118: 2012/01/30(月) 22:02:27 ID:nvfrfWVc0
119: 2012/01/30(月) 22:04:12 ID:nvfrfWVc0
122: 2012/01/30(月) 22:06:30 ID:nvfrfWVc0
薄暗い広間で、対峙する二者の隔たりには、
かつてこれまでに無いほど凍り付いた――――――
緊迫した空気が張りつめていた。
(メ;゜ω゜)
( ゚∀゚)
.
124: 2012/01/30(月) 22:07:49 ID:nvfrfWVc0
(メ;゜ω゜)「な・・・何を言ってるんだお・・・?ジョルジュ」
(メ;゜ω゜)「ジョルジュは人間、で・・・ブーンを助けて・・・」
(メ;゜ω゜)「じょ、ジョルジュは人間だお!そうだお人間じゃないかお!」
( ゚∀゚)「いつかお前に話した事があったな」
( ゚∀゚)「“竜族は、人間の身に姿を変えられる様に進化した”」
( ゚∀゚)「といっても、上位の竜族のみだがな・・・」
(メ;゜ω゜)
.
125: 2012/01/30(月) 22:09:19 ID:nvfrfWVc0
(メ;゜ω゜)「違うお。だってジョルジュは、ブーンを守るために・・・
魔物を倒して・・・撃退してくれたお・・・同じ魔族なら」
( ゚∀゚)「確かに同じ魔族だが、誇りは共有しねえぜ。
俺は属するのは、竜族のみ。それ以外は同類なんて思っちゃいねえ」
( ゚∀゚)「それに、俺に対して牙を剥いて来る奴に、拳を向けねえ理由もねえからな」
(メ;゜ω゜)「・・・・・・」
(メ;゜ω゜)「馬鹿な・・・う う、嘘だお・・・!」
( ゚∀゚)「ブーン・・・今のお前になら解る筈だろう・・・」
( ゚∀゚)「この俺から放たれる殺気が、“人”のものか“魔”のものか・・・な」
(メ;゜ω゜)
.
126: 2012/01/30(月) 22:10:38 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)「信じたくねえって気持ちは解るがよ」
(( ゚∀゚)「ここはお前の敵の本拠地だぜ。薄ら惚けていると―――」スッ
(メ;゜ω゜)「ッッ・・・!!」
(((♯゚∀゚)「ズアッ!!」ドリュッ!
((メ;゜ω゜))「く、くおお!!?」ズドンッ!
間合いに踏み込まれ、正拳を喰らう。
腕で受けたものの、反動で後方に数歩下がらせられる。
しかし追撃は止まない。
.
127: 2012/01/30(月) 22:12:14 ID:nvfrfWVc0
((♯゚∀゚)「ケエエイイッ!!」ビュシャオッ!
((♯; ω )))) 「がハァ!っぐ!」ドガァ!!
上中段の拳連撃。
加えて鋭い足刀蹴りが、ブーンの腹部に押し込まれる。
途轍も無い速度で吹っ飛び、部屋の石柱に叩き付けられた。
(メ#; ω )「か・・・げほッ・・・」
( ゚∀゚)「本気の俺の拳を受けて、なお動けるだけでもお前は強ええ」
( ゚∀゚)「普通の人間なら、ただの一撃で即氏しててもおかしくない。
鍛え上げたな、ブーン」
.
128: 2012/01/30(月) 22:13:25 ID:nvfrfWVc0
震え起き、剣先を向けて牽制しながら立ち上がる。
岩をも砕く武闘家の攻撃をまともに受けた。
凄まじい衝撃がその身に痛みをもたらす。
だが、衝撃が伝ったのは、ブーンの肉体だけにあらず。
(メ# ω )「・・・・・・どう、してだお、ジョルジュ・・・」
( ゚∀゚)「・・・・・・」
(メ# ω )「どうして・・・ブーンを、助けたんだお・・・!」
(メ# ω )「いつでも殺せるって・・・ちっぽけな人間は脅威にはならないって・・・!」
(メ#゜ω゜)「脆弱な人間を掌でただ転がして、遊んでいただけなのかお!!?」
( ゚∀゚)「・・・」
.
129: 2012/01/30(月) 22:15:04 ID:nvfrfWVc0
(メ# ω )「答えろお・・・」
(メ#;ω;)「 答えろお、ジョルジュ・・・!! 」
( ゚∀゚)
( ゚∀゚)「そうかも、しれねえな・・・」
( ゚∀゚)「どうあれ彼処でお前を助けた事は、今となっちゃあ、お前に対する侮辱かもしれねえ・・・」
( ゚∀゚)「すまなかった」
(メ#;ω;)「・・・・・・ッ!」
( ゚∀゚)「だがな、あの時お前を救って嘲笑おうなんて気持ちは微塵もなかった」
( ゚∀゚)「それだけは真実だ」
(メ#; ω )「ジョル・・・ジュ・・・」
.
130: 2012/01/30(月) 22:16:14 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)「ブーン」
( ゚∀゚)「俺ぁ、人間が好きだ。」
(メ#; ω )
.
131: 2012/01/30(月) 22:18:01 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)「俺達は言葉を通じ合える。解り合える」
( ゚∀゚)「その事実があるだけで、救う理由に足る」
( ゚∀゚)「だから、ついお前に情けをかけちまった」
( ゚∀゚)「すまねえ」
(メ#; ω )「・・・」
(メ#; ω )「魔物と人間は敵対関係にあるお・・・」
(メ#; ω )「好きだなんて・・・ 助けるなんて、おかしいお・・・」
( ゚∀゚)「・・・・・・」
( ゚∀゚)「・・・ああ・・・おかしいな」
.
133: 2012/01/30(月) 22:18:55 ID:nvfrfWVc0
いつかのラダトーム――――――。
( ゚∀゚) クィッ・・・ ゴクン
( ゚∀゚)『か~~~~っ、うめえ!!酒ってのは、やっぱり良いモンだな』
<ヽ`∀´>『ホルホル。そうだろう、ウチの酒は美味しいニダ』
<ヽ`∀´>『ニダーバー、特製のお酒ニダ』
( ゚∀゚)『こいつを飲んでると、嫌な事も何にもかも忘れちまうぜ』
<ヽ`∀´>『金を落としてくれるのはいいけど、あんまり飲み過ぎないようニダ』
( ゚∀゚)『ああ・・・解ってる、もう一杯』
<ヽ`∀´>『ん?何か、外が騒がしいニダ』
<ヽ`∀´>『・・・・・・? 悲鳴・・・・・・?』
( ゚∀゚)『・・・・・・』グイ・・・チビリ
.
134: 2012/01/30(月) 22:20:26 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)『ごちそうさん。勘定ここおいとくぜ』
<ヽ`∀´>『ホルホル、毎度アリニダ』
外に、出る。
( ゚∀゚)『・・・・・・』
.
135: 2012/01/30(月) 22:21:44 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)『・・・・・・』
町人『キャァアアーーーー!!』
( ゚∀゚)
町人『う、うわぁあああ!!』
(゚∀゚ )
町人「おかあさあーん!おかあさああん!!」
( ゚∀゚)
_
( ゚∀゚)
.
136: 2012/01/30(月) 22:23:00 ID:nvfrfWVc0
・・・・・・何をやっているのだ、お前は。
( ゚∀゚)『気乗りがしねえ。俺くらい居なくても、どうにかなると思ってよ』
馬鹿が。指揮官が居なくなれば統制もとれなくなるのは当然だろう。
.
137: 2012/01/30(月) 22:23:41 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)『・・・・・・』
( ゚∀゚)『どうしても、人間を滅ぼさなきゃいけねえのか』
・・・・・・
( ゚∀゚)『昔ぁ、仲良くやってたじゃねえか』
( ゚∀゚)『無理に滅ぼさなくてもいい。共存出来りゃあ越した事はねぇ』
またそれか。どうやらお前は、どうしても人間とやり合いたくないようだな。
.
138: 2012/01/30(月) 22:24:22 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)『俺は・・・拳法や言葉や多くを、人間に教わってきた』
( ゚∀゚)『あいつらは、嫌いになれねえよ』
甘い事を抜かすな、ジョルジュ。それでも竜族の一族の長か。
奴らは我ら竜族の力を恐れ、奴らだけの世界を構築し始めおった。
力も無い、数で群れるだけが取り柄の矮小な分際で・・・。
そんな勝手な種族など要らぬ。滅ぼすか服従させるかしてしまえばよい。
全ての頂点に立つは、誇り高き我らが竜族よ。
( ゚∀゚)
.
139: 2012/01/30(月) 22:25:54 ID:nvfrfWVc0
我に従わぬものはどうなるか解っているのか、ジョルジュ。
( ゚∀゚)『・・・・・・』
竜族の中でも、人間を滅ぼす事に異を唱えているのはお前くらいのものだ。
同じ竜族といえど派閥はある・・・貴様らの派族を殲滅するだけの力を我はもっているのだぞ。
貴様の我が儘で、一族を皆頃しにしたくはあるまい?
( ゚∀゚)『ちっ・・・』
我とて昔から共に連れ添ったお前を頃したくはない。
お前の強さも認めておるのだぞ。なればこそ、四天王という地位においているのだ。
.
140: 2012/01/30(月) 22:26:50 ID:nvfrfWVc0
いいか・・・この竜王に逆らうものは誰とて容赦はせぬ。
それが例え、同胞のお前でもな・・・
失望させてくれるな。
ジョルジュよ。
( ゚∀゚)(・・・・・・――――――)
.
141: 2012/01/30(月) 22:27:36 ID:nvfrfWVc0
.
142: 2012/01/30(月) 22:29:10 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)「確かに俺は竜族だ。魔族だ」
( ゚∀゚)「だが、人と共に生きてきたのもまた俺の真実なんだ」
( ゚∀゚)「竜王の軍が結成されてから後・・・」
( ゚∀゚)「滅ぼす為に、人間の村に邪魔する事もあった。それでも・・・」
( ゚∀゚)「あいつらの幸せそうな顔を見ると、その気も失せちまうんだ」
( ゚∀゚)「中途半端な野郎だろう、俺は」
(メ;゜ω゜)「・・・だったら!侵略なんてやめたらいいお!」
( ゚∀゚)「そういう訳にもいかねえんさ・・・」
( ゚∀゚)「どうあれ俺の立ち位置は、魔族」
( ゚∀゚)「血の仲間を裏切る事はできねえ」
.
143: 2012/01/30(月) 22:30:03 ID:nvfrfWVc0
(メ;゜ω゜)「ジョルジュ・・・ッ」
(メ゜ω゜) ハッ
(メ゜ω゜)
(メ゜ω゜)「ジョルジュ・・・一つ聞くお・・・」
( ゚∀゚)
(メ ω )「ラダトームに・・・ リカントを連れて、けしかけにきた事はあるかお・・・」
( ゚∀゚)「・・・・・・」
.
144: 2012/01/30(月) 22:30:57 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)「――――――ああ」
( ゚∀゚)「ある」
(((メ#゜ω゜)つ「うわぁああああ!!!!」ブンッ
( ゚∀゚)))「ふっ!」シュッ
.
145: 2012/01/30(月) 22:31:40 ID:nvfrfWVc0
(((メ#゜ω゜))「ジョルジュうううう!!」
( ゚∀゚)))「ブーン・・・動揺して剣が」
((( ゚∀゚))つ「乱れているぜッッ!!」バギィッ!
(メ#; ω )))「がはッっ!!」
(メ#; ω )「ジョル・・・ジュ・・・」
(メ#; ω )「どうして・・・どうして!」
(メ#; ω )「くあああああッッ!!!」
.
146: 2012/01/30(月) 22:34:27 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)「この姿じゃやりにくいってか、ブーン」
( ゚∀゚)「なら、俺の本当の姿を見せてやるぜ」
( ゚∀゚)「お前の本当の力を引き出す為にな・・・」
((♯゚∀゚))「ぐぅンっ!!」ビギッ
((((♯゚∀゚)))「はああアッ」バキバキ
ジョルジュの肉体が、隆起し変化してゆく。
(メ#; ω )
.
147: 2012/01/30(月) 22:35:10 ID:nvfrfWVc0
( ;^ω^)『はぁ・・・疲れたお。もう一歩も動けん・・・お』
( ゚∀゚)『こんぐらいで音を上げるとは基礎体力がなってねえな』
( ;^ω^)『いくらなんでも、組み手終わりからの腕立て800回は地獄すぎるお』
( ゚∀゚)『へへ。明日からどんどん増やしてくぜ』
( ;´ω`)『おー・・・』
.
148: 2012/01/30(月) 22:35:53 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)『ブーン』
( ^ω^)『お?』
( ゚∀゚)『お前は・・・本気で竜王を討つつもりか?』
( ^ω^)『そりゃもちろんそうだお。そうじゃなかったら、
こんな血反吐はいて地獄の特訓なんてしやしねえお』
( ゚∀゚)『そーか』
( ^ω^)『魔物のいない、安らかな世界は、このアレフガルドの人間すべての願いだお』
( ^ω^)『・・・それに、友との誓いだお』
( ゚∀゚)『・・・ふぅン』
.
150: 2012/01/30(月) 22:36:50 ID:nvfrfWVc0
( ;´ω`)『あー・・・腹減ったお。でも食糧を取りにいくほど元気が残ってないお・・・』
( ゚∀゚)『あんだよだらしねえな。じゃあ、あの鳥とって食おうぜ』
( ^ω^)『鳥?弓もないお』
( ゚∀゚)『いや石投げてぶつけて獲れるよ』
( ^ω^)『やっぱバケモンだお、お前!』
( ゚∀゚)『あんだとぉ。このヤロ!よし、もう一本組み手だ!』
( ;゜ω゜)『くぁwせdrftgyふじこlp;』
.
152: 2012/01/30(月) 22:39:11 ID:nvfrfWVc0
「グルルルルルゥ・・・これが」
ミミ≧ ゚々゚彡「これが俺の、竜族としての本当の姿だ」
(メ#; ω )
.
153: 2012/01/30(月) 22:40:01 ID:nvfrfWVc0
ミミ≧ ゚々゚彡「本気で・・・全力でかかってこい、ブーン。じゃねえと俺に勝つ事は無理だ」
ミミ≧ ゚々゚彡「その心乱れて、震えた剣じゃあな」
ミミ≧ ゚々゚彡「恨みっこなしとは言わねえ。だが全力を出し切らねえと――――――」
ミミ≧ ゚々゚彡「後悔するぜ」
「 グルォオオオオォォオオオォオオオオオオ!!!! 」
(メ#; ω )
.
155: 2012/01/30(月) 22:42:19 ID:nvfrfWVc0
その咆哮は、ブーンの心に響いた。
重く、重く、重く。
ブーンの胸中にあらゆる感情がないまぜになり、一挙に流れ込む。
怒りも悲しみも、切なさも痛みすらも内包して。
.
157: 2012/01/30(月) 22:43:45 ID:nvfrfWVc0
母と友の氏を紡いだ仇でもある魔物。
自分に武を教えてくれた師匠。
この世界に暗黒をもたらす人間の敵。
ロトの勇者と並び、いつしか自分の目標ですらあった、ジョルジュ。
拳と友情を分かち合えた者と、これから始めねばならない。
どちらかが氏に、どちらかが生き残る――――――
過酷な、生命のやり取りを。
.
159: 2012/01/30(月) 22:45:09 ID:nvfrfWVc0
ミミ≧ ゚々゚彡「グゴォオオオォォオオ!!!!」ブォン!!
(((メ; ω )「くウッ」バッ
ドゴォンッ!!パラパラ
(メ;゜ω゜)「・・・・・・!」
瞬時避けたジョルジュの長い尾の攻撃は、幾本の石柱を軽々と砕く。
それをまともに身にもらえば、間違いなく一撃で戦闘不能になるだろう。
.
160: 2012/01/30(月) 22:46:10 ID:nvfrfWVc0
ミミ≧ ゚々゚彡「ガァアアるアアアア!!!!」
((メ#^ω^)「・・・はっ!」ギャリッ
((メ#; ω ))))) 「ぐぅぅうううう!!」ズザザザッ
噛み砕こうとしてくる牙を剣撃で返すが、御しきれない。
ミミ≧ ゚々゚彡瓜 「ゔルロォアァアアッ」ヒュガッ!
((メ#゜ω゜))))「ッッぼがハアッ!!?」
前足の鋭い爪の攻撃を腹部に受けて、吹っ飛ぶ。
.
161: 2012/01/30(月) 22:47:16 ID:nvfrfWVc0
ミミ≧ ゚々゚彡「ふうぅ――――――」
(メ;゜ω゜)「!!」
ジョルジュの口元の空気がゆらりと揺れる。
ミミ≧ ゚々゚彡「ゴハァアアアアァアアア!!!!」
炎熱の息吹が波のようにうねり放射される。
(メ;゜ω゜)「うおおおおおおおお!!」
ブーンはよたよたと走る、走る。しかし炎はブーンを追う。
石柱の影に身を隠し、熱から逃れようとする。
が――――――
.
162: 2012/01/30(月) 22:48:08 ID:nvfrfWVc0
ミミミミ≧ ゚々゚彡「バオオオォオオオォッッ」ドゴガァッ!!
((((メ#゜ω゜)))「あがっぐあぁああッッ!!!」ドガァッ
石柱を体当たりで砕きながら、ジョルジュが突進してくる。
(メ# ω )「あ・・・ガほッ・・・ッ」
吐瀉物を吐き散らして横転しながら、距離をとり後方に逃げた。
.
163: 2012/01/30(月) 22:49:01 ID:nvfrfWVc0
(メ# ω )(つ――――つよい)
(メ# ω )(これが魔物としての本来のジョルジュの力・・・)
(メ# ω )(ぐ・・・ あ・・・)
先の攻撃で、鉄で出来た鎧の一部が切り裂かれる。
内蔵を直に抉られこそしなかったものの、
凄まじい衝撃はブーンの体全体に水の波紋の如くダメージを残す。
しかし、痛みに打ちひしがれ、すぐには起き上がれない。
意識が、揺れる。
.
165: 2012/01/30(月) 22:51:09 ID:nvfrfWVc0
(メ# ω )「うぐ・・・」
『ほれほれ、いつまで寝てんだ?』
(メ;゜ω゜)(はっ)
ミミ≧ ゚々゚彡「グゥオオアアアア!」ドスドス
『命のやり取りの実戦じゃあ、敵は待ってくれねえぜ。倒れたら、すぐ起きる』
『そして、すぐに周囲の状況を確認するんだ』
(メ; ω )「ハッ・・・!」
すぐに気をやり、突進してきたジョルジュの踏みつぶしを、躱す。
.
167: 2012/01/30(月) 22:52:13 ID:nvfrfWVc0
『もし相手が自分よりも巨体なら、小手先の立ち回りの分はお前にある』
『近接の戦闘に持ち込まれた場合、相手の懐に飛び込んで、足で掻き回し隙をつくんだ』
(((メ#゜ω゜)「ふぅおおッッ!」ザンッ
ミミ≧ ゚々゚彡「グゥルルふふ・・・ッ」
ブーンは、ジョルジュの股の間を転がり通り抜ける。
その隙に、足腿を斬りつけてゆく。竜の鳴き声が響く。
そうして、背後をとる。
.
168: 2012/01/30(月) 22:53:30 ID:nvfrfWVc0
『相手の先を取ったとしても、浮かれちゃならねえ』
『常にその状況に応じてどんな攻撃が飛び出してくるか、それをすぐに見極めろ』
(メ#゜ω゜)「うあああ!!」ドカッ
ブーンは、その長い尻尾に剣を突き立てる。
背後をとれば、尻尾の攻撃がくるからだ。
先制し、釘を打つ。
ミミ≧# ゚々゚彡 「ギャオオオオオオ!!」
そうしてまた距離をとる。
.
169: 2012/01/30(月) 22:55:17 ID:nvfrfWVc0
(メ# ω )「はぁ・・・はっ・・・、はっ・・・!!」
いつも闘いのさなかに、ジョルジュの教えがあった。
心に息づいている彼の教えが、ブーンを氏の窮地から救い出してきた。
そして、今も。
彼との修練にあけくれた日々があったからこそ、今ここで剣を振るう事ができる。
.
171: 2012/01/30(月) 22:58:29 ID:nvfrfWVc0
(メ ω )「やられて・・・たまるかお」
(メ ω )「例え・・・相手がジョルジュであっても・・・」
(メ ω )「ブーンには・・・守ると誓ったものがあるんだお・・・!」
――――――――――――――――――
从 ゚∀从
――――――――――――――――――
(メ ω )「負けられないんだお・・・」
(メ ω )「負けられないお。 誰にも。 何にも! ジョルジュにも!!」
ミミ≧ ゚々゚彡
.
172: 2012/01/30(月) 22:59:51 ID:nvfrfWVc0
(メ ω )「倒してみせるお、ジョルジュ」
(メ^ω^)「すべてのために。ここで君を――――――」
(メ^ω^)「超えてゆくお」
ミミ≧ ゚々゚彡「ふ・・・」
((((ミミ≧ ゚々゚彡))「グゥっ・・・!」バキバキ!
(メ^ω^)「!!」
.
173: 2012/01/30(月) 23:01:24 ID:nvfrfWVc0
ジョルジュの体が、ばきばきと凝縮し、鱗が消え小さくなってゆく。
( ゚∀゚)
(メ^ω^)
.
174: 2012/01/30(月) 23:02:21 ID:nvfrfWVc0
(メ^ω^)「・・・どうして人間の姿に戻ったんだお」
(メ^ω^)「動揺を誘うためかお。それとも」
( ゚∀゚)「いや・・・違う」
( ゚∀゚)「俺は武術を・・・拳法を人間に教わった」
( ゚∀゚)「自分の持てる力を、この“人”の身で練り上げてきた」
( ゚∀゚)「一番俺の全力を発揮出来る・・・
いわば、これが俺の真の “最終形態” なんだ」
(メ^ω^)「・・・・・・」
.
175: 2012/01/30(月) 23:04:00 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)「ブーン」
(メ^ω^)
( ゚∀゚)「いい面構えになったな」
(メ^ω^)
( ゚∀゚)「人間じゃねえ俺だが・・・理解はできる」
( ゚∀゚)「お前のその目に宿る、人間の強い“意志”って奴をよ」
(メ^ω^)
.
177: 2012/01/30(月) 23:05:21 ID:nvfrfWVc0
( ゚∀゚)「さぁ」
( ゚∀゚)「最高の勝負をしようぜ――――――」
( ゚∀゚)「ブーン」
(メ#^ω^)「はぁッ!!」
ブーンは鋭い剣突きを放つ。
(♯゚∀゚)「せいあッッ!!」
ジョルジュはそれを紙一枚で躱す。
そして横から剣を腕の内側で弾き、逆突きで崩拳一撃。
.
178: 2012/01/30(月) 23:06:19 ID:nvfrfWVc0
((((メ#^ω^)))「グッ!!」ドンッ!
しかしそれを察知していたかのように盾で弾いて押し返す。
どうん、と大きい音と衝撃。
(♯゚∀゚))「ぐっ・・・!?」ヨロ
(メ#^ω^)「ふっ・・・!!」
ジョルジュの体勢がよろけた。
間隙をついて、斜からの斬撃。
(♯゚∀゚)「ずあッ!!」
地を蹴り、躱そうとするが、剣はジョルジュの右肩をなで斬る。
表面を斬っただけだ。致命傷には至らず。
人のものとは違う、黒い血が散った。
.
179: 2012/01/30(月) 23:08:02 ID:nvfrfWVc0
(♯゚∀゚)「ぐ・・・熱・・・!?」
(((メ#^ω^)「おおッッ!!」ヒュッ
もう一閃。剣の熱に気をとられた隙に、首もとを狙う。
それもすんでで躱される。
ジョルジュの頬肉を血で泣かせたのみ。
(((♯゚∀゚)「しゃあらあッッ!!」
ジョルジュの強烈な前蹴りが、ブーンの盾を弾いて飛ばす。
(メ;゜ω゜)「しまっ・・・
(♯゚∀゚)「けえええいりゃあああっ」
.
180: 2012/01/30(月) 23:08:58 ID:nvfrfWVc0
ジョルジュの手刀が、ブーンの左腕を切り裂いた。
(メ;^ω^)「ぐっ・・・つッ」
(メ゚∀゚)「くっく・・・本気の俺の手刀は、岩をも切り裂く」
(メ゚∀゚)「なまじそこらのなまくら刀なんぞより、よっぽど切れるぜ」
(メ^ω^)「・・・」
(メ゚∀゚)「ふぅーー・・・・・・」
.
181: 2012/01/30(月) 23:10:03 ID:nvfrfWVc0
間合いをとり、二人はゆっくりと弧を描きながら移動する。
(メ゚∀゚)
(メ^ω^)
あの頃は、いつもジョルジュの強さを見上げていた。
だが近い。今は、ジョルジュに限りなく近づいてきている。
.
182: 2012/01/30(月) 23:10:51 ID:nvfrfWVc0
確かにブーンは、ジョルジュとの修行によって鍛え上げらた。
それは間違いない。
だが、本当に彼を戦士として円熟させていったもの――――――
(メ^ω^)
それは、あくなき “冒険” だった。
.
183: 2012/01/30(月) 23:12:16 ID:nvfrfWVc0
荒涼の吹き荒ぶ突風が、ブーンを強くした。
超えてきた氏線の数々が、ブーンを強くした。
旅の中で拾い集めてきた人々との誓いが、ブーンを強くした。
(メ^ω^)
己の力ひとつでくぐり抜けてきた孤独なる冒険があったからこそ、
ブーンの力量は今まさに、かつての師と比肩し得る程に成長を遂げたのだ。
.
184: 2012/01/30(月) 23:13:37 ID:nvfrfWVc0
(メ゚∀゚)
(メ゚∀゚)「ブーン」
(メ゚∀゚)「お前を救い、闘いを教えた理由は・・・自分自身でもよく解らなかった」
(メ^ω^)
(メ゚∀゚)「俺がどう思っているにしろ、敵同士だ」
(メ゚∀゚)「お前に教えを乞われた瞬間から、なんであんなもん受けちまったのか・・・
今の今まで、ずっと考えてきた」
.
185: 2012/01/30(月) 23:16:18 ID:nvfrfWVc0
(メ゚∀゚)「だがこうしてお前と凌ぎを削っていると、思うぜ」
(メ゚∀゚)「俺は求めていたのかもしれねえ」
(メ゚∀゚)「自分の最高の力をぶつけられる―――――」
(メ゚∀゚)「 最高の“好敵手”って奴をよ。 」
(メ^ω^)「ジョルジュ」
.
186: 2012/01/30(月) 23:18:25 ID:nvfrfWVc0
(メ゚∀゚)「ブーン。お前がその冒険で培ったものの全てを・・・俺にぶつけてこい」
(メ゚∀゚)「どちらが勝つにせよ負けるにせよ・・・俺をただの敵の魔族として斬ってくれるな」
(メ゚∀゚)「武人(もののふ)として・・・誇りをかけて・・・尋常に、手合わせ願う」
(メ^ω^)「ジョルジュ」
(メ^ω^)「アンタはいつも・・・」
(メ^ω^)「ブーンの、目標だったお」
(メ゚∀゚)「くっく・・・」
.
187: 2012/01/30(月) 23:19:50 ID:nvfrfWVc0
もはや恨みも悲しみも、敵同士の怨嗟すらもそこには無かった。
純粋に、力と力を。互いの血と誇りをぶつけ合う。
相手よりもほんの少しだけ、高みに到達するための。
武人達が――――――今、雌雄を決する。
一握の勝利を手にするのは一体、どちらか。
.
188: 2012/01/30(月) 23:21:53 ID:nvfrfWVc0
(メ^ω^)
(メ゚∀゚)
(メ^ω^)
(メ゚∀゚)
(((メ#^ω^)「はぁッ!」
(((♯゚∀゚)「つぁおッ!!」
ブーンが仕掛けた。
一の太刀は空を斬る。
ジョルジュの掌底がブーンの盾を撃つ。
ブーンの二の太刀がジョルジュの脇腹をかすめ斬った。
ジョルジュの回し蹴りがブーンの横腹部に炸裂。
.
189: 2012/01/30(月) 23:24:13 ID:nvfrfWVc0
((((メ#゜ω゜)))「ぐうぅッッ」
(((♯゚∀゚)「今!くぁありゃああッッッッ!!」
ジョルジュが、渾身の順蹴りを放つ。
その時。凄まじい揺れが起きた。地震か。いや。
何やらここでない場所で、途轍も無い力の衝突があったような。
凄まじい爆発音と揺れによって、ジョルジュの蹴りの軌道を正鵠からずらされる。
.
191: 2012/01/30(月) 23:26:15 ID:nvfrfWVc0
(((メ;゚∀゚)))「くおッッ!?」
(メ#゜ω゜)「・・・今だお!!」
ブーンは、盾を構えて、体当たりをかました。
後方に吹っ飛ばされ、ジョルジュの体勢が崩れた。
そして、ブーンはなお追撃する。
(メ#゜ω゜)づ「おおおおッッ!」
(メ;゚∀゚)「く・・・!?」
刹那、ジョルジュの思考――――――
.
192: 2012/01/30(月) 23:28:16 ID:nvfrfWVc0
(メ;゚∀゚)(しまった。虚ををつかれた)
(メ;゚∀゚)(俺の体勢がまともじゃねえ。この状態でどう迎撃する)
(メ;゚∀゚)(拳で迎え撃つか――――いや、奴を懐に迎え入れては)
(メ;゚∀゚)(今の奴の剣を、確実に捌ききれる自信はねえ)
(メ;゚∀゚)(・・・意表をついて喰らわせられる)
(メ;゚∀゚)(この人間状態でも使える・・・炎の息吹で!!)
((メ#゚∀゚),、゛;、;゛ 「 ゴバハァアアアアアア!! 」
(メ;゜ω゜)「!!ッッ」
(メ#゜ω゜)「っく――――――」
(メ#゜ω゜)「クオオオオオオオオおッッっ!!!!」
.
193: 2012/01/30(月) 23:30:16 ID:nvfrfWVc0
ブーンは、炎を斬った。
いや、燃え盛る炎の息吹を、ブーンの炎の剣が吸収してゆく。
(メ;゚∀゚)「なにィッ!!?」
(メ#゜ω゜)「うおおおおおおおおおおあああああああああッッ」
炎を纏うその剣で――――――ブーンの太刀が、ジョルジュを芯に捉えた。
.
194: 2012/01/30(月) 23:31:50 ID:nvfrfWVc0
.
195: 2012/01/30(月) 23:38:32 ID:nvfrfWVc0
倒れる拳士の傍らに、剣士が立つ。
(メ゚∀゚)
(メ^ω^)
(メ゚∀゚)「やられたぜ、ブーン」
(メ゚∀゚)「あのとき竜の力に頼らねえで・・・拳で迎え撃っていれば・・・」
(メ゚∀゚)「俺の敗因は、最後の最後で、自分の拳を信じられなかった事・・・か」
(メ^ω^)
.
196: 2012/01/30(月) 23:40:36 ID:nvfrfWVc0
(メ゚∀゚)「ブーン、強くなったなぁ」
(メ^ω^)
(メ^ω^)「ジョルジュのおかげで強くなれたお。ジョルジュのおかげで――――――」
(メ^ω^)「ブーンは、ジョルジュを超えられたんだお」
(メ^ω^)「ジョルジュ」
(メ^ω^)「ありがとうだお」
((メ゚∀゚))「へへ・・・へ」
(((メ゚∀゚))本望だぜ」パキパキ
ジョルジュの体が、本来の竜の姿へと変わってゆく。
.
199: 2012/01/30(月) 23:47:08 ID:nvfrfWVc0
ミミ≧メ -々-彡「ぐ・・・ブーン・・・こいつを・・・もってけ」
(メ^ω^)「・・・・・・」
ジョルジュは、自分の黒光りする鱗を一枚剥いで渡した。
ミミ≧メ -々-彡「俺の鱗だ・・・なんでも人間様には・・・ご利益があるとかなんとか・・・へへ」
ミミ≧メ -々-彡「もってってくれよ」
ミミ≧メ -々-彡「俺とお前の・・・絆として・・・」
(メ^ω^)「ジョルジュ・・・」
.
201: 2012/01/30(月) 23:50:23 ID:nvfrfWVc0
ミミ≧メ -々-彡「ブーン・・・頑張れよ・・・あの馬鹿野郎の目・・・覚まさして・・・やって・・・く・・・れ・・・」
ミミ≧メ -々-彡「お前に出会えて・・・俺は・・・」
ミミ≧メ -々-彡「・・・れ・・・は・・・・・・――――――」
(メ ω )
ミミ≧メ -々-彡
.
203: 2012/01/30(月) 23:54:31 ID:nvfrfWVc0
(メ ω )「ジョルジュ」
(メ ω )「君から・・・いろいろなものを受け継いだお」
(メ ω )「本当に――――――」
ミミ≧メ -々-彡
(メ ω )「ありがとうだお」
ブーンは、頬の血を拭う。
剣を立て、祈りを捧げた。
目の前の戦士に、敬意を表して。
.
204: 2012/01/31(火) 00:01:19 ID:tRwN00mg0
そして、進むべき道へ向き直る。切なさと誇りと、強さを抱いて。
自分たちの決別に、涙など要らない。
剣と拳で・・・語り合えたのだから。
目指すは竜王のもとへ。
そう、竜王のもとへ。
(メ ω )
竜王の、もとへ――――――!!
to be continued...!!
.
207: 2012/01/31(火) 00:06:20 ID:tRwN00mg0
( ^ω^)ブーンの今のステータス
LV25
ほのおのつるぎ
まほうのよろい
みかがみのたて
りゅうのうろこ
今回登場した敵
( ゚∀゚):“ダースドラゴン” ジョルジュ。竜王直属の配下、四天王が一人。
ブーンの闘いの師でもある。竜の姿と、人の姿の二身を使い分ける。
拳法の武術に優れ、その拳はあらゆるものを打ち壊す。
技を教えたブーンとの闘いに破れ、永眠。誇り高き竜族の長であった。
.
208: 2012/01/31(火) 00:08:08 ID:tKeVyoP6O
乙
253: 2012/02/07(火) 22:05:42 ID:kFGJSfVs0
第36話
.
255: 2012/02/07(火) 22:06:44 ID:kFGJSfVs0
('A`)
仄暗い石造りの廊下を、足音を頃して静かに、警戒しながらゆっくりと歩く。
薄気味の悪い、冷たい空気の中に潜み体を撫でる、
ぬるりとして肌を濡らすような魔の気配は・・・
果たして自分を忌み嫌うものか――――――はたまた歓迎しているのか。
.
257: 2012/02/07(火) 22:08:41 ID:kFGJSfVs0
ドクオは魔の島に辿りついてから、この竜王の城に侵入する事に成功した。
ゆく道で相対する魔物を、呪文の力で焼き払い続けながら。
それでも、身に溢れる魔力はまだまだ力強く充実している。
('A`)
首もとの脈動が、いつもよりも・・・強く。
常人なら発狂しかねないほど高密度に充満する魔力の中で、
嫌っていたこの感触が、今は何故か心地よくすら感じていた。
.
258: 2012/02/07(火) 22:09:37 ID:kFGJSfVs0
何かが腐敗した様な、苔むしたような臭いが鼻について、
ここがおぞましき人外の巣窟である事を、はっきり認識させられる。
:('A`):
ドクオの体の周りを、消え行く蝋燭の火程の微光が包んでいる。
光の呪文、“レミーラ”。これで、視界は悪くない。
出来るだけ長く持続させたいのと、自分の霊力の気配を頃したい故に、
限界まで光を、か細く弱めている。
.
259: 2012/02/07(火) 22:11:30 ID:kFGJSfVs0
('A`)
ドクン
('A`)
ドクン
('A`)
ド ク ン
.
260: 2012/02/07(火) 22:12:12 ID:kFGJSfVs0
首もとの疼(うず)きの理由は、きっと蔓延する瘴気にあてられたばかりではない。
因縁の根源へと――――――近づいている。
どこか懐かしさすら含むあの感覚の大元と、その距離を詰めて。
('A`)
(-A )(・・・・・・)
(-A )(ああ)
.
262: 2012/02/07(火) 22:14:22 ID:kFGJSfVs0
近い。
もうすぐだ。
あの日からずっと。 何度も何度も夢見てきた。
自分の肉と、心に呪いを与えしものと相見える、この日を。
.
263: 2012/02/07(火) 22:15:12 ID:kFGJSfVs0
('A`)(・・・・・・)
螺旋状の階段があった。
それを、下る。
長い長い階段だった。
それは永遠にも感じるほどに。
一段一段降りるごとに、
あの感覚が強まる。
きっとこの先に、待ち構えているのだろう。
“奴”が。
.
265: 2012/02/07(火) 22:16:56 ID:kFGJSfVs0
螺旋階段を降りきると、そこは広い広い空間だった。
竜を模した石像と、壁画の描かれた壁。
('A`)
大きな燭台がいくつかあった。そこにメラメラと炎が燃える。
('A`)
('A`)
('A`)
.
266: 2012/02/07(火) 22:17:37 ID:kFGJSfVs0
ドクン
(;;;;;;;;;;)
ドクン
('A`)
ドクン
川;;;; -)
ドクン
川 ゚ -゚)
.
267: 2012/02/07(火) 22:18:23 ID:kFGJSfVs0
('A`)
川 ゚ -゚)
('A`)
川 ゚ -゚)
('A`)
川 ゚ -゚)
ビキッ――――――
.
268: 2012/02/07(火) 22:19:34 ID:kFGJSfVs0
「ギギギギ・・・ぎひいいいいいい・・・・・・!!」
、.;((((・∀ ・)));.;, 「 ギギギギギギギャーーーーッハッハッハああああ!!!! 」
突如、石床を砕いて、巨人が現れる。
(・∀ ・)「きやがったなあああああああ命知らずの人間よォおおおお!!!」
(・∀ ・)「俺様はぁアアアア、四天王! “ストーンマン” マタ
川 ゚ -゚) 《 邪 魔 だ―――――― 》 ('A`)
巨体の石像が、二人の放つ強烈な爆熱によって破砕し飛散する。
.
270: 2012/02/07(火) 22:21:34 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)
('A`)
魔力の衝突の拮抗が解け、はらはらと煙が舞い消えてゆく。
.
271: 2012/02/07(火) 22:22:16 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)「ふふ・・・」
('A`)「・・・・・・」
('A`)「・・・いいのか。今のは、お前等の仲間だろう」
川 ゚ -゚)「ふ・・・構わんさ」
川 ゚ -゚)「奴程度なら、私の力をもってすれば、
時間さえ懸ければいくらでも作り上げる事ができる」
川 ゚ -゚)「それに、“代わり”はもう来た事だしな・・・クックック・・・」
('A`)「・・・・・・?」
.
274: 2012/02/07(火) 22:24:13 ID:kFGJSfVs0
('A`)「・・・久しぶりだな」
('A`)「覚えているか。俺の事を」
川 ゚ -゚)「覚えているとも。ドクオ」
川 ゚ -゚)「数年前に滅ぼされた、ドムドーラ領を収めていた亡国の王子」
('A`)「!」
('A`)「覚えて、いるのか」
川 ゚ -゚)「ククク・・・」
川 ゚ -゚)「忘れた事など無かったさ」
川 ゚ -゚)「わたしとお前が、出会ったあの日からな――――――」
('A`)
.
275: 2012/02/07(火) 22:25:19 ID:kFGJSfVs0
数年前のドクオの記憶――――――夜、宮殿。
.
277: 2012/02/07(火) 22:26:12 ID:kFGJSfVs0
ワー…
ワー…
キャ…ー
ズズン
(-A-)
(ノA-)『・・・』
('A`)
.
278: 2012/02/07(火) 22:27:10 ID:kFGJSfVs0
ドドォ…ン
ズン
ウワァー…!!
('A`)『・・・・・・』
目を覚ましたドクオは、広い部屋の窓を開けて、外を覗いた。
そこかしこに、赤火が舞い散る。
人々の悲鳴、嘆き。 小刻みの揺れ。 得体の知れぬ何かの慟哭。
.
279: 2012/02/07(火) 22:28:40 ID:kFGJSfVs0
寝室の扉を勢い良く開け、入って来る者がいる。
( ’ t ’ )『ドクオ!!ドクオはいるか!?』
('A`)『はい、父上。ここに』
('A`)『父上。このさわぎは』
( ’ t ’ )『いいか、聞くのだ。ドクオよ・・・!』
( ’ t ’ )『たった今、この城は魔物の急襲を受けておる』
( ’ t ’ )『兵達も応戦してはいるが、敵の数は膨大・・・』
( ’ t ’ )『なんとか踏み堪えているが、時間の問題だ』
( ’ t ’ )『もうすでに、城内に侵入されつつある』
('A`)
.
280: 2012/02/07(火) 22:29:42 ID:kFGJSfVs0
( ’ t ’ )『兵達は・・・人間の誇りをかけて、魔物の襲撃に挑んでおる』
( ’ t ’ )『私も、この国の統治者として・・・最後まで抗うつもりだ』
( ’ t ’ )『王として・・・氏んでいった者のためにもな』
('A`)『・・・・・・』
( ’ t ’ )『だが、ドクオよ。お前だけは・・・』
( ’ t ’ )『お前だけは・・・生きてここから脱出するのだ』
('A`)『父上』
('A`)『私も、たたかいます』
( ’ t ’ )『ならぬ』
.
281: 2012/02/07(火) 22:30:25 ID:kFGJSfVs0
( ’ t ’ )『お前が加わったところで、どのみち結果はみえておる』
( ’ t ’ )『魔物の戦力は・・・我々の兵力を圧倒的に上回っておる』
('A`)
( ’ t ’ )『お前がそういってくれるのは嬉しい。だが・・・』
( ’ t ’ )『誇り高き我が王家の血を・・・ここで絶やす訳にはいかんのだ』
( ’ t ’ )『解ってくれ。ドクオよ』
('A`)
.
282: 2012/02/07(火) 22:32:01 ID:kFGJSfVs0
('A`)『母上・・・・・・母上は?』
( ’ t ’ )
('A`)『母上は、どこに?』
( ’ t ’ )
( - t - )
( - t - )『・・・・・・』
( ’ t ’ )『息子よ。お前だけは。お前だけには』
( ’ t ’ )『この戦火に消ゆる事なく・・・生き延びて欲しい』
( ’ t ’ )『私達の大切な・・・ドクオよ』
('A`)
.
283: 2012/02/07(火) 22:32:49 ID:kFGJSfVs0
i!(( ’ t ’ ))!i 『ッッ・・!?』 ザワッ
(('A`))『!』
大きな窓のカーテンがふわりと揺れて――――――
何かが部屋に降りた。
(;’ t ’ )『く・・・・・・!?』
('A`)
.
285: 2012/02/07(火) 22:34:43 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)
目を奪われた。
それは、冷たい冷たい――――――妖絶な空気を纏いながら。
髪は真っ白で、身に召すものも純白。肌も透き通るように色が抜けている。
およそ全てが白かった。
.
286: 2012/02/07(火) 22:36:39 ID:kFGJSfVs0
( ’ t ’ )『魔の輩め・・・ここまできおったか』
( ’ t ’ )『だが――――息子の命だけは渡さん』
( t )『お前等に全てを奪わせはせんぞ・・・!』
( t )『妃の・・・』
(♯’ t ’ )『妻の仇だ!! 《ベギラ
:川 ゚ -゚):《――――――・・・・・・》ズオ
( ’ t ;. 、 『が――――・・・』シュバッ
('A`)
('A`)『父上』
.
287: 2012/02/07(火) 22:37:29 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)
('A`)
川 ゚ -゚)
('A`)
川 ゚ -゚)『良い夜だな』
('A`)
.
288: 2012/02/07(火) 22:42:04 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)『今日は、満月だ』
窓から、一陣の風がふわりと抜ける。
川 ゚ -゚)『わたしは満月が好きなんだよ』
('A`)
恐怖を感じない。自分の中の、何かが狂ったのか。
.
289: 2012/02/07(火) 22:43:11 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)『幼いな』
('A`)
ただ、動けずにいた。
川 ゚ -゚)『だが、内に秘める魔力の格、本質は――――――』
川 ゚ -゚)『この今までに見たどの者よりも、芳醇で精良だ』
川 ゚ -゚)『おもしろい』
戦慄の極地にあり感覚が麻痺し、心を奪われているのか。
それとも、別の感覚か。わからない。
.
290: 2012/02/07(火) 22:44:05 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)『お前の、名は――――?』
目の前の、魔に。
吸込まれるような魔の香りに。
素直な気持ちで――――自然と答えた。
('A`)『・・・・・・ドクオ・・・』
川 ゚ -゚)『そうか。ドクオ』
女性が、ドクオの右肩を、撫でる。
腕が落ちた。
痛みは感じなかった。
ただ、魅入られていた。
.
291: 2012/02/07(火) 22:45:35 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)『ドクオ』
川 ゚ -゚)『いつか私を――――――頃しに来い』
('A`)
川 ゚ -゚)『復讐するのだ、ドクオよ』
川 ゚ -゚)『お前の腕を奪い、大切な者を奪った・・・』
川 ゚ -゚)『一族を根絶やしにした、憎き魔族に復讐するのだ』
.
292: 2012/02/07(火) 22:46:35 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)『またいつか会える日まで』
それは、自分のしている首飾りをそっと外した。
それを雪のように白く細い指に絡め、手を伸ばす。
ドクオの首に指と飾りが、ゆっくりと突き刺さる。
('A )『うぐ』
麻痺していたような感覚の体に、やっと苦痛と呼べるものが訪れる。
苦しい。
女性の指がズブズブと肉に食い込む。
黒い煙を噴出しながら。
.
293: 2012/02/07(火) 22:49:45 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚) 『 お前に・・・私との “絆” を与える 』 ズズ...
('A`)『あ』
('A`)『あぐ』
('A`)『あああ』
川 ゚ -゚)『ふふ』
川 ゚ -゚)『約束だ。ドクオ。いつか成長し、私を頃しにこい』
川 ゚ -゚)『その誓いを忘れない為に・・・満月の夜は、空を閉ざさずに・・・
月光で煌々とお前を照らそうじゃないか』
痛い。痛い。熱い。父上。苦しい。母上――――――
.
294: 2012/02/07(火) 22:50:33 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)『 ドクオ・・・ わたしを・・・――――――・・・・・・
.
295: 2012/02/07(火) 22:51:25 ID:kFGJSfVs0
.
296: 2012/02/07(火) 22:52:34 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)「ククク・・・懐かしいな。そして驚愕だよ」
川 ゚ -゚)「あの時の子供が、まさかこれ程までに逞しく、精悍になり・・・」
川 ゚ -゚)「ここまで辿り着くとはな」
('A`)
川 ゚ -゚)「ドクオよ」
川 ゚ -゚)「私が憎いか。そうだろう」
('A`)
('A`)「憎い・・・」
川 ゚ -゚)「親を殺され、片落ちの不具になり・・・」
川 ゚ -゚)「目の前に、その仇がいるんだ」
('A`)
.
297: 2012/02/07(火) 22:53:35 ID:kFGJSfVs0
('A`)「・・・そうだ・・・俺は」
('A`)「一族の・・・仇を討つために」
川 ゚ -゚)「クク・・・」
('A`)
('A`)「い、いや」
('A`)「わからない・・・」
川 ゚ -゚)
.
298: 2012/02/07(火) 22:54:56 ID:kFGJSfVs0
('A`)「俺は・・・自分の“呪い”を解く為にここまでやってきた」
('A`)「その為に、お前に会う為に・・・」
川 ゚ -゚)
('A`)「今の今まで、自分でも理解が出来なかった」
('A`)「この感情が、一体なんなのか・・・」
('A`)「ただもう一度、お前に会いたい・・・」
('A`)「お前に再び会えば、この感覚がなんなのか・・・解ると思っていた」
('A`)「・・・・・・」
.
299: 2012/02/07(火) 22:55:48 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)「憎くないのか。この私が」
('A`)「・・・・・・」
川 ゚ -゚)「会いたい・・・だと・・・」
('A`)
.
300: 2012/02/07(火) 22:57:04 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)「よもや貴様」
川 ゚ -゚)「肉親を頃し・・・何もかもを奪った相手に」
川 ゚ -゚)「恋情を抱いたとでも言うのか・・・」
('A`)「・・・れ・・・恋情・・・?」
('A`)「・・・・・・」
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)「フフフ・・・」
川 ゚ -゚)「くっくっ、くっ――――――」
.
301: 2012/02/07(火) 22:58:36 ID:kFGJSfVs0
::川#゚ -゚):: 「 ふざけるな。 」 ズズズズ
三(((('A`;)))「・・・くぉっ・・・!?」ビリッ
凄まじい魔力の放出は、風のように肌に吹き付けられ、よろめく。
絶大な威圧感の前に、ドクオは一歩退いた。
.
303: 2012/02/07(火) 23:01:20 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)「私はお前の仇だろう、ドクオ」
川 ゚ -゚)「何もかも奪い取ってやった筈だ!」
川 ゚ -゚)「それが何だ、お前は私が憎くないだと・・・?」
川 ゚ -゚)「腑抜けるのも大概にしろよ人間が」
((('A`;))「・・・・・・!!」ビリビリ
川 ゚ -゚)「それではつまらん・・・ お前が私に憎悪を抱き」
川 ゚ -゚)「全力をもって私を頃しにこねば――――――」
川#゚ -゚) 《 この積年の遊戯(ゲーム)は、何の興趣も持たぬではないか! 》 ゴオオッ!!
((('A`;)))《ぐうぅうっ!!ベギラマ!!》
.
304: 2012/02/07(火) 23:02:47 ID:kFGJSfVs0
魔女の手から放たれる閃熱の放射を、自身の魔法で相殺せんと放つ。
魔女が放つは青い炎。
ドクオが放つは赤い炎。
二つの力が拮抗し、ギラギラとまばゆい光を放つ。
( A ;)「・・・・・・ぐぅ・・・!ああああ・・・!!」
だが、敵の激甚の放圧に押し切られ、そのまま壁際に、吹っ飛ばされる。
((( A;))))「がハァっ!!?」ドガァ!!
ドクオはおぼつかずに立ち上がる。
部屋の燭台の炎が魔力に触れたのか、火力を増して激しく猛り盛る。
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306: 2012/02/07(火) 23:04:24 ID:kFGJSfVs0
(('A`;)「う・・・」フラ
('A`;)「ぐ・・・このベギラマの威力・・・俺が押し負けるとは・・・!」
川 ゚ -゚)「フ・・・」
川 ゚ -゚)「今のはベギラマではない」
川 ゚ -゚)「ギラだ」
('A`;)「な・・・!?」
('A`;)(ば・・・馬鹿な・・・格の違う呪文で・・・さらに力負けしたというのか・・・?!)
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309: 2012/02/07(火) 23:05:53 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)「魔力を扱う者としての格の差が早くも見えたか。ククク」
川 ゚ -゚)「お前の中の全魔力を振り絞り向かって来るがいい」
川 ゚ -゚)「さァ――――――頃し合いを始めよう」
( A ;)
頃し合い。
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311: 2012/02/07(火) 23:07:44 ID:kFGJSfVs0
そうだ。俺は今から、こいつと頃し合いをする。
そんなもの、とうに理解していた事だ。
その為に、ここまでやってきた。
様々な苦境を乗り越えて。
だが、心が揺らいだ。
なぜだろう。
どうしてだろう。
わからない。
まるで今初めて聞かされたかのように、自分の心臓が揺れた。
それに呼応するように、首もとの脈動も激しくなる――――――
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314: 2012/02/07(火) 23:08:38 ID:kFGJSfVs0
川 ゚ -゚)「さぁドクオ――――――約束の時間だ」
長い髪をかきあげて、言う。
数年前のあの時と――――――変わらない美貌で。
その全身が、宙に浮いた。
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316: 2012/02/07(火) 23:10:04 ID:kFGJSfVs0
まるで、幼(おさ)な子をあやすように。
川 ゚ -゚)「おいで、ドクオ。遊んであげる」
川 ゚ -゚)「私を、楽しませてくれよ――――――」
( A ;)
周囲の空気が急激に冷えてゆく。
何もかもを凍らせるかのように。
それは対峙するドクオの、身も心も。
to be continued...!!
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318: 2012/02/07(火) 23:11:31 ID:kFGJSfVs0
('A`)ドクオの今のステータス
LV24
こんぼう
くろのろーぶ
しのくびかざり
今回登場した敵:なし
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327: 2012/02/07(火) 23:21:26 ID:kFGJSfVs0
36話投下終了。なんか予定よりも話数の尺のびそうです
遅くまで御付き合い頂きありがとうございます。
支援を見るたびにテンションがあがります(*´Д`)
遅くまで御付き合い頂きありがとうございます。
支援を見るたびにテンションがあがります(*´Д`)
次回:( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)【Lv.19】
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