332: 2017/05/25(木) 23:38:33 ID:b48eFJe.


【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「?」【前編】
【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「?」【後編】

【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「?」Part.2【前編】
【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「?」Part.2【後編】

【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「?」Part.3【前編】
【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「?」Part.3【後編】

【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「?」Part.4【前編】
【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「?」Part.4【後編】

【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「……そうだな」R2【前編】
【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「……そうだな」R2【後編】

【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「……そうだな」R2 Part2【前編】
【コードギアス】ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「……そうだな」R2 Part2【後編】

~数日後 中華連邦~

カレン「……はぁ」

天子「どうしたんですか?カレンさん」

カレン「あーら天子ちゃん、また遊びに来たの?」

天子「これでも私、ナンキンジョウタイという奴なのです」

カレン「難しい言葉知ってるのね」

天子「まぁ見張りがいる訳では無いですし、要は政治に口出しできないように、というだけですけど」

天子「だから、ある意味毎日暇なのです」

カレン「なーるほろ」

天子「それでどうしたんですか?」

天子「もう30分くらいそうしてますけど」

カレン「え?マジ?」
バンプレスト コードギアス 反逆のルルーシュ EXQフィギュア ~ルルーシュ・ランペルージ~ (プライズ)

333: 2017/05/25(木) 23:45:50 ID:b48eFJe.
カレン「んー、色々分からない事だらけでさ」

カレン「ちょっと怪しい情報が出てきたんだけど、私の勘違いだってことしか言ってくれなくて」

カレン「まぁ向こうに戻ってから聞けばいいんだけどさ」

カレン「もやもやするのよ」

天子「ちょっとわかります、その気持ち」

天子「星刻もわたくしには何も教えてくれないのです」

天子「もう子供ではないのに」

カレン「……」

天子「カレンさん?」

カレン「ああ、ごめんごめん」

カレン「なんかそう考えるとさ」

カレン「あたし難しいこと苦手だし、子供扱いされてる方が楽だなって気持ちもある」

カレン「そんなこと考えてて」

334: 2017/05/25(木) 23:50:15 ID:b48eFJe.
天子「それは……」

天子「いえ、でもやっぱりわたくしは」

天子「自分のこと、周りのことをちゃんと知りたいです」

天子「知らないところで誰かが傷付くのは、もう嫌だから」

カレン「……そうね」

カレン「ん、やっぱり天子ちゃんは偉いよ」ナデ

天子「そ、そうですか?」

カレン「あたしも見習わないと」

カレン「家族をささえられるくらいには、しっかりしたいなぁ」

天子「家族、ですか」

カレン「あ、ごめんなさい」

335: 2017/05/26(金) 00:26:58 ID:8sfwil3A
天子「?」

天子「あ、いえ、別に暗くなっていた訳ではないのです」

カレン「でもご両親は」

天子「ええ、確かにもう居ませんが……」

天子「でも、完全に居ないという訳でもないんです」

カレン「?どういうこと?」

カレン「って、ごめん、あたしズケズケ聞いちゃう癖あるみたい」

天子「いえ、大丈夫ですよ」

天子「実は、私の本当のお母様はもういらっしゃらないのですが」

天子「義理の母がいるのです」

カレン「そうなの?」

天子「ええ……関係が良かったとは言い難いですけど」

336: 2017/05/26(金) 00:45:46 ID:8sfwil3A
カレン「今はその人も……?」

天子「いいえ、ご存命です」

天子「尤も、病に臥せって居られますが」

カレン「病気?」

天子「ええ、そもそも今の大宦官たちがこの国を支配していられるのは」

天子「正確に言えば皇后の代理という立場があるからなのです」

天子「わたくしの補佐をするという立場は、本来皇后であるお義母様が付くべきものですから」

カレン「でもご病気じゃ仕方ないわよね」

天子「……もともと、あの方にとってわたくしはあまり好ましくない存在でしょうからね」

天子「ごめんなさい、結局暗くなってしまいました」

カレン「ははは、それを言ったらあたしのせいなんだから気にしないで」

カレン「でも知らなかったな、よく考えてみればあたしこの国の仕組みとか全然知らないのよね」

337: 2017/05/26(金) 00:55:56 ID:8sfwil3A
天子「ふふふ、それなら一緒にお勉強しますか?」

天子「わたくしも星刻に教わっている所なのです」

カレン「それいいかも、知ってて損ないものね」

天子「お仕事の後で宜しければ星刻にお願いしてみます」

カレン「やったー!天子ちゃん愛してるー」ギュッ

天子「わ、わわっ、恥ずかしいですカレンさん!」

カレン「んー、丁度いいサイズ感よね」

カレン「いいじゃない、ここ男ばっかりでつまらないのよー」

天子「むぅ」

天子「カレンさんは不安にならないですか?女性1人というのは」

カレン「まあずっと1人ってわけじゃないし」

338: 2017/05/26(金) 01:21:01 ID:8sfwil3A
カレン「それに、なんというか」

カレン「そういうの慣れてるのよね、騎士団にいた頃も似たような状態だったし」

カレン「ま、今はみんな必氏だからね」

カレン「でも、もしあたしが皆に襲われたら助けてね」

天子「わ、わたくしに出来るかしら」

カレン「頼りにしてるわー」

カレン「あたしもこんなに可愛い子が笑顔でいられる国造りに協力したいもの」

カレン「頑張らないとね」

天子「ごめんなさい、結構お邪魔をしてしまいました」

カレン「へーきへーき、どうせ今はまだ部品の慣らしと調整がメインだもの」

カレン「でも、そのうちもっと大きく進んでくるわ」

カレン「あたしの師匠はすんごい技師でもあるんだから」

344: 2017/05/27(土) 02:00:16 ID:0elLDHq.
~エリア11 政庁~

スザク「……」カリカリ

シャーリー「……」サラサラ

ロロ「……」

咲世子「……」

スザク「…………」カリカリ

スザク「……あの、何か?」

ロロ「別に」

ロロ「兄さんとCCがあんな状態なのでする事がないだけです」

咲世子「私はお手伝いの為に待機しています」

スザク「咲世子さんは休んでいた方がいいんじゃないかと」

咲世子「不覚は取りましたが、生憎とそこまでヤワには出来ておりませんので、ご心配なさらず」

スザク「……そうですか」

シャーリー「……」サラサラ

スザク(めちゃくちゃ居心地が悪い)

345: 2017/05/27(土) 02:06:04 ID:0elLDHq.
スザク「シャーリーも別にここじゃなくて、別の所で仕事してもいいんだよ?」

シャーリー「ううん、大丈夫」サラサラ

スザク「そ、そっか」

スザク(一体何が大丈夫なんだ)

スザク(どうにも、ルルーシュが居ないことで皆妙に浮き足立ってるというか)

スザク(改めて、僕らを動かしてたのはルルーシュなんだと痛感するね、ほんと)

スザク(僕も何か手伝えればと思ってたけど、皆を纏めることはまだできそうもないや)

スザク(でも、これが連日となったら、僕が一番先にダウンしそうだ)

スザク(ただでさえ慣れないデスクワークだし、何か考えないと)

咲世子「何かご用事ですか?」

スザク「え?」

咲世子「いえ、こちらを見ていらしたので」

346: 2017/05/27(土) 02:10:55 ID:0elLDHq.
スザク「………えっと、別に…」ピコン

スザク「!!いや、咲世子さんちょっと外に付き合ってくれるかい?」

咲世子「ええ、もちろんです」

スザク「ロロ、悪いんだけどもしほかの部署から承認依頼が来たら僕に連絡してくれないかい?」

ロロ「別に構わないけど」

ロロ「いいの?これでも僕らは情報部から出向してる」

ロロ「まあわかり易く言えばスパイだけど」

シャーリー「ちょっと、私まで巻き込まないでくださいよ」

ロロ「そう?君は君で何か考えがありそうだけど」

シャーリー「そんなことないです」

ロロ「あ、そ」

347: 2017/05/27(土) 02:13:04 ID:0elLDHq.
ロロ「何でもいいけど、僕らはここでは立場一緒なんだし、普通に喋ってくれない?」

ロロ「歳も君の方が上でしょ」

シャーリー「そういう訳には……」

スザク「と、ともかくよろしく」

スザク「大丈夫、ルルーシュが信じてる2人だから、僕も信じるさ」

スザク「じゃあ、夕方には戻るから」ダッ

咲世子「それではお2人とも、後はおまかせ致します」

咲世子「私も信じてはいますが、ここで不穏な動きをされると」

咲世子「あまり楽しくない展開にならざるを得ないので、そこだけはご注意下さいませ」

ロロ「脅し?」

咲世子「いえ、業務連絡のようなものです」

咲世子「それでは」パタン

348: 2017/05/27(土) 02:17:36 ID:0elLDHq.
ロロ「……はぁ、色々面倒だな」

シャーリー「釘刺されちゃいましたね」

ロロ「……で?」

シャーリー「え?」

ロロ「どこまで踏み込んでるわけ?こっち側に」

シャーリー「こっち側?」

ロロ「……」

ロロ「まぁいいや」

ロロ「それなら、あんたはなんでここに来たの?」

シャーリー「それは、もともと学生時代に過ごした土地ですし」

ロロ「普通に話していいって」

ロロ「元を辿れば同じ情報部、腹の探り合いばっかりしてても仕方ないし」

349: 2017/05/27(土) 02:21:14 ID:0elLDHq.
シャーリー「私は別に……」

ロロ「命令した方がいい?」

シャーリー「……はぁ、分かったわよ」

ロロ「そうそう、素直が一番ってね」

シャーリー「素直から程遠い感じだけどね、あなたも」

ロロ「それはあんたもでしょ」

ロロ「狙いは兄さん?それともCC?」

シャーリー「腹の探り合いはなしなんじゃないの?」

ロロ「探り合いじゃなくて、一方的に聞いてるだけだから」

シャーリー「……」

シャーリー「さっきから兄さん兄さんって、ルルのことでしょ?」

シャーリー「ルルの家族はナナちゃんだけのはずだけど」

350: 2017/05/27(土) 02:28:12 ID:0elLDHq.
ロロ「その辺は色々あるんだよ」

ロロ「信じられないとは思うけど、僕も別にあんたが憎いわけでも、あんたのやりたいことを邪魔したいわけでもない」

ロロ「ただ、立ち位置だけ知りたい」

シャーリー「立ち位置?」

ロロ「今のところ、僕はここの連中の動きを出来るだけ見ておきたい」

ロロ「見極めたいこともある」

ロロ「だから、そのためにもあんたの動きは僕にとって結構重要なんだ」

ロロ「多分、あんたにとって僕がそうであるように、ね」

シャーリー「……」

シャーリー「確かに、信じられないよね」

シャーリー「特に私達みたいな仕事をしてると」

ロロ「……それもそうだね」

351: 2017/05/27(土) 02:40:10 ID:0elLDHq.
シャーリー「そもそも、君と違って」

シャーリー「私に出来ることはそんなに多くないの」

シャーリー「だから気にしなくていいわ、少なくとも誰かの邪魔をする余裕なんて、今の私にはないから」

ロロ「ふーん」

ロロ「あんたさ、情報部についてどう思ってる?」

シャーリー「?」

ロロ「正確に言うと、そこの実質的トップのシュナイゼルのことをさ」

シャーリー「別に、特別なことはないけど」

シャーリー「お会いしたのも1度だけだし、報告も直接は全然」

シャーリー「ここに来る時に、どうしてお話したのか分からないくらい」

ロロ「なるほどね」

352: 2017/05/27(土) 02:48:28 ID:0elLDHq.
ロロ「やっぱり、あんた情報部向いてないよ」

シャーリー「え?」

ロロ「一応訓練や基本はやって来たんだろうけど、実際に体験として身についてない」

ロロ「ま、それならそれでって感じだけど」

シャーリー「ちょっと、どういうこと?」

ロロ「あんたその作業あとどのくらいでできる?」

シャーリー「え、さ、30分くらいだけど」

ロロ「どうやら兄さんのために頑張りたいみたいだし、その手伝いをしてあげるよ」

シャーリー「……信じる根拠は?」

ロロ「あのスザクって人の言葉は?」

ロロ「これでも僕は、あんたよりは兄さんに近い所にいるんだよね」

ロロ「ま、完全に仲間ってわけじゃないけど」

353: 2017/05/27(土) 02:54:48 ID:0elLDHq.
シャーリー「……」

シャーリー「いいわ、確かに君の言うことも正しいし」

シャーリー「でもあまり甘く見ないで欲しいわね、私だって半端な気持ちでここにいる訳じゃないんだから」

ロロ「?怒ってるの?」

シャーリー「そりゃあ、バカにされたら誰だって怒るわよ」

ロロ「ああ、別にバカにした訳じゃないよ」

ロロ「単純に向いてないって思っただけ、向き不向きは誰にでもあるでしょ」

シャーリー「……ムカつく子ね、ほんと」

ロロ「?」

シャーリー「……はぁ、とりあえず見せてもらうわよ、君の言う手伝いってやつ」

ロロ「きっと気に入るよ」

354: 2017/05/27(土) 03:03:45 ID:0elLDHq.
ロロ(この女、思っていた以上に何も知らされていないみたいだ)

ロロ(シュナイゼル側でもないようだし、本当に兄さんの事だけ考えてここに来たんだろうけど)

ロロ(これは兄さんの弱点になる、こいつを何もさせずにここに置いてるのがいい証拠だ)

ロロ(そして、僕の保険には丁度いい、兄さんが失敗した時はこいつを人質にすれば安全に元の立場に戻れる)

ロロ(ごめんね兄さん、でも、僕も生きるために必氏なんだ)

ロロ(ここの居心地は昔に比べたらマシだから、上手くいくように協力はするけど)

ロロ(あんまり期待はずれなことすると、すぐ見限っちゃうよ、あまっちょろい兄さんとは違うから)

ロロ(ね?)

シャーリー(何か変だわ、この子)

シャーリー(よく分からないけど、ちょっと怖い……)

シャーリー(……でも、私は逃げない)

シャーリー(確かめなきゃ、ルルのためにも、私のためにも)

359: 2017/05/28(日) 02:05:18 ID:WF.3DwU2
~庭園~

スザク「………ふぅ」

咲世子「お疲れのようですね」

スザク「それはもう」

スザク「一時の代わりなら、と思ってましたけど、やっぱりルルーシュが居ないと」

スザク「みんなバラバラな感じですね」

咲世子「それは、きっとルルーシュ様も分かっているはず」

咲世子「それでも、信頼している枢木卿にお願いされたのです」

スザク「はぁ、嬉しいような重いような」

スザク「あ、そうだ」

スザク「抜け出しついでに医務室に行こう、コーネリア様も目覚めているかも」

360: 2017/05/28(日) 02:49:31 ID:WF.3DwU2
咲世子「そうですね」

咲世子「ヴィレッタさんも大丈夫かしら」

スザク「そうだね、久しぶりな上に2年間どこに居たのかも直接聞きたいし」

スザク「あの時の状況も詳しく聞かないと」

スザク「とにかく、まずは皆が快復するといいんだけど」

咲世子「……そうですね」

スザク「咲世子さんは、あの時の侵入者のことはよく分からないのかい?」

咲世子「見たことない人間なのは間違いありませんが」

咲世子「およそ人間の動きではありませんでしたし、警戒するに越したことはないかと」

スザク「咲世子さんより?」

咲世子「少なくとも、私より速く動く人間は久しぶりに見ましたわ」

スザク「な、なるほど」

361: 2017/05/28(日) 02:56:09 ID:WF.3DwU2
スザク「咲世子さんが居れば大抵の事はどうとでもなりそうな感じだったけど」

スザク「敵が人間の範疇を超えてくると、そうも言ってられなくなるよね」

咲世子「ギアスという不確定要素もあります」

咲世子「これから明確に敵対することも考えて、なんらかの策は必要でしょうね」

スザク「いっそ僕らもギアスの契約をするっていうのはどうだろう?」

咲世子「それは認めてくれそうもありませんね」

スザク「ああ、あの2人なら怒るよね、きっと」

咲世子「それに、ギアスの力を得るには強い思いが必要とのことでしたけど」

咲世子「私にはそういった望みがありません」

362: 2017/05/28(日) 03:00:25 ID:WF.3DwU2
スザク「僕は……」

スザク「あれ、あそこにいるのって」

咲世子「あら」

ミレイ「だーかーらー、取材させて貰いたいだけなのよ」

ミレイ「ルルーシュに連絡をとって貰えば、許可は出してくれるはずよ」

職員「で、ですから、まだ事件があってから日も浅く」

職員「総督閣下の安全のためにも、極力政庁内に部外者を立ち入らせないことになっていまして」

リヴァル「そこをなんとかお願いしますよ~」

職員「し、しかし……」

スザク「会長!」

ミレイ「あら!スザク君じゃない」

職員「く、枢木卿」

リヴァル「スザク!」

363: 2017/05/28(日) 03:04:20 ID:WF.3DwU2
スザク「ご苦労様、この人たちは僕の友人だ」

スザク「あとは僕が何とかするから、君は持ち場に戻ってくれるかい?」

職員「は、はい、宜しくお願いします」タッ

スザク「……」

スザク「お久しぶりです会長、リヴァル」

ミレイ「もう、会長はやめてよね」

ミレイ「でもほんと久しぶり、いつぶりかしら」

リヴァル「ルルーシュもスザクもブリタニアとこっちを行き来してるから、なかなか会えないもんなぁ」

リヴァル「やっぱりその服似合ってるじゃん」

スザク「ははは、ありがとう」

ミレイ「咲世子さんも元気そうね!」

咲世子「はい、これでも頑丈なのです、私」

364: 2017/05/28(日) 03:09:10 ID:WF.3DwU2
スザク「とりあえず、こんな所で立ち話もなんだし」

スザク「今から医務室に行くところなんです、良かったらどうですか?」

ミレイ「医務室?またどうして?」

咲世子「襲撃事件の怪我人がまだ目を覚まして居ないのです」

スザク「事情は分からないけど、その中にヴィレッタさんもいるんです」

スザク「記事に出来るかどうかは分からないですけど、何か分かるかもしれないですし」

スザク「犯人探し、協力していただけると助かります」

リヴァル「お、そういうことなら」

リヴァル「……いや、でもカメラは流石にやめておいた方がいいよな」ピッ

ミレイ「そうね……いい気分の話ではないだろうし」

ミレイ「まぁいいわ、どうせ取材は口実で、ルルーシュに会いに来ただけだもの」

ミレイ「連絡しても全然返事がないから、心配になっちゃって」

スザク「その当たりも道すがら説明しますよ」

372: 2017/05/30(火) 01:05:43 ID:g1f/TVi.
~医務室~

ミレイ「なるほどねぇ」

リヴァル「皆目覚めないのか?」

ヴィレッタ「……」

コーネリア「……」

スザク「そうみたいだね」

咲世子「ギルフォードさんたちは軽傷だったようですが」

咲世子「お2人は侵入者の攻撃をまともに受けていましたから」

ミレイ「咲世子さんは大丈夫だったの?」

咲世子「こう見えても色々装備しておりますので」

ミレイ(色々ってなんだろう)

咲世子「咲世子は着痩せするタイプなのです」

リヴァル「へぇ……」

ミレイ「くぉら、ヤラシイ目で見るな」ベシ

373: 2017/05/30(火) 01:11:14 ID:g1f/TVi.
マオ「おや、みんな揃ってお見舞い?」ガラッ

スザク「あはは、やっぱり気になってね」

咲世子「マオ様、お手伝い頂き感謝します」

マオ「構わないよ、基本的に僕は暇だからね」

マオ「初めまして、ではないよね」

ミレイ「マオさんってことは、二年くらい前の……」

マオ「ミレイさんでしょ、前の写真に比べると、さらに綺麗になったみたいだね」

ミレイ「そ、そんなこと無いですけど」

マオ「そして、隣の君は……」

リヴァル「俺はリヴァル、リヴァル・カルデモンドです」スッ

マオ「よろしくリヴァル」ギュッ

マオ「さて、握手も済んだことだし、せっかくだからそこに座ってよ」

マオ「中華連邦から持ってきたお茶があるんだ、美味しいんだよ~」

374: 2017/05/30(火) 01:17:48 ID:g1f/TVi.
マオ「2人の身体はかなり回復してるんだけど」ズズッ

マオ「たぶん事件のショックが大きいんだろうね、なかなか目覚めないのは」

スザク「そういうものなのかい?」

マオ「ルルーシュもそんな感じだったから、分からなくはないんだ」

マオ「身体が元気になっても、心はそう簡単には治らないからね」

マオ「それに、2人とも軍やそれに類する訓練はしてるんだろうけど」

マオ「咲世子さんの話じゃほぼ不意打ちに近い攻撃を受けているし」

マオ「何より女性だからね、大の男が本気で殴ってくればそれだけでも衝撃は大きいさ」

ミレイ「なんだかゾッとしない話よね」

リヴァル「許せないですよね」

375: 2017/05/30(火) 01:29:40 ID:g1f/TVi.
マオ「僕もチラッと姉さんを撃ったやつは見たけど」

マオ「とても怖い感じだったよ、なんというか」

マオ「すごく人間味が薄いというか」

スザク「んー」

スザク「咲世子さん、そいつは国外には出てないんだよね?」

咲世子「ええ、船舶、航空機を使っての脱出はないと思われます」

咲世子「それらしき人物がエリア入りする姿は監視カメラに映っていましたが、事件当日からの映像には全く」

咲世子「小型の船での航行はその限りではありませんが」

スザク「ここから小型の船でって言うと」

マオ「ありえるのは中華連邦かな」

マオ「まぁでも、今の中華連邦がブリタニア相手にコトを構えるとは思えないけどね」

咲世子「それに、彼との会話からもブリタニア人ではないかと思います」

376: 2017/05/30(火) 01:39:44 ID:g1f/TVi.
マオ「言語のことならその通りかも知れない」

マオ「中華連邦のためにそこまでの危険をおかすほど愛国心が強いなら、伝わらなくても普段通り話すんじゃないかな」

マオ「あの国ではかなりの選民思想を教育するはずだからね、エリートであればあるほど」

マオ「それに、僕が最後に聞いた言葉も、ブリタニアに栄光あれ、だったし」

スザク「全てがフェイクって可能性は?」

マオ「無いとは言い切れないけど」

マオ「それだとわざわざ僕に聞かせたことになるし、微妙じゃない?」

スザク「確かに、どうせアピールするならもっと目立つことをしていたか」

咲世子「でもそうなると不可解な要素もまた増えます」

咲世子「ルルーシュ様の暗殺が目的だったのであれば、失敗した時点で大人しく去るべきなのに」

咲世子「ナナリー様を連れ去るためにわざわざ現場に残っている」

咲世子「あの状況でナナリー様を連れて逃走するリスクを負うなら、もっと別のタイミングを狙うのではないでしょうか」

咲世子「こう言ってはなんですが、ナナリー様はご自身では逃げられないのですから」

377: 2017/05/30(火) 01:48:50 ID:g1f/TVi.
ミレイ「え!?」

リヴァル「どういうことだよスザク!」

スザク「あ、そうか、2人には説明し忘れていたね」

スザク「ナナリーは攫われてしまったんだよ」

リヴァル「おい!そんなにアッサリ言えることじゃ……」グイッ

ミレイ「……待って、リヴァル」

リヴァル「会長……」

ミレイ「ごめんなさいね、あなたたちの方が悔しいわよね」

ミレイ「ナナちゃん、無事なの?」

スザク「……分かりません」

スザク「でも大丈夫です、ルルーシュがそう言ってました」

ミレイ「ルルーシュが?」

スザク「まだ説明出来ないと言ってましたけど」

スザク「たぶん、何か情報を持ってるんだと思います」

378: 2017/05/30(火) 01:53:59 ID:g1f/TVi.
リヴァル「じゃあルルーシュに聞けばいいじゃないか」

リヴァル「こんな所でウダウダしてないでさ!」

ミレイ「リヴァル!」

ミレイ「あんたはちょっと黙ってなさい」

スザク「まぁ、僕もそうしたいとは思うんだけどね、リヴァル」

スザク「でもルルーシュが今話さないってことは」

スザク「何か理由があるんだと思う」

スザク「だって、他ならぬナナリーのことなんだから」

マオ「そうだよね」

マオ「だから、僕らもルルーシュの手伝いをするために考えているんだよ」

マオ「妹と奥さん、1度に傷付けられて今一番辛いのはルルーシュのはずだからね」

リヴァル「……ごめん、俺」

ミレイ「反省したなら座りなさい、どうせあたしたちじゃ何も出来ないわ」

ミレイ「部外者が外からギャーギャー言っても、何も意味無いわ」

379: 2017/05/30(火) 01:59:27 ID:g1f/TVi.
ミレイ「正直悔しいわ」

ミレイ「後輩が困ってるのに、何もしてあげられないなんて」

ミレイ「……」

ミレイ「リヴァル、帰りましょ」

リヴァル「会長……」

ミレイ「もう会長じゃないわ」

ミレイ「ごめんなさい、ちょっと整理したいの」

ミレイ「私達に協力出来ることがあったらいつでも言ってちょうだい、これでも報道人なんだから」

リヴァル「……」

ミレイ「ほら、いくわよ」グイッ

リヴァル「お、俺に出来ることなら何でもするからな!」

ミレイ「病室で騒がないの」ガラッ

バタン

380: 2017/05/30(火) 02:03:24 ID:g1f/TVi.
スザク「……あー、やっちゃったよ」

マオ「たぶん、怪我人がいるとはいえ」

マオ「みんな無事だったと思ってたんだろうね」

マオ「ちょっと軽率だったかな、僕も」

咲世子「……私も気が抜けていたのかも知れません」

スザク「2人のせいじゃないよ、やっぱりモヤモヤしたままで」

スザク「……そのことから目をそらしてた僕のせいさ」

スザク「リヴァルの言う通りだよ、ルルーシュに聞けばいいんだ」

スザク「君は何を知っているんだい?って」

スザク「……なんだろうね、親友なのに」

スザク「最近はルルーシュがすごく遠くに居るようで、色々任せ切りになってる」

マオ「スザク……」

381: 2017/05/30(火) 02:12:47 ID:g1f/TVi.
スザク「僕もルルーシュと同じものを見られるようになりたいよ」

スザク「出来るかは分からないけど」

マオ「ルルーシュは色々抱えてるからね」

マオ「僕はあんまり気にしてないけど」スクッ

スザク「そうなのかい?」

マオ「僕はもともと記憶ないからね」チャプン

マオ「それに、何もかも分かっていなきゃ相手を理解出来ないってこともないんじゃない?」フリフリ

マオ「咲世子さん、良かったらお湯入れて来てくれる?」

マオ「これ空になっちゃった」

咲世子「かしこまりました」

マオ「……行ったかな?」

382: 2017/05/30(火) 02:15:25 ID:g1f/TVi.
マオ「スザク、僕はさ」

マオ「君の感じること、ちょっと分かるんだ」

スザク「?」

マオ「ルルーシュは、僕について何か大事なことを未だに隠してる」

マオ「なんとなく分かるんだ、聞こえてくるというか」

マオ「でも、一緒にいた2年くらいの間、僕は1度もそれを聞かなかった」

マオ「なんでか分かるかい?」

スザク「……いや」

マオ「だって、それがルルーシュの優しさだったからさ」

スザク「優しさ?」

マオ「そう、優しさ」

383: 2017/05/30(火) 02:18:43 ID:g1f/TVi.
マオ「ルルーシュは、皆の分の苦労とか、そういうのを背負い込む癖があるんだよね」

マオ「もともとそうだったのか、それとも色々あってそうなったのかは分からないけど」

マオ「でも、そんなルルーシュだから、きっとみんなこう思うんだよ」

マオ「ルルーシュの力になりたいって」

マオ「スザクもそうだろ?」

スザク「……」

マオ「ルルーシュは決して、僕らを信じてない訳じゃない」

マオ「むしろ信じているから、そんな僕らを守るために黙っていることもあるんだ」

マオ「スザク、人を理解するのに必要なのは、相手の考えを100%知ることだと思うかい?」

384: 2017/05/30(火) 02:23:22 ID:g1f/TVi.
スザク「……分からないよ」

スザク「僕は分からないんだ、ルルーシュが何を抱えていて、何に苦しんでいるのか」

スザク「少しでもその苦労を……」

マオ「分かって、それでどうするんだい?」

スザク「え?」

マオ「分かっても、スザクがルルーシュになる訳じゃない」

マオ「境遇も違う、考え方だって根本はきっと違ってる」

マオ「でも、僕達人間は同じ目的のために一緒に頑張れるだろう?」

マオ「人を理解するってそういうものだと思うんだよ」

385: 2017/05/30(火) 02:26:12 ID:g1f/TVi.
マオ「きっと、こうすればあの人のためになるはず」

マオ「こうやれば、役に立てるはず」

マオ「そりゃあ失敗することだってあるけど」

マオ「でも上手くいった時、1人では出来なかったことができるようになる」

マオ「だから面白いんじゃないか」

スザク「マオ……」

マオ「総督代理のことも悩んでるんだったら」

マオ「ルルーシュならこうする、じゃなくて」

マオ「スザクならどうするのか、考えてみたらどう?」

スザク「僕ならどうするか……?」

386: 2017/05/30(火) 02:29:45 ID:g1f/TVi.
マオ「そうさ」

マオ「ルルーシュはスザクなら出来ると思ってお願いしたんだ、僕もスザクなら出来ると思うよ」

マオ「君も、ルルーシュと同じで優しいみたいだからね」

スザク「……うん、ちょっと考えてみるよ」

マオ「あはは、偉そうに言っちゃったけど、僕もまだまだ分からないんだけどね」

マオ「いやぁ恥ずかしいこと言っちゃった」

咲世子「ただいま戻りました」

マオ「さすが咲世子さん、ナイスタイミング」

マオ「ま、もう1杯飲んでいきなよ、スザク」

マオ「なかなかイケてるだろう?このお茶」

スザク「……あはは、そうだね!」

咲世子「うふふ」

392: 2017/05/31(水) 02:27:12 ID:x5DJjsGY
ルルーシュ「む」

CC「どうされました?」

ルルーシュ「いや」

ルルーシュ「少し痛かった」

CC「まぁ!申し訳ございません!」

CC「もっと優しくします」

ルルーシュ「ああ、頼む」

ルルーシュ「さすがの俺も、そこは鍛えようがなくてな」

CC「そうですよね……」

CC「でも少しずつ慣れてきてますよ、私も」

CC「やり甲斐があります」

ルルーシュ「そうか……」

ルルーシュ「まぁ慣れるのはいいことだ、引き続き頑張ってくれ」

CC「はい!」

393: 2017/05/31(水) 02:30:32 ID:x5DJjsGY
ルルーシュ(CCも随分打ち解けてくれるようになったな)

ルルーシュ(そもそもかつての主人の仕打ちがトラウマのようになっていたのだろうが)

ルルーシュ(まあいい傾向だろう)

ルルーシュ(何かあれば連絡は来るはずだし)

ルルーシュ(この状態のCCを放っておくわけにも行かないからな)

ルルーシュ(……ナナリーを攫った連中が、次にCCを狙ってくる可能性も十分にある)

ルルーシュ「CC、反対側も頼む」

CC「はいはーい、じゃあふわふわしますね」クリクリ

CC「……」フー

CC「よし、耳掃除片方、綺麗になりました」

ルルーシュ(……まぁこれはこれでいいものだ、うん)

394: 2017/05/31(水) 02:42:48 ID:x5DJjsGY
ルルーシュ(特区の方は相変わらず変化なしか)

ルルーシュ(中華連邦の方も順調だという話だし)

ルルーシュ(まあ時間がかかるのも仕方ない、今は待ちの1手)

ルルーシュ(つまりはそういうことだ)

CC「大きいのみつけました」

ルルーシュ「取れそうか?」

CC「痛くしないように頑張ります」

ルルーシュ「任せたぞ、CC」

ルルーシュ(俺は決してサボっている訳では無い、じっと機会を伺っているんだ)

ルルーシュ(誰に咎められることでもない)

395: 2017/05/31(水) 02:52:40 ID:x5DJjsGY
ルルーシュ(アーニャに聞きたいことが山ほどあるが)

ルルーシュ(あれ以降なぜか避けられているようだし)

ルルーシュ(ナナリー……)

ルルーシュ(だが、今は無事を祈るしかない)

ルルーシュ(ここで慌てても無意味だ、無理にでも落ち着かないとな)

CC「……もう少しです」

ルルーシュ「最後まで気を抜かないようにな」

CC「もちろんです」

ルルーシュ(そう考えると、今のCCは最適だな)

ルルーシュ(もともとこういうマイペースというか、のんきな性格だったのかもしれないな)

CC「取れました!大物です」

ルルーシュ「よくやった、褒めてやろう」ナデナデ

CC「う、うふふふ」ニマ

396: 2017/05/31(水) 03:03:43 ID:x5DJjsGY
ルルーシュ「食事にするか」

ルルーシュ「今日は完全にフリーだし、食材もメイドが届けてくれたしな」

CC「それなら私が作りましょうか?」

ルルーシュ「いいさ、どうせすることもないんだ」

ルルーシュ「さっきのお礼もしたいしな」

CC「お、お礼なんて必要ないです!」

CC「私は当然のことを……」

ルルーシュ「CC、前も言ったが」

ルルーシュ「今のお前は奴隷ではない、俺も助けてもらったら礼はするし」

ルルーシュ「もちろんお前の働きには感謝している」ナデナデ

CC「で、でも」

ルルーシュ「すぐに慣れろとはいわないが、そういうものだと納得してくれ」

ルルーシュ「な?」

CC「……は、はい」

397: 2017/05/31(水) 03:08:10 ID:x5DJjsGY
ルルーシュ(現状はCCのことも心配だ)

ルルーシュ(ナナリーの捜索も指示している、今は記憶の隅にしまっておこう)

ルルーシュ「CC、何が食べたい?」

CC「そ、それではさっぱりしたものがいいです」

CC「あぶらもの、苦手なので」

ルルーシュ「そうか、それなら……」

CC「な、なにか手伝うことはないですか?」

ルルーシュ「……んー」

ルルーシュ「じゃあ、少しだけ手助けしてもらえるか?」

CC「はい!喜んで!」

398: 2017/05/31(水) 03:11:33 ID:x5DJjsGY
ルルーシュ「どうだ?美味いか?」

CC「とっても美味しいです」

CC「食べすぎちゃいそう」

ルルーシュ「そうかそうか、それは良かった」

ルルーシュ「好きなだけ食べてくれ、おかわりもあるぞ」

CC「あ、ありがとうございます」

ルルーシュ「食べ終わって少し休んだら、今日も文字の練習をしよう」

CC「はい!頑張ります」モグモグ

ルルーシュ「ほら、張り切りすぎて零すなよ」

CC「気をつけまふ!」モグモグ

ルルーシュ「はは、全く……」

399: 2017/05/31(水) 03:16:24 ID:x5DJjsGY
~夜~

ルルーシュ「そろそろ寝るか、CC」

CC「そうですね」

CC「今日はいろいろな言葉を覚えました」

ルルーシュ「ああ、偉いぞ」

ルルーシュ「そのうち手紙も書けるようになるかな」

CC「てがみ!」

ルルーシュ「楽しみだな」

CC「はい、とっても楽しみです」

CC「それでは、私はあっちで」

ルルーシュ「CC、お前はベッドで寝てもいいんだ」

ルルーシュ「昨日も言っただろう?」

CC「……そうでした」

400: 2017/05/31(水) 03:18:01 ID:x5DJjsGY
ルルーシュ「電気、消すぞ」

CC「はい」

ルルーシュ「悪いな、ベッド一つしかなくて」

CC「いえ」

CC「なんだか、不思議と懐かしい感じがします」

ルルーシュ「……早く思い出せるといいな、記憶」

CC「はい」

CC「ルルーシュ様のためにも頑張ります」

ルルーシュ「……そうだな」

CC「ここに来てから」

CC「不思議がいっぱいです」

ルルーシュ「そうか?」

CC「はい」

401: 2017/05/31(水) 03:20:59 ID:x5DJjsGY
CC「知らないものだらけで」

CC「不安もありますけど、とても楽しいです」

ルルーシュ「……良かったじゃないか」

CC「ルルーシュ様も、今までのご主人さまとは全然違います」

CC「ご飯もお腹いっぱい食べられて、叩かれなくて」

ルルーシュ「……」

CC「今でも、こんな生活が夢なんじゃないかと」

CC「考えてしまいます」

ルルーシュ「……もしかしたら、夢なのかもしれないな」

CC「……」

ルルーシュ「なぁ、CC」

ルルーシュ「お前はどう思う?」

ルルーシュ「本当に、記憶を取り戻したいと思うか?」

402: 2017/05/31(水) 03:37:43 ID:x5DJjsGY
CC「私は……」

CC「思い出したいです」

ルルーシュ「……そうか」

CC「ルルーシュ様はいつも優しい目で私を見て下さいますけど」

CC「でも時々、すごく寂しそうに見えます」

ルルーシュ「……俺は、今のお前もいいと思う」

CC「でも、ルルーシュ様の知っている私は、今の私ではありません」

CC「やっぱり、それは良くないことです」

ルルーシュ「良くない?」

CC「本当の私がいるのなら、私は」

CC「元の私がここに居るべきだと思います」

403: 2017/05/31(水) 03:42:55 ID:x5DJjsGY
CC「私はもう、十分楽しみました」

CC「記憶が戻るまでは、出来る限りルルーシュ様のお手伝いをしたいと思います」

ルルーシュ「CC……」

ルルーシュ「まあそう難しく考えるな」

ルルーシュ「いつ記憶が戻るかなんて誰にも分からない」

ルルーシュ「記憶が有ろうと無かろうと、お前はお前だ」

ルルーシュ「俺の大切な相棒だよ」

CC「……はい」

404: 2017/05/31(水) 03:44:31 ID:x5DJjsGY
ルルーシュ「もう寝よう、話はまた明日だ」

ルルーシュ「おやすみCC」ナデナデ

CC「……おやすみなさい」

CC「ルルーシュ様の手も、とっても不思議です」

ルルーシュ「そうか?」

CC「はい」

CC「とても」

CC「……安心します」

CC「あったかいです」

ルルーシュ「……そうか」

410: 2017/06/02(金) 02:47:47 ID:usBDf1yg
~中華連邦~

星刻「……つまり、中華連邦という国の基礎には」

星刻「他民族による連邦制をとりつつも、その実は皇帝を中心とした独裁政治に近い統治システムが根付いている」

星刻「当然反発はあったが、強国ブリタニアによる侵略を意識せざるを得ない過去の情勢から」

星刻「最も数の多い漢民族を束ねる皇帝に従わざるを得なかったという事情もあり」

星刻「今は各民族の武力は大幅に削がれてしまい、現在まで継続されている」

カレン「なるほどねぇ」

カレン「つまり、思っていた以上にこの国自体は若いってことなのね」

星刻「その通りだ」

星刻「王朝自体は存在していたものの、時代ごとに統治者だけでなく、その民族すらも変わっている」

星刻「国土の広さもあって、いつの時代も争いは絶えなかった」

星刻「それを考えれば、皮肉なことだが現状が1番安定しているとも言える」

天子「……」スゥスゥ

411: 2017/06/02(金) 02:52:44 ID:usBDf1yg
カレン「あらら」

カレン「お姫様はおねむみたいね」

星刻「……本当は天子様にこそ学んで欲しいのだが」

星刻「仕方あるまい、政治ごとに興味が湧く年頃でもない」

星刻「時代が時代なら、何不自由ない生活を送れたのだろうに」

カレン「ほんと、まだ子供なのにねぇ」

カレン「あたし、この子をベッドに連れていくわ」ヨイショ

カレン「戻ったら、もう少しこの国のこと教えてくれる?」

星刻「もちろんだ、君に協力できるとしたらこのくらいしかないからな」

カレン「ありがとね」

412: 2017/06/02(金) 03:02:39 ID:usBDf1yg
カレン「……ふぅ」

カレン「天子ちゃんしっかり食べてる?」

カレン「ちょっと軽すぎじゃない?」ツンツン

天子「……にゅふ」スゥスゥ

カレン「ほんと、普通の女の子なのにね」

カレン「まぁお姉さんに任せときなさい、あなたが幸せになる手助けしたげるから」

カレン「……ま、統治者が幸せかは疑問だけど」

カレン「でも、そればっかりはどうしようもないかしらね」

カレン「お互い、生まれた環境に振り回されて辛いよねぇ」ツンツン

天子「ふふ……」スゥスゥ

カレン「でも大丈夫よ、あなたはあたしに似てるもの」

カレン「一緒に頑張りましょ、きっとルルーシュがなんとかしてくれるわよ」

カレン「すごいやつなんだから、強引だけど」

413: 2017/06/02(金) 03:12:02 ID:usBDf1yg
カレン「お待たせしました」パタン

星刻「気にする事はない」

星刻「さて、続きをはじめよう」

カレン「はい、先生!」

星刻「さて、さっきは中華連邦の統治体制に触れたが」

星刻「今はその皇帝もいない」

星刻「ではどうやって国を纏めているのかというと……」

カレン「大宦官ね」

星刻「その通りだ」

星刻「そもそも、大宦官とは何かは知っているか?」

カレン「ええと……」ペラッ

カレン「あった、大元は皇后に仕える役人なのよね」

星刻「まあ大雑把に言えばそんなものだ」

星刻「本来ならばそこまで大きな権力を握ることはないのだが」

星刻「今は状況が特殊なのもあって、かなり歪なことになっている」

414: 2017/06/02(金) 03:26:24 ID:usBDf1yg
カレン「特殊?」

星刻「現在、実際の権力を握っているのは、実は天子様だ」

カレン「え?」

星刻「これは今は亡き皇帝の遺言なんだ」

星刻「だが、天子様は知っての通りまだ幼い」

星刻「当時もそれが問題となり、成人されるまでは皇后が補佐をするということになったんだ」

カレン「へぇ」

カレン「その皇后さんは、自分が権力を握ろうとはしなかったの?」

星刻「どうだろうな、そういう狙いが無かったとは言えない」

星刻「だが、皇后は後宮に召し抱えられる前から身体が弱かった」

星刻「皇帝もそれを考慮して皇后には権力を握らせなかったのだろう」

星刻「言い方は悪いが、二度手間になる可能性もあるしな」

カレン「……さっきから気になってたんだけど、質問いい?」

415: 2017/06/02(金) 03:40:44 ID:usBDf1yg
星刻「?どうした」

カレン「星刻は皇帝さんとか皇后さんとか、嫌いなの?」

カレン「天子ちゃんには様付けなのに」

カレン「2人は呼び捨て?じゃない」

星刻「……そうだな」

星刻「少なくとも良い思い出はない、当然思い入れもない」

カレン「まあ別にいいんだけどさ」

カレン「でもどんな人だって天子ちゃんのご両親でしょ?」

カレン「そんな言い方したらあの子きっと気にしちゃうわ」

星刻「む……」

星刻「だが、天子様にとっても」

カレン「そういうので割り切れると思う?」

416: 2017/06/02(金) 03:44:20 ID:usBDf1yg
カレン「あたしも両親はあんまり好きじゃないけど、悪く言われたら少しは気になるわ」

星刻「……そういうものか」

星刻「ありがとう、気をつけることにする」

カレン「あ、ほんと別にいいんだけどね?ちょっと気になっただけだし」

カレン「で、遮ってごめんなさい、続きお願いできる?」

星刻「あ、ああ」

星刻「ともかく、大宦官はその皇后……陛下の病状悪化を理由に政治に介入してきたんだ」

星刻「最初は他の文官も抵抗はしていたんだが、粛清されたり懐柔され、今や逆らうものはいない」

カレン「んー……」

カレン「なーんかひっかかるのよねぇ」

星刻「ひっかかる?」

417: 2017/06/02(金) 03:50:27 ID:usBDf1yg
カレン「なんというか」

カレン「表面化してないだけで、今も火種というか」

カレン「今の状態をひっくり返す要素はありそうに感じるのよ」

星刻「?どういうことだ」

カレン「要は、逆らいたくても逆らえない人達がいて」

カレン「今この国を動かしてる連中も、言ってしまえば権威をカサにきてるだけでしょう?」

星刻「それはそうだが」

星刻「だが、国全体が疲弊しているからこそ、そういう権威が国民を動かす上では大きな意味を持っているんだ」

カレン「……」トントン

カレン「やっぱり、使える気がするのよねぇ」

カレン「ちょっとあたしに考えがあるんだけど、聞いてくれる?」

星刻「???構わないが……」

418: 2017/06/02(金) 04:02:12 ID:usBDf1yg
カレン「……どうかな?」

星刻「考えたことも無かったな」

星刻「そもそも、皇后…陛下がどういう考えか分からないこと、それに上手くいったとしても国を纏めることが出来るのかということも問題だ」

星刻「カレンが思っている以上に、この国の民族間の争いは根深い」

カレン「その辺は確かに、武力による威圧も必要じゃないかなとは思ってる」

カレン「でも、民族ごとの割合に差がある中で、彼らに発言権が生まれること自体には文句ないんじゃないかしら」

星刻「それは……」

カレン「あたしはブリタニア人と日本人のハーフだから、特区が出来るまでは表向き日本人の血について隠していたけど」

カレン「だからこそ特区が受け入れられた理由も何となくわかる」

カレン「だって、あそこでは望む人はみんな"日本人"になれるんだもの」

星刻「……」

星刻「想像でしかないが」

星刻「恐らくは、双方から批判があるだろう」

星刻「それこそ、これまでの中華連邦、いや中華という地域全体の根本を否定することになる」

419: 2017/06/02(金) 04:09:07 ID:usBDf1yg
カレン「でも、あなた達はもともとそうするつもりなんでしょう?」

カレン「大宦官を退けて」

星刻「君が言っているのは、そういうレベルを遥かに超越している」

星刻「ただでさえこの国は選民思想、中華思想が凝り固まった連中が多いんだ」

星刻「だから、その考えは机上の空論に過ぎない」

カレン「……」

カレン「やっぱりダメかぁ」

星刻「ある意味私たちでは考えもしない」

星刻「研究としては面白いとは思うが」

星刻「今日はここまでにしよう、またいずれ話せればと思う」

カレン「ええ、お願いね」

420: 2017/06/02(金) 04:15:34 ID:usBDf1yg
カレン(ダメなのかなぁ)

カレン(ルルーシュならこういう時どんなことするんだろ)

カレン(あー、やっぱりこういうこと考えるの苦手かも、あたし)ガシガシ

カレン(ナイトメアの設計が終わって、組み立てられるまでなら)

カレン(まだあたしも動ける)

カレン(あたしの考えがもっとまとまれば、ルルーシュがやろうとしてる方向とはズレちゃうけど)

カレン(きっとそれより良い結果になると思う)

カレン(……あくまで天子ちゃんにとって、だけど)

カレン(まぁ一番の肝がただの予想ってのがネックよね)

カレン(……)モヤモヤ

カレン(もう、考えるのやめた!)

カレン(思い立ったらすぐ行動、それがあたしらしいわよね、お兄ちゃん)

421: 2017/06/02(金) 04:24:12 ID:usBDf1yg
星刻(カレンの言っていたこと)

星刻(否定はしたが、たしかに出来るのであれば)

星刻(現状の難関である大宦官が居なければ政治が動かせないという状態からはある程度脱却できる可能性がある)

星刻(だが、どうやって彼らに納得させればいい?)

星刻(それに、天子様のこともある)

カレン『皇后さまってさ』

カレン『もしかして、さっき言ってた漢民族?じゃないとかない?』

星刻「……そんなことが有りうるのか?」

星刻「……がっ」ゴホゴホ

星刻「……ちぃ、病ごときで倒れていられないというのに……」

星刻(文官になるほどの政治の才覚もなく、武官としてはこの身体)

星刻「ままならないな、この世界は……」

427: 2017/06/02(金) 23:17:47 ID:kcknXBBs
ルルーシュ「CC、俺は買い物に行ってくる」

ルルーシュ「すぐ戻ってくるが、何かあったら連絡してくれ」

ルルーシュ「電話の使い方はわかるよな?」

CC「はい、バッチリ覚えてます」

ルルーシュ「よし、上出来だ」

CC「でもいいのですか?お買い物なら私が……」

ルルーシュ「いや、ついでにラクシャータたちの所も少し見てくるから」

ルルーシュ「お前はしっかり家を守っていてくれ」

CC「……分かりました、お気を付けて」

ルルーシュ「まぁまぁ、そう拗ねるな」

ルルーシュ「じゃあ行ってくる」

CC「いってらっしゃいませ、ルルーシュ様」

428: 2017/06/02(金) 23:28:59 ID:kcknXBBs
ルルーシュ「さて、出来るだけ早めに帰らないとな」

ルルーシュ(スザクとカレンのことも気になる、それに騎士団にも目を向けなければ)

ルルーシュ(ロイドさんのこともある)

ルルーシュ(やることは山積みだ、一つ一つでもなんとかしないとな)

ルルーシュ(……ん?)

アーニャ「ルルーシュ」

ルルーシュ「あ、ああ」

ルルーシュ「どうしたんだ?こんな所で」

アーニャ「少し話がしたいの」

アーニャ「いい?」

ルルーシュ(そうだ、アーニャにもナナリーのことを聞かなければ)

ルルーシュ(この子も謎が多い、警戒はしていかないとな)

ルルーシュ「……構わないさ、で?何だ?」

431: 2017/06/03(土) 21:16:50 ID:uUrETT3Y
アーニャ「信じて貰えるか分からないけど」

アーニャ「私は、普段私以外の人と一緒に生きているの」

ルルーシュ「???話が見えないんだが」

アーニャ「ちょっと違うけど、二重人格みたいな状態なの」

ルルーシュ「……それはまた、大変だな」

アーニャ「本当なの」

アーニャ「で、その人が言っていたことを、ルルーシュにも伝えたいの」

ルルーシュ「……まあせっかくだ、教えてもらおうか」

アーニャ「私も全部知ってるわけじゃないんだけど」

アーニャ「ルルーシュ、あなたはギアスって力を持っているでしょう?」

ルルーシュ「!」

アーニャ「待って、貴方の敵になるつもりはないの」

440: 2017/06/12(月) 22:11:36 ID:MQKQXO0A
アーニャ「少しでいいの、話を聞いて欲しい」

ルルーシュ「……」

ルルーシュ「いいだろう、俺も聞きたいことがある」

ルルーシュ「あっちのベンチでいいだろう、この辺りはどこでも人通りは少ないが」

アーニャ「うん……」

ルルーシュ「で?俺に話すこととはなんだ」

アーニャ「貴方と、そしてナナリーのこと」

アーニャ「そして、これから起きるかもしれないこと」

ルルーシュ「……聞こう」

アーニャ「まずは……」

441: 2017/06/12(月) 22:18:28 ID:MQKQXO0A
ルルーシュ「……信じ難いな」

ルルーシュ「つまり、このギアスイーターを使ってVVを倒すと」

ルルーシュ「ナナリーは俺にCCのコードを奪わせるための鍵だということだな?」

アーニャ「ええ」

アーニャ「だから、貴方には早く中華連邦のことを解決してもらって」

アーニャ「すぐに本国へ向かってもらう必要があるの」

アーニャ「ブリタニアとしても、中華連邦が新しい体制になったとなれば」

アーニャ「対処する必要が出てくる」

アーニャ「そうすれば、貴方は疑われずにペンドラゴンへ向かうことができる」

ルルーシュ「だが、そこからどうやってVVに会う?」

ルルーシュ「やては殆ど表舞台には出てこない、会うことができなければ俺の腕も使えないぞ」

442: 2017/06/12(月) 22:22:13 ID:MQKQXO0A
アーニャ「……」

ルルーシュ「なんとか言ったらどうだ?」

アーニャ「VVに会うことなら、簡単」

アーニャ「アーカーシャの剣に向かえばいい」

アーニャ「ナナリーも、そこにいるはず」

ルルーシュ「アーカーシャの剣?」

アーニャ「さっき言った、ナナリーに人格を上書きする装置よ」

アーニャ「そこにVVもいる」

ルルーシュ「待て、それはどこを探せばいい?」

アーニャ「あの人は」

アーニャ「ルルーシュなら分かるって」

ルルーシュ「……」

ルルーシュ「曖昧すぎる、信用するには情報が足りんな」

ルルーシュ「不確定要素が多い」

443: 2017/06/12(月) 22:32:19 ID:MQKQXO0A
アーニャ「でも、信じてもらうしかない」

アーニャ「もしタイミングを逃せば、ナナリーはナナリーで無くなってしまうのよ」

ルルーシュ「それも気になっていた」

ルルーシュ「それまでナナリーが無事だという保証がない」

ルルーシュ「考えたくはないが、すでにナナリーに上書きしている可能性もあるだろう」

アーニャ「それはないわ」

ルルーシュ「何故だ」

アーニャ「今はCCの力を、VVが感じられない状態にあるから」

アーニャ「アーカーシャの剣は万能じゃないの」

アーニャ「時間制限がある、ナナリーの脳に上書きしたとして、完全にVVの思考を保てるのはそう長くないわ」

アーニャ「だから、ナナリーを人質に取れる状態で、ルルーシュにCCのコードを奪わせないといけない」

ルルーシュ「随分杜撰な計画だな」

ルルーシュ「それにコードを奪わせたところで、そのうちVVは消えていくのなら」

ルルーシュ「おれは待つしかだけで有利になるんだろう?」

444: 2017/06/12(月) 22:42:09 ID:MQKQXO0A
アーニャ「どう説明すれば伝わるのか分からないけど」

アーニャ「ルルーシュ、貴方はCCとナナリー、どっちが大切?」

ルルーシュ「それは……」

ルルーシュ「決められないな、どちらも同じくらい大切だ」

アーニャ「それでも決めなきゃいけなくなるのよ」

アーニャ「そうなる前になんとかしたくはない?」

ルルーシュ「それはその通りだが」

ルルーシュ「話を逸らすな」

ルルーシュ「お前はまだ俺の知らない何かを知っているな?」

ルルーシュ「それを隠そうとするあまり、説明にボロが出ていると」クイッ

ルルーシュ「ギアスついでに、俺のギアスも知っているよな?」

ルルーシュ「無理やり聞いてもいい、知っていることを洗いざらい吐け」

ルルーシュ「頃しはしないが、痛い目にはあわせられるぞ?」

アーニャ「……くっ」

445: 2017/06/12(月) 22:47:51 ID:MQKQXO0A
アーニャ「……だめ、やっぱり私じゃ」

アーニャ「分かった、ちょっと待ってね」

ルルーシュ「分かっているとは思うが、余計なことをすれば容赦なく組伏せる」

アーニャ「大丈夫」

アーニャ「もう1人の私に出てもらうだけだから」

アーニャ「お願い、マリアンヌさま」キィィィィン

ルルーシュ「!?」

ルルーシュ(この光……!これはギアス!)

アーニャ?「……ふぅ」

アーニャ?「ダメでしょう?ルルーシュ」

アーニャ?「女の子が頑張っているのに、無理やり暴こうなんて」

アーニャ?「そんな子に育てた覚え、母さんにはないけど?」

ルルーシュ「……貴様は誰だ!」

ルルーシュ「俺の母マリアンヌは氏んだはずだぞ」

446: 2017/06/12(月) 22:53:49 ID:MQKQXO0A
マリアンヌ「そうね、肉体的には氏んじゃった」

マリアンヌ「でもね、私はこうして生きているの、この子の中で」

マリアンヌ「といっても、ちょっと無茶してるからタイミングを誤れば消えるハメになるけどね」

ルルーシュ「何故だ!なぜ今更あなたが出てくる」

マリアンヌ「ちょっと違うわね」

マリアンヌ「今更だから出てきたのよ、私は本当なら見ているだけの予定だった」

マリアンヌ「そう、貴方が神根島で無茶をしなければ、今この時点で私の目的は達成されていたはずだもの」

マリアンヌ「VVを破滅させることが、ね」

ルルーシュ「今度は俺に隠さず全てを話してくれるんだろうな?」

ルルーシュ「貴方が、氏んだ理由も」

マリアンヌ「やだ、そんなに敵意むき出しにされると怖いわ」

マリアンヌ「ちゃんと話すわよ、私の知っていること全部」

447: 2017/06/12(月) 22:57:32 ID:MQKQXO0A
マリアンヌ「まずはナナリーについてだけど」

マリアンヌ「VVが作戦成功を疑わなければ生きていられるはず」

マリアンヌ「逆に言えば、失敗したと思えば、躊躇いなく頃すと思う」

マリアンヌ「本当は、中華連邦攻略なんてやめて、すぐにでもブリタニアにいってほしいとも思っていたけど」

マリアンヌ「貴方たちのやりたいことも尊重してあげたいと思ってね」

マリアンヌ「幸い、私の能力は無防備であれば短い期間コード保持者にも通用するし」

ルルーシュ「……」

マリアンヌ「まだ信じてくれないのね、随分殺伐としちゃって」

マリアンヌ「本当のことよ、私は貴方の母親で、CCは私の親友なんだもの」

448: 2017/06/12(月) 23:02:54 ID:MQKQXO0A
ルルーシュ「……それで?」

ルルーシュ「続きを聞かせて欲しい」

マリアンヌ「さっきこの子も話していたけど」

マリアンヌ「VVはCCのコードを求めている、だから貴方と対面する時にCCも一緒の方がいいとも思ったの」

マリアンヌ「これも中華連邦攻略を進めて欲しい理由の一つね、気兼ねがない方が貴方たちも協力してくれるかなって」

マリアンヌ「ナナリーを連れ去られるのは想定内だったし」

ルルーシュ「分からない」

ルルーシュ「ナナリーを誘拐したのは、奴が目的のための算段をつけた、ということではないのか?」

マリアンヌ「ええ、そうだと思う」

ルルーシュ「だとすれば、当然俺やCCへのアプローチも考えているだろう」

ルルーシュ「仮にCCのコードが感じられないとしても、同じようにCCを誘拐すれば、話はもっと簡単に進むはずだ」

449: 2017/06/12(月) 23:10:56 ID:MQKQXO0A
マリアンヌ「あら、誰に似たのか本当頭が回るというか、冷静だこと」

マリアンヌ「もちろんその方法も取れると思うわ」

マリアンヌ「それに関しては、ルルーシュという存在そのものが邪魔をしているから無いとは思うけどね」

ルルーシュ「俺が?」

マリアンヌ「貴方はナイトオブゼロ、そしてあなたを呼ぶとなれば、当然シャルルの命令にしないと、VVは動けない」

マリアンヌ「あの人とVVは今あまり上手くいってないの、そのせいで」

マリアンヌ「VVはルルーシュをブリタニアに呼べない」

マリアンヌ「仮にルルーシュが自分から来るように仕向けたとしても」

マリアンヌ「シャルルに疑われること自体を避けたいと思うはずよ」

ルルーシュ「なぜそこまでシャルルを恐れる」

ルルーシュ「……まさか」

マリアンヌ「ええ」

マリアンヌ「アーカーシャの剣を使う間、VVはとても無防備になる」

マリアンヌ「VVの秘密を知っているシャルルなら、その間にコードを奪えてしまうほどにね」

450: 2017/06/12(月) 23:20:47 ID:MQKQXO0A
ルルーシュ「秘密?」

マリアンヌ「これはCCにも教える予定は無かったんだけど」

マリアンヌ「さすがは私の息子ね、ちゃんと説明しないと私ですら信じて貰えなさそうだから」

マリアンヌ「でもいい?これを知ったら」

マリアンヌ「貴方はもう、VVを倒すしかなくなってしまうわ」

マリアンヌ「それでも聞く?」

ルルーシュ「無論だ」

ルルーシュ「それも含めて、決めるのは俺だ」

ルルーシュ「それに、どんな絡繰があるにせよ、俺も欲しい」

ルルーシュ「貴方が母さんだという確信もな」

マリアンヌ「……ほんと、そういう所は私に似てるわ」

451: 2017/06/12(月) 23:30:08 ID:MQKQXO0A
~中華連邦 後宮~

カレン「天子ちゃん、準備はいい?」

天子「は、はい」

天子「でも大丈夫かしら、こんなことして」

カレン「立ち入り自体は禁じられてないんでしょ?」

カレン「それに、大宦官たちは天子ちゃんとお義母さんの仲が良くないと思ってるんでしょう?」

カレン「だったら、別に面会するのは不思議なことだとしても、それを止めはしないはず」

天子「そ、そうですよね」

天子「でも、そうまでして聞きたいこととはなんなのですか?」

452: 2017/06/12(月) 23:30:46 ID:MQKQXO0A
カレン「そりゃもちろん」

カレン「真実よ、もしかしたら」

カレン「ゼロが思うよりずっといい結果になるかもしれない」

カレン「せっかくあたしがここにいるんだもの、出来ることならなんだってやるわ」

カレン「だからごめんね、天子ちゃんに付き合ってもらっちゃって」

天子「わたくしは構いませんけど」

天子「星刻には怒られそうです」

カレン「その時は一緒に怒られましょ」

天子「お願いします、星刻は怒るととっても怖いから……」

453: 2017/06/12(月) 23:41:41 ID:MQKQXO0A
カレン「天子ちゃん、あたし普通に見える?」

天子「ええ、どこからどう見てもわたくしの従者です」

天子「ちょっと、なんというか」

天子「ナイスバディすぎますけど」

カレン「あ、あはは、なんか育っちゃったのよねぇ……」

天子「わたくしもそのくらいになるのかしら」

天子「人種の壁を感じます」

カレン「大丈夫よ、天子ちゃん今でもとっても可愛いし」

天子「ま、まぁわたくしは別にそこまで気にしてませんけど!」

天子「ただ、星刻と並んだ時、やっぱり子供のようだなと」

カレン「とりあえずまずは背を伸ばさないとね」

天子「が、頑張ります!」

カレン「それじゃあ早く用事を済ませて、早く寝ないと」

カレン「にしても随分広いところね」

カレン「それに対して全然人がいないわ」

454: 2017/06/12(月) 23:49:57 ID:MQKQXO0A
天子「ここは、大宦官たちの心臓です」

天子「仮にあの方が倒れた場合、彼らの権威は失墜し、今は抑えられている貴族達を束ねるのは難しくなるでしょう」

天子「だからこそ、ここには人がいないのです」

天子「誰1人、あの人の姿を知らないように」

カレン「病弱な人なんだったっけ」

カレン「なるほどね、これなら」

カレン「生きてるのか亡くなってるのか、誰にも分からないものね」

カレン「……ん?でもそれなら天子ちゃんが会いに来ることも止めたいんじゃ……」

455: 2017/06/12(月) 23:52:20 ID:MQKQXO0A
天子「だから、わたくしもそこが心配だったのです」

カレン「……あちゃー、それは確かに心配だわ」

カレン「天子ちゃん帰る?あたしだけでも後はなんとかなるし」

天子「……いえ」

天子「少し怖いですが、カレンさんがいますもの」

天子「それに、わたくしもお会いしたいのです」

天子「それに形式だけとはいえ、わたくしは大宦官よりここでの立場は上です」

天子「なんとかなります!」

カレン「おお!頼もしい!」パチパチ

463: 2017/06/16(金) 23:14:33 ID:BOC4odWA
カレン「しっかし」

カレン「ほんと、不用心すぎないかしら」

天子「何か嫌な予感がします」

カレン「そうね」

カレン「どこかに護衛がいるのかもしれないし」

天子「いえ、そうではなく」

カレン「あ、あれれ?」

天子「流石に人が少なすぎると思うんです」

天子「これでは、身の回りのお世話をすることもできないと思いませんか?」

カレン「そりゃあ確かにそうだけど」

カレン「広いお屋敷だし、時間も時間だから寝てる可能性もあるんじゃないかしら」

464: 2017/06/16(金) 23:25:12 ID:BOC4odWA
天子「それなら良いのですが」

天子「そろそろ、到着します」

カレン「とりあえず、天子ちゃんはあたしの後ろに居てね」

カレン「危なかったら、すぐに逃げるのよ」

天子「は、はい」

カレン「……ここね?」

天子「そうです」

天子「大きな扉……記憶の頃より大きく感じます」

カレン「開けづらいだけじゃないの、こんなの」

カレン「んぎぎぎぎぎ」ミシィッ

天子「カレンさん、お見せできないお顔に……!」

カレン「どうせ天子ちゃんしかいないからいいのっ……!」

カレン「お……も……い……ぃ!」ギシッ

465: 2017/06/16(金) 23:28:23 ID:BOC4odWA
天子「あ、そうでした」パンッ

天子「こっちに通る用の小さな扉があるんでした」キィッ

カレン「んなばかな!」どんがらがっしゃーん

天子「カレンさん!」

カレン「あ、あはは、いてててて」

天子「大丈夫ですか!?」

カレン「ダイジョブダイジョブ」

カレン「あたし結構頑丈だから」

カレン「そんじゃ、行きますか」

天子「はい、気をつけてくださいね」

カレン「もちのロンよ」

カレン「さて、鬼が出るか蛇が出るか」

カレン「たのもー!」バァンッ

466: 2017/06/16(金) 23:36:08 ID:BOC4odWA
カレン「……なによ、ここ」

天子「なんの匂いでしょうか……」

カレン「薬草かしらね」

カレン「にしても、ひどい臭い……」

カレン「こんなところに皇后様がいるの?」

???「何者じゃ」

カレン「……あちゃー、居そうじゃないの」

天子「お義母さま!」

皇后「……これはこれは」

皇后「よく妾に会いに来る気になったものじゃ」

皇后「……まぁ、久方ぶりの客じゃ、ゆるりと寛ぐがよい」

皇后「どうせ、やることもないし、の」

467: 2017/06/16(金) 23:48:08 ID:BOC4odWA
カレン「あの、皇后陛下?」

皇后「なんじゃ」

皇后「……む」

皇后「お主、この国のものではないな?」

カレン「はい、そうです」

カレン「少し聞きたいことがあって、ここまで来ました」

皇后「ふむ、いいじゃろう」

皇后「話だけなら聞いてやる、答えるかは妾次第じゃがな」

皇后「天子、妾を起こせ」

天子「は、はい」

皇后「すまぬな異邦人、もはや1人で起き上がることもできぬ」

カレン「構いませんよ」

カレン「それに、話し方も」

カレン「普通にして大丈夫です、天子ちゃんも分かっているはず」

皇后「……」

468: 2017/06/16(金) 23:58:42 ID:BOC4odWA
皇后「……妾の矜持じゃ」

皇后「天子の前では、妾は皇后でおらねばならぬ」

カレン「そう……ですか」

皇后「……じゃが」

皇后「最期くらい、いいかもしれないね」

皇后「天子、こっちへ顔を見せてごらん」

天子「は、はい」

皇后「ふふ、あの方の幼い頃によく似ている」

皇后「あの方も、そんな無垢な瞳で私をよく見ていた」

天子「あの方……?」

皇后「お前の母親だよ」

皇后「異邦人、名前は?」

469: 2017/06/17(土) 00:06:50 ID:5S6Avm/k
カレン「カレン……紅月カレンです」

皇后「カレン、お前の顔も見せておくれ」

カレン「……」

皇后「お前も美しいな…私程ではないが」

カレン「あはは、ありがとうございます」

皇后「なにが聞きたい?」

カレン「あなたの出自が」

カレン「……あなたは、もしかして……」

皇后「……そうか」

皇后「カレン、お前の言いたいことは分かった」

皇后「天子も知っているのかい?」

470: 2017/06/17(土) 00:10:09 ID:5S6Avm/k
天子「え……?」

カレン「いえ、まだ言っていません」

皇后「そうか……」

皇后「天子、お前もよく聞いておくといい」

皇后「皇帝陛下のお考えと共に、な」

天子「お父様の?」

皇后「いかにも、カレン、お前の言う通りだ」

皇后「私は、すでに滅び去った部族の娘」

皇后「本来ならば、このような立場になることもできない」

皇后「蔑まれる存在だよ」

皇后「私がここで教わったのは、あの方と話すための言葉と、周りのための偉そうな態度だけさ」

天子「……そんな」

471: 2017/06/17(土) 00:20:21 ID:5S6Avm/k
カレン「やっぱり」

皇后「どうして分かったんだい?」

皇后「こういっちゃなんだけど、かなりうまくやっていたはずだよ。私は気付かれるような素振りはしてこなかったはずさ」

皇后「こう見えても、ここに来る前は芸人をやっていたんでね」

カレン「あたしは、あなたのことはよく知らないんです」

カレン「ただ、皇帝陛下と大宦官のやり方に違和感があっただけです」

皇后「ほう?」

カレン「いくら天子ちゃんしか直系の子供がいないといっても」

カレン「まだ小さな子に実権を譲るかしらって」

カレン「それに、大宦官たちも今みたいに政治の表舞台に立つのはそれなり以上のリスクがあるはず」

カレン「病気だっていっても、表向きは皇后陛下の命令って言った方が、そんな危険を犯さずに済むのにって」

皇后「……そうだね」

472: 2017/06/17(土) 00:24:52 ID:5S6Avm/k
カレン「だから、こんな可能性はないかなと」

カレン「皇后陛下が政治を動かすことに、どうしても許せない事情があるんじゃないか」

皇后「……なるほど」

皇后「お前の言っていることは、殆ど正解だ」

カレン「殆ど?」

皇后「ああ」

皇后「皇帝陛下は、別に私が政治をすることに嫌悪感があったわけじゃない」

皇后「いや、むしろ天子が成長するまでは、私が天子を手助けする手筈だった」

天子「そ、そうだったのですか?」

皇后「2人とも聞いてくれるかい?」

皇后「誰も知らぬまま消え去るはずだった、歴史の一幕を、さ」

473: 2017/06/17(土) 00:39:09 ID:5S6Avm/k
皇后「私のいた集落は、京に行っては商売をしたり、私のように芸で金を稼いで細々と暮らしていた」

皇后「だが、流行病のせいでバタバタと人が倒れてな」

皇后「私は若い連中を連れて、宮廷へ向かった」

皇后「流行病といっても、今の医療ならば薬もあり、治療もできる」

皇后「そう大したものでもなかった」

カレン「……それで?」

皇后「幸い、私たちは主に京にいたおかげで感染はしなかった」

皇后「だから皇帝陛下に懇願した、薬と治療費を貸してほしい、部族全てで必ず返すから、と」

天子「願いは聞き入れられたのですか?」

皇后「……いや」

皇后「皇帝陛下は立派な方だった、少数民族には見向きもしない、いや、蔑む連中の多い中」

皇后「きちんと対応してくれようとした」

皇后「だが、大臣たちはこぞって反対した、皇帝陛下といえども、それら全てを捻じ曲げる程我らに肩入れするわけにはいかなかった」

皇后「そうしてしまえば、必ず他の民族からも要求がくる、そうなれば今の国そのものが危険になるからな」

474: 2017/06/17(土) 00:52:43 ID:5S6Avm/k
皇后「それだけじゃなかった」

皇后「皇帝陛下はこっそり、集落の子供達だけは京の医者のところまで運ばせ、治療してくださった」

皇后「そして、里親を見つけて、あの子達を生かして下さったんだ」

皇后「おかげで私たちは、民族という括りは無くしたけど、氏なずにすんだ」

皇后「……みんな感謝してたよ、当時の私は、あんまり納得出来てなかったけどね」

天子「その子たちは今……?」

皇后「生きてるはずだよ、殆どが自分の生まれなんて知らないだろうけどね」

皇后「……話はそれで終わりじゃないんだ」

カレン「皇后様がここにいる理由、ですよね?」

皇后「その通りさ」

皇后「狙われたのは私達だ、奴らにしてみればここで私たちを頃してしまえば、面倒ごとが一つ減ると思ったんだろうね」

皇后「滅ぼすなら一気にした方がいいだろう?帰る家のなかった私たちは逃げたけど、一人、また一人と」

皇后「日に日に数は減っていった」

475: 2017/06/17(土) 01:05:44 ID:5S6Avm/k
皇后「そして、私は最後の一人になった」

皇后「一年くらい逃げていたのかな?もう身も心も疲れきっていた」

皇后「心の中は恨みで一杯だったさ、皇帝陛下への感謝もどっかへすっ飛んでいって」

皇后「どうやって頃してやろうか、ずっと考えていた」

皇后「逃げ回って逃げ回って、結局京のはずれで息を潜めていた時」

皇后「あの方に出会ったんだ」

天子「……それが、お母様……?」

皇后「そうだ」

皇后「もっとも、まだその時は後宮の、ただの女官だったけどね」

皇后「あの方は、私を後宮の侍従達に紛れさせて、匿ってくれた」

皇后「どれだけ危険か、知らないわけはないのに」

皇后「それから、自然と私たちは一緒にいる時間が増えた」

皇后「年は私の方が上だったし、妹が出来たみたいで」

皇后「最初こそ私が一方的に警戒していたけど、それも時間とともになくなっていった」

476: 2017/06/17(土) 01:14:04 ID:5S6Avm/k
皇后「たまに舞なんか見せてあげると、それはもう手を叩いて大はしゃぎするんだ」

皇后「天真爛漫で、人懐っこくて」

皇后「皇帝陛下に見初められるまで、そう時間もかからなかった」

皇后「皇帝陛下は私に気付いていたけど、知らないふりをしてくれた」

皇后「恨んでいた気持ちも、時間が癒してくれた、もちろん二人の人柄に触れたおかげで」

皇后「恨むべきは別にいると分かった、ってのもあるんだけどね」

皇后「ごめんね、長々話して」ゴホッ

皇后「天子、水をとってくれないかい?」

天子「水……?」ハッ

天子「カレンさん、わたくしちょっとお水を汲んできます」

天子「お義母さま、少し待っていて下さいね」

カレン「ついていかなくて平気?」

天子「はい、大丈夫です」タッタッタッ

カレン「……」

カレン(やっぱり、そういうことよ、ね)

482: 2017/06/17(土) 22:33:38 ID:5S6Avm/k
天子「……お待たせしました、お水です」

皇后「ありがとう」

皇后「……ふぅ、こんなに美味しい水は何年ぶりだろうか」

皇后「さて、話を続けようか」

皇后「数年が経ち、やがて二人にも子供が出来た」

皇后「それが天子だ」

皇后「だが、あの方は出産の時にひどく衰弱してしまい、一年を待たずに起き上がることも出来なくなった」

皇后「……今でも忘れない、あの方は私に天子を頼んで、笑顔で逝ってしまった」

皇后「思えば、それが大きな転機だったのかもしれないね」

皇后「程なくして皇帝陛下も病気がちになり、奴が力を持つようになった」

皇后「大宦官、高亥がね」

天子「が、高亥……!」ガタガタ

カレン「天子ちゃん!?」

483: 2017/06/17(土) 22:51:13 ID:5S6Avm/k
皇后「奴は狡猾だった」

皇后「皇帝陛下の右腕として長く働いてきた、その信頼を利用したんだ」

皇后「皇帝陛下も奴の政治手腕に頼らざるを得なかった」

皇后「連邦を纏めるために、奴は表に裏に、皇帝陛下のために尽くしているように見えた」

皇后「私は馬鹿だった、高亥が何を考えているのか」

皇后「何を狙っているかも考えず、ただ奴の言う通り皇帝陛下と天子の側に居たんだ」

皇后「気付いたのは、そう、皇帝陛下が亡くなる頃だから」

皇后「……何もかも遅すぎたのさ」

皇后「皇帝陛下も、最期の時には殆ど何も出来ないほど力を奪われていた」

皇后「いや、逆かな」

皇后「中華連邦はかつての、連邦になる前の体制に大きく逆戻りさせられていた」

皇后「……ただ、その実権を握っていたのが高亥だったというだけだ」

484: 2017/06/17(土) 23:01:33 ID:5S6Avm/k
皇后「皇帝陛下は飾りだけの存在にさせられた」

皇后「私は皇帝陛下の亡き後、天子を守るために皇后の立場になったのさ」

皇后「……もっとも、私に出来たのは」

皇后「私自身が奴の傀儡と成り下がる代わりに、天子、あんたを朱禁城の外へ出すことだけだったけどね」

天子「……それでは、わたくしは……」

天子「お義母さまに嫌われていたわけでは、無かったのですか?」

皇后「……嫌うもんか」

皇后「あんたは、私の命より大事な、宝物なんだからね」ゴホッ

皇后「……天子、あんたはこの国にいちゃいけない」

カレン「皇后様!」

皇后「いいかい、この一年で、高亥はさらに滅茶苦茶をはじめている」

皇后「ただの役人だった宦官を、皇帝を中心とした支配構造の頂点に置き」

皇后「かつての仲間すら容赦無く粛清して、名実ともにこの国を支配している」

皇后「今の大宦官たちも、奴の出す甘い汁に集るだけの、私と同じ傀儡さ」

皇后「そんなやつが、とうとうこの国を手放そうとしている」

485: 2017/06/17(土) 23:05:45 ID:5S6Avm/k
皇后「この国は、もう滅ぶしかない」

皇后「でも、あんたは……」

皇后「それに付き合う必要はないんだ」

皇后「皇帝陛下は、今際の際にこう仰った」

皇后「天子は、天子だけは私達のように」

皇后「権力に振り回されることのない、自由な世界を見せてやって欲しいと」

皇后「私は……もう長くないだろう」

皇后「……カレンも気付いているだろうが」

カレン「皇后様……」

皇后「……ふふ」

皇后「妾はもう、目も見えぬ、味も、触れた感触すらも感じぬのだ」

皇后「だが耳が聞こえて良かったよ、あんた達と話せたのは、きっと」

皇后「……あの方達が、最期にくれた」

皇后「私へのご褒美なんだろうねぇ」

486: 2017/06/17(土) 23:13:30 ID:5S6Avm/k
天子「……」

カレン「……皇后様」

カレン「ご無礼を承知で、あたしは」

カレン「あなたに、お願いしたいことがあります」

皇后「……私に出来ることかい?」

カレン「はい」

カレン「あと三ヶ月、いえ、あと一ヶ月」

カレン「なんとしても生き延びて下さい」

皇后「……一ヶ月……」

皇后「長いなぁ、とてつもなく」

カレン「……天子ちゃんのためなんです」

カレン「あなた達がどれだけ苦しい思いをしてきたのか、あたしには想像することしか出来ないけれど」

487: 2017/06/17(土) 23:20:34 ID:5S6Avm/k
カレン「お願いします」

天子「カレンさん……!」

皇后「……おまえが」

皇后「天子を守ってくれるのか?私の代わりに」

天子「……お義母さま」ギュッ

皇后「天子……?」

天子「わたくしは、もう」

天子「守られるだけの存在ではありません」

天子「今まで、ずっとわたくしは……」

天子「……っ、私は!守られてきましたが」

天子「今度は私が、お義母さまを守る番です」

天子「私は……」

カレン「……うん」ナデ

カレン「すぐに医者と薬を運ばせます、もちろんこっそり」

カレン「……ごめんなさい、連れ出すことはできませんけど」

488: 2017/06/17(土) 23:28:30 ID:5S6Avm/k
皇后「……ふふ、ふふふ」

皇后「いいだろう、これでもしぶとさが売りだからね……」

皇后「今日はもう疲れた、また話そう」

皇后「どうせここはいつも人がいない、おまえ達くらいなら来られるだろう?」

皇后「こっそり、な?」

カレン「……はい」

天子「必ず来ます」

皇后「うむ、苦しゅうないぞ」

がたたっ

カレン「!?」

カレン「天子ちゃん、ここに居て」

カレン「あたし、少し外を見てくるから」ダッ

天子「カレンさん!」

カレン「心配しないで、あたし強いから!」

489: 2017/06/17(土) 23:38:35 ID:5S6Avm/k
天子「……カレンさん、大丈夫かしら……」

皇后「……天子」

天子「は、はい」

皇后「もう一つ、いや二つ言い忘れてたよ」

天子「?」

皇后「一つは私からさ」

皇后「ごめんね、本当は近くで見てやりたかったけど」

皇后「私にはあんたを遠ざけるしか、守る方法が思いつかなかった」

皇后「許してくれとは言わない、でも」

皇后「……どうか、わかって欲しい」

天子「……分かっています、私ももう、大人ですから」

490: 2017/06/17(土) 23:43:09 ID:5S6Avm/k
皇后「それともう一つ」

天子「……」

皇后「あんたの母さんからさ」

天子「……!」

皇后「どうか、みんなを愛し、愛される子に育ってね」

皇后「私も、そう思ってる、皇帝陛下もね」

皇后「……まぁ、二人の娘だ、きっと心配いらないと思うけどね」

天子「……はい」

天子「私の父、そして……」

天子「二人の母の名に恥じぬよう、これからも頑張ります」

皇后「……ありがとうね……」

皇后「……麗華……」スゥ…

天子「……はい、お母さま」

491: 2017/06/18(日) 00:06:23 ID:306r32us
???「………」

???「……」ピッ

???「はい、予想されていた通りでした」

???「……問題ありません、事前に見張りは眠らせてありますし、監視の映像もここ数時間分、全て問題ないものに差し替えてあります」

???「……はい、もうそろそろ戻らないと、高亥に気付かれてはコトですから」

???「気付かれてはいないはずです、古がヘマをしかけましたが……」

???「……はい、時が来たら……」

古「……で?俺たちは?」

???「……」

古「おい、香凛!」

香凛「うるさいぞ、考え事の邪魔だ」

香凛「さぁ戻るぞ、次に失敗をしたらその刀で首を断ち切ってやる」

古「おいおい、バレてなければ失敗ではないだろう!」

古「っておーい、話を聞けー!」ドタドタ

492: 2017/06/18(日) 00:11:00 ID:306r32us
~天子邸~

星刻「……」

星刻「よもや、本当にカレンの予想通りになるとは、な」

星刻「しかし、天子様を危険な目に遭わせるとは、後でキツく言わねば……」

星刻(だが、止めようと思えば、いつでも止められたのに)

星刻(私は何故止めなかったのだろうな)

星刻(……存外、私もまた真実を知りたい気持ちが優っていたのかもしれない)

星刻「……ともかく、二人を出迎える準備をせねば、な」

星刻「こうなればゼロに任せるばかりではない、我らは我らでこの国の未来を切り拓く」

493: 2017/06/18(日) 00:12:54 ID:306r32us
ちょっと休憩、たぶんまた戻ってくる。

天子ちゃんがメンタルよわよわだと次の展開が嘘くさ過ぎるからと成長話入れたかった。後悔は今の所少しだけ。

次はスザク、ここからはルルーシュ、スザク、カレンの活躍がどうしても必要になるので、スザクくんも悩んでもらわねばならんのだ……すまぬ……

では、少々お待ちください。

494: 2017/06/18(日) 02:22:20 ID:306r32us
~エリア11 政庁 中庭~

スザク「……」

スザク(はー、分からない)

スザク(僕ならどうするか……)

スザク(僕は一体どうしたいんだろうか)

スザク(……もともと、日本を取り戻したい)

スザク(そのために、ブリタニアの内部から世界を変えるつもりだった)

スザク(でも、ルルーシュとユフィのおかげでそれもあとは僕の力がなくても自然になんとかなりそうだし)

スザク(僕は結局、ただ皆について行ってるだけなんだよなぁ)

スザク(僕は、何を……)

???「だーれだ?」

スザク「えっ?えっ!?」

501: 2017/06/26(月) 22:18:11 ID:q5m0WJz6
???「さぁ、わたくしが誰なのか」

スザク「ゆ、ユフィだろ?」

ユーフェミア「せいかいでーす」

ユーフェミア「どうしたのですか?こんな所に一人で」

ユーフェミア「ものすごーく難しい顔をしていたようですが」

スザク「……あぁ、いや」

スザク「大したことじゃないんだけど」

スザク「でも少し悩んでて」

ユーフェミア「あら、そうだったのですね」

スザク「……ごめん、ユフィ」

スザク「ちょっと、聞いてくれるかい?」

ユーフェミア「ふふ、お安い御用です」

ユーフェミア「ユーフェミア・リ・ブリタニア、誠心誠意相談に乗りましょう」

スザク「……実はね」

502: 2017/06/26(月) 22:42:48 ID:q5m0WJz6
スザク「……って感じなんだ」

スザク「笑っちゃうだろ?」

ユーフェミア「いえ、笑いませんよ」

スザク「えっ?」

ユーフェミア「つまり、今のスザクは無気力症というやつです」

ユーフェミア「夢を叶えたミュージシャンとかが陥るやつです」

スザク「そ、そうかもしれないね」

スザク「ユフィはいつもやりたい事があってすごいと思う」

スザク「僕は、もうやりたい事が何も無いんだ」

ユーフェミア「……本当に、やりたいことはありませんか?」

スザク「……」

ユーフェミア「わたくしはこれまで、やりたい事だけをやろうと努めてきました」

ユーフェミア「でも、疲れることもあります」

ユーフェミア「そして、スザクの今の状態は、そんな時のわたくしにソックリです」

505: 2017/06/27(火) 03:13:19 ID:.KyH8TY.
スザク「ユフィにも、やりたい事が無くなることがあるのかい?」

ユーフェミア「もちろんです」

ユーフェミア「やりたいことをやってやって、やり続けて」

ユーフェミア「そうしてやり遂げた後、達成感でいっぱいになると」

ユーフェミア「……なぜか妙に寂しくなるのです」

ユーフェミア「もうやりたい事が無くなってしまった、次は何をしようかって」

ユーフェミア「でも、それはとても自然な事なのです」

スザク「自然なこと……」

ユーフェミア「はい」

ユーフェミア「ですから、スザクは別にすぐ何かを見つける必要はないのではないでしょうか」

506: 2017/06/27(火) 03:35:43 ID:.KyH8TY.
スザク「……ははは、それは、そうなんだけどね」

スザク「でも、なんだか僕だけ皆と」

スザク「なんというか、温度が違うんだ」

スザク「それが、何か嫌でさ」

ユーフェミア「……なるほど」

ユーフェミア「つまり、皆の」

ユーフェミア「……スザクの場合はルルーシュの為になる仕事がしたいということですよね?」

スザク「まぁ、そうなるかな」

スザク「ルルーシュにも恩返しをしないとだからね」

スザク「……ま、地道に考えるよ」

スザク「ありがとう聞いてくれて」

507: 2017/06/27(火) 03:39:09 ID:.KyH8TY.
ユーフェミア「……ねぇ、スザク」

スザク「なんだい?」

ユーフェミア「もし、わたくしが」

ユーフェミア「ルルーシュの手伝いを出来ることがあると言ったら」

ユーフェミア「あなたは、どうしますか?」

スザク「え?」

ユーフェミア「スザクは、ずっとラウンズとして」

ユーフェミア「ルルーシュと一緒にいましたよね?」

スザク「う、うん」

ユーフェミア「それならば、知っているはず」

ユーフェミア「……ルルーシュが、この2年間」

ユーフェミア「本物のルルーシュでは無かったことを」

スザク「!?」

508: 2017/06/27(火) 03:44:11 ID:.KyH8TY.
ユーフェミア「どうしますか?わたくしと来ますか?」

ユーフェミア「きっと、今よりは忙しくなります」

ユーフェミア「……より危険にはなりますが」

スザク「ユフィ、君は一体……?」

ユーフェミア「うふふ、実はわたくしもちょうど」

ユーフェミア「人手が必要だったのです」

ユーフェミア「よく考えたら、スザクはそういう意味では適任でしたね」

ユーフェミア「どうしますか?」

スザク「……」

スザク「僕はラウンズであると同時に、ユーフェミア様の騎士」

スザク「どこまでもついていくよ」

ユーフェミア「それでは、まずはこちらへ」

509: 2017/06/27(火) 03:57:22 ID:.KyH8TY.
~医務室~

ユーフェミア「……誰もいませんね」

スザク「医務室ってことは……」

ユーフェミア「はい」

ユーフェミア「わたくしもすぐにお見舞いに来たかったのですが」

ユーフェミア「なかなか来られませんでしたから」

コーネリア「……」

スザク「まだ目が覚めないんだね」

ユーフェミア「はい、それだけの相手だったのでしょう」

ユーフェミア「ですが、お姉様もやられっぱなしということは無いでしょう」ゴソゴソ

スザク「ゆ、ユフィ?」

510: 2017/06/27(火) 03:58:57 ID:.KyH8TY.
ユーフェミア「わたくしもそうですが」

ユーフェミア「……二年前から、わたくしたちは、こういう事態にずっと備えていました」

ユーフェミア「なにせ、相手にはわたくしたちとは違って」

ユーフェミア「……ギアス、の力があるかもしれませんから」

スザク「!!!」

ユーフェミア「ありました」

ユーフェミア「お姉様のブローチには小型のカメラが付いていました」

ユーフェミア「そして、そのデータはこのイヤリングの中に記録されています」チャリ

ユーフェミア「行きましょうスザク」

ユーフェミア「お姉様、目が覚めるまではお任せ下さい」

ユーフェミア「やりたい事をやる、それがわたくしですからね」

511: 2017/06/27(火) 04:05:05 ID:.KyH8TY.
~政庁 資料室~

スザク「こ、こんなところに来てどうするんだい?」

スザク「それにさっき言っていた……」

ユーフェミア「話は後です」

ユーフェミア「ねぇスザク、わたくしとお姉様が1番疑われないように活動するならどこがいいか」

ユーフェミア「分かりますか?」

スザク「え?」

ユーフェミア「皇女であるわたくしたちが」

ユーフェミア「他の皇族の目から逃れるのに丁度いいところ」

ユーフェミア「わたくしも、そしてお姉様も頻繁に来ても疑われない所」

ユーフェミア「それがここです」

スザク「資料室、かい?」

ユーフェミア「いいえ、正確には政庁自体です」

512: 2017/06/27(火) 04:10:49 ID:.KyH8TY.
ユーフェミア「わたくしは虐殺☆皇女の公演や、公務でも頻繁にエリア11に来ます」

ユーフェミア「そしてお姉様は、不慣れなルルーシュのために、同じくよくここに立ち寄りますよね?」

ユーフェミア「ですから、拠点を置くならここしかないと考えました」

ユーフェミア「なにせ、はじめは誰が敵かも分からない状態でしたからね」

ユーフェミア「ルルーシュがこのエリアの総督に任命されるまでの数ヶ月、その間に信頼できる部下達を通して、お姉様はここに作ったのです」

ユーフェミア「わたくしたちが敵と戦うための城の入口を」カチッ

スザク「これは……」

513: 2017/06/27(火) 04:14:01 ID:.KyH8TY.
ユーフェミア「ここに来られるのは、限られた人間だけです」

ユーフェミア「さぁ、こちらへ」

スザク「これは、エレベーター?」

ユーフェミア「はい、ここから降りて、そのままもう少し移動します」

ユーフェミア「着いてから、改めて詳しくお話しましょう」

ユーフェミア「気をつけて下さい、かなり高速なので、慣れるまでは気分が悪くなるかも」

スザク「う、うん」

514: 2017/06/27(火) 04:25:47 ID:.KyH8TY.
~拠点~

ユーフェミア「……着きました」

機械音声「入室者、ユーフェミア・リ・ブリタニアを確認」

機械音声「他1名は登録されていません、登録されていない入室者がいる場合、1分以内に設定変更コードを入力されずにいると」

機械音声「この施設を閉鎖した上でデータへのアクセス及びシステムへの干渉は全てロックされ、酸素供給がカットされます」

ユーフェミア「コード認証、声紋、ユーフェミア」

機械音声「第一認証完了、続いてランダムワードの読み上げを」

スザク(ここは一体なんなんだ……?)

スザク(ユフィも、まるでいつもの姿とは違う)

スザク(なんだろう、ユフィは何を知っているんだ?)

スザク(ギアスの事は知っているみたいだけど、それも……)

515: 2017/06/27(火) 04:30:16 ID:.KyH8TY.
機械音声「コード承認」

機械音声「入室者一名を登録しますか?」

ユーフェミア「お願いします」

ユーフェミア「さぁ、スザクこちらへ」

スザク「あ、う、うん」

スザク「これは……」

ユーフェミア「ここが、私たちの城です」

ユーフェミア「ロロ、来ていたのですね」

スザク「!」

ロロ「なんだ、お姫様、結局この人を連れて来たんだ」

ロロ「最初に声かけてなかったみたいだし、てっきり巻き込みたくないものと思っていたよ」

スザク「どうしてここに……」

ロロ「……簡単さ」

ロロ「僕は所謂、三重スパイだって、それだけだよ」

516: 2017/06/27(火) 04:34:44 ID:.KyH8TY.
ユーフェミア「お互い顔は知っていますよね」

ユーフェミア「……おや、訓練室はどなたが?」

ロロ「ああ、シャーリーっていう情報部のやつを、ね」

ロロ「大丈夫、ここにはゲスト扱いで入っているから、あの子1人では入れないよ」

ユーフェミア「シャーリーさんですか、まぁ彼女は信頼してもいいと思いますけど」

ロロ「万が一ってこともあるじゃない?」

スザク「……シャーリーもここに?」

スザク「なぁユフィ教えてくれないか?」

スザク「こんな大掛かりな施設やら何やら」

スザク「何のために、どうやって?」

ユーフェミア「そうですね、何のためか」

ユーフェミア「わたくしたちは、ブリタニアの支配構造の中枢にいる人物」

ユーフェミア「VVを捕らえることを目的としているのです」

ユーフェミア「そこに座って下さい、スザク」

ユーフェミア「貴方には、まず説明しなければならないことが沢山あるのですから」

544: 2017/08/29(火) 00:51:25 ID:7RTJmNKE
ユーフェミア「スザク、まずはこれを見てください」ピッ

スザク「えっと……?」

ユーフェミア「これは私たちがギアス結晶と呼んでいるものです」

ユーフェミア「サクラダイトに特殊な処理を施し、ギアスのエネルギーを注入して造られたと考えられています」

ユーフェミア「残念ながら私たちにはこれを複製することも、安全に処理することもできません」

ユーフェミア「他に回収したものを壊そうと実験もしました」

ユーフェミア「……しかし、残念ながら破壊を試みた研究者の方々は、未だに目を覚ましてくれないのです」

スザク「……」

ユーフェミア「これは二年前神根島から回収されました」

ユーフェミア「当時はもっと大きな塊も存在したようですが、どこかへ持ち去られて」

ユーフェミア「ここにあるのは周辺からなんとか掘り起こしたものです」

スザク「この結晶に何かがあるのかい?」

ユーフェミア「大ありです」

ユーフェミア「この結晶は、この世界とは少し違った世界に繋がる鍵となるものなのです」

スザク「少し違った世界?」

545: 2017/08/29(火) 01:02:51 ID:7RTJmNKE
ユーフェミア「私たちに情報を提供してくれた方は」

ユーフェミア「そこをCの世界と呼んでいました」

スザク「Cの世界……?」

ユーフェミア「VVが到達しようとしている世界です」

ユーフェミア「そこは私たちこちらの世界のように、個という概念が存在せず」

ユーフェミア「意識の集合体、のような状態で成り立っているのです」

ユーフェミア「私も、うっすらとその記憶があります」

スザク「!ユフィはそのCの世界に行ったことがあるのかい?」

ユーフェミア「はい」

ユーフェミア「行く、という言い方が正しいかは分かりませんけれど」

ユーフェミア「触れたことがあります」

ユーフェミア「そう、ルルーシュにギアスを掛けられた時に」

スザク「……よく分からないな」

546: 2017/08/29(火) 01:19:14 ID:7RTJmNKE
ユーフェミア「私とお姉様が帝都で秘密裏に探っていた情報の中にも、Cの世界らしきものがありました」

ユーフェミア「ブリタニアを建国したと言われている女王の話です」

ユーフェミア「かつて、その女王はその集合意識の中から」

ユーフェミア「民衆の意識を聞き分けて話を聞かずとも様々なことを知ったと」

ユーフェミア「また、その意識を操作して人の心を掴んだとも」

ユーフェミア「根拠としては希薄なものですが、私はこの力に似たものを知っていました」

スザク「ギアス……」

ユーフェミア「そうです」

ユーフェミア「Cの世界とは、我々が日々意識すらしていない、無意識が集まって出来たもので」

ユーフェミア「ギアスとはそのエネルギーを使って行使されているのです」

547: 2017/08/29(火) 01:32:13 ID:7RTJmNKE
スザク「意識のエネルギー?」

ユーフェミア「今の科学技術で使うことは出来ませんが」

ユーフェミア「それを可能にする力がギアスであると」

ユーフェミア「ギアス結晶はサクラダイト反応を起こすことで、ギアスの源でもある集合意識に対して」

ユーフェミア「強制的に負荷を与えるものらしいのです」

スザク「負荷を与えるとどうなるんだい?」

ユーフェミア「無意識とはいえ、私たちと完全に切り離されている訳ではありません」

ユーフェミア「その負荷は私たちにもかかります」

スザク「それが、共振?」

ユーフェミア「スザクも知っているのですね」

スザク「う、うん、CCに体験させられたことがある」

548: 2017/08/29(火) 01:38:43 ID:7RTJmNKE
ユーフェミア「CCさんは特別なのです」

ユーフェミア「彼女はCの世界だけではなく、Cという」

ユーフェミア「所謂氏者の精神の塊のようなものにも干渉出来るのです」

スザク「氏者の精神?」

ユーフェミア「ええ」

ユーフェミア「私たちが氏ぬと、Cに意識は流され」

ユーフェミア「そこで新たな意識として生まれ変わり、またCの世界へと戻る」

ユーフェミア「ここは想像の域を出ませんが、恐らくもともと女王の持っていた能力の一つなのでしょう」

ユーフェミア「そして、VVが欲しているのはまさにこのCに触れる力なのです」

スザク「氏者の精神ってことは、誰か氏んでしまった人に会いたいとか?」

ユーフェミア「そうです、ただその氏者というのが」

ユーフェミア「女王自身だろうというのが私にこの話を教えてくれた方の仰っていたことです」

549: 2017/08/29(火) 01:54:13 ID:7RTJmNKE
スザク「その人に会って、一体何がしたいんだろう」

ユーフェミア「目的は色々と考えられるのですが」

ユーフェミア「問題はその過程で全ての人々の意識を支配できてしまうというところにあるのです」

ユーフェミア「今CCさんの持っている力は、ただCに触れるだけのものですが」

ユーフェミア「コードが完成してしまえば、かつての女王のように意のままに力を使えるようになると」

ユーフェミア「そうなればあの時神根島で起こりかけたよりもっと酷い結末が」

ユーフェミア「私たちに待っているのは火を見るよりも明らか」

ユーフェミア「だからこそ、私はVVを捕らえ、それを阻止するために」

ユーフェミア「お姉様と共に活動していたのです」

550: 2017/08/29(火) 02:13:45 ID:7RTJmNKE
スザク「……色々言いたいことがあるんだけど、いいかい?」

ユーフェミア「構いません」

スザク「まず、その話が本当に正しいのかっていうことなんだけど」

スザク「確証はないんだろう?」

ユーフェミア「……そうですね、もしかしたら今のVVの野望は別にあるのかもしれません」

ユーフェミア「ですが、以前はそうしようとしていたのは間違いないのです」

スザク「どうしてわかるんだい?」

ユーフェミア「ロロ、あれを出してください」

ロロ「……一応黙って聞いてたけどさ、お姫様」

ロロ「いくら自分の騎士だからって話しすぎじゃない?もしかしたら裏切るかもしれないのに」

ユーフェミア「大丈夫です、スザクはそんなことしません」

ロロ「……」

ロロ「言っとくけど、僕はあんたと心中する気は無いし、ヤバいときは直ぐにあんたのことを見捨てるからね」

ロロ「……はい、これでしょ」

551: 2017/08/29(火) 02:22:39 ID:7RTJmNKE
スザク「アーカーシャの剣?」

ユーフェミア「もともとはCの世界との関係を断ち切ることが目的とされていたようですが」

ユーフェミア「その実はこのギアス結晶を用いたCの世界に対する意識的干渉」

ユーフェミア「云わば意識の上書きをするための装置です」

ユーフェミア「神根島の事も考え併せると、これを使用するにはVVにもかなりの負担があると考えられます」

スザク「どういうことだい?」

ユーフェミア「神根島にあった装置はアーカーシャの剣の劣化版のようなもの」

ロロ「……ちなみに、そっちの資料はこれね」

ユーフェミア「こちらは上書きをするのではなく、単にCの世界に強烈な負荷を与えて、それに耐えきれない人間を強制的に狂化状態」

ユーフェミア「……ギアス中毒のような状態にしてしまうものです」

ユーフェミア「これで実際に意識を上書きしなければならない人間の数を減らそうとしたのではないか、と考えられます」

スザク「なるほど」

552: 2017/08/29(火) 02:31:39 ID:7RTJmNKE
スザク「まあそれはじゃあ分かったとして、だ」

スザク「このアーカーシャの剣っていう装置をVVが作ろうとしていたことと、VVの狙いになんの関係があるんだい?」

ユーフェミア「この装置を使おうとしていたのはVVだけではありません」

ユーフェミア「この装置の研究を進めていたのは、VVの他に3人いたのです」

ユーフェミア「VVの真の目的を知らされていなかった3人」

ユーフェミア「1人はCCさん、そして1人はお父様」

スザク「シャルル皇帝も?」

ユーフェミア「ええ」

ユーフェミア「そして、私に先ほどまで説明したことを教えて下さり、ルルーシュのお手伝いとVVの野望の阻止を依頼してきた方」

スザク「一体誰なんだい?」

ユーフェミア「ルルーシュとナナリーのお母様である」

ユーフェミア「后妃マリアンヌ様です」

スザク「!?ルルーシュのお母さんは亡くなったはずじゃ」

ユーフェミア「生きているのです、もう肉体は存在しませんが」

632: 2018/09/27(木) 15:32:01 ID:J/cbk/ec
ユーフェミア「スザク、大丈夫ですか?」

スザク「あ、ああ」

スザク「ちょっと色々なことをまとめて聞いたものだから」

スザク「混乱してる、かな」

ユーフェミア「無理もありません、私も外ではここの存在をお首にも出さないようにしていますが」

ユーフェミア「ふとした時に破裂してしまいそうになることがあります」

ユーフェミア「秘密を抱えるということは、誰かを裏切ることでもあるのです」

スザク「ユフィは、ルルーシュを裏切るのかい?」

ユーフェミア「きっと、ルルーシュはそう思うでしょう」

ユーフェミア「ですが、我々が相手にしているのは生半の相手ではありません」

ユーフェミア「ルルーシュは目立ちます、実際暗殺されかけてもいます」

ユーフェミア「だからこそ、私たちはその影から真の敵を討つ準備を整えて」

ユーフェミア「少しでもルルーシュ達の助けになりたいのです」

633: 2018/09/27(木) 15:35:44 ID:J/cbk/ec
スザク「助けるために裏切る……嘘をつくか」

スザク「昔ルルーシュがしていたのも、そういうことだったんだろうな」

ユーフェミア「スザク?」

スザク「ユフィ、僕は今まで、ずっと人のために戦っているようで」

スザク「実は誰かに断罪されたがっていた」

ユーフェミア「はい」

スザク「それも少しずつ変わって」

スザク「仲間のために、自分の出来ることをしようと」

スザク「……結果、"自分"というものはまた無くなっていたんだ」

スザク「僕がどうしたいか、ということが」

ユーフェミア「はい」

ロロ(こいつら僕の存在を忘れてるんじゃないだろうな)

ロロ(まぁいい、面倒なことになる前に退散しよう)ソソクサ

634: 2018/09/27(木) 15:40:30 ID:J/cbk/ec
スザク「ユフィ、僕にも」

スザク「手伝わせてくれるかい?」

スザク「命令じゃなくて、責任感じゃなくて」

スザク「ただ、知りたいんだ」

スザク「ギアス、というもの」

スザク「この世界が抱えている問題を」

ユーフェミア「もちろん、そのためにスザクをここに呼んだのです」

ユーフェミア「スザク、あなたには今後、行ってもらうところがあります」

スザク「どこだい?」

ユーフェミア「中華連邦です」

635: 2018/09/27(木) 15:41:50 ID:J/cbk/ec
スザク「え?カレンもルルーシュもいるのにかい?」

ユーフェミア「はい」

ユーフェミア「もうすぐ、中華連邦で大きな争いが起こります」

ユーフェミア「そして、その影に」

ユーフェミア「VVと、……シュナイゼルお兄様が」

スザク「くわしく、教えてくれ」

ユーフェミア「私達が集めた情報と、現状のブリタニアの勢力図を見て下さい」

ユーフェミア「こちらです」

スザク「ああ!」

637: 2018/09/27(木) 15:51:52 ID:J/cbk/ec
~時は戻って~

ルルーシュ「それは、本当なのか?」

マリアンヌ「間違いないわ」

マリアンヌ「私はCの世界にいってこちらに戻ってきた」

マリアンヌ「そしてその過程でプリンセスの持つ、いえ」

マリアンヌ「ギアスに刻まれた記憶を見ることができたの」

ルルーシュ「VVが、最初の姫から直接」

ルルーシュ「ギアスの力を得ていたとすると」

ルルーシュ「奴はどれだけ途方もない時間を生きているんだ」

マリアンヌ「それだけじゃないの」

マリアンヌ「これは私とシャルルとVVが、まだ同じ目的を持っていると思って」

マリアンヌ「協力していた頃にも話していたのだけど」

638: 2018/09/27(木) 15:55:37 ID:J/cbk/ec
マリアンヌ「VVのコードは、CCのものや、あの二人がかき集めていたコードとも」

マリアンヌ「少し違うようなの」

ルルーシュ「というと?」

マリアンヌ「コード保持者は、同じくギアスを持つもの、それも順化した存在か」

マリアンヌ「別のコード保持者にコードを奪われる可能性がある」

マリアンヌ「だから、彼らは不用意にギアスの契約はしない」

マリアンヌ「だけど、VVのギアスは」

マリアンヌ「同じくブリタニアの血を引くものにしか奪うことはできないようなの」

ルルーシュ「そうか、奴が必要以上にシャルルのことを警戒するのは」

マリアンヌ「ええ、現状ルルーシュが完全な順化をするまでは」

マリアンヌ「シャルルだけが、VVを滅ぼせる唯一の存在ということになるわ」

639: 2018/09/27(木) 16:00:00 ID:J/cbk/ec
マリアンヌ「だけど、順化するのは危険も伴うし、最悪の場合は氏よりも恐ろしいことになる」

マリアンヌ「そこで開発されたのが、貴方の腕の」

ルルーシュ「ギアス・イーターというわけか」

マリアンヌ「本来はね、VVの本心に気づいた私が研究させていたのだけど」

マリアンヌ「その後はシュナイゼルの研究機関がそのデータを発掘して完成させたみたいね」

ルルーシュ「母さんはその時?」

マリアンヌ「ふふ、残念ながらVVに見つかって殺されちゃったわ」

ルルーシュ「ということは、やはり母さんは」

マリアンヌ「ええ、不意をつかれて暗殺、ギアスの契約をしていたことで奇跡的に痕跡だけはこの世に残ったけど」

マリアンヌ「だから、今回のことも含めて、VVの破滅は私の復讐でもあるの」

640: 2018/09/27(木) 16:06:21 ID:J/cbk/ec
マリアンヌ「ごめんなさい、貴方たちを私の計画に巻き込み、利用してしまって」

マリアンヌ「でも、VVは強大な敵、何も知らずに突撃しても返り討ちに遭うだけ」

マリアンヌ「助言させてくれるだけでもいい、だからルルーシュも」

マリアンヌ「CCと一緒に頑張ってほしいの」

ルルーシュ「そうだ、CCのことも母さんが?」

マリアンヌ「ええ、ナナリーの危険を少しでも遠ざけたかったの」

マリアンヌ「時間が無くてとても急場しのぎの状態になってしまったけど」

マリアンヌ「ごめんなさい、そろそろ時間みたい」

ルルーシュ「時間?」

マリアンヌ「あまり私が表にでると、この子の身体に負担がかかってしまうの」

マリアンヌ「またお話しましょう、今は中華連邦のことに集中して……」フッ

アーニャ「……もどって……きたのね」

677: 2020/09/22(火) 15:40:15 ID:Q8baA5mc
ルルーシュ「アーニャ、お前は一体」

アーニャ「話したんでしょ?マリアンヌ様と」

アーニャ「それが全て。もちろん私の演技なんかじゃない」

アーニャ「マリアンヌ様が殺された日、私はその場に居たの」

ルルーシュ「何だと」

アーニャ「マリアンヌ様は氏の間際に私の中に逃げてきたの」

アーニャ「そしてそれからずっと、私にこの世界と」

アーニャ「そしてギアスについて教えてくれた」

アーニャ「ルルーシュ、あなたの力が必要なの、協力して欲しい」

アーニャ「VVを止めるためなら、私も貴方に力を貸す」

ルルーシュ「……とりあえず、そちらの言い分は分かった」

ルルーシュ「整理する時間をくれ、どのみち」

ルルーシュ「俺たちが中華連邦を攻略することは待ってくれるのだろう?」

678: 2020/09/22(火) 15:48:00 ID:Q8baA5mc
アーニャ「ええ、今の状況は偶然にも私たちに有利だもの」

アーニャ「ブリタニアの中枢に足を踏み入れるための材料にはうってつけ」

アーニャ「ただ気をつけて、あまり時間がないの」

アーニャ「私たちにも、そしてルルーシュ」

アーニャ「貴方にも、ね」

ルルーシュ「どういう意味だ」

アーニャ「ナナリーが心配でしょう?それ以外にある?」

ルルーシュ「……いや」

ルルーシュ「それはそうと、大分印象が違うな」

ルルーシュ「それが本来の君か」

アーニャ「秘密は明かしたわ、後は貴方次第」

アーニャ「じゃあ、またね」テクテク

ルルーシュ「…………」

680: 2020/09/22(火) 16:22:56 ID:Q8baA5mc
~研究室~

ルルーシュ「……」

セシル「あら、ルルーシュく……じゃなかった、ランペルージ卿」

ルルーシュ「ルルーシュでいいですよ、セシルさん」

セシル「そういう訳にも……って、大丈夫?顔色があんまり良くないみたいだけど」

ルルーシュ「ええ、ちょっと複雑な事情がありまして」

ルルーシュ「それより、2人の様子を見ようと思って」

セシル「そう?あまり無理はしないようにね」

セシル「結局ギアスキャンセラーの研究はすることで合意したみたいで」

セシル「おっと、案内しますよ、ランペルージ卿」コホン

ルルーシュ「はぁ、好きにしてください」

681: 2020/09/22(火) 16:28:45 ID:Q8baA5mc
ロイド「やっぱり薬剤タイプは現実的じゃなさそうだね」

ラクシャータ「ピンポイントな効果を短時間で局所的に、が安全面を考えても」

ラクシャータ「技術的にもいいと思う」

ロイド「僕とセシル君にどうやってギアスを掛けたのかが分かれば」

ロイド「さらに全身出来そうなのに」

ラクシャータ「レーザー治療みたいにキャンセラーの波動を制御する方向性で考えてみるのはどう?」

ロイド「波動だけに?」

ラクシャータ「くだらない事言ってないで、アイデアを出しなさい」

ルルーシュ「失礼します、どうですかロイドさん」

ロイド「おおっとぉ、総督閣下のお出ましだねぇ」

ラクシャータ「丁度いいわ、休憩にしましょ」

ラクシャータ「ルルーシュもコーヒーでいい?」

ルルーシュ「ああ、ありがとう」

セシル「あ、ラクシャータさん、私が淹れますから、ソファで休んでてください!」

682: 2020/09/22(火) 16:34:48 ID:Q8baA5mc
ルルーシュ「進捗はどうですか?」

ロイド「んー、構想はあるけど、小型化の問題と」

ロイド「あとは予期せぬ事態に対応する為の推測をしている段階だねぇ」

ラクシャータ「予期せぬ事態なんだから推測できないことばっかりなんだけどね」

ロイド「でも事前に備えることには充分すぎる意味があるさ」

ロイド「それに、必要かは分からないけど」

ロイド「ギアスの力が強ければ強いほど効果の出る兵器も考えちゃったんだぁ」

ルルーシュ「というと?」

ロイド「君のようにギアスエネルギーで動いているのって」

ロイド「多分CC君やVVも同じなんじゃないかと思うんだよねぇ」

ロイド「言わば僕らの血液のように、ギアスエネルギーが循環していると思う」

ロイド「たとえばその力が、彼ら彼女らを不氏のごとき生命力、そして不老をもたらしているんじゃないかなって」

ルルーシュ「なるほど、その力を打ち消すことが出来れば」

ラクシャータ「そ、殺せるかは分からないけど、少なくとも弱らせることは可能なハズ」

683: 2020/09/22(火) 16:39:08 ID:Q8baA5mc
ラクシャータ「ただもちろん、これは諸刃の剣にもなりうるものだから」

ラクシャータ「あくまで構想の副産物なんだけどね」

ロイド「もし仮に製造して実用化してしまったら」

ロイド「ルルーシュ君、君やCC君に対しても恐ろしい武器になっちゃうからねぇ」

ルルーシュ「……ふむ」

ルルーシュ「ロイドさん、仮にその武器を実用化する場合」

ルルーシュ「たとえば銃弾のように発射することは可能ですか?」

ロイド「そうだねぇ、麻酔銃みたいにギアスを打ち消すなにがしかを注射する形になるかなぁ」

ロイド「なにがしか、をどう作るかって話なるけどねぇ」

ルルーシュ「ラクシャータ、それも並行して作ってくれないか」

ラクシャータ「だからさっきも言ったけど、リスクがあるんだって……」

ルルーシュ「承知の上だ」

684: 2020/09/22(火) 16:46:26 ID:Q8baA5mc
ラクシャータ「え、でもアンタ」

ルルーシュ「色々あるが、今後俺たちの前に立ちはだかる相手はギアスの力を使ってくる可能性が非常に高い」

ルルーシュ「もうひとつ、結婚式の襲撃にもギアス能力者が関わっている」

ロイド「そうだったの?」

ルルーシュ「咲世子が圧倒されるほどの力です、こちらに何の武器もなければまた二の舞を演じることになる」

ルルーシュ「大量生産する必要はないが、こちらの奥の手にできる物は少しでも多く持っておきたい」

ルルーシュ「もちろん、その武器の存在も含めて、話はここだけにして欲しい」

ラクシャータ「んー……」

ロイド「分かった、どの道ついでの話だからね」

ロイド「ラクシャータもいいだろう?敵は本当に得体がしれない」

ロイド「もし君が本当に武器の開発に反対だったなら、ルルーシュ君にも教えなかったと思うし、ね」

685: 2020/09/22(火) 16:53:10 ID:Q8baA5mc
ラクシャータ「……まあ、たしかにそうかもね」

ラクシャータ「ギアスキャンセラーについて、分からないことが多すぎるってのが今の状態」

ラクシャータ「ロイドとセシルの記憶のためにも、このまま研究は続ける予定だし」

ラクシャータ「武器を作ることには賛成なのよ、実は」

ラクシャータ「ただ、あくまで弱らせる、止めるっていう制圧目的の武器にしたいわぁ」

ロイド「というか、そのくらいしか出来ない可能性が高いんだけどね」

ラクシャータ「茶々を入れない」ビシッ

ロイド「あいてっ」

ラクシャータ「ルルーシュ、あたしは今まで色んなナイトメアも作ったし、武器も開発してきた」

ラクシャータ「それはロイドも、なんならセシルも同じ」

ラクシャータ「当然、その武器で氏んだやつもいるわ」

ラクシャータ「でもね、今回はまたちょっと違うのよ」

ラクシャータ「今回は明確に、"アンタたちみたいな"子だけが氏ぬかもしれないの」

686: 2020/09/22(火) 16:59:45 ID:Q8baA5mc
ラクシャータ「武器は使い手次第、技術も同じ」

ラクシャータ「でも、アンタを頃したり、アンタに殺されるものを作るのは」

ラクシャータ「アタシの流儀に反するわけ」

ロイド「ま、そこは僕も同意かな」

ロイド「キャンセラーの理論を考えると、その力はギアスの逆位相的な存在になるから」

ロイド「あまりに強すぎれば、それは普通の人間にも大きな影響を与える可能性が高いしねぇ」

ロイド「ま、あくまでまだ作れるかもって段階だから」

ロイド「試作してみて、あとはルルーシュ君が決めたらいい」

ルルーシュ「お願いします」

セシル「3人ともコーヒーはいりましたよ~」

ラクシャータ「あら、じゃあアタシ運ぶの手伝うわ」

687: 2020/09/22(火) 17:01:42 ID:Q8baA5mc
ロイド「ねぇ、ルルーシュ君」

ルルーシュ「?なんですか」

ロイド「君は人にギアスを使ったことがあるよね?」

ルルーシュ「……はい、極力使わないようにはしてきましたが」

ロイド「僕は、それについて2つ聞いてみたいと思うんだよねぇ」

ルルーシュ「?」

ロイド「ひとつは、僕に使ったことがあるかってこと」

ロイド「どう?」

ルルーシュ「ありません」

ロイド「そっかぁ」

ロイド「もうひとつは、なんで極力使わないことにしたのか」

688: 2020/09/22(火) 17:05:17 ID:Q8baA5mc
ルルーシュ「それは……」

ロイド「絶対遵守、そんな力があれば」

ロイド「もっと様々なことが"楽"になったと思うんだよねぇ」

ロイド「そして、それに気付かないほど君は愚かじゃあない」

ロイド「どうしてだい?」

ルルーシュ「……俺は、怖かったんです、この力が」

ルルーシュ「ギアスは人を孤独にする、この力を使い続ければ」

ルルーシュ「俺は誰も信じることが出来なくなると思って」

ロイド「んん~、実に甘ちゃんな意見だねぇ」

ルルーシュ「……」

ロイド「で、もぉ」

ロイド「その甘さは、きっとこれからも君を生かしてくれるよぉ」

689: 2020/09/22(火) 17:11:20 ID:Q8baA5mc
ロイド「僕もさ、自分の頭を弄られたかもしれない事について」

ロイド「多少以上に怒っているんだ」

ロイド「だって今まで自分だと思っていたもの、それを形作っていたものが」

ロイド「実は他の人間に作られていた訳だからねぇ」

ロイド「きっと隠された僕の記憶には、何か大事な」

ロイド「隠した人間にとって不都合なことがあるに違いない」

ロイド「ギアスの力は強大だ、人間には扱えきれないほどに」

ロイド「だからこそ、君のようにそれでも人間であろうとする姿は」

ロイド「素直に尊敬するよ、僕は」

ロイド「この世界で、良からぬことを僕らが生まれるずっと前から企んでいる輩がいるなら」

ロイド「僕はそれを打ち砕く手助けがしたい」

ロイド「ま、つまりは君の手助けってことだけどね」

690: 2020/09/22(火) 17:14:52 ID:Q8baA5mc
ルルーシュ「ロイドさん……」

ロイド「……なぁんちゃって」

ロイド「ま、僕とセシル君の記憶については僕らに任せて欲しいってことぉ」

ロイド「近いうちに成果は出すよぉ」

ルルーシュ「……はい、宜しくお願いします」

ラクシャータ「ちょっとぉ~アンタたちは砂糖とミルクいるわけ?」

ロイド「僕のにはたあっぷり入れてほしいな~」

ラクシャータ「じゃあ自分の分は自分で入れなさいよね」

セシル「2人が話しているから、ちょっと入りづらく……あいたっ」

ラクシャータ「んもう、余計なこと言わないの」

セシル「す、すみません……」

ルルーシュ「ふふ」

ロイド「ん~美味しいねぇ~」ズズズ

691: 2020/09/22(火) 17:20:17 ID:Q8baA5mc
とりあえずここまで、今まで音沙汰なくてごめんなさい。

色々あったのは事実だけど、結果的に逃げていました。

時間が経つ中で自分の考えや感じ方にも大きな変化があり、元の構想だけだと満足と納得のいくものに仕上げられる自信が無かったからです。

僕が書きかけているものについては、エタらせるつもりもありませんでした。落ちたら建て直してまた書けばいいと思いながら、何年も時間が過ぎてしまいました。

また逃げるかもしれません、間も空くかもしれません。

でも、必ずエンディングは迎えさせます。僕が作ってしまった非公式のキャラクターたちにも、そして読んで下さっている皆さんのためにも、それが書き散らした責任だと思うからです。

気が向いたらまたチェックしてみてください。暇な時だけで結構です。

少しでも楽しんで頂けるものを書こうと思います。設定の齟齬は気付きましたら教えてください。

修正できる範囲で頑張ってみようと思います。それでは、また。

692: 2020/09/22(火) 17:40:33 ID:yiq7mwik
更新だ…!!!ずっと待ってたぞありがとう!

693: 2020/10/01(木) 00:28:25 ID:bVDM5LYg
うおおおおおおお更新きてるうううううう
ルルーシュがギアスキャンセラーという武器をどう使っていくか?期待してるぞ!
ルルーシュとC.C.をこの話の中でも幸せにしたって下さい

697: 2021/02/02(火) 13:16:51 ID:h1Q1HLPY
節分ほしゅ

引用: ルルーシュ「正攻法でいこう」C.C.「……そうだな」R2 Part2