147: 2013/12/08(日) 20:07:21.12 ID:J7GxJrZV0
大変お待たせいたしました。

第三話「夢喰い」

主要登場人物:塩見周子、小梅、高峰のあ、モバP



最初から:渋谷凛『不思議なお店?』
前回:【モバマス】渋谷凛『不思議なお店?』第二話「だまし絵」




『アナタハ ホネ ニナル ユメ ヲ ミタコトガ アリマスカ?』
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(12) アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場 (電撃コミックスEX)
150: 2013/12/08(日) 20:50:03.92 ID:J7GxJrZV0

塩見周子(最近、よく同じ夢を見る)

周子(あ、これ夢だなって分かる感覚。なんていうんだっけ?)

周子(内容は2パターン)

周子(1つは割と在りがちなパターン、部屋で誰かに襲われそうになって、逃げる夢)

周子(それはまだマシな方、正直もう1つは最悪)

周子(あたしの2番目の家族が泣いている夢)

周子(家出して、お金も無くなって、まあ、エOチされてもしょうがないかくらいな気持ち)

周子(寒かったからからかなぁ、柄にもなく、寂しいなぁ、なんて思ってたら……)

周子(お馬鹿な家出娘は、小梅ちゃんとモバPさんにお持ち帰りされましたとさ)


151: 2013/12/08(日) 20:51:06.73 ID:J7GxJrZV0
周子(最高の結果だったけどさ、ちゃんと食べていけるし、両親ともある程度和解できた)

周子(ワガママ言わせてくれるからかな、高峯家の方が本当の家だとなーんか思えるんだよね)

周子(何に使うか分からない道具やらアンティークがたくさんあって)

周子(モバPさんのご飯が美味しくて)

周子(小梅ちゃんとホラー映画観て、たまにのあさんがココア淹れくれて)

周子(あたしが寮に移るまでの二か月間、あのお店は『家』で『家族』だった)

周子(寮に移って寂しいなーんて思ってるのかな?)

152: 2013/12/08(日) 20:53:02.12 ID:J7GxJrZV0
・髑髏を抱えている 小梅ちゃん

・暗い場所で蹲っている モバPさん

・静かに星を眺めて涙を流している のあさん

・首の無いあたしの氏体

周子(なんなのかなー、これ、夢にしては妙にリアル)

周子(小梅ちゃん映画見過ぎて耐性ついてるからあんまり怖くないし)

周子(人肌恋しい時期なのかな?)

周子(来週はあたしの誕生日)

周子(まあ、小梅ちゃんと映画行って、皆でご飯かな)

周子(たぶん、のあさんもモバPさんも何か手作りでくれるし)

周子(小梅ちゃんはまあ、ホラー関係かな?)


153: 2013/12/08(日) 21:16:45.93 ID:J7GxJrZV0

周子(頭蓋骨って、みんな同じなのかな?)

周子(あたし首斬られて氏んでたけど、生首がいきなり頭蓋骨になるなんてことないし)

周子(似た話を小梅ちゃんに聞いたことがあるような)

周子(なんて言ってたっけ?)

周子(確か井中の白骨、釣瓶女とか)

周子(どんなお化けだが、妖怪だか知らないけど、睡眠不足は堪忍しておくれやす)

周子(まあ、元々夜型なんだけどね)


154: 2013/12/08(日) 21:33:35.91 ID:J7GxJrZV0
周子(…さぁてと、現実逃避もこのくらいにして、逃げますか)

周子(なぁーんか、部屋にいるんだよね。小梅ちゃんのお友達じゃないのが)

周子(小梅ちゃんのお友達から匂いなんてしないし)

周子(変質者っぽい)

周子(仮にもアイドルだからね、そういうファンもいるだろうけど)

周子(あたし献血のキャンペーンガールとかぐらいしかまだやってないんだけど)

周子(火災報知器が玄関から3mくらいのところにあるから、それ押して)

周子(管理人室、いや、木場さんの部屋の方が近いかな、そこに逃げると)

周子(足にはそこそこ自身あるけど、飛び道具とか持ってたら終わり)

周子(その時はその時で、小梅ちゃんに頼んでモバPさんに憑かせてもらえばいいか)

155: 2013/12/08(日) 22:22:32.25 ID:J7GxJrZV0
周子(家出幽霊アイドル周子ちゃん♪って、言ってる場合じゃないよね)

周子(せーのっ!)

周子(いる方向に毛布投擲っと)

周子(携帯掴んで、ドア)

周子(火災報知器)

ジリリリリリリリリリリリリリッリ!

周子(んん?誰も部屋から出て来ない)

周子(みんな寝てるかもしれないけど、さすがにこの音で出て来ないって?)

周子(階段の横の防犯ベル)

ビー、ビー、ビー、ビー、ビー

周子(やっぱり誰も居ない)

周子(あたしの部屋から誰も出て来ないし)


156: 2013/12/08(日) 23:22:13.93 ID:J7GxJrZV0

小梅「お、おはようかな…?」スイー

『エイエンニ オルスバンガ オワラナイ』

小梅「だ、大丈夫すぐに帰れるから…」

『ヒャツハー オブツ ハ リョウジョクダー』

周子「小梅ちゃん?」

小梅「う、うん…」

周子「なんで浮いてんの?」

小梅「ゆ、幽霊だから…♪」

周子「駄目だよー、小梅ちゃん。勝手に幽霊になったらモバPさんもお母さんも泣いちゃうよ」

小梅「あ、あの二人なら大丈夫…」

158: 2013/12/08(日) 23:34:13.12 ID:J7GxJrZV0

周子「…うん、そうかも」

周子(なんか普通に生き返る方法とか知ってそうだしね)

周子(川島さんとかアンチエイジング聞きたがっていたっけ)

周子「でさ、ここあたしの夢でいいのかな?」

小梅「ちょっと違う…」

『イジメカ シカト スルナヨ モリクボ タベルゾ』

小梅「も、森久保さんは食べちゃ駄目…」

『デモ シュウコ カゾク タベレナイ ハラヘッタ』

周子「いやー、初めて見るけど、隣にいるのが『あの子』でいいのかな?」

『ヨッ モバPノ ヨメ』

周子「そっ、あたしが未来の小梅ちゃんのお姉さんですよーっ」

小梅「う、嬉しい…」

『コウメ ガ ホシケレバ ワタシニ カッテミナ』

周子(あの子っていうくらいだから、女の子かと思っていたけど)

周子(ムキムキの黒人なんだ。凄いシュール)


162: 2013/12/09(月) 00:04:02.78 ID:rE1E4oLJ0
小梅「ゆ、夢だけど、夢じゃなくて深層心理…」

『ムイシキ トカ センザイイシキトカ』

小梅「お、お守りちゃんと持っててくれたから…」

周子「これ?いつも持ってるよ」

周子(家族にしか渡してないってモバPさんがくれたお守りだしね)

小梅「そ、それ、誰かが危なくなったらすぐに分かる…」

周子「へえー」

周子「で、あたしどうなってるのかな?」

周子「夢にしてはリアルだし、感覚もちゃんとある」

周子「でも、小梅ちゃんが空飛んでるし」

小梅「わ、私は元々飛べるよ?」

周子「小梅ちゃんって幽霊じゃなくて、天使?」

163: 2013/12/09(月) 00:16:41.53 ID:rE1E4oLJ0
小梅「わ、私は幽霊、氏霊でもいいけど…」

『チナミニ ワタシハ イキリョウ』

小梅「あ、あの誰か知りませんけど…」

小梅「わ、私の家族に酷いことしないでください…」

周子「おーい、小梅ちゃん?」

小梅「し、深層意識を獲られちゃうと、に、人形になっちゃう…」

周子(つまり、愛玩人形にされかけてたってこと?)

『ソウイウコト』

周子(のあさんが言ってたっけ?小梅ちゃんが高峯家で一番強いって)

小梅「だ、だから帰ってください…」

ギィィィィィィ

パタン パタン パタン

ガチャ ガチャ ガチャ ガチャ

『コウショウ ケツレツ ダナ』


164: 2013/12/09(月) 00:31:45.64 ID:rE1E4oLJ0

周子「あのさぁ、さすがにコレはないでしょ。せめて、ゾンビとか、幽霊とかにしてよ」

小梅「あ、ある意味怖い…」

『ヤベェ ヤベエヨ』

小梅「お、お兄ちゃんだったら負けてた…」

周子「アイドルの皆が部屋から出てくるとかならまだ分かるけど」

周子「200人弱のちひろさんとかもう笑うしかないよ」

『ムゲン ノ カキン。ヤベエ マジデヤベエ』

166: 2013/12/09(月) 00:50:11.28 ID:rE1E4oLJ0
小梅「わ、悪い夢見せてあげる…」

『ヨッシャァ』

小梅「み、皆で遊ぼう…」

小梅「だ、大丈夫、た、たくさんいるから…」

小梅「さ、寂しがり屋さんが多いから…」

小梅「た、たくさんギュッとしてあげてね…」

小梅『ワ、ワタシト アソボウ…?』

周子(え、えーと、確か小梅ちゃんの能力?って確か)

周子(幽霊とお友達になることだっけ?)

『ソウダヨ』

周子(それで200人のちひろさんに勝てるの?)

『ヨユウ』

周子(なんかスタドリ飲んでドーピングしてるけど?)

『ダイジョウブダ モンダイナイ タブン』

167: 2013/12/09(月) 01:24:19.29 ID:rE1E4oLJ0

小梅「…♪…♪…♪」

周子(小梅ちゃんが歌うにつれて幽霊の数がどんどん増えて)

周子(たくさんのちひろさんを取り囲んでいく)

小梅「I am crawling in the dark♪ looking for the meaning of my life♪」

小梅「Please tell me why I was born♪ the reason for my sorrow♪」

小梅「life full of pain but life I am forced to live」

小梅「hoping to find somewhere I belong」

小梅「I started walking. To find somewhere I belong」

小梅「And finally realized that I belong where you belong」

周子(小梅ちゃんが歌っているのはモバPさんが好きな歌)

周子(曲名は覚えていないけど)

周子(なんのために生きているのか、働いているのか分からなくなってしまった人の歌)

周子(寂しくて、辛くて、青い鳥を求めて旅に出て)

周子(それで、結局、好きになった人がいる場所が一番落ち着くって気が付いた)

周子(家出娘のあたしに似ているってモバPさんが言っていた唄)

168: 2013/12/09(月) 01:37:03.52 ID:rE1E4oLJ0

小梅「I never knew how to love」

小梅「I was afraid」

小梅「that one day, I will be forgotten by everyone around me」

小梅「That you will not remember my voice」

小梅「That you will forget my face」

小梅「That you will not see that what is left of me stand by you」

小梅「So pleases…」

周子(愛が解りません。愛することができません)

周子(忘れられることが怖いです。声が、顔が忘れられることが怖いです)

周子(あたしの残ったものがあなたの隣にいるのに、気付いて貰えないのが怖いです)

周子(……ねえ、小梅ちゃん?その歌詞の続きなんだっけ?)

周子(あたしがアイドルになる前に、二人で歌ったその続き)

小梅「だ、大丈夫。大丈夫だから…」

小梅「い、一緒だから…」

小梅「だ、だから、歌ってきて周子……お姉ちゃん」

周子(そこであたしの意識は堕ちた)

周子(プツンって電気が切れるみたいに)

周子(ああ、思い出した。あの歌はのあさんが、なんであたしに家出したのか聞いて来た時に勧められた)

周子(…確か終わりは)




178: 2013/12/15(日) 05:13:32.17 ID:cXHOGj3Z0

~回想~

周子「モバPさんってさ、怖いモノある?」

モバP「…いきなりどうした?」

周子「だってさ、小梅ちゃんとホラー見ても全然表情変わらないじゃん」

モバP「周子だって同じだろ?」

周子「初めから作り話って分かってるからね、本物も身近にいるし」

モバP「こっちも同じだよ。ぶっ飛んだ性格のが、一人?いるからなぁ」

周子「それは、それとして、モバPさんの怖いモノって何?」

モバP「……笑わないか?」

周子「絶対笑わない。あたしの怖いモノ教えるからさ」

モバP「小梅って、結構ドッキリとか好きなのは知ってるよな?」

周子「うん」

モバP「一回さ、朝起きた時、真っ白な顔をした小梅と母さんが無表情で」




「「アナタ誰?」」




モバP「って、詰め寄ってくるドッキリをされたことがある」

周子「怖っ!」


179: 2013/12/15(日) 05:14:33.95 ID:cXHOGj3Z0

モバP「された時よりも、終わってからの方が怖かった。本当に忘れられてないか不安でさ」

周子「あー、なるほど」

モバP「たまに夢に見るよ。あの時は本気で怒ったかな」

周子「へー、あたしも似たような感じかな」

モバP「…なんとなく想像できる」

周子「正解したらご褒美をあげる♪」


~回想終了~


周子(で、見事正解だったわけなんだけどさ)


180: 2013/12/15(日) 05:16:00.28 ID:cXHOGj3Z0


周子(小梅ちゃんいないし、今度は清水寺か。確かに地元だけどさ)

周子「I am crawling in the dark♪ looking for the meaning of my life♪」

周子「Please tell me why I was born♪ the reason for my sorrow♪」

周子「life full of pain but life I am forced to live♪…なーんてね」

周子「やっぱり小梅ちゃんの方がうまいんだよねぇ」

周子(あたしってそこまでアイドルとしての才能あるわけじゃないし)

周子(12日が誕生日だって覚えててくれた人も何人いるんだろ?)

周子(ダメダメ、こんなのあたしのキャラじゃない)

周子(観光地だし、人が多いのは分かるけど)

周子(なんで全員顔にモザイクがかかってるの?)


181: 2013/12/15(日) 05:18:12.01 ID:cXHOGj3Z0


周子(みーんなモザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク、モザイク。顔の無いのっぺらぼう)


周子(今、あたしの顔ってどうなってるの?)

周子(まさか、モザイクとかじゃないよね)

周子(あたしの怖いこと、それは偶にあたしが誰だか分からなくなること)

周子(たまに、ほんの一瞬だけ無性に人恋しくなること)

周子(その瞬間が嫌い)

周子(夜、目が覚めて誰もいないあの感覚が嫌い)


182: 2013/12/15(日) 05:26:25.97 ID:cXHOGj3Z0

周子(飄々としていて、実は寂しがり屋の周子ちゃんでしたとさ)

周子(あたしの夢だけどさ、はやく起きたい)

周子(起きてココア飲みたい。甘ったるいの)

周子(んで、小梅ちゃんギュッとして)

周子(のあさんと通じているのか通じてないのか分からない会話して)

周子(モバPさんを適当にからかって)

周子(そんなもんかな、あたしのしたいこと)

周子(あと、偶に誰かと遊びに行って)

周子(きっと、そんな感じ)

周子(うん、そんな感じ)


「本当にそれだけ?」


周子(まだあるのはあるけどさぁ)




183: 2013/12/15(日) 05:34:53.12 ID:cXHOGj3Z0

周子(それって、あたしの自己中心的な願望なんだよね)

周子(高峯家の皆と本当の家族になりたいなぁ、なーんて)

「そう?少なくとも三人とも本当の家族として接しているようだけど?」

周子(うーん、そうなんだけどさ、やっぱりそれだけじゃ物足りないというか)

「意外と欲深いのね」

周子(かもね)

「それで、具体的にどうしたいの?」

周子(一番確実なのはモバPさんと結婚して、高峯周子になること)

「そうね」

周子(モバPさんのことは好きだけど、もう、たぶん異性に対する感情じゃない)

周子(純粋に家族って感じ)

「でも、あなたは結婚願望がある」

周子(そっ、証じゃないけど、あればいいなって)


184: 2013/12/15(日) 05:42:44.47 ID:cXHOGj3Z0

「結婚して、同じ姓になって、子供が欲しい?」

周子(うーん、子供まではまだ考えてないかな)

周子(ただ、まあ、モバPさんがあたしを抱きたいなら、別に嫌だとは言わない)

周子(たぶん、普通にOKすると思う)

「それは恋愛感情があるから?」

周子(どうだろうね。この人が相手なら不幸にはならないと思えるし、安心できるから、暖かいし)

「そう、あなたは安らげる場所が欲しいのね」

周子(甘えたいのかも)

「ふふ、いいと思うわ」

周子(変かな?)

「誰もが持つ感情ではあるわね」

周子(そっか。で、のあさんはいつまでモザイクかけてるの?)

高峯のあ「あら、気が付いてたの?」

周子「割とすぐに」


185: 2013/12/15(日) 05:49:00.24 ID:cXHOGj3Z0
のあ「家族だから?」

周子「家族だから」

のあ「そうね、そのことを忘れずにね」

周子「はいはいっと」

のあ「焦る。あなたらしくない行動ね」

周子「焦ってた?」

のあ「ええ、私が見る限り」

のあ「概ね、あの子が異性に好意を向けられるのを見て、居場所がなくなると無意識に思っていたのね」

周子「んー、微妙だけど、そうかも」


186: 2013/12/15(日) 05:57:51.29 ID:cXHOGj3Z0

のあ「ところで、あなたはMからしら、それともSかしら?」

周子「はい?」

のあ「シチュエーションの問題よ」

周子「え、えーと」

のあ「私はここで用事があるから、あなたをモバPのところに飛ばすわ」

のあ「夢だから、多少の融通が効く」

のあ「あなたはSかM、どちらがお好み?」

周子「……融通ってどのくらい?」

のあ「ほぼ制限は無いわね」

周子「じゃあ、いつも通りで」

のあ「そう、あなたならそう言うと思ったわ」

のあ「行ってらっしゃい」

周子「行ってきます」


187: 2013/12/15(日) 06:08:46.97 ID:cXHOGj3Z0

のあ「さて、そこにいるのでしょう?」



のあ「千川ちひろ」



ちひろ「あらぁ、バレちゃいましたか」

のあ「久しぶりね」

ちひろ「ええ、お久しぶりです」

のあ「相変わらずね」

ちひろ「そちらもお変わりなく」

のあ「私が昔作った『夢喰い』他人の夢に入り込むしか機能がなかったはず」

ちひろ「ええ、ちょっとだけ弄ってみました」

のあ「そう、私の管理不足ね」

ちひろ「そうですね」

のあ「何が目的か、特に興味はないわ」

ちひろ「ただの実験ですよ。すぐに出るつもりでした。まさか、小梅ちゃんがあそこまで強いとは思わなかったですけど」

のあ「数の暴力には勝てない」

ちひろ「ええ、今回のでよく分かりましたよ」

ちひろ「とりあえず、引き上げるんで、また今度お話ししましょう。高峯先輩」

のあ「そうね」


188: 2013/12/15(日) 06:10:53.02 ID:cXHOGj3Z0





のあ「などと言うと思った?」





189: 2013/12/15(日) 06:19:47.85 ID:cXHOGj3Z0

のあ「暗い夜に一つだけ瞬いている星は美しい」

のあ「でも、複数固まってお互いを照らしあっている姿の方が好ましい」

のあ「あなたはそれを汚そうとした」

のあ「それ相応の対価を払ってもらうわ」

ちひろ「…怖いですねぇ」

のあ「星が流れるのを見せてあげる」

のあ「作品名『箱舟』」

ちひろ「あーあ、これはキツイですね」

ちひろ(空飛ぶ戦艦ですか。中々ロマンチック)

ちひろ(さすがにアレに打たれたら、洒落になりませんね)

のあ「発射」

ちひろ「容赦ないですね!」

ちひろ(まあ、しばらく自重しますか。また、別の儲け口もありますし)

のあ「……逃げられた。私もまだ足りないということ」


190: 2013/12/15(日) 06:35:10.47 ID:cXHOGj3Z0
のあ「まあ、これであの子に手を出す輩には警告になった」

のあ「未来の娘候補を甘やかすくらい許されること」

のあ「多少のいたずらは許されるもの」ニヤリ

『ソウダネ』

のあ「そっちの準備は?」

『オワッタ コウメ マチ』

のあ「そうお疲れ様」

『チョット ミク タベテクル』

のあ「時間までには戻って来なさい」

『ハイハイ』

のあ「居場所は作るものなのに」

のあ「人はどうしても探し求めてしまう」


191: 2013/12/15(日) 06:48:24.44 ID:cXHOGj3Z0
のあ「いつになったらあの子は気が付くのかしら?」

のあ「もう既にできていることに」



周子(お、出現先がモバPさんの膝の上とは、のあさん分かってるぅ)シュンッ

モバP「思ったより早かったな」ヨッコラセ

周子「そうなんだ。あたしは時間の感覚とか無いけど」

モバP「夢だからそれもそうか」

周子「夢だしね」

モバP「……夢なんだけどさ。プライバシーに考慮して何も触ってないぞ」

周子「別にいいけどね」

周子(実家のあたしの部屋。確かにあたしの居場所かもね)

モバP「意外と物が少ないんだな」

周子「小梅ちゃんの部屋と比べるとそうかも」

192: 2013/12/15(日) 06:59:07.81 ID:cXHOGj3Z0
モバP「それで、どうしたい?そこにあるしダーツでもするか?」

周子「んー、別にいいや」

周子「夢の中でなんても言うこと聞いてくれるとか、そんな感じでしょ?」

モバP「誕生日。ちゃんと祝えなかったからな」

周子「気持ちで十分」

周子「と、言いたいとこだけど」

モバP「…できる範囲で頼む」

周子「どちらかというと小梅ちゃんにお願いしたいんだよね♪」

モバP「それは本人に直接言ってくれ」

周子「そうする。それで、モバPさんは何してくれるのかな?夢じゃなくて現実で」

モバP「部屋新築した」

周子「ん?」

モバP「周子の部屋をうちに新築した。すまん、工事の関係で12日は間に合わなかった」

周子「え?」


193: 2013/12/15(日) 07:15:41.17 ID:cXHOGj3Z0

モバP「覚えてるか知らないけど、周子と前にお互いに怖いものの、話をしたことがあるんだ」

モバP「たまにどうしようもなく人恋しくなって誰でもいいから傍にいて欲しくなる瞬間」

モバP「そう、教えてくれたの覚えてるか?」

周子「……うん」

モバP「だから、物理的に作ってみた。京都の実家以外で周子が帰ってきていい場所」

周子(ヤバイ。今、あたし絶対変な顔してる)

モバP「基本的に店番で誰かいるしな」

モバP「遅くなったけど、改めて、誕生日おめでとう」

周子「プレゼントは部屋?」

モバP「いいや、小梅にお姉ちゃんと呼んでもらう権利」

周子(あたしが小梅ちゃんにお願いしたいことバレちゃってたか。でも、甘いよ)

周子「ふーん、それってプロポーズだよね?」

モバP「……はい?」

周子「小梅ちゃんのお姉ちゃんで、同棲してほしいってことはそういうこと」

モバP「…アレ、もしかして母さんに嵌められた?」

周子「娘想いの母親でよかったどす」


194: 2013/12/15(日) 07:26:07.92 ID:cXHOGj3Z0
モバP「え、えーとだな」

周子「……」ギュッ

モバP「OK。落ち着こうか」

周子「よろしくね、これからも家族として」

モバP「…ああ、これからもよろしく」

周子(今回はこのくらいでいいかな。あたしだけアドバンテージが多すぎるし)

周子(このまま強引に家族になることもできるけど、まゆとかに刺されたくないし)

周子(人間関係も変わるものだし、そのうち気が向いたらモバPさんと結婚すればいいや)

周子(そんな、お気楽家出娘の未来のお話)

周子「ありがとね、モバPさん」

周子(あの歌の歌詞みたいになるのかは分からないけど、それなりに頑張って生きてみようとは思う)

周子(骨になる前に、いっぱい思い出を刻みこみたいから)


周子「This is where I belongって今度歌ってみようかな」



195: 2013/12/15(日) 07:27:02.64 ID:cXHOGj3Z0
以上で、第三話『夢喰い』は終了になります。

更新が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。


196: 2013/12/15(日) 07:32:40.25 ID:cXHOGj3Z0
塩見周子というキャラクターがつかめず、第三話『夢喰い』はプロットを考えている段階では一番内容に迷いました。

皆様の中のイメージと合わない部分も多々ありましたと思われますが、何卒ご了承ください。

次回は第四話『枯れる』です。主要登場人物は北条加蓮と佐久間まゆになります。

かなり愛情が重たい話になる予定ですので、そのような内容が苦手な場合は読み飛ばしていただけると幸いです。


商品のアイディアについては、現時点では
>>139様のプリティーコステッキ を第七話の『血縁』で採用させていただきと思います。

197: 2013/12/15(日) 07:40:54.13 ID:Rg4QyGMAO
おつ

周子って掴みづらいよね