817: 2011/11/28(月) 20:01:30 ID:Dz2PjSzo0
818: 2011/11/28(月) 20:02:48 ID:Dz2PjSzo0
819: 2011/11/28(月) 20:04:38 ID:Dz2PjSzo0
身を切る様な烈風と、黒波打ち付ける切り立った断崖に、一人の男が立つ。
波音は、まるで男を歓迎しないかのように強く、強く。
重厚な鎧に、手には盾、背には荷物と剣。戦士なのだ。
肩からの衣が強く吹き付ける風に靡(なび)き、バタバタと翻弄される。
戦士の眼差しの先には――――――荒れ狂う海の先に見える、黒城。
( ^ω^)
.
821: 2011/11/28(月) 20:07:45 ID:Dz2PjSzo0
ブーンは、魔の島から陸地で最も近い場所。
あの勇者モナーが、虹のしずくを使ったとされる同じ地点にいる。
“聖なる橋”を渡すために。
( ^ω^)
( ^ω^)「ついにここまで来たかお・・・」
( ^ω^)
( -ω-)
眼を閉じると、脳裏にこれまで触れ会ってきた全ての人々の顔が過(よぎ)る。
笑顔も。 無念の涙も。
期待のまなざしも。 悲しみの嗚咽も。
.
822: 2011/11/28(月) 20:08:57 ID:Dz2PjSzo0
( -ω-)
( ^ω^)
さぁ、いこう。
希望を取り返す為に。平和を温もりを思い出す為に。
この世界に、晴れ渡る美しき “青空” を取り戻す為に。
ブーンは、握りしめるそれを、天に掲げた。
微かに煌めく、七色の石。
それが、輝きを増しながら・・・・・・ブーンの手から放たれ、飛翔した。
.
823: 2011/11/28(月) 20:10:16 ID:Dz2PjSzo0
( ^ω^)「おおっ・・・!」
光は線の束となり、形を紡いでゆく。
やがて、一つの大きな輝きの“橋”となる。
背中の剣を、スラリと抜いた。
剣もまた、真紅の光を放ちながら。
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)「――――――いくお」
.
824: 2011/11/28(月) 20:11:18 ID:Dz2PjSzo0
一歩踏み出す。
薄氷の如き光を踏みしめる。
その感触は、しかし確かに。
( ^ω^)
ブーンは歩く。 歩み続ける。
もはや引き返す事は出来ない――――――最後の冒険へ。
.
825: 2011/11/28(月) 20:12:13 ID:Dz2PjSzo0
.
826: 2011/11/28(月) 20:13:33 ID:Dz2PjSzo0
――――――メルキド。
('A`)「・・・・・・」
(*゚∀゚)「お師匠。支度はととのいました」
('A`)「ああ」
.
827: 2011/11/28(月) 20:14:43 ID:Dz2PjSzo0
ドクオは、黒衣のローブを羽織る。
フードを後頭に降ろし、空を見つめた。
('A`)「今日は・・・満月だな」
(*゚∀゚)「?」
('A`)「今まで随分、世話になった」
('A`)「ありがとう」
ドクオは軽く頭を下げた。
.
828: 2011/11/28(月) 20:15:55 ID:Dz2PjSzo0
(*゚∀゚)「こちらこそです!!」
(#゚;;-゚)「ドクオさん・・・本当に今までありがとう御座いました」
(#゚;;-゚)「・・・ここに戻って来られる事・・・つーも私も、心待ちにしております」
(*゚∀゚)「そうだよ! 帰ってきたら、またお世話させていただきますよ!」
('A`)「ああ、そうだな・・・・・・頼む」
(*゚∀゚)「お師匠」
つーは、ドクオの手を握る。そして・・・
(*゚∀゚)《ホイミィ》ホワァ
癒しの魔法の光が、ドクオの手に暖かみを与えた。
.
829: 2011/11/28(月) 20:17:06 ID:Dz2PjSzo0
(*゚∀゚)「僕にできる、唯一の祝福です」
(*゚∀゚)「お気をつけて。いってらっしゃい・・・」
('A`)「つー」
('A`)「俺は、良い弟子を持った」
ドクオは、ふと微笑した。
(*゚∀゚)「・・・お師匠が笑うの、久しぶりにみました」
('A`)「フ・・・」
.
830: 2011/11/28(月) 20:19:03 ID:Dz2PjSzo0
(*゚∀゚)「・・・・・・ドクオ師匠・・・」
つーは、ドクオの袖をぎゅうと掴み、言う。
(*゚∀゚)「がんばってください・・・!」
(*゚∀゚)「ぜったい、ぜったい~~~~~~ぜったい、もどってきて!」
('A`)「――――――ああ」
ドクオは袖を掴んで離さないつーの手を優しく解いた後、黒衣を翻し、去ってゆく。
数歩行くと後ろから、少女の泣き声が聞こえた。
振り向かず、真っすぐ確かな足取りで、城門の方へと向かう。
.
831: 2011/11/28(月) 20:20:58 ID:Dz2PjSzo0
ドクオは、メルキドの街の外に出る。
人のいない場所で雑念を払い、精神を集中する為に。
('A`)「・・・・・・ふぅ」
ドクオは、これまで3つの課題を研究してきた。
その研究の内の、一つ。
自分の使役する高等な魔法として、“ルーラ”という呪文がある。
これは、遠い土地に残してきた自分の魔力と、
今の自分の魔力を磁石のように接続する事で、
その距離間を飛ばし、飛行移動するという物だ。
つまり、行った事がある場所ならば、どこへでも移動できるという訳だ。
.
833: 2011/11/28(月) 20:22:26 ID:Dz2PjSzo0
そこで、ドクオは考える。
触れ合った事のある所と魔力を繋ぐだけならば、何も“場所”でなくとも良い筈だ。
(-A )
それが例え、物でも。
動物でも。
人でも。
(-A )
魔でも。
.
834: 2011/11/28(月) 20:23:47 ID:Dz2PjSzo0
(((((((((((((((((((( )))))))))))))))))))))
想像しろ。
クン・・
記憶を辿れ。
((((((((((((((( - ))))))))))))))))
ドクン・・・
.
835: 2011/11/28(月) 20:24:40 ID:Dz2PjSzo0
自分の心の奥深くに焼きついた、あの感触を思い出せ。
あの情景を掴み取れ。
('A )「ぉぉ・・・」
(((((((((((川 - )))))))))))
あの感覚を魂から掘り起こすのだ。
ドクン ドクン
.
836: 2011/11/28(月) 20:25:36 ID:Dz2PjSzo0
('A )「ぉぉおおお・・・ッッ!」
ドクンッ ドクン・・・!
((((((川 -゚))))))
川 ゚ -゚)
ド ク ン !!
.
837: 2011/11/28(月) 20:27:26 ID:Dz2PjSzo0
ドクオの体は、光を纏い上昇した。
そして、ある方角に向かって――――――加速。
(('A`)) (――――――よしッ・・・!!)
ドクオは彼方に飛ぶ。
風をすり抜けてゆく音が、ビュウビュウと聞こえる。
そのまま速度を増し、突き進んでゆく。
風を泳ぎ、森を過ぎ、海を越え――――――そして。
.
838: 2011/11/28(月) 20:28:34 ID:Dz2PjSzo0
(('A`)) (・・・・・・見えた・・・!!)
目の前に――――――大きな島と、城。
もの凄い速度で接近してゆく。
しかし、魔力を帯びたドクオの眼には、
ドーム型の大きな魔力結界が張られているのが見える。
.
839: 2011/11/28(月) 20:29:36 ID:Dz2PjSzo0
(('A`)) (・・・・・・ッッ)
(('A`)) 《 ギラッ・・・!! 》
手から、閃光の帯を発する。
それが、結界に衝突した。
結界に、ビシリと皹(ひび)が入る。
しかし、壊れはしない。
もう、結界の壁にぶつかる――――――
.
840: 2011/11/28(月) 20:30:26 ID:Dz2PjSzo0
(('A`#)) 「くおおお・・・ッッ」
(('A`#)) 《 ――――――ベギラマッ!! 》
ドクオは、輝く炎を放ちながら、結界に突っ込んだ。
凄まじい大きさの、陶器が割れる様な音と共に
ドクオは失速し――――――落下。
((( A #))) 「ぐはッッ・・・!!」ドガァッッ!!
地面に落ち、衝撃。跳ねる。
.
841: 2011/11/28(月) 20:31:19 ID:Dz2PjSzo0
( A #)「が・・・べ・・・」
( A #)《 ベホイミ・・・ 》ホゥ...
すぐに、自身に回復呪文を施した。
落下のダーメジを癒す。
('A )「・・・く・・・はぁ」
('A`)
.
842: 2011/11/28(月) 20:32:23 ID:Dz2PjSzo0
('A`)「ここが・・・“奴”のいる・・・・・・」
('A`)「本拠地――――――か!・・・・・・」
ドクオは、見上げる。
禍々しい狂気を放つ、黒の城塞を。
.
843: 2011/11/28(月) 20:33:09 ID:Dz2PjSzo0
.
844: 2011/11/28(月) 20:34:54 ID:Dz2PjSzo0
( ^ω^)
ブーンは、ひたすら進んでゆく。
もう、橋の中腹程まで来ただろうか。
しかしまだだ。
( ^ω^)「はっ、はぁッ」
はやく、この橋を過ぎてしまわねば。
.
845: 2011/11/28(月) 20:35:45 ID:Dz2PjSzo0
瓜゚∀゚)『橋をかける事は可能じゃが、本来もつ魔除けの効果は薄いかもしれん』
瓜゚∀゚)『橋を渡る最中に、空の魔物に襲われるという事も、十分に考えられる』
瓜゚∀゚)『そしてそれは、一つの難関になるであろうな・・・』
瓜゚∀゚)『それは覚悟しておくのじゃ』
( ^ω^)
大勢の魔物に、襲われかねない。
この逃げ場のない橋の上での多勢は、圧倒的に不利。
敵に気付かれる前に、なるべく早くこの橋を――――――
.
846: 2011/11/28(月) 20:37:52 ID:Dz2PjSzo0
( ;^ω^)「ふぅ、ふぅ」
( ;^ω^)「ふ――――――・・・・・・ッ」
i!:( ;゜ω゜):i! ゾワッ
それは、前方に見えた。
空にひしめく、魔物の軍勢。
およそ何百――――――いや、千に近しい程の魔獣共が、
一団の黒い塊・・・雲のようになり、こちらに飛来してくる。
( ;゜ω゜)「ぐっ・・・!!」
戦慄と共に、冷や汗がドッと出る。
頬を伝い、落ちていく。
.
848: 2011/11/28(月) 20:39:23 ID:Dz2PjSzo0
やはり、橋上の戦闘は避けられないのか。
しかし、数が多い。膨大な手勢だ。
あの多勢の前に抗う力は・・・・・・
( ; ω )「く・・・・・・!」
それでも。やるしかない。
そう、あのリムルダールの戦の時の、呼吸を思い出すのだ。
( ; ω )「はッ、はッ・・・!」
剣を握りしめる。決心を固めろ。
退路は有りはしないのだ。
.
849: 2011/11/28(月) 20:41:22 ID:Dz2PjSzo0
どうしても駄目で・・・・・・本当にどうしても駄目でも。
力の限りを最後まで振り絞り、それでもどうしても本当に本当に本当に駄目だったとしても。
自分の持てる最善を尽くして――――――例えここで尽き果ててしまうとしても。
ただでは氏ねぬ。
最後の一時まで、剣を振るう事を誓ったのだ。
そうだ、自分は。
剣に氏ぬ。
(♯ ω )「ふぅオオ・・・・・・」
(♯゜ω゜)「 ・・・オオオオオオオオおッッ!! 」
覚悟の、咆哮。
.
850: 2011/11/28(月) 20:43:51 ID:Dz2PjSzo0
と、その時。
( ;゜ω゜)「!!?・・・・・・」
魔物の軍勢が、進む方向を変えた。
いや、巨大な一団だ。
多少はこちらにも向かってきてはいる。
だが群れのほとんどは逸れ、ブーンとは違う方角へ。
( ;^ω^)「・・・・・・なんだお・・・?」
.
851: 2011/11/28(月) 20:45:44 ID:Dz2PjSzo0
微かに清らかな音が聞こえる様な気がする。
魔物達の向かう先の、沖の方をふと見た。
一艘の小舟があった。
そこには。
( ;゜ω゜)「あ、あれは・・・・・・!」
.
852: 2011/11/28(月) 20:46:45 ID:Dz2PjSzo0
(・∀・ )
( ;゜ω゜)「 モララー・・・・・・!!? 」
小舟に立つのは、見知った顔――――――モララーだった。
.
853: 2011/11/28(月) 20:47:50 ID:Dz2PjSzo0
( ・∀・)皿「それ、こっちだ。こっちに来い」
モララーは、何か大きな物を持ち、それで音を鳴らしている。
( ;゜ω゜)「・・・・・・あ・・・」
いつか賢者の一人である、じぃのもとを訪ねた時に見た。
あれは確か――――――そう。
.
854: 2011/11/28(月) 20:48:37 ID:Dz2PjSzo0
爪゚ー゚)『その竪琴は一見きらびやかで、実に素晴らしい音色を奏でるが・・・
その実、深い魔力を帯びた魔具なのだ』
爪゚ー゚)『その音色は、魔力を放ち、魔物を呼び寄せる』
爪゚ー゚)『これは伝説の、さすらいの吟遊詩人ガライが所有していたものだ』
爪゚ー゚)『彼もまた、魔力を操るものの一人であったために、
その魔香が竪琴に染み付いたのだ』
爪゚ー゚)『うかつに触れると、魔物を引き寄せるぞ』
( ;゜ω゜)「――――――“銀の竪琴”・・・・・・!!」
.
856: 2011/11/28(月) 20:49:58 ID:Dz2PjSzo0
( ・∀・)皿「さぁ!こっちに来な。化け物どもめ!」
モララーが奏でる竪琴の美しく盛大な音色は、魔物を引き寄せてゆく。
魔の群れが、魔力の旋律に惹かれ、モララーのもとへ羽ばたいてゆく。
( ;゜ω゜)(あ、あいつ・・・ブーンをこの地に留めさせたのは・・・!)
( ;゜ω゜)(・・・・・・“アレ”を・・・、取ってくる為に・・・!!)
.
857: 2011/11/28(月) 20:51:02 ID:Dz2PjSzo0
小さな小舟の上で、あの軍勢に教われれば、間違いなく――――――
( ;゜ω゜)「モララーッ!!モララァアーーーーッッ!!!!逃げるんだおーーーー!!」
ブーンの声は、海との距離を隔て、モララーには届かない。
( ・∀・)「フフ・・・何をやっているんだ。早く行けよ」
モララーの声も、竪琴の音に掻き消され、ブーンには聴こえない。
しかし――――――それでも。
.
858: 2011/11/28(月) 20:51:51 ID:Dz2PjSzo0
( ;゜ω゜)
伝わるものが、確かにそこにあるから。
(・∀・ )
.
859: 2011/11/28(月) 20:54:38 ID:Dz2PjSzo0
( ; ω )「ぐっ・・・・・・!!」
( ; ω )「モ・・・ララー・・・・・・!!」
そうだ。解っている。解ってはいるのだ。
モララーは、ここへ・・・“覚悟”を決めてやってきた。
それに報いる事が、自分の成すべき事だった。
今すべきなのは、ここに留まり、モララーに激励の言葉を投げかける事でもない。
海に飛び込み、モララーを助けるべく向かう事でもない。
この橋を――――――渡りきる事。
ただただ前進していく事のみが、今のブーンに課せられた使命なのだ。
.
861: 2011/11/28(月) 20:55:52 ID:Dz2PjSzo0
(( ; ω ))( モララー・・・・・・!! )
(( ; ω ))
( ;^ω^)
ブーンは、キッと前を見据えた。
そして、毅然と力強く、再び歩み出す。
前へ。そう、ひたすらに前へ。
.
862: 2011/11/28(月) 20:57:02 ID:Dz2PjSzo0
こちらにも、僅かに鳥の魔物が襲いくる。
だが、モララーの方へ向かった魔物の数とは比べ物にならぬ程少ない。
(♯^ω^)「・・・・・・どけおッッ!!」ザシュッ!!
キメラ「キゲアァァア・・・!?」バサッ
(♯ ω )「絶対に・・・渡りきって見せるお・・・!」
(♯゜ω゜)「 邪 魔 を す る な お ッ ッ !! 」
.
863: 2011/11/28(月) 20:58:37 ID:Dz2PjSzo0
( ・∀・)「おーおー、気持ち悪いくらい釣れたね。いやはや」
モララーは船上、無数の鳥の魔物に囲まれる。
敵は竪琴の魔力に取り憑かれたのか、
眼を爛々と光らせて襲い来る。
( ・∀・)「こいつぁ、骨が折れそうだな」
( ・∀・)「竪琴を鳴らしながらってのも中々、難しいがね」
キメラ「ギャアアアッッ」バサバサッ
( ・∀・)「ハッ・・・!!」ズバァッ
メイジキメラ「ギシィィイアア」ヒュザッ
(♯・∀・)「うおおおッ!《ギラッ・・・!!》ボウッ
.
864: 2011/11/28(月) 21:00:20 ID:Dz2PjSzo0
( ・∀・)+「しかし・・・竪琴を引きながら孤軍奮闘とか美し過ぎるだろ。
昔ちょっとだけ習っといて良かった」
魔鳥 「「「「「「 グギャギャギャアアアッッ 」」」」」」
( ・∀・)「うるせーよ・・・」
(♯・∀・)「ハァッ!!」ビヒュッ!
(♯・∀・)《・・・・・・ギラギラギラギラギラァッッ・・・!!》ドドドドドドゥッ
モララーは、凄まじい猛攻で、周囲の魔鳥を蹴散らしてゆく。
以前のモララーとは違う。鍛錬の成果か。
阿修羅の如き強さを奮う。
.
865: 2011/11/28(月) 21:01:18 ID:Dz2PjSzo0
::(メ ・∀・)::《ホイミ・・・!!》シュウウ
( ・∀・)「せあッ!」ドカッ
そして突然、周りの鳥達がモララーの前から掃け出す。
一定の距離を保ち、傍観するような体勢に入った。
(メ ・∀・)「はっ」
(メ ・∀・)「おいでなすったな」
.
867: 2011/11/28(月) 21:02:35 ID:Dz2PjSzo0
上空から、凄まじい速度で近づいて来る、点。
((((( ゚∋゚))) 「・・・・・・」
(メ ・∀・)「お前だけは許さないぜ」
超高速で、鳥の魔物が突っ込んで来る。
.
868: 2011/11/28(月) 21:03:44 ID:Dz2PjSzo0
鳥の巨体と、モララーとが交差する瞬間――――――
(♯ ∀ )「・・・ッハァッ!!」 ザギュッ!!
( ゚∋゚)「!」
鳥の右翼が、斬撃で切り傷を付けられる。
尚も、鳥は――――――旋回。
再びさらに速度をつけ、矢の様な素早さと鋭さを持って・・・・・・
.
869: 2011/11/28(月) 21:04:40 ID:Dz2PjSzo0
(♯ ∀ )「・・・つぁりゃあッッ!!!!」 ドシュァッ!!!!
(; ゚∋゚)「ッ!!」
左翼をも、切り刻む。
(メ ・∀・)「あの時の俺と一緒にするなよ」
(メ ・∀・)「貴様を倒す為に――――――地獄を見てきたんだからな」
.
870: 2011/11/28(月) 21:05:53 ID:Dz2PjSzo0
( ゚∋゚)「・・・・・・」 バサッ バサッ
“鳥”は、しばし滞空する。
( ゚∋゚)
(キ ゚∋゚) ミ゛キッ
鳥の筋肉が隆起した。その瞬間。
三三三三三 ゚∋゚))) ド ウッ!!
(メ;・∀・)「!!」
.
871: 2011/11/28(月) 21:07:59 ID:Dz2PjSzo0
三三メ三土ド三三 ゚∋゚ シュパァッ!!
((メ; ∀ )));,. 「ガッ・・・?!!」
モララーは船上から忽然と消え、波の上をまるで石を飛ばすように、
二転三転しながら、吹っ飛ばされた。
((メ#; ∀ )))))「ぐはぁ・・・!」
なんという衝撃。これが奴の本気か。
海中に放られながら、焦燥を滲ませる。
先の体当たりで、鎧は完全に破壊された。
とにかく、足場が無くては。
泳いで船上に戻ろうとする。
.
872: 2011/11/28(月) 21:08:58 ID:Dz2PjSzo0
(メ#;・∀・)「!!」
三三三三 ゚∋゚))) ギュンンッ!!
((メ#; ∀ ))「クオっ!?」
鳥が、海面から顔を出すモララーに突っ込んできた。
凄まじい水飛沫(みずしぶき)を立たせて、海中に潜る。
その後海面から飛び出し、モララーの片脚を銜(くわ)えながら、空に上昇。
.
874: 2011/11/28(月) 21:09:44 ID:Dz2PjSzo0
(メ♯ ∀ )「 ぐ あ ぁああ あ ぁ ぁあぁ あ あ!!」
モララーの脚が、鉄の様な嘴(くちばし)に噛まれる。
脚の筋が、腱が、骨が噛み砕かれる感触が、肉を伝う。
( ゚∋゚)ミ 「・・・・・・」ブッ
そのまま、上空でモララー離す。空に放られ――――――
(メ♯・∀・)「・・・・・・ふぅおアッ!!」
モララーは腰から鎖の付いたフックを外し、鳥に投げつけた。
それが、鳥の脚に引っかかる。
( ゚∋゚)「!!」
.
875: 2011/11/28(月) 21:10:52 ID:Dz2PjSzo0
落下の慣性を利用し、回転して鳥の背側に回った。
背中の羽毛をガッシリと掴む。
(メ#・∀・)「は・・・これでも・・・」
(メ#・∀・)「喰らえッ!!」
そして背中に、剣を思い切り突き立てる。
((; ゚∋゚))「~~~~ッッ」
鳥は暴れる。痛みを払い、背中のゴミを振り落とそうと。
しかし、深く突き刺された剣と、力強く捕まるモララーは
そう簡単には振り落とされない。
.
876: 2011/11/28(月) 21:11:56 ID:Dz2PjSzo0
(メ#・∀・)「うおおおお・・・・・・!」
剣を更に奥深くまで差し込む。
だが鳥は巨体だ。
剣を根元まで刺したところで、すぐさま致命には至らない。
(♯゚∋゚)「・・・・・・」
鳥は、羽ばたいた。そして、どんどん上昇してゆく。
この高さでは、いかに下が海面とは言え、振り落とされれば間違いなく氏ぬ。
.
877: 2011/11/28(月) 21:12:43 ID:Dz2PjSzo0
(メ#;・∀)「く・・・」
((メ#; ∀ ))「・・・・・・ぐああ・・・ッ!?」
急激な上昇による気圧変化は、ただの人間であるモララーの身体に
凄まじい障害をもたらした。頭痛、嘔気、視界悪化、全身の痺れ。
目から、耳から、血が流れ出す。
(; ゚∋゚)「~~~~ッッ」
しかし、それでも。
((メ# ∀ ))「は・・・離さないぞ・・・」
((メ# ∀ ))「絶対に・・・離すものか・・・・・・!」
.
878: 2011/11/28(月) 21:13:38 ID:Dz2PjSzo0
モララーを乗せたまま鳥は雲中まで達する。
凍り付く様な冷気の中、ついには雲をも突抜けた。
真っ赤な太陽が、モララー達を照らしだす。
((((; ゚∋゚)))) バサバサ
((メ# ∀ ))「・・・ぜったいに・・・ おちないぞ・・・!!」
.
879: 2011/11/28(月) 21:14:41 ID:Dz2PjSzo0
もしここでコイツを取り逃がせば、奴はブーンを標的とし、
追ってゆくだろう。させない。絶対に。
モララーは、手を魔物の背中に添え当てる。 そして・・・・・・
((メ# ∀ ))《・・・ギラ・・・!!》
モララーは、呪文を唱える。直接炎を叩き込んだ。
(((; ゚∋゚)) 「~~~、~~~~ッッ」カハッ
零距離からの魔法の爆熱は、
いかに屈強な魔物の肉体と言えども、損傷を与える。
.
880: 2011/11/28(月) 21:15:47 ID:Dz2PjSzo0
((メ# ∀ ))《・・・ギラ!・・・ギラ・・・・・・!!》シュバッ、ドバッ
(((((♯; ∋ ))))) 「・・・!・・・・・・ッッ!!」
モララーの体を朱に染めるものは、沈み行く夕日の暁と、己と魔物の血。
魔物に密着しているモララー自身も、魔法の熱を浴びて火傷を負う。
それでも、掴んだその手は離しは、しない。
.
881: 2011/11/28(月) 21:16:35 ID:Dz2PjSzo0
((メ# ∀ )) (――――――ああ)
((メ# ∀ )) (デレ)
――――――――――――――――――
ζ(゚ー゚*ζ
――――――――――――――――――
.
882: 2011/11/28(月) 21:17:57 ID:Dz2PjSzo0
((メ# ∀ ))「へへ・・・鳥公・・・ 焼き鳥に・・・」
((メ# ・∀ ))「なれよ・・・・・・!!」
((メ#・∀・)) 《・・・・・・ぅぅうおおおおああああああああ!!!!》ドゥッドウッドウッ!!!!
(((; ゚∋゚))「~~~~~~、~~~、ギ・・」
(((メ;., ゚∋゚))「ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」
.
883: 2011/11/28(月) 21:18:58 ID:Dz2PjSzo0
断末魔が響く。
やがて、暴れ狂う鳥の動きは次第に弱まり――――――
,,:(メ;. ∋;):.
遂に失速。力なく、落下してゆく。
(メ -∀-)
モララーは、魔物の体から離れ、フワリと浮いた。
そのまま、空に導かれるように。
.
884: 2011/11/28(月) 21:20:08 ID:Dz2PjSzo0
モララーは、昇る、昇る。昇ってゆく。
雲の上で、夕日の橙黄色の粒子を纏いながら。
光の中で、モララーは天に向かってゆく。
その表情は穏やかで、安らかで、あくまで満足気で。
.
885: 2011/11/28(月) 21:21:11 ID:Dz2PjSzo0
( -∀-)
( -∀-) ああ 疲れた
( -∀-) もういいのかな
( -∀-) なんだか暖かいや
ζ(゚ー゚*ζ モララー様
( ・∀・) デレ デレじゃないか
.
886: 2011/11/28(月) 21:22:19 ID:Dz2PjSzo0
ζ(゚ー゚*ζ ご立派でした さすがです
ζ(゚ー゚*ζ さすがは、モララーですわ
( ・∀・) ああデレ 会いたかったよ
( ・∀・) 寂しかった ずっと寂しかったんだ
( ・∀・) 母さんがいなくなって デレもいなくなってしまって
( ・∀・) とても寂しかったんだ
.
887: 2011/11/28(月) 21:23:05 ID:Dz2PjSzo0
ζ(゚ー゚*ζ モララー様 これからはずっと一緒ですわ
( ・∀・) ずっと一緒にいられるのかい
ζ(゚ー゚*ζ ええ そうですよ ずっとずっと一緒です
ζ(゚ー゚*ζ さあ、共に参りましょう
( ・∀・) デレ 好きだ 好きだよ
ζ(゚ー゚*ζ お慕いしておりますモララー様――――――
ζ(゚ー゚*ζ 愛して、おります
( ・∀・) ああ デレ デレ
.
888: 2011/11/28(月) 21:24:10 ID:Dz2PjSzo0
( -∀-)ζ(゚ー゚*ζ ああ 暖かい なんだろう こんなにも
暖かいよ。
.
889: 2011/11/28(月) 21:25:38 ID:Dz2PjSzo0
(メ -∀-)。゜
.
890: 2011/11/28(月) 21:26:21 ID:Dz2PjSzo0
モララーは、沈む、沈む。沈んでゆく。
冷たい海中の奥底へ・・・波の揺らめきに身を委ねながら。
闇の中で、黒髪を揺らしながら海の底へ向かってゆく。
その表情は穏やかで、安らかで、あくまで満足気で。
.
891: 2011/11/28(月) 21:27:51 ID:Dz2PjSzo0
彼が氏の間際に触れたのは、安らぎの夢の蜃気楼。
一人の記憶の少女との愛の為に命を賭した――――――
孤高の戦士、モララー=ウィル・ブランカート。
――――――母なる海と、真実の愛の幻影を抱き、ここに眠る。
to be continued...!! and......
.
892: 2011/11/28(月) 21:29:38 ID:Dz2PjSzo0
(メ ω )「・・・・・・はぁっ、はぁッ・・・」
ブーンは、走る。そうして、森の茂みに飛び来み身を隠す。
あの橋を、渡りきった。
(メ ω )
(メ ω )「モララー・・・・・・」
(メ ^ω^)
(メ ^ω^)「・・・無駄にはしないお。きっと・・・必ず」
.
893: 2011/11/28(月) 21:30:44 ID:Dz2PjSzo0
ブーンは見上げる。
その眼光が捉えるものは――――――聳(そび)え立つ、巨大な漆黒の敵の牙城。
「待ってろお――――――」
――――――――――――竜王・・・・・・!!
And, his brave spirit was inherited......!!
.
895: 2011/11/28(月) 21:31:49 ID:Dz2PjSzo0
( ^ω^)ブーンの今のステータス
LV24
ほのおのつるぎ
まほうのよろい
みかがみのたて
今回登場した敵:なし
.
901: 2011/11/28(月) 21:37:36 ID:Dz2PjSzo0
以上で第33話投下終わりです。
今回はレス多めの構成になってしまいまして、
長々と御付き合いさせて申し訳ないです
次の投下なんですが、次回からちょっとスパートかけて
連日投下みたいな感じにしたいなぁと思ってますので、
ちょっと書き溜に時間もらうかもしれません
そんな待たせないように頑張ります。目処ついたら報告します
それでは( ・∀・)ご支援ありがとうございました!ζ(゚ー゚*ζ
今回はレス多めの構成になってしまいまして、
長々と御付き合いさせて申し訳ないです
次の投下なんですが、次回からちょっとスパートかけて
連日投下みたいな感じにしたいなぁと思ってますので、
ちょっと書き溜に時間もらうかもしれません
そんな待たせないように頑張ります。目処ついたら報告します
それでは( ・∀・)ご支援ありがとうございました!ζ(゚ー゚*ζ
5: 2012/01/24(火) 21:12:14 ID:tCYCiG520
第34話
.
6: 2012/01/24(火) 21:14:04 ID:tCYCiG520
薄朧げな月光に照らされながら、岩と茂みの中で、空を見つめていた。
瘴気と哀哭(あいこく)に満ちた、凍てつく夜風に吹かれながら。
ふと前方に視線を投げれば、威容を誇りながら、それはある。
(メ ^ω^)
巨大な城。
宿敵、竜王の本拠地。
.
7: 2012/01/24(火) 21:15:21 ID:tCYCiG520
魔物の猛追を振り切り、やっと安全そうな場所に身をおけた。
あの虹の橋を渡り、ここまで到達するまでの魔物との戦闘でついた傷跡に、
薬草を交えながら包帯を巻いていく。
しっかりと、しっかりと。
戦友(とも)の氏を、覚悟を。心に刻み付ける様に。
かじかむ程の冷気の中で、白く大きく息を吐きながら。
(メ ω )
(メ ω ) 「モララー・・・」
.
8: 2012/01/24(火) 21:16:26 ID:tCYCiG520
ブーンはこの魔島に辿り着いてから、
少しずつ少しずつ、潜伏するように、竜王の城まで近づいていった。
時折響く鳥獣の鳴き声が、ブーンの神経を鋭敏にする。
茂みや岩場が多く、気配を頃しながら隠れ進むには良い。
到島してからの戦闘は、ほぼ無かった。
リムルダールのショボン医師に貰った聖水の効果で、
人特有の気配を上手く消せているのかもしれない。
あの巨大な城までは、おそらくあと一里もない程の距離だろう。
.
10: 2012/01/24(火) 21:17:35 ID:tCYCiG520
(メ ω )
(メ ^ω^)
心が逸る。だがしばし待て。
夜は、魔物の魔力を増幅させる。
竜王討ちをかけるのは、明日。
夜が明けてからだ。
.
11: 2012/01/24(火) 21:18:22 ID:tCYCiG520
(メ ^ω^)
(メ ^ω^)) ブルッ
(メ ^ω^)) ブルブル
(メ ^ω^)) ガシッ
つ
(メ;^ω^)
つ
.
12: 2012/01/24(火) 21:19:12 ID:tCYCiG520
武者震い。
体を掴み、震えを止める。
(メ ω )「ふー・・・・・・」
(メ -ω-)
とうとうここまでやってきた。
明日、すべてが決着する。
これまで自分が歩んできた、全ての事柄が清算される。
何もかも、終わる。
いや。
.
13: 2012/01/24(火) 21:20:06 ID:tCYCiG520
(メ -ω-) (・・・違うお)
(メ ^ω^) (始まるんだお。これから)
(メ ^ω^) (竜王を倒して――――――人々の幸せが・・・自分の幸せが)
(メ ^ω^) (平和が、この世界に訪れるんだお)
.
14: 2012/01/24(火) 21:21:11 ID:tCYCiG520
ブーンは、この冷たい風の中で、想いを馳せる。
陽射しを浴びて綻ぶ、人々の笑顔。
爽やかな風。青々とした木々花々。
どこまでも広がる、蒼穹の空に。
がむしゃらに、ただひたぶるに明日の平和を追い続けてきた戦士。
この夜空に浮かぶ満月に、明日の青空の美しさをみる。
.
16: 2012/01/24(火) 21:22:11 ID:tCYCiG520
そうして、夜が明けた。
.
17: 2012/01/24(火) 21:23:03 ID:tCYCiG520
(メ ^ω^)
ブーンは向かい風を一身に受けゆく。
岩場をくぐり、毒の地を抜け、砂の丘陵を越え、
竜王の城とは、もはや目と鼻の先まで。
前夜は、眠れなかった。
魔物に襲われる可能性も危惧したというのもあるが、
何より決戦を前に、高揚し寝付けなかったのだ。
.
19: 2012/01/24(火) 21:24:47 ID:tCYCiG520
(メ ^ω^)
しかしそれでも、目は冴え、思考は明確。
体の調子もすこぶる良い。
自分自身でも、驚くほど体力が充実している。
揺るぎのない覚悟を決める事で、ブーンの戦士としての肉体は精神と同調し、
これ以上ない程の、完全な状態に仕上がりつつあるのだった。
そして、今。
.
21: 2012/01/24(火) 21:25:47 ID:tCYCiG520
(メ ^ω^)「・・・・・・」
(メ ^ω^)「ついたお」
天に突き立つが如く遠大な敵の牙城の、目の前に立つ。
正門に、扉は無かった。
ただとてつもなく大きく、闇を構えて口を開けている。
魔物が通る際に扉があっては邪魔なのか、
ここまで人間が辿り着く事を想定していないのか。
あるいはそれとも、いかなる侵入者をも迎えたとしても、なんら問題は無いという自信の表れか。
拒みはせぬ。入らずんば、とって喰らう。
そういう意味にもとらえられる。
.
22: 2012/01/24(火) 21:27:41 ID:tCYCiG520
(メ ^ω^)
(メ ^ω^)「!」
近くの岩陰の氏角から――――――のそりと大きく何かが動いた。
(メ ^ω^)「・・・・・・」
キースドラゴン「グゥルルルゥ・・・・・・」
.
23: 2012/01/24(火) 21:28:29 ID:tCYCiG520
ドラゴンだ。
それはいつかローラ姫を沼地の洞窟から救い出した時にも邂逅した。
あの時の苦戦の記憶が蘇る。
(メ ^ω^)「・・・・・・」
ここまでは順調に来れた。
いくら城に扉がなく入れそうだとはいえ、ここは敵の根城の入り口だ。
厳重に魔物が配置されていない訳がない。
それはもとより覚悟の上。
ここを突破せねば、敵の喉元に食い込む事など出来ぬ。
.
24: 2012/01/24(火) 21:29:26 ID:tCYCiG520
キースドラゴン「ゴオオオォォオオォアアアァアアア!!!!」
(メ ^ω^)「・・・ふぅ」
以前は、けたたましい咆哮に気圧された。
およそ生物の頂点に立つであろう魔物の、圧倒的存在感にたじろいでいた。
今は、揺るがぬ。
代わりに滾(たぎ)る。血が滾る。
息吹は熱く、されど落ち着いていく。
毅然と見据え、眼光で敵を斬りつけん。
.
25: 2012/01/24(火) 21:30:12 ID:tCYCiG520
(メ ω )「ふぅ――――・・・」
ブーンは背の鞘から、剣を抜いた。
炎の剣から、陽炎がゆらめく。
(メ#゜ω゜)「・・・・・・ぉおああおッ!!」
そして、駆け出す。
キースドラゴン「ゴガハアアアアッ!!」
.
26: 2012/01/24(火) 21:31:32 ID:tCYCiG520
ドラゴンの尾が大きく空を切り、横に薙がれる。
((メ#゜ω゜)「ふあッ!!」ダンッ
ブーンはそれを大きく跳躍して躱す。
竜の尾は、側の岩盤を穿ち砕いた。
そのまま直進し、敵の懐に突っ込む。
キースドラゴン「バアオオオォッ!!」
ドラゴンはするどい爪を繰り出す。
((メ#^ω^)「つぁッッ!!」ビヒュッ
.
27: 2012/01/24(火) 21:32:17 ID:tCYCiG520
それを躱さず、剣で応撃。
バキリと音がし、竜の爪指が砕けた。
ブーンの剣が生み出す熱に当てられ、焦げるような臭いも。
キースドラゴン「ゴルガァアアアッッ!?」
((メ#^ω^)「・・・ふぅ・・・ッ!!」
ドラゴンが一瞬怯み、苦しんでいる隙に、二歩で敵の背側に回る。
そして、背後を取るや取らざるやという瞬間・・・
振り向き様に、斬撃一閃。
その硬い皮膚を切り裂き、黒い血液が噴出する。
キースドラゴン「ググウウゥッッ!!」ドゥッ!
.
28: 2012/01/24(火) 21:32:59 ID:tCYCiG520
反射的に竜の尾が垂直に跳ね上げられる。
それを躱そうとするが、間に合わない。
(((メ#;゜ω゜))「ぐゴッは・・・!!」
下から振り上げられる強烈な一撃を脇腹に浴び、
ブーンは宙に浮いた。
そして地面に落下。転がりながら、胃液の混じる唾を吐く。
上半身が痺れ、まともな呼吸が中断される。
(メ#;^ω^)「・・・ぐ・・・」
だが意識は、敵から削がれる事は無い。
ドラゴンも、こちらを警戒しているようだ。
.
29: 2012/01/24(火) 21:33:50 ID:tCYCiG520
(メ ω )「ふぅ――――」
沼地のドラゴンは、あの時の自分にとっては、
相見えた事が無謀とも思える程の強敵だった。
おそらく今目の前にいるドラゴンは、おそらくあれより格下。
戦ってみて理解できる。
そしてあの頃の自分以上に、ブーンは成長した。
この競り合い、負けぬ。
いや、こんなところ果てる為にやってきた訳ではない。
.
30: 2012/01/24(火) 21:34:33 ID:tCYCiG520
ドラゴンを相手取ろうとも、もはやブーンに気後れはない。
ただ、勝つ。ただ進む。
この敵程度などとは、背負っているものの大きさが違うのだ。
その思いが剣撃の重みとなり・・・
今、突進してくる竜と交差のとき――――――首もとを切り裂いた。
.
31: 2012/01/24(火) 21:35:44 ID:tCYCiG520
キースドラゴン「グガ・・・カッ・・・・」
ドラゴンはよたりと緩慢によろける。
まさに首の皮一枚で繋がった・・・
いや、竜の首はぶつりと切れ、胴から破断する。
(メ ^ω^)
後方で竜が倒れる音を聞いた。
そして今、城の中へと踏み出してゆく。
その暗黒に導かれて――――――今ブーンは、入城してゆく。
.
32: 2012/01/24(火) 21:36:36 ID:tCYCiG520
.
33: 2012/01/24(火) 21:37:40 ID:tCYCiG520
大きな扉の前に立つ、麗しき女性のような魔族。
髪は真っ白で、身に召すものも純白。肌も透き通るように色が抜けている。
およそ全てが白かった。
川 ゚ -゚)「竜王様」
入るがいい。
川 ゚ -゚)「はい、失礼致します」
.
34: 2012/01/24(火) 21:38:59 ID:tCYCiG520
何用だ。
川 ゚ -゚)「はい。ご報告があります」
川 ゚ -゚)「今しがた私の魔力がとらえました・・・」
川 ゚ -゚)「 この城に――――――人間の侵入者が。 」
川 ゚ -゚)「それも、数名。」
ほう・・・ククク。
.
35: 2012/01/24(火) 21:40:06 ID:tCYCiG520
川 ゚ -゚)「彼の者どもの存在は、以前より察知しておりましたが・・・」
川 ゚ -゚)「どういう方法を用いてここまで辿り着いたかは解りません」
川 ゚ -゚)「そして数名とも、人間の中では・・・おそらく一、二を争う程の武芸の者かと」
ふっふふ・・・・・・
“勇者”の真似事か。
川 ゚ -゚)「・・・・・・」
.
36: 2012/01/24(火) 21:40:53 ID:tCYCiG520
そやつらの臭いは、我も感じていた。
だが、問題あるまい。
のう、クー。
川 ゚ -゚)「は」
ネズミどもの刃は、我のもとには届かぬ。
たかが人間・・・
貴様ら精鋭――――“四天王”が、それを阻むのは、必定の事よの。
川 ゚ -゚)「ふ・・・もちろんでございます」
.
37: 2012/01/24(火) 21:41:53 ID:tCYCiG520
ククク・・・頼もしいな。
いいか。奴らの瞳を絶望を染めよ。その顔を苦痛に歪めよ。
愚かにもこの竜王に牙を向ける事の無謀さを、存分に知らしめてやれ。
川 ゚ -゚)「かしこまりました」
クー。
川 ゚ -゚)「はっ」
.
38: 2012/01/24(火) 21:42:39 ID:tCYCiG520
なにやら機嫌が良さそうだな。
川 ゚ -゚)「・・・いえ」
隠さんでもよい。久々に人間と交える事が嬉しいのか。
どのような意味でもな・・・ククク。
川 ゚ -゚)「・・・・・・」
.
39: 2012/01/24(火) 21:43:28 ID:tCYCiG520
ゆけ・・・わが愛しき子らよ。
我に忠誠をみせよ。
人間の希望を喰らい、我らは生きるのだ。
川 ゚ -゚)「――――――は・・・・・・!」
.
40: 2012/01/24(火) 21:44:29 ID:tCYCiG520
(メ; ω )「はぁおッッ!!」ザシュッ
ドロルメイジ「ギャアアグワアアオオ!!・・・」ドバァッ
.
41: 2012/01/24(火) 21:45:32 ID:tCYCiG520
(メ;-ω )、「ハァッ、ハアッ・・・」
ブーンは、大型のナメクジのような魔物から剣を引き抜く。
魔物の体液がぱたぱたと剣から滴り落ちる。
(メ;^ω^)「ふぅ・・・」
みちみち何度も魔物に遭遇した。
そしてやはり、今まで野戦で相手どってきた魔物とはレベルが違う。
一瞬たりとも気は抜けない。
凄まじい緊張感と、この城全体が放つ禍々しい邪気に当てられ、
ブーンの呼吸は荒くなり、汗も流るる。
.
43: 2012/01/24(火) 21:46:40 ID:tCYCiG520
(メ;^ω^)(進むに連れて、段々暗くなってきたお)
(メ;^ω^)(たいまつを灯した方がいいかお・・・?)
奥に進む程暗くなり、次第に視界が悪くなる。
炎の剣を振り、明かり代わりに。
城に侵入して数刻が経過する。
広い迷宮だ。一体あとどれだけ進めば、竜王のいる最奥に到達するのか。
まだまだ自分はやれる。
だが、疲労は確実に自分の身に蓄積してきている。
疲れや傷は心を蝕み浸食し、精神を侵す。
終わりの掴めぬ焦燥が湧き立ち始める。
.
44: 2012/01/24(火) 21:47:56 ID:tCYCiG520
:(メ -ω-):「スゥ――・・・はぁ」
ブーンの体を仄かな光が包む。
着込む鎧は、魔法の鎧。
メルキドの『流石屋』で調達した防具だ。
鎧としての性能は言うまでもなく、編み込まれた魔法の力が、
ブーンの体の傷をほんの僅かずつだが癒す。
呼吸を整え、その恩恵を浴びる。
.
45: 2012/01/24(火) 21:49:00 ID:tCYCiG520
(メ^ω^)「!」
大きな扉があった。
(メ^ω^)「・・・・・・」
(メ^ω^)(竜王の間・・・かお・・・?)
唾を呑む。
これまでの道程では、扉に当たりはしなかった。
この先に竜王がいるのかは解らない。
もしかしたら、何かの罠が待ち受けているかもしれぬ。
.
47: 2012/01/24(火) 21:50:09 ID:tCYCiG520
(メ -ω-)
(メ ω )「ふぅ・・・・・・」
いずれにせよ、心身に気合いを込める。
剣を握る力を強め、その扉に手をかけた。
そして力を入れ、押す。
重々しい音を立てて、扉は開く。
(メ^ω^)
(メ^ω^)「・・・・・・」
暗い。
.
49: 2012/01/24(火) 21:51:01 ID:tCYCiG520
(メ^ω^)
(メ^ω^)
(メ^ω^)「!!ッ?」
前方に、気配。
ブーンは身構える。
(;;;;;;;;;;;;)
(メ^ω^)「・・・!」
.
51: 2012/01/24(火) 21:52:21 ID:tCYCiG520
(;;;;;;;;;;;;)
(;;;;;; ∀)
( ゚∀゚)
(メ;^ω^)「じょ・・・・・・」
(メ;゜ω゜)「 ジョルジュ!!!? 」
.
53: 2012/01/24(火) 21:54:32 ID:tCYCiG520
( ゚∀゚)
(メ;^ω^)「ジョルジュ・・・き、君もこの城に辿り着いていたのかお!?」
( ゚∀゚)「ブーン」
(メ*^ω^)「や・・・やったお!ジョルジュがいれば、百人力だお!!」
(メ*^ω^)「まさかここにきてジョルジュに会えるなんて・・・!」
( ゚∀゚)「ブーン・・・・・・」
(メ^ω^)「あれ?でもどうやって・・・マジで泳いだのかお!」
.
55: 2012/01/24(火) 21:56:18 ID:tCYCiG520
( ゚∀゚)「とうとうここまで・・・ 辿りついちまったか・・・」
(メ ^ω^)「お・・・?」
((♯゚∀゚)「・・・・・・カァッ!!」ボヒュッ
(メ;゜ω゜)))「う、うわぁお!!」シャッ
ジョルジュの繰り出す上段蹴りを、瞬時身を引いて躱した。
いや、それは頬をかすめ、じわりと血が滲む。
.
57: 2012/01/24(火) 21:57:29 ID:tCYCiG520
(メ;^ω^)「な、なにするんだお、ジョルジュ!」
( ゚∀゚)「咄嗟の反応・・・このタイミングでよく躱したな」
(メ#^ω^)「どういうつもりだお!ここでふざけるのも・・・」
( ゚∀゚)「ふざけちゃいねえさ・・・」
ジョルジュの放つ、気配が変わる。
空気が、ぎり、と冷たくなる。
(メ;゜ω゜)「お・・・」
.
59: 2012/01/24(火) 22:00:00 ID:tCYCiG520
( ゚∀゚)「俺ァ・・・お前の敵だ。ブーン」
(メ;゜ω゜)
(メ;゜ω゜)「・・・は・・・・・・?」
( ゚∀゚)「俺は魔族・・・・・・竜王直属配下」
( ゚∀゚)「 ――――――四天王・・・・・・ “ ダースドラゴン ” ジョルジュだ。 」
(メ;゜ω゜)
to be continued...!!
.
67: 2012/01/24(火) 22:04:36 ID:tCYCiG520
( ^ω^)ブーンの今のステータス
LV24
ほのおのつるぎ
まほうのよろい
みかがみのたて
今回登場した敵
キースドラゴン:竜族の中でも、中位に位置するドラゴン。
炎の息吹などは吐いて来ないが、それでも他の種族に比べれば圧倒的な強さを誇る。
洞窟のドラゴンよりは下位種である。
ドロルメイジ:大きなナメクジの化け物。凄まじい粘性を帯びており、
その粘膜で獲物を捕らえ、血肉を喰らう。
人間数人食らい込む程の大きさがある。
.
70: 2012/01/24(火) 22:10:37 ID:tCYCiG520
34話終了です。
次回の投下は、ちょっと予告通りにいかなくて申し訳ないですが
今月中になります。今月で2話くらいは投下したいけど、どうなるかー
本日も御付き合い頂いてまことに嬉しいですオッスオッス
支援ありがとうございます!( ゚∀゚ )乙かれ様でした('e')
次回の投下は、ちょっと予告通りにいかなくて申し訳ないですが
今月中になります。今月で2話くらいは投下したいけど、どうなるかー
本日も御付き合い頂いてまことに嬉しいですオッスオッス
支援ありがとうございます!( ゚∀゚ )乙かれ様でした('e')
71: 2012/01/24(火) 22:11:28 ID:LjkV/QKM0
乙
次回:( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)【Lv.18】
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります