817: 2011/11/28(月) 20:01:30 ID:Dz2PjSzo0

818: 2011/11/28(月) 20:02:48 ID:Dz2PjSzo0

819: 2011/11/28(月) 20:04:38 ID:Dz2PjSzo0



身を切る様な烈風と、黒波打ち付ける切り立った断崖に、一人の男が立つ。


波音は、まるで男を歓迎しないかのように強く、強く。


重厚な鎧に、手には盾、背には荷物と剣。戦士なのだ。


肩からの衣が強く吹き付ける風に靡(なび)き、バタバタと翻弄される。



戦士の眼差しの先には――――――荒れ狂う海の先に見える、黒城。



( ^ω^)



.
ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書 (デジタル版SE-MOOK)
821: 2011/11/28(月) 20:07:45 ID:Dz2PjSzo0


ブーンは、魔の島から陸地で最も近い場所。
あの勇者モナーが、虹のしずくを使ったとされる同じ地点にいる。

“聖なる橋”を渡すために。



( ^ω^)

( ^ω^)「ついにここまで来たかお・・・」

( ^ω^)

( -ω-)


眼を閉じると、脳裏にこれまで触れ会ってきた全ての人々の顔が過(よぎ)る。


笑顔も。 無念の涙も。

期待のまなざしも。 悲しみの嗚咽も。


.

822: 2011/11/28(月) 20:08:57 ID:Dz2PjSzo0


( -ω-)


( ^ω^)


さぁ、いこう。


希望を取り返す為に。平和を温もりを思い出す為に。


この世界に、晴れ渡る美しき “青空” を取り戻す為に。



ブーンは、握りしめるそれを、天に掲げた。

微かに煌めく、七色の石。

それが、輝きを増しながら・・・・・・ブーンの手から放たれ、飛翔した。


.

823: 2011/11/28(月) 20:10:16 ID:Dz2PjSzo0


( ^ω^)「おおっ・・・!」


光は線の束となり、形を紡いでゆく。

やがて、一つの大きな輝きの“橋”となる。

背中の剣を、スラリと抜いた。

剣もまた、真紅の光を放ちながら。


( ^ω^)「・・・・・・」

( ^ω^)「――――――いくお」



.

824: 2011/11/28(月) 20:11:18 ID:Dz2PjSzo0


一歩踏み出す。

薄氷の如き光を踏みしめる。

その感触は、しかし確かに。



( ^ω^)




ブーンは歩く。 歩み続ける。



もはや引き返す事は出来ない――――――最後の冒険へ。




.

825: 2011/11/28(月) 20:12:13 ID:Dz2PjSzo0

















.

826: 2011/11/28(月) 20:13:33 ID:Dz2PjSzo0






――――――メルキド。



('A`)「・・・・・・」



(*゚∀゚)「お師匠。支度はととのいました」

('A`)「ああ」



.

827: 2011/11/28(月) 20:14:43 ID:Dz2PjSzo0


ドクオは、黒衣のローブを羽織る。

フードを後頭に降ろし、空を見つめた。


('A`)「今日は・・・満月だな」

(*゚∀゚)「?」


('A`)「今まで随分、世話になった」

('A`)「ありがとう」


ドクオは軽く頭を下げた。


.

828: 2011/11/28(月) 20:15:55 ID:Dz2PjSzo0


(*゚∀゚)「こちらこそです!!」

(#゚;;-゚)「ドクオさん・・・本当に今までありがとう御座いました」

(#゚;;-゚)「・・・ここに戻って来られる事・・・つーも私も、心待ちにしております」

(*゚∀゚)「そうだよ! 帰ってきたら、またお世話させていただきますよ!」

('A`)「ああ、そうだな・・・・・・頼む」


(*゚∀゚)「お師匠」


つーは、ドクオの手を握る。そして・・・


(*゚∀゚)《ホイミィ》ホワァ


癒しの魔法の光が、ドクオの手に暖かみを与えた。


.

829: 2011/11/28(月) 20:17:06 ID:Dz2PjSzo0


(*゚∀゚)「僕にできる、唯一の祝福です」

(*゚∀゚)「お気をつけて。いってらっしゃい・・・」


('A`)「つー」

('A`)「俺は、良い弟子を持った」


ドクオは、ふと微笑した。


(*゚∀゚)「・・・お師匠が笑うの、久しぶりにみました」

('A`)「フ・・・」


.

830: 2011/11/28(月) 20:19:03 ID:Dz2PjSzo0


(*゚∀゚)「・・・・・・ドクオ師匠・・・」


つーは、ドクオの袖をぎゅうと掴み、言う。


(*゚∀゚)「がんばってください・・・!」

(*゚∀゚)「ぜったい、ぜったい~~~~~~ぜったい、もどってきて!」


('A`)「――――――ああ」



ドクオは袖を掴んで離さないつーの手を優しく解いた後、黒衣を翻し、去ってゆく。
数歩行くと後ろから、少女の泣き声が聞こえた。

振り向かず、真っすぐ確かな足取りで、城門の方へと向かう。


.

831: 2011/11/28(月) 20:20:58 ID:Dz2PjSzo0


ドクオは、メルキドの街の外に出る。
人のいない場所で雑念を払い、精神を集中する為に。



('A`)「・・・・・・ふぅ」


ドクオは、これまで3つの課題を研究してきた。
その研究の内の、一つ。

自分の使役する高等な魔法として、“ルーラ”という呪文がある。

これは、遠い土地に残してきた自分の魔力と、
今の自分の魔力を磁石のように接続する事で、
その距離間を飛ばし、飛行移動するという物だ。


つまり、行った事がある場所ならば、どこへでも移動できるという訳だ。


.

833: 2011/11/28(月) 20:22:26 ID:Dz2PjSzo0


そこで、ドクオは考える。
触れ合った事のある所と魔力を繋ぐだけならば、何も“場所”でなくとも良い筈だ。


(-A )


それが例え、物でも。

動物でも。


人でも。



(-A )



魔でも。



.

834: 2011/11/28(月) 20:23:47 ID:Dz2PjSzo0



      ((((((((((((((((((((    )))))))))))))))))))))



             想像しろ。



              クン・・



             記憶を辿れ。



       (((((((((((((((   - ))))))))))))))))



              ドクン・・・



.

835: 2011/11/28(月) 20:24:40 ID:Dz2PjSzo0


  自分の心の奥深くに焼きついた、あの感触を思い出せ。


           あの情景を掴み取れ。



('A )「ぉぉ・・・」



           (((((((((((川  - )))))))))))



         あの感覚を魂から掘り起こすのだ。



               ドクン ドクン



.

836: 2011/11/28(月) 20:25:36 ID:Dz2PjSzo0



('A )「ぉぉおおお・・・ッッ!」



            ドクンッ  ドクン・・・!




             ((((((川  -゚))))))




               川 ゚ -゚)



             ド ク ン !!




.

837: 2011/11/28(月) 20:27:26 ID:Dz2PjSzo0


ドクオの体は、光を纏い上昇した。

そして、ある方角に向かって――――――加速。


(('A`)) (――――――よしッ・・・!!)



ドクオは彼方に飛ぶ。
風をすり抜けてゆく音が、ビュウビュウと聞こえる。

そのまま速度を増し、突き進んでゆく。



風を泳ぎ、森を過ぎ、海を越え――――――そして。



.

838: 2011/11/28(月) 20:28:34 ID:Dz2PjSzo0


(('A`)) (・・・・・・見えた・・・!!)


目の前に――――――大きな島と、城。

もの凄い速度で接近してゆく。

しかし、魔力を帯びたドクオの眼には、
ドーム型の大きな魔力結界が張られているのが見える。


.

839: 2011/11/28(月) 20:29:36 ID:Dz2PjSzo0


(('A`)) (・・・・・・ッッ)

(('A`)) 《 ギラッ・・・!! 》


手から、閃光の帯を発する。
それが、結界に衝突した。

結界に、ビシリと皹(ひび)が入る。
しかし、壊れはしない。


もう、結界の壁にぶつかる――――――


.

840: 2011/11/28(月) 20:30:26 ID:Dz2PjSzo0


(('A`#)) 「くおおお・・・ッッ」

(('A`#)) 《  ――――――ベギラマッ!!  》


ドクオは、輝く炎を放ちながら、結界に突っ込んだ。


凄まじい大きさの、陶器が割れる様な音と共に
ドクオは失速し――――――落下。


((( A #))) 「ぐはッッ・・・!!」ドガァッッ!!


地面に落ち、衝撃。跳ねる。


.

841: 2011/11/28(月) 20:31:19 ID:Dz2PjSzo0


( A #)「が・・・べ・・・」

( A #)《 ベホイミ・・・ 》ホゥ...


すぐに、自身に回復呪文を施した。
落下のダーメジを癒す。


('A )「・・・く・・・はぁ」

('A`)


.

842: 2011/11/28(月) 20:32:23 ID:Dz2PjSzo0


('A`)「ここが・・・“奴”のいる・・・・・・」



('A`)「本拠地――――――か!・・・・・・」



ドクオは、見上げる。


禍々しい狂気を放つ、黒の城塞を。



.

843: 2011/11/28(月) 20:33:09 ID:Dz2PjSzo0

















.

844: 2011/11/28(月) 20:34:54 ID:Dz2PjSzo0


( ^ω^)



ブーンは、ひたすら進んでゆく。

もう、橋の中腹程まで来ただろうか。

しかしまだだ。


( ^ω^)「はっ、はぁッ」


はやく、この橋を過ぎてしまわねば。


.

845: 2011/11/28(月) 20:35:45 ID:Dz2PjSzo0


瓜゚∀゚)『橋をかける事は可能じゃが、本来もつ魔除けの効果は薄いかもしれん』

瓜゚∀゚)『橋を渡る最中に、空の魔物に襲われるという事も、十分に考えられる』

瓜゚∀゚)『そしてそれは、一つの難関になるであろうな・・・』

瓜゚∀゚)『それは覚悟しておくのじゃ』


( ^ω^)


大勢の魔物に、襲われかねない。

この逃げ場のない橋の上での多勢は、圧倒的に不利。
敵に気付かれる前に、なるべく早くこの橋を――――――


.

846: 2011/11/28(月) 20:37:52 ID:Dz2PjSzo0


( ;^ω^)「ふぅ、ふぅ」

( ;^ω^)「ふ――――――・・・・・・ッ」

i!:( ;゜ω゜):i! ゾワッ



それは、前方に見えた。

空にひしめく、魔物の軍勢。


およそ何百――――――いや、千に近しい程の魔獣共が、
一団の黒い塊・・・雲のようになり、こちらに飛来してくる。


( ;゜ω゜)「ぐっ・・・!!」


戦慄と共に、冷や汗がドッと出る。
頬を伝い、落ちていく。


.

848: 2011/11/28(月) 20:39:23 ID:Dz2PjSzo0


やはり、橋上の戦闘は避けられないのか。

しかし、数が多い。膨大な手勢だ。
あの多勢の前に抗う力は・・・・・・


( ; ω )「く・・・・・・!」


それでも。やるしかない。
そう、あのリムルダールの戦の時の、呼吸を思い出すのだ。


( ; ω )「はッ、はッ・・・!」


剣を握りしめる。決心を固めろ。
退路は有りはしないのだ。


.

849: 2011/11/28(月) 20:41:22 ID:Dz2PjSzo0


どうしても駄目で・・・・・・本当にどうしても駄目でも。

力の限りを最後まで振り絞り、それでもどうしても本当に本当に本当に駄目だったとしても。

自分の持てる最善を尽くして――――――例えここで尽き果ててしまうとしても。

ただでは氏ねぬ。

最後の一時まで、剣を振るう事を誓ったのだ。

そうだ、自分は。


剣に氏ぬ。



(♯ ω )「ふぅオオ・・・・・・」

(♯゜ω゜)「  ・・・オオオオオオオオおッッ!!  」


覚悟の、咆哮。


.

850: 2011/11/28(月) 20:43:51 ID:Dz2PjSzo0


と、その時。



( ;゜ω゜)「!!?・・・・・・」


魔物の軍勢が、進む方向を変えた。
いや、巨大な一団だ。

多少はこちらにも向かってきてはいる。
だが群れのほとんどは逸れ、ブーンとは違う方角へ。



( ;^ω^)「・・・・・・なんだお・・・?」


.

851: 2011/11/28(月) 20:45:44 ID:Dz2PjSzo0


微かに清らかな音が聞こえる様な気がする。


魔物達の向かう先の、沖の方をふと見た。


一艘の小舟があった。


そこには。



( ;゜ω゜)「あ、あれは・・・・・・!」



.

852: 2011/11/28(月) 20:46:45 ID:Dz2PjSzo0



                 (・∀・ )





( ;゜ω゜)「  モララー・・・・・・!!?  」




小舟に立つのは、見知った顔――――――モララーだった。



.

853: 2011/11/28(月) 20:47:50 ID:Dz2PjSzo0


( ・∀・)皿「それ、こっちだ。こっちに来い」


モララーは、何か大きな物を持ち、それで音を鳴らしている。




( ;゜ω゜)「・・・・・・あ・・・」


いつか賢者の一人である、じぃのもとを訪ねた時に見た。

あれは確か――――――そう。


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854: 2011/11/28(月) 20:48:37 ID:Dz2PjSzo0


爪゚ー゚)『その竪琴は一見きらびやかで、実に素晴らしい音色を奏でるが・・・
     その実、深い魔力を帯びた魔具なのだ』

爪゚ー゚)『その音色は、魔力を放ち、魔物を呼び寄せる』

爪゚ー゚)『これは伝説の、さすらいの吟遊詩人ガライが所有していたものだ』

爪゚ー゚)『彼もまた、魔力を操るものの一人であったために、
     その魔香が竪琴に染み付いたのだ』

爪゚ー゚)『うかつに触れると、魔物を引き寄せるぞ』



( ;゜ω゜)「――――――“銀の竪琴”・・・・・・!!」


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856: 2011/11/28(月) 20:49:58 ID:Dz2PjSzo0


( ・∀・)皿「さぁ!こっちに来な。化け物どもめ!」


モララーが奏でる竪琴の美しく盛大な音色は、魔物を引き寄せてゆく。

魔の群れが、魔力の旋律に惹かれ、モララーのもとへ羽ばたいてゆく。




( ;゜ω゜)(あ、あいつ・・・ブーンをこの地に留めさせたのは・・・!)


( ;゜ω゜)(・・・・・・“アレ”を・・・、取ってくる為に・・・!!)


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857: 2011/11/28(月) 20:51:02 ID:Dz2PjSzo0


小さな小舟の上で、あの軍勢に教われれば、間違いなく――――――



( ;゜ω゜)「モララーッ!!モララァアーーーーッッ!!!!逃げるんだおーーーー!!」


ブーンの声は、海との距離を隔て、モララーには届かない。



( ・∀・)「フフ・・・何をやっているんだ。早く行けよ」


モララーの声も、竪琴の音に掻き消され、ブーンには聴こえない。



しかし――――――それでも。


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858: 2011/11/28(月) 20:51:51 ID:Dz2PjSzo0


     ( ;゜ω゜)





            伝わるものが、確かにそこにあるから。





                                        (・∀・ )


.

859: 2011/11/28(月) 20:54:38 ID:Dz2PjSzo0


( ; ω )「ぐっ・・・・・・!!」

( ; ω )「モ・・・ララー・・・・・・!!」


そうだ。解っている。解ってはいるのだ。

モララーは、ここへ・・・“覚悟”を決めてやってきた。

それに報いる事が、自分の成すべき事だった。



今すべきなのは、ここに留まり、モララーに激励の言葉を投げかける事でもない。

海に飛び込み、モララーを助けるべく向かう事でもない。


この橋を――――――渡りきる事。


ただただ前進していく事のみが、今のブーンに課せられた使命なのだ。



.

861: 2011/11/28(月) 20:55:52 ID:Dz2PjSzo0


(( ; ω ))( モララー・・・・・・!! )

(( ; ω ))


( ;^ω^)



ブーンは、キッと前を見据えた。

そして、毅然と力強く、再び歩み出す。 

前へ。そう、ひたすらに前へ。


.

862: 2011/11/28(月) 20:57:02 ID:Dz2PjSzo0


こちらにも、僅かに鳥の魔物が襲いくる。
だが、モララーの方へ向かった魔物の数とは比べ物にならぬ程少ない。


(♯^ω^)「・・・・・・どけおッッ!!」ザシュッ!!

キメラ「キゲアァァア・・・!?」バサッ


(♯ ω )「絶対に・・・渡りきって見せるお・・・!」

(♯゜ω゜)「  邪 魔 を す る な お ッ ッ !!  」





.

863: 2011/11/28(月) 20:58:37 ID:Dz2PjSzo0


( ・∀・)「おーおー、気持ち悪いくらい釣れたね。いやはや」


モララーは船上、無数の鳥の魔物に囲まれる。

敵は竪琴の魔力に取り憑かれたのか、
眼を爛々と光らせて襲い来る。


( ・∀・)「こいつぁ、骨が折れそうだな」

( ・∀・)「竪琴を鳴らしながらってのも中々、難しいがね」


キメラ「ギャアアアッッ」バサバサッ

( ・∀・)「ハッ・・・!!」ズバァッ

メイジキメラ「ギシィィイアア」ヒュザッ

(♯・∀・)「うおおおッ!《ギラッ・・・!!》ボウッ


.

864: 2011/11/28(月) 21:00:20 ID:Dz2PjSzo0


( ・∀・)+「しかし・・・竪琴を引きながら孤軍奮闘とか美し過ぎるだろ。
       昔ちょっとだけ習っといて良かった」


魔鳥 「「「「「「 グギャギャギャアアアッッ 」」」」」」


( ・∀・)「うるせーよ・・・」

(♯・∀・)「ハァッ!!」ビヒュッ!

(♯・∀・)《・・・・・・ギラギラギラギラギラァッッ・・・!!》ドドドドドドゥッ


モララーは、凄まじい猛攻で、周囲の魔鳥を蹴散らしてゆく。
以前のモララーとは違う。鍛錬の成果か。

阿修羅の如き強さを奮う。


.

865: 2011/11/28(月) 21:01:18 ID:Dz2PjSzo0


::(メ ・∀・)::《ホイミ・・・!!》シュウウ

( ・∀・)「せあッ!」ドカッ


そして突然、周りの鳥達がモララーの前から掃け出す。
一定の距離を保ち、傍観するような体勢に入った。



(メ ・∀・)「はっ」

(メ ・∀・)「おいでなすったな」


.

867: 2011/11/28(月) 21:02:35 ID:Dz2PjSzo0


上空から、凄まじい速度で近づいて来る、点。



((((( ゚∋゚))) 「・・・・・・」



(メ ・∀・)「お前だけは許さないぜ」



超高速で、鳥の魔物が突っ込んで来る。


.

868: 2011/11/28(月) 21:03:44 ID:Dz2PjSzo0


鳥の巨体と、モララーとが交差する瞬間――――――



(♯ ∀ )「・・・ッハァッ!!」 ザギュッ!!



( ゚∋゚)「!」


鳥の右翼が、斬撃で切り傷を付けられる。

尚も、鳥は――――――旋回。
再びさらに速度をつけ、矢の様な素早さと鋭さを持って・・・・・・


.

869: 2011/11/28(月) 21:04:40 ID:Dz2PjSzo0


(♯ ∀ )「・・・つぁりゃあッッ!!!!」 ドシュァッ!!!!



(; ゚∋゚)「ッ!!」


左翼をも、切り刻む。



(メ ・∀・)「あの時の俺と一緒にするなよ」

(メ ・∀・)「貴様を倒す為に――――――地獄を見てきたんだからな」


.

870: 2011/11/28(月) 21:05:53 ID:Dz2PjSzo0


( ゚∋゚)「・・・・・・」 バサッ バサッ


“鳥”は、しばし滞空する。


( ゚∋゚)

(キ ゚∋゚) ミ゛キッ


鳥の筋肉が隆起した。その瞬間。



三三三三三 ゚∋゚))) ド ウッ!!


(メ;・∀・)「!!」


.

871: 2011/11/28(月) 21:07:59 ID:Dz2PjSzo0


   三三メ三土ド三三 ゚∋゚ シュパァッ!!


((メ; ∀ )));,. 「ガッ・・・?!!」


モララーは船上から忽然と消え、波の上をまるで石を飛ばすように、
二転三転しながら、吹っ飛ばされた。



((メ#; ∀ )))))「ぐはぁ・・・!」


なんという衝撃。これが奴の本気か。
海中に放られながら、焦燥を滲ませる。

先の体当たりで、鎧は完全に破壊された。

とにかく、足場が無くては。
泳いで船上に戻ろうとする。


.

872: 2011/11/28(月) 21:08:58 ID:Dz2PjSzo0


(メ#;・∀・)「!!」


  三三三三 ゚∋゚))) ギュンンッ!!



((メ#; ∀ ))「クオっ!?」


鳥が、海面から顔を出すモララーに突っ込んできた。

凄まじい水飛沫(みずしぶき)を立たせて、海中に潜る。
その後海面から飛び出し、モララーの片脚を銜(くわ)えながら、空に上昇。


.

874: 2011/11/28(月) 21:09:44 ID:Dz2PjSzo0


(メ♯ ∀ )「 ぐ あ ぁああ あ ぁ ぁあぁ あ あ!!」


モララーの脚が、鉄の様な嘴(くちばし)に噛まれる。
脚の筋が、腱が、骨が噛み砕かれる感触が、肉を伝う。


( ゚∋゚)ミ 「・・・・・・」ブッ


そのまま、上空でモララー離す。空に放られ――――――


(メ♯・∀・)「・・・・・・ふぅおアッ!!」


モララーは腰から鎖の付いたフックを外し、鳥に投げつけた。
それが、鳥の脚に引っかかる。


( ゚∋゚)「!!」


.

875: 2011/11/28(月) 21:10:52 ID:Dz2PjSzo0


落下の慣性を利用し、回転して鳥の背側に回った。
背中の羽毛をガッシリと掴む。


(メ#・∀・)「は・・・これでも・・・」

(メ#・∀・)「喰らえッ!!」


そして背中に、剣を思い切り突き立てる。


((; ゚∋゚))「~~~~ッッ」


鳥は暴れる。痛みを払い、背中のゴミを振り落とそうと。

しかし、深く突き刺された剣と、力強く捕まるモララーは
そう簡単には振り落とされない。


.

876: 2011/11/28(月) 21:11:56 ID:Dz2PjSzo0


(メ#・∀・)「うおおおお・・・・・・!」


剣を更に奥深くまで差し込む。

だが鳥は巨体だ。
剣を根元まで刺したところで、すぐさま致命には至らない。


(♯゚∋゚)「・・・・・・」


鳥は、羽ばたいた。そして、どんどん上昇してゆく。

この高さでは、いかに下が海面とは言え、振り落とされれば間違いなく氏ぬ。


.

877: 2011/11/28(月) 21:12:43 ID:Dz2PjSzo0


(メ#;・∀)「く・・・」

((メ#; ∀ ))「・・・・・・ぐああ・・・ッ!?」


急激な上昇による気圧変化は、ただの人間であるモララーの身体に
凄まじい障害をもたらした。頭痛、嘔気、視界悪化、全身の痺れ。

目から、耳から、血が流れ出す。


(; ゚∋゚)「~~~~ッッ」


しかし、それでも。



((メ# ∀ ))「は・・・離さないぞ・・・」

((メ# ∀ ))「絶対に・・・離すものか・・・・・・!」


.

878: 2011/11/28(月) 21:13:38 ID:Dz2PjSzo0


モララーを乗せたまま鳥は雲中まで達する。

凍り付く様な冷気の中、ついには雲をも突抜けた。



真っ赤な太陽が、モララー達を照らしだす。



((((; ゚∋゚)))) バサバサ


((メ# ∀ ))「・・・ぜったいに・・・ おちないぞ・・・!!」


.

879: 2011/11/28(月) 21:14:41 ID:Dz2PjSzo0


もしここでコイツを取り逃がせば、奴はブーンを標的とし、
追ってゆくだろう。させない。絶対に。


モララーは、手を魔物の背中に添え当てる。 そして・・・・・・


((メ# ∀ ))《・・・ギラ・・・!!》


モララーは、呪文を唱える。直接炎を叩き込んだ。


(((; ゚∋゚)) 「~~~、~~~~ッッ」カハッ


零距離からの魔法の爆熱は、
いかに屈強な魔物の肉体と言えども、損傷を与える。


.

880: 2011/11/28(月) 21:15:47 ID:Dz2PjSzo0


((メ# ∀ ))《・・・ギラ!・・・ギラ・・・・・・!!》シュバッ、ドバッ


(((((♯; ∋ ))))) 「・・・!・・・・・・ッッ!!」



モララーの体を朱に染めるものは、沈み行く夕日の暁と、己と魔物の血。

魔物に密着しているモララー自身も、魔法の熱を浴びて火傷を負う。
それでも、掴んだその手は離しは、しない。


.

881: 2011/11/28(月) 21:16:35 ID:Dz2PjSzo0



((メ# ∀ )) (――――――ああ)


((メ# ∀ ))    (デレ)




――――――――――――――――――


      ζ(゚ー゚*ζ


――――――――――――――――――



.

882: 2011/11/28(月) 21:17:57 ID:Dz2PjSzo0


((メ# ∀ ))「へへ・・・鳥公・・・  焼き鳥に・・・」

((メ# ・∀ ))「なれよ・・・・・・!!」


((メ#・∀・)) 《・・・・・・ぅぅうおおおおああああああああ!!!!》ドゥッドウッドウッ!!!!



(((; ゚∋゚))「~~~~~~、~~~、ギ・・」


(((メ;., ゚∋゚))「ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」



.

883: 2011/11/28(月) 21:18:58 ID:Dz2PjSzo0


断末魔が響く。
やがて、暴れ狂う鳥の動きは次第に弱まり――――――


,,:(メ;. ∋;):.


遂に失速。力なく、落下してゆく。






(メ -∀-)


モララーは、魔物の体から離れ、フワリと浮いた。

そのまま、空に導かれるように。


.

884: 2011/11/28(月) 21:20:08 ID:Dz2PjSzo0



モララーは、昇る、昇る。昇ってゆく。


雲の上で、夕日の橙黄色の粒子を纏いながら。


光の中で、モララーは天に向かってゆく。


その表情は穏やかで、安らかで、あくまで満足気で。



.

885: 2011/11/28(月) 21:21:11 ID:Dz2PjSzo0




( -∀-)


( -∀-) ああ 疲れた


( -∀-) もういいのかな


( -∀-) なんだか暖かいや



ζ(゚ー゚*ζ モララー様


( ・∀・) デレ デレじゃないか


.

886: 2011/11/28(月) 21:22:19 ID:Dz2PjSzo0


ζ(゚ー゚*ζ ご立派でした さすがです


ζ(゚ー゚*ζ さすがは、モララーですわ


( ・∀・) ああデレ 会いたかったよ


( ・∀・) 寂しかった ずっと寂しかったんだ 


( ・∀・) 母さんがいなくなって デレもいなくなってしまって


( ・∀・) とても寂しかったんだ


.

887: 2011/11/28(月) 21:23:05 ID:Dz2PjSzo0


ζ(゚ー゚*ζ モララー様 これからはずっと一緒ですわ


( ・∀・) ずっと一緒にいられるのかい


ζ(゚ー゚*ζ ええ そうですよ ずっとずっと一緒です


ζ(゚ー゚*ζ さあ、共に参りましょう


( ・∀・) デレ 好きだ 好きだよ


ζ(゚ー゚*ζ お慕いしておりますモララー様――――――



ζ(゚ー゚*ζ 愛して、おります


( ・∀・) ああ デレ デレ


.

888: 2011/11/28(月) 21:24:10 ID:Dz2PjSzo0



( -∀-)ζ(゚ー゚*ζ  ああ 暖かい なんだろう こんなにも 







               暖かいよ。








.

889: 2011/11/28(月) 21:25:38 ID:Dz2PjSzo0






                (メ -∀-)。゜






.

890: 2011/11/28(月) 21:26:21 ID:Dz2PjSzo0



モララーは、沈む、沈む。沈んでゆく。


冷たい海中の奥底へ・・・波の揺らめきに身を委ねながら。


闇の中で、黒髪を揺らしながら海の底へ向かってゆく。


その表情は穏やかで、安らかで、あくまで満足気で。



.

891: 2011/11/28(月) 21:27:51 ID:Dz2PjSzo0



彼が氏の間際に触れたのは、安らぎの夢の蜃気楼。


一人の記憶の少女との愛の為に命を賭した――――――


孤高の戦士、モララー=ウィル・ブランカート。



――――――母なる海と、真実の愛の幻影を抱き、ここに眠る。




to be continued...!! and......


.

892: 2011/11/28(月) 21:29:38 ID:Dz2PjSzo0





(メ ω )「・・・・・・はぁっ、はぁッ・・・」


ブーンは、走る。そうして、森の茂みに飛び来み身を隠す。

あの橋を、渡りきった。


(メ ω )

(メ ω )「モララー・・・・・・」



(メ ^ω^)

(メ ^ω^)「・・・無駄にはしないお。きっと・・・必ず」


.

893: 2011/11/28(月) 21:30:44 ID:Dz2PjSzo0



ブーンは見上げる。


その眼光が捉えるものは――――――聳(そび)え立つ、巨大な漆黒の敵の牙城。





     「待ってろお――――――」




――――――――――――竜王・・・・・・!! 




And, his brave spirit was inherited......!!


.

895: 2011/11/28(月) 21:31:49 ID:Dz2PjSzo0


( ^ω^)ブーンの今のステータス

LV24

ほのおのつるぎ
まほうのよろい
みかがみのたて


今回登場した敵:なし


.

901: 2011/11/28(月) 21:37:36 ID:Dz2PjSzo0
以上で第33話投下終わりです。
今回はレス多めの構成になってしまいまして、
長々と御付き合いさせて申し訳ないです

次の投下なんですが、次回からちょっとスパートかけて
連日投下みたいな感じにしたいなぁと思ってますので、
ちょっと書き溜に時間もらうかもしれません
そんな待たせないように頑張ります。目処ついたら報告します

それでは( ・∀・)ご支援ありがとうございました!ζ(゚ー゚*ζ

5: 2012/01/24(火) 21:12:14 ID:tCYCiG520


第34話


.

6: 2012/01/24(火) 21:14:04 ID:tCYCiG520



薄朧げな月光に照らされながら、岩と茂みの中で、空を見つめていた。

瘴気と哀哭(あいこく)に満ちた、凍てつく夜風に吹かれながら。


ふと前方に視線を投げれば、威容を誇りながら、それはある。



(メ ^ω^)



巨大な城。


宿敵、竜王の本拠地。



.

7: 2012/01/24(火) 21:15:21 ID:tCYCiG520


魔物の猛追を振り切り、やっと安全そうな場所に身をおけた。

あの虹の橋を渡り、ここまで到達するまでの魔物との戦闘でついた傷跡に、
薬草を交えながら包帯を巻いていく。


しっかりと、しっかりと。


戦友(とも)の氏を、覚悟を。心に刻み付ける様に。

かじかむ程の冷気の中で、白く大きく息を吐きながら。



(メ  ω )

(メ  ω ) 「モララー・・・」


.

8: 2012/01/24(火) 21:16:26 ID:tCYCiG520


ブーンはこの魔島に辿り着いてから、
少しずつ少しずつ、潜伏するように、竜王の城まで近づいていった。

時折響く鳥獣の鳴き声が、ブーンの神経を鋭敏にする。


茂みや岩場が多く、気配を頃しながら隠れ進むには良い。
到島してからの戦闘は、ほぼ無かった。

リムルダールのショボン医師に貰った聖水の効果で、
人特有の気配を上手く消せているのかもしれない。


あの巨大な城までは、おそらくあと一里もない程の距離だろう。


.

10: 2012/01/24(火) 21:17:35 ID:tCYCiG520


(メ  ω )

(メ ^ω^)



心が逸る。だがしばし待て。

夜は、魔物の魔力を増幅させる。
竜王討ちをかけるのは、明日。


夜が明けてからだ。


.

11: 2012/01/24(火) 21:18:22 ID:tCYCiG520


(メ ^ω^)

(メ ^ω^)) ブルッ

(メ ^ω^)) ブルブル


(メ ^ω^)) ガシッ
 つ 

(メ;^ω^) 
 つ


.

12: 2012/01/24(火) 21:19:12 ID:tCYCiG520


武者震い。
体を掴み、震えを止める。



(メ  ω )「ふー・・・・・・」

(メ -ω-)



とうとうここまでやってきた。

明日、すべてが決着する。

これまで自分が歩んできた、全ての事柄が清算される。


何もかも、終わる。

いや。


.

13: 2012/01/24(火) 21:20:06 ID:tCYCiG520


(メ -ω-) (・・・違うお)


(メ ^ω^) (始まるんだお。これから)


(メ ^ω^) (竜王を倒して――――――人々の幸せが・・・自分の幸せが)


(メ ^ω^) (平和が、この世界に訪れるんだお)


.

14: 2012/01/24(火) 21:21:11 ID:tCYCiG520


ブーンは、この冷たい風の中で、想いを馳せる。


陽射しを浴びて綻ぶ、人々の笑顔。


爽やかな風。青々とした木々花々。


どこまでも広がる、蒼穹の空に。



がむしゃらに、ただひたぶるに明日の平和を追い続けてきた戦士。


この夜空に浮かぶ満月に、明日の青空の美しさをみる。



.

16: 2012/01/24(火) 21:22:11 ID:tCYCiG520






          そうして、夜が明けた。







.

17: 2012/01/24(火) 21:23:03 ID:tCYCiG520



(メ ^ω^) 



ブーンは向かい風を一身に受けゆく。


岩場をくぐり、毒の地を抜け、砂の丘陵を越え、
竜王の城とは、もはや目と鼻の先まで。



前夜は、眠れなかった。

魔物に襲われる可能性も危惧したというのもあるが、
何より決戦を前に、高揚し寝付けなかったのだ。


.

19: 2012/01/24(火) 21:24:47 ID:tCYCiG520


(メ ^ω^)


しかしそれでも、目は冴え、思考は明確。
体の調子もすこぶる良い。

自分自身でも、驚くほど体力が充実している。


揺るぎのない覚悟を決める事で、ブーンの戦士としての肉体は精神と同調し、
これ以上ない程の、完全な状態に仕上がりつつあるのだった。



そして、今。



.

21: 2012/01/24(火) 21:25:47 ID:tCYCiG520


(メ ^ω^)「・・・・・・」


(メ ^ω^)「ついたお」



天に突き立つが如く遠大な敵の牙城の、目の前に立つ。
正門に、扉は無かった。

ただとてつもなく大きく、闇を構えて口を開けている。

魔物が通る際に扉があっては邪魔なのか、
ここまで人間が辿り着く事を想定していないのか。
あるいはそれとも、いかなる侵入者をも迎えたとしても、なんら問題は無いという自信の表れか。

拒みはせぬ。入らずんば、とって喰らう。
そういう意味にもとらえられる。


.

22: 2012/01/24(火) 21:27:41 ID:tCYCiG520


(メ ^ω^)


(メ ^ω^)「!」



近くの岩陰の氏角から――――――のそりと大きく何かが動いた。



(メ ^ω^)「・・・・・・」



キースドラゴン「グゥルルルゥ・・・・・・」



.

23: 2012/01/24(火) 21:28:29 ID:tCYCiG520


ドラゴンだ。

それはいつかローラ姫を沼地の洞窟から救い出した時にも邂逅した。
あの時の苦戦の記憶が蘇る。


(メ ^ω^)「・・・・・・」


ここまでは順調に来れた。


いくら城に扉がなく入れそうだとはいえ、ここは敵の根城の入り口だ。
厳重に魔物が配置されていない訳がない。

それはもとより覚悟の上。


ここを突破せねば、敵の喉元に食い込む事など出来ぬ。


.

24: 2012/01/24(火) 21:29:26 ID:tCYCiG520


キースドラゴン「ゴオオオォォオオォアアアァアアア!!!!」


(メ ^ω^)「・・・ふぅ」



以前は、けたたましい咆哮に気圧された。
およそ生物の頂点に立つであろう魔物の、圧倒的存在感にたじろいでいた。


今は、揺るがぬ。


代わりに滾(たぎ)る。血が滾る。
息吹は熱く、されど落ち着いていく。
毅然と見据え、眼光で敵を斬りつけん。


.

25: 2012/01/24(火) 21:30:12 ID:tCYCiG520


(メ  ω )「ふぅ――――・・・」


ブーンは背の鞘から、剣を抜いた。
炎の剣から、陽炎がゆらめく。


(メ#゜ω゜)「・・・・・・ぉおああおッ!!」


そして、駆け出す。


キースドラゴン「ゴガハアアアアッ!!」


.

26: 2012/01/24(火) 21:31:32 ID:tCYCiG520


ドラゴンの尾が大きく空を切り、横に薙がれる。


((メ#゜ω゜)「ふあッ!!」ダンッ


ブーンはそれを大きく跳躍して躱す。

竜の尾は、側の岩盤を穿ち砕いた。

そのまま直進し、敵の懐に突っ込む。


キースドラゴン「バアオオオォッ!!」


ドラゴンはするどい爪を繰り出す。


((メ#^ω^)「つぁッッ!!」ビヒュッ


.

27: 2012/01/24(火) 21:32:17 ID:tCYCiG520


それを躱さず、剣で応撃。

バキリと音がし、竜の爪指が砕けた。
ブーンの剣が生み出す熱に当てられ、焦げるような臭いも。


キースドラゴン「ゴルガァアアアッッ!?」

((メ#^ω^)「・・・ふぅ・・・ッ!!」



ドラゴンが一瞬怯み、苦しんでいる隙に、二歩で敵の背側に回る。


そして、背後を取るや取らざるやという瞬間・・・
振り向き様に、斬撃一閃。

その硬い皮膚を切り裂き、黒い血液が噴出する。


キースドラゴン「ググウウゥッッ!!」ドゥッ!


.

28: 2012/01/24(火) 21:32:59 ID:tCYCiG520


反射的に竜の尾が垂直に跳ね上げられる。
それを躱そうとするが、間に合わない。


(((メ#;゜ω゜))「ぐゴッは・・・!!」


下から振り上げられる強烈な一撃を脇腹に浴び、
ブーンは宙に浮いた。

そして地面に落下。転がりながら、胃液の混じる唾を吐く。
上半身が痺れ、まともな呼吸が中断される。


(メ#;^ω^)「・・・ぐ・・・」


だが意識は、敵から削がれる事は無い。
ドラゴンも、こちらを警戒しているようだ。


.

29: 2012/01/24(火) 21:33:50 ID:tCYCiG520


(メ  ω )「ふぅ――――」



沼地のドラゴンは、あの時の自分にとっては、
相見えた事が無謀とも思える程の強敵だった。

おそらく今目の前にいるドラゴンは、おそらくあれより格下。
戦ってみて理解できる。


そしてあの頃の自分以上に、ブーンは成長した。

この競り合い、負けぬ。
いや、こんなところ果てる為にやってきた訳ではない。


.

30: 2012/01/24(火) 21:34:33 ID:tCYCiG520


ドラゴンを相手取ろうとも、もはやブーンに気後れはない。


ただ、勝つ。ただ進む。


この敵程度などとは、背負っているものの大きさが違うのだ。


その思いが剣撃の重みとなり・・・


今、突進してくる竜と交差のとき――――――首もとを切り裂いた。


.

31: 2012/01/24(火) 21:35:44 ID:tCYCiG520


キースドラゴン「グガ・・・カッ・・・・」


ドラゴンはよたりと緩慢によろける。

まさに首の皮一枚で繋がった・・・
いや、竜の首はぶつりと切れ、胴から破断する。



(メ ^ω^)


後方で竜が倒れる音を聞いた。

そして今、城の中へと踏み出してゆく。


その暗黒に導かれて――――――今ブーンは、入城してゆく。



.

32: 2012/01/24(火) 21:36:36 ID:tCYCiG520













.

33: 2012/01/24(火) 21:37:40 ID:tCYCiG520





大きな扉の前に立つ、麗しき女性のような魔族。

髪は真っ白で、身に召すものも純白。肌も透き通るように色が抜けている。
およそ全てが白かった。



川 ゚ -゚)「竜王様」



入るがいい。



川 ゚ -゚)「はい、失礼致します」


.

34: 2012/01/24(火) 21:38:59 ID:tCYCiG520


何用だ。



川 ゚ -゚)「はい。ご報告があります」

川 ゚ -゚)「今しがた私の魔力がとらえました・・・」


川 ゚ -゚)「 この城に――――――人間の侵入者が。 」

川 ゚ -゚)「それも、数名。」



ほう・・・ククク。



.

35: 2012/01/24(火) 21:40:06 ID:tCYCiG520


川 ゚ -゚)「彼の者どもの存在は、以前より察知しておりましたが・・・」

川 ゚ -゚)「どういう方法を用いてここまで辿り着いたかは解りません」

川 ゚ -゚)「そして数名とも、人間の中では・・・おそらく一、二を争う程の武芸の者かと」



ふっふふ・・・・・・

“勇者”の真似事か。



川 ゚ -゚)「・・・・・・」


.

36: 2012/01/24(火) 21:40:53 ID:tCYCiG520


そやつらの臭いは、我も感じていた。

だが、問題あるまい。

のう、クー。



川 ゚ -゚)「は」



ネズミどもの刃は、我のもとには届かぬ。

たかが人間・・・

貴様ら精鋭――――“四天王”が、それを阻むのは、必定の事よの。



川 ゚ -゚)「ふ・・・もちろんでございます」


.

37: 2012/01/24(火) 21:41:53 ID:tCYCiG520


ククク・・・頼もしいな。

いいか。奴らの瞳を絶望を染めよ。その顔を苦痛に歪めよ。

愚かにもこの竜王に牙を向ける事の無謀さを、存分に知らしめてやれ。



川 ゚ -゚)「かしこまりました」



クー。



川 ゚ -゚)「はっ」


.

38: 2012/01/24(火) 21:42:39 ID:tCYCiG520


なにやら機嫌が良さそうだな。



川 ゚ -゚)「・・・いえ」



隠さんでもよい。久々に人間と交える事が嬉しいのか。

どのような意味でもな・・・ククク。



川 ゚ -゚)「・・・・・・」


.

39: 2012/01/24(火) 21:43:28 ID:tCYCiG520



ゆけ・・・わが愛しき子らよ。


我に忠誠をみせよ。


人間の希望を喰らい、我らは生きるのだ。





川 ゚ -゚)「――――――は・・・・・・!」




.

40: 2012/01/24(火) 21:44:29 ID:tCYCiG520








(メ; ω )「はぁおッッ!!」ザシュッ


ドロルメイジ「ギャアアグワアアオオ!!・・・」ドバァッ


.

41: 2012/01/24(火) 21:45:32 ID:tCYCiG520


(メ;-ω )、「ハァッ、ハアッ・・・」


ブーンは、大型のナメクジのような魔物から剣を引き抜く。
魔物の体液がぱたぱたと剣から滴り落ちる。


(メ;^ω^)「ふぅ・・・」


みちみち何度も魔物に遭遇した。

そしてやはり、今まで野戦で相手どってきた魔物とはレベルが違う。
一瞬たりとも気は抜けない。

凄まじい緊張感と、この城全体が放つ禍々しい邪気に当てられ、
ブーンの呼吸は荒くなり、汗も流るる。


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43: 2012/01/24(火) 21:46:40 ID:tCYCiG520


(メ;^ω^)(進むに連れて、段々暗くなってきたお)

(メ;^ω^)(たいまつを灯した方がいいかお・・・?)


奥に進む程暗くなり、次第に視界が悪くなる。
炎の剣を振り、明かり代わりに。



城に侵入して数刻が経過する。

広い迷宮だ。一体あとどれだけ進めば、竜王のいる最奥に到達するのか。

まだまだ自分はやれる。

だが、疲労は確実に自分の身に蓄積してきている。

疲れや傷は心を蝕み浸食し、精神を侵す。

終わりの掴めぬ焦燥が湧き立ち始める。


.

44: 2012/01/24(火) 21:47:56 ID:tCYCiG520


:(メ -ω-):「スゥ――・・・はぁ」


ブーンの体を仄かな光が包む。

着込む鎧は、魔法の鎧。
メルキドの『流石屋』で調達した防具だ。

鎧としての性能は言うまでもなく、編み込まれた魔法の力が、
ブーンの体の傷をほんの僅かずつだが癒す。
呼吸を整え、その恩恵を浴びる。


.

45: 2012/01/24(火) 21:49:00 ID:tCYCiG520


(メ^ω^)「!」



大きな扉があった。



(メ^ω^)「・・・・・・」

(メ^ω^)(竜王の間・・・かお・・・?)



唾を呑む。
これまでの道程では、扉に当たりはしなかった。


この先に竜王がいるのかは解らない。
もしかしたら、何かの罠が待ち受けているかもしれぬ。


.

47: 2012/01/24(火) 21:50:09 ID:tCYCiG520


(メ -ω-)

(メ ω )「ふぅ・・・・・・」


いずれにせよ、心身に気合いを込める。
剣を握る力を強め、その扉に手をかけた。

そして力を入れ、押す。
重々しい音を立てて、扉は開く。



(メ^ω^)

(メ^ω^)「・・・・・・」



暗い。



.

49: 2012/01/24(火) 21:51:01 ID:tCYCiG520


(メ^ω^)

(メ^ω^)


(メ^ω^)「!!ッ?」



前方に、気配。
ブーンは身構える。



(;;;;;;;;;;;;)



(メ^ω^)「・・・!」



.

51: 2012/01/24(火) 21:52:21 ID:tCYCiG520



(;;;;;;;;;;;;)


(;;;;;; ∀)




( ゚∀゚)




(メ;^ω^)「じょ・・・・・・」



(メ;゜ω゜)「  ジョルジュ!!!?  」



.

53: 2012/01/24(火) 21:54:32 ID:tCYCiG520


( ゚∀゚)


(メ;^ω^)「ジョルジュ・・・き、君もこの城に辿り着いていたのかお!?」

( ゚∀゚)「ブーン」

(メ*^ω^)「や・・・やったお!ジョルジュがいれば、百人力だお!!」

(メ*^ω^)「まさかここにきてジョルジュに会えるなんて・・・!」

( ゚∀゚)「ブーン・・・・・・」

(メ^ω^)「あれ?でもどうやって・・・マジで泳いだのかお!」


.

55: 2012/01/24(火) 21:56:18 ID:tCYCiG520



( ゚∀゚)「とうとうここまで・・・ 辿りついちまったか・・・」




(メ ^ω^)「お・・・?」



((♯゚∀゚)「・・・・・・カァッ!!」ボヒュッ

(メ;゜ω゜)))「う、うわぁお!!」シャッ



ジョルジュの繰り出す上段蹴りを、瞬時身を引いて躱した。

いや、それは頬をかすめ、じわりと血が滲む。



.

57: 2012/01/24(火) 21:57:29 ID:tCYCiG520


(メ;^ω^)「な、なにするんだお、ジョルジュ!」

( ゚∀゚)「咄嗟の反応・・・このタイミングでよく躱したな」

(メ#^ω^)「どういうつもりだお!ここでふざけるのも・・・」


( ゚∀゚)「ふざけちゃいねえさ・・・」



ジョルジュの放つ、気配が変わる。


空気が、ぎり、と冷たくなる。



(メ;゜ω゜)「お・・・」



.

59: 2012/01/24(火) 22:00:00 ID:tCYCiG520


( ゚∀゚)「俺ァ・・・お前の敵だ。ブーン」


(メ;゜ω゜)

(メ;゜ω゜)「・・・は・・・・・・?」



( ゚∀゚)「俺は魔族・・・・・・竜王直属配下」




( ゚∀゚)「 ――――――四天王・・・・・・ “ ダースドラゴン ” ジョルジュだ。 」




(メ;゜ω゜)




to be continued...!!


.

67: 2012/01/24(火) 22:04:36 ID:tCYCiG520


( ^ω^)ブーンの今のステータス

LV24

ほのおのつるぎ
まほうのよろい
みかがみのたて


今回登場した敵

キースドラゴン:竜族の中でも、中位に位置するドラゴン。
          炎の息吹などは吐いて来ないが、それでも他の種族に比べれば圧倒的な強さを誇る。
          洞窟のドラゴンよりは下位種である。

ドロルメイジ:大きなナメクジの化け物。凄まじい粘性を帯びており、
        その粘膜で獲物を捕らえ、血肉を喰らう。
        人間数人食らい込む程の大きさがある。


.

70: 2012/01/24(火) 22:10:37 ID:tCYCiG520
34話終了です。
次回の投下は、ちょっと予告通りにいかなくて申し訳ないですが
今月中になります。今月で2話くらいは投下したいけど、どうなるかー

本日も御付き合い頂いてまことに嬉しいですオッスオッス
支援ありがとうございます!(  ゚∀゚ )乙かれ様でした('e')

71: 2012/01/24(火) 22:11:28 ID:LjkV/QKM0

次回:( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)【Lv.18】


引用: ( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)