1: 2016/12/12(月) 21:10:18.044 ID:apjljWZ701212.net
面接官「それでは、ただいまより集団面接を始めます」

人事部長「皆さん、リラックスして質問に答えて下さい」



就活娘「はいっ!」

就活生A「はいっ!」

就活生B「はいっ!」

就活生C「はいっ!」
ふらいんぐうぃっち(13) (週刊少年マガジンコミックス)
4: 2016/12/12(月) 21:13:15.692 ID:apjljWZ701212.net
面接官「では最初は、一分程度で自己PRをお願いします」

面接官「それでは、そちらの女性からどうぞ」

就活娘「……」ジーッ

面接官「なんです? 人の顔をジロジロ見て」

就活娘「……あなた、もしかして」

面接官「?」

就活娘「……お兄ちゃん!?」

面接官「え!?」

5: 2016/12/12(月) 21:16:10.798 ID:apjljWZ701212.net
就活娘「やっぱりそうだ! お兄ちゃんだ!」

就活娘「お兄ちゃん、あたしだよ! あたし!」

面接官「!」ハッ

面接官「お前は……妹!」

面接官「まさか……そんな……! こんなところで会えるなんて……!」

就活娘「あたしもだよ……ビックリしちゃった!」

面接官「あれからもう、15年にもなるのか――」

8: 2016/12/12(月) 21:18:28.854 ID:apjljWZ701212.net
面接官(俺たち兄妹は本当に仲が良かった……誰もがうらやむほどに……)


~ 回想 ~

妹「あたし、将来はおにいちゃんのお嫁さんになるーっ!」

兄「アハハ、嬉しいな」

兄「だけどぼくたちは兄妹だから、結婚できないんだよ」

妹「ええっ、そんなのやだぁ!」

兄「ぼくだって残念だよ。でも、決まりだからね」

兄「だからこそ……今のうちにいっぱい遊ぼうな!」ナデナデ

妹「うんっ!」

10: 2016/12/12(月) 21:20:56.450 ID:apjljWZ701212.net
兄「ただいまー!」

妹「ただいまー!」


母「はい……では、よろしくお願いします」

男「ええ、必ず幸せにしてみせます」

女「どうかご安心下さい」


兄妹「?」

11: 2016/12/12(月) 21:22:34.483 ID:apjljWZ701212.net
兄「どうしたの? ……このおじさんとおばさんは誰?」

母「あのね……今日から妹は、この人たちの養子になるんだよ」


男「よろしくね」

女「大切に育てますから」


兄「ええっ!?」

13: 2016/12/12(月) 21:25:22.196 ID:apjljWZ701212.net
兄「なんで!? なんでだよ! なんでこんなことを!」

母「ごめんね、お父さんが亡くなって、もう女手一つじゃ二人は育てられないんだよ……」

母「そんな時、子供がいないこのご夫婦から、養子縁組の話をいただいてねえ……」

兄「だからって……妹がよその家の子になっちゃうなんて!」

兄「やだよーっ! やだやだっ!」


男「さ、行こうか」

女「行きましょうか」

妹「やだっ! はなしてっ! 助けて、おにいちゃーん!」



兄「連れてかないでーっ!!!」

14: 2016/12/12(月) 21:25:44.463 ID:DN3y6Zl901212.net
わ兄「なんで!? なんでだよ! なんでこんなことを!」

母「ごめんね、お父さんが亡くなって、もう女手一つじゃ二人は育てられないんだよ……」

母「そんな時、子供がいないこのご夫婦から、養子縁組の話をいただいてねえ……」

兄「だからって……妹がよその家の子になっちゃうなんて!」

兄「やだよーっ! やだやだっ!」


男「さ、行こうか」

女「行きましょうか」

妹「やだっ! はなしてっ! 助けて、おにいちゃーん!」



兄「連れてかないでーっ!!!」

15: 2016/12/12(月) 21:25:58.238 ID:DN3y6Zl901212.net
兄「なんで!? なんでだよ! なんでこんなことを!」

母「ごめんね、お父さんが亡くなって、もう女手一つじゃ二人は育てられないんだよ……」

母「そんな時、子供がいないこのご夫婦から、養子縁組の話をいただいてねえ……」

兄「だからって……妹がよその家の子になっちゃうなんて!」

兄「やだよーっ! やだやだっ!」


男「さ、行こうか」

女「行きましょうか」

妹「やだっ! はなしてっ! 助けて、おにいちゃーん!」



兄「連れてかないでーっ!!!」

18: 2016/12/12(月) 21:29:17.067 ID:apjljWZ701212.net
……

…………

面接官「あれから15年、たとえ会えなくても、お前を忘れたことは一日もなかったよ」

面接官「だけど、お前のことが一目で分からなかったのは、不覚だったな」

面接官「だって、こんなにキレイになってるとは思わなかったからね」

就活娘「やだ、お兄ちゃんったら……!」

就活娘「ねえ、お兄ちゃん……もうちょっと近づいてもいい?」

面接官「もちろんいいとも!」サッ

19: 2016/12/12(月) 21:32:28.773 ID:apjljWZ701212.net
就活娘「おにいちゃああああああああん!!!」ギュッ

就活娘「お兄ちゃん、お兄ちゃん、おにいちゃあああああああん!!!」

就活娘「会いたかったよ、ずっと会いたかったよぉ……!」

面接官「俺だってそうさ!」ギュッ…

就活娘「15年分、ナデナデして」

面接官「もちろんさ!」ナデナデ

就活娘「お兄ちゃん……大きくなったね。すっごくたくましいよ」

面接官「お前こそな……特に胸が」

就活娘「えへへ~、お兄ちゃんのエOチ」

20: 2016/12/12(月) 21:35:35.888 ID:apjljWZ701212.net
面接官「引き取ってくれたご両親は、親切だったかい?」

就活娘「うん……とても優しかった」

就活娘「最初は大嫌いだったけど、今はとても感謝してるわ」

面接官「そうか、よかった。すっかりご無沙汰してるから、後日俺も挨拶に行くよ」

面接官「――おっと、そろそろ席に戻るんだ。今は面接中だぞ」

就活娘「あ、そっか!」

面接官「妹だからって面接に手心は加えないぞ! 頑張れよ!」

就活娘「うんっ!」

21: 2016/12/12(月) 21:39:17.257 ID:apjljWZ701212.net
面接官「では、面接を再開しましょう」

面接官「そちらの方、自己PRをお願いします」

就活生A「……」

面接官「どうしました? 緊張してしまいましたか?」

就活生A「いや……そうではない」

面接官(敬語が使えない……マイナスしとこう。だけど、どこかで聞いたことある声だな……)

就活生A「……立派になったな」

面接官「!」ハッ

面接官(この声……この顔……まさか!?)

24: 2016/12/12(月) 21:42:28.933 ID:apjljWZ701212.net
面接官「先生!?」

就活生A「……ふふ、やっと気づいたか」

面接官「どうして先生がこんなところに!?」

就活生A「そりゃもちろん、社会人になったお前を一目見たかったからさ」

就活生A「なにしろ私の40年近い教員生活で、一番手間がかかった生徒だったからな」

面接官「アハハ、お恥ずかしい限りです」

面接官(先生……白髪増えたな……だけど元気そうで何よりだ)

25: 2016/12/12(月) 21:45:44.213 ID:apjljWZ701212.net
面接官(10年前、俺はまだ高校生だった)

面接官(家が貧しく、妹を連れてかれるなんて経験をした俺は荒れていた)

面接官(札付きの不良になった俺を、みんなが怖がり、見捨てていた。だけど――)


~ 回想 ~

不良「オラァッ!」

ドゴォッ!

チンピラ「ぐはぁっ!」

不良「口ほどにもねえ野郎だ。どれ、足の一本も折ってやるよ」

チンピラ「ひ、ひいっ! おめえは強えっ! もう勘弁してくれぇ……」

不良「あ? だったら金出せや。有り金全部出したら、腕を折るだけで済ませてやるよ」

チンピラ「やめてくれよぉ……」

26: 2016/12/12(月) 21:49:41.399 ID:apjljWZ701212.net
教師「――やめないかッ!」

不良「!」ビクッ

チンピラ「ひえぇぇぇっ!」タタタタタッ

不良「ちっ、またてめえかよ……おかげでサンドバッグ兼金ヅルを逃がしちまったじゃねーか!」

不良「いくら手柄立てたいからって、俺みてーな落ちこぼれによくかまうよな、てめえも」

教師「手柄? ちがう! 私はお前を心配していってるんだ!」

教師「そうやって暴れてたら、他人はもちろん、自分自身をも不幸にするだけだ!」

不良「あ~……うぜえ。てめえはいつも口だけだから、全然心に響かねえよ」

教師「ということは……もしお前にケンカで勝ったら、真面目になってくれるんだな?」

不良「は? てめえ、俺に勝てるつもりかよ!」

教師「ああ、これでも武道をやってたからな。たかが高校生の小僧などに負けはせん!」バサッ

不良「上等だぁっ!」

27: 2016/12/12(月) 21:52:28.066 ID:apjljWZ701212.net
バキッ! ドカッ! ドスンッ! ドゴッ! ガッ!

不良「ダラァッ!」ブオンッ

ドカッ!

教師「ぐはっ!」

教師「なんの、背負い投げっ!」グイッ

不良「うおおっ!?」ドシンッ

不良「ハァ、ハァ、ハァ……」

教師「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……」

不良「てめえ……やるじゃねえか。そこらの奴よりよっぽど気合入ってやがる」

教師「ふふっ、お前こそな」

不良「へ、へへへ……」

28: 2016/12/12(月) 21:55:34.136 ID:apjljWZ701212.net
不良「わぁーったよ! 俺の負けでいいや、俺の負け!」ドサッ

不良「今度……いや明日からは……真面目に学校行って、ちゃんと勉強するよ」

教師「本当か?」

不良「本当だとも。俺はバカだけど、ウソはつかねえ」

教師「よぉ~し、ならお前の新しい門出に、ラーメンでもおごってやるか!」

不良「ったく、どうせならもうちょっといいもんおごれよな」

教師「安月給に無茶いうもんじゃないぞ」

31: 2016/12/12(月) 21:58:51.607 ID:apjljWZ701212.net
……

…………

面接官「先生がいたから……先生が体を張ってくれたから、今の私があるんです」

就活生A「教師冥利に尽きる言葉だ。嬉しいよ」

面接官「ところで先生は……今はなにを?」

就活生A「教員を定年退職して、子供向けの小さな個人塾をやってるよ」

就活生A「子供の相手は高校生とはまた違った大変さがあるが、やりがいがあるよ」

面接官「そうだったんですか……」

34: 2016/12/12(月) 22:02:08.936 ID:apjljWZ70.net
就活生A「それにしても、本当に立派になった。背広がよく似合っている」

面接官「……ありがとうございます」

就活生A「面接官というのは大勢の人と出会う大変な仕事だろうが、頑張れよ!」

面接官「はいっ!」

面接官「では先生、名残惜しいですが、時間も押してるので面接を再開します」

就活生A「うむ、そうしてくれ」

35: 2016/12/12(月) 22:05:18.482 ID:apjljWZ70.net
面接官「さて、それでは次の方、自己PRを……」

就活生B「クックック……」

面接官「なにがおかしいんですか?」

就活生B「これが笑わずにいられるか」

就活生B「ようやく……憎き復讐すべき相手に出会えたのだからな」ニヤ…

面接官「!」ハッ

面接官「バカな……!」

面接官「お前は、お前は……五年前に氏んだはず!」

39: 2016/12/12(月) 22:10:31.055 ID:apjljWZ70.net
面接官(五年前、俺は不良時代に培ったケンカの強さを生かして、勇者をやってた時期があった)

面接官(世界征服を目論んだ、宿敵である魔王はたしかにこの手で――)


~ 回想 ~

勇者「いくぞっ! 正義の剣を受けてみよっ!」

勇者「だりゃあっ!」シュバッ

ザシュッ!

魔王「ぐはぁっ! このワシが……たかが人間ごとき、に……!」ボシュゥゥゥ…



面接官(この手で倒した!)

面接官「お前はたしかに消滅したはずだ!」

就活生B「ククク、詰めが甘いな。ワシはかろうじて生きていたのだ!」

41: 2016/12/12(月) 22:13:29.426 ID:apjljWZ70.net
就活生B「カァッ!」ズアッ

ズガァンッ!

面接官「机が粉々に……!」

面接官(今の魔力……あの時より数段キレが増している……!)

就活生B「この五年間、ワシは貴様への復讐だけを考えて生きてきた」

就活生B「そして、こうして就活生に化けることで、ようやく貴様のもとにたどり着いた!」

就活生B「ワシは五年前より強くなったが、はたして貴様はどうかな?」ニヤ…

面接官「ぐっ……!」

44: 2016/12/12(月) 22:17:08.664 ID:apjljWZ70.net
就活生B「喰らえ、魔炎咆哮波ッ!!!」ゴォアァァァッ

面接官「うわっ――」


ズガァァァァァンッ!!!


就活娘「お兄ちゃんっ!」

就活生A「なんという恐ろしい技だ!」


就活生B「フハハハハ……終わりだ! 肉片すら残っておらんだろう!」

就活生B「この爆炎、勇者を引退し、聖闘気(セインとうき)を失った貴様では耐えられぬ!」

47: 2016/12/12(月) 22:20:27.520 ID:apjljWZ70.net
面接官「ぐっ……!」シュゥゥゥ…



就活生B「――バカな!? 生きているだと!?」

就活生B「勇者をやめ、聖闘気を纏っていない貴様が、なぜ今の爆破に耐えられる!?」

面接官「あまり俺をバカにするなよ」プスプス…

面接官「俺だって、お前みたいなのがまた現れた時のために、ちゃんと準備してあったのさ!」

就活生B「準備だと……!?」

49: 2016/12/12(月) 22:23:29.175 ID:apjljWZ70.net
就活生B「――ん!?」

就活生B(スーツが破れ、露出したヤツの肉体……金属らしき光沢がある!)

就活生B「さては貴様……すでに生身の肉体ではないな!?」

面接官「そのとおり、俺はすでに肉体の85%を機械化している」

面接官「ねえ、部長? いえ……博士!」



人事部長「その通りじゃ!」

52: 2016/12/12(月) 22:28:34.654 ID:apjljWZ70.net
人事部長「面接官は私の部下であり、最高傑作でもあるのじゃ!」


面接官「今度はこっちから行くぞ!」ウイーン

面接官「ロケットパンチ!」シュボッ

ドゴォッ!

就活生B「ぐげっ!?」

面接官「背中のバーニアを噴射して……ジェットタックル!」ギュオッ

ズガァンッ!

就活生B「ぐはぁぁぁ……っ!」



就活娘「いっけー、お兄ちゃん! 悪者をやっつけろ!」

就活生A「ふふ……あの頃からケンカは強かったものなぁ」

人事部長「彼は面接官にして、地上最強のサイボーグなのじゃ!」

53: 2016/12/12(月) 22:31:46.349 ID:apjljWZ70.net
面接官「下半身を回転させ……トルネードキック!」ギュルルルッ

バキィッ!

就活生B「ぶげぇっ!」ドザッ

就活生B「お、おのれぇ! おのれぇぇぇ……!」

就活生B「かくなる上はッ!」ギュンッ

ドゴォンッ!

面接官(天井を破壊して上空へ飛んだ!? なにをする気だ!?)


就活生B「はあああああああああああ……!」グゴゴゴゴゴ…


面接官(なんだ、この暗黒波動は……!? とんでもないパワーだ……!)

54: 2016/12/12(月) 22:35:04.560 ID:apjljWZ70.net
就活生B「貴様……大した強さよ」

就活生B「元々非の打ちどころのない強さだったのが、サイボーグ化で更に磨きがかかっておる」

就活生B「まともにぶつかれば……ワシとて分が悪いようだ」

就活生B「――ならば!」

就活生B「ワシの暗黒波動を凝縮したこの『暗黒球』で、地球もろとも滅ぼしてくれる!」ゴゴゴゴゴ…



就活娘「空に真っ黒なボールが出来上がってく!」

就活生A「あんなエネルギーが地球にぶつかれば、ひとたまりもない!」

55: 2016/12/12(月) 22:38:15.617 ID:apjljWZ70.net
面接官「ならばこちらも最終兵器で応じよう!」ジャキーンッ

面接官「出力……100%!」ウイーン…


就活生B「地上に落ちろ、暗黒球ッ!!!」ズオオオオッ

面接官「闇を押し返せ、セイント・ホープ・キャノン!!!」バシュゥッ





ズオッ!!!

57: 2016/12/12(月) 22:41:39.998 ID:apjljWZ70.net
就活娘「おにいちゃーん!」

就活生A「聖なるエネルギーと暗黒のエネルギーが、ぶつかり合い、押し合っている!」

人事部長「二人のパワーは一見すると互角! ……じゃが!」


グゴゴゴゴゴ……!


就活生B「クックック……」

面接官「ぐぐっ……! ぐぐぐっ……!」ミシミシ…

就活生B「ワシの暗黒球は、人間どもの負の感情を吸い取ってどんどん巨大化する」

就活生B「人間は薄汚い生き物だからな……際限なく成長することができる!」

就活生B「しかし、貴様の技はどうかな?」

面接官(ダ、ダメだっ! 押し負ける! 押し負けたら……地球がなくなる!)ミシミシ…

58: 2016/12/12(月) 22:44:46.051 ID:apjljWZ70.net
面接官(出力を……上げるしかない!)ミシミシ…


人事部長「いかん! いかんぞ! 100%以上の力を出しては――」


面接官「出力……200%ッ!!!」





ズアアアッ!!!

59: 2016/12/12(月) 22:48:39.032 ID:apjljWZ70.net
グゴゴゴゴゴ……!

就活生B「ほう、多少押し返してきたか」

就活生B「だがしょせん、焼け石に水だったな! ワシの暗黒球の成長の方が早い!」

面接官(ついに……俺の腕が動かなくなり始めた……!)ミシミシ…

面接官「ここまで……か……」メキメキ…


人事部長「やはり……200%ではボディが持たん!」

就活娘「おにいちゃーんっ!」

就活生A「かつての教え子の危機だというのに、私には何もできないのか……!」

就活娘「いいえ、応援くらいはできるよ!」

就活娘「お兄ちゃん、ファイトーッ!」



面接官(――そうだ! ファイトだ! この戦いには妹や先生、みんなの命運がかかってるんだ!)

面接官(考えろ……ヤツを倒す方法を!)

61: 2016/12/12(月) 22:52:35.077 ID:apjljWZ70.net
面接官(暗黒球には……ヤツの暗黒波動に加え、人間の負の感情が混ざっている……)

面接官(つまり……人の心が混ざっている!)

面接官(その心に呼びかけ、俺の味方にすることができれば……!)

面接官「暗黒球よ、聞いてくれ!」

面接官「たしかに……この世には嫌なこと、理不尽なことが沢山ある!」

面接官「負の感情がそれほどまでに、積もり積もってしまうほどに!」

面接官「だけど……だけど!」

面接官「信じて欲しい……希望を!」

面接官「どうか……諦めないでくれ! この地球で暮らしていくことを!」

面接官「だから――俺に力を貸してくれ!」



就活生B「な、なんだ……!? 暗黒球がしぼんでいく! なぜだァ!?」

62: 2016/12/12(月) 22:55:26.595 ID:apjljWZ70.net
面接官「地球のみんなが諦めなかったように……俺も諦めない!」

面接官「俺に残るパワーを……全部くれてやるッ!」ウイーン

面接官「うおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」ブッピガン


面接官「セイント・ホープ・キャノン!!!」



ズオオオオッ!!!

64: 2016/12/12(月) 22:59:11.008 ID:apjljWZ70.net
就活生B「ひ、ひいぃっ! ヤツのエネルギーが、暗黒球を呑み込んで――」

就活生B「ぐああああああああ……!」

就活生B「こんな、バカな……!」ボロ…

就活生B「最強の魔族であるワシが……悪の中の悪であるこのワシ、が……」ボロ…ボロ…

就活生B「ほ……ホロボサレル、トハァ……!!!」



ボウッ!!!

67: 2016/12/12(月) 23:03:35.589 ID:apjljWZ70.net
面接官「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」ガクッ

就活娘「やったね、お兄ちゃん!」

就活生A「よくやった! お前は世界の救世主だ!」

面接官「がはっ……!」バチバチッ

面接官(体が……動かな……い……)バチバチッ

就活娘「――お兄ちゃん!? どうしたの!?」

人事部長「出力を上げすぎて、オーバーヒートを起こしたんじゃ……」

人事部長「もはや、二度と動けぬじゃろう……」

就活生A「あなたの力で、なんとかならないんですか!?」

人事部長「残念ながら、私の手ではどうにも……」



就活生C「私にお任せ下さい」スッ

71: 2016/12/12(月) 23:07:10.644 ID:apjljWZ70.net
人事部長「なんだ、君は? 君のような素人が出る幕では――」

就活生C「失礼します」ポタッポタッ…

面接官「!」ビクビクビクッ

面接官「あ、あれ……動ける!」ガバッ 

面接官「出力の上げすぎで完全に故障したボディが、前よりも滑らかに動く!」ウイーン

就活娘「やったーっ! お兄ちゃんが完全回復した!」

就活生A「おおっ! 奇跡だ!」

人事部長「信じられん……!」

人事部長「あの就活生がほんの少し体液を垂らしたら、面接官がよみがえりおった……!」

面接官(そうか……この就活生は……まさか!?)

面接官(さっそく質問してみよう!)

73: 2016/12/12(月) 23:10:05.015 ID:apjljWZ70.net
面接官「では、自己PRをお願いします」

就活生C「はい、私は潤滑油のような人間です」







―おわり―

74: 2016/12/12(月) 23:10:33.188 ID:yw4JS1DH0.net
ここにきて

75: 2016/12/12(月) 23:10:42.254 ID:dbyl0Tx20.net
感動的だな

引用: 面接官「面接を始めます」就活娘「あなた、もしかして……お兄ちゃん!?」