244: 2011/09/30(金) 23:59:48 ID:2RU4fP5g0

245: 2011/10/01(土) 00:00:51 ID:3ogfubfA0
( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)シリーズ


風もなく、ただ夜の帳が落ちて、静けさと冷たさをしんと感じる。


珍しく、月が出ていた。
満月がそこにいる数名を照らす。



(´<_ ` ;)「・・・・・・」



( <●><●>)

(  ゚∀゚ )

('e')


.
ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書 (デジタル版SE-MOOK)
246: 2011/10/01(土) 00:02:29 ID:3ogfubfA0


風体の粗野な連中に囲まれている。

数人は手に刃物。
刀剣が、月光を受けてユルリと存在感を見せつける。

自分は家から飛び出してきたので、武器の類いは持っていない。



(´<_ ` ;)「・・・何の用だ?物盗りか」


( <●><●>)「違います。あなたにちょっと、折り入ってご相談がありましてね」

( <●><●>)「“流石屋”9代目の貴方にね」

(´<_ ` ;)「・・・・・・」


.

249: 2011/10/01(土) 00:05:14 ID:3ogfubfA0


やはり自分を流石屋縁の者と知っての接触か。

何にせよ、とても穏便に話をするという雰囲気ではない。
逃げるチャンスを窺ってはいるものの、三人に囲まれてはその隙も無い。



(´<_ ` )「・・・用件とは」


( <●><●>)「単純です。私らの組に、良質の武器を卸して頂きたいと思いましてね」

( <●><●>)「あなたのところの武器は大層評判ですからね。
        私らの親分も、一級品をと、ひどく所望しています」


身なりをみる限り、とても正規の団体とは思えない。
“組”という単語を出したのも、自分に威圧感を与える為であろう。


.

250: 2011/10/01(土) 00:07:49 ID:3ogfubfA0


(´<_ ` )「・・・残念だが、それには応えられない」

(´<_ ` )「“流石屋”は誇りをもって剣を打つ。
      暴力をちらつかせての要求をしてくるような連中に、与える武器は無いな」

( <●><●>)「ほう、随分と度胸がありますね。そしてやはりそうきますか」

( <●><●>)「やはり血は争えませんか」

(´<_ ` )「・・・・・・?」

( <●><●>)「まあ、あなたの思わくも重々ワカッテマス」

( <●><●>)「とはいえ、こちらも子供の使いで来ている訳じゃありません。
        どうしてもうんと言ってくれなければ」

( <●><●>)「少し・・・いや、かなり痛い目にあってもらう事になりますよ」

(´<_ ` ;)


.

251: 2011/10/01(土) 00:09:29 ID:3ogfubfA0


( <●><●>)「もちろん、あなただけじゃない。
        御家族の事を想えば、きっと協力してくれると信じていますが」

(´<_ ` ;)「!! 貴様、卑劣な・・・!」

( <●><●>)「ククク・・・」



(  ゚∀゚ )「か、カシラ・・・」

( <●><●>)「なんです?」

(  ゚∀゚ )「あの、どうしても無理矢理やるんすか」

(  ゚∀゚ )「もっとこう、ちゃんと真摯に話し合ってお願いすりゃあ・・・前のときだって」

('e')「・・・・・・」


.

252: 2011/10/01(土) 00:11:20 ID:3ogfubfA0


( <●><●>)「何言ってるんですかてめえは」

( <●><●>)「以前“きちんと”お願いしたら体よく断られたでしょう」

( <●><●>)「ならばもう、実力行使しかなんでいんですよ」

( <●><●>)「腑抜けやがりましたか」

(  ゚∀゚ )「・・・すんません」

(´<_ ` )(前・・・だと・・・?)


.

254: 2011/10/01(土) 00:15:09 ID:3ogfubfA0


( <●><●>)「以前と同じ轍は踏みません」

( <●><●>)「このまま拉致して、我々の家に監禁しましょう」

( <●><●>)「そこであなたには、組の為の専属鍛治士として働いてもらいます」

( <●><●>)「もちろん見合った給料は払いますよ。
        それを使う機会があるかどうかは別ですがね・・・」

(´<_ ` ;)「く・・・ッ」



悪党が、じりと近づく。 その時。




      「まてお!!」




.

255: 2011/10/01(土) 00:17:22 ID:3ogfubfA0


( <●><●>)「ん?」



( ^ω^)「その人をどうするつもりだお」


( <●><●>)「なんですかてめえは」

(´<_ ` ;)「あ、アンタ・・・」


( ^ω^)「どうやらただ事じゃないようだおね」

( ^ω^)「その危なっかしいものをしまって、どこかに消えろお」


.

256: 2011/10/01(土) 00:19:09 ID:3ogfubfA0


( <●><●>)「関係ない人間には下がっていてもらいたいですね」

( <●><●>)「アヒャ、ジョーンズ。こいつをさっさと・・・」


(; ゚∀゚ )「・・・・・・げっ、こいつは!?」

(;'e')「あ、アニキ!」

( ;^ω^)「あれ?アンタら」



(; ゚∀゚ )「カシラ。こいつは危険ですぜ、ここは引き上げた方が・・・・・・」

( <●><●>)「何を言ってるんですか、この臆病者が」

( <●><●>)「どんな関係か知りませんが、相手は丸腰じゃないですか」


( ^ω^)


.

258: 2011/10/01(土) 00:21:18 ID:3ogfubfA0


店から飛び出してきたブーンは、武器をもっていなかった。
丸腰のブーンを見て、悪漢はゴクリと唾を飲む。


( <●><●>)「こちらには得物もある。さっさと黙らせてやりなさい」

(; ゚∀゚ )「うう・・・よ、よぉし・・・」ジリジリ

(;'e')「・・・・・・」ジリジリ



( ^ω^)「・・・・・・」


刃物を前にしても、ブーンは落ち着き払っていた。
冷静に、まるで敵に興味も持たぬ様なそぶりで、辺りを見回す。

そしてフラリと動く。


.

259: 2011/10/01(土) 00:22:34 ID:3ogfubfA0


( ^ω^)「うん」

( ^ω^)「これでいいお」


ブーンは、草むらに落ちている、細く短い棒切れを拾った。
振れば今にも折れそうな木棒を、ヒラと向ける。


( <●><●>)「・・・は。何ですかソレは」

( ^ω^)

( <●><●>)「まさかそれで、我々の相手をしようというのですか?」

( ^ω^)「そうだお」

( <●><●>)「・・・・・・」

( <●><●>)「くっふふふ・・・・・」

(♯<●><●>)「 やってしまえ 」


.

260: 2011/10/01(土) 00:25:53 ID:3ogfubfA0


(; ゚∀゚ )「うっ、うあああ!!」

(;'e')「てやあああ!!」


二人の悪漢が同時に、長物を振り回す。


((( ^ω^))「・・・ふっ!」 ビュヒュッ


ブーンは二人の間を、風のようにすり抜ける。

すかさず側面に回り、か細い棒切れで悪漢の手首を打ち、
得物を撃ち落とす。


.

261: 2011/10/01(土) 00:27:55 ID:3ogfubfA0


(;'e')「えっ?」

((( ^ω^)「おっ」 ビシッ

(; e)「あうぇ」 トサッ


(; ゚∀゚ )「ジョおおおおンズ!!くそォッ!」

(; ゚∀゚ )「んだtぅおrじゃねッしょい!!」ブンッ

( ^ω^)「よっ」パシッ

(; ゚∀゚ )「あっ」

( ^ω^)「お母さんを大事に」 ドゴッ

(((i!i! ゚∀゚ ))「おごォッッ」


.

262: 2011/10/01(土) 00:31:58 ID:3ogfubfA0


(;<●><●>)「な・・・・・・」

(´<_ ` ;)(・・・・・・!! す、スゴい・・・!?)


(  ゚∀゚ )「――――――」

( e)「――――――」



小柄の男に、凄まじい早さで当て身を入れ倒す。

大柄の振り回す剣を、なんと軽い棒切れではじいてみせ、
その隙に、敵の腹に強烈な蹴りをくれてやった。


刹那にして悪漢二人を一蹴する。

瞬く間の出来事だったが、命のやり取りにも関わらず
ブーンの顔には汗ひとつあらず。


.

264: 2011/10/01(土) 00:36:29 ID:3ogfubfA0


そして、平静の調子でブーンは語りかける。


( ^ω^)「アンタもやるかお?」


(;<●><●>)「・・・・・・」

(;<●><●>)「遠慮しておきます」

( ^ω^)「それと。自分は流石屋の用心棒だお」

( ^ω^)「もし、またこんな真似をするようなら・・・」

( ^ω^)「その時は本当に、手加減しないお。わかったかお?」

(;<●><●>)「う・・・」


頭目らしき男は、無様に倒れる部下を一瞥すると、
それらを置いたまま、そのまま走り去っていった。


.

265: 2011/10/01(土) 00:37:53 ID:3ogfubfA0


( ^ω^)「大丈夫でしたかお?」

(´<_ ` )「ああ、すまない。おかげで命拾いしたよ」

(´<_ ` )「ブーンさん、だったかな?迷惑かけちまって、すまない」

( ^ω^)「気にしないでくださいお。これくらい、なんて事ないですお!」


オトジャは、倒れる悪漢に目を向ける。


(´<_ ` )「アンタ、やるじゃないか。まさかこれ程とは・・・」

(´<_ ` )「これでも俺も一応剣は振れるが」

(´<_ ` )「俺が今までみてきた戦士の中でも、群を抜いて優秀な戦士だ」

(*^ω^)「褒められると照れますお」


.

266: 2011/10/01(土) 00:40:42 ID:3ogfubfA0


( ^ω^)「あ・・・・・・」

( ^ω^)「オトジャさん。ブーンがあなたを追ってきたのは・・・」

(´<_ ` )「わかってるさ。剣の事だろう」



冷たい夜風が二人の肌をゆっくりと撫でる。
草むらが揺られサワサワと音を立てた。


(´<_ ` )「俺も理解はしている。いつかは兄を超えねばならない」

(´<_ ` )「こうして流石屋の当主を継いでいる以上・・・・・・
      逃げてばかりもいられないという事をな」

( ^ω^)「・・・・・・」


.

267: 2011/10/01(土) 00:42:07 ID:3ogfubfA0


(´<_ ` )「妬みでなく、アニジャには才能があったよ」

(´<_ ` )「その壁をいつも遠くに感じてきた・・・」

(´<_ ` )「わかってる。わかってはいるんだ」

(´<_ ` ;)「だが・・・俺は恐ろしい。腕もそうだが・・・」

(´<_ ` ;)「俺の凡才が・・・今まで脈々と継がれてきた流石屋の歴史を
      すべて終わらせてしまう事になるのが」

( <_ ;)「抱えている物の重さが、俺の一歩を躊躇わせるんだ」

( ^ω^)「・・・・・・オトジャさん」


.

268: 2011/10/01(土) 00:46:42 ID:3ogfubfA0


( ^ω^)「さっき、アニジャさんがいってましたお」

( ^ω^)「オトジャさんなら、きっと出来る。当主を継ぐに相応しい実力があると」

(´<_ ` )「・・・・・・」

( ^ω^)「ブーンはそれを信じますお。オトジャさん」

( ^ω^)「自分は必ず、必ず竜王を倒しますお!」

( ;^ω^)「絶対に!絶対に!!」

( ;^ω^)「その為には、最強の剣が必要ですお」

( ;^ω^)「どうか! ・・・・・・お願いしますお!!」

(´<_ ` )「・・・・・・」


ブーンは、オトジャに深々と頭を下げた。
風が止み、一瞬の間が訪れる。

そして、オトジャが口を開いた。


.

282: 2011/10/04(火) 00:41:03 ID:9E9G.l720
6年付き添った彼女と別れました
ははは、これでブーン系に専念できる
明日投下します。いろいろ遅れてすいません
これからは更新頻度あがると思います


('A`)


(;∀;)ニコッ

293: 2011/10/04(火) 23:19:20 ID:9E9G.l720


(´<_ ` )「アンタは、竜王を倒す為に旅をしている」

(´<_ ` )「平和のために、命すらも賭けて・・・」

(´<_ ` )「考えてみれば、俺なんかよりずっと業を背負ってるのかもしれないな」

( ^ω^)

(´<_ ` )「・・・・・・」

(´<_ ` )「でも、だからこそ・・・だからこそだ」


(´<_ ` )「きっとアンタは、強いんだろう」


( ^ω^)

294: 2011/10/04(火) 23:20:23 ID:9E9G.l720


(´<_ ` )「わかったよ、ブーン」

(´<_ ` )「アンタのおかげで、やっと決心がついた」

(´<_ ` )「アンタの・・・いや、自分の為に」

(´<_ ` )「“炎の剣”を、打とうじゃないか」

(*^ω^)「オトジャさん!!」

(´<_ ` )「俺は絶対に剣を打ってみせる!」

(´<_ ` )「その代わり・・・絶対に竜王を倒してくれ」

( ^ω^)「・・・・・・はい」


( ^ω^)「約束――――――しますお!!」


.

296: 2011/10/04(火) 23:21:58 ID:9E9G.l720



二人は、固い握手を交わす。

また一つ、ブーンは誓いを胸に刻む。


誓いを重ね固めた心で、戦士は明日に挑み続ける。



.

298: 2011/10/04(火) 23:24:52 ID:9E9G.l720


       『 武器防具、流石屋 』



(*´_ゝ`)「オトジャ、本当か!?」

(´<_ ` )「ああ、アニジャ。俺はもう逃げない」

(´<_ ` )「きっと“炎打ち”を成功させてみせるぞ」

(´<_ ` )「ブーンが、俺の心を決めてくれたんだ」

( ´_ゝ`)「ブーンさん、礼を言うよ!」

( ^ω^)「おっ」


.

299: 2011/10/04(火) 23:26:08 ID:9E9G.l720


( ´_ゝ`)「弟の命を救ってもらったばかりか、オトジャの決心をさせてくれるなんて」

( ´_ゝ`)「必ずオトジャはアンタに剣を送るさ」

( ´_ゝ`)「過去の名剣に負けない、立派な剣をな」

( ^ω^)「期待しますお!」

('A`)「ブーン、良かったな」

( ^ω^)「ドクオ」


( ^ω^)「剣を打つには、ドクオの魔術も必要らしいお」

( ^ω^)「迷惑ばかりかけて悪いけど・・・お願いしたいお」

('A`)「まあ、そう水くさい事言うな」

('A`)「魔導錬成の参加は、俺の魔術師としての研鑽にも繋がるしな」

( ^ω^)「ありがとうだお、ドクオ!」


.

300: 2011/10/04(火) 23:29:07 ID:9E9G.l720


(´<_ ` )「さて・・・事は早い方がいいだろう。ブーンの旅を遅らせる訳にもいかん」

(´<_ ` )「これからすぐに、剣を打つぜ。数日はかかるだろうが・・・」

(´<_ ` )「ドクオさんにも悪いが、付き合ってもらう。
      必要な時に呼びたいので、しばらくこの流石屋で竃(かま)で寝泊まりしてほしい」

('A`)「承知した。ブーン、後でその旨をつーの宿に伝えてきてくれないか」

( ^ω^)「了解だお」


( ^ω^)「あ。オトジャさん。ついで、頼みがあるんですお」

(´<_ ` )「ん、なんだ?」

( ^ω^)「・・・剣を打つ時の鉄に、これを使って欲しいんですお」


.

301: 2011/10/04(火) 23:30:17 ID:9E9G.l720


ブーンは背から鉄の盾を外し、差し出した。
それはあの、戦士の今際の遺筆が刻印された盾だった。


(´<_ ` )「ふむ。なかなか純度の高い、いい鉄だ」

(´<_ ` )「これなら積沸(つみわ)かしにも使えるだろう」

(´<_ ` )「これを使えばいいんだな?」

( ^ω^)「お願いしますお」


.

302: 2011/10/04(火) 23:34:25 ID:9E9G.l720


( ´_ゝ`)「よし、そうと決まったら、早速準備だな」

( ^ω^)「みなさん、よろしくお願いしますお!」

(´<_ ` )「ドクオさん、数日は共に竃に入ってもらう事になるが・・・いいかな?」

('A`)「承知した。使ってる宿にも、その旨を伝えて来よう」



そうして、オトジャは剣を打つ為に、ドクオと共に竃に入った。



.

303: 2011/10/04(火) 23:35:21 ID:9E9G.l720





( ^ω^)「オトジャさんにお願いできて、本当によかったですお」

( ´_ゝ`)「うむ。これでアイツも正式な当主になれるだろう」

( ´_ゝ`)「だが、不安を煽る訳ではないが、まだ剣が出来た訳じゃない。
      浮かれる訳にはいかんな」

( ^ω^)「そうですおね・・・」

( ^ω^)「それにしても、剣を打つのに失敗したら腕なんて、すごい話だお」

( ^ω^)「まさに命がけだお・・・」

( ´_ゝ`)「ふぅむ・・・」


.

304: 2011/10/04(火) 23:37:18 ID:9E9G.l720


( ´_ゝ`)「あいつが竃に入った今だから、アンタにだけ言うが」

( ^ω^)「おっ?」

( ´_ゝ`)「昔、ヤクザがウチの武具を大量に仕入れたいと言ってきてな」

( ´_ゝ`)「それも占有でだ。いろいろなところに卸していたし、
      何より良からぬ輩に預けては武具が泣くからな」

( ´_ゝ`)「もちろん断ったんだが、それが運のツキさ」

( ´_ゝ`)「親父が病で氏んでから、急に当主が必要になったからな」

( ´_ゝ`)「俺が炎打ちに挑んでいる時期を見計らって、嫌がらせで邪魔しに来やがったんだ」

( ´_ゝ`)「カッときて、俺は剣をとった。そこで闘った際に、運悪く腕を落としちまった。
      俺の腕でその時は溜飲を下げたみたいだが、まったく面倒な連中だ」


.

305: 2011/10/04(火) 23:40:00 ID:9E9G.l720


( ´_ゝ`)「だが、俺も軽卒な行動をとっちまった」

( ´_ゝ`)「炎打ちに失敗したのは、やはり俺の心の弱さだったんだ」

( ´_ゝ`)「弁解はできない。したくなかった。オトジャにもこの話はしていない。
      いや、いっとくべきだったのかもしれないが」

( ^ω^)「そうだったのかお・・・」

( ´_ゝ`)「そもそも、炎打ちで失敗しても、実際に腕はとらないからな」

( ´_ゝ`)「そう言い伝える事で、そんぐらいの覚悟でやれよって事だから」

( ´_ゝ`)「俺はもう当主権を失ったから、伝書巻で読んで知ってるけど」

( ^ω^)「へえ」


.

306: 2011/10/04(火) 23:43:58 ID:9E9G.l720


( ´_ゝ`)「そういやアンタ、確かドムドーラで、
      ロトの鎧を守ってた魔物と闘ったっていってたっけ」

( ^ω^)「ええ。あの時は苦戦しましたお」

( ´_ゝ`)「竜王が、なぜあの町で魔物に鎧を守らせていたか、解るかい?」

( ^ω^)「おお・・・?」

( ´_ゝ`)「勇者に鎧を取らせたくないだけなら、見張りをつけるなんて事はせずに
      そのまま壊すか回収すりゃあ良かったんだ」

( ´_ゝ`)「それをせずに、わざわざ番人をつけたって事さ」

( ^ω^)「あ!そういえば・・・そうだお」


.

307: 2011/10/04(火) 23:50:54 ID:9E9G.l720


( ´_ゝ`)「実は流石屋、ゆきのふ という前代が、あの町に鎧を封印したんだよ」

( ´_ゝ`)「まだ流石屋がドムドーラに店を構えてた時代にな」

( ´_ゝ`)「竜王に奪われないように、聖なる者しかそれを得る事ができないように」

( ^ω^)「おお、なるほど」

( ´_ゝ`)「ま、それがたたって、町ごと滅ぼされちまったけどな。
      その後、血を継ぐものがメルキドに移住したのさ」

( ´_ゝ`)「ゆきのふは、一時期は冒険者としても有名だったらしいぜ」

( ´_ゝ`)「あらまきという冒険者と共に組んで、世界を見て回ったとか。
      これ豆知識な」

( ^ω^)「ほおー」



( ´_ゝ`)「・・・・・お」

( ´_ゝ`)「竃から、鉄を打つ音が聞こえるな・・・」


.

308: 2011/10/04(火) 23:52:41 ID:9E9G.l720





(´<_ `;;)(・・・・・・) カン カン



(´<_ `;;)(“一打一打に、一挙手一投足に魂を込めん”・・・・・・) カン カン


(´<_ `;;)(“鉄打ちて、鉄と己を鍛錬するべし”・・・・・・) カン カン


(´<_ `;;)(“傍らに精良なる魔力操りし者おきて、鉄に霊力を練り穿つ”・・・・・・) カン カン


(´<_ `;;)(“この際に心の乱れありては、剣の心鉄にも乱れあり”・・・・・・) カン カン


::('A`)::「・・・・・・」 フォォ..


.

309: 2011/10/04(火) 23:55:13 ID:9E9G.l720


(´<_ `;;)(“決して急かず決して鈍ならず、無我の境地にて叩くが善し”・・・・・・) カン カン


(´<_ `;;)(“剣の型に整え、魔力帯せ直ぐに研ぐべし”・・・・・・) ギリ ギリ


(´<_ `;;)(“荒研ぎが終われば”・・・・・・)


(´<_ `;;)(“・・・仕上げ装飾の宝石に、熱気の魔力を加える事で画竜点睛とす・・・!”・・・・・・)


::('A`)::「・・・・・・」


.

310: 2011/10/04(火) 23:58:01 ID:9E9G.l720




(´<_ `;;) ハァ、ハァ

(´<_ `;;)「で、できた・・・」

(´<_ `;;)「なんとか、出来たぞ・・・!」

('A`)「よくぞやられた、オトジャ殿」

(´<_ `;;)「ドクオさん。アンタも、よくやってくれた。ありがとう」

('A`)「そして、これは・・・」

('A`)「なんと見事な・・・!」


.

311: 2011/10/05(水) 00:00:55 ID:lSD4dt2Y0



(´<_ ` )「ブーン!出来たぞ!」

( ;^ω^)「! オトジャさん!」

(´<_ ` )「見てくれ。これが俺の打った・・・炎の剣だ!」

( ;゜ω゜)「おお・・・ッッ!これは・・・!」



それはまるで、宝石のようだった。

刀身は赤く光り、透けて見える。
柄にもキラキラと輝く水晶が取り付けられ、
全体に繊細な意匠が施されている。

武器というよりも、一つの芸術品ほどの美しさに、ブーンの目は奪われた。


.

312: 2011/10/05(水) 00:02:04 ID:lSD4dt2Y0


(´<_ ` )「握ってみてくれ。アンタの剣だ」

( ^ω^)「お・・・」


ブーンは、剣をしかと握る。

そして、天に掲げた。


( ^ω^)† 「・・・・・・」


実に手に良く馴染んだ。

柄の相性も、剣の重みも、全てにしっくりくる。
まるで、生来これと共に生きてきたような、そんな感覚さえあった。


.

313: 2011/10/05(水) 00:04:38 ID:lSD4dt2Y0


(´<_ ` )「炎の剣は、魔力を秘めた魔法具だ。それは振れば、熱を放つ。
      素早く振れば振る程、剣は高熱を帯びる」

(´<_ ` )「熟練の者が扱えば、炎を操る事すら可能だという。
      ブーン、振ってみるんだ」


( ^ω^)† 「・・・・・・」

( ^ω )//,.; シャヒョアッ!!


赤透明の刀身が、さらに光を増して虚空を斬る。
陽炎が、剣の周りの空気を歪ませた。


('A`;)「おお・・・!」

(´<_ ` )「出来た・・・!!」


( ^ω^)†


.

314: 2011/10/05(水) 00:08:11 ID:lSD4dt2Y0


(*´_ゝ`)「おお・・・これは・・・!!」

(*´_ゝ`)「炎の剣の完成だ!!オトジャ、よくやった!」

(´<_ ` )「アニジャ・・・」

( ´_ゝ`)「これで、晴れて堂々と9代目を名乗れる。誇っていいんだ」

(´<_ ` )「今まで心配かけさせて、悪かったな。そして、ありがとう」


(  ω )「オトジャさん」

(*^ω^)「・・・素晴らしいですお!」

( ^ω^)「ありがとうございますお・・・! きっと・・・」

( ^ω^)「きっとこの剣で、竜王を討ちますお!」

(´<_ ` )「ああ、期待しているぞ」


.

315: 2011/10/05(水) 00:09:53 ID:lSD4dt2Y0


( ^ω^)「そしてドクオの協力が無かったら、この剣は誕生しなかったお」

( ^ω^)「改めて、礼を言うお」

('A`)「俺はほんの少し手伝いをしただけさ。
    オトジャ殿の執念が、この剣を作り上げたんだ」

( ´_ゝ`)「いや、ブーンさんにもドクオさんにも感謝する。
      礼として、ウチでの費用は全部無料にさせてくれ」

( ;゜ω゜)「ええっ!いや、高価な品物を・・・」

( ´_ゝ`)「いいんだよ。特に、ブーンさんにはオトジャの命を
      救って貰ってるしな。気にする事はない」

( ^ω^)「おお・・・」

('A`)「それは、御厚意甘えさせて頂きます」


.

316: 2011/10/05(水) 00:12:52 ID:lSD4dt2Y0


(´<_ ` )「そうだ、ブーン」

(´<_ ` )「代々、炎の剣には、銘がつく」

(´<_ ` )「お前に、この剣の銘をつけて欲しい」

( ^ω^)「お?ブーンがかお?」

(´<_ ` )「ああ」

(´<_ ` )「銘は流石屋の歴史として、後世に伝えていく大切なものだ・・・
      それを、お前に名付けて欲しいんだ」

( ^ω^)「わかったお!じゃあ、ブーン剣だお!」

(´<_ ` )「緊張するかもしれな・・・え?」


.

317: 2011/10/05(水) 00:16:31 ID:lSD4dt2Y0


(´<_ ` )「ブ、ブーン剣?」

( ^ω^)「ブーン剣だお!」

(´<_ ` ;)「い、いや・・・もっとあの、考えてつけてくれてもいいんだぞ?
      ちなみに先代はアメノムラクモで、先々代はタケミカヅチ・・・」

( ^ω^)「いや、ブーン剣でいいお!」

(*^ω^)「ブーンの名前が使われるなんて光栄だお!かっこいいお!」

(´<_ ` ;)「そ、そうか・・・」

(´<_ ` ;)

(;<_ ; )

( ´_ゝ`)(オトジャ・・・残念!)

('A`)(可哀相に・・・)


.

318: 2011/10/05(水) 00:17:37 ID:lSD4dt2Y0



                 ( ^ω^) †

321: 2011/10/05(水) 00:50:46 ID:lSD4dt2Y0


夜。 宿屋、つーの家――――――の近く



   ( ^ω^)    ('A`)



( ^ω^)「メルキドにきて、やはり正解だったお。
      最高の装備が手に入ったお」

( ^ω^)「それに、ドクオにも会えたし」

('A`)「ああ、そうだな」


冷たい木枯らしの中、男二人が、ふらりと歩く。


.

322: 2011/10/05(水) 00:54:15 ID:lSD4dt2Y0


( ^ω^)「ドクオの研究は、まだ終わらないのかお・・・?」

('A`)「ああ・・・」

('A`)「だが、後少しだ」


('A`)「俺の研究の課題は三つ・・・」

('A`)「二つは既に完成しているんだ」

('A`)「残るは一つ・・・あと、少しなんだ」

( ^ω^)「おお・・・」

('A`)「そうだ、もう少しで」


.

323: 2011/10/05(水) 00:56:42 ID:lSD4dt2Y0


('A`)「すべてを・・・清算しにいける」


( ^ω^)



((((((((((川 - ))))))))))))))


('A`)(・・・・・・)


.

324: 2011/10/05(水) 01:00:49 ID:lSD4dt2Y0


( ^ω^)「ブーンは明日、メルキドを発つお」

('A`)「そうか」

('A`)「竜王のもとへ辿り着く方法を見つけたんだったな」

( ^ω^)「だお」

('A`)

( ^ω^)


.

325: 2011/10/05(水) 01:06:03 ID:lSD4dt2Y0


ブーンもドクオも、感じていた。

近い未来の、自分の旅の終わりを。


彼らの冒険が、何処に終着するのか。

彼らが旅路の果てに見いだすものは、一体なんなのか。


それはまだ解らない。

全ては、この見上げれば空に広がる暗雲に包まれているのだ。



      ( ^ω^)       ('A`)


.

326: 2011/10/05(水) 01:08:48 ID:lSD4dt2Y0


( ^ω^)「ドクオ」

('A`)

( ^ω^)

('A`)「ブーン」

( ^ω^)「氏ぬなお」

('A`)「お前もな」

( ^ω^)

('A`)

( ^ω^)「おっおっお・・・!」

('A`)「フフ・・・」


.

327: 2011/10/05(水) 01:20:14 ID:lSD4dt2Y0


( ^ω^)「酒でも買ってくるかお!」

('A`)「ああ、俺達の――――――」

( ^ω^)「――――――冒険の、成功に向けて!乾杯するお!」

('A`)「ブーン」

( ^ω^)「そうだお、きっと何処かで、また会えるお!」

('A`)「必ずな」

( ^ω^)「おっおっ!」


.

329: 2011/10/05(水) 01:27:40 ID:lSD4dt2Y0


運命のように繋がれた戦士達は、ここに再び誓いを立てる。

闇に、うちひしがれぬ様に。


二人の抱える業・・・ それを成就するには並大抵の事ではない。

互いに、それを理解していた・・・しかし。


例え目の前に、巨大な艱難(かんなん)が立ちふさがっていても。

己が内に宿る、希望の炎を消さぬように。



ただ笑って、強がって――――――互いの未来への曙光(しょこう)を、確かめ合うのだ。



         ( ^ω^)   ('A`)



to be continued...!!


.

331: 2011/10/05(水) 01:32:02 ID:lSD4dt2Y0


( ^ω^)ブーンの今のステータス

LV23

ほのおのつるぎ
まほうのよろい
みかがみのたて


('A`)ドクオの今のステータス

LV24

こんぼう
くろのろーぶ
しのくびかざり


今回登場した敵:なし

.

332: 2011/10/05(水) 01:35:48 ID:lSD4dt2Y0
27話投下終了・・・ゴタゴタ間を空けたり申し訳ない('A`)

なんか終盤っぽい空気だけど、話数自体はまだ結構あると思います。
とにかく、これから更新頻度あげるおー!

それでは皆さん、(*゚∀゚)乙かれ様でした(#゚;;-゚)

370: 2011/10/17(月) 19:03:07 ID:6dgepWXQ0
投下しますう

372: 2011/10/17(月) 19:04:07 ID:6dgepWXQ0


28話


.

373: 2011/10/17(月) 19:06:16 ID:6dgepWXQ0


暗澹(あんたん)とした空の下、
荒野の寒風に肌をひび切らせながらも踏みしめる。

いっそう冷え込みの強い今日の様な日は、
背なに携える剣の鞘から伝わる、ほのかな熱が嬉しい。



( ^ω^)



.

374: 2011/10/17(月) 19:07:55 ID:6dgepWXQ0


ブーンのこれからの旅程。

それは、ラダトームを旅の中継とし、マイラ、リムルダールとなぞりながら、
“賢者”の一人である、じぃのもとへ訪れようとしている。


そこで、竜王の居る島へ渡る為の方法を得る為に。



スライムベス「ピギッ、ピキキっ!」


( ^ω^)「お。スライムかお。これはベスかお」

( ^ω^)「この辺の魔物も懐かしいお」


スライムベス「ピキーーーー!!」


( ^ω^)ミ「――――――」 ヒュザッ!


.

375: 2011/10/17(月) 19:08:49 ID:6dgepWXQ0


目にも止まらぬ抜剣で、飛びかかってきたスライムを空で両断する。

スライムは、凄まじい剣速で生み出される高熱で、
煙を出して飛散・・・肉片がぱたぱたと地面に落ちて溶けた。

やはり、もはやこの周辺の魔物では、ブーンの相手にはならない。


( ^ω^)「うん、やっぱり」

( ^ω^)「いい剣だお・・・ブーン剣!」


ブーンは、熱気立ち揺らめく剣身をかざし、惚れ惚れしながら眺める。
そうして、カシンと背なの鞘に収めた。


.

376: 2011/10/17(月) 19:10:34 ID:6dgepWXQ0


そしてブーンが見据える彼方には、ラダトーム城下町。


ブーンがメルキドを発ち、幾十日が過ぎる。
山河辺境を超えて、ようやく故郷に辿り着いた。


( ^ω^)「ふぅ」

( ^ω^)「やっぱり、ラダトームの風は落ち着くお」


悪しき竜王の魔力に侵されたアルフガレドの風も、
場所によってその趣きを変える。


ここに立ち寄ったのは、そうしばらくぶりの事ではないが、
しかしそれでも、故郷の風というのは、
いつ仰いでも懐かしい気持ちになるものだ。


.

377: 2011/10/17(月) 19:11:59 ID:6dgepWXQ0


そして、ブーンは城下町に入っていった。


長旅で、足が棒のようだった。
はやく、疲れきったこの身躯を休めたい。


そう考えるうちに、マイラの温泉を思い出した。
あれは、本当にいいものだった。
心身の疲れを、ほうっと癒せる。

次に立ち寄るときも、思う存分に堪能しよう。
そう思えば、次の遠路苦道にも、華を添えられる。


そういう、ささやかな希望を持つのはいい事だ。
様々なものに楽しみを見いだして、いい意味で楽観的に。

この過酷な旅を踏破するには、そうでもしなければ心を折られてしまう。
苦心ばかりに前途なし。


.

379: 2011/10/17(月) 19:16:25 ID:6dgepWXQ0


常に心にゆとりや希望を秘めつつ往く。
これも、旅では重要な事だとブーンは考える。

そして、ラダトームの町並みを眺めながら、散策する。



( ^ω^)「さてさて・・・まずは何より」


( ^ω^)<グウゥウゥウウ--......

( ^ω^)「・・・・・・」

( ^ω^)「うむ」

( ^ω^)「・・・まずは、」

(*^ω^)「飯だお」


.

380: 2011/10/17(月) 19:18:22 ID:6dgepWXQ0


長旅では、町で買った食料などは節制してもすぐに尽きてしまう。

どうしても途中から味気ない野生の物を獲る事になる。
そういう食生活を続けると、やはり“味”が恋しくなるのだ。

特に、ブーンのような食い意地の張った者には。


( ^ω^)「・・・・・・」


――――――――――――

   从 ゚∀从

――――――――――――


ハインの店の味を思い出す。

一瞬、ラダトームを出たら、少しでも立ち寄ろうかと思った。
だがすぐに、その思考を破棄した。


.

381: 2011/10/17(月) 19:19:33 ID:6dgepWXQ0


( ^ω^)(確かにハインさんには会いたいお)

( ^ω^)(それに、ラダトーム城のツンにも。でも・・・)

( ^ω^)(ブーンがそうしてる間にも、魔の恐怖に怯える人々がいるんだお)

( ^ω^)(そう簡単に会ってしまえば、未練が募るだけだお)



自制した。

本音を言えば、親しき者に会いたい。

だがそれは、この冒険の本質には触れない、ただの享楽にしかすぎない。

情にかられ、旅の妨げになるような事を、ブーンは善しとしなかった。


.

382: 2011/10/17(月) 19:21:22 ID:6dgepWXQ0


( ^ω^)「ま、とりあえず飯だお」

( ^ω^)「何を食べようかお・・・」


ブーンは、食事処を探し出す。



(=゚ω゚)

(=゚ω゚)ノ 「ぃょう!ブーン! ブーンじゃないかょぅ!」


( ^ω^)「おっ・・・?」

(=゚ω゚)ノ「久しぶりなんだょぅ!」

(*^ω^)「・・・おっおっ、イヨウかお!しばらくだお~~!!」


.

383: 2011/10/17(月) 19:22:53 ID:6dgepWXQ0


道端で、童顔の若者に声を掛けられた。
それはブーンも良く知る人間だった。


(=゚ω゚)「いつラダトームに帰ってきたんだょぅ!」

( ^ω^)「ほんのついさっきだお!」



ブーンとイヨウは、百年の知己。
数少ない、ブーンの気心しれた友人だった。


イヨウは、この町で農家を営んで暮らす若者ある。

昔は、よくギコ達と共に野山を駆けた間柄だ。

ブーンがギコの計らいで自警団と訓練していた時にも、
たまに参加して、一緒に稽古したものだった。


.

384: 2011/10/17(月) 19:24:30 ID:6dgepWXQ0


(=゚ω゚)「ブーンの噂は、聞いてるょぅ」

(=゚ω゚)「なんでも、ラダトームの姫を救い出したそうじゃないかょぅ」

(=゚ω゚)「すごいんだょぅ!」

( ^ω^)「いやー、ソレホドでもあるおー。ハハハ・・・」


(=゚ω゚)「ブーンがラダトームを旅立つと聞いた時も、本当に驚いたょぅ」

(=゚ω゚)「まさかあの温厚なブーンが、竜王を倒す旅に出るなんて」

(=゚ω゚)「周りの皆も、信じられないと噂してたょぅ!」

( ^ω^)「ブーンも、旅立つ前は微塵も思わなかったお」

( ^ω^)「自分が冒険をするなんて事は・・・」


.

385: 2011/10/17(月) 19:25:27 ID:6dgepWXQ0


(=゚ω゚)「こんな凄い装備、一体どうしたんだょぅ。
     めちゃくちゃ高価そうだょぅ!」

(=゚ω゚)ノ「かっこいいょぅ!」

( ^ω^)「ブーンも気に入ってるお。最高の装備だお!」


(=゚ω゚)「体つきも、以前と全然違うょぅ。随分ガッシリして・・・」

(=゚ω゚)「下手したら、ちょっと恐怖を覚えるレベルだょぅwww」

( ^ω^)「ちょwww恐怖てwwwww」


二人は共に食事でも取る事にする。
食事処へ一緒に向かいながら、話に花を咲かせた。


.

386: 2011/10/17(月) 19:26:50 ID:6dgepWXQ0


(=゚ω゚)「それで旅の方は、順調なのかょぅ?」

( ^ω^)「・・・・・・」


( ^ω^)「ああ、順調だお」

(=゚ω゚)「そうかょぅ・・・」


イヨウは、ふと頼り無さげな顔をした。


( ^ω^)「おっ?どうしたお。何か、心配事でもあるのかお?」

(=゚ω゚)「いや、実は・・・・・・」


.

387: 2011/10/17(月) 19:28:19 ID:6dgepWXQ0


(=゚ω゚)「僕も、旅に出る事になったんだょぅ」

( ^ω^)「えっ?旅?」

( ;^ω^)「という事は・・・もしかして」

(=゚ω゚)「そうだょぅ・・・竜王討伐の旅だょぅ」


ブーンは驚いて飛び上がる。
風が吹き、イヨウがくちんと小さいくしゃみをした。


.

388: 2011/10/17(月) 19:29:06 ID:6dgepWXQ0


(=゚ω゚)「ぅぅ・・・ズズ。でも、本当はいきたくないんだょぅ・・・」

( ^ω^)「おっ」

(=゚ω゚)「ウチは大家族で、貧乏なんだよう」

(=゚ω゚)「竜王討伐の遠征に出れば、国から支度金が貰えるょぅ」

(=゚ω゚)「それに、僕が居なくなれば・・・食い扶持も減る。
     旅に出れば、少しでも家計が良くなるんだょぅ・・・」

( ^ω^)「・・・・・・」

(=゚ω゚)「自警団で、武術の真似事をした事があるって理由で、
     僕が家から出て行く事に・・・」

(=゚ω゚)「さっき、城でお金を貰ってきたょぅ」

(=゚ω゚)「これでもう、この町から出て行かなくちゃならないょぅ・・・」

( ^ω^)「そうかお・・・」


.

389: 2011/10/17(月) 19:30:20 ID:6dgepWXQ0


(=゚ω゚)「それもこれも、竜王のせいなんだょぅ!」

(=゚ω゚)「アイツが現れてから、農作物が思う様に採れなくなって・・・」

(=゚ω゚)「農民は大打撃だょぅ。いや、世界全体が貧しくなった・・・」


(=-ω-)「でも・・・僕には、竜王に逆らって冒険する勇気なんて無いょぅ」

(=-ω-)「ブーンのように・・・強くないんだょぅ・・・」

( ^ω^)「イヨウ・・・」


.

390: 2011/10/17(月) 19:31:55 ID:6dgepWXQ0


(;=゚ω゚)「ああ、いったい、どうしたらいいんだょぅ!」

(=゚ω゚)「はぁ・・・どこか、安心して暮らせる、平和で穏やかな所は無いかょぅ・・・」

( ^ω^)「・・・・・・」



( ^ω^)「それなら、いいところがあるお」






.

391: 2011/10/17(月) 19:34:01 ID:6dgepWXQ0




深い森の背の高い草をかき分け進むと、
靴に、しめった泥がついて、重くなる。
振脚して泥を飛ばす。


( ^ω^)


そうして、やっと森を抜ける。

漂ってくる硫黄の匂いに懐かしさを覚える。
視界の先には、山の湯煙、人家の気配。


.

392: 2011/10/17(月) 19:35:38 ID:6dgepWXQ0


( ^ω^)「・・・・・・おっおっ、ついたお」

( ^ω^)「旅情の地、マイラ!」


ブーンはラダトームからの遠路を経て、マイラに到達していた。


( ^ω^)「よっしゃよっしゃ。宿についたら、早速温泉に入るお!」


温泉が今から楽しみでしょうがない。
ブーンは足早に、村へ向かう。

以前、ドクオと温泉を共にした時の事を思い出す。


.

393: 2011/10/17(月) 19:36:48 ID:6dgepWXQ0


( ^ω^)「ドクオと再会したのも、マイラだったおね・・・」

( ^ω^)「なんだかんだ奴とは、本当に何か縁で結ばれている気がするお」


('A`)『俺は、呪われている。忌み嫌われてきた』


( ^ω^)「・・・呪い、か」

( ^ω^)「ブーンが竜王を倒せば、ドクオの呪いも解けたりするのかお」


ブーンは、マイラの村の宿を探す。


.

394: 2011/10/17(月) 19:37:40 ID:6dgepWXQ0


从'ー'从「はーい!お客さん、旅人?お一人ですねぇ」

( ^ω^)「そうですお」

从'ー'从「何泊されます?」

( ^ω^)「1泊か2泊くらいですお」


从'ー'从「わっかりましたぁ~~。では、この名簿に押印か名前を・・・アレ?」

从'ー'从「お客さん、もしかして以前こちらをご利用されたこと、ありますかぁ~」

( ^ω^)「おっおっ、そうだお。前にも泊まらせてもらったお!」

从'ー'从「そうですかぁ。わたし、ドジで物覚えも悪いけど、
      お客さんの顔だけは忘れないんですよ~~」

( ^ω^)「そうなのかお、すごいお。
      ブーンなんか、何でもすぐに忘れちゃうお!財布も無くしたりで・・・」


.

395: 2011/10/17(月) 19:39:35 ID:6dgepWXQ0


从'ー'从「お客さん、運がいいですよぉ。実は、今夜お祭りがあるんです」

( ^ω^)「えっ、祭り?」

从'ー'从「ええ。小規模ですけど」


从'ー'从「この村から出土した、立派な笛があるんです」

从'ー'从「その笛の音色と楽団で、みんなで宴を催します。
      温泉場の近くですので、ぜひいってみてください~」

从'ー'从「あ、わたしもいきますよぉ~」


( ^ω^)「これはいい時に来たもんだお!教えてくれてありがとうだお」


.

396: 2011/10/17(月) 19:40:59 ID:6dgepWXQ0


祭りがあるとは、意外だった。

予期せぬも嬉しい催し事に出くわし、ブーンの気分は高揚する。


(*^ω^)「お祭りなら、美味しいものもきっとあるお」

(*^ω^)「楽しみだお」


.

397: 2011/10/17(月) 19:43:15 ID:6dgepWXQ0


その夜。ブーンは温泉場付近へ行くと、近くで大きな焚き火をしていた。

周りには、太鼓や、食べ物を出す露店がある。

にわかに活気づいて、人々は笑顔で手を叩き、踊っている。

火の元の近くに櫓(やぐら)があり、その上で人が笛を吹く。


( ^ω^)「おお・・・!」


なんともいえぬ、心地よい音色。
以前、これと同じような音色を聞いた事があるような気がした。

ふと眠りに落ちてしまいそうな程、安らぎのある音色だった。


.

398: 2011/10/17(月) 19:44:09 ID:6dgepWXQ0


( ^ω^)「うーん、祭りって感じだお」

( ^ω^)「何か露店で買って食べるかお」


ブーンは、茹でた野菜と、鶏肉を焼いたものを買う。
鶏肉のカリッと焼かれた香ばしい匂いが、食欲をそそる。


(*^ω^)「このトウモロコシ、瑞々しくて甘くて美味いお」 ガツガツ

(*^ω^)「鶏肉も、皮はパリパリで肉汁がジュワッと・・・塩のタレの加減が絶妙!」 バリバリ

(*^ω^)「ほんでお酒が・・・んぐんぐ。相性ばっちりだお!」 グビグビ...ムハー


ブーンは、喧噪と美しい笛と太鼓の音色の中、心躍るひと時を過ごす。



.

399: 2011/10/17(月) 19:45:44 ID:6dgepWXQ0


宴もたけなわになった頃・・・ブーンは温泉場に足を運ぶ。

脱衣場で着替え、湯へ。



( ^ω^)「ふぅ、さっきも入ったけど、また入るお。酔い覚まし酔い覚まし」

( ^ω^)「こいつは、何度はいっても飽きないもんだお」


温泉場には、人は少なかった。
皆、住民は祭りの方にいっているのだろうか。

人の顔がよく見えないほど、湯煙が立つ。

そして、熱い湯へ、身を落とす。


.

401: 2011/10/17(月) 19:48:45 ID:6dgepWXQ0


(*^ω^)「あ゛あ゛ー・・・」


体に残る酔いが、ふうっと薄れていく。
頭から湯を浴び、バシャバシャと顔を洗う。

湯熱と、冷たい外気のコントラストに、身を預ける。
濡れた肌は、風の心地よさを強調して。

全身のこりかたまった筋肉がゆっくりとほぐれる感覚。


(*^ω^)「ふぅ。これは・・・」



   「か~~~~っ、いいねえ!!温泉ってのは、やっぱり良いモンだな」



.

402: 2011/10/17(月) 19:50:58 ID:6dgepWXQ0


(*^ω^)「いやー・・・まったく・・・」



   ( ^ω^)     ( ゚∀゚)


   (  ^ω^)     (゚∀゚ )




( ;゜ω゜)「 じょ・・・ジョルジュっっ?! 」


( ゚∀゚)「おっ・・・? ブーンじゃねえか!!」


.

403: 2011/10/17(月) 19:52:09 ID:6dgepWXQ0


なんと、隣で湯浴みしていたのは、
かつてブーンに師事していた・・・

あの鉄拳無頼、ジョルジュであった。



(*^ω^)「ほぅわーー!!まさかこんなところで会うなんて!」

(*^ω^)「久しぶりだお、ジョルジュ!!」

( ゚∀゚)「なんだ、お前もこの村に来ていたのか」

( ^ω^)「そうだお!」

( ゚∀゚)「へへ・・・こりゃたまげたぜ」


.

404: 2011/10/17(月) 19:54:25 ID:6dgepWXQ0


楽しげな祭りとの遭遇。
温泉の心地よさ。
そして、かつての師との偶然の再会。


(*^ω^)(本当に今日は・・・)

(*^ω^)(今日はなんて素晴らしい日だお!)



( ゚∀゚)「いやー・・・しかし」

( ゚∀゚)「見違えたな、ブーン。武器をもってなくとも解る」

( ゚∀゚)「俺と修行してたあの時代とは、比較にならねえほど力をつけたな・・・」


ジョルジュは、ぴしゃりとブーンの筋肉を叩く。
水しぶきが大きく跳ねた。


.

406: 2011/10/17(月) 19:56:33 ID:6dgepWXQ0


( ゚∀゚)「どうやら鍛錬は怠ってねえようだ」

( ^ω^)「まあ・・・あの頃よりはブーンも成長したお」

( ^ω^)「でも、まだジョルジュの強さには、届いてないと思うお」

( ゚∀゚)「くっく・・・そう簡単に超えられる俺じゃねえぜ」

( ^ω^)「おっおっ!」


( ゚∀゚)「そういや、祭りにはいったか?」

( ^ω^)「ああ、いってきたお!」

( ゚∀゚)「どうだった?」

( ^ω^)「よかったお!食べ物も美味しかったし」


.

407: 2011/10/17(月) 19:57:45 ID:6dgepWXQ0


( ^ω^)「皆楽しそうに、騒いでたおね」

( ゚∀゚)「・・・・・・そうか・・・」

( ^ω^)「お?ジョルジュは、いってないのかお?」

( ゚∀゚)「まぁな」

( ^ω^)「えー、行けば良かったのに。楽しかったお!」

( ゚∀゚)「俺は孤独を好むクールなタイプの漢なんだよ!」

( ^ω^)「なんだおそのキャラ作りwww」

( ゚∀゚)「やっぱいけば良かったかな・・・くそ」


.

408: 2011/10/17(月) 19:59:32 ID:6dgepWXQ0


( ゚∀゚)「お前、なんでこの村にきたんだ?」

( ^ω^)「旅の中継だお。これから、リムルダール方面へ向かうお」

( ^ω^)「あの魔の島へ・・・渡る為の方法を見つけたんだお!」

( ゚∀゚)「え?そんなん泳いでいきゃいいんじゃねえのか?」

( ^ω^)「ああ・・・なるほどね・・・ そうね・・・君ならいけるかもね・・・」


( ^ω^)「ジョルジュは、修行中だおね。なんでマイラに?」

( ゚∀゚)「・・・あー、ちょっとやる事がな」

( ^ω^)「おっ、何だお?」

( ゚∀゚)「・・・いや、いんだよ。もう済んだし」


.

409: 2011/10/17(月) 20:01:06 ID:6dgepWXQ0


( ゚∀゚)「それより・・・ブーン」

( ^ω^)「おっ?」

( ゚∀゚)「確かに俺の方が強いのかもしれねえ・・・が・・・みたとこ実力は」

( ゚∀゚)「かなり伯仲してるかもな。俺は強ェ奴をみると・・・」ウズ


,;i( ゚∀゚)i,; 「やりたくなっちまうんだ」 ザバァ!!


( ;゜ω゜)「で、でけえお!でけえおジョルジュ!ジョルジュでっけえお!!」

( ;゜ω゜)「い、いや!やめて!ブーンにそういう趣味は・・・」

( ゚∀゚)「なーに言ってんだ ・・・せいッッ!!」ドヴァッ

( ;゜ω゜)「のおおう!?」 サッ


ジョルジュが拳を突き出す。
湯面が波立ち、水流が天高く上がった。


.

410: 2011/10/17(月) 20:04:43 ID:6dgepWXQ0


( ゚∀゚)「へへへ!久しぶりに稽古つけてやるぜ、ブーン!」

( ゚∀゚)「ついでに、水際の戦い方ってのを教えてやるよ」

( ;゜ω゜)「や、やめるおジョルジュ!何ブラブラさせて・・・ それに他のお客さんに迷惑・・・」

( ゚∀゚)「今ここにゃ俺とお前以外いねえよ」

( ゚∀゚)「修行時代みたいに、負けた方、腕立て1000回な。そりゃあッッ!!」 バッシャーン


( ;゜ω゜)「ああおお~~~~ッッ!!」



やっぱり、そう素晴らしい事ばかりがあるってもんじゃないのかお!




to be continued...!!


.

411: 2011/10/17(月) 20:07:37 ID:6dgepWXQ0


( ^ω^)ブーンの今のステータス

LV23

ほのおのつるぎ
まほうのよろい
みかがみのたて


今回登場した敵

スライムベス:スライムの亜種。強さや生態はほとんど変わらず、
         外見の色だけが違う。ベスは、真っ赤な透明色である。
         一説によると、雌にこの色が多く見られるというが、
         雌雄をはっきり見分けられる者は少ない。


.

413: 2011/10/17(月) 20:14:56 ID:6dgepWXQ0
28話投下終了
ブーンが強くなったおかげで、冒険の苦心さの表現が難しくなってきてます
次回からクライマックスに向けて、結構シリアスな展開になると思うので勘弁です
それじゃ、どうも( ´_ゝ`)乙かれさまでした(´<_ ` )

次回:( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)【Lv.15】



引用: ( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)