1: 2010/07/25(日) 02:57:59.18 ID:dVEfNcLr0
私が大学3年になった暑い夏の日、久しぶりに律から電話があった。

澪「はい」

律「あっ、出た。いきなりでごめん、あのさ、パチンコしてたら子供が氏んでたんだ…ハハハッ」

澪「はっ?なんの冗談だ?久しぶりに電話してきたと思ったら、悪い冗談はやめろよ!」

律「冗談じゃないって!パチンコして出てきたら、車の中でぐったりしててさ…息してないんだよ」

澪「お、おい…救急車は呼んだのか?」

律「いいや、呼んでないよ!」

澪「だったら、私に電話する前に救急車呼べよ!!」

律「怒るなよ、澪!」

澪「私も行くから、場所教えろ!!で、電話切ったらさっさと救急車呼べ!!」

律「分かったよ、もう…」
けいおん!Shuffle 3巻 (まんがタイムKRコミックス)
4: 2010/07/25(日) 03:02:26.91 ID:dVEfNcLr0
親の車を借りて、駅前のパチンコ屋へ向かう。
考えるのは律の子供の事だ…
律は高校卒業後に付き合い始めた彼氏と出来ちゃった結婚した。
あいつは、音楽系の専門学校へ行き、将来はミュージシャンを目指していた。
その専門学校で旦那さんと出会い、妊娠…
あいつの人生は変更を余儀なくされた。
私も律の出産に立ち会った。生まれてきた子供を初めて見た律の顔はすっかり母親の顔だったのに…

7: 2010/07/25(日) 03:11:39.75 ID:dVEfNcLr0
駅前のパチンコ屋に着くと、律の姿は無かった…
車の中からパチンコ屋の駐車場を覗くが律の姿はない…
辺りを見回していると、救急車のサイレンの音が近づいてくる。
その音は、パチンコ屋には近づかず、近くのスーパーの駐車場へと吸い込まれていった。
私もスーパーの駐車場へと車を走らせる。
スーパーの駐車場は救急車を中心に既に野次馬でいっぱいになっている。
私は空いてるスペースに車を停めて、その野次馬の中に入っていく。

8: 2010/07/25(日) 03:18:37.38 ID:dVEfNcLr0
澪「律!!」

律「あっ!澪!来てくれたんだ!子供なんだけど心停止して長い時間たってて駄目かもだって…ハハハッ」

澪「笑い事じゃないだろ!!」

律「ああ、一応、これから病院に搬送だって!」

澪「だったら、もっと真剣な顔しろ!ヘラヘラして!」

律「怒るなよ!」

救急隊員「それじゃあ、搬送しますので付き添いの方は乗ってください」

澪「あの?どこの病院に搬送するんですか?」

救急隊員「〇〇総合病院です」

澪「ありがとうございます。律!私も向かうから」

律「ああ」

9: 2010/07/25(日) 03:26:22.09 ID:dVEfNcLr0
そうして救急車は律と律の子供を乗せ行ってしまった。
それにしてもパチンコ屋にいるって言ってたのに、どうしてスーパーの駐車場なんだ…
そんな事を考えるが、今は病院に向かうのが優先だ。
助かって欲しい…そう思い、私は急いで車に戻り病院へと向かった。

病院へ着くと私は急いで車を停めて病院内へと向かった。
受付で聞くと救急センターに運ばれたことが分かった。
受付の人に救急センターの場所を聞き急ぎ足で向かう。
救急センターに着くと、廊下の椅子の所で律が座っていた。
私は律の隣に黙って腰をかけた。

11: 2010/07/25(日) 03:33:38.51 ID:dVEfNcLr0
律「あっ…澪か…」

澪「で、助かりそうなのか?」

律「駄目なんじゃないか?救急車の中で覚悟してくださいって言われたし…ハハハッ」

澪「だから!どうしてそうヘラヘラ出来るんだよ!!」

律「静かにしろよ、病院なんだぞ」

澪「ごめん…お前は助かって欲しくないのかよ?」

律「流石に、助からないって…車の中に3時間いたんだぞ…」

澪「そういえば、なんで車移動してたんだ?」

律「ほら、パチンコ屋だとイメージ悪いだろ…世間体って奴だ…」

澪「お前な…」

14: 2010/07/25(日) 03:43:33.25 ID:dVEfNcLr0
そうこうしていると、救急センターの扉が開いた。
中から医師らしき人が出てきて、律の前へと進んできた…深刻な顔をしている。
そして、律へ子供が氏亡したことを伝えた。
私の視界は暗くなる…あんなに笑顔が可愛い元気な子だったのに…
律の方を見るとあっけらかんとしている。

律「それで、どうしましょうかね?」

律から信じられない言葉が出てくる。おい…自分の子供が氏んだんだぞ?
お前は悲しくないのか?
律の言葉に医師も困惑の表情を見せる。

16: 2010/07/25(日) 03:49:22.54 ID:dVEfNcLr0
律「取り敢えず、この場合は葬儀屋に連絡ですかね?ハハハッ、初めてなもんで…」

呆れる…こいつは自分の子供が氏んだのに悲しくないのか…

医師「…、この場合は警察に連絡して司法解剖を行わないと駄目なんですよ…」

律「へっ?困ります、さっさと葬式挙げないと…」

医師「法律で決まっているので、申し訳ございません…お子さんに会われますか?」

律「え、いや…旦那とか実家とかに連絡入れたいので、ちょっと待ってもらえますか?」

医師は律の返答に半ば呆れ顔で中へと戻っていった。
私は医師に声をかけて中へ入ることにした。
律の方をチラッと見ると携帯を出してどこかへ電話を始めた。
律の子供を見て私は驚愕した…顔が真っ赤に腫れ上がって紫色に変わっている部分もある…

18: 2010/07/25(日) 03:56:39.91 ID:dVEfNcLr0
医師「お母さんの話だと、ほんの10分ほど車を離れていたそうですが、10分ほどでこんな事にはなりません…」

澪「はあ…」

そう答えるのがやっとだった…可哀想に…熱くて苦しくて…涙が溢れてくる…

数日後、律から電話があり明日葬式を挙げると告げられた。
電話越しの律はなんだがヘラヘラとした軽い声だ。
そんな律の声に私は早々に電話を切り、布団へと潜り込んだ。

21: 2010/07/25(日) 04:06:42.54 ID:dVEfNcLr0
連絡のあった葬儀場に着くと、放課後ティータイムの面々やさわ子先生、憂ちゃん、和が先にいた。
こんな形で再会はしたくなかった…
葬儀は滞りなく進み、葬儀後、私達はロビーで今回の事を話していた。

唯「びっくり、したよーもう、りっちゃんから久しぶりに電話あったと思ったら、子供が氏んだって…」

紬「私もびっくりしたわ…」

梓は下を向いて今にも泣きそうだ…私もそうだ…
自分たちに近い人の氏なんて体験したことがない…

23: 2010/07/25(日) 04:12:49.02 ID:dVEfNcLr0
紬「急だったね…澪ちゃん何か知ってる?」

澪「まあな…律から電話あったんだよ…『子供が氏んでる』って…」

紬「そうなんだ…普通だと、どうして氏んだのか話してる人いるのに、誰も話してくれないよね」

澪「それは…車の中で氏んでたんだ…この前、凄く暑い日あったろ…あの日なんだ…」

梓「あ、あの…」

下を向いていた梓が小さな声を出す。

澪「ん?どうした?梓」

梓「私…聞いちゃったんです…多分、律先輩の親族の方だと思うんですが、律先輩の子供、虐待の跡があったらしいんです…」

律が虐待??あの子が生まれたときはあんなに幸せそうだったのに…律に限って虐待なんて…

24: 2010/07/25(日) 04:19:25.43 ID:dVEfNcLr0
澪「ほ、本当なのか…梓…」

梓「近くではっきり聞いたので間違えないです。それに変じゃないですか?こんなにお葬式が遅れるなんて…」

そんな話をしていると、喪服姿の律がやってきた。

律「おー!みんな、ゴメンな!葬式に来てもらって」

そんな律の軽い態度に、真っ先に反応したのは梓だった。
私は梓に目で合図を送る。私の合図に気がついた梓はどうにか我慢してくれている。

唯「りっちゃん、大丈夫?泣かないでね…」

律「泣かない、泣かない!大丈夫、ピンピンしてるよ!」

紬梓「…」

律「ごめん、もう行かなきゃ、他にもいろいろ挨拶して回らないといけないから…あーっ、面倒臭い…」

そう言い残すと律は行ってしまった。
律が行った後、我慢しきれなくなった梓が怒りを表にする。

27: 2010/07/25(日) 04:28:52.07 ID:dVEfNcLr0

梓「信じられません!なんですか!あの律先輩の態度!自分の子供が氏んだんですよ!面倒臭いって!」

紬「ねぇ…りっちゃん変わったね…」

唯「どうしたんだろうね、りっちゃん…」

そして私達は後味が悪いまま葬儀場を後にした。

28: 2010/07/25(日) 04:31:13.88 ID:dVEfNcLr0
私は数日後、律が今住んでるアパートへ向かっている。
律の様子を見に行くためだ。律の態度もそうだが、梓が言っていた虐待の話も気になったからだ。
アパートに着き、チャイムを押す…中から明るい律の声が聞こえる。
律の部屋のドアが開く。

律「はーい!あっ、澪か」

澪「今、大丈夫か?」

律「ああ、入って、入って!」

部屋の中に入ると小さな祭壇がある。

律「こうやって、骨になっちゃうとあれだな」

澪「なんだよ?」

律「なんとも思わないというか何と言うか…」

32: 2010/07/25(日) 04:41:07.89 ID:dVEfNcLr0
怒りが込み上げてくる。込上がってくる怒りを抑えて私は律に話しかける。

澪「そういえば、旦那さんわ?」

律「葬儀が終わったら、どっか行っちまったよ…ハハハッ…薄情な奴…」

薄情なのはお前もそうだろう…

律「さっぱりしたよ、氏んでくれて…」

もうダメだ…

澪「はあ!?律、お前何言ってるんだよ!さっぱりしたって!人が氏んでさっぱりしたって?お前の子供なんだぞ!」

律「何、ムキになってるんだよ?正直な、上手く行ってなかったんだよ!私達夫婦!
あいつは最初は優しかったけど、段々と家に帰ってこなくなりるし、生活費もまともに入れてくれないし、
それに、子供は昼も夜もないんだ!わかるか?澪!私の気持ちが!」

36: 2010/07/25(日) 04:49:11.47 ID:dVEfNcLr0
澪「だからってな!律、さっぱりしたって言うお前は私は許せない!お前あの子に虐待とかしてたんじゃないか?」

律「ああ、そんな事まで知ってるんだ…親戚のババア達か…チッ…あれだけ変な事は言うなって言って置いたのに…」

澪「なんだよ…否定しろよ…」

律「否定?事実だよ!子供ほっておいてパチンコしてたのも事実だし、虐待も事実だ!これが現実なんだよ!!」

澪「もういい…帰るわ…私…」

玄関へ向かうと、扉が開いた。そこにいたのは律の旦那だった。
子供が生まれた以来か…あの時とは違い今はチャラチャラした格好をしている。
私の後ろから律の怒った声が聞こえてくる。

37: 2010/07/25(日) 04:58:00.04 ID:dVEfNcLr0
律「お前!今までどこ言ってたんだよ!!」

旦那「ああ?どこでもいいだろ!お前に関係ねーっ!」

律「子供がこんな事になったのに!!私は親戚中の笑いものになってるんだぞ!お前のせいだ!」

旦那「うるせいよ!頃したのはお前だろうが!」

律「な、お前にも責任あるだろう!!」

旦那「ガキも氏んだことだし、離婚しようぜ、俺たち。もうお前と一緒にいたくないからよ」

律「それはこっちのセリフだよ!ろくに働きもしねーし、帰ってきたと思えば子供に虐待するし!
それに、離婚するなら慰謝料タンマリ貰うからな!」

旦那「はぁ?お前何言ってるだ?」

律「慰謝料だよ!慰謝料!」

いつもこんななんだろうか?私は律の旦那の横を通り、律に声もかけずにアパートを後にした…
こんな姿は正直見たくなかった…

41: 2010/07/25(日) 05:05:29.51 ID:dVEfNcLr0
それから数日後、家で大学のレポートしていると母親が慌てて部屋に入ってきた。
母を落ち着かせ話を聞くと警察の人が訪ねてきてるらしい。
私は、母に大丈夫と告げ階段を降りて玄関へと向かう。

警官「秋山 澪さんですね?」

澪「はい…なんの御用でしょうか?」

警官「あなたの友人の〇〇律さん、ご存知ですよね?」

澪「はい、それで?」

警官「お子さんが亡くなった件でお話を伺いたいのですが…」

澪「律から話し聞いてないんですか?」

警官「あなたも病院にいたようなのでわかると思いますが司法解剖でですね…虐待の疑いと氏因に関して不可解な点がありまして…」

澪「あの…具体的に言ってもらえませんか?」

42: 2010/07/25(日) 05:11:32.76 ID:dVEfNcLr0
警官「あのですね、虐待の件は知ってましたか?」

澪「知る訳ないじゃないですか!何言ってるんですか!」

警官「すいません。後は氏因なんですが、おかしな点がありまして、10分ほどであの様な事にはならないんですよ、
長時間車の中に放置しないとね。彼女からも話を聞いたんですが、あなたに聞いてくれの一点張りで…それで、今回お話を聞きに来たんですよ」

澪「律はなんて言ってたんですか?」

警官「買い物してて、暑いから子供の様子見に行ったら息していなかったと…それであなたに電話したと…」

澪「事実です。律の言っているとおりです…」

警官「はぁ…そうですか…もしかしたら、またお話を伺う事があると思いますが協力お願いします」

澪「はい…」

そう言うと警官は帰っていった…家のドアが閉まると足がガクガクと震えだした…
嘘を付いてしまった…こう言うのは罪になるのだろうか…?偽証罪とか…
振り返ると母が心配そうな顔で私を見ている、私は母に大丈夫と告げ急いで部屋に戻った。

44: 2010/07/25(日) 05:17:28.12 ID:dVEfNcLr0
その夜、律に電話をした。あまり話したくないが一応、警察が来たことを話しておきたかったからだ。

澪「律か?」

律「ああ、そう言えば警察行かなかったか?」

澪「来たよ!その事で電話したんだ」

律「澪、お前余計なこと言ってないよな?」

澪「なんだよ?余計なことって!」

律「私がパチンコしてた事とか、虐待の事とか…」

澪「話してないよ…というか、もう、私を巻き込まないでくれ…」

律「チッ…分かったよ!悪かったな、迷惑かけて!じゃあ、切るから!」

そうして、律は怒り気味に言うと電話を切ってしまった。
私ももうこの事は忘れよう…
正直、もう関わりたくない…あんな律を見たくない…

45: 2010/07/25(日) 05:18:15.41 ID:dVEfNcLr0
週末、私は母に頼まれて買い物に出かけた、あの事件の事もありモヤモヤしていたから
気分転換になると思い、外に出ようと思っていたからだ。
駅前の方にい向かうと、あの事件の事を思い出すが、これからも通るだろうこの道を避けるわけには行かない。
パチンコ屋の前に差し掛かった時だった。
見覚えのある姿が出てきた、律だ…
律は携帯の画面を見ながら周りを気にしている。
そうしてると、向かいにいる男の人に手を上げている。
その男の人を見ると私も知らない人だった。
私は律の後をつけてしまった…
気がつかれないように後をつけると二人は路地に入った…
この路地って…確かラOホテルがあったような…
路地から覗き込むと二人はラOホテルに入っていった…
何やってるんだよ…律…子どもが氏んだばっかりなのに…
それも旦那以外の男の人と…
訳がわからない…私は混乱して…走りだした…
母から頼まれた買い物も忘れ家へと急ぐ…

54: 2010/07/25(日) 05:28:53.62 ID:dVEfNcLr0
その夜のことだった、12時を過ぎたぐらいだった携帯がなった。
律からだった…出たくはなかったが嫌な予感もしたから仕方なく出ると
掠れ声で律が助けを求めてくる…

律「あ…やっぱり、出てくれた…すまん…助けてくれ…澪…」

澪「どうしたんだよ…助けてって…」

律「旦那と喧嘩してな…そしたらさ、あいつ殴りかかってきて…今私、動けなくて…」

澪「はぁ?大丈夫なのかよ…」

律「大丈夫じゃないかも…」

澪「分かった、今行くから待ってろ!」

そうして私は家を飛び出した…
もう律には関わらないと決めていたのに…でも、やっぱり…あいつは私の親友だ…

60: 2010/07/25(日) 05:36:16.15 ID:dVEfNcLr0
アパートに着くと、チャイムを鳴らさずドアを開けた。
ドアを開けて私はゾッとした…そこには血塗れの律が横たわっていた。
私は靴を脱ぐのを忘れて、律に駆け寄る。

澪「大丈夫か?律!しっかりしろ!」

律「へへっ…どうにか生きてるよ…」

澪「って!血塗れじゃないか!」

律「あいつ久しぶりに帰ってきたと思ったら、怒鳴り散らしてさ…離婚話したら殴りかかってきたんだよ…
抵抗する暇もなくてさ…この様だよ…」

61: 2010/07/25(日) 05:40:14.73 ID:dVEfNcLr0
澪「と、取り敢えず、病院いこうな!立てるか?」

律「駄目かも…」

澪「仕方ないな…ほら掴まれ!」

律「うん…ありがとう…澪…」

澪「何言ってるんだよ…私達、親友だろ…」

律「親友か…こんな私でも親友だって思ってくれるんだ…」

澪「そんな事より、行くぞ!」

律「うん…」

63: 2010/07/25(日) 05:44:34.96 ID:dVEfNcLr0
そうして、律を車に載せて病院へと急いだ…
幸い、出血はしてるものの怪我はたいした事なくてすんだ。
一応、今日は病院に泊まることになった。
病室に入ると律は寝ていた。
律を起こさないように、ベット横の丸椅子に静かに座った。
すると律が話しかけてきた。

律「澪?」

澪「ごめん…起こしたか?」

律「ううん」

澪「そうか…」

律「ごめんな…いろいろと…」

澪「イイって…でも…律変わったな…」

律「夢だけじゃ…現実は乗り越えていけないんだよ…世間は厳しすぎる…」

65: 2010/07/25(日) 05:48:11.12 ID:dVEfNcLr0
澪「でも…そうなら…もっと速くに相談して欲しかった…」

律「そうだな…ごめんな…こんな親友になっちゃって…」

澪「律はどこまでも私の親友だよ…」

律「うん…」

澪「旦那に殴られたって…離婚話だけでこんな事になるか?他に何かあるんじゃないのか?
私、昼間、お前を見たんだよ…パチンコ屋から出てきて男の人とラOホテルに入るところを…」

律「そうか…見られちゃったか…最低だろ?私…パチンコ代稼ぐのに援助交際してたんだよ…笑ってくれてもいいぞ…」

澪「馬鹿…もっと自分を大事にしろよ…」

律「旦那はさ、全然家に生活費入れてくれないし…育児は大変だし…気分転換と生活費をどうにかするためにパチンコに走ったんだけど…
世の中、楽して儲かるわけなくてな…それで、援助交際で生活費とパチンコ代稼ぐようになったんだ…」

澪「律…」

律「最初は抵抗あったんだけどな…2時間我慢するだけで2万とか貰えるんだ…
だんだん、感覚が麻痺していってな…やめよう、やめようと思ったんだけどな無理だった…
そしたらさ、バチが当たったんだよ…あいつに見られててさ…
その事もあったんだろな…この様だよ…」

66: 2010/07/25(日) 05:54:38.11 ID:dVEfNcLr0
澪「律…ごめんな…早く気がついてあげれなくて…」

律「なんで澪が謝るんだよ…悪いのは全部私だ…」

澪「着替必要だろ…取りに行ってくるよ…」

律「ごめん…何から何まで…」

澪「いいって…じゃあ、行ってくる…」

律「うん…」

そうして私は病室を後にした。

69: 2010/07/25(日) 06:02:06.44 ID:dVEfNcLr0
律のアパートに向かい、部屋へと入って律の着替を用意する。
そうこうしていると、ドアが開く音がした。
ドアの方を見ると律の旦那がいた。
私は旦那をキッと睨みつけると黙って律の着替えの準備をする。

旦那「あれ?馬鹿律は?」

澪「律なら病院に連れて行きました」

旦那「ははっ、やり過ぎたか?」

澪「女性に暴行するなんて最低ですね…」

旦那「何言ってるの?あいつが悪いんだよ?昼間っからパチンコ行って、他の男とラOホテルに行って」

澪「何言ってるんですか!あなたが生活費入れないからでしょ!律は仕方なくやってたんですよ!!」

旦那「流石、律の親友だけあるね、あいつの肩持つんだ…ははっ」

澪「早く!律と別れてください!この最低男が!」

旦那「ああ?最低だ?最低っていうのはな、こういう事を言うんだよ!」

71: 2010/07/25(日) 06:06:39.91 ID:dVEfNcLr0
律の旦那は私に襲いかかってきた…私は一瞬何が起こったのか分からなかった…
旦那は私を押し倒すとTシャツをめくり上げると胸を揉み始めた…

澪「いや!!やめろ!!」

旦那「うるせい!」

頬に激痛が走る…旦那は私にビンタをした。

澪「離せ…離せ…」

旦那「前から良い体してると思ってたんだ!!」

そう言うと旦那は私の体を貪り始めた…
最初こそ抵抗していたが、所詮女の力だ…叶うはずがない…
私は抵抗するのをやめた…目を瞑り歯を食いしばり…悍ましい行為が終わるのを待った…

私がぼーっとしていると旦那は服を着て、またどこかへ行ってしまった…

77: 2010/07/25(日) 06:15:03.74 ID:dVEfNcLr0
私は身なりを直し、律の待つ病院へと向かった。
途中、何度も泣きそうになったが…泣くのを堪えて車を走らせる。
律の病室の前に着き、ドアを開ける前に深呼吸をした。
そして、ドアを開けて中へと入った。

律「遅かったな、澪。何かあったのか?」

澪「ううん…家から電話があって話してたりしてな…遅れてたんだ…」

律「あれ?ほっぺた赤いぞ?やっぱり、なんかあったんじゃないのか?」

澪「ないない!何にもないから!」

律「本当か?も、もしかして…あの馬鹿が…」

澪「あ…う…何にも無いから!!着替!ここに置いておくからな!明日迎に来てやるから大人しくしてるんだぞ!
私はもう帰るから…」

律「ああ…」

私は逃げるように病院を後にした。正直あれ以上、病室にいたら律にバレてしまいそうだったからだ。
この事は私の中に閉まっておく。これ以上、律を不幸にしたくない…

85: 2010/07/25(日) 06:21:31.04 ID:dVEfNcLr0
翌日、7時ぐらいだろうか携帯が鳴った。
電話に出るとそれは律がいる病院からだった。
律がいなくなった…
何やってるんだよ…律…大人しくしてろって言ったじゃないか…
私は着の身着のまま飛び出すと車に乗り込むと走りだした。
律が行きそうな所…どこだ?私達が卒業した学校?パチンコ屋?
冷静になれ澪!でも…全然冷静になれない…
嫌な予感だけがよぎる…

87: 2010/07/25(日) 06:26:07.81 ID:dVEfNcLr0
闇雲に車を走らせた…でも、律は見つからない…
そうこうしているうちに太陽は傾き、黄金色の夕日へと変わっていた。
私は車を路肩に止めて、次に捜すべき場所を考えていた。
携帯のバイブが震える。
携帯の画面に眼をやると律からの着信だ。
急いて電話に出る。

律「澪…仇は取ったからな…」

澪「何言ってるんだ!それよりお前、今どこにいるんだよ?」

律「国道近くの工事現場分かるか?あいつそこの仮設の事務所で寝泊りしててさ…
今、そこにいるんだよ」

澪「分かった!すぐに行くから!そこにいてくれ!」

律「ああ」

88: 2010/07/25(日) 06:30:07.46 ID:dVEfNcLr0
電話を切ると、急発進で車を走らせた。
工事現場に着き適当なところに車を停めると、仮設の事務所へと向かう。
事務所の窓を見ると赤いものが付いてるのが分かる…嫌な予感がする…
事務所のドアを開ける。

澪「律!大丈夫か!律!」

律「へへっ…やっときた…」

澪「馬鹿!馬鹿律!」

律「馬鹿、馬鹿言うなよ…自分が馬鹿なのは知ってる…」

澪「それより、仇ってなんだよ?」

私は狭い部屋の中を見渡した。
部屋の隅にひかれている布団の上に血塗れの律の旦那が横たわっている。

律「あいつ、澪に酷い事したからな頃してやったんだよ!」

澪「馬鹿!私の事なんかほっておけばいいのに!」

律「そうはいかない!澪は私の親友だからな…あいつ…氏に際になって謝ってきたんだよ…今までのこと…遅いつーの…」

90: 2010/07/25(日) 06:34:40.86 ID:dVEfNcLr0
澪「律…それより、お前は大丈夫なのか?」

律「大丈夫じゃないな…」

律の体をよく見ると、律の脇腹に果物ナイフが刺さっている。

澪「お前…」

律「最後の抵抗だな…刺されてちゃったよ…ハハハッ」

澪「馬鹿!すぐに救急車呼んでやるから!」

救急車が到着する前に律は気を失っていた。
私は泣きながら律に声を掛ける…律は反応してくれない…
そうこうしてると救急車が来た。
救急隊員に律の事を伝える。別の隊員が奥で倒れてる律の旦那に駆け寄る。
旦那の氏亡を確認して無線で警察に連絡をしている。
私は救急車に乗り込み病院へと向かった。

91: 2010/07/25(日) 06:38:14.03 ID:dVEfNcLr0
どうにか律は一命を取り留めた。
今は順調に回復している。
でも…律は近いうちに警察病院へと転院させられてしまう。
律には旦那への殺人と子供への幼児虐待の疑いがかけられている。
警察病院への転院前、私は律に会いに行った。

澪「律…元気か?」

律「どうにかな…ホント、迷惑ばっかり掛けてるな澪には…昔からそうだ…」

澪「何言ってるんだ…お互い様だろ…」

律「でも、もう澪に合うことはないな…」

澪「そ、そんな事言うなよ…」

律「もうすぐ警察病院に転院だってさ…そうしたらもう合うこともないよ…私の事は忘れてくれ…」

澪「忘れない!絶対、忘れない!誰がなんて言おうと私は律のことは忘れない!」

律「澪ちゃんたら…いつからそんな我儘言うようになったのかな?」

澪「うるさい!馬鹿律!」

律「でも…もう合うことはないから…」

澪「…」

92: 2010/07/25(日) 06:42:40.36 ID:dVEfNcLr0
その数日後、律は警察病院へと転院した。
そして、あの事件から3ヶ月が過ぎた頃だった…私の体に異変が起こった…
あの時のあの行為で私は妊娠した。
私は律に面会に行った。
律はびっくりした表情で私を見ている。

律「なんでだよ…なんで来たんだよ…」

澪「律に話したいことがあったから来たんだよ!それに、来るのは私の自由だろ!」

律「だけど…忘れろって言ったじゃないか!」

澪「…」

律「話ってなんだよ…?」

澪「あのな、律……私、妊娠したみたいんだ…」

律「もしかして…あの馬鹿のか…?」

澪「うん…」

律「チッ…不幸になるのは私だけでいいのに…澪まで不幸にしやがって…」

93: 2010/07/25(日) 06:47:24.92 ID:dVEfNcLr0
澪「でな…」

律「澪…お前…もしかして産むとか言わないよな…それだけは辞めてくれ…」

澪「私…産みたいんだ…あんな事で出来ちゃった子供だけど…この子には罪はないから…」

律「あんなロクでナシの子供なんて!下ろせ!澪!お前が不幸になる!」

澪「もう、産むって決めたんだ…律が刑期を終えて出てきた時に、これが私の親友だって紹介するのが今の私の夢なんだ…
だから、律分かってくれ…」

律「ば、バカ野郎!馬鹿…馬鹿…」

そう言うと律は下を向いて泣き始めた…
私もそんな律を見て涙が溢れてきた。
それから私は極力体のラインが出ない服を着る様にした。
とにかく誰にもバレないように、6ヶ月を過ぎるのを待った。
そして、子供が下ろせない時期になって親に話した。
そこからは親との喧嘩の毎日だった。
そして、しぶしぶ産むことを許してくれた。
大学は中退し子供を無事出産した。

いつか私の親友に合う時まで一生懸命この子を育てようと思う。

ーおわりー

この後エピローグ書きます。

95: 2010/07/25(日) 06:48:35.13 ID:UDcquytm0

100: 2010/07/25(日) 06:53:19.35 ID:dVEfNcLr0
ーエピローグー

あの事件から2年が過ぎた…あの日の夏の様に今日も天気がいい。
今頃、律は何をしてるだろう…私は無事、元気な男の子を出産したぞ…早く律に合わせたい…
でも、2年ってあっという間だな…毎日子育てに追われていると時間が過ぎるのが早い。
たまに唯や梓が遊びに来てくれる。どうやら、唯の事がお気に入りのようだ。
唯が来ると元気一杯になる。このまま、いい子に育って欲しいと思う。

103: 2010/07/25(日) 07:00:55.35 ID:dVEfNcLr0
そんな事を思いながら私は目の前の銀色の玉を目で追っている…
考え事しながらのパチンコは集中していないから全然出ない。
「はぁ…今日も出ないな…」
独り言をつぶやく…
律の言っていた通りだった…現実は厳しい…
大学を中退した私に、自分で選べるような仕事なんてない…
大学を中退した、子持ちのシングルマザー
これだけで、かなりのマイナスの様だ…
面接ではセクハラ紛いの質問も受けた。
そうして見つかったのは、弁当工場でのパートだった。
パートは午前中に終わる。
パートが終わると私はパチンコ屋でパチンコに興じている。
子供は親が見てくれているから、律のようにはならないと思う。
パチンコ台の横に置いてある携帯のバイブが震える。
私はメールの内容を確認するとパチンコ屋をあとにする。
今日も太陽が眩しい。私はポケットからタバコを取り出すと火を着けて
タバコの煙を太陽に向けて吐いた。
「さて、今日ももう一仕事してから帰るかな」
私は待ち合わせ場所へと急いで向かった。

ーおしまいー

104: 2010/07/25(日) 07:02:49.37 ID:oO3PJPLF0
おい











おい

105: 2010/07/25(日) 07:03:02.63 ID:UDcquytm0
乙。ほとんど律と同じ道を辿ることになるのか

113: 2010/07/25(日) 07:11:53.18 ID:dVEfNcLr0
>>111
マジ!?夏のバカヤロー!!
まあ、良いか。
電波王から書き込みあったしwwww

引用: 律「パチンコしてたら子供が死んでた」澪「はっ?」