791: 2015/04/19(日) 00:23:21.33 ID:PSdta0sO0


最初から:【艦これ】提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」

前回:【艦これ】提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」第六話


俺は陸軍将校の大倉井(おおぐらいだ)

今日は久しぶりの休日。

生きがいでもある大食いを楽しむ為にこの街に来た。

入ったのはラーメン店。

最近オープンしたばかりにも関わらず、

絶品と評価がうなぎ登りの店だ。

『特盛ラーメン5杯全部食べきったら無料!賞金5万円』

※残した場合はお品代を頂きます(時価)

今回はコレを挑戦しよう。

大食いこそ・・・我が生きがい・・・

こんな時代だからこそ、平和を守る軍の仕事に誇りはある。

だが、軍に入らなければ、フードファイターとして生きていただろう。

大倉井「店主、コイツに挑戦したいのだが・・・」

店主「・・・ほう?」

強面の店主の目がギラリと光る。

店主「いいのかい? コイツは・・・バケモノだぜ?」

大倉井「・・・望む所だ」

常連達『おい・・・アレ』『ああ、久しぶりの挑戦者だ』

店内がざわめく。・・・この感じが心地良い。

皆が俺に注目している。
艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 艦娘型録 (カドカワデジタルコミックス)
792: 2015/04/19(日) 00:24:05.87 ID:PSdta0sO0
また伝説を生んでしまうのか。

ふふふ・・・悪くない。

その時だった・・・

???「すいません、これを頂けますか?」

店主「え? お嬢ちゃんも?」

???「はい。お願いします」

店主「辞めて置いた方がいい・・・女の子が食べられる量じゃない」

???「無理でしたら御代は払いますよ」

店主「・・・後悔しても知らんぞ」

常連『まじかよ・・・』『あんな娘が?』

・・・なんだあの少女は?

俺に集まっていた注目を・・・大食いを舐めているのか?

しかし、彼女の外見はどこかで見たような・・・

どうせテレビか何かだろう。

大倉井「お嬢ちゃん、辞めておきな」

???「はい?」

大倉井「アンタには荷が重過ぎる」

???「いえ、おかまいなく」

すかした顔しやがって・・・

793: 2015/04/19(日) 00:24:37.45 ID:PSdta0sO0
まぁいい、すぐに俺に注目が集まる。

常連達『やべぇ・・・対決だ』『大食い対決だ!』

暫くすると店主が品を持ってきた。

店主「お待たせしました」コトッ コトッ

バケツや洗面器のような巨大な器がそこにはあった。

量が多いのは麺とスープだけではない。

具もチャーシューと野菜がこれでもかと言うくらいの大量山盛り。

まるで、そびえ立つ山。食の大山がそこにはあった。

店主「おあがりよっ!」

???「うわぁ・・・これ全部食べていいんですか!?」

少女は目をキラキラさせて喜んでいる。

???「いただきますっ!」

とてもこんな娘が食べきれる量ではない。

戦う前から勝敗が付いているようなものだが関係ない。

どんな相手でも全力で挑む。

大倉井「・・・ズルズル」

一気に食い始める。

旨い。旨すぎる。

そう、まるで風が語りかけてくるようだ・・・


794: 2015/04/19(日) 00:25:14.50 ID:PSdta0sO0
量も一級なら、味も超一級だった。

だが、今はそんなことはどうでもいい。

どんどん胃に流し込む。

常連『すげぇっ!!もう1杯目を完食したぞ!?』

ふふふ・・・そうだ・・・もっと注目しろ。

今日、この店の歴史に俺の名前が残るのだ。

ふと少女の方を見る。

???「・・・チュルチュル」

大倉井(・・・暢気なもんだ)

そんな亀みたいなペースじゃ勝てないぜ?

???「これは・・・」

???「醤油の味がしっかり出ています」

???「魚介ベースでしょうか?・・・美味しい」

???「油も癖がなく、さっぱりしているのも食べやすいです」

???「高い次元で食材がまとまっていますね・・・」

???「先ほどから手が止まりませんよ」

???「店主さん、この麺は自家製ですか?」

店主「ああ、そうだが・・・」

???「とても美味しいです」

795: 2015/04/19(日) 00:25:51.70 ID:PSdta0sO0
???「良い太さです。麺とスープがよく馴染む・・・」

???「ここまで調整して合わせるには苦労されたのでは?」

店主「ここまで来るのに10年掛かったよ。今年からようやく自分の店を持てたんだ」

大倉井(ケッ 話してる余裕なんてあるのかよ?)

常連『すげぇ・・・もう3杯目だ!!』『なんて速度・・・』

???「私の方も次を頂けますか?」

店主「ああ、どうぞ」コトッ

それから黙々と食べ続け・・・

4杯目半ばに差し掛かった頃である。

大倉井(クソっ! なんてラーメンだ・・・)

ペースが落ちてきた。

食べても食べても減りやしない。

今まで、ここまでの怪物に会ったことはない。

腹は既に満腹。もう限界と体が悲鳴をあげる。

横を見ると、少女は3杯目を平らげて4杯目を貰っていた。

不味い・・・このままでは・・・負けるっ!!

無理やり口に詰め込む。熱い。苦しい。

だが・・・これが戦いだ。フードバトルだ。

この苦しみの果てに栄光がある。


796: 2015/04/19(日) 00:26:30.67 ID:PSdta0sO0
負けるか・・・負けるか・・・

???「店主、5杯目を頂けますか?」

なん・・・だと・・・・?

あの小娘・・・俺より先に・・・!!

クソっ!! クソっ!!! クソっ!!!!

無理やり口に詰め込む。今だけは耐えろ。俺の体。

こんな小娘に負けては・・・プライドがズタズタだ・・・

大倉井(ダメだ・・・もう・・・・ウプッ・・・)

意識が朦朧としてきた。

店主「驚いたよお嬢ちゃん。まさか全部平らげちまうとは・・・」

常連達『おおおおっ!!!』パチパチッ

大倉井「な・・・に・・・?」

何時の間に!?

負けた!? 俺が!? こんな小娘に!?

せめて完食しなければ恥だ・・・後少し・・・うっ

大倉井「うぉぉぉぉぉっ!!!」

常連「あれはっ!!?」

常連2「知っているのか!?」

常連「ああ、あれこそは二箸流!!」

常連2「何!? あの2つの箸を自在に操るあの技か!?」

普段は封印している技を開放し、4杯目を食べ終える。

797: 2015/04/19(日) 00:27:04.40 ID:PSdta0sO0
大倉井「店主、最後の・・・5杯目を・・・・」

明らかに無理だ。店主も困った顔をしている。

だが・・・引くわけには・・・・

その時、少女が声を掛けてきた。

???「やめた方がいいですよ」

???「いえ、やめてください」

大倉井「何? お前に言われる筋合いは・・・」

???「その状態じゃ食べきるなんて無理でしょう」

大倉井「・・・やって見なければ分からんっ!!邪魔をするな!!」

???「食べれもしないのに食材を無駄にする気ですか?」

???「それは食への冒涜です!!」

大倉井「・・・なんだとぉ!?」

この俺が? 食べることが生きがいの俺が?

食を冒涜するだと!? 舐めたことを・・・・っ!!

???「食事とは、それを作った人、食材になった命・・・」

???「それに感謝することを忘れてはいけません」

???「あなた、言いましたか?」

大倉井「何をだ・・・」

???「いただきますってですよ」

大倉井「・・・・!!!」

???「それにちゃんと味わってます?」

頭を殴られたような衝撃を受けた。

798: 2015/04/19(日) 00:27:32.68 ID:PSdta0sO0
過去に師匠に言われたことを思い出した。

大倉井「何故です!師匠!!何故・・・」

師匠「・・・・・・」

大倉井「何故、私に奥義を授けて下さらぬのですか!」

師匠「分からんか?」

大倉井「私は常に戦い、勝利してきました!」

大倉井「私に何が足らないと言うのですか!?」

大倉井「どうか、仰ってください、お願いします」

師匠「・・・奥義など、そもそもないのだ」

師匠「食すことはどういうことか・・・」

師匠「それを知った時、お前に足りない物が見えるであろう」

師匠「それこそがお前が求める奥義なのかもしれん」

大倉井「待ってください!師匠!!師匠ぉぉぉぉーーーー!!!!」

そうだ・・・食事とは本来・・・・

作ってくれた人に感謝し、味わい、それを楽しむもの・・・

そんな一番大事なことを忘れて居たなんて・・・

師匠が言いたかったことがようやく分かった気がした。

師匠、俺は負けましたよ。

こんな小娘に完全に負けてしまいました。


799: 2015/04/19(日) 00:28:04.41 ID:PSdta0sO0
大倉井「・・・店主、俺の負けだ」

その宣言の後、

店内は勝負を見守っていた客達の歓声で包まれた。

負けたが、大切なモノを取り戻せた気がする。

心は穏やかで、とても気持ちが良かった。

???「店主、別途で特製とんこつチャーシュー餃子セットください」

全員『まだ食うのかよ・・・・』

???「ふぅ・・・美味しかった」

???「店主さん、お会計お願いします」

店主「いや、いらん」

???「え? でも最後のは御代が出るのでは?」

店主「良いモノを見せてもらった・・・」

店主「作る側としては嬉しいものだよ」

店主「味わって美味しいって食べてもらうのはね」

店主「私も大切なことを再認識させられたよ」

???「・・・すいません。賞金まで頂いてしまって」

店主「最後に・・・アンタ、名前は?」

赤城「・・・赤城」

店主「え・・・? まさか・・・舞鶴の?」

赤城「そうですけど・・・?」

店主「貴女様が『舞鶴の聖食神・赤城』・・・?」


800: 2015/04/19(日) 00:28:48.70 ID:PSdta0sO0
赤城「恥ずかしながら一部で、そう呼ばれてますね」

店主「あのっ!! お願いします!!サインをください!!」

店主「あなたのサインがある店は繁盛すると噂がっ!!」

赤城「ええ、それは構いませんが・・・」

店主「ありがとうございますっ!! ありがとうございますっ!!」

常連「まさか・・・あのお方が・・・・」

常連2「知ってるのか!?」

常連「聞いたことがある・・・」

常連「ごく稀に出現する伝説のフードファイターの噂を・・・」

常連「まさか・・・直に見ることが出来るとは・・・」

常連3「惚れそうになるくらい美人だなぁ」

常連「なんでも結婚していて人妻だそうだ」

常連2「旦那も苦労しそうだなぁ」

赤城「ではご馳走様でした」

ガチャ・・・バタン

大倉井(舞鶴・・・?)

大倉井(まさか・・・)

大倉井「店主、金はここに置いておくぞ!」

店主「はい、毎度」

赤城(そろそろ鎮守府に戻らないと・・・)

大倉井「待ってくれ!!」

赤城「はい?」

801: 2015/04/19(日) 00:29:16.85 ID:PSdta0sO0
喫茶店

赤城「頂きます」

大倉井「よく食べますね」

大倉井「まずは、知らなかったとはいえ、数々の無礼をお許しください」

赤城「ご馳走して貰ってあれなんですが・・・」

赤城「ナンパだったりします?」

赤城「私には夫(提督)が居るので・・・」

大倉井「いや、そうじゃありません」

大倉井「それに私は既婚者です」

大倉井「妻も子も犬も猫もいる」

赤城「では・・・?」

大倉井「貴女が艦娘であることに気付き、舞鶴所属だからです」

赤城「はい、そうですけど・・・それが?」

大倉井「提督殿はお元気ですか?」

赤城「ウチの提督をご存知で? 失礼ですが・・・」

大倉井「すいません、名乗るのが遅くなりました」

大倉井「私は、陸軍将校の大倉井と申します」

赤城「陸軍の方ですか?」

大倉井「以前、物資輸送の任に付いていました所・・・」

大倉井「海上で深海棲艦に襲われましてね・・・」


802: 2015/04/19(日) 00:29:49.97 ID:PSdta0sO0
大倉井「陸と海は・・・その・・・仲が悪いですから・・・」

大倉井「上層部は海に助けを要請するのを渋ったんです」

大倉井「現場では多くの者が氏ぬ瀬戸際だと言うのに・・・」

大倉井「そのような事情もあり・・・」

大倉井「海の方も初動が遅れていたと聞きます」

大倉井「そんな時、あなた方の提督が指揮する艦隊に助けられたのです」

大倉井「確か・・・長門。彼女だったかと」

大倉井「我々に飛び火するのに気を使ってくれたのか・・・」

大倉井「彼女は火器を使わず素手で深海棲艦を・・・」

大倉井「大きなハンデを追ったにも関わらず敵を殲滅・・・」

赤城(ああ、確か長門さんが格闘マンガにハマってた時期があったような・・・)

大倉井「普段、海を快く思ってなかった我々も思わず歓声をあげてしまうくらいでした」

大倉井「助けられた後、提督殿と話をする機会があったので聞いたのです」

大倉井「何故、独断専行してまで我々を助けたのかと・・・」

大倉井「なんて答えたと思います?」

赤城「夫はなんと・・・?」

大倉井「『同じ人間同士、それも同じ国の人間を助けるのに理由はいりますか?』と」

大倉井「普段、海だ陸だと悪口を言ってた自分が酷く矮小に感じました」

803: 2015/04/19(日) 00:30:52.11 ID:PSdta0sO0
大倉井「貴女の提督が決断してくださらなければ、私も含め・・・」

大倉井「多くの者は生きていなかったでしょう」

大倉井「陸のあきつ丸、まるゆは戦闘にはあまり向きませんし」

大倉井「ちょうど、娘が生まれた時期でした」

大倉井「提督殿にはいくら感謝してもしきれません・・・」

大倉井「何度か個人的にお礼を言いたいと申し出たのですが・・・」

大倉井「当然のことをしただけだから良い、気にしないで欲しいと」

大倉井「中々、お礼を言う機会を頂けませんでした」

赤城「・・・そうだったんですか」

大倉井「是非、提督にお伝えください」

大倉井「あの時、助けられたものは皆、貴方に感謝していると」

大倉井「同じ日本人として誇りに思うと・・・」

大倉井「もし、何か困ったことがあればここに連絡をください」スッ

赤城「これは・・・?」

大倉井「私の連絡先です」

大倉井「もし提督殿に何かあった場合、その時は全力でお助けさせて欲しいと」

大倉井「伝えて欲しいのです」

大倉井「一度は無くした筈の命・・・提督殿の為なら・・・」

大倉井「大げさではありますが、あの当時助かった者は皆、そう申しております」

804: 2015/04/19(日) 00:31:34.71 ID:PSdta0sO0
大倉井「上がプライドの為に見捨てようとした我々に手を差し伸べてくれたのは・・・」

大倉井「陸ではなく、海の提督殿なのですから・・・」

大倉井「どうか、よろしくお伝えください」

赤城「分かりました。夫にはそう伝えます」

大倉井(しかし、提督殿は赤城さんと結婚していたのか)

大倉井(祝いの品でも送るべきだったか)

大倉井(あの人のことだ、まるゆ、あきつ丸も大事にしてくれているだろうな)

赤城「では、私は新幹線の時間がありますのでこれで・・・」

そうして赤城は大倉井と別れて帰路についた。

赤城(思わぬ収穫がありましたね・・・)ピッ

赤城「もしもし?」

青葉『赤城さん?どうでした?』

赤城「ええ・・・政府高官の実住所は全て間違いないみたいです」

赤城「調べるには骨が折れましたけどね」

赤城「家族構成のデータも予定通りに・・・」

青葉『ありがとうございます』

赤城「出来れば・・・使う日が来て欲しくはないわね」

805: 2015/04/19(日) 00:32:30.78 ID:PSdta0sO0
青葉『そうですね・・・でも・・・』

青葉『悪意から司令官と我々を守るには・・・』

青葉『保険は多い方がいいです』

赤城「カードは一枚でも多く・・・ね」

青葉『川内さん、加賀さんも成功したようです』

赤城「通信施設でしたか・・・侵入に成功しましたか」

青葉『ええ、外部から操作出来るように・・・細工を・・・』

赤城「では、2人と合流して鎮守府に戻りますね」

赤城「夫・・・提督はどうです?」

青葉『・・・今なんかイラっとすること言い掛けませんでした?』

赤城「・・・気のせいよ?」

青葉『青葉の司令官でしたら、今日の夕方くらいには戻るんじゃないですかね』

赤城「それと思わぬ収穫が。陸にパイプが出来るかもしれません」

青葉『え? 本当ですか!?』

青葉『手間が少し省けましたねぇ』

赤城「詳しくは帰還後に」

青葉『この回線でしたら盗聴の危険性はないはずですが・・・』

青葉『そうですね、帰還後に話しましょう』

赤城「では・・・」

青葉『ついでにお土産買ってきてくださいね?』ピッ プー プー

赤城「さて・・・皆さんと合流して帰りましょう」

赤城「駅弁何個食べようかしら・・・」

赤城、加賀、川内の3人は合流し、提督より早く鎮守府への帰路についた。

806: 2015/04/19(日) 00:33:22.02 ID:PSdta0sO0
一方・・・鎮守府では・・・

執務室の前に長蛇の列が出来ていた。

金剛「提督ぅ・・・早く帰ってくるデース」

大淀「提督代理、こちらの書類にサインを・・・」

金剛「オーケー・・・ってなんですかコレは!!」

大淀「今週の任務ですが何か?」

金剛「解体任務が150隻とかダメに決まってるでショ!!?」

大淀「・・・チッ」

金剛「・・・まずは貴女から解体してあげましょうか?」ハイライトオフ

大淀「・・・・・・」ハイライトオフ

霧島「落ち着いてくださいお姉さま」

金剛「・・・分かってマス」

霧島「所で私のメガネを知りませんか?」

不知火「額にかかってますよ」

黒潮「・・・めがね~めがね~って奴やな」

金剛「霧島も落ち着くデース!!」

浜風「あの・・・もう少し詰めてもらえません?」

陽炎「無理言わないでよ。そもそも3人掛けのソファよコレ」

金剛「なんでこんなに皆、執務室に集まってるんデス?」

807: 2015/04/19(日) 00:34:00.15 ID:PSdta0sO0
北上「ここに居ると提督を感じられるからね」

大井(提督・・・誰かにちょっかい出されてないかしら)

大井(悪い虫に・・・虫は・・・害虫は消さないと・・・)ハイライトオフ

北上「どうしたの? 大井っち?」

大井「なんでもないわ北上さんっ♪」

金剛「もう! 部屋に人居すぎデース!」

陸奥「だから順番待ちにして交互に来ているんでしょうに」

青葉「はい、30分立ちました。交代の時間です」

浜風「もうですか!?」

不知火「・・・チッ」

陽炎「ハイハイ・・・変わるわよ。ほら出るわよ皆」ゾロゾロ

青葉「はい、次の方どうぞー」

霧島「提督が居ないだけで、ここまで辛いとは・・・」

卯月「今日の出撃って予定表以外の娘ってどうなってるぴょん?」

金剛「え? 待機にしてますケド・・・?」

卯月「なんかさっき、榛名が出撃してたぴょん」

金剛(あの娘・・・また・・・)

霧島「また無断出撃ですか・・・気持ちは分かりますが・・・」

青葉「ケッコンまで、もう少しですからね榛名さん」

808: 2015/04/19(日) 00:34:26.64 ID:PSdta0sO0
天龍「すぐ連れ戻すか?」

金剛「・・・好きにさせてあげましょウ」

天龍「・・・いいのか?」

金剛は自分で発言しておいて、自らの口から出た言葉にギョッとなった。

海域に一人で出て、無策に戦闘を行うことは危険この上ない。

一人で多数と戦うのには常に危険が付きまとう。

本来なら、そのような事態は言語道断であるし、すぐに援軍を出すべきだろう。

仲間である上に姉妹なのだ。大切な妹。

なのに、何故か自然に助けは出さなくても良いと思ってしまった。

それどころか、そのまま沈んでくれればと心のどこかで思ってしまった。

榛名は自分の可愛い妹なのに。

それなのに、一瞬とは言え、どこかで氏を望んでしまった。

金剛は榛名を無意識に恐れていた。

どんどん強くなり、自分に追いついてくることを・・・

知らないうちに、とても恐れていたのだ。

もしも、自分と同じレベルまで来たら?

提督は私を見てくれるだろうか?

今までみたいに私を自分の代理のように仕事を任せてくれるだろうか?

妹の榛名はとても可愛い。


809: 2015/04/19(日) 00:34:59.57 ID:PSdta0sO0
気が利いて、優秀で・・・

女の子としても、とても魅力的だ。

もうしかしたら・・・

提督は榛名を重宝するようになるかもしれない。

恐かった。とても恐かった。

自分が居る場所を妹に取られてしまう気がした。

その不安は自分でも嫌悪するような悪意となり、

ごく自然に妹の氏を望んでしまった。

そんなことを考えてしまった自分が、なにより一番恐ろしかった。

山城「どうしたの? 顔が変よ?」

金剛「なんでもありませんヨ?」

山城「・・・・?」

山城は不思議に思った。

何時もなら『顔が変ってどういうことデースっ!?』と叫ぶのに。

一体どうしたと言うのだろう。

何か金剛に違和感を感じたが、すぐにそれも消えた。

山城(・・・気のせいかしら?)

睦月「なんか島風ちゃんと夕張さん、明石さんも出撃してるみたいです」

金剛「全く・・・皆好き勝手やってくれマスね」



810: 2015/04/19(日) 00:35:27.75 ID:PSdta0sO0
愛宕「提督の枕を抱きしめながら言っても説得力ないと思うわよ」

扶桑「そうです。そろそろ交代の時間です。提督の枕をこちらへ・・・」

金剛「後1分! 後1分だけ!! お願いしマース!」

扶桑「ダメです。時間は守らないと・・・」ガシッ

金剛「ノォッーーーーーー!!!」

山城(やっぱり何時もの金剛・・・よね?)

曙「早く・・・帰ってきなさいよ・・・糞提督」

荒潮「あらぁ? 曙ちゃん、提督のこと嫌いなんじゃなかったの?」

朧「何時も糞提督って言ってるし」

潮(改2)「提督を悪く言うのはダメだよ・・・」

潮「・・・ダメだよ・・・・絶対・・・絶対」ハイライトオフ

曙「はぁ!? 誰が嫌いなんて言ったのよ!!」

漣「何時も言ってるじゃない。クソだクソだって」

曙「それは・・・その・・・」

荒潮「・・・じゃあ・・・好きなの?」

曙「アンタ達には関係ないでしょ!! ///」

朧「曙・・・凄い顔が真っ赤」

漣「それだけで答え分かるよねw ツンデレ乙」

811: 2015/04/19(日) 00:36:27.06 ID:PSdta0sO0
曙「そうよ!! 悪い!? 私は提督が大好きよ!! 文句ある!?」

漣「知ってた」

潮「じゃあ・・・糞提督って呼ぶの止めてよ・・・」

曙「『く』にの為より、貴方の『そ』ばで・・・」

曙「提督の為だけに戦いたい・・・」

曙「略してクソ提督よ!!文句あんの!?」

漣「知らなかったそんなの・・・」

朧「無理があるよ」

青葉「もう許してあげましょうよ。彼女、半泣きじゃないですか」

曙「泣いてないし!!」グスッ

漣「からかうと面白いからつい・・・」

曙(この呼び方は私と提督の絆だから・・・)

曙(今更変えられるワケないじゃない)

金剛「本当に早く帰って来てヨ・・・提督ぅ・・・」

金剛(じゃないと私は正気で・・・いラレナイデェス・・・)

826: 2015/04/22(水) 19:53:21.33 ID:9Nsh7Zq40
海底のどこか

ヲ級「まだ神との邂逅は叶いませんか」

リ級「皆、総出で探しております」

チ級「ですが、榛名様を見つけても・・・」

リ級「別の固体であったりと中々・・・」

ロ級「もう少し時間は掛かるかと・・・」

ヲ級「そうですか」

イ級「かと言ってあまり鎮守府に近づくと・・・」

リ級「あの変な生き物に襲われる可能性も出てきます」

その生物はかつて比叡のカレーから誕生した特殊生命体であった。

稀に出現しては深海棲艦を喰らう。

体の殆どが水分で構成されているスライム状の生き物で、

火器の攻撃を受け付けない。深海棲艦からしてみれば

運悪く遭遇すれば氏を意味する悪魔のような存在だった。

827: 2015/04/22(水) 19:54:00.65 ID:9Nsh7Zq40
ヲ級「なんとか、どこかの海域へ出ている所で接触したいのですが・・・」

リ級「そうですね教祖様」

ヲ級「地道に探すしかないようですね」

ヌ級「教祖様、大変でございます!!」

チ級「何事だ騒々しい」

ヌ級「天使榛名様を発見しました!!」

信者達『おおっ!!』

ヌ級「しかし、南方棲鬼様が・・・強襲をかける模様!!」

リ級「なん・・・だと・・・?」

ヌ級「南方艦隊が第四艦隊まで全て出ているようです」

ヲ級「・・・何故?」

ヲ級「どうして無駄氏にをするのですか?」

ヲ級「・・・勝てるわけ・・・ないじゃないですか」


828: 2015/04/22(水) 19:54:27.65 ID:9Nsh7Zq40
とある海域・・・


榛名「敵・・・敵は・・・敵・・・」

榛名「ください・・・経験値をください」ウツロナメ

榛名「もっと戦わないと・・・モっと・・・もっト・・・」


脳内に自分が夢見る光景が浮かぶ。

提督「ええ!? 榛名はもう、レベル99になったのかい?」

榛名「はい! 頑張りました」

提督「全く・・・ 勝手に出撃して・・・」

榛名「すいません・・・でも・・・」

提督「いや、いい・・・」

提督「・・・榛名」

榛名「はい?」

提督「これを受け取って欲しい」スッ

榛名「え・・・? 箱が2つ?」

提督「ああ、一つはカッコカリの指輪だ」

提督「これからも更なる成長と活躍を期待する」

榛名「あのっ・・・もう一つは?」

提督「結婚指輪だよ」




829: 2015/04/22(水) 19:55:03.73 ID:9Nsh7Zq40
榛名「え・・・え?」

提督「上官と部下じゃなく・・・」

提督「一人の女性として・・・」

提督「俺の傍に居てくれないか・・・」

提督「結婚しよう榛名」

榛名「・・・・・・本当にいいんですか?」

榛名「榛名でいいんですか?」ナミダメ

榛名「私・・・醜い女です」

榛名「嫉妬しますよ?」

提督「ああ、それだけ愛されているってことだ・・・」

提督「むしろ幸せじゃないか」

榛名「提督を縛りますよ? 他の女の子に向かないように・・・」

提督「君以外なんて・・・見えないよ」

榛名「この鎮守府には可愛い子が沢山います」

榛名「・・・本当に・・・本当に榛名で・・・」

提督「・・・っ」チュッ

榛名「!!!?」

提督「これが答えだ」



830: 2015/04/22(水) 19:55:33.89 ID:9Nsh7Zq40
榛名「口付け・・・」

提督「・・・もう一度言う。結婚しよう」

榛名「はい・・・」

榛名「あの・・・?」

提督「なんだい?」

榛名「もう一度キスをしてもいいですか?」

提督「ああ、何度だって・・・」チュッ

榛名「今度は私から・・・」チュッ

それはもうすぐ現実になるかもしれない。

あるかもしれない未来。

そうなることを望んだ世界。

そこへ行くにはどうしても限界値を超えなければならなかった。

早くカッコカリをしないと・・・

それがその先へ進む為の唯一の鍵になるのだから。

今、彼女を動かす感情はそれだけだった。

その為には戦うしかない。頃すしかない。

榛名「ふふふ・・・」

榛名「早く・・・早く・・・敵を・・・」

榛名「タクサン コ ロ サ ナ イ ト・・・」

831: 2015/04/22(水) 19:56:10.58 ID:9Nsh7Zq40
ル級1「遥か前方に艦影・・・1隻・・・奴か」

ル級2「はははっ我々は運がいい・・・」

ル級1「南方棲鬼様・・・お喜びください」

ル級2「例の戦艦榛名ですっ!! 見つけました!」

南方「よし! 射程距離まで接近、殲滅するわよ!」

リ級「ん? 奴がこちらに気付いたようです」

タ級1「ふふっ・・・今頃怯えているかもね」

タ級2「我が艦隊は全員が改フラグシップ、1隻で勝てるハズがないだろう」フッ

ル級1「何時も通り・・・徹底的に痛めつけて・・・」

ル級2「沈めてやればいい・・・」

ル級1「早く見たいですねぇ」

ル級1「絶望し、泣き喚きながら沈む姿を・・・」

タ級1「ふふ・・・あの瞬間は堪らないからねぇ」

南方棲鬼が率いる、南方第一艦隊。

戦艦ル級が2隻、戦艦タ級が2隻、重巡リ級が1隻。

圧倒的な攻撃力と戦闘経験・・・

今までも、数え切れない数の艦娘を沈めて来た歴戦の猛者たちで構成されている。

その全てが上位種で、より強力な改フラグシップ。

彼女達、第一艦隊は狙った獲物である榛名を捉え、舌なめずりをした。

これから始まるであろう戦いへの興奮と、

揺るがないと確信する絶対的な自分達の勝利を思い、

非常に士気は高かった。


832: 2015/04/22(水) 19:56:54.80 ID:9Nsh7Zq40
榛名「ミ ィ ツ ケ タ ァ・・・」ニヤッ

南方「!!!?」ゾクッ

南方(何・・・!? 今の寒気・・・)

リ級「敵、撃ってきましたっ!!」

夕級1「落ち着け。この距離じゃ当たら・・・ギャッ!?」

直撃。タ級1は半身が吹っ飛んで爆発した。

ル級2「あっ・・・当てた!? 一撃で!? この距離から!?」

ル級1「・・・まっ・・・まぐれだっ!」

南方「怯むなっ!! 散会しつつ距離を詰めろっ!!」

榛名「撃破1・・・榛名・・・行きますっ!!」

南方「ほう・・・吶喊(とっかん)してくるかっ!!!」

榛名は速度を上げて南方棲鬼の艦隊に向かってくる。

榛名「・・・・っ!!」クルッ・・・ドォンッ

リ級「なっ!? 砲塔を真下に!? 直下の水面を撃った!?」

凄まじい爆音、海水は大きな水しぶきになって視界を遮る。

ル級1「奴はどこだっ!? 消えたぞ!!」


833: 2015/04/22(水) 19:57:29.78 ID:9Nsh7Zq40
南方「はっ!! 上よっ!!!」

高く、高く、空へと舞い上がった榛名はそのまま砲撃。

榛名「・・・氏んでください」ボソッ

2つの爆音が間髪いれずに立て続けに響く。

ル級1「・・・え?」

ル級2「グハァッ!?」

榛名から放たれた砲弾は吸い込まれるように2体のル級の頭に直撃、

2人の胸から上を消し飛ばした。

頭部を失った体は崩れるように倒れ、沈んでいった。

タ級2「同時に仕留めた!? バカなっ!!!?」

榛名は砲撃時の衝撃を利用し、距離を取り着水、

敵の砲撃を避ける為に動き回りながらも、確実にリ級に狙いを定める。

通常ならば狙うには遠い距離。普通なら当てるのは難しい。

だが、榛名の経験と勘は絶対外さない自信・・・

いや、確信があった。


834: 2015/04/22(水) 19:58:00.09 ID:9Nsh7Zq40
リ級「・・・今の見ましたか?」

南方「え?」

リ級「あの時・・・海面を撃ち・・・」

リ級「その瞬間に艤装を消して身軽になり・・・」

リ級「空中に飛び上がってから、そこで艤装を再度展開」

リ級「落下しながら2隻を同時に撃ち抜いた・・・」

リ級「それも・・・頭部をピンポイントで・・・」

リ級「・・・こんなこと普通できませんよっ!!!」

リ級「まるで曲芸。全く現実感のないことを・・・」

リ級「平然と目の前でやってのけたんですよ!?」

リ級「艤装を消せば・・・身体能力も体の作りも・・・」

リ級「普通の人間と変わらなくなるハズなのにっ!!」

リ級「下手すれば自身が即氏ですっ!!」

リ級「それをなんの躊躇いもなく・・・」

リ級「まるで恐怖心なんてないかのように・・・」

835: 2015/04/22(水) 19:58:30.76 ID:9Nsh7Zq40
リ級「奴は我々を頃すことしか頭にないっ!!」

リ級「あれは異常ですっ!! 」

ドォンッ

リ級「今まであんな奴、見たことありませんよっ!」

ピューーーー

リ級「あんなバケモノに勝てるわk・・」グチャ

タ級2「リ級!? クソっ!! バケモノめぇっ!!!!」ドォンッ ドォンッ

榛名「あはっ♪・・・アト・・・フタリ・・・」

南方(馬鹿な・・・)

南方(なんだコイツは・・・?)

南方(たっ・・・戦い方が普通じゃない・・・)

南方(あっ・・・明らかに艦娘の戦闘力を超えている・・・)

南方(どんな鍛錬を積んできたんだ・・・)

南方(奴らが言ってたことは・・・)

南方(ほ・・・本当なのか・・・)

南方(本当に・・・)

南方(てっ・・・天使だとでも言うのか・・・っ!!?)

836: 2015/04/22(水) 19:59:13.53 ID:9Nsh7Zq40
南方「くっ・・・噂以上のようね・・・」

南方「でもねっ!! お前達っ!!」

南方第二艦隊『了解っ!!』

南方第三艦隊『参上しました!!』

南方第四艦隊『ただいま参りました!!』

南方「無策で来るわけがないでしょうっ!!」

南方「ったく・・・」

南方「本当なら我等、第一艦隊だけで沈める筈が・・・」

南方「よくも・・・私の顔に泥を塗ったなっ!!」

榛名(・・・援軍?)

榛名(全て改フラグシップ・・・)

榛名(新たに18隻・・・)

榛名(でも・・・これだけ殺せば・・・)

榛名(やっと・・・)

榛名(早く終わらせましょう)

榛名(超重力砲で蹴散らして・・・)

榛名(痛っ・・・さっき・・・あばらを・・・?)

榛名(超重力砲を撃つにはキツイかもしれません・・・)

榛名(勝てなくはありませんが・・・苦戦しそうです)

榛名(1分で片付けるハズが・・・5分は掛かりそうです)

837: 2015/04/22(水) 20:00:36.43 ID:9Nsh7Zq40
タ級2「・・・!?」

南方「どうした?」

タ級2「深海電探に反応! 急速に何かが・・・」

タ級2「こちらに向かってきますっ!!」

南方「新手? 数は?」

タ級2「1隻・・・いえ、後方にさらに2隻!! 全部で3隻!!!」

南方「たった3隻の援軍? ふふふ・・・舐められたものね」

タ級2「いえ・・・それがおかしいです」

南方「・・・?」

タ級2「後方の2隻はごく普通の速度ですが・・・」

タ級2「先行する1隻の速度が異常ですっ!!」

タ級2「なんだ!? 速いっ!! 通常の艦娘では考えられませんっ!!」

タ級2「速度をさらに加速!? 暗礁海域でスピードを落とさないだと!?」

南方「・・・なんだ? ミサイルか? 新型の魚雷か?」

タ級2「・・・・まもなく肉眼でも視認可・・・来たっ!!」

南方「あれかっ! ん・・? 駆逐艦・・・?」

タ級2「なんだ・・・あの速度はっ!!!?」

島風「榛名ぁっーーーーー!!」

榛名「・・・島風ちゃん?」

島風「なんで榛名がここに居るか知らないけど・・・」

島風「援護するね? 後さ、あっちの敵・・・」

島風「・・・私が貰ってもいい?」


838: 2015/04/22(水) 20:01:14.42 ID:9Nsh7Zq40
榛名「やめておいた方がいいですよ?」

榛名「駆逐艦の貴女じゃ・・・危険すぎます」

島風「大丈夫。新しい武装のテストだから」

夕張「ふぅ・・・やっと追いついた」

榛名「・・・夕張さん? 明石さんも・・・」

明石「榛名さん・・また一人で出撃ですか?」

明石「危険だから辞めるようにって提督に言われたでしょう」

榛名「・・・・・・すいません」

島風「そんなの後でいいでしょ? 戦ってくるねっ」

榛名「ちょっとっ!? 本当に危険ですよ!!」

夕張「大丈夫ですよ」

榛名「貴女達も・・・一体何しに?」

明石「データ取りですよ」

夕張「戦闘には参加しませんのでお構いなく」

榛名「・・・島風ちゃんだけを戦わせるつもりなんですか?」

明石「大丈夫ですよ。余裕で勝てるハズです」

夕張「データ上では」

840: 2015/04/22(水) 20:01:53.77 ID:9Nsh7Zq40
島風「いくよ・・・連装砲ちゃん・・・」

島風に付き従う大きさの違う3体の連装砲ちゃんは一斉に飛び上がった。

大きな連装砲ちゃんは頭部が外れ、ヘルメットのように変形、

島風の頭に装着され、島風の目を覆うように透明のバイザーが出現する。

中型の連装砲ちゃんはハンマーのような鈍器になった。

小型の連装砲ちゃんはボディが分割され、島風の脛に装甲となって張り付く。

島風の背中の5連装酸素魚雷装置は左手に装着され巨大な拳となった。

榛名(え? 連装砲ちゃん達が・・・)

榛名(バラバラになって武装に・・・?)

夕張「島風ちゃんっ!! 頭部バイザーの戦術支援システムを使って!!」

島風「はーいっ・・・これかな?」ポチ

システム「ピピピピピピピピピピピピピッ・・・」

842: 2015/04/22(水) 20:10:57.90 ID:9Nsh7Zq40
追記

島風ちゃんの武装は玩具のネタです。
わからない人は超合金島風で検索してくだち

860: 2015/04/26(日) 04:20:04.67 ID:B7AOqEIQ0
島風は敵の第4艦隊に突っ込んだ。

第4艦隊は戦艦ル級が一隻、戦艦タ級が一隻の戦艦が2隻。

空母ヲ級、軽空母ヌ級、駆逐艦イ級2隻からなる艦隊だ。

島風「あれ? すごい・・・敵の動きが・・・見える!!」

島風「まるで手に取るように・・・えいっ!!」

ル級「早いっ!? グハッ!?」

瞬時に相手に接近すると、ハンマーで無造作に殴りかかる。

たった一撃でル級は轟沈した。

胴体は、えぐれたように一部が無くなっていた。

重力を発生させ圧縮し、攻撃に転換し相手の体を瞬時に消し飛ばしたのだ。

これは、かつて邂逅した霧の艦隊の技術を流用して作った武器であった。

なんとなく、こうなるだろうという予想は出来ても、

どういう原理なのかは作った夕張達も完全には把握していなかった。

タ級「くっ!!回り込め!!」

島風「島風からは逃げられないよっ!!」

イ級2「ぐ・・・っ・・・何故・・・・」ドカーンッ

イ級「攻撃が全て読まれているっ!? 馬鹿な!!」

島風(なんだろう・・・少し先を・・・)

島風(まるで・・・未来を見ているよう・・・ハァ・・・ハァ・・・)

ヌ級「ギャァァァァっ!!?」ドカーンッ

タ級「何故!? 何故攻撃が跳ね返される!?」

それは五連装魚雷が変形した巨大な左拳に内臓されている

電磁バリアのせいであったが、無論そんなシステムが

存在していることを知るはずもなくタ級達は困惑した。

島風「ハァ・・・ハァ・・・何・・?・・・頭が・・・」

861: 2015/04/26(日) 04:20:51.77 ID:B7AOqEIQ0
明石「凄いですね。敵の動きの先を読んでます」

夕張「予想以上ですね・・・」

明石「あらゆる戦術と・・・戦況予測・・・」

明石「勝利するために取るべき行動をインプットしてますから」

明石「まさに勝つためのシステム・・・」

夕張「勝利のみを追及してみましたが・・・」

夕張「ここまでとは・・・」

島風のデータを収集していた2人には第三艦隊が迫る。

タ級が2隻、リ級が2隻、チ級、ロ級の6隻からなる艦隊。

第三艦隊は隊を2つに分け、一方を島風達に、

もう一方は榛名へと攻撃を仕掛けることにした。

そのうち、リ級が1隻、チ級、ロ級の3隻が

夕張と明石の2人に襲い掛かった。

夕張は左手に持っているデータ収集用の端末から目を離さずに、

まるで背中でも掻くような自然な動きで右手に持つ14cm単装砲を発射する。

その一撃でチ級の頭部は吹き飛んだが、

夕張は気にせずデータを見ていた。鼻歌を歌いながら。

リ級「何を余所見をしているっ!!!」

ロ級「氏ねぇぇっ!!」

明石「五月蝿いです」ガシッ

ロ級「!!!!?」

862: 2015/04/26(日) 04:21:42.78 ID:B7AOqEIQ0
ロ級(え・・・? クレーンが・・・)

ロ級(まるでハサミのように・・・が・・・」マップタツ

明石の艤装のクレーンは2つに開くと、ロ級を掴み、

そのまま握りつぶした。

リ級「何ぃぃぃ!?」

明石「私、あんまり戦闘は得意じゃないので・・・」

明石「あっち行ってて貰えます?」

明石「戦闘に参加する気はありませんので」

リ級「何をワケの分からんことをっ!!」

夕張「五月蝿いなぁ・・・行きなさい」

ドラム缶「GYAAAAAAAっ!!!」

リ級「なんだ!? コイツ!!!?」

リ級「ドラム缶に・・・ドラム缶に口がぁぁぁぁ!!!?」

リ級「ギャアァァァ!? 食われる!! 体が・・・やめ・・・・・」

ドラム缶「バクンッ・・・クチャクチャ・・・ゲプッ」

明石「なんですかそれ?」

夕張「新しく作った装備ですよ」

明石「口のついたドラム缶・・・?」

夕張「敵の航空機?でタコヤキってあるじゃないですか?」

明石「ああ、あの口がついてる・・・丸い奴?」

夕張「以前鹵獲したアレを解析して作ったんですよ」

863: 2015/04/26(日) 04:22:26.51 ID:B7AOqEIQ0
夕張「深海棲艦を食べて・・・それを資材に変えてくれるんです」

明石「なんでドラム缶もってるのかなって思ってましたけど」

明石「へぇ・・・私に内緒でこんなものを」

夕張「遠征隊にも数匹配備してますよ」

明石「だから最近、資材を沢山持ってくるのね」

夕張「深海棲艦を沢山食べさせれば資材も沢山入るワケです」

夕張「ただ、大量生産は難しいのと・・・」

夕張「食べているとことか・・・」

夕張「ビジュアル的にどうかと思いまして・・・」

夕張「この装備は提督にはまだ報告してませんけど」

明石「・・・ねぇ?」

夕張「はい? なんですか?」

明石「提督に報告してないのには、別の理由があるんじゃない?」

夕張「・・・なんのことです?」

明石「それ・・・本当に深海棲艦しか食べないのかしら?」

夕張「・・・・・・」

明石「まさか艦娘や・・・人間も・・・」

夕張「まさか・・・ウチの艦娘は食べませんよ」

夕張「ロックを掛けてますし・・・」

夕張「安全面でもバッチリです」

明石「じゃあ人間は・・・?」

夕張「・・・・・・」

864: 2015/04/26(日) 04:23:10.24 ID:B7AOqEIQ0
明石「夕張?」

夕張「私達って人間のために戦ってますよね?」

明石「そうね・・・」

夕張「でも、正直な話・・・私、提督以外はどうでもいいんですよ」

夕張「そりゃ一般市民が無惨に殺されれば怒りも沸きますよ?」

夕張「でも・・・命をかけて・・・」

夕張「本気で守りたい、絶対失いたくない人間って提督だけなんです」

明石「・・・それは私も同じよ。多分、皆そうでしょウチは」

夕張「人間って自分達の種族全体のことよりも・・・」

夕張「自分一人の利権や立場を必氏に守るじゃないですか」

夕張「それこそ・・・他人を捨石にしてまで・・・」

夕張「権力を持ち、特別な立場に居る人ほどね」

明石「確かにそういう所はあるわね」

夕張「よく・・・ドラマとかアニメであるじゃないですか」

夕張「権力者が自分の立場を守るために誰かを・・・」

夕張「スケープゴートにすることって」

夕張「もしも提督が・・・」




865: 2015/04/26(日) 04:23:39.91 ID:B7AOqEIQ0
夕張「悪意ある第三者、権力を持つ誰かに・・・」

夕張「目をつけられてハメられたりしないかって」

夕張「何も悪いことをしてないのに・・・」

夕張「そういう争いに巻き込まれないかって・・・」

夕張「何時も不安なんです」

夕張「だから・・・そんなことにならないように・・・」

夕張「あらゆる事態を想定してるんです」

夕張「そういうあってはダメなことを起こさせない為に」

明石「・・・・・・」

夕張「このドラム缶・・・命じれば人間も食べますよ?」

夕張「バリバリと・・・全て資材に変えて証拠は残しません」

夕張「青葉さんは軍の上層部の人間の個人データは・・・」

夕張「ほぼ把握したと言ってました」

夕張「その家族の所在すらも・・・」

夕張「確か赤城さん、加賀さんが現地で最終確認をしてます」

夕張「だから、彼らが権力を傘に悪意ある敵対行動を取る場合は・・・」

明石「どうなるの?」

夕張「この世から消えてなくなるか・・・」

夕張「洗脳して敵対心だけを消すかもしれません」

夕張「あの優しい提督に危害を加える報いにしては軽すぎますかね?」

明石「妥当な所じゃないかしら」

866: 2015/04/26(日) 04:24:29.72 ID:B7AOqEIQ0
夕張「軍の施設も・・・有事の際は」

夕張「オンライン上で操作し、支配下に出来るようになってます」

夕張「今は政府の重鎮の周囲をハッキングしているそうですよ」

夕張「表に出せない悪行や、裏のお金の流れ・・・」

夕張「それこそ表に出たら国内が大騒動になりそうな・・・」

夕張「そうそう・・・川内さんも色々協力してくれてます」

夕張「人間同士の醜い権力争い・・・」

夕張「そんな、くだらないモノに・・・」

夕張「巻き込まれ無い為の保険ですよ」

夕張「かなり昔に計画は立てられていました」

夕張「もちろん、提督は存じ上げないことでしょう」

夕張「加担している仲間は皆同じ気持ちなんですよ」

夕張「提督を守りたい。それだけ」

夕張「愛ですよ。純愛。この世界で一番美しい気持ち」

夕張「ただ、好きな人を守りたいだけ」

夕張「計画は最終段階に入りました」

867: 2015/04/26(日) 04:25:20.35 ID:B7AOqEIQ0
夕張「既に何名かは先を見据えてます」

夕張「海上だけしか戦えない・・・」

夕張「それじゃあ提督を守れない」

夕張「だから皆さん独自に強くなろうとしてるんですよ」

夕張「天龍さんは剣を、長門さんは拳・・・龍田さんは暗器・・・」

夕張「金剛さんは陸地で艤装を部分展開して瞬時に対応したり・・・」

夕張「力はあるに越したことはありません」

夕張「常軌を逸した強さは抑止力にもなりますからね」

夕張「調べた情報、行動の全ては・・・あくまで」

夕張「万が一の時の取引材料」

夕張「もし、今後何も無ければ・・・」

夕張「永久に使わないでしょう」

夕張「でも・・・もしも・・・もしも」

夕張「提督が何かのターゲットにされたり、」

夕張「あってはいけないことですが・・・」

夕張「人間同士の詰まらない・・・いざこざで・・・」

夕張「もしも・・・提督が暗殺でもされたら・・・」

夕張「その瞬間から、この守るべき国は敵になります」

夕張「軍の重要施設は全て遠隔操作で自爆させ・・・」

夕張「一斉に各基地からミサイルが発射されます」

明石「どこに?」

夕張「多くは霞ヶ関です。各省庁がありますからね」

夕張「他にも発電施設、通信施設も・・・地図から消えるでしょう」

868: 2015/04/26(日) 04:26:06.26 ID:B7AOqEIQ0
夕張「その混乱に乗じて一斉蜂起、提督を嵌めた奴を」

夕張「頃すと言う手筈です」

夕張「今の世の中、電気が使えなくなるだけで・・・」

夕張「大混乱ですよ? 信号も灯りも消えて・・・」

夕張「どれだけの人が氏ぬんでしょう?」

夕張「想像も出来ませんね」

夕張「そして国の頭を失い、混乱し、社会は回らなくなる」

夕張「日本は大混乱に陥り・・・やがて・・・」

夕張「提督が居ない世界に興味はありませんから」

夕張「出来れば・・・そんなことにならないと、いいですけどね」

明石「・・・素晴らしいっ!!素晴らしいですっ!!!」

夕張「・・・」

明石「私がいずれやろうと思っていたことをっ!!」

明石「是非私も協力させてくださいっ!!」

夕張「ありがとう。そう言ってくれると思ってました」

夕張「100名以上の仲間が貴女を歓迎しますよ」

明石は感動し、泣きそうになった。

既に自分がやろうとしていたことを実行していた者達が居たからだ。

明石「頑張りましょうね!」

夕張「ええ。もちろんです」

2人の少女は笑いあう。本当に楽しそうに。

その笑顔はとてもとても綺麗だった。

869: 2015/04/26(日) 04:26:39.33 ID:B7AOqEIQ0
島風「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・」

島風「きゃっ!!!!?」

島風「撃たれた・・・? 体に穴が・・・」

島風「あれ? 開いてない・・・?」

島風「幻・・・?」

島風(なんで・・・?)

島風(さっきから氏んじゃう幻ばかり・・・)

タ級「隙だらけだっ! 貰ったぁぁぁ!!!」

島風「超重力ハンマーーーーッ!!!」

タ級「!!!!?」グチャッ

イ級「なんなんだ・・・あの攻撃はっ!!?」

ヲ級「タ級が・・・・」

島風「・・・敵・・・敵が・・・まだいる・・・」

島風「コロサナイト・・・・コロ・・・」

島風「じゃないと・・・ころされる」

島風「私の敵・・・敵・・・はどこ?」

島風「ハァ・・・ハァハァハァ・・・・」


870: 2015/04/26(日) 04:27:23.55 ID:B7AOqEIQ0
提督『島風・・・』

島風「提督・・・? あれ? ここは執務室・・・?」

提督『今日までありがとう』

島風「え? 何を言って・・・」

提督『俺は結婚する』

島風「え?・・・え・・・?」

提督『明日からは・・・その』

提督『あまり馴れ馴れしくしないでほしい』

提督『妻が嫉妬するからね』

島風「・・・妻?」

初霜『ふふふ・・・ア・ナ・タ・・・』

提督『こら・・・ここは執務室だぞ///』

島風「初霜っ!!!」

初霜『そういうわけだから・・・』

初霜『あまり、夫に近づかないでね?』ニコッ

島風「なんで・・・!? なんで!!?」

2人『あはははは』

島風「待ってっ!! ねぇ!! 待って!!」

871: 2015/04/26(日) 04:28:01.78 ID:B7AOqEIQ0
島風「なんで・・・? なんで追いつけないの・・・?」

島風「置いてかないで・・・」

島風「私を・・・」

島風「私を一人にしないでっ!!!!」

天津風『・・・島風』

島風「天津風・・・?」

天津風『あんたウザイのよ』

島風「・・・え」

暁『そうよ。顔も見たくないわ』

島風「え・・・?」

雷『・・・氏んで』

電『氏んでください』

島風「なんで?」

金剛『早く氏ぬデース』

青葉『氏ね』

神通『まだ生きていたんですか?』

那珂『早く氏んじゃえー』

皆『氏ね! 氏ね! 氏ね!!!』

島風「止めて・・・止めてよっ!!!」

島風「嫌・・・嫌だよぉ・・・」

872: 2015/04/26(日) 04:28:50.90 ID:B7AOqEIQ0
島風「助けて・・・提督・・・提督・・・」

提督『島風・・・』

島風「提督っ!! 酷いんだよ! 皆が!!」

提督『・・・氏ね』ニコッ

島風「・・・え」

島風「違う・・・こんなの嘘だっ!!」

島風「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっーーーーーー!!!!」

ヲ級「なんだ・・・?」

イ級「動きが止まった・・・今だっ!!」

島風「皆・・・皆・・・・氏んじゃえっーーーー!!!」

ヲ級「えっ・・・」

イ級「何!?」

島風「皆敵だっ!!!敵だ!!敵だっ!!!」

島風「超・重力ハンマー!!最大モードっ!!」

島風「消えちゃぇぇぇっーーーーー!!!!」

イ級「うわぁぁぁぁ!!?」

ヲ級「!!!?」

南方第四艦隊は一隻も残さず消滅した。

893: 2015/04/30(木) 05:29:19.26 ID:FHAmdUXx0
明石「不味いですね。島風ちゃんが・・・」

夕張「システムに囚われている・・・?」

明石「暴走・・・?」

夕張「システムの強制解除は?」

明石「さっきからやってますけど・・・受け付けませんね」

夕張「どうします?」

明石「どうしましょうね」

タ級「報告します! 第4艦隊消滅っ!、第三艦隊も半数が轟沈っ!!」

南方「消滅!? 消滅ですって!!?」

榛名(まさか島風ちゃんが・・・?)

榛名は第一艦隊の南方棲鬼と生き残りのタ級、

第三艦隊のタ級2隻、リ級が1隻、

さらに新たに戦線に加わった第二艦隊の相手をしていた。

第二艦隊はル級が2隻、リ級が1隻、ヲ級が2隻、イ級が1隻で構成される。

榛名(島風ちゃんが気になりますね・・・)

894: 2015/04/30(木) 05:30:28.73 ID:FHAmdUXx0
ヲ級「全艦載機、爆撃っ!!」

榛名「・・・チッ」ガシッ

榛名は近くに居た第三艦隊のリ級の頭部を鷲づかみにする。

リ級「ぐわっ!? 何をする!!?」

ドガーーーーン

ヲ級「やったの・・・?」

しかし、爆煙が晴れると榛名は無傷だった。

ヲ級「・・・・・!!!!」

榛名「危ないとこでした」

リ級「グハッ・・・」

リ級(こいつ・・・私を・・・盾に・・・)

榛名「この子、返しますね」ポイッ

リ級「うわぁぁぁぁ!?」

榛名に投げられたリ級はヲ級に激突する。

ヲ級「へギャッっ!?」

榛名「さようなら」ドォンッ!! 

ヲ級&リ級「ギャァァァァッ!!?」ドカーーーン

そして、そのまま2隻まとめて片付けられた。

895: 2015/04/30(木) 05:31:22.05 ID:FHAmdUXx0
しかし、すぐ後ろから第二艦隊のル級が迫る。

ル級「後ろが・・・ガラ空きだっ!!!」

榛名「別にあいてませんよ?」

ル級(え・・・砲塔だけ回転してこちらに・・・)

ル級「ギャッ」ドカーン

イ級「振り向きもせずにっ!?」

榛名(金剛姉様なら、この程度の敵は瞬殺できます)

だから・・・

榛名(比叡姉さまなら、この程度で怯まない)

―――私は

榛名(電ちゃんなら、早く的確に・・・)

もっと強く。もっと早く。もっと正確に。

もっともっと強くならなくては・・・

イ級「うわぁぁぁぁ!?」ドカーン

まだダメだ。あの人達には及ばない。

限界を超えないと。

頃して頃して頃してコロシテ・・・

その先へ・・・

896: 2015/04/30(木) 05:32:18.46 ID:FHAmdUXx0
榛名「えいっ!!」

艤装先端から錨が飛んだ。

これは夕張に以前改造して貰った装備だ。

じゃらじゃらと金属の鎖の音がする。

錨は第二艦隊のリ級の太ももを貫通した。

リ級「ぎゃぁぁぁぁっ!?」

そのまま錨を高速で巻き戻す。

リ級は榛名の所に引き寄せられるとゼロ距離から

砲撃され、体に大穴が開いて轟沈した。

一瞬、あっけに取られたが第二艦隊で生き残っている、

もう一隻のル級とヲ級、第三艦隊の2隻のタ級は

すぐに戦意を無理やり取り戻すと榛名を執拗に攻撃する。

しかし、攻撃は全く当たらなかった。

タ級「何故当たらんっ!?」

榛名「主砲!砲撃開始!!」

榛名はまるで舞いでも演じているように・・・

無駄が無く、流れるように優雅に戦場を翔る。

レベルと言うシステムがある。

これは妖精が艦娘の技術を人間に提供した際に提示した

ある種の目安であり、鎮守府にある測定器を使い計測できる。

レベルを上げることで改装や、能力の上昇等の恩恵を受けられるのだが、

それがどういう基準で数値を出しているかは誰も分からなかった。

897: 2015/04/30(木) 05:33:11.74 ID:FHAmdUXx0
ただ一つ言えるのは、榛名の戦闘レベルは既に数値として見れる

既存の枠から大きく逸脱してしまっていると言うことだ。

そうでなければ、このような一方的な戦いになることはないだろう。

恐怖もなく、怒りも無く、まるで人形のように無表情で

仲間を次々と淡々と頃す榛名にル級達は恐怖を感じた。

ヲ級は艦載機を全て落とされて、信じられないと空を見上げて放心してしまった。

タ級「避けろっ!!ヲ級!!」

しかし間に合わない。

榛名「榛名!全力で参ります!」

撃たれた砲弾によりヲ級は肉塊になって沈む。

ル級(今まで沢山沈めてきたが・・・こんな奴は初めてだ)

体が警戒している。逃げろと。

しかし、逃げるわけには行かない。

後ろでは南方棲鬼が腕を組んで戦いを見ていた。

ここで逃げれば自身のプライドもズタボロだし、

何より南方棲鬼に殺されてしまうだろう。

敵前逃亡の裏切り者として。

生き残るには目の前の敵を倒す以外に道はない。

それしかないのだ。

ル級「頃してやるっ!! きさ・・」

だが最後まで言葉は発せられなかった。

何故なら、その瞬間に彼女の頭が消し飛んだからだ。

898: 2015/04/30(木) 05:34:09.96 ID:FHAmdUXx0
残るは第三艦隊のタ級が2隻と第一艦隊のタ級が1隻と南方棲鬼のみ。

第三艦隊のタ級2隻は息の合った連携を取り、榛名に迫る。

榛名「邪魔ですっ!!」

蹴り。ただの蹴り。

だが、戦艦の能力を持った艦娘の重たい一撃。

それはタ級の顎を砕いた。

砕かれた本人からしてみれば、あまりの衝撃と痛みで既に戦闘どころではない。

動きが止まった所を撃たれて沈んで行った。

もう一隻のタ級が激昂して叫ぶ。

タ級「おのれっ!!!」

怒りに任せた攻撃は凄まじい。

耳を塞ぎたくなる轟音と共に、水柱が立つ。

タ級「・・・やったか?」

前方に居た榛名は居ない。

タ級「ふははは! やった! 倒したぞ!!」

しかし直後、急激な衝撃と痛みが体に走った。

タ級「なんだ・・・?」

見ると体に穴が開いていた。

榛名「勝手は・・・榛名が許しません・・・」ボソッ

体から急速に力が抜けていく。

899: 2015/04/30(木) 05:35:01.27 ID:FHAmdUXx0
タ級「馬鹿な・・・後ろだと・・・?」

それが最後の言葉だった。

爆発し、暗い海へと沈んでいった。

榛名「後は!?」

あと2隻。次の狙いを定める。

タ級「バカめっ!! 遅いわ!」ドォンッ

迫るは第一艦隊の生き残りのタ級。

彼女は他の者よりも圧倒的に戦闘経験が豊富であった。

榛名「きゃっ!? 被弾した!?」ボンッ

一瞬の油断と疲労から攻撃をまともに受けてしまった。

榛名「・・・この程度っ」

タ級「やった!! 主砲を1基使えなく・・・」

4基ある内、左前の主砲がこの攻撃で破壊されてしまう。

榛名「・・・やってくれましたね」

榛名「・・・・・・ぐっ」ボキッ

榛名「はぁぁぁぁっーーーー!!」

タ級「---!!?」

ザクッ

900: 2015/04/30(木) 05:35:53.66 ID:FHAmdUXx0
タ級「な・・・に・・・?」

榛名「砲が1基使えない? いいえ?」

榛名「壊れても、こういう使い方もあるんです」

榛名「霧島がよくやる手ですけどね」

タ級(コイツ・・・折れた砲身を引きちぎって・・・私に・・・)

榛名「折れて鋭利な金属はよく刺さりますね・・・」グチャ・・・

タ級「ガハッ・・・」

人体で言う急所にピンポイントで金属の塊を突き刺された。

そのまま奥に力ずくで押し込まれた。

グチャグチャと肉の音がする。

痛みで顔を苦痛に歪める。

タ級「おのれ・・・」

こうなれば、榛名を道連れに沈んでやろうと

決氏の覚悟で迫る。

榛名「さようなら」ドォンッ

タ級「  」ドカーーーンッ

しかし、その願いは届くことは無く、

近距離からまともに砲撃を喰らって文字通りバラバラになった。

こうして南方棲鬼以外は殲滅されたのだった。

それもごく短時間で。

901: 2015/04/30(木) 05:36:55.20 ID:FHAmdUXx0
南方「まさか・・・ここまでとは・・・」

南方「第2艦隊、第4艦隊は全滅・・・」

南方「第3艦隊も・・・」

南方「そして我が第一艦隊は私以外は全滅・・・」

南方「まるで悪夢」

南方「ふふふ・・・」

南方「良いわ!! あはははっ!!」

南方「それでこそ・・・頃しがいがある!!!」

南方「我が全力をもっ・・・」ドガンッ

榛名「五月蝿いですよ」

榛名「お喋りする気はないんです」

南方「ちょっとぉ・・・人が喋ってる時に攻撃・・・?」

榛名「・・・損傷は軽微・・・ですか」

南方「今度はこっちの番よっ!!」ドォンッ

榛名「!!!」

南方「へぇ・・・今のを避けるんだ」

榛名「・・・・・・」キッ

南方「砲塔は1基全損、体もボロボロ・・・満身創痍じゃないの」

榛名「それでも貴女を頃すには十分です」

902: 2015/04/30(木) 05:37:58.46 ID:FHAmdUXx0
南方「強がりをっ!!」ドォンッ

榛名「コイツを頃して・・・」

榛名「榛名はぁぁぁ!!!!」ドォンッ!!

南方「ぐっ・・・何・・・この気迫・・・」

互いに高速で移動しながら撃ち合う。

榛名「当てますっ!!」

南方「きゃぁっ!?」

胴体に着弾。大ダメージを受けて動きが止まる。

榛名「いけぇぇぇ!!!」

南方「舐めるなっ!!!」

榛名の砲撃は確実に南方棲鬼にダメージを与えるが、

南方棲鬼からの砲撃も榛名にダメージを与えた。

艤装はほぼ全損、生きているのは左の主砲が1基のみだった。

榛名「こんな…でも、まだやれます・・・」

南方「くそっ!! 艤装が・・・」

南方棲鬼も艤装の損傷が激しく、使える武装は主砲が1基のみ。

条件は同じだった。

互いに距離を取る。恐らく次で勝負は決まる。

同じタイミングで両者は動くことだろう。

条件が同じならば、勝利の条件は?

ひとつは単純に運だろう。

そして一番のウェイトを占めるのが・・・

戦う為の理由。

個々の想いの強さだろう。

903: 2015/04/30(木) 05:38:51.02 ID:FHAmdUXx0
無音。

世界から音が消えたようだった。

それだけ両者は集中していた。

互いに思うのは相手を倒して自分が生き残ること。

失敗は出来ない。

その時は氏ぬだけだ。

勝つことは生きること。

負けることは氏ぬこと。

ただ、それだけのシンプルなルール。

ちゃぷんっ。

それは魚が跳ねた音だろうか。

その音がトリガーになった。

榛名「これでっ終わりですっ!!」

南方「お前がなっ!!」

互いに相手を目掛けて一気に加速する。

どんどん2人の距離が近づいていく。

榛名「倒しますっ!!」

南方「沈めてやるっ!!」

すれ違う瞬間に両者は攻撃した。

重たい、そして大気を震わすような大きな音。

904: 2015/04/30(木) 05:39:34.21 ID:FHAmdUXx0
互いに相手を通り過ぎ、そして止まる。

榛名「っ・・・!」

わき腹に痛みが走る。

純白の巫女服はじわっと赤い血で滲んでいく。

わき腹に直撃したようであった。

南方「・・・見事ね・・・まさか・・・私が・・・」

胴体に直撃弾を当てられた南方棲鬼はそう言うと

海面に倒れた。既に戦う力は残っていない。

南方「悔しいけど・・・私の負けみたい」

榛名「・・・そのようですね」

南方「・・・頃しなさいよ」

榛名「随分あっさりですね・・・」

南方「負けたもの」

南方「これだけの大兵力を率いて来て・・・」

南方「それで敗北? どの面下げて戻れって言うの?」

南方「さぁ・・・早く頃しなさい」

榛名「ええ、言われなくても・・・」

榛名「楽にしてあげますよ」

そう言うと榛名は南方棲鬼の頭に主砲を向ける。

互いに全力を・・・全てを出し切った。

だから相手には敬意を払わなくはならない。

だから、せめて一瞬で逝かせてあげようと思った。

榛名「・・・さようなら」

905: 2015/04/30(木) 05:40:21.41 ID:FHAmdUXx0
その時である。

島風「お前達もぉぉぉぉ!!!!!!」

榛名「何? 島風ちゃん!?」

島風「消えろぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

榛名「きゃぁっ!?」

南方「ぐぁっ!?」

島風が襲いかかってきた。

島風「敵・・・敵!!敵!! みんなぁ!! 敵だぁぁ!!!」

榛名「・・・どうしたんです?」

夕張「すいません!」

明石「システムの暴走で・・・」

榛名「よく分からないモノを作るからですよ・・・」

夕張「どうしよう・・・」

榛名「力づくで止めてきます」

明石「え? 危険ですよ!?」

榛名「じゃあどうするんです?他に方法はありますか?」

夕張「・・・お願いします」

906: 2015/04/30(木) 05:41:42.48 ID:FHAmdUXx0
島風「氏んじゃえっ!!!」

島風「皆氏んじゃえっ!!!!!」

夕張「うわっ!? 危なっ!?」

明石「滅茶苦茶しますねぇ」

島風の攻撃はデタラメだった。

高速で移動しながら我武者羅に攻撃をしてくる。

勢いはあるものの、感情に任せた力任せの攻撃なので、

ある程度の実力と経験があれば見切ることは難しくなかった。

榛名「くっ・・・」

島風「なんで!?」

島風は攻撃の手を緩めることなく、泣きながら叫ぶ。

島風「なんで提督とひとつになれないのっ!!」

島風「私は・・・私はただ・・・」

島風「提督と一緒に居たいだけなのにっ!!」

―――ようこそ。歓迎するよ。島風。

初めて会った時。

とても優しい笑顔で迎えてくれた。

悪いことや、間違ったことをすれば叱られたけど・・・

だけど、何時も提督は優しかった。

何時だって・・・何時だって・・・

907: 2015/04/30(木) 05:42:27.38 ID:FHAmdUXx0
―――かけっこ? いいぞ。午前の仕事が終わったら付き合うよ。

私に向き合ってくれて・・・

――――島風は早いなぁ。負けたぞ。クソぉ・・・悔しいなぁ

「提督も早かったですよ?」

そう言うとありがとうって笑って。

2人で笑って・・・楽しかった。

またやろうと言ったら、

―――よし、じゃあ明日もやるか?

嫌な顔せず、本当に楽しそうに笑ってた。

―――MVP?凄いじゃないか! よくやったな!

そう言って自分のことのように喜んで・・・

頭をワシャワシャ撫でて・・・

「やめてくださいよー」なんて言ってみたりするけど、

本当はもっとやってと心で願ってる。

提督と2人で居る時間が好き。

提督と一緒に楽しいこと沢山して・・・

沢山笑って・・・

あの暖かい時間が大好き。

提督が・・・

大好き。

908: 2015/04/30(木) 05:43:06.61 ID:FHAmdUXx0
2人で居るとドキドキする。

何気ない仕草や言葉に・・・

何時もドキドキしてる。

これは恋。

私は恋をしている。

天津風や暁は私を子供って言うけど、

私は子供じゃない。

好きな人の為に頑張りたい、

そう思い願うだけの、どこにでもいる女の子。

提督とずっと2人で居たい。

ずっとずっと・・・永久に。

氏が2人を別つまで。

嫌。

嘘。

氏んで滅んでも・・・

それでも未来永劫、隣に居たい。

離れたくない。絶対に。

あの人が居なくなる世界なんて無価値だ。

無意味だ。

909: 2015/04/30(木) 05:44:03.45 ID:FHAmdUXx0
そんな世界なんて要らない。

必要ない。

壊さないと。

徹底的に壊さないと。

だっていらないもん。

―――だから

私から提督を盗らないで。

私から生きる意味を奪わないで。

私の世界を壊さないで。

じゃないと・・・

生きていけないから。

でも、もうダメ。

提督は奪われた。

だから―――コわサなイとイケナイ

目に映る無価値な世界全てを。

提督をカエシテ

カエシテ・・・カエシテ・・・テイ・・ト・・・

榛名「島風ちゃんっ!! 私が!! 私が分からないんですか!!?」

島風「ウルサイッ!! カエセ!! テイトクをカエしテ!」

榛名「貴女・・・目が・・・赤く・・・」

夕張「もうっ!!なんでシステムの強制解除が出来ないのっ!!」

915: 2015/04/30(木) 14:22:18.86 ID:B7E4dkw1O
今のタイトルは、「悲しみの島風」だな。乙

916: 2015/04/30(木) 17:04:09.90 ID:b5ae/z+d0

待てよ...このまま進んだら榛名は記憶喪失になってしまうじゃないか!
あ、記憶喪失になった榛名は私が預かりますね

920: 2015/05/04(月) 03:07:46.22 ID:c9vzQMuh0
南方「・・・おい」

榛名「なんです? 今忙しいんですけど」

南方「あの小娘、このままだと堕ちるぞ?」

榛名「・・・堕ちる?」

南方「あの瘴気にも似た気配は我々と同等の・・・」

榛名「よく分かりませんが、止めて見せます」

南方「ククッ・・・止まるといいがな」

榛名「榛名・・・行きますっ!!」

島風「消えちゃえぇっーーーー!!!」

榛名「くっ・・・」

紙一重で攻撃をかわす。

榛名(どうやって抑えれば・・・撃つ訳にも行きませんし・・・)

島風「うわぁぁぁぁっ!!!」

榛名(攻撃は読みやすいけど・・・)

島風「みンなキえてぇぇ!!」

ドンッ

榛名(こっちがどうしようか悩んでいるのにっ)

榛名(榛名、頭に来ましたよ!)

921: 2015/05/04(月) 03:09:04.00 ID:c9vzQMuh0
榛名「もぉぉっ!! いい加減にしなさいっ!!」

パチンッ

夕張「あれは!!」

明石「ビンタだ! リアルでやってる人、初めて見ましたよ」

夕張「ドロドロしたドラマとかだと割りとありますよね」

明石「そうですね~ それに少女マンガとか」

夕張(後はウチ(鎮守府)の水面下の闇の部分とか・・・)ハイライトオフ

明石「しかし島風ちゃん、吹っ飛んで行きましたよ」

夕張「戦艦のビンタですからね」

榛名「いい加減にしてくださいっ!!」

島風「・・・榛名?」

榛名「私が分かるんですか!?」

夕張「良かった!正気に戻ったみたいです!」

島風「榛名も・・・言うの?」

榛名「え?何を?」

島風「私に・・・氏ねって・・・」

榛名「言いませんよ!」

島風「嘘・・・皆嫌い。嫌い。嫌い・・・」

922: 2015/05/04(月) 03:09:42.19 ID:c9vzQMuh0
夕張「まだ正気に戻ってない!?」

榛名「早く、そのシステムを切りなさい!」

明石「だからダメなんですよ。外部から操作を受け付けませんし」

榛名「なんで、そんな危険なものを作ったんですか!」

明石「すいませんっ」

榛名「止める方法はないのですか?」

夕張「島風ちゃん自身がシステムに打ち勝つか・・・」

明石「あのヘルメットごと破壊するか・・・」

榛名「あれだけを破壊するのは難しいと思います」

下手したら島風の頭部ごと吹き飛ぶことになるだろう。

榛名「島風ちゃん・・・皆は貴女を悪く言わないです」

榛名「仲間を信じましょうよ・・・」

榛名「他の人間はともかく・・・・」

榛名「この鎮守府の仲間は・・・裏切りませんよ!」

明石(提督が絡んでなければね)ボソッ

夕張(静かにっ!)シッ

923: 2015/05/04(月) 03:11:01.26 ID:c9vzQMuh0
島風「・・・う・・・ああ・・・」

榛名「そして・・・提督は・・・・」

榛名「提督は絶対、私達を裏切りませんっ!!」

島風「・・・て・・い・・・とく・・・?」

そうだ。

提督は私にあんなことは言わないハズだ。

それは私が一番よく分かってるじゃないか。

今まで、ずっとあの人を見てきたのだから・・・

島風(違う。あれは嘘。幻・・・)

榛名「そんなキチOイが作ったマシンに負けないで!!」

明石(あれ? さりげなくディスられてます?)

夕張(しっ!! 少し黙って)

それに鎮守府の皆もあんな酷いことは言わない。

私に嫌な幻影を見せないで。

そんな未来は絶対にない。絶対に。

私は馬鹿だ。提督を好きだと言っておきながら・・・

あんな幻を信じて暴れて・・・

今ならハッキリ言える。そんなものは全部幻だって。

ありえないって。

もう、こんな機械に惑わされない。

924: 2015/05/04(月) 03:11:40.73 ID:c9vzQMuh0
システム「ピピピピピピッ」

島風(五月蝿いっ!! 私は・・・・)

島風(アンタなんかに・・・)

島風(負けないっ!!!!!)

強い意志で自我を保つと、

突然、目の前に沢山の何かが見えた。

時間にして一瞬。それはありえるかもしれない未来たち。

まだ確定していない未来。

その中のひとつに確かに見た。

私が進むべき未来。心から望む世界の姿が。

そうか。そこへ行ける可能性はあるんだ。

それだけでとても安心できた。

システム「ピー」

明石「システムを制御した・・・?」

夕張「やった!!!」

島風「う・・・」ヨロッ・・・

榛名「島風ちゃんっ!!!」ダキッ

島風「はる・・・な・・・?」

925: 2015/05/04(月) 03:12:43.08 ID:c9vzQMuh0
榛名「良かったです・・・」

島風「へへっ・・・ただいま」

榛名「おかえりなさい」

そう言って笑う榛名の笑顔は、とても美しく自愛に満ちていた。

南方(まさか本当に押さえ込むなんて・・・)

その一連の出来事を遠くから観察する者達が居た。

偵察に出ていて、偶然にも一部始終を目撃したものの、

榛名と南方艦隊の凄まじい戦いを前に硬直して入り込めなかった

深海棲艦の名も無き部隊だった。

ヌ級「あの暴れ狂っていた駆逐艦を鎮めたぞ・・・」

ロ級「あの表情・・・なんて神々しい・・・まるで天使・・・」

イ級「どうする? 南方棲鬼様を助ける?」

ヌ級「やめておこう。あの戦いを見ただろう」

ロ級「氏にに逝くようなもんですよ」

ヌ級「最近、妙なことを言っている連中の話は本当だったんだ」

リ級「おいおい、どうした? 皆して情けない!」

イ級「リ級?」

リ級「私は一人でも行く。今の奴なら満身創痍でロクに戦えないハズだ」

ロ級「おいっ!我々はただの補給部隊だぞ!待て!行くな!!」

926: 2015/05/04(月) 03:14:29.51 ID:c9vzQMuh0
リ級「やってやる! 泊地棲鬼だって戦って出世したんだ! 私だって!」

イ級「・・・あいつ行きやがった」

リ級は速度を上げて一人、榛名達へと向かう。

勝てる。相手はあんなにも傷ついて戦える状態ではないハズだ。

きっと殺れる。今なら・・・

そして南方棲鬼を救出してみせれば・・・

こんな、ちまちま偵察ばかりする部隊からおさらばできる。

リ級「氏ねぇぇっ!!!」

リ級は砲撃する。この一撃で全てが決まる。そう確信していた。

榛名「!!」ガシッ ピュー

しかし、榛名は片手で島風を抱きしめながらも、

もう片方の手で飛んで来た砲弾を掴むと、

飛んで来た勢い以上の速度で投げ返した。

リ級「なっ!?」

そして砲弾はリ級を貫通し、リ級は沈んだ。一瞬のことだった。

榛名「なに? まだ生き残りが・・・?」

夕張「危ないなぁ」

明石「・・・大丈夫ですか?」

榛名「ええ、榛名は大丈夫です」

927: 2015/05/04(月) 03:15:22.82 ID:c9vzQMuh0
ヌ級「・・・おい、見たか」

イ級「ええ、すぐ帰りましょう」

ロ級「あれ不味いですって敵対したら氏にますよ確実に」

深海棲艦達の意見は全員一致し、海の底へ帰っていった。


榛名「2人とも、島風ちゃんを頼みます」

明石「え? はい」ダキッ

榛名「すいません、待たせました」

南方「・・・さっさと頃してちょうだい」

南方「これ以上・・・無様な姿を晒したくないの」

榛名「ええ、さようなら・・・」ガチャッ

島風「・・・待って・・・・はる・・・な」

榛名「島風ちゃん・・・・?」

島風「その・・・人・・・頃しちゃ・・・だめ」

榛名「・・・・何故です?」

島風「さっき・・・見えたの・・・」

島風「その人は生かした方が良いって・・・」

島風「システムが教えてくれた・・・」ガクッ

榛名「島風ちゃんっ!?」

928: 2015/05/04(月) 03:16:19.85 ID:c9vzQMuh0
明石「大丈夫、気を失っただけですよ」

榛名「そのシステム・・・信用できるんですか?」

夕張「・・・多分?」

榛名「でも、どうしましょう・・・レベルが・・・」

明石「ちょっと待ってくださいね・・・」ピッ

明石「あれ? 榛名さん、簡易レベル測定器で見たところ・・・」

明石「貴女、もう99になってるわよ」

榛名「え・・・え・・・?」

榛名「・・・やりました・・・ついに・・・」

榛名「やりましたよっ!! 提督っ!!」

榛名「痛っ・・・安心したら痛みが・・・」

明石「簡易的ですが、榛名さんに応急処置をしますね」ガチャガチャ

夕張「流石、工作艦ですねぇ」

榛名「・・・ありがとうございます」

夕張「あと、これを食べてください」

榛名「・・・これは間宮羊羹?」パクッ

夕張「どうです?」

榛名「すごい・・・傷が治って・・・」

929: 2015/05/04(月) 03:21:59.29 ID:c9vzQMuh0
夕張「なんでも修復剤に似た効果があるらしいですよ」

明石「でも完全回復には及びませんので帰還後に入渠してくださいね」

榛名「ええ、分かってます」

榛名「さて・・・貴女の処遇ですが・・・」

南方「・・・・・・」

榛名「捕虜になってもらいます」

南方「私に拒否権はないわ。負けたんだもの」

南方「負けと認めた以上は従うわ。好きにすれば?」

夕張「大丈夫かなぁ・・・連れ帰って」

明石「艤装は全て破損して攻撃手段もなく・・・」

明石「腕も肘から下は損傷してるし・・・」

明石「鎮守府内にはもっと強い艦娘が数名いるからね」

榛名「そうですね」

明石「大丈夫でしょ」

南方「安心しろ。何もせん」

南方「まぁ捕まっても私は何も話さんし・・・」

南方「貴様らになんのメリットもないがな?」

南方「不要になったら消せばいい」

榛名「それは提督が決めることです」

930: 2015/05/04(月) 03:22:55.15 ID:c9vzQMuh0
夕張(勝手に出撃して捕虜取って・・・怒られそう)

榛名「さぁ・・・帰りますよ皆さん」

夕張「はーい」

明石「ちょっと・・・」

明石「島風ちゃんを背負って航行って・・・」

明石「私だけ重労働じゃないですか!!」

榛名「私は南方棲鬼を曳航してるんで・・・」

夕張「今日は疲れたので・・・」

明石「私も疲れてますよ!!?」

島風「・・・ん・・・むにゃ・・・zzz」

夕張(それにしても・・・)

夕張(なんでコントローラーでシステムの強制停止が出来なかったのかなぁ)

ガチャ

夕張(あっ・・・電池の向きが・・・逆)

榛名「・・・? どうしました?」

夕張「なんでもないですよ」

夕張(・・・見なかったことにしよ)

こうして榛名達は鎮守府に戻って行った。

捕虜にした南方棲鬼を連れて・・・

931: 2015/05/04(月) 03:24:06.43 ID:c9vzQMuh0
駅のホーム

提督「帰ってきたなぁ・・・」

鈴谷「鈴谷どうせなら1週間くらい2人でブラブラしたかったな」

提督「あのなぁ・・・旅行じゃないぞ?」

鈴谷「ねぇ・・・なんかホームが騒がしくない?」

提督「なんだろうな? 有名人でも来てるのか?」

電車から降りると町民達でごった返してた。

ちなみに艦娘達が一人も迎えに来ていないのは理由があった。

それは出張時の送り出しはOKだけど、迎えに行くのはNGと言う

艦娘達の間の独自ルールのせいである。

艦娘・鎮守府内条約第5条によると、戻ってくる時は2人きりが許されている。

(他にも細かいルールはある)

なお、条約を知った上で破ると失格と見なされ、

提督に関する全ての権利を失うことになるが、艦娘の間では隠語を使い徹底して

守秘していることもあり、提督はそんなルールが存在していることすら知らなかった。

過去に仲間を出し抜いて迎えに行った艦娘が数名おり、

最後に出し抜いた翔鶴が出張に同行していた瑞鶴と

姉妹丼を画策した為に厳しくルールが設けられたのだった。

繰り返すようだが無論、提督は知らない。

932: 2015/05/04(月) 03:25:00.45 ID:c9vzQMuh0
町民『提督さん!!お帰りなさいっ!』

『祝!提督帰還!』等の大きな横幕を持った市民達は

大きな拍手で提督の帰りを喜んだ。

提督「え?・・・え?」

鈴谷「・・・提督、何かしたの?」

提督「・・・さぁ?」

握手を求められて、律儀に応じながらようやく帰路についた。

提督「・・・なんか機嫌悪くないか?」

鈴谷「・・・別にぃ?」

鈴谷(綺麗な女性と握手してさぁ・・・)ハイライトオフ

鈴谷(何、あの女達。顔赤らめてキャーキャー言ってさ)

鈴谷(提督も提督だよ。いちいち応じて・・・)

提督(・・・すごい機嫌悪そうじゃないか)

タクシーで帰るつもりだったが、鈴谷が歩いて帰ろうと言い出したので

徒歩で帰ることにした。

鈴谷「んっ!」

提督「・・・なんだ?」

鈴谷「だーかーらー手を繋ごうっての!」

提督「別に構わないが・・・」

933: 2015/05/04(月) 03:25:45.29 ID:c9vzQMuh0
鈴谷「そうしたら許す」

提督「何を許されるのか知らんが・・・ほら」ギュッ

鈴谷「えへへ・・・」

提督「こんなんで喜んでくれるなら安いものだな」

鈴谷「別に安い女じゃないからね?」

提督「別にそんなこと言ってないだろう」

鈴谷(提督と手を繋ぐだけで・・・心が満たされる)

鈴谷(・・・ありがとう提督。私を大事にしてくれて)

鈴谷(大好きだよ・・・)

鈴谷(なんて面と向かってまだ言えないけどさ)

鈴谷(そう遠くない未来、言うからね?)

提督(なんか幸せそうだなぁ鈴谷。良かった)

提督(これからも大変な戦いがあるだろうけど・・・)

提督(君達を誰一人失わないように全力を尽くすから・・・)

提督(よろしくな・・・)

2人して互いを想い、笑いあった。

元々、ここから鎮守府までは歩いても20数分程度。

そこまで遠い距離ではない。

934: 2015/05/04(月) 03:27:00.98 ID:c9vzQMuh0
徒歩で戻ることは鈴谷が少しでも2人きりで居たかった為に

発案したことであったが、

結果として様々なモノを目撃するハメになった。

例えば帰り道の公園での子供達の声。

子供1「提督ビィーーーームッ!!」

子供2「うわぁぁ!!」ドサ

子供3「くらえ!しんかいパンチ!」

子供1「提督は空をマッハで飛ぶから当たらないぜ!!」

鈴谷「・・・提督って空飛べるの?」

提督「飛べるわけ無いだろう・・・」

鈴谷「・・・ビーム出せるの?」

提督「いや、俺は人間だから・・・」

鈴谷「でも子供達が・・・」

提督「子供だから・・・想像力豊かなんだろう」

次に見たのは体が不自由なお年寄りに寄り添い、

横断歩道を渡らせてあげる若者だった。

提督「いまどき珍しい若者だな」

鈴谷「提督も若いでしょ。ん? こっちに来るね」

若者「提督さん、この前はありがとうございます!」

提督「え?」

935: 2015/05/04(月) 03:27:37.16 ID:c9vzQMuh0
若者「俺、心を入れ替えました!」

提督「そっ・・・そうですか」

若者「貴方のような人に成れるよう・・・頑張ります!」

提督(なんかしたっけ・・・)

若者「では、この後は友人と町内のゴミ拾いをするので!失礼します!」

鈴谷「・・・何したの?」

提督「・・・・俺が知りたいよ」

お年寄り「提督様・・・戦神さまじゃ・・・ありがたや」

提督(・・・なんか拝まれてる!!?)

さらに漁港を通りかかった際は漁師達に感謝され胴上げされた。

分けも分からず水揚げされたばかりの新鮮な魚介類を

お土産に沢山貰ってしまった。

鈴谷「ねぇ・・・本当に何したの?」ジトメ

提督「だから・・・俺が知りたい」ゲンナリ

こうして2人は鎮守府に帰ってきた。

余談ではあるが帰宅に徒歩を選ぶ行為は他の艦娘達を驚愕させた。

そんな手があったなんてと。

タクシーで帰宅するのが当たり前だった常識を打ち破った行動。

これを賞賛する者も居れば、あまりの策士ぶりに腰を抜かす者も居た。

以外にも盲点だったらしかった。

936: 2015/05/04(月) 03:30:40.40 ID:c9vzQMuh0
投下完了。
何時も感想ありがとーございます。
ただいまイベント攻略中・・・
E6を後2回・・・
その後は掘りが・・・あばばば
禿げそうです。
早く安らかに過ごしたい・・・

また近いうちに投下します。

937: 2015/05/04(月) 07:59:48.35 ID:41ML9CCXO
もう鈴谷ヒロインでいいでね

939: 2015/05/04(月) 09:32:59.01 ID:rc7V694W0
提督ビームで不覚にも吹いた

962: 2015/05/10(日) 02:59:27.75 ID:BiqOOEvv0
執務室

葛城「よろしくお願いします」

提督「よろしく頼む」

青葉「それでは、彼女を案内してきますね」

提督「ああ、ありがとう青葉」

葛城「失礼しましたっ!」ビシッ

ガチャ バタンッ

青葉「葛城さんでしたか・・・ようこそ鎮守府へ」

葛城「よろしくお願いしますね青葉さん」

青葉「では鎮守府内を見て回りましょう」

葛城「はいっ!」

青葉「ここは食堂です」

葛城「うわぁ・・・広いですね」

青葉「所属している人数が多いですから」

葛城「券売機で券を買う感じなんですねぇ」

青葉「ええ。そうです。メニューも豊富ですよ」

葛城「なんですかこれ? 提督丼って・・・」

青葉「提督が好きな丼ですね。提督の好みに合わせて作っています」

葛城「なんで提督丼?」

青葉「提督がよく頼むので皆も真似して何時しかそう呼ばれるようになりましたね」

葛城「本人に許可取ってるんですか?」

青葉「ええ、ちゃんと取ってますよ。それに、この名前にしてから売り上げが上がったそうです」

葛城「へっ・・・へぇ・・・・」

青葉「紹介しますね。こちらの方々が調理しています」

間宮「よろしくね。私がここを任されています間宮です」

青葉「間宮さんのゴハンはとても美味しいんですよ」

葛城(間宮さんかぁ・・・天城姉に声がそっくりだなぁ・・・)

963: 2015/05/10(日) 03:00:19.71 ID:BiqOOEvv0
葛城「よろしくお願いします」ペコリ

間宮「ええ、夫の指揮は間違いないから安心していいわよ」ニコッ

葛城「へ? あの、間宮さん結婚しているのですか?」ボソボソッ

青葉「いえ、彼女の妄想です。お気になさらずに」ボソボソッ

青葉「こちらが伊良湖さん。間宮さんの補助や甘味も作ってます」

伊良湖「よろしくお願いします」ペコリッ

葛城「ええ、こちらこそ」ペコリッ

伊良湖「旦那様のことよろしくお願いしますね」

葛城「あの・・・彼女も婚約されているので?」ボソボソッ

青葉「彼女も妄想が激しいので気になさらずに」ボソボソッ

葛城(妄想力豊かな2人が食事当番と・・・覚えた。情報は大事よね)

青葉「他にも臨時で手伝う方が居ますが、その辺は追々・・・」

葛城「分かりました」

青葉「じゃあ次いきましょうか」

それからあちこち案内された。

葛城「あの、なんか会う人、会う人が提督のことを夫と自称してますけど・・・」

青葉「全て妄想、妄言です。みんな現実逃避してるんですよ」

葛城「この鎮守府、大丈夫なんですか!?」

青葉「大丈夫どころか、戦果はかなりのものですよ?」

青葉「あまりに非常識なモノは報告してませんが・・・」

葛城「非常識・・・?」

青葉「単艦で敵艦隊殲滅したり、素手で姫級殴ったり・・・」

葛城「またまた・・・冗談ですよね?」

青葉「・・・・・・」

葛城「・・・・え?・・・え?」

964: 2015/05/10(日) 03:01:03.46 ID:BiqOOEvv0
青葉「なので報告すると問題あるのは無かったことにしてます」

葛城(え?マジで?・・・なんなのこの鎮守府)

青葉「貴女は提督の事どう思いました?」

葛城「会ったばかりですけど・・・優しそうな人だなぁって」

青葉「好き?」

葛城「会ったばかりですよ!? まぁ良さげだなぁとは思いましたけど」

青葉「良い人ですよ。本当に。心の底から愛しています」

青葉「他の人に会わせないように閉じ込めちゃいたい程に」ハイライトオフ

葛城「え・・・?」ゾクッ

青葉「・・・どうしました?」

葛城「いいえ、なんでも・・・青葉さんは戦闘以外で普段は何をしてますか?」

青葉「新聞作ってますよ」

葛城「新聞ですか・・・?」

青葉「鎮守府のこととか、提督のこととか、提督のこととか、提督のことを記事にしてます」

葛城「・・・提督のことばかりですね」

青葉「それが一番売れるんですよ」

葛城「ニーズに答える為なんですねぇ・・・」

青葉「そうですね。やっぱり皆が知りたいことが一番ですから」

葛城「提督さん、好かれているんですね・・・」

青葉「ええ、皆大好きですよ」

葛城「ええ、ここまでの案内でよく分かりましたよ・・・」

青葉「ははは・・・ですよねー」

葛城「でも話を聞くと、男女逆のセクハラじゃないですか?」

葛城「あんまり度を外すのも如何なものかと思いますが・・・すいません生意気言って」

青葉「確かに・・・もしもこの鎮守府の男女が反転したら・・・」

965: 2015/05/10(日) 03:01:52.27 ID:BiqOOEvv0
青葉は妄想する。

提督(女)「何時もありがとうね」ナデナデ

金剛(男)「提督っ!!バーニンッラーーーブッ!!」ダキッ

提督(女)「ちょっ・・・止めなさいっ!!」カオマッカ

金剛(男)「提督の匂いデースッ!!」スリスリ

提督(女)「ちょっとぉっ!へんなものおしつけないでー!」

とか


提督(女)「むにゃ・・・zzz」

イムヤ(男)「さぁて・・・今日こそ夜這いを・・・」

翔鶴(男)「させませんっ! 今日こそ私がっ!!」

扶桑(男)「いいえ、貴方達を行かせません。私が添い寝を・・・」

加賀(男)「ここは譲れません・・・」

とか


提督(女)「~♪」

時雨(男)「今日こそ・・・入浴中の提督の裸体を・・・」

夕立(男)「拝んじゃうっぽいっ!!」

瑞鶴(男)「艦載機・・・いけぇぇぇっ!!! 写真撮ってきてっ!!」

とか


夏場の薄着の提督のシャツから見える胸板でハァハァしてるのも、

性別が代われば女性の胸を見ている男の集団に・・・

青葉(それに提督が女子だったら間違いなく可愛い・・・犯罪臭が・・・)

自室の壁360度全てに貼ってある提督の写真も性別が逆転するだけで・・・

盗聴や盗撮も・・・これは・・・

青葉「思った以上に犯罪臭い!?」

葛城「今更ァ!?」

966: 2015/05/10(日) 03:02:46.83 ID:BiqOOEvv0
青葉「でも、大丈夫です」

葛城「何がですか・・・?」

青葉「私達、艦娘は女の子。提督は男性。問題ないです」

青葉「多少は発覚しても笑い話で済みます」

葛城「そうかなぁ・・・本当にそうかなぁ」

葛城(この鎮守府おかしくない?・・・気のせいじゃないよね)

青葉「話を戻しますが、オフの日は新聞作りと、提督の盗撮や盗聴ですね」

葛城「やっぱり気のせいじゃなかった!!」

青葉「何がです?」

葛城「・・・そんなことして大丈夫なんですか?」

青葉「皆やってますよ?」

葛城「へぇ・・・え? 皆やってるのぉ!?」

青葉「常識ですよ」

葛城「私の知ってる常識と違うっ!!」

青葉「・・・全ては愛ですよ」

葛城「愛・・・愛って犯罪すれすれなんですねぇ」

青葉「だから辛いんです恋って」

それから寮への案内に移った。

青葉「ここは寮ですね。皆さんここで暮らしてます」

葛城「へぇ・・・綺麗な所ですねぇ」

青葉「寮全体の掃除は当番制ですので、連絡ボードを見てくださいね」

葛城「あの入り口にあった奴ですね」

青葉「後、出撃する娘以外は基本的に自由ですので各自演習したり、好きに時間を使えます」

葛城「へぇ・・・割と緩い感じなんですね」

青葉「常にリラックスして万全の体制でってのがウチの方針ですので」

葛城(良い環境みたいね・・・提督以外が皆おかしいけど)

967: 2015/05/10(日) 03:03:25.04 ID:BiqOOEvv0
青葉「葛城さんの部屋は天城さんと同室になりますね」

葛城「姉はもう着任してるんですね」

青葉「もう少しで帰ってくるので私の部屋で待ちましょうか」

ガチャッ

葛城「お邪魔します・・・」

葛城(机の上が書きかけの記事でいっぱい・・・)

青葉「散らかってますけど、好きにくつろいでくださいね」

葛城「ありがとうございます」

青葉「お茶をいれてきますねー」

葛城(あれ・・・?)

葛城(壁紙がめくれてる・・・?)

葛城(下に何か・・・)

見るな。そう本能が警戒していたが、好奇心からつい捲ってしまう。

パラッ

葛城「・・・え」

少しめくると壁紙がパラリと剥がれた。

葛城「何これ・・・?」

現れたのは提督の写真。

それも壁一面にびっしり・・・

葛城「・・・・・・え?」

青葉「・・・・・・何してるんです?」

葛城「ひっ!?」

何時の間にか扉が開いていて青葉が居た。

手に持つトレーにはお茶が2つ。

968: 2015/05/10(日) 03:04:14.67 ID:BiqOOEvv0
お茶を入れて持ってきてくれたのだろう。

葛城「いえ・・・その・・・」

青葉「ダメですよ・・・めくっちゃ・・・」

青葉はニコニコ笑っているが、目だけ笑っておらず、

とても恐ろしく感じた。

葛城「あの・・・これは・・・?」

青葉「何って愛の記録ですけど?」ハイライトオフ

青葉「それが・・・何か?」

葛城「いえ・・・あの・・・その・・・」

恐くて1秒でも早くここから逃げたい。

葛城「あのっ・・・失礼しました!!」

そう言って足早に部屋から出ようとする。

扉まで後少し。やけに扉まで長く感じる。

ドアノブに手をかけたその時、肩を掴まれた。

葛城「ひゃぁうっ!?」ビクッ

青葉「何をそんなに慌てているんです?」

青葉「ああ、びっくりしちゃいました?」

青葉「ごめんなさいね」

葛城「あう・・・あの・・・ああ」

言葉が上手く出ない。

青葉「まぁ何を思おうがいいですけど・・・」

青葉「提督に告げ口はしないほうがいいですよ?」ニコッ

葛城「っ!!!」ゾクッ

葛城「はいっ!!失礼しまひゃた!」

上手く口が動かず、呂律が回らないが、そう叫ぶと一目散に逃げ出した。

969: 2015/05/10(日) 03:05:00.04 ID:BiqOOEvv0
青葉「あちゃぁ・・・まぁ・・・ですよね」

葛城は全速力で廊下を駆ける。

曲がり角で誰かにぶつかりそうになって慌てて止まる。

睦月「ひゃぁわ!?」

如月「なぁに?・・・誰?」

葛城「すいませんっ! ごめんなさいっ!」

会ったばかりの彼女達に自己紹介と、

先ほどの青葉の話をする。彼女が異常だと共感者が欲しかった。

だが・・・

睦月「え?・・・それおかしいことにゃし?」

如月「別に普通よね?」

睦月「別に普通だと思う。普通だよ」ハイライトオフ

如月「ええ、何一つ間違いはないわ」ハイライトオフ

彼女達は私をじっと見る。

その瞳には光が無かった。

まるで異質なのは私の方だと言わんばかりの顔だ。

恐怖を感じてまた走りだす。

睦月「なんだろうね?」

如月「・・・さぁ?」

葛城(なんなの!? ここなんなのっ!?)

ドンッ

葛城「きゃっ!?」

天城「・・・葛城?」

葛城「姉さん!?」

天城「どうしたの? 慌てて・・・」

970: 2015/05/10(日) 03:06:23.75 ID:BiqOOEvv0
葛城「助けてっ!!!」ダキッ

天城「よく分からないけど私達の部屋に行こう?」

葛城「・・・うん」

そして天城の部屋に来る。

ここが今日から自分の部屋になる。

天城「貴女はそっちのベッドを使って。生活に必要なものは揃えてあるから」

葛城「・・・ありがとう」

天城「それで? どうしたの?」

葛城「実は・・・」

先ほどまでのことを話す。

天城「え? 別に普通のことよ?」

葛城「え!? あれが?・・・普通?」

天城「疲れているのかな? 今日はもう休んだら?」

葛城「・・・ごめん。少し外の風に当たってくるね」

ガチャッ  バタン

天城「どうしたのかしら・・・?」


なんとなく頭が混乱して、鎮守府の港から海を見る。

葛城(私が・・・おかしいのかな?)

提督「どうした? こんな所で」

葛城「提督!? いえ、なんでもありませんっ」ビシッ

提督「いや、敬礼はいいよ。今は職務外だ」

葛城「ありがとうございます」

提督「どうだった? この鎮守府は」

葛城「色々と既存の常識が消し飛びました」

提督「え・・・? なんか不味い所があったか?」

葛城(提督はご存知ないのかしら・・・)

971: 2015/05/10(日) 03:07:20.44 ID:BiqOOEvv0
言おうとしたけど、先ほどの青葉の言葉を思い出し、

身の危険を感じて口を閉じた。

提督「・・・葛城?」

葛城「いえ、提督に問題はないと思いますよ」

提督「・・・そうか。何か生活に不便があれば何でも言ってくれ」

葛城「ありがとうございます。ですが、私は艦です」

葛城「戦うこと以外に望みはありませんよ」

そう言うと提督は悲しそうな顔をする。

どうしたと言うのだろう。戦うことが私達の存在意義なのに。

提督「確かに、君達には危険な戦闘を強いてしまうかもしれない」

提督「だが、戦うこと以外にも楽しいって思えることを見つけて欲しいな」

提督「好きなこと、楽しいこと、そういうのを沢山知ってさ・・・」

提督「それがここに絶対帰ってくる、生きて戻る、そういう原動力になって欲しい」

提督「それが生きる力に、頑張ろうって力になると俺は思う」

葛城「まるで・・・人間みたいですね」

提督「君達は軍艦の能力を持っているが、人間だよ」

提督「考えて、笑って、怒って、悲しんで・・・どこにでも居る女の子だ」

提督「少なくても俺はそう思ってる」

葛城「・・・甘いですね」

提督「ああ、よく言われるよ」

972: 2015/05/10(日) 03:08:04.94 ID:BiqOOEvv0
提督「今日から君も俺達の家族だ」

葛城「家族・・・?」

提督「これは皆に言っていることだが・・・」

提督「同じ場所に暮らし、寝食を共にし過ごす」

提督「とても大事な家族だ。だから、何かあったら頼ってくれ」

提督「上官とか部下とかじゃなく、仲間として、家族として・・・」

提督「俺は君達を守る。絶対に生きて、帰って来られるように全力を尽くす」

提督「だから・・・これからよろしくな?」

葛城「はいっ」

何時の間にか心は落ち着きを取り戻していた。

不安も恐怖も消えた。

この人は本当に私達、艦娘を大事にしてくれているようだ。

まだ出会ったばかりで、全てを知ってるわけじゃないけど、

この人の指揮下に入れて良かったと思った。

私達を守る。その言葉が純粋に嬉しかった。

葛城(なら私は・・・)

提督を守ろう。

この鎮守府の仲間はどこかおかしい。

まだ完全に把握してないが、彼女達の魔の手から提督を守ろう。

この優しい人が傷つかないように。

そう思った。

973: 2015/05/10(日) 03:08:43.39 ID:BiqOOEvv0
そして月日は流れて・・・

新人「今日からお世話になります」

葛城「貴女が新しく来た艦娘?」

新人「はい、よろしくお願いします」

葛城「では、提督。彼女を案内してきます」

提督「ああ、頼む」

鎮守府内を案内していく。

新人「あの・・・会う人、皆さんが提督と結婚していると主張してるのは・・・?」

新人「話の内容的にカッコカリじゃなくてガチですよね?」

葛城「皆、妄想癖があるのよ」

新人(・・・大丈夫なのこの鎮守府)

葛城「あれ?青葉?」

青葉「ああ、どうしました? 新人の案内ですか・・・」

葛城「ええ。そうよ」

青葉「それよりどうです?これ・・・」スッ

新人(提督の写真・・・?)

葛城「へぇ・・・中々良いアングルじゃない」

青葉「でしょ? 苦労しましたよ」

葛城「どうやって盗撮したの?」

青葉「天井にカメラを・・・」

新人(盗撮っ!?)

974: 2015/05/10(日) 03:09:47.94 ID:BiqOOEvv0
葛城「へぇ・・・じゃあ、私がこの前撮ったコレはどう?」スッ

青葉「これはっ!? 提督の寝起き!! どうやってこれを!?」

葛城「提督の寝室の本棚に隠しカメラを・・・」

青葉「そうか! 提督が先月本棚の位置を変えたから・・・」

葛城「そう、あそこに仕掛けるとベストショットが撮れるのよ」

青葉「その手があったかぁ・・・」

新人「あの・・・盗撮って不味いんじゃ・・・?」

青葉「いえ、大丈夫です」

葛城「愛よ。提督を見守ってるだけよ」

新人「・・・愛!?」

葛城「大丈夫、貴女もすぐ慣れるわ・・・」ハイライトオフ

青葉「ええ、きっと楽しい毎日になりますよ」ハイライトオフ

新人「ああ・・・ああ・・・」ゾクッ

それからすぐ、新人も順応した。

鎮守府は今日も平和だった。

975: 2015/05/10(日) 03:11:27.00 ID:BiqOOEvv0

移動のお知らせ


司令室

青葉「司令部より緊急入電です。このスレはもうすぐ消えます」


下記へ移動してください。

提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」 その2


青葉「なんでしょうねこの連絡事項」

衣笠「衣笠さんは上の考えることはよく分からないな」

976: 2015/05/10(日) 03:15:21.64 ID:BiqOOEvv0
感想何時もありがとうございます。
新スレ立てました。

まだ結構余っていたので急遽、話を作りました。
オマケみたいなもので、あまり時空列は気にしない方向で(汗

では引き続きお願い致します。

また、このスレは埋めて下さると助かります。
では失礼。
うわぁ・・・もうこんな時間・・・

977: 2015/05/10(日) 03:15:48.11 ID:9P1TyrZ+o


引用: 提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」