800: 2015/11/16(月) 02:24:30.63 ID:mE1WKCac0
最初から:【艦これ】提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」
前回:【艦これ】提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」第十六話
鎮守府では、提督の想像通り、編成を終えた第三艦隊が出撃を開始していた。
扶桑「では行きますよ!」
山城「はい姉さま!」
加賀「・・・無事だと良いのだけど」
赤城「ふふ・・・心配なんてしていないでしょ加賀さん?」
加賀「当然ね。提督に限って、もしものことなんて無いわ。どんな敵であっても」
赤城「そうですね」
時雨「当然さ。ボクの自慢の夫だもの」
夕立「時雨、人のダンナを取るのはダメっぽい」
加賀「貴女のものでもないけれど」
赤城「加賀さんのでもないですよ」
山城「・・・私の提督」ボソッ
扶桑を旗艦に、山城、加賀、赤城、時雨、夕立の6隻からなる第三艦隊は最高速度で目的地へ向かい航行していた。
軽口を叩きつつも、常に全方位を警戒している。
一糸乱れず、編成を維持して航行する姿からは歴戦の猛者の空気が漂っていた。
彼女達は鎮守府に早い段階で着任している古参組であり、
他所の鎮守府より、圧倒的に錬度が高い当鎮守府の中でも最強の一角を占める者達だ。
また同時刻、鎮守府正面の海域では第四艦隊が展開していた。
飛龍「さてと・・・じゃあ行ってきて!」
直掩機を残し、偵察隊を飛ばす。
蒼龍「・・・提督、無事だといいけど。多分無事だけどさ・・・でも心配だなぁ」
瑞鶴「信じるしかないわよ。大丈夫。提督さんなら絶対」
まるで自分に言い聞かせるように瑞鶴が力強く言葉を紡ぐ。
雲龍「・・・まずは事態をなんとかしないとね」
第四艦隊は蒼龍を旗艦に飛龍、瑞鶴、雲龍、秋月、初霜の6隻からなっていた。
秋月「どうしました?」
顔を顰めている初霜が気になり声を掛ける。
801: 2015/11/16(月) 02:24:59.81 ID:mE1WKCac0
初霜「いえ、電波の妨害ってどうやっているのかなって・・・」
蒼龍「よく分からないけど、レ級が出しているんじゃないの?」
初霜「提督達の現在位置が舞鶴湾の入り口近く、栗田湾まで行かないにしても・・・由良川の近く・・・くらいでしょうか?」
雲龍「大体の位置はその辺じゃ? 戦闘中に移動している可能性もあるし、正確には分からないけれど・・・」
初霜「そこからレ級が妨害電波を出したとして、単機でそこまで広範囲をカバー出来るのでしょうか?」
蒼龍「普通であれば、中継役が居てもおかしくないけどね。だから今こうして哨戒機を飛ばしているわけだし」
初霜「聞けば、沖合いに居た第二艦隊も影響を受けていますよね」
秋月「でも天龍さん達は司令には連絡取れたみたいですが・・・」
初霜「それですよ。なんで天龍さんは鎮守府に連絡を直接せずに、提督達の艦隊に連絡を?」
秋月「・・・近かったからですか?」
飛龍「でも、まずは鎮守府に連絡しないと増援も出せないし、警戒も出来ないよね?」
初霜「こうは考えられませんか? しなかったのではなく、鎮守府に連絡が出来なかったって」
蒼龍「沖に居た天龍達が鎮守府には連絡が取れなくて、若狭湾辺りに居た提督達には連絡が取れた?」
瑞鶴「・・・?」
初霜「それと、金剛さんの体に入っている提督は除外しても、一緒に居るメンバーは皆、錬度が高いです」
秋月「確かに・・・そうですね」
初霜「いくらレ級が強いとしても、戦闘しながら妨害が出来る余裕ってあるのかしら」
雲龍「・・・つまり犯人は別に居る可能性が高い?」
初霜「ええ、恐らく・・・」
瑞鶴(・・・どうしよう話が難しい)
初霜「敵に妨害のみを行う別働隊が居たとして、それを行うなら・・・」
蒼龍「・・・まさか」
初霜も蒼龍も自分達の足元の水面を見た。
一方、電達は漁港にある有線回線で鎮守府に連絡していた。
提督『ええ、無事で何よりです。はい、ではそちらで敵増援を警戒してください』
天龍「で? なんだって?」
蒼龍「よく分からないけど、レ級が出しているんじゃないの?」
初霜「提督達の現在位置が舞鶴湾の入り口近く、栗田湾まで行かないにしても・・・由良川の近く・・・くらいでしょうか?」
雲龍「大体の位置はその辺じゃ? 戦闘中に移動している可能性もあるし、正確には分からないけれど・・・」
初霜「そこからレ級が妨害電波を出したとして、単機でそこまで広範囲をカバー出来るのでしょうか?」
蒼龍「普通であれば、中継役が居てもおかしくないけどね。だから今こうして哨戒機を飛ばしているわけだし」
初霜「聞けば、沖合いに居た第二艦隊も影響を受けていますよね」
秋月「でも天龍さん達は司令には連絡取れたみたいですが・・・」
初霜「それですよ。なんで天龍さんは鎮守府に連絡を直接せずに、提督達の艦隊に連絡を?」
秋月「・・・近かったからですか?」
飛龍「でも、まずは鎮守府に連絡しないと増援も出せないし、警戒も出来ないよね?」
初霜「こうは考えられませんか? しなかったのではなく、鎮守府に連絡が出来なかったって」
蒼龍「沖に居た天龍達が鎮守府には連絡が取れなくて、若狭湾辺りに居た提督達には連絡が取れた?」
瑞鶴「・・・?」
初霜「それと、金剛さんの体に入っている提督は除外しても、一緒に居るメンバーは皆、錬度が高いです」
秋月「確かに・・・そうですね」
初霜「いくらレ級が強いとしても、戦闘しながら妨害が出来る余裕ってあるのかしら」
雲龍「・・・つまり犯人は別に居る可能性が高い?」
初霜「ええ、恐らく・・・」
瑞鶴(・・・どうしよう話が難しい)
初霜「敵に妨害のみを行う別働隊が居たとして、それを行うなら・・・」
蒼龍「・・・まさか」
初霜も蒼龍も自分達の足元の水面を見た。
一方、電達は漁港にある有線回線で鎮守府に連絡していた。
提督『ええ、無事で何よりです。はい、ではそちらで敵増援を警戒してください』
天龍「で? なんだって?」
802: 2015/11/16(月) 02:28:01.87 ID:mE1WKCac0
電「電達はここで敵増援を警戒するのです」
天龍「・・・あ」
龍田「どうしたの?」
天龍「・・・言い忘れた」
暁「何をよ」
天龍「最初に鎮守府に連絡を付けようとしたら繋がらなかったんだよなぁ」
響「・・・あーなんか怒ってたね。機械の故障か?って」
天龍「うちの鎮守府の艦娘同士の回線を手当たり次第に回したら繋がったんだよな。それ言うの忘れた」
暁「ダメね。そんなんじゃ長女としては失格よ!」
天龍「うるせぇ!ちんちくりん!!」
暁「なんですってっ!!」
雷「・・・喧嘩はダメよ?」
天龍・暁「「すいませんっ!!」」
後ろがギャーギャーと騒がしいが、無視して電は考える。
当時の戦況、提督(中身金剛)から聞いた状況だと自分達が連絡した直後に提督達は戦闘状況に入っている。
だが、戦闘中に妨害活動をする余裕があるとは思えない。
自分達が倒した敵を思い出す。
自分達を足止めする為だけに逃げていた? 他にも目的があるとすれば?
今思えば逃げ方がやけに派手だった気がする。
何から目を逸らしたかった?
電(電達から目を逸らさせるとすれば・・・)
水上ではない・・・水面・・・
電「ああ、そういうことでしたか。電達はやられてしまったようですね」
暁「・・・?」
電は少し悔しそうに水面を見た。
それで何人かは同じ結論に至った。
雷「・・・私達が戦った敵、2重の囮ってワケね」
まずはレ級を単機で行かせる為の囮。
そして、あるモノから目を逸らさせる囮。
暁「・・・?」
電「恐らく、レ級を含めた6隻の他に別働隊が居たってことなのですよ」
天龍「・・・あ」
龍田「どうしたの?」
天龍「・・・言い忘れた」
暁「何をよ」
天龍「最初に鎮守府に連絡を付けようとしたら繋がらなかったんだよなぁ」
響「・・・あーなんか怒ってたね。機械の故障か?って」
天龍「うちの鎮守府の艦娘同士の回線を手当たり次第に回したら繋がったんだよな。それ言うの忘れた」
暁「ダメね。そんなんじゃ長女としては失格よ!」
天龍「うるせぇ!ちんちくりん!!」
暁「なんですってっ!!」
雷「・・・喧嘩はダメよ?」
天龍・暁「「すいませんっ!!」」
後ろがギャーギャーと騒がしいが、無視して電は考える。
当時の戦況、提督(中身金剛)から聞いた状況だと自分達が連絡した直後に提督達は戦闘状況に入っている。
だが、戦闘中に妨害活動をする余裕があるとは思えない。
自分達が倒した敵を思い出す。
自分達を足止めする為だけに逃げていた? 他にも目的があるとすれば?
今思えば逃げ方がやけに派手だった気がする。
何から目を逸らしたかった?
電(電達から目を逸らさせるとすれば・・・)
水上ではない・・・水面・・・
電「ああ、そういうことでしたか。電達はやられてしまったようですね」
暁「・・・?」
電は少し悔しそうに水面を見た。
それで何人かは同じ結論に至った。
雷「・・・私達が戦った敵、2重の囮ってワケね」
まずはレ級を単機で行かせる為の囮。
そして、あるモノから目を逸らさせる囮。
暁「・・・?」
電「恐らく、レ級を含めた6隻の他に別働隊が居たってことなのですよ」
803: 2015/11/16(月) 02:30:37.47 ID:mE1WKCac0
天龍「多分な。俺らが逃したのはレ級だけじゃなかったってことだよ。コンチクショウ」
電「電達が水上で戦っている時に水面下を抜かれたのです」
暁「・・・うん?」
その頃、提督達は編成を組みなおし、レ級に応戦していた。
金剛「卯月、弥生、そのまま前進、敵背後を取れ、翔鶴は位置はそのまま、攻撃隊を2分し、卯月と弥生の護衛へ回せ!」
卯月「了解ぴょん!!」
弥生「任せて」
翔鶴「わかりました!」
金剛「能代、そのまま牽制、敵との位置を保ちつつだ。機動力と攻撃力を兼ね備えた軽巡の力を見せてやれ」
能代「はいっ!!」
金剛「伊勢、俺とおまえの攻撃力が突破口になる、同時に仕掛けるぞ」
伊勢「了解。でも無茶はさせないからね? 所で、さっき言ってた電波妨害がレ級じゃないって・・・」
金剛「奴だけで広域を全封鎖してるとは考えられない。この状況でそんなことする余裕もないハズだ」
伊勢「・・・?」
金剛「恐らく、妨害電波の犯人は別に居るな。外の部隊も俺達も孤立状態にさせるとすれば・・・ここではない」
それぞれ別の場所に居る金剛、電、初霜は奇しくも同じ時、同じ事をそれぞれの場所で口にした。
3人「「「敵は、鎮守府のすぐ近くに潜んでいる」」」と
秋月は驚いた。
秋月「え? この近くですか?」
初霜「恐らく。鎮守府そのものを通信封鎖してしまえば・・・」
雲龍「・・・外から連絡は出来なくなる」
秋月「でもどこに・・・」
自分で口に出して、自分で気付いた。
秋月「そうか・・・潜水艦!!」
蒼龍「もしそれが正解だったら、私達正規空母はちょっと厳しいかなぁ」
雲龍「・・・対潜で考えてなかったし」
飛龍「蒼龍のでっかいおっOいを水中に撃てば、まとめて殲滅できるんじゃないのー」
蒼龍「・・・ぶっ飛ばすよ?」
飛龍「じょ・・・冗談だって」
瑞鶴(・・・あの胸が妬ましい)
自分の胸に手を当てて凹む瑞鶴。
それを見た初霜は完全に気持ちを理解した。
瑞鶴「・・・初霜? なんで私の肩をぽんぽんってしたの今」
初霜(でも私は瑞鶴さんと違ってまだ成長の余地が・・・)
何気に失礼である。
瑞鶴(提督さんに揉んでもらったら・・・大きくなるかなぁ)ハイライトオフ
電「電達が水上で戦っている時に水面下を抜かれたのです」
暁「・・・うん?」
その頃、提督達は編成を組みなおし、レ級に応戦していた。
金剛「卯月、弥生、そのまま前進、敵背後を取れ、翔鶴は位置はそのまま、攻撃隊を2分し、卯月と弥生の護衛へ回せ!」
卯月「了解ぴょん!!」
弥生「任せて」
翔鶴「わかりました!」
金剛「能代、そのまま牽制、敵との位置を保ちつつだ。機動力と攻撃力を兼ね備えた軽巡の力を見せてやれ」
能代「はいっ!!」
金剛「伊勢、俺とおまえの攻撃力が突破口になる、同時に仕掛けるぞ」
伊勢「了解。でも無茶はさせないからね? 所で、さっき言ってた電波妨害がレ級じゃないって・・・」
金剛「奴だけで広域を全封鎖してるとは考えられない。この状況でそんなことする余裕もないハズだ」
伊勢「・・・?」
金剛「恐らく、妨害電波の犯人は別に居るな。外の部隊も俺達も孤立状態にさせるとすれば・・・ここではない」
それぞれ別の場所に居る金剛、電、初霜は奇しくも同じ時、同じ事をそれぞれの場所で口にした。
3人「「「敵は、鎮守府のすぐ近くに潜んでいる」」」と
秋月は驚いた。
秋月「え? この近くですか?」
初霜「恐らく。鎮守府そのものを通信封鎖してしまえば・・・」
雲龍「・・・外から連絡は出来なくなる」
秋月「でもどこに・・・」
自分で口に出して、自分で気付いた。
秋月「そうか・・・潜水艦!!」
蒼龍「もしそれが正解だったら、私達正規空母はちょっと厳しいかなぁ」
雲龍「・・・対潜で考えてなかったし」
飛龍「蒼龍のでっかいおっOいを水中に撃てば、まとめて殲滅できるんじゃないのー」
蒼龍「・・・ぶっ飛ばすよ?」
飛龍「じょ・・・冗談だって」
瑞鶴(・・・あの胸が妬ましい)
自分の胸に手を当てて凹む瑞鶴。
それを見た初霜は完全に気持ちを理解した。
瑞鶴「・・・初霜? なんで私の肩をぽんぽんってしたの今」
初霜(でも私は瑞鶴さんと違ってまだ成長の余地が・・・)
何気に失礼である。
瑞鶴(提督さんに揉んでもらったら・・・大きくなるかなぁ)ハイライトオフ
816: 2015/11/22(日) 03:37:21.85 ID:O2tQGQPu0
初霜「・・・アクティブソーナーにも反応がない」
瑞鶴「どこに隠れているのよ!! さっさと出てきなさいっつの!」
アクティブ・ソーナーは自ら音波を出し、やまびこのように音波が反射し、帰って来るまでの
時間差で対象物を見つけるのだが、舞鶴湾は小さな島や岩が複数存在し、
このような入り組んだ形の湾で敵を見つけることは困難だった。
邪魔になる物が多すぎるのだ。
秋月「どこか、海底の岩影にでも隠れているんでしょうか?」
初霜「必ず見つける・・・!!」
提督の安否が心配だ。時間をかけては居られない。
それに何より自分達の鎮守府付近でふざけたことをされた事が気に入らなかった。
初霜「どこに潜んでいたって・・・見つける」
ソーナーをさらに投下。
初霜「必ず・・・」
秋月「・・・初霜さん?」
初霜の綺麗な琥珀色の瞳が赤く輝いて見えた。
それはまるで深海棲艦のように。
初霜「カナラズ・・・ミツケテ・・・」
そう。これは許されないこと。
敵が自分達のホームに今尚隠れている。
ここは自分と提督の場所だ。
それが敵の侵入を許すなど許されることではない。
出て行け。
ここから出て行け。
自分でも気付かない純粋な敵意。
ただ相手を『■したい』という想い。
敵が潜むならどこか、相手の気持ちで考える。
敵地を前にして敵も慎重になっているだろう。見つからないか怯えながら・・・
なら・・・一番見つかる可能性が低い場所はどこだ?
考えて、思いつく限りの場所にソーナーを落とす。
初霜(絶対ニ 逃ガサナイ)
やがて・・・
初霜「ミ ツ ケ タ・・・」
秋月「あっ・・・これ・・・」
ソーナーが微弱な反応を捉えた。
初霜「・・・捉えましたよ。潜水艦!」
秋月は初霜を見るが、瞳の色は何時もと変わらない。
秋月(・・・見間違いですかね?)
瑞鶴「どこに隠れているのよ!! さっさと出てきなさいっつの!」
アクティブ・ソーナーは自ら音波を出し、やまびこのように音波が反射し、帰って来るまでの
時間差で対象物を見つけるのだが、舞鶴湾は小さな島や岩が複数存在し、
このような入り組んだ形の湾で敵を見つけることは困難だった。
邪魔になる物が多すぎるのだ。
秋月「どこか、海底の岩影にでも隠れているんでしょうか?」
初霜「必ず見つける・・・!!」
提督の安否が心配だ。時間をかけては居られない。
それに何より自分達の鎮守府付近でふざけたことをされた事が気に入らなかった。
初霜「どこに潜んでいたって・・・見つける」
ソーナーをさらに投下。
初霜「必ず・・・」
秋月「・・・初霜さん?」
初霜の綺麗な琥珀色の瞳が赤く輝いて見えた。
それはまるで深海棲艦のように。
初霜「カナラズ・・・ミツケテ・・・」
そう。これは許されないこと。
敵が自分達のホームに今尚隠れている。
ここは自分と提督の場所だ。
それが敵の侵入を許すなど許されることではない。
出て行け。
ここから出て行け。
自分でも気付かない純粋な敵意。
ただ相手を『■したい』という想い。
敵が潜むならどこか、相手の気持ちで考える。
敵地を前にして敵も慎重になっているだろう。見つからないか怯えながら・・・
なら・・・一番見つかる可能性が低い場所はどこだ?
考えて、思いつく限りの場所にソーナーを落とす。
初霜(絶対ニ 逃ガサナイ)
やがて・・・
初霜「ミ ツ ケ タ・・・」
秋月「あっ・・・これ・・・」
ソーナーが微弱な反応を捉えた。
初霜「・・・捉えましたよ。潜水艦!」
秋月は初霜を見るが、瞳の色は何時もと変わらない。
秋月(・・・見間違いですかね?)
817: 2015/11/22(日) 03:38:08.49 ID:O2tQGQPu0
場面は変わり、レ級と戦闘中の提督達はレ級の攻撃を何とか防ぎきっていた。
レ級(てーとくが居るだけで、こうも変わるなんて・・・やっぱり面白いや!!)
伊勢と金剛(提督)の2人は敵の攻撃を避けながら撃ち返す。
伊勢「上手いじゃないですか」
金剛「そうか? ありがとう」
伊勢「ただ、あまり突出しないでくださいね」
金剛「分かっている」
伊勢「それで? どういうことです? 敵さん、鎮守府の目の前に居るって事?」
金剛「多分な。本来はウチの鎮守府から他へ応援を呼べなくするのが目的だったんじゃないか?」
レ級の狙いはどうやら自分らしい。
本来であれば鎮守府を強襲し、救援要請を出さないようにする為の処置だったのだろう。
その為に当鎮守府から他の鎮守府や哨戒に出ている艦隊への無線連絡を封鎖する。
だから鎮守府との通信が出来なかった。
しかし、あくまで鎮守府との連絡が取れなくなるだけだったので、天龍達とは無線が通じた。
伊勢「でも天龍とも途中で連絡出来なくなったよね」
金剛「それは俺達が舞鶴湾近くまで来たから干渉を受けているんだろうな。もっと沖へ出れば天龍達と繋がると思うぞ」
伊勢「なるほどね・・・」
金剛「それにしても敵も中々やってくれる・・・」
敵の潜水部隊は定期的に現れるが、今までの戦闘記録だと月に1回程度。
それを倒すと、また一ヶ月くらい間を置いて、再び現れる。
この約一ヶ月という間隔が今まで崩れなかったので、
一応は警戒をしていても、内心はどこかで居ないものだと思い込んでいた。
金剛(狙ってやったなら、中々に裏を搔くのが上手い様だ)
同時に自分の認識の甘さを反省した。
慣れるというのは恐い。
戦場では裏を搔くのは当たり前。そう、当たり前なのだ。
だけど、自分はどこかで可能性を肯定しながらも、それはないと思い込んでいた。
金剛(失態だな・・・だが、おかげで良い勉強になった。次はないがな)
レ級(てーとくが居るだけで、こうも変わるなんて・・・やっぱり面白いや!!)
伊勢と金剛(提督)の2人は敵の攻撃を避けながら撃ち返す。
伊勢「上手いじゃないですか」
金剛「そうか? ありがとう」
伊勢「ただ、あまり突出しないでくださいね」
金剛「分かっている」
伊勢「それで? どういうことです? 敵さん、鎮守府の目の前に居るって事?」
金剛「多分な。本来はウチの鎮守府から他へ応援を呼べなくするのが目的だったんじゃないか?」
レ級の狙いはどうやら自分らしい。
本来であれば鎮守府を強襲し、救援要請を出さないようにする為の処置だったのだろう。
その為に当鎮守府から他の鎮守府や哨戒に出ている艦隊への無線連絡を封鎖する。
だから鎮守府との通信が出来なかった。
しかし、あくまで鎮守府との連絡が取れなくなるだけだったので、天龍達とは無線が通じた。
伊勢「でも天龍とも途中で連絡出来なくなったよね」
金剛「それは俺達が舞鶴湾近くまで来たから干渉を受けているんだろうな。もっと沖へ出れば天龍達と繋がると思うぞ」
伊勢「なるほどね・・・」
金剛「それにしても敵も中々やってくれる・・・」
敵の潜水部隊は定期的に現れるが、今までの戦闘記録だと月に1回程度。
それを倒すと、また一ヶ月くらい間を置いて、再び現れる。
この約一ヶ月という間隔が今まで崩れなかったので、
一応は警戒をしていても、内心はどこかで居ないものだと思い込んでいた。
金剛(狙ってやったなら、中々に裏を搔くのが上手い様だ)
同時に自分の認識の甘さを反省した。
慣れるというのは恐い。
戦場では裏を搔くのは当たり前。そう、当たり前なのだ。
だけど、自分はどこかで可能性を肯定しながらも、それはないと思い込んでいた。
金剛(失態だな・・・だが、おかげで良い勉強になった。次はないがな)
818: 2015/11/22(日) 03:38:52.62 ID:O2tQGQPu0
鎮守府前の海の底。
カ級三隻の部隊が居た。
誰も言葉を発しない。岩陰にアンカーを打ち込み体を固定、
推進機関は停止させている。無駄な音は一切立てない。
そろそろ、いいだろうか?
撤退命令は出ていないが予定されている時間は過ぎた。
一刻も早く離脱したい。ここはあの鎮守府のまん前だ。命がいくつあっても足りない。
その時、上から気配を感じた。
カ級(この気配は・・・同胞か?)
作戦が変更されたのだろうか?
カ級(!!!!っ)
恐ろしいまでの殺意に体が震えた。
まるで全身を鋭利な刃物で貫かれたような感覚。
ただ、感じた。見つかったと。
体は硬直して動かない。本能が逃げるように告げる。
あれは深海棲艦じゃない。限りなく近いナニカだ。逃げろと。
何かが落ちてきた。
それが爆雷だと気付いた時には遅かった。左隣に居た1隻は直撃、轟沈。すぐにアンカーを外し機関始動。
右隣に居た仲間も同じく行動するが、アンカーが深く刺さっていて抜けない。
慌てずにやれば、すぐに対応は出来るが、焦りと恐怖で手間取っていた。
そして、すぐに次の爆雷の餌食になった。
カ級「くっ!! て・・・撤退を・・・」
目の前に浮遊する仲間だった肉塊を手で払いのけて、高速で離脱する。
カ級(ん? 音が・・・相殺されていない?)
爆発の衝撃で艤装が一部、破損したようだ。
カ級(しまっ・・・これでは敵に感づかれる!!)
水上では秋月と初霜が敵を捕捉していた。
秋月「急にソーナーの反応が強く?」
カ級三隻の部隊が居た。
誰も言葉を発しない。岩陰にアンカーを打ち込み体を固定、
推進機関は停止させている。無駄な音は一切立てない。
そろそろ、いいだろうか?
撤退命令は出ていないが予定されている時間は過ぎた。
一刻も早く離脱したい。ここはあの鎮守府のまん前だ。命がいくつあっても足りない。
その時、上から気配を感じた。
カ級(この気配は・・・同胞か?)
作戦が変更されたのだろうか?
カ級(!!!!っ)
恐ろしいまでの殺意に体が震えた。
まるで全身を鋭利な刃物で貫かれたような感覚。
ただ、感じた。見つかったと。
体は硬直して動かない。本能が逃げるように告げる。
あれは深海棲艦じゃない。限りなく近いナニカだ。逃げろと。
何かが落ちてきた。
それが爆雷だと気付いた時には遅かった。左隣に居た1隻は直撃、轟沈。すぐにアンカーを外し機関始動。
右隣に居た仲間も同じく行動するが、アンカーが深く刺さっていて抜けない。
慌てずにやれば、すぐに対応は出来るが、焦りと恐怖で手間取っていた。
そして、すぐに次の爆雷の餌食になった。
カ級「くっ!! て・・・撤退を・・・」
目の前に浮遊する仲間だった肉塊を手で払いのけて、高速で離脱する。
カ級(ん? 音が・・・相殺されていない?)
爆発の衝撃で艤装が一部、破損したようだ。
カ級(しまっ・・・これでは敵に感づかれる!!)
水上では秋月と初霜が敵を捕捉していた。
秋月「急にソーナーの反応が強く?」
819: 2015/11/22(日) 03:39:37.03 ID:O2tQGQPu0
初霜「敵は、なんらかの細工をしていたようですね。通信回復。聞こえますか執務室」
提督『ハイ、回復を確認したでーす!』
初霜「敵が妙なんですよ。いきなりソーナーに強く反応して・・・」
提督『ちょっと、まってください』
明石『変わりました。明石です。こちらでも確認が取れています』
初霜「どういうことなんでしょうか?」
明石『気になりますね・・・イムヤさん達に敵の残骸の回収を頼みますので、そちらで待機してもらえますか?』
初霜「了解しました。逃げた敵はどうしますか?」
提督『敗走するのであれば電達が居る場所を通るので、そちらで仕留めます。逃がさないでーす』
初霜「了解です」
秋月「念の為に私は湾内に他の敵が紛れていないか確認してきます」
初霜「分かりました」
蒼龍「・・・私が旗艦なのにぃ」
飛龍「潜水艦相手なんだし駆逐艦に任せておこうよ」
雲龍「・・・適材適所」
瑞鶴「・・・でも加賀さんなら余裕で倒していたと思う」
蒼龍「一航戦はバケモノだからねぇ」
飛龍「なんだかんだで瑞鶴は加賀好きだよねー」
蒼龍「ねー」
瑞鶴「はぁ!? 誰があんな奴!」
初霜「つんでれって奴ですか」
瑞鶴「違うわよ!!」
提督『ハイ、回復を確認したでーす!』
初霜「敵が妙なんですよ。いきなりソーナーに強く反応して・・・」
提督『ちょっと、まってください』
明石『変わりました。明石です。こちらでも確認が取れています』
初霜「どういうことなんでしょうか?」
明石『気になりますね・・・イムヤさん達に敵の残骸の回収を頼みますので、そちらで待機してもらえますか?』
初霜「了解しました。逃げた敵はどうしますか?」
提督『敗走するのであれば電達が居る場所を通るので、そちらで仕留めます。逃がさないでーす』
初霜「了解です」
秋月「念の為に私は湾内に他の敵が紛れていないか確認してきます」
初霜「分かりました」
蒼龍「・・・私が旗艦なのにぃ」
飛龍「潜水艦相手なんだし駆逐艦に任せておこうよ」
雲龍「・・・適材適所」
瑞鶴「・・・でも加賀さんなら余裕で倒していたと思う」
蒼龍「一航戦はバケモノだからねぇ」
飛龍「なんだかんだで瑞鶴は加賀好きだよねー」
蒼龍「ねー」
瑞鶴「はぁ!? 誰があんな奴!」
初霜「つんでれって奴ですか」
瑞鶴「違うわよ!!」
820: 2015/11/22(日) 03:40:31.90 ID:O2tQGQPu0
一方、レ級を相手にしている提督達は劣勢だった。
弥生「うっ・・・」
直撃は避けられたものの、艤装に大ダメージを受ける。
もはや戦闘は困難だった。
金剛「卯月! 弥生を連れて後退しろっ!!」
卯月「了解ぴょんっ!! ほらっ弥生!」
弥生「ごめん、ありがとう」
卯月も、かなりダメージを受けており、中破している。
翔鶴も攻撃機をかなり損耗した。
提督「翔鶴、前に出すぎだ! 能代っ!!」
能代「了解!!」
翔鶴に狙いを定めたレ級に砲撃を浴びせる。
その隙をついて、翔鶴は距離を取る。
レ級「ほら!! もっと頑張らないと皆氏ぬよ? ほら! ほら!!」
ただでさえ強いのに、尾が自我を持ち、戦闘をサポートしている。
氏角からの攻撃もそれでかわされた。
伊勢「実質2隻同時に相手しているみたい」
尾「そろそろ引き際では?」
レ級「うるさい。まだやるー」
尾「怒られますよ?」
レ級「バレなきゃオッケー」
気の抜ける会話をしながらレ級は姿勢を低く取る。
金剛「伊勢、来るぞ!!」
伊勢「了解!」
レ級に照準を合わせようとして直後、伊勢が吹っ飛ぶ。
金剛「伊勢っ!!? 早いっ!!」
直進してきたレ級の攻撃をまともに喰らった。
レ級「まずは邪魔な子達からバイバイね」
弥生「うっ・・・」
直撃は避けられたものの、艤装に大ダメージを受ける。
もはや戦闘は困難だった。
金剛「卯月! 弥生を連れて後退しろっ!!」
卯月「了解ぴょんっ!! ほらっ弥生!」
弥生「ごめん、ありがとう」
卯月も、かなりダメージを受けており、中破している。
翔鶴も攻撃機をかなり損耗した。
提督「翔鶴、前に出すぎだ! 能代っ!!」
能代「了解!!」
翔鶴に狙いを定めたレ級に砲撃を浴びせる。
その隙をついて、翔鶴は距離を取る。
レ級「ほら!! もっと頑張らないと皆氏ぬよ? ほら! ほら!!」
ただでさえ強いのに、尾が自我を持ち、戦闘をサポートしている。
氏角からの攻撃もそれでかわされた。
伊勢「実質2隻同時に相手しているみたい」
尾「そろそろ引き際では?」
レ級「うるさい。まだやるー」
尾「怒られますよ?」
レ級「バレなきゃオッケー」
気の抜ける会話をしながらレ級は姿勢を低く取る。
金剛「伊勢、来るぞ!!」
伊勢「了解!」
レ級に照準を合わせようとして直後、伊勢が吹っ飛ぶ。
金剛「伊勢っ!!? 早いっ!!」
直進してきたレ級の攻撃をまともに喰らった。
レ級「まずは邪魔な子達からバイバイね」
821: 2015/11/22(日) 03:41:20.19 ID:O2tQGQPu0
まるで暴風のように、次々と攻撃が襲いかかる。
能代が、翔鶴が、攻撃をまともに喰らい行動不能になる。
伊勢「くっ・・・主砲がやられた・・・」
彼女達は何時沈んでもおかしくないくらいに傷ついている。
レ級「じゃあ一人ずつ、沈めてあげるね。誰も逃がさないよー」
冷たく言い放ち、後方へ退避していた卯月と弥生を見た。
レ級「逃がさないって言ったよ?」
レ級は急速に加速し、大きな水しぶきをあげながら、ぐんぐんと弥生と卯月との距離を詰める。
金剛「やめろぉぉぉぉっ!!!」
考えるより体が先に動く。
翔鶴「ダメです! 提督!!」
伊勢「行っちゃダメ!!!」
皆が慌てて制止する。
分かっている。アレを相手に生き残るイメージが沸かない。
自分の立場も、全て、何もかも理解している。
でも、それでも動いた。
金剛「・・・理屈じゃないんだよっ」
すぐにレ級を追う。
遅い。体が重い。
もっと早く。早く。早く。早く・・・
じゃないと氏ぬ。みんな氏ぬ。
弥生が、卯月が、伊勢が、翔鶴が、能代が・・・
そしてこの体の持ち主、金剛も。
させない。仲間を、大切な家族を・・・
―――誰一人だって、奪われてたまるか。
能代(あれ? 提督の・・・金剛さんの艤装の出力が上がっている・・・?)
違う。こんなものじゃない。あの感覚は―――
金剛(オレは・・・何を・・・何を考えている?)
頭の中にどんどん浮かぶイメージ。
知らない筈の感覚を感じる。
体の中に力が宿り、内側から溢れてくる。
とても懐かしい感覚。
それが何か分からない。でも、この感覚を知っている。
そう、自分は知っている。
思い出せ。あの頃を。あの時を。あの瞬間の感覚を。
オレはコイツの使い方を理解しているのだから。
今、この瞬間に目覚めたと言わんばかりに、艤装の煙突から煙が強く吐き出される。
みるみる速度が上がる。
能代が、翔鶴が、攻撃をまともに喰らい行動不能になる。
伊勢「くっ・・・主砲がやられた・・・」
彼女達は何時沈んでもおかしくないくらいに傷ついている。
レ級「じゃあ一人ずつ、沈めてあげるね。誰も逃がさないよー」
冷たく言い放ち、後方へ退避していた卯月と弥生を見た。
レ級「逃がさないって言ったよ?」
レ級は急速に加速し、大きな水しぶきをあげながら、ぐんぐんと弥生と卯月との距離を詰める。
金剛「やめろぉぉぉぉっ!!!」
考えるより体が先に動く。
翔鶴「ダメです! 提督!!」
伊勢「行っちゃダメ!!!」
皆が慌てて制止する。
分かっている。アレを相手に生き残るイメージが沸かない。
自分の立場も、全て、何もかも理解している。
でも、それでも動いた。
金剛「・・・理屈じゃないんだよっ」
すぐにレ級を追う。
遅い。体が重い。
もっと早く。早く。早く。早く・・・
じゃないと氏ぬ。みんな氏ぬ。
弥生が、卯月が、伊勢が、翔鶴が、能代が・・・
そしてこの体の持ち主、金剛も。
させない。仲間を、大切な家族を・・・
―――誰一人だって、奪われてたまるか。
能代(あれ? 提督の・・・金剛さんの艤装の出力が上がっている・・・?)
違う。こんなものじゃない。あの感覚は―――
金剛(オレは・・・何を・・・何を考えている?)
頭の中にどんどん浮かぶイメージ。
知らない筈の感覚を感じる。
体の中に力が宿り、内側から溢れてくる。
とても懐かしい感覚。
それが何か分からない。でも、この感覚を知っている。
そう、自分は知っている。
思い出せ。あの頃を。あの時を。あの瞬間の感覚を。
オレはコイツの使い方を理解しているのだから。
今、この瞬間に目覚めたと言わんばかりに、艤装の煙突から煙が強く吐き出される。
みるみる速度が上がる。
822: 2015/11/22(日) 03:41:56.06 ID:O2tQGQPu0
レ級が卯月達を捉え、卯月と弥生は恐怖に怯えた顔をした。
待ち受ける氏を受け入れられない。それは生きている者であるなら誰もがそうだろう。
深海棲艦も、艦娘も、そして人間も。
レ級はニヤリと楽しそうに笑みを受かべ2人に主砲を向けた。
速度の落ちている2人では避けることは無理だ。当たれば確実に轟沈する。
レ級「ばいばーいっ」
金剛「させるかぁぁぁっ!!!!」
部下を守る為とはいえ、なんで金剛の体で無茶をしたのか分からない。
こんなことをすれば金剛を頃してしまう可能性もあるのに。
だけど、何故か確実に防げると感じた。
自然に脳裏に浮かんだのだ。敵の攻撃を防ぎきれると言うイメージが。
レ級「!!!?」
尾「攻撃を・・・防いだ?」
金剛「なんだコレ・・・?」
それは盾。
艤装が変形し、盾の役割を担っていた。
金剛(明石の仕業か? また勝手に改造を・・・報告しろと言うのに・・・)
伊勢「・・・金剛の艤装シールドを使った!?」
艦娘は艤装を体を動かすように居のままに動かせる。
一隻の船として全機能を思うままに。
だが、それは普通の人間では難しい。それは人とは違う世界の領域だから。
水に浮かぶのはまだイメージしやすいだろう。感覚的にはスケートに似ているので想像には容易い。
砲撃にしても、護衛艦の指揮をしているので、まだイメージはしやすい。
だが、あのシールドは本来の仕様にない特別製のシロモノだ。
艤装のフレームを分割し、可動化させることで背後に装着された装甲が前面に展開する。
言うなれば自分の体に4本の腕が生えているような感覚で動かしているようなもの。
人の身では全く想像もできないイメージだった。
見るとレ級の攻撃をシールドを起用に動かして防御している。
翔鶴(偶然、展開したんじゃない・・・ちゃんと『理解』して動かしている!?)
待ち受ける氏を受け入れられない。それは生きている者であるなら誰もがそうだろう。
深海棲艦も、艦娘も、そして人間も。
レ級はニヤリと楽しそうに笑みを受かべ2人に主砲を向けた。
速度の落ちている2人では避けることは無理だ。当たれば確実に轟沈する。
レ級「ばいばーいっ」
金剛「させるかぁぁぁっ!!!!」
部下を守る為とはいえ、なんで金剛の体で無茶をしたのか分からない。
こんなことをすれば金剛を頃してしまう可能性もあるのに。
だけど、何故か確実に防げると感じた。
自然に脳裏に浮かんだのだ。敵の攻撃を防ぎきれると言うイメージが。
レ級「!!!?」
尾「攻撃を・・・防いだ?」
金剛「なんだコレ・・・?」
それは盾。
艤装が変形し、盾の役割を担っていた。
金剛(明石の仕業か? また勝手に改造を・・・報告しろと言うのに・・・)
伊勢「・・・金剛の艤装シールドを使った!?」
艦娘は艤装を体を動かすように居のままに動かせる。
一隻の船として全機能を思うままに。
だが、それは普通の人間では難しい。それは人とは違う世界の領域だから。
水に浮かぶのはまだイメージしやすいだろう。感覚的にはスケートに似ているので想像には容易い。
砲撃にしても、護衛艦の指揮をしているので、まだイメージはしやすい。
だが、あのシールドは本来の仕様にない特別製のシロモノだ。
艤装のフレームを分割し、可動化させることで背後に装着された装甲が前面に展開する。
言うなれば自分の体に4本の腕が生えているような感覚で動かしているようなもの。
人の身では全く想像もできないイメージだった。
見るとレ級の攻撃をシールドを起用に動かして防御している。
翔鶴(偶然、展開したんじゃない・・・ちゃんと『理解』して動かしている!?)
823: 2015/11/22(日) 03:42:46.68 ID:O2tQGQPu0
レ級「何それ? おもしろいね!!」
金剛(敵のペースに乗るな・・・確実に戦闘力を・・・削る!!」
艤装も含め、体が自在に動く。まるでそうであったことが本来の姿のように。
レ級(背後もらい!!)
だが、砲塔が回転してレ級を捉えた。
振り向きもせず、そこに敵が居ることが分かる。
普通であれば疑問に感じるが、この時はそれが当たり前のように感じた。
翔鶴(え・・・艤装と完全に同調している・・・?)
レ級「うわっ!!?」
姿勢を低くして交わすが、攻撃を緩めず尾が牙を剥き出して金剛に迫る。
弥生「蹴り!?」
それを回し蹴りの形で捌く。
レ級「くっ・・・」
初めてレ級の顔から笑みが消えて焦りに変わる。
レ級(あれ? なんだろう。てーとくは 金剛型だよね?・・・なんかもっと別の何かを相手にしているみたい・・・)
金剛型は両手で数えても足りないくらい沈めている。
今更恐くはないのに、足が動かない。それどころか一歩下がった。
レ級(・・・後退した? ・・・このボクが・・・?)
狂ったように笑う。
レ級「アハハハっ!!」
金剛「・・・・?」
おかしいからじゃない。楽しいからじゃない。
あまりに感情が高ぶりすぎて処理が追いつかず、自分でも無意識に笑うことで冷静さを保とうとしたのだ。
だが、未知の敵への恐怖は消えない。
だから、大声で叫んだ。不安をかき消すように。
レ級「ありえない!! なんだオマエ!! もう沈め!! 沈んじゃいなよ!!!」
それは、まるで駄々をこねる子供のようだった。
金剛(敵のペースに乗るな・・・確実に戦闘力を・・・削る!!」
艤装も含め、体が自在に動く。まるでそうであったことが本来の姿のように。
レ級(背後もらい!!)
だが、砲塔が回転してレ級を捉えた。
振り向きもせず、そこに敵が居ることが分かる。
普通であれば疑問に感じるが、この時はそれが当たり前のように感じた。
翔鶴(え・・・艤装と完全に同調している・・・?)
レ級「うわっ!!?」
姿勢を低くして交わすが、攻撃を緩めず尾が牙を剥き出して金剛に迫る。
弥生「蹴り!?」
それを回し蹴りの形で捌く。
レ級「くっ・・・」
初めてレ級の顔から笑みが消えて焦りに変わる。
レ級(あれ? なんだろう。てーとくは 金剛型だよね?・・・なんかもっと別の何かを相手にしているみたい・・・)
金剛型は両手で数えても足りないくらい沈めている。
今更恐くはないのに、足が動かない。それどころか一歩下がった。
レ級(・・・後退した? ・・・このボクが・・・?)
狂ったように笑う。
レ級「アハハハっ!!」
金剛「・・・・?」
おかしいからじゃない。楽しいからじゃない。
あまりに感情が高ぶりすぎて処理が追いつかず、自分でも無意識に笑うことで冷静さを保とうとしたのだ。
だが、未知の敵への恐怖は消えない。
だから、大声で叫んだ。不安をかき消すように。
レ級「ありえない!! なんだオマエ!! もう沈め!! 沈んじゃいなよ!!!」
それは、まるで駄々をこねる子供のようだった。
832: 2015/11/30(月) 02:49:08.31 ID:s86Jemwc0
レ級は怒りで態度を豹変させて突っ込んでくる。
恐ろしいハズの敵も、それ程恐く感じなかった。
むしろ、負けるイメージが沸かない。
何故かどう戦うか分かる。
金剛「・・・終わりだ」
レ級「そっちがね!!!」
尾が雄叫びを上げて金剛に迫る。
レ級(殺った!!)
金剛「そうくると思っていたさ!!」
レ級「くっ!!」
鈍い金属音を立てて、尾がシールドで挟まれた。
金剛のシールドは左右の装甲が可動し、くっついて合体することで完成する。
金剛はペンチで挟む要領で尾をシールドで挟んだのだ。
レ級「糞! 放せ!!!」
逃れようとシールドを何度も蹴り上げる。
メキメキと音を立て、レ級の武装が潰されていく。
レ級の全武装は尾に集中している。これを潰せば攻撃手段は無くなる。
尾は最後の抵抗するように、大きな口を開く。
砲身が飛び出し、金剛に狙いを定める。
だが、動じない。
金剛「言っただろう。終わりだって・・・」
金剛の背後から卯月か抱きつくように飛び乗りる。
卯月「睦月型の本当のチカラぁぁぁぁ!!!!」
尾の剥き出している砲身に、自身の主砲の砲身をねじ込んで撃つ。
尾は悲鳴をあげた。
金剛はそのままレ級を投げ飛ばし、そこへ能代の放った魚雷が命中した。
もはや、レ級に攻撃手段はない。
レ級「大丈夫?」
尾「損傷レベル甚大、撤退を・・・」
レ級は闘争本能を剥き出して提督を睨む。
そこへ通信が入る。
金剛「扶桑か?」
扶桑『はい、ご無事でよかったです・・・』
鎮守府から来た増援が見えた。
第三艦隊が到着したのだ。
恐ろしいハズの敵も、それ程恐く感じなかった。
むしろ、負けるイメージが沸かない。
何故かどう戦うか分かる。
金剛「・・・終わりだ」
レ級「そっちがね!!!」
尾が雄叫びを上げて金剛に迫る。
レ級(殺った!!)
金剛「そうくると思っていたさ!!」
レ級「くっ!!」
鈍い金属音を立てて、尾がシールドで挟まれた。
金剛のシールドは左右の装甲が可動し、くっついて合体することで完成する。
金剛はペンチで挟む要領で尾をシールドで挟んだのだ。
レ級「糞! 放せ!!!」
逃れようとシールドを何度も蹴り上げる。
メキメキと音を立て、レ級の武装が潰されていく。
レ級の全武装は尾に集中している。これを潰せば攻撃手段は無くなる。
尾は最後の抵抗するように、大きな口を開く。
砲身が飛び出し、金剛に狙いを定める。
だが、動じない。
金剛「言っただろう。終わりだって・・・」
金剛の背後から卯月か抱きつくように飛び乗りる。
卯月「睦月型の本当のチカラぁぁぁぁ!!!!」
尾の剥き出している砲身に、自身の主砲の砲身をねじ込んで撃つ。
尾は悲鳴をあげた。
金剛はそのままレ級を投げ飛ばし、そこへ能代の放った魚雷が命中した。
もはや、レ級に攻撃手段はない。
レ級「大丈夫?」
尾「損傷レベル甚大、撤退を・・・」
レ級は闘争本能を剥き出して提督を睨む。
そこへ通信が入る。
金剛「扶桑か?」
扶桑『はい、ご無事でよかったです・・・』
鎮守府から来た増援が見えた。
第三艦隊が到着したのだ。
833: 2015/11/30(月) 02:49:43.64 ID:s86Jemwc0
尾「もう一度いいます。撤退を・・・」
レ級「・・・分かった」
流石に不利だと理解したのか撤退を認めたようだ。
金剛「教えてくれ。何故、俺個人を襲った?」
自分は狙われるほど重要な人物ではないハズだが・・・と思った。
レ級「うん? だって貴女達がママを倒したんでしょ?」
金剛「ママ?」
レ級「そーそー 南方棲鬼だよ」
金剛「・・・何?」
南方棲鬼に子供が居たとは聞いてないので驚いた。
それが本当かどうかは判断出来なかった。
だが、その言葉は艦娘には重く圧し掛かる。
翔鶴(それって・・・提督の・・・)
金剛「つまり・・・仇討ちということか?」
レ級「違うよ。ママを倒した貴女達を倒せば私はママを超えたことになるでしょ? そんだけ」
そう言うと「じゃあね」と言い、去ろうとする。
金剛「捕虜になる気はないか? 悪いようにはしない。命の保障はするが・・・」
レ級「お断りでーす」
提督は対話可能で、話が通じれば捕虜にと考えたが、敵に投降する意思はないようだった。
ならばもう倒すしかない。
このレ級は危険だ。見逃せば多くの味方が氏ぬことになるかもしれない。
甘い考えを捨て、レ級を狙う。
―――時間切れ。それ以上はダメだよ。
金剛「・・・!?」
誰かが言葉を発した。懐かしい声。
誰だっただろう。名前が出てこない。
―――キミは人間だから、それ以上の力の行使は出来ない。
金剛「・・・誰だ?」
そこで唖然とした。
今まで戦っていた場所ではない。
上も下も右も左もない何も無い空間に居る。
金剛「どこだ・・・なんだここは?」
レ級「・・・分かった」
流石に不利だと理解したのか撤退を認めたようだ。
金剛「教えてくれ。何故、俺個人を襲った?」
自分は狙われるほど重要な人物ではないハズだが・・・と思った。
レ級「うん? だって貴女達がママを倒したんでしょ?」
金剛「ママ?」
レ級「そーそー 南方棲鬼だよ」
金剛「・・・何?」
南方棲鬼に子供が居たとは聞いてないので驚いた。
それが本当かどうかは判断出来なかった。
だが、その言葉は艦娘には重く圧し掛かる。
翔鶴(それって・・・提督の・・・)
金剛「つまり・・・仇討ちということか?」
レ級「違うよ。ママを倒した貴女達を倒せば私はママを超えたことになるでしょ? そんだけ」
そう言うと「じゃあね」と言い、去ろうとする。
金剛「捕虜になる気はないか? 悪いようにはしない。命の保障はするが・・・」
レ級「お断りでーす」
提督は対話可能で、話が通じれば捕虜にと考えたが、敵に投降する意思はないようだった。
ならばもう倒すしかない。
このレ級は危険だ。見逃せば多くの味方が氏ぬことになるかもしれない。
甘い考えを捨て、レ級を狙う。
―――時間切れ。それ以上はダメだよ。
金剛「・・・!?」
誰かが言葉を発した。懐かしい声。
誰だっただろう。名前が出てこない。
―――キミは人間だから、それ以上の力の行使は出来ない。
金剛「・・・誰だ?」
そこで唖然とした。
今まで戦っていた場所ではない。
上も下も右も左もない何も無い空間に居る。
金剛「どこだ・・・なんだここは?」
834: 2015/11/30(月) 02:50:35.09 ID:s86Jemwc0
そこに誰かが居た。
姿は輪郭がぼやけて見えない。
――――ようやく人として定着していたのに、このままじゃ壊れちゃうから戦っちゃダメだよ
金剛「なんのことだ? 誰だ?」
――――友達だよ。キミのね。
金剛「友達?」
誰かは分からない。記憶から必氏に探す。
その間も頭の中に直接声が響く。
「キミは直接戦っては行けない」
「このまま戦いを続けると氏んでしまうよ」
「だからキミはもう戦ってはいけないんだ」
「深海棲艦と戦うのは艦娘の役割」
「じゃあキミの役割は何かな?」
「この世の全てには役割があるから」
「キミはキミの役割を果たせばいい」
声の主は一人じゃない。
誰なんだろう。知っているハズなのに思い出せない。
金剛(俺の役割・・・?)
――――キミは艦娘ではないし、艦娘にはなれないし、その能力は既に消滅しつつある残滓だから。
――――――本来生まれるハズだったモノは失われた。キミが男として生まれたから。
――――だけど、悲しむことはないよ。キミはその代わり別のモノを得たのだから。
「だからこそ、その役割を理解しなくてはならない」
「もう一度聞くよ。君の役割は何かな?」
金剛「一体なんだ? どういうことだ?」
言う事が酷く抽象的で要点が掴めない。
卯月「しれーかんっ!!」
卯月の声でまるで夢から叩き起こされたような感覚で意識が戻る。
あの不可思議な空間ではない。
金剛(なんだったんだ?)
だが、今はどうでもいい。レ級に砲を向ける。
レ級「へぇ? 当ててみなよ。 逃げ切っちゃうけど」
表情からただの強がりだと分かった。
だが、そこへ能代がレ級を庇うように両手を挙げて立ち塞がる。
姿は輪郭がぼやけて見えない。
――――ようやく人として定着していたのに、このままじゃ壊れちゃうから戦っちゃダメだよ
金剛「なんのことだ? 誰だ?」
――――友達だよ。キミのね。
金剛「友達?」
誰かは分からない。記憶から必氏に探す。
その間も頭の中に直接声が響く。
「キミは直接戦っては行けない」
「このまま戦いを続けると氏んでしまうよ」
「だからキミはもう戦ってはいけないんだ」
「深海棲艦と戦うのは艦娘の役割」
「じゃあキミの役割は何かな?」
「この世の全てには役割があるから」
「キミはキミの役割を果たせばいい」
声の主は一人じゃない。
誰なんだろう。知っているハズなのに思い出せない。
金剛(俺の役割・・・?)
――――キミは艦娘ではないし、艦娘にはなれないし、その能力は既に消滅しつつある残滓だから。
――――――本来生まれるハズだったモノは失われた。キミが男として生まれたから。
――――だけど、悲しむことはないよ。キミはその代わり別のモノを得たのだから。
「だからこそ、その役割を理解しなくてはならない」
「もう一度聞くよ。君の役割は何かな?」
金剛「一体なんだ? どういうことだ?」
言う事が酷く抽象的で要点が掴めない。
卯月「しれーかんっ!!」
卯月の声でまるで夢から叩き起こされたような感覚で意識が戻る。
あの不可思議な空間ではない。
金剛(なんだったんだ?)
だが、今はどうでもいい。レ級に砲を向ける。
レ級「へぇ? 当ててみなよ。 逃げ切っちゃうけど」
表情からただの強がりだと分かった。
だが、そこへ能代がレ級を庇うように両手を挙げて立ち塞がる。
835: 2015/11/30(月) 02:51:19.32 ID:s86Jemwc0
金剛「・・・能代?」
能代「ダメです!! 撃っちゃダメです!!!」
金剛「どいてくれ!! 何をしているんだ!!?」
能代「だって・・・そのレ級と・・・提督は・・・」
レ級「・・・何?」
能代「兄妹かもしれないんですよ!!!」
金剛「・・・は? 何を・・・何を言っているんだ?」
尾「今です! 早く!!」
レ級はその隙に離脱、第三艦隊と合流した頃には既に見失っていた。
海底を移動するレ級は尾に訪ねる。
レ級「ねぇ 兄妹って何?」
尾「同じ固体から生まれた存在ですよ てーとくが兄で貴女が妹ってワケですかね」
敵の話を鵜呑みにするならですけどと付け加えた。
レ級「兄?」
尾「オスの固体のことです。人間はお兄ちゃんとか呼ぶみたいですよ」
レ級「男? でも女の人だったよ。てーとく」
尾「分かりません。ついているのかも」
レ級「ついている? まぁいいや。次は頃すからねお兄ちゃん」
暗い海の底を這う様に、自らの勢力圏へ離脱していった。
こうしてレ級の襲撃は一応の終わりを見せた。
その日の内に提督と金剛の入れ替わりは元に戻り、大破した伊勢達も修復された。
能代「ダメです!! 撃っちゃダメです!!!」
金剛「どいてくれ!! 何をしているんだ!!?」
能代「だって・・・そのレ級と・・・提督は・・・」
レ級「・・・何?」
能代「兄妹かもしれないんですよ!!!」
金剛「・・・は? 何を・・・何を言っているんだ?」
尾「今です! 早く!!」
レ級はその隙に離脱、第三艦隊と合流した頃には既に見失っていた。
海底を移動するレ級は尾に訪ねる。
レ級「ねぇ 兄妹って何?」
尾「同じ固体から生まれた存在ですよ てーとくが兄で貴女が妹ってワケですかね」
敵の話を鵜呑みにするならですけどと付け加えた。
レ級「兄?」
尾「オスの固体のことです。人間はお兄ちゃんとか呼ぶみたいですよ」
レ級「男? でも女の人だったよ。てーとく」
尾「分かりません。ついているのかも」
レ級「ついている? まぁいいや。次は頃すからねお兄ちゃん」
暗い海の底を這う様に、自らの勢力圏へ離脱していった。
こうしてレ級の襲撃は一応の終わりを見せた。
その日の内に提督と金剛の入れ替わりは元に戻り、大破した伊勢達も修復された。
836: 2015/11/30(月) 02:52:25.79 ID:s86Jemwc0
執務室
提督「やはり、自分の体は落ち着く・・・戻れて良かった」
金剛「そんなに私の体は嫌だったのぉ!?」
提督「そうじゃないが、金剛も自分の体の方が落ち着くだろ」
金剛「そうですけどぉ・・・なんか納得いかないデース」
提督「皆もすまんな。俺の我侭のせいで・・・」
伊勢「大丈夫、大丈夫。終わってみると良い経験になったし」
伊勢(提督が居なければ超重力砲が使えたんだけど・・・とは言えないよね。もっと普通に強くならないと)
翔鶴「今回は海上に出ていたのが逆に良い結果につながりましたね。もしも鎮守府に居たら施設に被害が出たかもしれませんし・・・」
能代「結果論ですけどね」
敵の言っていたことが気になった。
提督(俺の母親が南方棲鬼? レ級が妹? どういうことなんだろう)
それは今は考えないことにした。
他にすべき事が多々ある。
提督(いや、それは言い訳だな。恐いんだな・・・聞くことが)
翔鶴「全員無事だったんだから良いじゃありませんか」
伊勢「そうだねー」
提督「卯月と弥生は?」
翔鶴「2人共自室に戻しました」
提督「そうか・・・それで電、敵の捕虜と言うのは?」
電「今連れてくるのです」
数分して天龍と龍田が深海棲艦を連れてきた。
潜水カ級。
提督(このタイプ、一応足あるんだ・・・)
武装解除し、艤装は外されていた。
人間と同じような姿だった。違うのは皮膚の色が青白いことと、艤装への接続部分が背後にあることくらい。
カ級「ふんっ・・・私は何も喋らんぞ!! 情けはいらん! 殺せ!!」
天龍「おーおー、 生意気にコノヤロー!」
龍田「なら今すぐ首と胴体を切り離してあげましょうか? スパっと」
カ級「ひっ!?」
電「連絡を受けて、鎮守府方向から逃げてきたのを捉えたのです」
提督「彼女は捕虜として丁重に扱ってくれ」
カ級は天龍と龍田に連行され出て行く間際まで「何も喋らないからな!!」と叫んだ。
提督「やはり、自分の体は落ち着く・・・戻れて良かった」
金剛「そんなに私の体は嫌だったのぉ!?」
提督「そうじゃないが、金剛も自分の体の方が落ち着くだろ」
金剛「そうですけどぉ・・・なんか納得いかないデース」
提督「皆もすまんな。俺の我侭のせいで・・・」
伊勢「大丈夫、大丈夫。終わってみると良い経験になったし」
伊勢(提督が居なければ超重力砲が使えたんだけど・・・とは言えないよね。もっと普通に強くならないと)
翔鶴「今回は海上に出ていたのが逆に良い結果につながりましたね。もしも鎮守府に居たら施設に被害が出たかもしれませんし・・・」
能代「結果論ですけどね」
敵の言っていたことが気になった。
提督(俺の母親が南方棲鬼? レ級が妹? どういうことなんだろう)
それは今は考えないことにした。
他にすべき事が多々ある。
提督(いや、それは言い訳だな。恐いんだな・・・聞くことが)
翔鶴「全員無事だったんだから良いじゃありませんか」
伊勢「そうだねー」
提督「卯月と弥生は?」
翔鶴「2人共自室に戻しました」
提督「そうか・・・それで電、敵の捕虜と言うのは?」
電「今連れてくるのです」
数分して天龍と龍田が深海棲艦を連れてきた。
潜水カ級。
提督(このタイプ、一応足あるんだ・・・)
武装解除し、艤装は外されていた。
人間と同じような姿だった。違うのは皮膚の色が青白いことと、艤装への接続部分が背後にあることくらい。
カ級「ふんっ・・・私は何も喋らんぞ!! 情けはいらん! 殺せ!!」
天龍「おーおー、 生意気にコノヤロー!」
龍田「なら今すぐ首と胴体を切り離してあげましょうか? スパっと」
カ級「ひっ!?」
電「連絡を受けて、鎮守府方向から逃げてきたのを捉えたのです」
提督「彼女は捕虜として丁重に扱ってくれ」
カ級は天龍と龍田に連行され出て行く間際まで「何も喋らないからな!!」と叫んだ。
837: 2015/11/30(月) 02:53:03.70 ID:s86Jemwc0
瑞鶴「あれは多分何も話さないと思う・・・」
提督「なに、ゆっくりと時間をかけて接するさ」
その後、今回の襲撃の報告をまとめ、業務を終了した。
レ級襲撃から3日後。
提督「調子はどうだい? 何か不自由はないか?」
カ級「あっ! 提督ぅ! お疲れ様です! 私に何か? 知ってることはなんでも話しますよ!」
瑞鶴「・・・・・・うん?」
カ級「あら。瑞鶴の姉さん。お疲れです!」
瑞鶴(・・・敵の潜水艦がちょろすぎる)
提督「・・・どうしたんだ?」
提督は瑞鶴が何かを疑うような目つきで見ているのに気が付いた。
瑞鶴「・・・何したの? 随分協力的になってるけど」
提督「何って・・・普通に話を聞いて、会話をしただけだよ。愚痴ばかりだったけど」
瑞鶴「随分と女の扱いは上手いようで・・・」ハイライトオフ
提督「痛っ!? どうしたんだ? いきなりつねって!?」
瑞鶴「べ つ に っ !!」
何やらご機嫌斜めな瑞鶴をなだめる提督を見てカ級は思った。
カ級(これが『らぶこめ』って奴かぁ・・・はじめてみた)
恐ろしい連中だと思っていたけど、別に酷い扱いを受けるわけでもなく、むしろ深海に居た頃よりも快適であった。
カ級「ブラックなとこよりホワイトがいいでち」
提督「・・・でち?」
カ級(あれ? なんで・・・変な語尾ついたんだろ)
なんか遠い過去、随分酷い扱いを受けた気がするが思い出せない。
思い出すのは深海棲艦として活動している事だけ。
カ級(・・・どっちにしろ深海もブラックだった。レ級もこき使うし・・・)
それに比べればここは正にパラダイスと言っても過言では無かった。
提督「何にせよ、協力的で助かるよ。キミの安全は保障しよう」
カ級「あー 投降してよかったぁ」
瑞鶴「・・・変な敵」
その後、カ級の異常なまでに協力的な態度により、深海棲艦側の状況と現在の世界の状況を知ることになった。
提督「なに、ゆっくりと時間をかけて接するさ」
その後、今回の襲撃の報告をまとめ、業務を終了した。
レ級襲撃から3日後。
提督「調子はどうだい? 何か不自由はないか?」
カ級「あっ! 提督ぅ! お疲れ様です! 私に何か? 知ってることはなんでも話しますよ!」
瑞鶴「・・・・・・うん?」
カ級「あら。瑞鶴の姉さん。お疲れです!」
瑞鶴(・・・敵の潜水艦がちょろすぎる)
提督「・・・どうしたんだ?」
提督は瑞鶴が何かを疑うような目つきで見ているのに気が付いた。
瑞鶴「・・・何したの? 随分協力的になってるけど」
提督「何って・・・普通に話を聞いて、会話をしただけだよ。愚痴ばかりだったけど」
瑞鶴「随分と女の扱いは上手いようで・・・」ハイライトオフ
提督「痛っ!? どうしたんだ? いきなりつねって!?」
瑞鶴「べ つ に っ !!」
何やらご機嫌斜めな瑞鶴をなだめる提督を見てカ級は思った。
カ級(これが『らぶこめ』って奴かぁ・・・はじめてみた)
恐ろしい連中だと思っていたけど、別に酷い扱いを受けるわけでもなく、むしろ深海に居た頃よりも快適であった。
カ級「ブラックなとこよりホワイトがいいでち」
提督「・・・でち?」
カ級(あれ? なんで・・・変な語尾ついたんだろ)
なんか遠い過去、随分酷い扱いを受けた気がするが思い出せない。
思い出すのは深海棲艦として活動している事だけ。
カ級(・・・どっちにしろ深海もブラックだった。レ級もこき使うし・・・)
それに比べればここは正にパラダイスと言っても過言では無かった。
提督「何にせよ、協力的で助かるよ。キミの安全は保障しよう」
カ級「あー 投降してよかったぁ」
瑞鶴「・・・変な敵」
その後、カ級の異常なまでに協力的な態度により、深海棲艦側の状況と現在の世界の状況を知ることになった。
851: 2015/12/10(木) 02:45:45.48 ID:ESiOY3nU0
執務室
提督「俺の不在時に何か問題は?」
照月「金剛さんがトイ・・・」
金剛「わー! わー!!!」
提督「・・・どうしたんだ?」
金剛「なんでもないデース!!」
金剛はギロっと照月を睨む。
照月(分かりました。ナイショなんですね!)
提督「どうしたんだ照月? いきなり敬礼なんてして」
金剛&照月「「なんでもないですよ?」」
提督「・・・?」
流石にトイレの話はされたくなかったようだ。
照月「提督は大丈夫でした? 何かご不便はありませんでした?」
提督「女性の体なんで多少戸惑ったが特には・・・」
実際にはちょっと困ったことがあった。
艦娘は人間と同様に食事をする。ということは同様に排出もするわけで・・・
それは提督達が海へ出る少し前の事だった。
金剛(中身提督)「・・・・・・」
能代「・・・?」
金剛「っ!!」
能代「どうしたんです? 落ち着きがないですけど」
提督は言おうか迷ったが、流石に限界だったので白状した。
金剛「ちょっといいか?」
能代「っ!!」(近い! 近い!!)
外見は金剛ではあるが、中身が提督なので嬉しさと気恥ずかしさで能代の顔は朱色に染まった。
金剛「・・・・・・」ボソッ
能代の耳の近くで小さく何かを呟くが聞こえない。
852: 2015/12/10(木) 02:46:47.76 ID:ESiOY3nU0
能代「すいません、もう少し大きな声で・・・」
金剛「・・イレ」
能代「なんです?」
金剛「ト・・・トイレに行きたくてな・・・どうすればいいのだろう」
もう我慢の限界なのか内股でプルプルと震えている。
顔は羞恥心からか真っ赤だった。
能代(・・・なんか萌える!!)
金剛「・・・どうすればいい?」
能代「そりゃ出すしかないですよ!」
金剛「だよなぁ・・・しかし・・・」
体は金剛のモノなので申し訳ないという気持ちと、単純に限界が近いこと、
さらには女性として尿の仕方を分からない。
もうどうしていいか分からなかった。
金剛(そもそもどうする? どうすればいい?)
座ってするのは分かる・・・だが拭くのか? 男性の場合は普通拭かない。
もし拭くとなれば金剛の大事な所を触ることになる。
金剛(嫁入り前の娘の秘部を触るなんて・・・本人にも失礼だし、今後顔が会わせ辛い・・・)
能代「提督、とりあえず行きましょう。トイレへ・・・」
金剛「ああ・・・」
能代に支えられる形で廊下を移動する。
能代「大丈夫ですか?」
提督「・・・何かに例えるなら・・・ダムの堤防が壊れる寸前という感じだろうか・・・」
能代(それもうヤバイじゃないですか!!)
と内心で叫んだ。
とりあえず女子トイレに金剛(提督)を連れ込む。
金剛「出したい・・・だが・・・見るわけには行かん」
能代「じゃあ目隠しをしましょう!!」
金剛「しかし目隠しになるものなんてないぞ?」
金剛「・・イレ」
能代「なんです?」
金剛「ト・・・トイレに行きたくてな・・・どうすればいいのだろう」
もう我慢の限界なのか内股でプルプルと震えている。
顔は羞恥心からか真っ赤だった。
能代(・・・なんか萌える!!)
金剛「・・・どうすればいい?」
能代「そりゃ出すしかないですよ!」
金剛「だよなぁ・・・しかし・・・」
体は金剛のモノなので申し訳ないという気持ちと、単純に限界が近いこと、
さらには女性として尿の仕方を分からない。
もうどうしていいか分からなかった。
金剛(そもそもどうする? どうすればいい?)
座ってするのは分かる・・・だが拭くのか? 男性の場合は普通拭かない。
もし拭くとなれば金剛の大事な所を触ることになる。
金剛(嫁入り前の娘の秘部を触るなんて・・・本人にも失礼だし、今後顔が会わせ辛い・・・)
能代「提督、とりあえず行きましょう。トイレへ・・・」
金剛「ああ・・・」
能代に支えられる形で廊下を移動する。
能代「大丈夫ですか?」
提督「・・・何かに例えるなら・・・ダムの堤防が壊れる寸前という感じだろうか・・・」
能代(それもうヤバイじゃないですか!!)
と内心で叫んだ。
とりあえず女子トイレに金剛(提督)を連れ込む。
金剛「出したい・・・だが・・・見るわけには行かん」
能代「じゃあ目隠しをしましょう!!」
金剛「しかし目隠しになるものなんてないぞ?」
853: 2015/12/10(木) 02:47:22.81 ID:ESiOY3nU0
能代「その頭の変な奴とか無理ですかね?」
金剛「・・・これか?」
頭にカチューシャのようにつけてる装備をずらして目隠しにする。
能代「とりあえずサポートしますけど・・・いいですか?」
金剛「・・・頼む。もう限界かもしれん」
能代「では下着を・・・」
金剛の下着を下げる。金剛はビクッと体を震わせた。
能代「ではそのまま座って・・・はい、そうです」
金剛「・・・もう・・・いいのか・・・?」
能代「はい! 出しちゃってください!!」
金剛は声を押し頃しながら溜まっていたものを出した。
能代(・・・考えて見たら、この状況はヤバくないですか!?)
トイレの個室で2人きり。金剛のパンツをずり下ろして尿をさせている。
それをガン見している自分。
金剛「・・・大丈夫みたいだ」
能代「では・・拭きますね」
トイレットペーパーを少し千切って秘部を優しく撫でるようにふき取る。
金剛「んっ!!?」
能代(・・・なんだろうこの背徳感)
金剛(変な声出た・・・)
誰かに見られたらヤバイなぁと思った。
目隠しをして、顔を紅潮させた金剛とトイレで2人きり。
見つかったら誤解を生むことは間違いないだろう。
能代(そもそも『女子トイレ』にはカメラも盗聴器もないハズ・・・問題ないよね)
だから見つかる前にさっさと終わらせる。それで大丈夫なハズだった。
その時、ふと何か視線を感じて上を見上げ、心臓が止まるかと思った。
阿賀野「・・・・・・」ハイライトオフ
能代「!!!!!?」
金剛「・・・これか?」
頭にカチューシャのようにつけてる装備をずらして目隠しにする。
能代「とりあえずサポートしますけど・・・いいですか?」
金剛「・・・頼む。もう限界かもしれん」
能代「では下着を・・・」
金剛の下着を下げる。金剛はビクッと体を震わせた。
能代「ではそのまま座って・・・はい、そうです」
金剛「・・・もう・・・いいのか・・・?」
能代「はい! 出しちゃってください!!」
金剛は声を押し頃しながら溜まっていたものを出した。
能代(・・・考えて見たら、この状況はヤバくないですか!?)
トイレの個室で2人きり。金剛のパンツをずり下ろして尿をさせている。
それをガン見している自分。
金剛「・・・大丈夫みたいだ」
能代「では・・拭きますね」
トイレットペーパーを少し千切って秘部を優しく撫でるようにふき取る。
金剛「んっ!!?」
能代(・・・なんだろうこの背徳感)
金剛(変な声出た・・・)
誰かに見られたらヤバイなぁと思った。
目隠しをして、顔を紅潮させた金剛とトイレで2人きり。
見つかったら誤解を生むことは間違いないだろう。
能代(そもそも『女子トイレ』にはカメラも盗聴器もないハズ・・・問題ないよね)
だから見つかる前にさっさと終わらせる。それで大丈夫なハズだった。
その時、ふと何か視線を感じて上を見上げ、心臓が止まるかと思った。
阿賀野「・・・・・・」ハイライトオフ
能代「!!!!!?」
854: 2015/12/10(木) 02:48:32.34 ID:ESiOY3nU0
阿賀野「・・・何をしているの?」
能代「と・・・トイレのお手伝いを・・・」
阿賀野「・・・ふーん」
金剛「・・・この声、阿賀野か?」
阿賀野「うん。提督、大丈夫?」
金剛「ああ・・・この事は・・・」
阿賀野「うん。言わないから大丈夫だよ」
金剛「すまん。恩にきる」
能代は金剛の下着を戻し、目隠しを戻すとトイレを出た。
海に出る準備をするから金剛に先に行くように行った。
金剛「分かった。ありがとうな」
能代と阿賀野は金剛が廊下の角を曲がるまで手を振って見送った。
完全に姿が見えなくなると阿賀野の雰囲気が代わる。
阿賀野「・・・ずるいなぁ」
能代「仕方なかったの。緊急だったし。阿賀野姉こそなんでここにいるのよ」
阿賀野「提督がカメラの氏角から消えたからね。どうしたのかなって。じゃないと『付ける』ことができないし」
何を? とは聞かない。答えは分かってるから。
阿賀野「提督日誌」ハイライトオフ
能代「阿賀野姉。言いたくないけど、それストーカーだよ?」
阿賀野「え? なんで? 好きな人を追いかけるのは普通でしょ?」
能代「・・・それが普通なのは、お互い愛し合ってる場合だけだよ」
阿賀野「それに能代も人の事を言えないじゃない」
能代「どういうこと?」
阿賀野「能代って、普段そんなネクタイピンしてたっけ?」
能代「・・・何が言いたいの」
阿賀野「それ・・・隠しカメラだよね」
能代「・・・・・・」ハイライトオフ
阿賀野「黙っててあげるから、後で見せてね?」
そんな事になっているとは露知れず、金剛(提督)は罪悪感に苛まれていた。
金剛(この事は墓の中まで持っていかなくては・・・)
というちょっとしたハプニングはあった。
そして時間は再び現在に戻る。
金剛「・・・提督?」
提督「ああ、問題なかったよ。何もない」(スマン・・・)
照月「それはそうと、明石さんが呼んでましたよ?」
提督「明石が? 分かった。ありがとう」
能代「と・・・トイレのお手伝いを・・・」
阿賀野「・・・ふーん」
金剛「・・・この声、阿賀野か?」
阿賀野「うん。提督、大丈夫?」
金剛「ああ・・・この事は・・・」
阿賀野「うん。言わないから大丈夫だよ」
金剛「すまん。恩にきる」
能代は金剛の下着を戻し、目隠しを戻すとトイレを出た。
海に出る準備をするから金剛に先に行くように行った。
金剛「分かった。ありがとうな」
能代と阿賀野は金剛が廊下の角を曲がるまで手を振って見送った。
完全に姿が見えなくなると阿賀野の雰囲気が代わる。
阿賀野「・・・ずるいなぁ」
能代「仕方なかったの。緊急だったし。阿賀野姉こそなんでここにいるのよ」
阿賀野「提督がカメラの氏角から消えたからね。どうしたのかなって。じゃないと『付ける』ことができないし」
何を? とは聞かない。答えは分かってるから。
阿賀野「提督日誌」ハイライトオフ
能代「阿賀野姉。言いたくないけど、それストーカーだよ?」
阿賀野「え? なんで? 好きな人を追いかけるのは普通でしょ?」
能代「・・・それが普通なのは、お互い愛し合ってる場合だけだよ」
阿賀野「それに能代も人の事を言えないじゃない」
能代「どういうこと?」
阿賀野「能代って、普段そんなネクタイピンしてたっけ?」
能代「・・・何が言いたいの」
阿賀野「それ・・・隠しカメラだよね」
能代「・・・・・・」ハイライトオフ
阿賀野「黙っててあげるから、後で見せてね?」
そんな事になっているとは露知れず、金剛(提督)は罪悪感に苛まれていた。
金剛(この事は墓の中まで持っていかなくては・・・)
というちょっとしたハプニングはあった。
そして時間は再び現在に戻る。
金剛「・・・提督?」
提督「ああ、問題なかったよ。何もない」(スマン・・・)
照月「それはそうと、明石さんが呼んでましたよ?」
提督「明石が? 分かった。ありがとう」
860: 2015/12/14(月) 02:28:54.88 ID:KlFducde0
明石の研究室
明石「あっ提督」
提督「どうした? 呼んでいたそうだが・・・」
明石「カ級の艤装なんですけど、やはり新技術が使われていますね」
提督「具体的にはどういうものだ?」
明石「今回のケースですと、音波探知に引っ掛からなかったじゃないですか?」
と得意気に説明を始める。
提督(こういう時の明石は本当に生き生きしてるなぁ・・・)
それが可愛らしく思えた。
明石「・・・どうしました?」
きょとんとする明石に提督は深い意味も無く一言。
提督「なんか可愛いと思ってな。続けてくれ」
明石「とととっ突然何を言うんですか!!?」と顔を真っ赤にして怒った。
嬉しいけれど、不意打ち過ぎたようで明石は何度も深呼吸してから話を続けた。
明石「え・・・とですね、つまり・・・」
発射された音波に別の波長の音波を当てて、そこに居るのにそれを探知させない。
全く別のモノと誤認させる。
長い説明を聞く限りそういうことらしい。
提督「それが原因でソーナーの音波に引っかからなかったと?」
明石「そうですね・・・半壊してますけど、見たところ深海の技術ではないですね」
明石「あっ提督」
提督「どうした? 呼んでいたそうだが・・・」
明石「カ級の艤装なんですけど、やはり新技術が使われていますね」
提督「具体的にはどういうものだ?」
明石「今回のケースですと、音波探知に引っ掛からなかったじゃないですか?」
と得意気に説明を始める。
提督(こういう時の明石は本当に生き生きしてるなぁ・・・)
それが可愛らしく思えた。
明石「・・・どうしました?」
きょとんとする明石に提督は深い意味も無く一言。
提督「なんか可愛いと思ってな。続けてくれ」
明石「とととっ突然何を言うんですか!!?」と顔を真っ赤にして怒った。
嬉しいけれど、不意打ち過ぎたようで明石は何度も深呼吸してから話を続けた。
明石「え・・・とですね、つまり・・・」
発射された音波に別の波長の音波を当てて、そこに居るのにそれを探知させない。
全く別のモノと誤認させる。
長い説明を聞く限りそういうことらしい。
提督「それが原因でソーナーの音波に引っかからなかったと?」
明石「そうですね・・・半壊してますけど、見たところ深海の技術ではないですね」
861: 2015/12/14(月) 02:29:26.82 ID:KlFducde0
提督「ふむ・・・やはり米国の?」
明石「カ級の証言を信じるなら」
提督「米海軍は既に壊滅状態、一部施設を接収して技術を押収したって話か・・・」
明石「戦争勃発後は世界各国の状況は殆ど分からなかったですからね・・・」
初期の戦いで制海権を奪われた。
そして、深海棲艦の出す瘴気のようなモノ。それは電波障害を引き起こした。
人類側は混乱し、さらに深海棲艦に対抗できる兵器も無く、一方的に惨敗した。
通信衛星も破壊され、国外との連絡手段も奪われた。
島国である日本は海に囲まれている為、航空機を飛ばすことも出来ない。
海域を支配されているということは、その海の制空権も支配されているからだ。
提督「辛うじて直接連絡が付いたのはイタリアとドイツのみか・・・」
それも敵の勢力圏を突っ切っての接触であり、蜜に連絡を取れているとは言い難い。
提督「なんの偶然か、現状、かつての枢軸国だけが対抗出来ているからな」
現在、艦娘を保持しているのは日本、ドイツ、イタリアの3国のみであることが確認されている。
明石「現在の海外における鎮守府の所在地もかつての戦争で使われた場所ですしね・・・まるで・・・」
提督もそれは感じていた。
まるでかつての戦争を再び現代で再現しているかのようだと。
明石「カ級の証言を信じるなら」
提督「米海軍は既に壊滅状態、一部施設を接収して技術を押収したって話か・・・」
明石「戦争勃発後は世界各国の状況は殆ど分からなかったですからね・・・」
初期の戦いで制海権を奪われた。
そして、深海棲艦の出す瘴気のようなモノ。それは電波障害を引き起こした。
人類側は混乱し、さらに深海棲艦に対抗できる兵器も無く、一方的に惨敗した。
通信衛星も破壊され、国外との連絡手段も奪われた。
島国である日本は海に囲まれている為、航空機を飛ばすことも出来ない。
海域を支配されているということは、その海の制空権も支配されているからだ。
提督「辛うじて直接連絡が付いたのはイタリアとドイツのみか・・・」
それも敵の勢力圏を突っ切っての接触であり、蜜に連絡を取れているとは言い難い。
提督「なんの偶然か、現状、かつての枢軸国だけが対抗出来ているからな」
現在、艦娘を保持しているのは日本、ドイツ、イタリアの3国のみであることが確認されている。
明石「現在の海外における鎮守府の所在地もかつての戦争で使われた場所ですしね・・・まるで・・・」
提督もそれは感じていた。
まるでかつての戦争を再び現代で再現しているかのようだと。
862: 2015/12/14(月) 02:29:57.50 ID:KlFducde0
提督「しかし、深海棲艦に直接有効な攻撃手段が無かったとはいえ、米国程の大国がか・・・」
明石「あの国の軍事技術はかなりのものですからね。それが一部でも深海に渡っていると考えると厄介ですね」
提督「そうだな・・・」
明石「インターネットってご存知ですよね?」
提督「そりゃもちろん」
明石「アレも本来は海外で実用化しようとしていた軍事目的のモノだとはご存知で?」
提督「・・・らしいな」
元々は敵国からの核攻撃を想定し、有事の際でも指揮能力を失わない為の分離処理システムが発端とされている。
インターネットに限らず、軍事技術の民間転用の例は多い。
コンピューターも元は弾道計算を目的に実用化されたものであるし、
どこの家庭にもある電子レンジにしてもレーダー開発の副産物として誕生している。
明石「戦争はそういった新技術を生み出して来ました。もしも今現在も我々も知らない何かが作られていて・・・」
提督「それが戦場に姿を見せたら・・・何が起こるやら・・・」
余談ではあるが、現在この国にあるインターネットと呼ばれるものは国内でしか使用できない。
地下を通るケーブルにより繋がっており、日本全土と領海内でしか使えない。
日本沿岸どこに敵が現れても即座に対応が出来るように作られた技術の民間転用であるからだ。
明石「戦争は技術を飛躍的に進化させます」
提督「そうだな。このまま続けば・・・さらに恐ろしい事になるやもしれん」
あきつ丸「提督殿。失礼するであります。カ級を連れて来ました」
提督「ありがとう。あきつ丸」
あきつ丸「いえ、当然のことであります」
カ級「呼びましたか? なんでも話しますよ!!」
提督「そ・・・そうか」
明石「そんなに簡単に話していいんですか? 普通は口を割らないでしょ? 拷問も考えてたのに!!指を一本ずつですねぇ・・・酸で・・・」
あきつ丸(なんで嬉しそうに言うのでありますか!?)
明石「どこまで耐えられるか実験したかったのに・・・」
カ級「痛いのは無理ですスイマセン、ごめんなさい、なんでも言います」
あきつ丸(なんて見事な・・・土下座・・・)
提督「明石も物騒なことを可愛らしく言うのは止めなさい」
明石「はーい。冗談ですって」ハイライトオフ
カ級&あきつ丸((目がマジだった(であります)!!!))
明石「あの国の軍事技術はかなりのものですからね。それが一部でも深海に渡っていると考えると厄介ですね」
提督「そうだな・・・」
明石「インターネットってご存知ですよね?」
提督「そりゃもちろん」
明石「アレも本来は海外で実用化しようとしていた軍事目的のモノだとはご存知で?」
提督「・・・らしいな」
元々は敵国からの核攻撃を想定し、有事の際でも指揮能力を失わない為の分離処理システムが発端とされている。
インターネットに限らず、軍事技術の民間転用の例は多い。
コンピューターも元は弾道計算を目的に実用化されたものであるし、
どこの家庭にもある電子レンジにしてもレーダー開発の副産物として誕生している。
明石「戦争はそういった新技術を生み出して来ました。もしも今現在も我々も知らない何かが作られていて・・・」
提督「それが戦場に姿を見せたら・・・何が起こるやら・・・」
余談ではあるが、現在この国にあるインターネットと呼ばれるものは国内でしか使用できない。
地下を通るケーブルにより繋がっており、日本全土と領海内でしか使えない。
日本沿岸どこに敵が現れても即座に対応が出来るように作られた技術の民間転用であるからだ。
明石「戦争は技術を飛躍的に進化させます」
提督「そうだな。このまま続けば・・・さらに恐ろしい事になるやもしれん」
あきつ丸「提督殿。失礼するであります。カ級を連れて来ました」
提督「ありがとう。あきつ丸」
あきつ丸「いえ、当然のことであります」
カ級「呼びましたか? なんでも話しますよ!!」
提督「そ・・・そうか」
明石「そんなに簡単に話していいんですか? 普通は口を割らないでしょ? 拷問も考えてたのに!!指を一本ずつですねぇ・・・酸で・・・」
あきつ丸(なんで嬉しそうに言うのでありますか!?)
明石「どこまで耐えられるか実験したかったのに・・・」
カ級「痛いのは無理ですスイマセン、ごめんなさい、なんでも言います」
あきつ丸(なんて見事な・・・土下座・・・)
提督「明石も物騒なことを可愛らしく言うのは止めなさい」
明石「はーい。冗談ですって」ハイライトオフ
カ級&あきつ丸((目がマジだった(であります)!!!))
863: 2015/12/14(月) 02:30:28.41 ID:KlFducde0
カ級「それで何を話しましょう?」
提督「現在、海外で深海棲艦に対する勢力は分かるか?」
カ級「私は太平洋の部隊におりましてですね。アメリカの海軍が全滅したくらいしか・・・今現在も対抗出来ていたのは日本くらいです」
提督「ドイツは? イタリアは?」
カ級「イタリアは大打撃を受けて今はゲリラ的な抵抗だったような・・・ドイツも似たような感じだったと思います」
提督「つまり、組織立って抵抗しているのは日本くらいだと?」
カ級「そうですねぇ・・・何故か日本だけなんですよ。こんなに沢山の艦娘が存在しているの」
提督「・・・そうなのか?」
カ級「少なくても仲間はそう話してましたね多分」
提督「証言に自信がないようだが・・・」
カ級「私は下っ端でしたから詳細までは・・・」
提督「そうか・・・」
カ級「分かります? 毎日、毎日、命令されて、働いて、休みも糞もない下っ端の気持ち」ハイライトオフ
提督(・・・泣いている)
カ級「あー 投降してよかったぁぁぁぁ!!!」
提督「・・・協力的で助かるよ本当に」
カ級「もう! 提督大好き!!!」
提督に抱きつこうとしたカ級をあきつ丸と明石が止める。
あきつ丸「あんまり調子に乗ってると、生まれてきたことを後悔するでありますよ?」ハイライトオフ
明石「今すぐ解体して欲しいんですか?」ハイライトオフ
カ級「でちぃ!?」
提督(ゴーヤみたいな口調・・・)
カ級「え・・・と話を元に戻しますが、聞くところに寄れば、提督。貴方は戦争を終わらせたいと?」
提督「そうだ」
カ級「噂で聞いたんですけど・・・」
提督「何を?」
カ級「深海棲艦側に新しい勢力が出来ているとか」
提督「新勢力?」
提督「現在、海外で深海棲艦に対する勢力は分かるか?」
カ級「私は太平洋の部隊におりましてですね。アメリカの海軍が全滅したくらいしか・・・今現在も対抗出来ていたのは日本くらいです」
提督「ドイツは? イタリアは?」
カ級「イタリアは大打撃を受けて今はゲリラ的な抵抗だったような・・・ドイツも似たような感じだったと思います」
提督「つまり、組織立って抵抗しているのは日本くらいだと?」
カ級「そうですねぇ・・・何故か日本だけなんですよ。こんなに沢山の艦娘が存在しているの」
提督「・・・そうなのか?」
カ級「少なくても仲間はそう話してましたね多分」
提督「証言に自信がないようだが・・・」
カ級「私は下っ端でしたから詳細までは・・・」
提督「そうか・・・」
カ級「分かります? 毎日、毎日、命令されて、働いて、休みも糞もない下っ端の気持ち」ハイライトオフ
提督(・・・泣いている)
カ級「あー 投降してよかったぁぁぁぁ!!!」
提督「・・・協力的で助かるよ本当に」
カ級「もう! 提督大好き!!!」
提督に抱きつこうとしたカ級をあきつ丸と明石が止める。
あきつ丸「あんまり調子に乗ってると、生まれてきたことを後悔するでありますよ?」ハイライトオフ
明石「今すぐ解体して欲しいんですか?」ハイライトオフ
カ級「でちぃ!?」
提督(ゴーヤみたいな口調・・・)
カ級「え・・・と話を元に戻しますが、聞くところに寄れば、提督。貴方は戦争を終わらせたいと?」
提督「そうだ」
カ級「噂で聞いたんですけど・・・」
提督「何を?」
カ級「深海棲艦側に新しい勢力が出来ているとか」
提督「新勢力?」
864: 2015/12/14(月) 02:31:21.00 ID:KlFducde0
明石「派閥で割れているんですかね?」
カ級「それが、その勢力は戦争をしたくない、平和的に生きたいと主張してまして」
提督「・・・泊地水鬼が言ってた奴か」
カ級「それが崇めている存在が居ます」
明石「確か何か神様のようなものを崇めているって話でしたっけ」
カ級「それは、恐らく貴方です」
提督「・・・・は?」
あきつ丸「・・・どういうことでありますか」
カ級「ここの鎮守府の提督は貴方ですよね?」
提督「そうだが・・・」
カ級「その新勢力は貴方個人を神として崇めています」
提督「なんでだっ!!?」
カ級「それともう一人。榛名だったかな? 確か大天使とか言われてました」
提督「何故そんなことに・・・何かの間違いじゃないのか?」
カ級「さぁ?・・・噂で聞いた程度なんで」
明石「でも、それなら接触してみるのはどうですか?」
提督「もし、本当に争いを嫌い、平和に生きて居たいと言うなら協力は可能かもしれんな」
カ級「噂どおりなら貴方の命令に絶対服従しますよ多分」
提督「共存は望む所だが一部は噂どおりじゃないことを祈るよ・・・」
明石「あっちの技術も色々あるみたいですし、仲間になるなら嬉しいですねぇ」
カ級「解剖とかダメですからね」
明石「・・・・・・」
カ級「なんで黙っているんです!?」
あきつ丸(すごい残念そうな顔してるでありますな)
カ級「それが、その勢力は戦争をしたくない、平和的に生きたいと主張してまして」
提督「・・・泊地水鬼が言ってた奴か」
カ級「それが崇めている存在が居ます」
明石「確か何か神様のようなものを崇めているって話でしたっけ」
カ級「それは、恐らく貴方です」
提督「・・・・は?」
あきつ丸「・・・どういうことでありますか」
カ級「ここの鎮守府の提督は貴方ですよね?」
提督「そうだが・・・」
カ級「その新勢力は貴方個人を神として崇めています」
提督「なんでだっ!!?」
カ級「それともう一人。榛名だったかな? 確か大天使とか言われてました」
提督「何故そんなことに・・・何かの間違いじゃないのか?」
カ級「さぁ?・・・噂で聞いた程度なんで」
明石「でも、それなら接触してみるのはどうですか?」
提督「もし、本当に争いを嫌い、平和に生きて居たいと言うなら協力は可能かもしれんな」
カ級「噂どおりなら貴方の命令に絶対服従しますよ多分」
提督「共存は望む所だが一部は噂どおりじゃないことを祈るよ・・・」
明石「あっちの技術も色々あるみたいですし、仲間になるなら嬉しいですねぇ」
カ級「解剖とかダメですからね」
明石「・・・・・・」
カ級「なんで黙っているんです!?」
あきつ丸(すごい残念そうな顔してるでありますな)
865: 2015/12/14(月) 02:32:06.40 ID:KlFducde0
提督(その新勢力に接触し、協力を漕ぎつける。それから敵の総大将と話をする機会を作れればいいんだが)
問題はどうやって接触するか。
聞くところによると勢力として拡大しすぎて、目を付けられたので常に移動しているらしい。
提督(つまり、一箇所に留まっているわけではない)
広い海からそれを見つけるのは骨が折れそうだ。
一度、元帥に報告し判断を仰ごう。出来れば次の会議で議題に出したい。
これで敵の大将と話を付ける事が出来るなら・・・話し合いのテーブルに付かせる事が出来るなら、
そこから和平への道は開けるかもしれない。
本来なら喜ぶべきことだが、何故か気は晴れない。
それは能代の言った言葉。
提督(・・・南方棲鬼が・・・母さんだと?)
馬鹿なと一瞥したい気持ちがある。
だが、確かに感じるのだ。どこか懐かしさを。ずっと以前から知っているような。
提督(ただ、一言聞けばいいだけなのに)
それが恐い。
提督(全く・・・情けない男だ。俺は)
元帥に分かったことを簡潔にまとめ、報告書として提出した。
忙しくても、数日もすれば返答があるだろう。
提督(もっとしっかりしなくてはな)
自分の下には多くの部下が居る。
前線で命を掛ける彼女達に恥じないように、自分は立派な提督で居なくてはならない。
提督(だから・・・何時までも逃げるわけには行かない)
強く拳を握り締めて執務室へと戻って行った。
866: 2015/12/14(月) 02:33:05.24 ID:KlFducde0
提督が執務室に戻った後、明石とあきつ丸はまだ会話をしていた。
明石「このまま上手く行くとは思えないですね」
あきつ丸「・・・対抗勢力でありますか?」
明石「事態が大きく動くことになれば、提督の手柄を面白くないって人も出るでしょう」
あきつ丸「軍内の勢力争いは旧大戦から変わらないで在りますな・・・」
明石「そうやって足引っ張り合って馬鹿を見るのは自分達なんですけどねぇ」
あきつ丸「陸の方は大丈夫であります。提督殿に忠義を尽くす者が上層部に居るでありますよ」
明石「・・・陸の指揮系統を奪ったのですか?」
あきつ丸「まさか。彼らは提督のしようとしていることに賛同して勝手に協力しているでありますよ」
明石「まぁ邪魔にならないならいいですけどね。問題は上に居る提督の同業者ですかね」
あきつ丸「上官でありますか」
明石「今までは元帥の息子という立場から周囲は黙認していましたが・・・」
あきつ丸「戦争終結の足掛かりを作るとなれば、提督殿に手柄を立てさせまいとすると?」
明石「まぁ反対するでしょうね。彼らは何と戦って居るのやら・・・」
あきつ丸「一応動向は探っているみたいでありますよ。中野の出の者が」
明石「まぁ私達は提督のすることに従い、それを阻むものが居るなら・・・」ハイライトオフ
あきつ丸「・・・退場して貰うだけでありますよ」ハイライトオフ
カ級(・・・この人たち・・・めっちゃ恐い・・・提督ぅぅぅ!! 戻ってきて!!)
明石「あっカ級さんが居たの忘れていましたね。すいません。分かっていると思いますが今聞いたことは・・・」ハイライトオフ
カ級「話しません!! 私は何も聞いてません!!」
あきつ丸「良い返事であります」
カ級「ありがとうございます!!」
明石「このまま上手く行くとは思えないですね」
あきつ丸「・・・対抗勢力でありますか?」
明石「事態が大きく動くことになれば、提督の手柄を面白くないって人も出るでしょう」
あきつ丸「軍内の勢力争いは旧大戦から変わらないで在りますな・・・」
明石「そうやって足引っ張り合って馬鹿を見るのは自分達なんですけどねぇ」
あきつ丸「陸の方は大丈夫であります。提督殿に忠義を尽くす者が上層部に居るでありますよ」
明石「・・・陸の指揮系統を奪ったのですか?」
あきつ丸「まさか。彼らは提督のしようとしていることに賛同して勝手に協力しているでありますよ」
明石「まぁ邪魔にならないならいいですけどね。問題は上に居る提督の同業者ですかね」
あきつ丸「上官でありますか」
明石「今までは元帥の息子という立場から周囲は黙認していましたが・・・」
あきつ丸「戦争終結の足掛かりを作るとなれば、提督殿に手柄を立てさせまいとすると?」
明石「まぁ反対するでしょうね。彼らは何と戦って居るのやら・・・」
あきつ丸「一応動向は探っているみたいでありますよ。中野の出の者が」
明石「まぁ私達は提督のすることに従い、それを阻むものが居るなら・・・」ハイライトオフ
あきつ丸「・・・退場して貰うだけでありますよ」ハイライトオフ
カ級(・・・この人たち・・・めっちゃ恐い・・・提督ぅぅぅ!! 戻ってきて!!)
明石「あっカ級さんが居たの忘れていましたね。すいません。分かっていると思いますが今聞いたことは・・・」ハイライトオフ
カ級「話しません!! 私は何も聞いてません!!」
あきつ丸「良い返事であります」
カ級「ありがとうございます!!」
882: 2016/01/03(日) 03:19:17.90 ID:DF/UsVyM0
太平洋のどこか・・・
レ級「兄と妹ってさ仲いいものなの?」
尾「なんです突然」
レ級の手元には一冊の本があった。
子供が読むであろう童話の絵本だった。
レ級「本だとすっごい仲良しなんだけど」
尾「まぁ普通はそうなんじゃないですか。血を分けた兄妹なら」
レ級「ふーん。そういうものなんだ」
尾「人間の世界の価値観だとですけどね」
レ級「艦娘の姉妹艦みたいな感じ?」
尾「そうじゃないんですかねー 分かりませんけど」
レ級「じゃあてーとく・・・お兄ちゃんを殺せばいいの?」
尾「どういうことですか? 話が見えません」
レ級「頃したらさ、こっち側になるんだよね?」
そしたら仲良しになれると楽しそうに笑った。
尾「どうでしょう。こちら側にくる保障なんてありませんし」
レ級「でも金剛型でしょお兄ちゃん」
尾「さぁ? ただ一つ言えるのは命は一つしかありません。だから殺せばこの世から居なくなるのです」
レ級「・・・?」
尾「つまり、頃したら貴方のお兄さんは消えてしまうのですよ」
レ級「生き返らないの? 深海棲艦になって」
尾「さぁ・・・でも提督は人間なんでしょう? 人間は生き返らないですよ」
レ級「人間なのに金剛型なの?」
尾「分かりませんよ。・・・通信来ました」
レ級「次のお仕事!! さぁ沢山ころそー」
尾「あまりご無理はなさらずに」
レ級「分かってるって」
レ級「兄と妹ってさ仲いいものなの?」
尾「なんです突然」
レ級の手元には一冊の本があった。
子供が読むであろう童話の絵本だった。
レ級「本だとすっごい仲良しなんだけど」
尾「まぁ普通はそうなんじゃないですか。血を分けた兄妹なら」
レ級「ふーん。そういうものなんだ」
尾「人間の世界の価値観だとですけどね」
レ級「艦娘の姉妹艦みたいな感じ?」
尾「そうじゃないんですかねー 分かりませんけど」
レ級「じゃあてーとく・・・お兄ちゃんを殺せばいいの?」
尾「どういうことですか? 話が見えません」
レ級「頃したらさ、こっち側になるんだよね?」
そしたら仲良しになれると楽しそうに笑った。
尾「どうでしょう。こちら側にくる保障なんてありませんし」
レ級「でも金剛型でしょお兄ちゃん」
尾「さぁ? ただ一つ言えるのは命は一つしかありません。だから殺せばこの世から居なくなるのです」
レ級「・・・?」
尾「つまり、頃したら貴方のお兄さんは消えてしまうのですよ」
レ級「生き返らないの? 深海棲艦になって」
尾「さぁ・・・でも提督は人間なんでしょう? 人間は生き返らないですよ」
レ級「人間なのに金剛型なの?」
尾「分かりませんよ。・・・通信来ました」
レ級「次のお仕事!! さぁ沢山ころそー」
尾「あまりご無理はなさらずに」
レ級「分かってるって」
883: 2016/01/03(日) 03:19:45.24 ID:DF/UsVyM0
鎮守府 執務室
数回ノックされて応答すると榛名が入室してきた。
榛名「失礼します」
提督「ん? どうしたんだ?」
榛名が提督に目を向けると、三日月が提督のヒザの上ですやすやと寝ていた。
榛名「・・・・・・」
榛名の目元は途端に鋭くなり、視線に気付いた三日月は飛び起きた。
三日月「・・・はっ!?」
提督「お目覚めかいお姫様?」
執務中に三日月に言い包められて、ヒザの上に乗せていたら何時の間にか寝てしまったのだ。
榛名「・・・随分と気持ちよさそうでしたね?」ハイライトオフ
三日月「・・・司令官、申し訳ありません!!」
提督「いや、構わないよ。 俺も可愛い三日月の寝顔が見れて役得だったかな?」
提督は特に意味もなくそんなことを口にした。
提督としては、職務中に寝てしまった三日月に対してフォローするつもりで、おどけてそんな軽口を言ったのだが、
三日月は顔を朱色に変えて俯いて黙り込んでしまう。
三日月は絶対零度の視線を放つ榛名に視線を向けるとニッコリと笑った。
それは優越感からか、三日月には余裕があった。
三日月(司令官・・・)
三日月の提督を見る目は熱を帯びていて、駆逐艦なのに榛名は非常に脅威に感じた。
榛名(・・・・・・)
三日月「どうしました? 榛名さん、お顔が恐いですよ?」ハイライトオフ
榛名「いえ、なんでもないですよ。ふふっ」ハイライトオフ
数回ノックされて応答すると榛名が入室してきた。
榛名「失礼します」
提督「ん? どうしたんだ?」
榛名が提督に目を向けると、三日月が提督のヒザの上ですやすやと寝ていた。
榛名「・・・・・・」
榛名の目元は途端に鋭くなり、視線に気付いた三日月は飛び起きた。
三日月「・・・はっ!?」
提督「お目覚めかいお姫様?」
執務中に三日月に言い包められて、ヒザの上に乗せていたら何時の間にか寝てしまったのだ。
榛名「・・・随分と気持ちよさそうでしたね?」ハイライトオフ
三日月「・・・司令官、申し訳ありません!!」
提督「いや、構わないよ。 俺も可愛い三日月の寝顔が見れて役得だったかな?」
提督は特に意味もなくそんなことを口にした。
提督としては、職務中に寝てしまった三日月に対してフォローするつもりで、おどけてそんな軽口を言ったのだが、
三日月は顔を朱色に変えて俯いて黙り込んでしまう。
三日月は絶対零度の視線を放つ榛名に視線を向けるとニッコリと笑った。
それは優越感からか、三日月には余裕があった。
三日月(司令官・・・)
三日月の提督を見る目は熱を帯びていて、駆逐艦なのに榛名は非常に脅威に感じた。
榛名(・・・・・・)
三日月「どうしました? 榛名さん、お顔が恐いですよ?」ハイライトオフ
榛名「いえ、なんでもないですよ。ふふっ」ハイライトオフ
884: 2016/01/03(日) 03:20:21.24 ID:DF/UsVyM0
榛名は三日月を睨み、三日月は余裕の笑み。
2人の視線が交差し、提督はそんなことに気付かずに仕事を再開。書類にサインをする。
偶然にもその時、誤って机の上からペンのキャップを落としてしまう。
キャップは床にぶつかり、小さな音がした。
その音が合図であったかのように三日月と榛名は艤装を展開、お互いに砲を向け合う。
提督が屈んで、机の下からキャップを拾って視線を上げると互いに砲を向ける部下2人が居た。
提督「・・・え?」
2人の目はとても険しい。
提督(一体何が!?)
その時、偶然にも提督は見た。壁を歩き回る黒いアレを。
女性はもちろんのこと、男性にも嫌悪感を抱かせる存在。
提督(あれは・・・ゴキ・・・)
恐らくアレを見て、気が動転したのかと勝手に納得した。
提督「まったくお前らは・・・」
机の横にあった新聞紙を丸めて、黒いアレを対処しようとする。
もっと恐ろしいモノと戦っているハズなのに、たかが虫でここまで恐がるなんて
強い戦闘力を持っていても、中身は普通の女の子なんだなと再認識出来て少し微笑ましい。
提督「俺がなんとかするから艤装をしまいなさい」
そう言って2人の頭を優しく撫でて微笑んだ。
榛名も三日月もなんのことかサッパリ分からなかったが、提督が優しく撫でてくれたので
とても心が満たされて素直に指示に従った。
提督は壁張り付いている黒いアレに丸めた新聞紙を振り下ろして一発で仕留めた。
それを見た2人は蒼い顔をして「「ご・・・ゴ○ブリっ!!?」」と抱き合い叫んだ。
提督「え? 今更?」
微妙に噛み合ってなかったが、偶然が重なって2人の武力衝突は回避された。
この2人に限らず、このような偶然で鎮守府壊滅の危機は1日に数回発生しては、全て偶然で回避されて居るのだった。
提督「所で榛名? 一体なんの用だ?」
榛名「そうでした! 実は先程、記者の方が見えたのですが、こちらへ案内する途中に居なくなってしまいまして」
そういえば取材に来ると聞いていた。
提督「鎮守府はそれなりに広い施設だからなぁ・・・迷子か?」
榛名「一応探しておりますが、提督にそのことをと・・・」
提督「まぁ部外者がウロついていれば他の誰かが気付くし、記者の目的は俺だろうから誰かしらにここの場所を聞くだろうしな」
榛名「そうですね。私はもう一度探して見ます」
提督「頼むよ。執務室を目指しているのであれば俺は動かない方がいいか。皆にも伝えておこう」
榛名「すいません。お手を煩わしてしまって・・・」
提督「いや、大丈夫だ。ありがとうな榛名」
三日月「私はどうします? 探しに言ったほうがいいですか?」
提督「いや、記者さんを待ちながら仕事をしてよう。すぐ見つかるだろう」
三日月「はい!」
そう言うとまた三日月は提督のヒザの上に座る。
榛名は悔しそうに見ていたが、また失態を犯すわけに行かないので記者を探す為に執務室を後にした。
2人の視線が交差し、提督はそんなことに気付かずに仕事を再開。書類にサインをする。
偶然にもその時、誤って机の上からペンのキャップを落としてしまう。
キャップは床にぶつかり、小さな音がした。
その音が合図であったかのように三日月と榛名は艤装を展開、お互いに砲を向け合う。
提督が屈んで、机の下からキャップを拾って視線を上げると互いに砲を向ける部下2人が居た。
提督「・・・え?」
2人の目はとても険しい。
提督(一体何が!?)
その時、偶然にも提督は見た。壁を歩き回る黒いアレを。
女性はもちろんのこと、男性にも嫌悪感を抱かせる存在。
提督(あれは・・・ゴキ・・・)
恐らくアレを見て、気が動転したのかと勝手に納得した。
提督「まったくお前らは・・・」
机の横にあった新聞紙を丸めて、黒いアレを対処しようとする。
もっと恐ろしいモノと戦っているハズなのに、たかが虫でここまで恐がるなんて
強い戦闘力を持っていても、中身は普通の女の子なんだなと再認識出来て少し微笑ましい。
提督「俺がなんとかするから艤装をしまいなさい」
そう言って2人の頭を優しく撫でて微笑んだ。
榛名も三日月もなんのことかサッパリ分からなかったが、提督が優しく撫でてくれたので
とても心が満たされて素直に指示に従った。
提督は壁張り付いている黒いアレに丸めた新聞紙を振り下ろして一発で仕留めた。
それを見た2人は蒼い顔をして「「ご・・・ゴ○ブリっ!!?」」と抱き合い叫んだ。
提督「え? 今更?」
微妙に噛み合ってなかったが、偶然が重なって2人の武力衝突は回避された。
この2人に限らず、このような偶然で鎮守府壊滅の危機は1日に数回発生しては、全て偶然で回避されて居るのだった。
提督「所で榛名? 一体なんの用だ?」
榛名「そうでした! 実は先程、記者の方が見えたのですが、こちらへ案内する途中に居なくなってしまいまして」
そういえば取材に来ると聞いていた。
提督「鎮守府はそれなりに広い施設だからなぁ・・・迷子か?」
榛名「一応探しておりますが、提督にそのことをと・・・」
提督「まぁ部外者がウロついていれば他の誰かが気付くし、記者の目的は俺だろうから誰かしらにここの場所を聞くだろうしな」
榛名「そうですね。私はもう一度探して見ます」
提督「頼むよ。執務室を目指しているのであれば俺は動かない方がいいか。皆にも伝えておこう」
榛名「すいません。お手を煩わしてしまって・・・」
提督「いや、大丈夫だ。ありがとうな榛名」
三日月「私はどうします? 探しに言ったほうがいいですか?」
提督「いや、記者さんを待ちながら仕事をしてよう。すぐ見つかるだろう」
三日月「はい!」
そう言うとまた三日月は提督のヒザの上に座る。
榛名は悔しそうに見ていたが、また失態を犯すわけに行かないので記者を探す為に執務室を後にした。
885: 2016/01/03(日) 03:20:48.18 ID:DF/UsVyM0
南方棲鬼は自身に用意された部屋に居た。
突然、ドアがノックされた。
南方「はい? どなた?」
ドアがノックされたが尋ねても返答は無い。不思議に思い、ドアを開けると
誰かが凄い勢いで部屋の中に入ってきた。
不意のことで呆気にとられる。
それは一瞬だった。
南方「!!?」
左腕は背中に回され、右腕もがっしりと押さえられる。
床にうつ伏せに組み伏せられ、身動きが取れない。
相手の顔が見えないので何者かは分からない。
南方「一体・・・誰なのかしら?」
「・・・なんで生きているんですか?」
答えたのは女の声。
相手の顔は見えないが、自分を組み伏せている者はどうやら女性らしい。
「その烈風、覚えていますか?」
視線を机の上に置いてある烈風に向ける。
「あれは、本実装の前の試験運用で大本営から優先的にウチに回された機体なんですけどね」
南方(・・・え?)
「加賀さんが頂いて喜んで居ましたね。司令も少年みたいに目を輝かせて・・・」
覚えている。確かにそんなことが・・・
優先的に配備された新型機の烈風は搭載数の関係で加賀が使うことになった。
突然、ドアがノックされた。
南方「はい? どなた?」
ドアがノックされたが尋ねても返答は無い。不思議に思い、ドアを開けると
誰かが凄い勢いで部屋の中に入ってきた。
不意のことで呆気にとられる。
それは一瞬だった。
南方「!!?」
左腕は背中に回され、右腕もがっしりと押さえられる。
床にうつ伏せに組み伏せられ、身動きが取れない。
相手の顔が見えないので何者かは分からない。
南方「一体・・・誰なのかしら?」
「・・・なんで生きているんですか?」
答えたのは女の声。
相手の顔は見えないが、自分を組み伏せている者はどうやら女性らしい。
「その烈風、覚えていますか?」
視線を机の上に置いてある烈風に向ける。
「あれは、本実装の前の試験運用で大本営から優先的にウチに回された機体なんですけどね」
南方(・・・え?)
「加賀さんが頂いて喜んで居ましたね。司令も少年みたいに目を輝かせて・・・」
覚えている。確かにそんなことが・・・
優先的に配備された新型機の烈風は搭載数の関係で加賀が使うことになった。
886: 2016/01/03(日) 03:21:35.16 ID:DF/UsVyM0
だが、鎮守府に届く前に加賀は出撃し、暫く不在だった。
そんな中、赤城がどうしても飛ばしてみたいと言い出したっけ・・・
「戦闘でもないのに、皆で鎮守府の中庭で飛ばしてたら墜落させちゃって傷付いちゃって・・・」
そうだ。
提督がすごい喜んで、赤城が調子に乗って、無茶したら壁にぶつけちゃって・・・
赤城は顔を真っ青にしてたっけ。加賀に怒られるって・・・
「懐かしいですねぇ・・・覚えてます? ねぇ・・・?」
覚えてる。覚えているけど・・・
それを知っているのはあの時、あの場に居た者だけ。
南方(誰?・・・貴女は誰なの?)
「本当にあの頃は楽しかった・・・あんな楽しい毎日が何時までも続くと思っていたんですけどね・・・」
昔を懐かしむように穏やかに語る女。
しかしそれも急遽、変貌する。
「それなのに・・・ケッコンじゃなくて結婚?」
表情は見えない。
けれど、声質から怒りが伝わってくる。
「私が彼を・・・司令官を好きだったことを知ってた癖に! 知ってた癖に!! 知ってた癖に!!!」
南方(・・・痛っ)
押さえつける力が強くなる。
「友達面して、抜け駆けした上に子供まで作って・・・艦娘を辞めます? 鎮守府の最大戦力が?」
それを言われると心苦しい。
そうなのだ。自分は当時、鎮守府に置ける最大の戦力だった。
そんな中、赤城がどうしても飛ばしてみたいと言い出したっけ・・・
「戦闘でもないのに、皆で鎮守府の中庭で飛ばしてたら墜落させちゃって傷付いちゃって・・・」
そうだ。
提督がすごい喜んで、赤城が調子に乗って、無茶したら壁にぶつけちゃって・・・
赤城は顔を真っ青にしてたっけ。加賀に怒られるって・・・
「懐かしいですねぇ・・・覚えてます? ねぇ・・・?」
覚えてる。覚えているけど・・・
それを知っているのはあの時、あの場に居た者だけ。
南方(誰?・・・貴女は誰なの?)
「本当にあの頃は楽しかった・・・あんな楽しい毎日が何時までも続くと思っていたんですけどね・・・」
昔を懐かしむように穏やかに語る女。
しかしそれも急遽、変貌する。
「それなのに・・・ケッコンじゃなくて結婚?」
表情は見えない。
けれど、声質から怒りが伝わってくる。
「私が彼を・・・司令官を好きだったことを知ってた癖に! 知ってた癖に!! 知ってた癖に!!!」
南方(・・・痛っ)
押さえつける力が強くなる。
「友達面して、抜け駆けした上に子供まで作って・・・艦娘を辞めます? 鎮守府の最大戦力が?」
それを言われると心苦しい。
そうなのだ。自分は当時、鎮守府に置ける最大の戦力だった。
887: 2016/01/03(日) 03:22:27.27 ID:DF/UsVyM0
だから迷った。艦娘を辞めることを・・・
しかし子供が出来て、提督も艦娘を辞めることに賛成してくれた。
これからは子を持つ母として、妻として生きて欲しいと言われた。
実力的に均衡していた他の戦艦も多数居たので、然程大きな戦力ダウンにも繋がらないと判断もあった。
「もしも、貴女が艦娘のままだったら・・・あんなことにはならなかったかもしれない。もしも・・・」
女は壊れた蓄音機のように『もしも』を何度も繰り替えす。
『もしも』それはありえたかもしれない可能性。
「終わってしまったことを言っても仕方ないです。それは分かっているんです・・・」
それは誰にだってある。『もしもあの時、ああしてれば』違った結末があったかもしれない。
そう思わなければ救われないこともあるのだ。
「だけど、どうしても聞かずには入れません」
南方「何を・・・?」
「命をかけてでも守るべきだった愛する夫が殺されて、出撃していた仲間は皆氏んで、貴女は深海棲艦になった」
南方(・・・やっぱり・・・この女は・・・私の鎮守府の・・・)
「もう一度、聞きますよ・・・なんで、なんで貴女は生きているんです?」
怒りをぶつける訳でもなく、淡々と尋ねてくる。
「なんで恥を晒してまで・・・生きていられるんですか? なんで・・・」
その言葉は南方棲鬼を心を抉るように突き刺さる。
不意に自分を押さえつける力が弱まった。拘束が解かれたのだ。
「貴女は・・・」
振り返ると可愛いと言うより、綺麗と言う言葉が似合う女性が居た。
少女という年齢ではない。
スーツに身を包み、腰辺りまで伸びた後髪を1本にまとめている。
「久しぶりですね・・・やま・・・今は南方棲鬼でしたね」
そう言って少しぎこちなく微笑んだ。
しかし子供が出来て、提督も艦娘を辞めることに賛成してくれた。
これからは子を持つ母として、妻として生きて欲しいと言われた。
実力的に均衡していた他の戦艦も多数居たので、然程大きな戦力ダウンにも繋がらないと判断もあった。
「もしも、貴女が艦娘のままだったら・・・あんなことにはならなかったかもしれない。もしも・・・」
女は壊れた蓄音機のように『もしも』を何度も繰り替えす。
『もしも』それはありえたかもしれない可能性。
「終わってしまったことを言っても仕方ないです。それは分かっているんです・・・」
それは誰にだってある。『もしもあの時、ああしてれば』違った結末があったかもしれない。
そう思わなければ救われないこともあるのだ。
「だけど、どうしても聞かずには入れません」
南方「何を・・・?」
「命をかけてでも守るべきだった愛する夫が殺されて、出撃していた仲間は皆氏んで、貴女は深海棲艦になった」
南方(・・・やっぱり・・・この女は・・・私の鎮守府の・・・)
「もう一度、聞きますよ・・・なんで、なんで貴女は生きているんです?」
怒りをぶつける訳でもなく、淡々と尋ねてくる。
「なんで恥を晒してまで・・・生きていられるんですか? なんで・・・」
その言葉は南方棲鬼を心を抉るように突き刺さる。
不意に自分を押さえつける力が弱まった。拘束が解かれたのだ。
「貴女は・・・」
振り返ると可愛いと言うより、綺麗と言う言葉が似合う女性が居た。
少女という年齢ではない。
スーツに身を包み、腰辺りまで伸びた後髪を1本にまとめている。
「久しぶりですね・・・やま・・・今は南方棲鬼でしたね」
そう言って少しぎこちなく微笑んだ。
888: 2016/01/03(日) 03:23:10.15 ID:DF/UsVyM0
その顔には見覚えがあった。
かつての鎮守府の友人。
南方「あ・・・青葉なの・・・?」
一見すると青葉には見えない。
だが、面影は確かにある。
「今は艦娘を辞めていまして、普通の人間やってましてね」
艦娘でいる間は肉体年齢に変化は無い。しかし解体して普通の人間になると、
人と同じ様に年齢を重ねていくことは知っている。
当時、すぐに解体されていれば、ちょうどこれくらいの年齢だろうか?
海野「今は海野蒼葉って名乗ってるんで」
南方「海野・・・?」
海野「ええ、とある作家さんの名前なんですけどね。知らないなら別にいいです」
南方(確か、解体を受けた後は自分で好きな名前を付けられるんだったけ・・・)
海野「でもね、アオバって名前はどうしても捨てられなかったんです。だから漢字を変えて、青を蒼にしました」
南方「貴女は・・・」
海野「だって司令官が何時も『青葉』って呼んでくれたから・・・だから捨てられないんです絶対に・・・絶対に」ハイライトオフ
今までどうしていたの? なんで私が私だと分かったの?
聞きたいことは山ほどあった。
深海棲艦の自分がここに居ることは秘匿されているので、知るハズがないのだ。
どうやって知った? どうしてここに居る?
海野「実はね・・・複雑なんですよ」
南方「・・・?」
こちらの事などお構いなしに話を進める。
かつての鎮守府の友人。
南方「あ・・・青葉なの・・・?」
一見すると青葉には見えない。
だが、面影は確かにある。
「今は艦娘を辞めていまして、普通の人間やってましてね」
艦娘でいる間は肉体年齢に変化は無い。しかし解体して普通の人間になると、
人と同じ様に年齢を重ねていくことは知っている。
当時、すぐに解体されていれば、ちょうどこれくらいの年齢だろうか?
海野「今は海野蒼葉って名乗ってるんで」
南方「海野・・・?」
海野「ええ、とある作家さんの名前なんですけどね。知らないなら別にいいです」
南方(確か、解体を受けた後は自分で好きな名前を付けられるんだったけ・・・)
海野「でもね、アオバって名前はどうしても捨てられなかったんです。だから漢字を変えて、青を蒼にしました」
南方「貴女は・・・」
海野「だって司令官が何時も『青葉』って呼んでくれたから・・・だから捨てられないんです絶対に・・・絶対に」ハイライトオフ
今までどうしていたの? なんで私が私だと分かったの?
聞きたいことは山ほどあった。
深海棲艦の自分がここに居ることは秘匿されているので、知るハズがないのだ。
どうやって知った? どうしてここに居る?
海野「実はね・・・複雑なんですよ」
南方「・・・?」
こちらの事などお構いなしに話を進める。
889: 2016/01/03(日) 03:23:46.40 ID:DF/UsVyM0
海野「友人としては生きていたことは嬉しい、そんな気持ちはあります」
それは本心だった。
海野「だけど、あの人を盗った怒りや、なんであれだけの失態を犯して生きているか・・・生きていられるのか・・・」
怒るというよりは悲しそうに喋る。
海野「それを考えると憎しみばかりが増していくんですよ」
光の宿らない瞳で笑いながら彼女は喋る。
「色々聞きたいことが貴女にもあるでしょう。でも、その前に貴女が氏んだ後、何があったか知りたいですか?」
知りたい。
だけど、知りたくない。
そんな2つの気持ちが自分の中でぶつかる。
恐かった。聞くのが恐い。
海野「恐いですか? でも貴女は知らなければなりません。じゃないと許せないから」
こちらの返答を聞く前に語り始める。
海野「司令官戦氏の報告は鎮守府に衝撃を与えました。誰も信じられなかった」
南方「・・・・・・」
海野「すぐに別艦隊を現地に向かわせて、提督の捜索と敵の殲滅が叫ばれました。大本営の命令に背いてでもと」
恐らくそうなるだろうとは思った。
自分でもそうするだろう。
海野「当時、私は司令室で大淀と作戦立案をしてましてね・・・結論から言うと出撃した者達は全滅しました」
南方「全滅・・・? 長門達も?」
恐らく、鎮守府に残る最大戦力での出撃。そうなれば必然的に長門が旗艦を勤めたことだろう。
彼女達が全員全滅とは考えられない。
敵の強さを目の当りにしたら、どこかしらで撤退するだろう。
戦い慣れている者ほど、引き際も心得ている。
海野「何とぼけてるんですか? それとも覚えてないんですか?」
南方「え?」
背中に嫌な汗が流れた。
『聞くな』とう脳が警戒している。
海野「彼女達を頃したのは・・・」
――――止めろ
―――――聞くな
全身が寒い。その先は聞いてはいけない。
耳を塞ぎたくても体は動かない。
海野「・・・貴女でしょ」
まるで心臓をナイフで抉られたような感覚。
南方棲鬼は声にならない悲鳴をあげた。
それは本心だった。
海野「だけど、あの人を盗った怒りや、なんであれだけの失態を犯して生きているか・・・生きていられるのか・・・」
怒るというよりは悲しそうに喋る。
海野「それを考えると憎しみばかりが増していくんですよ」
光の宿らない瞳で笑いながら彼女は喋る。
「色々聞きたいことが貴女にもあるでしょう。でも、その前に貴女が氏んだ後、何があったか知りたいですか?」
知りたい。
だけど、知りたくない。
そんな2つの気持ちが自分の中でぶつかる。
恐かった。聞くのが恐い。
海野「恐いですか? でも貴女は知らなければなりません。じゃないと許せないから」
こちらの返答を聞く前に語り始める。
海野「司令官戦氏の報告は鎮守府に衝撃を与えました。誰も信じられなかった」
南方「・・・・・・」
海野「すぐに別艦隊を現地に向かわせて、提督の捜索と敵の殲滅が叫ばれました。大本営の命令に背いてでもと」
恐らくそうなるだろうとは思った。
自分でもそうするだろう。
海野「当時、私は司令室で大淀と作戦立案をしてましてね・・・結論から言うと出撃した者達は全滅しました」
南方「全滅・・・? 長門達も?」
恐らく、鎮守府に残る最大戦力での出撃。そうなれば必然的に長門が旗艦を勤めたことだろう。
彼女達が全員全滅とは考えられない。
敵の強さを目の当りにしたら、どこかしらで撤退するだろう。
戦い慣れている者ほど、引き際も心得ている。
海野「何とぼけてるんですか? それとも覚えてないんですか?」
南方「え?」
背中に嫌な汗が流れた。
『聞くな』とう脳が警戒している。
海野「彼女達を頃したのは・・・」
――――止めろ
―――――聞くな
全身が寒い。その先は聞いてはいけない。
耳を塞ぎたくても体は動かない。
海野「・・・貴女でしょ」
まるで心臓をナイフで抉られたような感覚。
南方棲鬼は声にならない悲鳴をあげた。
890: 2016/01/03(日) 03:24:17.43 ID:DF/UsVyM0
南方「あ・・・あ・・・ああ・・・」
脳裏に浮かんでくる記憶。
アイツに深海棲艦にされて・・・そのまま調整と評して・・・私は・・・
記憶を消され、深海棲艦として戦い・・・
自分の手は・・・仲間を。
南方「私が・・・頃した? 皆を?」
今まで忘れて居た深海棲艦としての血生臭い記憶が脳裏に浮かんだ。
部分的に、おぼろげに思い出す事はあった。
だけど違う。あの時、戦場で見た記憶が蘇る。
逃げ惑う駆逐艦を一人、また一人と仕留めた。
肉を切り裂く感覚を手に感じて吐きそうになる。
果敢に向かってくる重巡をミンチに変えた。
中には恐怖で泣き叫んだ者も居た、氏ぬ間際に夫の名前を何度も言っていた者も居た。
仲間を庇い、撤退すら出来ず、憎しみの眼差しを向ける長血まみれの長門が見えた。
―――バケモノが
お互い、仲間とは知らず頃しあった。
―――返せ!! 提督を!! 私の友人を!!
友人とは自分の事。
鎮守府の皆は仲が良かった。みんな友人同士だった。大人に近い戦艦、重巡同士は特に。
私が結婚をすることで、皆と見えない亀裂が入った。
それでも、長門は普通に接してくれた。内心は思うこともあっただろうに。
長門は最後まで夫と私を案じて、その仇を討とうとして・・・殺されたんだ。
他ならない友人であった私の手で・・・
彼女の首をへし折って、虐殺を終えて満足げに言ったんだ。
「これでよろしいですかお母様」と
アイツは・・・南方棲戦姫は満足げに笑っていた。
あの笑いは私の活躍を喜んでいたのではない。
かつての仲間同士で頃し合わせて笑っていたんだ。
脳裏に浮かんでくる記憶。
アイツに深海棲艦にされて・・・そのまま調整と評して・・・私は・・・
記憶を消され、深海棲艦として戦い・・・
自分の手は・・・仲間を。
南方「私が・・・頃した? 皆を?」
今まで忘れて居た深海棲艦としての血生臭い記憶が脳裏に浮かんだ。
部分的に、おぼろげに思い出す事はあった。
だけど違う。あの時、戦場で見た記憶が蘇る。
逃げ惑う駆逐艦を一人、また一人と仕留めた。
肉を切り裂く感覚を手に感じて吐きそうになる。
果敢に向かってくる重巡をミンチに変えた。
中には恐怖で泣き叫んだ者も居た、氏ぬ間際に夫の名前を何度も言っていた者も居た。
仲間を庇い、撤退すら出来ず、憎しみの眼差しを向ける長血まみれの長門が見えた。
―――バケモノが
お互い、仲間とは知らず頃しあった。
―――返せ!! 提督を!! 私の友人を!!
友人とは自分の事。
鎮守府の皆は仲が良かった。みんな友人同士だった。大人に近い戦艦、重巡同士は特に。
私が結婚をすることで、皆と見えない亀裂が入った。
それでも、長門は普通に接してくれた。内心は思うこともあっただろうに。
長門は最後まで夫と私を案じて、その仇を討とうとして・・・殺されたんだ。
他ならない友人であった私の手で・・・
彼女の首をへし折って、虐殺を終えて満足げに言ったんだ。
「これでよろしいですかお母様」と
アイツは・・・南方棲戦姫は満足げに笑っていた。
あの笑いは私の活躍を喜んでいたのではない。
かつての仲間同士で頃し合わせて笑っていたんだ。
891: 2016/01/03(日) 03:24:51.84 ID:DF/UsVyM0
南方「私は・・・私は・・・」
青葉・・・いや今は海野か。彼女の言葉で全てを思い出した。
思い出したくなかった。
知らずに居たかった。
こんな思いをするなら、あの時、榛名に討たれていれば良かった。
何故自分はこうも苦しまなくてはならないのだろうか。
海野「一応は覚えているみたいですね? 深海棲艦の影響下を離れたからですか?」
南方「・・・あ・・・貴女はどうしたいの? 私が許せないと言うなら、貴女が頃してよ。私を!!」
海野「・・・とりあえず話は最後まで聞いてくださいよ」
それから、あの事件の後の顛末が語られた。
長門達全滅の後、時間を置いてから他の鎮守府と連合艦隊で出撃。
敵との交戦は避けて現場海域での生存者、遺体の捜索をしたらしい。
幸い、既に深海棲艦の部隊は海域には居なかったらしい。
必氏の捜索で変わり果てた提督(父)の遺体を発見、誰もが言葉を失なった。
海野「その後、私達の鎮守府は閉鎖されました」
夫が生きている可能性を信じていたが、僅かな希望すらも打ち砕かれたらしい。
海野「それから所属する艦娘は2つの道が残されました」
海野「一つは他の鎮守府所属になること、もう一つは解体です」
海野「私達の錬度はかなりのものでしたからね。欲しがる鎮守府はいくらでもありました」
海野「だから、ちょっとした奪い合いになったんですよ。酷いものでした。醜いですね人間って」
海野「そんな状況を知った、元帥が怒り狂いましてね。彼は司令官の親友でしたから・・・」
青葉・・・いや今は海野か。彼女の言葉で全てを思い出した。
思い出したくなかった。
知らずに居たかった。
こんな思いをするなら、あの時、榛名に討たれていれば良かった。
何故自分はこうも苦しまなくてはならないのだろうか。
海野「一応は覚えているみたいですね? 深海棲艦の影響下を離れたからですか?」
南方「・・・あ・・・貴女はどうしたいの? 私が許せないと言うなら、貴女が頃してよ。私を!!」
海野「・・・とりあえず話は最後まで聞いてくださいよ」
それから、あの事件の後の顛末が語られた。
長門達全滅の後、時間を置いてから他の鎮守府と連合艦隊で出撃。
敵との交戦は避けて現場海域での生存者、遺体の捜索をしたらしい。
幸い、既に深海棲艦の部隊は海域には居なかったらしい。
必氏の捜索で変わり果てた提督(父)の遺体を発見、誰もが言葉を失なった。
海野「その後、私達の鎮守府は閉鎖されました」
夫が生きている可能性を信じていたが、僅かな希望すらも打ち砕かれたらしい。
海野「それから所属する艦娘は2つの道が残されました」
海野「一つは他の鎮守府所属になること、もう一つは解体です」
海野「私達の錬度はかなりのものでしたからね。欲しがる鎮守府はいくらでもありました」
海野「だから、ちょっとした奪い合いになったんですよ。酷いものでした。醜いですね人間って」
海野「そんな状況を知った、元帥が怒り狂いましてね。彼は司令官の親友でしたから・・・」
892: 2016/01/03(日) 03:25:42.13 ID:DF/UsVyM0
海野「結果、艦娘であリ続ける道を選んだ艦娘は元帥の下へ行きました。それなりに大事にされてますよ。今でもね」
南方(そうか・・・あの彼が・・・)
海野「そして私のように艦娘を止めた者は、各地に分散、時が来るまでの準備を開始しました」
南方「準備?」
海野「ええ、私達の共通の目的は提督を守ること。司令官のご子息ですからね」
海野「その為に皆、頑張って今では政治に直接口を出せる立場の者や、情報を操作出来る地位に居るものや、皆それぞれこの国の中枢に潜り込むに至りました」
海野「言葉にすると簡単ですけどね。皆必氏に今の地位まで上り詰めました。それこそ非合法なことをしてでも」
海野「残された提督を守る、それだけが私達の生きる唯一の目的になっていました」
とんでもない事を楽しそうに語る。
歪んでいる。何もかも。
あの楽しかった自分達の鎮守府はそうやって崩壊したんだ。
最初の崩壊の兆しは自分が結婚したこと。
皆が夫を心から愛していたと知っていたのに、自分だけ添い遂げた。
そこで入った亀裂が、夫の氏と多くの戦氏者を出して、最悪の結果を招いた。
南方(なんで・・・なんでこんなことに・・・なんで・・・)
構わず海野は言葉を綴る。
海野「おかしいと思いません? 提督はこれだけ大戦果を挙げているのにニュースにもならない、軍部で騒ぎにもならないこと」
言われて見ればそうだった。
敵を圧倒する強さ、深海棲艦の一部はこの鎮守府との交戦を避けているくらいだ。
海野「それは故意に情報を操作してるからですよ。私達がね。必要以上に目立たないようにです」
南方「何の為に?」
海野「変に目を付けられても困りますしね。一番恐いのは敵よりも味方ですよ」
南方「・・・?」
海野「私達はね、まだ忘れられないんですよ。あの穏やかだった日々を。永遠に続くと思っていたあの日常を・・・」
海野「だから、過去に縋って、あの戻れない記憶の中にある日々に少しでも居たくて、触れていたくて・・・今に至ります」
海野「私は司令官の息子である提督が作ったこの鎮守府が好きです。 一部、暴走した艦娘の狂行も目立ちますが、それを抜かせば、かつての私達の鎮守府に近い」
南方(そうか・・・あの彼が・・・)
海野「そして私のように艦娘を止めた者は、各地に分散、時が来るまでの準備を開始しました」
南方「準備?」
海野「ええ、私達の共通の目的は提督を守ること。司令官のご子息ですからね」
海野「その為に皆、頑張って今では政治に直接口を出せる立場の者や、情報を操作出来る地位に居るものや、皆それぞれこの国の中枢に潜り込むに至りました」
海野「言葉にすると簡単ですけどね。皆必氏に今の地位まで上り詰めました。それこそ非合法なことをしてでも」
海野「残された提督を守る、それだけが私達の生きる唯一の目的になっていました」
とんでもない事を楽しそうに語る。
歪んでいる。何もかも。
あの楽しかった自分達の鎮守府はそうやって崩壊したんだ。
最初の崩壊の兆しは自分が結婚したこと。
皆が夫を心から愛していたと知っていたのに、自分だけ添い遂げた。
そこで入った亀裂が、夫の氏と多くの戦氏者を出して、最悪の結果を招いた。
南方(なんで・・・なんでこんなことに・・・なんで・・・)
構わず海野は言葉を綴る。
海野「おかしいと思いません? 提督はこれだけ大戦果を挙げているのにニュースにもならない、軍部で騒ぎにもならないこと」
言われて見ればそうだった。
敵を圧倒する強さ、深海棲艦の一部はこの鎮守府との交戦を避けているくらいだ。
海野「それは故意に情報を操作してるからですよ。私達がね。必要以上に目立たないようにです」
南方「何の為に?」
海野「変に目を付けられても困りますしね。一番恐いのは敵よりも味方ですよ」
南方「・・・?」
海野「私達はね、まだ忘れられないんですよ。あの穏やかだった日々を。永遠に続くと思っていたあの日常を・・・」
海野「だから、過去に縋って、あの戻れない記憶の中にある日々に少しでも居たくて、触れていたくて・・・今に至ります」
海野「私は司令官の息子である提督が作ったこの鎮守府が好きです。 一部、暴走した艦娘の狂行も目立ちますが、それを抜かせば、かつての私達の鎮守府に近い」
893: 2016/01/03(日) 03:26:26.78 ID:DF/UsVyM0
海野の目は今ではなく過去を見ている。
この鎮守府を通して、自分達の楽しかった頃を見ているのだ。
それはあまりに悲しかった。
私達はどこで間違えたのか。
なんでこうなってしまったのか。
力が無かったからか。
運に見放されたからか。
ワカラナイ。
もう何もかも。
海野「話を戻しましょうか。結論から言うと私は貴女を許せないし、正直頃したいです」
南方「なら、そうしてよ。抵抗はしないわ」
海野「でもね、どんな姿であろうが生きていることを嬉しく思っている自分も居るんです」
不思議ですねと笑う。
海野「分かっているんです、貴女も被害者だって、だけど、だけど・・・それでも許せない自分もいる」
誰かを憎まないと進めなかった。
そうじゃないと耐えられなかった。
海野「最初は憎んでいなかった。憎しみは南方棲鬼にありました」
現場で半壊し残された艦から南方棲鬼と艦娘との戦闘記録映像が見つかった。
それにより、南方棲鬼を仲間の仇として憎んだ。
それだけなら良かった。
だけど、知ってしまった。
南方棲鬼の正体を。だから憎しみはかつての友人に向かった。
海野「不思議なものですね。当時は貴女の生存を望み、南方棲鬼を憎んだ」
だけど・・・
海野「その憎んだ相手が貴女で、貴女は多くの仲間をその手にかけた」
南方「私はどうすればいいの? どうすれば罪は・・・」
と言いかけたが言葉は出ない。
その罪が赦される日なんて来ない。
それだけのことをしたのだから。
この鎮守府を通して、自分達の楽しかった頃を見ているのだ。
それはあまりに悲しかった。
私達はどこで間違えたのか。
なんでこうなってしまったのか。
力が無かったからか。
運に見放されたからか。
ワカラナイ。
もう何もかも。
海野「話を戻しましょうか。結論から言うと私は貴女を許せないし、正直頃したいです」
南方「なら、そうしてよ。抵抗はしないわ」
海野「でもね、どんな姿であろうが生きていることを嬉しく思っている自分も居るんです」
不思議ですねと笑う。
海野「分かっているんです、貴女も被害者だって、だけど、だけど・・・それでも許せない自分もいる」
誰かを憎まないと進めなかった。
そうじゃないと耐えられなかった。
海野「最初は憎んでいなかった。憎しみは南方棲鬼にありました」
現場で半壊し残された艦から南方棲鬼と艦娘との戦闘記録映像が見つかった。
それにより、南方棲鬼を仲間の仇として憎んだ。
それだけなら良かった。
だけど、知ってしまった。
南方棲鬼の正体を。だから憎しみはかつての友人に向かった。
海野「不思議なものですね。当時は貴女の生存を望み、南方棲鬼を憎んだ」
だけど・・・
海野「その憎んだ相手が貴女で、貴女は多くの仲間をその手にかけた」
南方「私はどうすればいいの? どうすれば罪は・・・」
と言いかけたが言葉は出ない。
その罪が赦される日なんて来ない。
それだけのことをしたのだから。
894: 2016/01/03(日) 03:27:23.26 ID:DF/UsVyM0
海野「私だってワカラナイんですよ。どうしていいか、どうしたいか」
ただ頭に血が上り、文句を言ってやりかった。
攻めたかった、罵倒したかった。
貴女が悪いと。
でも、生きていたことを喜んでいる自分も居る。
海野「本当に・・・どうしていいか・・・分からないや」
そう言うと涙を流し、やがて声を出して泣いた。
南方棲鬼は海野を抱きしめて一緒に泣いた。
2人で。声を出して。
それから暫くして、落ち着きを取り戻し、海野はありがとうと言った。
その笑顔は当時の彼女そのままだった。
南方「・・・こんな事を言っても赦されないと思う」
だけど、言いたかった。
南方「本当にごめんなさい。貴女達を苦しめて・・・ごめんなさい」
海野「やっぱり、貴女は貴女のままなんですね。 不思議と怒りも収まりました」
今まで胸のうちに秘めていたモノを全部吐き出したせいか気分は晴れやかだった。
海野「それと一つ分からないことが・・・」
南方「何?」
海野「あの日、最終的に呉からも味方が出て連合艦隊で海域に向かったハズですよね」
南方「・・・・・・」
海野「なのに、何故ウチだけが被害に? 呉側は一切被害が無く当時の記録も無い。どういうことなんですか?」
南方「呉は戦場には来なかったわ」
海野「来なかった? 共同作戦に変更になったのでは?」
南方「落ち合うポイントに現れなかった・・・そう、確か・・・」
呉の提督の乗る護衛艦の機関部のトラブルで航行が困難になった。
海上で双方通信を取り、呉の護衛艦の救援に向かうことになったが上から許可されなかった。
呉の提督は危険だから夫に単独で先行するのは止める様に言ったが、上は強行偵察を命じた。
海野「何故、強行したのでしょうか?」
南方「分からない。ただ軍人である以上は命令に背けないってあの人は・・・」
海野(誰かが司令官を頃すように故意に仕向けた?・・・いや考えすぎ? そんなことをするメリットが・・・)
わざわざそんなことをする理由はない。ないハズだった。
ただ頭に血が上り、文句を言ってやりかった。
攻めたかった、罵倒したかった。
貴女が悪いと。
でも、生きていたことを喜んでいる自分も居る。
海野「本当に・・・どうしていいか・・・分からないや」
そう言うと涙を流し、やがて声を出して泣いた。
南方棲鬼は海野を抱きしめて一緒に泣いた。
2人で。声を出して。
それから暫くして、落ち着きを取り戻し、海野はありがとうと言った。
その笑顔は当時の彼女そのままだった。
南方「・・・こんな事を言っても赦されないと思う」
だけど、言いたかった。
南方「本当にごめんなさい。貴女達を苦しめて・・・ごめんなさい」
海野「やっぱり、貴女は貴女のままなんですね。 不思議と怒りも収まりました」
今まで胸のうちに秘めていたモノを全部吐き出したせいか気分は晴れやかだった。
海野「それと一つ分からないことが・・・」
南方「何?」
海野「あの日、最終的に呉からも味方が出て連合艦隊で海域に向かったハズですよね」
南方「・・・・・・」
海野「なのに、何故ウチだけが被害に? 呉側は一切被害が無く当時の記録も無い。どういうことなんですか?」
南方「呉は戦場には来なかったわ」
海野「来なかった? 共同作戦に変更になったのでは?」
南方「落ち合うポイントに現れなかった・・・そう、確か・・・」
呉の提督の乗る護衛艦の機関部のトラブルで航行が困難になった。
海上で双方通信を取り、呉の護衛艦の救援に向かうことになったが上から許可されなかった。
呉の提督は危険だから夫に単独で先行するのは止める様に言ったが、上は強行偵察を命じた。
海野「何故、強行したのでしょうか?」
南方「分からない。ただ軍人である以上は命令に背けないってあの人は・・・」
海野(誰かが司令官を頃すように故意に仕向けた?・・・いや考えすぎ? そんなことをするメリットが・・・)
わざわざそんなことをする理由はない。ないハズだった。
895: 2016/01/03(日) 03:27:55.35 ID:DF/UsVyM0
南方「私は・・・どうすれば皆に報いられるのかしらね」
海野「貴女にしか出来ないことをすればいいんです。本当は分かっているんでしょ?」
南方「そうね・・・そうかもしれない」
早く動くべきだった。
恐がって避けていた。
だけど、もう逃げられない。
どこかでケジメを付けないと仲間に合わせる顔がない。
ドアがノックされる。
瑞鶴「お義母様ー なんか記者の人が来るから暫く隠れてろって・・・アレ?」
榛名「失礼します・・・記者さん!? あの・・・これは・・・」
数名が鎮守府内で記者を探して居たのだが、まさかここに居ると思わなかったので2人は狼狽した。
瑞鶴(どうしよう・・・深海棲艦を匿ってるのがバレた!!)
榛名(・・・消すしか・・・ここなら始末しても誰にも・・・提督の為に・・・)ハイライトオフ
南方「いいのよ。彼女は私の古い友人だから」
「「え?」」瑞鶴と榛名は揃って間抜けな声を出した。
海野「そうなんです。お気になさらずに」
それとと付け加え、榛名の耳元で榛名だけに聞こえるように囁いた。
海野「殺気は隠しましょうね。何かあって困るのは提督ですよ」
榛名「っ!!」
驚く榛名を面白そうに見て海野は笑った。
榛名と瑞鶴はどう反応していいか分からず困惑した。
海野「それと、そこに隠れている子達もバレバレですよ」
廊下で隠れて様子を伺っていた駆逐艦達もバツの悪そうな顔をして出てくる。
如月(なんでバレたのかしら)
時雨(おかしいな気配は消してたはずなのに)
叢雲(アンタが殺気だしすぎじゃないの?)
海野「本当に愛されているんですね。あの子は」
南方「ええ、鎮守府の娘全員にね。頭痛の種ね」
海野「司令の息子さんだけなことはあるかも」
南方「私と彼女を執務室へ。お願いできるかしら」
何時までも逃げれない。
例え、愛する息子に拒絶されたとしても自分の出来ることをしなくては。
瑞鶴「よく分からないけどいいの?」
榛名「ここは従いましょう」
海野「貴女にしか出来ないことをすればいいんです。本当は分かっているんでしょ?」
南方「そうね・・・そうかもしれない」
早く動くべきだった。
恐がって避けていた。
だけど、もう逃げられない。
どこかでケジメを付けないと仲間に合わせる顔がない。
ドアがノックされる。
瑞鶴「お義母様ー なんか記者の人が来るから暫く隠れてろって・・・アレ?」
榛名「失礼します・・・記者さん!? あの・・・これは・・・」
数名が鎮守府内で記者を探して居たのだが、まさかここに居ると思わなかったので2人は狼狽した。
瑞鶴(どうしよう・・・深海棲艦を匿ってるのがバレた!!)
榛名(・・・消すしか・・・ここなら始末しても誰にも・・・提督の為に・・・)ハイライトオフ
南方「いいのよ。彼女は私の古い友人だから」
「「え?」」瑞鶴と榛名は揃って間抜けな声を出した。
海野「そうなんです。お気になさらずに」
それとと付け加え、榛名の耳元で榛名だけに聞こえるように囁いた。
海野「殺気は隠しましょうね。何かあって困るのは提督ですよ」
榛名「っ!!」
驚く榛名を面白そうに見て海野は笑った。
榛名と瑞鶴はどう反応していいか分からず困惑した。
海野「それと、そこに隠れている子達もバレバレですよ」
廊下で隠れて様子を伺っていた駆逐艦達もバツの悪そうな顔をして出てくる。
如月(なんでバレたのかしら)
時雨(おかしいな気配は消してたはずなのに)
叢雲(アンタが殺気だしすぎじゃないの?)
海野「本当に愛されているんですね。あの子は」
南方「ええ、鎮守府の娘全員にね。頭痛の種ね」
海野「司令の息子さんだけなことはあるかも」
南方「私と彼女を執務室へ。お願いできるかしら」
何時までも逃げれない。
例え、愛する息子に拒絶されたとしても自分の出来ることをしなくては。
瑞鶴「よく分からないけどいいの?」
榛名「ここは従いましょう」
896: 2016/01/03(日) 03:37:40.22 ID:DF/UsVyM0
投下完了。
あけおめです。お久しぶりです。
不本意ながら間が開いてしまい少し多めに修正して投下しました。
ちょっとアホ忙しくて離れてました。すいません。
就職を控えている方がいましたら・・・一言
サービス業系は行かない方がいいですよハイライトオフ
提督(父)の青葉の苗字は重巡青葉に乗員してた海野十三氏から拝借しております。
また近いうちに調整分投下します。
おやすみです
あけおめです。お久しぶりです。
不本意ながら間が開いてしまい少し多めに修正して投下しました。
ちょっとアホ忙しくて離れてました。すいません。
就職を控えている方がいましたら・・・一言
サービス業系は行かない方がいいですよハイライトオフ
提督(父)の青葉の苗字は重巡青葉に乗員してた海野十三氏から拝借しております。
また近いうちに調整分投下します。
おやすみです
897: 2016/01/03(日) 03:40:39.54 ID:0ip6wLYco
乙
まあ程々に
まあ程々に
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります