3: 2011/01/09(日) 19:29:55.56 ID:SIsG4nrx0
4: 2011/01/09(日) 19:31:37.97 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)シリーズ
(*^ω^)
ブーンは、心躍らせていた。
ここは、港町ガライ。
その昔、さすらいの吟遊詩人ガライがこの町を作った事から、その名をガライの町とする。
勇者ロトの子孫を追い、ラダトームからの旅をしてきたブーンは、ようやくこの町に辿り着いた。
道中、氏ぬような目に何度も遭遇し、すり減った精神と傷ついた体――――――それを、癒せる。
(*^ω^)
ブーンは、心躍らせていた。
ここは、港町ガライ。
その昔、さすらいの吟遊詩人ガライがこの町を作った事から、その名をガライの町とする。
勇者ロトの子孫を追い、ラダトームからの旅をしてきたブーンは、ようやくこの町に辿り着いた。
道中、氏ぬような目に何度も遭遇し、すり減った精神と傷ついた体――――――それを、癒せる。
5: 2011/01/09(日) 19:32:53.29 ID:SIsG4nrx0
喧噪、活気あふれるその町で、ブーンは一息をつく。
( ^ω^)(人がいるっていいもんだお)
( ^ω^)(今までの旅は、ほとんど一人で、寂しかったんだお)
( ^ω^)(こうやって人々の賑わい、雑踏の中にいると、それだけで安心するお)
ここは比較的小さな町だが、さわやかな潮風が香る。
沿岸にあるこの町は、漁業によって栄え、それなりに活気に満ちていた。
いや、小さい町だからこそ、今まで竜王軍によって侵攻を受けなかったとも言える。
この町で、旅の疲れを取ろう。
6: 2011/01/09(日) 19:34:37.85 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「・・・さて、まずは何をするかお」
やるべき事はたくさんある。
食料や必要品の補充、買い込み作業。
ロトの勇者の情報の聞き込み。
調子の悪い道具の補修や衣類の洗濯。
怪我の治りを良くするための、消毒や包帯。
装備の充実をはかるなど・・・
しかし。
8: 2011/01/09(日) 19:36:35.87 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)<グウゥウゥウウ--......
( ^ω^)「あ」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)「・・・まずは、」
(*^ω^)「飯だお」
9: 2011/01/09(日) 19:39:03.57 ID:SIsG4nrx0
腹が減っては戦ができぬ。
まずは、先ほどから鳴り止まぬ空腹をどうにかする事にした。
そして、腹を満たしたら、寝よう。
宿屋で思い切り爆睡しよう。
旅の疲れを、癒すのだ。
ブーンはふらりと歩き、良さそうな食堂を探す。
10: 2011/01/09(日) 19:40:50.70 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「むむむ・・・ このお店から、とっても良い匂いがするお!」
これといった店をみつけ、入る。
『磯料理、タカオカ亭』
11: 2011/01/09(日) 19:42:39.79 ID:SIsG4nrx0
港町であるこの町は、漁業が盛んな事で有名だ。
さぞかし美味い、磯の名物料理のある事だろう。
金はある。ラダトームで支給された支度金、
それに先ほど、旅の中で手に入れた品々を、いくらか金に換えていた。
モンスターや動物に襲われても、その氏骸から使えそうな物をはぎ取り
それを有用に活用するのも、旅では重要な方法だ。
( ^ω^)「ごめんくださいお」
从 ゚∀从「いらっしゃい」
12: 2011/01/09(日) 19:44:43.13 ID:SIsG4nrx0
店内は、寂しい外装とはうって変わって、華やかな印象を受ける。
砂の入った瓶、壁は色をつけた貝殻で装飾されている。
カウンターに、珊瑚が飾ってあった。
時間が飯時を外しているせいか、客は少なかった。
というより、入って来たブーン一人だけだった。
( ^ω^)「まずは、このお店で、一番オススメのものをおねがいしますお!
あ!いや、もう一皿、違うものを」
从 ゚∀从「あいよーわかったぃ」
15: 2011/01/09(日) 19:48:22.54 ID:SIsG4nrx0
女主人か。見た目はかなり若く見えた。
みずみずしく豊満で、健康的な体つきに、すこし目を奪われた。
主人は、料理をつくりはじめた。
( ^ω^)「・・・ふー やっとまともな食事ができるお」
从 ゚∀从「にいさん、旅人かい?この辺じゃあ、見ない顔だねぇ」
17: 2011/01/09(日) 19:50:17.47 ID:SIsG4nrx0
女主人が、具材を刻みながら話しかける。
トントンサクサクと、小気味良い音が響く。
( ^ω^)「そうだお。ラダトームからきましたお」
从 ゚∀从「へえ、ラダトームねぇ。あすこは、大きい都なんだろう。一度、いってみたいねぇ」
( ^ω^)「規模は大きいですお。人も多いし。でも、人口密度で言えば、この町の方が」
从 ゚∀从「ふぅん」
( ^ω^)「確かに大きいけど、ラダトームの人間はいつも暗い顔をしているお。
魔物の襲撃に脅かされて・・・ でも、この町の人はみんな、元気で明るいおね」
从 ゚∀从「ははっ、そうだろう。この町の奴らぁ、楽観的で、前向きさ」
从 ゚∀从「なにせ、町の創設者が遊び歩いてた、吟遊詩人なんだ。そういう気風なんだろうねぇ」
( ^ω^)「楽しくなる町ですお」
18: 2011/01/09(日) 19:53:22.09 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从「そういやこの間、ラダトームが魔物に襲われたって話を聞いたが ・・・大丈夫だったのかい?」
( ^ω^)「・・・・・・村人の、何人もが氏にましたお」
从 ゚∀从「はぁ、そうかぁ・・・お気の毒にな」
从 ゚∀从「ったく、いつになったら世界の景気はよくなるのかねぇー・・・ っと」ジャー
( ^ω^)(・・・・・・)
从 ゚∀从「ほい、できたよ」
ブーンの前に、皿が置かれる。
(*^ω^)「おおっ!これは美味しそうだお!」
20: 2011/01/09(日) 19:56:50.26 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「これは、なんだお?」
从 ゚∀从「蟹と貝の羊乳焼き塩胡椒、それに鱈とニンニクの辛味スープだよ」
ふうわりとした新鮮な磯の香りと、香ばしいニンニクの香りが、食欲をそそる。
ブーンの腹が、またグゥと鳴った。
22: 2011/01/09(日) 19:59:05.71 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从「今日は良い鱈が入ったからね。コイツはいけるよ」
(*^ω^)「うっはぁ・・・ いただきますお!」
( ^ω^)「ハフハム!モグ・・・」
( ;゜ω゜)「・・・ぅううううまいおおおお!? こっ・・・これはやめられないとまらないお!」ガツガツ ズルズル
从; ゚∀从「おーおー、すごい勢いで食うな」
(*^ω^)「め、めちゃくちゃ美味しいですお! も、もう一人前違うもの下さいお!」ムシャムシャ
23: 2011/01/09(日) 20:01:32.21 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从「いやぁ、いい食いっぷりだねぇ、よっぽど腹が空いてたんだな」
( ^ω^)「このお店にして、よかったですお!ブーンの目に、いや鼻に狂いはなかったですお!」
从 ゚∀从「そうまでいってくれると嬉しいねえ、腕にヨリをかけた甲斐があるってもんさ。
よっしゃよっしゃ、もう一品、サービスしたるわ」
(*^ω^)「あ、ありがとうございますお!」バクバク
24: 2011/01/09(日) 20:03:36.49 ID:SIsG4nrx0
自然の中では味わえない、丁寧に調理された料理。
胃の腑にまで、じんわりと感動がしみ込む。
今まで味気のない木の実や野草ばかりだった。
獣をとって食べた事もあったが、やはり旅の途中。
十分な調味料もないので、味気のある調味などはできない。
ブーンは、久方ぶりの「料理」を、心ゆくまで堪能した。
27: 2011/01/09(日) 20:11:35.99 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「ふー・・・ 食べたお。 満足だお・・・」
从 ゚∀从「結局、5人前も食べよった・・・ なかなか食うねえアンタ」
( ^ω^)「すばらしい料理でしたお。ラダトームにも、こんなに凄いお店は無いお」
从 ゚∀从「そうだろそうだろ。ウチのは新鮮な材料をたっぷり使ってるんだ。栄養も満点さ!」
从 ゚∀从「なにせ、あのロトの勇者のお墨付きだからな」
( ^ω^)「!!」
28: 2011/01/09(日) 20:12:53.45 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「ロトの勇者が・・・ここに立ち寄ったんですかお?」
从 ゚∀从「ああ、そうだよ。しばらくこの店に通ってくれてね」
从 ゚∀从「いい男だったのに・・・ 竜王軍に捕まっちまうなんてねぇ」
( ^ω^)「ロトの勇者が・・・ここへ・・・」
( ^ω^)「そのときの話を、聞かせてくれませんかお?」
从 ゚∀从「へ?ああ、いいよ」
偶然入ったこの店で、ロトの勇者の手がかりを得られたのは、幸運だった。
やはりこの店にして良かったと、ブーンは思った。
30: 2011/01/09(日) 20:24:21.96 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从「4年くらい前かなぁ。
まだ俺のおっかさんが生きてて、一緒にこの店を切り盛りしてた頃にさ」
从 ゚∀从「あのロトの勇者さんがきて、しばらくこの町に留まってたんだ」
从 ゚∀从「で、この店にも馴染んでもらえてね。
5、6日に一回はきて、アンタみたいに思い切り食っていったよ」
( ^ω^)「すると、この町にはかなり滞在してたんだお」
( ^ω^)「いったい、何の為に、この町に・・・?」
从 ゚∀从「なんでも、修行だっていってたな」
( ^ω^)「修行・・・?」
31: 2011/01/09(日) 20:27:41.04 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从「この町のかなり南の方に、岩山の洞窟があるんだ。
そこで、勇者さん修行してたんだ。魔物を相手にさ」
从 ゚∀从「そこは、凶悪な魔物で溢れてる。熟練の兵士でも、生きて帰るのは困難さ」
从 ゚∀从「この町と、その岩山の洞窟を往復。しかも、結構なスピードでだよ」
从 ゚∀从「で、その洞窟からボロボロになって帰って来て、」
从 ゚∀从「ウチの店で腹いっぱい食ったら、宿屋に泊まって思い切り寝るんだ」
从 ゚∀从「その繰り返しを、ずっとしてたんだ。すげえよなぁ」
( ^ω^)「・・・・・・」
32: 2011/01/09(日) 20:28:46.84 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从「当時は、その勇者さんが、ロトの勇者だって話は誰も信じなくてさ」
从 ゚∀从「でも、そうやって頑張ってる姿を、町の人々は応援してた」
从 ゚∀从「実際、この町の近くに魔物がせめて来た事があって、
その時も、勇者さんが退けてくれたんだ」
从 ゚∀从「あいつなら、本当にやれるんじゃないかって、みんな期待してたんだ」
从 ゚∀从「あとあとの風の噂で、その人がロトの勇者だったってことは、この町にも伝わったんだけど・・・」
从 ゚∀从「その時はすで、勇者さんが竜王の野郎に捕まったって噂も聞いててさ」
从 ゚∀从「やっぱりロトの勇者でも駄目なのかぁ、って落ち込んだりもしたなぁ」
33: 2011/01/09(日) 20:31:00.17 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「なるほど・・・」
( ^ω^)「その修行の後は、何処にいったんだお?」
从 ゚∀从「その後は、確かマイラにいくって言ってたっけな」
从 ゚∀从「村のみんなで見送るとき、ウチのカーチャンも泣いちゃって泣いちゃって。
なんかファンだとか、いってたしなぁ。ハハハ」
从 ゚∀从「ま、そんな感じだな。大体知ってる事は、こんぐらいだよ」
( ^ω^)「いや、ありがとうお、聞けて良かったお」
( ^ω^)「参考になったお」
34: 2011/01/09(日) 20:37:31.23 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从「てか、そんな話きいてどーすんだ?アンタも勇者のファン?なわけないか」
( ^ω^)「お・・・ブーンは」
从 ゚∀从「もしかして、アンタも竜王倒す旅・・・って訳かい?」
( ^ω^)「そうだお」
从 ゚∀从「おー・・・ そりゃ勇敢な事だけどね」
从 ゚∀从「やめときなよ。あの勇者でさえ、竜王には勝てなかったんだ」
从 ゚∀从「アンタふとっちょで、とろそうだし・・・ 氏んじまうのがオチだよ」
( ^ω^)「ブーンは動けるデブですお!」
35: 2011/01/09(日) 20:38:42.54 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从「まぁ、アンタの人生だ、好きにしたらいいさ」
从 ゚∀从「ただ、アンタが良ければ、この町で暮らすのも悪くないと思うぜ?」
从 ゚∀从「美味い魚と、人情のあるトコだよここは」
( ^ω^)「・・・本当にここはいい町ですお」
从 ゚∀从「だろ。アタシも気に入ってんだ」
从 ゚∀从「この町で生きて、この町で氏ぬ。それが、この世界で生きる最高の幸せさ」
( ^ω^)「・・・・・・」
37: 2011/01/09(日) 20:40:47.84 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「この町は、本当にいい町だお」
( ^ω^)「でも・・・いつ魔物に教われるかも知れない恐怖も秘めながら暮らす」
( ^ω^)「現に、他のいくつもの町が滅ぼされてきているお」
( ^ω^)「この町の人だって、いままで全員無事だった訳じゃないはずだお」
从 ゚∀从「・・・・・・」
( ^ω^)「・・・きっと、本当の幸せは」
( ^ω^)「竜王を倒して、平和な世界を手に入れる事だお」
( ^ω^)「誰も心に不安のない、晴れやかな青空の世界だお」
38: 2011/01/09(日) 20:43:16.09 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从(!)
从 ゚∀从(コイツ・・・勇者さんと同じ事を・・・)
从 ゚∀从「んー・・・ まぁそれができればそうなんだけどさ」
( ^ω^)「だお。そのために、どこまでやれるか解らないけど、」
( ^ω^)「自分の出来る事を、するお。命を賭して」
―――――――――
(,,゚Д゚)
―――――――――
( ^ω^)(・・・ギコが、そうだったように)
39: 2011/01/09(日) 20:46:10.83 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从「・・・そうかい、なら、頑張りな。アタシも応援すっからさ!」
( ^ω^)「ありがとうだお!」
从 ゚∀从「あはは」
( ^ω^)「なら、お願いしたいお。何日に一度かおいしいご飯を、食べにくるお。
栄養のつくものを、おねがいしますお」
从 ゚∀从「・・・ん?何日に一度・・・ってまさか」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)「それじゃ、もう行きますお。お話きかせて頂いて、ありがとうございましたお」
从 ゚∀从「あ、ああ」
41: 2011/01/09(日) 20:47:56.11 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「それじゃあ、勘定おねがいするお」
从 ゚∀从「いいよ」
( ^ω^)「え?」
从 ゚∀从「次にくるまで、ツケとくよ」
从 ゚∀从「アンタが、生きて帰ってくりゃあね」
( ^ω^)「・・・!」
( ^ω^)「ありがとうだお!」
从 ゚∀从「フフッ」
43: 2011/01/09(日) 20:49:16.59 ID:SIsG4nrx0
从 ゚∀从「そういや、名前きいてなかったね。アンタ、名前は?」
( ^ω^)「ブーンですお。あなたは?」
从 ゚∀从「アタシはハイン。ま、ヨロシク頼むよ」
( ^ω^)「ハインさん、きっと食べにくるお!まっててお!」
从 ゚∀从「ああ、それじゃ、いってらっしゃい」
从 ゚∀从「気をつけてな」
( ^ω^)「お!」
44: 2011/01/09(日) 20:51:13.28 ID:SIsG4nrx0
ブーンは店を出た。これからの指針が見えてきた。
今まで、竜王のもとへ到達すればいいと思っていた。
しかし、それでは駄目だ。
これまでの旅では魔物から逃げて来た。
どうすれば遭遇しないかを、常に考えて来た。
多分、普通の旅ならそれでいいのだろう。
危険を避ける事は、旅にとっては重要だ。
45: 2011/01/09(日) 20:52:59.71 ID:SIsG4nrx0
しかし、ブーンの旅は違う。
ブーンの目的は、竜王を倒す事。
あの魔の島へ到達し、竜王を倒さねばならないのだ。
奴を倒す事で初めて、真の平和を取り戻せる。
それには、自分自身が、強くあらねばならない。
何者よりも、強くなくてはいけない。
強くなる為には、逃げてはならない。
47: 2011/01/09(日) 20:54:20.69 ID:SIsG4nrx0
ロトの勇者はそれに気づき、岩山の洞窟で修行をしたのだ。
自分は、ロトの勇者の跡を辿っている。
ならば、沿おう。彼の軌跡に。
自分も身を投じよう。厳しくも辛い、修練の日々に。
( ^ω^)
ブーンは決意する。強くなる。誰よりも、何者よりも。
48: 2011/01/09(日) 20:57:09.38 ID:SIsG4nrx0
友との誓いを、揺るぎなきものにする為に。
店では決して見せる事の無かった彼女の、本当の笑顔を取り戻す為に。
( ^ω^)「・・・ちょっと、食い過ぎたかお」
店の外は、もう暗くなっていた。
ブーンは宿を探す。
冷たい潮風が、少し目にしみた。
to be continue...!!
49: 2011/01/09(日) 20:58:51.72 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)ブーンの今のステータス
LV6
こんぼう
かわのふく
今回登場した敵
なし
58: 2011/01/09(日) 21:17:54.12 ID:SIsG4nrx0
第4話
59: 2011/01/09(日) 21:19:29.61 ID:SIsG4nrx0
広漠な大地。風が吹き付けるその荒野を、一人の男が行く。
( ^ω^)
ブーンである。
今、彼はガライの町から南下している。
目指すは、岩山の洞窟。
そこで修行を積む為に、ガライの町を後にしていた。
60: 2011/01/09(日) 21:22:08.60 ID:SIsG4nrx0
ガライの町で、いろいろと装備を整えた。
干し芋、乾燥豆などの携帯食料、薬草。
ほつれ破けた衣類も修繕した。
そして、剣を買った。銅の剣。
今までは、できるだけ軽い武器をということで、手製のこん棒を愛用していた。
しかし、そんなものが通用する程、これからの敵は甘くない。
ズシリと手に重い剣は、扱いにくそうだが、鋭く高い攻撃力を予感させる。
ラダトームにいたころ、ギコに剣術の真似事を指南してもらった事があった。
自警団の剣術練習に、参加させてもらっていたのだ。
61: 2011/01/09(日) 21:25:29.98 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)『はぁ、ふぅ、』
(,,゚Д゚)『うん、なかなか筋がいいぞ、ブーン!』
( ^ω^)『はぁ、はぁ。でも、なかなか思うようにできないお。
自警団員の人相手に、一本も取れないお』
(,,゚Д゚)『そらまぁ、自警団だって練習してるし』
( ^ω^)『はぁ。みんな、すごい剣さばきだお。剣技の応酬だお』
(,,゚Д゚)『うーん・・・ まぁ、な』
(,,゚Д゚)『でもブーン、お前は、魔物からカーチャンを守る為に、強くなりたいんだろ?』
( ^ω^)『お?そうだお』
63: 2011/01/09(日) 21:29:09.21 ID:SIsG4nrx0
(,,゚Д゚)『だったら、べつにそこまで、華麗な剣術にこだわるこたぁないんだよ』
(,,゚Д゚)『今練習してるのは、所詮対人の、剣術同士の練習だ』
(,,゚Д゚)『魔物を退ける為の剣術じゃない』
( ^ω^)『おお・・・お?』
(,,゚Д゚)『魔物との野戦では、技もクソもない。頃すか殺されるか。何でもアリだ』
(,,゚Д゚)『相手を頃す為なら、剣術にこだわる必要も無い。
逆に形だけの剣術の理合なんか知ってた方が、かえって邪魔になることもある』
(,,゚Д゚)『魔物相手の勝負なら、技も何も無く、相手の急所や弱点に
どれだけ力強い攻撃を撃てるかを考えるんだ』
(,,゚Д゚)『だから、腕力のあるブーンは、それだけで才能があるってことだ』
(,,゚Д゚)『魔物の潰し方なんて、魔物と戦わなきゃ覚えらんねえしよ』
66: 2011/01/09(日) 21:32:29.24 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)『そうかお・・・』
(,,゚Д゚)『まぁ、つっても俺もそんなに魔物との戦闘経験があるわけじゃねえけどな』
( ^ω^)『なるほどお』
(,,゚Д゚)『しかし、剣の振り方の基礎だけは、やっといた方がいいぜ。
あとあれだ、女の子とヤルときの、腰の振り方。この二つは覚えとけや』
( ^ω^)『なるほどなるほど』
(,,゚Д゚)『いやあ、でもモテる俺と違って、ブーンじゃ腰の振る相手がいねえかもな!ギコハハwwwwww』
( ^ω^)『なるほどなるほどなるほど。 ところでギコ、後ろにしぃさんがいるお』
(,,゚Д゚)『・・・へ?』
68: 2011/01/09(日) 21:35:06.64 ID:SIsG4nrx0
(*゚ー゚)『・・・・・・』
(;,,゚Д゚)『あ、ああ、しぃ。きてたのか』
(*゚ー゚)『・・・ふぅん。誰と、腰をふるって?』
(;,,゚Д゚)『いや、ご誤解!誤解っすよ!そんなチャラ男じゃ・・・』
(♯*゚ー゚)『こぉの軽薄男!寄るんじゃないわよ!』バシィッ
(;,,゚Д゚)『のぉおおおう!!』
( ^ω^)『wwwwwwwww』
70: 2011/01/09(日) 21:39:20.76 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「・・・・・・」
時々、脳裏によぎるあの頃の日々。それを思い返すたび、
あの忌まわしい惨劇の情景も同時にフラッシュバックするのであった。
しかし、ギコのいうように、魔物との戦い方は魔物との戦闘で覚えてくしかない。
この剣の扱いにも、そうしていく内に、今に慣れてくるはずである。
72: 2011/01/09(日) 21:42:14.18 ID:SIsG4nrx0
防具には、くさりかたびら。多少重いが、優れた耐久力を誇る。
それと、皮のたて。
堅木を自分で削り、それに魔物や動物の皮を繋ぎあわせて、盾にした。
これらを装備したブーン、その出で立ちはまるで、騎士か兵士に見えた。
(*^ω^)「・・・なんか、かっこいいお」
( ^ω^)「でも、ちょっと重いお」
( ^ω^)「少しずつ、体を慣らしていくお」
73: 2011/01/09(日) 21:45:24.99 ID:SIsG4nrx0
これだけ装備を充実させるのは、そう。
これからの修行の事を考えてである。
今からいく洞窟は、危険で獰猛な魔物達のひしめく住処。
生半可な装備では、たちまち殺されてしまうだろう。
ガライを発って、既に数日。
そろそろ、岩山に到着する頃のはずだ。
75: 2011/01/09(日) 21:48:19.30 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「・・・お!アレかお?」
山が見えて来た。おそらく、あそこだろう。
岩山の洞窟――――通称、蛇迷い穴。
洞窟からは、嫌な匂いがした。
湿った空気――――何かがざわつく気配。
( ;^ω^)「・・・・・・」
ブーンは、身震いした。
77: 2011/01/09(日) 21:50:18.28 ID:SIsG4nrx0
まず、一日目は、洞窟に入らない。
疲れがたまっている今、いきなり敵地に飛び込むのは危険である。
洞窟の近くの林に、拠点を置く事にする。
ブーンは、火を起こした。
長距離を歩いて来て疲れた足の筋肉を、ゆっくり時間をかけて揉みほぐす。
こうしなければ、明日はガチガチの足で挑む事になる。
近くで食べられそうな野草を採り、煮た。
ついでに捕まえたトカゲも、串にさして焚き火に突っ込む。
トカゲは、精をつけるにはいい食料になる。
79: 2011/01/09(日) 21:53:12.85 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「明日は・・・氏ぬか生きるか。どうなるかねぇ」
それに答えるように強い風が吹き、焚き火の炎を揺らめかせた。
81: 2011/01/09(日) 21:56:07.97 ID:SIsG4nrx0
次の日。
ブーンは夜明け前に、準備をし始める。
吐く息が、白い。相当の冷え込みになる日だろう。
洞窟にもっていかない鍋や衣料などの荷物を、土中に埋めた。
もっていくのは、必要最低限の水と食料、それに薬草。
洞窟内の明かりをともす、たいまつ。
それに、武器である。
日が明け始めた。ブーンは、洞窟に向かう。
まだ日の浅いうちから行動するのは、理由がある。
魔物は基本的に、夜に覚醒し力を発揮、その行動を活発にする。
なので、できるだけ日暮れ以降に魔物と相対しない方が良いのだ。
82: 2011/01/09(日) 21:59:03.45 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)「・・・よし。いくかお」
おぞましい気配をもつ、洞窟の中に、慎重に足を踏み入れた。
( ^ω^)「・・・・・・」
天井の岩肌から、ピチョンピチョンと、水が滴り落ちる。
たいまつの火種にあたり、ジュウと音がした。
84: 2011/01/09(日) 22:01:21.53 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)(すごい湿気だお)
何かを踏んだ。
それは脆く、砕けて割れた
( ^ω^)(! これは・・・)
( ^ω^)(骨・・・ 人骨だお)
( ;^ω^)(・・・)
( ;^ω^)(下手を打てば)
( ;^ω^)(自分もこうなるって事かお)
85: 2011/01/09(日) 22:03:25.73 ID:SIsG4nrx0
暗い、暗い。
闇が、恐怖を加速させる。
耐えてしばらく、進んで行く。
( ^ω^)(ずいぶん骨が多いお)
( ^ω^)(これは・・・ここでとってきた獲物を食ってる、餌場ってことかお)
( ;^ω^)「・・・ぐ、ぉぇ」
その情景を想像し、気持ちが悪くなった。
86: 2011/01/09(日) 22:05:37.78 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)(・・・ん?)
( ^ω^)(やけに、かたちのいい人骨だお)
( ^ω^)(ていうか)
( ^ω^)(立っ・・・て え?)
89: 2011/01/09(日) 22:07:25.41 ID:SIsG4nrx0
がいこつ「・・・ガカカッ!」
( ;゜ω゜)「うわぁっ!!」
がいこつ「カカッ」
( ;^ω^)(こいつ・・・魔物かお!?)
( ^ω^)「・・・ふっ!!」シュッ
がいこつ「カッ!?」ザキッ
がいこつ「・・・カカァッ」ボッ
( ;゜ω゜)「・・・うぐっ!?」ドスッ
90: 2011/01/09(日) 22:11:34.62 ID:SIsG4nrx0
骸骨の、強烈な一撃が、ブーンの腹にめり込む。
ブーンは崩れ落ちた。
( ; ω )「おおっ・・・!ぐ」
がいこつ「クカカッ」シュバッ
魔物の鋭い指先が、ブーンの頬肉をえぐりとった。
91: 2011/01/09(日) 22:12:35.64 ID:SIsG4nrx0
(メ;゜ω゜)「ぐあああ・・・ッ!!」
(メ; ω )「・・・」
(♯^ω^)「あああっ!」ビヒュッ
がいこつ「カカッ!」バキッ
ブーンも応戦する。剣を敵の体に振り下ろす。
しかし、敵の骨が少しかけた程度だった。
93: 2011/01/09(日) 22:14:57.79 ID:SIsG4nrx0
(メ;^ω^)「はぁッ、はぁッ!」
がいこつ「クカッ」ガブッ
(メ;゜ω゜)「あああああああああッッッ!!!」
右肩肉、喉の近くに噛み付かれる。凄まじい激痛。
ブーンは、魔物を突き飛ばす。
肩の肉が、ベリリと剥がれ、思わず声が漏れる程の痛みに。
94: 2011/01/09(日) 22:16:42.59 ID:SIsG4nrx0
(メ;゜ω゜)「ひ・・・ひぃ・・・」
ブーンは逃げた。走った。
走るたびに激しい痛みで、くらくらする。
骸骨は追って来ているのか。
わからない。一度も振り返らない。ひたすらに、走る。
よたよたと、走る。
95: 2011/01/09(日) 22:19:20.93 ID:SIsG4nrx0
(メ; ω )「・・・・・・」
どれだけ走ったか。
闇雲に走ったため、今自分がどこにいるのか解らなかった。
おまけに、たいまつも落とした。
暗い。本当の暗闇。
ブーンは、手探りで薬草と包帯をだし、肩に巻いていた。
首元から溢れる血の暖かさとは対照的に、体の芯が冷えていた。
寒さで、震えた。
血を流しすぎたためか。それとも、恐怖によるものか。
96: 2011/01/09(日) 22:22:37.36 ID:SIsG4nrx0
(メ;^ω^)(・・・まずいお)
(メ;^ω^)(一旦、外に出て体勢を立て直さなきゃ)
(メ;^ω^)(これはマジで)
(メ;^ω^)(氏
氏
氏?
97: 2011/01/09(日) 22:29:15.64 ID:SIsG4nrx0
(メ;゜ω゜)「・・・・・・」
目の前に、大きなこうもりがいた。
(メ;^ω^)「ドラ・・・キー?」
ドラキーマ「キシャアアアアアアッッ!!」ガッ
(メ;^ω^)「・・・あぎっ!」
腕に、噛み付かれた。
98: 2011/01/09(日) 22:30:59.90 ID:SIsG4nrx0
(メ;^ω^)「うわあああああっ!」ザシュン
ドラ「ギシィッ!」
魔物の羽を、切り落とす。
ドラ「キィイアアアアッ」
しかし、それでも敵は攻撃をやめない。
太ももを、大きく切り裂かれた。
(メ; ω )「は・・・っ!!!!」
101: 2011/01/09(日) 22:33:26.11 ID:SIsG4nrx0
思い切り、剣を振る。闇雲に振る。
魔物を挿した。魔物に挿した。剣を、ふった。ふった。
自分の足ごとでも構わない。けんをつきさす。
ドラ「キュィイ・・・」
魔物は、沈黙した。
103: 2011/01/09(日) 22:35:41.19 ID:SIsG4nrx0
(メ ω )「は・・・は・・・」
ここにいては、氏ぬ。逃げなければ。
ここから、出なければ。
歩く。歩き出す。あるこう。。
だがしかし、あしにちからが入らない。たてない。がくがくする。
あるかなくては。すすまくては。
ちからをふりしぼれ
すすめ
すすめ
104: 2011/01/09(日) 22:37:14.95 ID:SIsG4nrx0
108: 2011/01/09(日) 22:39:45.31 ID:SIsG4nrx0
(メ ω )「・・・・・・」
気がつくとブーンは、川のほとりに倒れていた。
川のせせらぎで、目を覚ます。
(メ^ω^)「こ・・・こは・・・」
外だった。洞窟の外だ。
109: 2011/01/09(日) 22:41:09.84 ID:SIsG4nrx0
(メ^ω^)「・・・」
自分は、あの地獄から脱出できたのか。
何も覚えていない。闇雲に動いた事と、恐怖だけが記憶に。
しかし、どうやら命はあるようだ。
(メ^ω^)「・・・」
(メ;^ω^)「・・・うっ・・・・・・!」
覚醒すると同時に、体中に激痛が走る。
110: 2011/01/09(日) 22:43:33.40 ID:SIsG4nrx0
(メ;^ω^)「くは・・・はぁ」
(メ;^ω^)(まずいお)
(メ;^ω^)(こんなところで大怪我をして倒れていたら)
(メ;^ω^)(魔物の、格好の餌食だお)
(メ;^ω^)(・・・でも、体が動かないお)
(メ;^ω^)(くそ・・・)
113: 2011/01/09(日) 22:45:43.79 ID:SIsG4nrx0
ガサッ・・・
(メ;^ω^)(!)
(メ;^ω^)(くそぉ・・・まものかお・・・!?)
114: 2011/01/09(日) 22:47:13.73 ID:SIsG4nrx0
( ゚∀゚)「あれ。起きたか」
(メ^ω^)「・・・」
(メ^ω^)「ひ・・・ひと・・・?」
( ゚∀゚)「大丈夫か?まったく、ひでえ傷だなぁ」
(メ^ω^)「あ・・・アンタは・・・?」
( ゚∀゚)「通りすがりのもんだ。あの洞窟の前に、お前さんが倒れてたんだよ」
( ゚∀゚)「ボロボロでな。だから、ここに連れて来たんだ」
(メ^ω^)「お・・・」
116: 2011/01/09(日) 22:50:11.70 ID:SIsG4nrx0
( ゚∀゚)「とりあえず、お前さんの持ってた包帯を、巻いといたぜ。
巻き方良く解らんかったけど」
よくみると、体のあちこちに、包帯が巻かれていた。
確かに、雑な巻き方だったが。
(メ^ω^)「たすけて・・・くれたのかお・・・ありがとうお」
( ゚∀゚)「あー、いいってことよ。気にすんな」
( ゚∀゚)「今、湯を湧かしてる。それで、ちょいと消毒だな」
(メ^ω^)「ああ・・・」
118: 2011/01/09(日) 22:52:25.12 ID:SIsG4nrx0
救われた。どうにか、助かりそうだ。
緊張していた心は、軽くなった。大きなため息をついた。
涙がこぼれそうになる。
(メ^ω^)「な・・・名前を教えてくださいお」
黒髪で、褐色の肌。灰色の瞳――――
変わった風貌をしたその男は、答える。
120: 2011/01/09(日) 22:53:52.60 ID:SIsG4nrx0
( ゚∀゚)「俺か。俺の名は、ジョルジュ」
( ゚∀゚)「ジョルジュ・ヴァラスだ」
しかし、その言葉を聞く前に、安堵の為か、ブーンはまた気を失った。
ジョルジュは、やれやれ、と呟いた。
to be continue...!!
123: 2011/01/09(日) 23:02:25.06 ID:SIsG4nrx0
( ^ω^)ブーンの今のステータス
LV6
どうのつるぎ
くさりかたびら
かわのたて
今回登場した敵
がいこつ:アレフガルドでは、心半ばにして亡くなった氏者の骨は、竜王の魔力に囚われ、魔物となる。
知能はなく、ただ人を傷つける事しか出来ない。
痛覚もないので、いくら攻撃しても怯まずに襲ってくる。
ドラキーマ:こうもりのモンスター、ドラキーの亜種。ドラキーよりも体が大きく、気性が荒い。
自然界の魔力をその身に蓄える力をもっており、ときには魔法で攻撃してくる。
125: 2011/01/09(日) 23:03:52.33 ID:SIsG4nrx0
以上で、本日分の投下終了。
支援ありがた杉ワロタ
支援ありがた杉ワロタ
129: 2011/01/09(日) 23:16:10.70 ID:mgTP/Ktl0
乙です
*
「リセットボタンをおしながら でんげんを きってください。」
*
「リセットボタンをおしながら でんげんを きってください。」
次回:( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)【Lv.3】
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