65: 2013/11/30(土) 22:36:58.04 ID:SgQObXtQ0
お待たせいたしました。

第2話「だまし絵」前半部分を投稿させていただきます。

最初から:渋谷凛『不思議なお店?』
前回:【モバマス】渋谷凛『不思議なお店?』第一話 何でも入る箱

アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(12) アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場 (電撃コミックスEX)
66: 2013/11/30(土) 22:38:01.19 ID:SgQObXtQ0
モバP「着眼点はいいと思ったんだけど」

凛「花屋の娘からすると、少し複雑かな」

モバP「なるほど、勉強になるよ」

凛(ジュニトゥイーロ。モバPさんが実験用に作った花)

凛(見る人によって花の種類、形、色が異なるらしい)

凛(私には蓮、モバPさんには白菊、加蓮には睡蓮に見える。不思議な花)

凛(ただ、皆違って見えるからどうやって育てていいのか分からなくなる)

凛(花屋としては花に長持ちして欲しいし)

モバP「そう言えば、凛の前に若林さんに見せたら向日葵に見えるってさ、やっぱ性格なのかね?」

凛「智香って、最近、事務所で見ないけど、何しているの」

モバP「ん、チアリーディングの方優先で頑張ってる」

67: 2013/11/30(土) 22:38:51.36 ID:SgQObXtQ0
凛「…モバPさんが直接スカウトしたって聞いたけど、あんまり一緒に仕事してないよね?」

モバP「まあ、ちょっと訳ありで。よく実家に遊びに来る」

凛「ふーん」

凛(奈緒じゃないけど、ちょっとモヤモヤするなぁ)

凛「また何かあったの?」

モバP「正確には遭った?」

凛「遭った?」

モバP「そう遭った。ドッペルンガー、いやだまし絵かな?」

凛「だまし絵ってアレでしょ。教科書とかよく出てて、綺麗な女の人が別の角度からみるとおばあさんに見える」

モバP「それ、マウリッツ・エッシャーとかが有名」


68: 2013/11/30(土) 22:39:54.67 ID:SgQObXtQ0
モバP「このジュニトゥイーロと同じで、同じモノを見ているのに、同じ様に見えていない」

モバP「何を見ても同じように見えてる人なんていない」

モバP「きっと、同じアイドルの顔でもファンそれぞれが微妙に異なって見えてる」

凛「へえー」

モバP「若林智香はある意味、人をだます天才なのかもしれない」

凛「そう?智香が人をだますなんてイメージ全然ないけど」

モバP「本人は意図してないからね。ある意味、佐久間さんと対極」

凛「訳が分からないよ」

モバP「まあ、凛も聞いて損する話じゃないし、少し昔の話をしようか」

モバP「プロデューサーになる前に実家の手伝いをしながら、美術館のアルバイトとか、いわくつきのモノの処分とかをしていた頃なんだけど」



69: 2013/11/30(土) 22:40:48.66 ID:SgQObXtQ0
~CGプロダクション設立3年前~

モバP(若林家。先代当主が絵画の収集家として著名)

モバP(その先代が数ヵ月間にあるモノが原因で発狂氏。胡散臭いなぁ)

モバP「失礼します。高峯モバPと申しますが」

若林父「…中へどうぞ。裏にありますので」

モバP「ありがとうございます」

モバP(なるほど、これはスゴイ。廊下一面だまし絵だらけだ)

若林父「正直、君のような若い子にコレを任せられるのかは不安だよ」

モバP「最大限の努力は致しますので」

若林父「任せるよ」

モバP「…あまり美術品や骨董品はお好きでないようで」

若林父「嫌いではないよ」

70: 2013/11/30(土) 22:42:00.58 ID:SgQObXtQ0
モバP「娘さんですか?」

若林父「何故、私に娘がいると?」

モバP「廊下の縁に折り紙が飾ってありました。娘さんのものかと」

若林父「…ああ、娘が折ったものだが」

モバP「元気の良いようで、廊下の真ん中を何度も走った後が見受けられます」

モバP「運動神経もかなり良い。壁を使って逆立ちを練習していたみたいですね」

モバP「体操かそれに近いスポーツをされているのでは?」

若林父「よく見ている」

モバP「道具なんて見る者、使う者次第です」

モバP「ですから、これだけ元気な娘さんが魅入られることはないでしょう。ご心配なく」

若林父「君の評価を誤っていたようだ。すまない」

モバP「いえ」

若林父「この蔵の中にある。よろしく頼むよ」

モバP(無駄に厳重な施錠、御札、塩。典型的だな)

モバP(大きな球体、二階への階段、木箱が複数)

若林父「私は外にいる。終わったら声を掛けて欲しい」

モバP「ええ、かしこまりました」

71: 2013/11/30(土) 22:43:50.33 ID:SgQObXtQ0
モバP(球体上の万華鏡なんて初めて見た)

モバP(ガチャポンみたいな構造になっているのか、中から蓋が閉まる)

モバP(完全にモンスターボールだな)

モバP(にしてもデカイ。成人男性が膝を曲げれば余裕で入れるな)

モバP(ここに丸まって入る。すると360度万華鏡の映像が楽しめると)

モバP(映像は表に触れると変わる。座っているだけで景色が変わり続ける)

モバP(もし、ここに長い間入れば…普通に発狂する。まるで浄玻璃の鏡をみているようだ)

モバP(360度色彩が溶け合ったような空間。目を閉じても焼きつくような色合い)

モバP(感覚が無くなり、やがて精神が壊れる)

72: 2013/11/30(土) 22:45:33.35 ID:SgQObXtQ0
モバP(片方『視る』か)

モバP(…違う。先代の氏因はコレじゃない)

「ただいまー!」

「おかえりなさい」

モバP(女の子の声?例の娘さんか)

モバP(声が聞こえる?この蔵の中で?)アレ?

「あれ、お母さんだれか来てるの?」

「お父さんのお客さんよ。邪魔しちゃ駄目よ」

「はーい。あのね…」

モバP(割とはっきりと聞こえる)フム

モバP(少し調べてみるか)

モバP「一旦休憩させていただいてもいいですか?」

若林父「ああ、居間へ行こうか」

74: 2013/11/30(土) 22:48:29.89 ID:SgQObXtQ0

「あ、こんにちは!」

モバP「お邪魔してます」

モバP(笑顔が良く似合う子だ)

智香「初めまして!若林智香です!」

モバP(小梅が喜びそうだな)

モバP(……滅茶苦茶濃い氏相が出てる)

モバP(なんでポニーテールに氏亡フラグって書いてあるんだろう?)

84: 2013/12/01(日) 18:35:37.15 ID:CdvZ/1Nb0
モバP(あ、チアリーディング用のポンポンが置いてある)

モバP(使い込まれている。持ち手の部分そろそろ寿命だな)

モバP「初めまして、高峯モバPです」

モバP「若林さん。もしよければ、そのポンポン見せてもらってもいいですか?」

智香「はいっ!いいですよ」

モバP「…持ち手の部分が少し緩くなってますね」

智香「お気に入りなんですけど、ずっと使ってますから」

モバP(いい子なんだろう。物を大切に扱っている)

モバP「直してみてもいいですか?」

85: 2013/12/01(日) 18:38:57.45 ID:CdvZ/1Nb0
智香「え?いいんですか?」

モバP(この程度なら、母さんじゃなくてもできるか)モソモソ

モバP「はい、どうぞ」

智香「ありがとうございます」

モバP「そろそろ、仕事に戻りますね」

智香「はいっ、本当にありがとうございました」

若林父「すまないね」

モバP「いえ」

モバP(さて、だまし絵、特殊な万華鏡、そして、住居部分の声が聞こえる蔵)

モバP(事前の調査によると家族の仲は悪くはなかった)

86: 2013/12/01(日) 18:40:13.24 ID:CdvZ/1Nb0
モバP(娘さんも明るい子だったし、家庭的なトラブルは少なそうだ)

『アノコ アノコニ ツケラレテル』ヤッホー 

モバP「小梅はどうしたの?」

『イマ コクゴノジカン ヒマ』

モバP「基本真面目だからね」

『ダカラ ツイテタ』

モバP(通りで体が重いと思ったよ)

モバP「つまり、智香ちゃんが智香ちゃんに追けられている」

『カオ オナジ デモ カオガナイ』

モバP「つまり、この家にもう一人誰かいると?」

87: 2013/12/01(日) 18:41:20.64 ID:CdvZ/1Nb0
モバP(娘さんも明るい子だったし、家庭的なトラブルは少なそうだ)

『アノコ アノコニ ツケラレテル』ヤッホー 

モバP「小梅はどうしたの?」

『イマ コクゴノジカン ヒマ』

モバP「基本真面目だからね」

『ダカラ ツイテタ』

モバP(通りで体が重いと思ったよ)

モバP「つまり、智香ちゃんが智香ちゃんに追けられている」

『カオ オナジ デモ カオガナイ』

モバP「つまり、この家にもう一人誰かいると?」

88: 2013/12/01(日) 18:45:13.81 ID:CdvZ/1Nb0
『アノ ヘヤ』ビシッ

モバP「了解」

モバP(まあ、道具もあるし、『あの子』もいるから大丈夫か)

モバP「失礼します」コンコンッ

智香「あれ、高峯さんとうしたんですか?」

モバP(声と顔はまったく同じだな)スゲェ

『デモ マダ イマ ニ ヒトリ イル』

モバP「……いえ、勘違いだったようで」

智香「大丈夫ですか?」

モバP「ええ、お構いなく」

『ツイトク?』ワキワキ

モバP(念の為十倍コースで)サッサツ

89: 2013/12/01(日) 18:55:18.46 ID:CdvZ/1Nb0
『ホクト ノ セキマツ モヒカン ニ ナルケド?』ヒャッハーッテ

モバP(外見が貞子だったり、世紀末モヒカンだったりするけど)

モバP(『あの子』の実際の性別ってどうなんだろう?)

モバP(一回、世紀末モヒカン状況で小梅と同じ写真に写ってた時はあの母さんが爆笑してたし)

モバP(たまに猫耳だったりするし)

『マエカワサン オイシカッタ』

モバP(前川さんって誰?てか、食べたの?ねえ、食べたの?)

『ニャー、ニャー オモシロカッタラカラ』テヘ

モバP(世紀末モヒカンがテヘペロって)ゾッ

90: 2013/12/01(日) 19:06:10.60 ID:CdvZ/1Nb0

『サダコ モ オイシカッタ』

モバP(喰ったの?貞子喰ったの!?)ヒソシソ

『ウソ ダケド』

モバP(ですよねー)ヒソヒソ

『サダコハ』ニヤリ

モバP(おいこら、前川さんどうした?)ヒソヒソ

智香「あ、アレ?なんかこの部屋寒いですね」

モバP「そ、そうですか?温かくして休んでくださいね」

モバP(勝てる気がしない)

91: 2013/12/01(日) 19:51:02.79 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「すいません。どなたかいらっしゃいますか?」

若林父「どうかしたかね?」

モバP「申し訳ありませんが、娘さんを呼んでいただけますか?」

若林父「娘が何か?」

モバP「ちょっと確認したいことがありまして」

若林父「…別にかまいませんが?」

モバP「すいません」

モバP(さっき『視て』大体概要は分かってる)

モバP(たぶん推測通りなんだろうけど)


92: 2013/12/01(日) 19:51:47.62 ID:CdvZ/1Nb0
智香「はいはーい、お兄さん何ですか?」

モバP(お兄さん?まあ、いいか)

モバP「唐突で申し訳ないんですけど、最近何か変わったことはありませんか?」

智香「んー、変わったことですか?部活では頑張って応援してますよ?」

モバP「応援するのは楽しいですか?」

智香「そうですね、楽しいのもありますけど、嬉しいですね」

モバP「嬉しい?」

智香「はいっ、アタシの応援で誰かが元気になってくれるって」

智香「そうだ、お兄さんも応援してあげます!」

93: 2013/12/01(日) 19:57:03.20 ID:CdvZ/1Nb0
智香「フレーッ! フレーッ! お兄さん☆」

智香「フレーッ! フレーッ!」

モバP(スラッと伸びた足と綺麗な脇のラインが魅力的)

モバP(そして、動作を意識しているというよりも頑張って欲しいという気持ちが伝わってくる)

モバP(なるほど、チアリーディングの技術もあるけど、本人の人柄もある)

智香「はい☆ どうしてですか?」

モバP「ありがとう。元気出ましたよ」

智香「なら、よかったです」

95: 2013/12/01(日) 20:08:23.53 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「…そのポンポンずっと使ってるんですか?」

モバP(さっき、少し手を加えて付喪神にしておいたけど、必要なかったかな)

智香「このポンポン、チアリーディング始めた時におじいちゃんに買ってもらったんです。そういえば、この前譲って欲しいって言われちゃいました」

モバP「どんな人でしたか?」

智香「20歳くらいの女の人です」

モバP「他にはそのヒトとどんな話を」

智香「私の応援を見たことがあるって、とっても素敵だって言ってくれました!」

96: 2013/12/01(日) 20:26:18.79 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「Taking lives 著マイケル・パイ」

智香「なんですか?」

モバP「小説のタイトルです」

智香「え、えーと?それが何か?」

モバP「人生を盗む男」

モバP「他人を殺害して、その人に成りきって人生を生きる。そういう作品です」

智香「は、はぁ?」

モバP「若林さんは魅力的な人です。明るく、周囲に元気を分けてくれる」

モバP「きっと、若林さんに励まされた人はたくさんいるのでしょう」

智香「あ、ありがとうございます」

モバP「きっと、お爺さんもそうだったんだと思います」

智香「おじいちゃんはいつも見に来てくれましたけど」


97: 2013/12/01(日) 20:30:04.09 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「だから、特別なプレゼントを用意しようとした」

モバP「お爺さんはあなたのことが本当に大切だったのだと思います」

モバP「さて、お父さんとお母さんを呼んでもらってもいいですか?」

智香「いいですけど、アタシ、何がなんだか」

モバP「今からお話します」

モバP「だまし絵に纏わるお話です」

98: 2013/12/01(日) 20:47:11.69 ID:CdvZ/1Nb0

『モウイイ?』

モバP「お疲れ様。こっちにあの人連れてきてくれる?」

『リョウカイ』

モバP「いつも悪いね」

『ベツニイイ コノアト タマチャン タベル』

モバP「タマちゃん?猫か何か?」

『オモラシ』

モバP「…?」

『タマミ タマミ タマミ タマミ ッテ ヨブト タノシイ』

モバP「よく分からないけど、程々に」

『ウィ』


99: 2013/12/01(日) 21:02:02.53 ID:CdvZ/1Nb0

『マグロ イッチョウ』ヨッコラセ

モバP「…どこで覚えた」

『ミクニャン タベタカラ エロカッタ』

モバP「普段何食べてるの?」

『ネコとビビリ』

モバP「…そっか、猫か。うん、どうなんだろうね」

若林母「あのー、これは?」

若林父「…一体どういうことだ?」

智香「あ、アタシが二人!?」

智香「だ、誰ですかアナタ?」

『プギャー』

モバP「…幽霊なのに段々母さんに似てきたね」


102: 2013/12/01(日) 21:48:31.04 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「え、えーと簡単に説明をさせていただきますと、片方が偽物です」

智香「こ、こういう時アタシが本物ですって言えばいいんですか?」

智香「な、なんで体が動かないんですか」

若林父「正直、どちらが本物か」

若林母「わ、私も」

モバP「どちらが本物かを審議する前に、私の本来の仕事である。あの球体万華鏡の鑑定結果からお話させていただきます」

モバP「…人は閉ざされた空間に長い間居ると、精神的に影響を受ける場合があります」

モバP「あの球体の万華鏡は中が鏡張りになっているので、中に座り込んだ場合、何重にも重なった鏡を覗き込むのと同じ結果になります」

モバP「まるで、閻魔大王が保有している浄玻璃の鏡。生前の善悪の行い全てが写される鏡のように」

103: 2013/12/01(日) 21:49:14.90 ID:CdvZ/1Nb0
若林父「正直、あの人の趣味にはついていけなかった。ガラス工場にあんなものを作らせた時は正気を疑ったよ」

モバP「昔から鏡やレンズにご関心があったようで」

若林父「ああ、狂ったように集めていたよ。そんな父を好きになれなかった」

智香「…お父さん」

モバP「しかし、お孫さんが生まれてからは控えていたようですね」

若林父「そこまで調べたのか」

モバP「仕事ですので、ご了承ください」


104: 2013/12/01(日) 21:53:15.62 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「何故、そこまで鏡やレンズ、そして絵画、特にだまし絵に固執されたのでしょうか?」

若林父「本質と言っていた。口癖のように物事の本質が見たいと」

若林父「目に見えているモノは本当に正しいのか、本当にそこにあるのか」

若林父「あの人はいつも疑っていたよ。だまし絵はその一環として集めていた」

モバP「しかし、止めた」

若林父「ああ、智香が生まれてから、一切買わなくなった」

若林父「だが、最後にあの変な球体を作り、そして、病院であの結果だ」


105: 2013/12/01(日) 21:59:02.77 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「ええ、残念なことに。お孫さんへのプレゼントを渡せぬまま」

若林父「悪い冗談は止してくれ、アレがどういうものか、専門家の君なら分かるだろう」


モバP「プラネタリュウム、いえ、ミラーボールですかね」

若林父「は?」

モバP「未完成なんですよ、あの作品は」

モバP「ねえ、そうでしょう?偽物の若林智香さん」

106: 2013/12/01(日) 22:09:40.18 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「…まあ、その話は一旦置いておきましょうか」

モバP「智香さん。もしかして、お爺さんにステージが欲しいとかいいませんでしたか?」

智香「は、はい。もっと応援できるステージがあればなって」

智香「い、言っちゃいましたけど」

モバP「それじゃあ、あの蔵に行きましょうか」

~移動中~

『デ、ドウスル?』

モバP「逃げたら捕まえて」

『タベテイイ?』

モバP「いつも通りで」

『タベル タダシ セイテキ ナ イミデ』

『ミクニャン ニ エロイ ユメ ミセルノ アキタ』

『タマチャン カワイイ』

『Boys be ambitious タダシ セイテキナ イミデ』

モバP「小梅にやったら、消滅ね」

『トモダチ タベナイ』

モバP「君ってさ、幽霊なの、夢喰い獏なの?」

『ハーフ』

モバP「ハーフ!?」



107: 2013/12/01(日) 22:17:17.38 ID:CdvZ/1Nb0

『インマ ジャネイ ケド ショクシュ ダセルヨ』ホラホラ

モバP「…知りたくなかったよ」

『ホカク ジュンビ カンリョウ』

モバP「始めますか」ゴソゴソ

モバP「だまし絵には人、模様、図形、そして、建物が多く描かれています」

モバP「上に上っているように見えるのに一周して同じ場所に戻っている階段とか」

モバP「実際に建築するのは不可能な建物ばかりです」

モバP「ただし、同じように目の錯覚を建築物に応用することは可能です」

モバP「特定の入り口を見え難くする等、古城でも用いられています」

108: 2013/12/01(日) 22:25:28.96 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「そして、この家にも」

若林父「あの人ならやりかねないが、それがどうしたのかね?」

モバP「この球体万華鏡を使うためにそういう構造に改築したのだと思います」

モバP「少し重いんですけど、この球体を動かすと下に電源コードと深めの穴があります」

モバP「ここに照明器具を入れて、電源を入れると」カチッ

智香「…わあっ♪」

蔵の天井は暗く、見え難かったが、天井部分に複数の鏡が設置してあった。

球体万華鏡から映し出された色鮮やかな模様が、数々の鏡に映り込み、

まるで、プラネタリュウムような光景を室内に作り出している。

モバP「ここだけじゃない。恐らく家中に映し出されているはずです」

廊下の天井裏と蔵が繋がっているため、鏡を設置すれば反射で他の部屋にも映像を送ることができる。

109: 2013/12/01(日) 22:41:21.54 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「まだ鏡を設置できていない場所もあったから黙っていたのだと思います」

智香「綺麗」

智香「…」

若林父「…オヤジ」

若林母「確かに蔵の鏡の数は減ったと思っていましたけど」

モバP「さて、二人の智香さん。ここが、いえ、この家があなたの特設ステージです」

モバP「応援してください。あなたのご家族を。それでこの話は終わりです」

智香「はいっ!」

智香「分かりました」


110: 2013/12/01(日) 22:42:04.12 ID:CdvZ/1Nb0
モバP(外見は明らかに同じ、動きもミリ単位の狂いもなく同じ、なのにどちらが本物か明らかに分かる)

若林父「私は分かった」

若林母「私もすぐに分かりました」

智香「フレーッ! フレーッ!」

モバP(滑らかな足の動き)

モバP(飛び散る汗)

モバP(チアリーディングの技術は分かりないけど、)

モバP(一生懸命なのが伝わってくる)

モバP(メッセージ性というよりも、ただ相手のことを想っている)

モバP(それだけは分かる)

モバP(それが頑張れなのか、負けないでなのかは知らないけど)

モバP(相手を想って応援している。その本質は伝わってくる)

111: 2013/12/01(日) 22:46:07.48 ID:CdvZ/1Nb0
モバP(先代は孫が生まれて虚像を追うのを止めた)

モバP(本質を知ることよりも孫に想って貰えることの方が嬉しかったから)

モバP(この面倒な『左目』は人の氏や強い感情を『視る』ことができる)

モバP(ここを最初に『視た』時に見えたのは…)

モバP(一生懸命、孫のために何かを作ろうとしてた老人と)

モバP(背後の姿見から、貞子の如くナニカが現れた光景)

モバP(だまし絵しかり、鏡しかり、本質なんて見えるはずがないのに)

113: 2013/12/01(日) 22:54:04.38 ID:CdvZ/1Nb0
モバP(気づくのが少し遅すぎただけ)

モバP(智香さん。あなたはスゴイ。その仕草で、その声で)

モバP(ただ、頑張ろう。そう思わせてくれるのだから)

モバP(その気持ちは鏡の写った像のように、触れられないけど)

モバP(確かに本物だから)

『イケルヨ』

モバP「応援が終わると同時にお願い」

『アイアイサー』

智香(虚像)「なんで!?なんで同じなのにこんなに違うの!?」

モバP「来世で頑張れ、彼女はきっと君も応援してくれるから」

モバP(カーテンコール)

モバP(これにて閉幕)

114: 2013/12/01(日) 23:03:22.78 ID:CdvZ/1Nb0
モバP「視覚なんて主観的で曖昧ってこと」

凛「ふーん、まあ、悪い話じゃなかったかな」

モバP「その後、鏡は全部回収してうちで保管してる。だから偶に本人が見に来る」

凛「ああ、なるほど」

モバP「若林さんってある意味人をだます天才だよ」

凛「言い方が悪いけどね、確かに理由無く、ただ、見てるだけで頑張ろうって思えるよね」

モバP「佐久間さんの場合は意図的に相手に思わせる感じだけど、若林さんは自然体だからね」

凛「そうだね」

モバP「というわけで、今度は味覚を誤魔化そうと思う」

凛「満足あめ?何それ?」

モバP「妖怪飴くれ対策用。なんと、一つで丸一日飴玉はもう十分と思える」

凛「なんで?」

モバP「虫歯と体系維持」

凛「…智香に応援してもらえば済む話じゃない?」

モバP「ちなみに、事務所に最近来てない原因はソレ」

凛「ん?」

モバP「あのひきこもりはさすがに無理だったらしい。練習がんばるとさ」

凛「…ああ」

115: 2013/12/01(日) 23:06:35.36 ID:CdvZ/1Nb0
凛「あとさ、最近みくとたまちゃん見てないけど?」

モバP「ナニモシラナイヨ」

『イヌリン リンワン ワンワン カワイイ タベタイ』

凛「え、なに今の?」

凛「プロデューサー?どこ行くの?ねえ、なんで手を合わせてるの?」

凛「ねえってばぁ!?」

116: 2013/12/01(日) 23:10:16.94 ID:CdvZ/1Nb0
以上です。お楽しみいただけたでしょうか?

次回は>>23様のリクエストである夢の中で相手に会える枕
登場人物は>>35様のリクエストで塩見周子を予定しております。


なお、夢が題材ですので、今回、独自の設定を追加させていただきました『あの子』による淫夢(笑)を追加するべきか

安価で>>123の方にお願いしたいと思います。

引き続きリクエスト、アイディアを募集してます

136: 2013/12/02(月) 05:22:14.14 ID:FPfn032O0
おっつおっつ。今回も面白かったで。
リョウメンスクナとか尺八様でも何とかなりそうやね。

137: 2013/12/02(月) 16:32:15.34 ID:Q4U2d2gN0
十話までしか続かないのか……ちょっとさびしい感じかな

138: 2013/12/03(火) 06:44:54.53 ID:ezz1omMDO
乙!

水コール(みずこーる)
・お酒味のただの水。でも呑めば酔う
・アルコールじゃないのでアセトアルデヒドにならず、健康被害は無い
・打ち上げや付き合い等の呑みの場で、子供でもお酒気分が味わえる。子供にはジュース割りのリキュールの方が飲みやすいだろう


引用: 渋谷凛『不思議なお店?』