4: 2011/02/19(土) 23:25:55.84 ID:nrzMucf10

6: 2011/02/19(土) 23:27:53.06 ID:nrzMucf10
( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)シリーズ

寂寞の荒野を、寄り添うようにして歩く二つの人影は、
まるで重なって一つの様に見える。


厳しい風に吹かれながら、フラフラと蟻の行進さながらに進んでゆく。



(メ^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ


ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書 (デジタル版SE-MOOK)
7: 2011/02/19(土) 23:29:55.77 ID:nrzMucf10


あの“沼地の洞窟”での激戦の末、見事勝利を果たした戦士と、
幽囚の身から解放され、自由となった姫君。


本当なら、姫を抱きかかえながら歩く戦士の姿でもあれば様になったろうが、
限界をみるブーンの体力から、それを強いるのは酷というものだ。

むしろ華奢な姫が肩を貸し、なんとか引きずられるように。



ξ゚⊿゚)ξ「がんばって、ブーン。もう少しよ!」

(メ^ω^)「おお・・・」



9: 2011/02/19(土) 23:32:18.98 ID:nrzMucf10


沼地の洞窟では、敵はあまり襲って来なかった。

おそらく、あの洞窟の主であるドラゴンを討ったからであろう。
知能の高い魔物が住み着いていた証拠だ。


ローラ姫をラダトームまで送り届けたいが、あの道程をまた引き返す事など出来ない。


ここは、一旦あの地点から最も近い町・・・リムルダールへと歩を進める。


そこで、ブーンの養生とロトの勇者の情報の収集をかねてのち、
姫をラダトームにまで送り届けよう。


それを当面先の冒険の予定とする。



10: 2011/02/19(土) 23:35:09.84 ID:nrzMucf10


(メ^ω^)「・・・・・・ぐ」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン。しっかり」


満身創痍とは、まさにこの事だ。
進むのも、姫の手を貸して貰わねば満足に歩けはしない。

表情も、どこか虚ろだ。


ブーンは、多くの血を失った。

しかしそれでも・・・・・・


(メ^ω^)「・・・・・・」

ξ;゚⊿゚)ξ「はっ」



12: 2011/02/19(土) 23:38:11.78 ID:nrzMucf10


リカント「グルルラルルルゥゥゥウウ・・・」


ξ;゚⊿゚)ξ「・・・ブーン・・・・・・」


((メ^ω^)「・・・・・・」ユラ・・・


リカント「ゴギャアアアアアッッ!!」



(メ^ω^)「・・・・・・」ドシュッ

リカント「・・・・・・グゲア?」



姫を守るという意思だけは失わない。




13: 2011/02/19(土) 23:41:34.75 ID:nrzMucf10


魔物の、首が落ちた。

その首が地面に落ちると同時に、ブーンも倒れる。


ξ;⊿;)ξ「ブーン!」

(メ-ω-)


魔の手から、絶対に姫を守る。
歩く時は足下もおぼつかないが、いざ戦闘になれば、渾身の力を発揮する。


もはやブーンは、脱力から俊速の一閃を放つ境地にまで達していた。



15: 2011/02/19(土) 23:45:05.05 ID:nrzMucf10


魔物を倒した後は、意識を失う。幾度となく、気絶と覚醒を繰り返す。



(メ^ω^)「・・・・・・お」

ξ;⊿;)ξ「ブーン、ブーン」

(メ^ω^)「・・・お待たせたしましたお。いくかお、お姫様」

ξ;⊿;)ξ「大丈夫?大丈夫っ?」


そしてまた歩きだす。


リムルダールへは、もうすぐだ。

さあ、その痛みに耐えて。


いざ進め。




18: 2011/02/19(土) 23:48:17.83 ID:nrzMucf10




ξ*゚⊿゚)ξ「わぁ・・・!」

(メ^ω^)「おお・・・・・・」



辿り着いた。


美しき湖の町――――――リムルダール。


大きな外壁に覆われ、門の外から中を眺める。

そこには、雄大で綺麗な湖が広がっていた。

湖の中心に向けて、橋が渡されている。
そこが、人が居住する集落だろう。



20: 2011/02/19(土) 23:51:04.71 ID:nrzMucf10


門に憲兵が数名いる。
厳重な警備体制をしいている町で、入国審査が必要だった。


ξ#゚⊿゚)ξ「何よ!重傷を負っている人間がいるのが解らないの!?
       早く通しなさい!私は、ローラ=ツン・デリ・・・モゴモゴ」

(メ;^ω^)「すいませんお。なるべく迅速に手続きして頂けると助かりますお」


二人のボロボロの姿を見るなり、憲兵たちは顔を見合わせ、
すぐに町に入れるように手続きを済ませてくれた。


そして、最寄りの医者の家への道順を聞き、門をくぐる。



22: 2011/02/19(土) 23:53:39.66 ID:nrzMucf10


高見から見通す湖の波紋の美しさに心捉われながら、病院へ向かう。

町に入ってからは安堵の為か、よりフラフラとしながら歩いた。



(´・ω・`)「やぁ。いらっしゃい。この薬水はサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
      ・・・・・・随分と重傷のようだね」


(メ^ω^)「お・・・先生、お願いしますお」

ξ゚⊿゚)ξ「この病院で最高の名医を呼んでちょうだい。
      ヤブ医者をあてたら、首を刎ねるわよ」

(´・ω・`)「この病院で医師は僕一人だけだが、腕には自信はあるけれどね。
      とりあえず診よう。横になりなさい」



24: 2011/02/19(土) 23:56:27.06 ID:nrzMucf10


ブーンは診察台に乗せられ、診察を受ける。


(´・ω・`)「ふむ」

(´・ω・`)「節々に火傷、体中の骨折に、重度の打撲、切り傷、失血」

(´・ω・`)「呼吸の仕方から、内蔵も痛めているだろうね」


医師は、てきぱきと手際良くブーンの傷を診る。


(´・ω・`)「だが、複雑な骨折は無いようだ。これなら、時間をおいて
      良くなりさえすれば、以前と変わらない動きができるよ」



26: 2011/02/19(土) 23:59:16.80 ID:nrzMucf10


(メ^ω^)「・・・・・・」

(´・ω・`)「あれ、気絶している。まぁ、コレだけの怪我を負えば当然だね」

ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!」

(´・ω・`)「何処でこんな怪我を負ったかは知らないが、よくここまで辿り着いたものだ」

(´・ω・`)「いや・・・毒のしけった香りがする。もしかして、“沼地”を超えて来たのかな」

(´・ω・`)「だがもう心配はいらない。ここで、ゆっくりと養生する事だね」


ξ゚⊿゚)ξ「ああ・・・ブーン・・・」

ξ;⊿;)ξ「・・・・・・よか・・・よかった・・・うぅ・・・」

(´・ω・`)「彼も大概だが、君もボロボロだ。診察しよう・・・おや、靴を履いていないじゃないか」
     
(´・ω・`)「・・・随分やつれているね。お腹も空いているだろう。
      あとで栄養のある物を作ってあげるからね」

ξ;⊿;)ξ「ひっ・・・ひっく・・・ありがろうごらいまふぅ・・・」



28: 2011/02/20(日) 00:01:14.82 ID:gfz+7D0v0


(´・ω・`)「ところで、君たちの名前は?彼はブーンといったかね」

ξ゚⊿゚)ξ「は、はい。私たちは・・・」


ξ゚⊿゚)ξ(はっ)



29: 2011/02/20(日) 00:02:33.24 ID:gfz+7D0v0



(メ^ω^)『ローラ姫様、聞いてくださいお』

ξ゚⊿゚)ξ『なに、ブーン?』

(メ^ω^)『姫様は、姫様だお。でも、その身分を明かせば、
      きっと、いろいろな姫様を狙う輩や、危険に巻き込まれるはずだお』

(メ^ω^)『だから、この国では、名前と身分を隠して頂きたいんですお』

ξ゚⊿゚)ξ『ええ。解ったわ』

(メ^ω^)『じゃあ・・・えーと、何とお呼びしたらいいか・・・』

ξ゚⊿゚)ξ『じゃあ、ツン』

(メ^ω^)『おっ?』

ξ゚⊿゚)ξ『ローラ=ツン・デリシア・ラルス』

ξ゚⊿゚)ξ『とって、ツンと呼んでちょうだい』



31: 2011/02/20(日) 00:06:01.01 ID:gfz+7D0v0


(メ^ω^)『ツン、ですかお』

ξ゚⊿゚)ξ『・・・それと、敬語もいらない。気を使われたくないし、
      何かよそよそしいわ。命を分けた間柄でしょう?』

(メ^ω^)『わ、わかりました・・・お』

ξ゚⊿゚)ξ『ほら!敬語になってるわよ!』

(メ^ω^)『・・・わかったお!ツン!』

ξ//⊿/)ξ『・・・・・・(ドキドキ)』





34: 2011/02/20(日) 00:09:26.30 ID:gfz+7D0v0



ξ゚⊿゚)ξ「・・・彼の名前は、ブーン」

ξ゚⊿゚)ξ「わたしは名前は、ツンです」

(´・ω・`)「ブーンさんにツンさん、だね」


(´・ω・`)「君たちの姿をみれば、何か訳ありのようだけどね」

(´・ω・`)「余計な詮索をするつもりは無いよ。患者の傷を治す事だけに専念するさ。
      それが僕のポリシーだからね」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ・・・ありがとうございます」

(´・ω・`)「じゃあ、ここに押印か名前を書いてね」



(メ-ω-)



そして、ブーン達の日は刻々と過ぎていった――――――。




36: 2011/02/20(日) 00:12:41.81 ID:gfz+7D0v0



(´・ω・`)「・・・どうかな?」

( ^ω^)「・・・大丈夫ですお!動けますお!」

(´・ω・`)「それは良かった」

(´・ω・`)「しかし、君の回復力には驚かされるね。
      あれだけの重傷を負っていたというのに」

( ^ω^)「ショボン先生の治療が良かったんですお。本当に感謝ですお!」

(´・ω・`)「いやいや、患者の為に尽力するのは医者として当然の事だ」

(´・ω・`)「それと、ツンさんの看病のおかげでもある」

( ^ω^)「おっおっ。ツン、ありがとうだお!」

ξ//⊿/)ξ「いいのよ!気にしないで・・・」



37: 2011/02/20(日) 00:14:37.02 ID:gfz+7D0v0


(´・ω・`)「しかし、こちらも小さい病院で人手が足りないからね。
      ツンさんが寝る間も惜しんで、ブーンさんを看病してくれたのは助かった」

(´・ω・`)「さすが、恋人同士の愛の成せる業だ」

ξ//⊿/)ξ「ちっ違います!恋人なんかでは・・・」

(*^ω^)「そ、そうだお先生、からわないで下さいおぉ・・・」


(´・ω・`)「なんにせよ、元気になって良かった」

(´・ω・`)「しかし、せいぜい今は歩けるようになったくらいだ。
      まだ無理はしないようにね。戦闘なんてもっての他だよ」

(´・ω・`)「竜王討伐は少し休憩し、しばらくこの町で羽を休めるといい」


( ^ω^)「わかりましたお」



39: 2011/02/20(日) 00:17:39.52 ID:gfz+7D0v0


ブーン達は何度も礼を言い、病院を後にした。


体の調子が戻るまで、この町で休養だ。

しかし、やる事も色々ある。
まず率先してするべき事は。


( ^ω^)「ツン、ローブを買うお」

ξ゚⊿゚)ξ「ローブ・・・」

( ^ω^)「ツンの衣服はもうボロボロだお。ブーンも人の事は言えないけど」

( ^ω^)「それに、人前にあまりツンの顔を見せるのは良くないお」

ξ//⊿/)ξ「そ、それって、美しい私の顔を独り占めしたいってこと?もう・・・」

( ;^ω^)「違うお。ツンは姫様なんだから・・・万が一にもバレないように、
      なるべく、顔の隠せる衣類がいいお」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね・・・私の似顔絵つきの手配書も、ちらほらあるしね」

( ^ω^)「とりあえず、いろいろ買いそろえたいし、市場に向かうかお!」



44: 2011/02/20(日) 00:25:55.49 ID:gfz+7D0v0


市場には、人が多い。

湖の近くにある市場。


喧噪に揉まれ、ブーン達は散策する。


           「へい、らっしゃい!美味しい川魚の干物だよ!」

      「鋤、鍬、鎌、刃物類はいらんかねー。安くしとくよー」

               「調味料各種!塩もコレだけの量で、たったの2ゴールド!」

   「藁、薪売ります。質のいい薪を置いてるよ」

           「新鮮な絞り立ての牛の乳、どうぞ飲んでいってくださーい!」



48: 2011/02/20(日) 00:29:31.83 ID:gfz+7D0v0


ξ*゚⊿゚)ξ「わぁ・・・!」


ツンは、ぱあっと目を輝かせた。

そして、あちこち物色する。


ξ*゚⊿゚)ξ「こ、これは・・・」

ξ*゚⊿゚)ξ「すごいわ!楽しい!」

( ^ω^)「ツン」



今まで何年もの間、あの暗闇に閉じ込められていた。

目に映る全てのものに興味を示すのは当然だった。



49: 2011/02/20(日) 00:34:36.90 ID:gfz+7D0v0


( ^ω^)「おっ!とりあえず、あそこに衣服屋があるお。
      あそこにいって、ツンのローブをみるお」

ξ*゚⊿゚)ξ「ええ!」


( ∵)「やぁ、いらっしゃい」

( ^ω^)「すいませんお、ローブが欲しいんですお」

ξ*゚⊿゚)ξ「綺麗で可愛いのがいいわ」

( ∵)「なるほどなるほど、ローブをお探しで。なら、こちらに・・・」


ツンは、様々な色形のローブに、あちこち目を配る。



51: 2011/02/20(日) 00:37:18.41 ID:gfz+7D0v0


ξ*゚⊿゚)ξ「迷ってしまうわ!」


( ^ω^)(ツン・・・嬉しそうで、何よりだお)

( ^ω^)(はやく、あの無情の日々を忘れて、
      これからの幸せな生活を満喫していって欲しいものだお)


ローラ姫・・・ツンは、よく夢にうなされていた。
あの暗闇の牢獄に捕われていた時の夢を。


しかし、いずれ時がすべてを洗い流してくれるだろう。

ブーンはそうであって欲しいと、心からそう願う。



53: 2011/02/20(日) 00:40:35.16 ID:gfz+7D0v0


ξ*゚⊿゚)ξ「どうしましょう・・・」


( ^ω^)「ときに店主、ここは武器防具などの装備品は売ってないんだおね?」

( ∵)「ええ、そうですね。そういったものは」

( ∵)「ですが、お隣に武具屋がありますよ。そこへ行かれてはどうでしょう」

( ^ω^)「あ、隣が武具屋なのかお!」

( ^ω^)「じゃあちょっと行ってくるかお。ツン」


ξ゚⊿゚)ξ「はい」

( ^ω^)「隣の店をみてくるお。ツンはここで、ローブを選んでてくれお」

ξ゚⊿゚)ξ「わかったわ!」



56: 2011/02/20(日) 00:43:26.58 ID:gfz+7D0v0


ブーンは隣の店へ移動する。


( ^ω^)「ごめんくださいおー・・・」


質の良さそうな武具品がいくつも置いてある。
これは、装備の買い替え時か。

しばらく品を眺める。



59: 2011/02/20(日) 00:45:23.75 ID:gfz+7D0v0


( ^ω^)「お」

( ・∀・)「んん?」



( ^ω^)(・・・・・・)

( ・∀・)「その薄汚れた格好・・・どこかで見た事あるな」

( ^ω^)「・・・・・・あ!思い出したお!アンタは・・・」

( ・∀・)「マイラの武器屋で会った男、か。そうだったね」

( ^ω^)「口の悪さで思い出したお」

( ・∀・)「また武具屋で会うとはね。何か因果でもあるのかな」



60: 2011/02/20(日) 00:48:49.02 ID:gfz+7D0v0


端正な顔立ちの戦士風の男は、ジロジロとブーンを見つめる。


( ・∀・)「確か、竜王を倒す旅をしているんだっけか」

( ^ω^)「そうだお」

( ・∀・)「なるほどね。いうだけの事はある」

( ^ω^)「?」


ζ(゚ー゚*ζ「モララー様!」

( ・∀・)「おお、デレ」


モララーと呼ばれた男に、美しい女性が駆け寄る。



61: 2011/02/20(日) 00:51:19.94 ID:gfz+7D0v0


( ^ω^)「おっ?」

( ・∀・)「ああ、こいつはデレ。一緒に旅をしているんだ」

ζ(゚ー゚*ζ「はい!」


( ^ω^)「旅?一緒に?」

( ・∀・)「ああ」

( ^ω^)・∀・ )(マイラの店で買った女さ。旅の共に、肉便器は必要だろう?)ヒソ

( ^ω^)「・・・・・・」

( ^ω^)「アンタ、世界中を旅しているんじゃないのかお?」

( ・∀・)「ああ、そうさ」


63: 2011/02/20(日) 00:54:26.40 ID:gfz+7D0v0


マイラの村から一緒に来たと言う。

つまりこの男は、女性を伴いながら、あの難関の沼地を超えて来た、という事になる。

とすれば、相当の腕を持つ戦士である筈だ。



( ・∀・)『なるほどね。いうだけの事はある』


( ^ω^)(・・・あ)

( ^ω^)(そういう事かお。今ブーンがここにいるって事は・・・)

( ^ω^)(あの沼地を通り抜けて来たってことだお)

( ^ω^)(つまりそれは、凄腕の冒険者の証明・・・という事かお)



65: 2011/02/20(日) 00:57:47.21 ID:gfz+7D0v0


( ^ω^)「・・・アンタは、何の為に旅をするんだお?」

( ・∀・)「俺かい。・・・得に無いよ。強いて言うなら、楽しむ為さ。
      というか、ひとっ所に留まっていられない性分なんだ」

( ・∀・)+「そう、自由に羽ばたく、鳥のようにね」キラン

ζ(゚ー゚*ζ「モララー様、素敵ですわ!」


女性が髪をなびかせ手を握り硬め、戦士を賞賛する。


しかし、この女性も女性だ。

いくら金で買われたとはいえ、あの沼地を共に超えてくるなど、
並の精神力ではない。普通なら、臆してとてもついては来れないだろう。



68: 2011/02/20(日) 00:59:52.53 ID:gfz+7D0v0


( ・∀・)「じゃあ、俺達はこれで。せいぜい、竜王を倒す為に頑張ってくれよ」

( ・∀・)「いこう、デレ」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、モララー様」


( ^ω^)「・・・ブーンはやるお。アンタに出来なくとも・・・」

( ^ω^)「自分が、この世界に平和を取り戻してみせるお」

( ・∀・) ピク



70: 2011/02/20(日) 01:01:37.11 ID:gfz+7D0v0


( ・∀・)「・・・まるで俺が、君より弱いとでも言いたげだな」

( ^ω^)「さてね・・・どうだろうかお」

( ・∀・)「・・・いったな」

( ・∀・)「表にでろ。俺の剣の侮辱は許さない」


( ^ω^)「・・・アンタと戦る、理由がないお」

( ・∀・)「理由ならあるさ。君自身の命を守る為だ」


モララーは、スラリと剣を鞘から抜く。



72: 2011/02/20(日) 01:04:31.70 ID:gfz+7D0v0


( ^ω^)「・・・・・・」


ζ(゚ー゚;ζ「モララー様・・・!」


( ・∀・)「デレ、離れてろ」




( ^ω^)「・・・・・・」


ブーンは、斧を構える。


( ・∀・)「・・・・・・」


モララーは、切っ先をこちらに向ける。



76: 2011/02/20(日) 01:07:13.48 ID:gfz+7D0v0


( ・∀・)


( ^ω^)



( ・∀・)「・・・ふはは」

( ^ω^)「・・・・・・」


モララーは、剣を鞘に収める。

ブーンも、構えの緊張を解いた。




78: 2011/02/20(日) 01:10:11.61 ID:gfz+7D0v0



(♯・∀・)「はぁッッ!!」



(♯^ω^)「おおっ!!」




刹那、剣と斧が交錯する。


::(( ^ω^)X(・∀・ ))::


鍔迫り合いながら、二人は互いの目を睨み合う。
力と力が拮抗し、武器同士がキシキシと音を立てている。



80: 2011/02/20(日) 01:12:53.77 ID:gfz+7D0v0


周りの人間が、何事かと二人の周囲に集まって来た。


( ・∀・)「・・・なかなかやる、じゃないか」

( ^ω^)「・・・・・・!!」

( ・∀・)「だが・・・」


モララーは、ブーンの片足を蹴り払う。


( ;゜ω゜)「おっ・・・おおっ!?」クルリ

(( ;-ω-)「ぐっ!」ドタッ!


ブーンは倒された。
体中に、痛みが走る。まだ傷が癒えてはいないのだ。

そして、喉元に剣の切っ先が突きつけられる。



84: 2011/02/20(日) 01:15:30.07 ID:gfz+7D0v0


( ;^ω^)「・・・・・・くぉ」

( ・∀・)「まだまだ甘いね。俺に勝とうなんて」


モララーは、剣をくるくると回し、華麗な振る舞いで鞘にしまった。


( ・∀・)「確かにそれなりの腕ではあるようだが・・・
      俺に倒されるようじゃ、とてもじゃないが竜王を討つなんて無理な話だぜ」

( ・∀・)「もう少し、身の振り方を考えた方がいいんじゃないのか?」


( ^ω^)「・・・・・・」


ブーンは仰向けになり、空を見上げたまま。



88: 2011/02/20(日) 01:18:20.50 ID:gfz+7D0v0


ζ(゚ー゚*ζ「モララー様!お怪我は?」

( ・∀・)+「ある訳ないだろう。俺を誰だと思ってるんだい?」キラリ

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、よかった!!」

( ・∀・)「さあ、行こうか。時間を取らせたね。何か、美味しいものでも食べに行こう」

ζ(゚ー゚*ζ「はい!」



( ^ω^)



90: 2011/02/20(日) 01:21:00.62 ID:gfz+7D0v0


  「ふふ、竜王を倒すだって?」

         「あんなザマじゃあ、出来るわけねえよなぁ」

     「無謀だよ無謀、どうせそこらで野たれ氏ぬのがオチってもんだよ」



周囲の野次馬は散開していく。




ブーンはむくりと起き上がり、ぱっぱっと体の汚れを払う。

そして再び、武具屋へ。


( ^ω^)「すいませんお。これ、下さいですお」



94: 2011/02/20(日) 01:24:08.45 ID:gfz+7D0v0



ξ゚⊿゚)ξ「お待たせ、ブーン」

( ^ω^)「ツン、ローブ選びは終わったかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ。このグレーのにしたわ!」


ツンは、ふわりと羽織るローブを揺らせてみせる。

なんとなく似てはいないが、あの黒衣のローブのドクオを思い出した。


( ^ω^)「おおっ!似合ってるお、ツン!」

ξ//⊿/)ξ「そ、そうかしら・・・」

ξ*゚⊿゚)ξ「ブーンのそれは、新しい装備?」

( ^ω^)「だお。新調したお」

ξ*゚⊿゚)ξ「それもカッコいいわよ、ブーン」

(*^ω^)「そうかお?」



98: 2011/02/20(日) 01:27:12.31 ID:gfz+7D0v0


ξ゚⊿゚)ξ「そういえばさっき・・・外が何か騒がしかったみたいだけど・・・」

ξ゚⊿゚)ξ「何かあったのかしら?」

( ^ω^)「さぁね・・・それよりツン」

( ^ω^)「何か、美味しいものでも、食べにいくお!」

ξ*゚⊿゚)ξ「・・・・・・ええ!!」



ブーンは、ツンの笑顔を見て、自分も微笑む。


この笑顔を、守りたい。


ツンだけではない。この世界の人々を。




101: 2011/02/20(日) 01:31:40.96 ID:gfz+7D0v0


途方も無い無謀だろうか。自分の成そうとしている事は。


確かに、初めは無謀かもしれないとも思った。



でも今は違う。


冒険の中で鍛え上げられ、少しずつ、ほんの少しずつ芽生えてゆく感情。


やれるかもしれない、いや果たさねばならぬ。


傍らに立つ一人の女性。


彼女の存在が、ブーンの使命感をより燃え立たせるのだった。



104: 2011/02/20(日) 01:34:33.75 ID:gfz+7D0v0


( ^ω^)ξ゚⊿゚)ξ



( ・∀・)ζ(゚ー゚*ζ



先ほどの、戦士と女性。


どこか自分とツンに似ているなと、何故か少しだけそう思った。


しかし、あの戦士と自分を重ねあわせた事に気づいて、


頭をボリボリと掻き、少しだけ顔をしかめてやった。




to be continued...!!





108: 2011/02/20(日) 01:37:37.02 ID:gfz+7D0v0


( ^ω^)ブーンの今のステータス


LV18

はがねのつるぎ
はがねのよろい
てつのたて


今回登場した敵

特に無し



116: 2011/02/20(日) 01:42:37.54 ID:gfz+7D0v0
以上で今回分の投下終了。
支援、大変励みになります、ありがとうございます。

はがねのつるぎを買った時のwktk感は異常。

で、投下ですが、次回は木曜か金曜になりそうです。多分木曜?
一応、次回の投下日は、投下が終了した後必ず告知しますので。
多分、木曜か金曜になっていくのだと思います。

5: 2011/02/24(木) 19:14:47.28 ID:WmYGqzyl0


第16話

8: 2011/02/24(木) 19:16:30.01 ID:WmYGqzyl0


そこは、とてつもなく大きな城壁で囲まれた街だった。


石製の分厚い壁の上に、何人も憲兵が配置される。

この国は、圧倒的な軍事力を誇る都市だ。
一説には、その防衛力は大国ラダトームを凌ぐとすらも言われる。


その堅牢さをとって、人々はその街をこう呼んだ。


“城塞都市メルキド”――――――と。



('A`)




9: 2011/02/24(木) 19:17:37.64 ID:WmYGqzyl0


ドクオは、いったい何処から入って良いものか戸惑いつつ、
その巨大な石壁の外周を、なぞりながら歩く。


防壁は、とてつもなく高かった。

所々、草生していて緑色の蔦が外壁を覆う。


上にいる憲兵の姿は、思い切り見上げてようやく点として視認できる程度で、
ここから声をあげたとしても聞こえはしないだろう。


('A`)(やれやれ・・・・・・入り口を探すのも一苦労・・・か)


長旅で疲れた体を早く休めたい。

空腹と渇きを癒して、泥のように眠りこけたいものだ。



11: 2011/02/24(木) 19:20:02.65 ID:WmYGqzyl0




憲兵「何者か。・・・外来者のようですな。お通しましょうか?」

憲兵「他国の使節では無いようですが」


黒い点を見下ろす兵士は、長髪の白髪で、
白い衣服に身を包んだ隣の老婆に話しかける。


川д川「・・・・・・いや」



14: 2011/02/24(木) 19:22:21.10 ID:WmYGqzyl0


川д川「あの者より、邪悪な魔力をひしひしと感じる」

川д川「普通に通してはならん・・・魔の者かもしれん」

川д川「まずは、あれをけしかけなされ」

憲兵「あれですか・・・ はっ、かしこまりました」



川д川「ふむ。それにしても、おお」


老婆は禍々しきそれに目を細める。
幾層にも刻み込まれた顔の皺を、額の中心に寄せて訝しげな顔をする。


川д川「・・・・・・なんという、禍々しき力よ」



兵士には、それはただの点に見える。

老婆の目には、巨大な黒い魔力が渦を巻いて見えていた。



17: 2011/02/24(木) 19:24:50.30 ID:WmYGqzyl0




('A`)「・・・・・・」

('A`)(おかしい)

('A`)(随分みて歩いたが、一向に入り口のような物が見当たらない)

('A`)(これだけ大きい町なら、出入り口をいくつも設置する筈だ)

('A`)(上に憲兵らしき人間がいるから、そのうち梯子でも渡してくれるものと思っていたが)

('A`)(そんな気配も一切ない)

('A`)(さて、どうしたものか)



21: 2011/02/24(木) 19:27:11.58 ID:WmYGqzyl0


ドクオは杖で、地面にガリガリと跡をつけながら歩く。

とてもこの巨大な砦を一周りできるとは思えないが、一応の目印の為だ。



そのとき。


ドクオの横の壁が、ビキリと重い音を立てた。


('A`)「ん――――――」



石壁が、煉瓦のブロックの切れ目に沿って、ゴトゴトと動きだす。




23: 2011/02/24(木) 19:29:49.02 ID:WmYGqzyl0


('A`)「!」

('A`)「こ・・・これは・・・・・・?!」


壁からどんどん剥がされ、一つの塊に集約し・・・
それは人型に構築されてゆく。


石片に、魔力を感じる。つまりこれは。


('A`)「・・・・・・魔導傀儡か!」


やがて石は、巨人になった。



ゴーレム「ゴオオオオオオオオオオ!!!!」



('A`)「・・・・・・!!」



26: 2011/02/24(木) 19:31:38.89 ID:WmYGqzyl0


これも城塞都市の防衛手段の一つという事か。

それは、明らかにこちらに敵意を向けていた。



ゴーレム「ゴオオオオオ・・・・・・」


('A`)「・・・・・・くっ」



ドクオは上を見つめる。


相変わらず、憲兵に見下ろされている。
別段、慌てたり助けるそぶりも見せずに、こちらの様子を伺っていた。

つまり自分は今、理由は解らないが、メルキドに「敵」と認識されている訳だ。



28: 2011/02/24(木) 19:33:48.40 ID:WmYGqzyl0


ゴーレム「ゴオオオオオオオオ」


石像が踏み出し、ズシンと衝撃が地面に響く。

やるしかない。



('A`)「ち・・・」


やれるか。この体力で。


ゴーレム「ゴオオオオオオオ!!」


石像は、鉄拳・・・いや、石拳をドクオに向かって振り下ろす。



30: 2011/02/24(木) 19:35:29.85 ID:WmYGqzyl0


('A`)「・・・・・・ふっ!」


あえてドクオは、素早く前方に飛ぶ。

そして石像の股の間を、転じて潜り抜ける。



後方で大きな音がし、砂煙と共にドクオは数メートル転がる。

起き上がり、振り返り様に。


('A`)《・・・ギラ!!》


石像の背中に、光り輝く爆発が起こる。


ゴーレム「ゴオオオオオオオオオオン!!」



33: 2011/02/24(木) 19:37:47.50 ID:WmYGqzyl0


巨体は前屈し、その体にビキビキと、ヒビが入る。
しかしすぐにこちらに振り返り、また手を繰り出してくるが。


('A`)《ベギラマ》


先ほどよりもさらに大きい爆熱が生じた。

石像の伸ばした片腕が粉々に砕け、破片が舞う。


ゴーレム「ゴオオオオオオオ」


辺りに黒煙と砂煙が立ちこめる。


('A`)「・・・・・・」



35: 2011/02/24(木) 19:40:21.50 ID:WmYGqzyl0


しかし、巨人は腕が砕けても怯まない。

地面の土を蹴り抉り、自分の砕けた腕の石の破片ごとを、
凄まじい速度でドクオに浴びせる。


(; A )「うっ・・・・・・く・・・!?」


土が目に入り、石の弾丸がドクオの腹や胸骨などに突き刺さる。


(; A )「はぐ・・・ぐっ!!」


ゴーレム「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」


視界を奪われた一瞬の隙に、ドクオの胴体に打拳が放たれる。



38: 2011/02/24(木) 19:42:39.91 ID:WmYGqzyl0


(; A )「ぐはぁッッ・・・・・・!!?」


ドクオは宙を舞い、吹っ飛び石壁に叩き付けられた。


食らう寸前に、目が見えないながらも義手の腕でガードし、
衝撃を和らげていなかったら、氏んでいた。


('A`)「げほ・・・ッッ」



39: 2011/02/24(木) 19:43:42.99 ID:WmYGqzyl0


('A )「う・・・・・・」

('A )

('A )「やってくれたな・・・」 クン・・・


鉄の味わいが口いっぱいに広がる。

ちょうどいい。喉が渇いていたところだ。


('A )「調子にのるなよ・・・石コロが・・・」 ドクン・・・


ドクオの、首もとが疼く。

見えない力がドクオの体から、陽炎のように揺らめき沸き立つ。



::川д川::「 ! 」 ザワッ・・・

川д川「あ、あれは・・・・・・」



41: 2011/02/24(木) 19:45:57.60 ID:WmYGqzyl0


('A`)《 ベギラマッッ!! 》



凄まじい閃光が放たれる。

石像の体に直撃した。先の威力よりもさらに増しているのか。

ドクオの百倍以上は重いであろう巨体が、グラリとのけぞり倒れそうになる。


ゴーレム「ゴオオオオオオオオオオッッ」


胴体が爆砕されるが、それでも尚むかってくる。

鷲掴みにしようと襲いかかる。


それをヒラリと交わし、石像の腕に乗る。

そして敵の顔面近く、目の前で。


('A`)《・・・レミーラ!!》



45: 2011/02/24(木) 19:47:50.28 ID:WmYGqzyl0


ドクオの手から、パァッと光が溢れる。

それは、一瞬だけだったが・・・


ゴーレム「ゴオオオオオオオオオオ!!?」


敵の視界を奪うのには十分だった。

その隙に、よく狙いを定める。

先ほどのベギラマで砕いた胴体の中に、キラリと見える赤い光。
小さな宝石のような物がある。


それに向けて。


('A`)《 ギラ 》



46: 2011/02/24(木) 19:49:47.63 ID:WmYGqzyl0



赤い光が消えるとともに、石像の眼光も失われる。


そして、膝から崩れ落ちて――――――


その活動を停止した。




48: 2011/02/24(木) 19:51:47.63 ID:WmYGqzyl0



('A`)「・・・・・・ふぅ」

('A`)(うまくいった)

('A`)(本来なら、長時間に小さな明かりを灯し続ける魔法、レミーラ)

('A`)(その使用時間を、ほんの一瞬に集約、圧縮することで)

('A`)(敵の視界を遮る光を作る事が出来る)

('A`)(呪文の応用・・・って奴だ。研究段階だったが、成功してよかった)


ドクオは、呪文の使用に関しては天性の才能を持ち合わせていた。
こうして日夜研究し、自分のできる事の幅を広げているのだ。



50: 2011/02/24(木) 19:53:57.18 ID:WmYGqzyl0


('A`)《ベホイミ》


体の傷が柔らかい光に包まれ、癒えてゆく。

間接をパキパキと鳴らした。
土埃と血の混じった唾液を吐き捨てる。


ふと見ると、石像が出て来た壁に、そのままぽっかりと穴が空いていた。


('A`)「ここから入れそうだな」


穴を潜り、中に入る。すると――――――



52: 2011/02/24(木) 19:56:21.78 ID:WmYGqzyl0


('A`)「・・・・・・」

憲兵「・・・・・・」ジャキッ!


入った途端、十数名の憲兵に囲まれ槍を突きつけられた。


('A`)「旅の者だが」


しかし、槍先はこちらを向いたまま。
ドクオは大きなため息をつく。


川д川「もし、そこな者」


兵士の横をすり抜け、白いローブの老人が現れた。



56: 2011/02/24(木) 19:58:27.56 ID:WmYGqzyl0


川д川「旅の者――――――冒険者かえ?」

('A`)「ええ、そうですが」


さっきもそう言ったろうと、心の中だけで呟く。


川д川「冒険者かい。して、この街へ来た目的はなんじゃ?」

('A`)「探し物をしておりまして」

川д川「探し物?」

('A`)「ええ。とある書物です」

川д川「・・・・・・」

川д川「お主は、魔の輩では無いのか?」

('A`)「違います」



58: 2011/02/24(木) 20:00:29.96 ID:WmYGqzyl0


来たばかりの来訪者に、そんな質問をするのもどうかとは思うが、
ドクオにとっては、それは仕方のない事で、過去にもそんなケースはいくつもあった。

しかし――――――


川д川「なるほど。という事は・・・」

川д川「つまりお前さんは、呪われているという訳じゃな」


こんなに早く知れるとは。やりづらい。


('A`)「・・・・・・」

川д川「間近でみて、はっきり確信した」

川д川「邪悪の力が、ふつふつと溢れておる」



60: 2011/02/24(木) 20:02:44.13 ID:WmYGqzyl0


兵士の間にどよめきが沸き立つ。
警戒の念を強くしたようだ。


('A`)「そうです。呪われています」

川д川「ううむ、ううむ」


老婆は考え込む。


川д川「呪われし身、か。しかし、お主も人間じゃ」

川д川「呪われているからといって追い返すのものう・・・」

川д川「よしんば人間だとしても、ただ者ではないわい」

川д川「魔導傀儡に対しての兵法まで知っておった。
     一般の民には到底知り得ぬ事じゃからの」



61: 2011/02/24(木) 20:04:37.72 ID:WmYGqzyl0


いきなり問答無用で武力行使をしておきながら、
ここでそんな反応なのか。よく解らない。


川д川「あいや解った。この街に入ってもよい」

川д川「ただし、もしお主が呪い故の何か問題を起こした場合は――――――」

川д川「即刻、出て行ってもらうでな。そこは肝に銘じておいてくだされ」

('A`)「ありがとうございます」


兵士たちは、顔を見合わせる。

そして、武器を降ろし、おそるおそる緊張を解いた。



64: 2011/02/24(木) 20:06:50.23 ID:WmYGqzyl0


川д川「わしの名は自警兵団の参謀、サダコと申す」

川д川「何かあれば、わしの所までおいでなされ。主の名は?」

('A`)「ドクオです」

川д川「ドクオ。くれぐれも問題は起こしてくれるなよ」


老婆は兵士を引き連れ、去っていった。
何名かの兵士を残し、その者達にドクオの入国手続きをさせた。


それが済んだ後、ドクオは自由になる。

まず宿を探すために、町中を闊歩する。


('A`)(ひとまず、安心か)


運が良かった。場合によっては、門前払いもあり得たのだ。



66: 2011/02/24(木) 20:08:40.67 ID:WmYGqzyl0



('A`)「・・・・・・」


('A )『調子にのるなよ・・・石コロが・・・』 ドクン・・・



首元に触れる。己の生命と、魔の脈動が入り交じる。


先ほどの戦いでは、驚く程魔力が充実していた。

長旅をして疲弊した体とは思えない。


また、首飾りと肉の同化が馴染んできた様にも感じる。

この首輪は確かに呪われてはいるが、
不思議と自分に力を与えてくれるような気もした。


そして、自分が自分でない、何者かに変わっていくような感覚さえも。




67: 2011/02/24(木) 20:10:24.86 ID:WmYGqzyl0


('A`)「すまない。この近くに、宿屋はあるかい?」

町人「ああ、宿屋の区画なら、あっちのほうだね」


ドクオは人に尋ね、礼を言う。


義手が、ガコガコと音を立てる。

先の戦闘の際に、損壊してしまった。

後で、義手屋にも行かねば。
この街は、その手の修理が得意と聞いている。


そして、宿屋のあるという区画の方向へ歩き出す。



69: 2011/02/24(木) 20:13:22.55 ID:WmYGqzyl0


(*゚∀゚)


(*゚∀゚)「おにーさん!」


('A`)「・・・ん?」


一人の子供に話しかけられる。


(*゚∀゚)「おにいさん、もしかして宿をお探し?」

('A`)「ああ、そうだが」

(*゚∀゚)「だったら、ウチにおいでよ!小さいけど、宿屋なんだ!」

(*゚∀゚)「ぜひウチに寄ってください!」


宿屋の子か。



71: 2011/02/24(木) 20:16:13.33 ID:WmYGqzyl0


('A`)「この近くかい?」

(*゚∀゚)「うん、すぐだよ!どうかな、ちょっとだけボロいかもしれないけど」

(*゚∀゚)「お願いします!」


子供は、懇願する様に勧誘する。
よほど不景気なのだろうか。


('A`)「わかった。そこへ行こう。案内してくれ」

(*゚∀゚)「や、やった!お客さんだ・・・」

(*゚∀゚)「こっちだよ、すぐだよ。ついてきて」

(*゚∀゚)「ちょ、ちょっちボロいけど・・・」



73: 2011/02/24(木) 20:17:50.02 ID:WmYGqzyl0


ちくちくと、自分の宿屋のボロさを強調する。

それほど古めかしい家なのだろうか。


('A`)「かまわない。寝る場所さえあれば、どこでもいい」


かえってあまり豪華でないところの方が気兼ねがしない。
ドクオは、子供についていく。


そうだ。早く柔らかな寝床で、微睡(まどろ)みを貪りたい。


一刻も早く。



76: 2011/02/24(木) 20:19:41.70 ID:WmYGqzyl0



(*゚∀゚)「ここだよ!」


すぐ近くとは言うものの大分歩いた気がしたが、着いたらしい。


なるほど、小さい。そして随分とボロボロだった。

それは宿屋としての体裁をとるには、考えた方がいい外見のようだ。


(*゚∀゚)「とりあえず、いらっしゃいませ!入って!」


子供は、カウンター側に回り込む。他に従業員はいないのか。



78: 2011/02/24(木) 20:22:02.03 ID:WmYGqzyl0


(*゚∀゚)「どのくらい泊まっていかれますか?」

('A`)「未定だが、長期の滞在になるかもしれない・・・いや、なるだろうな」

(*゚∀゚)「長期!やった!じゃあ、ここにサインを」

(*゚∀゚)「それと、ウチは前金制なんだ。長い宿泊になるなら、その分お支払いを・・・」

('A`)「ああ」


ドクオは、荷物から袋を取り出す。

そして中から、キラリと光る小粒を取り出した。

それを、カウンターにあるカップに入れた。
カリンと音がする。



80: 2011/02/24(木) 20:25:12.14 ID:WmYGqzyl0


('A`)「これで支払いたい」

(*゚∀゚)「・・・・・・?」

('A`)「純金の粒だ」

('A`)「ゴールドに換えれば、相当の額になるはずだ」

(*゚∀゚)「き、きん!?」


子供は、小粒をまじまじと見つめる。


('A`)「釣りはいらない。足りなくなったら、また言ってくれれば支払う」

(*゚∀゚)「は、はわわわ!」


顔を紅潮させる子供。

そして、奥の方から人が出て来た。



82: 2011/02/24(木) 20:27:22.05 ID:WmYGqzyl0


(#゚;;-゚)「つー や。お客さんが来たのかい?」


女性がでてくる。

ゴホゴホと咳き込んでいる。
何やら、調子の悪そうな様子だ。


(*゚∀゚)「おかあさん!金だよ、きん!金を貰ったんだ!」

(#゚;;-゚)「え?」


つーと呼ばれた子供は、母親に駆け寄る。



83: 2011/02/24(木) 20:30:07.84 ID:WmYGqzyl0


(*゚∀゚)「これでしばらく、食べものが買えるよ!」

(#゚;;-゚)「まぁ・・・すごいわ」

(#゚;;-゚)「お客様、旅の人かい?空気が違うね。
    とにかく、ウチに寄ってくれてありがとうございます」


女性は礼を言う。齢は幾つくらいだろうか。

母親にしては、若くも見えるし、
またその病弱そうな振る舞いから、老いているようにも見える。

そして目が悪いのか、杖でこつこつと地を叩く。


しかし、眠気で思考がおぼつかない。

早く、早く眠りたい。泥のように。



88: 2011/02/24(木) 20:33:04.13 ID:WmYGqzyl0


(*゚∀゚)「とりあえず、寝床に案内するね!こっちだよ」


つーはドクオの袖を引く。

ドクオはついていこうとしたが・・・


(*゚∀゚)「あっ・・・」


入り口に人が立っていた。


(  ゚∀゚ )('e')


(;*゚∀゚)「・・・・・・」



90: 2011/02/24(木) 20:35:33.05 ID:WmYGqzyl0


(  ゚∀゚ )「おいおい貧乏人。いつになったら、ここを立ち退くんだ?」

(  ゚∀゚ )「他の住民からも苦情がきてんだ。
      はえーとこ、あの邪魔臭い病原菌どもを追い出してくれってな」

(*゚∀゚)「・・・・・・」

(#゚;;-゚)


(  ゚∀゚ )「こんな店、流行らねーんだからよ。たたんじまえ。な」

('e')「そうだよ、たたんじまえ!」

(*゚∀゚)「・・・今日はお客さんが来たんだぞ!みろ!」


('A`)「ん」


(  ゚∀゚ )「はぁん?物好きな客だな。わざわざこんなボロの家に泊まるとはwww」

('e')「ほんと物好きだわ」



94: 2011/02/24(木) 20:39:59.53 ID:WmYGqzyl0


柄の悪い男は、ドクオの肩をばんばんと叩く。


(  ゚∀゚ )「出てけよアンタ。他にいい宿はいくらでもあるぜ?」

('A`)「・・・・・・触るな」


ドクオは、男の手を振り払う。

あまりの眠気で頭痛がしてきた。


(  ゚∀゚ )「あん。んだてめぇ、調子に乗ってんな?」

('A`)「おい、こいつら何なんだ?」

(*゚∀゚)「・・・・・・」


男の発言を意に介さず、ドクオはつーに話しかける。


97: 2011/02/24(木) 20:43:31.10 ID:WmYGqzyl0


(  ゚∀゚ )「・・・てめえ。ぶっ飛ばすぞコラ」


ドクオは、深いため息をついた。


('A`)「疲れてるんだ。明日にしてくれ」

(♯ ゚∀゚ )「・・・・・・っの野郎ォッ!」


男は、ドクオを顔面を思い切り殴った。
口元に血が滲む。


(;*゚∀゚)「ああっ!!」


しかし、ドクオは動じない。



100: 2011/02/24(木) 20:47:07.65 ID:WmYGqzyl0


('A`)「・・・・・・」

(  ゚∀゚ )「んだその余裕しゃくしゃくの顔は・・・?」

(  ゚∀゚ )「シネっっ!!」


さらに殴り掛かってくる男の腕を、すっと交わす。

そして、それと交差する様に、相手の腹に拳の一撃を加える。


( ; ゚∀゚ )「ごえっっ!!?」

('e')「あ、アニキ!」


(♯ ゚∀゚ )「てめえええええええええええ」


激昂した男はさらに襲いかかるが・・・



102: 2011/02/24(木) 20:48:27.92 ID:WmYGqzyl0


('A`)「・・・・・・ふぅ」 パシッ


ドクオに腕を掴まれ、捻り転じて地面に叩き付けられた。


( ; ゚∀゚ )「お、おおッッ」

('A`)「邪魔なんだよ」ブンッ


男の顔面を蹴り飛ばし、宿屋の外にぶち飛ばした。


('e')「えええええええ」


(*゚∀゚)「す・・・すごい」



104: 2011/02/24(木) 20:50:06.95 ID:WmYGqzyl0


ドクオは、魔法の使用に比べ、体術がそれほど得意ではない。
素の腕力の戦闘など、あのブーンなどには及びもしないだろう。


しかしそれでも、ドクオとて数々の修羅場をくぐり抜けて来た戦士なのだ。

その辺の気が早いチンピラを転がす事など、造作もない事である。


(  ゚∀゚ )「――――――」

('e')「あ、兄貴!アヒャ兄貴、しっかり!」

('e')「お、覚えてやがれうわぁ~~~~!」


小柄の男は、気を失った大柄を背負って、どこかへ去っていった。



107: 2011/02/24(木) 20:53:10.41 ID:WmYGqzyl0


(;*゚∀゚)「・・・・・・」

('A`)「・・・・・・」スッ・・・

('A`)《ホイミ》


ドクオの顔面の腫れが、引いてゆく。


(*゚∀゚)「!?」

('A`)「さて・・・部屋に案内してくれ」



ああ――――――眠い。魔力を消費し過ぎた。


強烈な眠気がドクオを襲う。



109: 2011/02/24(木) 20:55:34.01 ID:WmYGqzyl0


(*゚∀゚)「い、今のは・・・?」

('A`)「呪文だ。お前には関係ない。早く寝たいんだ。さぁ」



瞼が重い。眩みもする。



(*゚∀゚)

(*゚∀゚)「おっ・・・お師匠様!」


('A`)「は?」

(*゚∀゚)「ぼ・・・僕にも、その力を教えて下さい!!」

('A`)

(*゚∀゚)「さっきの戦いも凄いです!ぜ、ぜひ」



111: 2011/02/24(木) 20:58:02.79 ID:WmYGqzyl0



(*゚∀゚)「ぼっ、僕を、僕をアンタの弟子に!!」



('A`)「――――――なんだって?」





本当に、早く眠りたい。ただそれだけなのに。



to be continued...!!





116: 2011/02/24(木) 21:02:01.04 ID:WmYGqzyl0


('A`)ドクオの今のステータス


LV20

こんぼう
くろのろーぶ
しのくびかざり


今回登場した敵

ゴーレム:石に魔導の力によって生命を吹き込まれた石像。
      体のどこかに核となる水晶をはめ込んでおり、そこからの魔力を動力源とする。
      その巨躯で、メルキドに侵入するものを迎撃する。

(  ゚∀゚ ):アヒャ。チンピラ。HP8。


次回:( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)【Lv.9】



引用: ( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)