239:◆qbWu2o7Q.Y 2013/12/24(火) 16:45:46.27 ID:muGsiqXe0


前回:【ダンロン×進撃】シンゲキロンパ【前編】

アルミン(まずはオーソドックスに自己紹介から始めたいと思う。
     僕の名前はアルミン・アルレルトだ)

アルミン(外見は、ご覧の通り、どうしようもないほど平均的な普通の男子…)

アルミン(中身の方も同じ…いや、普通の子よりも弱虫で、
     いつも親友に助けられてばかりいる)

アルミン(そんな弱虫の僕は、今…)

アルミン(兵団の訓練所という似つかわしくない場所に立っている訳だけど…
     これには理由があるんだ)

240: 2013/12/24(火) 16:50:12.99 ID:muGsiqXe0
アルミン(今から2年前、超大型巨人と鎧の巨人の出現によって、
     僕たちは故郷を失った)

アルミン(親友の母親は巨人に食われ…
     僕の家族も、壁内の口減らしのために殺された)




???『駆逐してやる!!』

???『この世から…一匹残らず!!』




アルミン(かつて親友がそう誓ったように…)

アルミン(僕も強い意志を持って、訓練兵団への入団を決めた)

アルミン(そして…)

241: 2013/12/24(火) 17:35:49.66 ID:muGsiqXe0
???「ただいまより、第104期訓練兵団の入団式を行う!」




アルミン(そう…今日この日こそ、待ち望んでいた兵士への第一歩なのだ)

アルミン(正直不安はある。軟弱な僕が、
     生き地獄とよばれる過酷な訓練に耐えられるのかどうか…)




???「私が運悪く貴様らを監督することになった…」




アルミン(でも、もう決めたんだ。自分の心で決めたんだ)

アルミン(僕は親友の…)

242: 2013/12/24(火) 17:38:06.30 ID:muGsiqXe0








アルミン(親友…の…)








243: 2013/12/24(火) 17:40:30.49 ID:muGsiqXe0
???「アルミン?」




アルミン(あれ…)




???「アルミン、しっかりして」




アルミン(おかしいな…眠っちゃってたのかな)

アルミン(じゃあ今のは…夢?)




???「アルミン、大丈夫?私がわかる?」




アルミン(誰かが僕を呼んでる…この声は…)

244: 2013/12/24(火) 17:42:23.40 ID:muGsiqXe0
アルミン「ミカサ…?」




アルミン(僕が名前を呼ぶと、“その人”は呆れ顔で溜息をついた)




アニ「…なに寝ぼけてんの。アニだよ」

アルミン「…えっ」

アニ「もしかしてまだ意識が…」

アルミン「意識?」

アニ「あんたは今まで気絶してたんだ。もうかれこれ5時間だよ」

245: 2013/12/24(火) 17:44:15.74 ID:muGsiqXe0
アルミン「5時間?じゃあ今は…」

アニ「午後1時」

アルミン「…もしかしてアニは、ずっと僕の傍に?」

アニ「私が来たのはついさっきだよ。
   それまではクリスタがあんたを看てた」




アルミン(訳がわからない…やっぱり夢じゃなかったのかな)

アルミン(…そう、たしかに僕は…)

アルミン(…僕は…)

246: 2013/12/24(火) 17:46:17.48 ID:muGsiqXe0
アルミン(…)




アルミン「ねえ、アニ…エレンは?」




アルミン(僕はアニを見た)

アルミン(その整った顔からは、全く思考を読み取ることができない)

247: 2013/12/24(火) 17:50:25.19 ID:muGsiqXe0
アニ「…」




アルミン(アニはしばらく何かを躊躇った後…)

アルミン(静かにこう告げた)








アニ「氏んだよ」








250: 2013/12/25(水) 12:00:19.01 ID:+qRbuOlu0




アルミン「うわああああああああああああああああああああああ!!」




ダッダッダッダッ




ガシッ


アニ「どこに行く気…?」

アルミン「決まってるだろっ!
     エレンを! エレンを! エレンを!!」

アニ「…さんざん確かめた。
   エレンは間違いなく氏んでいたよ」

アルミン「イヤだっ! 僕は行くっ!!」

251: 2013/12/25(水) 16:00:18.51 ID:+qRbuOlu0
アルミン(僕はアニを突き飛ばそうとした)

アルミン(すると…)




ガン




アルミン「!?」ブンッ




アルミン(急に視界がぐるりと反転し…)




ゴッ




アルミン(気が付くと僕は、床に叩きつけられていた)

252: 2013/12/25(水) 16:06:41.50 ID:+qRbuOlu0
アルミン「痛っっ…!な、何を…!」

アニ「アルミン…頼むから、あんたまで
   私に手を掛けさせないでよ」




アルミン(そう言ったアニの顔は、先ほどまでの無表情ではなく…)

アルミン(とても苦しそうに歪んでいた)




アルミン「…アニ? それは…」

アニ「ミカサにやられた」

アルミン「…!」

アニ「まったく、とんでもないバケモノだよ…あいつは。
   私とミーナの二人がかりでやっと縛り付けたんだから」

253: 2013/12/25(水) 16:10:55.99 ID:+qRbuOlu0
モノクマ「そうそう!すごい見世物だったよね!」

モノクマ「猛獣を押さえつける二人の女兵士!
     さながら情熱の国の闘牛ショーを見ているようだったよ!」

アルミン「…!!」




アルミン(いつの間にか部屋の片隅に佇んでいた“そいつ”は、
     今朝と何も変わっていなかった)

アルミン(憎たらしいほど変わっていなかった)




アニ「…よくもやってくれたね」

モノクマ「うぷぷ…それは違うよ」

モノクマ「だって、やってくれたのはオマエラの方じゃーん!!」

254: 2013/12/25(水) 16:15:46.01 ID:+qRbuOlu0
モノクマ「ボクはちゃんと言ったはずだよ?」




モノクマ『今朝も言ったけど、信じる信じないはオマエラの自由だよ』

モノクマ『別にボクは絶対にコロシアイをしろと言っている訳でもないし、
     絶対に訓練に参加しろと言っている訳でもない…』

モノクマ『ルールさえ守ってくれれば、どう動くかはオマエラ次第なんだ』




モノクマ「つまり、今回の事件はね…」

モノクマ「オマエラの中の誰かが自分で考えて、
     自分の意志でやった事なんだよっ!」

255: 2013/12/25(水) 16:20:26.10 ID:+qRbuOlu0
アルミン(頭が混乱していた)

アルミン(僕らの中の誰かが…自分で考えて…)

アルミン(僕の…親友を…?)




モノクマ「うぷぷぷぷ…ていうかさぁ、
     そんな風にボクに突っかかってる暇ないんじゃないの?」

モノクマ「もう時間はほとんど残されてないんだよ?」

アルミン「時間…?」

モノクマ「おやおや、キミはどこまでクマの話を…」

モノクマ「…ああそっか!気絶しててあの場にはいなかったんだっけ!」

アルミン「一体何の…」

モノクマ「じゃあレオンハートさん、
     アルレルトくんに例のモノ見せてやって!」

256: 2013/12/25(水) 16:25:15.97 ID:+qRbuOlu0
アルミン(モノクマに言われてアニが取り出したのは…)

アルミン(彼女の訓練兵手帳だった)




アニ「…」




アルミン(アニは無言で手帳を開き…)

アルミン(とある1ページを僕の前に広げてみせた)

257: 2013/12/25(水) 16:30:11.51 ID:+qRbuOlu0
■ 兵団規則 ■


1 訓練兵達はこの施設内だけで共同生活を行いましょう。
  共同生活の期限はありません。

2 夜10時から朝7時までを“夜時間”とします。
  夜時間は立ち入り禁止区域があるので、注意しましょう。

3 就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。
  他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。

4 この施設について調べるのは自由です。
  特に行動に制限は課せられません。

5 監督教官ことモノクマへの暴力を禁じます。
 
6 “物体X”の破壊を禁じます。

7 仲間の誰かを頃したクロは“卒業”となりますが、
  自分がクロだと他の訓練兵に知られてはいけません。

8 訓練兵内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、
  訓練兵全員参加が義務付けられる兵団裁判が行われます。

9 兵団裁判で正しいクロを指摘した場合は、
  クロだけが処刑されます。

10 兵団裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、
  クロだけが卒業となり、残りの訓練兵は全員処刑です。

11 訓練兵達は50日間の訓練を行います。
  訓練への参加は強制ではありません。

12 訓練の総合成績が一番優秀だった者には、
  “ファイナルデッドルーム”への挑戦権が与えられます。

13 倉庫から物品を持ち出す際は、
  管理表に必要事項を記入しましょう。返却時も同様です。

14 なお、兵団規則は順次増えていく場合があります。

258: 2013/12/25(水) 16:35:16.77 ID:+qRbuOlu0
アルミン(それは兵団規則だった)

アルミン(僕が知っている規則よりも
     さらに新しい項目が追加されている)

アルミン(中でも気になったのが…)




アルミン「兵団…裁判……?」

モノクマ「そう!兵団裁判!」

アルミン「誰かを頃した人間は…すぐに卒業できるんじゃないの?」

モノクマ「うぷぷ…うぽぽぽぽ…」

モノクマ「…ぶひゃっひゃっひゃ!!」

259: 2013/12/25(水) 16:41:33.71 ID:+qRbuOlu0
アルミン「な、なんで…笑ってるんだよ…」

モノクマ「うぷぷ…だってさ…」

モノクマ「甘い…甘過ぎるッ!」

モノクマ「人を頃しただけで、簡単に出られると?」

モノクマ「そんなの大甘だよ! デビル甘だよ!
     地獄甘だよっ!!」

モノクマ「むしろ…本番はこれからじゃん!!」

260: 2013/12/25(水) 16:45:11.40 ID:+qRbuOlu0
アルミン「本番…?」

モノクマ「では、ここで…!!
     『卒業』に関する補足ルールの説明を始めます!!」

モノクマ「『誰かを頃した者だけが卒業出来る』という点は、
     以前、説明した通りですが…」

モノクマ「その際に、守っていただかなければならない約束が
     あったよね?」

261: 2013/12/25(水) 16:46:16.74 ID:+qRbuOlu0
アルミン「本番…?」

モノクマ「では、ここで…!!
     『卒業』に関する補足ルールの説明を始めます!!」

モノクマ「『誰かを頃した者だけが卒業出来る』という点は、
     以前、説明した通りですが…」

モノクマ「その際に、守っていただかなければならない約束が
     あったよね?」

262: 2013/12/25(水) 16:50:05.18 ID:+qRbuOlu0
アニ「規則の7条目の項目だね…」




7 仲間の誰かを頃したクロは“卒業”となりますが、
  自分がクロだと他の訓練兵に知られてはいけません。




アニ「自分が殺人を犯したクロだと、
   他の訓練兵に知られてはならない…」

アニ「その点を言ってるんでしょ?」

モノクマ「そう、ただ頃すだけじゃ駄目なの。
     他の訓練兵に知られないように殺さなければならないの!」

モノクマ「で、その条件がクリア出来ているかどうかを
     査定する為のシステムとして…」

モノクマ「殺人が起きた一定時間後に、
     『兵団裁判』を開く事とします!」

263: 2013/12/25(水) 16:55:39.20 ID:+qRbuOlu0
モノクマ「兵団裁判は、殺人が起きた数時間後に開催されます!」

モノクマ「兵団裁判の場では、
     殺人を犯した“クロ”と…」

モノクマ「その他の訓練兵である“シロ”との対決が
     行われるのですっ!!」

264: 2013/12/25(水) 17:00:12.54 ID:+qRbuOlu0
モノクマ「兵団裁判では『身内に潜んだクロは誰か?』を、
     オマエラに議論してもらいます」

モノクマ「その結果は、兵団裁判の最後に行われる
     “投票”により決定されます」

モノクマ「そこで、オマエラが導き出した答えが
     正解だった場合は…」

モノクマ「秩序を乱したクロだけが“おしおき”となりますので、
     残った他のメンバーは共同生活を続けてください」

モノクマ「ただし…もし間違った人物を
     クロとしてしまった場合は…」

モノクマ「罪を逃れたクロだけが生き残り、
     残ったシロ全員が“おしおき”されてしまいます」

モノクマ「その場合、もちろん共同生活は強制終了となります!」

モノクマ「以上、これが兵団裁判のルールなのですッ!!」

265: 2013/12/25(水) 17:05:11.29 ID:+qRbuOlu0
アルミン「さっきから連呼している“おしおき”って…」

モノクマ「そう!この規則でいうと処刑ってやつだね!」

モノクマ「電気イスでビリビリ! 毒ガスでモクモク!
     ハリケーンなんちゃらで体がバラったりってヤツだよ!」

アルミン「つ、つまり…」

アルミン「犯人を当てれば、犯人だけが殺されるけど…
     もし犯人を外せば…」

アルミン「僕ら全員が処刑される?」

モノクマ「賢いチンパンジーだね!
     さりげなく自分が犯人じゃないとアピる小技もグッド!」

266: 2013/12/25(水) 17:10:06.19 ID:+qRbuOlu0
アルミン(混乱した頭にムチを打つ)

アルミン(ダメだ…考えるのをやめるな)

アルミン(考えろ…考えろ…)




モノクマ「わかってると思うけど…ボクは本気だよ」

モノクマ「逆らう訓練兵は…ハチの巣になったり爆発させられたり、
     生き埋めにされたり溶かされたり……エトセトラ」

モノクマ「そんな風になりたくなかったら…
     オマエラは、施設の規則にしっかりと従う事ッ!!」

267: 2013/12/25(水) 17:15:30.00 ID:+qRbuOlu0
アルミン(考えろ…考えろ…)

アルミン(正面から向き合え…状況から逃げるな)

アルミン(僕が今やるべきことは…)




モノクマ「…もうゴチャゴチャとした説明はしないって言ったのに、
     またずいぶんと喋っちゃった」

モノクマ「でもとりあえず、兵団裁判についての細かい説明は
     これでおしまい!」

モノクマ「残り少ない時間をフルに使って、
     有意義な捜査をしていってね!」

モノクマ「では後ほど、兵団裁判でお会いしましょう!」




ポヨヨーン

268: 2013/12/25(水) 17:20:31.38 ID:+qRbuOlu0
アニ「…これでわかったでしょ?」

アニ「今あいつの氏を悲しんでる余裕はないんだ。
   ここで正解を見つけなければ、私たちは…」

アルミン「わかってる」

アニ「え…?」

アルミン「犯人は僕が見つけてみせる。
     エレンを…僕の親友の命を奪った人間は…」

アルミン「必ず…僕が追いつめてみせる」

269: 2013/12/25(水) 17:25:14.49 ID:+qRbuOlu0
アルミン(心に火がともる)

アルミン(その火は僕の中で静かに燃えはじめ…)

アルミン(確固たる決意を僕に抱かせた)




アニ「…」

270: 2013/12/25(水) 17:31:07.88 ID:+qRbuOlu0




アニ「…ふふっ」




アルミン「…えっ」

アニ「…いいね」

アニ「それでこそアルミンだ」




アルミン(見間違いだろうか)




アニ「…期待してるからね」




アルミン(その時、ずっと表情を見せなかったアニが…)

アルミン(ほんの少しだけ…僕に微笑んだ気がした)

271: 2013/12/25(水) 17:35:43.07 ID:+qRbuOlu0








―  捜 査 開 始  ―








276: 2013/12/26(木) 16:00:31.97 ID:5fXg6tUq0
アニ「まずはこれを渡しておくよ」




アルミン(そういってアニが差し出したのは…)

アルミン(一冊の黒いノートだった)




アルミン「これは?」

アニ「モノクマから全員に配られたものだよ。
   あんたの分も貰っておいたんだ」

アルミン「えっ…」

アニ「あいつが言うには…」

277: 2013/12/26(木) 16:05:45.37 ID:5fXg6tUq0
モノクマ『これはボクがまとめた氏体に関するファイル。
     その名も…』

モノクマ『…ザ・モノクマファイル!!』

モノクマ『まぁ、結局のところオマエラは素人さんな訳だし、
     氏体を調べるって言っても限度があるでしょうから…』

モノクマ『代わりに、ボクが氏亡状況や氏因っぽいのを
     まとめておいてやったの!』

モノクマ『えっ? そういうお前は、
     どうやって氏因なんかを調べたんだって?』

モノクマ『一部始終を見てたから、一目瞭然なのだっ!!』

278: 2013/12/26(木) 16:15:20.63 ID:5fXg6tUq0
ジャン『な、なら…お前は…
    あいつが殺された瞬間を見てたっていうのか!?』

ミーナ『そのとき現場にいたの!?』

モノクマ『うぷぷ…まあ、そういう事にしておこうかな』

ライナー『…? ずいぶん含みのある言い方だな』

アニ『じゃあ、あんたは知ってるんだね?
   エレン・イェーガーを頃した犯人を…』

モノクマ『モチロンですともっ!!』

モノクマ『じゃなきゃ、兵団裁判のジャッジを
     公正に下せないでしょ?』

アニ『そう、ジャッジは公正に下されるんだね。
   それを聞いて少しだけ安心したよ…』

279: 2013/12/26(木) 16:25:09.42 ID:5fXg6tUq0
アルミン「つまり、このファイルには…」

アルミン「エレンが氏んだときの状況が記されてる…?」

アニ「誰がやったかまでは書かれていなかったけどね…」

アニ「有力な情報もそれなりにあるから、
   目を通しておいて損はないよ」




アルミン(確かに…現場に向かう前に、
     事件の詳細を頭に入れておいた方がいいかもしれない)

アルミン(まずはこのファイルを見てみよう)

280: 2013/12/26(木) 16:30:20.40 ID:5fXg6tUq0
■ モノクマファイル 1 ■


被害者はエレン・イェーガー。
氏亡時刻は午前1時半頃。

氏体発見現場となったのは訓練所の一角、
立体機動の適性検査を行った場所。

被害者はそこにあった姿勢制御訓練の装置で、
半ば宙吊りの状態で氏亡していた。

氏因は頭部への打撃による頭蓋内圧の上昇。
その他、身体に目立った外傷は見られない。

281: 2013/12/26(木) 16:35:21.17 ID:5fXg6tUq0
アニ「…どう?」

アルミン「うん、これは確かに有力な情報だね」




【モノクマファイル 1】




アルミン(でも、これを見る限りだと…)

アルミン(今回の事件って…)




アニ「とにかく…
   まずは現場となった“訓練所”に行こう」

アニ「あそこを調べない限り…何も始まらないからね」

285: 2013/12/27(金) 16:00:25.40 ID:RYe5HWEc0
― 訓練所 ―




クリスタ「アルミン!もう大丈夫なの!?」

アルミン「うん…」

アニ「あんたが行ってから間もなく目を覚ましたんだ」

アルミン「クリスタ…色々とありがとね」

クリスタ「そんなの気にしなくていいよ!
     だって…あんな事があったら…!」

286: 2013/12/27(金) 16:05:46.08 ID:RYe5HWEc0
アルミン(クリスタはそう言って涙を浮かべる)

アルミン(こんな状況でなければ、
     その姿に魅了されない男性はいないだろう)




アルミン「…それで、エレンは?」




アルミン(クリスタは泣きそうな顔になった)




クリスタ「まだあの状態…」

クリスタ「降ろしてあげようって言ったんだけど…
     現場の保存が第一だからって…」

アルミン「…うん、それでいいよ。その方が助かる」

クリスタ「ごめんなさい…」

アニ「謝るようなことじゃないよ。
   それより早くエレンのところに行こう」

287: 2013/12/27(金) 16:15:16.99 ID:RYe5HWEc0
アルミン(僕たちはそのまま訓練所の片隅…
     事件現場となった装置の設置場所に向かった)




ドクン




アルミン(鼓動が早くなる)

アルミン(できれば見たくない)




ドクン




アルミン(でも、見なければならない)

アルミン(見なければ道は開けない)

288: 2013/12/27(金) 16:20:17.15 ID:RYe5HWEc0
― 訓練所(事件現場) ―




アルミン「…っ」




アルミン(エレンは相変わらずそこにいた)

アルミン(今朝に見た光景と何も変わらずに…)

アルミン(無残な抜け殻となって、エレンはそこにいた)




アルミン「…うっ」




アルミン(吐き気とともに様々な感情が押し寄せる)

アルミン(悲しみ、怒り、恐怖、憎悪…)

アルミン(そして…とてつもない絶望)

289: 2013/12/27(金) 16:25:13.94 ID:RYe5HWEc0
アニ「…アルミン」




アルミン(気が付くと、アニが僕の目を覗き込んでいた)




アニ「…」




アルミン(…わかってるよ)

アルミン(今はそんな場合じゃない)

アルミン(もうほとんど時間は残されていないんだ)

290: 2013/12/27(金) 16:30:16.66 ID:RYe5HWEc0
クリスタ「…これってやっぱり、事故だったのかな」




アルミン(突然、クリスタが独り言のように呟いた)




アルミン「…え?」

クリスタ「だってあの恰好…あれってどう見ても、
     【姿勢制御の訓練中の事故】だよね…?」




アルミン(クリスタはエレンに目を向ける)

アルミン(モノクマファイルにあった通り…
     エレンは腰から宙吊りになって、頭を地面に接触させていた)

291: 2013/12/27(金) 16:35:12.11 ID:RYe5HWEc0
アニ「モノクマファイルによると、
   氏亡した時刻は午前1時半頃だったね」

クリスタ「うん…だからエレンは、
     夜中にこっそり練習しようとして…」

クリスタ「それで…頭を打って氏んじゃったんじゃないかな」

アルミン「…」

クリスタ「そうとしか考えられないよ。
     だって…私たちの中に殺人犯がいるなんて…」

クリスタ「どうしても信じられないよ…」




【クリスタの証言】




293: 2013/12/28(土) 16:00:44.46 ID:V8fXnCWy0
ライナー「アルミン」

アルミン「…! ライナー、ベルトルトも…」

ベルトルト「身体の方は大丈夫?」

アルミン「うん、おかげさまでね」

ライナー「…こういう時は何て言えばいいのかわからないんだが」

ライナー「その…気の毒だったな」

アルミン「…」

294: 2013/12/28(土) 16:15:08.38 ID:V8fXnCWy0
アルミン「二人はここで何をやってるの?」

ベルトルト「えっ…」

ライナー「俺たちか?俺たちはまぁ…“見張り役”ってやつだな」

アルミン「“見張り役”?」

ライナー「現場を荒らされない為に監視する人間のことだ。
     犯人に証拠を隠滅されたら、手詰まりになりかねないからな」

アルミン「それで…二人がその役目なの?」

ベルトルト「最初はライナーが一人で買って出てくれたんだけど…
      ユミルが『こいつが犯人だったらどうするんだ?』って言い出してね」

アルミン「…」




アルミン(現場の見張りには二人以上の人間が必要…確かに理には適ってる)

アルミン(だけどこの二人は…)

295: 2013/12/28(土) 16:30:12.95 ID:V8fXnCWy0
アニ「共犯者の可能性がある…」

アルミン「…!」

アニ「見張り役を二人にすれば証拠を隠滅される心配はなくなる。
   ただし、それは単独犯の場合…」

アニ「この二人が共犯していたら話は別…そう言いたいんでしょ」

アルミン「なっ…なんでわかるの!?」

アニ「エスパーだから」

アルミン「は!?」

アニ「…なんてね」

296: 2013/12/28(土) 16:42:22.19 ID:V8fXnCWy0
ライナー「お、おいおい…いきなり何言ってんだ!?」

ベルトルト「僕たちがそんな事するわけない!
      第一、見張り役を二人にしようと提案してきたのはアニじゃないか!」

アニ「落ち着きなよ。私はあんたらが共犯してたなんて思ってないから」

アルミン「え…?」

アニ「これは【単独犯】の仕業だよ。
   共犯者がいたっていう線は限りなく薄いだろうね」

アルミン「…? どうして言い切れるの?」

アニ「“兵団規則”だよ。
   あれを熟読すれば、誰だって察せると思うけどね」




【兵団規則】




297: 2013/12/28(土) 17:00:15.37 ID:V8fXnCWy0
アニ「…と、話が逸れたね」




アルミン(アニはそう言うと、宙吊り状態のエレンの隣に屈んだ)




アニ「早く始めよう。アルミン、こっちに来て」

アルミン「…」コクッ

298: 2013/12/28(土) 18:10:28.06 ID:V8fXnCWy0
アルミン(アニの真似をするように、エレンの隣に屈む)

アルミン(そして、僕はエレンの氏体にそっと手を触れてみた…)




アルミン「…」




アルミン(医学の本で読んだように、
     彼の手や首の脈を確かめてみたのだが…)




アルミン「………………」

アルミン「本当に…氏んでる……」

299: 2013/12/28(土) 18:23:21.46 ID:V8fXnCWy0
アニ「モノクマファイルによると、
   致命傷となったのは頭部への打撃だったね」




アルミン(アニに促されるようにエレンの頭部を確認する)

アルミン(しかし、伸ばした手がエレンの髪に触れた瞬間…)

アルミン(僕は思わず腕を引っ込めてしまった)




アルミン「…!!」




アルミン(ベトリという嫌な感触。
     手にこびり付いたドス黒いタール…)

アルミン(それが“血”であると理解するまで、
     またしばらく時間が必要だった)

300: 2013/12/28(土) 18:29:57.52 ID:V8fXnCWy0
アルミン「…っ、落ち着け…」




アルミン(考えてみれば当たり前の事だ)

アルミン(アニが言ったように、致命傷となったのは
     頭部への打撃…)

アルミン(つまり、髪が血で濡れていたからといって、
     何も不自然ではない…)




アルミン「…」




アルミン(…あれ?でも待てよ…)

アルミン(髪に…血…?)




【血で濡れた髪】




301: 2013/12/28(土) 18:54:14.48 ID:V8fXnCWy0
アルミン(…少し状況を整理してみよう)




クリスタ『うん…だからエレンは、
     夜中にこっそり練習しようとして…』

クリスタ『それで…頭を打って氏んじゃったんじゃないかな』




アルミン(クリスタはさっき、
     これは殺人ではなく事故であると主張していた)

アルミン(別にそれ自体は不自然な発想じゃない)

アルミン(現にモノクマファイルを始めて見た時…
     僕だってその可能性を考えたのだから)

302: 2013/12/28(土) 19:00:10.22 ID:V8fXnCWy0
アルミン「…」




アルミン(…もし、これがクリスタの言うように事故なのだとしたら)

アルミン(エレンは空中でバランスを崩し、
     そのまま地面に頭をぶつけて氏んだ事になる)

アルミン(だとすると…)

303: 2013/12/28(土) 19:07:04.28 ID:V8fXnCWy0
アルミン「ねえアニ…ちょっと手伝ってもらっていいかな」

アニ「? いいけど」




アルミン(僕たちはエレンの身体に手をかけた)




ライナー「! おいおい、勝手に現場を荒らすんじゃ…」

アルミン「大丈夫、すぐに終わるから」

アニ「ていうか、そんなに心配なら注意して監視してなよ」

ライナー「…」

304: 2013/12/28(土) 19:17:33.74 ID:V8fXnCWy0
アルミン(僕たちはそのままエレンの身体を持ち上げ…)

アルミン(宙吊りの状態のまま、頭が置かれていた位置を少しずらした)




ベルトルト「…!」

アルミン「これは…」




アルミン(そうして姿を現した、エレンの頭の下にあったもの…)

アルミン(それは【地面から突き出た大きな石】だった)

305: 2013/12/28(土) 19:30:14.85 ID:V8fXnCWy0
アルミン「…すごく歪な形をしてるね。
     エレンの血もべっとり付いてる」

アニ「間違いない…エレンはこれで頭をぶったんだ」




アルミン(僕やミカサと一緒に訓練をした時も、
     エレンはバランスを崩して頭をぶつけていた)

アルミン(それにも拘わらず無事だったのは、
     ぶつけた先が平らな地面だったからだ)

アルミン(クリスタが言うように、
     エレンが夜中に練習をしていたのなら…)

アルミン(暗い中でこの石を見落としてしまっても不思議じゃない)

アルミン(そして、あの勢いでこの固い石に頭を突っ込んだら…
     絶対にただでは済まないだろう)




【地面から突き出た大きな石】




306: 2013/12/28(土) 19:36:27.28 ID:V8fXnCWy0
ベルトルト「ちょ、ちょっと待って!これはおかしいよ!」




アルミン(ベルトルトが声を張り上げる)




ライナー「…そうだな。これはどう考えてもおかしい」

アニ「何がおかしいの」

ライナー「覚えてるか?今から大体3日前…
     ここに連れて来られた初日の夜のことだ」

307: 2013/12/28(土) 19:45:19.35 ID:V8fXnCWy0
モノクマ『オマエラさあ、この外のあちこちに穴掘ったでしょ!』

ライナー『それがどうしたんだ』

モノクマ『何開き直ってんの!ちゃんと元に戻しなさいよ!』

ベルトルト『いや、でも流石にそこまでの時間はなくて…』

モノクマ『そんなのオマエラの都合でしょーが!とにかく穴を塞ぎなさい!
     ヤリ逃げなんて許さないんだからね!』




ライナー「モノクマからああ言われた俺たちは、
     徹夜で穴埋め作業をさせられた…」

ライナー「それはお前らも知ってるよな?」

アルミン「…うん」

ライナー「で、そもそも何故そんな事をさせられたかなんだが…」

308: 2013/12/28(土) 19:59:24.82 ID:V8fXnCWy0
モノクマ『大体、外が穴だらけだったら危なくて訓練できないでしょーが!』




アルミン「…そういえば、確かにそんな事を言ってたね」

ライナー「ああ…つまりアイツが穴を塞がせた理由は、
     【訓練所の安全性を確保する為】だったんだ」

アニ「回りくどいよ。つまり何が言いたいの」

ベルトルト「穴を塞いだ後、僕らは訓練所を隈なくチェックさせられたんだ。
      訓練に支障をきたすものが他にないか…徹底的にね」

309: 2013/12/28(土) 20:04:38.07 ID:V8fXnCWy0
アルミン「…なるほど、なんとなくわかってきたよ」

ライナー「そうだ…地面から飛び出してる石なんてあったら、
     間違いなく俺たちが見つけているはずなんだ」

ベルトルト「そうでないと、モノクマにつべこべ言われるからね」

アニ「…」

ライナー「大体、この場所は昨日まで散々使われてただろ?
     その時に誰も気付かないなんて…流石におかしいと思わないか?」




【ライナーとベルトルトの証言】




312: 2013/12/29(日) 13:16:48.35 ID:O2ihWxKc0
アニ「…」

アルミン「…? アニ、どうしたの?」

アニ「…ねえアルミン」

アニ「私も手伝ってくれない?」

アルミン「えっ?いいけど…」

313: 2013/12/29(日) 13:32:03.93 ID:O2ihWxKc0
アルミン(アニはそう言うとエレンに向き直り…)

アルミン(腰に付いた金具を外し始めた)




ライナー「! お、おいおい!いくらなんでもそれは…」

アニ「大丈夫、すぐに終わるから」

ライナー「お前らさっきもそう言ってただろ!」

アニ「いちいちうるさいね…
   現場の保全にこだわり過ぎてたら何もできないでしょ」

アニ「今見つけた石だって、そのせいで見落としてたじゃない」

ライナー「…」

アニ「それにこれは…どうしても必要な事なんだよ」

314: 2013/12/29(日) 13:45:22.75 ID:O2ihWxKc0
アルミン(アニはそのまま金具を外すと、
     食い入るように目を走らせた)




アニ「…」

ライナー「…」

アニ「…ねえライナー」

ライナー「…な、何だよ」

アニ「あんたって姿勢制御上手かったよね」

ライナー「…お前ほどじゃないけどな」

アニ「ちょっと私に見せてくれない?」

315: 2013/12/29(日) 13:54:58.26 ID:O2ihWxKc0
ライナー「はぁ?今はそれどころじゃ…」

アニ「…」

ライナー「…わ、わかったよ」




アルミン(無言の圧力に負けたライナーは、
     しぶしぶ隣の装置に向かっていった)

アルミン(自分の金具にロープを付け、
     脇にいたベルトルトに声をかける)




ライナー「…いいぞ、上げてくれ」

316: 2013/12/29(日) 14:11:04.92 ID:O2ihWxKc0
ベルトルト「いくよ」




キリキリキリキリキリキリ




アルミン(ベルトルトが困惑した様子でクランクを動かす)

アルミン(やがてライナーの足が浮き、その巨体が空中で静止した)




ライナー「…」




アルミン(いつの間にかライナーも集中していた)

アルミン(隅々まで神経を張り巡らせ、しかし余計に力むことなく、
     空中でピタリとその肉体を止めている)

アルミン(…改めて見ると、やっぱり凄いな)

317: 2013/12/29(日) 14:18:08.90 ID:O2ihWxKc0
ライナー「…これでいいか?」

アニ「うん、ありがとう」




アルミン(アニの返事を聞いたベルトルトは、
     再びクランクを回してライナーを降ろした)




アニ「じゃあ、今度はこっちでやってみて」

ライナー「はぁ?まだやる…」

アニ「…」

ライナー「…」




アルミン(アニがそう言ってライナーに差し出した物…)

アルミン(それは、先ほど外したエレンの金具だった)

318: 2013/12/29(日) 20:50:52.58 ID:O2ihWxKc0
アルミン(ライナーは不服そうに金具を付け替える)

アルミン(そして、そこにロープを繋ぐと、
     ベルトルトに向けて目で合図をした)




ベルトルト「いくよ」




キリキリキリキリキリキリ




アルミン(前の動作を繰り返すように、
     ベルトルトがクランクを動かす)

アルミン(その時だった)




ガン




ライナー「!?」ブンッ




ゴッ

319: 2013/12/29(日) 21:13:23.58 ID:O2ihWxKc0
アルミン(僕は目を疑った)

アルミン(お手本のように姿勢を維持してみせたライナーが…)

アルミン(今度は一瞬で地に額を打ったのだ)




ベルトルト「ライナー!」

ライナー「な…なんだこりゃ…!?」




アルミン(そして僕は気付く)

アルミン(宙で反転した身体、地面に向かって突っ込む頭、
     ロープに吊られて逆さになるライナー…)

アルミン(それらはまるで…)

320: 2013/12/29(日) 21:23:07.83 ID:O2ihWxKc0
アニ「…なるほどね」

ライナー「お、おい!一体どうなってるんだ!?」

アニ「やっぱりあんたでも無理だったか」

ライナー「む、無理も何も…
     こんなの【1秒だってもたない】ぞ!?」




アルミン(…どうやら間違いなさそうだ)

アルミン(アニが確かめたかったのは…)




【アニの実験】




323: 2013/12/30(月) 08:54:49.87 ID:DHNzSASw0
アニ「そしてもう一つ」

ライナー「ま、まだ何かやるのか!?」

アニ「そうじゃなくて…そこ見なよ」




アルミン(アニが示した先…
     そこはエレンが吊り下がっている装置だった)




ベルトルト「…! 確かに、今のライナーの状態って…」

アニ「だから、そうじゃなくて…」

ベルトルト「えっ?」

アニ「そこだよ、そこ」

324: 2013/12/30(月) 09:10:07.56 ID:DHNzSASw0
アルミン(アニはエレンに近づき、ある一点を指し示した)




アニ「さっき見つけた石の脇…血が飛び散ってるでしょ?」

ライナー「それがどうしたんだ?その石に頭ぶつけたんだから、
     何も不思議じゃないだろ」

ベルトルト「…いや、ちょっと待って」

ライナー「?」

ベルトルト「この血痕…四角だよ」

325: 2013/12/30(月) 09:16:52.38 ID:DHNzSASw0
ライナー「…は?」

ベルトルト「血痕が途切れてるんだ。その形が…四角なんだよ」

ライナー「四角…?途切れてる…?」

アニ「…ねえアルミン、これってどういう事だと思う?」

アルミン「…」




【途切れた血痕】




326: 2013/12/30(月) 11:41:29.45 ID:u0O4p+jX0
アルミン(クリスタの証言、兵団規則…)

アルミン(血で濡れた髪、地面から突き出た大きな石…)

アルミン(ライナーとベルトルトの証言、アニの実験…)

アルミン(そして、途切れた血痕…)




アルミン「…」




アルミン(必氏に動揺を抑えて得た手がかり…)

アルミン(繋がる気がする…一つに…)

327: 2013/12/30(月) 11:45:27.50 ID:u0O4p+jX0
アルミン(でも…)




アルミン「…」




アルミン(まだ…足りない)




アニ「…決まりだね」

アルミン「…えっ」

アニ「今度はあそこに行こう」

328: 2013/12/30(月) 11:55:04.43 ID:u0O4p+jX0
― 倉庫 ―




アルミン「…? サシャ?」

サシャ「ひいっ!?」

アルミン「おわっ!…ぼ、僕だよ、アルミンだ」

サシャ「な、何もやってませんから!」

アルミン「え?」

サシャ「私やってませんから!!」

アニ「…まだ何も言ってないんだけど」

329: 2013/12/30(月) 12:04:17.82 ID:u0O4p+jX0
アルミン(次に僕たちが訪れたのは倉庫だった)

アルミン(てっきり誰もいないと思ってたけど…
     思わぬ先客がいたのだ)




アルミン「それにしても奇遇だね…サシャもここの捜査に?」

サシャ「え…ええ、まあ…ハハハ…」

アニ「…へぇ、じゃあ聞くけど」




アニ「昨日の夜は何をやってたの?」




330: 2013/12/30(月) 12:36:14.75 ID:u0O4p+jX0




アルミン(…え?)




サシャ「…!!」

アニ「昨日の夜は何をやってたの?」

サシャ「…何をって…
    …何を…言ってるんですか…?」

アニ「昨日の夜…それも、かなり遅くに…
   あんたは寄宿舎から出て行ってるよね?」

サシャ「そ、そんな…まさか…」

サシャ「見てたんですか…!?」

331: 2013/12/30(月) 12:42:33.31 ID:u0O4p+jX0




アルミン(…え?)




サシャ「…ハッ!しまっ…」

アニ「…」

サシャ「ち、違うんです!違うんですよ!」

アニ「何がどう違うの?」

サシャ「本当に違うんですって!
    何だったらジャンに聞いてみてくださいよ!」

332: 2013/12/30(月) 13:01:39.56 ID:u0O4p+jX0




アルミン(…え?)




アニ「なんでそこでジャンが出てくるのさ」

サシャ「とにかく!私は違いますから!
    ジャンに聞けばわかりますから!」

サシャ「私は…何もやましい事なんてやってませんから!!」




ダッダッダッダッ




【サシャの証言】




336: 2013/12/31(火) 07:38:28.46 ID:cPdKrLFw0
アニ「…どう思う?」

アルミン「どう思うって…」




アルミン(いきなりすぎて何が何だか…)




アルミン「寄宿舎を出て行くサシャを見たっていうのは本当なの?」

アニ「ウソだよ。鎌をかけたんだ」

アルミン「それにしても…アニには確信があるように思えたんだけど」

アニ「まあね」

337: 2013/12/31(火) 07:44:59.29 ID:cPdKrLFw0
アルミン(アニは入り口付近から何かを取り出す)

アルミン(それはヒモで綴じられた紙の束だった)




アニ「これ見てみなよ」

アルミン「…?」

338: 2013/12/31(火) 08:11:44.40 ID:cPdKrLFw0
物品 ショベル、つるはし

名前 ライナー・ブラウン

持出 DAY 01 11:54
返却 DAY 02 06:45   


物品 工具セット

名前 ジャン・キルシュタイン

持出 DAY 03 19:25
返却 DAY 04 00:20


物品 詰め合わせスペシャル

名前 サシャ・ブラウス

持出 DAY 04 00:20
返却 DAY 04 13:48

339: 2013/12/31(火) 08:43:38.85 ID:cPdKrLFw0
アルミン「これって…」

アニ「部屋で手帳を見せたでしょ?
   規則の13条目…新しく追加された項目だよ」




13 倉庫から物品を持ち出す際は、
  管理表に必要事項を記入しましょう。返却時も同様です。




アルミン「じゃあ、これが…」

アニ「ここで言うところの“管理表”だね」




【倉庫の物品管理表】




340: 2013/12/31(火) 08:52:55.76 ID:cPdKrLFw0
アルミン(なるほど…これなら確かに理解できるかもしれない)

アルミン(サシャが寄宿舎を抜け出した理由も、
     アニがその事実を知っていた理由も…)

アルミン(そして、サシャがあんな事を言った真意も…)




アルミン「…どうやら、詳しく話を聞かなきゃいけない人がいるみたいだね」

アニ「うん、まあ…」

アニ「そうしたいところなんだけど…」

アルミン「?」

341: 2013/12/31(火) 09:07:46.01 ID:cPdKrLFw0








「キーン、コーン… カーン、コーン」




モノクマ『えー、ボクも待ち疲れたんで…
     そろそろ始めちゃいますか?』

モノクマ『お待ちかねの…』

モノクマ『兵団裁判をっ!!』








342: 2013/12/31(火) 09:09:00.51 ID:cPdKrLFw0








モノクマ『ではでは、集合場所を指定します!』

モノクマ『施設のフロア末端にある、
     赤い扉にお入りください』

モノクマ『うぷぷ、じゃあ後でね~!!』








343: 2013/12/31(火) 09:41:54.27 ID:cPdKrLFw0
アルミン「…!!」

アニ「どうやらここまでみたいだね」

アルミン「そんな…!僕はまだ…」

アニ「仕方ないよ。そもそも、
   あんたにはロスタイムがあったから」




アルミン(ロスタイム…そうだ)

アルミン(僕があそこで気絶なんかしなければ…)

344: 2013/12/31(火) 09:49:06.52 ID:cPdKrLFw0
アルミン「くそっ!」




アルミン(はがゆい気持ちを抱えながら、僕は倉庫から出ようとした)




アニ「待って」

アルミン「…?」

アニ「最後に…これを渡しておくよ」




【訓練成績】




345: 2013/12/31(火) 10:02:31.29 ID:cPdKrLFw0
アルミン「…? これは?」

アニ「モノクマに頼んだらね…くれたんだ」

アニ「昨日までの訓練成績、それを全員分まとめたものだよ」

アルミン「訓練成績…?なんでそんなものを…」

アニ「ちなみにこの成績表、モノクマに頼んだのは
   私が初めてじゃないらしいよ」

アニ「昨日の夜…エレンにせがまれて渡したみたいなんだ」

アルミン「えっ!?」

346: 2013/12/31(火) 10:16:58.23 ID:cPdKrLFw0
アルミン(慌てて成績表に目を落とす)

アルミン(アニの言った通り…そこには全員分の訓練成績がまとめられ、
     付けられた点数によって順位が示されていた)




アルミン「…」




アルミン(特に不自然な点は見られない)

アルミン(おそらく…昨日までの訓練に参加した者であれば、
     その順位は極めて妥当だと答えるだろう)

347: 2013/12/31(火) 10:30:23.97 ID:cPdKrLFw0
アルミン(…何だ?)

アルミン(アニが言うように、この成績表をエレンが欲したのだとすれば…
     その理由は何だ?)

アルミン(アニはどうして…これに目を付けたんだ?)




アニ「行こう…ここまで来たらやるしかない」

アニ「逃げ道なんてどこにもないんだ」

アルミン「ねえ、アニ…」

アニ「…前にも言ったけど」




アニ「あんたには…期待してるから」




350: 2014/01/01(水) 04:04:27.92 ID:9jh2ND7u0
― 赤い扉 ―




アニ『施設の壁…このフロアの末端だね、そこに【赤い扉】があった』

エレン『…! まさか出口か!?』

アニ『さあね。どっちにしろ、そこも施錠されていたよ』




アルミン(初日の報告会でアニが言っていた赤い扉…)

アルミン(今や11人となった僕らは、
     鍵の開いた扉を開けて中に入っていた)

351: 2014/01/01(水) 04:17:34.44 ID:9jh2ND7u0
コニー「ん?兵団裁判ってのはここでやるのか?」

モノクマ「そんな訳ないじゃん!!」

サシャ「ひいっ!?」

モノクマ「裁判所はここじゃないよ。もう少し進んだ先」

クリスタ「あの金網の扉のことを言ってるの…?」

モノクマ「そうそう。んじゃ、さっさと全員乗り込んじゃって」

352: 2014/01/01(水) 04:26:38.29 ID:9jh2ND7u0
アルミン(モノクマに促され、
     次々と金網の扉に入っていく訓練兵達…)

アルミン(僕はさっきから、
     その中の一人が気になって仕方なかった)








ミカサ「…」








353: 2014/01/01(水) 04:36:59.51 ID:9jh2ND7u0
ジャン『ミ…ミカサ…!?』

ミカサ『…』

ミーナ『え、なんで!?ちゃんと縛っておいたはずなのに…』

ミカサ『自分で解いた』

ライナー『…どうやって、ってのは聞かない方がいいんだろうな』

ミカサ『今朝は取り乱してしまって悪かった。私はもう大丈夫』

354: 2014/01/01(水) 04:39:40.63 ID:9jh2ND7u0
アルミン『ミ、ミカサ…本当に…』

ミカサ『私はもう大丈夫』

アルミン『でも…』

ミカサ『アルミン』

アルミン『え…?』




ミカサ『今は感傷的になってる場合じゃない』




355: 2014/01/01(水) 04:43:57.11 ID:9jh2ND7u0
アルミン(ミカサはああ言っていたけど…)




ミカサ「…」




アルミン(…ダメだ。考えたって仕方ない)

アルミン(本人が大丈夫だと言っている以上、
     僕が何か言ったところでどうしようもないんだ)

アルミン(それに今は…)

356: 2014/01/01(水) 05:09:25.71 ID:9jh2ND7u0
パンパン




アルミン(気を引き締めるように、自らの頬を両手で叩く)

アルミン(そうだ…今はそんな場合じゃない)

アルミン(ここで真実を言い当てなければ…
     僕たちもエレンの後を追うことになるんだ)




アルミン「行こう、ミーナ」




アルミン(僕は傍らにいた人物に声をかけ、
     金網の扉へと足を踏み出した)

357: 2014/01/01(水) 05:13:40.88 ID:9jh2ND7u0
ミーナ「…」

アルミン「…? ミーナ?」

ミーナ「…ごめんね、アルミン」

アルミン「えっ…」

ミーナ「私があの時…エレンを止めていれば…」

358: 2014/01/01(水) 05:20:41.11 ID:9jh2ND7u0




アルミン(…え?)




ミーナ「実はね…私、エレンに会ってるの」

ミーナ「あれは確か、昨夜のモノクマアナウンスがあった後…
    午後10時半の前だったかな」

アルミン「…!!」

359: 2014/01/01(水) 05:26:14.68 ID:9jh2ND7u0
アルミン(午後10時半の前…)

アルミン(ライナーとベルトルトの話を聞いた後、
     僕が部屋に戻った時間帯…!)




アルミン「そ、それで…エレンは何か言ってた!?」

ミーナ「うん、何て言うか…」

ミーナ「普通じゃなかったよ…」

360: 2014/01/01(水) 05:33:07.76 ID:9jh2ND7u0
ミーナ『エレン…?』

エレン『! ミーナか』

ミーナ『どうしたの?そんなに怖い顔して…』

エレン『…オレは』

ミーナ『え?』

エレン『オレはもう、あいつの御守にはなりたくないんだ…!』

361: 2014/01/01(水) 05:42:58.61 ID:9jh2ND7u0
アルミン「“あいつの御守にはなりたくない”?」

ミーナ「うん…確かにそう言ってた」

アルミン「それで、その後は?」

ミーナ「わかんない…そのまま怖い顔してどこかに行っちゃったから…」

アルミン「…」




【ミーナの証言】




362: 2014/01/01(水) 05:48:56.69 ID:9jh2ND7u0




エレン『それじゃあ駄目なんだッ…!』




アルミン(もしかして…)




モノクマ「おいコラ!そこの二人!」

アルミン「!」

モノクマ「何イチャついてんのさ!
     そういうの見せつけられると腹立つんだけど」

363: 2014/01/01(水) 05:58:07.73 ID:9jh2ND7u0
アルミン「ごめん…今行くよ」

ミーナ「て、ていうか!そういうのじゃないから!」

モノクマ「顔真っ赤にして言われたって全然説得力ないよ?」

ミーナ「…!」

モノクマ「あーもう余計にムカつく!よし決めたぞ!
     オマエラをおしおきする時は爆発させてやる!ってか爆発しろ!」

アルミン「縁起でもないこと言わないでよ…」

364: 2014/01/01(水) 06:07:59.77 ID:9jh2ND7u0
アニ「…ねえ、いつまで無駄話してるの」

モノクマ「ああ、メンゴメンゴ!全員乗ったね!
     それじゃあ出発しましょーか!」

コニー「ん?ここでやるんじゃないのか?」

モノクマ「だから、こんな狭苦しい場所でやる訳ないじゃん…えいっ」




ポチッ

365: 2014/01/01(水) 06:18:26.60 ID:9jh2ND7u0
ガコン




コニー「!?」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




ジャン「な…なんだ…!?」

ベルトルト「部屋が…動いてる!?」

モノクマ「いやっほうううううううう!」




モノクマ「上へ参りまーす!!」




367: 2014/01/02(木) 06:59:15.53 ID:tMD8bq/+0
ウィィィィィィィィン




アルミン(僕たちが入った小部屋は、そのままゆっくりと上昇していった)

アルミン(ゴウン、ゴウンと耳障りな音を響かせながら…)




ユミル「…昇降機か」

クリスタ「え?」

ユミル「壁の上に馬や物資を載せるために作られた装置のことだ。
    多分これもその一種だろう」

368: 2014/01/02(木) 07:05:18.23 ID:tMD8bq/+0
ウィィィィィィィィン




アルミン(僕らの不安な気持ちをよそに、
     小部屋はどんどん上へと昇っていった…)




ユミル「…」

サシャ「…」

ミーナ「…」




アルミン(誰も何も話さない)

アルミン(重苦しい静寂…)

369: 2014/01/02(木) 07:10:09.91 ID:tMD8bq/+0




クリスタ「…」

ライナー「…」

ベルトルト「…」

ジャン「…」

ミカサ「…」




アルミン(そして…)




370: 2014/01/02(木) 07:17:14.46 ID:tMD8bq/+0
― 裁判場 ―




モノクマ「にょほほ! いらっしゃ~い!」

モノクマ「どう、これって、
     いかにも裁判場って感じじゃない?」

モノクマ「某Hクラスのリアルな再現性じゃない?」

ジャン「どこがだ…悪趣味な空間だぜ…」

モノクマ「はいはい、じゃあオマエラは、
     自分の名前が書かれた席に着いてくださいな」

モノクマ「ハリーアップ、ハリーアップ!!」

371: 2014/01/02(木) 07:24:31.65 ID:tMD8bq/+0
アルミン(モノクマに言われるまま、
     僕らは、指定された席へと向かった)




アルミン「…」




アルミン(一同が、円状に陣取るように配置された席…)

アルミン(みんなの顔が、
     ぐるりと見回せるようになっている)




アニ「…」

コニー「…」




アルミン(互いの緊張感が、互いへと飛び火し…)

アルミン(その場の空気は、
     一気に重苦しいものへと変化していった)

372: 2014/01/02(木) 07:28:56.30 ID:tMD8bq/+0








アルミン(そして、幕は開く…)




アルミン(命がけの裁判…)

アルミン(命がけの騙し合い…)

アルミン(命がけの裏切り…)

アルミン(命がけの謎解き…命がけの言い訳…命がけの信頼…)




アルミン(命がけの…兵団裁判……)








373: 2014/01/02(木) 07:37:44.65 ID:tMD8bq/+0








兵団裁判 開廷!








376: 2014/01/03(金) 18:17:29.11 ID:EB4Seubi0
モノクマ「まずは、兵団裁判の簡単な説明から始めましょう!」

モノクマ「兵団裁判の結果は、オマエラの投票により決定されます」

モノクマ「正しいクロを指摘出来れば、クロだけがおしおき。
     だけど…もし間違った人物をクロとした場合は…」

モノクマ「クロ以外の全員がおしおきされ、みんなを欺いたクロだけが
     晴れて卒業となりまーす!」

377: 2014/01/03(金) 18:21:12.46 ID:EB4Seubi0
ライナー「…ちょっと待て」

モノクマ「はい?」

ライナー「議論の前に聞いておきたいんだが…あれってどういう意味だ?」




アルミン(ライナーの指差した先には、空いた席に立てられた顔写真があった)

アルミン(エレンの写真だ。大きなバッテン印が描かれている)




モノクマ「氏んだからって、仲間外れにするのは可哀想でしょ?
     友情は生氏を飛び越えるんだよ」

ユミル「じゃああれは何だ?私たちは12人なのに、どうして席が16もあるんだよ」

モノクマ「深い意味はないよ。16人収容可能な裁判所ってだけ」

378: 2014/01/03(金) 18:37:36.45 ID:EB4Seubi0
モノクマ「では、くだらない前置きはこれくらいにして、
     とっとと始めちゃってくださいな!」

コニー「始めるっつってもよ、何を話し合えばいいんだ?」

ユミル「…ルール聞いてたのか?」

アニ「事件の状況を照らし合わせて、誰が殺人犯かを議論する」

アニ「もし当てることができれば犯人は処刑され、
   外せば犯人以外が処刑される…そういうことだよ」

379: 2014/01/03(金) 18:39:51.38 ID:EB4Seubi0
ジャン「んなもん全部…テメーの仕業だろ、モノクマ」

モノクマ「ボクはそんな事しないよっ! それだけは信じてっ!!」

モノクマ「規則違反をされない限りは、
     ボクは自ら手を下したりしません」

モノクマ「この訓練兵生活の趣旨に反するような事は
     決してしませんッ!」

モノクマ「ボクって、クマ1倍ルールにはうるさいって
     サファリパークでも有名だったんだから!!」

380: 2014/01/03(金) 18:52:31.41 ID:EB4Seubi0
アルミン(ついに始まった兵団裁判…)

アルミン(開廷早々に混沌となる裁判場…)




ガヤガヤ ガヤガヤ…
ザワザワザワザワ…




アルミン(そこに最初の一石を投じたのは…)

アルミン(あの人だった)

381: 2014/01/03(金) 18:55:27.59 ID:EB4Seubi0




ミカサ「犯人ならもう判っている」




アルミン「…え?」

ミカサ「犯人はあなた達以外には考えられない」

ミカサ「そうでしょう?」








ミカサ「ライナー、ベルトルト」








382: 2014/01/03(金) 19:04:35.58 ID:EB4Seubi0
ライナー「…!!」

ベルトルト「なっ…何を言っているんだ!
      僕たちはそんな…」

ミカサ「とぼけたって無駄。私は聞いている」

ライナー「なに…?」

ミカサ「私は…昨日の夜に聞いている」




ミカサ「あなた達が【裏切り者】だという証拠を!!」




383: 2014/01/03(金) 19:08:20.65 ID:EB4Seubi0








―  議 論 開 始  ―




▶【兵団規則】








384: 2014/01/03(金) 19:18:49.51 ID:EB4Seubi0
ミカサ「私は聞いている」

ミカサ「その二人は昨日の夜に…」

ミカサ「自分たちは記憶喪失だとアルミンに打ち明けていた」

ライナー「…!!」

ミーナ「記憶喪失…?」

ミカサ「そんな都合のいい話…ある訳がない」

ミカサ「つまりそれこそが、二人が裏切り者であるという証拠…」

ミカサ「【二人が共謀して】エレンを頃したという何よりの証拠!」

ベルトルト「ちょ…ちょっと待ってくれ!」

ユミル「なあ、一体何の話をしてるんだ?」




アルミン(ミカサ…やっぱり冷静じゃない)

385: 2014/01/03(金) 19:21:01.34 ID:EB4Seubi0
ミカサ「私は聞いている」

ミカサ「その二人は昨日の夜に…」

ミカサ「自分たちは記憶喪失だとアルミンに打ち明けていた」

ライナー「…!!」

ミーナ「記憶喪失…?」

ミカサ「そんな都合のいい話…ある訳がない」

ミカサ「つまりそれこそが、二人が裏切り者であるという証拠…」

ミカサ「【二人が共謀して】








それは違うよ!








386: 2014/01/03(金) 19:27:57.56 ID:EB4Seubi0
アルミン「ミカサ、ちょっと待って。
     二人が共謀したっていう線はかなり薄いと思うよ」

ミカサ「…何を言うの…アルミン…」

アルミン「兵団規則だよ。あれを思い出して欲しいんだ」




7 仲間の誰かを頃したクロは“卒業”となりますが、
  自分がクロだと他の訓練兵に知られてはいけません。

8 訓練兵内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、
  訓練兵全員参加が義務付けられる兵団裁判が行われます。

9 兵団裁判で正しいクロを指摘した場合は、
  クロだけが処刑されます。

10 兵団裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、
  クロだけが卒業となり、残りの訓練兵は全員処刑です。




387: 2014/01/03(金) 19:49:45.57 ID:EB4Seubi0
アルミン「ここでいう“クロ”っていうのは殺人犯…
     つまり実際に殺人を行った人物だと定義づけられているよね?」

ミカサ「それがどうしたと言うの。今回はその二人がクロだっただけ」

アルミン「いや…人を頃すってことは、
     その人に致命傷を与えるってことなんだ」

アルミン「特殊なケースを除けば、
     人が氏ぬ致命傷っていうのは一つだけなんだよ」

ミカサ「…よくわからない。何が言いたいの」

アルミン「つまり、致命傷が一つだけだということは、
     それを与えた人間も一人だけということになる」

アルミン「だって…二人以上の人間が同時に一つの致命傷を与えたなんて、
     なんだか不自然じゃない?」

388: 2014/01/03(金) 20:02:57.02 ID:EB4Seubi0
コニー「?? なあ、さっぱり話についていけてねーんだけど…」

アニ「つまりこういうことだよ。
   被害者が一人だった場合、殺人犯も一人だけ」

アニ「ミカサが主張するように、その二人が共謀していた場合…」

アニ「殺人を実行したのはどちらか一人だけで、
   もう一人はそれ以外…現場工作なんかを手伝ったってことになる」

アニ「兵団規則に当てはめてみると、殺人を実行したのがクロ、
   その手伝いをしたのがシロってことになるんだよ」

389: 2014/01/03(金) 20:13:06.37 ID:EB4Seubi0
サシャ「…すみません、私もよく理解できません」

アルミン「要するに、現場工作なんかを手伝ったところでシロはシロなんだ。
     殺人を犯していない限り、クロにはなり得ないんだよ」

ユミル「…なるほどな。卒業できるのは実行犯であるクロだけ」

ユミル「つまり共謀して手伝ったところで、
    クロじゃない方には何の得にもならないってことか」

クリスタ「と、得にならないどころか…」

ミーナ「他のメンバーと一緒に殺されちゃうんだから、それこそ大損だよね…」

390: 2014/01/03(金) 20:23:24.77 ID:EB4Seubi0
アルミン「これが二人が共謀していないっていう根拠だよ」

アルミン「…どうかな、ミカサ?」

ミカサ「…っ!」

モノクマ「うぷぷ…なかなかやるねぇ、アルレルトくん」

モノクマ「規則の条文からそこまで導き出せるなんて、
     とんだダークホースが現れたものですなぁ!」

ジャン「ちなみに確認しておくけどよ…
    今言ったように、共犯者の可能性は省いていいんだな?」

モノクマ「うん、省いていいよ」

モノクマ「今回の事件に【共犯者はいません】。
     オマエラが見つけるべきはクロただ一人…それだけなのです!」

394: 2014/01/04(土) 10:35:55.23 ID:gIOVaPVL0
モノクマ「では、無事に疑問を解消したところで、
     とっとと再開させちゃってくださいな!」

コニー「ちょ、ちょっと待てよ!疑問ならまだあるぞ!」

モノクマ「はい?」

クリスタ「ライナーとベルトルトが記憶喪失…
     確かにそう言ってたよね?」

ライナー「…!!」

クリスタ「ミカサ…どういう事なのか、
     もう一度説明してくれないかな」

395: 2014/01/04(土) 10:47:57.31 ID:gIOVaPVL0
ミカサ「…」

アルミン「ミカサ…」

ミカサ「…」

アニ「ミカサ、話して」

ミカサ「…」

ミカサ「…昨日の夜」

ミカサ「あれはそう、モノクマの“声”が聞こえてきた時間…
    午後10時ごろだった」

396: 2014/01/04(土) 11:00:21.06 ID:gIOVaPVL0
アルミン『え…?』

ライナー『俺とベルトルトには、
     この施設に連れて来られるまでの記憶が一切なかった』

ライナー『自分の出身はもちろん、家族の名前や
     小さい頃の思い出なんかが全部…抜け落ちてしまっているんだ』

アルミン『き、記憶が…ない?』

ベルトルト『唯一覚えていたのは自分の名前と、
      日常生活や壁の中についての知識…』

ベルトルト『それと、“自分は兵士にならなきゃいけない”っていう…
      異様な使命感だけなんだよ』

397: 2014/01/04(土) 11:16:22.42 ID:gIOVaPVL0
ミカサ「エレンを探していたとき、
    その二人とアルミンが一緒にいるのを見た」

ミカサ「気になったので…物陰から様子を伺っていたら、
    二人がアルミンにそんな話をしていた」




アルミン『そうなんだ…僕はてっきり、
     二人は古くからの友人だと思っていたんだけど』

ライナー『…信じられねえのはわかる。
     だから俺たちも言い出せなかった』

ライナー『特に【裏切り者】の存在が示唆された今…
     真っ先に怪しまれるのは俺たちだろうからな』

398: 2014/01/04(土) 13:13:31.21 ID:gIOVaPVL0
ミカサ「そして二人は…」

ミカサ「アルミンに口止めもしていた…!」




ベルトルト『…ねえアルミン、
      虫のいい頼みだっていうのは承知してる。だけど…』

アルミン『…わかってる。この件は誰にも言わないよ』

ライナー『…すまねえな』




ミカサ「これが二人を怪しいと思う根拠」

ミカサ「確かに共謀していた線は薄いかもしれない…
    でもだからと言って、二人への疑惑が晴れたわけじゃない!」

ベルトルト「ミ、ミカサ!だから僕たちは!」

ミカサ「黙れ!二人のどちらかが勝手に動いたか、
    自らの犠牲を覚悟で手伝っていた可能性もある!」

399: 2014/01/04(土) 13:22:51.93 ID:gIOVaPVL0
アニ「…なるほどね。それぞれの言い分は理解できたよ」

ベルトルト「アニ、信じてくれ!僕たちは誓って…」

アニ「で、この話を聞いた上でみんなに確認するけど…」

コニー「?」

アニ「この中で…」




アニ「その二人のように、自分の記憶がない人はいる?」




404: 2014/01/05(日) 13:08:13.13 ID:RSycHaF10
ミーナ「えっ…」

サシャ「記憶…ですか?」

アニ「そう。他にいる?」

コニー「俺はあるぞ。父ちゃんや母ちゃん、
    兄弟の名前だってちゃんと言えるし」

ジャン「右に同じだ」

クリスタ「私も…小さい頃の記憶、あるよ」

アニ「…そっか」




アニ「やっぱりみんな気付いてないんだね」




405: 2014/01/05(日) 13:22:41.29 ID:RSycHaF10




アルミン(…え?)




モノクマ「ボクもあるよ。付き合ってた雌ネコの性癖とか、
     サポートセンターのお姉さんの3サイズだってちゃんと言えるし」

ユミル「お前には聞いてねえよ」

モノクマ「ていうかさぁ、なんだか話逸れてない?」

モノクマ「今議論してるのは『イェーガーくんを頃したのは誰か』であって、
     『裏切り者は誰か』ではないんだよ?」

407: 2014/01/05(日) 13:34:45.72 ID:RSycHaF10
ミーナ「別に逸れてないでしょ。この中に裏切り者がいるんだとしたら、
    そいつが殺人犯だって考えるのが自然なんじゃないの?」

モノクマ「自然?何が自然なの?無農薬栽培か何か?」

モノクマ「短絡的だなあ。実に短絡的。
     そうやって思考停止するから、今時の子どもは学力不足なんて言われるんだよ」

アニ「…ずいぶん突っかかってくるんだね。
   それ以上触れられたら不都合な事でもあるの?」

モノクマ「キミの方こそ。そういうあからさまな話題転換って、
     いかにも犯人がやりそうな戦略じゃない?」

408: 2014/01/05(日) 13:54:10.04 ID:RSycHaF10
コニー「…ってことは、まさかアニが!?」

アニ「…」

アルミン「ちょ、ちょっと待って。
     そんな事で犯人を決めたら、それこそ短絡的だよ」

アルミン「まずはさ…既にわかっている事から話し合ってみない?」

クリスタ「既にわかっている事…?」

409: 2014/01/05(日) 13:58:01.34 ID:RSycHaF10








―  議 論 開 始  ―



▶【モノクマファイル 1】
【クリスタの証言】
【兵団規則】








410: 2014/01/05(日) 14:08:28.63 ID:RSycHaF10
アルミン「悔しいけど、モノクマの言う事にも一理あるよ」

アルミン「今僕たちが見つけ出すべきなのは裏切り者じゃない…」

アルミン「エレンを頃した犯人なんだ」

ミーナ「だからさ、単純に【裏切り者=殺人犯】なんじゃないの?」

アルミン「そんな風に考えてたらキリがないよ」

アルミン「もっと地に足を付けて…わかっている事から考えてみよう」

コニー「けどよ…ただでさえ今回の一件はわからない事だらけなんだぜ?」

コニー「むしろ、【わかってる事なんて一つもない】って」




アルミン(確かに…今回の事件にはわからない事が多過ぎる)

アルミン(でも、まったくわからないって訳でもないはずだ)

411: 2014/01/05(日) 14:12:21.38 ID:RSycHaF10
アルミン「悔しいけど、モノクマの言う事にも一理あるよ」

アルミン「今僕たちが見つけ出すべきなのは裏切り者じゃない…」

アルミン「エレンを頃した犯人なんだ」

ミーナ「だからさ、単純に【裏切り者=殺人犯】なんじゃないの?」

アルミン「そんな風に考えてたらキリがないよ」

アルミン「もっと地に足を付けて…わかっている事から考えてみよう」

コニー「けどよ…ただでさえ今回の一件はわからない事だらけなんだぜ?」

コニー「むしろ、【わかってる事なんて一つもない】








それは違うよ!








412: 2014/01/05(日) 14:22:12.84 ID:RSycHaF10
アルミン「いや、わかってる事ならあったはずだよ」

コニー「え?」

アルミン「モノクマファイルだよ。コニーだって貰ってるよね?」

コニー「黒い冊子のことか?胡散臭くて読むのやめたけど」

ジャン「…難しい語句が多くて、の間違いじゃないのか?」

413: 2014/01/05(日) 14:33:56.66 ID:RSycHaF10
クリスタ「けど…コニーが言いたい事もわかるよ。
     だって、モノクマから渡された物なんだし…」

モノクマ「コラーッ!どこまで疑り深いんだよチミは!」

モノクマ「そもそもさぁ、あのファイルは
     ボクの親切心の塊なんだよ?」

ユミル「…そういうところが胡散臭いんだよ」

モノクマ「あのねぇ…あのファイルはね、
     いわば兵団裁判をスムーズに進める為の潤滑剤なんだ」

モノクマ「議論が滞ったとき…ちょうど今のような状態のときに、
     助け舟としてオマエラを支えてくれる存在なんだ」

モノクマ「冷静に考えてみなよ。
     ボクがそんなキーアイテムに不正を施すと思う?」

414: 2014/01/05(日) 14:54:54.02 ID:RSycHaF10
サシャ「すみません…冷静に考えてみても、
    不正を施す光景しか浮かばないんですが…」

モノクマ「ショボーン…そこまで言われちゃったらぐうの音も出ないよ…」

モノクマ「じゃあ好きにすれば…好きに疑って、間違った結論に達して、
     みんなで仲良く処刑されちゃえば…?」

サシャ「い、いじけないでくださいよ!」

ライナー「…だが、これはモノクマの言う通りだろう。
     信じない事には何も始まらないんじゃないか?」

ミカサ「裏切り者が何を言う…!」

ライナー「そう思うならそれでも構わん。
     ただな…これだけは言っておくぜ」

ライナー「エレンの仇をとりたいのなら、もう少し頭を冷やせ」

415: 2014/01/05(日) 15:06:01.77 ID:RSycHaF10
ミカサ「何をっ…!!」

アニ「ミカサ、落ち着いて。このままじゃ話が進まないよ」

ミカサ「…ッ」

アニ「…議論を戻そう。ここからは、
   モノクマファイルが正しいという前提で考えていくよ」

アニ「あのファイルによると、この事件を語る上では欠かせない、
   ある重要な情報が記されていたね」

コニー「ある重要な情報…?」

アニ「アルミンならわかってるでしょ?」

416: 2014/01/05(日) 15:09:34.95 ID:RSycHaF10
アルミン(アニの言う重要な情報とは…)




▶【エレンの氏因】
【エレンの性別】
【エレンの好物】








これだ!








417: 2014/01/05(日) 15:19:13.65 ID:RSycHaF10
アルミン「それって、エレンの氏因だよね?」

アニ「そう。モノクマファイルによると、
   エレンの氏因は頭部への打撃による頭蓋内圧の上昇…」

アニ「これは実際に捜査した所見とも一致するんだよ。
   エレンの身体には、頭部以外の外傷は見られなかった」

ユミル「私も確認したが、それは間違いない。つまり…」

ライナー「少なくともその点においては、
     モノクマファイルにある内容が嘘ではないということだな」

418: 2014/01/05(日) 15:31:37.11 ID:RSycHaF10
アルミン(エレンの氏因は頭部への打撃によるもの…)

アルミン(これだけで何かが決まる訳じゃないけど…
     それでも、これは間違いなく重要な情報だ)




アニ「エレンの氏因…これが一つ目」

コニー「ん? まだあんのか?」

アニ「重要な情報はもう一つあった…」

アニ「…そうだよね、アルミン?」

419: 2014/01/05(日) 15:36:18.96 ID:RSycHaF10
アルミン(もう一つの重要な情報とは…)




【犯人の名前】
【犯人の性別】
▶【エレンの氏亡時刻】








これだ!








420: 2014/01/05(日) 15:50:25.73 ID:RSycHaF10
アルミン「エレンの氏亡時刻…だよね」

アニ「その通り。モノクマファイルには氏因の他に、
   氏亡時刻が午前1時半頃だと明記されている」

コニー「それって夜中じゃねーか!」

ミーナ「今更!?」

ジャン「でも、それがどうしたんだ?
    そんな事もうわかり切ってるっつーか…」

アニ「わかり切ってるなら…わかるでしょ?」

ジャン「は?」




アルミン(アニは何を言おうとしているのか…)

アルミン(わかる気がする…何か…)

アルミン(何か閃きそうだ…)

421: 2014/01/05(日) 15:58:43.84 ID:RSycHaF10








―  閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始  ―








422: 2014/01/05(日) 16:05:12.87 ID:RSycHaF10


  イ  バ  ア  リ


  ア  バ  イ  リ


  ア  リ  イ  バ








  ア  リ  バ  イ








そうか わかったぞ!








423: 2014/01/05(日) 16:13:32.30 ID:RSycHaF10
アルミン「そうだ!アリバイだ!」

サシャ「ア…アリバイ?」

アルミン「エレンの氏亡時刻は既にわかっている…」

アルミン「ということは、その時間帯のみんなのアリバイを確認すれば、
     犯人も絞り込めるんじゃないかな!?」

クリスタ「そっか…氏亡時刻っていうのはつまり、
     エレンが殺された時刻ってことだもんね」

ユミル「その時間帯にアリバイのない人間が必然的に怪しくなる…
    そういうことか?」

426: 2014/01/06(月) 17:19:27.86 ID:ZBi82++Q0
アニ「まあ、怪しいとまでは言い切れないけど…
   参考にはなると思うよ」

ベルトルト「でも、それって夜中の1時半だよね。
      そんな時間のアリバイがある人なんているの?」

コニー「だよなあ…俺なんか部屋で爆睡してたし」

ユミル「私はあるぞ」

コニー「え?」

ユミル「私とクリスタはあの夜一緒に過ごしてたからな」

427: 2014/01/06(月) 17:25:48.20 ID:ZBi82++Q0
ジャン「はあ!?」

ライナー「い、一緒って…クリスタと寝たのか!?」

ユミル「ああ。『ユミル怖いよ一緒に寝て』って、
    涙目になって頼まれたもんで」

クリスタ「頼んでないっ!ユ、ユミルの部屋で話し込んでたら
     うっかり寝ちゃっただけでしょ!」

ライナー「なんて羨ま…」

アニ「…」

ライナー「…じゃなかった。それって規則違反じゃないのか?」

428: 2014/01/06(月) 17:37:20.32 ID:ZBi82++Q0




3 就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。
  他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。




ベルトルト「個室以外で寝る事は禁止されてたけど…
      他人の個室で寝る事までは禁止されてなかったから…」

ベルトルト「だから、問題ないって事なんじゃないかな」

モノクマ「うん、問題ないね」

モノクマ「男女の寝泊りなら色々と言いたいところだけど、
     ユミルさんはああ見えて女の子だし…」

モノクマ「…ハッ!もしかして二人はそっち系なの!?
     闇夜に咲く一輪の百合だったり!?」

ユミル「いちいちうるさい野郎だな…」

429: 2014/01/06(月) 18:01:51.75 ID:ZBi82++Q0
コニー「つーかお前らって、そんなに仲良かったっけ?」

ユミル「何言ってんだ。私とクリスタはずっとラブラブだったろ」

クリスタ「ラ、ラブラブって…」

ミーナ「でも、これではっきりしたね。
    少なくともその二人にはアリバイがあった…」

ジャン「逆に言うと、他は全員アリバイなしってことか…
    全然絞れてねえな」

430: 2014/01/06(月) 18:07:31.15 ID:ZBi82++Q0
ユミル「いや…そうでもないぞ」

ジャン「あん?」

ユミル「確かに、私とクリスタ以外に
    アリバイのあるヤツはいない…」

ユミル「だが一人だけ…
    “不自然に”アリバイのないヤツがいたんだ」








ユミル「そうだよなぁ? 芋女」

サシャ「…!!」








432: 2014/01/07(火) 12:00:28.33 ID:ResqLu8U0








―  議 論 開 始  ―




【クリスタの証言】
【ライナーとベルトルトの証言】
▶【サシャの証言】
【ミーナの証言】








433: 2014/01/07(火) 12:15:11.70 ID:ResqLu8U0
ベルトルト「不自然にアリバイがない…?」

ユミル「昨日の夜、私の部屋にいたのはクリスタだけじゃない」

ユミル「【そいつもいた】んだよ…途中までな」

ミーナ「え…?」

ライナー「サシャは部屋に泊まらなかったのか?」

ユミル「話の途中でそいつは【急に部屋を出て行った】んだ」

ユミル「行き先を聞いても口を濁すだけだった」

ユミル「どう考えても怪しいよなぁ?」

サシャ「ち、違いますよ! 私は…」

サシャ「私は【倉庫に行ってた】んです!」

コニー「倉庫…?真夜中にか?」

ユミル「そいつはまた苦しい言い逃れだな…ならはっきりと言ってやろうか」

ユミル「お前はエレンを頃しに行っていた。【倉庫なんかには行ってない】」

ユミル「そうなんだろ? 芋女さんよぉ!」

サシャ「だ、だから違いますって!」




アルミン(サシャは本当に言い逃れをしているんだろうか?)

アルミン(もしそうだとしたら…あんな事を言うだろうか?)

434: 2014/01/07(火) 12:20:15.15 ID:ResqLu8U0
ベルトルト「不自然にアリバイがない…?」

ユミル「昨日の夜、私の部屋にいたのはクリスタだけじゃない」

ユミル「【そいつもいた】んだよ…途中までな」

ミーナ「え…?」

ライナー「サシャは部屋に泊まらなかったのか?」

ユミル「話の途中でそいつは【急に部屋を出て行った】んだ」

ユミル「行き先を聞いても口を濁すだけだった」

ユミル「どう考えても怪しいよなぁ?」

サシャ「ち、違いますよ! 私は…」

サシャ「私は【倉庫に行ってた】んです!」

コニー「倉庫…?あんな時間にか?」

ユミル「そいつはまた苦しい言い逃れだな…ならはっきりと言ってやろうか」

ユミル「お前はエレンを頃しに行っていた。【倉庫なんかには行ってない】








それは違うよ!








435: 2014/01/07(火) 12:25:23.26 ID:ResqLu8U0
アルミン「待って、サシャは確かに倉庫に行っていると思うよ」

ユミル「お前まで何言ってんだ…
    どう見てもそいつの言動は怪しいだろ」

アルミン「じゃあ、【証人がいる】としたら?」

クリスタ「証人…?」

サシャ「そ、そうですよ!私には証人がいます!」

ユミル「へぇ…じゃあ言ってもらおうか」

ユミル「その証人ってのは誰なんだよ?」

436: 2014/01/07(火) 12:30:21.30 ID:ResqLu8U0








―  人 物 を 指 名 し ろ  ―








437: 2014/01/07(火) 12:45:25.79 ID:ResqLu8U0




【ミカサ・アッカーマン】
【ライナー・ブラウン】
【ベルトルト・フーバー】
【アニ・レオンハート】
【エレン・イェーガー】
▶【ジャン・キルシュタイン】
【コニー・スプリンガー】
【サシャ・ブラウス】
【クリスタ・レンズ】
【アルミン・アルレルト】
【ミーナ・カロライナ】
【ユミル】








これが僕の答えだ!








438: 2014/01/07(火) 14:00:39.93 ID:ResqLu8U0
アルミン「証人はジャンだよ」

ジャン「…!!」

ライナー「ん…?なんでここでジャンが出てくるんだ?」

アルミン「実は捜査のとき、昨日の夜中のアリバイを
     サシャに問い詰めたんだけど…」

アルミン「こんな事を言ってたんだ」

439: 2014/01/07(火) 14:10:36.03 ID:ResqLu8U0
サシャ『本当に違うんですって!
    何だったらジャンに聞いてみてくださいよ!』




アルミン「本当に言い逃れをするつもりなら、
     こんなウソをつくはずないよ」

アルミン「だってそんなの…
     ジャンに確認すれば一発でわかっちゃうからね」

ベルトルト「確かに…」

ユミル「そいつがそれほどの間抜けだったら話は別だがな」

サシャ「だ、だから違いますよ!私は無実潔白ですから!」

サシャ「ねっ?そうですよね、ジャン!」

440: 2014/01/07(火) 14:15:11.53 ID:ResqLu8U0
ジャン「…」

サシャ「…? ジャン?」

ジャン「何言ってんだ」

サシャ「…はい?」

ジャン「オレは昨日の夜…お前なんかと会ってねえぞ」




アルミン(…え?)




442: 2014/01/08(水) 18:00:14.07 ID:EZl/ES/A0








―  議 論 開 始  ―




【モノクマファイル 1】
【血で濡れた髪】
【地面から突き出た大きな石】
▶【倉庫の物品管理表】








443: 2014/01/08(水) 18:15:12.42 ID:EZl/ES/A0
ジャン「オレが証人?笑わせんな」

ジャン「オレは昨日の夜、【サシャとは会ってない】」

ジャン「それなのにどうしてオレが…」

ジャン「サシャが倉庫にいたことの証人になるんだ?」

サシャ「な…何言ってるんですか!」

サシャ「ジャンと私は昨日の夜中に…」

サシャ「【倉庫で会ってる】じゃないですか!」

コニー「え?ジャンまで倉庫に行ってたのか?」

ジャン「そいつが言ってることはウソだ!信じるんじゃねえ!」

サシャ「ど、どうしてそんなウソつくんですかぁ!」




アルミン(わからない…)

アルミン(どうしてあの人はあんなウソを…?)

444: 2014/01/08(水) 18:45:17.21 ID:EZl/ES/A0
ジャン「オレが証人?笑わせんな」

ジャン「オレは昨日の夜、【サシャとは会ってない】








それは違うよ!








445: 2014/01/08(水) 18:50:17.64 ID:EZl/ES/A0
アルミン「ジャン、今の発言は…おかしいよ」

ジャン「な…何がおかしいんだよ!」

アルミン「僕たちは別に【サシャに会ったかどうか】を
     聞いているんじゃない…」

アルミン「【サシャが倉庫に行ったことを証言できるかどうか】を
     聞いているんだ」

ジャン「…!!」

アルミン「実際に会わなくても…サシャが倉庫に行くのを
     見聞きしたってだけでも、十分証人になり得るはずだよ」

アルミン「それなのに、まるで君は…」

446: 2014/01/08(水) 19:00:10.77 ID:EZl/ES/A0
ジャン「そ、そんなのこじつけじゃねーか!
    それだけでオレを疑うってのかよ!」

アルミン「もちろん…それだけじゃないよ。
     決定的な証拠だってあるんだ」

ジャン「なっ…!!」

ユミル「何なんだ?その決定的な証拠ってのは」

アルミン「これだよ。ちょっと見てくれるかな」

447: 2014/01/08(水) 19:25:15.62 ID:EZl/ES/A0
物品 ショベル、つるはし

名前 ライナー・ブラウン

持出 DAY 01 11:54
返却 DAY 02 06:45  


物品 工具セット

名前 ジャン・キルシュタイン

持出 DAY 03 19:25
返却 DAY 04 00:20


物品 詰め合わせスペシャル

名前 サシャ・ブラウス

持出 DAY 04 00:20
返却 DAY 04 13:48

448: 2014/01/08(水) 20:00:14.01 ID:EZl/ES/A0
ミーナ「…? 何これ?」

アルミン「【倉庫の物品管理表】だよ」




13 倉庫から物品を持ち出す際は、
  管理表に必要事項を記入しましょう。返却時も同様です。




クリスタ「そういえば…兵団裁判のルール説明を受けたとき、
     みんなでメモを取ったけど…」

ベルトルト「確かに、こんな規則もあったね。
      新しく追加されたんだっけ?」

ライナー「この管理表なら俺も書かされたな…
     このショベルとつるはしは穴を掘ったときに借りたやつだ」

449: 2014/01/08(水) 20:15:10.29 ID:EZl/ES/A0
モノクマ「そうそう。こうすれば物品紛失の防止になるでしょ?」

モノクマ「本当はね、こんな当たり前の事まで
     ルールで縛りたくなかったんだけど…」




ミカサ『“この施設について調べるのは自由です。 特に行動に制限は課せられません。”
    …兵団規則にはそうあったはず』

ライナー『ミカサの言う通りだ。俺はその一項を確認したからこそ、
     ああいう行動に踏み切ったんだ。何も問題はないはずだぞ?』

モノクマ『ムキーッ!そうやっていちいち規則で縛らないと行動できないの!?
     まったくこれだからゆとり世代は!』




モノクマ「どうやらオマエラは、縛らないと何もできない
     ドМ世代のようだから…」

モノクマ「ボクも心をドSにしたってわけ!」

450: 2014/01/08(水) 20:20:50.98 ID:EZl/ES/A0
ユミル「だが待てよ?この表によると…」




物品 工具セット

名前 ジャン・キルシュタイン

持出 DAY 03 19:25
返却 DAY 04 00:20


物品 詰め合わせスペシャル

名前 サシャ・ブラウス

持出 DAY 04 00:20
返却 DAY 04 13:48




ユミル「ジャンが物品を返却した時間と
    芋女が物品を持ち出した時間が…」

ミーナ「本当だ!同じだよ!」

451: 2014/01/08(水) 20:35:12.46 ID:EZl/ES/A0
アルミン「そう…これが決定的な証拠だよ」

アルミン「物品の返却と持出が同じ時間である以上、
     二人は倉庫で顔を合わせているはずなんだ!」

ジャン「…っ!!」

ユミル「ちなみに聞いておくが…
    この表に虚偽の記載をした場合はどうなるんだ?」

モノクマ「そんなの決まってんじゃん!
     規則違反でおしおきだよ!」

モノクマ「ウソを書いた場合も、何も書かなかった場合も…」

モノクマ「初日のお芋さんと同じ運命を辿る事になりまーす!」

サシャ「…!」ビクッ

452: 2014/01/08(水) 20:48:09.34 ID:EZl/ES/A0
ベルトルト「つまり、この表に書かれているのは本当の事で…」

ライナー「ジャンとサシャは間違いなくこの時間…
     午前12時20分に倉庫にいたってことか!」

ジャン「ぐっ…!」

コニー「でもよ…なんでお前らはそんな時間に倉庫にいたんだ?」

ミーナ「それにその物品名…」

ミーナ「ジャンの借りた【工具セット】は使い道がわからないし、
    サシャの借りた【詰め合わせスペシャル】に至っては何の事だか…」

453: 2014/01/08(水) 21:00:10.26 ID:EZl/ES/A0
アニ「そう…問題はそこだよね」

サシャ「あっ…こ、これはですね…」

アニ「ねえジャン…」




アニ「あんたはその【工具セット】で、
   エレンの金具を弄ろうとしたんじゃないの?」




457: 2014/01/09(木) 15:15:16.20 ID:63gUQW/G0
クリスタ「えっ…?」

ジャン「…!!」

アニ「エレンが装着していた腰のベルトを
   よく調べてみたんだけど…」

アニ「そこの金具には、こじ開けたような跡があったんだ」

ベルトルト「こ、こじ開けたような跡だって…?」

アニ「おそらくあれは工具を使った跡…」

アニ「この施設で工具が入手できる場所は倉庫、
   そして倉庫からそれを持ち出したのはジャンのみ…」

アニ「これらの情報を併せて考えれば、
   誰がそんな跡を付けたのかは明白だよね」

458: 2014/01/09(木) 15:35:17.82 ID:63gUQW/G0
クリスタ「ちょ、ちょっと待って。
     どうしてジャンはエレンの金具をこじ開け…」

ジャン「…っ」

クリスタ「…まさか」

ミーナ「ジャンがエレンの金具に細工をしたせいで、
    エレンは姿勢を保てずに頭を打って氏んだ…」

ミーナ「つまり今回のクロは…」

459: 2014/01/10(金) 00:00:10.47 ID:tcS3BLK10
ジャン「ち、ちげえ!それは誤解だ!」

ユミル「何が誤解なんだ?そもそもなんでお前は、
    サシャと会ってないなんてウソをついたんだよ」

サシャ「そ、そうですよ!
    おかげで変な疑いかけられたじゃないですか!」

ジャン「…確かにオレはサシャと会った。
    その事についてウソをついたのも認める」

ジャン「でもなぁ!だからって、
    サシャへの疑いまで晴れる訳じゃねえぞ!」

460: 2014/01/10(金) 00:05:10.99 ID:tcS3BLK10
サシャ「えっ!?」

ジャン「こいつを見てみろよ!」




物品 詰め合わせスペシャル

名前 サシャ・ブラウス

持出 DAY 04 00:20
返却 DAY 04 13:48




ジャン「この物品名を見ろ!【詰め合わせスペシャル】だぞ!?」

ジャン「一体何が入ってたんだ!そこには工具とか、
    殺人道具まで詰め込まれてたんじゃねえか!?」

サシャ「そんな訳ないじゃないですか!だからあれは…」

アニ「…ジャン、そんな言いがかりは
   ますます怪しく見られるだけだよ」

ジャン「うるせえ!そこに工具が入っていた可能性がある以上、
    こじ開けたのがオレだとは断定できねーだろ!」

461: 2014/01/10(金) 00:10:04.30 ID:tcS3BLK10
アルミン「いや、それはないと思うよ」

ジャン「あぁ!?」

アルミン「サシャが持ち出した物に
     工具が入っていたとは考えられないんじゃないかな」

アルミン「あの【詰め合わせスペシャル】っていうのは、
     そういう代物じゃなかったはずだよ」

ジャン「テメーまで何言ってやがる!
    それなら何が入ってたってんだよ!!」




アルミン(サシャが持ち出した物…【詰め合わせスペシャル】)

アルミン(その正体は多分…)

462: 2014/01/10(金) 00:15:04.90 ID:tcS3BLK10








―  閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始  ―








463: 2014/01/10(金) 00:20:12.35 ID:tcS3BLK10


  べ  も  の  た


  た  の  べ  も


  た  べ  の  も








  た  べ  も  の








そうか わかったぞ!








466: 2014/01/11(土) 08:05:32.11 ID:2mdzWxpY0
アルミン「あれはきっと…食べ物だったんだよ」

ジャン「は…!?」




サシャ『だって…朝ごはんも食べてないんですよ…?』

ミーナ『昨日の夜がっつり食ってたじゃん…』

サシャ『それとこれとは別ですよ…
    昨日の夜中も食堂に行ったのに閉まってたし…』

エレン『お、おい!あれだけ食って
    さらにつまみ食いしようとしてたのかよ!』

サシャ『ああ…おなかが減って力が…』




アルミン「サシャってほら、すごく食い意地が張ってたでしょ?
     夜中に食堂に行こうとするほど…」

サシャ「うぐっ…」

アルミン「でも夜時間は食堂に入れない。それでサシャは、
     倉庫で食糧を探すことを思いついたんじゃないかな」

467: 2014/01/11(土) 08:38:18.99 ID:2mdzWxpY0
ユミル「食い物探しに行ってたのかよ…
    だったら、なんであの時そう言わなかったんだ?」

サシャ「だって…食い意地張ってるとか思われたくないですし…」

ミーナ「いや、手遅れだと思うよ」

ジャン「ちょ、ちょっと待て!
    それが食い物だったなんて単なる憶測…」

468: 2014/01/11(土) 09:25:04.83 ID:2mdzWxpY0
ムシャリ




モノクマ「もふもふ…
     何これ…うまいもんだなぁ」




モグモグ




コニー「ぎゃああ! クマが肉食ってるぅぅぅぅぅ!!」

ライナー「…いや、それって普通じゃねえか?」

サシャ「ちょ、ちょっと!
    それ私の【詰め合わせスペシャル】じゃないですか!」

モノクマ「生まれて初めて食べたよ。
     なんて言うかその…野生の頃を思い出す味だ」

469: 2014/01/11(土) 09:47:21.52 ID:2mdzWxpY0
サシャ「ひ…酷い!あんまりですよ!
    そのお肉は最後に食べようと思ってたのに!」

モノクマ「うるせえなぁ。オマエラの議論があんまり退屈だから、
     おつまみでも食べないとやってらんねーんだよ」

モノクマ「おっと! つい野性的な一面が出ちゃったよ。
     さっきのお肉の影響かしら?」

アニ「ちなみに聞いておくけど、
   その【詰め合わせスペシャル】に工具は入ってる?」

モノクマ「工具?そんなのある訳ないじゃん」

モノクマ「ドングリしか食べないブタの薫製肉とか、
     メタボリックなガチョウの肝臓で作ったソースとか…」

モノクマ「これはそういう珍味の詰め合わせなの!!」

470: 2014/01/11(土) 09:59:09.29 ID:2mdzWxpY0
ベルトルト「ということは、やっぱり工具を持ち出したのって…」

クリスタ「ジャン…だけ…?」

ジャン「…!!」

ミカサ「ジャン…あなたがエレンを…?」

ジャン「だ、だから、それは誤解だ!」

ユミル「だったら説明しろよ。
    お前は何の為に【工具セット】なんか持ち出したんだ?」

ジャン「そ…それは…!」

コニー「っていうか思い出したぞ!確か初日の夜に…」

471: 2014/01/11(土) 12:44:11.93 ID:2mdzWxpY0
ガタッ

ガラガラ…




ジャン『…おい』

エレン『あ?』

ジャン『悪かったな』

エレン『…?』

ジャン『別にあんたと喧嘩したかった訳じゃないんだ。
    ただ、俺は正直者なんでね』

ジャン『思ったことはすぐ口に出しちまう。
    それでよく顰蹙も買うが…悪気があってやってるんじゃない』

472: 2014/01/11(土) 12:52:24.43 ID:2mdzWxpY0
エレン『いや、別に謝らなくてもいいっつーか…
    突っかかったのはオレの方なんだからよ』

ジャン『そうか…』

エレン『…』




スッ




ジャン『…これで手打ちにしようぜ』

エレン『ああ…』




パシッ

473: 2014/01/11(土) 13:00:48.71 ID:2mdzWxpY0
ジャン『…』




ミカサ『…』




ジャン『…!』

ミカサ『?』

ジャン『い、いや…すまない。
    見慣れない顔立ちだったから…』

ジャン『その…とても綺麗な黒髪だ』

ミカサ『…どうも』

474: 2014/01/11(土) 13:11:02.56 ID:2mdzWxpY0
ジャン『あ、あのっ…』




ミカサ『エレン』

エレン『な…なんだよ』

ミカサ『すぐ感情的になるのはやめた方がいい。
    でないと、いずれ足をすくわれる』

エレン『ぐっ…そういうお前はもう少し感情的になれよ。
    いっつも無愛想な顔しやがって』

ミカサ『エレンがそう言うなら努力しよう』

エレン『ったく…ほら、早く寄宿舎に行くぞ』

ミカサ『うん』




ジャン『…!』

475: 2014/01/11(土) 13:20:17.48 ID:2mdzWxpY0
コニー『…』




ズリ




コニー『いッ!!』

ジャン『…』

コニー『オ…オイ!!お前 何 人の服で手ぇ拭いてんだ!?』

ジャン『…』

コニー『何拭ったんだお前…』

コニー『…!?』




ジャン『人との…信頼だ…』




476: 2014/01/11(土) 13:29:54.78 ID:2mdzWxpY0
コニー「あの時は何の事かわからなかったけど…」

コニー「まさかお前は…ミカサに振られた腹いせに…」

ジャン「そんなセコい理由で頃す訳ねーだろうが!!」

ミーナ「な、なら…アレが理由?」




モノクマ『【巨人に関する重大なヒミツ】をプレゼントしまーす!!』




ミーナ「【巨人に関する重大なヒミツ】…
    もしかして、それを手に入れる為に…」

ジャン「…ッ!!」

477: 2014/01/11(土) 13:37:48.66 ID:2mdzWxpY0
ジャン「ふざけんじゃねえ!!」

サシャ「ひいッ!?」

ジャン「どいつもこいつもわかってねえ!
    何もわかっちゃいねえ!」

ジャン「なら百歩譲って、オレがエレンの金具を弄る為に
    工具を持ち出したとしようか!?」

ジャン「でもなぁ、それならいつ細工するんだ!?
    金具はあいつが肌身離さず持ち歩いてたんだぞ!」

ジャン「まさか本人の目の前で堂々とやった…
    なんて馬鹿な事言うヤツはいねえよなぁ!?」

478: 2014/01/11(土) 13:47:38.87 ID:2mdzWxpY0
サシャ「そ、そんなの…
    エレンが寝てる時に部屋に忍び込んだんじゃ…」

モノクマ「無理無理。寄宿舎の個室には
     ピッキング防止加工が施してあるから…」

モノクマ「そこのドアをこじ開けるなんて、
     某三代目の怪盗さんでも不可能だよ!」

ミーナ「それなら一体どうやって…」

ジャン「だから言ってんだろ!
    オレがエレンの金具を弄るなんてできっこねーんだ!」

479: 2014/01/11(土) 14:47:35.22 ID:2mdzWxpY0
アルミン「…本当にそうかな?」

ジャン「あぁ!?」

アルミン「エレンに気付かれずに金具に細工をする機会…
     本当に全くなかったのかな?」

ジャン「話聞いてたのか!金具はあいつが常に…」

アルミン「持ち歩いていたね。今の僕らだってそうだ」

アルミン「でも一度だけ…」

アルミン「エレンが個室以外で金具を外して、
     一時的にその場から離れる機会が…あったはずだよ」

ジャン「デタラメ言うんじゃねえ!そんなもんある訳ねえだろ!」




アルミン(ここで引く訳にはいかない)

アルミン(全ての真実を明らかにする為にも…!)

480: 2014/01/11(土) 14:51:00.69 ID:2mdzWxpY0








―  マ シ ン ガ ン ト ー ク バ ト ル 開 始  ―








485: 2014/01/12(日) 12:58:10.63 ID:fh/f/XdF0
ジャン「オレが【工具セット】を持ち出したのが夜の7時25分!
    そしてそれを返却したのが12時20分!」

ジャン「その間たったの5時間だ!たったの5時間だぞ!?」

ジャン「そんな時間で何ができる!
    どうすればエレンに気付かれずに細工できる!」

ジャン「オレたちは常に金具を持ち歩いている!
    それから目を離すのは寝る時ぐらいだ!」

ジャン「でもモノクマは言ってたよなぁ!?
    個室のドアをこじ開けて侵入するのは不可能だってよ!」

ジャン「就寝は個室以外では禁じられてる!
    つまり寝てる隙を狙うには部屋に忍び込むしかねえんだ!」

ジャン「それができねえ以上、エレンの金具に細工できるチャンスなんて
    一時たりともねえだろうが!」

ジャン「エレンが個室以外で金具を外して
    一時的にその場から離れる機会があったァ!?」

ジャン「よくもまぁそんなデタラメが言えたもんだなァァ!!」

486: 2014/01/12(日) 13:06:07.69 ID:fh/f/XdF0








ジャン【そんな機会ある訳ねえ!エレンの金具に細工できる時間なんてある訳ねえ!!】








【大浴場】








これで証明するよ!








487: 2014/01/12(日) 13:22:19.78 ID:fh/f/XdF0
アルミン「機会ならあったはずだ!大浴場だよ!」

ジャン「!!」




ライナー『寄宿舎の方はどうだった、ミーナ?』

ミーナ『けっこう立派な建物だったよ。大浴場なんかもあったし…』




アルミン「僕たちは夕食後に、
     女子、男子の順で大浴場を利用していたよね?」

クリスタ「う、うん…まだ3日しか使ってないけど、
     もう習慣みたいになってたね」

コニー「汗まみれで寝るのはイヤだからなぁ。
    風呂なんてあそこくらいしかねーし…」

488: 2014/01/12(日) 14:06:13.83 ID:fh/f/XdF0
ベルトルト「そうか…!入浴時はさすがに金具を外すよね」

ユミル「脱いだ衣服と一緒に放置してたな。
    まさかそこを狙って…」

ライナー「待てよ?確か昨日の晩、お前は…」




ガララッ




ライナー『ん?もう上がるのか?』

ジャン『あ、ああ…なんか逆上せちまってよ…』

コニー『は?少ししか浸かってなかったじゃねーか』

ジャン『う…うるせえ!とにかくオレは逆上せたんだ!
    一足先に出てるからな!』

489: 2014/01/12(日) 16:20:30.34 ID:P67bcrWS0
ライナー「一人だけやけに早く、風呂から上がってたよな?」

ミーナ「じゃ、じゃあ…その時に…」

ジャン「ぐっ…!」

アニ「さっきも言ったけど、
   金具には工具でこじ開けられたような痕跡があった」

アニ「この施設で工具が入手できる場所は倉庫、
   そして倉庫からそれを持ち出したのはジャンのみ…」

アニ「そして一人だけ早く大浴場を後にしたというなら、
   エレンの金具に近づける機会もあったはず」

ジャン「…ッ!!」

アニ「ジャン…もう言い逃れはできないよ」

490: 2014/01/12(日) 16:28:44.16 ID:P67bcrWS0
ミカサ「…ジャン」

ジャン「…っ!?」

ミカサ「許さない…あなただけは…」

ジャン「ち、違う!それは違う!
    だから誤解だって言ってんだろ!」

ユミル「往生際が悪いぞ。さっさと投了しろ」

ジャン「だからオレは…!」








ジャン「オレは…あいつの金具を直そうとしただけなんだ!!」








493: 2014/01/13(月) 08:23:06.42 ID:eSlp5qzs0
クリスタ「えっ?」

コニー「は…?」

ジャン「…っ」

ライナー「じゃあ何だ…お前はエレンの金具に細工した訳じゃなくて、
     もともと壊れていた物を直そうとしたと?」

ジャン「…そうだよ。結局無理だったけどな」

ユミル「ちょっと待て。それなら何故そう言わなかったんだ?」

494: 2014/01/13(月) 08:38:09.61 ID:eSlp5qzs0
ジャン「言える訳ねえだろ…」




ジャン『オレは逆に教えてほしい』

ジャン『あんな無様な姿晒しておいて
    正気を保って保っていられる秘訣とかをよぉ…』

エレン『お…お前ら
    人が頭下げて頼んでるのに…』




ジャン「オレはあいつが嫌いだった」

ジャン「理想論ばかり並べて現実を見ようとしない…
    そんなバカ丸出しのあいつが鼻について仕方なかった」

ジャン「それに…」チラ

ミカサ「…」

ジャン「なのに…なのによ…」

ジャン「オレがそんなあいつの金具を直そうとしてたなんて…
    言える訳ねえだろうが…!!」

495: 2014/01/13(月) 08:47:41.23 ID:eSlp5qzs0
ライナー「おいおい…あんなに怪しい言動しておいて今更…」

ミーナ「そ、そうだよ!まさか今の話信じたりしないよね?」

アニ「ジャンの言ってる事は本当だと思うよ」

ミーナ「えっ…?」

アニ「アルミン、あんたならわかるんじゃない?」

496: 2014/01/13(月) 08:58:02.22 ID:eSlp5qzs0
アルミン(ジャンは本当の事を言っている)

アルミン(その根拠は…)




▶【2日目のエレン】
【2日目のジャン】
【2日目のコニー】








これだ!








497: 2014/01/13(月) 09:08:02.21 ID:eSlp5qzs0
アルミン「確かに、ジャンは本当の事を言ってると思う」

アルミン「だってエレンの金具は…2日目の時点で壊れていたんだから」

ライナー「なに…?」








エレン『…は…?』




ジャン『…』プクク

コニー『…』ニヤニヤ




エレン『…な…な…』

エレン『…なんだよ…これ…』

498: 2014/01/13(月) 09:18:59.30 ID:eSlp5qzs0
ミカサ「じゃああれは…エレンが出来ていなかった訳じゃなくて…」

アルミン「うん。エレンの金具だけに不備があったんじゃないかな」

ミカサ「…!!」

アニ「ジャンが工具を持ち出したのは3日目の夜…」

アニ「なのに2日目の時点でその状態だったってことは、
   ジャンが細工をしたせいであんな風になった訳じゃないんだよ」

499: 2014/01/13(月) 09:35:07.44 ID:eSlp5qzs0
ユミル「待てよ。それでも2日目の時点で
    金具に不備があったと言い切れるのか?」

サシャ「そ、そうですよ!エレンの金具だけなんて不自然ですし、
    単にエレンが下手なだけだった可能性も…」

アニ「ないよ。見てごらん」




カチャカチャ




クリスタ「それって…」

アニ「エレンの金具だよ」




カチャカチャ

カチッ

500: 2014/01/13(月) 09:48:26.66 ID:eSlp5qzs0
アニ「エレンの金具には確かにこじ開けられた痕跡があった」

アニ「でもその中には…細工をした跡は見つからないんだよ」

ユミル「…?」

コニー「いや、そんなん見せられたってわかんねーよ。
    中の仕組みが複雑すぎて…」

モノクマ「あーもうっ、めんどくさいなぁ!」

モノクマ「レオンハートさんの言う通りだよ!
     イェーガーくんの金具には初めから欠陥があったの!」

モノクマ「って、ぎゃああああ!認めちゃったー!
     監督教官の責任問題だよ!記者会見で何て言おう…」

501: 2014/01/13(月) 10:02:43.96 ID:eSlp5qzs0
ジャン「な、なら、お前は…」

ジャン「お前はオレが犯人じゃないとわかってて、
    オレをあんなに追いつめたってのか!?」

アニ「あんたが犯人だなんて一言も言ってないよ」

ジャン「なっ…!」

アニ「私は一つ一つの事実を明らかにしたかっただけ。
   不確定要素を一つでも省きたかっただけ」

ジャン「て、てめぇ…」

アニ「…ふぅ。それじゃあ始めようか」




アニ「ここからが本題だよ」




506: 2014/01/14(火) 18:55:35.90 ID:EG/vGqI00








―  議 論 開 始  ―




【クリスタの証言】
▶【ライナーとベルトルトの証言】
【サシャの証言】
【ミーナの証言】








507: 2014/01/14(火) 19:14:48.25 ID:EG/vGqI00
アニ「ジャンが細工をしていないのなら…」

アニ「どうしてエレンは氏んだんだろうね」

コニー「ちょ、ちょっと待てよ!」

コニー「俺はまだ納得した訳じゃねーぞ!」

モノクマ「もー!何度言えばわかるのさ!」

モノクマ「イェーガーくんの金具には【最初から欠陥があった】んだって!」

ミーナ「あんたの言う事なんて信じられないよ!」

サシャ「じゃあ、やっぱりジャンは細工をしてて…」

サシャ「それで姿勢を崩したエレンは、【たまたま地面から突き出ていた石】に…?」

ジャン「だから違うっつってんだろ!!」




アルミン(あれ…? あの人の発言っておかしいよな…
     僕の知っている情報とは明らかに矛盾するぞ…)

508: 2014/01/14(火) 19:18:03.34 ID:EG/vGqI00
アニ「ジャンが細工をしていないのなら…」

アニ「どうしてエレンは氏んだんだろうね」

コニー「ちょ、ちょっと待てよ!」

コニー「俺はまだ納得した訳じゃねーぞ!」

モノクマ「もー!何度言えばわかるのさ!」

モノクマ「イェーガーくんの金具には【最初から欠陥があった】んだって!」

ミーナ「あんたの言う事なんて信じられないよ!」

サシャ「じゃあ、やっぱりジャンは細工をしてて…」

サシャ「それで姿勢を崩したエレンは、【たまたま地面から突き出ていた石】








それは違うよ!








509: 2014/01/14(火) 19:25:47.22 ID:EG/vGqI00
アルミン「あの石ってさ…最初からあった物なのかな」

サシャ「え?」

アルミン「あの場所は昨日まで、僕たちも使ってたんだよ?」

アルミン「思い出してみてよ。姿勢制御の訓練で、
     あんな場所に石なんてあった?」

510: 2014/01/14(火) 19:39:12.45 ID:EG/vGqI00
ユミル「…言われてみれば、確かに妙だな」

ユミル「あんなに危ない物があったら誰か気付くはずだ。
    でも私の記憶では…」

クリスタ「…うん、そんなのなかったよ」

アルミン「それにこの事は、あの二人が言っていた事とも矛盾するんだ」

アルミン「…そうだよね? ライナー、ベルトルト」

511: 2014/01/14(火) 19:49:01.56 ID:EG/vGqI00
モノクマ『オマエラさあ、この外のあちこちに穴掘ったでしょ!』

ライナー『それがどうしたんだ』

モノクマ『何開き直ってんの!ちゃんと元に戻しなさいよ!』

ベルトルト『いや、でも流石にそこまでの時間はなくて…』

モノクマ『そんなのオマエラの都合でしょーが!とにかく穴を塞ぎなさい!
     ヤリ逃げなんて許さないんだからね!』




ライナー「アルミンの言う通りだ。知っての通り、
     俺たち二人は訓練所の穴埋め作業をさせられたんだが…」

ベルトルト「ついでに危険物のチェックもしたんだよ。
      訓練に支障をきたすものが他にないか…」

ベルトルト「それこそ、地面から石なんか突き出ていないか…徹底的にね」

512: 2014/01/14(火) 19:57:08.28 ID:EG/vGqI00
ユミル「つまり、それならあんな石を見逃すはずがない…
    そういうことか?」

ベルトルト「うん。姿勢制御装置の真下にあるようなものなら、尚更ね」

コニー「え?それっておかしくねえか?」

アニ「そう、おかしいんだよ」

アニ「あるはずのない場所に石が突き出ていた…
   これは一体どういう事だろうね?」

513: 2014/01/14(火) 19:59:21.14 ID:EG/vGqI00








―  議 論 開 始  ―




【モノクマファイル 1】
▶【血で濡れた髪】
【地面から突き出た大きな石】
【倉庫の物品管理表】








514: 2014/01/14(火) 20:17:55.10 ID:EG/vGqI00
コニー「な、なんだかよくわかんなくなってきたぞ…」

コニー「なんで【あるはずのない場所に石があった】んだ…?」

ジャン「…まさか、あの石は最初からあった訳じゃなくて」

ジャン「【誰かが仕組んだもの】だってのか!?」

ミーナ「だ、誰かが仕組んだって…それじゃあ…」

ミーナ「あの石を【装置の真下に埋めて】…」

ミーナ「【エレンが頭を打って氏ぬようにした】の!?」

サシャ「ひ…酷い!鬼です悪魔ですっ!」




アルミン(いや…そんなに生易しいものじゃない)

アルミン(これはもっと悪意に満ちてる…!)

515: 2014/01/14(火) 20:21:56.25 ID:EG/vGqI00
コニー「な、なんだかよくわかんなくなってきたぞ…」

コニー「なんで【あるはずのない場所に石があった】んだ…?」

ジャン「…まさか、あの石は最初からあった訳じゃなくて」

ジャン「【誰かが仕組んだもの】だってのか!?」

ミーナ「だ、誰かが仕組んだって…それじゃあ…」

ミーナ「あの石を【装置の真下に埋めて】…」

ミーナ「【エレンが頭を打って氏ぬようにした】








それは違うよ!








516: 2014/01/14(火) 20:30:44.83 ID:EG/vGqI00
アルミン「違う…エレンはあれに頭を打って氏んだんじゃない」

ミーナ「ち、違うって…
    だってエレンの氏因は頭部への打撃によるものでしょ?」

ライナー「まさかモノクマファイルの内容を疑うのか?
     でもあれに書かれているのは事実だって…」

アルミン「…髪」

ライナー「え?」

アルミン「エレンの髪が…血で濡れていたんだよ」

517: 2014/01/14(火) 20:40:11.67 ID:EG/vGqI00
ジャン「それがどうしたってんだよ。
    氏因とも一致するし、石にだって血が付いてたんだろ?」

クリスタ「姿勢を崩したエレンがその石に頭を打った。
     そう考えるのが自然だと思うけど…」

アルミン「それならどうして髪が血で濡れるの?」

クリスタ「えっ?」

アルミン「エレンが姿勢を崩した姿はみんなも見てるよね?」

518: 2014/01/14(火) 20:48:27.22 ID:EG/vGqI00
エレン『…は…?』




ジャン『…』プクク

コニー『…』ニヤニヤ




エレン『…な…な…』

エレン『…なんだよ…これ…』








アルミン「あの時のエレンはどうなってた?」

ライナー「どうなってたって…そりゃ盛大な転びようだったな」

ベルトルト「ビックリしたよね。いきなりクルンと回ったと思ったら、
      顔から地面に向かって勢いよく…」

519: 2014/01/14(火) 20:55:02.61 ID:EG/vGqI00
ベルトルト「…あれ?でもそうすると…」

アルミン「そう…額や顔にケガをするはずだよね。
     少なくともエレンはそうだったよ」

アルミン「それなのにどうして…髪が血で濡れていたの?」

ライナー「…!!」

アルミン「それなのにどうして…」

アルミン「エレンの後頭部に…あんな傷があったんだよ…!」

520: 2014/01/14(火) 21:08:35.46 ID:EG/vGqI00
サシャ「後頭部…!?」

アニ「血で濡れていたのは後頭部の髪だったんだ」

アニ「そして確かに、額には傷があったけど…
   後頭部にはそれよりも大きな、もっと深い傷があった」

ジャン「な…なんだって…!?」

アニ「つまりこういう事だよ」




アニ「エレンはあの石に頭をぶって氏んだんじゃない。
   あの石で頭をぶたれて氏んだんだ」

アニ「金具に細工とかせせこましい話じゃない…
   もっとシンプルな、明確な殺意をもった人間の犯行なんだよ」




524: 2014/01/15(水) 15:13:27.94 ID:uVGfMC+d0
ミカサ「…!!」

サシャ「な…な…」

ジャン「エレンは殴られて氏んだってのか!?
    頭をぶつけた訳じゃなくて…」

アニ「そうだよ」

ライナー「だ、だが…それならどうして、
     あの石が地面から突き出てたんだ?」

アニ「簡単なことさ。エレンを殴り頃した後、
   犯人は凶器の石を地面に埋めたんだよ」

アニ「エレンが頭をぶつけたと見せかける為にね」

525: 2014/01/15(水) 15:20:18.19 ID:uVGfMC+d0
アルミン「…さっきアニも言ったけど、
     エレンの額には傷があったんだ」

アルミン「だからこういう事だと思う。
     エレンが姿勢を崩して地面に額を打った後…」

アルミン「その上から…犯人がエレンをめがけて
     石を振り下ろした」

ミカサ「…ッ!」

ジャン「ウ、ウソだろ…そんな事やった人間が…」

ジャン「この中に…いるってのかよ!?」

526: 2014/01/15(水) 15:25:39.54 ID:uVGfMC+d0
アルミン(僕たちは互いの顔を見回していた)

アルミン(困惑した表情を浮かべる者、
     怒りのまなざしを向ける者…)

アルミン(でも、この中に一人いるはずだ)

アルミン(ウソの仮面を被った人間が…)

527: 2014/01/15(水) 15:40:14.92 ID:uVGfMC+d0
モノクマ「うぷぷ…やっと議論も本筋に入ってきたみたいだね」

モノクマ「でもさあ、誰がクロなのか早く決めてくれないかな?
     ボクが飽きたら時間切れになっちゃうんだよ?」

ベルトルト「そう言われても…」

ミーナ「凶器や頃し方はわかったけど、肝心の犯人が不明のままだよね…」

クリスタ「そんな…それじゃあ…」

サシャ「は、破滅です!もう私たちはおしまいですよ!」

528: 2014/01/15(水) 15:50:27.76 ID:uVGfMC+d0
アニ「落ち着きなよ」

サシャ「落ち着いていられますかぁ!
    ここで犯人当てなかったら私たち殺されるんですよ!」

モノクマ「で、出たー!さりげなく犯人じゃないとアピる小技!
     ベリィグーッド!」

サシャ「ち、違いますよ!私は食い意地が張ってるだけで!」

アニ「だから落ち着きなって。
   犯人につながる手がかりならもうあるから」

529: 2014/01/15(水) 16:00:09.35 ID:uVGfMC+d0




アルミン(…え?)




アニ「アルミン、私たちはエレンの金具を使って実験をしたよね?」








アニ『…』

ライナー『…』

アニ『…ねえライナー』

ライナー『…な、何だよ』

アニ『あんたって姿勢制御上手かったよね』

ライナー『…お前ほどじゃないけどな』

アニ『ちょっと私に見せてくれない?』

530: 2014/01/15(水) 16:15:17.84 ID:uVGfMC+d0
ライナー「ああ…あれのことか」

アニ「あそこに隠されてるよ。犯人につながる手がかりが」

ベルトルト「えっ?」

アニ「アルミン…よく考えてみて」

534: 2014/01/16(木) 18:57:20.13 ID:YXuDHU1w0








―  閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始  ―








535: 2014/01/16(木) 19:09:23.99 ID:YXuDHU1w0


  う  き  ゃ  り  ょ  く  し  ょ


  き  ょ  り  し  ょ  う  く  ゃ


  き  ょ  う  り  し  ょ  ゃ  く  








  き  ょ  う  り  ょ  く  し  ゃ








そうか わかったぞ!








536: 2014/01/16(木) 19:21:20.85 ID:YXuDHU1w0
アルミン「そうか!【協力者】がいたんだ!」

コニー「え?この事件に共犯者はいないって…」

アルミン「共犯者じゃなくて【協力者】だよ!」




エレン『…今度こそできる気がする。
    上げてくれアルミン!』

アルミン『いくよ』




キリキリキリキリキリキリ




アルミン「あの姿勢制御訓練は一人じゃできない…」

アルミン「誰かにクランクを回してもらわないと、
     宙に浮き上がることはできないんだ!」

537: 2014/01/16(木) 19:33:50.89 ID:YXuDHU1w0
サシャ「じゃ、じゃあ…
    エレンは夜中に一人で訓練をしていた訳ではなくて…」

ライナー「それを手伝った人間がいるってことか…?」

アルミン「うん、そういう事だよ」

コニー「ん?だったら何でその【協力者】ってのは、
    エレンの訓練を手伝ったって言わなかったんだ?」

アニ「言う訳ないでしょ。だってその人間こそが犯人なんだから」

538: 2014/01/16(木) 19:41:47.33 ID:YXuDHU1w0








―  議 論 開 始  ―




【モノクマファイル 1】
【兵団規則】
【血で濡れた髪】
【地面から突き出た大きな石】
【倉庫の物品管理表】
▶【訓練成績】








539: 2014/01/16(木) 20:03:05.17 ID:YXuDHU1w0
コニー「は…!? なんだって!?」

ジャン「【協力者が犯人】だと…?」

サシャ「い、一体誰なんですか!早く挙手してください!」

ユミル「アホか、挙げる訳ねーだろ…」

コニー「じゃあどうすんだよ…」

コニー「誰が手伝ってたかなんて【目星つかねえ】ぞ…?」

サシャ「や、やっぱり破滅です!おしまいですよぉぉ!!」




アルミン(そうか!だからアニは…!)

540: 2014/01/16(木) 20:05:28.21 ID:YXuDHU1w0
コニー「は…!? なんだって!?」

ジャン「【協力者が犯人】だと…?」

サシャ「い、一体誰なんですか!早く挙手してください!」

ユミル「アホか、挙げる訳ねーだろ…」

コニー「じゃあどうすんだよ…」

コニー「誰が手伝ってたかなんて【目星つかねえ】








それは違うよ!








541: 2014/01/16(木) 20:14:46.73 ID:YXuDHU1w0
アルミン「いや…目星ならつくと思うよ」

コニー「えっ…?」

サシャ「ほ、本当ですか、アルミン!?」

アルミン「うん…」

アニ「…」

アルミン「みんな、ちょっとこれを見てくれるかな」

542: 2014/01/16(木) 20:25:35.21 ID:YXuDHU1w0
名前          PT

ミカサ・アッカーマン  10
ミーナ・カロライナ   10
アニ・レオンハート   09
ライナー・ブラウン   09
ベルトルト・フーバー  09
ユミル         09
ジャン・キルシュタイン 08
コニー・スプリンガー  08
サシャ・ブラウス    07
クリスタ・レンズ    07
アルミン・アルレルト  06
エレン・イェーガー   00

543: 2014/01/16(木) 20:34:11.38 ID:YXuDHU1w0
サシャ「…? 何ですかこれ」

アルミン「みんなの訓練成績だよ。昨日までのね」

ジャン「は…?そんなもんが何の役に立つんだよ」

アニ「よく考えてみて」

アニ「エレンは夜中に姿勢制御の練習をしようとした。
   そしてその為には、誰かに手伝ってもらう必要があった」

アニ「…ここまではいいよね?」

544: 2014/01/16(木) 20:40:12.96 ID:YXuDHU1w0
ライナー「ああ…それがどうしたんだ?」

アニ「仮にあんたがエレンだったとしたら、
   練習の手伝いはどんな人に頼む?」

ライナー「どんな人って…そりゃ頼みやすそうな奴とか、
     姿勢制御が抜群に上手かった奴とか…」

アニ「…」

ライナー「…え?」

ベルトルト「ま、まさか…」

545: 2014/01/16(木) 20:42:28.64 ID:YXuDHU1w0








―  人 物 を 指 名 し ろ  ―








546: 2014/01/16(木) 20:44:53.30 ID:YXuDHU1w0




【ミカサ・アッカーマン】
【ライナー・ブラウン】
【ベルトルト・フーバー】
【アニ・レオンハート】
【エレン・イェーガー】
【ジャン・キルシュタイン】
【コニー・スプリンガー】
【サシャ・ブラウス】
【クリスタ・レンズ】
【アルミン・アルレルト】
▶【ミーナ・カロライナ】
【ユミル】








これが僕の答えだ!








547: 2014/01/16(木) 20:52:29.68 ID:YXuDHU1w0
アルミン「君だよ…ミーナ」

ミーナ「…!!」

アルミン「君こそがエレンの訓練の協力者…」

アルミン「そして、エレンを殴り頃した犯人なんだ」

ミーナ「な…な…」




ミーナ「何言ってるの…アルミン…?」




548: 2014/01/16(木) 20:53:23.33 ID:YXuDHU1w0
今日はここまで

549: 2014/01/16(木) 20:54:20.80 ID:WTxzCCHOo


マジ何者なんだろうなミーナ

550: 2014/01/17(金) 15:10:19.96 ID:VdNfZBSI0








―  議 論 開 始  ―




【クリスタの証言】
【ライナーとベルトルトの証言】
【サシャの証言】
▶【ミーナの証言】








551: 2014/01/17(金) 15:15:14.86 ID:VdNfZBSI0
アルミン「君は訓練の成績がトップだった」

アルミン「だから、エレンが練習の手伝いを頼むとしたら…」

アルミン「君だと考えるのが自然なんだ!」

ジャン「おい…【ミーナが犯人】ってマジなのか…!?」

ミーナ「ち、違う!私はやってない!」

ミーナ「そもそも、訓練成績だけで疑われるのなら…」

ミーナ「【同点だったミカサだって怪しい】じゃない!」

ミカサ「私がエレンを頃す訳ない!!」




アルミン(確かに、トップだったのはミーナだけじゃない)

アルミン(だけどエレンは…)

552: 2014/01/17(金) 15:20:11.42 ID:VdNfZBSI0
アルミン「君は訓練の成績がトップだった」

アルミン「だから、エレンが練習の手伝いを頼むとしたら…」

アルミン「君だと考えるのが自然なんだ!」

ジャン「おい…【ミーナが犯人】ってマジなのか…!?」

ミーナ「ち、違う!私はやってない!」

ミーナ「そもそも、訓練成績だけで疑われるのなら…」

ミーナ「【同点だったミカサだって怪しい】








それは違うよ!








553: 2014/01/17(金) 15:30:10.31 ID:VdNfZBSI0
アルミン「いや…いくら同点だったからって、
     エレンがミカサに頼んだとは考えられないよ」

ミーナ「な…なんでよ!エレンとミカサは幼馴染だったんでしょ!?」

ミーナ「私なんか知り合ってまだ3日だったんだよ!?
    練習の手伝いを頼むとしたら、私より仲の良かったミカサだよ!」

アルミン「違うよ。だってその根拠は…
     他でもない君が言ってたじゃないか」

ミーナ「…!?」

554: 2014/01/17(金) 15:35:47.71 ID:VdNfZBSI0
ミーナ『エレン…?』

エレン『! ミーナか』

ミーナ『どうしたの?そんなに怖い顔して…』

エレン『…オレは』

ミーナ『え?』

エレン『オレはもう、あいつの御守にはなりたくないんだ…!』

555: 2014/01/17(金) 16:20:24.09 ID:VdNfZBSI0
アルミン「“あいつの御守にはなりたくない”」

アルミン「エレンがそう言っていたのなら…
     その“あいつ”ってミカサの事だったんじゃないかな」

ミカサ「…!」








ミカサ『私がいる限り、【裏切り者】を一番にはさせない。
    エレンもアルミンも…私が無事にここから出す』




エレン『それじゃあ駄目なんだッ…!』




556: 2014/01/17(金) 16:32:52.19 ID:VdNfZBSI0
アルミン「つまり…エレンはミカサの世話になる事を嫌っていたんだ」

アルミン「そう考えれば、ミカサに頼むなんてあり得ないんだよ!」

ミーナ「…!!」

アルミン「それに君も言ったよね?」




ミーナ『私なんか知り合ってまだ3日だったんだよ!?
    練習の手伝いを頼むとしたら、私より仲の良かったミカサだよ!』




アルミン「それなら逆に聞くけど、
     どうして“知り合ってまだ3日”だった君が…」




エレン『オレはもう、あいつの御守にはなりたくないんだ…!』




アルミン「エレンからあんな事を打ち明けられたんだよ!」

557: 2014/01/17(金) 16:39:30.97 ID:VdNfZBSI0
ミーナ「…っ」

アルミン「ねえミーナ、本当のことを教えてよ」

アルミン「本当は…あの証言には続きがあったんじゃないの?」








エレン『オレはもう、あいつの御守にはなりたくないんだ…!』

エレン『あいつに守られるんじゃなくて…オレがあいつを守ってやりたいんだ』

エレン『だから…』

エレン『頼むミーナ!オレの練習に付き合ってくれ!!』





続く:【ダンロン×進撃】シンゲキロンパ【後編】


558: 2014/01/17(金) 16:45:10.53 ID:VdNfZBSI0
今日はここまで

559: 2014/01/17(金) 17:15:49.85 ID:hQzogBpk0
乙ー

引用: シンゲキロンパ