392: 2015/05/26(火) 19:15:19 ID:5Z0nmV8A
前作
【モンハン】狩人「目指すは伝説級ハンター!」【其の1】
【モンハン】狩人「目指すは伝説級ハンター!」【其の2】
―――――――――――
遡る事、数時間前
草原村 正面入口
女「こんにちは」
草原村人「やあ、女ちゃん」
草原村人「今日はこんなに早く来たのか。 珍しいね」
女「ええ、日帰りで済ませられるかと思って」
草原村人「なるほど」
草原村人「それじゃ、俺は野良仕事に出るから」
女「はい」
393: 2015/05/26(火) 19:16:19 ID:5Z0nmV8A
女「さて、まずは縫製の品物ね」
―――――――――――
女「どうもーふもと村ストアの女です」
草原店主「ああ、女ちゃん。 いらっしゃい」
女「こちらが頼まれていたドンドルマ産のゼニマスの干物になります」
女「他にも野草やきのこ類の乾物も入ってますよ」
草原店主「ありゃりゃ……こんなに早く届くとは思ってなかったなぁ」
草原店主「こりゃ物々交換だけじゃ済まないね」
草原店主「ちょっと待っててくれ、お金を取ってくるから」
女「はい、ごゆっくり~」
女「…………」
女「……ん?」
394: 2015/05/26(火) 19:17:10 ID:5Z0nmV8A
チクショウ… チクショウ…
アイツメ…… オレノナワバリ アラシヤガッテ……!
ユルサナイ…… ユルサナイ…… ゼッタイユルサナイ……!
アンナヤツ ハライッパイナラ ナンナクコロセル
クイタイ…… クイタイ……
クッテ クッテ クイマクッテ
アイツヲブチノメス!!
395: 2015/05/26(火) 19:17:47 ID:5Z0nmV8A
女「あ……あ……」
ヒュ―――――……
女「まさか……そんな……」
草原店主「お待たせ、女ちゃん……ん?」
草原店主「どうしたんd」
ド ズ ン ッ !!
草原店主「」
396: 2015/05/26(火) 19:18:24 ID:5Z0nmV8A
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
397: 2015/05/26(火) 19:18:59 ID:5Z0nmV8A
草原店主「う、うわあああああああああああああっ!!?」
草原住民「ティ、ティガレックス!?」
草原住民「に、逃げろ! 逃げろ――!!」
草原女「いやああああああああっ!!」
草原子供「ままぁ――!!」
草原男「ハ、ハンターは!? ハンターを呼べぇぇぇぇっ!!」
ワー ワー ギャー ギャー
ドズッ! グチャ!! ドゴォッ!!
女(逃げないと……逃げないとっ!)
女(………っ!)
女(あ、足が……すくんで……!)
グルルル……
女「ひっ……!」
398: 2015/05/26(火) 19:19:51 ID:5Z0nmV8A
ド ガ ア ッ !!
399: 2015/05/26(火) 19:21:14 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
ふもと村 集会所
ロートル「狩人! 良かった、ここに居たか」
狩人「ロートルさん!」
ロートル「近隣の村がティガレックスに襲われた話は聞いたか?」
狩人「はい、たった今」
ロートル「よし」
ロートル「今、村長が村の住民に呼びかけて、救援に向かう準備をしている」
狩人「!」
ロートル「手の空いている者、総出で事に当たるのだが」
ロートル「相手はあの轟竜ティガレックスだ」
ロートル「安全の為、俺は先発隊として草原村に向かうが、狩人」
ロートル「できれば、お前にも手伝ってもらいたい」
400: 2015/05/26(火) 19:21:48 ID:5Z0nmV8A
狩人「」
狩人「ええ!?」
狩人「で、でも、俺のHRはまだ低くて上位モンスターとは……」
ロートル「それはわかっている。 ティガとは俺が戦うが」
ロートル「狩人には、救援隊の護衛を行ってもらいたい」
ロートル「夜間だし、道中にはランポスが時々出る」
ロートル「やってくれないか?」
狩人「…………」
狩人「分かりました」
狩人「俺でいいのなら、やります」
ロートル「クエ帰りで疲れているところ、すまん」
401: 2015/05/26(火) 19:22:44 ID:5Z0nmV8A
ロートル「少女にも頼んであるから、彼女に必要な物を聞いて準備してくれ」
ロートル「終わったら広場へ集合だ」
ロートル「ソロには念の為、ふもと村に残ってもらう」
狩人「分かりました。 準備でき次第、広場へ行きます」
ロートル「頼むぞ」
タッ タッ タッ…
狩人「…………」
狩人「急がないと!」
―――――――――――
402: 2015/05/26(火) 19:23:16 ID:5Z0nmV8A
少女「狩人!」
狩人「少女!」
少女「ロートルさんから話は聞いたわね?」
狩人「ああ」
少女「これ、必要なものをメモに書いてまとめておいたわ」つ(メモ)
狩人「……え?」
少女「全部は無理でも、集められるものは できるだけ持って行きなさい」
少女「いい? ほら、早く受け取って!」つ(メモ)
狩人「あ、ああ……」つ(メモ)
少女「時間はまだ少しあるわ。 焦らずにね! じゃ……」
タッ タッ タッ…
狩人「…………」
403: 2015/05/26(火) 19:23:51 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
広場
ガヤ ガヤ
少女「狩人!」
狩人「すまん! 待たせたか?」
少女「いいえ、大丈夫よ」
村人「えー、お集まりの皆さん、忙しいところ集まっていただき感謝します」
村人「今回の救援隊、臨時リーダーを務める事になった、村人です」
村人「まだ詳細はわかりませんが、多数の負傷者が出ているみたいです」
村人「手当の心得がある人は、重点的に……」
404: 2015/05/26(火) 19:28:38 ID:5Z0nmV8A
狩人「ロートルさんは?」
少女「とっくに出発したわ」
少女「上位ハンターの足なら、かなり早く草原村に着けると思う」
狩人「そうか……」
狩人「こっちはどれくらいに着ける?」
少女「そうね……たぶん夜中すぎくらいかしら?」
狩人「……思ったよりかかるな」
少女「しょうがないわ。 夜の上、ポポ荷車に一般の人たちの足だから……」
狩人「…………」
少女「……どうしたの?」
狩人「ん? いや、何でもないよ」
少女「?」
405: 2015/05/26(火) 19:29:41 ID:5Z0nmV8A
…………
いつか打ち明けないといけない事が俺にはある。
だけど……今は、時間がない。
不安を抱えたまま、俺は
救援隊と共にふもと村を出発した。
406: 2015/05/26(火) 19:30:59 ID:5Z0nmV8A
※注 それぞれの装備
ロートル(HR 6)
武器:双剣
防具:ゲリョスS装備一式
狩人(HR 2)
武器:大剣(フルミナントソード)
防具:フルフル装備一式
少女(HR 3)
武器:ライトボウガン
防具:ガンナー用ザザミ装備一式
407: 2015/05/26(火) 19:31:56 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
夜
街道
ザッ ザッ ザッ…
狩人「…………」
狩人「……思ったより暗くないな」
少女「今夜は雲も少ないし、半月だけど月明かりもあるからね」
少女「それよりも狩人」
狩人「ん?」
少女「どうして大剣を持ってきたの?」
狩人「え……そりゃあティガがこっちに来るかも知れないと思って」
少女「確かにその可能性はあるわ」
408: 2015/05/26(火) 19:32:55 ID:5Z0nmV8A
少女「でもこういった場合のモンスターは」
少女「用事が済めば、大抵もとの住処に戻っていくものなの」
狩人「用事?」
少女「……お腹いっぱいになったら、と言った方がいいかしら?」
狩人「…………」
少女「それに草原村の村付きハンターが倒している可能性も高いと思う」
少女「一度人間のテリトリーに入り込んだモンスターは、味をしめて」
少女「また同じように村を襲う事がよく知られているから……必ず倒さないといけない」
狩人「…………」
狩人「詳しいな」
409: 2015/05/26(火) 19:34:25 ID:5Z0nmV8A
少女「……だから今回に限り」
少女「私たちは救援隊の護衛に専念すべきよ」
少女「相手にするのは小型のものを主と考えて武器を選ぶべきだったと思う」
狩人「……すまん」
少女「ううん……ティガの遭遇に備えるのは悪くないわ」
少女「でも今回、目的は『モンスターを倒す事』じゃ無いという事」
少女「大剣を振るうのなら、周りに気をつけてね」
狩人「ああ」
少女「それから……」
少女「こうやって、私たち護衛がひと固まりにまとまって歩くも良くないわ」
狩人「! ……そうだな」
狩人「俺は左の方を歩く」
少女「ええ、任せるわ」
少女「お互い、頑張りましょう」
410: 2015/05/26(火) 19:36:27 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
草原村
アア…… ウウ……
ミズヲ……ミズヲクレ……
ロートル「これは……酷いな」
ロートル「誰か! 村長は居ないか!?」
ロートル「代理の責任者でもいい!」
ロートル「ふもと村の村付きハンター、ロートルだ!」
ロートル「今、救援隊がこちらに向かっている!」
ザワッ!!
草原村人「救援!? 本当か!?」
411: 2015/05/26(火) 19:37:19 ID:5Z0nmV8A
ロートル「ああ、今、こちらに向かっている」
ロートル「おそらく夜中くらいに着くだろう」
草原村人「おお……!」
ロートル「村長は? それとここの村付きハンターにも話を聞きたい」
草原村人「わかりました。 案内します」
ロートル「頼む」
―――――――――――
ロートル「」
ロートル「何だと!? 仕留め損なった!?」
草原ハンター「すまん……」
草原ハンター「あと一歩というところだったんだが……逃げられた」
412: 2015/05/26(火) 19:38:24 ID:5Z0nmV8A
ロートル「くっ……」
ロートル「どっちに逃げたかわかるか?」
草原ハンター「ペイントもしていなかったし、うろ覚えだが」
草原ハンター「たぶん……北の方角だと思う」
ロートル「っ!!」
草原ハンター「ここはアプトノスばかりで、奴の好物のポポが少ないからな……」
草原ハンター「おそらく雪山にでも行ったのだろう」
ロートル「……わかった」
ロートル「後の事は俺たちに任せて休んでてくれ」
草原ハンター「すまん……」
413: 2015/05/26(火) 19:40:18 ID:5Z0nmV8A
ロートル「…………」
ロートル(こうしてはいられない……草原ハンターは優秀な上位ハンター)
ロートル(満足な準備ができなかったとしても……)
ロートル(ただのティガに遅れを取るハンターではない)
ロートル(それが仕留め損ねた……間違いなく上位クラスか、それ以上のティガだ!)
ロートル(狩人たちの救援隊に襲いかかったら……!)
ロートル(くそっ!!)
ダッ!!
―――――――――――
414: 2015/05/26(火) 19:40:52 ID:5Z0nmV8A
アアアアアアアア……
イタイ イタイ イタイ
ジャマサレタ…… チイサイ イタイノ フリマワシテ
ユルサナイ ユルサナイ…
オレノナワバリアラシタ ヤツモ チイサイノモ
ユルサナイ
ポポクッテ タクサンクッテ コロシテヤルッ
スコシヤスンデ コロシテヤルッ!
415: 2015/05/26(火) 19:41:47 ID:5Z0nmV8A
……ン?
クンクン……
…………
ポポダ! ポポノニオイガスル!
ポポクッテ タクサンクッテ アイツモ チイサイノモ
ブチノメシテヤルッ!!
416: 2015/05/26(火) 19:42:30 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
街道
ザッ ザッ ザッ…
狩人「…………」
少女「…………」
狩人(今のところ、静か……だな)
少女(このまま順調であって欲しいわね……)
ヒュ―――――……
狩人(何事も起きてくれるなよ……)
少女(……草原村まであとどのくらいかしら)
417: 2015/05/26(火) 19:43:06 ID:5Z0nmV8A
ド ズ ン ッ !!
少女「」
狩人「」
村人「」
救援隊一同「」
418: 2015/05/26(火) 19:43:56 ID:5Z0nmV8A
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
419: 2015/05/26(火) 19:44:52 ID:5Z0nmV8A
村人「う、うわああああああああああああっ!?」
ワー! ニゲロー! クワレルッ!
少女「くっ! み、みんな! 落ち着いて!」
ドスッドスッドスッ!
少女「ひっ!」
狩人「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
ドガァ!!
ギュアアアアアアッ……!!
狩人「はあっはあっはあっ……大丈夫か!?」
少女「狩人! ……ごめん、助かったわ」
420: 2015/05/26(火) 19:45:50 ID:5Z0nmV8A
オオオ…… イタイ……
ココニモ
チイサイ イタイノ フリマワス チイサイノ イル
……ジャマスルナ
421: 2015/05/26(火) 19:46:47 ID:5Z0nmV8A
グルルル…
狩人「はは……すげぇ迫力だな……」 ブルブル…
少女「一番起きて欲しくない事が、起きてしまったわね……」
狩人「……どうする? 俺たちでやれるか?」
少女「…………」
少女「…………」 カチャ カチャ…
少女「……私に考えがある」 ジャキン!
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
狩人「くそっ、またきた!」
少女「くっ……!」
422: 2015/05/26(火) 19:47:34 ID:5Z0nmV8A
ポポ クウノ……
ジャマスルナッ!!
423: 2015/05/26(火) 19:48:19 ID:5Z0nmV8A
ドスッドスッドスッ!
狩人「!」
狩人(俺狙いか!)
狩人(ちっ……避けられそうにない!)
狩人「くそっ!!」(防御姿勢)
ガシィッ!!
狩人「がっ……!!」
狩人「ぐっ……くっ……」 ビリビリビリビリッ!!
狩人(……受け流すよう角度つけて防御したのに)
狩人(それでもダメージが入って……くそっ!)
狩人(こんなの少女がまともに食らったら……!)
424: 2015/05/26(火) 19:49:11 ID:5Z0nmV8A
ダンッ! ダンッ! ダンッ!
狩人「! 少女! やめろ!」
狩人「ガンナー装備のお前じゃ……!」
ギィアアアアアアッ……!!
クウウウウウゥゥゥ…… zzz
狩人「!?」
狩人「な、何だ? 寝ちまったのか?」
少女「狩人!」
狩人「少女、一体何をしたんだ?」
425: 2015/05/26(火) 19:50:29 ID:5Z0nmV8A
少女「全部を説明してる時間がないから、必要な事だけ言うわ」
狩人「……わかった」
少女「とりあえず眠らせただけ。 すぐ起きる」
狩人「!」
少女「でも逃げた人たちは、少なくともこのティガに追いかけられる事はもうない」
少女「ティガの狙いは、おそらく荷車を引いてたポポ」
狩人「! じゃあ俺たちはポポを囮にして逃げ……」
少女「……たぶんダメ。 私たちはティガの視界から逃れられない」
狩人「!!」
少女「で、これからどうするか、だけど……」
少女「狩人、罠は持ってきた?」
狩人「ああ、この前の残りの落とし穴罠を持ってきた」
少女「今すぐ、そこに仕掛けて」
426: 2015/05/26(火) 19:51:17 ID:5Z0nmV8A
狩人「わかった」
カチャ カチャ…
少女「……ここからは、イチかバチかよ」
少女「あのティガを……捕獲する」
狩人「!!」
捕獲! その手があったか!
罠を仕掛け、その際に浸透性の高い特殊な麻酔をかけ
モンスターを生け捕りにするやり方だ。
ただ……それにはいくつかの条件が前提になる。
427: 2015/05/26(火) 19:52:21 ID:5Z0nmV8A
理屈は分からないが、今、少女がティガに撃った
睡眠系のモノとは全く別系統の麻酔らしく
モンスターが罠にハマり
それに気を取られている内に仕掛けないと効果は望めない。
もう一つ……これが相当に厄介なのだが
モンスターを氏なない程度に弱らせる必要があるという事。
この見極めが非常に難しく、モンスターが足を引きずるとか
そういう明確なサインがあれば仕掛けやすいのだけど……
それを見ずに捕獲をしようとすると、失敗するリスクも高くなってしまう。
428: 2015/05/26(火) 19:53:18 ID:5Z0nmV8A
狩人「足を引きずっていたのか!?」
少女「見てないわ」
狩人「…………」
少女「でも……ティガの体はどこも傷だらけ」
少女「草原村のハンターと相当やりあった証拠でもある」
狩人「…………」
少女「……けど、こうなる可能性を私、低く見てたから」
少女「前の残りで たまたま持ってた麻酔弾は、たったの二発……」
少女「ギリギリ一回分しかない」
429: 2015/05/26(火) 19:53:59 ID:5Z0nmV8A
狩人「……そうだな」
少女「失敗したら、あとは氏に物狂いで戦うのみよ」
少女「私たち下位の装備でどこまでやれるか……でも」
狩人「ああ……わかっている」
狩人「最後の最後まで……あがいてやるさ!」
グルルル…
少女「……起きたみたいね」
狩人「……その様だな」
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
狩人「くっ……!」
少女「うっ……!」
430: 2015/05/26(火) 19:55:16 ID:5Z0nmV8A
少女「まずは私たちを囮にして、罠に誘い込むわよ!」
狩人「わかった!」
ズシャァッ!!
狩人「!?」
少女「!?」
しかしティガの方は、それを見越してか
その巨大でたくましい右腕を振るい、地面をえぐり
そのままの勢いを付け、巨大な土の塊を
こちらに向かって押し出してきた……!
狩人「あんな攻撃ありかよっ!?」(防御姿勢)
少女「くっ……!」(しゃがみ姿勢)
431: 2015/05/26(火) 19:55:59 ID:5Z0nmV8A
ドガァッ!!
狩人「ぐおっ……!!」 ビリビリビリビリッ!
少女「狩人!」
防御ごと俺は後ろへ弾き飛ばされ、尻もちをつく……!
狩人「……くそったれっ!」
少女「もう一発くるわ!」
狩人「うおおおおおっ!」
432: 2015/05/26(火) 19:56:44 ID:5Z0nmV8A
しかし大剣を出しっぱなしじゃまともに動けない!
背中に背負う暇も もちろんない。
やむを得ず、俺は地面を転がるようにティガの土投げ?を回避する!
ゴウッ!!
狩人「あ、あぶねぇ……!」
巨大な土の塊が俺の頭のすぐ隣を通り過ぎていった。
狩人「少女、大丈夫か!?」
433: 2015/05/26(火) 19:57:26 ID:5Z0nmV8A
少女「はあっはあっはあっ……」
少女の息が荒い……
俺だってまともに喰らえば、氏ぬかもしれないあの攻撃……
通常の半分しかない防御力であるガンナー装備の彼女は
避けられなければ間違いなく即氏だ。
その緊張は極限にまで達しているだろう……
狩人「ちくしょう! この野郎! 早く俺を食いに来い!」
狩人「このチ○カス! デベソ! ええと……腐れマ○コ!」
俺は、大剣を背中にしまいつつ
思いつく限りの悪口を大声で言い、ティガの気を引く。
434: 2015/05/26(火) 19:58:06 ID:5Z0nmV8A
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
狩人「!!」
想いが通じたのか
俺に向かって突進してくるティガ!
狩人「くっ……そおおおおおおおっ!!」
きびすを返し、罠の落とし穴へと誘うため全力で俺は走った!
頭で分かっていても正直、生きた心地がしねぇ!
狩人(少女! あとは任せるぞ!)
435: 2015/05/26(火) 19:59:10 ID:5Z0nmV8A
少女「……!」 スチャッ…
少女はライトボウガンを構え
罠の上あたりに照準をつける……!
少女(お願い……! 大人しく捕獲されて!!)
ズ ボ ッ !!
ギィアアアアアアアアッ!
狩人・少女「かかった!」
ドウッ! ドウッ!
436: 2015/05/26(火) 19:59:53 ID:5Z0nmV8A
ビシッ! バシッ!
少女「よし! 命中!」
狩人「……!」
だが……喜んだのも束の間
ティガは相変わらず、罠から脱出しようともがいている!
失敗だ……まだ、捕獲できるほど弱っていないんだ!
少女「……そ……そん……な」
狩人「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
ダッ!!
少女「狩人!!」
437: 2015/05/26(火) 20:00:43 ID:5Z0nmV8A
……この時の俺は
はっきり言えば、やけくそになっていた。
深い考えがあってティガに向かって行ったわけじゃない。
ただ……どうせ氏ぬのなら
ティガの野郎に一矢報いてやる!というような
そういう気持ちで大剣を振り下ろしただけ。
それだけだった。
438: 2015/05/26(火) 20:01:26 ID:5Z0nmV8A
ドガァ!!
狩人「ちくしょおおおおおっ!」
ザクッ!! ズガァッ!!
狩人「氏んでたまるかっ……氏んでたまるかぁっ!!」
ドズッ!! ズシャアッ!!
狩人「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
ザシュッ!!
439: 2015/05/26(火) 20:02:17 ID:5Z0nmV8A
少女「……え?」
クウウウウウゥゥゥ…… zzz
狩人「はあっ……はあっ……はあっ」
狩人「はあ……はあ……」
狩人「…………」
狩人「……え?」
スピー…zzz スピー…zzz
440: 2015/05/26(火) 20:02:57 ID:5Z0nmV8A
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「……寝ている?」
少女「……捕獲できた?」
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「何で……?」
少女「さっきの狩人の一撃で、捕獲できる状態になった……のかも?」
狩人「…………」
少女「…………」
441: 2015/05/26(火) 20:03:43 ID:5Z0nmV8A
狩人「はああああああああああああっ……」 ドサッ…
少女「ふう……」 ストンッ…
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「…………」
少女「…………」
狩人「……くくっ」
少女「……ぷっ」
狩人「はははは……」
少女「ふふふふ……」
アハハハハハハ……!
442: 2015/05/26(火) 20:04:27 ID:5Z0nmV8A
とりあえず助かった、という安堵感と
いまいち腑に落ちない達成感を感じた俺と少女は
その場にヘタリこみ……
何故か、笑いがこみ上げて
止まらなくなったのだった。
443: 2015/05/26(火) 20:05:45 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
数時間後の夜明け前
草原村 臨時集会所
ロートル「……それにしても驚いたぞ」
ロートル「まさかあのティガを捕獲している、なんてな」
狩人「……俺たちの手柄じゃないですよ」
少女「ここの……草原村のハンターがダメージを与えてくれてなかったら」
少女「私たちは生きて、ここにいませんでした」
ロートル「そうか……だが、とっさの判断としては正しかったと思うし」
ロートル「運も実力の内、という言葉もある」
ロートル「お前たちは立派に仕事をした。 誇っていいと思うぞ」
444: 2015/05/26(火) 20:06:20 ID:5Z0nmV8A
狩人「ははは……」
少女「草原村……だいぶ酷い状況みたいですね」
ロートル「ああ……」
ロートル「氏傷者はおよそ50人」
ロートル「氏者は20人を下らないそうだ」
少女「…………」
狩人「……そうですか」
ロートル「ともかく、疲れているだろう」
ロートル「不幸中の幸い、侵入ティガはお前達が捕獲してくれた。 安心して休んでくれ」
少女「そうですね……」
狩人「そうします……」
445: 2015/05/26(火) 20:07:30 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
仮設テント
女「!」
女「狩人! 少女ちゃん!」
狩人「女!?」
少女「女さん!」
狩人「無事だったか……良かった」
女「うん……生きた心地しなかったけどね」 ブルルッ…
女「それにしてもあのティガ、捕獲したんだって?」
女「すごいじゃない!」
446: 2015/05/26(火) 20:08:07 ID:5Z0nmV8A
狩人「ははは……」
少女「普通に相手をしていたら、たぶん私たち氏んでいますよ……」
女「なら、なおさらすごいじゃない!」
狩人「それがなぁ……さっきロートルさんにも言ったんだが」
狩人「ここ……草原村のハンターが、かなり追い詰めていてくれたから、なんだよ」
女「あー……なるほど、そういう事か」
女「でも、それでも十分すごいよ」
狩人「俺一人じゃ間違いなく氏んでたと思う」
少女「それは私も同じよ。 狩人が居なかったら、きっと氏んでたわ」
少女「ロートルさんも言ってたけど、運が良かった」
女「そっか……」
女「おっと、ここには休みに来たんだよね?」
447: 2015/05/26(火) 20:08:59 ID:5Z0nmV8A
狩人「ああ」
少女「本当に疲れました……」
女「ごめん、また後で話をしましょう」
女「ゆっくり休んでね。 あ、女の子はこっちのカーテンの向こう側ね」
少女「はい」
―――――――――――
狩人「…………」
狩人(……横になったらすぐ眠れると思ったが)
狩人(作業をする周りの声とか、音とかが気になってなかなか寝付けない)
狩人(…………)
448: 2015/05/26(火) 20:09:45 ID:5Z0nmV8A
狩人(……あれがティガレックスか)
狩人(ものすごい衝撃の攻撃だった)
狩人(…………)
狩人(上位に上がったら……あんなのを相手にしないといけないんだな)
狩人(…………)
あの時の重い衝撃の感触……
今も手に残っている。
憧れていたハンターの姿が
どこか、遠のいてしまった気がした……
449: 2015/05/26(火) 20:11:06 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
同日の昼頃
仮設テント付近
狩人「ふあ……」
狩人「……ふう」
狩人(…………)
狩人(腹が減ったな……)
狩人(…………)
狩人(……こんな状況だけど、飯を頼むか)
450: 2015/05/26(火) 20:11:38 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
仮設食堂
ガヤ ガヤ
狩人「いい匂いだ……」
狩人「あのー……俺も何かもらっていいですか?」
草原村人「ああ、構わないよ」
草原村人「お? あんた、ふもと村のハンターか!」
狩人「ええ」
草原村人「あんた達が、あのくそったれティガに止めを刺してくれたんだってな」
草原村人「かたきをとってくれてありがとう。 感謝してる」
狩人「いえ……」
草原村人「さあ、大したもんはないが、遠慮なく食ってくれ!」
451: 2015/05/26(火) 20:12:22 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
狩人「ふう……満腹だ」
狩人「…………」
狩人「これから……どうすればいいのかな?」
狩人(勝手に帰るわけにはいかないだろうし)
狩人(ここの復興を手伝う?)
狩人(う~ん……)
狩人(…………)
狩人(とりあえず、ロートルさんを探そう)
452: 2015/05/26(火) 20:13:09 ID:5Z0nmV8A
狩人(……ん?)
狩人「!!」
タッ タッ タッ
狩人「あの!」
草原男「ん? なんだい?」
狩人「その荷車で運ばれている人って……」
草原男「ああ……さっき息を引き取ったんだ」
草原男「腹の傷が深かったし……相当な爺さんだしな」
狩人「…………」
俺は……この人に見覚えがあった。
狩人「老ハンターさん……」
草原男「老ハンター? 違うよ、そんな名前じゃない」
草原男「こいつはグランドって名前で、老いぼれたお荷物ハンターだよ」
狩人「……え?」
453: 2015/05/26(火) 20:13:50 ID:5Z0nmV8A
草原男「昔は名うてのハンターだった様だが……」
草原男「いつまでも村付きハンターを止めなくてな」
草原男「村としても昔の恩があるし……面と向かって引退しろとは言い辛くてな」
草原男「他に身寄りもなく、ズルズルと居着いてて困ってたんだ」
狩人「…………」
草原男「たまに採取クエを受注して、細々とやっていたみたいだが」
草原男「それだけじゃねぇ……」
狩人「…………」
狩人「……埋葬するんですか?」
草原男「ああ、無縁墓地に他の遺体とまとめてな」
狩人「…………」
454: 2015/05/26(火) 20:14:35 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
夕方
草原村 共同墓地
ザッ… ザッ…
少女「狩人、探したわよ」
女「こんなところに居たの」
狩人「……ああ」
ロートル「墓を作っていたのか?」
狩人「はい。 ……うんしょっ、と」
(大きめの石)ドサッ…
狩人「ふう……」
ロートル「知り合いだったのか?」
455: 2015/05/26(火) 20:15:21 ID:5Z0nmV8A
狩人「そうですね……でも、深くは知りません」
狩人「少し話をした程度なんです」
ロートル「……なのに墓を作ってやったのか」
狩人「はは……その通りです」
狩人「自分でも何故、そうしたのか……分かりません」
ロートル「…………」
女「名前は何ていうの?」
狩人「グランド、という名前だって」
ロートル「グランド? ……知らないな」
狩人「そうですか……ロートルさんでも知らないハンターなんですね」
ロートル「ハンターだって?」
456: 2015/05/26(火) 20:16:52 ID:5Z0nmV8A
ロートル「しかし……草原村の村付きハンターは、草原ハンターしか知らないが」
狩人「……もう一人居たんです」
狩人「採取クエで細々と生計を立てていた老人の村付きハンターが」
ロートル「…………」
少女「…………」
女「…………」
ロートル「……同情か?」
狩人「多分違います」
ロートル「ほう?」
狩人「……もちろん詳しい事情なんて知りませんけど」
狩人「最後の最後まで現役ハンターとして、今日まで生き残ってきた」
狩人「……そうそうできる事じゃないと思います」
女「狩人……」
狩人「……もう一人居たんです」
狩人「採取クエで細々と生計を立てていた老人の村付きハンターが」
ロートル「…………」
少女「…………」
女「…………」
ロートル「……同情か?」
狩人「多分違います」
ロートル「ほう?」
狩人「……もちろん詳しい事情なんて知りませんけど」
狩人「最後の最後まで現役ハンターとして、今日まで生き残ってきた」
狩人「……そうそうできる事じゃないと思います」
女「狩人……」
457: 2015/05/26(火) 20:17:55 ID:5Z0nmV8A
狩人「そんな彼が、敬意も払われず葬られるなんて……」
狩人「なんか……嫌でした」
少女「…………」
ロートル「…………」
ロートル「そうか……」
ロートル「なら、この墓標には、お前が名を刻んでやれ」
狩人「え!?」
ロートル「きっとグランドとやらも、それを望むだろう」
狩人「い、いや……俺は……その、字が汚いし不器用なので」
ロートル「じゃあ、俺も手伝おう」
ロートル「自慢じゃないが俺の字は綺麗だと、よく言われるんでな」
ロートル「それの上をなぞって刻むといい」
458: 2015/05/26(火) 20:18:39 ID:5Z0nmV8A
狩人「!」
狩人「ええ、お願いします、ロートルさん」
ロートル「なに……俺も同じハンターとして、このハンターを弔(とむら)ってやりたい」
ロートル「その手伝いができるのなら光栄だ」
少女「…………」 クスッ
女「…………」 クスッ
―――――――――――
狩人「ふう……」
ロートル「なんだ、不器用とか言ってたわりに上手く刻めたじゃないか」
狩人「ははは。 クエより神経使ったかもしれません」
ロートル「ははは! ……では、我々の村へ帰るとするか」
狩人「はい!」
459: 2015/05/26(火) 20:19:16 ID:5Z0nmV8A
俺たちハンターと、女は
グランドさんの墓に一度手を合わせたのち
様々な村からの救援隊到着の姿を見届け
草原村を後にしたのだった……
460: 2015/05/26(火) 20:21:23 ID:5Z0nmV8A
―――――――――――
深夜
ふもと村 ソロの家
ソロ「……そうか、G級のティガだったのか」
ロートル「ああ……詳しく調べてみないと、とは言っていたが」
ロートル「ギルド観測所の職員は、ほぼ間違いない……とな」
ソロ「ふふ……お互い先をこされたな」
ロートル「半日近くG級とやりあった、草原ハンターを褒めてやれよ」 クスッ
ハハハ…
ソロ「……で?」
ソロ「こんな夜中に俺の家を訪ねた理由はなんだ?」
ロートル「……ああ、それなんだが」
ロートル「一つ、腑に落ちない事がある」
461: 2015/05/26(火) 20:22:35 ID:5Z0nmV8A
コポコポコポ…
ロートル「…………」 グビッ
ロートル「ふう……」
ソロ「…………」
ロートル「……今回のティガ」
ロートル「どこから飛来したと思う?」
ソロ「……通常なら火山か砂漠のあたりだと思うが」
ロートル「それは俺も考えた」
ロートル「しかし……ティガは跳躍して滑空するタイプの飛竜だ」
ロートル「飛行距離はレイアやレウスより短いが……」
ロートル「火山や砂漠からの飛来なら直接雪山まで行けるのに」
ロートル「なぜ森丘に近い草原村に降りたんだ?」
462: 2015/05/26(火) 20:23:32 ID:5Z0nmV8A
ソロ「ふむ……猟区からすれば不自然さはないと思うが」
ソロ「たまたま降りただけかもしれないし……」
ソロ「腹が減ってとりあえず、という意味合いで草原村に降りただけかもしれん」
ソロ「森丘は今、リオ夫婦のシーズンだから近づきたくなかったので手前で降りたとか」
ロートル「ありえそうな仮説だな」
ロートル「だが、森丘に奴の好物のポポはいない」
ロートル「ティガが直接目指すのに森丘は不自然だと思う」
ソロ「……何が言いたい?」
ロートル「…………」
ロートル「あくまで推測だが」
ロートル「雪山まで直接行けないくらい弱っていた、と仮定したらどうだ?」
463: 2015/05/26(火) 20:24:38 ID:5Z0nmV8A
ソロ「バカな……」
ソロ「確かにそれならしっくりくるが、G級のティガだったのだろう?」
ソロ「そんな奴を飛行距離まで短く、弱らせる事ができるモンスターなんて……」
ソロ「!!」
ロートル「……俺の言いたいことがわかったか?」
ソロ「い、いや、しかし……」
ソロ「いくらなんでも」
ロートル「こう言ってはなんだが……」
ロートル「G級ティガなのに優秀とはいえ、準備不足の草原ハンターが渡り合えた」
ロートル「G級ハンターでもない、俺たちと同じ上位ハンターのな」
ソロ「…………」
464: 2015/05/26(火) 20:25:54 ID:5Z0nmV8A
ロートル「となると……これはそう考えるしかない」
ロートル「あのG級ティガは……」
ロートル「『何か』にコテンパンにされて住処を追い出されたんだ」
ソロ「……G級ティガをボコれて」
ソロ「さらに砂漠か火山に出没するモンスターとなると……」
ロートル「G級のグラビモスやディアブロス」
ロートル「もしくは……古龍」
ロートル「テオ・テスカトル……だな」
469: 2015/05/30(土) 19:01:54 ID:SchlHai2
―――――――――――
数日後の午前中
ふもと村 集会所
狩人「え? 受け取っていない報酬?」
受付嬢「はい」
受付嬢「狩人様と少女様が共同で捕獲した、G級ティガレックスの報酬です」
狩人「」
少女「」
ザワッ……!
狩人「ちょ、ちょっと待ってください!」
受付嬢「はい?」
470: 2015/05/30(土) 19:02:26 ID:SchlHai2
狩人「あれは俺たち、ほとんど何もしていなんですよ!?」
狩人「偶然襲われたから最後に罠張って、捕獲しただけで……」
狩人「報酬を受け取るべきなのは、数時間かけてダメージを与えた」
狩人「草原ハンターさんですよ!」
少女「それにG級!?」
少女「あのティガって、G級だったんですか!?」
受付嬢「落ち着いてください、順を追って説明しますので」
狩人「…………」
少女「…………」
受付嬢「まず、ギルドの仕組みとして」
471: 2015/05/30(土) 19:03:01 ID:SchlHai2
受付嬢「今回のティガレックスは、ギルド観測所により正式にG級と認定されました」
受付嬢「また、今回の捕獲は『緊急クエスト』と同義として扱われます」
狩人「…………」
少女「…………」
受付嬢「次に報酬ですが」
受付嬢「先ほどあなた方が言っていた通り」
受付嬢「草原ハンターさんが主にダメージを与えていたとしても」
受付嬢「捕獲したのはお二人の手柄であり、お二人が居なければ」
受付嬢「G級ティガによる被害は拡大の恐れがありました」
狩人「…………」
少女「…………」
472: 2015/05/30(土) 19:04:10 ID:SchlHai2
受付嬢「ですので、ギルド規定による『緊急クエスト』報酬は」
受付嬢「草原ハンター、狩人、少女の3名による共同捕獲と判断し」
受付嬢「報酬のお金・モンスター素材、それぞれを」
受付嬢「三等分で支払うのが妥当、と判断しています」
狩人「そ……そうなんですか」
少女「……いまいち釈然としませんが」
受付嬢「もっと胸を張ってください」
受付嬢「何度も言いますが、今回の討伐はお二人が居なければ」
受付嬢「早期解決しなかったんです」
受付嬢「あなた方に救われた人は、お二人の想像以上に多いと思ってください」
狩人「……はあ」
少女「…………」
……パチ パチパチパチ
473: 2015/05/30(土) 19:04:43 ID:SchlHai2
狩人「え?」
少女「!」
ソウダゼ、ヨクヤッタンダ! ムネヲハレ!
ウマイコト、ヤリヤガッテ! ワー! ワー!
狩人「は、ははは……」///
少女「~~~っ」///
受付嬢「ふふふ」
受付嬢「それでは報酬です。 どうぞ受け取ってください」
ドサドサッ!
受付嬢「134000z(ゼニー)とG級ティガレックスの素材になります」
狩人「じゅうさんまっ……!?」
少女「G級ティガの素材……」 ゴクリ…
474: 2015/05/30(土) 19:05:45 ID:SchlHai2
ロートル「おー……それが報酬か」
ロートル「G級素材……羨ましいな」
狩人「ロートルさん」
少女「私たち下位なのに……いいんでしょうか?」
ロートル「ああ、受付嬢さんの言う通り、どこに断る必要もない正当な報酬だ」
ロートル「もらっておけ」
ロートル「草原ハンターの奴も今頃もらって、驚いている事だろう」
狩人「こ、こんな大金……初めて受け取ります」 ガクブル
少女「……狩人、言っておくけど」
少女「たぶん素材を全部売ったら、それの4~5倍の金額になると思うわ」
狩人「」
ロートル「まあG級素材を売る奴なんて、滅多にいないけどな」
475: 2015/05/30(土) 19:06:20 ID:SchlHai2
狩人「……何て言うか」
狩人「G級って、本当にすごいんだなって、改めて思いました……」
少女「同じく……」
ロートル「そうか」 クスッ
ロートル「で、だ。 話を変えるが……二人に頼みたい事がある」
狩人「はい? 何ですか?」
ロートル「俺とソロは、しばらくふもと村を離れたいと思うんだ」
狩人「しばらく……というと?」
ロートル「期間はわからん」
ロートル「ある『目的』を達成するまで帰らないつもりだ」
ロートル「それまで、ふもと村の事をお前たちに任せたい」
476: 2015/05/30(土) 19:06:55 ID:SchlHai2
少女「!」
狩人「ある目的?」
ロートル「今回はもしかしたら、早く済むかもしれんが……」
ロートル「まあ、何かあったら手紙をくれ。 砂漠村を拠点にするから」
狩人「はあ……」
少女「…………」
ロートル「じゃあな、狩人、少女」
ロートル「無理せず、強くなれよ」
スタ スタ スタ…
狩人「……?」
少女「…………」
少女「ねえ、狩人」
狩人「ん?」
477: 2015/05/30(土) 19:07:31 ID:SchlHai2
少女「今日は休みにしない?」
狩人「はあ?」
少女「たまにはいいでしょ?」
少女「とにかく決まり」
狩人「は?」
少女「……ちょっと話したいことがあるの」
少女「もらった報酬を家に置いたら、私の家に来て」
少女「じゃ……」
狩人「あ……」
狩人「…………」
狩人(何なんだ?)
478: 2015/05/30(土) 19:08:16 ID:SchlHai2
―――――――――――
少女の家
コックアイルー「いらっしゃいませだニャ!」
狩人「あ、ああ……」
コックアイルー「どうぞ、お入りください」
コックアイルー「ご主人様がお待ちですニャ」
狩人「お邪魔します」
―――――――――――
狩人「……キッチンアイルー雇ってたのか」
少女「ええ。 報酬が安定して来た時に、ね」
少女「狩人も大金が手に入ったんだし、一人くらい雇ってみたらいいわ」
少女「本当に助かるから」
479: 2015/05/30(土) 19:08:52 ID:SchlHai2
狩人「さっそく村長さんに聞いてみるよ」
少女「うん」
狩人「それで……話って?」
少女「…………」
少女「……さっきのロートルさんの話」
少女「どう思った?」
狩人「どうって言われても……何か突然だな、としか」
少女「そうね」
狩人「何が言いたいんだ?」
少女「…………」
少女「狩人、そろそろランクアップのクエ、受注できるんじゃない?」
480: 2015/05/30(土) 19:09:52 ID:SchlHai2
狩人「え? ……ああ、その通りだけど」
狩人「対象となるモンスターが出現するまで待ってくれって言われてる」
少女「うん。 私もそうだった」
狩人「で? それがどうかしたのか?」
少女「…………」
少女「……ロートルさんと、ソロさんってさ」
少女「HR6だよね」
狩人「ああ」
少女「その上を目指す、としたら何になる?」
狩人「そりゃあG級しかないじゃ……」
狩人「……ん?」
少女「…………」
狩人「そういやG級に上がるのって……どんなモンスターを狩るんだろう」
481: 2015/05/30(土) 19:10:33 ID:SchlHai2
少女「さあ……それは私にも分からないけど」
少女「G級モンスターって、たまにしか出現しないよね」
狩人「……あんなのがポコポコ出たら困る」
少女「確かに」 クスッ
少女「でも……それってさ」
少女「G級に上がる為の対象モンスターにも言えないかしら?」
狩人「…………」
狩人「……あ」
少女「そうなると当然、そのモンスターを目当てにした者同士の奪い合いになる」
少女「報酬や素材目当てのハンターも多いけど」
少女「G級猟区に存在する鉱石目当てでG級ハンターになりたいハンターも多いわ」
少女「高値で取引されているから」
482: 2015/05/30(土) 19:11:15 ID:SchlHai2
狩人「……ロートルさん達が後者だとは思いたくないが」
狩人「G級ハンターになるのが予想以上に大変そうなのはわかった」
少女「うん」
狩人「それで、今回のロートルさんの行動とどう繋がるんだ?」
少女「…………」
少女「……たぶん、だけど」
少女「もしかしたら、ロートルさん達……」
少女「G級に上がるための対象モンスターの情報を掴んだのかもしれない」
狩人「!」
少女「その辺りの詳しい事は分からないけど」
少女「いずれにしても命懸けである事は間違いないわ」
狩人「…………」
483: 2015/05/30(土) 19:11:54 ID:SchlHai2
狩人「……この村を任せるって」
少女「……うん」
少女「そういう意味だと思う」
狩人「…………」
狩人「だ、大丈夫さ」
狩人「必ずまた会おうって言ってたし」
少女「そうね」
少女「でも……ある程度は覚悟しておいた方がいいと思うわ」
狩人「…………」
狩人「……そう……か」
484: 2015/05/30(土) 19:12:30 ID:SchlHai2
狩人(…………)
狩人(……G級、か)
狩人(…………)
狩人(いや、ロートルさん達の心配なんて)
狩人(下位の俺がしてもしょうがない)
狩人(俺は、俺の出来る事をして)
狩人(少しでも彼に近づける様、努力するべきだ)
狩人(……そうとも)
狩人(まずは自分の心配をしないとな……)
狩人(…………)
485: 2015/05/30(土) 19:58:36 ID:SchlHai2
―――――――――――
村長宅前
狩人「村長さん」
村長「お? 狩人か」
村長「聞いたよ、莫大な報酬をもらったんだってな」
狩人「はは……なんか申し訳ない気もしましたけど」
村長「ははは。 で、何か用かい?」
村長「まさか採取クエの受注じゃないよね?」
狩人「ええ」
狩人「実は、アイルーを雇いたいと思いまして」
村長「あっ……! すまん狩人、そういえばその事を言ってなかったね」
狩人「いえ……」
486: 2015/05/30(土) 19:59:09 ID:SchlHai2
村長「では、アイルーの仲介をしてくれる、通称ネコ婆さんという人を紹介するよ」
村長「こっちに来てくれ」
狩人「はい」
―――――――――――
村長「この人だよ」
ネコ婆さん?「初めまして、狩人さん」
狩人「」
村長「どうかしたのかい?」 ニヤニヤ
狩人「……その」
狩人「もっと、お年を取った人を想像していたので……」
村長「だよねぇ」 ニヤニヤ
487: 2015/05/30(土) 20:00:00 ID:SchlHai2
村長「少し前まで、本当にお婆さんな人がやってたんだけど」
村長「この前、お孫さんが代替りしてね」
村長「ネーコ、という名前なんだ」
ネーコ「改めて。 通称ネコ婆さんをやっている、ネーコです」 ニコッ
狩人「ど、どうも……」///
狩人(何て言うか、ものすごく可愛い女の子だ……)///
狩人(女や少女も十分可愛いし、綺麗だけど……この娘は格別だなぁ)///
村長「じゃ、後は彼女にいろいろ聞くといい」
村長「ネーコちゃん、お願いするね?」
ネーコ「はい、村長さん」
村長「じゃ……」
スタ スタ スタ…
488: 2015/05/30(土) 20:00:33 ID:SchlHai2
ネーコ「それでは、狩人さん」
ネーコ「仲介をする前に、簡単な説明をしますね?」
狩人「あ、はい。 ネーコさん」
ネーコ「ネーコでいいですよ」 クスッ
狩人「そ、そうですか……」///
狩人「それなら俺も狩人、でいいよ」///
ネーコ「いえいえ、お客様には節度を持って対応しないといけないので」
狩人「そ、そうか……」///
ネーコ「で、説明ですが」
ネーコ「まず仲介するにあたり、仲介料が発生します」
ネーコ「これはアイルーの報酬とは別にいりますのでご了承ください」
狩人「はい」
489: 2015/05/30(土) 20:01:10 ID:SchlHai2
ネーコ「次に」
ネーコ「アイルーを雇う際に保証金を預からせていただきます」
狩人「保証金?」
ネーコ「はい」
ネーコ「これは無責任なハンター様の雇用と解雇を防ぐ目的があり」
ネーコ「また、ハンター様の引退や氏亡に際し、雇用したアイルーに対する手当てとして」
ネーコ「私が責任を持って預からせていただきます」
狩人「……ハンターの引退や氏亡」
ネーコ「そうです」
ネーコ「雇用主であるハンター様は、突然いなくなる可能性があり」
ネーコ「失業したアイルーが路頭に迷わないよう必要な処置として」
ネーコ「ご了承ください」
490: 2015/05/30(土) 20:01:56 ID:SchlHai2
狩人「…………」
ネーコ「……厳しい事を言うようですが」
ネーコ「彼らは次の仕事を待つ期間や、故郷に帰る為の資金がどうしても必要になります」
ネーコ「それらをハンターに望むのは間違っているのでしょうか?」
狩人「……そ、それは」
狩人「俺にはわからないよ……けど」
狩人「幾らになるのか分からないが、高くつくな……と思ってしまって」
ネーコ「それは否定しませんが……」
ネーコ「しかし、この制度ができるまで」
ネーコ「大勢のアイルーたちが泣き寝入りをしていたのも事実なんです」
ネーコ「ハンターの気まぐれや、ささいな間違いで突然不当解雇されて……」
ネーコ「中には名前が気に入らないとか、寝相が気持ち悪いとか」
ネーコ「そんな理由だってまかり通っていたんです」
狩人「…………」
491: 2015/05/30(土) 20:02:49 ID:SchlHai2
狩人「……わかったよ」
ネーコ「ありがとうございます」
狩人「で、いくらくらいになるのかな?」
ネーコ「それでは料金のご説明をさせていただきます」
狩人「…………」
ネーコ「まず、キッチンアイルー、オトモアイルー共に」
ネーコ「ランク分けされています」
ネーコ「当然ですが、上に行けば行くほど、料金も高くなります」
狩人「……ですよね」
狩人「おすすめは、やっぱり高い方なんですか?」
ネーコ「即戦力が欲しいのなら、そうですね」
492: 2015/05/30(土) 20:03:34 ID:SchlHai2
狩人「料金が安い方を選ぶハンターも居るんですか?」
ネーコ「そこはハンター様の事情も絡みますので、十人十色です」
狩人「う~ん……」
狩人「ちょっと疑問なんですけど」
ネーコ「はい」
狩人「安い方は、ずっと安いままなんですか?」
ネーコ「基本的にはそうですけど……アイルーが給金に不満を持った場合」
ネーコ「私が仲介して交渉する事もあります」
ネーコ「それでハンター様との合意が得られない場合は」
ネーコ「辞める事もあるとお考え下さい」
狩人「そうですか」
493: 2015/05/30(土) 20:04:13 ID:SchlHai2
ネーコ「では、詳しい料金ですが」
ネーコ「ランクは大まかに3段階あり」
ネーコ「C、B、Aの順に料金も高くなります」
狩人「はい」
ネーコ「Cランクは仲介料200z(ゼニー)と保証金が1500z(ゼニー)」
ネーコ「月々の給金は500z(ゼニー)です」
狩人「…………」
ネーコ「Bランクは仲介料500z(ゼニー)と保証金3500z(ゼニー)」
ネーコ「月々の給金は1000z(ゼニー)です」
狩人「…………」
ネーコ「Aランクは仲介料1000z(ゼニー)と保証金7700z(ゼニー)」
ネーコ「月々の給金は2100z(ゼニー)となります」
狩人(高ぇ……)
494: 2015/05/30(土) 20:04:57 ID:SchlHai2
ネーコ「いかがなさいますか?」
狩人「…………」
狩人「……ちょっと待ってくださいね」
ネーコ「はい」
狩人(最後のAランクって、普通のクエ2回分くらいが毎月かかるのか……)
狩人(しかも仲介料や保証金とか、すごい値段)
狩人(……今なら払えるけど、ちょっと躊躇するな)
狩人(…………)
狩人(安い方はどうなんだろ?)
狩人(下手な掃除や不味いメシ作られたりするのかな……)
狩人(う~ん……)
495: 2015/05/30(土) 20:05:28 ID:SchlHai2
ネーコ「…………」
狩人「…………」
狩人「じゃあ……Bランクのアイルーを見せてもらえますか?」
ネーコ「はい。 こちらになります」つ(一覧表)
狩人「どれどれ……」
狩人「…………」
狩人「……あの」
ネーコ「はい、何でしょう?」
狩人「こんな事を聞くのはおかしいかもしれないけど」
狩人「選ぶ時の基準とかあります?」
ネーコ「……それはハンター様のお心しだいです」
496: 2015/05/30(土) 20:06:20 ID:SchlHai2
ネーコ「キッチンアイルーならば、好物の料理が得意なアイルーを選んだり」
ネーコ「オトモアイルーなら、自分の戦闘スタイルと相性のいい」
ネーコ「アイルーを選択すればいいと思います」
狩人「なるほど」
狩人(……難しいなぁ)
狩人「う~ん……」
ネーコ「…………」
狩人「……じゃあ」
ネーコ「はい」
狩人「この板前アイルーってのをお願いします」
ネーコ「ありがとうございます」
497: 2015/05/30(土) 20:06:56 ID:SchlHai2
ネーコ「オトモアイルーはいかがですか?」
狩人「それはまた今度でいいです」
ネーコ「わかりました」
ネーコ「では、仲介料と保証金あわせて4000z(ゼニー)いただきます」
狩人「はい」
―――――――――――
ネーコ「……はい、確かにいただきました」
ネーコ「それでは……板前アイルーさーん」
板前アイルー「ニャ!」
ネーコ「たった今、こちらのハンター様が あなたと雇用契約を結びました」
498: 2015/05/30(土) 20:07:45 ID:SchlHai2
板前アイルー「ニャ! 旦那、あっしは板前アイルーって名のケチな野郎ニャ!」
板前アイルー「遠慮なくこき使ってくれニャ!」
狩人「お、おう。 よろしくな」
板前アイルー「頑張るニャ!」
ネーコ「それでは狩人さん、板前アイルーさん」
ネーコ「仲良く頑張ってくださいね」
―――――――――――
板前アイルー「ニャ! ここが旦那の住処かニャ?」
狩人「ああ、そうだよ」
板前アイルー「やりがいのありそうな職場だニャ!」
板前アイルー「炊事・洗濯・掃除、全部お任せニャ!」
狩人(……ちょっと暑苦しい奴だな)
狩人「おっと、掃除についてなんだけどな」
板前アイルー「ニャ?」
499: 2015/05/30(土) 20:08:21 ID:SchlHai2
狩人「俺の部屋は、このままの状態で掃除してくれ」
板前アイルー「このままでかニャ?」
狩人「乱雑に思えるだろうけど、これで俺は使いやすいんでな」
板前アイルー「わかったニャ!」
狩人「それじゃ、仕事にかかってくれ」
板前アイルー「ニャ!」
―――――――――――
板前アイルー「旦那!」
狩人「ん? なんだ?」
板前アイルー「夕食は何にするニャ?」
狩人「もうそんな時間か……そうだな」
狩人「やっぱり肉料理だな」
500: 2015/05/30(土) 20:09:10 ID:SchlHai2
板前アイルー「注文、ガッテン承知だニャ!」
板前アイルー「では、食材を買ってくるので、20z(ゼニー)欲しいニャ」
狩人「え……あ、そうか」
狩人「そりゃ食材が無いと作れないな……ちょっと待っててくれ」
ゴソゴソ…
狩人「はい、20z(ゼニー)」
板前アイルー「はい! 確かにいただきましたニャ!」
板前アイルー「では! 行ってきますニャ!」
狩人「おー」
―――――――――――
板前アイルー「お待たせしましたニャ!」
狩人「…………」
501: 2015/05/30(土) 20:09:50 ID:SchlHai2
プ~ン…
狩人「…………」
狩人「……何か嗅いだ事のないニオイだな」
板前アイルー「あっしの特製肉料理だニャ!」
板前アイルー「ささっ! 冷めない内にガッツリ行くニャ!」
狩人(……何か嫌な予感がするが)
狩人「じゃあ……いただきます」
モグッ…
狩人(お? 意外と味は悪くないな)
ムシャムシャ…
狩人(まあそこそこって感じだけど……)
―――――――――――
狩人「ごちそうさま」
502: 2015/05/30(土) 20:10:43 ID:SchlHai2
板前アイルー「どうでしたかニャ?」
狩人「ああ、何か不思議な……」
ゴロ…
狩人「……ん?」
ゴロゴロゴロ……
狩人「ヴッ!?」
ピーゴロゴロゴロ……
狩人「bhszこhさrlんgy!?」
ダダダダダダッ!! バタンッ!
板前アイルー「ニャ?」
503: 2015/05/30(土) 20:11:47 ID:SchlHai2
――――――――――――――――――――――
お見苦しい描写の為、割愛します。
しばらくお待ちください。
――――――――――――――――――――――
506: 2015/05/30(土) 20:14:02 ID:SchlHai2
狩人「……お前……毒でも……入れたのか?」
板前アイルー「すまねぇ旦那……ちょいと冒険しすぎたみてぇだニャ」
狩人「冒険……って……うっ……」
板前アイルー「ま! たまにはこんな事もあるニャ!」
板前アイルー「笑って許して欲しいニャ! 旦那!」
ニャハハハハハハ!
狩人「…………」
狩人(……これ)
狩人(解雇しても十分いい理由だよな……?)
狩人(…………)
狩人(……でも4000z(ゼニー)も払ってるしなぁ)
狩人(納得いかねぇ……)
507: 2015/05/30(土) 20:14:35 ID:SchlHai2
―――――――――――
翌日の朝
狩人の家前
狩人「――というわけで」
狩人「俺は今日、休む……」
少女「……それは災難だったわね」
少女「まあ仕方ない、か……」
狩人「おう……すまんな」
少女「ううん。 クエから帰ったら、お腹に優しいもの持ってくるわ」
少女「じゃ!」
508: 2015/05/30(土) 20:15:43 ID:SchlHai2
―――――――――――
昼頃
狩人「ふう……どうにか落ち着いてきた」
狩人「…………」
狩人(とりあえず、ネーコに文句の一つも言わないと気が収まらん)
狩人(……我ながら人間ちっちゃい気もするが)
狩人(酷い目に合わされたんだし)
狩人(アイルーの入れ替えくらいには応じてくれるかもしれん)
狩人(ダメもとで文句くらい言ってもいいだう)
狩人「……出かけるかな」
509: 2015/05/30(土) 20:16:26 ID:SchlHai2
―――――――――――
ネーコの家付近
狩人「……ん?」
狩人「…………」
狩人(どうやら出かけるみたいだな)
狩人(…………)
狩人(どうする? また今度にするか?)
狩人(…………)
510: 2015/05/30(土) 20:17:05 ID:SchlHai2
―――――――――――
ふもと村 墓地
狩人「…………」
狩人(……何で墓地に?)
狩人(しかもこんな昼間から……)
ザッ… ザッ…
狩人(!?)
狩人(墓を掘り始めた!?)
狩人(白昼堂々と墓荒らしか!?)
狩人(…………)
狩人(ともかく、止めないと!)
ダッ!
狩人「お、おい! ネーコ!」
511: 2015/05/30(土) 20:17:47 ID:SchlHai2
ネーコ「え?」
ネーコ「ああ、狩人さん」
ネーコ「どうかなさいましたか?」
狩人「それはこっちのセリフだ」
狩人「真昼間から墓荒らしなんて……何をしているんだ?」
ネーコ「墓荒らし? ……ああ」
ネーコ「これは墓荒らしではありませんよ」
狩人「はあ? どう見ても……」
ネーコ「……これを見てください」つ(つつみ)
狩人「は? ……何ですか、これ?」
ネーコ「あるアイルーの尻尾です」
狩人「!?」
512: 2015/05/30(土) 20:20:19 ID:SchlHai2
ネーコ「時々あるんです」
ネーコ「雇っていただいた ハンター様の事が忘れられなくて」
ネーコ「遺言に亡くなったハンター様のお墓に埋めて欲しい、というアイルーが……」
狩人「…………」
ザッ… ザッ…
ネーコ「ふう……故郷が遠くて、体の一部分でもいいから、と」
ネーコ「このアイルーは、言い残して亡くなったんだそうです」
狩人「…………」
ネーコ「狩人さん、周りのお墓……見てみてください」
ネーコ「ところどころ、お墓の脇に小さなお墓があるでしょう?」
狩人「……ありますね」
狩人「あそこなんて、3つもある」
513: 2015/05/30(土) 20:21:22 ID:SchlHai2
ザッ… ザッ…
ネーコ「……これでよし。 あとは……」
(小さな墓標)トン…
ネーコ「これで……あっちでも一緒です」
ネーコ「きっと……」
狩人「…………」
狩人「……あれ?」
ネーコ「どうしました?」
狩人「名前が……墓標に名前が無いけど?」
ネーコ「ああ、それは……故事にならって、そうしているんです」
狩人「故事?」
ネーコ「ポッケ村に伝わる……ある歴戦ハンター様の晩年のお話です」
514: 2015/05/30(土) 20:22:20 ID:SchlHai2
ネーコ「……という事で」
ネーコ「それ以降、ハンター様のお墓に寄り添うアイルーのお墓に」
ネーコ「名前を刻まない事が、ポピュラーになったんです」
ネーコ「最近は名前を刻む事も多いんですけどね」 クスッ
ネーコ「今でもそのハンター様のお墓と、アイルーのお墓はポッケ村に残っていて」
ネーコ「事情を知っている人は、そっと花を手向(たむ)けるそうです」
狩人「……そうですか」
ネーコ「それで……狩人様は、私に何かご用だったのですか?」
狩人「!」
狩人「あー……その……何でもないです」
狩人「たまたまネーコを見かけたんで……」
ネーコ「そうですか」
515: 2015/05/30(土) 20:23:13 ID:SchlHai2
ネーコ「それでは、私はこれで」
狩人「あ、ああ……」
テク テク テク…
狩人「…………」
狩人(……何か気が削がれてしまったな)
狩人(…………)
狩人「はあ……」
狩人「…………」
狩人「まあ、悪気があったわけじゃないだろうし」
狩人「板前アイルーにもう冒険はするなって、言えばいいか……」
狩人「はあ……」
516: 2015/05/30(土) 20:23:44 ID:SchlHai2
―――――――――――
数日後の朝
ふもと村 集会所
狩人「ガノトトスが出現した!?」
受付嬢「はい。 ようやく出現しました」
狩人「やっと出たかぁ……長かった」
少女「狩人?」
狩人「あ、少女!」
狩人「聞いてくれ! ガノトトスがやっと出たんだ!」
少女「そう。 ランクアップ対象モンスターが出たのね」
少女「けど……」
狩人「ん?」
517: 2015/05/30(土) 20:24:34 ID:SchlHai2
少女「密林だと一週間かかるから」
少女「私たち二人一緒に出かけるのは、まずいわね……」
狩人「あー……」
狩人「い、いや、まあ……そりゃ心配かもしれないだろうけど」
狩人「俺もそれなりに腕を上げたんだし……ひとりでも何とかなるさ」
少女「そう……」
少女「じゃ、せめてガノトトスの弱点を教え……」
ハンター(女)「あら、ガノトトス狩りに行くの?」
ハンター(女)「あたしで良かったら手伝おうか?」
狩人「え」
少女「え」
518: 2015/05/30(土) 20:25:18 ID:SchlHai2
娘ハンター「あ、あの!」
娘ハンター「よ、良かったら私も……」///
狩人「」
少女「」
露出女「ちょいと待ちな」
露出女「そんな小娘とじゃなく、あたいとどうだい?」
露出女「いい仕事して見せるぜぇ~?」
狩人(何て格好を!?)///
少女(ボーン装備……あれで戦う女の子が居るなんて)
少女(って! 問題はそこじゃない!)
少女(どうして女の子ハンターばっかり寄ってくるの!?)
狩人「え、ええと、俺、3乙ばっかしているんですけど……」
519: 2015/05/30(土) 20:30:00 ID:SchlHai2
ハンター(女)「でも一皮むけたんだよね」
ハンター(女)「何しろG級ティガをやっつけたんでしょ?」
娘ハンター「私、いろいろ教わりたくて……」///
娘ハンター「あ、後でG級ティガのお話も聞かせてくださいね?」///
露出女「一人のメスとしちゃあ、実力もだが……」
露出女「運のいいヤローにツバつけときたいんだよ♪」
狩人「」
少女「」
ワー ワー ギャー ギャー
狩人「……どうすりゃいいの?」
少女「知らないっ!」
少女「その人達と一緒に行けば!?」 フンッ!
狩人「…………」
520: 2015/05/30(土) 20:30:54 ID:SchlHai2
弱点の事、まだ聞いてないんですけど……
と、言いたかったが
雰囲気がそれを許してくれなかった……
521: 2015/05/30(土) 20:31:36 ID:SchlHai2
―――――――――――
砂漠村 集会所
ロートル「…………」
ソロ「ロートル」
ロートル「ソロ。 そっちはどうだ?」
ソロ「噂話程度だが……焼け焦げたアプケロスをよく見かけるようになっている」
ソロ「ハンターやメラルー・アイルーの仕業にされているみたいだ」
ロートル「こっちも同じだ」
ロートル「目撃した場所は?」
ソロ「砂漠のあるエリアに集中している」
522: 2015/05/30(土) 20:33:43 ID:SchlHai2
ロートル「よし、これも同じ」
ロートル「砂漠地帯で決まりだな……」
ソロ「ああ」
ロートル「…………」
ソロ「…………」
ソロ「古龍頃し(エルダーキラー)は無条件でG級ハンターに……」
ロートル「前回はアカムトルムを探して半年粘ったがダメだった」
ロートル「今回はモノにしたいな……」
ソロ「そうだな……」
ロートル「…………」
ロートル(今度こそ……今度こそは)
ロートル(G級に……!)
523: 2015/05/30(土) 20:34:31 ID:SchlHai2
ロートルの目は、一瞬あやしく輝き
そして、グラスの酒を一気に飲み干した……
524: 2015/05/30(土) 20:36:33 ID:SchlHai2
※補足説明
原作(P2G)のゲームでは、旧猟区と樹海以外、下位でも入れましたが
このスレでは、HRごとに入れる猟区が制限されています。
下位ハンターは、雪山・森丘・密林・砂漠に入れます。
上位から、火山・沼地・塔・樹海にも入れるようになります。
G級は無制限でどの猟区にも入る事ができ、今回のお話でも出てきましたが
貴重な鉱石はG級ハンターしか、取ってくる事ができません。
P2Gで上位からG級に上がるキークエのモンスターは、アカムトルムですが
このスレでは、G級モンスターは希少なため、それ以上に希少な出現率の
古龍モンスター撃破は、例外的に無条件でG級に上がれるとしています。
また、G級モンスターの報酬額は、原作ゲームの約10倍にしています。
これは古龍クラスも同様です。
モンスター素材もその値段で売買されています。
525: 2015/05/30(土) 20:37:11 ID:SchlHai2
また、今回のお話で出てきた『 故事 』とは
非公式のエピソードでして、知る人ぞ知るお話です。
気になる人は、『名無しのアイルー』で検索してみてください。
ハンカチ必須。
526: 2015/05/30(土) 20:38:43 ID:SchlHai2
という所で、今日はここまでです。
お付き合いありがとうございました。
お付き合いありがとうございました。
527: 2015/05/30(土) 21:09:20 ID:P2mfqehU
乙!
528: 2015/05/30(土) 21:19:51 ID:vIPZOWug
引用: 狩人「目指すは伝説級ハンター!」
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