1:◆qbWu2o7Q.Y 2013/12/01(日) 16:12:30.63 ID:Mktnjw1f0
???(その日 僕たちは思い出した)




???「エクストリーーーーーーーム!」

???「これってまさに…絶望だよね!」




???(ヤツに支配されていた恐怖を…)




???「アーッハッハッハッハッハ!!」




???(鳥籠の中に囚われていた屈辱を…)

進撃の巨人(34) (週刊少年マガジンコミックス)

2: 2013/12/01(日) 16:13:56.61 ID:Mktnjw1f0
アルミン(まずはオーソドックスに自己紹介から始めたいと思う。
     僕の名前はアルミン・アルレルトだ)

アルミン(外見は、ご覧の通り、どうしようもないほど平均的な普通の男子…)

アルミン(中身の方も同じ…いや、普通の子よりも弱虫で、
いつも親友に助けられてばかりいる)

アルミン(そんな弱虫の僕は、今…)

アルミン(兵団の訓練所という似つかわしくない場所に立っている訳だけど…
     これには理由があるんだ)

3: 2013/12/01(日) 16:14:37.69 ID:Mktnjw1f0
アルミン(今から2年前、超大型巨人と鎧の巨人の出現によって、
僕たちは故郷を失った)

アルミン(親友の母親は巨人に食われ…
僕の家族も、壁内の口減らしのために殺された)




???『駆逐してやる!!』

???『この世から…一匹残らず!!』




アルミン(かつて親友がそう誓ったように…)

アルミン(僕も強い意志を持って、訓練兵団への入団を決めた)

アルミン(そして…)

4: 2013/12/01(日) 16:15:39.61 ID:Mktnjw1f0
???「ただいまより、第104期訓練兵団の入団式を行う!」




アルミン(そう…今日この日こそ、待ち望んでいた兵士への第一歩なのだ)

アルミン(正直不安はある。軟弱な僕が、
     生き地獄とよばれる過酷な訓練に耐えられるのかどうか…)




???「私が運悪く貴様らを監督することになった…」




アルミン(でも、もう決めたんだ。自分の心で決めたんだ)

アルミン(僕は親友の…)

5: 2013/12/01(日) 16:16:25.01 ID:Mktnjw1f0








アルミン(親友…の…)








6: 2013/12/01(日) 16:17:00.80 ID:Mktnjw1f0








PROLOGUE

ようこそ絶望兵団








7: 2013/12/01(日) 16:17:50.05 ID:Mktnjw1f0
???「アルミン!?」




アルミン(あれ…)




???「アルミン!しっかりして!」




アルミン(おかしいな…眠っちゃってたのかな)

アルミン(じゃあ今のは…夢?)




???「アルミン!大丈夫!?私がわかる!?」




アルミン(誰かが僕を呼んでる…この声は…)

8: 2013/12/01(日) 16:18:52.77 ID:Mktnjw1f0
アルミン「ミカサ…?」




アルミン(僕が名前を呼ぶと、“その人”の顔がパッと明るくなった)




ミカサ「アルミン!よかった!」

アルミン「…えっと、ミカサ…だよね?」

ミカサ「? 何を言ってるの。もしかしてまだ意識が…」

アルミン「意識?」

ミカサ「あなたは今まで気絶していた。私も…ついさっき目が覚めた」

9: 2013/12/01(日) 16:19:44.58 ID:Mktnjw1f0
アルミン「気絶?僕だけじゃなくてミカサも?」

ミカサ「うん」

アルミン「おかしいな…たしか僕は入団式にいたはずだけど…」

ミカサ「私も同じ。急にめまいがして、気がついたらここにいた」




アルミン(訳がわからない…やっぱり夢じゃなかったのかな)

アルミン(…そう、たしかに僕は…入団式にいたはずなんだ)

アルミン(それなのに、その最中に二人同時に気を失うなんて…
     あり得るんだろうか)

10: 2013/12/01(日) 16:20:46.89 ID:Mktnjw1f0
アルミン(…“二人同時”?)




アルミン「ねえ、ミカサ…エレンは?」

ミカサ「…わからない。この部屋にいるのは、私とあなただけ」




アルミン(僕は周囲を見回した)

アルミン(かなり大きな部屋だ。簡素なテーブルやイスがたくさん並んでいる)

アルミン(…集会場だろうか?)




ミカサ「あっちに扉がある。とりあえずここから出よう」

11: 2013/12/01(日) 16:22:01.93 ID:Mktnjw1f0
アルミン(扉を開けると…)




???「おっ、また新しいやつが来たみたいだぜ」

???「君たちも入団志願者…だよね?」




アルミン(10人ほどの男女が、こちらに顔を向けた)




アルミン「えっ…じゃあ君たちも?」

ライナー「まあな。俺はライナー・ブラウンってんだ」

ベルトルト「僕はベルトルト・フーバーだよ。よろしくね」

12: 2013/12/01(日) 16:24:40.31 ID:Mktnjw1f0
アルミン(見上げるような長身に、ガッシリとした体格…
     まさに“兵士”と呼ぶにふさわしい、そんな外見の二人だった)




ライナー「そちらさんの名前も教えてもらっていいか?」

アルミン「ん?…ああ、ごめん。僕はアルミン・アルレルト。
     シガンシナ区の出身なんだ」

ベルトルト「えっ、シガンシナ区って…」

アルミン「うん…超大型巨人と鎧の巨人の襲撃を受けた地区だよ。
     僕とここにいるミカサは、間一髪で逃れてきたんだ」

ミカサ「…どうも」

13: 2013/12/01(日) 16:26:05.75 ID:Mktnjw1f0
ライナー「そうか…そいつは大変だったな」

アルミン「うん…」

ベルトルト「…」

ライナー「…ん?そういえば、お前らの他にも
     シガンシナ区出身の奴がいたような…」

ミカサ「!」

アルミン「そ、その人って…」

ライナー「ああ、名前は確か…」

14: 2013/12/01(日) 16:27:13.40 ID:Mktnjw1f0
???「ミカサ…?アルミン…?」




アルミン(その時,不意に誰かが声をかけてきた)

アルミン(聞き慣れた声だ。間違えるわけがない)




ミカサ「エレン!」

エレン「やっぱりそうだよな!?お前らだよな!?」

ライナー「なんだ、知り合いだったのかよ」

ミカサ「エレン、怪我はない?私がわかる?」

エレン「だからわかるっつってんだろ…ていうか」

15: 2013/12/01(日) 16:28:18.49 ID:Mktnjw1f0
エレン「ミカサ…お前いつの間に髪切ったんだ?」

ミカサ「?」

エレン「それにその頬の傷…怪我してんのはお前じゃねえか」

ミカサ「さっきから何言ってるの。私は髪なんか切って…」

16: 2013/12/01(日) 16:29:57.68 ID:Mktnjw1f0
アルミン(そう言ったミカサは、自らの指で髪を梳いて…)

アルミン(そこで手を止めた)




ミカサ「…あれ?」




アルミン(そして、確かめるように何度も何度も、同じ動作を繰り返す)

アルミン(しかし…)

17: 2013/12/01(日) 16:31:24.31 ID:Mktnjw1f0
ミカサ「…おかしい」

エレン「は?」

ミカサ「私は髪なんか切ってない」

エレン「いやいや,実際に短くなってるじゃねーか」

ミカサ「…きっと誰かに切られた。私が気絶してる間に」

18: 2013/12/01(日) 16:32:50.03 ID:Mktnjw1f0
エレン「気絶?お前らもか?」

アルミン「えっ,じゃあエレンも…!?」

ライナー「エレンだけじゃないぜ。ここにいる全員がそうだ」




アルミン(僕は改めて,その場にいる人たちを見た)

アルミン(訓練兵団への入団志願者…それは間違いないはずだ。
     なぜなら彼らは皆,訓練兵専用の制服を着ていたから)

アルミン(それはもちろん,僕やエレン,ミカサだって同じだ)

19: 2013/12/01(日) 16:34:28.39 ID:Mktnjw1f0
???「不可解な点はまだあるだろ」




アルミン(新しい声だった。そばかすの女性から発せられたものらしい)




ライナー「まだあるって…何だよ,ユミル」

ユミル「わからないのか?今来た2人を含めてもたったの12人なんだぞ?
    他の連中はどこに行ったんだよ」

ベルトルト「…確かに。入団式には,ざっと見ても100人以上いたはずだよね」

20: 2013/12/01(日) 16:35:37.79 ID:Mktnjw1f0
???「みんな別の場所にいるんじゃないかな?」

???「さっき他の場所を見て回ったけど,人気はなかったよ」

???「よくわかんねーけど,これって入団試験なんじゃねえの」

???「入団試験!?そんなの聞いてないぞ!」




アルミン(…いや,違う。これは入団試験なんかじゃない)

アルミン(そもそも異常なんだ。入団式の最中に,12人が同時に気を失うなんて)

21: 2013/12/01(日) 16:36:52.67 ID:Mktnjw1f0
ライナー「一体何がどうなってるんだ?」

エレン「別にいいんじゃねえか?結構似合ってるしよ」

ミカサ「…まあ、エレンがそう言うなら」

???「あれっ…ていうか,私の芋がないんですけど!」




アルミン(みんな混乱していた。頭の整理ができていなかった)

アルミン(そんな中で,僕の胸中に渦巻き始めていたのは…)

22: 2013/12/01(日) 16:39:37.06 ID:Mktnjw1f0
「キーン,コーン… カーン,コーン…」




アルミン(とてつもなく嫌な予感)




???『あー、あー…! マイクテスッ、マイクテスッ!』

???『大丈夫? 聞こえてるよね?』

???『えーっ,ではでは… 入団志願者のみなさん!』

???『これから入団式を再開しますので,至急,訓練所に集まってください!』

25: 2013/12/02(月) 16:36:09.95 ID:h7Z7FwAf0
― 訓練所 ―




???「…なあ、訓練所ってここでいいのか?」

???「間違いねーよ。ご丁寧に看板まで出てただろうが」

???「で、でもよ…さっき入団式やってた場所とは明らかに違うような…」

???「…」

26: 2013/12/02(月) 16:40:40.62 ID:h7Z7FwAf0
???「どんなところが違うと思う?」

???「…?えーっと…」

アニ「アニだよ。アニ・レオンハート」

コニー「あ、ああ…よろしく。俺はコニーだ」

アニ「じゃあコニー、もう一回聞くけど、どんなところが違うと思う?」

コニー「えっ…えーっと…」

アニ「…」

コニー「…ふいんき?」

アニ「…」

27: 2013/12/02(月) 16:46:31.24 ID:h7Z7FwAf0
アルミン「…屋内」

コニー「え?」

アルミン「決定的に違うのはそこだよ。さっき入団式をやっていた場所は外だったのに、
     ここはどう見ても建物の中だ」

コニー「建物の中?そうは感じねーけど」

ユミル「どんだけ鈍いんだよお前…」

28: 2013/12/02(月) 16:50:44.28 ID:h7Z7FwAf0
ライナー「だがまあ、コニーがそう感じるのも無理はないだろ」

ユミル「あん?」

ライナー「下は地面だ。ちゃんと土がある。それに…」

???「広すぎるよね、ここ。空がないことを除けば、
    屋外だと言われても全然違和感がないよ」

ユミル「…何が言いたいんだ、クリスタ」

クリスタ「だ、だからさ…そんな大きな施設、壁の中にあったかなって…」

29: 2013/12/02(月) 17:00:28.76 ID:h7Z7FwAf0
アルミン(その言葉に、誰もが押し黙った)

アルミン(もちろんそれは、その疑問に答えられなかったからじゃない)




ユミル「…なあ、いい加減に回りくどい言い方はやめないか」

クリスタ「…」

ユミル「お前らだって気づいてるんだろ?これは入団式なんかじゃない」

ライナー「…」
    
ユミル「私たちはな…【よからぬ事】に巻き込まれてるんだよ」

30: 2013/12/02(月) 17:02:31.02 ID:h7Z7FwAf0
???『人聞き悪いなぁ』




アルミン(何の前触れもなく、その声は聞こえてきた)




ミカサ「さっきの声…!」

エレン「クソッ、どこだ!どこにいやがる!」




???『ここだよ』




アルミン(それは場違いなほど明るい声…)




???「ふざけた真似しやがって…!」

???「隠れてないで出てきなさいよ!」




???『うぷぷ…ちゃんと集まってくれたみたいだね。
    それじゃあ、さっそく始めよっか!』

31: 2013/12/02(月) 17:05:04.33 ID:h7Z7FwAf0
~♪
~♪


~~♪
~~♪


~~~~♪
~~~~♪




ポヨヨーン




???「ハロー!ナイストゥーミーチュー!」

???「ボクが運悪くオマエラを監督することになった…」




モノクマ「モノクマなのだっ!」

34: 2013/12/03(火) 19:41:13.26 ID:B4p36ovf0
アルミン(…やっぱり、僕は夢を見ているんだろうか)

アルミン(軽快な音楽とともに壇上から現れたのは…)




クリスタ「え…?ヌイグルミ…?」

モノクマ「ヌイグルミじゃないよ。ボクはモノクマだよ」

コニー「ク…クマだ!クマが喋ったぞ!?」

モノクマ「だからさぁ…クマじゃなくて…」

モノクマ「モノクマなんですけど!しかも、監督教官…って、あれ?」

???「…ねぇジャン、私疲れてるのかな?
    白黒マスコットの幻覚が見えるんだけど…」

ジャン「…安心しろ。オレにもちゃんと見えてるから」

35: 2013/12/03(火) 19:49:36.61 ID:B4p36ovf0
モノクマ「はぁ…予想はしてたけど、その使い古されたリアクション…
     テンション下がるなあ」




アルミン(それは場違いなほど明るい声…
     それは場違いなほど能天気な振る舞い…)

アルミン(僕の抱いていた不快感は
     いつの間にか、底知れぬ恐怖へと変わっていた)




エレン「ど…どうなってんだ!?なんで人形が動いてんだ!?」

モノクマ「あー、それはですね」

モノクマ「ボクには、立体起動装置を手掛ける技巧班も真っ青の
     遠隔操作システムが搭載されてて…」

モノクマ「…って、夢をデストロイするような発言を
     させないで欲しいクマー!!」

コニー「???」

アニ「…結局人形だって認めてるじゃない」

37: 2013/12/03(火) 19:57:59.50 ID:B4p36ovf0
モノクマ「じゃあ、進行もおしてるんで、さっさと始めちゃうナリよ!」

???「キャラがブレてない…?」

モノクマ「ご静粛にご静粛に…えー、ではではっ!」

モノクマ「これより、記念すべき入団式を執り行いたいと思います!」

38: 2013/12/03(火) 20:03:02.58 ID:B4p36ovf0
モノクマ「まず最初に、これから始まる
     オマエラの訓練兵生活について一言…」

モノクマ「えー、オマエラのような才能溢れる兵士のタマゴは、
     “人類の希望”に他なりません!」

モノクマ「そんな素晴らしい希望を保護する為、オマエラには…」

モノクマ「“この施設内だけ”で、共同生活を送ってもらいます!」

モノクマ「みんな、仲良く秩序を守って暮らすようにね!」

エレン「は…?」

39: 2013/12/03(火) 20:59:24.95 ID:B4p36ovf0
モノクマ「えー、そしてですね…
     その共同生活の期限についてなんですが…」

モノクマ「期限はありませんっ!!」

モノクマ「つまり、【一生ここで暮らしていく】のです!
     それがオマエラに課せられた訓練兵生活なのです!」

ジャン「…い、今なんつった?」

クリスタ「一生…?ここで…?」

モノクマ「あぁ…心配しなくても大丈夫だよ。
     予算は豊富だから、オマエラに不自由はさせないし!」

???「ほ、本当ですか!?やっぱり食糧も豊富なんですね!?」

40: 2013/12/03(火) 21:02:01.29 ID:B4p36ovf0
???「ウソでしょ…?」

モノクマ「ボクはウソつきじゃない!その自信がボクにはある!」

ジャン「な、何だよそれ…」

モノクマ「あ、ついでに言っておくけど…
     外の世界とは完全にシャットアウトされてますから」

モノクマ「だから、巨人に好き放題やられた外の世界の心配なんて、
     もう必要ないからねっ!!」

41: 2013/12/03(火) 21:06:26.82 ID:B4p36ovf0
アルミン(一方的にまくし立てるモノクマに、
     僕たちはあっけにとられていたが…)

アルミン(“その一言”を聞いた瞬間、全員がピクリと反応した)




エレン「…ちょっと待て」

モノクマ「はい?」

エレン「巨人の心配はない…お前はそう言ったのか?」

モノクマ「うん、そう言ったよ」

42: 2013/12/03(火) 21:09:02.39 ID:B4p36ovf0
バン!




エレン「ふざけんな!さっきから聞いてりゃふざけたこと言いやがって!」

モノクマ「ふざけてないよ?ボクはいつだって大真面目だよ」

エレン「オレは巨人をぶっ[ピーーー]ために訓練兵団に志願したんだ!
    今すぐここから出しやがれ!」

モノクマ「だからさぁ、ここにいる限り外の世界の心配はいらないんだって。
     もう巨人なんかに怯えることないんだって」

エレン「オレは…オレは駆逐しなきゃならねえんだ!
    オレの目の前で大事なもんを奪いやがったあいつらを!」

モノクマ「あー、はいはい。そういう
     『悲劇的な目に遭った俺カッケー!』的な不幸自慢はいいから」

エレン「…っ!!てめえええええええええええええええええ!」

43: 2013/12/03(火) 21:10:46.89 ID:B4p36ovf0
ミカサ「エレン、落ち着いて」

エレン「止めんじゃねえよミカサ!お前だって…」

ミカサ「落ち着いて」

エレン「…っ」

モノクマ「…うぷぷ、危なかったねイェーガーくん。
     監督教官であるボクへの暴力は規則違反ですよ」

ユミル「…規則?」

モノクマ「ていうかさぁ、ちゃんとクマの話は最後まで聞こうね。
     肝心な部分はここからなんだから」

44: 2013/12/03(火) 21:14:23.01 ID:B4p36ovf0
ライナー「…何だ。言ってみろ」

モノクマ「うん、あのね…」

モノクマ「ぶっちゃけた話、ない訳じゃないよ。ここから出られる方法…」

ベルトルト「本当に…?」

モノクマ「監督教官であるボクは、この施設から出たい人の為に、
     【ある特別ルール】を設けたのですっ!」

モノクマ「それが『卒業』というルール!!」

45: 2013/12/03(火) 21:16:05.06 ID:B4p36ovf0
モノクマ「では、この特別ルールについて説明していきましょーう」

モノクマ「オマエラには、施設内での“秩序”を守った共同生活が
     義務付けられた訳ですが…」

モノクマ「もし、その秩序を破った者が現れた場合…
     その人物だけは、施設から出て行く事になるのです」

モノクマ「それが『卒業』のルールなのですっ!」

46: 2013/12/03(火) 21:18:24.25 ID:B4p36ovf0
ユミル「その“秩序を破る”ってのは、何を意味するんだ?」

モノクマ「うぷぷ…それはね…」




モノクマ「【人が人を[ピーーー]事】だよ…」




アルミン「こ、[ピーーー]…ッ!?」

モノクマ「殴殺刺殺撲殺斬殺焼殺圧殺絞殺惨殺呪殺…頃し方は問いません」

モノクマ「『誰かを頃した訓練兵だけがここから出られる…』
     それだけの簡単なルールだよ」

モノクマ「最悪の手段で最良の結果を導けるよう、せいぜい努力してください」

47: 2013/12/03(火) 21:20:05.38 ID:B4p36ovf0
アルミン(ゾワリとした…)

アルミン(『誰かを頃した訓練兵だけがここから出られる』
     その言葉を聞いた途端…)

アルミン(猛烈な寒気が、足元から背中を通り、
     頭のてっぺんまで一気に駆け上がっていった)




モノクマ「うぷぷ…こんな脳汁ほとばしるドキドキ感は、
     鮭や人間を襲う程度じゃ得られませんな…」

モノクマ「さっきも言った通り、
     オマエラは言わば“人類の希望”な訳だけど…」

モノクマ「そんな“希望”同士が頃し合う、
     “絶望”的シチュエーションなんて…」

モノクマ「ドキドキする~!」

48: 2013/12/03(火) 21:21:34.91 ID:B4p36ovf0
ジャン「な、何言ってんだ!?頃し合うって…なんだよ!」

モノクマ「頃し合いは頃し合いだよ。辞書ならそこらに…」

クリスタ「そうじゃなくて!どうして私たちが頃し合わなきゃいけないの!?」

コニー「そ、そうだ!よくわかんねーことばっかり言うなよ!
    さっさと家に帰せ!」

49: 2013/12/03(火) 21:23:04.69 ID:B4p36ovf0
モノクマ「…ばっかり?」

コニー「…!」ビクッ

モノクマ「ばっかりってなんだよ、ばっかりって…
     ばっかりなんて言い草ばっかりするなっての!」

アニ「…」

モノクマ「ホントに物分かりの悪い連中だよ」

モノクマ「何が帰してだ。
     同じ事を何度も何度も何度も何度も…」

モノクマ「いいかい?これからは、この施設が、
     オマエラの家であり世界なんだよ?」

モノクマ「殺りたい放題、殺らして[ピーーー]から、
     殺って殺って殺って殺りまくっちゃえっつーの!!」

50: 2013/12/03(火) 21:25:07.84 ID:B4p36ovf0
アルミン(…無茶苦茶だった)

アルミン(僕たちは兵士になりたくて集まったんだ。それなのに…)

アルミン(いきなり気を失わされ、訳のわからない空間に閉じ込められ、
     挙句の果てには仲間同士の頃し合いを強いられる…)

アルミン(とても現実として受け入れられる事ではなかった。
     本当に夢を見ているのではないかと、錯覚しそうになるほど…)




ミカサ「…」

エレン「…ッ」




アルミン(誰もがこの状況に黙り込んだ、その時)

52: 2013/12/03(火) 21:30:19.40 ID:B4p36ovf0
ムシャリ




アルミン(何の前触れもなく、その音は聞こえてきた)




モグモグ




モノクマ「!」

エレン「…!?」

55: 2013/12/04(水) 16:00:50.37 ID:Mrotp+Rg0
モノクマ「…キミ、何やってんの?」

???「…?」キョロキョロ




ムシャリ




モノクマ「キミだよキミ!キミに言ってるんだよ!
     誰なんだよキミは!」

サシャ「ウォール・ローゼ南区、ダウパー村出身!!
    サシャ・ブラウスです!」

56: 2013/12/04(水) 16:10:03.55 ID:Mrotp+Rg0
モノクマ「…サシャ・ブラウスさん、今キミが右手に持っているモノは何?」

サシャ「『蒸かした芋』です!調理場に丁度頃合いのものがあったので!つい!」

モノクマ「…よくわからないんだけど、どうしてキミは今芋を食べたの?」

サシャ「…?それは、『何故人は芋を食べるのか』という話でしょうか?」




アルミン(それは場違いなほど明るい声…
     それは場違いなほど能天気な…)

57: 2013/12/04(水) 16:18:05.15 ID:Mrotp+Rg0
ジャン「お、おい!お前ちゃんと話聞いてたのかよ!
    今はそんな場合じゃねえだろ!」

サシャ「そんな場合ですよ」

ジャン「あぁ…!?」

サシャ「ちゃんと話も聞いてましたよ。
    私たちはここに閉じ込められた。出ていきたければ人を殺せ…」

サシャ「そういうことですよね?」

ジャン「そ、そうだけどよ…」

58: 2013/12/04(水) 16:22:56.24 ID:Mrotp+Rg0
サシャ「それなら簡単じゃないですか。一生ここから出なければいいんです」

ジャン「なっ…!?」

サシャ「さっき言ったように、この芋は調理場から持ってきたんですけど…
    そこには芋だけじゃなくて、あらゆる食材がたくさんありました」

サシャ「しかもよく見てみると、それらの食材は外部から定期的に、
    自動的に供給されるみたいなんです」

サシャ「それだけでもう…万々歳じゃないですか」

59: 2013/12/04(水) 16:30:07.06 ID:Mrotp+Rg0
ユミル「…信じられないね。食糧不足に悩む壁内で、
    どうしてそんなことが可能なんだ」

サシャ「それを言ったらこの建物だってそうですよ。
    こんな大規模な施設、見たこともなければ聞いたこともない」

サシャ「でも、それは確かに存在するんです。
    今私がかじっているこの芋のように…」




ムシャリ




エレン「ここでの暮らしを受け入れろってのか!?
    そんな家畜みたいな生き方を…!」

サシャ「それでも鬼畜よりはずっとマシですよ。
    私利私欲のために人を殺めるような…鬼畜よりは」

エレン「…!!」

サシャ「仲間同士で頃し合うなんて…そんなの間違ってます」

60: 2013/12/04(水) 16:34:18.98 ID:Mrotp+Rg0
アルミン(…てっきり、能天気で自分勝手な子だとばかり思っていたけど)

アルミン(まるっきり逆だったのかもしれない)




エレン「…ッ」




アルミン(おそらく、彼女だけがわかっていたんだ)

アルミン(彼女だけが“今の状況”をよく理解していたんだ)




モノクマ「…」

61: 2013/12/04(水) 16:44:08.67 ID:Mrotp+Rg0
モノクマ「…気に入らないなぁ」

サシャ「えっ」

モノクマ「気に入らないよ“オマエ”」




アルミン(それは今までとは違う、ドスの聞いた声だった)

アルミン(その奥底に憎悪が見え隠れするような…そんな声)

62: 2013/12/04(水) 16:50:06.80 ID:Mrotp+Rg0
モノクマ「…」




アルミン(モノクマはしばらく考えるような素振りを見せた後)

アルミン(独り言のように呟いた)




モノクマ「…よし、決めた」

サシャ「…?」

モノクマ「今回の見せしめは…“オマエ”だーっ!!」

67: 2013/12/05(木) 16:02:42.35 ID:3d7wnCE/0
アルミン「…見せしめ?」




アルミン(背筋が凍りつくのを感じた)

アルミン(見せしめ、見せしめ、ミセシメ…)




アルミン「危ないっ!逃げて!」

サシャ「えっ」




アルミン(でも、僕がそう叫んだときにはもう…)

アルミン(何もかもが手遅れだった)

68: 2013/12/05(木) 16:04:35.35 ID:3d7wnCE/0








モノクマ「召喚魔法を発動する!
     出でよ!グングニルの槍ッ!!」








69: 2013/12/05(木) 16:11:20.86 ID:3d7wnCE/0
ドスッ




アルミン(まるで時が止まったようだった)

アルミン(モノクマの合図とともに、どこからともなく槍が飛来し…)

アルミン(寸分の狂いもなく、“それ”のど真ん中を貫いたのだ)




サシャ「…え…あ…」





アルミン(誰一人として、身動きがとれなかった)

アルミン(その場にいる誰もが目を奪われてしまった)

アルミン(“それ”を貫いたまま地面に突き刺さる槍に…)

70: 2013/12/05(木) 16:20:28.01 ID:3d7wnCE/0
モノクマ「ふぅ~!危なかったねブラウスさん!」

サシャ「…え…えっ…」

サシャ「今の…は…?」

モノクマ「ボクに感謝してよね!キミを助けてあげたんだよ!
     あの忌々しい“悪魔の根っこ”からさ!」

サシャ「悪魔の…根っこ…?」

モノクマ「じゃがいもっていうのは恐ろしい食べ物だよ。
     どんなに痩せた土壌でも生えてくるし、その芽には毒がある」

モノクマ「おまけに、大昔は邪神召喚の儀式に使われていたんだとか…
     まあこれは今思いついたんだけどね」

71: 2013/12/05(木) 16:22:28.57 ID:3d7wnCE/0
アルミン(いつの間にか、モノクマは明るい口調に戻っていた)

アルミン(でもなぜだろう…さっきの憎悪が消えたように感じないのは)




モノクマ「きっとブラウスさんは、“悪魔の根っこ”にそそのかされて、
     あんなおかしな事言っちゃったんだよね?」

サシャ「え…あの…私は…」

モノクマ「そうだよね?」

サシャ「え…あ…」

モノクマ「でももう大丈夫!諸悪の根源はボクがやっつけておいたから!」




アルミン(顔面蒼白のサシャは、そのままゆっくりと視線を移動させる)

アルミン(地面に刺さり、小刻みに揺れ続ける黒い槍…)

アルミン(その刃には、“先ほどまで彼女がかじっていた物”の無残な姿があった)

72: 2013/12/05(木) 16:24:06.43 ID:3d7wnCE/0








プロローグ

ようこそ絶望兵団


END








73: 2013/12/05(木) 16:25:26.19 ID:3d7wnCE/0
生き残りメンバー 12人




【ミカサ・アッカーマン】
【ライナー・ブラウン】
【ベルトルト・フーバー】
【アニ・レオンハート】
【エレン・イェーガー】
【ジャン・キルシュタイン】
【コニー・スプリンガー】
【サシャ・ブラウス】
【クリスタ・レンズ】
【アルミン・アルレルト】
【ミーナ・カロライナ】
【ユミル】

79: 2013/12/09(月) 16:25:42.88 ID:7IdA0Dkf0
■ 兵団規則 ■


1 訓練兵達はこの施設内だけで共同生活を行いましょう。
 共同生活の期限はありません。

2 夜10時から朝7時までを“夜時間”とします。
 夜時間は立ち入り禁止区域があるので、注意しましょう。

3 就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。
 他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。

4 この施設について調べるのは自由です。
 特に行動に制限は課せられません。

5 監督教官ことモノクマへの暴力を禁じます。
 
6 “物体X”の破壊を禁じます。

7 仲間の誰かを頃したクロは“卒業”となりますが、
 自分がクロだと他の訓練兵に知られてはいけません。

8 なお、兵団規則は順次増えていく場合があります。

80: 2013/12/09(月) 16:30:19.27 ID:7IdA0Dkf0
― 食堂 ―




エレン「クソッ!何が“規則”だ!」




アルミン(エレンは舌打ちをして、手帳をテーブルに叩きつけた)




???「やっぱり、悪ふざけじゃなさそうだね…」

サシャ「…」

81: 2013/12/09(月) 16:35:19.35 ID:7IdA0Dkf0
アルミン(僕たちはあの後、“訓練兵手帳”と記された
     革張りの手帳を渡された)




モノクマ『訓練兵手帳はここでの生活に欠かす事の出来ない
     必需品だから、絶対になくさないようにね!!』

モノクマ『それと、表紙の裏側に自分の本名が記載されてるから、
     ちゃんと確認しておいてね』

モノクマ『単なる手帳以外の使い道もあるんでね…』

82: 2013/12/09(月) 16:40:23.04 ID:7IdA0Dkf0
モノクマ『ちなみに、その訓練兵手帳は完全耐火性で、
     火にかけても燃えない優れ物!』

モノクマ『耐破性も抜群で、
     10トンくらいの引張応力なら平気だよ!』

モノクマ『詳しい“規則”もここに書いてあるんで、
     各自、じっくりと読んでおくよーに!』




アルミン(モノクマはそう言って、僕らの前から姿を消した)

アルミン(唖然とする僕らを残して…)

83: 2013/12/09(月) 16:45:23.98 ID:7IdA0Dkf0








CHAPTER 01

イキキノレ

(非)日常編








84: 2013/12/09(月) 17:00:57.17 ID:7IdA0Dkf0
ライナー「ようお前ら、もう集まってたのか」

ベルトルト「待たせてごめんね」




アルミン(ライナーとベルトルトが現れたことで、食堂には12人全員が揃った)

アルミン(ちなみにこの食堂は、僕とミカサが最初に倒れていた場所だ)




ジャン「おせーよ。待ちくたびれて誰か頃すかと思っちまった」

アルミン「ジャン!!」

ライナー「おい、冗談でも言っていいことと悪いことが…」

ジャン「へいへい、悪かったよ。それよりさっさと始めようぜ」

86: 2013/12/10(火) 00:07:36.24 ID:Zc0tGSx60
アルミン(しばらくジャンを睨みつけていたライナーだったが…)




ライナー「…なら、遅刻した俺たちから報告させてもらう」




アルミン(ため息を吐いた後、気を取り直して切り出した)




ライナー「訓練所で話し合った通り、俺とベルトルトは地面の何ヶ所かに
     穴を掘ってみた。で、その結果なんだが…」

ベルトルト「結論から言うと、穴を掘っての脱出は無理そうだよ」

87: 2013/12/10(火) 00:12:13.01 ID:Zc0tGSx60
エレン「無理って…なんでわかるんだよ。掘り進めてみなきゃわかんねえだろ」

ライナー「3メートルほど掘ったところで、金属質のものにぶち当たったんだ」

コニー「金属質ってなんだ?」

ライナー「どこを掘っても同じだった。おそらく、
     地下3メートル付近に【巨大な鉄板】か何かが敷かれているんだろうな」

ベルトルト「まあ、数ヶ所掘っただけだから確かなことは言えないけど…
      もう少し続けてみるよ」

ミカサ「…無意味だと思う。こんな大がかりな事を企む黒幕に、
    そんな抜け目があるとは考えられない」

ユミル「だな。時間と労力の無駄使いってやつだ」

88: 2013/12/10(火) 00:13:38.39 ID:Zc0tGSx60
クリスタ「じゃあ次は私たちから。私とユミルは
     この食堂と調理場を調べてみたんだけど…」

ユミル「どうやら、芋女の言ってたことは本当だったらしい。
    調理場には食糧が充実してた」

ユミル「少なくとも食うのには困らなさそうだったな。ただ…」

ベルトルト「ただ…?」

ユミル「芋がなかった」

サシャ「…っ」

クリスタ「…きっとモノクマが撤去したんだろうね。
     気にすることないよ、サシャ」

89: 2013/12/10(火) 00:18:20.50 ID:Zc0tGSx60
ライナー「寄宿舎の方はどうだった、ミーナ?」

ミーナ「けっこう立派な建物だったよ。大浴場なんかもあったし…」

ジャン「それと手帳に書いてある通り、全員分の個室も用意してあったぜ。
    夜はそこで寝ろってことなんだろうな」

コニー「俺も見に行ったけどよ、ベッドがスゲーふかふかだったぞ!
    俺はいっつも弟たちと寝てたから、一人部屋なんて夢みてえだ!」

アニ「…あんたはもっと危機感持ちなよ」

90: 2013/12/10(火) 00:19:45.45 ID:Zc0tGSx60
ミカサ「私たち3人は倉庫に行ってきた」

ライナー「倉庫なら俺たちも行ったな。穴を掘るための
     つるはしやショベルはそこから持ってきたんだ」

エレン「ああ、本当に何でも揃ってたぜ。訓練道具はもちろん、
    生活用品、衣類、工具、お菓子、それに…」

アルミン「薬品類…医療用のものから毒薬まで」

クリスタ「ど、毒薬…!?」

アルミン「種類もいろいろあったよ。即効性のあるものから
     遅延性のあるもの、さらには混ぜ合わせるタイプとかね」

ユミル「…そいつはまた物騒だな」

91: 2013/12/10(火) 00:21:16.16 ID:Zc0tGSx60
コニー「俺とアニは適当に散歩してたぞ」

アニ「…それはあんただけでしょ。
   私はちゃんとこのフロア全体を見て回ったよ」

ミカサ「どうだった?」

アニ「わかってはいたけど…相当広かったね。
   寄宿舎や倉庫のような建築物の他に、林まであったよ」

ジャン「おいおい、林って…ここは建物の中なんだろ?」

アニ「そう…それがこの施設の特徴なんだよ。
   言ってみれば、【屋外をそのまま建物で囲った構造】をしているんだ」

92: 2013/12/10(火) 00:23:02.15 ID:Zc0tGSx60
ライナー「他には何かあったか?」

アニ「鍵がかかっていて開かない場所がいくつか。それと…」

コニー「?」

アニ「施設の壁…このフロアの末端だね、そこに【赤い扉】があった」

エレン「…! まさか出口か!?」

アニ「さあね。どっちにしろ、そこも施錠されていたよ」

93: 2013/12/10(火) 07:40:29.29 ID:Zc0tGSx60
ライナー「…これで一通りの報告は終わったようだな」

ベルトルト「そうだね。とりあえず、今までの情報をまとめてみようか」








  施設の特徴


・ 地下3メートルに巨大な鉄板?

・ 屋外をそのまま建物で囲った構造




  施設内の場所


・ 訓練所
 
・ 食堂・調理場(食糧が充実)

・ 寄宿舎(大浴場、各々の個室がある)

・ 倉庫(訓練道具、生活用品、薬品類などが充実)

・ 林

・ 赤い扉(出口?)

・ その他、鍵のかかっている箇所

94: 2013/12/10(火) 08:03:11.86 ID:Zc0tGSx60
ユミル「へえ…わかりやすいじゃねえか。やるもんだな、ベルトルさん」

ベルトルト「えっ、そうかな…ははは」

アルミン「…でもこうして見てみると、
     僕たちを一生この中で過ごさせるっていうのは本気みたいだね」

ミーナ「そうだよねー…
    食べ物は豊富みたいだし、ちゃんと寝泊りする場所もある」

ジャン「おまけに生活用品や医薬品まで完備ときた。
    本当に巨人の脅威がないのなら、案外ここでの暮らしも快適かもな」

95: 2013/12/10(火) 08:12:42.13 ID:Zc0tGSx60
エレン「…ちょっと待てよ」

ジャン「あ?」

エレン「ここでの暮らしが快適…?本気で言ってんのか」

ジャン「当たり前だろ。巨人の心配も食糧の心配もしなくていい。
    憲兵団にすら入らずにそんな生活ができるなんて最高じゃねえか」

エレン「…ああ,そういえばお前は,内地で快適な生活を送るために
    憲兵団に入るとか言ってたヤツか」

ジャン「そうさ。そのためなら訓練兵団でのむさ苦しい生活も覚悟してたが,
    どうやらそんな心配も無用みたいだな」

エレン「…ジャン」

ジャン「あ?」

エレン「内地に行かなくても,お前の脳内は“快適”だと思うぞ?」

99: 2013/12/11(水) 07:25:18.33 ID:ZlrfjI380
ミカサ「やめなさい」

アルミン「エレン!」




アルミン(僕の親友に欠点があるとすれば,それは“短気”なところだ)

アルミン(近所のガキ大将に喧嘩を売られた時,
     どんなに安い挑発でもエレンは真に受けて,殴りかかっていったっけ)

アルミン(でも今は…)

100: 2013/12/11(水) 08:00:49.54 ID:ZlrfjI380
ジャン「オレが頭のめでたいヤツだと…そう言いたいのかエレン?」

エレン「…」

ジャン「それは違うな…オレは誰よりも現実を見てる」




アルミン(ジャンはそう言うと自分の手帳を取り出し…)

アルミン(近くにあった燭台に掲げた)




ジャン「見ろよ…本当に火にかけても燃えないらしいぜ。
    それにいくら力を入れても破けない…どうなってんだこりゃ」

101: 2013/12/11(水) 09:11:06.38 ID:ZlrfjI380
エレン「…何が言いたいんだ,ジャン」

ジャン「考えてもみろよ。“燃えない紙”だぞ?
    “破れない紙”だぞ?信じられると思うか?」

エレン「…」

ジャン「でもな,それは確かに燃えないんだ。破れないんだ。
    これが一体何を意味するのか…お前にはわかるか?」

エレン「…」

アルミン「…黒幕の言っていることは本気,でもそれだけじゃない。
     【それを実行できるだけの力を持っている】ってことだよね?」

ジャン「そうだ…おそらく王制府レベルのな」

102: 2013/12/11(水) 09:36:31.06 ID:ZlrfjI380
サシャ「ま,まさか…今回の一件には王政府が関わっていると!?」

ジャン「それくらいしか考えらんねえだろ。規模のでかい施設,食糧の大量調達,
    オレたちの知らないような先端技術…王制府が仕組んだことなら辻褄が合う」

クリスタ「でも,もしそうなら…なおさら不自然じゃない?
     どうして壁の中のトップが,たかだか12人の訓練兵のためにそこまでするの?」

ミーナ「ましてや『頃し合いをしろ』だもんねー…
    莫大な資源をつぎ込んでるのに全然割に合ってないっていうか」

ジャン「んなこと知るかよ…だがな,黒幕の思惑が何であろうと,これだけは十分わかった」




ジャン「オレたちは…アイツに逆らえない…」

103: 2013/12/11(水) 09:53:18.23 ID:ZlrfjI380
アルミン(場が静まり返った)

アルミン(黒幕の言っていることは本気であり,それだけの力があり,
     僕たちはそれに逆らえない…)

アルミン(それは最初から見えていた事実だったのかもしれない。
     でも,だからこそ…)

アルミン(僕たちは“その先”を考えるのが怖かったんだ)




ジャン「見ろ…お前のせいでお通夜になっちまった」

104: 2013/12/11(水) 10:00:33.88 ID:ZlrfjI380
エレン「それで?」

ジャン「はぁ?話聞いてたか?」

エレン「『逆らえないと思うから諦める』ってとこまで聞いた」

ジャン「…」

エレン「なぁ…諦めて良いことあるのか?」

エレン「あえて希望を捨ててまで現実逃避する方が良いのか?」

106: 2013/12/12(木) 07:08:26.88 ID:cjXIX+mz0
ジャン「…じゃあどうすんだ。誰か頃すのか?」

エレン「…!」

ジャン「お前が言ってるのはそういう事だぞ。ここから出たいんだろ?」

エレン「…」

ジャン「…綺麗事ばっかり言いやがって」




ガシッ




ジャン「現実逃避してんのはどっちだよ!
    テメーは自分の希望のために誰かを犠牲にすんのか!ああ!?」

アルミン「ジャン!!」

ユミル「…お前もさっき頃すとか言ってたじゃねえか」

ジャン「本気なワケねーだろ!そんなこともわかんねーのかこのブス!」

107: 2013/12/12(木) 07:14:52.68 ID:cjXIX+mz0
クリスタ「もうやめて!!」




ジャン「…!」

クリスタ「こんなの不毛だよ!
     今ここで言い争ったって何にもならないでしょ!?」

ユミル「…」

クリスタ「きっとみんな疲れてるんだよ…頭がいっぱいになってるんだよ。
     そんな状態で無理したって何も良いことないよ」

エレン「…」

クリスタ「ねっ?今日はみんなよく頑張ったよ」
     
クリスタ「夜も更けてきたし…おなかいっぱい食べて,
     みんなでお風呂に入って,ふかふかのベッドでゆっくり眠ろ?」

クリスタ「そうすればきっと…良い考えだって浮かんでくるよ」

108: 2013/12/12(木) 07:22:58.03 ID:cjXIX+mz0
アルミン(…涙を浮かべながら訴える彼女に,一体誰が反論できただろう)

アルミン(それまで熱くなっていた二人も,ようやく落ち着きを取り戻したようだった)




エレン「オレには夢がある…」

ジャン「あ…?」

エレン「巨人を駆逐してこの狭い壁内の世界を出たら」

エレン「…外の世界を探検するんだ」

アルミン「エレン…」

エレン「だからオレはここから出る。頃し合いなんて氏んでもやらねえ。
    あのふざけた人形の中身を引っぱり出して,鼻っ柱を叩き折って…」

エレン「絶対に…ここから出てやる」

109: 2013/12/12(木) 07:31:45.43 ID:cjXIX+mz0
モノクマ「ふむふむ,それで?」

エレン「…クリスタの言う通りだ。今ここで熱くなっても仕方ねえ。
    まずは英気を養って…」

モノクマ「養って?」

エレン「…!!」

コニー「うわああああああああああ!?クマが出たあああああああ!」

モノクマ「だからさぁ…クマじゃなくて…」

モノクマ「モノクマなんですけど!しかも,監督教官…って,あれ?」

110: 2013/12/12(木) 07:36:21.70 ID:cjXIX+mz0
アニ「…何しに来たの」

モノクマ「…何しに来たの,じゃないよ!」

サシャ「…!」ビクッ

モノクマ「ボクは…ボクはねぇ…」

コニー「…?」




モノクマ「ボクは怒ってるんだよっ!!」

113: 2013/12/13(金) 18:09:52.47 ID:40MiRO+N0
ミーナ「お、怒ってる…?」

モノクマ「そうだよ!激おこプンプン丸なんだよっ!」

ユミル「…頃し合いが起きないことに腹立ててんのか?
    あいにく私たちはそんなに暇じゃ…」

モノクマ「そうじゃない!
     …まあ確かにそれもムカつくけど、そうじゃなくて!」

モノクマ「ボクが怒ってるのはオマエラに対してだよ!
     ライナー・ブラウンにベルトルト・フーバー!」

114: 2013/12/13(金) 18:20:55.68 ID:40MiRO+N0
ベルトルト「え…?」

モノクマ「オマエラさあ、この外のあちこちに穴掘ったでしょ!」

ライナー「それがどうしたんだ」

モノクマ「何開き直ってんの!ちゃんと元に戻しなさいよ!」

ベルトルト「いや、でも流石にそこまでの時間はなくて…」

モノクマ「そんなのオマエラの都合でしょーが!とにかく穴を塞ぎなさい!
     ヤリ逃げなんて許さないんだからね!」

115: 2013/12/13(金) 18:38:28.82 ID:40MiRO+N0
ミカサ「“この施設について調べるのは自由です。 特に行動に制限は課せられません。”
    …兵団規則にはそうあったはず」

ライナー「ミカサの言う通りだ。俺はその一項を確認したからこそ、
     ああいう行動に踏み切ったんだ。何も問題はないはずだぞ?」

モノクマ「ムキーッ!そうやっていちいち規則で縛らないと行動できないの!?
     まったくこれだからゆとり世代は!」

ベルトルト「…わかったよ。ちゃんと戻すよ。それでいいんでしょ?」

モノクマ「そう!投げやりな返答が気に入らないけど、
     最初から従っていればいいんだよ!」

モノクマ「大体、外が穴だらけだったら危なくて訓練できないでしょーが!」

116: 2013/12/13(金) 18:56:57.26 ID:40MiRO+N0
アルミン「ちょっと待って」

モノクマ「ん?」

アルミン「訓練?今訓練って言ったの?」

モノクマ「はい、言いましたけど?」

ユミル「…まさかとは思うが、私たちに
    兵士としての訓練をさせるってことじゃないだろうな」

モノクマ「何言ってんのさ。そのまさかだよ。
     だってオマエラは兵士になりたくてここに集まったんでしょ?」

117: 2013/12/13(金) 19:15:12.50 ID:40MiRO+N0
ジャン「…なあ、言ってることメチャクチャじゃねえか?
    オレたちを一生ここに住まわせる気なら、兵士になんてなる必要ねーだろ」

ミカサ「そもそも兵団というのは巨人に対抗するために組織されたもの。
    本当に巨人の脅威がないのなら、巨人を頃すための訓練なんて意味がない」

モノクマ「まあまあ旦那、そうカタイこと言わずにさぁ。
     だって訓練しなかったら、もはや“訓練兵”じゃないじゃん」

サシャ「た、確かにそうですけど…」

モノクマ「とにかく、明日から訓練始めるから!
     今日は各自しっかりと休んで体調を整えておくよーに!以上!」




ポヨヨーン

118: 2013/12/13(金) 19:53:30.81 ID:40MiRO+N0
アルミン(モノクマはそう言って、再び僕らの前から姿を消した)




クリスタ「ねえ、今のってどういう事なのかな」

ジャン「…そのままの意味だろ。どうやらアイツは明日から、
    オレたちにきっつい訓練を強いて虐めるつもりらしい」

コニー「な、なあ…よく状況が呑み込めてねーんだけど…
    結局アイツは頃し合いをさせたいのか?訓練をさせたいのか?」

アニ「さあね。でも今日はもうご飯を食べて休もう。
   クリスタも言ったけど、これ以上考えたって良い結果は出ないよ」

ライナー「…だな。今日はいろんな事がありすぎた」

121: 2013/12/14(土) 12:34:10.70 ID:tsZr9peE0
アルミン(こうして僕たちの長い一日は終わった)

アルミン(食事と入浴を済ませた僕は、そのままベッドへと倒れ込み…)

アルミン(それと同時に目を閉じた)




アルミン「…」




アルミン(眠かった訳じゃないけど、
     ただ、ものすごい疲労感だった)

アルミン(まるで1日中ぶっ通しで、
     紙芝居を見せ続けられたような疲労感…)

122: 2013/12/14(土) 12:43:38.04 ID:tsZr9peE0
アルミン(自分がフィクションの世界に
     放り出されてしまったような錯覚…)




アルミン「…当たり前だ」

アルミン「いきなり、こんな状況に巻き込まれて、
     簡単に受け入れられる訳ないじゃないか…」




アルミン(このまま眠ってしまって…)

アルミン(目が覚めたら全部夢だった…
     なんてオチはどうだろう?)

アルミン(オチとしては最低だけど、
     でも最高だ。それが1番いい)

123: 2013/12/14(土) 12:55:13.80 ID:tsZr9peE0
◆ モノクマげきじょう ◆




モノクマ「整った設備、優しそうなモノクマ先生。
     そんな中でこれからの日々がスタートを切ると思うと…」

モノクマ「ボクはとても誇らしく、嬉しくてなりません」

モノクマ「今日は私たち入団志願者の為にこのような素晴らしい式典を
     執り行っていただき、誠にありがとうございました」

モノクマ「訓練兵団の一員としての自覚を失う事なく、
     それぞれ、新しい自分の理想を目指して…」


モノクマ「明日からの生活を、送っていく事を誓いますっ!」

124: 2013/12/14(土) 13:00:21.70 ID:tsZr9peE0








「キーン、コーン… カーン、コーン」




モノクマ『オマエラ、おはようございます!
     朝です、7時になりました! 起床時間ですよ~!』

モノクマ『訓練兵諸君は、訓練場に集合してくださーい!』








125: 2013/12/14(土) 13:12:21.41 ID:tsZr9peE0
CHAPTER 1 

DAY 2




アルミン(朝…らしいな…
     天気がわからないから確かめようもないけど…)




アルミン「…」




アルミン(夢オチだなんて…そんなに上手くいく訳ないか)

127: 2013/12/15(日) 12:22:09.43 ID:nCZMA64h0
― 訓練所 ―




ベルトルト「おはようアルミン…」

アルミン「ちょっ…二人とも大丈夫!?目が氏んでるよ!」

ライナー「あー…」

ジャン「…徹夜で穴埋め作業やらされてたらしいぜ。ご苦労なこった」

クリスタ「ごめんね…私も手伝いたいって言ったんだけど、
     モノクマが許してくれなくて…」

ライナー「気にすんな…お前にそう言ってもらえただけで十分だ…」

128: 2013/12/15(日) 12:31:06.49 ID:nCZMA64h0
サシャ「おはようございます…」

ユミル「遅えぞ芋女。お前が最後だ」

サシャ「だって…朝ごはんも食べてないんですよ…?」

ミーナ「昨日の夜がっつり食ってたじゃん…」

サシャ「それとこれとは別ですよ…
    昨日の夜中も食堂に行ったのに閉まってたし…」

エレン「お、おい!あれだけ食って
    さらにつまみ食いしようとしてたのかよ!」

サシャ「ああ…おなかが減って力が…」

129: 2013/12/15(日) 12:49:11.92 ID:nCZMA64h0
モノクマ『やあ』




ミカサ「!」




モノクマ『いやぁ、実に清々しい朝です!
     訓練にはもってこいの日和ですな!』




ユミル「…おい、こっちはお前と遊んでる時間はないんだ。
    隠れてないでさっさと出てこいよ」




モノクマ『もう、ノリ悪いなぁ…まあいいや。
     それじゃあ、さっそく始めよっか!』

130: 2013/12/15(日) 12:54:07.09 ID:nCZMA64h0
~♪
~♪


~~♪
~~♪


~~~~♪
~~~~♪




ポヨヨーン




モノクマ「いやぁ、実に清々しい朝です!
     訓練にはもってこいの日和ですな!」



131: 2013/12/15(日) 13:00:25.51 ID:nCZMA64h0
ミーナ「…それさっき聞いた」

モノクマ「もう、ノリ悪いなぁ…まあいいや。
     それじゃあ、さっそく始めよっか!」

ジャン「…それもさっき聞いたぞ」

モノクマ「まあまあ旦那、そうカタイこと言わずにさぁ。
     だって訓練しなかったら、もはや“訓練兵”じゃないじゃん」

アニ「…」

モノクマ「…オマエラって本当ノリ悪いよね。
     そこは普通さ、『それは昨日聞いた』ってツッコミを…」

ユミル「いいからさっさと始めろ」

132: 2013/12/15(日) 13:13:30.61 ID:nCZMA64h0
モノクマ「ショボーン…それじゃあ、訓練についての説明をしまーす…」

モノクマ「オマエラにはこれから、
     血沸き肉躍るコロシアイ生活を送ってもらう訳ですが…」

モノクマ「それと同時に、50日間の訓練生活も送ってもらいまーす…」

モノクマ「オマエラ…1位目指して頑張ってくださーい…」

133: 2013/12/15(日) 13:22:18.04 ID:nCZMA64h0
ジャン「…は?」

サシャ「な、何ですか…?50日間って…」

モノクマ「だって…流石に一生訓練し続けろってのも辛いでしょ…」

モノクマ「それにオマエラみたいなシラケ世代は…
     期間を設けてやらないとすぐにブーたれるし…」

ミカサ「ねえ、その訓練っていうのは強制?」

モノクマ「はい…?」

ミカサ「兵団規則には訓練参加に関することが書かれていない。
    つまり訓練を受けなくても、罰を受けることにはならないはず」

モノクマ「そうですね…アッカーマンさんの言う通りです…
     訓練は強制ではありません…あくまで自由参加です…」

134: 2013/12/15(日) 13:27:58.56 ID:nCZMA64h0
コニー「? なんだそりゃ。
    それじゃあ、今ここに集まってる必要ねーじゃんか」

モノクマ「あります…大いにあります…」

ユミル「…馬鹿馬鹿しい。解散だ解散」

ベルトルト「ライナー、部屋に行って休もう…」

ライナー「ああ…」

モノクマ「あの…だからですね…」




モノクマ「クマの話は最後まで聞けって言ってるでしょーが!!」

135: 2013/12/15(日) 13:36:07.48 ID:nCZMA64h0
サシャ「…!」ビクッ

モノクマ「全くオマエラはよォ…
     反応が予想通りすぎて絶望してんだよこっちは!あァん!?」

ミーナ「ちょ、ちょっと…キャラがブレブレだよ?」

モノクマ「ったくよォ…そんな蜂蜜みたいに甘ったれた事も言うと思ってなァ…
     こっちはご褒美まで用意してやったっつーのによォ…」

クリスタ「…ご褒美?」

モノクマ「そう!50日間の成績上位1名には、
     とんでもねえビッグなサプライズが用意してあんのさァ!」

モノクマ「それがなんと!【願いを一つだけ叶えられる】ってやつだァ!」

136: 2013/12/15(日) 13:45:14.72 ID:nCZMA64h0
ライナー「なんだと…?」

モノクマ「あ、でもなァ!【空を自由に飛びたい】とか【世界旅行に行きたい】とか、
     そんな非現実的なことは受けつけねェからなァ!」

モノクマ「あくまでも、このオレができる範囲内のことを頼みやがれェ!」

ジャン「な…何言ってんださっきから…」

モノクマ「例えば…そうだなァ…」




モノクマ「【ここから全員で出たい】とか【ボクの処刑をしたい】とかね?」

137: 2013/12/15(日) 14:00:06.69 ID:nCZMA64h0
アルミン「…えっ」

モノクマ「ひゃっほうううう!ボクってすごく太っ腹じゃない?
     それだけオマエラには頑張ってほしいってことだよ!」

ベルトルト「ね、ねえ…今のって本気なの?」

モノクマ「当たり前じゃん!クマに二言はありません!
     1番っていう数字にはそれだけ重みがある、権利があるんだ!」

ユミル「…なあ、お前は一体何がしたいんだ?
    それなら50日間耐えればここから出られるってことじゃねえか」

サシャ「そ、それどころか…訓練が自由参加なら…」

ライナー「誰か一人が訓練に参加して他の全員がサボれば、
     自動的にそいつが1位になるな…」

ミーナ「何それ…メチャクチャ楽勝じゃん」

138: 2013/12/15(日) 14:08:44.53 ID:nCZMA64h0
モノクマ「…ああ、違う違う」

コニー「…?」

モノクマ「【願いを一つだけ叶えられる】っていうのは、
     命がけのゲームを勝ち残った場合の話ね」

ミカサ「命がけの…ゲーム?」

モノクマ「成績1位の人に与えられるのはそのゲームへの挑戦権だよ。
     それに勝つことができたら、【願いを一つだけ叶えられる】の」

ライナー「何だそりゃ…」

モノクマ「うぷぷ…それにオマエラ、随分喜んでるけどさぁ…」




モノクマ「もし、【裏切り者】が1位獲っちゃったらどうすんの?」

139: 2013/12/15(日) 16:18:51.51 ID:nCZMA64h0
クリスタ「…え?」

モノクマ「サボるのは別に構わないよ?でもさ、オマエラに
     訓練を任された人が【裏切り者】だったらどうすんの?」

ジャン「…何…言ってんだ…?」

モノクマ「ネタばらしするとさぁ、
     実はオマエラの中には【裏切り者】がいるんだよ」

コニー「は…?」

モノクマ「そして仮にその【裏切り者】が1位を勝ち取った場合…」

モノクマ「【自分だけここから出たい】とか【自分以外を処刑してほしい】とか、
     そんな事言うかもしれないよねー!」

140: 2013/12/15(日) 16:31:39.50 ID:nCZMA64h0
エレン「ふざけんな!!」

モノクマ「は?」

エレン「そんな訳ねえだろ!オレたちの中に…そんなヤツはいない!」

モノクマ「いやいや…じゃあ逆に聞くけどさ、
     どうして【裏切り者】がいないなんて言い切れるの?」

モノクマ「互いの素性を何も知らないクセに」

エレン「…ッ!」

モノクマ「【裏切り者】はいるんだよ、確実に。
     そしてそいつはね…オマエラのことを耽々と狙っているんだよ」

141: 2013/12/15(日) 16:58:42.42 ID:nCZMA64h0
ユミル「…誰なんだよ、その【裏切り者】ってのは」

モノクマ「そんな事、ボクの口から言える訳ないじゃーん!」

ライナー「…まあそうだろうな。
     そこまでバラしたら【裏切り者】の意味がない」

ベルトルト「いや、待って。そもそも今の発言が本当だとは限らないよ。
      だっていきなり【裏切り者】がいるだなんて…」

モノクマ「うぷぷ…信じる信じないはオマエラの自由だよ」

モノクマ「ボクの話を信じて訓練に励むのも自由!
     ボクの話を信じず裏切り者に出し抜かれるのも自由!」

モノクマ「そして1位を獲れる自信がない人は、
     誰かを頃してここから出ていくのも自由!」

モノクマ「全てはオマエラの自由だーっ!」

142: 2013/12/15(日) 17:03:52.13 ID:nCZMA64h0
アルミン(…とてもじゃないけど、頭が追い付かなかった)

アルミン(僕たちの中に…裏切り者がいる…?)

アルミン(…いや、だとしても…)




モノクマ「じゃあとりあえず、今言った内容を規則に加えておくから、
     各自ちゃんとメモを取ってね!」

143: 2013/12/15(日) 17:12:49.45 ID:nCZMA64h0
■ 兵団規則 ■


1 訓練兵達はこの施設内だけで共同生活を行いましょう。
  共同生活の期限はありません。

2 夜10時から朝7時までを“夜時間”とします。
 夜時間は立ち入り禁止区域があるので、注意しましょう。

3 就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。
 他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。

4 この施設について調べるのは自由です。
 特に行動に制限は課せられません。

5 監督教官ことモノクマへの暴力を禁じます。
 
6 “物体X”の破壊を禁じます。

7 仲間の誰かを頃したクロは“卒業”となりますが、
 自分がクロだと他の訓練兵に知られてはいけません。

8 訓練兵達は50日間の訓練を行います。
 訓練への参加は強制ではありません。

9 訓練の総合成績が一番優秀だった者には、
 “ファイナルデッドルーム”への挑戦権が与えられます。

10 なお、兵団規則は順次増えていく場合があります。

144: 2013/12/15(日) 17:26:08.06 ID:nCZMA64h0
サシャ「ファ、ファイナル…デッドルーム?」

モノクマ「命がけのゲームの会場だよ。そこで勝てば、
     オマエラは自分の希望を手にすることができるんだ」

ミーナ「その命がけのゲームっていうのは…【裏切り者】もやるの?」

モノクマ「もっちろん!そうしないと不公平でしょ?」

ユミル「なら…そのゲームってのは何をするんだ?」

モノクマ「それは後々のお楽しみってことで…
     あんまりいっぺんに言ってもツマラナイからね」

アニ「…」

モノクマ「うぷぷ…ボクからは以上だよ。
     訓練は午後からやるから、参加したい人はまたここに集まってね」




ポヨヨーン

147: 2013/12/16(月) 17:43:42.23 ID:+uEPOKbZ0
アルミン(…もういっそ思考停止してしまえば、どんなに楽だろうか)

アルミン(次から次へと迫りくる事象に、
     僕たちの頭はパニックを起こしかけていた)




コニー「ははは…なんかもう…全然わかんねえや」

サシャ「…」

ミカサ「…」

ジャン「裏切り者…って言ったのか…?
    オレたちの中に…いるって…?」

148: 2013/12/16(月) 17:55:19.42 ID:+uEPOKbZ0
アルミン(【裏切り者】…)

アルミン(考えもしなかった、考える余裕すらなかった、その可能性…)

アルミン(僕たちの思考と体は…
     その可能性にすっかり絡め取られていた)

アルミン(恐怖と不安が、ゆっくりと浸透していき…
     全身を支配していく)

アルミン(あたりに漂った重い空気が、
     容赦なく、僕の頭や肩にのしかかる)

アルミン(その重みに耐えるだけで…精一杯だった)

149: 2013/12/16(月) 18:05:26.92 ID:+uEPOKbZ0
アルミン(そんな重苦しい空気…)

アルミン(それを打ち破ったのは…
     彼女の無愛想な一言だった)




アニ「それで、これからどうする気?」

アニ「このまま…ずっと、にらめっこしている気?」

150: 2013/12/16(月) 19:09:23.53 ID:+uEPOKbZ0
アルミン(彼女のトゲのある言葉は、
     その場の全員に向けられていた…)

アルミン(だけど、そのトゲが…
     僕らを現実へと引き戻した)




アニ「私は訓練に参加するよ」

エレン「…!」

アニ「【裏切り者】がいようがいまいが関係ない…
   どちらにしても、自分の命運を他人に託す気はないからね」

ミーナ「…」

ライナー「…そうだな。今はそんなことで頭を悩ませている場合じゃない」

ライナー「頃し合いなんぞやらずにここから出れるっていうなら…
     俺は自分にできることをやるだけだ」

154: 2013/12/17(火) 16:00:39.57 ID:9omPlnZ70
― 食堂 ―




ミカサ「…」モグモグ

アルミン「…ね…ねえ、ミカサ」

ミカサ「…」モグモグ

エレン「…おいミカサ、せめてもっと旨そうに食えよ」

ミカサ「…」モグモグ

アルミン「ねえ、本当にどうしたの…?
     まるで獲物を狙っているような目だけど…」

ミカサ「…それは逆」ゴックン

エレン「は?」

ミカサ「いつ誰がエレンを襲ってくるかわからない」

155: 2013/12/17(火) 16:18:07.51 ID:9omPlnZ70
ライナー「それはねえよ」




アルミン(見上げるとそこには、昼食のトレイを持った
     ライナーとベルトルトが立っていた)




ミカサ「…」

ライナー「おいおい、そんな怖い顔で睨むなって。
     兵団規則にもあっただろ?」

ライナー「“仲間の誰かを頃したクロは“卒業”となりますが、
     自分がクロだと他の訓練兵に知られてはいけません。”」

ライナー「つまり今誰かを襲ったところで何もメリットはない…
     かえって規則違反で罰を受けちまうんだから全くの無意味だ」

ミカサ「…」

ベルトルト「ま、まあまあ…そんな理屈以前に、
      僕たちには誰かを殺そうなんて考えは微塵もないからさ」

ベルトルト「…隣、座ってもいいかな」

157: 2013/12/17(火) 16:35:53.08 ID:9omPlnZ70
ライナー「…」モグモグ

ベルトルト「…」モグモグ

エレン「…なあ」

ライナー「ん?」モグモグ

エレン「やっぱりお前らも…訓練に参加するのか?」

ライナー「ああ」モグモグ

エレン「…そうか。結局みんなやるんだな」

158: 2013/12/17(火) 16:44:16.48 ID:9omPlnZ70
アルミン「…」

ライナー「? どうしたアルミン、お前までそんな顔して…」

アルミン「いや、なんていうか…」

アルミン「…腑に落ちないんだよ」

ベルトルト「え?」

アルミン「モノクマは昨日、僕たちにこう言ったよね」




モノクマ『えー、そしてですね…
     その共同生活の期限についてなんですが…』

モノクマ『期限はありませんっ!!』

モノクマ『つまり、【一生ここで暮らしていく】のです!
     それがオマエラに課せられた訓練兵生活なのです!』

159: 2013/12/17(火) 16:52:05.74 ID:9omPlnZ70
ライナー「…ああ。そしてここから脱出する条件として、
     仲間の誰かを殺せと言ってきた」

アルミン「うん。それなのにモノクマは、今日になっていきなり…」




モノクマ『オマエラにはこれから、
     血沸き肉躍るコロシアイ生活を送ってもらう訳ですが…』

モノクマ『それと同時に、50日間の訓練生活も送ってもらいまーす…』




アルミン「…本当に頃し合いをさせたいのなら、
     訓練生活なんて逆効果だよ」

アルミン「みんなが訓練に参加すればそれだけ殺人の機会も減るし、
     疲弊してしまえばそれを実行するだけの気力もなくなる」

アルミン「それどころか…」

160: 2013/12/17(火) 17:01:41.85 ID:9omPlnZ70
モノクマ『【ここから全員で出たい】とか【ボクの処刑をしたい】とかね?』




アルミン「自分で設定した“卒業”というルールを無視するかのように、
     わざわざ別の脱出方法を提示した…」

アルミン「これは明らかに悪手だよ。そんな事を言ったら、
     誰かを頃してここから出ていこうとする人なんていなくなってしまう」

ベルトルト「…現に僕たちは、
      その望みに賭けて訓練に参加しようとしているからね」

ライナー「…」

アルミン「モノクマはどうして…あんな事を言ったんだろう」

161: 2013/12/17(火) 17:09:01.94 ID:9omPlnZ70
ライナー「…俺は思うんだがな」

アルミン「…?」

ライナー「あいつの…モノクマの真の目的は
     仲間同士で頃し合わせることじゃなくて…」

ライナー「俺たちに…訓練を受けさせることじゃないのか?」

エレン「…何だって?」

ライナー「頃し合いという間違った選択肢に惑わされずに訓練に励む…」

ライナー「それを狙った入団試験だと…そうは考えられないか?」

162: 2013/12/17(火) 17:15:31.70 ID:9omPlnZ70
ミカサ「…この期に及んで何を言っているの?これが入団試験?」

ライナー「そう考えれば辻褄も合ってくるだろ。
     アルミンの言うような、頃し合いをさせるには不利な提案も…」

ライナー「【裏切り者】という存在を示唆してまで、
     俺たちに訓練への参加を促したのも…ある程度までは納得がいく」

ミカサ「そんなの回りくどすぎる。クリスタも言ったけど、
    たった12人の訓練兵のためにやるような事じゃない」

アルミン「…」




アルミン(…モノクマは一体何を考えているんだ?)

アルミン(頃し合いが狙いじゃないのか?
     もしこれが入団試験でもないのだとしたら…)

アルミン(本当の目的は…もっと他のところにあるのか?)

163: 2013/12/17(火) 17:17:20.04 ID:9omPlnZ70








「キーン、コーン… カーン、コーン」




モノクマ『えー、施設内放送でーす。
     午後1時になりました』

モノクマ『さあオマエラ、決断の刻でございます。
     熱血モノクマ先生の教えを乞いたいという人は…』

モノクマ『今すぐ訓練所に…出てこいやぁ!』








165: 2013/12/18(水) 13:39:42.39 ID:bk0ndoAj0
― 訓練所 ―




~♪
~♪


~~♪
~~♪


~~~~♪
~~~~♪




ポヨヨーン




モノクマ「いやぁ、実に清々しい朝です!
     訓練にはもってこいの日和ですな!」

166: 2013/12/18(水) 13:48:16.77 ID:bk0ndoAj0
ユミル「…」

モノクマ「うぷぷ…結局全員参加してくれるんだね!
     まったくもう、みんなしてツンデレなんだから!」

サシャ「…」

モノクマ「…まあいいや。それじゃあ、
     さっそく訓練を始めましょー!!」

モノクマ「…と、言いたいところなのですが」

ミーナ「…まだ何かあるの?」

モノクマ「うん、ボクはオマエラに
     すっきりとした気持ちで訓練に臨んでもらいたいから…」

モノクマ「訓練を始める前に、
     オマエラの心配を解消してあげようと思って」

167: 2013/12/18(水) 14:08:14.99 ID:bk0ndoAj0
クリスタ「…?」

モノクマ「実を言うとね、ボクは嬉しくて仕方がないのです!」

モノクマ「“このままではコロシアイが起こらないんじゃないか”…
     そんな心配をしてくれるオマエラが、愛おしくて仕方がないのです!」

ジャン「…誰もそんな心配してねーよ」

モノクマ「でも安心してね!【コロシアイは100%起きる】から!」

モノクマ「なぜならオマエラはそういう生き物であり…
     これからボクが提示する“あるモノ”に、必ず喰いつくはずだから!」

168: 2013/12/18(水) 14:13:47.68 ID:bk0ndoAj0
コニー「“あるモノ”?」

モノクマ「もし誰にも気づかれずに殺人を成功させたクロが現れた場合、
     卒業記念品として…」








モノクマ「【巨人に関する重大なヒミツ】をプレゼントしまーす!!」








169: 2013/12/18(水) 14:30:02.83 ID:bk0ndoAj0
エレン「…!!」

モノクマ「いやっほうううううううう!出血大サービスー!!」

ライナー「ま、待て!巨人に関する…重大な秘密だと!?」

モノクマ「あっ、一応言っておくけど…“うなじを切り取ったら氏ぬ”とか
     “夜間の活動は極端に鈍い”とか、そういう当たり前の事じゃないからね」

モノクマ「もっとこう…【巨人の存在そのものに関わること】だから」

ベルトルト「なっ…!」

アニ「…」

170: 2013/12/18(水) 14:40:29.81 ID:bk0ndoAj0
モノクマ「もちろん嘘や冗談なんかじゃないよ?」

モノクマ「その証拠にほら…ボクはこうして、
     巨人の脅威からオマエラを守ることができている訳で」

ユミル「…まさか、このバカでかい施設に
    ヤツらが攻め込んで来ないのは…」

モノクマ「うぷぷ…その通り」

モノクマ「ボクがヤツらのヒミツを握っているからー!!」

171: 2013/12/18(水) 15:02:14.49 ID:bk0ndoAj0
アルミン(もう…何回目だろうか)

アルミン(この異常な生活に放り込まれてからというもの…
     僕たちは驚きの連続だった)

アルミン(…もちろん、悪い意味で)




モノクマ「今朝も言ったけど、信じる信じないはオマエラの自由だよ」

モノクマ「別にボクは絶対にコロシアイをしろと言っている訳でもないし、
     絶対に訓練に参加しろと言っている訳でもない…」

モノクマ「ルールさえ守ってくれれば、どう動くかはオマエラ次第なんだ」

ミカサ「…」

モノクマ「とりあえず、ボクが言いたかった事はこれでおしまい!
     もうゴチャゴチャとした説明は何もないから…」

モノクマ「ヘイユー!ヤっちゃいなヨ!
     自分の好きなこと殺っちゃいなヨ!」

エレン「…ッ!」

モノクマ「というわけで…訓練開始~!!」

174: 2013/12/20(金) 12:47:06.69 ID:3EeXqBZi0
CHAPTER 01 

DAY 02




モノクマ「まずはオマエラの適正を見るよ!」

モノクマ「方法はいたってシンプル!
     両側の腰にロープを繋いでぶら下がるだけ!」

モノクマ「全身のベルトで体のバランスを取ってね!
     これが出来ないヤツは囮にも使えないよ!」

クリスタ「これってもしかして…立体機動の?」

モノクマ「そう!これはまだ初歩の初歩だけど、
     この段階から立体機動の素質は見て取れるんだ!」

モノクマ「ちなみにこの出来も成績に反映されるから、
     適性検査だからって気を抜かないよーに!」

175: 2013/12/20(金) 13:00:13.79 ID:3EeXqBZi0
アルミン(通常、人間と巨人の間には圧倒的な戦力差が存在する)

アルミン(仮に生身の人間が巨人の前に放り出された場合、
     その人間が生き残る確率はゼロと言っていいだろう)

アルミン(しかしそんな巨人に対して、兵士は立ち向かわなければならない。
     歴然たる力の差があっても、市民のために心臓を捧げなければならない)

アルミン(そこで、兵士が巨人と対等に渡り合うために
     開発されたのが…この“立体機動”と呼ばれる技術だ)

176: 2013/12/20(金) 13:07:47.61 ID:3EeXqBZi0
アルミン(この技術と特定の装備を用いることで、兵士は
     立体的で高速な機動力を獲得し…)

アルミン(上手く扱えば、巨人の弱点である
     うなじ部分へ斬りつけることもできる)

アルミン(でもこの技術…)




コニー「ぐっ…」プルプル




アルミン(口で言うほど簡単なものじゃない)

177: 2013/12/20(金) 13:36:20.44 ID:3EeXqBZi0




ジャン「ふんッ…!」プルプル

クリスタ「…っ」プルプル




アルミン(立体機動を可能にする為には、全身に張り巡らされた
     固定ベルトを利用して、細かい体重移動を行わなければならない)

アルミン(強靭な体力と脚力、空間把握能力、
     そしてパニックに陥らない為の精神力…その全てが要求されるのだ)

178: 2013/12/20(金) 16:04:40.35 ID:3EeXqBZi0




ミカサ「…」プラーン




アルミン(したがって、この適正検査は初歩の初歩…)

アルミン(この程度の姿勢制御ができない者に
     立体機動などこなせる訳がない…)

アルミン(…それがモノクマの言い分だった)




モノクマ「うぷぷ…まったくブレがないね」

モノクマ「何をどうすればいいかすべてわかるんだろうね…
     素質っていうのはそういうものだよ」

179: 2013/12/20(金) 16:19:01.48 ID:3EeXqBZi0
アルミン(やがて、一通りの結果を見終えたモノクマは…)

アルミン(僕たちにこう言った)




モノクマ「ふぅ~!このクラスはできる人が多いねぇ!」

モノクマ「ボクなんかは体型のせいで中々苦労したクチだけど、
     オマエラはみんな優秀で心強いよ!」








モノクマ「ただ一人を除いては」

182: 2013/12/20(金) 16:29:00.58 ID:3EeXqBZi0




ギギ…ギギ…




エレン「…!!」








モノクマ「うぷぷぷぷ…これも素質っていうものなんだろうね。
     人並み以上にできることがあれば…」

モノクマ「人並み以上にできないこともある!」








エレン「…は…?」




ジャン「…」プクク

コニー「…」ニヤニヤ




エレン「…な…な…」

エレン「…なんだよ…これ…」

186: 2013/12/21(土) 14:18:30.13 ID:h35NRD7z0
CHAPTER 01 

DAY 03




ミカサ「基本通りにやればできるはず。
    上手くやろうとか考えなくていい」

ミカサ「上半身の筋肉は固く、下半身は柔らかく」

ミカサ「前後のバランスにだけ気を付けて。
    腰巻きと足裏のベルトにゆっくり体重を乗せる」

アルミン「落ち着いてやればできるよ。
     運動苦手な僕だってできたんだから」

187: 2013/12/21(土) 14:24:58.41 ID:h35NRD7z0
エレン「…今度こそできる気がする。
    上げてくれアルミン!」

アルミン「いくよ」




キリキリキリキリキリキリ




ガン




エレン「!?」ブンッ




ゴッ










188: 2013/12/21(土) 14:31:41.54 ID:h35NRD7z0




『オイ…あいつ確か…』

『巨人を皆頃しに…言ってた…』

『それがあの初歩の…既に氏にかけ…』

『本当かよ…あんなことも…』

『あいつ…一体どうやって巨人を…』

『さぁな…しかしこのままじゃいずれ…』

『役立たずに食わせるメシなんか…』




189: 2013/12/21(土) 14:36:30.36 ID:h35NRD7z0
ミカサ「エレン!」

エレン「…!」

アルミン「気にしても仕方ないよ。
     明日できるようになればいいんだから」

アルミン「それよりちゃんと食べて
     今日失った血を取り戻そう」

エレン「…」




エレン「なんだ…さっきの…」

190: 2013/12/21(土) 14:43:35.22 ID:h35NRD7z0
アルミン「え?」

エレン「…! あ、ああ…悪い。こっちの話だ」

ミカサ「…」

エレン「…明日…」

エレン「明日できなかったら…
    オレ……どうすりゃいいんだ…」

アルミン「だから今は悩んでも仕方ないって…」

エレン「情けねえ…こんなんじゃここから出るどころか…」

エレン「奴らを…根絶やしにすることなんか……」

191: 2013/12/21(土) 14:49:45.77 ID:h35NRD7z0
ミカサ「もうそんなこと目指すべきじゃない」

エレン「…は!?」

アルミン「え?」

ミカサ「向いてないのなら仕方ない。
    ようやくできる程度では無駄に氏ぬだけ」

ミカサ「きっと夢も努力も徒労に終わる」

エレン「な…何だって…?」

ミカサ「兵士を目指すべきじゃないと言っている。
    ここから出た後は、生産者として人類を支える選択もある」

192: 2013/12/21(土) 14:58:02.00 ID:h35NRD7z0
ミカサ「何も命をなげうつことだけが戦うことじゃない」

エレン「お…お前なあ…」

エレン「オレは…あの日あの光景を見ちまったんだぞ…?
    そんな理屈で納得できると思うのか?」

ミカサ「…でも、その覚悟の程は関係ない」

エレン「は? 何でだよ。言ってみろ」

ミカサ「兵士になれるかどうか…
    一番になれるかどうか判断するのはエレンじゃないから…」

エレン「う…」

193: 2013/12/21(土) 15:13:21.08 ID:h35NRD7z0
アルミン(そこから、エレンはすっかり黙り込んでしまった)

アルミン(手元の皿に視線を落とし、
     急かされているようにスプーンを口元に運ぶ)




ミカサ「それに…」

アルミン「…?」

ミカサ「一位は私が獲る」

エレン「…」

ミカサ「私がいる限り、【裏切り者】を一番にはさせない。
    エレンもアルミンも…私が無事にここから出す」

アルミン「ミカサ…」

ミカサ「そして私は…エレンだけ
    開拓地に戻れと言ってるんじゃない…」

ミカサ「ここから出たら私も一緒に行くので…
    だから…」

194: 2013/12/21(土) 15:19:18.26 ID:h35NRD7z0




ガンッ




ミカサ「!」

エレン「…ッ」

アルミン「エ、エレン…?」

エレン「…それじゃあ…」




エレン「それじゃあ駄目なんだッ…!」




ダッダッダッダッ




アルミン「ま、待ってよ!エレン!」

197: 2013/12/22(日) 02:53:23.73 ID:DyKCakpP0
― 寄宿舎 ―




コニー「コツだって?」

コニー「悪ぃけど俺…天才だから
    “感じろ”としか言えん」

ジャン「オレは逆に教えてほしい」

ジャン「あんな無様な姿晒しておいて
    正気を保って保っていられる秘訣とかをよぉ…」

エレン「お…お前ら
    人が頭下げて頼んでるのに…」

198: 2013/12/22(日) 03:00:08.53 ID:DyKCakpP0
ライナー「う~ん…姿勢制御のコツか…」

エレン「頼む!」

ライナー「すまんが…ぶら下がるのに
     コツがいるとは思えん」

ライナー「期待するような助言はできそうにないな…」

エレン「…ッ!」




ダッダッダッダッ




アルミン「エ、エレン!待ってってば!」

199: 2013/12/22(日) 07:00:34.54 ID:DyKCakpP0
アルミン(エレンを追いかけようとした時だった)




ベルトルト「…アルミン」

ベルトルト「ずっと気になってた事があるんだけど…」

アルミン「え…?」

ベルトルト「二人は…シガンシナ区出身だって言ったよね」

アルミン「うん…そうだけど…」

ベルトルト「じゃあ…巨人の恐ろしさも知ってるはずだ」

ベルトルト「なのに…どうして兵士を目指すの?」

200: 2013/12/22(日) 07:02:42.06 ID:DyKCakpP0
アルミン(僕は思わずベルトルトを見た)

アルミン(僕を呼び止める声やその表情には、
     どこか焦りを含んでいるように思えたのだ)




アルミン「えーと」

アルミン「僕は…直接巨人の脅威を
     目の当たりにしたわけじゃないんだ」

アルミン「開拓地に残らなかったのも…」

アルミン「あんなめちゃくちゃな奪還作戦を強行した
     王政があることを考えるとじっとしてられなかっただけで…」

ライナー「…」

アルミン「体力に自信は無いし、
     自分に何かできることがあるか…わからないけど…」

アルミン「この状況を黙って見てることなんて…できないよ」

ベルトルト「…」

アルミン「…まあ今となっては、
     兵士になれるかどうかすら怪しい状況だけどね」

201: 2013/12/22(日) 07:04:42.36 ID:DyKCakpP0
アルミン(僕の返答を聞いたベルトルトが
     何を思ったかわからないが…)

アルミン(やがて伏し目がちになって、こう呟いた)




ベルトルト「そ、そっか…」




アルミン(この呟きを聞いたとき…
     この時点で、僕は立ち去ってよかったのかもしれない)

アルミン(エレンを追いかけてよかったのかもしれない)




アルミン「…」




アルミン(しかし僕にはできなかった)

アルミン(心のどこかで“何か”が引っかかっていたからだ)

202: 2013/12/22(日) 07:06:41.42 ID:DyKCakpP0
アルミン「…そういえば、
     僕にも気なってたことがあるんだけどさ」

アルミン「聞いてもいいかな?
     二人はどこ出身なの?」

ベルトルト「えっ…」

ライナー「…」

203: 2013/12/22(日) 07:08:15.59 ID:DyKCakpP0
アルミン(僕の質問を受けた二人は、何故か動揺しているようだった)




アルミン「? どうしたの」

ベルトルト「…」




アルミン(…ただ出身を聞いただけ。
     何もおかしなことは聞いていないはず)

アルミン(それなのに何故…?)

204: 2013/12/22(日) 07:10:15.67 ID:DyKCakpP0
ライナー「…」

ベルトルト「…」




アルミン(やがて二人は神妙な面持ちで目配せをし…)

アルミン(意を決したように頷いた)





ライナー「…怪しまずに聞いてくれるか」

アルミン「…?」

ライナー「実はな、俺たちには…」




ライナー「記憶がないんだ」




205: 2013/12/22(日) 07:12:34.82 ID:DyKCakpP0
アルミン「え…?」

ライナー「俺とベルトルトには、
     この施設に連れて来られるまでの記憶が一切なかった」

ライナー「自分の出身はもちろん、家族の名前や
     小さい頃の思い出なんかが全部…抜け落ちてしまっているんだ」

アルミン「き、記憶が…ない?」

ベルトルト「唯一覚えていたのは自分の名前と、
      日常生活や壁の中についての知識…」

ベルトルト「それと、“自分は兵士にならなきゃいけない”っていう…
      異様な使命感だけなんだよ」

206: 2013/12/22(日) 07:16:28.71 ID:DyKCakpP0
アルミン(突然の告白。そしてあまりにも衝撃的な内容…)

アルミン(しかし、それを聞いてもなお…
     僕の中の“違和感”は拭えなかった)




アルミン「で、でもちょっと待って…」

アルミン「確かベルトルトはあの時…」

207: 2013/12/22(日) 07:18:50.17 ID:DyKCakpP0
ライナー『まだあるって…何だよ,ユミル』

ユミル『わからないのか?今来た2人を含めてもたったの12人なんだぞ?
    他の連中はどこに行ったんだよ』

ベルトルト『…確かに。入団式には,ざっと見ても100人以上いたはずだよね』




アルミン「ライナーだって…」




エレン『気絶?お前らもか?』

アルミン『えっ,じゃあエレンも…!?』

ライナー『エレンだけじゃないぜ。ここにいる全員がそうだ』

208: 2013/12/22(日) 07:26:15.61 ID:DyKCakpP0
ライナー「あれは…断片的に思い出していたんだ。
     あいつらの話を聞いてるうちに…ちょっとずつな」

アルミン「じゃあもう既に…いくつかの記憶は取り戻してるの?」

ベルトルト「うん。でもそれら全てがなんだか曖昧で…
      そうだったような気もするし、違うような気もするし…」

アルミン「…」

ライナー「それに話を聞くとどうも…俺たち以外には
     全員記憶があるらしいんだ」

ベルトルト「だから記憶のない者同士、
      ライナーとは妙に息が合っちゃってね」

209: 2013/12/22(日) 07:30:36.97 ID:DyKCakpP0
アルミン「そうなんだ…僕はてっきり、
     二人は古くからの友人だと思っていたんだけど」

ライナー「…信じられねえのはわかる。
     だから俺たちも言い出せなかった」

ライナー「特に【裏切り者】の存在が示唆された今…
     真っ先に怪しまれるのは俺たちだろうからな」

アルミン「…」

ベルトルト「でも、信じてほしいんだ。
      僕たちは【裏切り者】なんかじゃない」

ベルトルト「そもそも、記憶がほとんどない状態なんだ…
      裏切るも何もないよ」

アルミン「…」

210: 2013/12/22(日) 07:36:20.48 ID:DyKCakpP0








「キーン、コーン… カーン、コーン」




モノクマ『えー、施設内放送でーす。
     午後10時になりました』

モノクマ『ただいまより“夜時間”になります』

モノクマ『間もなく食堂はドアをロックされますので、
     立ち入り禁止となりま~す』

モノクマ『ではでは、いい夢を。
     おやすみなさい…』








211: 2013/12/22(日) 07:40:27.83 ID:DyKCakpP0
ライナー「…と、もうこんな時間か」

アルミン「…」

ベルトルト「…ねえアルミン、
      虫のいい頼みだっていうのは承知してる。だけど…」

アルミン「…わかってる。この件は誰にも言わないよ」

ライナー「…すまねえな」

アルミン「とにかく今日はもう休もう。
     明日の訓練も早いんだしさ」

ベルトルト「うん…おやすみ」

213: 2013/12/22(日) 08:30:45.19 ID:DyKCakpP0
アルミン(二人と別れた僕は、そのまま自室へと戻り…)

アルミン(ベッドに倒れ込んで目を閉じた)




アルミン「…」




アルミン(妙に頭が冴えていた)

アルミン(決して頭の整理ができていた訳じゃない…
     それでも僕は冷静だった)

214: 2013/12/22(日) 08:32:18.89 ID:DyKCakpP0
アルミン「…」




アルミン(あの時の“違和感”はまだ拭えない)

アルミン(その正体が何なのかも…僕にはわからない)




アルミン「…」




アルミン(そして、何よりもわからなかったのは…)




アルミン「…どうして僕は…」

アルミン「あの二人に攻撃的な感情を抱いたんだろう…」

215: 2013/12/22(日) 08:33:57.50 ID:DyKCakpP0
◆ モノクマげきじょう ◆




モノクマ「『人生』はクソゲーです」

モノクマ「まず、セーブ&ロードがありません。
     この時点でもう駄目です」

モノクマ「そしてプレイヤーは常に、
     やたらと多い選択肢に頭を悩ませなければいけません」

モノクマ「もちろん、セーブ&ロードがないので、
     間違った選択をしても元には戻せません」

モノクマ「救いようのないクソゲーです」

モノクマ「そしてもし、間違った選択をしたせいで
     誰かを氏なせてしまったら…」

モノクマ「そのプレイヤーは、涙を流しながら
     コントローラーを握り締めることになるでしょう」

モノクマ「美し過ぎるグラフィックも相まって、
     その絶望感はより生々しさを増すでしょう」

モノクマ「うぷぷ…」


モノクマ「ボクが何を言いたいのか…オマエラならわかってくれるよね?」

217: 2013/12/23(月) 12:52:51.96 ID:lr8ZcXrK0
CHAPTER 01 

DAY 04




アルミン「うぅ…」




アルミン(最悪の目覚めだった)

アルミン(結局あの後は、あれこれ考え続けたせいで
     なかなか寝付けず…)

アルミン(ようやく夢の中に堕ちたのは、
     午前3時をまわった頃だった)

218: 2013/12/23(月) 13:00:35.59 ID:lr8ZcXrK0
アルミン「えーっと…今は…」




アルミン(壁に掛けられた時計を確認する)




アルミン「えっ、もう8時!?」




アルミン(しまった…完全に寝坊してしまった)

アルミン(いつもなら7時にモノクマの“声”が聞こえてくるはずだけど…
     それすら聞き逃してしまったのか)

219: 2013/12/23(月) 13:06:17.68 ID:lr8ZcXrK0
アルミン「ま、まずい!遅刻だ!」




アルミン(昨日まで抱えていた“違和感”は
     どこかに引っ込んでしまっていた)

アルミン(そんな事を考えている場合ではなかった)




アルミン「早くみんなと合流しないと…!」

220: 2013/12/23(月) 13:17:44.30 ID:lr8ZcXrK0
ガサゴソ

カチャカチャ




モノクマ「どうしたの、そんなに慌てちゃって」

アルミン「決まってるだろ!遅刻しそうだから急いでるんだ!」

モノクマ「遅刻しそうっていうか、もう完全に遅刻ですけど」

アルミン「そ、そりゃそうだけど…」




アルミン「…って…」




モノクマ「?」

アルミン「うわああああああああああああああああ!?」

221: 2013/12/23(月) 13:26:43.99 ID:lr8ZcXrK0
アルミン「モ、モノクマ…どうしてここに!?」

モノクマ「どうしてって…決まってんじゃん。
     キミがあんまりお寝坊さんだから起こしに来てあげたんだよ」

アルミン「…!」

モノクマ「あらやだ、あんた目ヤニ付いてるわよ!
     ほらこっち来なさい!お母さんが取ってあげるから!」カーッ ペッ

アルミン「や、やめろ!きたない!」

モノクマ「おとなしくしなさい!まったくあんたって子は!
     遅刻は問答無用で減点だって、あれほど言って聞かせたでしょ!」

222: 2013/12/23(月) 13:38:27.91 ID:lr8ZcXrK0
アルミン(最悪の目覚めだった)

アルミン(寝不足で体がだるい上に、訓練には遅刻をし…)

アルミン(挙句の果てには、ヨチヨチ歩きのヌイグルミに
     羽交い絞めを受けている)

アルミン(…こんな朝を誰が想像しただろうか)




アルミン「は、離せっ…離せったら!」

モノクマ「…」

223: 2013/12/23(月) 13:51:41.23 ID:lr8ZcXrK0
アルミン(僕は決氏の抵抗を試みた)

アルミン(すると…)




バッ




アルミン「!?」




アルミン(両肩を捉えていた力が急に消え…)




ガツン!




アルミン(僕は勢い余って、ベッドの角に頭をぶつけてしまった)

224: 2013/12/23(月) 13:59:36.00 ID:lr8ZcXrK0
アルミン「痛っっ…!急に離すなよ!」

モノクマ「…離せって言ったり、離すなって言ったり、
     本当にワガママだなあ」

アルミン「何をっ…!」

モノクマ「でもまぁいいや!今はそれどころじゃないし…」

モノクマ「何よりボクはとっても機嫌がいいので、
     今回は特別に許してあげま~す!」

225: 2013/12/23(月) 14:10:10.44 ID:lr8ZcXrK0
アルミン(全く悪びれる様子のないモノクマに腹を立てていたとき…)

アルミン(僕の中に“違和感”が生じた)




アルミン「…ねえモノクマ」

モノクマ「ん?」




アルミン(それは、昨晩あの二人に抱いたものとは別の…)

アルミン(もっと不吉な“違和感”だった)

226: 2013/12/23(月) 14:16:08.51 ID:lr8ZcXrK0
アルミン「どうしてここにいるの?」

モノクマ「はぁ?話聞いてなかったの?
     ボクは寝坊助のキミを起こしに…」

アルミン「そうじゃなくて…訓練はどうしたの?
     みんなを見てなくていいの?」

モノクマ「訓練?そんなのやってませんけど」




アルミン(膨らむ“違和感”)




アルミン「…さっきさ、『今はそれどころじゃない』って言ってたよね?」

モノクマ「うん、言ったね」

アルミン「それに…どうして機嫌がいいの?何かいい事でもあったの?」

モノクマ「うん、あったよ。とってもいい事」

227: 2013/12/23(月) 14:18:32.09 ID:lr8ZcXrK0








モノクマ「コ・ロ・シ・ア・イ」








228: 2013/12/23(月) 14:32:28.28 ID:lr8ZcXrK0
アルミン(思考が停止した)

アルミン(それはほんの一瞬だったけど…
     僕にとっては永遠にも感じられる時間だった)




アルミン「…今…何て…?」

モノクマ「だーかーらー…」








モノクマ「コ・ロ・シ・ア・イ !!」








229: 2013/12/23(月) 17:36:40.73 ID:lr8ZcXrK0
アルミン(コロシアイ…コロシアイ…コロシアイ…)

アルミン(頭の中で無機質に鳴り響く単語…)




アルミン「ウソだ…」

モノクマ「ボクはウソつきじゃない!その自信がボクにはある!」

アルミン「そんなのウソに決まってる…
     だって…訓練が始まってからまだ3日も…」

モノクマ「ていうかさぁ、仮にそんなウソをついたとして、
     ボクに一体何の得があるの?」

アルミン「…!!」

モノクマ「うぷぷぷぷ…でも、本当に驚きだよね…」

モノクマ「まさか“アイツ”が最初の犠牲者になるなんて!」

230: 2013/12/23(月) 17:45:25.54 ID:lr8ZcXrK0
ガタン




アルミン(モノクマの言葉を聞き終わらないうちに、
     僕は部屋から飛び出していた)




モノクマ「いってらっしゃーい!
     ちなみに場所は【訓練所】だからねー!」




アルミン(心臓が一気に跳ね上がる)

231: 2013/12/23(月) 17:51:45.29 ID:lr8ZcXrK0
ダッダッダッダッ

ハァ ハァ




アルミン(ウソだ…)




ハァ ハァ




アルミン(ウソに決まってる…!)








ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!








アルミン(誰かの雄叫びが聞こえる…この声は…)




アルミン「ミカサ…?」

232: 2013/12/23(月) 18:04:13.47 ID:lr8ZcXrK0
― 訓練所 ―




ガヤガヤ ガヤガヤ…
ザワザワザワザワ…




ミカサ「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」




ライナー「ミカサ!落ち着け!」




ドゴッ




ライナー「オゥ…ッ!?」

ベルトルト「ライナー!」

ジャン「おい、早く誰か取り押さえろ!」

233: 2013/12/23(月) 18:10:41.49 ID:lr8ZcXrK0
アルミン「ミカサ…?」

ライナー「…! ア、アルミン、無事だったのか!」

ジャン「何処ほっつき歩いてたんだ!」

アルミン「ご、ごめん…ついさっき目が覚めて…」

ユミル「…呑気なもんだな」

アルミン「え…?」

ユミル「見ろよ、あれ」

234: 2013/12/23(月) 18:15:27.09 ID:lr8ZcXrK0








アルミン(ユミルが指差した先…)

アルミン(僕はその光景を、一生忘れることができないだろう)








235: 2013/12/23(月) 18:17:26.29 ID:lr8ZcXrK0








アルミン「エレン!!!!」








236: 2013/12/23(月) 18:19:30.82 ID:lr8ZcXrK0








CHAPTER 01

イキキノレ

非日常編








237: 2013/12/23(月) 18:21:54.18 ID:lr8ZcXrK0
今日はここまで

238: 2013/12/24(火) 05:55:03.40 ID:2gLz3swWo

たしかに主人公じゃなければわりと氏亡フラグ濃厚な立ち位置だな……

次:【ダンロン×進撃】シンゲキロンパ【中編】

引用: シンゲキロンパ