1: 2010/07/10(土) 20:58:34.88 ID:DdvACJei0
6/3
律「うん。ゴールデンウィークに免許取ったんだ。時々聡とモトクロスしてたから、学科だけちょっと勉強して」
澪「律は負けず嫌いだからな。聡君に勝つまで帰ってこないし」
律「なんたってお姉ちゃんだからな。弟には負けられんのだよ」
唯「おぉっ、かっくいー」
梓「隼ですか。モトやってたのに、スーパースポーツなんですね」
律「……」
紬「どうしたの?」
律「……キックスタートが大変なんだよ」
梓(なるほど)
唯(あずにゃんが共感している)
律「うん。ゴールデンウィークに免許取ったんだ。時々聡とモトクロスしてたから、学科だけちょっと勉強して」
澪「律は負けず嫌いだからな。聡君に勝つまで帰ってこないし」
律「なんたってお姉ちゃんだからな。弟には負けられんのだよ」
唯「おぉっ、かっくいー」
梓「隼ですか。モトやってたのに、スーパースポーツなんですね」
律「……」
紬「どうしたの?」
律「……キックスタートが大変なんだよ」
梓(なるほど)
唯(あずにゃんが共感している)
2: 2010/07/10(土) 21:01:44.40 ID:DdvACJei0
――
澪「ずっと昔、律と二人で夏祭りに行った。まだ私は小さくて、自分が愛を――与えられる愛を、求められる愛を、無条件に無制限に無尽蔵に享受できると信じてた。
「盆踊りの櫓の周りは私には騒々しくて、逃げるように輪になった屋台の裏を、りっちゃんと手をつないで歩いてた。
型抜きの屋台。紐籤の屋台。金魚すくいの屋台。お面の屋台。ヨーヨー釣りの屋台。玉投げの屋台。射的の屋台。りんご飴。綿菓子。色とりどりのふわふわした世界で、私はひとつの屋台に目を奪われた」
――
4: 2010/07/10(土) 21:04:10.44 ID:DdvACJei0
律「――ってか、いいだろ別に。それに恰好いいじゃん隼……」
唯「でもこれ、おっきいよね。りっちゃん足付くの?」
律「付くよ! ……ちょっち大変だけど。でもさ、発動機付きだぜ? やっぱり、大きいほうがいいじゃん」
梓「わたしは蚊式とかもちっちゃくて好きですけどね」
澪「飛行機は少し違うんじゃないかな」
梓「そうですよね澪先輩」
紬(……ん?)
6: 2010/07/10(土) 21:07:26.15 ID:DdvACJei0
――
澪「飴細工の屋台。釜の中でぐるぐると回り続ける飴が、おじさんの手の中で自由自在に形を変え、姿を変え、指先と、一本の鋏と、小さな筆で、まるで生きているように羽ばたき、うねり、泳ぎだした。
「私は吸い寄せられるようにその『生き物』たちに近づいた。今でも覚えてる。私の目の前に、一羽の鶴が羽を広げていた。
おじさんは私のほうをちょっと見ただけで、何も言わずに前を向いた。
りっちゃんはちょっと居心地悪そうにしてたけど、それでも私に負けないくらい目をきらきらさせてた。
どのくらいそうしてたかな。お弟子さんだったんだと思う。一人のお兄さんが、こっそり私たちに手招きした」
――
7: 2010/07/10(土) 21:10:34.61 ID:DdvACJei0
6/18
梓「はじめは、練習しようって言ってくれるのが嬉しくて。みなさんあんなに素敵な演奏をするのに、普段だらけてばかりいるから――
「だから、一緒に練習する機会を作ってくれる澪先輩に懐いていただけでした。
合宿の前くらいになると、澪先輩みたいなお姉ちゃんがいたらな、なんて考えるようになってて。
いつごろだったかな。もしかして、好きなんじゃないかって、そう考え始めると、もうあっという間でした。
先輩のこと、気がつくと目で追ってました。油断すると先輩のこと考えてました。演奏してる姿に見とれてました。
三年生になって、いつのまにか澪先輩までティータイムに普通に参加してることに気づいても、もうその時には、そんな理由で好きだったなんて忘れてました」
「好きです。澪先輩のこと――好きです」
「あのね、梓ちゃん……」
梓「はい」
紬「そういうのは、本人に言ったほうが、いいんじゃない、かなー……」
8: 2010/07/10(土) 21:13:32.53 ID:DdvACJei0
――
澪「お兄さんは、屋台のスペースの端っこで、私たちに飴細工を作ってくれた。
「赤くて、ちっちゃくて、すこしへたっぴな、かわいい金魚。
『ありがとう!』ってりっちゃんが大きな声で言って、お兄さんは少し慌てておじさんのほうを見たけど、おじさんはこっちを見なかった。それから、私も小さく、『ありがとう……』って。言った。言えた、と思う。
それから、少しだけりっちゃんと屋台を回って、引っ張られるように一緒に踊って――私たちは、手をつないで帰った」
――
9: 2010/07/10(土) 21:16:44.62 ID:DdvACJei0
梓「ムギ先輩なら、聞いてくれるかと思って……」
紬「うん、あのね、わたしは確かにそういうの大好きだけど、見てるの専門っていうか、実際に当事者になっちゃうと……」
梓「ムギ先輩? 顔赤いですよ?」
紬「もう……無理っ……!」
梓「あっ! ムギ先輩っ!? どこ行くんですか!?」
ことぶき「むぎゅううううううううううううううううううう!」
10: 2010/07/10(土) 21:21:11.55 ID:DdvACJei0
――
澪「その日、私は机に飾った金魚を見つめていて、気が付いたら眠ってしまっていた。
「きっと、お祭りで疲れていたんだと思う。
目が覚めたら――金魚は、真っ黒になっていた。
蟻。
クロオオアリ。
蟻。蟻。蟻。蟻。蟻。
どこからか入り込んだその昆虫が、びっしりと金魚にたかっていた。蠢いていた。がちゃがちゃという音が聞こえそうなくらい、蟻の顎が、外骨格が、金属じみた輝きを放つ小さな虫が細部まで一目で見てとれた。
見たくなかった。そんなもの。
ざわざわざわざわざわざわざわざわ。まるでひとつの大きな、とても不気味で悪意に満ちた醜悪ないきもののように蟻の群体はざわめいて、
硬質の体を打ち鳴らして金魚に群れていた。大顎を振り上げて金魚の目に突き立て、大きな複眼の張りついた頭をぐりぐりと人形劇のピ工口みたいに動かして、
尖った足の先を鰓に食い込ませて、おぞましい触角を逐一何かを確認するようにお互いにくっつけ合い、金魚に絶えず触れさせて」
「私は悲鳴を上げて、泣き叫んだ。怖さよりも、悲しさで。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。おじさん、ごめんなさい。お兄さん、ごめんなさい。
りっちゃん、ごめんなさい」
――
11: 2010/07/10(土) 21:24:15.81 ID:DdvACJei0
唯「おーっすみんなー! ……あれ? あずにゃんだけ?」
梓「あ、……あ、はい。わたしだけです。こんにちは、唯先輩」
唯「うん! こんにちわだよー、あずにゃーん」
「ぎゅう~っ」
梓「……そうだ、唯先輩」
「先輩は、誰かを好きになったこと、ありますか?」
唯「? うん、わたし、みんなのこと大好きだよ」
梓「ええ、わかってます。その好きの延長でも、誰かのことを思うと胸がきゅうってなって、そばにいられるだけで幸せなのに、近くにいると何も話せなくなっちゃって、もっと近くにいたい、もっとこの人のことを知りたい、って、そんな気持ちになったこと……。
先輩は、ありませんか?」
唯「……」
梓(あ、剥がれた)
唯「あずにゃんは、恋をしてるんだね」
梓「……はい」
12: 2010/07/10(土) 21:27:30.91 ID:DdvACJei0
――
信代「『実家の酒屋を継ぐんだ』平沢に聞かれた時、私はそう答えた。
「本当は、酒屋じゃなくて、酒蔵。古臭くて、父さんは一年中休みもなくて、祖父ちゃんは心臓を悪くしてからも蔵のことばかり気にかけていて。
私は、実家の家業が嫌いだった。
継ぐつもりなんて、これっぽっちもなかった」
――
13: 2010/07/10(土) 21:30:36.66 ID:DdvACJei0
唯「いいなー。恋かぁ。素敵だよね……」
梓「先輩は、誰か好きな人はいないんですか?」
唯「……わたしは、みんなのことが大好きだよ」
梓(…………?)
14: 2010/07/10(土) 21:33:17.54 ID:DdvACJei0
――
信代「祖父ちゃんが氏んだ。老衰だった。
「父さんは『大往生だった』って言った。そして、そのまま蔵へ行った。やっぱり酒蔵なんて嫌いだ。そう思った。
通夜の日、私は着なれた制服で、慣れないパイプ椅子に座っていた。知らない人が次々に挨拶に来た。母さんと叔父さんが応えていた。
父さんは喪主だった。黒の袴に、蔵の扉にある紋をあしらった羽織を着て、知らない人たちと話をしていた」
「本当に知らない人ばかりだった。飲料品店の専務がいた。卸売業者の社長がいた。とても遠くから、祖父ちゃんの昔の仲間だっていう人も来た。
みんな、叔父さんが小声で教えてくれたことだ。
別に、何かがあったわけじゃない。感動的な場面なんてない。大きな転機があったわけじゃない。衝撃的な事実があったわけでもない。
……ただ、家の仕事、っていうのを絶やさないでみるのも、いいかなって思っただけ。
それだけ」
――
15: 2010/07/10(土) 21:37:00.91 ID:DdvACJei0
律「よーっす」
澪「ごめん、遅くなった」
紬「お茶の用意するねー」
梓「みなさん、こんにちは」
唯(あ、やっぱりあの鞄、ムギちゃんのだ)
紬「ごめんね梓ちゃん、役に立てなくて」
梓「いえ、聞いてもらえて楽になりました」
律「ん?」
紬「今日のお菓子は、梅雨に合わせて羊羹にしてみましたー」
唯「おおーっ」
澪「もう、練習しようよ……」
律「そう言いながらちゃっかり座ってるあたり、お約束ってものをわかってきたようですな澪ちゃん?」
澪「あ、緑茶おいしい」
紬「ありがとう♪」
律「えー……」
澪「ごめん、遅くなった」
紬「お茶の用意するねー」
梓「みなさん、こんにちは」
唯(あ、やっぱりあの鞄、ムギちゃんのだ)
紬「ごめんね梓ちゃん、役に立てなくて」
梓「いえ、聞いてもらえて楽になりました」
律「ん?」
紬「今日のお菓子は、梅雨に合わせて羊羹にしてみましたー」
唯「おおーっ」
澪「もう、練習しようよ……」
律「そう言いながらちゃっかり座ってるあたり、お約束ってものをわかってきたようですな澪ちゃん?」
澪「あ、緑茶おいしい」
紬「ありがとう♪」
律「えー……」
16: 2010/07/10(土) 21:40:35.75 ID:DdvACJei0
――
風子「隣の席に、秋山さんってとてもきれいな子がいる。
「軽音部でベースボーカルをやってて、髪が長くてさらさらで、成績もよくて、ファンクラブまであったりして。
わたしと似てるのは、髪型くらい。
わたしみたいな地味な子が髪を伸ばしてると、高確率で例えられるホラー映画がある。
秋山さんには、きっとそれさえ褒め言葉になるのだろう。
すごいなあ。
――憧れでカモフラージュした自分の妬みに、なんだかとても嫌な気持ちがした」
――
19: 2010/07/10(土) 21:43:18.82 ID:DdvACJei0
7/23
律「やっほー梓ー」
梓「おはようございます律先輩。今日はわざわざすいません」
律「いいっていいって。しかし梓から『相談があります』なんて言われるとはねぇ」
梓「わたしも、まさかわたしのために休日に時間をとってくれるなんて思いませんでした」
律「だってー、梓ちゃんがなんか深刻そうな顔して言うもんだからさー、部長としては放っておけないっていうか?」
「ま、いいや。とりあえず乗ってよ。これ被ってね」
梓「はい……んっ……」(やっぱ大きいな、隼……)
律「ほら、よっと」
梓「きゃっ!?」
律「うひひ、『きゃっ!?』だって。かーわゆーい」
20: 2010/07/10(土) 21:46:33.70 ID:DdvACJei0
――
風子「わたし、成績、普通。秋山さん、成績、いつも上位。
「わたし、髪の毛ぐしゃぐしゃ。秋山さん、さらさら。
わたし、地味。秋山さん、人気者。
わたし、かわいくない。秋山さん、きれい」
「ほら、わたしってコンプレックスの塊。
『こんなにかわいそうなわたし』なんて、悦に入っちゃって。
憧れの人に近づけるような努力もしないでさ。
あーあ、もう、嫌になる」
――
21: 2010/07/10(土) 21:49:18.80 ID:DdvACJei0
律「横にバーがあるでしょ? それ掴んでね」
梓「無、無理です! 落ちます! 高いです! 怖いです! 氏にます!」
律「うーん、まあ、抱きつかれててもりっちゃんとしては困らないんだけど。じゃあ、いいか。行くよん」
梓「うひゃぁぁあぁああぁあああぁぁ…………」
22: 2010/07/10(土) 21:53:41.69 ID:DdvACJei0
――
「交換日記。私とお兄ちゃんの、秘密の日記。
「大切な、大切な、ないしょの日記。
私には、お兄ちゃんがいる。パパもママもそんなことないって言うけど、私だけは知ってる。
かなちゃんとケンカしちゃったときも、お気に入りのお洋服が破れちゃったときも、ママに叱られたときも、猫のあーたろうが氏んじゃったときも。
日記に書いたら、お兄ちゃんが助けてくれた。
『お兄ちゃんがついてるよ』って。『だいじょうぶだよ』って」
――
26: 2010/07/10(土) 21:58:15.34 ID:DdvACJei0
梓「うわあ、きれい……」
律「だろー? こないだ見つけたんだ。この町がぜーんぶ見える」
梓「真っ赤ですね……」
律「赤だけじゃないよ。橙色、群青色、白、黒、黄色。空だけで、こんなに色鮮やかだ」
「そして、町もな。
……もう少ししたら日が沈む。そうしたら、もっとカラフルになる」
梓「先輩……?」
律「梓、寒くないか?」
梓「はい、大丈夫です」
27: 2010/07/10(土) 22:01:22.17 ID:DdvACJei0
――
「日記はすぐになくなっちゃった。私は泣き虫だったから。
「『お兄ちゃんがいてくれたら、私なんでもできるよ。お兄ちゃんと一緒なら、強くなれるよ』
だけど、一人の私はやっぱり、とても弱かった。
高校に入って、私はいじめられた。ちょっと目立ちすぎたのだ。私が何もできないとわかると、瞬く間にいじめはエスカレートしていった。
女の子特有の、陰湿で、陰険で、陰惨ないじめ。
私は、何もできなかった。
新しい日記帳に、お兄ちゃんへのメッセージを書いたのに。
何日待っても、お兄ちゃんは答えてくれなかった」
――
28: 2010/07/10(土) 22:04:34.00 ID:DdvACJei0
ひゅるるるるるる。
どーん、
ばらばらばらばら。
梓「わあ、花火……!」
律「おぉ、やっぱり良く見えるなー。
「今日はさ、川向うで花火大会があるんだ。
なんだかよくわかんないけど、花火を見たら元気出るかなー、って。
少なくとも、私は元気になるしな」
梓「……素敵……」
律「わはは」
29: 2010/07/10(土) 22:08:03.90 ID:DdvACJei0
――
「どうして? お兄ちゃん――
「上履きが汚物まみれになったことよりも、机が傷だらけになったことよりも、(そもそもこの机は私のものではないのだけど)
鞄に腐った花瓶の中身をぶちまけられたことよりも、その中から腐った花がもう一度活けられて机の上に飾られたことよりも、
体育着が掃除道具入れの中でぐちゃぐちゃになっていたことよりも――――
お兄ちゃんに助けを求めていた日記帳が、あいつらに取り上げられたことのほうがずっとずっとずっとずっとずっとずっと
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと
ずっとずっとずっと大変なことだった」
「あいつらは私の叫びをあげつらい、嘲笑し、かまびすしい喚き声で反吐が出るような声でお兄ちゃんを演じて見せた。
卑賤で傲岸で不遜で不敬で思い上がりも甚だしい、絶対に許されない行為だった。
私は一番近くにいたその汚らしい土くれのひとつのおぞましい顎に指を引っ掛けて引きずり倒し、
髪を引っ掴んで汚らわしい喉笛を踏み潰そうと――」
――
30: 2010/07/10(土) 22:11:32.14 ID:DdvACJei0
梓「………………」
しゅぱぁん、
ぱらぱらぱらぱら。
梓「律先輩、
「律先輩は澪先輩のこと――」
ひゅるるるるるる――
律「……」
梓「澪先輩のこと、どう思ってますか」
どどーーん。
ざらざらざら――
31: 2010/07/10(土) 22:14:34.34 ID:DdvACJei0
――
「そこで私は殴り倒された。
「羽交い絞めにされて、私が引き倒したそれ――その時はもう、なんだかよくわからないけど気持ち悪いものにしか見えなかった――
に蹴られた。鳩尾につま先がえぐりこんできて、私は呻いて体を折ったけど、それらは私を放さなかった。
引きずられるようにして校舎の裏まで行って、そしてそれは――日記帳を、煙を上げる焼却炉の中に放り込んだ!
私とお兄ちゃんをつないでくれるたった一つの道しるべをあまつさえうす笑いさえ浮かべて熱と光と音と炎の渦巻く摂氏六百度の釜の中に!
『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!』
肺が潰れるほど叫んだ。喉が潰れるほど悲鳴を上げた。腕が千切れるほどもがいた。あばらが軋むほど身をよじった。
ちょっといかれてるくらいの角度に首をねじり、私は羽交い絞めにしているなにかに食らいついた。
なにかは『ぎゃあとこえをあげ』私の口の中に気味の悪い感触と吐き気のする味を残して」「私から離れた。
そして私は一瞬も躊躇うことなく寸分も逡巡することなくその白い光の中に
――
32: 2010/07/10(土) 22:18:49.47 ID:DdvACJei0
律「……そろそろ、澪からメールが届く頃なんだよね」
きーみのっここーろにっしるしはーあるかぁー♪
梓「……」
律「たたかうーためにえらばれーたー」
澪『やっほぅ、みおみおだよんっ(≧ω≦*)b
律、花火見てる?
*:.。..。.:*・゚n )η゚
・*:.。..。.:*ミ
とってもキレイだねっ☆
今日は一緒には見れないけど、
律と同じ空の下で、
同じキレイなお空の花を見てると思うと、
みおみおムネがドキドキしちゃうっ(はぁと)
で、律が私の隣で、
『澪のほうがキレイだよ』
なんてっ! いーやーっ! もうっ、素敵っ!
それで
律「さて、りっちゃんはこれからかわいい後輩の真剣な質問に答えないといけないわけだ」
梓「……」
34: 2010/07/10(土) 22:22:24.99 ID:DdvACJei0
――
「腕を引かれた。
「『ダメっ! やめて!』私はそれも食い破ろうと振り向いて、抱きつかれて止まった。
それは泣いていた。
『は? なにそれ。助けるの?』『ウチらとはもう一緒にいられません、ってコトだよね?』
『うるさい黙れ! しんじゃえっ!』
勝手に何か喚きたてて、それは私の腕を引いて走り出した。
『放して! 放してよ! お兄ちゃんが燃えちゃう!』
涙声で懇願された。
『お願い、わたしの前でこれ以上傷付かないで!』」
「次の日から当然のようにいじめはそちらに移り、私は飽きられたおもちゃのように無視された。
木曜日、その子にこっそり、『ごめんね』って言われた。『よかったね』って。
金曜日、その子は学校に来なかった。
月曜日、その子が氏んだと知らされた。理由も説明も脈絡もなく、ただ、氏んだ、とだけ」
「いじめは、それを境に姿を消した」
――
35: 2010/07/10(土) 22:25:57.98 ID:DdvACJei0
律「その前に澪に返信しよう。
「梓のこと、大事にしろよ、って。……ほい、送信」
梓「…………?」(今、送った?)
36: 2010/07/10(土) 22:29:06.47 ID:DdvACJei0
――
「そして学年が上がり、クラスが変わって、私がいじめにあっていたクラスの人はみんな違う教室になった。
「まさしく学校的で、場当たり的な対処だと思う。
私は今、その子と交換日記をしている。
大切な友達との、ないしょの日記。
今度は、なくさないように」
――
37: 2010/07/10(土) 22:32:21.50 ID:DdvACJei0
携帯「氏~ん」
澪「――ふふっ」
ぱたん。
澪「まかせてよ、りっちゃん」
39: 2010/07/10(土) 22:35:56.28 ID:DdvACJei0
――
唯「例えば自分が決して変わりたくないとするなら、わたしに何ができるだろう。
「例えばまわりに決して変わってほしくないとするなら、わたしは何ができるだろう。
うい、和ちゃん、澪ちゃん、りっちゃん、ムギちゃん、あずにゃん、さわちゃん。
わたしにできるのは、みんなとわたしが、いつもおんなじ形になるようにすることだけ。
絶対的な評価なんて不可能だし、そんなものに意味はない。
わたしたちは、相対的にしか定義されないものだから」
唯「うーいー、あいすー」
憂「ご飯のあとでね」
とよさき「やっぱり野良かなー!」
――
40: 2010/07/10(土) 22:40:00.43 ID:DdvACJei0
律「澪はさ、私の大事な友達だ。親友だし、バンドの仲間でもあるし、かけがえのない幼馴染でもある」
梓「……はい」
律「だから、私は澪の幸せのためなら何でもするよ。澪が恋をするっていうなら、私はそれを応援する。
「例えそれが、世間的に、生物的に、認められないものでも」
梓「律先輩……」
律「澪のこと、よろしくな」
梓「……はいっ」
律「さーて、帰ろうか。最後の大きい奴見逃しちゃったみたいだな」
梓「あ、わたしは見てましたよ」
律「なにぃ!? 人が真面目な話をしてるときにこのあずにゃんは!」
梓「律先輩の後ろに上がったんですよ……よいしょ」
律「つーん。……梓、寒くないか?」
梓「はい。ライダージャケットって、あったかいんですね」
律「ああ。狐印。高かったんだぞ、それ……それっ」
梓「うわぁっ……ふふふ。くすくす。はっちはっちにーさん、なっぞのっひとっ……」
律(うん、やっぱり抱きつかれてても、りっちゃんは困らないんだな)
梓「……はい」
律「だから、私は澪の幸せのためなら何でもするよ。澪が恋をするっていうなら、私はそれを応援する。
「例えそれが、世間的に、生物的に、認められないものでも」
梓「律先輩……」
律「澪のこと、よろしくな」
梓「……はいっ」
律「さーて、帰ろうか。最後の大きい奴見逃しちゃったみたいだな」
梓「あ、わたしは見てましたよ」
律「なにぃ!? 人が真面目な話をしてるときにこのあずにゃんは!」
梓「律先輩の後ろに上がったんですよ……よいしょ」
律「つーん。……梓、寒くないか?」
梓「はい。ライダージャケットって、あったかいんですね」
律「ああ。狐印。高かったんだぞ、それ……それっ」
梓「うわぁっ……ふふふ。くすくす。はっちはっちにーさん、なっぞのっひとっ……」
律(うん、やっぱり抱きつかれてても、りっちゃんは困らないんだな)
41: 2010/07/10(土) 22:43:29.26 ID:DdvACJei0
――
唯「エリ・エリ・レマ・サバクタニ。
「それは、神様を信じていたからだよ。
神様は、信じている人を決して助けない。そもそもこの世界の命をつなぐことを救いと定義する神ではないし、
心の底から神様を信じている人には、神様が姿を見せる必要がないものね」
「本当にその場で命をつなぎたいなら、神様を疑えばいい。
神よ、そこにいるのなら私を助けてくれ、ってね。
そうしないからこそ、彼は預言者たりえたんだ」
よねざわ「お姉ちゃん、お風呂準備できたよ。……ねえ、早くあの女の匂い洗い流しちゃってよ」
唯「ういー、一緒に入ろうよー」
――
42: 2010/07/10(土) 22:46:52.30 ID:DdvACJei0
7/2
紬「えっ、お父様は来て下さらないの?」
斎藤「それが、スポンサーの方から急なアポイントメントの取り付けがあったらしく……」
紬「そう……ええ、仕方ないわ。久しぶりのお食事は、残念ですけど諦めましょう」
斎藤「お嬢様、差し出がましいことを申し上げますが、旦那様も結局はコンシューマなのでございます。
「一大コングロマリットである琴吹の長とはいえ、財布の紐を握られている現状では――」
紬「いいの。部屋に戻って着替えるわ。下がりなさい」
斎藤「……かしこまりました」
紬「……………………」
43: 2010/07/10(土) 22:50:24.62 ID:DdvACJei0
――
唯「わたしは相対的に観測されるわたしの位置を等しく保ちたい。
「一番簡単な方法を、わたしは選んだ。
常にわたしから同じ距離をとるプロトコル。
平沢唯の、オートセービングユーティリティ」
憂「お姉ちゃん、今日一緒に寝ても……いい?」
唯「いいよー。ほらうい、おいで」
――
44: 2010/07/10(土) 22:54:34.04 ID:DdvACJei0
紬(変わっていないのね。焦ると横文字が増える癖……。昔アメリカでお父様と働いていたころの名残だっていうけれど)
(……わかってる。お父様が忙しい人だって、わかってる。
それに、働いているお父様のことが、わたしは大好きだから……)
紬「……」
紬(お父様、紬は、十八歳になりました――)
紬「……斎藤。斎藤」
斎藤「お呼びですか、お嬢様」
紬「ねえ、わたしはきれいになったかしら」
斎藤「はい。お嬢様は大変お美しくなられました」
紬「そう……それだけ聞ければ、いいわ。ありがとう」
斎藤「? ……はっ」
45: 2010/07/10(土) 22:57:57.07 ID:DdvACJei0
――
「私のこの髪型が、鬼太郎って呼ばれていることは知ってる。
「でもそんなの、なんでもない。
だって今の私には、友達もいるし、目もある。見た目におかしいところなんてないんだから。
だけど、この目だけは……まだ、慣れない」
「どうしても、隠したくなる」
――
46: 2010/07/10(土) 23:00:39.24 ID:DdvACJei0
紬(嫌だ。……ここにいたくない。このままだと、わたしはお父様のことも、斎藤のことも嫌いになってしまいそう。
(助けて――)
紬(唯ちゃん……だめね。ずっとご両親がいなくて、唯ちゃんのほうが寂しい思いをしているはずだもの。
(それでも唯ちゃんは優しいから、きっと自分のことよりも心配してくれる)
(梓ちゃんも。このあいだ相談に乗れなかったのに、先輩が、自分のときだけ助けてほしいなんて虫が良すぎるわ)
(澪ちゃん……ごめんなさいひかささん。りっちゃんと澪ちゃんだと、どちらを選ぶか決まっているの……スレタイ的に)
律「およ? ムギからメールだ……」
「……」
紬(お願いりっちゃん。わたしを遠くに連れて行って。
(この町の――桜が丘の外に)
47: 2010/07/10(土) 23:03:19.01 ID:DdvACJei0
――
「先天性形質異常。顔半分低形成症。私は片目がない姿で生まれてきた。
「症状だけで分類するなら、単眼症――。お婆ちゃんは私を鬼の子と言い、母を鬼と姦通した売女と口汚く罵った。
それまでは、石女と陰口を叩いていたくせに。
ようやく母に子供ができたと、母のためではなく自分の見栄のために喜んだくせに。
母は心を病んでしまった。私が生まれたせいで、母は壊れてしまった。
だから母は私に償いを求めた。乳離れもしていない私のとろけた眼窩痕に、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も煙草の火を押し付けた。
物心ついたころには母の行為――私の贖罪は既に全身に及び、顔の半分は醜く焼け爛れて、はじめの惨めな鬼子の姿は残っていなかった。
私は言葉を失っていた。
それからすぐに父と母が車の事故で逝去し、お婆ちゃんは迷わず私を捨てた」
――
48: 2010/07/10(土) 23:06:52.13 ID:DdvACJei0
紬『わたしを遠くに連れて行って』
律(なんだってんだよ、ムギ……)
さとう「速く。もっと速く――! ぴょんぴょんぴょんぴょんぴょーん!」
律「ん? なんか今ウサギに変身するイメージが……ってあぶねっ!」
49: 2010/07/10(土) 23:10:32.04 ID:DdvACJei0
――
「そして私は警察、児童相談所、孤児院を経て――孤児院の院長が、足りないお金を必氏に工面して、私に形成手術を受けさせてくれて――里親のところに暮らすことになった。
「彼らは私に謝罪を求めなかった。――それどころか私に罪さえ認めなかった!
私は恐怖した、そして憎悪した。
母は私に贖罪の機会を与えてくれたのに!
こいつらは、私を許してくれないんだ!」
「すぐに気がついて平身低頭した。そうだ、当たり前のことだ。
私は醜い鬼の子なのだ。血もつながっていない彼らが、罪にまみれた私を許す意味がない。
私は自分の思い上がりを恥じた」
――
50: 2010/07/10(土) 23:13:44.67 ID:DdvACJei0
紬「わあ、綺麗……。こんなところがあったのね」
律「ああ、そうだな」
紬「……ごめんなさい」
律「何が?」
紬「うん……ありがとう」
律「……今夜は、星がきれいですね」
紬「うん……月も、とっても綺麗……」
律(ムギ……泣いてる……よな?
(こんなこと、思ったらいけないんだろうけど……)
律「すごく、きれいだ……」
紬「……うん」
51: 2010/07/10(土) 23:16:20.50 ID:DdvACJei0
――
「彼らはやがて、私の腐った性根に気づいた。
「しかしやはり、彼らはそこに罪を認めなかった。
ただ笑って、私に優しく声をかけるだけだった。
私は許されることができずに、ずっとおびえていた」
――
52: 2010/07/10(土) 23:20:00.91 ID:DdvACJei0
紬「りっちゃん、わたし、今日誕生日なの」
律「ああ……知ってる」
紬「先週、急にお父様から連絡があって……今日、一緒に食事をしよう、って」
律「……」
紬「ごめんなさい。つまらないことよね……」
律「つまらないのか?」
紬「だって……たかが誕生日だもの」
律「大事なのは、誕生日じゃないだろ、ムギ。
「だからムギはそんなに苦しんでる。そんなに悲しんでる。
なにもムギに敵うことなんてない、私に助けを求めるくらいに、な」
紬「そんなこと……ない、よ。
「りっちゃんは、わたしなんかよりもずっと強いもの……」
律「……ん?」
53: 2010/07/10(土) 23:23:30.34 ID:DdvACJei0
――
「私の価値観が是正されて、言葉を取り戻すのに、四年間という月日と、彼らのたゆまぬ干渉が必要だった。
「それから私は五年遅れで小学校というところに通いはじめ、
三年前に眼窩造成術を受け、義眼を手に入れて、女子高生という生活を手に入れた」
――
54: 2010/07/10(土) 23:27:51.85 ID:DdvACJei0
律「……んん? ……ははっ。なあ、ムギ」
紬「……?」
律「お前の親父さんは、ムギが思ってるよりも随分と――子煩悩みたいだぜ」
ばばばばばばばばば――――!
律「ブラックホークとフェラーリでお迎えかよ……。恐れ入るね」
紬「――斎藤っ!?」
斎藤「お嬢様! 良かった、ご無事でしたか……」
紬「……。斎藤、フェラーリは人探しには向かないって言ったでしょう」
斎藤「どれだけ車高が低くとも、どれだけ視界が悪くとも、紬様のお姿を見逃すものですか。
「それよりも、一秒でも早くお探しできる足が必要だったのでございます」
紬「……あら。あらら。ねえ斎藤、もう一度言ってちょうだい」
斎藤「お嬢様、さあ、旦那さまがお待ちです」
紬「ねえ、ねえったら、斎藤!」
斎藤「お嬢様、もう子供ではないのですから――抱きつかれては困ります」
紬「いいのよ、口うるさいお父様は軍用機の上だもの、降りてこられないわ。
「もう一回呼んでくれるまで放さないんだから!」
律「おぉ、あのコックピットで操縦桿を奪おうとしてるのがお父さんか……?
「強行着陸なんてされたら、私の隼ちゃんがばらばらになっちゃうわよん」
紬「……?」
律「お前の親父さんは、ムギが思ってるよりも随分と――子煩悩みたいだぜ」
ばばばばばばばばば――――!
律「ブラックホークとフェラーリでお迎えかよ……。恐れ入るね」
紬「――斎藤っ!?」
斎藤「お嬢様! 良かった、ご無事でしたか……」
紬「……。斎藤、フェラーリは人探しには向かないって言ったでしょう」
斎藤「どれだけ車高が低くとも、どれだけ視界が悪くとも、紬様のお姿を見逃すものですか。
「それよりも、一秒でも早くお探しできる足が必要だったのでございます」
紬「……あら。あらら。ねえ斎藤、もう一度言ってちょうだい」
斎藤「お嬢様、さあ、旦那さまがお待ちです」
紬「ねえ、ねえったら、斎藤!」
斎藤「お嬢様、もう子供ではないのですから――抱きつかれては困ります」
紬「いいのよ、口うるさいお父様は軍用機の上だもの、降りてこられないわ。
「もう一回呼んでくれるまで放さないんだから!」
律「おぉ、あのコックピットで操縦桿を奪おうとしてるのがお父さんか……?
「強行着陸なんてされたら、私の隼ちゃんがばらばらになっちゃうわよん」
55: 2010/07/10(土) 23:32:25.21 ID:DdvACJei0
――
「そして、新しい学校で友達もできた。
「義眼のことを教えた子も、一人だけ、いる。
だけど、まだ、もう少し……
母の思い出から離れるのは、もう少しかかりそうだ」
――
57: 2010/07/10(土) 23:36:10.40 ID:DdvACJei0
斎藤「~~~~~っ。はぁ……。
「紬様、どうかご自愛下さいませ」
紬「~~~~~っ!
「……いいわ。許してあげる。帰りましょう、斎藤」
「りっちゃん、……ありがとう」
律「別に、何もしてないよ」
斎藤「ご友人の方ですか。
「お嬢様がご迷惑をおかけいたしました。全てこの、斎藤の不徳の致すところでございます」
律「ご学友の方、だぜ。
「あと……次、迷惑掛けたなんて言ったら、怒るよ」
斎藤「失礼いたしました。
「それではお嬢様、参りましょう。『娘の誕生日を祝えるような器量もない男に、琴吹の総帥は務まらん』とまで啖呵を切っておいでになられたのですから、旦那様をこれ以上お待たせするわけにはいきません。日付が変わってしまいます」
紬「…………」
斎藤「……紬様」
紬「うふふ。うふふふふふっ。
「さっきから、帰りましょう、って言ってるじゃない」
「りっちゃん、またね」
律「ああ。バイバイ」
「紬様、どうかご自愛下さいませ」
紬「~~~~~っ!
「……いいわ。許してあげる。帰りましょう、斎藤」
「りっちゃん、……ありがとう」
律「別に、何もしてないよ」
斎藤「ご友人の方ですか。
「お嬢様がご迷惑をおかけいたしました。全てこの、斎藤の不徳の致すところでございます」
律「ご学友の方、だぜ。
「あと……次、迷惑掛けたなんて言ったら、怒るよ」
斎藤「失礼いたしました。
「それではお嬢様、参りましょう。『娘の誕生日を祝えるような器量もない男に、琴吹の総帥は務まらん』とまで啖呵を切っておいでになられたのですから、旦那様をこれ以上お待たせするわけにはいきません。日付が変わってしまいます」
紬「…………」
斎藤「……紬様」
紬「うふふ。うふふふふふっ。
「さっきから、帰りましょう、って言ってるじゃない」
「りっちゃん、またね」
律「ああ。バイバイ」
58: 2010/07/10(土) 23:39:26.01 ID:DdvACJei0
――
梓「みーおっ」
澪「なに?」
梓「えへへ、呼んでみただけ」
澪「……あずさっ」
梓「なーに?」
澪「呼んでみただけ……」
ちゅっ。
梓「っ!」
澪「……さ、先行ってるぞっ」
梓「………………。……ん?」
とことこ。
たけたち「倫理的、論理的な壁――例えば性別の壁、次元の壁、年齢の壁、モラルの壁――
「それを隔てた恋愛事情は、KMB、完全無欠の美少女梓さまにおまかせよっ」
――
59: 2010/07/10(土) 23:42:25.35 ID:DdvACJei0
斎藤「……いいご友人をお持ちですな」
紬「ええ……自慢のメンバーなの。
「けいおん、だいすきっ」
終わり
60: 2010/07/10(土) 23:46:32.99 ID:PvtnL0kC0
ごめん意味がわからなかった
61: 2010/07/10(土) 23:47:51.26 ID:RdOwvKBd0
同じく
62: 2010/07/10(土) 23:53:23.02 ID:adCYZpPfI
ムギちゃん可愛いはいいとして、片方はなんなの?
あと、せいゆうさんは何?
あと、せいゆうさんは何?
63: 2010/07/10(土) 23:57:12.34 ID:DdvACJei0
みお――ただのトラウマ話
信代――ちょっとした話
風子――人間の汚さにいらつく女の子の話
交換日記――ブレザーを腰巻にしている少女の話
唯――けいおん部の変化を人一倍嫌い、みんなの関係が壊れてしまうことを恐れている女の子の話
スタビライザは憂
鬼太郎――片目を隠している女の子の話
姫子ちゃんの話・三人娘の話・和ちゃんの話・澪ファンクラブの子の話・佐々木さんの話・さわちゃん先生と写真を撮った子の話
――りっちゃんたちの話が終わった都合で省略されました
信代――ちょっとした話
風子――人間の汚さにいらつく女の子の話
交換日記――ブレザーを腰巻にしている少女の話
唯――けいおん部の変化を人一倍嫌い、みんなの関係が壊れてしまうことを恐れている女の子の話
スタビライザは憂
鬼太郎――片目を隠している女の子の話
姫子ちゃんの話・三人娘の話・和ちゃんの話・澪ファンクラブの子の話・佐々木さんの話・さわちゃん先生と写真を撮った子の話
――りっちゃんたちの話が終わった都合で省略されました
64: 2010/07/10(土) 23:59:08.90 ID:DdvACJei0
ムギちゃんは斎藤に恋しているわけではありません
子供が親に懐くようなものです
声優さんはひかささん以外、他のアニメから出張ってきてもらいました
もう片方はあずみおですが
りっちゃんのバイクを生かすために恋してもらいました
子供が親に懐くようなものです
声優さんはひかささん以外、他のアニメから出張ってきてもらいました
もう片方はあずみおですが
りっちゃんのバイクを生かすために恋してもらいました
65: 2010/07/11(日) 00:00:22.25 ID:GoGErzt4I
鬼太郎ちゃん波瀾万丈すぎだろ……
乙
乙
引用: 紬「りっちゃんバイク買ったんだ
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