654: 2010/11/30(火) 18:25:57.24 ID:TCGSrIAO
一方通行「待ちな、ジャッジメントだァ」
垣根「ジャッジメントか……悪くねぇ」【前編】
垣根「ジャッジメントか……悪くねぇ」【中編】



一方通行(木原の馬鹿が『妹達』を引き連れてる以上、打ち止めが狙われる可能性だって充分にありやがる)

絹旗「お兄ちゃーん」クイクイ

一方通行(ヤツらは手掛かりを掴ンでねェ……とは言い切れねェが、既に捕獲されてンなら何か動きがあるハズ……)

絹旗「んもぅ、またシカトですか……―――はっ、まさか私のテンションを下げて下げて……か、ら、の 超上げる事で喜びの反応を楽しもうって魂胆ですね?いやーやっぱお兄ちゃんってば、流石は私の超お兄ちゃんですね」

一方通行「……」

絹旗「あ、あれ……?どうしたんですか、その超冷めた目は……泣いちゃいますよ?えーんえーん」

一方通行「……」グッ

絹旗「分かりました!超分かりましたから拳を握らないでください!!」

一方通行「……なァ、『スクール』の目的ってのは何なンだ」

絹旗「それは分かりません……が、『残骸』を手に入れて超くだらない悪巧みを試みてるのは確かですね」

一方通行「チッ、結局は『残骸』絡みかよ……」

とある魔術の禁書目録 5巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
655: 2010/11/30(火) 18:28:36.04 ID:TCGSrIAO
絹旗「それを手にする事は世界一の頭脳を得るのと等しいですからね……何せ世界最高峰のシミュレートマシン、世界中のお偉方が喉から手が超伸びる程に欲しがってると言いますし」

一方通行「何処の馬鹿が『樹形図の設計者』を破壊したのかは知らねェが、そンなモンが潰されたとなれば大々的に報告すンのが普通じゃねェのか?」

絹旗「余計な混乱を避ける為ですよ、ある意味核より超厄介な代物ですし……だから上層部は極秘裏に回収作業を進めていたらしいんです、ですが……―――」

一方通行「そこで『スクール』の連中に狙われた、ってかァ?……マヌケだな」

絹旗「以前から『スクール』が影でコソコソやってるのには超気付いてました、なので三日前くらいに狙撃手を尋問して……ってまぁ、麦野がブッ頃しちゃいましたけどね」

一方通行「……狙撃手?」

絹旗「はい、『スクール』の正規メンバーですので……今日のは急遽補充した雇われ、ってトコでしょうか」

一方通行「そもそもよォ……ヤツらの狙いが『残骸』なら、だが」

絹旗「はい?」

一方通行「親船を暗頃する理由は何処にある?仮に理事会を皆頃しにする為だとして、『残骸』を修復する前に宣戦布告されてもなァ……」


656: 2010/11/30(火) 18:30:30.63 ID:TCGSrIAO
絹旗「それは私達の間でも超議論しましたよ?……しかし結果を見ますと、それは単なるオマケでした……」

一方通行「……陽動、か」

絹旗「はい、ヤツらが『残骸』を手にしたのはつい先日です……しかし追っ手が絶えないのも超事実、そこで他の騒ぎを引き起こし混乱させた所で完全に撒くつもりだったみたいですね」

一方通行(つまり……騒ぎを起こせるならば誰でも良かった、ってかァ……?)

絹旗「そして私達は超まんまと騙されました、『スクール』の裏切り者にです」

一方通行「裏切りだと……?」

絹旗「……いえ、実際は裏切りと言えるのでしょうかね?『残骸』の隠し場所をあえて私達に教え、集まった所をリーダーがまとめて潰す作戦だったのかもしれませんし……」

一方通行「……」


…………ドクンッ


一方通行「―――いや待て、オマエらを単独で潰せる程の実力者だと?ソイツは……あの場所にいたのか」


657: 2010/11/30(火) 18:33:31.44 ID:TCGSrIAO
絹旗「はい、『スクール』の最後の一人……コイツの能力が超厄介です、私の『窒素装甲』もまるで通用しませんでした」

一方通行(俺達以外に……あの場所にいたのは―――)

絹旗「私は窒素を扱って特殊なフィールドを展開する能力者です、しかし逆を言えば……窒素が無ければ本当に何もできないんですよ」

一方通行「……っ」

絹旗「……彼は大気中の窒素をまったくの別物へと変換する事で私の能力を無効化しました……今まで私達の常識だった物理法則を―――」


―――『だがな、俺は……の……常識が通用しない男だ』―――


一方通行(……常、識……)

絹旗「……完、全 に否定する……それが『スクール』のリーダーの『超』能力」


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


一方通行「―――……ソイツの名は?」


658: 2010/11/30(火) 18:38:19.69 ID:TCGSrIAO
―――とあるオープンカフェ



垣根「フラグメイカーだぁ?」

初春「そうなんですよ、一通さんってば……助けた女の子に見境無くフラグをおっ立てて行くんです!ですからファンレターやラブレターが毎日支部にた~っくさん届くんで、皆さん超迷惑してるんですっ!!」パクパク

垣根「そしてそのフラグを回収しねぇからタチが悪い……と」

初春「まったくでふ!」モグモグ

垣根「……」

初春「あー美味し」ムシャムシャ

垣根「っつーか白井のヤツと通信切れちまったんだろ?良く呑気に腹拵えなんかしてられるな」

初春「腹が減っては何とやらってヤツですよー、ていとさんは何も食べないんですか?」

垣根「ならタバコ吸っても良いか?」ゴソゴソ

初春「……」

垣根「……冗談だよ、学園都市は終日禁煙、風紀委員が吸うわけねぇだろ」
(……チックショー……)


659: 2010/11/30(火) 18:40:50.37 ID:TCGSrIAO
初春「白井さんなら心配しなくても大丈夫ですよ、その内ひょっこり帰って来ますって」

垣根「猫かアイツは」

初春「ていとさんは知らないでしょうが、白井さんだってただの突撃馬鹿ではありませんよ?今までの経験から引き際ってのは充分理解してるはずです」

垣根「あーそうかい、仲間想いなこって」
(あの野郎……結局足止めすらできてねぇじゃねぇか)

初春「んもー、だから大丈夫ですって」タハハ

垣根(甘い……優しすぎんだよ馬鹿が、もうコイツらをあまり巻き込みたくはねぇってのに……)

初春「とにかく命令通り一通さんと一旦合流しましょう、そこからLv5二人のコンビで結標を叩く……完璧ですね」

垣根「……あの程度の女ァ俺一人で充分だろ、だから―――」

初春「ダメですよ、どっちか片方が絶対にやり過ぎちゃうんですから……止める人間が必要です、一通さんが来るまで居場所は教えません!」ムグムグ

垣根「何だよ、信用してないのか」

初春「してませんよ?二人の暴力的なトコとかは特に」


660: 2010/11/30(火) 18:43:39.18 ID:TCGSrIAO
垣根「……チ」
(こうなったら力づくで……―――)

初春「んまんま♪」ニヘニヘ

垣根「……」

垣根「……見てるだけで胃もたれ起こしそうだな、その……えー、今食ってる大型何とか……」

初春「大型甘味パフェ(1480円)ですー!」

垣根「そうそれ、分かったから食いながら喋るなよ」

初春「あ、あげませんよっ!?これを一人で完食するのが私の今期の目標なんですから!」ササッ

垣根「そうか、さっさと食え」

初春「は~い」カチャカチャ

垣根「……」

初春「う~ん、このカラメルが何とも……」パクパク


垣根「……そしてお前もアイツに惚れた一人ってぇわけか」


初春「ぼほォっ!!?」ゲホッ


661: 2010/11/30(火) 18:45:46.22 ID:TCGSrIAO
垣根「……」

初春「げほっげほっ!す、すいませ……―――げほんっ!!」

垣根(汚ったねぇ……)

初春「……な、ななな何ですか急に!?私が一通さんをす、すすす好きだなんてそんなわけわけわけわけ―――」ワタワタ

垣根「何だ、違うのか」

初春「ち、違うますっ!そんなわけないですっ!!」プイッ

垣根「そうかそうか、俺の思い違いか」

初春「ま、ままままったくもう……」

垣根「……」

初春「は、早く食べないとアイスが溶けちゃいま―――」

垣根「あー……そう言やぁ昨日アイツ、常盤台の子にラブレターもらってやがったなー(棒」


初春「URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYッッ!!!!」ガタッ



662: 2010/11/30(火) 18:47:37.00 ID:TCGSrIAO
垣根「……」

初春「―――……はっ」ビクッ

垣根「分かりやすいなァ……お前」ニヤニヤ

初春「はうぅ……////」カアァァ…

垣根「んまぁ、そりゃ妬いちまうわな……ライバルがどんどん増えて行くのに、自分は眼中にもないと来た……」

初春「ううぅ……」ショボン

垣根「ならどうだ?いっその事、俺に乗り換えちまうってのは」

初春「!!?」

垣根「ん?」

初春「ど、どどどどういう……?」オドオド

垣根「どうって……言葉通りの意味だよ」

初春「」


663: 2010/11/30(火) 18:50:03.46 ID:TCGSrIAO


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


垣根「―――はっ、カワイーじゃねぇか……口元にクリーム付いてんぞ?」スッ

初春「は、はひ……////」カアァァ…

…………クイッ


垣根「初春よ、実は俺な……」ペロッ

初春(な、舐めた!?拭ったクリームを……あのていとさんがばばばばばばばば)

垣根「今……巷で有名な『スイーツ男子』ってヤツなんだよ」ニッ

初春「て、ていとさん……////」ドキドキ

垣根「美味めぇんだろ、そのパフェ……良かったら俺に食わしてくんねぇかなァ……?」

初春「はうっはうぅ……////」モジモジ
(う、嘘っ!?そんなぁ……!)

垣根「でも……違うな、やっぱ俺が一番食いてぇのは……」ズイッ

初春「ふぇ、え……!?」ドキドキ


垣根「―――初春飾利……お、前、だ、よ」


初春「」プシュー


665: 2010/11/30(火) 18:52:13.60 ID:TCGSrIAO
垣根「ん?」ニッコリ

初春「ほぇ……////」ウットリ

垣根「……は、なーんつってな」ガタッ

初春「……ほぇ?」

垣根「ほぇ?じゃねぇよ、芝居だ芝居……決まってんだろ」

初春「な、なっ……!?女心を弄ばないでくださああぁぁいっっ!!」プンスカ

垣根(……面白い)

初春「うぅ……酷いですぅ」クスン

垣根「アイツのフラグ体質もそうだが……どうやらお前の男に対する惚れ易さにも問題があるんじゃねぇか?」

初春「だ、だって私の周りの男性は一通さんとかていとさんとか……イケメンさんばかりなんですもん!!」


667: 2010/11/30(火) 18:54:16.86 ID:TCGSrIAO
垣根「一方通行ねぇ……女には好かれるみたいだが、男にはサッパリだな」

初春「そう、ソレですよ!」ビシッ

垣根「は?」

初春「と、いうわけなんでていとさん……一通さんと仲良くしてあげてください」ペコリ

垣根「アレか、アイツはお前にこんなお願いされる程にヤバい状況なのか」

初春「だって一通さんってば、友達がいねェだの学校つまらンだの事ある毎に私達にブツブツブツブツ……」

垣根「ぶっははははは!?何だよアイツ……やっぱり友達が欲しいのか!!」

初春「やっぱり?」

垣根「柄じゃねぇよなぁ……昨日学校で昼メシ一緒に食ってたんだけどよ、アイツ―――」

初春「わー!もうそんなに仲良くなったんですかー?」パアァァ

垣根「……あ?」


668: 2010/11/30(火) 18:55:40.84 ID:TCGSrIAO
初春「一通さんとお昼ご飯一緒に食べる人なんて、私達以外にきっと初めてですよ?」

垣根「まぁ……そうだろうな、あの感じだと」
(っつーかコイツらにはそこまで心開いてんのかよ)

初春「じゃあていとさんが一通さんのお友達第一号ってわけですね♪」ニコニコ

垣根「はぁ?冗談じゃねぇぞ……誰が友達だ だ、れ、が」

初春「嫌なんですか?」

垣根「お前も知ってんだろ?俺とアイツが面と向かい合えばアホボケ氏ねカス、暴言祭のヨイコラセッセだぞ?」

初春「でも、そうやって何でも言い合えるのが友達ってモンじゃないですか?」

垣根「いやコレは違うだろ……」

初春「……今までていとさんには、そんな人がいましたか?」

垣根「もういねぇ」

初春「へっ?」

垣根「……いや、何でもない」


669: 2010/11/30(火) 18:58:55.22 ID:TCGSrIAO
初春「私……気が合うと思うんですよ、第一位と第二位……一通さんとていとさんって、すっごく似た者同士ですから」

垣根「似た者同士……?」

初春「はい、何か雰囲気とか」

垣根「……すごくと言った割にはアバウトだな」

初春「うぅ……」

垣根「まぁ……似た者同士、か……確かにそうかもしんねぇなァ」ポリポリ

初春「……ありゃ、認めちゃうんですか?」

垣根「アイツなら此処でキレるんだろうが……そこで大人な対応を取っちまうのが俺とアイツの違いなんじゃねぇか?」ニッ

初春「一通さん……本当は嬉しいんですよ?どんなに暴言を吐いても、ていとさんや白井さんはちゃ~んと相手にしてくれますから」

垣根(そうだな……確かにバケモノの相手ができるのは、それと同じレベルのバケモノしかいねぇが)

初春「お互いに必要だと思うんですよ、気を使わないで何でも言い合えるような相手が……Lv5みたいな雲の上にいるような人だと余計に……」

垣根「……そうか」


670: 2010/11/30(火) 19:00:44.73 ID:TCGSrIAO
初春「やっぱ力を持ちすぎてる人って、色々な悩みとか引きずってそうですし……」

垣根「……っ」ピクッ

初春「……あ!ていとさんは別ですよ?まだ知らない事もいっぱいありますし……気に障ったのなら謝ります、ごめんなさ―――」

垣根「いや……良い、それよりお前……何か知ってんのか」

初春「ほぇっ?」

垣根「……一方通行」

初春「ぁ……そう、ですね」コトッ

垣根「……」

初春「第三者の私が勝手に言うのはどうかと思いますが……これから一通さんと同じ目線に立って、向かい合うのならば……知っておかなければならない必要事項なのかもしれません」

垣根「何だ……興味があるな、アイツの過去に何があった?」

初春「はい……彼、一通さんは……―――」


672: 2010/11/30(火) 19:09:01.96 ID:TCGSrIAO
投下終わり!

次こそは長かった黒子とあわきんの闘いの決着だァよ?やっとクライマックスに近づいて来たと思ったらカーチャンが伏線ばら蒔いたおかげで下手したらまだ中盤なのかもしれない

そして明日はモンハン発売日( ̄∀ ̄)

>>1乙ごろごろ

705: 2010/12/21(火) 21:01:39.12 ID:yIcGqUAO





    ゴァァァアアアアアアアアアッッッ!!!!


結標「しぃぃぃぃらぁぁぁぁいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッッッッ!!!!!」


    ヒュンヒュンヒュッヒュンッヒュンッヒュン…………!!!


黒子(これは……ま、マズいですの……っ!!)ヒュンッ


    グッッシャァァアアアッッ!!!!


黒子「―――……間、一髪……」シュタッ
(精神攻撃が有効と言いましても……少々調子に乗り過ぎたかもしれませんわね)

結標「う……ァ……!あ、あ、あああああああああああああああああァァああああああああああァあああああああああああああああああ!!!!」

黒子(空間移動系能力者は似た系統の能力者を転移させられない……この法則が無ければ、私の身体などは今頃空中分解してますの)


706: 2010/12/21(火) 21:03:36.12 ID:yIcGqUAO
結標「い、い゛い゛……!!ぎ、ぁあ゛……!!!」ガシガシガシ

黒子(暴走の範囲は彼女を中心に半径約三〇メートル、屋外ならばこれだけ離れれば……しかし、これは……)


    オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ・ ・ ・ ・


黒子「―――何という……光景ですの……っ!?」ゴクリ
(酷い……まるでサイクロンの通過痕のような……!!)

結標「こ……っっっのォォおおおおおおおおおおお逃げるなぁぁあああああああああああああッッ!!!!」

黒子「お止めなさい……!!そして周りを良く見なさい!!!アナタ……!」

結標「っ!?」ビクッ


    ヒュンヒュンヒュンッヒュンヒュンッ…………!


黒子「―――能力が暴走していますのよっ!!?」

結標「は……ひ……ぃっ!?」

707: 2010/12/21(火) 21:06:00.97 ID:yIcGqUAO



…………ゴトッ!ゴトンッッ!!


黒子「……っ!」

結標「や……いや……ぁっ」ペタン

黒子(宙を舞っていた器物が落下して行く……)


    ガシャンッガシャッガシャンッッ!!


結標「はぁ、はぁ……はー……うあ、あぁ……!」ブルブル

黒子(落ち着いて……頂けましたの……?)ザッ


…………ヒュンッ


黒子「大丈夫ですの?結標さ―――」シュタッ

結標「……ぐ、ぎぎ、い……!!」ギロッ

黒子「っな……!」ゾクッ


結標「―――……殺、す」ヨロッ



708: 2010/12/21(火) 21:07:25.54 ID:yIcGqUAO



    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


結標「頃す……頃す……っ!!絶、対、殺、す !!!よくも……よくも私を壊してくれたわね!!?」

黒子「ぅ……」タジ…

結標「うふ、うふふふふふふひゃははははははは♪ブチ壊してあげる……アナタが私を壊したのだから、私もしっかりお返ししてあげなきゃねぇ……白井さん?」クイッ


    ヒュンッ…………カタンッ


結標「少し……お話ししましょうか」

黒子(椅子が……?)

結標「立ちながらじゃあ辛いでしょう?どうぞ座って頂戴、警棒が無いから転移座標が少しズレちゃったけど……問題ないわよね」

黒子「……」

結標「罠だと思ってる?用心深いのね……でも大丈夫よ安心して、そんなくだらない決着は望んじゃいないでしょう?……お、互、い にね」

黒子「……そう、ですわね」ガタッ


709: 2010/12/21(火) 21:10:49.31 ID:yIcGqUAO
結標「止血剤……有り難く使わせてもらうわ」ヒョイ

黒子「あら、アナタの性格ですと絶対に使わないと勝手に思い込んでいたのですが……」

結標「えぇ、まさか私も真っ昼間の路上でストリップを晒すハメになるとは思いもしなかったわ」ヌギヌギ


…………パサッ


結標「『残骸』……と、言っても分からないわよね……『演算中枢(シリコランダム)』でも難しいかな」ヌリヌリ

黒子「……??」

結標「知りたがってたわよね、このキャリーケースの中身……この子は破砕された『樹形図の設計者』の大脳部なの」

黒子「……」

黒子「……ツ、ツリー……は?」キョトン

結標「壊れて尚、朽ちて尚、莫大な可能性の残されたスーパーコンピュータの演算中枢……それがこの『残骸』……って言えば?」


710: 2010/12/21(火) 21:12:20.65 ID:yIcGqUAO
黒子「……ば、かな……だってアレは、今も衛星軌道上に浮かんでいるはずでしょう……?」
(この女……澄ました顔でサラリと何を言ってますの?)

結標「馬鹿馬鹿しくって現実味が湧いて来ないかしら?……そうよね、そんな大それた物が破壊されたとなれば、自分達風紀委員の耳に入って来ないハズがない……でもね、これは現実よ」シュビッ

黒子(写真……?)

結標「見てみる?学園都市の撃墜レポートの添付資料というヤツなんだけど……」ピシッ


    ヒュルルルルル…………ッ


黒子「……」パシッ

結標「……どう?レアでしょ」クスッ

黒子(そんな物を一体何処から……いえ、今はそんな話を考えるだけ無駄ですの)

結標「如何かしら?日付を見ても分かる通り、『樹形図の設計者』はと~っくに破壊されているの」

黒子(しかしコレは……CGでも合成写真でもなく、本当に……!?)


711: 2010/12/21(火) 21:14:02.11 ID:yIcGqUAO
結標「……御坂美琴」ボソッ

黒子「っっ!!?」ビクッ

結標「あの雌狐には本っっ当に手を焼かされたわ……何処から嗅ぎ付けたのか、外部組織と接触した私を執拗に追いかけ回して来るんだもの」

黒子(どうして……この女の口からお姉さまのお名前が出て来るんですの……!?)

結標「お陰で一度は手にした『残骸』も『スクール』の連中に奪われるわ、組織を潰されて『グループ』に協力せざるをえなくなるわ……もう散々よ」フゥ

黒子「一体……どういう……!?」

結標「御坂美琴も一方通行も大変よねぇ……もし『残骸』を組み直されてしまったら、またあの実験が開始されてしまうかもしれないんだもの」

黒子(……実、験……)

結標「……あら、まさかそこまで蚊帳の外ってわけではないんでしょう?何せ白井さん、アナタはあの最凶の風紀委員……一方通行の仲間なのだから」ニヤニヤ

黒子「……一つ一つ状況を整理して行きましょうか、まず『グループ』や『スクール』……というのは学園都市内の組織名か何かですの?」
(事は私が思っている以上に複雑に絡みあっているみたいですわね……)


712: 2010/12/21(火) 21:16:19.47 ID:yIcGqUAO
結標「そうよ、アナタ達風紀委員が表で働く組織ならば……彼らはこの街の裏で暗躍する闇の組織、と言えば分かりやすいわよね」

黒子「どうしてそのような者に協力を?」

結標「簡単な事よ、いくら価値ある『残骸』を手に入れても私一人では修復できない……だからそれを組み立てられる技術と知識、そして目的を持つ集団が必要だった」

黒子「しかし今アナタが『グループ』に所属しているのを見るに……大方、外部組織を聡明かつ行動的な御坂美琴お姉さまに潰されてしまったからだと言った所でしょうか?」

結標「残念、あの無能共を実際に潰したのは『スクール』の連中よ……そして行き場を失った私達の目の前に現れたのが『グループ』だったの」

黒子「……私、達?」

結標「何も気にする事はないわ、私と同じ志を持った仲間の能力者達よ」

黒子「……成る程、『スクール』から『残骸』を奪い返す為、強力な能力者であり利用価値のあったアナタは招き入れられた……と」

結標「彼らも学園都市には不満を抱いてるみたいなのよ、表向きは素直に『残骸』の回収作業を進めている……そう、表向きは……ね?」

黒子「しかし本当は学園都市を出し抜くチャンスをコソコソと伺っている」

結標「そういう事ね、まぁ私はこの街が……統括理事会がどうなろうが興味はないけど」

黒子(……やはり、こういった者達を裏で操っているのは統括理事会ですのね……つまり『残骸』を彼らの手に渡すという事は―――)

結標「……くふっ」クスクス

黒子「……っ」ゾクッ


713: 2010/12/21(火) 21:18:38.44 ID:yIcGqUAO
結標「ねぇ……白井さん、ねぇねぇ白井黒子さん、能力ってのは……必ずしもヒトにしか宿らないモノなのかしらね」

黒子「……なん……?」

結標「……むかぁ~し昔、ある所に……強大な能力者と組織がアリマシタ」


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


結標「組織はその強大な能力者をどうにか量産できないかを考え、行き着いた先が能力者のクローニング技術でした」

黒子(クローン……)

結標「……しかし結果は散々でした、出来上がった哀れな子羊達はオリジナルの力の一%にも満たないクズばかり」

黒子「何が……言いたいんですの」

結標「作られた個体達は人工的にオリジナルと全く同じ才能開花を迫られた、それでも結果は追い着かなかった……同じ脳を使って同じ結果が出ないのならば、脳の構造以外の項目が能力開発に関わっているとは思わない?」

黒子「……まさか」

結標「そして……もし、その項目を見つけ出す事ができれば……能力の発現に、ヒトの脳を使う必要なんてあるのかしらね」


714: 2010/12/21(火) 21:21:03.80 ID:yIcGqUAO
黒子「まさかアナタ……そのデカブツに私達と同じような能力が発現するとでも……?」

結標「機械は所詮機械よ、無理でしょうね……しかし、他の動植物ならどうかしら?」

黒子「……っ!?」

結標「私は機械に心を宿そうだなんてメルヘンチックな幻想など抱いちゃいない……でも、コレがあれば『予測』ができる……!そして私は目の前にある全ての可能性に問い掛けるの、人間の代わりに超能力を扱える個体は存在するか否かを……ね?」ニッコリ

黒子「一体……何の為に……!?」

結標「白井さん、アナタは初めてその能力を手にした時……どんな気分がしたかしら?」

黒子「……そんな事―――」

結標「当たり前すぎて覚えていない?でも……私はね、正直恐ろしかったわ」

黒子「……っ」


715: 2010/12/21(火) 21:23:09.61 ID:yIcGqUAO
結標「アナタもさっき言ったわよね?怪物能力『座標移動』、と……そう、怪物なのよ……自分の想像の通りに人すら殺せてしまう、このチカラが」

黒子(……同じ、ですのね……頑張っても能力を得られなかった無能力者が不良に転落してしまうように……)

結標「アナタにだってあるんでしょう?自分の能力を使って、誰かを傷つけてしまった事が」

黒子(強大な能力を持ってしまったが故、その者にしか分からない苦悩や葛藤……お姉さまも、セ口リさんも、そしてきっと……ていとさんも……)

結標「―――そして思ったでしょう?私達は……何故こんな力を宿さなくてはならなかったのか、と」

黒子(しかし……ですの)キッ

結標「っ?」

黒子「結標さん、アナタの思想は大方理解ができましたの……ですがね、それでも『残骸』を組み上げられる事で悲劇が繰り返される可能性が万に一つもある限り……はいそうですのと言って持って行かせるわけには参りませんのよ」

結標「……それは彼女の為?それとも彼の為?風紀委員の一方通行……?ハッ、何よ……馬鹿馬鹿しいくらいに身勝手じゃない」

黒子「……えぇ、分かってますの」

716: 2010/12/21(火) 21:26:11.27 ID:yIcGqUAO
結標「そんなになってまで貫き通すものだと言うの?人頃しの一方通行が……身勝手に思い描く世界を守る事が」

黒子「分かってますの……確かに身勝手ですのよあのセ口リは……!あんな馬鹿げた実験に身を委ね、それで誰も傷付けたくないからだのと……馬鹿の大馬鹿、正に愚の骨頂ですわ!!」

結標「へぇ、そこまで知ってながら……『絶対能力進化実験』の全貌を知って尚も、まだ彼を仲間だと言い張るのね?」

黒子「それでもですの……今の彼はきちんと己の能力を正義の為に振るっていますのよ……!?たとえ遠回りになったとしても、それで私達を……この街の人間全てを本気で守ると我々に誓ったのですわよ!!」

結標「はん、そんな薄っぺらい約束が信じられるだなんて……アナタ達風紀委員のお気楽な思考回路は本当にどうかしてるわ」

黒子「強大な能力を持ってしまっても、そこで重要なのは『その能力をどう使うのか』ですのよ……!それを振るう方向が間違いでないのならば、何も言いませんわよ私は……っっ!!」

結標「……っ」

黒子「そもそも、ですのよ……既に能力を得てしまった我々が新たな可能性を掴んだ所で、一体それが何になると言うんですの……?」


717: 2010/12/21(火) 21:29:45.14 ID:yIcGqUAO
結標「何って……もしかしたら私達はこんな能力を持たずに済んだかもしれないのよ?……そうよ、それならアイツだって……一方通行だってあんな実験を行わずに済んだのに―――」

黒子「私はその考えが既に逃げだと言ってるんですのよ……力が恐い?人を傷つけるから欲しくない?口ではそう言っておきながら!人様にこんな傷を負わせたのは一体何処の誰ですのよ!?」

結標「ぅ……」

黒子「馬鹿ですのよアナタは!!どうしてその能力を平和利用しようとは思わなかったんですの!!?そんなにチカラが恐いのならば、アナタも風紀委員へと参りなさい!能力の正しい使い方など我々がその腐った性根に叩き込んで差し上げますわっっ!!!」

結標「うるさい……うるさいッッ!!人頃しの一方通行を風紀委員などに迎え入れてる時点でアナタ達も同罪なのよ!この……偽善者っ!!」

黒子「結標さん、アナタ……ッッ!!」ギリッ

結標「アハ、アハハっ!!垣根帝督にしたってもそうよ……私はアイツを何度も運んだ事があるわ!あの人の所へと……窓もドアも無いビルへとね!!」

黒子「ッッ!?」
(窓もドアも無いビル……学園都市統括理事長の根城……!?しかしそれは噂の範疇だと……)

718: 2010/12/21(火) 21:32:04.36 ID:yIcGqUAO
結標「あそこに招かれるのは、この街の運命を左右する程の有力者ばかり!アイツはいつもあの人を喰い頃すように見ていたわ……」

黒子(そんな……ていとさんが……?)

結標「だから私には分かる!!そんな男が……一介のお人好しな風紀委員であるわけがないのよっっ!!!」

黒子「……それでも、私は……あの殿方が本当の悪に身を染めてしまっているとは、とてもとても思えませんわ」

結標「あらあら白井さん、引くに引けなくなっちゃったのかしら?失望しちゃったわ……私はアナタをもう少し賢い人間だと思っていたんだけど」

黒子「……」

結標「んっふ……?垣根帝督、Lv5、『残骸』、風紀委員……!?ふ、ふふふ……♪そうだったのね……!まさかあの女が言ってた……『スクール』のリーダーってのは―――」

黒子「風紀委員になって……私は今まで沢山の人間を見て来ましたもの」

結標「ん……は?」

黒子「上は超能力者から下は無能力者まで……捕らえた不良共でさえ、根っからの悪党など……唯の一人もいなかったですの」

結標(コイツ……まだ戯言を……!!)イラッ

720: 2010/12/21(火) 21:34:18.78 ID:yIcGqUAO
黒子「大体眼を見れば分かってしまうんですのよ、その者の内に秘めているモノが……彼も心の何処かにきっと……まだ、迷いがあるんですのよ」

結標「分からないの……!?アナタ達は騙されているのよ?利用されているのよっ!?あの男に……!垣根帝督に……っっ!!!」

黒子「えぇ……そうでしょうね、初春はともかく……先輩もセ口リさんも私も、本当はとっくに気付いてたのかもしれませんわ……しかし、きっとそう思いたくはなかったんですのよ」

結標「どう……して……っ!?」プルプル
(意味が……分からない……!!)


黒子「だって我々は……仲間、なんですもの」ニコッ


結標「どうして……どうしてそんな事が言えるのよ……?彼らは超能力者なのよ!?私達以上のバケモノなのよ!!?」

黒子「結標さん……」

結標「いつまた自分達に危害を加えるかも分からないのに!危険な存在なのに……っ!!どうして……どうしてそんな彼らを信じられるのよッッ!!?」


721: 2010/12/21(火) 21:37:19.36 ID:yIcGqUAO
黒子「……」

結標「ッッ……!!何とか言ったらどうなの……!?黙るな……気持ちが悪いのよっっ!!!」

黒子「……」

結標「……こ、この……っ!!」ギリッ

黒子「……当たり前、でしょうに……」ボソッ

結標「……!?」

黒子「超能力者は怪物、バケモノ……その考えがアナタの中から消えて無くならない限りは、理解する事など到底不可能かと思われますわ」

結標「っな、にぃ……!?」

黒子「何処の誰が、どんな力を有していようが……我々と同じ人間である事に変わりはないでしょう……?」

結標「ぁ……」


黒子「―――……我々ジャッジメントが人を信じずして、一体誰が人を信じると言うんですの?」


結標「……っ」

黒子「彼らがまた迷い、仮に道を踏み外してしまったとしましょう……その時はひっぱたいて、お説教して、正しい道へと後押ししてやる……それが風紀委員のお仕事なんですのよ」

結標「……」

黒子「……結標さん、人間以外の生物に能力の発現は有るか否か……仮にアナタがその答えを見出だし、これからの子供達の為に可能性を追求すると言っていたならば……私は素直に涙を流し、賛同していたかもしれませんわね」


結標(……そう、か……)


722: 2010/12/21(火) 21:43:34.45 ID:yIcGqUAO


…………ドッ


黒子「……今からでもアナタを、いつもの日常へと返して差し上げますわ」スック

結標(この子は……白井黒子は強い、私なんかとは……心も、身体も……)


…………ドッ、ドッ、ドッ、ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ


黒子「―――誰かが願い……そして、誰かが築こうとしている世界へと」

結標(仲間を信じる、誰かの為なら闘える……それがジャッジメント、白井黒子の真の強さ……)

黒子「その為には、哀しみの連鎖を生む……その『残骸』は必要の無い物ですのよ」

結標「……それでも、私は負けるわけには行かない」スッ


…………ヒュンッ


結標「―――負けられない理由があるッッ!!!」パシッ
(仲間……人質として学園都市に捕らえられた私の同志達)

黒子(ステッキを……警棒の代わりに……?)

結標(……そう、彼らを救い出すまで……私は……っ!!)キッ


723: 2010/12/21(火) 21:45:15.94 ID:yIcGqUAO



    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


黒子「……飛ぶ気、ですのね」
(眼の色が変わった……)

結標「えぇ」クルクルクルッ


…………ビシィッ!!


結標「―――……悪いけど、全力で行かせてもらうわ」

黒子(迷いを……捨てた?)ゴクッ

結標(生憎……これが今の私に求められているリーダー性なのよ)クスッ

724: 2010/12/21(火) 21:48:47.45 ID:yIcGqUAO


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


黒子「あらやだ、いけませんわ……少々お喋りが過ぎてしまいましたかしら?」

結標「そうね」

黒子「早くしないと……彼らが来てしまいますわね」

結標「御託は良いわ……さっさと終わりにしましょ」

黒子「……」

結標「……ねっ?」ニッコリ

黒子「……ふっ」

結標「……」

黒子「……いざ、参りますわ―――」ザッ


    ゴッッシャァァアアア!!!!


結標「アッハハハハハハハ!!!合図など必要あるかしら……ねええええええぇ白井さああああああんっ!!?」クルクルクルッ
(まだよ……まだ、足りないッッ!!)


    ヒュンヒュンヒュンッ…………グシャッ!!!ゴシャグジャッッ!!!!


結標「―――……だってそうでしょう?何せ私達は……これ程まで不意打ちに長けた能力を持ってしまったのだから」


725: 2010/12/21(火) 21:50:48.16 ID:yIcGqUAO



  「……ですわよねぇ」


結標「ッ!?」バッ

黒子「何度も何度も押し潰すような攻撃ばかり……パターンですのよ、目を瞑ってても避けられますわ」

結標「っ……本っっ当に憎らしい子―――!!」スッ

黒子「結局は当たらなければ意味は成しませんのよっ!!」ヒュンッ

結標「……チ!」キョロキョロ
(消えた……!後ろ?上!?否……一体何処へ―――!?)ハッ


…………シ―――ン…………


結標(攻撃が来ない……まさか隠れたつもり!?このまま時間稼ぎを―――)

結標(……いえ、そんな結末は彼女自身も良しとはしていない……つまり)ゾクッ

結標(このままでは……狙撃される!?留まるのはマズイ……!!)タタッ


    オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ・ ・ ・ ・


黒子(えぇ……分かってますわね、ですからご自分の脚で逃げ惑いなさいな?)シュタッ


726: 2010/12/21(火) 21:52:47.64 ID:yIcGqUAO
黒子(何せこれ程の深手、フルパワーで動けるのは……)ササッ

結標(―――保って十秒、それが限界か……っ!)ギリッ


…………10


黒子(しかしそれは同時に……)スッ

結標(彼女とて状況は同じという事よっ!!!)ピタッ

黒子「っ?」
(立ち止まった……?まさか諦め―――)


    9


結標「『座標移動』を……舐めるなああああああああああああああッッ!!!!」


    ガオンッッ!!!!


黒子「ッッ!!」


727: 2010/12/21(火) 21:53:55.91 ID:yIcGqUAO
結標「アハハハハハハハッッ!!!だから言ったでしょう!?如何に上手く、何処に隠れようが……『座標移動』には無意味なのよッッ!!」


    ガオンッッ!!ガオッッ!!!ガオオッッ!!!!


黒子(無差別に空間を抉り取って……!!ここら一帯をサラ地にでも変えるつもりですの!?)


    8


    ガオンッッ!!!


黒子「っ!しまっ……」

結標(見つけたわ……!)ニイッ


    7


黒子「チイィ!!」ザッ

結標「逃がさないッッ!!!」シュビッ


    ヒュンッ…………ゴトンッッ!


黒子「っ!?」ビクッ
(目の前に消火器!?転位ミス……のわけがありませんの!これは―――!!)


    ブシュゥゥアアアアアアアアアアアアアア!!!!


黒子「わぷっ!?」ボフッ!


728: 2010/12/21(火) 21:55:59.69 ID:yIcGqUAO


    6


結標(さぁどうかしら?視界を奪われる……という事は、空間移動系能力者にとって最も恐ろしい事態なのよねぇ……)ニヤニヤ


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


黒子「ゲホッ……!」キョロキョロ
(やられた!このままでは……!!)


    5


結標(周りが全く見えない……これでは下手に転位すれば自滅に繋がり―――)


    4


黒子(かと言って……煙が晴れるのを待ってる内に『座標移動』で潰されてしまう……!!)


    3


結標(今の彼女は袋の鼠……脱出するなら……上しかない!!)バッ


729: 2010/12/21(火) 21:58:30.42 ID:yIcGqUAO
黒子(目測修正……ですのっ!!)ザッ

結標「―――……ふ、うふふふふふふ……っ!!」ニヤリ
(飛ぶ先が分かっていれば……当てられる!!)


    2


…………ヒュンッ


黒子「……くっ!?」
(やはり……待ち構えて……!!)

結標「……勝った……!!」スッ
(彼女は連続で転位する場合、インターバルが最低でも一秒以上は必要……)


    1


黒子(やられる……っっ!!?)

結標「これで終わりよ……!!白井さ―――!!!」


    バラアァァッ!!!


結標「っな……ッ!?」ビクッ


730: 2010/12/21(火) 22:02:01.43 ID:yIcGqUAO



    バラバラバラバラ…………ッッ


結標(ルーズ……リーフ……?)ポカーン


    0


結標「……そんな、嘘よ……だって、今……彼女は―――」


    ザクッッ!!!


結標「っぎいぃ!!?」ズキン
(な……に……っ!?)


    「飛ばれると厄介ですので……少々手荒な手段を取らせて頂きましたわ」


結標「っ……!」ビクン

黒子「はー……はー……勝負有り、ですわね……少しでも動けば……ダーツが首を貫きますの」チキッ

結標「ぐ……っ」ズキズキ
(脚をブチ抜かれた……これではもう……!!)

黒子「私の転位後の隙を狙うまでは良かったのですが……痛っ、どうやらお互い……傷口が完全に開いてしまったみたいですわね」ボタボタ

結標「おかしい……アナタは……手に触れた物体しか転位できないハズ、よ……あの、紙束はどうやって……?」

黒子「……」

結標「はぁっ、物体に触れずに転位を……?アナタまさか……この土壇場で能力進化(レベルシフト)を―――!!?」


731: 2010/12/21(火) 22:06:09.03 ID:yIcGqUAO
黒子「……いいえ、まだ私はLv4……手に触れた物体しか転位する事はできませんわよ」

結標「だからおかしいと言っているのよ……!確かに鞄しか持っていなかった……取り出す余裕なんて……!!」

黒子「えぇ……確かにのんびりと取り出している時間など皆無でしたわ、しかし……中身をそのままに、鞄だけを転位すればどうでしょうね?」

結標「鞄……だけ、ですって……?そんな事―――」

黒子「鞄だけを転位し、中身を取り出す……私の『空間移動』ならば、不可能ではないですのよ」

結標「……!!」

黒子「同じ空間移動系能力でも、繊細な制御が困難な『座標移動』では……難しい芸当になってしまうのかもしれませんがね」

結標「く……っ」

黒子「……さぁ、終わりですの……凡俗な私に倒される事によって、己の凡俗っぷりを存分に自覚しなさい!!」

結標「……ならば……」ボソッ

黒子「……?」


結標「―――……ならば、その期待を裏切れれば私の勝ちかしらね……?」ニタァッ



732: 2010/12/21(火) 22:11:37.08 ID:yIcGqUAO
…………ヒュンッ


黒子「な……っ!?」
(消え―――)


    ヒュガッッ!!!


黒子「ぎ……っあ……!!?」ズキッ!

黒子「―――そん、な……!!」ガクンッ
(ステッキを……足の甲に……ッ!!)


    「私の勝ちね……白井さん」


黒子「結標……さん……!」
(地面に突き刺さって抜けない……動けない……!!)

結標「はぁっ、はぁっ……私を拘束した時点で、アナタはさっさと『残骸』を破壊するべきだったのよ……それなら、こんな目に会わずに済んだのに……!!」

黒子「あ、ら……まだアナタに、必要だったんですの?それ……」ググ…

結標「も、もう……立ち上がらない方が良いわ」ハァ…ハァ
(お願いだから……もう、来ないで……!)

黒子「っ……!あ、アナタ……まだ、ご自身の異変に気が付いていませんの?」

結標「え……?」


733: 2010/12/21(火) 22:14:34.93 ID:yIcGqUAO
黒子「転位ミス、ですのよ……ご自分の……片足が……」

結標「……っ?」チラッ

黒子「―――アスファルトに……埋まってしまっている事に……っっ!!」


…………ドクンッッ!!


結標「……ヒ……!!?」ゾワッ

黒子(怯んだ!?今しか……ないですの!!)ガシッ

結標「いやっ!いやっ!!い……やぁぁぁぁ……っ!!!」ガタガタ
(違う……違う……!!恐れるな、眼を……背けるな……!!)

黒子「痛ぅっ……ァァァああああああああああああああっっっ!!!!」グイッ


…………ズボッッ!!


黒子「はぁ……!ふぅ……!!こ……こんな、モノぉぉおおおおおおおっっ!!!」ポイッ


…………カラカラカランッ



734: 2010/12/21(火) 22:16:14.00 ID:yIcGqUAO
結標(此処で退けば……もう、勝てないのよ……っ!!)

黒子(結局……最期に頼れるのは……己の拳のみ!!)グッ

結標(だから……前、へ……ッッ!!)キッ


…………ドクンッッ!!


結標「―――……超える」ボソッ


黒子「っ!?」

結標「私は超えてみせる!!この……クソ忌々しい!傷の全てをっっ!!!」グンッ!


…………ベリベリベリイィッッ!!


黒子(引き抜いた!?しかし……)

結標「しら……ィィィいいいいいいいいいいいいいいいいッッ!!!」ダッ!

黒子「お互い……もう後には引けませんのよっっ!!!」ザッ


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


結標「う……ああああああああああああああああああああッッ!!!!」

黒子「ああああああああああああああああああああッッッ!!!!」


    ッッパァァアアアアアン!!!!



735: 2010/12/21(火) 22:20:12.03 ID:yIcGqUAO
黒子「……っ!!?」ビクン

結標「……か、っは……!!?」コフッ


    「―――……ぎはっ♪」


黒子(な……何、ですの……?……一、体―――)ガクンッ


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


    「……ミサカは『残骸』の行方なんかに興味はない、そういう風なオーダーはインプットされていない……ミサカの目的は第一位の抹殺のみ」


結標(な、なに……ィ!?)ズルッ


    「それでも『残骸』を使ってアイツを地獄に落とせるのなら、ミサカは自分勝手に興味持っちゃうかもしんないね☆」


黒子「お……姉、さま……?」グラ…ッ


…………ドサッ


番外個体「お姉さま(オリジナル)程の出力はないけど、ミサカだって二億ボルトぐらいまでなら何とかなるんだし……大体Lv4ぐらいになるのかな」ニタニタ



737: 2010/12/21(火) 22:23:50.45 ID:yIcGqUAO



    「しっかし現実ってなァ厳しいよなぁー、せっかく氏力を削り合って決着付けようってんのにこうなっちまうんだからよー?……バーカ、そんなモンは少年漫画の中だけにしとけ」ザッザッ


番外個体「むっふふ♪二連ヒットだよー木原サン、ミサカの射撃技術も上達したでしょ?」ニヤニヤ

木原「あぁ~ん?調子ィ乗ってんじゃねぇぞ人形が、コイツらまだ生きてんじゃねぇかよ……俺なら二人まとめて脳髄ブチ抜けてるっつの」ザッ

番外個体「うぅ~ん……頃しの技術って楽しいケド、案外難しいんだね」

木原「あー、もっともっと人をブチ殺さなきゃいけねぇなァ……まぁそりゃ後だ、とにかくこれで―――」パシッ


黒子(一方、通行……垣根……帝督……)


番外個体「……『残骸』、ゲ~ットォ♪」ニヤリ

755: 2010/12/27(月) 22:57:54.13 ID:0tthk.AO
思ったより忘年会が長引いたので今から投下しまつ

BGMは only my railgun でお願いします

757: 2010/12/27(月) 23:00:09.58 ID:0tthk.AO
結標「……」ドクドク

黒子(大丈夫、ですの……気を失ってますが……まだ呼吸はある……)ハァ…ハァ

猟犬「ご報告があります」ザッ

木原「あぁん?」

黒子(……しかし、血が……もう長くは……保ちませんの……)ボタボタ

猟犬「―――たった今、第弐班より最終信号(ラストオーダー)を発見した……との連絡が」

木原「はぁ、今頃見つけただぁ?俺ァとっくに捕獲して亀甲縛りにでもしちまってるもんだと思ってたんだが」

猟犬「……は」

番外個体「ありゃ、まぁた随分と時間掛かっちゃったんだねぇ……やっぱ数だけワラワラいても無能は無能なのかにゃーん?

猟犬「……」

木原「チッ、んじゃあさっさと行くかぁ……こんだけ派手に地形を変えちまってんだ、面倒なのが来る前に―――」ザッ


    「……お待ち、なさい……」


番外個体「っ」ピクッ


758: 2010/12/27(月) 23:02:59.02 ID:0tthk.AO
黒子「はっ……はっ……」グッタリ
(……黒子の馬鹿、引き止めた所で……どうするつもりですのよ……)


番外個体(……な、何なの……?コイツの顔を見た瞬間……ミサカネットから……!)


…………ドクンッッ


番外個体「ひ……っ!?」ゾワッ
(ネットワークから溢れ出てくる憎悪……!?ち、違う……これは……とんでもない、恐怖の塊が―――!!)


    オネエサマーオネエサマーオネエサマァーラストオーダー!!


木原「ん……?オイどうした」

番外個体「う、ぅぅううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……!!な、何だか変だよ……気持ち、悪いよぉ……っ」

木原「気持ちが悪りぃだぁ……?ンなワケねぇだろーがよ、毎度毎度誰がメンテしてると思ってやがる」

黒子「が、は……っ!」ゴボッ

番外個体「っはぁ、うっ……!き、木原サン……!!」ムギュッ

木原「おぉっと、いきなり抱き付くんじゃねぇよ番外個体……兵が見てんだろ」

猟犬「……」


759: 2010/12/27(月) 23:06:26.32 ID:0tthk.AO
黒子(し……氏、ぬ……?私、が……?)

番外個体「こ、コイツがアイツと同じ……風紀委員だから、かなぁ?」ブルブル

木原「おーおーこんなに震えちまってよぉー……可哀想だなぁオーヨシヨシ」ナデナデ

番外個体「恐い、恐いよぉ……!アイツを……一方通行を見ても、何ともなかったのに……っ!!」ブルブル

木原「そうか……だったら良い事ォ教えてやる、気持ちが悪くなっちまったんならよぉ……」チラッ

黒子「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」ゼーゼー
(ミサ、カ……『妹達』です、の……?し、しかし……容姿が余りにも……っ)

木原「……くくくくっ!!逆にスッゲェ気持ちの良い事ォすりゃあ案外すんなりと治っちまうのかもしれねぇなぁぁぁ?」ニタァッ

黒子(まさかあの子のように……特別、な……)

番外個体「……そ、そっか……気持ち良い事……イッちゃうくらい気持ちイイ事……!!」ギョロッ

黒子「っっ……!?」ゾク…


760: 2010/12/27(月) 23:10:59.21 ID:0tthk.AO
番外個体「ぎゃはっ、ぎゃはははははははっっ!!!そ、そうだよ……アイツの仲間を殺せば……アイツの歪んだ顔が見れるんだよね……?」ゴソゴソ

木原「あぁーそうだぜ番外個体、あの厨二をブッ頃す時は中身からジワジワとなぶり頃しだぁ……簡単に氏なれちまってもつっまんねーダロ……?」ニヤニヤ

黒子(こ……殺、される……!?い、や……嫌ですの……誰か……っ!!)ブルブル

番外個体「殺さなきゃ……殺さなきゃ……ッ!木原サンの敵……ミサカの敵……!!一方通行の仲間はミナゴロシ……っ!!!あひゃっ!?あぎゃははははははははははははははははっっ!!」ジャラッ

黒子(く……釘ですって……!?そんなモノを取り出して一体何を―――っ!?)ハッ


…………バチンッッ!!!


番外個体「……うひ、ひひ……っ!!ひひひひひいひひひひひひひひひひひひひひひひッッ!!!」ニタァッ


    バチバヂッ!!バチバチバチバチバチバヂィッ!!!

黒子(この発電量……そしてあの構え……そ、そんな……!?)

番外個体「ぎゃははははははははは!!!気持ちが悪いの……消えちゃぇぇぇええええええええっっっ!!!」バチバチバチッ!!

黒子(ごめんなさい……!お姉さま……っ!!)


761: 2010/12/27(月) 23:11:52.07 ID:0tthk.AO



…………ひらり


番外個体「……え?」ピタッ


    ひらっ、ひらひらひら…………っっ


猟犬「……っ?」

番外個体「……??な……何この羽、綺麗……」

黒子(……げ、幻覚……ですの?僅かに白く発光した……これはまるで……)


    「よぉ……楽しそうな事してんじゃねぇか」



762: 2010/12/27(月) 23:14:39.64 ID:0tthk.AO
木原「……なッ!?馬鹿野郎……ワースト上だああああああっ!!!」

番外個体「……う、え?」


…………ズダンッッ!!!!


番外個体「え、お……!?」ゾク…

垣根「―――……俺も混ぜろよ、犬ヤロー」ニィッ

番外個体「ッッ!?お、お前はああぁぁぁぁぁぁ!!?」


…………ガシイィッ!!


垣根「喋って良し……と言ったか、コラ」ギリギリギリ

番外個体達「―――ぁぶ!?ぎゃ……っ!!?」ミシミシ…ッ!


763: 2010/12/27(月) 23:16:50.62 ID:0tthk.AO
黒子「……て、天、使―――?」

初春「し……しししし白井さぁぁぁぁひゃわああああああああ結標淡希までぇぇぇっっ!!?」

黒子「っっ、うい……はる……!?」

初春(ど、どどどどどどうしましょう!?とにかく傷口を……でも救急箱なんて持ってませんしぃっ!!)ワタワタ

黒子「オ……ホホ、最早此処までですの……短い生涯でしたわ、よもやお迎えの天使様がお見えになろうとは……」ドクドク

初春「ちっ違いますー!!まだ逝かないでください白井さぁぁぁぁんっっ!!?」

黒子「……はっ!?」ビクン

初春「と、とにかく安心してくださいねっ、ねっ?今からていとさんが悪者をズバーンドカーンってやっつけてくれますからっ!!」

黒子「っっ!て、ていとさん……です―――ぐっはああああっ!!?」ゴフッ

初春「ひぃぃぃぃぃぃ!!!も、もう喋らないでくださいっ!本当に氏んじゃいますよぉっ!!?」

黒子「はぁ……っ!はぁ……っ!!」
(違う……ダメ、ですの……っ!今すぐあの男を止めないと……!!)

764: 2010/12/27(月) 23:21:01.49 ID:0tthk.AO



    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


木原「テメェ……ッ」

垣根「ちぃ~っとばかし犬っコロ共の躾がなっちゃいねぇんじゃねぇか?……なぁ、木原のオッサンよぉ」

木原「ク……くくくくくくくくくっっ!!!良いね良いねぇゾクゾクするねぇ……!!シビれちまったぜ未元物質ッッ!!!」ニタァッ

垣根「悪い事は言わねぇよ……その手に持ってる『残骸』、ソイツを大人しく俺に渡―――」

番外個体「むぐぐぐぐぐぐぐぐぐぅぅぅッッ!!!」ジタバタ
(は、離せ……コイツぅ……!!)

垣根「……っつーかテメェは邪魔だ、消え失せろ」グイッ


…………ブンッッ!!!


番外個体「う、あ……っ?」ヒュルルル…
(……と、飛んで―――)

猟犬「……へ?」ギョッ


    ドンガラガッシャァァアアアアアアアッッッ!!!!


番外個体「ぎゃァァあああああああああああああああああああッッッ!!?」

猟犬「「「ぐあ゛っっあ゛あ゛あああああああああああああああああああっっっ!!!」」」


767: 2010/12/27(月) 23:26:01.61 ID:0tthk.AO
垣根「……は、第一位を封じる程のカラクリが有るかと思えば……何てこたぁねぇ、そこら辺の雑魚じゃねぇか」

木原「おーおーやりやがったな、車ァ何台オシャカにしてくれてんだ若造が……まぁパクったモンだから別に構わねぇんだけどなー」ポリポリ

垣根「はははっ、まぁそう言うなよ木原数多……直にテメェも鉄クズに変えてバザーにでも出荷してやっからよ」ニヤニヤ

木原「あー本当イラつくな、だから変に力ァ持ったガキは嫌いだっつってんだよ……」パチン!


    ズザザザザザザザザザザザッッ!!!


猟犬「……」ザザッ

木原「―――……ホザけ二番目、言っておくが『残骸』は渡さねーぞ」

垣根「交渉決裂……面白れぇ冗談を言う野郎だな、その程度(Lv0共)の戦力でこの『未元物質』を止められるとでも?」ニィッ

木原「冗談だぁ?ハッ、ソイツぁさっきの翼だけにしとけや鳥ヤロー……ゆとりのテメェにも大人の恐ろしさってのを教えてやろーか、あ?」ギロッ

垣根「ぐだぐだ抜かしてねェで来るなら来いよ、今テメェらが臭っせぇ息撒き散らしながら喋れてんのは誰の気まぐれによるモノだと思ってやがる」

初春(か、カッコイイ……////)


768: 2010/12/27(月) 23:28:49.37 ID:0tthk.AO
木原「……チ」

垣根「エラそうな口ィ叩いてやがるが何もできねぇのがテメェらの現状だ……待ってろよ、今すぐその右腕もぎ取って―――」ザッ

黒子「……ていと、さん……」

垣根「……ん?」チラッ

黒子「はぅ……ぐっ」ハァ…ハァ

初春「あぁっ!ていとさん闘いは後にしましょう!!まずは白井さんを一刻も早く病院に―――」ワタワタ

垣根「……ははっ、何だ白井テメェ……いたのか」

初春「……え……っ?」

黒子(もう……我々などは眼中にもないんですの……?)


769: 2010/12/27(月) 23:30:38.73 ID:0tthk.AO
垣根「……ほォー、その横に転がってんのは『座標移動』か……くだらねぇ、ブザマだなァ白井黒子」

初春「て、ていとさん……?」

黒子「え、ぇ……言い返す言葉がございませんのよ……」

垣根「価値のねぇ闘いに五分五分の勝負なんざ仕掛けるからそうなる……救えねぇ野郎だ、そこで氏んでろ」クルッ

初春「ま……待ってください……!そんな言い方ってないです!!」

垣根「……フン」

初春「ひ、酷いですよぉ……白井さんはこんなにボロボロになったのに……精一杯頑張ったのに―――」

垣根「反吐が出るな」

初春「ふぇ……」


770: 2010/12/27(月) 23:32:31.75 ID:0tthk.AO
垣根「だから俺は来るなと言ったハズだぜー初春飾利、テメェだって薄々感ずいてんだろ?この血溜まり……そのガキも結標淡希も直に氏ぬ」

黒子「ぐ……っ」

初春「でも……でも!さっき私を運んだみたいに……ていとさんが翔んでくれればまだ手遅れじゃありませんよぉっ!!」

垣根「無理だ」

初春「無、理……?どうして……なんですか、そんなわけないじゃないですかっ!?ていとさんは私なんかよりずっと凄い力を持ったジャッジメントじゃないですかぁっっ!!!」

垣根「……俺の『未元物質』には他人を救う力なんざ持ち合わせちゃいねぇんだ」

初春「ぇ……?」

垣根「これがどういう意味か……テメェに分かるか?」

黒子「やはり……『スクール』……!」

初春「ス、『スクール』……?白井さんが言ってた……」

垣根「『未元物質』……コイツは 人、を、殺、す、為、の チカラだ……俺とテメェらでは住む世界が余りにも違いすぎる」


771: 2010/12/27(月) 23:35:37.06 ID:0tthk.AO
初春「待って、くださいよ……じゃあ……嘘だったんですか……?ていとさんが風紀委員だって事も……」

垣根「あぁ」

初春「一七七支部に来たのも……一緒にご飯食べて皆さんと笑ってたのも……!!」プルプル

黒子(初春……)

垣根「あぁ」

初春「ひぐ……っ!さっき私をからかってたのだって……あの笑顔だって……!!全部……全部、嘘だったって事なんですかぁ……っっ!!?」ポロポロ

垣根「……しつこいぞ」ザッ

初春「ぁ……っ!!」

木原「おーおー罪だねぇ、女の子を泣かせちゃ可哀想だろーがよ」ニヤニヤ

垣根「はっ、気にすんなよ……今からテメェらの飛び散った肉片でも見せつけりゃ嫌でも枯れ果てるさ」ザッザッ

初春(そん、な……!)ペタン


垣根(―――……そうだ、涙も……心もな)



772: 2010/12/27(月) 23:39:38.73 ID:0tthk.AO



    「……木原サンが手を下すまでもないよ、ミサカが直接頃してあげる」


垣根「……あぁ?」ギロッ


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


番外個体「どいつもこいつもアイツと同じ腕章ばっかり付けやがって……気に食わない、噛み千切ってあげるよ」バチバチバチッ!!

垣根「ほー……車両を浮かす程の電磁力を放つか、大したモンだな」

木原「あァ……何せこの俺、木原数多の最高傑作だ」

初春「ぇ……み、御坂……さん……?」

黒子「違いますのよ初春……お姉さまのお胸は発展途上、あそこまで豊胸ではございませんの……つまり彼女は―――」


垣根「……『妹達』」ボソッ


黒子「っっ!?」

垣根「木原幻生の遺産……確か『量産異能者計画(レディオノイズ)』だったか?その残りカスがあの野郎やチビガキとどう繋がってんのかは知らねぇが……」

初春(ほぇ……ど、どうして……?)


773: 2010/12/27(月) 23:43:07.56 ID:0tthk.AO
垣根「しかし変だな、話じゃそのクローンはオリジナルの一〇〇分の一にも力が及ばねぇってハズだが……―――は、流石は頭のイカレた木原の家系だ……やったじゃねぇかよ、クローン共の品種改良に成功したのか?」ニヤニヤ

木原「……い~んや、まだまだだよ……未だLv5個体の大量生産は見込めねぇ」

垣根「いやいやそれでもスゲぇって、息子がこれなら逝っちまった親父さんも鼻が高けぇなァ」

木原「……あ?」ピクッ

垣根「ウチの元構成員には鋼だろうが何だろうが問答無用でブッた斬れる野郎がいてな……まぁ、ソイツもついさっき氏んじまったんだが」

木原「テメェ、まさか……」

垣根「学園都市中に散らばったテメェの親父さん……タイムカプセルみてェに捜してみるかい?」ニッコリ

木原「……ハ」

番外個体「……?」


774: 2010/12/27(月) 23:45:21.29 ID:0tthk.AO
木原「っぎゃはははははははははッッ!!!何だァァあの野郎、最近姿ァ現さねぇと思ってたら……ひひひっ!まさか氏んじまってたとはな!!」

垣根「悪(クズ)は悪によって裁かれなきゃいけねぇ……テメェも同類の悪党だ、楽に氏ねるとは思ってねーだろ」

木原「くはははははははっっ!!!よォォ番外個体ォ……!」

番外個体「なぁに?木原サン♪」

木原「どうやらこのガキは俺を頃すつもりらしいぜー?やべー、やべーよ番外個体ォォ」メソメソ

番外個体「安心してよ木原サン!ミサカは『猟犬部隊』よか、ずっっと頼りになる……木原サンを傷付けるヤツはミサカが頃してあげる」


木原(だがコイツは対一方通行専用……相手が『未元物質』ではまず勝目がねぇ)


木原「……退くぞ」ボソッ

猟犬「ハ」


775: 2010/12/27(月) 23:49:16.87 ID:0tthk.AO
垣根「良いぜ……相手ンなってやる、新型の性能ってのを見せてみろよ」チョイチョイ

番外個体「言われなくても……お前が一番気に入らないんだよォォっっ!!!」クイッ


…………ッッ轟!!!!


初春「ひ……っ!?」

黒子(持ち上げた車両を……!!?)

番外個体「ぎゃはははははははははっっ!!!皆まとめて潰れちゃえええええええええッッッ!!!!」

垣根「……だが、所詮その程度」スッ


…………ゴッッシャァアアアッッ!!!!


垣根「―――……鈍いな、鈍すぎる」ギシ…ッ


番外個体「っな……!!?」ヒクッ

黒子(……か、片腕で……)ゾワッ

初春「受け……止めた……!?」


776: 2010/12/27(月) 23:51:07.33 ID:0tthk.AO



…………バラッ


木原「ッッ!?」
(何、だ……!!?)

垣根「確か『オジギソウ』つってたか……名前は知らねぇが、過去にブッ頃した『メンバー』のクソジジィが使ってた細菌兵器なんだが……」


    バラバラバラ…………ッッ


番外個体(車が……分解して行く……?)

黒子(間違いないですの……!この現象はあの時……親船の壇上でのバリケードを突破した―――)

木原(『未元物質』……これ程のモノか!!?)


    サアアアァァァァァァ…………


初春(最期は……粉末に……?)

垣根「……どうやら俺の『未元物質』でも似たような真似事ができるらしい」ニィッ

番外個体「は、ひ……ッッ!!?」ゾワッ

黒子「お……おやめなさい!!垣根帝督―――!!!!」


    ズドッッッ!!!!



777: 2010/12/27(月) 23:54:18.35 ID:0tthk.AO
番外個体「あ゛が……っっ!?」ミシミシミシ…ッ!!

垣根「……俺の生み出す『未元物質』は、この世界には存在しない新物質だ」


    みしっ、みしみしみしみし…………ッッ!!!!


番外個体「ぎィ……ッあ……!!」メキメキメキ…ッ
(な、何……!?見えない何かが……ミサカの背中に乗っかって―――!!?)

垣根「『まだ見つかっていない』だの、『理論上は存在するはず』だのってぇチャチな話じゃない」


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


垣根「―――……本当に 存、在、し、な、い、ん ダヨ」ニタァッ

番外個体「う゛、ぁぁぁあああああああああああっっ!!?木原サ、ン……た、助け―――」

木原「チィ……!」

垣根「……本当に潰れるってのはな、こういう風なのを言うんだよ」

番外個体「あ゛、あ゛……あ……!!」

初春「や……やめてくださああああいっっ!!!」ガバッ


778: 2010/12/27(月) 23:57:11.03 ID:0tthk.AO
垣根「おっ……とぉ」

黒子「初春っっ!!?」

初春「やめてください!もう……ヒック、やめてくださいよぉ……っ!!彼女は『妹達』なんです……一通さんが守るべき存在なんですよっ!!!」ギュッ

垣根「……そんなモン知った事か、俺の邪魔するってんなら誰であろうが容赦はしねぇ」

黒子「はぁっ、は……離れなさい初春……!その男は……危険ですの!!」

垣根「……ッ」ニィッ

初春「違う……違います!!ていとさんは私達と同じジャッジメントなんです!!!」

黒子「分からず屋ッッ!!その男は……もう我々の知っている垣根帝督ではありませんのよっっ!!?

垣根「は、馬鹿を言うなよなー白井……テメェらが俺の一体何を知ってんだよ?」

黒子「―――ッ!?げほっ!げほっ……!!」
(もう……身体が……!)


779: 2010/12/27(月) 23:58:53.93 ID:0tthk.AO
初春「お願いですから……乱暴はやめて……ひぐっ、優しいていとさんに……戻ってくださいよぉ……っ!!」ポロポロ

垣根「テメェらが知ってる垣根帝督など……そんなモンは元より何処にも存在しねぇ、それはテメェらが勝手に抱いてる幻想だろーが」

初春「……ていと、さん……っ!!」プルプル

垣根「……だから離れろ、できればテメェら一般人まで頃したくはねぇんだ」

初春「離、しません……!私だって……私だって立派なジャッジメントなんですッッ!!!」

垣根「そうか……良いだろう、テメェがそう言うんなら……それはもう仕方がねぇ」フゥ

黒子(いけ、ない……!!)ガクガク


垣根「……だから此処でお別れだ」スッ


初春「ぇ……」ゾク…

黒子「ッッ!……初、は―――!!!」


    ガゴォォオオオオンッッ!!!!



780: 2010/12/28(火) 00:04:28.01 ID:K8WTP6AO
初春「……っっ」

初春「―――……?」パチ
(ぶ、無事……?)

垣根「づ……ッッ!!?」ヨロッ
(な、に……っ!!)

黒子(な、何事……ですの……?)


    ガラガラガラガラン…………ッッ


木原(っ……!!?これはATM機器の残骸……!?)

黒子(コレが今……ていとさんに突っ込みましたの……!?こ、こんなメチャクチャな暴挙が可能なのは―――!!)ハッ


    「ハァッ、ハァ……ッ、何だよオマエ……!!ナニ……やってンだよ……ッッ!!?」


番外個体「あ……?」ハァ…ハァ

初春「……っ!!」グスッ

垣根「ッッ、よぉ……随分と遅っせぇご登場じゃねぇか」


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


垣根「―――……なぁ、一方通行」ニィッ


一方通行「……かァァァァァァァァきィィねェェェええええええええええええええええええええッッッ!!!!」


809: 2011/01/04(火) 22:09:01.80 ID:63tZEQAO


    ど う し て こ う なっ た !!!!!!!?


絶対等速「おぉ……久しぶりだな、学園都市では最強と謳われるベクトル操作系能力者……の端くれ、『絶対等速(イコールスピード)』だ」


能力名:絶対等速
職業:現無職(以前在籍していた大学は退学処分)
能力レベル:3
前科:有り


絶対等速「一〇月九日……俺はこの日、最高にラッキーだった……そう、ラッキーだったハズなんだっっ!!!」バンッ!!

絶対等速「……ぐぬぬ……!」プルプル

絶対等速「……や、取り乱してすまない……では、ありのままあった事を話そう」

絶対等速「少年院から解き放たれた俺……最初に思ったのは『温かいうどんが喰いてぇ……』だった、何せブタ箱ン中の飯は本当にブタのエサと同様だったからな」

絶対等速「しかし財布に金はないわけで、俺は預金を下ろしに行く事にした……そう、あの忌まわしい郵便局へとな!!」

絶対等速「しかしどうだ、外は何か騒がしいと思ったが……中はどういうわけかガラッッガラの状態だ、職員も客も一人だっていやしねぇ……『どうなってんだこの店のセキュリティは?』と半ば呆れつつも、渇いた喉に唾が流れ落ちる感覚がした……ごくり、とな」


絶対等速「『―――……今ならやれる』」



810: 2011/01/04(火) 22:14:25.52 ID:63tZEQAO
絶対等速「その瞬間、俺の頭の中で二人の絶対等速が火花を散らしながら頃し合いを始めやがった……一人は真っ白な翼を生やした絶対等速、もう片方は真っ黒な翼を生やした絶対等速」


絶対等速「しかしソイツらの勝敗なんてモンは意味なかったんだ……何故かって?気が付きゃ俺は盗んだ自動車で走り出していた……自分でも何を言ってるか分からんが、後部座席には何故かゴツゴツとしたATM機器の姿……そう、俺はまたやってしまった……俺の心は完全に暗黒面(ダークサイド)へと堕ちていたんだ!!!」


絶対等速「『ツイている、今日の俺は最高にツイてるぞ!!!』口を大に開き未だかつてない高笑いをしながら前を向いて運転するこの俺、絶対等速……と次の瞬間、絶対等速に思いがけない事態がぁっ!!!」


絶対等速「―――今は一〇月……大分涼しくなってたもんだからウィンドウを全開で走行するような気分ではなかった、だから密閉してたんだ……が、確かにこう聴こえた、『借りるぞ、三下』……とな」


絶対等速「俺は『?』マークを頭上に幾つも浮かべながら速度計(スピードメーター)を確認する、時速六〇キロメートル……その公道は四〇キロメートル指定だったが、今はそんな事どうでも良い……問題はこの状況で外部から人間の声が聴こえたという事実だ」


絶対等速「……刹那、 バリィィイイイン!!! という何かが割れる音が車内に響き渡る、それが左リアドアのウィンドウが粉砕される音だってのは確認するまでもないよな」


絶対等速「『ななな何だ!?警備員にしては早すぎる!!!』咄嗟にミラーをチラ見し、後部座席を確認する!そこに映っていたのは外部から侵入する細く、白い悪魔の腕……!? ソイツは俺が盗んだATMを鷲掴み、乱暴に引き摺り出しやがった!!」


絶対等速「『能力者……ッ!?』意味が分からず反射的に急ブレーキを踏み込む俺、二回、三回と高速スピンする車に対してヤツは白い閃光が如くそのまま前へと突き抜ける……その時、かろうじて確認できたのは右腕に光る忌々しい風紀委員の腕章だった」



811: 2011/01/04(火) 22:17:27.33 ID:63tZEQAO
絶対等速「んー……、そこから一〇~二〇メートル程だったか? それぐらいの短距離を爆発的に加速し、前方に存在するであろう標的目掛け、槍投げの動作でATMを一気にブン投げたんだ……メチャクチャだろ?」


絶対等速「生み出された究極の加速度と遠心力に耐えきれず、ヤツが踏み込んだアスファルトが岩盤より一気に捲れ上がっていやがった……!!あまりの迫力に流石の俺も二、三滴失禁してしまったのは言うまでもない」


絶対等速「 轟!!! と大気を引き裂き、烈風が吹き荒れる……まぁ、軽く音速は超えてたんじゃないか?……放たれた弾丸(砲弾?)は地と平行となって疾走し、激突……ボロボロになっていた路上商店街に渇いた爆音が鳴り響き―――」


絶対等速「……そして、吼える」



    「……かァァァァァァァァきィィねェェェええええええええええええええええええええッッッ!!!!」



絶対等速「真っ白に染まった長天上機のワイシャツと頭髪を風に靡かせ、右腕には盾のエンブレムを施した正義の証……そう、ヤツこそが学園都市最凶と謂われるジャッジメント」


絶対等速「運動量、熱量、電気量……どんな力であるかは問わず、ただ『向き(ベクトル)』があるものならば全てを手中に収める事が可能……それが学園都市Lv5の頂点、能力名は『一方通行』」



812: 2011/01/04(火) 22:19:52.26 ID:63tZEQAO
絶対等速「……噂じゃあ単身で学園都市中のスキルアウトを壊滅させたって話らしい、まぁ……皆は都市伝説だなんて言ってるが、俺はそうは思わない」


絶対等速「何がすげぇってさ、やっぱりそんな馬鹿みたいに強大な力を街の平和の為に使おうって思えるトコだよな……俺なんてたかがLv3でこのザマだ」


絶対等速「かっこいいよな……俺達ベクトル操作系能力者の憧れであり、誇りなんだよ……ホント」


黄泉川「……」


絶対等速「……なぁ、ところで美味いうどんはまだなのか?沢山喋ったら腹が減った」

黄泉川「……その風紀委員に憧れてるってのに、どうしててめーはまた此処に戻って来ちまったんじゃん?」ガシッ

絶対等速「え、いや~そりゃやっぱアンタの顔がまた見たくなったっつーか小悪党に生きるのが俺の生きザマっつーか……」ハハハ

黄泉川「反省の色ナシ、今度はもっと深い場所にブチ込んでやる……もう簡単に出られるとは思わない事じゃんよ」グイグイ

絶対等速「なッ……馬鹿な、どうしてだ!?たかがATM泥棒ごときでどうしてこんなぁっ!!?」ズルズル

黄泉川「それに加えてスピード違反に車両泥棒……うどんはもう一生食えないかもしんないから覚悟しとくじゃーん」

絶対等速「ち、ちくしょう!!どうしてだ!?どうしてこうなった!!?」ジタバタ

黄泉川「じゃんじゃかじゃ~ん」


    ど う し て こ う なっ た !!!!!!!?



814: 2011/01/04(火) 22:23:33.93 ID:63tZEQAO



黒子(……セロ、リ……?)ハァ…ハァ

木原(こ、の、ヤロウ……!最悪なタイミングで出て来やがってぇ……っっ!!)ギリッ


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


一方通行「……垣根、オマエ……今何しよォとした」ザッザッ

垣根「チ、痛ってぇな……氏ぬかと思ったじゃねぇか」

一方通行「答えろ」ザッ


初春「ひっく、一通……さん……!」


一方通行「初春さンに……何しよォォとしやがったって聞いてンだよォォォ……ッッ」ギロッ

垣根「……殺そうとした」

一方通行「……っ」ピクッ

垣根「―――……って、言えば良いのかい?」ニィッ


815: 2011/01/04(火) 22:24:43.47 ID:63tZEQAO
一方通行「……本気で言ってンのか」

垣根「……」チラッ


初春「う、あぅぅ……」グスッ


垣根「……あぁ、そうだ」

一方通行「……フザけやがって」ギリッ

垣根「フザけてる……?」

一方通行「あァ?」


    「お兄ちゃあぁぁぁぁぁぁんっっ!!!」


垣根「だったらテメェ……ありゃ何だ」

一方通行「……チッ」


816: 2011/01/04(火) 22:26:45.35 ID:63tZEQAO
絹旗「ま、待って……急に置いてきぼりなんて超酷いです―――げっ!?」

垣根「『アイテム』の絹旗最愛、どうしてあのガキがセットで付いてきやがる」

絹旗「ダ……未元物質……!?」
(それだけじゃない……『猟犬部隊』まで……!)

垣根「しっかし、あんだけのダメージ貰っといてまだ動けるたぁな……驚いたぜ、この氏に損ない」

絹旗「ふんだ、予想が外れて超残念でしたね……お兄ちゃんへの愛の力で華麗に復活したんですよ」

垣根「はっ、テメェが息してようがしてなかろうが元より気にもしてねぇよ……それよりだ」

絹旗「……?」

垣根「知ってんだろー一方通行、もう説明するまでもねぇよなぁ? 俺がテメェらの様なお人好しなんかじゃねぇ……『スクール』のリーダーだってのは」

一方通行「……」

垣根「しかもテメェが絹旗の『お兄ちゃん』だぁ? ……っは、一体どんなルート進みゃそうなるんだよ……えぇ、一級建築士」ニヤニヤ

一方通行「……るっせェクソ野郎、オマエはもォ黙ってろ」


817: 2011/01/04(火) 22:29:01.42 ID:63tZEQAO
初春「一通さん……白井さんが……ヒック、白井さんがぁ……っ!!」

一方通行「あァ……分かってる、悪りィな……遅くなった」

黒子「ふ、フン……誰も、待ってなど……―――ひゃっ!?」ビクン

一方通行「傷見せてみろ」ゴソゴソ

黒子「な、なななな何をなさいますの!?気安く私の身体に触れないでくださいましっっ!!!」ワタワタ

絹旗「あぁっ!う、羨ましい……」

一方通行「うるせェ」
(他の傷は何て事ァねェ……が、腹に突き刺さった釘が致命傷か)

黒子「や、やめろと……がふっ!言ってるんです―――」

一方通行「うるっっせェェえええええええクソババァ!! オマエは本当に氏にてェのかァァ!!?」

黒子「ひ……っ」


818: 2011/01/04(火) 22:31:36.23 ID:63tZEQAO
一方通行「誰が好き好んでオマエの身体に触れてやるってンだ、あ゛ァ!? だがな、俺はオマエを氏なせるわけにはいかねェンだ!! だから勝手に氏ぬンじゃねェ!!! 分かってやがンのかクソボケが!!?」

黒子「ぅ……! ば……馬鹿……っ」グスッ

一方通行「チッ……泣くンじゃねェよ、血ィ止めて瘡蓋作ってやる……だから安心しろ、オマエは絶対に氏にはしねェ」

黒子「うぅ……泣いてなど……いませんの……っ」プルプル

一方通行「……恐かったろ」

黒子「馬鹿……私がどれだけ心細かったと……本当に、本当に……恐かったんですのよ……!?」ギュッ

一方通行「……チッ、だから謝ってンだろォが」

黒子「う……っく、ヒック……!」

一方通行「ババァ、結標はまだ生きてンだな?」

黒子「そ……そうですの……私は後にして……先に彼女の治療を……」

一方通行「ナメンじゃねェよ、俺を誰だと思ってやがる……二人同時にやりゃ済む話だろォが」


819: 2011/01/04(火) 22:34:06.41 ID:63tZEQAO
黒子「セロ、リ……」

一方通行「何だ?」

黒子「ヒック、ごめん、なさい……私では……」ハァ…ハァ


黒子「―――私では『残骸』も……彼も、止める事はできませんでしたのよぉ……!」ポロポロ


一方通行「ッ、オマエ……」

黒子「ですから、私の……尻拭いは頼みましたわよ? ジャッジメントの一方……通……」ニコッ

一方通行「……」


黒子「―――……っ」カクッ


初春「い、一通さん……白井さんは……!?」

一方通行「……気を失っただけだ、それに此処じゃ応急措置までしかできねェ……初春さン、絹旗、オマエらはコイツらを連れてあのクソ医者ン所まで行け」

初春「……ていとさんは―――」

一方通行「後は俺がやる」

初春「……」

一方通行「俺が叩き潰して……終わりだ」

初春(……そんな……)


820: 2011/01/04(火) 22:37:13.65 ID:63tZEQAO
垣根「仕方がねぇ……おい、オッサン」

木原「あ゛?」

垣根「野郎が来ちまったからにはテメェを頃すのも『残骸』も後回しだ……ソイツを持って何処かに失せろ」

木原「おーおー、そりゃあ有難てぇな……時間稼ぎはしっかりと頼んだぜー未元物質ちゃんよ」

垣根「クソが、テメェが氏ぬ時間が多少伸びただけだろうが……残りの短い人生、震えながら念仏でも唱えてろ」

木原「へーへー、んじゃあそうならねぇように祈っとくとするか……オラ、行くぞ」ザッ

猟犬「ハ」

一方通行「待てやコラ」

木原「……あぁん?」

一方通行「鬱陶しいンだよ、これ以上俺の周りをウロチョロするンじゃねェ」

垣根「……フン」


一方通行「―――木原、垣根……オマエらは俺がこの場で 捻、り、潰、す」



821: 2011/01/04(火) 22:39:42.73 ID:63tZEQAO
木原「まぁまぁそう急ぐなよなー早漏野郎、どうせテメェは今ァ動けねぇんだろ?それよりよー」チラッ


    「……一方……通行……」


一方通行「ッッ……!」ゾク…


番外個体「水を……差すな……ぁ……一方ッ……通行はァァ……」ズルッ


木原「ひゃははっ!!ところでテメェはどうしてぇんだ?なぁぁ番外個体ォ……」ニヤニヤ

番外個体「こ……殺、さなきゃ……一方通行はミサカ、が―――」ズルズル

木原「よーし良い子だ、それじゃあ俺達は先に行ってるぞー」ザッザッ

番外個体「ぅ、う……ん」ハァ…ハァ


…………バタン


猟犬「……宜しいのですか?」

木原「ちぃ~っとアクシデントが起きちまったが……これで良い、それがアイツの仕事だからな」

猟犬「……」

木原「順調に進み過ぎて逆に恐いくらいだ……それよりどうした? テメェの仕事は何だよ運転手、さっさと出せ」

猟犬「……ハ」


    ブロロロロロロ…………



837: 2011/01/07(金) 21:22:45.57 ID:PVNFUMAO
一方通行「……意味が分からねェな」

番外個体「ぁ……あ?」

一方通行「垣根、オマエの目的は『残骸』を奪取する事だ」

垣根「……そうだ」

一方通行「その為には親船への狙撃を成功させる必要があったワケだ……だから護衛の俺達を警戒して張り付いてた、ってなァ何となく分かる」

垣根「あぁ、俺もまさかテメェらがあそこまでやれるとは思ってなかったぜ? 俺がいなけりゃ砂皿の野郎は騒ぎすら起こせずに終わってたかもしれねぇしな」

一方通行「だが番外個体……俺がオマエや木原に狙われる理由が分からねェ」


番外個体「……ふひゃ」



一方通行「木原はこの状況を作る為に……俺のトラウマを刺激する為だけに、俺の心を折る為だけにオマエを作り出したンだろォよ、だがそりゃ何故だ……俺は『残骸』の存在なンて今日まで知らなかったンだぜ?」

番外個体「『第三次製造計画(サードシーズン)』……って言えば、ミサカの事は分かるか……な?」

垣根「……っ」ピクッ

一方通行「ナニ……?」


839: 2011/01/07(金) 21:24:58.82 ID:PVNFUMAO
番外個体「木原サンの『猟犬部隊』は統括理事長の直轄部隊……今回は『あの人』が直々に指令を下した……それが何を意味するかは分かるよね?」

一方通行「……」

初春(ど、どうしてそんなに偉い人が……?)

垣根「……成る程ねぇ」スッ


…………ズドッッ!!!


番外個体「かふっ!!?」ミシ…ッ

絹旗「ッ!?」

初春「ぁ……っ」

垣根「分かるヤツには分かる……つまりだよ一方通行、とうとうテメェはアイツの計画にとって不必要な存在になっちまったわけだ」

一方通行「やめろ……」

垣根「あぁ?」


840: 2011/01/07(金) 21:26:58.98 ID:PVNFUMAO
一方通行「ソイツから脚を退けろ」

垣根「何言ってんだ、テメェじゃ手ェ出せねぇって言うから俺が代わりに始末してやろうとしてんだろーが」グリグリ

番外個体「ぅあっ……ああっ!!」ジタバタ

一方通行「……聞こえねェのか……ッッ!!」

垣根「ははっ……不思議だよな、何故『やめろ』なんて言葉が出てくる?」グリッ


    みしみしみしみし…………ッッ


番外個体「痛っ……ァァああああああああああ……っ!!」メキメキメキ…ッ

垣根「動きを止めたきゃ俺を殺せば良い、気に食わねぇなら壊せば良い……テメェは自分を悪党だとか抜かしてやがったが、ならば何故抱えてるガキ共を捨てて俺に掛かって来ない?」

一方通行「……ッッ!!」


841: 2011/01/07(金) 21:28:33.29 ID:PVNFUMAO
垣根「なぁ一方通行……あのチビガキも『妹達』なんだろ? だからテメェは同類のコイツを攻撃できない、だがコイツはテメェを襲って来る、しかしテメェはコイツを救いたい……まぁ簡単に言えばそんな所か」

一方通行「あァ……そォだよ、その通りだよ……」

垣根「だが俺には関係ねぇ、邪魔をするからコイツは頃す……分かったか? 『悪』ってのはそういう事なんだよ、こんな道に走っちまったヤツに……そんなクソ野郎共に救いなんてあるわけがねぇだろうが」

初春「違います……そんな事は絶対にないです……っ」

垣根「あぁ……そうか初春、さっきサ店でテメェが俺に言おうとしてたのはコイツら『妹達』の事だったのか?」

初春「うぅ……そう、ですよ……私は二人が……―――」グスン

垣根「面白そうな話を聞けるかと思ったんだが……まぁ、『座標移動』が馬鹿みてぇに暴れ出しやがったから、そういうわけにもいかなかったろ」

一方通行「……」

垣根「……フン、第一それを聞いた所で何かが変わるわけでもねぇ……俺はこんな腑抜け野郎の内情なんかよりも『残骸』の方がよっぽど大事なんでな」


842: 2011/01/07(金) 21:32:42.24 ID:PVNFUMAO



    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


垣根「さて、『妹達』……学園都市によって生み出された哀れな生命体か……」

番外個体「ひ……」ゾク…

垣根「不運だったな、せめてもの情けだ……楽に 逝、か、せ、て、や、る」スッ

初春「や……やめて! やめてください……!!」

絹旗(マズイ……彼は本当に殺るつもりです……!)


番外個体「……助、け―――」


一方通行「ッッ!!!」ピクッ


垣根「あばよ」



843: 2011/01/07(金) 21:37:21.04 ID:PVNFUMAO


    ガッッシャァァァアアアアアアアアアンッッッ!!!!


初春「っ! ……あ、ぁ……!!」


    「くそっ……くそ……っ! 調子のイイ事言ってンじゃねェ……!!」


絹旗「お兄ちゃあぁんっっ!!?」

番外個体「―――ぇ……?」


    ガラガランッガラ…………ッッ


一方通行(『助けて』だと……? 当たり前だろォが、そンなモン……)

垣根「ったく……仮にも風紀委員なら突っ込むにしても場所を選べよ、店内がメチャクチャだろーがよ」ケホケホ

一方通行「……フザけやがって」ボソッ


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


一方通行「―――……ッッザけやがってェェェええええええええええッッッ!!!!」


垣根(……だが、やっとやる気になったか)ニヤリ


844: 2011/01/07(金) 21:39:31.41 ID:PVNFUMAO


一方通行「ううゥゥいはるゥゥゥうううううううッッッ!!!!」


初春「は、はひぃっ!?」ビクッ

一方通行「今すぐ第七学区全域に緊急避難命令だ……!! 猫の子一匹入れンじゃねェぞォォ!!!」

初春「で、でも……」

垣根「バーカ……それだけじゃ足りねぇよ、その周りの学区にも……あーもう面倒くせぇな、学園都市中の人間を核シェルターにでも籠るように伝えとけ」

一方通行「チッ、何してる……早、く、し、や、が、れッッ!!! 俺達は市民を守るジャッジメントじゃなかったのかよ!!?」

初春「い……嫌です……嫌ですよっ!! 一通さんとていとさんが闘うなんて―――」

一方通行「絹旗ァァッ!! ソイツらを全員連れてけェ!!!」

絹旗「行きましょう、此処に留まっても巻き込まれるだけです」グイッ

初春「うぅ……っ! は、離して……」


一方通行「さっさと行けェェェええええええええええええええええッッッ!!!!」



845: 2011/01/07(金) 21:42:04.02 ID:PVNFUMAO
垣根「ははっ」

一方通行「ハァッ、ハァッ……!」

垣根「『俺達は市民を守るジャッジメント』か……何だ、台詞だけは立派にヒーローやれてんじゃねぇか」

一方通行「くそっ……ちくしょォが……どォしてオマエが『スクール』なンだよ……」

垣根「はぁ……今更何言ってんだ? ……まさか本当に何も気が付かなかったってわけじゃねぇんだろーが」

一方通行「……そォいう意味じゃねェよ」

垣根「……あぁ?」

一方通行「初春さンが何で泣いてたか分かンのか……ババァが氏にかけてまで闘った理由がオマエには分かってンのか……ッッ!!?」


垣根「甘い」


一方通行「っ、なにィ……?」


846: 2011/01/07(金) 21:44:39.14 ID:PVNFUMAO
垣根「言わなかったか一方通行……闇に挑むのなら そ、の、甘、さ、は、棄、て、ろ ……とな」

一方通行「俺は……俺達はなァ……!?」

垣根「テメェは甘い……その甘さ故に白井も初春も氏にかけ、番外個体なんてモンも作り出された……本当にソレ分かってんのか?」

一方通行「ぐッッ……!!」ギリッ

垣根「テメェは今、こうして俺に掴み掛かっている……その気になりゃ血流でも操作してさっさと爆氏させりゃ終わる話なのに……だ」

一方通行「俺はもォ人は殺さねェ……そォォ誓った!!」

垣根「……成る程、つまり昔は頃してたわけだな……言ってみろよ人頃し、一〇〇か五〇〇か……それとも一〇〇〇か?」

一方通行「うるせェよ……ブン殴られねェと言ってる意味も分かンねェか」グイッ

垣根「『悪』を潰したいならテメェも徹底した『悪』になれ、言っておくがな……アイツらが本気になればこんな程度じゃ済まねぇぞ」

一方通行「……っっ」


847: 2011/01/07(金) 21:45:48.22 ID:PVNFUMAO
垣根「テメェはそっち側の人間じゃねぇ、どう見たって俺達側の人間だ……なぁ、違うか」

一方通行「……違、う」ボソッ


    「―――……本当にそうか?」


一方通行「ッッ!!?」ビクッ


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


垣根「―――本当はテメェも……心の何処かではそう思ってるんじゃねぇのかよ」


一方通行「……クソッ、クソッッ……!! 目ェ覚ませよ……!!!」

垣根「どうしたよ悪党、何て情けねぇツラぁしてやがる……!?」ニタァッ


一方通行「この……大馬鹿野郎がァァァああああああああああああああああああッッッ!!!!」ボッ!!


垣根「……は」


    ドッッッバァァァアアアアアアアアアッッッ!!!!



848: 2011/01/07(金) 21:49:02.53 ID:PVNFUMAO



初春「ひゃわああああっ!!?」ビクッ

絹旗「呑気に驚いてる暇があるなら超走ってください、本当に氏んでしまいますよ」タタッ

初春「うぅっ……さっきから思ってたんですけど……アナタは一体誰なんですか? 一通さんの事をお兄さんって……」

絹旗「言葉通りの意味ですが……まぁ細かい話は後にしましょう、今は―――」


絶対等速「……オイオイ、何だぁこりゃ?」ポカーン


絹旗「おぉっ、これは超絶妙なタイミングで移動手段発見ですね」ポイポイポイッ

結標「ぅぐ……」

番外個体「っあ……」

黒子「ですのっ!」


849: 2011/01/07(金) 21:50:44.65 ID:PVNFUMAO
絶対等速「ちょ……っ!? 何だこのガキ共は!!? 勝手に車ン中に放り込むんじゃねぇ!!」

初春「……じ、ジャ―――」

絹旗「超ジャッジメントです!!! 緊急事態の為、この車両を急遽利用させて戴きます!! ……ちなみにアナタに拒否権はありませんのであしからず」

絶対等速「お、おのれ風紀委員だとぉ!? だったら尚更オマエらを乗せるわけには―――!!」


    バギィィイイッッ!!!!


絶対等速「……は?」

絹旗「片方だけドアが外れてて超ダサいワゴンですね、気に入らなかったのでもう片方も外しときましたが……」ポイッ


…………ガラガラガシャンッッ!


絹旗「―――ところで何か言いました?」


絶対等速「……サ、サー!! イエス、サーッッ!!!」

初春(こ、この男の人……何処かで……?)


850: 2011/01/07(金) 21:54:53.39 ID:PVNFUMAO





…………ドシャアアアァァッッ!!!


一方通行「―――ッチイィ!!」ズザザザッ
(何ださっきの爆発は……この俺が吹っ飛ばされた……!?)


    ざわ…………っ


一方通行(それに……何だってンだ……? 拳に残った、最後の……違和感は―――)


    「『目を覚ます』、か……それは違うな、目ならとうの昔に覚めている」


一方通行「ッッ!!?」ハッ


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


垣根「この街を……クッッソ汚ねェ現実を……っ!! この目で直視したその瞬間からなぁッッ!!!」ザッザッ


一方通行「かき、ね―――!?」ゾク…


    ふぁさ…………っ



851: 2011/01/07(金) 21:55:33.55 ID:PVNFUMAO
垣根「……フゥ」コキ、コキッ

一方通行「ッッ……オイ、何だそりゃあ……」

垣根「……ッ」ニィッ


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


一方通行「……白い翼ァ……? ハッ、似合わねェな……メ、ル、ヘ、ン、野、郎」

垣根「くくっ、心配するなよ……」スッ


…………バサアアァッッ!!!


垣根「―――……自、覚、は、あ、る」ニィッ


一方通行「……チ」


852: 2011/01/07(金) 21:59:07.52 ID:PVNFUMAO
垣根「良いぜ? 俺だって一般人を巻き込むやり方は流儀じゃねぇしな……避難が完了するまで―――」

一方通行「その必要はねェな」

垣根「……あ?」

一方通行「オマエに費やしてる時間はねェし、そもそも俺ァ一般人を巻き添えにする気もサラサラねェ」

垣根「フン、守るつもりか……テメェはまだそんな妄言を口にする」

一方通行「……ッ」ピクッ

垣根「いい加減に見せてみろよ……そのジャッジメントっつー偽善の仮面を払い棄て、散々偉そうに語ってやがったテメェの『悪』ってヤツをよぉー……」

一方通行「……ハッ、分かってねェな」カチッ


    バオォッッ!!!


垣根「ッ!!」


一方通行「―――丁度イイ、悪党にも種類があるって事を教えてやる」ニタァッ


垣根「ははっ……テメェに酔ってんじゃねぇぞ、一方通行」
(風を従えたか……)

一方通行「あァ?」

垣根「仕方がねぇなぁ……そういう事なら俺だって蟻を踏まねぇように気を配ってやる」ニィッ

一方通行「……ンだァ? ム、カ、つ、い、た かよ、チンピラ」

垣根「バーカ……面倒くせぇが仕掛けてやるっつってんだよ、牙の抜かれちまったテメェを相手に……五、分、五、分 の勝負をな」

一方通行「ケッ、気を使って貰ってそりゃどォも」


853: 2011/01/07(金) 22:01:26.31 ID:PVNFUMAO


    ヒュウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………


垣根「さて、っとぉ……何せ今日の俺は忙しい、テメェをさっさと叩き潰して木原も追わなきゃならねぇ身だ」

一方通行「あン? 奇遇だなァていとくン、俺と全く同じスケジュールじゃねェか」

垣根「……だな、んじゃあ似た者同士……そろそろ始めるとすっか」ニッ


一方通行「来いよ……」クイッ


垣根「……あぁ」ザッ



…………ビュォォォオオオオオオオオオオッッッ!!!!



    「―――……行くぜ、一方通行」



    「……オゥ」



…………ッッッ轟!!!!!



884: 2011/01/19(水) 23:13:58.31 ID:v1XguoZAO





    ド ン ッ ッ ッ ! ! ! !


初春「ひ……っ!?」ビクッ

絹旗(後ろから……!?)チラッ

絶対等速「っ……オイオイオイオイ、何が起きてやがるんだ……説明しろよ風紀委員ッッ!!」


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


初春「……な!? な……なぁ……!!?」ギョッ

絹旗(あ……あれ、は―――!!?)ゾワッ


    バァァァキバキバキバキバギバギバギイィィッッッ!!!!


絶対等速「―――街を薙ぎ払って……こっちに向かって何かが来るぞォォおおおおおっっ!!?」


885: 2011/01/19(水) 23:15:43.49 ID:v1XguoZAO
絹旗「あ、あれは……余波です!!」

初春「えぇっ!? ち、ちょっ……もっと速く走ってくださああぁいっっ!! 私達まで吹き飛ばされちゃいますよーっ!!?」ワタワタ

絶対等速「騒ぐなこのガキッッ!!こんなポンコツじゃここいらが限界なんだよ!!!」

初春「だ、だったらそこを曲がってくださいぃ!! 建造物を盾にするんですよっっ!!!」

絶対等速「無茶言ってんじゃねぇぇぇえええええええええええッッッ!!!!」

絹旗「ダメです……もう間に合いません!! 皆さん衝撃に超備えて―――」


…………ガクンッッ!!!


絹旗「ひぎゃぁぁぁああああああああああっっっ!!?」

初春「と、止ま―――はぅっっっ!!?」


    むぎゅっっ!!!


結標「」ゴロンゴロン

番外個体「」ゴロンゴロン

黒子「」ゴロンゴロン


886: 2011/01/19(水) 23:17:43.95 ID:v1XguoZAO
絹旗「あうぅ……っ」
(無、事……?)

絶対等速「……ぐ、ぐぐ……!!」ピクピク

絹旗「オぇ……だ、大丈夫ですか? 何とか超助かったみたいで―――……ひっ!?」ビクン

初春(う、うぅ~ん……)

絹旗「……わわぁっ!!? ち、ちょっ!? アナタ……!!」


初春「~~~~~~~~~ッッ!!?」モガ…


絹旗「ど……何処に顔を埋めてるんですかぁ……っ////」カアァァ…

初春「―――ふむ!? ふむむぅぅうううっ……!!?」
(お、重……!)

絹旗「ふあぁっっ!!?」ビクッ!

初春「ふもふもふもーっっ!!?」モガモガ
(退いてください……! 息がぁ……っ!!)

絹旗「あぁっ!! ダ、ダメ……ひぁっ!? ダメぇ……っ! く、口を動かさないでくださ……ぁっ!!」

初春「の、退いでぐだざあ゛あ゛あぁぁぁい……!!!」ジタバタ


888: 2011/01/19(水) 23:18:29.81 ID:v1XguoZAO
絹旗「ぁ、んうぅ……!!」ゾクゾクッ
(あ、アツぃっ!? 息が……! は、鼻が超擦れてぇ……!!)


初春「―――……ぷはぁっ!!!」


絹旗「あぁンっっ!!!」ビクンッ!

初春「はー、はー……!」ゲホゲホ

絹旗「はぅ……はふぅ……!」ハァ…ハァ

初春「……」ジー

絹旗「ぅ……////」

初春「へ……変な声を出さないでください!!」

絹旗「だ、だってそれは……////」モジモジ

絶対等速「ちっくしょー……キャンキャンうるっせーぞガキ共め……」


889: 2011/01/19(水) 23:21:15.05 ID:v1XguoZAO



    オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ・ ・ ・ ・


絹旗「超とんでもないですね……Lv5同士の激突、それも余波だけでこれ程までの被害が……」

初春「そ、それより……外はメチャクチャなのに、どうして私達だけ無事だったんです?」

絹旗「む……それは確かに」

絶対等速「……『絶対等速』をこの車のボディに発動した」

初春「っ? い、いこーる……?」キョトン
(何処かで聞いた事があるような……ないような……)

絹旗「『絶対等速』……? それがアナタの持ち得る超能力ですか?」

絶対等速「……あぁ、俺の『絶対等速』の力を受けた物体は動きはニブいが……俺が能力を解除するか、能力効果圏外に至るまで一度力の掛かった方向へと 前、進、し、続、け、る」


891: 2011/01/19(水) 23:23:10.27 ID:v1XguoZAO



    のろのろのろのろ…………


絹旗「な、成る程……『前進を続ける』という事は、その定められたベクトル以外の干渉は一切受けないわけですね……」
(だから衝撃波を背後から受けたとしても、ワゴンは飛ばされなかった……)

絶対等速「しかし物体自体はモロにダメージを受けてしまうんだが……このボコボコになったボディがその証拠だな」

初春「へ? そ、それじゃあ下手すれば私達……」ゾク…

絹旗「衝撃波と車の仕事量でバラバラになっていたかもしれなかった……と?」

絶対等速「まぁ……生き延びれたのは偶々ってワケだ」

絹旗「……」

初春「……」

絶対等速「……」

絹旗「イ、絶対等速さん……超ナイスプレイですね、超グッジョブです!!」ビシッ

初春「危機一髪ですううぅぅぅぅぅ!!」

絶対等速(あ……危っぶねえぇ~!! やっぱり今日の俺はツイてるのか!!?)ガタガタガタ


892: 2011/01/19(水) 23:25:46.29 ID:v1XguoZAO



    のろのろのろのろ…………


絹旗「しかし……今のでエンジンからの動力伝達経路が超イカレてしまったハズです、『絶対等速』の効果で何とか前進は可能でしょうが……」

絶対等速「……」

初春「はい、とてつもなく遅いですね」

絹旗「これでは歩いた方が超マシってモンです……仕方ありません、此処からは自分の脚で―――」


…………バチンッッ


初春「ぇ……」ゾク…

絹旗(この紫電……まさ、か―――!?)


…………バチッッ! バチバチバチバチッッ…………!!


番外個体「ぎゃは、ははッッ……!?」バチバチッ!

絶対等速「んなぁっ……!? そこの白いヤツ……漏電してるぞおおォォォッッ!!?」

絹旗「あぁーんもう!! 一難去って超一難ーっ!!!」


894: 2011/01/19(水) 23:29:34.78 ID:v1XguoZAO
初春「わわわわわわわっ!!?は、ははは早く逃げげげげーっ!!!」ワタワタ

絹旗(無理です……! 今からでは絶対に間に合わない!!!)

番外個体「っっぎゃはははははははははははははははは―――ッッア゛ッ!!?」メキ…ッ!

絹旗「―――超☆窒素パァーンチ!!!」


    ボグシャァァアアアアアアッッ!!!!


番外個体「ぶぎゅるわああああああああああああっっ!!?」ゴロゴロゴロンッ

初春「あぁっ!?」

絹旗「……超ギリギリセーフです」フゥ

絶対等速(ノ、ノーバウンドで五メートル以上は吹っ飛んだぞ……!?)

初春「な……何て事するんですかぁっ!!?」

絹旗「アナタこそ現実を超見てください……こうでもしなきゃ私達は全員氏んでたんですよ!?」

番外個体「」ピクッ

絶対等速「っ! ……オマエら、少し黙れ」

絹旗「……!」ハッ

絶対等速「―――……来るぞ」ゴクリ


895: 2011/01/19(水) 23:31:49.41 ID:v1XguoZAO
番外個体「ひ……ひゃ」ムクッ


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


番外個体「ふひっ、ふひひひひ……ひひひいひいひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! ひぃぃぃぃぃぃははははハハハハハハハハハハーっっ!!!!」ゲラゲラゲラ

初春「……っ!」ゾワッ

絶対等速(く……狂ってやがる……!?)

絹旗「何てタフなんですか……」ザッ

初春「あっ!? ま、待ってください……!」ギュッ

絹旗「……離してください、此処で仕留めます」

番外個体「……あハ、は」フラ…ッ


896: 2011/01/19(水) 23:33:11.76 ID:v1XguoZAO
初春「いい加減に……もう、皆さん……いい加減にしてくださいよぉ……!!」プルプル

番外個体「あ、一方通行は……何、処……何処なの……?」ヨロヨロ

初春「どうしてそんなに人を頃したがるんですか……どうして無意味な血を流す必要があるんですか……!!」


―――『俺とテメェらでは棲む世界が余りにも違いすぎる』―――


番外個体「うへ、へ……殺さなきゃ、殺さなきゃ木原サンに叱られちゃうもん……ね☆」フラフラ

初春「そんなの私には……分からないですよぉ……っ!!!」

絹旗「……何を言っても超無駄です、あぁなってはもう聞こえちゃいませんよ」

初春「ぅっ、う……! どんなに強い……凄い力を持ってたって……皆と仲良くできなきゃ……楽しくなんかないのにぃ……!!」

絹旗「……」


897: 2011/01/19(水) 23:34:44.10 ID:v1XguoZAO
番外個体「ン……あっち、かナ?」バチ…ッ

絹旗「ッ!? ま、待ち―――!!」


…………ボッッッ、バッッッ!!!!


初春「っわ……ッ!!」

絶対等速「……と、跳んだ……!?」

絹旗「……くそっ!!」
(今の大跳躍……空気を爆発させる事で高速移動まで可能なんですか!!?)

初春「そんな……今あっちに行けば……!」

絹旗「……仕方ありません、私は彼女を追います」

初春「え……っ?」

絹旗「少々手荒になるかもしれませんが……安心してください、アナタ達を全員無事に還す事……それがお兄ちゃんの命令ですからね」ニッ

初春「で、でも……!」


898: 2011/01/19(水) 23:37:07.21 ID:v1XguoZAO
絹旗「さっきの超巨Oメガネさんと良い、生意気にもお兄ちゃんの手を握りしめた……この超ですの口調さんと良い、アナタ達がお兄ちゃんの超守りたい人達だってのは理解ができました、それに……」


絹旗「―――……アナタもジャッジメントなら、今……やるべき使命がありますよね?」


初春「……使、命……?」

絹旗「はい、さっきお兄ちゃんも超叫んでいた……ジャッジメントとしての使命です」

初春「……」

絹旗「……なので絶対等速さん、この二人はアナタが一刻も早く病院へと」

絶対等速「はぁ?何で俺がそんな真似―――」

絹旗「お願いします、学園都市最凶の風紀委員……一方通行の望みなのです」

絶対等速「……っっ、さっきのはやっぱり……あの第一位なのか……!?」

絹旗「はい、彼は手が離せない状況にあります……今、超頼れる人物はアナタだけなのです」

絶対等速(オイオイすげェよ、マジモン生で見ちゃったよ……!)ドキドキ


899: 2011/01/19(水) 23:39:48.24 ID:v1XguoZAO
初春「ああああの、あの……っ! 私からもお願いします!!」ペコリ

絶対等速「ぐっ……」タジ…

初春「あの二人の闘いよりも……私はジャッジメントとして、一刻も早く避難勧告を出さないとダメなんです!! だから……だから……!!!」

絶対等速「……チィ」グイッ

黒子「づ……!」

絶対等速「気が進まない……がな、尊敬する第一位のオーダーともなれば話は別だ」ヒョイ

初春「ほぇ……い、良いんです……か?」

絶対等速「オイ馬鹿力、そっちのJKを俺に背負わせろ」

絹旗「なっ……ば、馬鹿力ではありません! 『窒素装甲』です……」ヒョイ

結標「ぁ、ん……っ」ポスッ

絶対等速(……やっぱり二人は重い)ズシッ

初春「イ……絶対等速さん……っ!」グスッ


絶対等速「あぁ? どうした……早く行ってこい、俺の気が変わらん内にな」



900: 2011/01/19(水) 23:41:50.63 ID:v1XguoZAO
絹旗「あは……絶対等速さん、アナタ……やっぱり超イケてますね」

絶対等速「……フン」プイッ

初春「ありがとうございます!! 本当に……ヒック、本当にぃ……っ!!!」

絶対等速「……乗り掛かった船ってヤツだ」ザッ
(まぁ……もう乗ってしまったがな)

絹旗「あーもう、誰かさんみたいに一々泣かないでくださいよ」ヨシヨシ

初春「だって……ヒック、だってぇ……! 本当にどうすれば良いのか分からなくて……!!」メソメソ

絶対等速(しかしあん時、偶々人質に取ったクソガキがなァ……まさか今は……―――)チラッ


初春(助かる……誰も氏ななくて済む……! 白井さんも……結標さんだって……!!)


絶対等速(……ハッ、立派な……とは言えないが、風紀委員サマになってたとはな)ザッザッ


…………ザリッ


    「―――……頑張れよ、泣き虫風紀委員」



901: 2011/01/19(水) 23:44:03.12 ID:v1XguoZAO
絹旗「……では、私も行きます……後は頼みましたよ?」ザッ

初春「っ! あ、あの……」

絹旗「ん?」

初春「お、お名前を……」

絹旗「絹旗最愛です……超事前に釘を打っておきますが、モアイではありませんよ?」

初春「え、と……その……絶対に無事でいてください!! 私達せっかくお知り合いに……お友達になれたのに……!」

絹旗「お、お友達……?」ドキッ

初春「はい! 私達……歳も近そうですし、絹旗さんとは何だか仲良くなれそうな気がして……」タハハ

絹旗「お……お友達、ですか……言われてみれば超初めてですね」テヘヘ

初春「ほぇっ?」
(初めて……?)


902: 2011/01/20(木) 00:00:53.36 ID:Axa17uuAO
絹旗「……し、かぁ~し」ズイッ

初春「ふえぇっ!?」タジ…

絹旗「超お花さん、アナタ……お兄ちゃんの事が好きなんですか?」

初春「!!?」ドキッ

絹旗「む……す、好きなんですね?」

初春「はうぅ……す、好きですよぅ……超が付いちゃう程……」モジモジ

絹旗「……やっぱり」フゥ

初春「あぁっ! でも、ていとさんだって勿論……だから私……」

絹旗「むぅ、Lv5に二人も恋心を抱くだなんて……お花に似合わず超欲張りなんですね」ムスッ

初春「スイマセン……」ショボン

絹旗「……いえいえ、逆に超気に入りましたよ?」ニコッ

初春「あっ……私、飾利って言います! 風紀委員、第一七七支部の初春飾利……!!」

絹旗「ジャッジメントの初春さん……ですね? 了解です、超覚えました」

初春「えへへ……////」

絹旗「でも私達は友達だなんて超生易しい関係ではありません」

初春「へっ?」

絹旗「初春さん、私達は……今日から恋敵(ライバル)です♪」ニッ


938: 2011/02/09(水) 16:54:09.81 ID:1JQH59iAO
―――『冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)』の病院



美琴「ちょっとー……アンタが私を呼び出す時ってのはさ、毎度毎度ロクでもない事件が起きた時だってのは分かるわよ」イライラ

御坂妹「はい……と、ミサカはお姉さまを横目に適当な返事をします」

美琴「それが今回は何よ、病院周辺の護衛って一体どういう事なのよー!!?」ビリビリ

御坂妹「放電を抑えてください、院内の機器に支障が出るとすこぶる大変ですので……と、ミサカはイ工口ーカードを差し向けます」ピッ

美琴「ぐぐ……」
(な、何て事なの……この私があと一枚で退場だなんて……っ!)

御坂妹「お姉さまを召喚したのは先程説明した通り……院内へと運ばれて来た黒ずくめの件なのですが……と、ミサカは念のために復唱します」

美琴「……一方通行が護衛しろって言ったのよね? 自分でボコした連中を今度は守れ、だとか意味分かんないんだけど」

御坂妹「はぁ、詳しい話はミサカも聞いておりませんので……と、ミサカは興味のない声で答えます」


939: 2011/02/09(水) 16:55:17.47 ID:1JQH59iAO
美琴「ふーん……まぁアンタ達だけじゃ何だか心細いし、別に良いケドね」

御坂妹「おぉ、何だかんだ言ってもお姉さまは我々を見捨てないツンデレ心をお持ちなのですね……と、ミサカは目薬の使用によって深く感涙します」ウルウル

美琴「それにしても……何時来るかも分からない相手を待つってのも退屈よねー」フゥ

御坂妹「学生は本来休日だというのに、お姉さまは暇人なのですね……と、ミサカは心の傷をグサリと突き刺し、グリグリと掻き回します」

美琴「……帰って良い?」クスン

御坂妹「冗談ですのでまだ帰らないでください……と、ミサカはお姉さまの頭部を撫で回します」ナデナデ

美琴「ち、ちょっ……恥ずかしいじゃない////」テレテレ

御坂妹「胡麻すりに肩でも揉みましょうか……と、ミサカはいやらしい手つきでお姉さまの両肩を……ぐへへ」ワキワキ


    もみもみも~みっもみ♪


美琴「あ~そこそこ……流石は私の妹ね、気持ちイイ……!」


940: 2011/02/09(水) 16:56:36.68 ID:1JQH59iAO
御坂妹「気持ち良い、といえば……お姉さま」キリッ

美琴「っ、な……何よ?」

御坂妹「固法お姉ちゃんの乳枕はフカフカしてて大変気持ちが良いらしいです……と、ミサカは上位個体からの電波を開示します」

美琴「……何で固法先輩は『お姉ちゃん』で私は『お姉さま』なのよぅ」ムスッ

御坂妹「ツッコむべきはソコではないでしょう……と、ミサカは後頭部へと逆ツッコミをかまします」ビシッ

美琴「あ痛っ」


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


御坂妹「―――……時にお姉さま」

美琴「っ、な……何よ?」
(急にシリアスになるなっつの!)


御坂妹「『樹形図の設計者』の『残骸』の件なのですが……」



941: 2011/02/09(水) 16:58:32.06 ID:1JQH59iAO
美琴「……あぁ、結局『スクール』の連中の居所は掴めたの?」

御坂妹「いえ、ミサカネットを駆使しても未だに彼らの消息は……と、ミサカは正直に答えます」

美琴「……そっか」

御坂妹「申し訳ありません……と、ミサカは腰から三○度の角度で頭を下げます」ペコリ

美琴「何言ってんの……アンタ達が気にする事じゃないでしょ、それに……」

御坂妹「……」

美琴「―――逆に申し訳なく思わないといけないのは、アンタ達を巻き込んじゃった私の方」

御坂妹「……」

美琴「まぁ……それもこれも結標のヤツや『スクール』のハイエナ共が―――……む?」

御坂妹「……」

美琴「……どした妹ー、急に動かなくなって……もしかしてお腹空いた?」ツンツン


942: 2011/02/09(水) 17:00:54.26 ID:1JQH59iAO
御坂妹「ソレについてなのですが……お姉さまにお伝えしなければならないお話があります」

美琴「……?」

御坂妹「その結標が……つい先程、『残骸』を手にしたという事実をお姉さまはご存知でしたか? ……と、ミサカは質問します」

美琴「んな……っ!? それって……!!」

御坂妹「先程……第七学区中心地をブラブラと散歩していたミサカ一九〇九〇号の報告によると、現時刻より八分と二三秒前に結標淡希と思われる少女を目撃したらしいのです」

美琴(だって『残骸』は昨日、『スクール』の連中に奪われたまま……!!)

御坂妹「かなりの深手を負った状態でしたが……その手にはしっかりと例のキャリーケースが握られていたので、まず間違いはないかと……と、ミサカは結論付けます」

美琴「深手ってアイツ……仲間を潰されたからってまさか、たった一人で『スクール』と戦闘を……!?」

御坂妹「いえ……彼女を傷付けたのは『スクール』ではなく、恐らく一人の風紀委員によるものです……と、ミサカは口からコピー用紙を吐き出す様な口調で続けます」


943: 2011/02/09(水) 17:03:18.03 ID:1JQH59iAO
美琴「風紀委員……? そ、そっか……一方通行よ、ね? なら安心だわ、アイツが結標なんかに遅れを取るわけないんだしさ……」ホッ

御坂妹「……」

美琴「で、でも残念よねー、結標のヤツは私がケジメつけさせてやろうと思ってたのに―――」

御坂妹「……いえ、その風紀委員とはお姉さまが良くご存知でおられる白井黒子嬢……」

美琴「……っ!!?」

御坂妹「何故彼女が結標淡希と対峙していたのかは不明ですが……」

美琴「そ、そんな……どうしてよ……っ!? 黒子は関係ないじゃない!!」

御坂妹「どうして……と言われましても、ミサカでは返答しかねます」

美琴「それじゃあの子は……黒子はどうなったのよ!!?」

御坂妹「その後彼女達がどうなったのかは、残念ながらミサカにも分かりません」

美琴「っっ、何でッッ!!?」

御坂妹「何せ一九○九○号は彼女の姿を視認した瞬間、余りの恐怖心に駆られて反射的に此処まで逃げ帰って来たもので……と、ミサカは顔面蒼白の一九○九○号を思い返しながら自らの身体をも震え上がらせます」ブルルッ


944: 2011/02/09(水) 17:03:50.52 ID:1JQH59iAO
美琴「あの……バカっ!!」ザッ

御坂妹「お待ちくださいお姉さま、どちらへ行かれるつもりなのですか?」

美琴「そんなの……決まってるでしょうが……っ!!」

御坂妹「現在この病院の周辺に配置しているミサカ達は九人、サークル状に電磁網(センサー)を展開していたのですが……」

美琴「だから何っ!!?」

御坂妹「―――たった今、何者かがそれに引っかかる反応がありました」

美琴「……チッ!」

御坂妹「侵入者です、数は二……と、ミサカは緊急報告します」

美琴「こんな時に……っ! 良いわ、二秒で消し炭にしてくれるわよ!!」バチィッ!

御坂妹「目視可能まで残り四秒……三、二……と、ミサカはデバイスを下ろしながらカウントします」スチャッ


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


浜面「えーっと……メモだと此処で間違いないんだよな」トコトコ

滝壺「zzz……」

美琴「……」ビリビリ

御坂妹「……」


945: 2011/02/09(水) 17:07:10.13 ID:1JQH59iAO
美琴「……あ、アイツら?」ヒクッ

御坂妹「はいそうです……と、ミサカは頷き答えます」コクリ

美琴(どう見てもただのカップルじゃないの!!)

御坂妹「そこの二人組、止まりなさい……と、ミサカは安全装置を解除し、第一の警告をします」ジャカッ

美琴「」

浜面「うおおおおおおっっ!!? ちょっ、待て!! いきなりそんな物騒なモン向けてんじゃねえええええっっ!!!」

御坂妹「ホールドアップ」

浜面「わーわー待てって!! 今両手上げたら背負ってるヤツ落ちるから!!! だからちょっ……滝壺さぁん!? キミからも何か言ったげてーっ!!!」ワタワタ

御坂妹「ヒーハーッッ!! 見ろよジョニー、このファッキンボウヤめ! ガタガタと怯えてやがるぜ!!! ……と、ミサカは若干ノリ気味で―――」ワクワク

美琴「この馬鹿妹っ……! こっち来なさい!!」グイッ

御坂妹「……」

美琴「何やってんのよアンタは!? 明らかにコイツらは違うでしょうが!!」コソコソ

御坂妹「今のはただやってみたかっただけです……と、ミサカは己の心中をポ口リと吐露します」

美琴「クソみたいなC級映画の観すぎよ、ダアホっ!!」コツン

御坂妹「痛いです」


946: 2011/02/09(水) 17:08:48.04 ID:1JQH59iAO
浜面「な、何だぁ……!? 常盤台の双子……?」ドキドキ

美琴「い、いやぁーすいません! ちょっとウチの妹ってば中二病入ってまして~!!」アハハ

浜面「あ、あぁ~そっか! 通りで変なゴーグル付けてると思ったんだよなァー」ナハハ

御坂妹(中二病……? ミサカは何かの病に掛かっているのでしょうか……と、ミサカは軽く不安気になります)ソワソワ

浜面「見て分かると思うけど……コイツ急患なんだ、此処……通っても良いか?」

美琴「あっ、はい勿論オッケーで―――って!?」ギョッ


滝壺「ぅん……?」パチ


美琴「……」パリッ

浜面「いやー悪いね」トコトコ


…………バヂィッ!


浜面「……へっ?」

947: 2011/02/09(水) 17:10:16.81 ID:1JQH59iAO
美琴「ゴメンお兄さん、今のウソ」バチッ…!

浜面「っな、な……っ!?」ゾク…


    バババチバヂッッバリバリバリバリバリバリィィッッ!!!!


浜面(―――なんじゃこりゃあああああああああっっ!!?)

美琴「オドレら……ちょっち待たんかいやゴルァァァあああああああああっっ!!!!」

浜面(こ、この発電量……並の『電撃使い(エレクトロマスター)』ってレベルじゃねェーぞ!?)

滝壺「っっ、アナタ……常盤台の『超電磁砲』……!?」

浜面「レ……!? 『超電磁砲』だぁぁ!!?」

御坂妹(中二病……何か危険な香りがします)ゴクリ


948: 2011/02/09(水) 17:11:36.02 ID:1JQH59iAO



    ブシュウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………!!


浜面(こ、この子が一方通行や垣根帝督に続く……第三位の―――!!)

美琴「……さぁ後ろの、ボーッとしてないで説明しなさいよ」ギロッ

滝壺「……」

浜面(滝壺と……知り合いなのか……!?)

美琴「ま、た、ア、ン、タ、達 がこの件に一枚噛んでるわけ? アンタがいるって事は、あのオバサンも近くにいると考えても良いのよねぇ?」

浜面(オバサン……?)

滝壺「……麦野は……」

浜面(……あぁ、麦野か)

滝壺「麦野はきっと……私達を頃しに来る」

美琴「ッ……何、ですって?」


949: 2011/02/09(水) 17:13:12.48 ID:1JQH59iAO



    ピンポンパンポーン♪


御坂妹「……む」ピクッ


美琴(アナウンス……?)


    『―――……一五学区、一八学区……つ、繋がった……!? うー、あー、マイクテスマイクテス……いよっし、音声クリアーです……!』


美琴「っ……!?」ハッ

御坂妹「……お姉さま、この甘ったるい少女の声は……ミサカにも聞き覚えがあります」


    『え、えと……学園都市中の皆さん、聞こえてますか……? 私は風紀委員第一七七支部の……』


美琴「う、初春さん……?」

滝壺「この声……」

浜面「さっきのハワイアンな風紀委員……だよな?」

美琴「っ、どうして……アンタ達が初春さんを知ってんのよ?」


    『―――……って、自己紹介してる場合じゃないですね……お伝えする事があります、どうか落ち着いて聞いてください』


浜面「そりゃだって……俺達をこの病院に導いたのが、ソイツの先輩の世にも恐ろしい風紀委員長だからだよ」

美琴「風紀委員長……固法先輩が……?」


950: 2011/02/09(水) 17:15:39.81 ID:1JQH59iAO



    『現在……第七学区の中心部が凄い被害になってるのは……も、もうお気付きの方もいらっしゃるかもしれません』


美琴「ど、どういう事……? ねぇ……被害って一体どういう事なのよっっ!!?」

浜面「し……知らねぇよ!!」

美琴(黒子もきっとそこにいるハズなのに……っ! アイツは……一方通行は何をしてるのよっ!?)

浜面「ただ言えるのはな、こんな放送をしなきゃいけないぐらいの闘い……Lv5同士の本気の頃し合いが始まっちまったってェ事だ!!」


    『あっ! で、でも心配しないでください!! べ、別に宇宙からインベーダーが攻めて来たとか……決してそんなんじゃ―――』


美琴「Lv5同士ですって……? 誰と誰がよ……一方通行と、あの麦野って女が!!?」

浜面「違う、確かに麦野もすげーヤツだけど……あの程度じゃ一方通行とは渡り合えない、今第一位と闘りあってんのは……きっと―――」ゴクッ

滝壺「……『未元物質』……」

美琴「ッッ!!?」


951: 2011/02/09(水) 17:18:42.44 ID:1JQH59iAO



    『そ、その……アレです! 夜のパレードの準備が忙しくて……できるだけ皆さんの目に映らないように、その……二人の風紀委員が街の解体作業を……なんちて』タハハ


美琴「二人の風紀委員……? その一人はLv5の『未元物質』……!? 何でそんなヤツが風紀委員に……!!?」

浜面「違うんだよ、アイツは元から風紀委員なんかじゃない……暗部組織『スクール』のリーダー、垣根帝督……」

御坂妹「お姉さまが彼を知らないのも無理はありません、何せ彼は昨日……一七七支部へと転属されて来たばかりですから」

美琴(昨日……『スクール』……!? まさ、か―――)ハッ

御坂妹「お姉さまは昨夜遅くまで結標や『スクール』との戦闘に入ってましたが故、白井黒子とは入れ違いになってしまったのでしょう……と、ミサカは淡々と説明します」

美琴「『スクール』はこの日の為に……そのリーダーが今、一方通行と争っている……? それじゃ結標は、『残骸』は……黒子達は―――」


    『で、でも絶対に大丈夫なんです!! 安心してください……何も心配する必要はないんですよ……!?』


美琴「……っ」


952: 2011/02/09(水) 17:21:21.20 ID:1JQH59iAO



    『な……何たって私達風紀委員には凄い人が沢山いるんです!! 固法先輩だって白井さんだって……一通さんだって、ていとさんだって……』


美琴「……ハハ」


    『今はケンカばかりしてますけど……! ほ、本当は二人共優しくて……っ!!』


美琴「心配するな……か」ボソッ

御坂妹「……お姉さま?」

美琴「……分かった、アンタらの話は後で聞く」

滝壺「え……?」

美琴「アンタ達が仲間割れ起こしてるとか、麦野ってヤツに狙われてるだとか、私には関係ないしどうでも良い……でもね」

美琴「―――どんな理由があるにしろ、患者を絶対に守り抜くってのが此処の先生のポリシーみたいなのよ」

御坂妹「……」

美琴「この病院にはね、『残骸』争奪戦とは関係なく……普通の治療を受けてる患者さんだって勿論いる、だからアンタが此処にいる内は……仕方ないけど私達が守ってあげる」

滝壺「超電磁砲……」

浜面「……すまねぇ、恩に着る」

美琴「フンっ」プイッ


953: 2011/02/09(水) 17:22:35.82 ID:1JQH59iAO
御坂妹「ミサカはお姉さまが彼らの元へと駆けて行ってしまうのでは……と、内心ヒヤヒヤしていたのですが……」

美琴「確かに心配よ、今だってそう……心配に決まってるじゃない」

美琴「私の力量不足で結局皆を巻き込んじゃって、物語は私の知らない所で雪だるま式に膨れあがって……!」ギリッ

御坂妹「……」

美琴「それでも……初春さんが『心配ない』って言うんだもん、だったらまぁ……大丈夫、でしょ?」ニッ

御坂妹「冷静なご決断、ありがとうございます……と、ミサカは頭を下げます」ペコリ

美琴「でも黒子には……また怒られちゃうかもしんないけどね」ボソッ

御坂妹「……?」

美琴(私は今、私のできる事をする……だから皆を頼んだわよ、風紀委員の一方通行……!)


954: 2011/02/09(水) 17:24:37.74 ID:1JQH59iAO






…………ズダンッッ!!!


番外個体「……チ」スック
(一方通行……ミサカはね、アナタの位置ならネットワークを介して何となく知る事ができるんだよ……でも―――)

番外個体(アナタの移動スピードが段違いに速い……追い付ける気が ま、る、で、し、な、い)

番外個体(身体もあちこち痛いし……さて、どうしようかナ)フゥ


…………ガリリッ


番外個体「っ!」ピクッ


   ガガリガリガリゴリィ…………ッッ


番外個体「な、なに……?」キョロキョロ
(この音……何か重厚なモノを……)


    ガガガリガリゴリゴキゴリゴキィ…………ッッ!!!


番外個体(乱暴に……引き摺る―――ッ!?)ハッ



    「たあありゃぁぁああああああああああっっ!!!!」



955: 2011/02/09(水) 17:25:16.87 ID:1JQH59iAO



    ゴギギガギガガガッッガガガガガガガァッッッ!!!!


番外個体「馬鹿な……!!? あ、アイツ……!!」タジ…

絹旗「とうっ!!」タンッ

番外個体「さ、さっきのワゴンを……片手に―――」

絹旗「……超っっ☆ハンマぁぁぁアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」ブオ!!


    ガ ゴ オ オ ォ ッ ッ ! ! ! !



956: 2011/02/09(水) 17:27:30.05 ID:1JQH59iAO



    バァァァキバキバキバキバギイィィッ!!!!


絹旗「―――……む!?」
(手応え……超皆無!!)


    「ななななぁ~んちゃって☆ まさかそう簡単にヤれると思った?」


絹旗「っ!?」バッ


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


番外個体「それにしてもさ……大した怪力だよねぇ、それがアナタの能力なのかな?」ニヤニヤ

絹旗(あんな距離まで……一瞬でこれ程の間合いを……?)ゴクリ

番外個体「そーいえば……アナタからはついさっき、ミサカの横っ面に刺激的な一発貰ってたんだったよねー?」

絹旗「……ふん」ザッ


957: 2011/02/09(水) 17:30:36.06 ID:1JQH59iAO
番外個体「丁度イラついてたトコだし……ぎゃはは♪ そーだ、二億倍にして返して―――」

絹旗「とは言いましても、元々当てるつもりなんて超何処にも無かったんですよね」ゴソゴソ

番外個体「……は?」ピクッ

絹旗「何せ初春さんと約束しましたから……うっかり氏なれても超困りますし」スッ

番外個体「っ、何ソレ……? マラカス……いや、クラッカー?」

絹旗「いい~え? どちらも間違いです、フレンダから勝手に拝借した……!」キュポッ


…………バシュゥゥッッ!!


絹旗「―――超対戦車ミサイル(×三)ですよっ!!」

番外個体「ッッ!? 無……駄ァァァあああああああああああああああああッッッ!!!!」


    ヒ ュ ド ッ ッ ! ! ! !


絹旗「……!」ピクッ


958: 2011/02/09(水) 17:31:41.75 ID:1JQH59iAO



…………ッッゴォォォオアアアアアアアアアアア!!!!!


絹旗「……」

絹旗「―――……成る程、超納得しましたよ……アナタ程の『電撃使い』にもなると、自身の周りに超強力な磁界を発生させる事も可能なんですね?」


    メラメラメラメラ…………!!


絹旗「磁石のSとS、N極とN極同士が反発し合うように……弾頭の軌道がアナタの身体を超避けるように、確かに反れやがりました」


…………バチッ


絹旗「……恐らくはさっきのワゴンによる一撃をかわせたのも、その反発を利用して―――うっっ!!?」ビシ…ッ


    ッッパァァァアアアアアアン!!!!


絹旗「っ……!!」ゴロゴロゴロンッ

番外個体「ハエが……う、るっ、さ、い、ん、だ、ヨ」バチバチバチッ!

絹旗「―――……っ」パタッ

番外個体「アナタの言う通りだよ……だから鉄分などの強磁性体を多く含む武器なんて物は、最初っからミサカには通用しない」


959: 2011/02/09(水) 17:35:21.00 ID:1JQH59iAO
番外個体「それが例えミサイルだとしても例外ではない……まぁ、爆発で空気まで奪われるのは流石にヤバかったんだけど―――……って」


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


番外個体「ひゃははっ♪ 言うだけ無駄か……もう氏んじゃってるもんね」

絹旗「……」

番外個体「うぅ~ん……そーだ、イイ事思い付いた」ニヤリ


…………ザッ


番外個体「きひっ……!」ザッザッ

番外個体「コイツの生首を手土産に持ってけば、第一位は一体どんな表情をするのかなぁ?」ニタァッ


    「……それは余り考えたくはありませんね、スプラッター映画ってのはどちらかと言うと超苦手なジャンルでして」


番外個体「……え?」ピタッ

絹旗「でも超好きな人と一緒に観れるなら抱き付き作戦が使えますし……」ムクッ

番外個体「なっ、あ……っ!?」タジ…


絹旗「―――……それはそれでアリなんでしょうか?」ニッ



960: 2011/02/09(水) 17:37:09.13 ID:1JQH59iAO
番外個体(こ、コイツ……どうして……!!?)

絹旗「衝撃で超ブッ潰れちゃってますが、今アナタが放った……ふむ、コレは釘ですか」

番外個体(確かに磁力砲は眉間に命中したッ!! ……それ、なのに―――)

絹旗「オリジナルの『超電磁砲』はコインを使うと聞きますが……アナタはコレを弾丸代わりとする事で殺傷能力を超高めてるわけですね」ポロ…ッ


…………カラカラッ、グシャッ!!


絹旗「―――それでも肝心な威力はオリジナルに遠く及ばず……超残念ですが、この程度では私の『窒素装甲』は突破できませんよ」グリグリ

番外個体「お、おかしいねェ……アナタの能力は攻撃系だと思ってたんだけど……っ!?」ギリッ

絹旗「ただの馬鹿力だけじゃLv4にはなれませんよ、それにこのチカラは……最強の一通お兄ちゃんが私に与えてくれた特別なモノなので―――」


    『ピーガガ……地下を移動してる方々は……ザザーから隣の、そのまた隣の学区まで速やかに退避を―――』


絹旗「……おや?」ピクッ

番外個体(カーステレオ……? この声はさっきの……)

絹旗「おやおやおやぁ?」クスッ


961: 2011/02/09(水) 17:39:40.61 ID:1JQH59iAO



    『繰り返します……! この放送をザザザー……る方々―――』


絹旗「信じられますか? 初春さん……さっきの超お花さんってば、手持ちのノートパソコンとケータイだけで本当に街中の電波ジャックまでできちゃったんですよ」

番外個体「……」

絹旗「アナタみたいな高位の『電撃使い』でも超難しい芸当なんじゃないですかね? それをこうも容易く……ふふっ、あの子は本当に何者ですか?」

番外個体「あっそ、悪いけど……生まれたてのミサカの脳ミソはまるで興味が無いみたい」

絹旗「……それでは話が変わりますが、私の胸に付いてるこの超真っ赤なお花……アナタには何だか分かりますか?」ツンツン

番外個体「……あ?」

絹旗「ハイビスカスですよ、御守りだって彼女から戴いたんです」

番外個体「……チッ」

絹旗「彼女が言うにはハイビスカスの花言葉は『まぁやってみたまえ』らしいですよ? 堂々と間違ってたので超指摘してあげましたけど」

番外個体「……覚えが悪いね、そんなくだらない話……ミサカには 興、味、が、無、い と言ってるんだよ」


962: 2011/02/09(水) 17:42:54.18 ID:1JQH59iAO
絹旗「……や~れやれ、まるでお話になりませんね? 超仕方がないです―――……む?」ピクッ


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


絹旗「……ッッ!?」プルプル
(こ、こんな所に……!!)

番外個体「……?」

絹旗(一方通行の……道路標識が―――っ!!)ガシッ


…………ボギンッッ!!


絹旗「えへへ……これで絹旗最愛の攻撃力は三〇%アップです! お兄ちゃんと一緒ならもう負ける気がしませんね♪」スリスリ

番外個体「……ハッ」

絹旗「むむ……何ですか?」

番外個体「まさかそんなポールを武器にするつもり? その様な鉄クズがミサカに通用しないのはアナタも分かってるハズなんだけど……」

絹旗「果たしてそうでしょうか? ならばアナタの磁力と私の『窒素装甲』」ザッ


    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


絹旗「―――……どちらが強いか、力比べしてみますか?」

番外個体「ッッ!! いっっちいちと長いんだよ……! 御託がさああッッ!!?」ボッッ!!


    ッバチバヂッッ!! バァァチバリバヂバヂィッッ!!!



963: 2011/02/09(水) 17:45:15.39 ID:1JQH59iAO
番外個体「ミサカはねェ……一秒でも早くアイツを地獄に叩き落とさなきゃいけないんだ……っ!!」ビリリッ!

絹旗(超帯電モード……物理攻撃には無類の強さを誇る『窒素装甲』でも、彼女の電撃までは防げない……)

番外個体「―――ミサカはその為に……ただその為だけに、わざわざ培養器の中から放り出されたんだからね……」ニタァッ

絹旗「そうですね……どうやらアナタとは話し合いも通じないみたいですし」

番外個体「……ひゃはっ!」バチチッ!

絹旗「……まぁ、やってみましょうか」

番外個体「さぁ……早く始めようよぉっっ!!」ザッ


…………ボバッッッ!!!!


絹旗「ふん……超舐められたものですね、真っ直ぐ突っ込んで来るとはっ!!」ニッ
(守ったら負ける……今の私には―――)


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


絹旗(―――攻めて攻めて……攻め、あるのみぃっ!!)


番外個体「氏ぃぃ……ねぇぇぇえええええええええええええええええっっっ!!!!」


絹旗「バスタァァァアアアアアホームラァァァアアアアアアアアアアン!!!」ブオ!!


    ッッカキィィィイイイイイイイイイン!!!!



964: 2011/02/09(水) 17:48:38.18 ID:1JQH59iAO



初春「風紀委員活動第一七七支部、初春飾利より……警備員の救援要請をお願いしま―――……え?」

初春「警備員は……この期に及んで動けない……? まだ……そんな事を言ってるんですか、アナタ達は……」

初春「……いえ、もう結構です……分かってますよ、理事会が圧力を掛けてるんでしょ?」

初春「後は私達……風紀委員だけでやりますから」プツッ


    ツー、ツー、ツー…………


初春「……」フゥ

初春(警備員は動いてくれない……けど、黄泉川さんならきっと何とか―――)カタカタカタ


…………ザリッ


初春「っ」ゾク…


    「そこのアンタ……ちょっっと良いかにゃーん?」


初春「……ふぇ?」クルッ


…………ドゴスッッ!!!


初春「ぅげ……ッ!!!」ミシミシ…ッ!


965: 2011/02/09(水) 17:51:06.03 ID:1JQH59iAO
麦野「どういうわけかテメーからは『未元物質』の臭っせースメルがプンプンしてんだよなぁ……」

初春「……う、ぅあっ……!?」ペタン
(な、何……け、蹴ら……れ―――?)

麦野「さっきから『嗅覚センサー』がイッちまうくれェにビンビンに反応して―――……おっ?」

初春「っァ゛……!」ブルルッ


…………ドクンッッ!!


初春「―――……うえ゛っ!? おげッ、オェェええええええ……っっ!!」ビチャビチャビチャ

麦野「ハハッ、あ~あ~汚ったないねェ……」クスクス

初春「うぶっ、がふ……!?」ガクガクッ

麦野「……ま、テメーも風紀委員なんだからさぁ」ガシッ

初春「っ、だ……だ、れ……―――ぇぶっ!?」


    ドチャッッ!!!


麦野「ほーれ、ご奉仕活動ってなァ……? テメーでブチ撒けたゲロの後始末は テ、メー、で、や、り、な」グリグリ

初春「ぃ……っああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

麦野「掃除が終わったら着いて来て貰うよん? 第一位と第二位……アイツらの所まで一緒にさぁぁ?」ニヤリ


966: 2011/02/09(水) 17:54:32.72 ID:1JQH59iAO
初春「っぁ、ぁあ……!」ゲホゲホ
(い、痛い……苦、しい……)


麦野「ホレホレ、ゲロまみれで恍惚とした表情してないで……ちゃんと話聞いてんのかテメーコラ」グイッ

初春「うぁ……っ! ア、ナタ……」

麦野「あの二人の争いを止めて欲しいんだろう? むぎにゃんが止めてあげるって言ってるんだぴょ~ん♪」キャハッ

初春「は、はふ……何を言ってるんです……ぅっ、アナタが何者かは存じませんが……二人を、止める事なんて―――!」


    ズバァァァアアアアアアアアアッッッ!!!!


初春「……え?」

麦野「『原子崩し』」ボソッ

初春(……ッ!? じ、地面が……)ゾワッ


    ブシュシュゥゥゥウウウウウウウウウウ…………!!


初春(溶断……している―――っ!!)

麦野「……別名、『粒機波形高速砲』」ニィッ


967: 2011/02/09(水) 17:57:05.32 ID:1JQH59iAO



    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


麦野「くそったれな学者が言うには、生存本能がセーブをかけてるからこの程度の威力しか出ないらしいんだけど……本来なら超電磁砲ぐらいは瞬殺できるらしいよ?」

初春(ま、さか……この人も……?)ハァ…ハァ

麦野「……ま、実際にそれをやると反動で私の体も粉々に吹き飛ぶって話だけど……それでも私の『原子崩し』に撃ち抜けない物体など、この世には存在しねぇ」

初春「Lv……5……」

麦野「そうさ、学園都市が誇る七人の超能力者が一人……―――第四位の『原子崩し』」ヴンッ

初春「ひ……!」ビクッ

麦野「ねェ……今の私は気が短いんだ、テメーの四肢をブッた斬って引き摺ってっても別に構いやしないんだよ?」


968: 2011/02/09(水) 17:59:00.63 ID:1JQH59iAO



…………ざわっ


初春「っ!?」

麦野「ありゃー……見なよ、テメーは市民共を巻き込まないように誘導したつもりらしいが……」


    ざわ…………ざわ…………


麦野「一部のアホ共は珍しいモノ見たさに、我こそはと集まって来ちまってる……バカだよねぇ、せっかく頑張ったのに全部裏目に出ちゃってさぁ?」ニヤリ

初春「……そ、そんな……!」
(無駄……無意味……!! 何もかも水の泡……っ!!)

麦野「せっかくだし叫んでみるかい? 正義の風紀委員が、一般人に向かってブザマに『助ケテー』ってさぁ……!?」

初春「……うっ、うぅううううう……!!」


―――『……あはっ♪ 初春さん、それは超間違いですよ』―――



969: 2011/02/09(水) 18:00:59.90 ID:1JQH59iAO
初春(っ、絹旗……さん、私……!)ハァ…ハァ

麦野「ホラホラどうした……? 哭けよ、喚けよ!! もしかしたらあのゴミカス二人が助けに来てくれるかもしれないぜぇぇええええッッ!!?」


―――『ハイビスカスの本当の花言葉、それは……』―――


初春(ハイビスカスの……本当の、花言葉は……―――っ!!)ギリッ

麦野「まぁお互い氏合いに夢中でそれどころじゃないんだろうがねえェェ!!? ぎゃはははははっ!! ぎゃっははははははははははは!!!!」ゲラゲラ

初春「……、……」ボソボソ


麦野「―――はは……は? 何……だって?」


970: 2011/02/09(水) 18:03:31.58 ID:1JQH59iAO



    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ・ ・ ・ ・


初春「うっ、き……聞こえなかったん……ですか? アナタみたいな人では……はぁっ、あの二人を止めるなんて……絶対にできないって言ってるんです」

麦野「……ソイツぁどうだろうね? 垣根のクソは別として、テメーを盾にすりゃ一方通行は確実に手出しができないとは思わねぇか、あ?」

初春「私を人質に……ですか? ははっ……アナタはLv5で、あの二人に闘いを挑むと言うから……やっぱりスゴい人なのかと思ってたら……」

麦野「……ッ」


初春「―――何だぁ……ただの三下さん……だったんですね……っ」アハハ


麦野(コイ、ツ……っっ!!)ビキッ

初春「一通さんも、ていとさんも……私なんかとは違う、とっても強くてカッコいい……Lv5のジャッジメントなんです……!」

麦野「く、ククッ……言うね、餓鬼」

初春「これは……風紀委員の初春飾利として、アナタに忠告してあげているんですよ……? アナタみたいな人が……どんな卑怯な手を使おうが……っ!」


971: 2011/02/09(水) 18:05:49.16 ID:1JQH59iAO
初春「私達が思っても見ないような方法で……アナタを打ち倒し……っ!! 何事も無かったかのように、私を無傷で助け出してくれるに決まってるんですッッ!!!」

麦野「……そうかい」

初春「ヒーローってのはそういうモンなんですよ!! いつも何処の誰かの希望であり、勇気であり! その期待を絶対に……絶対に裏切らない……!!!」

麦野「だったらテメーは今から確実に絶望する、何せこの『原子崩し』の逆鱗に触れちまったんだからねェ……」ヴンッ

初春「はぁ……はぁ……うぅ……それなのに……ヒック、それなの、にぃ……っ!!」グスッ

麦野「……あ?」

初春「どうしてですか……ヒック、どうしてあの二人が頃し合わないといけないんですか……っ!!? あんなにスゴい二人が……力を合わせれば……っ」
(……ダメ、もう……!)


…………ポタポタッ、ポタッ


初春「―――学園都市だってきっと……きっと変えれるのにぃ……っっ!!!」ポロポロポロ…
(もう……止まらない……っ!!)

麦野「……」

初春「はぁっ……ヒック、どうして……どうしてぇ……っ!!?」
麦野「そりゃ残念だったな……だが、今の私に情けなんてモノはありゃしねぇ」


    ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・ ・ ・ ・


初春「ぐっ、うっ……! あぅうぅ……っ!!」

麦野「―――……だからテメーも此処で氏ね」


972: 2011/02/09(水) 18:09:13.83 ID:1JQH59iAO
―――あの日、あの時、あの場所で起こった一連の事実を、野次馬の一人だった佐天涙子氏は後にこう語る



佐天「いやいや……そりゃびっくりしましたって、気が付きゃ初春がスクランブル交差点の中心でメチャクチャ怖そうなお姉さんに絡まれてたんですよ? 私なんて一瞬世紀末の世界に入っちゃったんじゃないかって―――」


能力名:?
職業:中学生(柵川中学在校)
能力レベル:ゼロ
前科:あり(『幻想御手(レベルアッパー)』に着手)


佐天「しかもアニメや漫画で敵キャラにグイーって胸ぐら掴まれる場面あるじゃないですか? そう、まさにあんな光景だったんですよね……初春の足なんて地面から二○センチくらい宙に浮いてましたし」


佐天「え……何故助けに行かなかったのか、って?」


佐天「……」フゥ


佐天「いや~ムリムリムリ、無茶言わないでくださいよぉ……だって相手はLv5の『原子崩し』、麦野沈利ですよ? 私みたいなLv0がのこのこ出た所で氏体が一つ増えるだけです」

973: 2011/02/09(水) 18:10:40.02 ID:1JQH59iAO
佐天「私の周りにいた人達も皆同じです……彼女から放たれる殺気にアテられて、逃げようにも助けようにも脚が前にも後ろにも全く動かなくなってたんでしょうね」


佐天「それに何より、動けない理由にはもう一つありました……その時の初春の右腕には正義の象徴、風紀委員の腕章が装着されてたからです」


佐天「私みたいに風紀委員の友達がいるなら別ですけど、風紀委員の中でもエリートや落ちこぼれってのが存在するわけでして……いや、初春だって落ちこぼれってわけじゃないんですよ? ただあの子は能力も身体レベルも戦闘向きじゃないって言うか……」


佐天「そして何より……とっても優しい子なんです、きっと誰かに暴力を振るう事なんて未来永劫できないでしょうね……例えそれが、どんな悪党であったとしても」


佐天「それでも詳しい事情を知らない普通の学生からすれば『治安維持組織の警察や自衛隊にも等しい人間が、簡単にねじ伏せられている』としか考えられないんです……それを助けに飛び出そうとは誰も思えないでしょ」

974: 2011/02/09(水) 18:13:19.59 ID:1JQH59iAO
佐天「そんな私達を無視するように、麦野沈利の周りにはテニスボールくらいの真っ白で不健康的な光の球体が次々と出現していました……そう、『原子崩し』によって初春の全てを終わらせる為に」


佐天「良く見れば初春の頭の花びらも一枚、また一枚とはらはら散って行くのが確認できたんですね? それはあたかも初春の魂が磨り減る様を表現するかのように」


佐天「『嗚呼、あの花びらが全て散る時が初春の最期なんだなぁ……』って私はちゃんとハンカチも用意したんですけど、でも……」


佐天「―――……その幻想すらも、たった一人の声によって全てを打ち消されました」



    「あー駄目だ、もう見てらんねぇ」





975: 2011/02/09(水) 18:15:26.93 ID:1JQH59iAO
佐天「『光の三原色』って知ってます? 赤、青、黄色……三つの光を合わせると白になるってヤツなんですケド」



    「第三者の俺からすりゃあ、どういった経緯でそうなったのかは知らねぇよ……もしかしたらお前さん方は実は姉妹で、その嬢ちゃんが一方的に悪かったのかもしれねぇしな」


佐天「偶然か意図的か、はたまた神様による悪戯か……この氏で埋め尽くされたスクランブル交差点でも、全く同じ現象が起きたんです」


    「……でもな、もう許してやったらどうなんだ? だってその子……根性出し切ってボロボロに泣いてんじゃねぇか」


    「……ッ、何だテメーは」



佐天「赤、青、黄色……三つの光を宿す自動車用信号機……それの頂点に見参し、真っ白に白熱するは学園都市のナンバーセブン」



削板「―――……オイタはいけねぇぜナンバーフォー、俺と一緒にスカッッ!! と根性入れ直してみねぇか?」



佐天「白く、白く……ただ白く、真っ赤に燃える炎を瞳に灯した……愛と気合いと根性のヲトコです」



976: 2011/02/09(水) 18:16:41.39 ID:1JQH59iAO
黄泉川「……」

佐天「……」

黄泉川「私の専門は保健体育じゃん? だからあんまり化学について詳しくは分かんないけどよー……」ポリポリ

佐天「……」

黄泉川「『光の三原色』ってのは確か……赤、青、緑だったじゃん……?」

佐天「……」

黄泉川「……」

佐天「えぇっっ!!?」ビクッ


977: 2011/02/09(水) 18:25:39.08 ID:1JQH59iAO
このスレでの投下はここで一旦終了です、次スレはもう少し書き溜めが進んでから立てようかと

結局>>782の台詞回収する前に終わっちゃったけども……

だがそんなもんは関係ねぇ、ガチ少年漫画SS、第二巻もよろしくね!!!!!!!好きなように埋めてくれキャピ

978: 2011/02/09(水) 18:27:30.70 ID:JRyfy5ljo

ジャッジメントで検索し続ければいいのかな?
それとも絶対等速?

980: 2011/02/09(水) 18:34:02.95 ID:1JQH59iAO
>>978
今の所スレタイは

垣根「ジャッジメントか……悪くねぇ」第二巻

にするつもりです、センスの欠片もないけど

ちなみに絶対等速さんは下手したら出番終了してるかも

引用: 垣根「ジャッジメントか……悪くねぇ」