402: 2012/02/11(土) 22:02:08 ID:Adp3CZ6Y0

405: 2012/02/11(土) 22:03:14 ID:Adp3CZ6Y0

407: 2012/02/11(土) 22:05:55 ID:Adp3CZ6Y0



川 ゚ -゚)「おいで、ドクオ。遊んであげる」


川 ゚ -゚)「私を、楽しませてくれよ――――――」




川 ゚ -゚)《 くくく・・・・・・ 》ボボボボボボ


('A`;)「!?」



女性の周りに、幾つもの光り輝く炎の塊が浮かび上がる。

光は部屋の中を反射し、青白く染め上げる。

ドクオの蒼白の顔をも。



.
ドラゴンクエスト25thアニバーサリー 冒険の歴史書 (デジタル版SE-MOOK)
408: 2012/02/11(土) 22:06:50 ID:Adp3CZ6Y0


('A`;)(これは・・・ひとつひとつが別個のギラ・・・・・・!)

('A`;)(・・・・・・複数呪文同時発動・・・だと・・・!?)


川 ゚ -゚)「さぁドクオ。良い子だから――――」

川 ゚ -゚)「私を失望させないでくれよ」


川 ゚ -゚)《くらえ――――――》



炎熱の光弾が、流星のようにドクオに向かって弾け飛んでゆく。


.

410: 2012/02/11(土) 22:08:19 ID:Adp3CZ6Y0


('A`#)「ぐうぅっ・・・《ルーラ!!》


ドクオの体を光が包み、瞬発的に高速で横方へ飛ぶ。

熱弾はドクオに当たる事なく、その奥の壁を破壊する。
飛び上がったドクオは、移動した先の壁に叩き付けられた。


((( A #)))「!!ッッ・・・」ドカッ


川 ゚ -゚)「ほう・・・“ルーラ”を瞬間回避として利用するか。やるな」



('A`;)「は・・・ はァ・・・」

('A`;)《ギラ・・・


.

413: 2012/02/11(土) 22:10:06 ID:Adp3CZ6Y0



     ((川 ゚川 ゚ -川 ゚ -゚) ゚ -゚))-゚)))



(゚A゚;)「!!」



突然、視界がぐにゃりと波のようにぶれる。

感覚が揺らぎ、強烈な倦怠感と、痛みにも近い程の眠気がドクオを襲う。

倒れ伏しそうになるが、すんでで堪えた。


.

414: 2012/02/11(土) 22:11:04 ID:Adp3CZ6Y0


('A ;)(ぐぅっ・・・!)

('A ;)(これは・・・“ラリホー”・・・!?)


半ば虚ろ、混濁した意識の中で必氏に思考する。

まずい。
このまま正気が沈めば、確実に殺される。

よろけながら、走った。
一所に留まっていては危険だ。やみくもながらも、移動する。


(('A`#)「くぅお・・・ おおッッ!」ジャキッ


咄嗟に、義手からナイフを切り出し、自分の腿を挿した。
足に奔(はし)る痛覚によって、瞬時ドクオの意識が現実に引き戻される。


.

415: 2012/02/11(土) 22:12:12 ID:Adp3CZ6Y0


('A`;)「は・・・」


我に帰る。

目に映るものは、青。
肌にひりつくは、熱。


('A`;))「!! ハッ!?」



すぐさま顔面を腕で庇い、体勢を変えローブで体を覆った。
丹に魔力を込め、覚悟を決めて備える。

ドクオは蒼炎に包まれ、風圧で後方に体ごと舞い上げられ、転がされた。


.

416: 2012/02/11(土) 22:12:57 ID:Adp3CZ6Y0


((((#A ;)))))) 「ああああああッッ!!」バシュッ!!


衣をばたばたと振り払い、火を消す。


( A ;)「は・・・ぅ ッ」



川 ゚ -゚)「催眠から逃れたか。いい判断だ」

川 ゚ -゚)「もし糸ほども遅れをとれば、直撃し、あのまま火だるまだったろう」


('A ;)


.

417: 2012/02/11(土) 22:14:34 ID:Adp3CZ6Y0


川 ゚ -゚)「そして私の魔術を喰らってなお、消し炭にならないとは」

川 ゚ -゚)「有している魔力防壁が強靭な事の証明・・・ククク」

川 ゚ -゚)「そうでなくてはな。さすがあの王族の血の者だけはある」

川 ゚ -゚)「それでこそ・・・“取り入れる”価値がある。クックック・・・」


('A ;)「・・・・・・」


川 ゚ -゚)「お前の一族は、豊富な魔力と、類い稀なる呪文の技術を持っていたが為に、
     我が魔軍に狙われた。反抗勢力としての脅威にならないようにな」

川 ゚ -゚)「その懸念は正しかったよ」

川 ゚ -゚)「中でもとりわけお前は・・・宝石のように優秀だ。美しくすらある」


('A ;)「だ・・・まれ・・・ッッ」


.

418: 2012/02/11(土) 22:15:56 ID:Adp3CZ6Y0


川 ゚ -゚)「だが、まだだ――――――」


川 ゚ -゚)「現段階では、私のほうが上のようだな」

川 ゚ -゚)「催眠効果など、個体の生理に影響を及ぼす魔法の類いは」

川 ゚ -゚)「使用する術者の格によって成功するかが決まる」

川 ゚ -゚)「やはりお前は、私には及ばない。私こそが、真の“魔導士”なのだ」


('A ;)「ふ・・・」

('A ;)「それはどうかな・・・」


ドクン


川 ゚ -゚)「虚勢か。哀れな・・・」


川 ゚ -゚)《ベギラマ――――――


.

419: 2012/02/11(土) 22:17:01 ID:Adp3CZ6Y0


川 ゚ -゚)「!?」


魔女の腕に纏われる魔力の光が分散してゆく。


川 ゚ -゚)「これは――――」

川; ゚ -゚)「魔封の呪文――――“マホトーン”・・・・・・!?」



('A`#)《 ・・・ベギラマ!! 》シュドゥッ


((((川;;;; - )))))))「・・・!!」ボボゥッ


ドクオの放つ炎が、魔女の純白を包み込む。

余波で周囲の空気が陽炎により揺らぐ。


.

422: 2012/02/11(土) 22:18:30 ID:Adp3CZ6Y0


川# -゚)「く・・・・・・」シュウゥ...


魔女の纏う衣類の袖が焼かれ、白い肌の一部が露出した。


('A`)「・・・どうやら、そこまでの差があるってもんでも無さそうだな」

('A`)「とはいえ効果は一瞬しか保たなかったようだがな」



川  -゚)


川 ゚ -゚)「く・・・フフ」


川 ゚ -゚)「あははははははははははは!!!!おもしろい!!」

川 ゚ -゚)「そうでなくては!こうでなくてはな!!」


.

424: 2012/02/11(土) 22:19:38 ID:Adp3CZ6Y0


川 ゚ -゚)「良いぞドクオ!もっとだ!もっとお前の秘める力を見せてくれ!」


川 ゚ -゚)《ベギラマ!!――――――》

('A`#)《――――――ベギラマ!!》



('A`#)《くあああ・・・ッッ》バチバチ


川 ゚ -゚)) ズアッ

('A`;)「!?ッ」

川 ゚ -゚))「ふん!!」バキィ!!


( A#)「がハッ!?」


.

425: 2012/02/11(土) 22:20:38 ID:Adp3CZ6Y0


魔力の衝突の光の狭間から、瞬時現れた。
杖で殴打され、吹っ飛ぶ。

華奢でありながら、まるで大型の獰猛な獣に殴られたかの衝撃。


川 ゚ -゚)《ギラ》

三((((( A#;)))))「うおおおッ・・・!!」バオォッ


ドクン


('Aメ;)「う・・・」

:('A`;):《ベホイミ!》ヒュウウ


川 ゚ -゚)「ふん・・・」


.

426: 2012/02/11(土) 22:22:07 ID:Adp3CZ6Y0


('A ;)《―――レミーラ!!》カッ

川 ゚ - )「・・・むっ」


呪文で刹那光を放射して、視界を奪う。


('A`)《ベギラマ!!》


川 ゚ -゚)「ふぅ――――――」

((((川 ゚ -゚)))))「 効かん。 」バシュウ!!


('A`;)「!?」


隙をついて放った魔法が、かき消された。


.

427: 2012/02/11(土) 22:23:27 ID:Adp3CZ6Y0


('A`;)(ば・・・ばかな・・・内在する魔法耐性のみで打ち消すだと・・・!?)



川 ゚ -゚)《ベギラマ》カッ

((((( A ;メ))))「がはァっっ・・・!!?」ドォン!!


ドクン


( A ;メ)(・・・馬鹿な・・・俺の魔術が)

( A ;メ)(ここまで簡単に・・・ あしらわれるなんて――――)


.

428: 2012/02/11(土) 22:24:41 ID:Adp3CZ6Y0


川 ゚ -゚)「どうした。そんなものか?もう終わりか、ドクオよ」

川 ゚ -゚)「せっかく私が力を与えてやったと言うのにな」


( A ;メ)「・・・・・・」


ドクン


川 ゚ -゚)「なかなかのものだが、やはりここまでか」

川 ゚ -゚)「これが人間の限界か」

川 ゚ -゚)「・・・・・・」

:川 ゚ -゚):「もういい・・・」 ズズズ・・



((( A ;メ)))「!! は・・・ぐ・・・!?」


.

429: 2012/02/11(土) 22:25:59 ID:Adp3CZ6Y0


ドクオの体が、ゆるりと宙に浮いた。

体をギシギシと締め付ける様な圧迫感。

何かに潰されそうな感覚で、呼吸もままならない。



(((( A ;メ)))) (こ・・・れは・・・) ギシギシ

(((( A ;メ)))) (呪文じゃない・・・単純に質量を伴うほど凝縮された魔力――――) ギシバキ

(((( A ;メ)))) (溢れ出す濃密なエナジーの圧力のみで・・・!?) ギシ ギリ

(((( A ;メ)))) (な・・・なんて・・・ パワー・・・!!) バキビキ


ドクン――――――


.

430: 2012/02/11(土) 22:28:13 ID:Adp3CZ6Y0


川 ゚ -゚)「くっくっくく・・・」

川 ゚ -゚)「お前はこれまで、自分一人の力でそこまでの魔力を
     発揮していると思っていたのだろうが・・・」

川 ゚ -゚)「それは、私が与えた魔力の片鱗を有しているからに過ぎない」

川 ゚ -゚)「この勝負を面白くするために、お前に植え付けた私の魔力をな」


((( A ;メ)))「が・・・! あぐ・・・!」ビシビシ


川 ゚ -゚)《そして・・・与えられた強過ぎる力の代償を》


川 ゚ -゚)《――――――支払わねばならない》



ド ク ン !!



.

431: 2012/02/11(土) 22:28:59 ID:Adp3CZ6Y0


((( A ;メ)))「うあああぁああああああああああああぁ!!!」


ドクオの首もとの肉腫が腫れ上がり、
胸、肩、顔にまで浸食してゆく。

ツタが根を這うように。



川 ゚ -゚)《お前も薄々気付いていただろう》

川 ゚ -゚)《自分の魔力が、血肉が、少しずつ “魔” に変貌してゆくのをな・・・》


((( A ;メ)))「・・・ッ・・・!!」


.

432: 2012/02/11(土) 22:30:26 ID:Adp3CZ6Y0


川 ゚ -゚)《お前は、魔族になるのだドクオ》

川 ゚ -゚)《人間の記憶も肉体も・・・魂も失って》

川 ゚ -゚)《お前は優れた魔族になるだろう。その資質を充分に秘めている》

川 ゚ -゚)《お前ならば、四天王という地位につく事も可能の筈だ》


((( A ;メ)))「・・・ッ・・・!!」


川 ゚ -゚)《お前が魔族である私に恋情を抱くというなら、それもよかろう》

川 ゚ -゚)《私とて、お前のその魔の力の輝き・・・嫌いではない》


((( A ;メ))) 「や・・・めろ・・・ !!」



.

433: 2012/02/11(土) 22:32:21 ID:Adp3CZ6Y0



川 ゚ -゚)《さぁ、ドクオ。人間としての自分の“頃す”のだ》


川 ゚ -゚)《共に歩もう――――――共に生きよう!》



川 ゚ -゚)《  我らが “眷属(けんぞく)” として、共に永遠を生きるのだ!!ドクオ!!  》グォオ




((( A ;メ))) (――――――・・・・・・)



意識が、薄れてゆく。



.

435: 2012/02/11(土) 22:34:29 ID:Adp3CZ6Y0


俺が魔族に。


魔だと。くそったれ。


それもいいか。


確かに俺はいつも、 “魔” と共にあった。


脳が、肉が、心が。


魔に飲まれ、喰われてゆく。


落ちる。 堕ちる。



もう、何も考えられない――――――



.

437: 2012/02/11(土) 22:36:02 ID:Adp3CZ6Y0


( A メ)


           (゚、゚トソン


( A メ)



          ( ^ω^)


( A メ)


.

438: 2012/02/11(土) 22:36:57 ID:Adp3CZ6Y0






             (*゚∀゚)






.

439: 2012/02/11(土) 22:37:43 ID:Adp3CZ6Y0



('A メ)




いや



終われない



ここで終わるわけには   いかない



.

442: 2012/02/11(土) 22:39:15 ID:Adp3CZ6Y0


((川 ゚ -゚))) 《!!?》 ビギッ


((( A メ))) 《・・・めだ・・・》

((( A メ))) 《 ・・・れは・・・ まだ・・・・・・ 》


((川; ゚ -゚))) (こいつ・・・この状態で、わたしの魔力を押し返して・・・!?)



((('A メ)))《俺には・・・帰るべき場所が・・ある・・・》

((('A メ))) 《あいつの・・・ために・・・》

((('A メ)))《人間の・・・・・・希望のもとへ――――――》



((('A#メ))) 《  約束の場所へ・・・! 俺は・・・ 帰る・・・!!  》



.

444: 2012/02/11(土) 22:40:42 ID:Adp3CZ6Y0


((川; ゚ -゚))) 《くぅっっ・・・》

((川 ゚ -゚))) 《しゃらくさい!魔力を強めて、このまま暗黒へと突き落としてくれる!》


((('A メ))) 《お・・・ れは・・・今まで・・・3つの魔術を・・・研究・・・してきた・・・》

((('A メ))) 《一つは・・・自分の生命力を・・・魔力に還元する方法・・・》

((('A メ))) 《一つ・・・は・・・ここまで辿り着くため・・・移動する秘術・・・》

川 ゚ -゚) 《何をごちゃごちゃ言っている――――――》



((('A メ))) 《そして・・・3つ目は・・・》

((('A メ))) 《古代魔術を 復活させた・・・・・・》


((('A メ))) 《強大な敵を――――――討ち倒すための、力・・・!!》



.

445: 2012/02/11(土) 22:42:12 ID:Adp3CZ6Y0



((( A メ))) 《ベ・・・ ギ・・・・・・!!》





((('A`#メ))) 《    ベ  ギ  ラ  ゴ  ン  ! ! ! !    》





ドクオの腕から、竜巻のような絶大の爆熱が放たれる。




((川#゚ -゚))) 《く・・・ ぬ・・・ッッ 》


((川#゚ -゚))) 《・・・・・・ぬううぅぅぅぅううううううううううん!!!!》



.

448: 2012/02/11(土) 22:43:50 ID:Adp3CZ6Y0


炎は、龍牙の勢いで白魔女を飲み込む。

が、焼かれ尽きはしない。

同じく魔力の放出で、耐える。


阿修羅の如き力のぶつかり合いは、凄まじい衝撃を生んだ。
それは、この城全体を揺るがし――――――


ここで無い別の空間にまでも、大きな揺れを生じさせた。


.

450: 2012/02/11(土) 22:45:13 ID:Adp3CZ6Y0



((川#゚ -゚))) 《くおおおぉ ぉぉおぉぉおおぉお おおお!!》



チリチリとその身が灼かれていく。


激烈の熱風の中、その白い髪が靡いて。


光の輝きに、純白がとけてゆく。



.

453: 2012/02/11(土) 22:46:45 ID:Adp3CZ6Y0


((川#゚ -゚))) 《わ・・・ わたしが・・・ こんな程度で・・・!!》


((('A`#メ))) 《うおぉおおおおぉおあああああ!!!!》


((川#゚ -゚))) 《くぉ・・・ くおおお・・・・・・!!


((('A`#メ))) 《くおあぁあああぁあああああぁぁあああぁああああああああ!!!!》


((川#゚ -゚))) 《ぐあああぁああああああああぁああぁぁああああああああああ!!!!》




閃光が、白をすべて飲み込んだ。




.

454: 2012/02/11(土) 22:47:37 ID:Adp3CZ6Y0
















.

455: 2012/02/11(土) 22:49:38 ID:Adp3CZ6Y0



('A メ)


川メ - )




女性の白い長髪が、黒く染まってゆく。

やがて、美しい黒髪に変わった。

肌は火傷を帯びながらも、褐色のいい肌へ。

瞳の凛とした青色は、依然そのままに。



.

457: 2012/02/11(土) 22:50:35 ID:Adp3CZ6Y0


川メ - )

('A メ)

川メ - )「う・・・」

('A メ)

川メ - )「ドクオ・・ いるか・・・」

('A メ)


川メ - )「さすがだ・・・ ドクオ・・・ そして・・・許してほしい・・・」

川メ - )「お・・・まえに・・・“呪い”を与えた・・・こと・・・」

('A メ)


.

460: 2012/02/11(土) 22:51:48 ID:Adp3CZ6Y0


川メ - )「わ・・・わたしも・・・ もとは 人間だった・・・」

川メ - )「お前の境遇と同じように・・・魔族に 国を滅ぼされ・・・」

('A メ)


川メ - )「だが・・・竜王は・・・わたしの一族のもつ高い魔力に目をつけた・・・」

('A メ)

川メ - )「・・・そして一番魔力の高いこのわたしが・・・選ばれた・・・」

('A メ)

川メ - )「魂を・・・“魔”に奪われたんだ・・・・・・」

('A メ)


.

461: 2012/02/11(土) 22:53:26 ID:Adp3CZ6Y0


川メ - )「魔に侵されたとはいえ・・・ ひとびとの氏をみるのは・・・つらかった」

('A メ)


川メ - )「だ・・・だが・・・こうしてわたしのいのちが失われようとしている今・・・」

('A メ)

川メ - )「どうやら竜王のまりょくも、このわたしを見限ったようだ・・・」

('A メ)

川メ - )「わたしは・・・ こころのどこかで、こうなることを・・・望んでいたのかもしれないな・・・」

('A メ)

川メ - )「かふっ・・・!  」

('A メ)


.

462: 2012/02/11(土) 22:54:15 ID:Adp3CZ6Y0


川メ - )「ド・・・ドク オ・・・ こ・・・ここへ」

('A メ)「・・・」


少女の震える指が、ドクオの首元に触れた。
肉腫がとれて、尋常の肌へ戻っていった。

その首には、美しい装飾の首飾りだけが残る。



川メ - )「それは・・・ 本来、わたしの家系に代々伝わる・・・聖具・・・」

川メ - )「お前に・・・託す・・・ その秘められたまりょくが・・・
      お・・・ おまえのたすけに・・・なるだろう・・・」


.

463: 2012/02/11(土) 22:55:09 ID:Adp3CZ6Y0


川メ - )「ドクオ・・・ ほんとうに・・・ すまなかった・・・」


('A メ)


川メ - )「・・・・・・」




川メ - )「こ・・・ このへやのさきに・・・ りゅうおうが・・・ いる・・・」


川メ - )「・・・む・・・むしのいい・・・ はなしかも・・・ しれないが・・・」


川メ - )「せかいに・・・ 平和を・・・  りゅ りゅうおうを――――――」



.

464: 2012/02/11(土) 22:56:35 ID:Adp3CZ6Y0






川メ; -;) 「   竜王を・・・・・・  たお・・・  して・・・・・・   」






('A メ)






.

465: 2012/02/11(土) 22:57:40 ID:Adp3CZ6Y0


川メ - )


('A メ)



少女は、息絶えた。


ドクオはそっと、少女の綺麗なその目を閉じさせる。


名も知らぬ少女の、汚れなき深い青の瞳を。



.

467: 2012/02/11(土) 23:04:27 ID:Adp3CZ6Y0


(メ 'A)「 “ついで” じゃあ―――――― 」



(メ 'A)「――――――なくなっちまったみたいだな」




ドクオは、灼け爛(ただ)れたローブを羽織り直し行く先の階段に向かう。


そして悲しみは決意に変わる。


首元の首飾りが揺れた。



ドクオの命をかけた、本当の――――――正義の為の “冒険” が、今始まる。




to be continued...!!


.

471: 2012/02/11(土) 23:08:08 ID:Adp3CZ6Y0


('A`)ドクオの今のステータス

LV25

こんぼう
くろのろーぶ
くーのくびかざり


今回登場した敵

川 ゚ -゚):“だいまどう” クー。竜王直属の配下、四天王が一人。
      ドクオに呪いを植え付けた、因縁の魔導士。
      圧倒的なまでの膨大な魔力を有し、多彩な呪文を操る。
      もとは人間だったが、ドクオの手により、氏の間際その呪縛から解放された。


.

478: 2012/02/11(土) 23:12:40 ID:Adp3CZ6Y0
以上で第37話投下終了。
なんでか知らないけど、今までで一番緊張した投下だった

いつもご支援ありがとうございます!次回の投下は、5日以内になると思います
それではどうも!川 ゚ -゚)乙かれさまでしたー('A`)

645: 2012/03/12(月) 22:03:18 ID:q7rqaDo60


第38話


.

646: 2012/03/12(月) 22:04:49 ID:q7rqaDo60



体が、芯から冷えていた。

奥に進めば進む程、冷気の鋭さは増して。


(メ# ω )



暗然たる闇の冷気の流るる中で、指先が小刻みに震えた。

それは血を流し過ぎたせいなのか。

はたまた胸のうちに溢れる哀情と憤激のせめぎ合いが、そうさせるのか。


しかし体の凍えとは対照的に、ブーンの心は静かに燃えているのだ。



.

648: 2012/03/12(月) 22:07:26 ID:q7rqaDo60


目を閉じれば、あの偉大な拳士の姿が浮かび上がって来る。
氏の間際の、あの安らかな笑顔が。


(メ ω )「ふーー・・・・・・」



自責の念は無い。

自分のやれる事を、やったのだ。
魂に誓ってきた信念に基づいて、剣を振るう。


自分が自分である為に。 
自分がブーン・ホライゾンである為に。

掲げてきた目標の為に、やむを得ない事だった。


.

649: 2012/03/12(月) 22:08:35 ID:q7rqaDo60


しかしそれでも、今も手に残るジョルジュを斬ったときの感触が、
この腕に震えをきたしている理由なのかもしれない。


それでも、心から言える。

確かに、いっときジョルジュとは敵対していた。

しかし立場が違えど、自分達は――――――



(メ ω ) 「友だったお」



.

650: 2012/03/12(月) 22:09:27 ID:q7rqaDo60


少し、広めの間合いの廊下に出た。

ブーンは、周囲の魔の気配を警戒しつつ、壁を背後に、その場に座した。


(メ -ω-)「すー・・・ ふー・・・」



少しばかり休憩し、体力の回復を計る。
装備している魔法の鎧が、傷を微かに癒してゆく。

袋から、水筒と、蛇の血の入った小瓶を取り出した。
栓を開け、一気に飲み干す。

薬草を調合し交えてあるもので、緊急の体力回復には良薬となる。
これで少しでも、失った血を取り戻す。


.

651: 2012/03/12(月) 22:11:05 ID:q7rqaDo60


それと、小さな干し肉と、角砂糖、木の実の塩漬けをかじる。

常に緊張が続く極限状態では、
こうして頻繁に栄養を補給してやらねば、頭が回らなくなる。


そして、体に巻かれている、真っ赤に染まる古い包帯を取り払う。
血が渇き、バリバリと剥がれるさまに、痛みを感じながら。

新しくできた生傷の上に、葉の薬草を貼る。
その上から、新しい包帯を巻きなおした。
しかしそれは、すぐにじわりと朱に滲む。

軽く柔軟運動をし、深呼吸で、息を整える。


(メ ^ω^)「・・・よし」


.

652: 2012/03/12(月) 22:11:58 ID:q7rqaDo60


応急的な処置は施した。

これでいい。


まだ体に軋むような痛みが走るが、これ以上の療治は出来ない。

あのジョルジュの拳を受けたのだ。
そう簡単に癒えるはずも無い。


(メ ^ω^)


.

653: 2012/03/12(月) 22:13:40 ID:q7rqaDo60


ブーンは、よろめきながらも進む。

もう少しで、辿り着ける。

少しずつ濃くなる瘴気が、因縁の相手の放つ気配だという事を、

朧げながらも、感覚で確信する。

何よりもおぞましく、狂気に満ちた魔の感覚に導かれて。


(メ ^ω^)「・・・・・・」



広い廊下の幅が、さらに広くなり出した。

一つの部屋に入ったようだ。



(メ ^ω^)

!i(メ;^ω^)i! (・・・・・・!!)ズアッ


.

654: 2012/03/12(月) 22:14:26 ID:q7rqaDo60


暗がりの中に佇む者。



  ∧
(III::..T..I)「・・・・・・」



剣と盾・・・甲冑を纏った、騎士の出で立ち。
闇の中で、その後ろ姿だけをこちらに見せる。


.

655: 2012/03/12(月) 22:15:57 ID:q7rqaDo60

  ∧
(III::..T..I) コー... ホー...


(メ ^ω^)「・・・・・・」



強い。



  ∧
(III::..T..I)「グ・・・・・・ 竜王直属・・・配下・・・」

  ∧
(III::..T..I)「四天王――――――“ 氏神の騎士・・・ ”――――コー・・・ ホー・・・」


(メ;^ω^)


四天王。


.

657: 2012/03/12(月) 22:17:35 ID:q7rqaDo60


先の戦いで、ジョルジュは四天王と名乗っていた。
であればこの魔物も、同クラスのジョルジュに匹敵する程の実力をもっているという事だ。

何より、自分に背を向けていながら、まったく隙が感じられない。
そして強烈な、魔のプレッシャー・・・

相当の力を持った魔物だという事を、否が応にも理解させられる。



(メ; ω )(ジョルジュと同等以上の戦闘力・・・か)

(メ; ω )(考えたくもないお・・・)


竜王戦の前に、またひとつ難敵が現れた。

満身創痍のこの身の前に。


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659: 2012/03/12(月) 22:18:43 ID:q7rqaDo60


そして、騎士の魔物が、こちらにゆっくり、ゆっくりと、振り向いてくる。



(メ;-ω-)「ふーーーー・・・っ」


腹から大きく息吹を吐いた。

ブーンは剣を構え、盾を持つ腕を引き絞る。
手足の末端をぐわぐわと動かす。冷たい指先に、熱い血を流すために。



  ∧
(III::..T..I)「コー・・・ ホー・・・」

  ∧
(III::..T..I)「参ル――――――」



.

660: 2012/03/12(月) 22:20:13 ID:q7rqaDo60



(((メ#゜ω゜) 「――――――うおおおおッッ!!」ザヒュッ!! シュハッ!!

  ∧
(III::..T..I))) 「ふシュウウウっっ」ドギュアッ!! ガギョッ!!



両者の凄まじい剣の応酬が、火花をともない繰り広げられる。

一つの瞬きの間に、数回の交錯がある。
時に競り、時に交わし。

ブーンの剣から迸(ほとばし)る炎熱の陽炎からの揺らめきが、
この暗がりの中で、映えた。


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661: 2012/03/12(月) 22:21:40 ID:q7rqaDo60


以前、武器の打ち合いで剣を折ってしまった。
この剣ならば、そんな心配もいらぬ。

名匠が打ち、友が魂を注いだ。
今まで手入れも欠かさずしてきた。

数多の戦いを一緒に超えてきたこの剣自身が、ブーンにとっては戦友(とも)と呼べた。

こいつなら、幾合の激しい打ち合いにも耐えるだろう。
だから、全力で奮う。自分の力と技量を如何なく発揮せん。


しかし――――――。


  ∧
(III::..T..I)「・・・・・・」ギャリンッ!!


(メ;゜ω゜)(う・・・・・ッ)



魔物の剣裁きに、少しずつ押される。


.

662: 2012/03/12(月) 22:22:40 ID:q7rqaDo60


(メ; ω )(く・・・ば、バカな・・・ッ)

(メ; ω )(こ、こいつは・・・・・・!!)


剣術の勝負には、自信があった。
技量で自分に勝るものなど、あのモララーくらいのものだと思っていた。

まして魔物は武器を有していても、どちらかと言えば力任せに攻撃してくる事が多い。

しかし今相対する敵は、虜力(りょりょく)ばかりではない。
剣の理合の鋭さをも持ち合わせていた。


動きのひとつひとつが、実に洗練されている。


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663: 2012/03/12(月) 22:23:28 ID:q7rqaDo60


  ∧
(III::..T..I)「――――ふっ・・・」ゾンッ!!

(メ; ω )))「くぁッッ!?」


右肩の上部を斬られた。

すんでで致命傷は避けたものの、心臓の鼓動は早くなる。
一歩間違えば、首を斬られていただろう。



(メ;^ω^)「ハァ・・・ハァ・・・」


(メ;^ω^)


(メ;゜ω゜)


.

664: 2012/03/12(月) 22:24:33 ID:q7rqaDo60

   ∧
(((III::..T..I)「グ・・・アア・・・!!」バシュッ

(メ# ω )))「・・・ぎっ・・・!!」ガインッ


(メ; ω )「・・・ッ・・・はぁっ、はぁっ!」



大きく間合いをとって離れる。
そして、魔物を凝視した。



(メ;゜ω゜)


.

665: 2012/03/12(月) 22:25:36 ID:q7rqaDo60


今までは、部屋の暗さと打ち合いに気を取られて、気付かなかった。

敵の鎧を見つめる。

無駄の無い、凛と美しい意匠の鎧の中心に見られる、一つの紋様――――――紋章。

それを目に捉えた瞬間、ブーンの思考に、
戦いから刹那意識が削がれる程の、強烈な違和感が走った。



  ∧
(III::..T..I) コー... ホー...



.

666: 2012/03/12(月) 22:26:50 ID:q7rqaDo60


(メ;゜ω゜)(あ――――――)

(メ;゜ω゜)(あれ・・・は・・・・・・)



自分の記憶から必氏に呼び覚ます。

いつか見た・・・そう、洞窟で見た。

何処の洞窟で?

そう、石碑に描かれていた――――――あれは。


  ∧
(III::..T..I)


(メ;゜ω゜)



まさか。 いや、まさか。 信じられない。


.

667: 2012/03/12(月) 22:27:46 ID:q7rqaDo60


自分の考えている事が、もし真実ならば。いや。そんな事はあり得ない。

しかし、あの魔物の、洗練された剣の技量。

その背格好、自分が人々から情報を集めて、思い描いてきたそれと酷似して。

そして鎧に付された紋章――――――



(メ;゜ω゜)「ロトの・・・洞窟・・・」

(メ;゜ω゜)「・・・・・・“ ロトの紋章 ”――――――あ・・・あんたは・・・」




(メ;゜ω゜)「    ロトの勇者 “ モナー ”――――――。    」




  ∧
(III::..T..I) ビクッ


.

670: 2012/03/12(月) 22:28:53 ID:q7rqaDo60


  ∧
(III::..T..I)「グ・・・グぐ・・・」

   ∧
(((III::..T..I))) 「グかアアアアアアアアアッッ!?」

   ∧
(((III::..T..I))) 《ベギラマ――――――!!》


(メ;゜ω゜)「!!ッ」



光熱が放たれる。

ブーンは、それを身構え躱そうとするが、
もとより方向は外れ、まるで違う方向へ放射された。


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672: 2012/03/12(月) 22:30:09 ID:q7rqaDo60

  ∧
(III::..T..I)「くあっ、グギギギギギあああ・・・!」

(メ;゜ω゜)「・・・う・・・」


炎をまき散らしたあと、騎士の魔物は、その場で闇雲に剣を振るう。

しかし大きく間合いをとっているブーンには当たらない。
まるで、錯乱したかのように、大袈裟な動きで。



(メ;゜ω゜)(今のは呪文・・・)

(メ;゜ω゜)(モナーは人々からの人望も厚く・・・剣術に優れ)

(メ;゜ω゜)(そして、「呪文」の扱いをも、自分のものとしていた・・・)


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673: 2012/03/12(月) 22:31:10 ID:q7rqaDo60


 勇者モナーは竜王に敗れた後、命をとられずに

 それは竜王が、ロトの“伝説”を恐れたからである。

 ロトの血族が絶命したとしても、この世界の調律者・・・精霊ルビスの奇跡の力をもって、
 再びこのアレフガルドに蘇生するという言い伝えがある。

 その可能性を潰す為に、竜王は勇者を生かさず殺さず自分の手元におく事にした。
 そして見せしめとして、拷問を与えて。


――――――これが巷に薙がれる、ロトの勇者の行方の風説である。



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675: 2012/03/12(月) 22:32:03 ID:q7rqaDo60


(メ;゜ω゜)


だが、その姿を見た者はいるのだろうか。否。
拷問をされて晒しものになっているモナーを見たと言う人物は、過去に一人もいなかった。

いる筈もない。

モナーは、この魔の島に幽閉されているのだから。
そんな姿を垣間みる事など、できる訳も無いのだ。

そうして、噂だけが一人歩きして・・・
いやそれすらも、竜王軍の強さ、残虐さを誇示する為の虚説だったとしたら。


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676: 2012/03/12(月) 22:33:15 ID:q7rqaDo60


確かにモナーは魔の手に捕らえられた。

だが、それは単に脅威を押さえ込むと言うだけでなく・・・

もう一つの目的があったとしたら。


それは・・・ロトの勇者を――――――



  ∧
(III::..T..I)))「ぐ、ぐごあ、がおあああああ!!!!」ブンッ

(((メ; ω )「は!つぁッッ!!」ガキィッ


.

677: 2012/03/12(月) 22:34:14 ID:q7rqaDo60


また、剣での打ち合いが始まる。
しかし、騎士に先ほどまでような動きの生彩はない。

大振りになり、まるで自分の体に纏わりつく何かを、
引き剥がすかのような動きで。


その一瞬の、隙を狙う。



(メ#゜ω゜)「くぅ・・・おおお!」

(メ#゜ω゜)「だおおおおッッ・・・!!」


ブーンの掌底が、騎士の兜を突き上げる。

宙に、兜が回転しながら放られる。
床に落ちて、金属音が響いた。


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678: 2012/03/12(月) 22:35:18 ID:q7rqaDo60



(メ ^ω^)「――――――やっぱり、アンタは・・・・・・」



それは、彼の情報を集めているときに眺めた、人相書きと同じ。






(♯´∀`) 「・・・はぁッ、はぁ・・・!」




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679: 2012/03/12(月) 22:37:05 ID:q7rqaDo60




         過去――――――竜王城の間。





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681: 2012/03/12(月) 22:39:10 ID:q7rqaDo60


i!(メ;´∀ )!!I 「・・・はぁッ、はぁ・・・!」ガクッ




――――――やるではないか・・・ロトの勇者よ。

たかが人間の分際で、ここまで竜族の頂点である我の力に接近するとはな。


だがこの勝負、どうやら僅差ながら・・・・・・

我の勝ちのようだな・・・・・・

ロトの伝説さえなくなれば、この世界で我の脅威となるものは存在しない・・・・・・


これから我は、“光の玉”を用いて――――――

さらなる力を手に入れる。そうすれば、我の敵などもはやいなくなる・・・・・・


.

682: 2012/03/12(月) 22:40:14 ID:q7rqaDo60


(メ#´∀`)『・・・だ・・・まれッ・・・モナ・・・!』


氏を目前にしてなお、威勢が良いな。

その剛胆さ、流石というべきか。クックック――――――

やはりお前程の力、ここで果てさせるには、惜しい。



(メ# ∀ )『はぁ、はぁ、ハァッ・・・!』



今一度聞こうではないか。

我の仲間となれ。

貴様のその力を、我が世の覇権の為に使うのだ。


.

683: 2012/03/12(月) 22:41:20 ID:q7rqaDo60



(メ#´∀`)『・・・氏んでも、嫌だ、モナ』



そういうと思ったぞ。 ククク・・・


しかしな――――――  バチッ



((メ#;´∀`)) 『!!?』 ドクン


((((((メ#;´∀`))))) 『ぐああああああああああああっっ!!?』ビギッ


.

684: 2012/03/12(月) 22:42:15 ID:q7rqaDo60


それでも尚、貴様のその力、捨て置くにはもったいない。

我は世界を統べる王よ。


欲しいものは、力づくにでも奪い取る。


必ずな。



((((((メ#;´∀`))))) 『や、やめ、ろおおおおおおおッッ・・・!!』ビキビキ


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685: 2012/03/12(月) 22:43:38 ID:q7rqaDo60


さぁ、くるのだ。若き人間の勇者よ。

こちら側へ、闇の中で・・・その力を存分に奮えい。


我が世界を覇権する為に――――――



我の力の一部となれい!!




((((((メ#; ∀ ))))) 『うおおおああああ・・・・・・ッッ!!』



((((((メ#; ∀ ))))) (( く、くそ――――――))

((((((メ#; ∀ ))))) (( くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!))


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686: 2012/03/12(月) 22:44:29 ID:q7rqaDo60
















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688: 2012/03/12(月) 22:45:28 ID:q7rqaDo60







(♯´∀`)「ふっ、ふっ、くふっ・・・!!」


(メ;^ω^)「やっぱりアンタは・・・ロトの勇者、モナーだお・・・!」

(メ;^ω^)「どうして・・・竜王の手先に・・・」



.

689: 2012/03/12(月) 22:46:39 ID:q7rqaDo60


(♯´∀`)「・・・だ、誰だモナ。わたしの名を・・・呼ぶのは・・・」


(メ;^ω^)「聞こえるかお?モナー!しっかりしろお!」

(♯´∀`)「に・・・人間・・・・・・?」

(メ;^ω^)「そうだお、人間だお!!」

(メ;^ω^)「モナー、アンタは――――――」

(メ;^ω^)「竜王の力で、操られていたのかお?」


(♯´∀`)「ぐ・・・・・・」


(♯´∀`)「・・・そ、そうだモナ。わたしは、竜王の魔力の呪縛に囚われて・・・」

(♯´∀`)「闇の中で、その力に抗おうと・・・必氏に闘っていたんだモナ・・・」


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690: 2012/03/12(月) 22:47:42 ID:q7rqaDo60


(メ ^ω^)「・・・どうやら、正気に戻ったようだおね」

(♯´∀`)「き、君はいったい・・・」

(メ ^ω^)「勇者モナー。アンタの後を追い続けて、ここまで辿り着いたんだお」

(♯´∀`)「わたしの後を・・・?」

(メ ^ω^)「そうだお」



(メ ^ω^)「ロトの勇者を追い続けて、アンタを追い続けて――――――」


(メ ^ω^)「長いような短いような・・・・・・厳しい、旅だったんだお」


.

691: 2012/03/12(月) 22:48:51 ID:q7rqaDo60


(メ ^ω^)「しかし、こうしてアンタの意識が戻ったんなら・・・」

(メ ^ω^)「これほど心強い味方もないお」

(メ ^ω^)「アンタに会えて光栄だお。共にいこうお」

(メ ^ω^)「一緒に、竜王を倒すんだお・・・!」


(♯´∀`)「・・・・・・」



(♯´∀`)「・・・いかんモナ」

((♯ ∀ ))「・・・わたしから、離れるモナ・・・」


(メ ^ω^)「お・・・?」


.

692: 2012/03/12(月) 22:49:31 ID:q7rqaDo60


(((♯ ∀ )))「竜王の力は・・・」

(((♯ ∀ )))「この禍々しき呪いは・・・氏ぬまで・・・消えはしない・・・!」ビキビキ


(メ;゜ω゜)「も、モナー・・・・・?」


(((♯ ∀ )))「ぐっごあああ・・・ッッ!!?」ビキバキバキ



先ほどまで柔和だったモナーの表情が、
メキメキと悪魔じみた形相に変貌してゆく。


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693: 2012/03/12(月) 22:51:24 ID:q7rqaDo60


(メ;゜ω゜)「も、モナー!! しっかりしろお!」

(メ;゜ω゜)「一緒に、人間の世界の平和を、取り戻すんだお!!」


(((((♯ ∀ )))))「二・・・ニン・・・ゲン・・・?」

(((((♯ ∀ )))))「ニンゲンは――――――」



モナーはゆっくりとした動作で、床に転がっている鉄面兜を拾い上げ、
それを冠(かぶ)りなおす。

くぐもった吐息の音を囁かせながら――――――



  ∧
(III::..T..I)「――――――コロス――――――」コー... ホー...


.

694: 2012/03/12(月) 22:52:38 ID:q7rqaDo60


兜の目穴から、殺意を伴った赤眼が光る。
ギ口リとこちらをねめつけて、近づいてくる。

強烈な妖気を帯びながら。
一歩ずつ踏み出すたびに、足甲の踏みつける金音が反響して。



(メ;゜ω゜)「モナー! やめるお、正気に戻れお!」

(メ;゜ω゜)「ブーンは、アンタとは戦いたくはないんだお!」


距離をとりながら、狼狽する。


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695: 2012/03/12(月) 22:53:27 ID:q7rqaDo60


(メ; ω )「ブーンは、ブーンは――――――」




            ( ゚∀゚)




(メ; ω )「アンタとは、闘いたくないんだお・・・・・・ッッ」




   ∧
(((III::..T..I)「シャあッ・・・!!」ビヒュッ!! バシッ!!


(((メ#゜ω゜)))「うおおお!!」ガインッ!! ズドンッ!!


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696: 2012/03/12(月) 22:54:30 ID:q7rqaDo60


無情なほどの剛の撃が、ブーンに繰り出される。
一太刀受ける度に、腕に強烈な痺れが走り、肉が震え、骨を焼く様な熱さに支配される、

加減している様子は全くない。

そして背筋が凍る様な殺意を剣に這わせながら、
何度も太刀を振るってくる。


勇者は、完全に闇に飲まれていた。



(メ# ω )(またなのかお――――――)

(メ# ω )(またしても自分は・・・ッッ)



竜王の力は、あらゆる者をも蝕んだ。

それは聖血の、ロトの勇者でさえも。

相対するは、伝説の最強の戦士――――――ロトの勇者。


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697: 2012/03/12(月) 22:56:08 ID:q7rqaDo60

  ∧
(III::..T..I)「・・・グ・・・る・・・モナ・・・!」

(メ# ω )「!!」



  ∧
(III::..T..I)「わたしを・・・斬るんだモナ・・・」

  ∧
(III::..T..I)「遠慮はイらない・・・ それでこそわたしは・・・」

  ∧
(III::..T..I)「コノ闇の呪縛かラ・・・  解・・・放・・・サれるモナ・・・ガガッッ!」

  /∧
(((III::..T..I)))「――――――グルオォおアアアアっっ!!」ビキビキ



(メ# ω )「モナー」


.

698: 2012/03/12(月) 22:56:49 ID:q7rqaDo60




( ^ω^)『ガツガツ、モグもぎゅ!』

从 ゚∀从『あいかわらず良い食べっぷりだねえ・・・いや』

从 ゚∀从『いや、いつもより凄いイキオイだな!』


( ^ω^)『んまんまほご、むが!』

从; ゚∀从『おーい、飲み込んでからしゃべれー』



( ^ω^)『・・・ふぅ、村の人に聞いたんですお。あのロトの勇者モナーも』

( ^ω^)『大層な健啖家(おおぐらい)だったって。
      だから、ブーンも負けてられないですお!』

从; ゚∀从『あんじゃそら。何もそんなとこで張り合わなくても』


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699: 2012/03/12(月) 22:58:02 ID:q7rqaDo60


从 ゚∀从『でもブーンは、二言目にはロトの勇者が・・・だね。
      そんなにあの人がいつも心にいるのかい』

( ^ω^)『そうだお。勇者モナーは、ブーンの目標なんだお』

从 ゚∀从『ふぅん・・・』


( ^ω^)『・・・少しでも、あの人に近づくために、日々精進ですお』

( ^ω^)『ブーンの・・・理想の男だお!』

从 ゚∀从『一途だねえ。妬けちゃうな』

( ^ω^)『お?』

从; ゚∀从『ああ~にゃ何でもないよっ』




( ^ω^)((そうだお。いつかあの人みたいに――――――))


( ^ω^)((いや、ロトの勇者を、超えてやるんだお!))


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700: 2012/03/12(月) 22:58:52 ID:q7rqaDo60


いつも心の中で、ロトの勇者モナーの強さを思い描いてきた。

彼の武勇伝、性格、強さを人づてに聞く度に。

自分の中に芽生えた尊敬の念は、少しずつ大きくなって。

会った事もない人間だったが、自分にとっては目指すべき標(しるべ)だった。




( ^ω^) “『自分はいったい、何者になるのかお』”



旅に出る前は、ただ寄る辺無く彷徨い日々を潰していくだけだった自分の人生は、


彼という存在によって、役割を、使命を、光を――――――


生きる意味を与えられたのだ。


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701: 2012/03/12(月) 22:59:34 ID:q7rqaDo60


   ∧
(((III::..T..I)))



出来る事なら斬りたくは無い。

しかしそれでも、斬られる訳にもいかない。

自分が背負っているものの為に。



(((メ#゜ω゜)))



.

702: 2012/03/12(月) 23:01:06 ID:q7rqaDo60


そうだ。

ジョルジュを斬ったとき・・・いや、この冒険を始めたときから、
自分は“業”を背負ったのだ。



この世を平和に導く為に。

いかなる相手とでも闘わねばならぬ。

それがブーン・ホライゾンが、剣と共に背負うべき十字架だった。


竜王との戦いの前に、立ちはだかった壁。


自分が超えなければならない――――――最後の試練。



           “ロトの勇者”



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703: 2012/03/12(月) 23:01:47 ID:q7rqaDo60


これを剋(こく)せずして、竜王に挑む事はできない。

ならば超えよう。 今ここで、超えてみせる。

あらゆるものに、打ち勝ってみせる。

辿り着いてみせる。



光に。 青空の未来に。




(メ# ω )「ブーンは・・・! ブーンは・・・・・・!!」



((メ#゜ω゜)) 「ブーンは・・・・・・すべてを超えてやるんだおおおおおおッッ!!!!」


   ∧
(((III::..T..I)))「カアアアァァアアァッッ!!」


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705: 2012/03/12(月) 23:02:41 ID:q7rqaDo60


両者の気迫が競り合う。

闇の狂気と正義の信念が、ぶつかり合い燃えて。

剣の交錯の度に、ブーンの脳裏にこれまでの数々の氏線の記憶が蘇った。

血が跳ねる度に、出会いを重ねてきた人々の笑顔が、頑張れと囁くように。



((メ#゜ω゜))

   ∧
(((III::..T..I)))



ブーンは痛みを忘れた。

人の精神が肉体を凌駕するというのか。

その動きは、伝説の戦士にひけを取りはしない。


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706: 2012/03/12(月) 23:05:38 ID:q7rqaDo60


これまで拾い集めてきたものが、決してロトのそれに劣るなんて言わせない。


得るものばかりの旅路ではなかった。


時に傷ついて、何かを失って。


幾つもの友の屍を乗り超えてきた自分が、ここに立つ事の意味。



           ((メ#゜ω゜))



あらゆるものから願いを託された剣に、自分のすべてを込めて。


.

707: 2012/03/12(月) 23:06:53 ID:q7rqaDo60


((メ#゜ω゜)) 「はあアッッ」


モナーの斬撃を、盾で受ける。

しかしそれを待っていたかように、
モナーの蹴りによってブーンの盾は、その手の離れ飛ばされた。


   ∧
(((III::..T..I))) 「ゴガアアアアぁっッ!!」


好機とみたり。刹那、モナーの突きの瞬撃繰り出される。



((メ#゜ω゜)) 「うああ――――」

((メ#゜ω゜)) 「はぁあああッッ!!」


.

708: 2012/03/12(月) 23:07:40 ID:q7rqaDo60


素手の突き上げで軌道をそらす。

一撃は、ブーンの頬肉と受けた左腕を深く抉った。


   ∧
((III::..T..I)) 「ガ・・・・・・ッッ!!?」



   ∧
((III::..T..I)) 「ギュアああアアアアアアアアアアッッ」


((メ#゜ω゜)) 「だおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」




鮮血を靡かせながら、双方の太刀が放たれた。



.

709: 2012/03/12(月) 23:08:22 ID:q7rqaDo60


  ∧
(III::..T..I)


(メ# ω )



  ∧
(III::..T..I)


(メ# ω )



  ∧
(III::..T..I) 「・・・が、


(メ# ω )


.

710: 2012/03/12(月) 23:09:32 ID:q7rqaDo60


時が止まったような静寂の間の後――――――


  ∧
(III::..T..I) 「――――――ふ・・・ッッ」



甲冑の騎士が、赤黒い血を兜面の隙間から吐きこぼし、倒れた。




(メ# ω )



勝負を制したのは――――――


ブーン。


人間の剣の極地に辿り着きしは、ブーン・ホライゾンの剣。


.

711: 2012/03/12(月) 23:10:34 ID:q7rqaDo60


(メ# ω )「・・・・・・」


ブーンは、倒れる者の側に寄りそい、鉄兜をそっと外してやった。
先刻までの闇の瘴気が失せている。



(メメ´∀`)「・・・・・・よく、やった・・・モナ」

(メ# ω )「モナー・・・」



(メメ´∀`)「・・・竜王の魔力に操られていたとはいえ・・・
       自分の全力を尽くした事だけは・・・ 覚えているモナ・・・」

(メメ´∀`)「完敗だ・・・ 勇敢な戦士よ・・・」


(メ# ω )


.

712: 2012/03/12(月) 23:11:56 ID:q7rqaDo60


(メメ´∀`)「・・・・・・君なら・・・やれる・・・」

(メメ´∀`)「わたしの屍を・・・超えていくモナ・・・そして・・・」

(メメ´∀`)「 君が・・・“伝説を紡ぐ”んだモナ・・・ 」

(メメ´∀`)「ロトの勇者の伝説なんかではない――――――君だけの伝説を・・・」


(メ# ω )「・・・・・・」



(メメ ∀`)「・・・き、きみなら・・・・できる・・・きっと・・・竜王を・・・」


(メメ ∀`)「倒・・・せる・・・はず・・・だ・・・モ・・・ナ・・・」


.

713: 2012/03/12(月) 23:12:38 ID:q7rqaDo60


ブーンはモナーの手をとった。


(メ# ω )


モナーとブーンの流す、温かい血が混じる。



(メメ ∀ )




モナーの脈が止まった。
正義の鼓動が、消えた。

もとの彼の優しい顔が、さらに微笑みむような。

あのときのジョルジュに似た、安らかな表情で。


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714: 2012/03/12(月) 23:13:28 ID:q7rqaDo60


ロトの勇者は息絶えた。


かの伝説は、ここに終焉を迎える事になるだろう。


しかしその勇気を、引き継ぐ者がいる。


正義の意志を、受け継ぐ者がここにいる。




(メ# ω )「モナー」


(メ# ω )「安らかに・・・眠れお」



伝説の戦士の胸元で、その剣を両の手で組ませてやった。


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716: 2012/03/12(月) 23:14:20 ID:q7rqaDo60


ブーンは立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。

傷ついたその足で、一歩一歩踏みしめて。

疲弊を極める体は、意志に関係なく倒れる。

それでも立ち上がる。

よろよろと立ち上がり、前へ進むしかない。


もう心には、ただひとつのものしか残っていないのだ。




(メメ^ω^)




我々が想いを馳せる青空のように透き通った――――――純粋な正義しか。



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717: 2012/03/12(月) 23:16:09 ID:q7rqaDo60


階段がある。それを降りていく。


(メメ^ω^)


妖気の気配が大きくなる。



(メメ^ω^)


(メメ^ω^)「!」



燭台にメラメラと火が盛っている。
大きい広間に出た。

その瞬間。


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718: 2012/03/12(月) 23:16:56 ID:q7rqaDo60


 !i!i メ;゜ω゜)i!!i  ザザウッ......!!!!



途轍も無い妖気が全身を包んだ。
炎の熱さの様な、氷の冷たさの様な悪寒が体を駆け巡る。



(メ;゜ω゜)「お・・・おっ・・・・・・!!」





「――――――また人間が一人」


「――――――迷い込んできおったか」



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719: 2012/03/12(月) 23:17:49 ID:q7rqaDo60


(メ;゜ω゜)



こいつが。


こいつが。



自分の、いや全人類の宿命の敵。


この世界で最強の――――――敵。



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720: 2012/03/12(月) 23:19:08 ID:q7rqaDo60


「・・・・・・ブーン?」



(メ;^ω^)「・・・?」


(メ;゜ω゜)「あ・・・・・・!!」





('A`;メ) 「   お前もここに・・・ 辿り着いたのか・・・!!   」




(メ;゜ω゜)「ド・・・」

(メ;゜ω゜)「ドクオ・・・・・・!!!」


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721: 2012/03/12(月) 23:20:51 ID:q7rqaDo60


部屋の傍らに、戦友――――――黒衣の魔術師、ドクオの姿があった。

凄まじい妖気の根源を前にして、ボロボロの体で膝をついている。



('A`;メ)


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722: 2012/03/12(月) 23:21:44 ID:q7rqaDo60


「ククク・・・・・・ここまでやってくる人間が、よもや二人もいようとはな」


「驚きを禁じ得ない、といったところか・・・」



( A ;メ)


(メ;゜ω゜)




「2匹目の人間よ。貴様にも問おうではないか」


「我の仲間になるがいい。さすれば――――――」




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723: 2012/03/12(月) 23:22:54 ID:q7rqaDo60





( ФωФ) 「――――――世界の半分を、お前にやろう――――――」






( A ;メ)



(メ;゜ω゜)




to be continued...!!!!


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726: 2012/03/12(月) 23:25:19 ID:q7rqaDo60

( ^ω^)ブーンの今のステータス

LV26

ほのおのつるぎ
まほうのよろい
みかがみのたて
りゅうのうろこ


('A`)ドクオの今のステータス

LV26

こんぼう
くろのろーぶ
くーのくびかざり


今回登場した敵

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(III::..T..I):( ´∀`)“しにがみのきし”モナー。竜王直属の配下、四天王が一人だった。
      ロトの勇者ほどの者が闇に魂を奪われた事をみても、竜王の魔力の恐ろしさが窺える。
      しかし魔道に堕ちても、戦士としてのその強さは失われはしなかった。
      からくもブーンがこれを正義の執念をもってして打ち破った。

      
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727: 2012/03/12(月) 23:25:40 ID:4ik54Kt2O
( ;ω;)モナー乙

731: 2012/03/12(月) 23:29:16 ID:xWk2FSZ60

736: 2012/03/12(月) 23:34:44 ID:q7rqaDo60
というわけで投下おわりです
次回、最終決戦になります。おそらく最後の投下になると思います
ラスボスと言えばロマネスクというパターンがインプットされている

投下中のご支援ありがとうございます・・・!
圧倒的感謝・・・ッッ!!

  ∧
(III::..T..I)乙かれさまでしたー( ´∀`)ノシ

次回:( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)【最終章】


引用: ( ^ω^)ドラゴンクエストのようです('A`)