1: 2011/03/27(日) 00:56:09.93 ID:8CKVvI2S0

4: 2011/03/27(日) 00:58:02.42 ID:8CKVvI2S0


諏訪「い、イェーガー大尉は、どんな球を投げられるのでしょうか……」


坂本「……わからん」

坂本「練習……及び、あの性格からして、速球で攻めてくる事は間違い無い」

諏訪「手強そうな方です……」


ゲルト(配球は、全てシャーリーに任せてある……)

ゲルト(さて、どんな球が来るのか……!)




シャーリー「……っ」ザッ

シャーリー「……うりゃっ!」バシュッ!



坂本(素早いオーバースロー……!?)

ゲルト(!!)
ストライクウィッチーズ 劇場版 501部隊発進しますっ!

8: 2011/03/27(日) 01:01:17.43 ID:8CKVvI2S0


       フワッ.....




ルッキーニ「!?」

ドッリオ『ああー! 『超遅球』です!』



竹井「一投目から、まさかの超遅球……!」

竹井「あまりの遅さに、蝶が止まるとも言われているあの伝説のスローボール!」


芳佳「あの素早いフォームから投げ出される遅い球に、打者のタイミングは完全に崩される!」

芳佳「シャーリーさん、そんな隠し球を早々と使ってくるなんて……!」

芳佳「でも、これでルッキーニちゃんは、打てな―――!」



ルッキーニ「てやぁー!」 カキーン!

芳佳「打ったぁーッッ!!」

11: 2011/03/27(日) 01:05:43.79 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『右翼打線、伸びる――!』


ルチアナ「……」バババババッ

ルチアナ「……はっ!」パシッ


ドッリオ『ライト、ルチアナ少尉、空中でボールをキャッチ!』

ドッリオ『ストライカー装着の外野手は、捕球によるアウトが認められません!』



ルチアナ「ティナ!」ヒュン

ティナ「まっかせてっ!」


ルッキーニ「うじゅぁー―!!」ズサーッ!


塁審「アウトッ!」

12: 2011/03/27(日) 01:08:32.39 ID:8CKVvI2S0

マリア『ああ……惜しかった、ですね……』

マリア『それにしても、あの、空を飛ぶ……ストライカーが、この試合の鍵でしょうか』

マリア『あれがあるかぎり、迂闊に打ち上げる事はできません……』

マリア『この試合、守備側が少し有利すぎるのではありませんか?』


ドッリオ『いえ……ウィッチは、魔力により並の人間よりも強くなっております』

ドッリオ『先程のルッキーニ中尉の打球のように、通常ではあり得ない力での打撃、走塁が可能です』

ドッリオ『それに、外野手の特殊捕球が加われば、均等という所では無いでしょうか』


マリア『なるほど……』

マリア『よくわかりませんが……ウィッチに不可能は無いのですね!』


   『二番、エイラ・イルマタル・ユーティライネン……』

13: 2011/03/27(日) 01:11:48.22 ID:8CKVvI2S0


シャーリー(エイラか……こいつは、要注意だな)

シャーリー(あの回避能力……並の動体視力では無いはずだ。慎重に……)


エイラ「……よし」ザッ

エイラ(サーニャ、見ていてくれよ!)



マリア『……北欧の方ですか?』

ドッリオ『ええ。美しい白い肌をしています』

ドッリオ『友人と飛ぶために、ナイトウィッチ志望で勉強をしているるとか』

マリア『素晴らしい友情ですわ……』


シャーリー(ともかく、初回で手の内を知られるのはまずい……)

シャーリー(とっととベンチに引き下がってもらう!)シュッ!

14: 2011/03/27(日) 01:16:26.79 ID:8CKVvI2S0

  バシィ!

エイラ「……」

審判「ストラァーイック!」


マリア『メーターの表示は……155キロです』

ドッリオ『プロに引けを取らない球速……魔女だからこそ、出来る技でしょう』



ゲルト「……」ヒュッ

シャーリー「まだまだ速くなるさ」パシッ


エイラ「……」

エイラ「よし、打てるぞ……」


ゲルト(……)

16: 2011/03/27(日) 01:20:28.62 ID:8CKVvI2S0

シャーリー「……やっ!」ビュン!


エイラ(……もらった!)

エイラ「ほいっと」

    カァン!



ドッリオ『打ったぁー! 二,三塁間を転がる、鋭い打球!』

ドッリオ『レフト、ビショップ曹長が追います!』


リーネ「……! ……ああ!」グラッ パスッ


ドッリオ『リネット曹長、捕球と同時に機動を崩したー!』

ドッリオ『その間にエイラ中尉、悠々と一塁セーフです!』


リーネ「ご、ごめんなさい……うう」

17: 2011/03/27(日) 01:23:30.60 ID:8CKVvI2S0


エイラ「……ふふん。ストライカーを履いている外野は、ゴロがさばき難いんだよなー」

エイラ「確実にヒットを打つのが私のやり方だな」

エイラ(……まあ、魔法も使ってるから、コースは全部わかってるんだけどさ)

エイラ(サーニャ、見ててくれたかな……)チラッ




芳佳「そっか……そういう弱点もあるんですねー」

芳佳「なら、ゴロを打てばいいのかなぁ」


竹井「脚力に自信があるのなら、あえて打ち上げて捕らせてみるのもいいわね」

竹井「レフトに飛ばせば、まず一塁は刺されないもの……」


エーリカ「外野が反応出来ないくらい、ガツーンッ! って打っちゃえば良いんだよー」

エーリカ「なんだか眠くなってきたなあ」

18: 2011/03/27(日) 01:27:09.51 ID:8CKVvI2S0

   『三番、ペリーヌ・クロステルマン……』


ペリーヌ「……坂本少佐の為に…」ギュッ



芳佳「ペリーヌさん酷いです! 私が先に誘ったのに……」

芳佳「坂本さんの所へ行っちゃうなんて……」


竹井「まあまあ。彼女にも何か理由があったのかもしれないわ……」

芳佳「うーん……」


エーリカ「あー、本格的に眠くなってきた……」

エーリカ「ミヤフジ、ちょっとお膝かしてー」モゾモゾ


芳佳「だ、駄目ですよ試合中に……は、ハルトマンさぁん、……きゃあ!」


エーリカ「出番が来たら……起きるから……ムニャ」

19: 2011/03/27(日) 01:30:26.65 ID:8CKVvI2S0


  バシュッ!

審判「ットラィーク!」

審判「バッターアウツッ」


ペリーヌ「あ、ありえませんわ……この私が……」

ペリーヌ「うう……」


エイラ「なーにやってんだよー! ツンツンメガネ-!」

ペリーヌ「お黙りなさい!」



   『四番……中島錦……』

マリア『扶桑の方ですね……そういえば、両チームのキャプテンも扶桑の方だとか』


ドッリオ『ええ。ヒーローズは坂本美緒少佐。シスターズは宮藤芳佳軍曹』

ドッリオ『共に501統合戦闘航空団所属……部下と上官の関係にあるそうです』

20: 2011/03/27(日) 01:34:15.93 ID:8CKVvI2S0

マリア『まあ……つまりこれは、扶桑の師弟対決と言う事になるのですね!』

マリア『噂の、ゲコクジョーというものでしょうか!』

ドッリオ『ま、まあ……そうなりますかね』



マリア『……』

マリア『それにしては、妙ですわ……』



マリア『チーム名は、扶桑に関係のあるものではありませんし……』

マリア『お二人とも、ベンチに座られて、試合には参加されていないようですが……』

ドッリオ『……』


マリア『これが例の……代理戦争、と言うモノでしょうか』

ドッリオ『まあ、そうなりますかね』

21: 2011/03/27(日) 01:38:12.84 ID:8CKVvI2S0


シャーリー(中島錦……たしか、ガリアでの演習で、一度501に来たな…)

シャーリー(坂本少佐にも一目置かれている、なかなかの傑物だと記憶にある)

シャーリー(四番を任せられるだけの事はあるか……)


中島「……」ザッザッ

中島(……)

中島(アレはまだ使えないな……)



シャーリー「……っ!」ヒュン

中島(……! 内角、低い!)


中島「せやっ!」 カキーン!

ゲルト(三塁打線!)

23: 2011/03/27(日) 01:41:16.31 ID:8CKVvI2S0


シャーリー(内野ギリギリ……抜け――!)


ゴッドフリー「せやあ!」パシィッ!

塁審「アウツッ!」


中島「……!」


ドッリオ『おーっと! サード! ゴッドフリー大尉、ファインプレー!』

ドッリオ『ファウルライン沿いの難しい球を、見事捌きました!』


ゴッドフリー「ふっふっふ……私も、伊達に大将の後ろにいたわけじゃないんですな!」

ゴッドフリー「この勝負、負けられませんから!」


ゴッドフリー「見てて下さい! 大将!」

ドミニカ「見てるよ、ジェーン」


25: 2011/03/27(日) 01:45:40.16 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『さて次は、シスターズの攻撃が始まります』



  【JFWシスターズ・先発メンバー】


  1.  シャーロット・E・イェーガー

  2.  マルチナ・クレスピ

  3.  諏訪 五色

  4.  ゲルトルート・バルクホルン

  5.  ルチアナ・マッツェイ

  6.  ジェーン・T・ゴッドフリー           [控え]  竹井 醇子

  7.  中島 疾風                   [控え]  宮藤 芳佳

  8.  リネット・ビショップ                [控え]  エーリカ・ハルトマン


ドッリオ『さて、先発はイェーガー大尉。見事1回の表を4人で抑えた投手です』

ドッリオ『マウンドを降りる姿からは、余裕すら感じられました』

27: 2011/03/27(日) 01:50:06.44 ID:8CKVvI2S0
no title
ゲルト「フェルナンディア中尉か……」

シャーリー「うーん、どんな球を投げるか想像出来ないなあ」

シャーリー「投球練習を見て、判断してみようか」

29: 2011/03/27(日) 01:54:11.01 ID:8CKVvI2S0

マリア『ヒーローズの守備……どんな活躍が見られるのでしょうか』


ドッリオ『ええ……そうですね』

ドッリオ『見所はやはり、フェルナンディア中尉のピッチングでしょう』



フェル「……」サッ

フェル「……っ!」ヒュン


    バシッ!

ミーナ「……」ヒュン




シャーリー「中々、良いコントロールをしているなー」

シャーリー「球速はそれほど無い……打ちごろじゃないか?」

ゲルト「まあ、あの程度であれば、問題無かろう」

30: 2011/03/27(日) 01:58:28.85 ID:8CKVvI2S0


マリア『なるほど……フェルナンディア中尉の投球に、期待ですね』


ドッリオ『それを受けるのは、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐。501の総指揮を勤めます』

ドッリオ『その能力と頭脳を生かし、この試合の守備の要となってくれるでしょう』



マリア『攻撃ではルッキーニさんもいますし……』

マリア『ヒーローズは、攻守共に隙無し。素晴らしいチームだと思いますわ』


ドッリオ『ええ。そうですね……』

ドッリオ『まあシスターズがどこまで抗えるか、見物と致しましょうか』



シャーリー(……)

シャーリー(おかしい……なんでこんなにアウェーなんだ……)

33: 2011/03/27(日) 02:01:52.64 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『……』

ドッリオ『フェルー! 緊張しちゃダメよぉ! 落ち着いて投げなさーい!』

マリア『あら……』



フェル「……も、もう…少佐……恥ずかしいんだから…」

フェル「でも、ま……やるっきゃ無いわね! 見てなさいよ!」



シャーリー「……」ブン!

シャーリー「さて……うちのチームの景気付けに、行かせてもらうとするかな!」


フェル(大振り……余裕ね……)

フェル(その自信、私の球で粉々に打ち砕いてやるわ……)


ミーナ(落ち着いて、フェルナンディアさん!)

ミーナ(まずは、確実に打ち取るの……内角低めよ!)

34: 2011/03/27(日) 02:05:03.70 ID:8CKVvI2S0

フェル(内角低め……)



ドッリオ『さあ、フェルナンディア中尉、期待の一投です』

ドッリオ『……振りかぶりました!』


フェル「……」

フェル「……、せやっ!」ヒュン!




シャーリー「……」サッ!

ミーナ「!」


シャーリー「よっと」カツンッ

フェル「!?」

36: 2011/03/27(日) 02:09:09.66 ID:8CKVvI2S0

フェル「くっ……」パスッ、シャッ

シャーリー「よーっと」ズサッ


審判「……セーァフ!」


ドッリオ『おおっと! イェーガー大尉、セーフティバントです!』

ドッリオ『全く予想していなかったヒーローズ守備陣、対応出来ませんでした!』


マリア『あのような構え方もあるのですね……始めて拝見しました


フェル「くう……大振りに騙されたわ……」

ミーナ「次に集中しましょう」



   『二番、ファースト……マルチナ・クレスピ……』

ドッリオ『フェルナンディア中尉と同じく、ロマーニャ公国パンタローニ・ロッシの一員です』

37: 2011/03/27(日) 02:13:08.34 ID:8CKVvI2S0

ティナ「かかってこーい! フェル!」


フェル「覚悟しなさいよぉ、マルチナ……」

フェル「あんまり調子に乗ってると、泣きながらベンチに戻る事になるわよ!」


フェル(外角低め……)

フェル「せやっ!」ヒュンッ!



フェル「もらったぁー!」 カツーン

  テンテンテン.....


フェル「何よ、ぼてぼてのピッチャーゴロじゃない!」

フェル「併殺、いただいたわ! セカンッ!」ヒュン!


シャーリー「遅いね!」ズサーッ

39: 2011/03/27(日) 02:15:36.17 ID:8CKVvI2S0


ペリーヌ「……シャーリーさ…!?」パシッ

塁審「……セーッファ!」


フェル「な、何ですって……!」



ペリーヌ「ファースト!」ヒュン

ドミニカ「……」パシッ


塁審「セーフ!」

ティナ「遅いよフェルー! やーいやーい」

フェル「う、ううむむ……」


ドッリオ『何と、わずか二球にして無氏一二塁!』

ドッリオ『イェーガー大尉、素晴らしい俊足です!』

41: 2011/03/27(日) 02:18:33.99 ID:8CKVvI2S0

芳佳「すごいですシャーリーさん! あんなに速く走れるなんて……」

芳佳「格好いいです!」

エーリカ「……ぐー……」スースー


ゲルト「……」

ゲルト「おい、宮藤。その膝の上は何だ?」


芳佳「え? あ……ハルトマン、さんです」

芳佳「……は、ハルトマンさん、起きましょう! 試合中ですよ!」


エーリカ「うーん……あと、150分……」

ゲルト「こいつ……」


ゲルト「おい! 起きろ! ハルトマン!」

ゲルト「今は大事な試合中だ! 合同演習だ! 眠るとは何事か!」

43: 2011/03/27(日) 02:23:34.90 ID:8CKVvI2S0

エーリカ「だってさー……ミヤフジのフトモモが、私を誘うんだもん……」

芳佳「ええー! わ、私誘ってなんていません!」


エーリカ「眠気を誘うって事だよ……ぐー……」

ゲルト「おいハルトマン! 寝ーるーなー!」ユサユサ

エーリカ「うるさいなあ……」


   『三番、セカンド、諏訪五色……軍曹』

五色「よーし、行くぞー……」ブンブン..



エーリカ「ほらー、トゥルーデももうすぐ出番だよ」

エーリカ「ミヤフジのおひざに構ってないで、次の待機場所に行きなよー」

ゲルト「……うむむ」

44: 2011/03/27(日) 02:26:59.79 ID:8CKVvI2S0


フェル「……っ!」ヒュン

五色「えいっ!」カキーン!


ルッキーニ「よっ!」パシッ

審判「アウツッ!」


ドッリオ『おおーっと、サードの真正面!』

ドッリオ『イェーガー大尉、クレスピ曹長共に動きませんでした!』



マリア『ルッキーニさん! ルッキーニさんが捕りましたよフェデリカさん! きゃあー!』

ドッリオ『皇女殿下もたいそうご満悦のご様子!』


疾風「……五色、おかえり……」

五色「……うん」

47: 2011/03/27(日) 02:30:33.84 ID:8CKVvI2S0


   『四番……キャッチャー、ゲルトルート・バルクホルン……』


芳佳「バルクホルンさん、頑張って下さい!」

ゲルト「……うむ」


フェル(バルクホルン大尉……)

フェル(くぅ……この人だけは、慣れないわ……)


ミーナ(トゥルーデ相手に、甘い球はできないわね……)


フェル「……やっ!」ヒュン!

   ク クン....


ゲルト(カーブ……?)

ゲルト「くっ……」

48: 2011/03/27(日) 02:34:11.84 ID:8CKVvI2S0

審判「ットラーイク!」

ゲルト「変化球か……」


フェル「……」パシッ

フェル(速球は得意そうね……)



ミーナ「……」

フェル「……やっ!」ヒュン!



ゲルト「……!」

ゲルト「二度同じ手は、食わん!」

ミーナ(しまった……!)



    ガキーン!!

50: 2011/03/27(日) 02:37:32.07 ID:8CKVvI2S0


ゲルト「……」タッ!


ドッリオ『センター、抜けたー! 大きい!!』

ドッリオ『これは入るかー!?』


サーニャ「届かない……」バラバラバラッ...

中島「入れさせるか……!!!」


  ギュィィィィィィン!!!

中島「………せやあっ!」パシィッ


ドッリオ『中島少尉、客席前直前でボールを捕らえました!』

ドッリオ『イェーガー大尉、同時に三塁を回ります!』


中島「……届けっ!」ザッ

    ビュン!

53: 2011/03/27(日) 02:41:39.81 ID:8CKVvI2S0

エイラ「よっと!」バシッ!

ドッリオ『イェーガー大尉、ホームイン!』


エイラ(二塁……)

エイラ「ツンツンメガネ!」ヒュン


ゲルト「……っ!」ズサー!

ペリーヌ「……くっ」パシッ

塁審「セーフ!」


ドッリオ『バルクホルン大尉、会心の二塁打――っ!』

ドッリオ『シスターズの先取点となりました!』


ドッリオ『一回の裏、一氏二三塁! ヒーローズ、攻められています!』


シャーリー「さあ、このまま波に乗って行こうじゃないか!」

54: 2011/03/27(日) 02:45:17.15 ID:8CKVvI2S0

   『五番……ライト、ルチアナ・マッツェイ……』


ルチアナ「……隊長……恨まないで下さい」


フェル「ちょ、ちょっと! 打つ前から勝利宣言してんじゃないわよ!」

フェル「見てなさいよ……こんどこそ、やってやるんだから……」


フェル「……やっ!」ヒュン!


ルチアナ「……!」

ルチアナ「フォークですか……投げられたんですね……」


フェル「なっ!?」


   カクン....

ルチアナ「えいっ!」 ガキーン!

56: 2011/03/27(日) 02:49:49.73 ID:8CKVvI2S0

ルチアナ「私の目は、弾丸の回転方向すら見抜きます」

ルチアナ「編み目のあるボールでは、それがどう動くのか、予想するのは容易いですよ」タタタッ


フェル「……くぅ…!」


ドッリオ『パンタローニ・ロッシ、マッツェイ少尉、長打!』

ドッリオ『ショート頭上を抜ける――!』


エイラ「うあ……!」

エイラ(届かな―――)


     ブゥン!

エイラ「!?」



サーニャ「やっ」パスッ

57: 2011/03/27(日) 02:52:54.07 ID:8CKVvI2S0

 ブィーン!

ゲルト「な、サーニャっ……!」

サーニャ「ごめんなさいっ!」パシッ!


塁審「アウトッ!」


サーニャ「えいっ」ヒュン

ガランド「……」パシッ


ルチアナ「なっ……」

塁審「アウツッ!」


サーニャ「……ふう…」


  ウアアアアアァァァアァァァアアアア!!!!!!

59: 2011/03/27(日) 02:54:20.56 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『な、なんと、たった今、素晴らしいプレーが出ました!』

ドッリオ『五番、マッツェイ少尉のショート越えの打球を――』


ドッリオ『ライトのリトヴャグ中尉が、内野での捕球!』

ドッリオ『二塁ベース付近でバルクホルン大尉をタッチアウト、そのまま一塁へと送球!』

ドッリオ『併殺! ダブルプレーです!』


エイラ「サーニャ! 凄いぞ! 凄いぞサーニャ!」

エイラ「サーニャー!!!!!」

サーニャ「恥ずかしいわ、エイラ……」


ドッリオ『リトヴャグ中尉は、始めから前衛守備を行っていたようですね……』

ドッリオ『これがストライカーを使った、ウィッチの野球なのです!』

60: 2011/03/27(日) 02:59:01.37 ID:8CKVvI2S0

ルチアナ「申し訳ありません……せっかくの流れを……」

ゲルト「いや、私こそ……まさかサーニャが目の前に現れるとは思わなかった」


シャーリー「……ストライカーを使える外野は、そのまま優秀な野手としても動ける……」

シャーリー「それを一早く察知したんだろうな。出来るぞ……」


芳佳「……えっと、じゃあ、私達もマネして、外野手を前に出しておけば……」


シャーリー「駄目だ。長打を打たれた時、対応出来ない」

シャーリー「今回は、たまたまサーニャが良い位置にいただけだ」


ティナ「いっそのこと、前衛守備と後衛守備に二人をわけるのはどうかな?」

シャーリー「それでは両サイドの守備が甘くなる……本末転倒さ」

シャーリー「まあ、私が打たれなければいい話だろう」


ゲルト「……」

61: 2011/03/27(日) 02:59:04.97 ID:Cfmc0cUV0
いつの間にかガランドさんが守備についておる

64: 2011/03/27(日) 03:03:55.31 ID:8CKVvI2S0
間違えました。ガランド少将はいません
no title

65: 2011/03/27(日) 03:08:00.23 ID:8CKVvI2S0

  【二回の表 フランチェスカヒーローズ】

    5.  ドミニカ・ジェンタイル          ファースト

    6.  アレクサンドラ・V・リトヴャグ      レフト

    7.  フェルナンディア・マルヴェッツィ    ピッチャー

    8.  ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ     キャッチャー

__________________________________


シャーリー「……」


ゲルト「……シャーリー、一言だけ言っておく」

ゲルト「お前の球は、ただ、……速いだけだ。見抜かれるのも早いぞ」

ゲルト「そうなった場合、誰を次の投手に推す?」


シャーリー「……考えはあるさ。大丈夫だ」

シャーリー「それに、私の球だけで、勝てる試合かもしれないぞ?」

68: 2011/03/27(日) 03:12:20.20 ID:8CKVvI2S0


   『五番、ファースト……ドミニカ・ジェンタイル……』


ドミニカ「……」

ゴッドフリー(大将……)



=============ここから☆

数日前 ロマーニャ軍基地



    タッタッタッタ......

ゴッドフリー「大将! また昼間っからお酒飲んで!!」

ゴッドフリー「ちょっとは部屋の掃除を、手伝いなさい! もうっ……」


ドミニカ「……任せた」カチャン

ゴッドフリー「任せた、じゃありませんよ!」

69: 2011/03/27(日) 03:16:16.97 ID:8CKVvI2S0

ゴッドフリー「だいたい何で、こんな昼間っから酔っぱらいしてるんですか!」


ドミニカ「……」カチャ

ドミニカ「戦いが無いからな」

ゴッドフリー「……?」


ドミニカ「戦いが無ければ、酒を飲むか、ジェーンを見ているしかない」

ゴッドフリー「あ……ちょっと、髪を……酔ってるんですか……」

ゴッドフリー「もう……大将……」

ドミニカ「……」サワサワ



ゴッドフリー「じゃなーい!!!!」

ゴッドフリー「違います! 掃除を手伝って下さいって言ってるの!!」

ドミニカ「可愛いな」

ゴッドフリー「誤魔化されないですよ!!」

71: 2011/03/27(日) 03:21:35.16 ID:8CKVvI2S0


ゴッドフリー「……わかりました」

ゴッドフリー「大将がその気なら、私にも考えがあります!」

ドミニカ「……?」


ゴッドフリー「こんどの野球大会……別々のチームになりましょう!」

ゴッドフリー「そして、勝った方が、相手を一日自由に出来る権利を手に入れます!」

ドミニカ「うん」



ゴッドフリー「私が勝ったら、大将にはお酒を止めて、一人で会議室の掃除をしてもらいます!」

ゴッドフリー「大将が勝てば、私は飲み相手でも使いっ走りでも、何でも言う事を聞きましょう!」


ドミニカ「……。そいつは良いな」

ゴッドフリー「……受けるんですね! 大将!」

73: 2011/03/27(日) 03:24:13.10 ID:8CKVvI2S0

ゴッドフリー「命令は絶対ですからね!」

ゴッドフリー「当日になって、やっぱり止めたとかは無しですからね!」


ドミニカ「ああ」

ゴッドフリー「ふふ……楽しみです!」


=============ここまで☆



ゴッドフリー「負けません……!」

ゴッドフリー「勝ってあの酔っぱらいを、一日こき使ってやる!」

ゴッドフリー「これからはお酒を控えますって言わせてやる……言わせてやりますとも!!」



ドミニカ「……」

ドミニカ「……」 ブンッ!

74: 2011/03/27(日) 03:28:12.42 ID:8CKVvI2S0

フェル「相手の投手……中々の速球を投げるわね」

フェル「打撃と言い投球と言い……手強いわ」

サーニャ「……」


ドミニカ「球が、速いだけさ」

フェル「速いだけって、アンタ……」


ドミニカ「……」タッタッ...

ドミニカ「……」ザッ!



シャーリー(一投目……っ!)シュッ

  バシンッ!


審判「ットラーイクッ!!」

75: 2011/03/27(日) 03:32:03.15 ID:8CKVvI2S0

フェル「162キロですって……半端じゃないわね!」

ミーナ「恐らく、シャーリーさんの魔法が投球に影響を与えているのね……」


ドミニカ「……」

ドミニカ「まだ、遅いな」


シャーリー「……?!」

シャーリー「言うじゃないか、誰だか知らないけど、さ」

シャーリー「なら、もう少し、速く出来る……」


シャーリー「打てるものなら、打ってみな!!」ヒュゥン!!



ドミニカ「……っ!!!」ザッ

76: 2011/03/27(日) 03:37:26.41 ID:8CKVvI2S0

    カキィィ―――ッッン!!!


ドッリオ『打った――!!』

ドッリオ『ジェンタイル大尉、会心の一撃! 打球はライトへと大きく伸びます!』


ルチアナ「させません!!」ギュンッ

ルチアナ「やぁー!」


    ガチーン!

ルチアナ「あわっ!!」

ドッリオ『右翼手、マッツェイ少尉……勢い余ってライトポールに直撃――ッッ!』


ルチアナ「うう……コブが……」

ルチアナ「打球は――」

    ワァァァァァアァアアアアアア!!!!!!!

77: 2011/03/27(日) 03:41:23.68 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『決まりました――! ジェンタイル大尉、ライトスタンド上段へと叩き込む強烈な一発――!』

ドッリオ『今試合、初の本塁打となります!!』

シャーリー「くう……」


ドミニカ「……」ザッザッ



ドミニカ「……」ピタッ

ゴッドフリー「……あっ」


ドミニカ「約束、忘れるなよ」

ゴッドフリー「あう……」



ゴッドフリー「く……む、むかつきます! むかつく!」

78: 2011/03/27(日) 03:46:37.30 ID:8CKVvI2S0

坂本「見事だ大尉!」

フェル「やるじゃない大将! 見直したわよ!」


ドミニカ「……」

ドミニカ「まあ、打てない球じゃないさ」

ドミニカ「特に変化もない。タイミングさえ合えば……」


中島「当たれば飛ぶ、と言う事ですね」

中島「私達のウィッチの動体視力があれば、それは容易い事です」

ドミニカ「ああ」


坂本「とにもかくにも、良い先駆けだ」

坂本「このまま点の取り合いへと持ち込めるなら、尚のこと良い」

79: 2011/03/27(日) 03:49:25.49 ID:8CKVvI2S0

   『六番、レフト……アレクサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャク……』

サーニャ「……頑張ります」


エイラ「サーニャ、緊張するなよ、た、たかがゲームだ!」

エイラ「あと、ボールはもう内角だけ狙っていけばいいからな。無理に筋を痛める事無いぞ」

エイラ「危険球にだけは、絶対注意するんだ。打てないと思ったらボックスギリギリに立ってればいいからな!」

エイラ「三振でも構うもんか! 打ったら、落ち着いて転ばないように走るんだぞ!」

サーニャ「そうね、エイラ」



シャーリー「……」ビュッ

シャーリー「……」バシッバシッ


ゲルト(不味いな……)

82: 2011/03/27(日) 03:52:50.40 ID:8CKVvI2S0


シャーリー(サーニャの腕力では、外野まで飛ばすのは厳しいか……?)

シャーリー(いや、見かけに騙されるなよ)

シャーリー(ああ見えてフリーガーハマーを一晩中構え続けられる剛肩だぞ……)


サーニャ「……」


ゲルト(外角ギリギリを狙え、シャーリー……)

ゲルト(この立ち位置では、せいぜい内野ゴロだ。打ち取らせるぞ)

シャーリー(……了ー解)


シャーリー「……っ!」シュッ!



サーニャ「……んっ」ズイッ!

ゲルト(……前にっ!?)

85: 2011/03/27(日) 03:57:49.37 ID:8CKVvI2S0


サーニャ「やあっ!」カキーン!

シャーリー「……!!」



ドッリオ『リトヴャク中尉、レフトへと高く打ち上げたーっ!』

エイラ「サーニャー!!」


   バラバラバラッ

リーネ「えいっ」パスッ!

リーネ「マルチナさんっ!」ヒュンッ!


サーニャ「はっ……はっ……」タッタッタッタ

サーニャ「……!」ズサーッ

ティナ「……」パシッ


塁審「セーフッ!」

86: 2011/03/27(日) 04:01:30.34 ID:8CKVvI2S0


エイラ「ああ、サーニャ! 滑り込みだなんて……」

エイラ「怪我してないか! 大丈夫かー!!!」

サーニャ「平気よ、エイラ……」

ペリーヌ「エイラさん……少し落ち着きなさい」


坂本「うむ……見事だ、サーニャ」

坂本「次は、フェルナンディア中尉……任せたぞ」


フェル「うう……私、あんまり打撃は得意じゃないのよねえー……」

フェル「まあ、ちょおーっとだけ頑張ってみるわ」ブンブンッ



   『七番……ピッチャー……フェルナンディア・マルヴェッツィ……』

フェル「よし! 行くわよ!」

89: 2011/03/27(日) 04:05:09.08 ID:8CKVvI2S0

審判「ットラィーク! バッターアウッツ!」

フェル「うぐぐ……」


ドッリオ『もう、フェルったら……だらしないわねー』

ドッリオ『もっと、しゃきっとバットを握りなさいよー』



フェル「う、うるさいわね! 少佐、やめなさいよ!」

フェル「ちょっとルッキーニちゃん! あの放送止めてきて!」


ルッキーニ「え? いいじゃん別にー」


マリア『ルッキーニさーん!』

ルッキーニ「まーりあー!!」


フェル「うぎぎ……」

92: 2011/03/27(日) 04:09:10.93 ID:8CKVvI2S0

   『八番、キャッチャー……ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ……』


ミーナ「……そろそろ、限界なんじゃない? トゥルーデ?」

ゲルト「……何の事だ」


ミーナ「いいえ、こっちの話よ……」

ミーナ「ただ、このままだと、私達が勝ってしまうわね」


ゲルト「……」


シャーリー(まあ、言いたい事はわかるさ)

シャーリー(ウィッチ同士の試合なら、私程度のボールじゃ、厳しい……)

シャーリー(そろそろ、あいつを出す準備か……な!)


シャーリー「……っ!」シュッ!

93: 2011/03/27(日) 04:12:09.13 ID:8CKVvI2S0

ミーナ「……!」カキーンッ!


シャーリー「……!」

五色「……っうわっ!」シャッ


ドッリオ『1,2累間を抜ける鋭い打球!』


ルチアナ(低い……ゴロ……!)パシッ

ルチアナ「……くっ…」パシッ


ルチアナ「セカンッ!」ヒュンッ

疾風「……」パシッ


サーニャ「……ハァ……ハァ」

塁審「セーッフ!」

94: 2011/03/27(日) 04:15:59.08 ID:8CKVvI2S0

   『一番、サード……フランチェスカ・ルッキーニ……』

ルッキーニ「うじゃー!」


ゲルト「……」

ゲルト(どうする、シャーリー……交代するか?)


シャーリー(いや、もう少し、な)

シャーリー(せめてこの回だけは、投げさせてくれよ)


ゲルト「……」

ゲルト「……」ヒュンッ


シャーリー「……」パシッ

シャーリー(恩に着るぞ、バルクホルン……)


ルッキーニ「さあ来い、シャーリー!」

96: 2011/03/27(日) 04:19:57.34 ID:8CKVvI2S0


シャーリー「行くぞ、ルッキーニ!」

シャーリー「……やっ!」シュッ!


ルッキーニ「……」サッ

ルッキーニ「ウジュ!」カンッ!


シャーリー「!!」

ゲルト(送りバント……!)



シャーリー「……くっ」パシッ ヒュッ

塁審「アウトッ!」


ルッキーニ「あうー! 失敗したー」

97: 2011/03/27(日) 04:22:21.90 ID:8CKVvI2S0

ルッキーニ「もっとシャーリーみたいに、どばーって行けたら良かったのに……」

エイラ「なんだ? セーフティ狙ってたのかー?」

エイラ「まあ、結果的にバントは成功したから、良いじゃないか」

ルッキーニ「違うの! アタシはー、もっとかっこよくババッと行きたいの!」


マリア『ルッキーニさんはもう十分格好いいですよね、フェデリカさん?』

ドッリオ『え? ……あ、はい! そうですね!!』


ドッリオ『さて、二氏、二三塁。ヒーローズ、得点のチャンスです』

ドッリオ『マウンドに立つイェーガー大尉からも、余裕の表情が消えています!』

ドッリオ『対するバッターは……』


シャーリー(……エイラ…!)

エイラ「……ふふん」

98: 2011/03/27(日) 04:27:03.76 ID:8CKVvI2S0

   『二番、ショート……エイラ・イルマタル・ユーティライネン……』


エイラ「……」チラッ

サーニャ「……」


エイラ(サーニャ、見とけよ……)

エイラ(かっこよく打って、サーニャをホームベースで迎えてやるさ!)

エイラ(ふふ、ふふ……ふふ……)



サーニャ(……エイラ…)

サーニャ(試合中によそ見して……不真面目……)


ゲルト(エイラに甘い球は禁物……)

ゲルト(速球しか無いぞ!)

100: 2011/03/27(日) 04:31:03.98 ID:8CKVvI2S0


シャーリー「……せやっ!」シュン!

   ギュゥゥゥーン!!!



エイラ(……速…!)

ゲルト「……!」バシィンッ!


審判「ットラーッィク!」


ドッリオ『速い! ユーティライネン中尉、バッターボックス内で固まっております!!』

ドッリオ『……メーターの速度は……』

ドッリオ『166キロ! イェーガー大尉、ここに来てさらに速度が上がります!』

ドッリオ『もはや、ウィッチとして、前人未踏の域に到達しようとしています!』


シャーリー「ふふ……そのうち、見えない速さの球も投げるようになるさ」

シャーリー「私の打球は、まだまだ速くなるぞ!」

101: 2011/03/27(日) 04:35:06.05 ID:8CKVvI2S0

エイラ「……!」シュッ


ゲルト「……」

ゲルト(エイラのヤツ……さらにバットを長く持ち替えた……)

ゲルト(先程は、打つ気も無く、ボーッとしていたようにも見えたが……)

ゲルト(何かあるな……)シュッ


シャーリー「……」パシッ


ゲルト(気を付けろ……シャーリー……)


シャーリー(良し、まだ行けるぞ)

シャーリー「……」バッ


エイラ「……!」ピクッ

102: 2011/03/27(日) 04:39:21.78 ID:8CKVvI2S0

シャーリー「……っ!?」シュンッ

シャーリー(しまった……)グラッ


ゲルト(……遅い!)

エイラ「もらったぞ!」


エイラ「ほいっと」ガキィン!


シャーリー「くっ……」ヒュンッ


ドッリオ『センター強襲ー!!』

ドッリオ『ユーティライネン中尉、イエーガー大尉のスローボールを読んでいましたー!』


ルチアナ「くっ……」バババッ

リーネ「止めないと……」バラバラッ

103: 2011/03/27(日) 04:44:12.70 ID:8CKVvI2S0

シャーリー(こんな時に、投げそこね……)

シャーリー(しかし、今の動き……全て読まれて……)


エイラ「最初は速球、二球目は遅い球……全部見えていたさ」

エイラ「私の未来予知は、絶対なんだからなー!」


シャーリー「……ぐぅ!」



エイラ「そして……もう一つ! 私がただ打つわけ無いだろ!」

エイラ「打つ方向も、全て狙い通りだ!」

ゲルト「……!?」



ドッリオ『ああーっと!』

ドッリオ『レフト、ビショップ曹長、ライトのマッツェイ少尉と衝突――!!』


シャーリー「何っ――!!」

104: 2011/03/27(日) 04:47:12.58 ID:8CKVvI2S0

  ガチーン!


リーネ「きゃう……っ!」クラクラ

ルチアナ「あわ……」ピヨピヨ

  ドシャーン!!


ドッリオ『両者墜落――!』


ドッリオ『ボールはセンター正面に転がります……が、外野手、誰も動けない――っ!

ドッリオ『ショート、中島疾風軍曹が捕球に向かいます!』


ゲルト「急げー!!」

疾風「……!」テッテッテッテ


ドッリオ『これは、ランニングホームランか――っ!!』

マリア『……あら?』

106: 2011/03/27(日) 04:51:36.53 ID:8CKVvI2S0


サーニャ「……ハッ……ハッ」


エイラ「サーニャ! がんばれ! あとちょっとだ!」

エイラ「ほら、あと五メートル!」


エイラ「おかえり! サーニャア――!」



サーニャ「ハァ……ハァ……」

サーニャ「……」



サーニャ「エイラ……なんで、いるの?」

エイラ「え?」

審判「……」


坂本「走れ――ッッ!!!  エイラァアアアアアアッッ!!!!!」

107: 2011/03/27(日) 04:56:12.76 ID:8CKVvI2S0

エイラ「や、やべっ……」タッタッタ


ドッリオ『ユーティライネン中尉、やっと走り始めました!』

ドッリオ『一塁を回り、二塁へと向かいます!』


疾風「……五色……!」シュン

エイラ「らくらくセーフだなー」タンッ

エイラ「まあ、二塁打打ったと思えば、それで良いかな」


五色「……よっ」パシッ


塁審「……」

エイラ「ん?」


主審「……」タッタッタッタ

108: 2011/03/27(日) 05:02:31.73 ID:8CKVvI2S0


塁審「……」ヒソヒソ

主審「……」ボソボソ


エイラ「な、何だよ……間に合っただろー」


マリア『ユーティライネン中尉、走塁を忘れていたようですね……』

ドッリオ『これは、どうなんでしょうねえ……アウト取れますが』


マリア『……』

マリア『見たところ……あの方は、三塁にいらっしゃる友人の帰還を待っていたように感じます』

マリア『友のために、勝利の一打を放つ……感動的な事ではないですか……』


ドッリオ『……そのお心は?』

マリア『面白いから、アリ、で』ニコッ


塁審「セーフッ!!」

109: 2011/03/27(日) 05:06:36.72 ID:8CKVvI2S0

坂本「危なかった……エイラのヤツめ」

坂本「危うく、得点取り消しになるところだったぞ……」


ペリーヌ「ええ……全く、注意力が足りていませんわ」カランカラン


坂本(それにしても、未来予知か……)

坂本(ふむ……)

ペリーヌ「わ、私の打順ですわね……」



   『三番、セカンド……ペリーヌ・クロステルマン……』


  バシュン! バシュン! バシュン!

審判「バッターアウッ!」


ペリーヌ「ありえませんわ! 認めませんわ! ……こんな事……!」


110: 2011/03/27(日) 05:10:36.44 ID:8CKVvI2S0


ドッリオ『さあ、二回の裏、シスターズの攻撃です』

ドッリオ『しかし前半、ヒーローズには貴重な3点を奪われてしまいました!』

ドッリオ『シスターズ、ここで巻き返しなるか!』


   『六番、サード……ジェーン・ゴッドフリー……』



ルチアナ「隊長の投げてくる変化球は、カーブにフォーク」

ルチアナ「カーブとストレートの違いはあまり無いけれど……フォークは露骨に投げ方が違うの」

ルチアナ「あと、ジェーンの目ならボールの回転数を見抜けると思う……」


ゴッドフリー「よし……やってみる!」

ゴッドフリー「3種類しか無いわけだし、カーブとストレートにヤマ貼れば大丈夫、よね!」

ルチアナ「がんばって……」

111: 2011/03/27(日) 05:15:35.95 ID:8CKVvI2S0

ゲルト「……おい、リベリアン」

シャーリー「……わーってるよ。次の投手を考えてる」


芳佳「ええ? シャーリーさん、もう投げないんですかぁ? どうして?」

芳佳「あんなに速い球投げられるのに……」


シャーリー「ウィッチ達の反射神経は波じゃないからなー」

シャーリー「速いばっかの球じゃ、そろそろ通用しないみたいだ」


ゲルト「その為に、3回からの投手を考えてはいるんだが……」

ゲルト「どうも、このチームには投手を希望した者がいないようでな……」


シャーリー「……ルチアナ少尉とかに、やらせてみるか?」

シャーリー「肩は強いし、体力もある。あとは、投げる気力と球さえあれば、な……」

ゲルト「一応、候補には挙げておこう」

112: 2011/03/27(日) 05:19:56.57 ID:8CKVvI2S0

芳佳「でも、そんなに速く、投手の弱点ってばれちゃうものなんですね……」

芳佳「さすが、坂本さんです!」


ゲルト「まあ、こちらもフェルナンディア中尉の癖は掴んでいるからな」

ゲルト「二点や三点、さらっと取り返して――……」



   『……』キュィーン

   『選手の交代を、お知らせします――』


ゲルト「……?」


   『ピッチャー、フェルナンディア・マルヴェッツィに代わりまして――』


   『エイラ・イルマタル・ユーティライネン――……』


115: 2011/03/27(日) 05:24:16.40 ID:8CKVvI2S0

マリア『投手の、交代ですか?』

ドッリオ『ええ。先程の二番……ユーティライネン中尉が、マウンドに上がるそうです』

ドッリオ『これはまた、坂本少佐……面白い采配をして来ましたね……』


シャーリー「……エイラが、ピッチャーだと?」

芳佳「え、エイラさんって、投手、できるんですか……」

ゲルト「……わからん」



エイラ「坂本少佐も意味わかんないよなー。ワタシがなんで投手なんだよー」

エイラ「負けても打たれても、責任持たないからなー」

ペリーヌ「エイラさん、言ってないで投げなさいな!」


エイラ「ほーい……とっ」シュンッ

ペリーヌ「わ、ちょ……」パシッ

ペリーヌ「エイラさん、どこに投げてますの……!」

117: 2011/03/27(日) 05:28:52.91 ID:8CKVvI2S0

ゲルト「……エイラの投球は?」


シャーリー「……普通だな」

シャーリー「むしろ、フェルナンディア中尉以下、だろう」


ゲルト「それをあえて起用する理由は……」

シャーリー「……恐らく、……」


芳佳「……?」

芳佳「え? エイラさんには、どんな秘密があるんですか……?」

芳佳「お、教えて下さいよぉー!」



エーリカ「ミヤフジ! お膝揺れてたら眠れないよぉー!」

芳佳「ごめんなさいハルトマンさん……」

119: 2011/03/27(日) 05:33:39.23 ID:8CKVvI2S0


        (サーニャ・リトヴャグ)   ,/\      (中島 錦)
                          /\/\
                    /.        \
     ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ  フェルナンディア・マルヴェッツィ
    \              /               \             /
     \          ,/                \           /
      \      /                      \       ,/
        \   /     エイラ・イルマタル・ユーティライネン     \   /
         \/\                        /\/
    フランチェスカ・ルッキーニ             ドミニカ・ジェンタイル
            \                        /
..             \                      /
                   \                /        [控え]
                   \               /            坂本 美緒
                   \         /            諏訪 天姫
                  ペリーヌ・クロステルマン             パトリシア・シェイド
                      \l__l/


シャーリー「守備陣形も、センターが少し代わったな……」

シャーリー「いや、バッテリーがまるまる入れ替わった、と言うべきかな」

芳佳「ペリーヌさん、捕手も出来るんですね。凄いなあ」

芳佳「やっぱり、私のチームに入ってもらいたかったなぁ……」

120: 2011/03/27(日) 05:36:55.53 ID:8CKVvI2S0


ゴッドフリー「……」

ゴッドフリー(投手が換わっちゃったけど……問題無し!)

ゴッドフリー(初球から打って、出鼻を挫いてやる……やります!)



エイラ「……」

エイラ「……よっと」ヒュンッ


ゴッドフリー(遅い!)


   ク..ウン.....

ゴッドフリー(……! シンカー!?)

ゴッドフリー「うっ……」カンッ!

121: 2011/03/27(日) 05:39:47.00 ID:8CKVvI2S0


エイラ「ゴロ、いただきだな」シュッ

ドミニカ「……」パシッ

塁審「アウツッ!」


ゴッドフリー「あう……」

ドミニカ「……」


ゴッドフリー「い、今に見ててくださいよ!」タッタッタッタ

ドミニカ「ずっと見てるさ」



ドッリオ『ユーティライネン中尉、見事一打席目を打ち取りました』

ドッリオ『続いては――』


   『七番……ショート……中島疾風……』

124: 2011/03/27(日) 06:00:37.05 ID:8CKVvI2S0

芳佳「疾風ちゃん、頑張ってー!」


疾風「……行ける」ブイッ!

五色「はは……」



疾風「……」ザッ

エイラ「……」ジーッ


エイラ「……よし、行くぞ」

エイラ「……ほいっと」ヒュン


疾風「……!」 カーン!

エイラ「あ、まず……」

125: 2011/03/27(日) 06:05:47.18 ID:8CKVvI2S0


ドッリオ『センターへ抜ける、ポップフライ!』

ドッリオ『中島錦少尉が捕球に向かいます!』


中島「……!」パシッ

中島「せやっ!」ヒュン


疾風「遅い……」ズサーッ


塁審「セーフッ!」



ドッリオ『ライトの中島錦少尉と、先程の中島疾風軍曹は、実の姉妹です』

ドッリオ『今のはさしずめ、小さな姉妹対決と言った所でしょうか』


マリア『まあ……なぜ、姉妹で別々のチームに……?』

ドッリオ『宮藤軍曹と坂本少佐派、それぞれ複雑な事情があるのでしょうね』

126: 2011/03/27(日) 06:10:34.80 ID:8CKVvI2S0

シャーリー「……大したこと、無いな」

ゲルト「まだ、わからんぞ……」



   『八番、レフト……リネット・ビショップ……』


エイラ「……よっと」ヒュンッ

リーネ「……えいっ」スカッ


  ズパァン!


審判「ストライィーッック!」


リーネ「……」ギュッ

リーネ(次は、当てれる……)

127: 2011/03/27(日) 06:15:35.34 ID:8CKVvI2S0

エイラ「……」サッ

エイラ「……よっ」シュッ!

   ヒュン....


リーネ(チェンジアップ……!?)

リーネ「うあ……」スカッ


ペリーヌ「……」バシッ!

塁審「……ストライィーク!!」



シャーリー「……!」

ゲルト「……あいつ、あんな事も出来るのか! 驚いたな……」


エイラ「……ふふん」

128: 2011/03/27(日) 06:19:06.84 ID:8CKVvI2S0

  バシィン!


塁審「……トラァーイク! アウトッ!」

リーネ「うう……ごめんなさぁい……」


シャーリー「……、どうだ?」

ゲルト「……ああ」


ゲルト「やはり、エイラは魔法を使っているな……バレない程度にな」

ゲルト「打者が何を狙っているかを予知して、それを狂わせる投方をしている」

ゲルト「厄介な相手だ……」


シャーリー「……そうかー」

シャーリー「まあ、なんとかやってみるさ」

131: 2011/03/27(日) 06:24:18.82 ID:8CKVvI2S0


   『一番、……ピッチャー……シャーロット・イェーガー……』


シャーリー「さあ、投げて来なよ、エイラ」ザッ


エイラ「……」

エイラ(……これは、ちょっと……難しいな……)

エイラ(うーん……見えないぞ……)



シャーリー「……」

シャーリー「私が打ち取れる未来は、見つかったのか?」


エイラ「……」

エイラ「そこまでわかってんなら、遠慮する事無いな」キュィーン

132: 2011/03/27(日) 06:27:50.32 ID:8CKVvI2S0

マリア『あ、マウンドのユーティライネンさんから……尻尾と耳が……!』

マリア『あれは……』


ドッリオ『魔女の使い魔。ウィッチが魔力を使用する際、現れます』

ドッリオ『えーっと、ユーティライネン中尉の固有魔法は、……あー、手元に資料が……』


マリア『そ、そう言えば! ……ルッキーニさんも、耳と尻尾が生えているところを見ました……』

マリア『ああ、可愛らしかったです……耳……尻尾……』


シャーリー「……」

エイラ「……」



エイラ「……」

エイラ(まずいぞ……あんまり良くない未来ばっかりだ……)

133: 2011/03/27(日) 06:31:58.18 ID:8CKVvI2S0

エイラ(……時間も無い……)


エイラ「……」バッ

シャーリー「……」ザッ


エイラ「……」

エイラ「よっ……と!」サッ

   ヒュンッ!


シャーリー(背面投げ!?)

シャーリー「……く…」  カキーン!


エイラ「ほらな、打たれるんだよ……」

ペリーヌ「当たり前ですわ!」

134: 2011/03/27(日) 06:35:35.50 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『打球はレフトへ伸びるー!』


サーニャ「……えいっ!」パシッ

サーニャ「やっ」ヒュン!


ドミニカ「……」パシィッ!

シャーリー「ふう……」

塁審「セーフ!」



サーニャ「ハァ……ハァ……」


エイラ「サーニャ! 大丈夫か! 休むかー?」

エイラ「坂本少佐あたりと交代するかー?」


サーニャ「大丈夫、気にしないで、エイラ」

136: 2011/03/27(日) 06:39:46.49 ID:8CKVvI2S0


   バシィン!  パスッ! バシッ!


審判「ットラーイク、アウツッ!」

審判「チェーンジ!」


ティナ「うう……嫌なところにばっかり投げて……」

ティナ「ボク、あいつ嫌いだなー!」

ルチアナ「まあまあ」



ドッリオ『二回の裏、終了です』

ドッリオ『ヒーローズ、二点リード。やはり、あの本塁打が痛かったですかね……』


マリア『はい、ええっと……ドミニカ・ジェンタイル大尉さん、でしたよね』

ドッリオ『はい。ジェンタイル大尉の今後の活躍にも期待が高まります』

138: 2011/03/27(日) 07:00:05.92 ID:8CKVvI2S0

no title

139: 2011/03/27(日) 07:05:08.21 ID:8CKVvI2S0


シャーリー「さて、三回の表だ」

シャーリー「みんな坂本少佐相手に良く戦ってくれているが……」

シャーリー「このままでは、ジリジリと引き離され、負けてしまうだろう」


リーネ「……」

ルチアナ「……」

ゴッドフリー「……」

竹井「……」


シャーリー「……」

シャーリー「キャプテン、何か意見は無いか?」

芳佳「……えっ! わ、私ですか!?」

芳佳「え、えーっと……」

140: 2011/03/27(日) 07:09:58.49 ID:8CKVvI2S0

芳佳「坂本さんのチームは、投手を替えたりして、かなり動いてます……よねぇ」

芳佳「なら、私達もそれに習って、動いてみるのが良いと思うんです」


シャーリー「……」

シャーリー「それは、ポジションをいじってみると言う事か?」



芳佳「……え?」

芳佳「あ、はい! そう、なのかな……?」


ゲルト「……無闇な行動は危険だが……」

ゲルト「ここは戦場ではない。試してみるのも、悪くはないだろう」


ゲルト「全員、やってみたいポジションを言ってみろ。善処する」


シャーリー「私はライトがやりたいなあ」

ルチアナ「えっと……でしたら私は、内野がやってみたいです」

141: 2011/03/27(日) 07:14:07.41 ID:8CKVvI2S0

ティナ「ボクはもうちょっと動ける場所がいいなー」

ティナ「この試合だと、あんまり塁打線来ないんだもん」

リーネ「わ、私は、動くのが苦手で……外野手、向いてないです……」


ゲルト「……」カキカキ



ゲルト「ふむ、こんな所か……」

ゲルト「シャーリー、投手は誰にするんだ?」


シャーリー「? ああ、まだ言ってなかったかな」

シャーリー「一応、候補は考えてあるんだ……けど、さ」


芳佳「……」

芳佳「え? 何ですか? シャーリーさん……」

142: 2011/03/27(日) 07:19:18.68 ID:8CKVvI2S0


シャーリー「宮藤キャプテン! ……頼む、投げてくれ!」


芳佳「え、ええー!」

芳佳「む、無理ですよぅ、私が投手なんて!」


ゲルト「宮藤……どうやら、メンバーを確認してみたが……」

ゲルト「今のところ、投手希望者はお前しかいないんだ」


リーネ「芳佳ちゃん! 頑張って!」

ルチアナ「お願いします、宮藤さん……」

シャーリー「な、頼む! 宮藤!」

ゲルト「……宮藤」


芳佳「うう……そう、迫られると……」

芳佳「わ、わかりました! やってみます!」

146: 2011/03/27(日) 09:22:52.73 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『さて、3回の表……ヒーローズの攻撃です!』

ドッリオ『先発バッターは、四番、中島錦少尉!』

ドッリオ『そして、その後は強打者、ジェンタイル大尉が続きます!』


マリア『やっぱり、ヒーローズの勝利はゆるぎませんわね……』

マリア『それでも、シスターズにはめげずに頑張ってもらいたいです!』

ドッリオ『ええ。 せいぜい……ですね』


マリア『ふふふ……』

ドッリオ『うふふ……』


ドッリオ『……おや』

ドッリオ『ここで、選手の交代をお知らせします……』


ドッリオ『これは……』


147: 2011/03/27(日) 09:26:07.28 ID:8CKVvI2S0
no title

ドッリオ『投手……イェーガー大尉に代わりまして、宮藤芳佳軍曹!』

ドッリオ『シスターズ、守備陣形を大きく変えています!』

ドッリオ『……思い切った手に出ましたね』


148: 2011/03/27(日) 09:31:12.82 ID:8CKVvI2S0


マリア『……これが、シスターズの皆さんの、ベストポジションだと言う事でしょうか……?』

ドッリオ『いずれにせよ、宮藤軍曹の投球に期待です』


ペリーヌ「宮藤さんが投手ですって……向こうは勝負を捨てたようですわね!」

坂本「宮藤……意外に早く出てくるじゃないか」

坂本(しかし、このポジションの移動は……)



芳佳「……やっ!」ヒュン

リーネ「……んっ」パシッ


坂本(リーネ、宮藤のバッテリー……)

坂本(宮藤の打球は、それほど速くはない……)

坂本(あんな球で、私のチームの打線が抑えられるのか?)


坂本(何か、秘策でもあるのか……?)


149: 2011/03/27(日) 09:37:59.26 ID:8CKVvI2S0


五色「芳佳ー! 頑張れー!」

五色「……よく考えたら私、ノーヒットノーランだ……」

竹井「まあまあ」

エーリカ「枕がなくなった……」



   『四番……ライト……中島錦……』


中島「……容赦はしないぞ、宮藤」ブンッ

芳佳「あ、あわ、中島さん……」


フェル「ともかく、これで宮藤ちゃんの打球が見れるわ」

フェル「意外に、速球投手だったりしちゃったりね……」

ミーナ「この回で見極めれることが出来れば良いんだけど…」

151: 2011/03/27(日) 09:41:58.22 ID:8CKVvI2S0


芳佳「……やっ」ヒュン

  フッ

中島(……遅い?)

中島(これなら……!)

中島「……はっ!」 カキーン!


   ビュン!

芳佳「わっ!!」パンッ

中島「!?」


審判「アウツッ!!」


ドッリオ『ピッチャー正面! 宮藤軍曹、鋭い打球を捕らえました!』

ドッリオ『中島少尉は二打席ともセンターラインを越える事が出来ません』

152: 2011/03/27(日) 09:46:07.75 ID:8CKVvI2S0

中島「……クソッ!」ガンッ

諏訪「に、錦さん……」


坂本「……何か、解ったか?」

中島「いえ……ただのスローボールです」

中島「確実に捉えたはずなのに……いえ、不甲斐ないです」


坂本「……ふむ」


芳佳「……」バンバン!

芳佳「よーし、……行きますよぉ……」


   『五番……ファースト……ドミニカ・ジェンタイル……』


ドミニカ「……」プクー

153: 2011/03/27(日) 09:50:15.63 ID:8CKVvI2S0

芳佳(えっと……この人には、どんな球を投げれば良いのかな……)

芳佳(確か、ゴッドフリーさんが……)


 ゴッドフリー『大将には、ボーッとしてるうちにとことんまで追い詰めるのが良策!』

 ゴッドフリー『つまり、ズバッと速球よ! 苦手なのは低い球!』

 ゴッドフリー『敬遠とか許されないですからね! 勝負するの!』


芳佳(速球……出来るかなあ……)

芳佳(なんで勝負しないといけないんだろう……敬遠じゃ駄目かなあ)


ドミニカ「……」


芳佳(ううん、駄目)

芳佳(ここまで来て引き下がっちゃ、坂本さんと試合なんて出来ないよ)

芳佳(ここは正々堂々、打ち取るべきだよね!)

154: 2011/03/27(日) 09:54:31.57 ID:8CKVvI2S0


芳佳(私の、精一杯の速球……)グッ

芳佳「やぁっ!!」シュッ


  フッ

ドミニカ「……っ!」 カキーン!


芳佳「ああっ!」


ドッリオ『長打――! 伸びる、伸び続けます!』

ドッリオ『打球は真っ直ぐ、センタースタンドへ―――っ!!』


シャーリー「させるか!」

   ババババババッ


シャーリー「――おわっ!」

ゴッドフリー「きゃあっ」ブゥン!

155: 2011/03/27(日) 09:59:11.32 ID:8CKVvI2S0

マリア『あ、危ない――』

ドッリオ『外野手硬直! ボールはセンターへ!』

ドッリオ『ライト、イェーガー大尉! レフト、ゴッドフリー大尉と接触しそうになりました』

ドッリオ『先程の、ビショップ曹長達の衝突が響いたか!』


ゴッドフリー「ご、ごめんなさい!」

シャーリー「……ボールは!」



ドッリオ『ボールはそのままスタンドへ――』

ドッリオ『あ、伸びない! 伸びません!』


ドミニカ「……?」タッタッタッタ


シャーリー「落ちた! 私が捕る!」ギュンッ!

156: 2011/03/27(日) 10:03:30.74 ID:8CKVvI2S0

  ババババッ!

シャーリー「……」パシッ!

シャーリー「セカンッ!」

   ヒュンッ!


疾風「え……ちょっと……」

疾風「うあ……」バシィッ!!

ドミニカ「……」


審判「セーッファ!!」


芳佳「うう……二塁打打たれちゃったよ……」

芳佳「ま、まだこれからだよね!」


疾風(手が痛い……)ヒリヒリ

157: 2011/03/27(日) 10:07:37.12 ID:8CKVvI2S0

   『六番……レフト……アレクサンドラ・リトヴャク……』

サーニャ「……えいっ」カーン


   コロコロ.....

ルチアナ「よ……はい」パシッ

審判「アウトッ!」


ドッリオ『一塁正面へのゴロ。ルチアナ少尉が捕球し、二氏二塁!』


サーニャ「ごめんなさい……」

坂本「いや、よくやってくれている」

坂本「宮藤の球はどうだ……打ち頃だとは思うが……」


サーニャ「えっと……ちょっと、打ち難い……です」

坂本(打ち難い……?)

158: 2011/03/27(日) 10:13:04.63 ID:8CKVvI2S0


   『七番…………フェルナンディア・マルヴェッツィ……』


フェル「ふふ、……よーし、行くわよ!」


芳佳「……やっ!」ヒュン


   フッ

フェル(遅いわ……なんでこの球で投手なのかしら……)

フェル(宮藤ちゃん、悪いけど打たせてもらうわよ!)


   グラッ

フェル「ん?」

フェル(今、ボールが……)


フェル「……あ、ちょっと!」 カーン!

160: 2011/03/27(日) 10:18:47.70 ID:8CKVvI2S0


ドッリオ『ショート正面――ッッ!!』


疾風「……っ」パシッ!

疾風「……!、……」


ティナ「…!?」

ティナ「どうしたのさ疾風! 早く投げないと!」


疾風「あ……」ヒュンッ

フェル「うがー!」ズサーッ

ルチアナ「……」パシッ


塁審「セーッフッ!!」


ドッリオ『おっと、ショート中島軍曹、送球に手間取りました』

ドッリオ『これにより、二氏一三塁となります! やるじゃないフェル!』

161: 2011/03/27(日) 10:23:06.72 ID:8CKVvI2S0

フェル「……ふ、ふ、……ふふふ」

フェル「ルチアナ! マルチナ! 見なさい! 私は一塁ベースを踏んだわよ!」


ルチアナ「……おめでとう、ございます」

ティナ「うるっさいなー。すぐベンチに戻してやるさ!」



マリア『一塁ベース付近が、盛り上がっていますね』

ドッリオ『あー、私もあそこにいたかったわー』



ドッリオ『あ、いえ、その、……失礼致しました』

マリア『いえいえ、かまいませんよー』

ドッリオ『お恥ずかしい……』



   『八番……ショート……ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ……』

162: 2011/03/27(日) 10:28:44.89 ID:8CKVvI2S0

ミーナ「……んっ!」 カーン!


ゲルト「はっ」パシッ

塁審「アウトッ!」


ドッリオ『さて、ピッチャー、宮藤軍曹。……見事この回を抑えました』

ドッリオ『打って捕らせる、理想的な守備です』

マリア『投手の疲労を防ぐ、と言う事ですか?』

ドッリオ『ええ。宮藤投手は、この回5球しか投げていませんからね』


坂本「……どうだ?」

ミーナ「特に、変わった投げ方はしていないわ」

ミーナ「投球モーションも、拘ったものではなさそうだし……」


ドミニカ「……」

ドミニカ「しかし、球は、な」

164: 2011/03/27(日) 10:32:35.29 ID:8CKVvI2S0

坂本「どういう事だ? 大尉?」


ドミニカ「打てるはずだったが、打てなかった」

ドミニカ「手元で変化した」


中島「……? 私は、気付きませんでしたが……」


フェル「あ、してたわ! 変化してた!」

フェル「打つ直前、手元でフラッと落ちたもの!」


坂本「……ふむ、変化球、か」

坂本「しかし……投球に特徴は無いが……」


ミーナ「ええ。ノーマルなスライドステップ」

ミーナ「握りに秘密があるのかしらね」


坂本「ともかく、次の回で見極めてみよう」

165: 2011/03/27(日) 10:37:25.98 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『さて、3回の裏。シスターズの攻撃です』


エイラ「……」シュッ

エイラ「さーて、この回も締めるぞー」



シャーリー「……ふむ」

シャーリー「あのエイラの投球を崩さなくては、私達のチームに勝機は無いぞ」

ゴッドフリー「未来予知とか、勝てる要素あるんですかね……」

ルチアナ「弱点をつく、とか……」


ゲルト「……ともかく、」

ゲルト「先発打者は……宮藤、お前だぞ」


芳佳「え、ええ! ま、また私ですかぁ……」

芳佳「あ、そうか。三番だから……」

166: 2011/03/27(日) 10:42:26.17 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『さて、マウンドに上がったユーティライネン中尉、さっそく魔法を使っています』

ドッリオ『ここまで堂々とされると、何も言えないですねえ』


エイラ「ふふーん、勝てばいいのさ、勝てば」キュィーン


芳佳「……ぶんっ、ぶんっ!」ブン...ブン!


シャーリー「あんまり力込めすぎて肩を痛めるなよー」

ゲルト「宮藤の打撃記録は、練習ではそこそこあった……」

ゲルト「あとは、実戦でどれだけ発揮出来るか、だな」


芳佳「よし……負けません!」ザッ

エイラ「んー……」キュィィィ.....


ドッリオ『さて、投手対決です!』

ドッリオ『打率十分、抑え充分! ユーティライネン中尉に、シスターズはどこまで食い下がれるか!』

167: 2011/03/27(日) 10:46:45.92 ID:8CKVvI2S0

  バシィン!!

審判「ッ....トラーイクッ!」

芳佳「あうう……」スカッ



エイラ「ふふーん、どうだミヤフジ、打てないだろー」

エイラ「お前が狙っているコースも、方向も、全部予測して投げられるんだからなー」


芳佳「エイラさぁん、ずるいですよう、それ……」

エイラ「な……ち、違うぞ! これも立派な戦略だぞ! ……うん!」


芳佳「えー、だって卑怯じゃないですか、未来予知なんて……」

エイラ「ひ、卑怯……」


シャーリー(……正面から言うなあ宮藤は……)

ゲルト(……いいじゃないか)

170: 2011/03/27(日) 11:01:00.95 ID:8CKVvI2S0

エイラ「そ、そんな卑怯とか、そんなんじゃないからな!」

エイラ「だったら盗塁とか、氏球とか、全部卑怯になるだろー!」


芳佳「あれはルールですよぉ?」

芳佳「エイラさんのは、魔法じゃないですか! ズルです! 卑怯です!」

エイラ「な、なん……な……うう……」

エイラ「しゃ、喋ってないで、続けるぞ! 試合中だかんな!」


芳佳「うー、エイラさんの卑怯者……」

芳佳「うー……」


エイラ「……な、なんだよ……悪いかよ」


ドッリオ『……少々遅滞していましたが、再開されるようです』


ドッリオ『ちなみに、この試合に12秒ルールは適応されていませんが……』

ドッリオ『マウンド上での遅延行動は、試合進行の妨げとなりますので、ご遠慮下さい』

172: 2011/03/27(日) 11:05:22.40 ID:8CKVvI2S0

エイラ「ワタシは間違って無い……」

エイラ「うん! ま、間違ってないぞ……うん!」

エイラ「……ほいっと」ヒュン


坂本「……」キュィーン


芳佳「……見えた!」

芳佳「えいっ! 満月打ち!」クルンッ

     パカーン!



ドッリオ『レフト、高く打ち上げたー!』


エイラ「し、しまった! ……サーニャ!」


サーニャ「……やっ」パシッ

174: 2011/03/27(日) 11:11:00.03 ID:8CKVvI2S0

サーニャ「え、えいっ……」ヒュゥッ


ドミニカ(……! 打球が逸れて……)

  タッタッ

ドミニカ「……っ」パシッ


芳佳「せやっ!」ズサー

芳佳「あ、間に合いました! 間に合いましたよね!」

塁審「え、ああ……セーフ!」



エイラ「だ、大丈夫かサーニャ! 疲れてないか!」

エイラ「交代するか? ベンチでえらそうに座ってる坂本少佐と交代するかー!?」


坂本「……」

サーニャ「大丈夫よ、エイラ……」

175: 2011/03/27(日) 11:17:52.58 ID:8CKVvI2S0

シャーリー「……バルクホルン」

ゲルト「……ああ」


シャーリー「どうやら、攻める手立てがいくつか見つかったみたいだな」


ゲルト「え? あ、ああ、そうだな」


ゲルト(宮藤め……頭から飛び込むやつがあるか……)

ゲルト(もしもファーストのスパイクと擦りでもしたら、怪我では済まないぞ……)


シャーリー「バルクホルン? お前、ネクストバッタースサークルには入らないのか?」

シャーリー「もうお前の打順だぞ。急げ急げ」

ゲルト「あ、ああ! ……そうだったな!」カランカラン



シャーリー「おーい、大丈夫かー」

シャーリー「あいつ、私の話聞いてたのか……?」

177: 2011/03/27(日) 11:23:22.09 ID:8CKVvI2S0

   『四番……サード……ゲルトルート・バルクホルン……』


ゲルト「……」ザッ


エイラ「さっきはマグレで打たれたけど……次はこうは行かないからな!」

エイラ「覚悟しろよ! 大尉!」


ゲルト(……さて)

ゲルト(どう打つか……考えなくてはな)


エイラ「……っ!」シュン!

   バシンッ!

審判「ストライーック!」



ゲルト(先程の宮藤の打球……エイラは、魔法を使用していた)

ゲルト(しかし、宮藤は打った……その理由とは)

179: 2011/03/27(日) 11:27:35.13 ID:8CKVvI2S0

ゲルト(一つだけ、……考えられる)

ゲルト(それは……)ビシッ


エイラ「……!」


ドッリオ『……? バルクホルン大尉、レフトスタンドをバットで示しました』

ドッリオ『予告ホームラン……と言うわけでは、なさそうですね』

マリア『あちらに打つ、という示し……鼓舞のようなものでしょうか?』


エイラ「……おい、大尉…」

ゲルト「……」


ゲルト(宮藤がエイラの打球を打てた事には、主に二つの要因があるのだろう)

ゲルト(まずは……エイラの精神的な未熟さ)

ゲルト(あの可愛らしい挑発にも釣られてしまう、弱い精神力……)

180: 2011/03/27(日) 11:31:18.53 ID:8CKVvI2S0

ゲルト「……そしてもう一つ」ザッ


エイラ「……やぁっ!」ヒュンッ


ゲルト「最大の理由は、お前自身の未熟さ!」グッ

ゲルト「せやっ!」

   ガキーン!!




エイラ「あ、ああ!!」


ゲルト(相手を打ち取れるコースは理解していても、それを投げる事が出来ない!)

ゲルト(そもそもの投球能力の低さが、お前の弱点だ!)


ドッリオ『ライト、抜けたー!!』

中島「くっ!」ババババッ

181: 2011/03/27(日) 11:35:50.25 ID:8CKVvI2S0

   バシュッ!

ゲルト「……ふん!」ザッ

塁審「セーフ!」


エイラ「……く…」


ゲルト(ちょっとした事でも、投球に表れる……)

ゲルト(投球をぶらしさえすれば、そこいらの投手と遜色無い)


ゲルト(あと、無意識に外角寄りの球を投げる傾向があるな……)

ゲルト(サーニャの方角に飛ばさないためか? ともかく、これも一つの攻め手となるか……)



   『五番……ファースト……ルチアナ・マッツェイ……』

  パスン! シュッ!  カァン!  バシンッ!

審判「ストラーィク! バッターアウツッ!」

ルチアナ(ファーストって響き……重いです……)

182: 2011/03/27(日) 11:40:36.99 ID:8CKVvI2S0

   『六番……レフト……ジェーン・ゴッドフリー……』


ゴッドフリー「ようし!」

エイラ「……」キュィィィ...


エイラ(内角、高めだな……)

エイラ「……ほいっ!」ヒュンッ


ゴッドフリー(……え? ど真ん中! 来た!)

ゴッドフリー「そいやー!」 カキーン!


エイラ「あ、あれっ……?」


芳佳「やーっ」タッタッ...タンッ!

ドッリオ『センター前ヒット! シスターズ、一点を返しました!』

ドッリオ『一氏一三塁! ユーティライネン中尉、ここで失点!』

183: 2011/03/27(日) 11:46:37.52 ID:8CKVvI2S0


芳佳「みなさーん! 戻ってきました!」

シャーリー「おかえり! 宮藤!」

シャーリー「私達のチームに、貴重な1点が戻ってきたぞ!」

シャーリー「さて、このまま一気に逆転してやろうじゃないか!」


ティナ「でもさー、どうやってあの球を打つの? 打てないよー」

竹井「打てなければ点は入らないわね……」


五色「芳佳はどうやって打ったの?」

芳佳「あ、あはは……私が打てたのはマグレだから……」


シャーリー「ふふふ……」

シャーリー「その点に関しても、ばっちり対策できているぞ!」

芳佳「え!? ホントですか、シャーリーさん!」

186: 2011/03/27(日) 12:01:17.02 ID:8CKVvI2S0


芳佳「お、教えて下さい!」

シャーリー「それはだな、……まず、エイラは……」



ゲルト「終わったぞ、リベリアン」

シャーリー「え?」


疾風「……三振……」

リーネ「ライトフライです……ごめんなさぁい……」

シャーリー「……あー、ドンマイ、次行こう!」



ドッリオ『さて、三回の裏、終了しました』

ドッリオ『スコアは3-2、以前、ヒーローズがリードしております』

マリア『これからの試合展開にも、ドキドキですわ!』


188: 2011/03/27(日) 12:06:30.54 ID:8CKVvI2S0



   【 スコア 】
                ┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
                ┃Ⅰ┃Ⅱ┃Ⅲ┃Ⅳ┃Ⅴ┃Ⅵ┃Ⅶ┃Ⅷ┃Ⅸ┃計┃Η┃Ε┃
┏━━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃  ヒーローズ  .┃ 0┃ 3┃ 0┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ 3┃ 7┃○┃
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃   シスターズ   ┃ 1┃ 0┃ 1┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ 2┃ 8┃○┃
┗━━━━━━━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛



189: 2011/03/27(日) 12:11:52.91 ID:8CKVvI2S0

疾風「……もう、駄目……」


竹井「ああ……これは酷いわね」

竹井「手が腫れ上がっちゃってる、守備は無理よ」


五色「疾風……い、いつからこうなったの?」

疾風「……レーザービーム……受けた……」


シャーリー「え? あ、もしかして……アタシのあれか?」

シャーリー「あ、えっと……それはゴメンな……」


芳佳「私の治癒魔法で、一応腫れは治せるけど……」

芳佳「すぐに試合に戻るのは、ちょっと無理かも……」


疾風「寝て起きたら……治る……」

エーリカ「そうだよ! 一緒に寝よう!」

191: 2011/03/27(日) 12:15:29.49 ID:8CKVvI2S0

ゲルト「ハルトマン、お前は中島軍曹と交代だ」

ゲルト「そろそろ起きて、試合に参加しろ」


エーリカ「ええー! 嫌だようー眠いよー!」

エーリカ「野球なんて無理! 出来ない! 眠りたいー!」

ゲルト「馬鹿を言うな! お前も働け!」


芳佳「は、ハルトマンさん!」

芳佳「お願いします……協力してください!」


エーリカ「うーん……」

エーリカ「ミヤフジが何かくれるなら、頑張るよ」


芳佳「え?」

エーリカ「ミヤフジが何かくれるなら、頑張って試合に参加するよー」

192: 2011/03/27(日) 12:20:22.94 ID:8CKVvI2S0

ゲルト「お前は……またそう言う事を……」

芳佳「わかりました! ハルトマンさんの欲しいモノ、なんでもあげますから!」


エーリカ「よーし、おっきしよーっと……」モゾモゾ


ゲルト「お、おい宮藤……」

芳佳「良かった……これで試合再開出来ますね!」

ゲルト「あ、ああ……」


   『選手の交代をお知らせします……』


エーリカ「よーし、やっるぞー!!」

シャーリー(ハルトマンは、サードに置くか……)

シャーリー(そして赤ズボンの二人は、セカンドショートに)

シャーリー(バルクホルンはファーストで構わないな)

194: 2011/03/27(日) 12:25:08.94 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『さて、四回の表。ヒーローズの攻撃です』

ドッリオ『シスターズ、宮藤軍曹の極球を期に、じわじわとその距離を狭めます!』

ドッリオ『ここはやはり、さらなる追加点が欲しいところですねえ』


   『一番……サード……フランチェスカ・ルッキーニ……』


マリア『まず、ルッキーニさんの打席です!』

マリア『楽しみですね、ね! フェデリカさん!』

ドッリオ『は、はあ……』



ルッキーニ「こぉい! ヨシカー!!」

芳佳「い、行くよ! ルッキーニちゃん!」


芳佳「てやっ」ヒュンッ!

ルッキーニ「もらったぁー!!!」 カキーン!

195: 2011/03/27(日) 12:29:27.68 ID:8CKVvI2S0

  ポーン

ルチアナ「……やっ」パシッ

審判「アウツッ!!」


ドッリオ『セカンド正面! 長身のマッツェイ少尉、ボールを捉えました』

ドッリオ『彼女は打撃、守備共に優秀です』


ルッキーニ「うじゅぁーい! 次は負けないかんねー!」


マリア『ルッキーニさんは、打ち取られても元気いっぱいですね』

マリア『彼女らしさの表れ、といいますか。見ていてとても心休まります』

マリア『私にとって、彼女との出会いはこれまでの人生において……』

ドッリオ『殿下、次に行きましょう』


坂本「……さて、そろそろ宮藤に対する対策を立てるとするか」

坂本「まず、宮藤の投球について、だが」

196: 2011/03/27(日) 12:34:44.83 ID:8CKVvI2S0

坂本「結論から言ってしまえば、宮藤のボール――」

坂本「あれは、『ナックル』だ」


ドミニカ「……ナックル?」

ミーナ「あの、揺れて落ちるやつ、よね……詳しくは知らないんだけど」


坂本「宮藤の握りは、他と少し違う。宮藤は、ボールを、このように……」ギュッ

坂本「鷲掴みにしているんだ」


フェル「そ、そんな握りで、ボールが投げられるの?」

坂本「実際に宮藤はこうして握っている。あいつの小さい手では、この握りのほかに無いのだろう」

坂本「そして、投げる時は、指の隙間からすっぽ抜けるように、振り投げている」


坂本「この投げが、あの独特の球を生み出している」

坂本「投げられた球は、空気抵抗によってちょうど打者の手元で揺れ始める」

坂本「常に芯を狙い打てるウィッチにとって、動きを予測出来ない球は正に魔球だ」

197: 2011/03/27(日) 12:42:55.47 ID:8CKVvI2S0

坂本「あの球を正面から受ける事が出来るリーネもまた、ただの捕手ではない」

坂本「意外に強敵かもしれんぞ、宮藤は」ニヤッ


中島「……宮藤ですか」

中島「なあに、恐るに足りません。」


坂本「……ほう」

中島「宮藤の対処、お任せ下さい」

中島「私の力で、宮藤の投球を打ち抜いて見せますよ」



   『二番……ピッチャー……エイラ・イルマタル・ユーティライネン……』


エイラ「……まあ、打てないわけじゃないんだろ?」

エイラ「感覚でうまいとこに当たれば、たぶんヒットになるさ」

199: 2011/03/27(日) 12:47:35.78 ID:8CKVvI2S0


エイラ「せやっ!」 キーン

芳佳「わっ!」


ドッリオ『センター! 守備陣の合間を縫って転がります!』


エイラ(狙ったトコに飛ばないな)

エイラ(まあ、関係無いさ。打てるんだからなー)


   『三番……キャッチャー……ペリーヌ・クロステルマン……』


ペリーヌ「ガリア貴族の名誉にかけて……」

ペリーヌ「はっ!」 カーン!


エーリカ「いぇいっ!」パシッ

審判「アウツッ!!」


ペリーヌ「ありえませんわ……信じられませんわ……」

202: 2011/03/27(日) 13:01:33.67 ID:8CKVvI2S0


ドッリオ『さて、宮藤軍曹、順調に二氏を打ち取りました』

ドッリオ『この回もまた、抑えきれる事が出来るのでしょうか?』


   『四番……ライト……中島錦……』


中島「……!」

中島「宮藤……」スッ


芳佳「? 中島さん?」

芳佳(なんだろう……バットをユラユラさせて……)


中島「……」スッスッ


リーネ(芳佳ちゃん、早く投げて……!)サッ

芳佳(あ、ごめんね、リーネちゃん)

203: 2011/03/27(日) 13:06:45.66 ID:8CKVvI2S0


芳佳「……?」クラッ

芳佳「えいっ!」ヒュンッ


中島「……っ!」

   ガキーン!!


芳佳「あっ!?」

坂本「!!」


ドッリオ『中島少尉、鋭い一激――!!』

ドッリオ『ボールはライト、イェーガー大尉の隣を擦り抜けました――!!』

ドッリオ『前衛に出ていたイェーガー大尉、慌てて戻ります!』


シャーリー「くっそお! やられた!」ギュゥン!

シャーリー(宮藤の球は、長打されないと思ったのに!)

205: 2011/03/27(日) 13:10:40.74 ID:8CKVvI2S0


ドッリオ『中島少尉、二塁ベースを蹴り三塁へ!』

ドッリオ『その間にユーティライネン中尉はホームイン! 追加点です!』


芳佳「うう……」

中島「……」ザッ


坂本「ほう……あいつ、やるじゃないか」

ミーナ「いったい……どんな手を使ったのかしら……」


ドッリオ『さて、ヒーローズ、二氏三塁。追加点のチャンスです』

ドッリオ『この打席を迎え撃つのは、強打者、ジェンタイル大尉!』


ドミニカ「……」プクー


リーネ(この人に、正面から戦うのは不味いよ……)

リーネ(芳佳ちゃん、敬遠して!)

206: 2011/03/27(日) 13:14:34.09 ID:8CKVvI2S0

芳佳(敬遠……い、良いのかな……)

芳佳(いや、打たれちゃうよりは良いよね……)

芳佳(よし、敬遠しちゃおう……!)


芳佳(……っ!)ゾクッ

中島「……」


芳佳(中島さんが三塁からこっちを見てる……)

芳佳(なんでだろう……ちょっと怖いなぁ……)


芳佳「……えいっ!」ヒュンッ

   ヒュゥン


リーネ「……! 駄目っ!」

芳佳(え? あれ、コースが……!)

207: 2011/03/27(日) 13:18:20.77 ID:8CKVvI2S0

ドミニカ「……っ!」

   ガキーィン!!


芳佳「あーっ……」


ドッリオ『出ました―! ジェンタイル大尉! 本日二回目の本塁打―!』

ドッリオ『レフト、ゴッドフリー大尉、全く動けない――!』


ゴッドフリー「……うぐぐ。大将、やってくれましたねぇ……!」

ドミニカ「ああ」



ドッリオ『ジェンタイル大尉、悠々とダイヤモンドを回ります』

ドッリオ『しかし、この回の3点は痛い! シスターズ、追い込まれております!』


芳佳「お、おかしいなあ……敬遠したはずなのに……」

芳佳(中島さんを意識すると、うまく投げられないよ……)

208: 2011/03/27(日) 13:23:17.57 ID:8CKVvI2S0

審判「アウツッ! チェーンジッ!!」


ドッリオ『宮藤軍曹、六番リトヴャク中尉に内野安打を打たれたもの』

ドッリオ『続くマルヴェツィ中尉を抑え、この回を締めます』

ドッリオ『次はシスターズの攻撃です。取られた失点を、取り返せるか!』


芳佳「皆さん、ごめんなさい……私のせいで……」

シャーリー「いいや、この程度の失点、なんてことないさ」

シャーリー「次の攻撃で、一気に取り返せばいいのさ」

芳佳「で、でも……エイラさんの球は、打ち辛いですよ……」


ゲルト「……いや、対抗手段はある」

ゲルト「皆、あいつの投球には、レフトに飛ばす事を意識しろ」

ゲルト「出来るだけ前傾に、外角を引っ張るように意識するんだ」

210: 2011/03/27(日) 13:28:19.35 ID:8CKVvI2S0


   『一番……ライト……シャーロット・イェーガー……』


シャーリー「……」ズッ

エイラ「……!」


エイラ(ずいぶん前に立つな……絶対、何か企んでくるぞ……)キュィィーン

エイラ(えーっと……外角は危険、内角でもすぐに引かれて打たれるな)

エイラ(内角低めに投げれば、サードゴロになって打ち取れる……)

エイラ(よし、大丈夫だな!)


エイラ「……やっ!」ヒュンッ


ペリーヌ(……、ど真ん中!? 甘いですわ。エイラさん!)

エイラ(あ、あれっ?)


シャーリー「もらった!」 ガキーン!

211: 2011/03/27(日) 13:33:38.83 ID:8CKVvI2S0

サーニャ「うう……」バラバラバラッ

サーニャ「無理……!」



ドッリオ『レフト、リトヴャク中尉、必氏に追いすがるが、届かない――っっ!!』

ドッリオ『イェーガー大尉、初球を見事にレフトスタンドへ叩き込みました!』


シャーリー「よっ……」タタタッ

エイラ「あー! サーニャ、大丈夫かー! 息上がってないかー!」


シャーリー(サーニャを意識しているせいか、投球が無意識のうちに外角へと反れるのさ!)

シャーリー(エイラ、お前がそれに気付く前に、得点を重ねさせてもらうぞ!)


ドッリオ『ジェンタイル大尉に引き続き、イェーガー大尉も本塁打!』

ドッリオ『さながらホームラン合戦の様相を呈しております!』


芳佳「シャーリーさん! おかえりなさい! 凄いです!」

シャーリー「あははー! そうだろそうだろー!」

212: 2011/03/27(日) 13:38:41.41 ID:8CKVvI2S0


芳佳「でも、どうして急に打てるようになったんですかぁ?」

シャーリー「エイラは、サーニャのいるレフトを気に掛けているんだ」

シャーリー「そのために球が無意識のうちに外角に寄ってくる……打ちごろだよ」


ティナ「てやー!」 カキーン!

エイラ「あ、ああっ!」



シャーリー「わざと煽るように前衛に付けば、内角を投げざるを得ない」

シャーリー「今のエイラの投球は、未来予知によるコース頼り……」

シャーリー「本人の投球をガタガタにしてしまえば、その反則に近い魔法も意味がない」

シャーリー「あいつの未来予知も、本人の精神状態まではカバーしきれないってわけさ」


芳佳「よ、よくわからないですけど……」

芳佳「とにかく、わざと内角に投げさせれば、打てるんですね!」

シャーリー「ま、まあ……そんな感じかな?」

213: 2011/03/27(日) 13:45:24.57 ID:8CKVvI2S0

   『三番……ピッチャー……宮藤芳佳……』


芳佳「ぶんっ! ぶんっ! ……と」

芳佳「さあエイラさん、覚悟して下さいよぉー……!」ビッ


エイラ「ちょ、調子こきやがってぇー……ミヤフジのくせにぃー!」


ペリーヌ「エイラさん! 落ち着いて投球しなさい!」

ペリーヌ「まったくもう、熱くなりすぎですわ……」

ペリーヌ「ここは落ち着いて……」



エイラ「せやぁ!」ヒュゥン!

ペリーヌ「ちょっ……」


ペリーヌ(ワイルドピッチッ!?)

215: 2011/03/27(日) 14:00:13.10 ID:8CKVvI2S0


シャーリー(……暴投っ!)


エイラ「しまった……」


芳佳「いや、打てます!!」

芳佳「必殺っ!」バッ!


ペリーヌ(なっ……)

ペリーヌ(宮藤さんが、飛び上がって……!!)


芳佳「満月大根切りーっ!!」

    ガキーン!!


ドッリオ『打った―! 宮藤軍曹、自らの頭上に反れた球を一閃!』

ドッリオ『打球は一塁線に伸び、バックカブへと突き刺さる――!』

ドッリオ『外野手、反応しきれないー!!』


217: 2011/03/27(日) 14:05:06.72 ID:8CKVvI2S0


芳佳(やった! 成功した……)

芳佳(ハルトマンさんの打撃練習を参考に編み出した必殺技……!)


エーリカ「ミヤフジー、カッコいいよー!」

芳佳「えへへ……はい!」



エイラ(うう……なんで、なんで打たれるんだ……)

エイラ(投げ損なう未来なんて、見えなかったのに……)


   『四番……ファースト……ゲルトルート・バルクホルン……』


ゲルト「……」サッ


エイラ(た、大尉……)

エイラ(く、くそ……打たれないぞ……絶対打たれないからな……!!)キュゥゥゥーン

218: 2011/03/27(日) 14:10:36.56 ID:8CKVvI2S0


エイラ「くう……」

ゲルト(もはや、エイラは限界だな……)


エイラ「……せやっ」ヒュンッ

ゲルト「はっ!」


    ガキーン!!



ドッリオ『バルクホルン大尉、レフト前ヒット!!』

ドッリオ『シスターズ、さらに1点を返しました!』

ドッリオ『現時点で、6-4、差は詰まっています!!』


マリア『2点差……すぐにでも、ひっくり返りそうな点差ですね……』

ドッリオ『そして現在、無氏一三塁! シスターズ、逆転のチャンスです!』

220: 2011/03/27(日) 14:17:13.39 ID:8CKVvI2S0

   『五番……セカンド……ルチアナ・マッツェイ……』


ルチアナ「責任重大……の、ような気がします……」

ティナ「行ってこいルチアナー!!」



エイラ「くっそ……どうして打たれるんだよぉ……」


諏訪「そ、その、少佐……エイラさん、そろそろ交代した方がいいんじゃないでしょうか……」

坂本「……ふむ」

坂本「確かに、そろそろ替え時か……」

坂本「しかし、換えの投手がいない……こうなれば私が……」


諏訪「い、いえ……でしたら、錦さんが投手、出来たと思いますよ!」

坂本「ふむ……中島か。あいつはいろいろと使えるな」

坂本「まあ、この回だけはエイラに投げさせるとしよう」

222: 2011/03/27(日) 14:22:45.08 ID:8CKVvI2S0


エイラ(な、内角の……低め……)キュィィーン

エイラ(よし……そこなら、ショートフライに出来るぞ……)


エイラ「たっ!」ヒュンッ



ルチアナ(う、打ちやすい球が……)

ペリーヌ(……!! 外角!!)


ルチアナ「えいっ!」 カキーッン!!


ドッリオ『ライトへと伸びる強打線――! 快音が実況席まで聞こえました!!』

ドッリオ『ライト、中島少尉の隣を抜け、打球は―――』


ドッリオ『ライトーポール直撃ーっ!! ホームラン――!!』

223: 2011/03/27(日) 14:26:27.42 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『シスターズ、ここに来て本塁打連発――! 逆転です!』

ドッリオ『わずか五打席にして、5得点!! 4点の差を一気に埋め抜きました!!』

ドッリオ『どうしたユーティライネン中尉! めった打ち――!!』



ルチアナ「た、ただいま戻りました」

ティナ「やーるじゃん! ルチアナ-!」


エーリカ「もう向こうには、マトモなピッチャーはいないだろうし……」

エーリカ「もうここまで来れば、勝ったも同然だねー」


ゲルト「まだ油断はできんぞ。この回に一気に引き離す」

ゲルト「ハルトマン、お前も次打者だ。起きろ!」


エーリカ「はいはーい」

225: 2011/03/27(日) 14:31:41.81 ID:8CKVvI2S0

坂本「……本当に、限界だな」

諏訪「は、はい……逆転されちゃいましたね」


坂本「中島の打球が、どれほどなのかは解らんが……」

坂本「もはや、起用するしかあるまい」


坂本「タイム!」


ドッリオ『ここで、ヒーローズ坂本少佐よりタイム申請が入りました』

ドッリオ『どうやら、投手の変更のようです』


エイラ「……しょ、少佐……」

坂本「エイラ、お前の手は既に相手に知られている」

坂本「……交代しろ」


エイラ「うう……」

226: 2011/03/27(日) 14:36:17.95 ID:8CKVvI2S0

   ゴォッ......


サーニャ「……少佐」キュゥン

坂本「……!」


サーニャ「コロッセオ頭上……太陽に隠れて……何か、います」


坂本(馬鹿な……このあたりにネウロイの出現記録は……)

坂本(ローマ市街の中心だぞ……!)


坂本「……」キュゥゥゥーン


坂本「あれは、船……?」

坂本「統合戦闘航空団の、小型飛行船か……?」



ドッリオ「……報告が、入りました」

ドッリオ「皇女殿下、コロッセオドーム上空に、不審船がみられるようです」

228: 2011/03/27(日) 14:43:03.17 ID:8CKVvI2S0

     ドッ!


坂本「……! 上空より、こちらに高速で接近するものがある!!」


エイラ「な……ネウロイかっ!?」

ペリーヌ「ば、爆撃ですの? 飛行脚を履いているウィッチを今すぐ……」

サーニャ「いいえ……あれは……」



ドッリオ「船より信号が送られています。対象は統合戦闘航空団の輸送船」

ドッリオ「ローマ市の上空を横切り、ロマーニャ軍本部へ向かう途中だそうです」


マリア「でしたら、何の問題も無さそうですわね……」


ドッリオ「いえ……それが、つい先程、船よりウィッチの一人が飛び降りたと……」

マリア「はい?」

229: 2011/03/27(日) 14:47:10.99 ID:8CKVvI2S0


坂本「あれは何だ!!」


エイラ「鳥かっ!」

ペリーヌ「ネウロイですの?!」


     『いや……!!』



       ヒ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ .............

               バッ!



マルセイユ「ハンナ・ユスティーナ・マルセイユだ!!!」 バシュゥゥゥーン!!


ドッリオ『アフリカの星です!!!』


     ドワァァァァァァァァアアアアアアア!!!!!!!

233: 2011/03/27(日) 15:00:10.42 ID:8CKVvI2S0

    シュタッ!!


マルセイユ「フッ……」

マルセイユ「やあ、子狐ちゃん」

マルセイユ「君の心の呼び声が、聞こえたような気がしてね」


エイラ「な、な、なん……」


   「マルセイユさーん! サインくださーい!」

   「こっち向いてー!!」


マルセイユ「はっはっは、落ち着きたまえ、子猫ちゃん達」



マルセイユ「……ふむ」ガシッ

エイラ「わっ……」

235: 2011/03/27(日) 15:04:42.92 ID:8CKVvI2S0


エイラ「な、な、なんだよ、なんなんだお前はー!」


マルセイユ「私を呼んだのは、君だろう? 子狐ちゃん」

マルセイユ「いや……違うな。すまない、そんな柄では無さそうだ……」


ゲルト「おい! 貴様、マルセイユ!」

ゲルト「今は試合中だ! とっとと出て行け!」


マルセイユ「おや、いたのか、バルクホルン」

マルセイユ「星が落ちるには、理由があるんだよ」

マルセイユ「何か、私という巨大な彗星を引きつける、大きな引力が―――」



エーリカ「……」

エーリカ「やばっ」サッ!

マルセイユ「見つけたぞハルトマン!」

239: 2011/03/27(日) 15:09:39.09 ID:8CKVvI2S0

マルセイユ「ふむ……」キョロキョロ


マルセイユ「なるほど、だいたい状況は把握した」

マルセイユ「試合中……と言うのは野球の試合の話か」

マルセイユ「……ならば、やる事は一つだ!」


坂本「……」

マルセイユ「坂本少佐、……私を、チームに入れてくれ!」


エイラ「は、はあっ?」

エイラ「ちょ、どういう事だよ……」


坂本「希望するポジションは?」

マルセイユ「どこでも構わないが、この回はピッチャーをやらせてもらいたい」

マルセイユ「勝負だ! ハルトマン!!」

241: 2011/03/27(日) 15:14:07.31 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『突然、マウンド上に現れた、謎のウィッチ!』

ドッリオ『その正体は、アフリカの星、ハンナ・マルセイユ大尉でした!』

マリア『噂には聞いていましたが……あれが……』


    キャー キャー
            ワー ワー

ドッリオ『ドーム内にも、突然のゲストの登場に、熱気立っています!』

ドッリオ『マルセイユ大尉は、男女問わず知名度が高く、ウィッチ界でも一二を争う著名人です!』

マリア『まあルッキーニさんの方が格好良いですけどね』



マルセイユ「頼む! 私をチームに入れてくれ!」

主審「いえ、登録されていないメンバーは……」


ドッリオ『どうやら、ゲスト枠を設けるかどうか、揉めているようですね』

243: 2011/03/27(日) 15:18:45.17 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『どうされますか、殿下? この際、試合進行の為に追い出す事も必要ですが……』

マリア『そうですわね……』


マリア『突然の、飛び入り参加……予測不能のアクシデント……』

マリア『面白いので、アリ、で!』ニコッ

ドッリオ『皇女殿下より許しが出ました! マルセイユ大尉をメンバーに加え、試合続行ー!』



ミーナ「……なら、私がベンチに戻るわ。エイラさんは私の代わりにショートに」

マルセイユ「すまない、ミーナ中佐」

マルセイユ「だが、この試合……私が入ったからには、必ず勝つ!」


マルセイユ(ハルトマン……さあ、勝負だ! 逃げられないぞ、逃がさないぞ!)

マルセイユ(野球とはいえ、お前を正面から倒す事ができる機会……絶対に逃すものか!)


エーリカ(熱い視線を感じる……)

244: 2011/03/27(日) 15:23:43.77 ID:8CKVvI2S0


ドッリオ『さて、四回の裏……投手、ユーティライネン中尉に換わりまして』

ドッリオ『マルセイユ大尉の登板です』


ペリーヌ「あの、投球練習は……」

マルセイユ「いらん。私は常にベストコンディションだ!」

ペリーヌ(私の問題なのですけど……まあ、構いませんわ……)


   『六番……レフト……ジェーン・ゴッドフリー……』


ゴッドフリー(アフリカの星……実戦では、凄いと評判ですが……)

ゴッドフリー(野球では、リベリオンの右に出るものはいません!)


マルセイユ「さて、一球目……」

マルセイユ「――そらっ!」ビュッ


      ズバァン!!

245: 2011/03/27(日) 15:28:09.10 ID:8CKVvI2S0

ゴッドフリー「……えっ?」

審判「……」

審判「ストラーイクッ!!」



ドッリオ『な、なんと……まさに、目にも止まらぬ剛速球!!』

ドッリオ『球速は……177kmー!!』


シャーリー「あいつ……速いじゃないか……」ゴクリ


  ズバァン! ズバンッ!!


審判「ストラーイッ、アウツッ!」


マルセイユ「私の勝ちだ!」


ドッリオ『神速! ゴッドフリー大尉、打席から全く動けない――!!』

ドッリオ『これがアフリカの星! 最強のウィッチの実力か――!!』

249: 2011/03/27(日) 15:32:33.30 ID:8CKVvI2S0

ゴッドフリー「くそ……な、なに、あいつ……」

マルチナ「ジェーン……」


竹井「怖ろしい相手ね……マルセイユ大尉」

竹井「まさかこんな場面で、助っ人が現れるなんて……」


ゲルト「……なに、問題は無い。まだ私達が優勢だ」

ゲルト「今回勝ち取った1点のリードを守りながら、攻めの手段を考えていけば良い」


シャーリー「いや、……対抗手段は、すぐに見つかるかもしれないぞ?」

ゲルト「……?」


   『七番……サード……エーリカ・ハルトマン……』

マルセイユ「ふふふ……」

マルセイユ「待っていたぞ、ハルトマン!!」 ビシィ!!


250: 2011/03/27(日) 15:36:55.98 ID:8CKVvI2S0


エーリカ「うるさいなあ……」


マルセイユ「ふふふ……この瞬間を、どれだけ待ち望んでいた事か……」

マルセイユ「私の球で、お前を打ち取る……」

マルセイユ「この打席に、私の全てを掛けると約束しよう!!」


エーリカ「えー、いいよー別にどうでも」


マルセイユ「その余裕がどこまで続くか……見物だな!」


エーリカ(早く投げなよ……)


マルセイユ「今日、この日、この時間……!」

マルセイユ「ロマーニャにおいて、ここ、コロッセオにおいて!」

マルセイユ「私による、勝利の記録が刻まれるんだ!」


エーリカ「早く投げなよ」

252: 2011/03/27(日) 15:41:18.25 ID:8CKVvI2S0

マルセイユ「お前と立ち合うために、数々の遠回りを重ねてきたが……」

マルセイユ「今日、この場で……お前との決着をつけてみせる!」

マルセイユ「この一球……」スッ


エーリカ「……!!」バッ




エーリカ(……あれ……投げてこない)



マルセイユ「……ふっふっふ」

マルセイユ「ハルトマン、その顔だ……お前のその、真剣な表情!!」

マルセイユ「良いぞ……ハルトマン! この日、この出会いに感謝しなくては!」


エーリカ(長い……)

256: 2011/03/27(日) 16:00:05.05 ID:8CKVvI2S0

マルセイユ「良いぞ、ハルトマン……」

マルセイユ「ふふ、……お前を見ていると、体の火照りを感じる」

マルセイユ「ふふふ……はは、ふふふふ……」


エーリカ(どうにかしてよ……)

エーリカ(なんだか眠くなってきた……)


マルセイユ「さあ、勝負だ!! ――ハルトマン!」

マルセイユ「お前のその細腕で、私の剛球が受けきれるかどうか……!」

マルセイユ「試してみるんだな!!」ビシッ

エーリカ「……」


マルセイユ「この一球、私の全て……全身全霊を注ぐ!!」

マルセイユ「受けてみろ、ハルトマン!!」ザッ



主審『ボーク!!』

258: 2011/03/27(日) 16:05:05.95 ID:8CKVvI2S0

エーリカ「やりいー」タッタッタ

マルセイユ「……」



マルセイユ「……? お、おいハルトマン、逃げるのか!」

主審『ボーク!』

マルセイユ「やかましい!」



ドッリオ『おーっと……マルセイユ大尉、マウンドでの演説が長すぎました……』

ドッリオ『時々していた芝居がかった動きが、ボークを取られたようです』

ドッリオ『ハルトマン中尉、進塁します』


マルセイユ「うぐ……くそおっ!!」ゲシッ

坂本「……マウンドを掘るな、馬鹿者…」

261: 2011/03/27(日) 16:09:43.89 ID:8CKVvI2S0

   『八番……キャッチャー……リネット・ビショップ……』

       バシンッ!  バシンッ!  バシンッ!

審判「ットラーイ、アウツッ!」

マルセイユ「私の勝ちだ!」

リーネ「ごめんなさい……」



   『一番……ライト……シャーロット・イェーガー……』

       バシンッ!  バシンッ!  バシィンッ!


審判「ットラーイッ、アウツッ! チェンジッ!」

マルセイユ「私の勝ちだ!」


シャーリー「くそ……あいつ、速いじゃないか……」

シャーリー「どうやったらあの速さが出るんだ……何か投法に秘密が……」ブツブツ

ゲルト「手強い……」

263: 2011/03/27(日) 16:15:31.42 ID:8CKVvI2S0

シャーリー「厄介な事になった」

シャーリー「まさか、あのマルセイユが投手に出てくるとはね……」


ゴッドフリー「ま、全く打てません! ボールに触れすら……」

ゴッドフリー「いや、ボールにタイミングすら合わせられないです!」


ティナ「適当に振ってみる……ってのはどうかな?」

ティナ「もしかしたら、当たるかもしれないよ!」


竹井「でも、それじゃあ狙った場所に飛ばせないわ……」


エーリカ「いっそのこと、私を下げちゃったらどう?」

エーリカ「ハンナも私がいなくなったら、おとなしく帰るんじゃないかなー」


シャーリー「それは、……まあ、ありそう、だな」

ゲルト「お前はただ、ベンチで寝ておきたいだけだろうが」

ゲルト「お前を下げるのは、よほどの事態が起こった時だけだ」

264: 2011/03/27(日) 16:20:04.53 ID:8CKVvI2S0

芳佳「うーん……相手の球が打てないなら、打てるようにすれば良いんですよぉ」

芳佳「エイラさんの時みたいに!」


竹井「精神面を攻めてみるの?」

シャーリー「ベンチでハルトマンがなんかすれば、あいつの調子を狂わせられるんじゃないか?」

エーリカ「うーん……思いつかないや」



ゲルト「……ふむ、まあ、……その問題は、先送りだ」

ゲルト「まずは、差し迫った問題……守備について、だが」

ゲルト「宮藤、おまえはさっそく奴との勝負だ」

芳佳「え?」


竹井「ええ。……攻守交代よ」

竹井「相手の一番手は、マルセイユ大尉」

266: 2011/03/27(日) 16:25:28.85 ID:8CKVvI2S0


ドッリオ『マルセイユ大尉、素晴らしい投球です!』

ドッリオ『この回、追い詰められた局面を、見事4人で抑えました!』


マルセイユ「全く相手にならんな!」


ドッリオ『次は、5回の表。ヒーローズの攻撃です!』

ドッリオ『先発打者は……先程の活躍から引き続き、マルセイユ大尉です』


マルセイユ「任せておけ!」



   【 スコア 】
                ┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
                ┃Ⅰ┃Ⅱ┃Ⅲ┃Ⅳ┃Ⅴ┃Ⅵ┃Ⅶ┃Ⅷ┃Ⅸ┃計┃Η┃Ε┃
┏━━━━━━━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━╋━┫
┃  ヒーローズ  .┃ 0┃ 3┃ 0┃ 3┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ 6┃11┃○┃
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃   シスターズ   ┃ 1┃ 0┃ 1┃ 5┃  ┃  ┃  ┃  ┃  ┃ 7┃13┃○┃
┗━━━━━━━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┻━┛

267: 2011/03/27(日) 16:32:29.00 ID:8CKVvI2S0

   『八番……ピッチャー……ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ……』


マルセイユ「……」キッ

芳佳(マルセイユ大尉……こうしてみると、すっごい威圧感があるなあ……)

芳佳(い、いけない! 気持ちで負けちゃ、駄目だよね!)ギュッ


   「キャー! マルセイユ大尉ー!!」
   「頑張ってー!!」



マルセイユ『……』キューン

マルセイユ『私のボールが欲しい子はいるかな? 子猫ちゃん達!』

   キャアアアアアッッ!!!


ゲルト「おい! あいつ、マイクを持っているぞ!」


主審「没収です」

マルセイユ「く……」

268: 2011/03/27(日) 16:37:12.97 ID:8CKVvI2S0

ゲルト(さて、どうなるか……)

ゲルト(宮藤の球であれば、そう易々とは打てないはずだが……)

ゲルト(何しろマルセイユだからな……どんな事をしでかすかわからん)


芳佳「……」ビクッ

マルセイユ「……ふふ」

マルセイユ「そう怯えるなよ、子狸ちゃん」



芳佳(よ、よーし……行くぞぉ……)

芳佳「……やぁっ!」

     ヒュンッ!
           .....フッ


マルセイユ「これは……! ナックルか!」グッ


        ガキーンッ!!

270: 2011/03/27(日) 16:43:17.04 ID:8CKVvI2S0


     ギ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ .............


芳佳「あっ……」

ゲルト「まさかっ……」

ドッリオ『……打球は……高く――』



    ガダァーン! ガラガラガラ.........
                  ドォォーンッ.....!



マルセイユ「……」

マルセイユ「私の勝ちだ!」


ドッリオ『決まったぁ――!! 特大のグランドスラム――!!』

ドッリオ『コロッセオの石積みを砕く超打球――っ!』

ドッリオ『ローマの貴重な文化遺産が、また一つウィッチによって破壊された――っ!!』

273: 2011/03/27(日) 16:52:05.69 ID:8CKVvI2S0

ドッリオ『まさに救世主! マルセイユ大尉!』

ドッリオ『追い込まれたヒーローズを一人で守りきり……』

ドッリオ『そしてまた、この得点にて同点へと追いつかせました!』



マルセイユ「ふふ、まあ、こんなものだ」

マルセイユ「私のファンに届けるために、始めから投手にはサインボールを握らせたいくらいさ」

坂本「……流石だな、マルセイユ大尉」


サーニャ「すごいです……」

エイラ「さ、サーニャ?」


ミーナ「でも、よく宮藤さんの球が打てたわね……」

ミーナ「あの独特の打球は、捉えるのが難しいのよ?」


マルセイユ「ああ、……あんなの、ただのナックルじゃないか」

274: 2011/03/27(日) 17:00:17.24 ID:8CKVvI2S0

マルセイユ「球種がわかれば、打つのは簡単だ」

マルセイユ「あんな球、100発来ても全て塀の向こう側さ」


坂本「……そうか…」

ミーナ「……」


マルセイユ「な、なんだ? どうした?」

マルセイユ「まさか、あんなちゃちな変化の球が打てないわけじゃ無いだろうな?」


エイラ「……」

ペリーヌ「……」


   『一番……サード……フランチェスカ・ルッキーニ……』

マリア『ルッキーニさーん、出番ですよー』


ルッキーニ「あ、アタシだ! はーい!」

275: 2011/03/27(日) 17:04:04.49 ID:8CKVvI2S0


中島「では、私も少し……」

坂本「うん……?」



ルッキーニ「……うじゅうじゅ!」ブンブン!


芳佳(ルッキーニちゃんなら、なんとかなるよね……)

芳佳(よし、行ける!)


芳佳(……!!)ゾクッ

芳佳(な、なんだろう、今の悪寒……)


中島「……」


竹井「あら? 錦さん……なんであんな場所にいるのかしら」

疾風「……んー」

276: 2011/03/27(日) 17:10:07.58 ID:8CKVvI2S0

中島「……」ジッ


芳佳(なんか……体が重いなあ……)

芳佳(でも、今は試合中だから……頑張らないと!)


芳佳「せやっ!」ヒュンッ


ルッキーニ「うじゅじゅあ――っ!!」 カキーン!


マリア『きゃあ! ルッキーニさん! 打ちましたー!!』

ドッリオ『打球はライトへとポップフライ!! イェーガー大尉、捕球に向かいます!』


シャーリー「はっ……せやっ!」シュン!

ルッキーニ「ずしゃーっ!!」ズサーッ

ドミニカ「……」バシッ

塁審「セーフッ!!」

279: 2011/03/27(日) 17:14:21.11 ID:8CKVvI2S0

芳佳「ま、また打たれちゃった……」

ゲルト「宮藤、落ち着いて投げろ! 焦るな!」


芳佳(で、でも……この回は、なんとしても1点に抑えないと……)

芳佳(次……エイラさん、私に抑えられるかな……)


   『二番……ショート……エイラ・イルマタル・ユーティライネン……』


エイラ「……ミヤフジ! 来いよ!」ザッ

芳佳「……エイラさん」


芳佳「……せやっ!」ヒュン!


エイラ(……ブレない?)

エイラ「ほいっと!」 カーンッ

281: 2011/03/27(日) 17:19:24.81 ID:8CKVvI2S0


エイラ「余裕だなー」タッタッタッ

芳佳「う、うう……」


ドッリオ『ユーティライネン中尉、レフト前ヒット!』

ドッリオ『無氏一二塁! また、ヒーローズが攻勢へと立ち始めました!』


シャーリー「宮藤……どうしたんだ?」バラバラバラ

シャーリー(まさか、坂本少佐達は既に宮藤の打球に対策を……)

シャーリー(しかし、どうやって? 宮藤の打球は、そう打てるものではないが……)


リーネ「……」

リーネ「た、タイムお願いします!」


ドッリオ『おっと、ここでシスターズ側のバッテリーからタイム申請が行われました』

291: 2011/03/27(日) 19:01:08.11 ID:hrP/Bgpu0
ごめんなさい。
ここまで思いつきで書いてたのですが、ついにネタ切れです。

292: 2011/03/27(日) 19:03:15.52 ID:/9HcM21E0
そこはほれ、空気の読めるネウロイさんの出番でいいだろ

293: 2011/03/27(日) 19:05:56.24 ID:btGZWaihO
もっさんの烈風斬(打)で打ったボールでネウロイ撃墜でいいんじゃね?

294: 2011/03/27(日) 19:22:28.72 ID:g3CPeWwB0

>>1頑張れ

引用: 宮藤「坂本さん! キャッチボールしましょう!」