1: ◆hAKnaa5i0. 2017/07/03(月) 15:03:51.08 ID:FUrsx/KV0
(志希ラボ)

P「志希。志希。そろそろ起きろ」

志希「Zzz…」

ゆさゆさゆさ…

P「志希。おはよう。朝だぞ」

ゆさゆさゆさ…

志希「んー…? ふにゃぁ…」

志希「…なんだキミかー。おはよー」

ぽりぽり

志希「…寝落ちしちゃったみたいだねー」

P「服はだけすぎ。ほれ、タオルケットかけとけ。風邪引くぞ」

志希「にゃははー…ありがと」

志希「ねむねむ…」

P「また薬をつくってたのか?」

志希「うん…今回のも自信作~♪ よかったら飲んでみる?」

P「その前に聞くけど、これは一体どんな薬なんだい? ぱっと見、ただの片栗粉だけど」

志希「よくぞ聞いてくれましたー♪」

志希「その薬はねー、『サビシクナール(寂しくなる)』って言うんだー」

P「名前からなんとなく想像できるけど、一応聞こう。どんな薬なんだ?」

志希「簡単に言うと、飲んだ人が寂しさを感じやすくなるようになる薬ー」

P「だよねー。で、これは何かいい効果があるわけ?」

志希「効果をどう捉えるかは人によりけりだけど、志希ちゃん的にはー、かなーりイイカンジの薬に仕上がったって思ってるよー」

P「ほう」

アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(9) (電撃コミックスEX)

2: 2017/07/03(月) 15:04:48.48 ID:FUrsx/KV0
志希「例えばさ、プロデューサーって『昔、よく通ってたお菓子屋さん』みたいなトコに行った時、『寂しさ』とか『懐かしさ』を感じたことはない?」

P「ある。『友達とよく遊んでた公園』に行っても似たような感覚は感じるな」

志希「そうそう。胸が『キューッ』ってするカンジ。『あはれなり』な感情ね~♪」

P「ノスタルジー、とも言うのかな?」

志希「YES」

志希「この薬を飲んだ人はね、その『寂しさ』をすごく感じやすくなるようになるわけ」

志希「普段使ってるペンを眺めて『寂しいなぁ』って感じたり、夕暮れ時に歩いてて『寂しいなぁ』ってなるのー」

志希「情感豊かになる薬、って言い換えてもいいかな」

P「なるほど」

P「ところで、この薬で感じる寂しさは、『1人ぼっちは嫌だ』という寂しさとは違うのか?」

志希「もちろん、その寂しさも感じることはあるよー。でも、必ずしも『1人の寂しさ』ではないんだねー」

P「なるほど」

P「ところで、志希は自分で使ったのか?」

志希「使ったよー。我ながら、なかなか破壊力のあるお薬だったねー…」

志希「実は薬の効果がまだ尾を引いててね…今日の私はしっとり志希ちゃんなんだー…」

P「なるほど。だからいつもよりキャッキャしてないわけね」

志希「かもねー…♪」

志希「…」

P「どした。こっちをじっと見てきたりして?」

志希「あのさ」

P「うん?」

志希「おんぶしてくれる?」

P「おんぶ?」

志希「うん♪ 背中に乗せてほしいにゃ~♪」

P「…薬を隠し持ってたりしない?」

志希「ない♪」

P「…急にハンカチに染み込ませた薬を嗅がせたりしない?」

志希「ないない♪ 単にキミの背中に乗りたいだけ~♪」

志希「早く、早くー♪」

バタバタバタ

P「はいはい。お嬢ちゃん急かさないでおくれ」

P「よっこいせっ…と」

ひょいっ

P「ほい。これでいいかい?」

志希「…んー…キミの背中って安心するねー…」

ぎゅぅ…

P「…」

P「(胸がやべえ…明らかに押し付けられてるわ…)」

志希「おや…♪ ナニか気になるー…?♪」

P「べ、べっつにー?」

志希「~♪」

3: 2017/07/03(月) 15:05:29.49 ID:FUrsx/KV0
ハスハスハス…

志希「…ん~…♪ プロデューサーの香り…好きなんだよねぇ…♪」

P「スーツをクリーニングに最近出したからな」

志希「いやいや、クリーニングの香りだけじゃないんだよね~」

志希「キミの生活を構成する『人』や『もの』の匂いが混ざり合って、香りは生まれるからねー」

P「へぇ。自分じゃわからないなぁ」

志希「にゃははー♪ とにかく安心する香りなんだー。乗り心地もいいし♪」

ぎゅぅ…

志希「掴まってられる場所があるっていいねぇ…♪ 」

P「…おぅ」

志希「今度から実験中にも隣にいてよ。キミのことをハスハスしてたら、より集中できそう~♪」

P「忙しくない時ならいいぞ」

志希「じゃあ、約束ねー♪」

P「おう」

4: 2017/07/03(月) 15:06:20.20 ID:FUrsx/KV0
P「ていうかさ、この『おんぶして欲しい』っていう欲求も薬の影響なわけ?」

志希「んー…どうなんだろうねぇ」

志希「『寂しさ』は残ってるんだけどさー、もしかしたら薬を飲まなくてもおんぶして欲しかったかもしれないし、そうじゃないかもしれないからねー」

P「あー、確かに『なんでその行動を取ったのか』って簡単に説明できるもんでもないからね」

志希「そゆこと♪」

志希「逆の場合もまた然りだよ」

志希「例えば、ある人が怒ったとするでしょ」

P「うん」

志希「仮に、怒った人が凛ちゃんだったら、プロデューサーは『ふざけないでよ』って怒鳴られちゃうわけ」

P「嫌な例だけど想像できる」

志希「一方、怒った人藍子ちゃんの場合、ほっぺたを膨らませてそっぽを向くでしょ? 多分」

P「多分、そうなるだろうな。可愛い反応だ」

志希「それと同じでね、『寂しさ』を感じてどんな行動を取るのかは誰にもわからないんだー」

志希「薬を嗅いだ人がどんな行動を取るのかは予測不能ってこと~」

P「なるほど」

5: 2017/07/03(月) 15:07:12.46 ID:FUrsx/KV0
志希「ん。とりあえず。被験者を呼んでみよっか」

P「被験者?」

志希「うん♪」

パチッ(指パッチン)

シュターン!

フレデリカ「ふんふんふふーん♪ 呼ばれて飛び出てフレちゃんだよ~♪」

フレデリカ「はい。こんにちは。ご主人様~、今日はどのようなご用件でございましょー♪」

P「フレデリカ。いったいどこから現れたんだ」

フレデリカ「おやおや、プロデューサー。乙女の秘密を知ろうとするなんて…やらし~♪」

P「いやいや…」

志希「はい。じゃあ、フレちゃん。早速だけど飲んでもらえるかな?」

フレデリカ「ちょーっと待ったー! 今日はね、スペシャルゲストを呼んであるんだ~♪」

P「スペシャルゲスト?」

志希「わぉ、誰かなー」

ジャジャーン!

ありす「…ふ、フレデリカさんに連れられて来ましたけど…何です…いきなり?」

志希「本当に予期せぬゲストだね~♪」

P「おはよう。ありす」

ありす「お、おはようございます。プロデューサーさん。橘です」

ありす「それよりここは…どこなんですか?」

フレデリカ「ここは夢と現実…精神と物質の狭間にある場所…」(裏声)

フレデリカ「私の名はミヤモート…この部屋の主でございます…」(裏声)

ありす「いやそれ『ベルベットルーム』じゃないですか」

志希「要するにね~、今、ありすちゃんは夢を見ているってこと♪」

P「息を吐くように嘘をつくんじゃないよ」

6: 2017/07/03(月) 15:07:46.76 ID:FUrsx/KV0
ありす「よ、よくわかりませんけど…何の用事なんですか? プロデューサーさん…」

P「実は志希が薬を開発してな。その被験者を募っているところだったんだ」

P「そして、どういうわけか、ありすに白羽の矢が立ったというわけ」

ありす「い、嫌ですよ。私は飲みません」

フレデリカ「ガーン!!」

ありす「『がーん!!』じゃないですよ。当たり前です」

フレデリカ「フレちゃんはショックを受けています…およよよ…」

ありす「知りませんよ…まったく」

志希「ちなみに、私がこの薬を飲んだところ、プロデューサーにおんぶされることになりました」

ありす「…え?」

志希「とてもいい香りで、安心する場所でした」

志希「私は薬を飲んだことでわずかな時間ながら幸せなひと時を過ごしました」

ありす「ほ、本当なんですか? プロデューサーさん…?」

P「事実か事実ではないかで言えば、すべて事実だな」

P「(誤解を招きそうな言い方だったけど)」

7: 2017/07/03(月) 15:08:50.16 ID:FUrsx/KV0
ありす「…」

ありす「…せ、せっかくなので私も飲んでみていいですか?」

フレデリカ「わーお♪ ありすちゃんチャレンジャーだね~♪」

ありす「大人ですから。いろいろなことに挑戦してみなければいけません」(キッ)

P「本当にいいのか?」

ありす「任せてください」(フンス)

志希「では、この薬をどうぞー♪」

ありす「…な、何ですかこの色は…? 青汁みたい…」

志希「大丈夫。味はないからね♪」

P「その色で味がないって、逆に怖くない?」

フレデリカ「でも、フレちゃんも金髪だけどあんまり味しないよ? それと似たようなカンジじゃないかな?」

志希「そうだね♪」

P「適当な返事をするんじゃないよ。明らかに意味のわからないことを言っていたじゃないか」

フレデリカ「『明らかに意味のわからない』…ああ…なんとまあ矛盾すること言葉よ…!」

P「誰の真似なんだよ…」

フレデリカ「さぁ?♪」

ありす「…」

P「ごめん。飲んでいいぞ、ありす」

P「それとも、やっぱりやめとくか?」

ありす「…の、飲みます!」

ありす「こんなもの…楽勝です…」

ぐびぐびぐびぐび…

志希「おー、いい飲みっぷり♪」

フレデリカ「パチパチパチパチ~♪」

P「飲ませといてなんだけど、大丈夫かな?」

8: 2017/07/03(月) 15:09:33.91 ID:FUrsx/KV0
ありす「…」

ありす「なんだか…身体が冷たく…心臓がドキドキしてきました…」

フレデリカ「えぇ!? ありすちゃん…氏んじゃうの…!?」

ありす「そ、そんな怖いこと言わないでくださいよ…」

志希「大丈夫。氏なないよ♪」

ありす「…そ、そうなんですか…?」

ありす「で、でも…なんですか…この、不安感…」

ありす「ぷ、プロデューサー…助けてください…」

よろよろ…ぎゅっ…!

P「あう」

ありす「…」(ぶるぶる)

P「大丈夫なのか? 結構、震えてるけど」

P「迷子の子供がお母さんを見つけた時みたいに、全力で抱きついてきてるけど」

志希「うん。体調に影響を及ぼすわけじゃないからね」

志希「ただ、『寂しさ』をすごーく感じてるだろうから、ハグしてあげてるのがいいよ~♪」

志希「親しい人との身体の接触は、安心感を生み出す手っ取り早い方法だからね♪」

P「なるほど」

ハグッ…ぎゅぅぅ…

ありす「…」(ぷるぷる)

P「本当だ。ブルブルからぷるぷるに変わった」

9: 2017/07/03(月) 15:10:15.56 ID:FUrsx/KV0
ありす「…な、何ですか…この薬は」(ぷるぷる)

ありす「胸が…キューってなって…さみしいような気持ちに…」

ありす「うぅ…これ…嫌ですよ…」

ポロポロ…

P「…え? 泣いてる?」

ありす「…泣いてません…泣いてなんか…うっ…うっ…」

P「…」

P「志希ちゃん。説明を」

志希「はい。おそらく、ありすちゃんは普段から『寂しさ』を堪えている子であるため、自分で堪えきれないほどの切なさと寂しさを感じたことにより、たまらず泣いてしまったものだと思われます」

志希「簡単に言えば、『寂しさの限界を超えてしまった』わけです」

P「なるほど」

ありす「…うっ…うぅ…」(ポロポロ)

フレデリカ「うん。ありすちゃん、プロデューサーがいるからね~♪ 大丈夫。怖くないよ♪」

ナデナデ…

ありす「…うっ…ふ、フレデリカさん…き、急に優しくしないで…ぐだざいよ…ぐずっ…」

ありす「ふぇ…ぇ…ん…うっ…うっ…」

フレデリカ「♪」

フレデリカ「プロデューサー♪ しばらくこのままにしといてあげなよ♪」

P「そうだなぁ。ありすも号泣してる姿を他の子には見られたくないだろうし」

フレデリカ「うん♪」

P「ところで、相変わらず、キミは時々、とても気を使える子に変貌するね。フレデリカ」

志希「不思議な日本語を使うね~♪」

P「でも、間違ってない不思議」

10: 2017/07/03(月) 15:10:59.31 ID:FUrsx/KV0
休憩します

11: 2017/07/03(月) 15:15:00.13 ID:FUrsx/KV0
P「この薬はヤバくない? 志希博士?」

志希「んふふ~♪ じゃあ、使うのやめとく?」

P「いえ、使います」

志希「そうこなくっちゃ♪」

志希「でも、『誰に飲ませるのか』を決めちゃうとツマラナイから、サビシクナールを混ぜた飲み物を事務所の冷蔵庫に入れとくね~」

P「見た目が青汁だとすぐにバレない?」

志希「大丈夫。粉末タイプのもあるから。何にでも混ぜられるんだー」

P「ならありすにもっと飲みやすいのを渡してあげればよかったのに…」

志希「にゃはは♪」

12: 2017/07/03(月) 15:45:11.95 ID:bcGAPIoQO
涙流した方がストレス解消になるみたいだしね

13: 2017/07/03(月) 17:00:23.01 ID:oLyVPSRDO
このありすをお持ち帰りしていいかな?

14: 2017/07/03(月) 17:19:35.56 ID:xsWVcYpqO
になちゃんに飲ませたい

15: 2017/07/03(月) 17:38:41.54 ID:Xw99p771O
小林製薬並みのネーミングセンスいいと思います

16: 2017/07/03(月) 17:53:54.75 ID:4u6S4lRb0
ニナちゃんみゆきちゃんと美優さんとか洒落ぬならなそうなのはおいといて
りんあすらんあたりに飲ませて蒼を加速させよう

ケース1.「緒方智絵里」

引用: 志希「んふふ…♪ 『サビシクナール(寂しくなる)』を開発したよー…♪」