉱石か」
狩人「マカライト出ないな」
カーン… カーン…
―――――――――――
ギュアッ! ギュアッ!
狩人「ギアノス……邪魔だな」
狩人「はあっ!!」
46: 2015/04/25(土) 08:09:45 ID:1RftGQsY
―――――――――――
狩人「ふう……」
狩人「よし、依頼の量は確保できたな」
狩人「戻ろう」
ギュアッ! ギュアッ!
狩人「またかよ……」
狩人「!?」
狩人(何だコイツ……異様にでかいし、あのトサカに足の鉤爪)
狩人(…………)
狩人(まさか……!)
グアアッ!!
狩人「くそっ!!」
47: 2015/04/25(土) 08:10:34 ID:1RftGQsY
―――――――――――
BC(ベースキャンプ)
狩人「はあっはあっ……」
狩人「どうにか……逃げ切ったぜ……」
狩人(…………)
狩人(あれは、たぶんギアノスを束ねるリーダー)
狩人(ドスギアノス……)
狩人(並のギアノスより攻撃力も耐久力もかなり上だとか)
狩人(幸い仲間を呼ばれなくて、何とか逃げ切れた……)
狩人(…………)
48: 2015/04/25(土) 08:11:04 ID:1RftGQsY
―――――――――――
ふもと村 村長宅前
村長「え? ドスギアノスを見かけたって?」
狩人「ああ」
村長「そうかい……この前少女が倒したばかりだったんだが」
村長「また出たみたいだね」
狩人「…………」
村長「ともかくご苦労さん」
村長「また少女に討伐依頼出しておくよ」
狩人「…………」
狩人「なあ、村長さん」
村長「ん?」
49: 2015/04/25(土) 08:11:57 ID:1RftGQsY
狩人「俺に……やらせてもらえないか?」
50: 2015/04/25(土) 08:13:52 ID:1RftGQsY
こんなふうにいつも筆がノってくれたらなぁ……
というところで今日はここまでです。
というところで今日はここまでです。
54: 2015/04/26(日) 16:12:16 ID:BrTTdFxA
―――――――――――
加工店
職人「おう狩人」
狩人「職人さん、できてますか?」
職人「ああ、できてるぜ」
スラァ…
職人「ハンターカリンガだ」
狩人「どうも」
職人「素材と金さえもらえれば、どんどん強くしていけるからな」
狩人「ああ、頑張るよ」
55: 2015/04/26(日) 16:13:03 ID:BrTTdFxA
狩人「…………」
狩人(結局……ドスギアノスは狩らせてもらえなかった)
狩人(…………)
狩人(おまけにふて腐れる間もなく、少女があっさりとドスギアノス狩ってくるし)
狩人(真面目に肩身が狭い……)
狩人(…………)
狩人(ともかくだ。 武器も強化したし)
狩人(例のギアノス5匹狩猟クエをそつなくこなせる様になれば)
狩人(俺にもやらせてもらえるだろう)
狩人(当座の目標はドスギアノス!)
狩人(頑張るぞ!)
56: 2015/04/26(日) 16:13:52 ID:BrTTdFxA
―――――――――――
数日後の午前
雪山
狩人「これで……最後!」
ズバッ! クウウウウゥゥゥ…
狩人「はあっはあっ……よし!」
狩人「ついに1乙もしなかったぞ!」
狩人「あはははははは!!」
狩人「…………」
狩人「おっと、剥ぎ取りしないと……」
57: 2015/04/26(日) 16:14:40 ID:BrTTdFxA
狩人「…………」
狩人(それにしても武器の強化が、これほど効果的だったなんて)
狩人(あんなに苦労してたギアノスだったのに……)
狩人(あっさり狩れる様になった)
狩人(もちろんあいつらの動きに慣れた、というのも大きいだろうけど)
狩人(…………)
狩人(さて、そろそろ帰るか)
―――――――――――
ふもと村 村長宅前
村長「やあ、おかえり。 狩人」
狩人「どうも、村長さん」
58: 2015/04/26(日) 16:15:43 ID:BrTTdFxA
村長「最近、順調だね」
狩人「はは、武器を新調しましたから」
村長「そうかい」
村長「それなら、そろそろ大きいの行っておくかい?」
狩人「!」
狩人「ドスギアノスですか!?」
村長「あー残念だけど違うよ」
村長「ドスファンゴだ」
狩人「ドスファンゴ……ファンゴのボスですか」
村長「ある意味ではドスギアノスより厄介だよ」
村長「攻撃力が高くて、普通の人がまともに食らうと即氏もあり得る」
狩人「……なるほど。 確かに手強そうですね」
59: 2015/04/26(日) 16:16:54 ID:BrTTdFxA
狩人「じゃあ回復薬とか、調達し終えたら」
狩人「やります」
村長「ああ、わかった」
―――――――――――
狩人「…………」
狩人(……ストアで売っているの買えばいいんだけど節約しないとな)
狩人(明日いっぱいは、薬草とアオキノコ採取に使うとして)
狩人(その次の日は休養に回そう)
狩人(その翌日が……決戦の日だ!)
狩人(…………)
狩人(……そうだ。 少し余裕も出来てきたし)
狩人(武器もだけど、防具の方も新調できないか見てみよう)
60: 2015/04/26(日) 16:17:41 ID:BrTTdFxA
加工店
職人「よお、狩人」
狩人「どうも、職人さん」
狩人「それなりに素材とお金が貯まりましたんで」
狩人「武器もですけど防具でも何が作れるか、見てもらえますか?」
職人「おう、いいぞ」
―――――――――――
狩人「防御力でバトルシリーズ……でも全部は作れない」
狩人「その点、ハンターシリーズは揃えられる……か」
職人「まあその辺りは好みだと思うぜ?」
職人「何が何でも全部揃えなきゃならん、という事はねぇ」
職人「この段階じゃ、そんなに性能差はないからな」
61: 2015/04/26(日) 16:18:34 ID:BrTTdFxA
狩人「そう言われても……迷いどころだなぁ」
狩人「う~ん……」
職人「…………」
狩人「……よし」
狩人「ハンター装備一式買います!」
職人「ああ、わかった」
職人「2~3日待っててくれ」
狩人「では3日後に取りに来ます」
62: 2015/04/26(日) 16:19:22 ID:BrTTdFxA
―――――――――――
二日後の午後
ふもと村 広場
女「ただいまー」
村人「やあ、女ちゃん。 おかえり」
村人「今回の仕入れは、ずいぶん長かったね?」
女「帰る途中の街道で、ティガレックスが出てね」
女「討伐されるまで足止め食っちゃったのよ……」
村人「そう……そりゃ災難だったね」
女「で? こっちの方もハンターが何人か引退したそうじゃない」
女「大丈夫なの?」
63: 2015/04/26(日) 16:20:10 ID:BrTTdFxA
村人「ああ、それなら新人だけど2人来てくれたから」
女「へえ。 さすがギルドね」
女「仕事が早い」
村人「本当に良かったよ、2人で」
村人「ハズレだけだったら、えらい事になってたよ……」
女「ん? ハズレ?」
―――――――――――
女「あはは! ガウシカに3乙!?」
女「本当にハンターなの!?」
村人「まあ、今は多少マシになったけど」
村人「少し前までギアノス相手に何度も3乙繰り返してたよ」
64: 2015/04/26(日) 16:21:10 ID:BrTTdFxA
女「……うわぁ」
女「そりゃ確かにハズレだわ……」
女「で、もう一人はどんな感じ?」
村人「見た目は女ちゃんと代わらないくらい可愛い女の子なんだけど」
村人「こっちは順調に狩猟クエをこなしているよ」
女「ふーん」
女「…………」
―――――――――――
少女の家
女「こんにちはー」
少女「はい? どなたですか?」
65: 2015/04/26(日) 16:21:52 ID:BrTTdFxA
女「初めまして。 私、女って言います」
女「あそこのストアの仕入れ担当で、今日帰ってきたので」
女「新しいハンターさんに挨拶を……と思って」
少女「あ、これはご丁寧に」
少女「私、この前ここに来た、ハンターの少女って言います」
少女「よろしく」
女「よろしくね♪」
女「なんか順調に強くなってるって、聞いてるよ?」
少女「最近はちょっと伸び悩んでいるんですけどね……」
女「ふーん? そうなの?」
女「ま、頑張ってね!」
少女「はい。 頑張ります」
66: 2015/04/26(日) 16:22:26 ID:BrTTdFxA
女(ふむふむ、なかなか感じのいい娘ね)
女(確かに当たりって感じだわ)
女(さて、ハズレの方はどんな感じかな?)
―――――――――――
狩人の家
女「こんにちはー」
女「…………」
女「あれ?」
女「こんにちはー?」
女「…………」
67: 2015/04/26(日) 16:23:25 ID:BrTTdFxA
女「居ないのかな?」
……グォー ……グォー
女「…………」
女「あれまあ……窓を開けっ放しにして、のんきに寝てるわ」
女「さすが、ハズレハンターね」
女「…………」
女「挨拶は、また後でいっか」
―――――――――――
狩人「ふああああ……」
狩人「…………」
狩人「あー……よく寝た」
68: 2015/04/26(日) 16:24:06 ID:BrTTdFxA
狩人「…………」
狩人(今日は休養日だけど……)
狩人(日課の素振りや、薪割りをしておかないとな)
―――――――――――
狩人「……ふう」
狩人「こんなものだろう」
狩人「…………」
コンニチハー
狩人「ん? 誰か来た」
狩人「はーい」
狩人「誰ですか?」
69: 2015/04/26(日) 16:24:42 ID:BrTTdFxA
女「お、今度は起きてた」
狩人「は?」
女「あはは! 何でもない!」
女「初めまして。 私は広場前のストアで仕入れを担当している、女って言います」
女「新しいハンターさんに挨拶しておこうと思って、来ました」
狩人「そうなんですか」
狩人「初めまして。 この前、派遣されてきたハンターの狩人です」
女「よろしくね」
狩人「はい、よろしく」
女「私もたまに店番してるから、たくさん買ってくれると嬉しいな!」
女「じゃ!」
狩人「…………」
狩人「可愛い人だったなー」
70: 2015/04/26(日) 16:25:20 ID:BrTTdFxA
女「…………」
女(んふふ)
女(外見だけなら、十分合格ね)
女(外見だけなら)
女(…………)
女(でも……)
女(いつまでもハズレのままじゃ)
女(こちらとしては困るのよねー……)
女(…………)
71: 2015/04/26(日) 16:26:55 ID:BrTTdFxA
―――――――――――
翌日の午前中
村長宅前
村長「やあ、狩人。 来たね」
狩人「はい」
村長「おっ……武器だけじゃなく」
村長「防具も新調したのかい」
狩人「ええ。 今日の為に」
村長「気合入ってるね」
村長「じゃ、ドスファンゴ狩猟、頑張ってくれ」
狩人「行ってきます!」
パァ~フォ~
72: 2015/04/26(日) 16:27:32 ID:BrTTdFxA
―――――――――――
雪山
狩人「さて……ドスファンゴ」
狩人「待ってろよ……!」
ヒュウウウウウ……
狩人「ううっ……寒いな」
狩人「マフモフじゃないから寒さが堪えるぜ……」
狩人「早いとこ済ませないと」
73: 2015/04/26(日) 16:28:18 ID:BrTTdFxA
―――――――――――
狩人「はあっ……はあっ……」
狩人「くそっ……!」
狩人「寒くて……動きにくくなってきた……」
ブモー!!
狩人「!!」
狩人「現れたな……ドスファンゴ!!」
ズシャ…! ズシャ…!
ドドドドドドドドッ!
狩人「来たな……そんな直線的な攻撃、軽く避けられるぜ!」
74: 2015/04/26(日) 16:29:00 ID:BrTTdFxA
狩人「どうだ!」
狩人「!?」
ドゴォッ!!
狩人「ぐはっ!!」
狩人(……かわしたと思ったら)
狩人(次の攻撃がこんなに早く来るなんて……!)
ドドドドドドドドッ!
狩人「うわああああああああっ!!」
狩人「く、くそっ」
ドドドドドドドドッ!
狩人「寒くて……動けな……」
ドゴォッ!!
75: 2015/04/26(日) 16:30:29 ID:BrTTdFxA
―――――――――――
村長宅前
村長「…………」
狩人「」
救助アイルー「……それじゃ」
ガラガラガラ…
―――――――――――
狩人「すみません! 村長さん!」
村長「い、いや……いいんだよ」
村長「君は頑張っていた。 それは確かだから」
76: 2015/04/26(日) 16:31:18 ID:BrTTdFxA
女「ちわーす、村長さん」
女「頼まれていた品物届けに……ん?」
女「どうしたんですか?」
村長「あー……うん、何でもないよ」
狩人「…………」
女「…………」
女(……3乙したみたいね)
狩人「ともかく、村長さん」
狩人「もう一度……依頼を受けさせてください!」
狩人「お願いします!」
村長「狩人……そんなに頭を下げなくても大丈夫だから」
村長「ぜひ、再挑戦してくれ」
77: 2015/04/26(日) 16:31:58 ID:BrTTdFxA
狩人「ありがとうございます!」
狩人「次は、マフモフで行きますから……」
村長「……ん?」
女「……は?」
女「何でわざわざ防御力の低い装備に戻すの?」
狩人「それが……この装備だと寒くて、すぐ動けなくなったから……」
村長「」
女「」
狩人「……?」
狩人「どうしたんですか?」
78: 2015/04/26(日) 16:33:05 ID:BrTTdFxA
女「……ねぇ」
女「BC(ベースキャンプ)にさ、支給品の入った青い箱、あるでしょ?」
狩人「ええ、ありますね」
女「それにさ」
女「ホットドリンクっていう薬があると思うんだけど?」
狩人「ああ、確かに見かけましたけど……それが?」
村長「…………」
女「…………」
女「えと……どうして飲まなかったの?」
狩人「どうしてって……何の薬かわからなかったし」
狩人「まあいっか、って感じで、放っておいただけですけど……」
村長「…………」
女「……はあ」
狩人「???」
79: 2015/04/26(日) 16:34:07 ID:BrTTdFxA
女「あのね、新人クン」
女「あの薬……ホットドリンクっていうのはね」
女「一定時間、寒さを緩和する効果があるのよ」
狩人「…………」
狩人「え」
狩人「えええええっ!?」
女「……あきれた。 本当にあなたってハンターなの?」
村長「ま、まあまあ、女ちゃん」
村長「狩人もひとつモノを知る事が出来たんだし、よかったじゃないか」
狩人「…………そうですね」
狩人「次は……ちゃんと飲みますから」
トボ トボ トボ…
80: 2015/04/26(日) 16:37:19 ID:BrTTdFxA
村長「…………」
女「…………」
女「ねえ、村長さん」
村長「う、うん」
女「真面目に交代のハンターを要請すべきじゃない?」
村長「……正直を言えば、頭をよぎったけどね」
村長「ハズレだから交代させて、何て通らないと思うよ……たぶん」
女「はあ……本当にとんでもないハズレを掴まされたものだわ」
女「少女ちゃんが唯一希望の星ね」
村長「……まあ、それなりに役には立ってくれてるし」
村長「長い目で見ていこうよ……」
女「はあ……」
81: 2015/04/26(日) 16:38:19 ID:BrTTdFxA
狩人の家
狩人「…………」
狩人「何の薬かなぁ……とは思っていたんだけど」
狩人「そんな効果があったなんて……」
狩人(…………)
狩人(……大恥じ、かいちまった)
狩人(…………)
狩人(……もう寝よう)
狩人(…………)
82: 2015/04/26(日) 16:39:16 ID:BrTTdFxA
忘れろ……
忘れるんだ……
そう呟きながら
俺は眠りについたのだった……
86: 2015/04/28(火) 19:11:37 ID:xCGWyz9A
―――――――――――
数日後の午前
ふもと村 集会所
ガヤ ガヤ
少女「よろしくお願いします」
流れハンター「ああ、よろしく」
ハンター(女)「よろしくね」
色黒ハンター「こちらこそよろしく」
色黒ハンター「これでカニ(ダイミョウザザミ)装備、できるんだっけ?」
少女「はい」
少女「たぶん素材が出揃うかと……」
87: 2015/04/28(火) 19:12:34 ID:xCGWyz9A
ハンター(女)「でも噂で聞いてたのと違うね、少女ちゃん」
少女「え?」
ハンター(女)「ガウシカに3乙したとか、ギアノス相手に何度もクエ失敗したとか」
ハンター(女)「ふもと村の新しいハンター、すごいヘタレだって聞いてたから……」
少女「あー……それ私の事じゃないです」
少女「派遣されてきた日が近かったから、よく混同されるんですけど」
少女「狩人って名前のハンターの事ですね」
流れハンター「今の話、本当か?」
流れハンター「よくハンターになれたな……」
ハンター(女)「まあ戦闘センスとかは審査基準にないからね」
色黒ハンター「そんな奴とは組みたくねーなぁ」
ハハハ…
少女「…………」
88: 2015/04/28(火) 19:13:22 ID:xCGWyz9A
―――――――――――
雪山
ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
狩人「ひぎっ!!」
バコッ!!
狩人「ぶべらっ!!」
バチバチバチバチッ!
狩人「gっどんjcdcんhmfjhッ――!!」
89: 2015/04/28(火) 19:14:59 ID:xCGWyz9A
―――――――――――
村長宅前
狩人「」
救助アイルー「毎度どうもニャ」
ガラガラガラッ…
村長「……ご苦労様」
―――――――――――
狩人「すみませんっ!」
村長「あー……何度も言うけど、気にしなくていいから」
狩人「でも……」
村長「その分、採取クエで割は取ってくれているよ、君は」
村長「だから大丈夫」
狩人「……そうですか」
90: 2015/04/28(火) 19:15:50 ID:xCGWyz9A
狩人の家
ドサッ…
狩人「あー……疲れた」
狩人「フルフル強すぎだぜ……ドスファンゴとは比べ物にならない」
狩人「…………」
狩人(せめて、あの咆哮さえ無くなればなぁ……)
狩人(切り込んでる最中にやられると)
狩人(ダメージが全然入らない)
狩人(…………)
狩人(どうすればいいんだろう……)
91: 2015/04/28(火) 19:16:58 ID:xCGWyz9A
少女の家前
狩人「おーい、少女」
シーン…
狩人「…………」
狩人「居ないのか……」
女「あら、狩人」
狩人「あ……女さん」
女「少女ちゃんなら、密林へ遠征に行くって言ってたわよ」
女「一週間くらい帰ってこないって」
狩人「…………」
狩人「……そうですか」
女「それより君、また3乙したんだって?」
狩人「……はい」
92: 2015/04/28(火) 19:17:41 ID:xCGWyz9A
女「そう……」
女「まあ、次があるよ」
狩人「ハハ……頑張ります」
女「……ところで少女ちゃんに何の用だったの?」
狩人「!」
狩人「た、大した用事じゃないですよ」
女「…………」
女「……あ」
女「もしかしたら、戦い方を教えてもらおうとしたの?」
狩人「ほ、ホントに何でも無いですから!」
タッ タッ タッ…
女「……図星か」
93: 2015/04/28(火) 19:18:37 ID:xCGWyz9A
狩人の家
狩人「はあっ……はあっ……」
狩人「…………」
狩人(……どうすりゃいいんだよ)
狩人(…………)
狩人(思い切って集会所へ行くか……?)
狩人(…………)
狩人(だめだ)
狩人(もうあそこには行きたくない……)
狩人(おまけにヘタレだの3乙ハンターだの噂されてるし)
狩人(馬鹿にされるのがオチだ……)
94: 2015/04/28(火) 19:19:09 ID:xCGWyz9A
―――――――――――
ふもと村 集会所
女「こんにちは」
女「食材のお届けに参りました」
受付嬢「ご苦労様です」
女「受取証にサインをお願いします」
受付嬢「はい」
サラサラ…
女「毎度どう……」
女「あ!!」
95: 2015/04/28(火) 19:19:42 ID:xCGWyz9A
受付嬢「?」
受付嬢「どうしました?」
女「い、いえ。 何でもないです」
女(教えを請うのなら、ここに来ればいいのに……)
受付嬢「左様ですか」
女「ははは……ただ、狩人ってハンター」
女「いつも村のクエストしかしていないなーと思って」
受付嬢「ああ、あのヘタレハンターですか」
女「え」
受付嬢「ふもと村の武勇伝が入ってきてますからね」
受付嬢「少女さんがいちいち説明していて迷惑そうでした」
受付嬢「まあ、その彼がここに来られるとは思いませんが」
96: 2015/04/28(火) 19:20:16 ID:xCGWyz9A
女「…………」
女「……それじゃ」
受付嬢「はい」
―――――――――――
女「…………」
女「……そういう事だったのね」
女「…………」
女「後で様子を見に行ってやるか」
女「美味しいものでも差し入れよう」
97: 2015/04/28(火) 19:23:14 ID:xCGWyz9A
―――――――――――
加工店
カーン… カーン…
女「こんにちは」
職人「おう、こんにちは」
女「注文されていた道具と部品です。 サインを」
職人「ありがとう」
サラサラ…
職人「……そうだ、女ちゃん」
女「はい?」
職人「狩人ってハンターの事は知っているかい?」
女「ええ、知ってますけど?」
職人「こんな事、頼むのは筋違いなんだけどな……」
98: 2015/04/28(火) 19:23:55 ID:xCGWyz9A
職人「あいつの事、励ましてやってくれねぇか?」
女「え?」
職人「女ちゃんもヘタレだのハズレだのっていう、狩人の噂を聞いてると思うけど」
職人「あいつは、あいつなりに精一杯頑張っている」
女「…………」
職人「もちろん結果が伴わなければ、評価なんてされねぇ……でもよ」
職人「俺ァ……あいつの使い込まれた武器を鍛えているからわかるんだ」
職人「あいつの一生懸命さがよ……」
女「…………」
職人「俺も頑張れって言ってやったけどな」
職人「こんな蒸さいおっさんよりも、可愛い女の子に言ってもらった方が」
職人「ヤローって奴ァ頑張れるもんなんだよ」
女「…………」
99: 2015/04/28(火) 19:24:45 ID:xCGWyz9A
職人「どうだい? ひとつ頼まれちゃくれねぇかな?」
女「…………」
女「……そうですか」
女「職人さんの頼みなら、喜んで聞きますよ」
職人「すまねぇな」
女「これからもウチをご贔屓にしてくださいね?」
職人「ちゃっかりしやがって」 ハハハ…
職人「もちろん、そうさせてもらうよ」
女「毎度ありです♪」
100: 2015/04/28(火) 19:33:05 ID:xCGWyz9A
―――――――――――
ふもと村 広場
????「ふう……やっと着いたな」
??「…………」
村人「あ!」
村人「ロートルさんに ソロさん!」
村人「お帰りなさい!」
ロートル「ああ、ただいま」
ソロ「……ただいま」
101: 2015/04/28(火) 19:33:35 ID:xCGWyz9A
村人「半年もの長期遠征でしたからね……お疲れ様でした」
ロートル「いや、こっちも長い間、村を空けてすまなかった」
ソロ「…………」
ロートル「それよりも……手紙を読んで驚いたんだが」
ロートル「玄人(くろうと)と女戦士が引退したんだってな」
ロートル「一体何があった?」
村人「それが……」
―――――――――――
ロートル「そうか……玄人のやつ、右腕を失ったのか」
ロートル「女戦士は、あの無鉄砲ぶりだったから、いずれ命を失うと思っていたが……」
ロートル「まさかあの玄人がな……」
村人「ええ……私たちも女戦士は意外でも何でも無かったんですが」
村人「あの慎重な玄人さんが、と、驚きを隠せませんでした」
102: 2015/04/28(火) 19:34:05 ID:xCGWyz9A
ロートル「じゃあ今、この村のハンターは俺たちだけか……」
ロートル「みんな不安だったろう。 もう大丈夫だ」
村人「あ、いやそれが……新人ハンターですけど」
村人「ギルドがすぐに2人も派遣してくれまして」
ロートル「ほう?」
―――――――――――
ソロ「…………」
ロートル「当たりとハズレ……ね」
村人「まあ少女ちゃんは優秀なんで、安心できました」
村人「けど……もう一人がねぇ」
ロートル「…………」
103: 2015/04/28(火) 19:34:49 ID:xCGWyz9A
ロートル「……まあ、みな息災で何よりだ」
ロートル「後で村長のところに顔を出しておくよ」
村人「ええ、きっと村長も喜ぶと思います」
村人「じゃ、また!」
ロートル「ああ」
スタ スタ スタ…
ソロ「…………」
ロートル「…………」
ロートル「……ふふ、ガウシカに3乙、か」
ソロ「…………」
ロートル「なかなか面白そうな奴が入ってきたな」
104: 2015/04/28(火) 19:35:20 ID:xCGWyz9A
―――――――――――
狩人の家前
女「…………」
女「こんにちは」
女「…………」
女「また寝てるのかな?」
……ハッ! ……トアッ!
女「ん?」
女「家の裏の方から何か聞こえる」
スタ スタ スタ
105: 2015/04/28(火) 19:35:57 ID:xCGWyz9A
女「!」
狩人「はっ! とりゃ!」
ブンブンッ!
狩人「はっ! はっ! はあっ!!」
ブンブンッ! ブウンッ!
女「…………」
女(一生懸命……か)
女(…………)
女「あのー」
狩人「はっ! は……え?」
狩人「! 女……さん」
106: 2015/04/28(火) 19:36:47 ID:xCGWyz9A
女「頑張ってるみたいね」
狩人「はは……恥ずかしいところ、見られたな」///
女「女、でいいよ」
狩人「は?」
女「名前。 女って、呼び捨てでいいよ」
狩人「は、はあ……」
ゴソゴソ…
女「これ、差し入れ」つ(弁当)
狩人「え」
女「おっと、勘違いするんじゃないわよ?」
107: 2015/04/28(火) 19:37:37 ID:xCGWyz9A
女「狩人ってさ、ちょっと痩せすぎてると思うのよ」
女「だから、これでも食べて、どっしりとしたハンターになりなさい」
狩人「…………」
女「…………」
女「今は……嫌な噂とか広まっちゃってるけど」
女「狩人の事、応援している人も少なからず居るわ」
狩人「…………」
女「私も、今から応援する一人になる」
狩人「!」
女「だから、頑張ってね」
狩人「女さ……あ、いや……」
狩人「女、ありがとう」
女「うふふ、どういたしまして!」
女「じゃ!」
108: 2015/04/28(火) 19:38:25 ID:xCGWyz9A
その日は……
とてもいい風が吹いてる気がした。
113: 2015/05/03(日) 11:17:28 ID:/JZXls56
―――――――――――
翌日の午後
ふもと村 墓地
ザッ ザッ ザッ…
ロートル「玄人」
玄人「……ロートルか。 帰って来たんだな」
ロートル「まだ怪我が治りきっていないと聞いている」
ロートル「こんな所まで出歩くのは、体に良くないぞ?」
玄人「…………」
ロートル「…………」
ロートル「女戦士の墓か?」
玄人「ああ……」
玄人「あいつの好きだったファンゴのジューシィ焼き……供えたくてな」
114: 2015/05/03(日) 11:18:07 ID:/JZXls56
ロートル「…………」
ロートル「こう言っては何だが……」
ロートル「いずれこうなると思っていた」
玄人「……ああ」
玄人「確かにな」
ロートル「だが、お前が右腕を失う事になるとは思わなかった」
ロートル「何があったんだ?」
玄人「別に何でもない。 よくある事さ」
玄人「何度目かもわからない、雪山に現れたドドブランゴを討伐に行って失敗した」
玄人「それだけだ」
ロートル「…………」
玄人「やり慣れた相手……知り尽くした場所……」
玄人「俺たちは……いつも通りに奴を狩る。 そのはずだった」
115: 2015/05/03(日) 11:19:01 ID:/JZXls56
ロートル「…………」
玄人「……どこか、油断していたのだろうな」
玄人「たぶん、『当たり前』に慣れすぎていたんだと思う」
ロートル「…………」
玄人「奴にダメージを与え、そして逃げた。 いつも通りのあの場所へ」
玄人「このまま倒すか、それとも捕獲するか?」
玄人「まだ勝ったわけでもないのに、俺たちは帰った後の晩飯を何にするか」
玄人「そんな事まで鼻歌交じりに話していた」
ロートル「…………」
玄人「ところがだ」
玄人「あいつはあそこに居なかった」
116: 2015/05/03(日) 11:19:33 ID:/JZXls56
ロートル「何?」
玄人「答えは簡単だ」
玄人「奴に与えたダメージを測りそこなったんだ」
ロートル「…………」
玄人「ペイントの効果も消されていたし」
玄人「俺たちは慌てて奴を探した」
ロートル「…………」
玄人「ホットドリンクを使い切ってしまっていたから」
玄人「時間の経過が気になり……」
玄人「……不用意に山頂エリアに入ってしまった」
ロートル「…………」
117: 2015/05/03(日) 11:20:54 ID:/JZXls56
玄人「俺は不意打ちを受け、右腕を食いちぎられた」
玄人「それを女戦士は庇い立てして、奴と、奴の呼ぶブランゴの群れに飛び込んでいった」
ロートル「…………」
玄人「……俺は痛みで気を失い」
玄人「気がついた時は、ふもと村の集会所……すべて終わった後だった」
玄人「救助アイルーの話だと、全身傷だらけでドドブランゴの頭に太刀を突き刺し……」
玄人「立ったまま、女戦士は氏んでいたそうだ」
ロートル「……そうだったのか」
玄人「…………」
玄人「……俺なんか見捨てて逃げれば良かったのに」
玄人「いや、それ以前にホットドリンクが無くなった時点でリタイアしていれば」
玄人「こんな事にならなかったのにッ!!」
ロートル「…………」
118: 2015/05/03(日) 11:21:31 ID:/JZXls56
ロートル「……お前には家族が居る」
玄人「っ!」
ロートル「女戦士は無鉄砲だったが……情のない奴じゃない」
ロートル「そして、お前の子供達と仲が良かった」
ロートル「きっと……そういう事なのだろう」
玄人「…………」
ロートル「……女戦士はいつも言っていた」
ロートル「家族を持つのが怖い、と」
ロートル「家族を持ってしまったら、きっと一歩を踏み出せなくなって」
ロートル「ハンターとして弱くなる、と」
玄人「…………」
119: 2015/05/03(日) 11:22:11 ID:/JZXls56
玄人「……馬鹿な奴だ」
玄人「それでいて……こんな事で……命を失いやがって……」
玄人「馬鹿野郎がッ……!」
ロートル「…………」
玄人「ううっ……ぎっ……く…………ああっ……」
玄人「馬鹿……野郎ッ…………何で………氏んだんだよ………」
玄人「息子と娘に……何て言ってやりゃいいんだよ……!」
玄人「……うっ……うっ……うああっ……ぎっ……」
玄人「ぐっ……くっ……うあっ…………ひぎっ…………」
ロートル「…………」
ロートル「好きなだけ泣くがいいさ……」
ロートル「気持ちの整理がつくまで……な」
120: 2015/05/03(日) 11:23:01 ID:/JZXls56
―――――――――――
雪山
ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
狩人「くっ……!」
狩人(よし! 調べた通り、咆哮は盾で防げるぞ!)
狩人(そして……反撃!)
バコンッ!
狩人「ぶべらっ!?」
バチバチバチバチッ!!
狩人「おgfklぢfm;s、;jvlばshjsッ――!!」
121: 2015/05/03(日) 11:24:00 ID:/JZXls56
―――――――――――
ふもと村 村長宅前
狩人「」
救助アイルー「毎度ー」
ガラガラガラッ…
村長「どうも」
―――――――――――
狩人「もう少し! もう少しだったんですよ!」
狩人「足を引きずっていたんです!」
村長「うんうん」
村長「次、頑張ろう」
122: 2015/05/03(日) 11:24:43 ID:/JZXls56
ロートル「やあ、村長」
村長「ああ、ロートルさん」
村長「もう疲れは取れましたか?」
ロートル「だいぶな」
ロートル「俺も歳をとったし、調子を戻すのが大変になってきた」
村長「ははは。 お互い、もう歳はとりたくないですな」
狩人「…………」
村長「ああ、狩人。 すまないね」
村長「こちらは君と同じく、ふもと村の村つきハンターのロートルさん」
村長「この前、長期遠征から帰ってきたんだよ」
ロートル「よろしく」
村長「で、こちらは、最近入ってきた新人ハンターの狩人」
狩人「……よろしく」
123: 2015/05/03(日) 11:25:37 ID:/JZXls56
ロートル「ほう……君が噂の新人ハンターか」
狩人「……ロクでもない噂ばかりで、がっかりしたでしょうね」
ロートル「がっかりというより、懐かしかったがな」
狩人「は?」
ロートル「それよりも君、また3乙したのか?」
狩人「…………」
ロートル「……気に障ったのなら謝るが」
ロートル「何度も3乙して無事でいられるのは、立派な才能でもある」
狩人「……そうですかね?」
ロートル「まあこれから先、そんな調子のままでいたら」
ロートル「早々と命を散らす事になると思うが」
狩人「…………」
124: 2015/05/03(日) 11:26:34 ID:/JZXls56
ロートル「村長、狩人は何のクエで3乙したんだ?」
村長「フルフル討伐だよ」
ロートル「フルフルか」
ロートル「あいつじゃ仕方ないところもあるな」
ロートル「狩人、武器は何を使っている?」
狩人「片手剣ですけど……」
ロートル「ほう……となると」
ロートル「咆哮からのテールアタックか、放電でヤられているな?」
狩人「!!」 ギクッ!
ロートル「図星か」
狩人「…………」
125: 2015/05/03(日) 11:27:45 ID:/JZXls56
ロートル「俺から言えるアドバイスとしては」
ロートル「武器を変えてみる事だ」
狩人「武器を……?」
ロートル「ああ」
ロートル「モンスターと武器の相性ってのがある」
ロートル「フルフル相手だと、片手剣や双剣は間合いが近すぎて」
ロートル「奴の攻撃を喰らいやすい」
ロートル「初見では特にな」
狩人「…………」
ロートル「奴の咆哮や、放電をかいくぐりなら、必殺の一撃を繰り出せる」
ロートル「大剣かガンランス」
ロートル「ハンマーでもいいが、フルフル相手では少し分が悪い」
126: 2015/05/03(日) 11:28:55 ID:/JZXls56
ロートル「それか、ガンナーになって」
ロートル「奴の射程外の安全圏からチクチクやるのもオススメだ」
ロートル「時間は多少掛かってしまうがな」
狩人「…………」
ロートル「参考になればいいが」
狩人「……ありがとうございます」
狩人「では、俺はこれで……」
スタ スタ スタ…
村長「……何だかあまり嬉しそうじゃなかったな」
ロートル「なぁに」
ロートル「男なら誰でも持っているプライドってやつが、邪魔をするんだよ」
村長「プライド?」
127: 2015/05/03(日) 11:29:58 ID:/JZXls56
ロートル「たぶん、あいつはこれまでずっと片手剣でクエをこなしていたんだろう」
ロートル「だから、フルフルも片手剣で倒したいんだ」
村長「……楽にモンスターを狩れるなら、そうすべきだと思うがなぁ」
ロートル「これまで培ってきた自信やプライド」
ロートル「そして安定した狩りに対する渇望」
ロートル「それらが、せめぎ合っているんだよ」
村長「…………」
村長「私にはわからない概念だね……」
ロートル「ああ、そうだとも」
ロートル「これはハンターであり、男の子であるからこそ」
ロートル「持ってしまう問題なんだ」 クスッ
128: 2015/05/03(日) 11:30:41 ID:/JZXls56
―――――――――――
狩人の家
ガサゴソ ガサゴソ…
狩人「…………」つ(バスターソード)
狩人「……大剣、か」
狩人「…………」
狩人(確かに、あのロートルとかいうハンターの言う通りだ)
狩人(咆哮で邪魔されても一撃が強ければ)
狩人(確実にダメージは入っていく)
狩人(…………)
狩人(しかし、ここまでやって、いまさら武器を変えるなんて……)
129: 2015/05/03(日) 11:31:17 ID:/JZXls56
女「狩人、居るー?」
狩人「あ、女」
狩人「何か用?」
女「いきなりご挨拶ね」
女「また3乙したって聞いたから、陣中見舞いしに来たのに」
狩人「…………」
女「ほらほら、そうやってすぐ気にする」
女「狩人の悪い癖よ」
狩人「……んなこと言われても」
女「まあ、それはいいわ」
130: 2015/05/03(日) 11:32:03 ID:/JZXls56
女「それよりもさ!」
女「我がふもと村の歴戦の勇者!」
女「ロートルさんと、ソロさんが、長期遠征から帰ってきてるの!」
狩人「…………」
女「お話してみたらいいと思う」
女「きっと狩人の力になってくれると思うな!」
狩人「あー……うん。 たぶんね」
狩人「後で会いに行くよ」
女「……様子がおかしいわね」
女「何か隠してるでしょ?」
狩人「べ、別に何も隠してない」
女「正直に話しなさい」
狩人「…………」
131: 2015/05/03(日) 11:32:43 ID:/JZXls56
狩人「……ってワケです」
女「そう。 もう知り合っていたのね」
女「せっかく貴重な意見をもらったんだから」
女「その通りにしてみたらいいんじゃない?」
狩人「……そう単純な話じゃないんだよ」
狩人「武器っていうのは、慣れっていうものがあって」
狩人「モンスターとの間合いとか、いろいろ違ってくるんだ」
女「ふぅ~ん」
狩人「ふ~んって……」
132: 2015/05/03(日) 11:33:18 ID:/JZXls56
女「でもさ」
女「狩人、安定した狩りをしたいんじゃないの?」
狩人「…………」
女「なら、迷う必要、ないと思うけどな」
狩人「…………」
女「…………」
女「……なんか、邪魔みたいだから帰るわ」
女「これ、いつもの差し入れ」つ(弁当)
女「じゃ」
狩人「……ああ」
狩人「ありがとう」
狩人(…………)
134: 2015/05/03(日) 11:34:44 ID:/JZXls56
―――――――――――
数日後の午前
雪山
ザッ ザッ ザッ
狩人「…………」
狩人(俺は……確かに迷った)
狩人(さすが経験者の意見)
狩人(頷ける言葉だった。 説得力があった)
狩人(…………)
狩人(……でも)
135: 2015/05/03(日) 11:35:34 ID:/JZXls56
ヒュオオオオオオオォォ……
狩人(俺にだって意地がある)
狩人(ランクは低くても俺だってハンターだ)
ゴフッ ゴフッ ゴフッ…
狩人(この前の戦いだって……負けたけど確かな手応えがあった)
オオオオオォォ……
狩人(……こっちに気がついたな)
狩人(でも……今度は負けない)
狩人(必ず、この片手剣で……俺のやり方で!)
狩人(フルフルを倒すっ!!)
ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
136: 2015/05/03(日) 11:36:30 ID:/JZXls56
狩人「ぐっ……!」
狩人(この咆哮から……大抵テールアタック!)
ブウンッ!
狩人「よし! 読み通り!」
狩人「はあああああっ!!」
ザシュッ ザシュッ!
狩人(ここで攻撃を切って、様子見っ!)
グルルル…… バチッ
狩人(よしっ! 放電だ!)
バチバチバチバチッ!!
狩人(これの終わりを見極めて……)
チッ……
狩人(切り込むっ!!)
137: 2015/05/03(日) 11:37:14 ID:/JZXls56
狩人「でやああっ!!」
ブルルルロロンッ!
狩人「!!?」
狩人(首が伸び――)
バゴォッ!
狩人「あびばっ!!」
……バチッ
狩人「し、しまっ」
バチバチバチバチッ!!
狩人「hgでdsぉにjんhgfぎdxzdsjおッ――!!」
138: 2015/05/03(日) 11:38:05 ID:/JZXls56
―――――――――――
BC(ベースキャンプ)
狩人「」
狩人「はっ!?」
救助アイルー「気がついたかニャ」
狩人「……1乙したか」
救助アイルー「どうするニャ?」
救助アイルー「ここで、リタイヤという手だってあるニャ」
狩人「…………」
139: 2015/05/03(日) 11:38:37 ID:/JZXls56
狩人「……さっきのは、まだ見てなかった動きのせいだ」
狩人「今度はアレにも気をつければいいだけ!」
救助アイルー「頑張ってくれニャ」
―――――――――――
狩人「はあああっ!!」
ザシュッ ザシュッ!
グルルル……
狩人(!)
狩人(咆哮か!?) サッ(防御姿勢)
ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
狩人(っ! よしっ! 読み通りっ!)
140: 2015/05/03(日) 11:39:13 ID:/JZXls56
狩人「でやあああああああっ!!」
ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
狩人「ひぎっ!?」
狩人(れ、連発!?)
バコンッ!!
狩人「ぶべらっ!」
バチバチバチバチッ!
狩人「あhgfdぎxylpぎへkjdびzxgkる;ッ――!!」
141: 2015/05/03(日) 11:40:21 ID:/JZXls56
―――――――――――
BC(ベースキャンプ)
狩人「」
狩人「はっ!」
救助アイルー「大丈夫かニャ?」
狩人「……大丈夫だ」
狩人「咆哮って連発もできるのかよ……」
狩人「だけど、それも覚えたぜ!」
救助アイルー「言っとくけど次、乙したらふもと村へ帰還ニャ」
狩人「……ああ、わかってるさ」
狩人「だけど、もう少しなんだ!」
狩人「必ず仕留めてやるっ!」
救助アイルー「頑張ってくれニャ」
142: 2015/05/03(日) 11:41:05 ID:/JZXls56
―――――――――――
バコンッ!
狩人「うがぁっ!!」
狩人「はあっはあっはあっ……」
グルルルルル……
狩人(くそっ……! 回復薬、これで最後だ) グビッ
狩人(次の攻撃は……!?)
アオオッ… アオオッ…
狩人(!!)
143: 2015/05/03(日) 11:41:42 ID:/JZXls56
狩人「足を引きずってる!!」
狩人「もう少しだ!!」
狩人「うおおおおおっ!!」
ザシュッ ザシュッ!
狩人「いい加減にくたばれっ!」
……バチッ
狩人「っ!! やば――」
バチバチバチバチッ!!
狩人「hgだllgjどhjfhvjぐdrでッ――!!」
狩人(…………) ドサッ…
狩人(終わった……たぶんフルフルは、こっちに向かってタックルしてくる)
狩人(これで……3乙、か……)
狩人(…………)
144: 2015/05/03(日) 11:42:47 ID:/JZXls56
狩人(…………)
狩人(……あれ?)
アオオッ… アオオッ…
バサッ バサッバサッバサッ…
狩人(……!)
狩人(逃げていく……)
狩人「……くっ」 ヨロッ…
狩人「…………」
狩人(……とりあえず助かったけど、どうする?)
狩人(何とか追い詰めたが、回復薬を使い切ってしまった)
狩人(なのにこっちはボロボロ……)
狩人(…………)
145: 2015/05/03(日) 11:43:29 ID:/JZXls56
狩人「!」
狩人「そうだ!」
狩人「無いのなら、作ればいいんだ!」
―――――――――――
狩人「あった!」
狩人「普段、採取クエしまくってるから、薬草もアオキノコの場所も」
狩人「よく知っている」
狩人「……こんな形で役に立つなんてな」
―――――――――――
狩人「よし、完全回復!」
狩人「あとは……」
146: 2015/05/03(日) 11:44:10 ID:/JZXls56
グオオオ… グオオオ…
狩人「…………」
狩人(寝込みを襲う形で悪いが)
狩人(決着を付けさせてもらうぜ……!)
狩人「……はああああああああっ!!」
ザシュ ザシュ ザシュッ!
ギエエエエエエエエエエエエッ!!
狩人「うおおおおおおおおおおおおっ!!」
ザシュッ! ザシュ! ザシュ!
ズズンッ…
狩人「はあっはあっ……!」
狩人(ここで反撃してくるっ!) サッ(防御姿勢)
147: 2015/05/03(日) 11:44:43 ID:/JZXls56
…………
狩人「…………」
狩人「…………」
狩人「…………あれ?」
狩人「…………」
狩人「…………」
狩人「…………」 …ツンツン
狩人「…っ!」 ササッ!(防御姿勢)
狩人「…………」
狩人「…………」
狩人「……動かないな」
狩人「氏んだふりか?」
148: 2015/05/03(日) 11:45:13 ID:/JZXls56
狩人「…………」
狩人「……いや」
狩人「そうじゃない」
狩人「…………」
狩人「…………」
狩人「……倒した?」
狩人「俺が……しかも片手剣で……」
狩人「フルフルを……倒した」
狩人「…………」
狩人「…………」
150: 2015/05/03(日) 11:46:42 ID:/JZXls56
【 目的を達成しました 】
狩人「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
狩人「ざまああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
狩人「みろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
151: 2015/05/03(日) 11:47:23 ID:/JZXls56
狩人「はあっ……はあっ……はあっ……」
狩人「はあ……はあ……」
狩人「…………」
狩人「……うう……うっ……ああああっ……」
狩人「倒した……倒したんだ…!………うあっ……」
狩人「この俺が……うくっ……ダメとか……ハズレとか……言われてた、俺がっ!」
狩人「ひぐっ……くっ……ぐうっ……ひぎっ……」
狩人「よがっだ……うううっ……よがっだぁ……あがっ……」
狩人「たおっ……倒したんだぁ……えぐっ……えぐっ……」
狩人「うああっ……ひぐっ……うぐっ……うああっ……」
狩人「いひひっ……ぐっ……ぐくっ……はっ……」
152: 2015/05/03(日) 11:48:18 ID:/JZXls56
俺は……この日の事を
一生忘れないだろう。
この日の喜びを
達成感を
涙の味を
……浮かれて剥ぎ取り忘たけど。
153: 2015/05/03(日) 11:49:16 ID:/JZXls56
―――――――――――
その日の夕方
村長宅前
村長「おめでとう、狩人」
狩人「あはは……ま、かろうじて、ですけどね」
村長「それでも成功は成功さ」
村長「よく頑張ったね。 今日はゆっくり休むといい」
狩人「ええ、そのつもりです」
女「狩人」
狩人「女」
女「……結局、片手剣で行ったのね」
狩人「……ああ」
154: 2015/05/03(日) 11:50:13 ID:/JZXls56
女「ロートルさんの意見を聞いていれば」
女「そんなにボロボロにならずに済んだだろうに」 クスッ
狩人「いいだろ、別に」 クスッ
狩人「俺には俺のやり方があるんだよ」
ロートル「……そうか」
ロートル「それは余計な事を言ったな」
狩人「! ……ロートルさん」
狩人「すみません、せっかくの意見を無視して」
ロートル「気にするな」
ロートル「お前さんの言う通り、それぞれのやり方ってのがある」
155: 2015/05/03(日) 11:51:09 ID:/JZXls56
ロートル「どれが正解か、なんてのは」
ロートル「クエを達成できるか、できないか、というシンプルな物かもしれん」
狩人「…………」
ロートル「ともかく、フルフル討伐成功おめでとう」
狩人「ありがとうございます」
ロートル「……それでな」
ロートル「疲れているところ悪いんだが……頼みたい事がある」
狩人「はい?」
ロートル「これから……君と少女の前任者」
ロートル「この村のハンターだった奴の見送りをするのだが」
ロートル「ぜひ、君も彼を見送りに来て欲しい」
156: 2015/05/03(日) 11:51:43 ID:/JZXls56
狩人「はあ……それはいいですけど」
狩人「着替えてから……」
ロートル「あいつも元ハンターだ」
ロートル「そんな事は気にしないだろう」
狩人「…………」
狩人「じゃあ、すぐ行きます」
ロートル「女ちゃん、悪いけど」
ロートル「少女を呼んできてくれないか?」
女「え?」
女「あ、はい。 いいですよ」
ロートル「すまないな。 頼む」
157: 2015/05/03(日) 11:52:23 ID:/JZXls56
―――――――――――
ふもと村 入り口付近
ロートル「待たせたな」
玄人「いや、そうでもない」
狩人「…………」
少女「…………」
玄人「……君たちが新しいハンターか。 若いな」
ロートル「だが二人共、有望株だと俺は思う」
玄人「そうか……ロートルがそう言うのなら、安心だ」
狩人(……有望、ねぇ) ハハハ…
少女(…………)
158: 2015/05/03(日) 11:53:13 ID:/JZXls56
玄人「……君の防具、その焦げ跡」
玄人「フルフルか?」
狩人「さすがですね……その通りです」
狩人「何とか倒せました」
玄人「そうか」
玄人「…………」
玄人「見ての通り、俺は右腕を失った」
玄人「今の俺の姿は……未来の君達の姿かもしれない」
狩人「…………」
少女「…………」
玄人「そうならないよう……ひとつだけ忠告したくてな」
159: 2015/05/03(日) 11:53:55 ID:/JZXls56
狩人「忠告……ですか」
玄人「ああ……」
玄人「…………」
玄人「狩りの最中に飯の話をし出したら、危ない、と思え」
狩人「…………は?」
少女「…………?」
ロートル「…………」
玄人「いいか? 狩りの最中に飯の話をするんじゃない」
玄人「さもないと……俺の様になる」
狩人「……何だかよくわかりませんけど」
狩人「心がけます」
少女「……同じく」
160: 2015/05/03(日) 11:54:40 ID:/JZXls56
玄人「そうか」
玄人「これで……俺の言いたい事は終わりだ」
玄人「わざわざ来てくれてありがとう」
狩人「いえ……」
少女「…………」
玄人「ロートル、ソロ」
玄人「この村を頼む」
ロートル「ああ。 故郷でも達者でな」
玄人「時間はかかるだろうが……嫁さんと子供を食わすくらい何とかするさ」
玄人「じゃ……元気で」
ロートル「ああ……」
ソロ「……また会おう」
161: 2015/05/03(日) 11:55:29 ID:/JZXls56
『狩りの最中に飯の話をするな』
その言葉の本当の意味を知るのは
少し先の事だったけど……
去って行く、引退ハンターの後ろ姿は
俺の心にとても印象強く残った。
162: 2015/05/03(日) 12:00:16 ID:/JZXls56
というところで、今日はここまでです。
今回は、狩人のこだわりみたいに書きましたけど
モンハンやってると、使い慣れた武器で出会った強敵に勝ちたいな……
と思う、プレイヤー心理を少しでも表現できたらな、と思って書きました。
みなさんも経験ありませんか? 思い入れのある武器で倒したい、と思った事。
では、また。
今回は、狩人のこだわりみたいに書きましたけど
モンハンやってると、使い慣れた武器で出会った強敵に勝ちたいな……
と思う、プレイヤー心理を少しでも表現できたらな、と思って書きました。
みなさんも経験ありませんか? 思い入れのある武器で倒したい、と思った事。
では、また。
163: 2015/05/03(日) 15:57:35 ID:rXNgHATo
乙!
164: 2015/05/06(水) 06:16:16 ID:ZW.J7PuI
引用: 狩人「目指すは伝説級ハンター!」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります