50: 2017/07/06(木) 19:00:11.59 ID:Qb6C5r70O

前回ケース2.「本田未央」


ケース3.「速水奏」

【事務所】

奏「…ふぅ。テスト明けだからって、朝から晩までレッスンはやり過ぎちゃったかしら」

奏「…流石に疲れた…わね」

ドサッ

奏「…」

奏「革のソファ…首元がひんやりしてて気持ちがいいわね…」

奏「ふふふ…疲労感と心地よさで…なんだか溶けてなくなってしまいそう…」

奏「…もし、私がこのまま溶けて消えてしまっても…案外誰も気づかないんじゃないかしら…」

奏「速水奏なんて存在はこの世界にとって大したものじゃない…いてもいなくても変わらず回っていくものだものね…」

奏「…なんて」

奏「…喉が渇いちゃった。冷蔵庫に何かないかしら…」

スッ…スタスタ…カチャッ

奏「麦茶…かしらね。薄茶っぽい色…まさか腐っているってことはないでしょうし、少しいただこうかしら…」

コポコポコポコポ…

くぴっ…くぴっ…くぴっ…ふぅ

奏「無味無臭…? でも、なんだか変な…」

奏「…」(ゾクッ)
アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(9) (電撃コミックスEX)
51: 2017/07/06(木) 19:00:54.57 ID:Qb6C5r70O
ガチャ

P「お疲れ様。奏。いるんだろ」

奏「…ふぅ。あなた、ね。お疲れ様」

P「うん。朝からレッスンしてて疲れたろ」

奏「…まあね」

P「どうだ。この後、近くの店でご飯でも…」

奏「いらないわ」(きっぱり)

P「おぅ」

奏「…少し、1人にしてちょうだい。帰るから。鍵はよろしくね」

P「ちょっと待ってくれ、奏、何か変じゃな…」

スタスタ…カチャッ、パタン

P「…」

P「何だか無愛想というか…イライラしてたというか…なんだったんだ…?」

P「ん…机の上にコップ…か」

P「…」

52: 2017/07/06(木) 19:05:36.67 ID:Qb6C5r70O
【海岸沿い】

ザザーン…ザザーン…

奏「…潮風が気持ちいいわね」

奏「…不思議な気持ち…胸を締め付けられるような苦しさが…夜の海の美しさを引き立たせているみたい…」

スタスタ…ぱちゃ…ぱちゃ…

奏「ふふふ…靴がビショビショになっちゃった…」

奏「でも…冷たくて気持ちがいいわ…」

奏「…」

奏「今の私は…まるで行き場を無くしてしまった野良猫みたい、ね」

奏「…身体と心を休めてくれていたはずの居心地が…急に私の心を締め付けてくる場所に変わってしまった…」

奏「…ふふ。おかしな感情ね…」(くすっ)

奏「…」

奏「…」(ツーッ)

奏「…涙が溢れたのなんて…いつ以来かしら…」

奏「…ふふふ…このまま、本当に海の中に消えてしまうのも案外いいかもしれないわね」(ぱちゃぱちゃ)

P「何がいいんだ」

奏「!?」

P「スカートまで濡れてるぞ。早く上がれ」(ぐいっ)

奏「ちょっ、腕を強く引っ張りすぎ…」

P「上がってタオルで拭け。家まで送るからな」

奏「もうっ! 強引なのは嫌われるわよ!」

P「はいはい。どうぞ嫌ってください」(ぐいぐい)

57: 2017/07/06(木) 19:46:00.93 ID:eup7wnWV0
【車内】

P「え? 氏ぬつもりだったわけじゃないのか?」

奏「…当たり前でしょ。馬鹿ね」

奏「私は悲観主義者ではないの。どんなに辛くても…自分の人生に絶望したりはしないわ」

P「じゃあ、膝下まで海に入って何をしてたんだ」

奏「…誰だってセンチな気持ちになることくらいあるでしょう」

奏「ちょっとブルーになってたから、たそがれていただけ。まったく。心配しすぎよ」

P「そ、そんなに心配してないぞ」

奏「…でも、結構走り周って探してくれたんでしょう? ぜいぜいいってるし、汗かいてるし」

P「き、気のせいじゃなかナー…」

奏「へぇ…そう♪」

P「よ、余裕だぜ」

奏「ふふ…」

奏「まあ…心配してくれてありがとう」

スッ

P「ちょ、顔近っ」

奏「あら…何? 意識してるのかしら…♪」

スンスン…

奏「何だかちょっと汗臭いわね…♪」

P「ちょいちょい、嗅ぐな!」

奏「志希の真似よ…♪」

奏「でも、人の香りって…結構安心するものね…」

58: 2017/07/06(木) 19:46:44.75 ID:eup7wnWV0
スッ…トスッ…

P「…」

奏「…ごめんなさい…しばらく、頭をもたれかからせてもらえるかしら…」

奏「少しだけね…疲れているの…」

奏「心も、身体も、ね…」

P「今日は頑張りすぎたのかもな」

奏「うん…疲れちゃった」

P「…奏が高校生らしく、素直に弱音を吐くところ。初めて聴いたな」

奏「…『高校生らしさ』や『大人らしさ』みたいな枠組みを人に押し付けるのはどうなのかしら」

奏「私は速水奏らしく過ごしているだけよ…」

P「そっか」

奏「うん…今日の私も同じ…速水奏の少しだけ弱い面が出てるだけなのよ…」

ぎゅっ…

P「おぅ」

奏「…」(カタカタカタカタ…)

P「(身体が震えてる…)」

奏「…さっき腕を引っ張ってくれた時…すごく安心したわ…」

P「…怒ってなかった?」

奏「驚いただけ…照れ隠しだっただけ…」

奏「嬉しかったし…心が楽になったの…」

ぎゅっ…ぽんぽん…

奏「…ん」

P「俺も信頼してもらえて嬉しいよ」

P「…お腹空いてるか?」

奏「…少しだけ」

P「じゃあ、このままどこかで食べようか。その後、家に送るよ」

奏「…ありがとう。でも」

ぎゅぅぅ…

奏「まだこのまま…いさせてくれるかしら…」

P「…ああ」

59: 2017/07/06(木) 19:47:27.74 ID:hDMusFjq0
【休憩します】

54: 2017/07/06(木) 19:12:09.19 ID:FLnypfchO
寂寥感から氏を選ぶ子がいるのではと思ってたけど、奏か……、なるほど

56: 2017/07/06(木) 19:17:27.81 ID:MTkTVDiLo
志希にゃん志希にゃん、Pちゃんいなかったら君の薬のせいで奏ちゃん氏んじゃう所だったけどどんな気分?
ってちょっと聞いてみたい

60: 2017/07/06(木) 20:02:15.83 ID:vYFCuCWU0
ケース4.「星輝子」

志希「てなわけで、最後の分は輝子ちゃんが飲んじゃったんだ~♪」

P「いきなりだな」

P「ていうか、ライブ前なのにヤバくない?」

P「あの薬。4、5時間くらい効きっぱなしじゃん」

志希「んふふ~♪ ヤバいかどうかは、自分の目で確かめてみれば~?」

P「?」

61: 2017/07/06(木) 20:02:54.85 ID:vYFCuCWU0
ライブ

輝子「ヒャッハァァァァァァ!!!! オマエら!!! 今日もぼっちの悲しみを癒しに来やがったのかァァァァ!!!」

ファン「イェェェェェェイッッ!!!」

輝子「ンンンッッ…!! その統一感のある返事!!! 揃いも揃って合わせやがって…!!! 私はっ! そういう『一緒』や『連帯感』をみると吐き気がするんだよォォォォッッ!!!!」

輝子「ヒャッハァァァァァァ!!! リア充は消えてなくなりやがれぇぇぇぇ!!!!!」

輝子「アッハッハハッハッハァァァァ!!!!!♪」

輝子「行くぜぼっち共ぉぉぉっっ!!! 私の魂の叫び(シャウト)を聴きやがれぇぇぇぇ!!!」

ファン「おおおぉぉぉぉっ!!!!」

ワーワー…!!
ワーワー…!!

62: 2017/07/06(木) 20:04:43.60 ID:+aRYJv7e0
P「…寂し…がってるのか? アレ?」

志希「うん♪ 間違いなくね♪」

P「…なんか…ウン…薬の反応って人によりけりなんだね…」

志希「最初に言った通りでしょ~♪」

志希「またユニークなの作っておくから、その時はまたよろしくね♪」

P「んー、ヤバすぎなければ付き合うよ」

志希「ありがと♪」

終わり

63: 2017/07/06(木) 20:08:45.84 ID:8tDP+gNM0
以上です。
お読みくださった方々。レスくださった方々。とても励みになりました、ありがとうございます。
また気が向いたら薬シリーズで書いていきたいと思いますので、その時はまたお付き合いしてもらえると嬉しいです。

以下は前作になります。
よろしければこちらもお読みくださいヽ(・∀・)
【デレマス】元・クールPと堀裕子の話

65: 2017/07/06(木) 20:36:41.97 ID:z7stL/p5o
てるこたそが楽しそうでなにより
おつおつ

引用: 志希「んふふ…♪ 『サビシクナール(寂しくなる)』を開発したよー…♪」