1: 2011/10/31(月) 21:15:44 ID:dLDDHNPcO

 そこは深く暗く、鬱蒼とした森の奥の奥。

 ぞろりと天を睨む様に聳える、蔦を這わせた灰色の塔。

 周囲には森があるだけ。
 聞こえるのは夜の鳥の声に木々のざわめき。

 緑と土の匂いが溢れるそこに住むのは、二人。


 一人は長身細身の、暗い顔をした魔導師。
 もう一人は、非常に美しく整った顔立ちの従者。



       【塔のようです】
   【一話 これが我々の日常です。】



 そこはいつも、陰鬱とした空間に存在する。

2: 2011/10/31(月) 21:16:37 ID:dLDDHNPcO

('A`)「クー、クーはいるかい」

川 ゚ -゚)「はいご主人様、こちらに」

('A`)「昼食はまだかな」

川 ゚ -゚)「一昨日食べたではありませんか」

('A`)「そんなボケ老人と嫁の悲惨な会話みたいなノリで済ませる事は許されない」

川 ゚ -゚)「チッ、ではすぐに用意します」

('A`)「今舌打ちしたよね、舌打ちしたよね? 舌打ちしましたよね?」

川 ゚ -゚)「何度も言えばウケると思わないで下さいよご主人様」

('A`)「もうシダックスでご飯食べてくる」

川 ゚ -゚)「止めてくださいよどうせメイドが飯を作らないとか店員に愚痴言うんでしょう
      愚痴を言い過ぎてご主人様のあだ名は『鬼嫁』になってるんですからね」

('A`)「嫁居ないのに、嫁でもないのにこの仕打ちか」

川 ゚ -゚)「そうですねクソ童Oご主人様」

3: 2011/10/31(月) 21:18:07 ID:dLDDHNPcO

('A`)「さっきからえげつない事言ってるけどメイドだよね? 君はメイドだよね?」

川 ゚ -゚)「ええご覧の通りメイドですよ、32歳童O職業:魔法使いのご主人様」

('A`)「否定出来ないから流すけど、お前の格好は執事だ」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「晩御飯カレーで良いですか」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「じゃあカボチャのカレーです、隣の魔女さんからお裾分けしてもらったので」

('A`)「またカボチャ栽培してるんだね」

川 ゚ -゚)「正しくは『カボチャを媒体にした魔法を使おうとしてなぜか増えた』ですね」

('A`)「なぜ増えた」

川 ゚ -゚)「さあ」

4: 2011/10/31(月) 21:20:13 ID:dLDDHNPcO

川 ゚ -゚)「ところでご主人様は魔法を使うんですか」

('A`)「これでも魔導師だからね」

川 ゚ -゚)「童Oを拗らせたからですか?」

('A`)「俺はあんまり性欲が無い方だよ?」

川 ゚ -゚)「その欲求を僕にぶつけないで下さいね、いくら愛らしく美しいメイドだからって」

('A`)「カレーまだ?」

川 ゚ -゚)「クソが」

('A`)「カレー作りながらクソって……」

川 ゚ -゚)「で、実際は何で魔導師に?」

('A`)「昔から本を読むのが好きだったから」

川 ゚ -゚)「嫌な子供ですね」

('A`)「本しか無かったんだよね、親も魔導師だし」

川 ゚ -゚)「嫌な家庭ですね」

('A`)「お前ひどいよな」

5: 2011/10/31(月) 21:22:04 ID:dLDDHNPcO

川 ゚ -゚)「で、今や立派な童O王ですか」

('A`)「そんな俺はなると言いたくない感じの王は嫌だ」

川 ゚ -゚)「ご主人様、腕だけはあるんですからちゃんと仕事したらどうですか」

('A`)「質素が一番だよ、気楽に暮らせる程度が良い」

川 ゚ -゚)「無欲すぎてキモいですねご主人様」

('A`)「本当あんまりだよね」

川 ゚ -゚)「だから童Oなんですよ」

('A`)「別にコンプレックスってわけでもないんだけど」

川 ゚ -゚)「ご主人様の腕だったら荒稼ぎしてハーレム作れるでしょ」

('A`)「ハーレムって維持費どれくらいかかるの?」

川 ゚ -゚)「夢もへったくれも無いですね」

('A`)「現実しか目の前に無い」

6: 2011/10/31(月) 21:24:08 ID:dLDDHNPcO

川 ゚ -゚)「ほいっと、カレー出来ましたよ」

('A`)「おー、すげーうまそう」

川 ゚ -゚)「不味いですよ」

('A`)「知ってる」

川 ゚ -゚)「僕が料理出来ないって分かってるのに何でやらせるんですか?」

('A`)「お前がメイドだからかな」

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「お腹空いたからご飯作ってください」

('A`)「はいはい」

川 ゚ -゚)「カボチャのにっころがしが良いです」

('A`)「はいはい」

7: 2011/10/31(月) 21:26:10 ID:dLDDHNPcO



川 ゚ -゚)「お腹一杯ですね」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「元から土気色の顔が更にひどい事になってませんかご主人様」

('A`)「クーのカボチャカレーって呪いかなんかかかってた?」

川 ゚ -゚)「あー、鍋かき混ぜる時に魔方陣とか描いてたのかも」

('A`)「味を生け贄に俺の胃腸へダイレクトアタックか……」

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「デザート」

('A`)「あるよ」

川 ゚ -゚)「わーい」

('A`)「持ってくるから片付けて」

川 ゚ -゚)「はーい」

8: 2011/10/31(月) 21:28:34 ID:dLDDHNPcO

川 ゚ -゚)「カボチャパイとクッキーとー」

('A`)「プリンとタルト、練りきりもある」

川 ゚ -゚)「ガチでカボチャ無双ですね」

('A`)「あと五玉残ってるよ」

川 ゚ -゚)「向こう一週間くらい食えそうですね」

('A`)「カボチャアイスとカボチャのホットドリンクもあるよ」

川 ゚ -゚)「なにそれ美味しそう」

('A`)「食べる前にお隣にお返し持っていって」

川 ゚ -゚)「えー」

('A`)「文句言わない、行ってらっしゃい」

川 ゚ -゚)「先に食わないで下さいよ」

('A`)「はいはい」

9: 2011/10/31(月) 21:30:09 ID:dLDDHNPcO

('A`)「カボチャの練りきりの作り方」

('A`)「求肥と白餡、カボチャを用意します」

('A`)「求肥の作り方はググれ」

('A`)「カボチャはレンチン加熱で皮を取り、しっかり裏ごし」

('A`)「白餡としっかり混ぜてレンチン」

('A`)「そして求肥と混ぜて、食べやすい大きさに切り取り転がして乾燥しない様に気を付ける」

('A`)「それを形にすればはい完成」

('A`)「ドクオさんの和菓子講座でした」

('A`)「ぶっちゃけクックパッド見た方が早いよね」

('A`)「魔法使ったらお菓子作りの醍醐味が損なわれるもんね」

('A`)ノシ

10: 2011/10/31(月) 21:32:19 ID:dLDDHNPcO

川 ゚ -゚)「渡してきましたよー、喜んでました」

('A`)「んー、なら良かった」

川 ゚ -゚)「なんかしてました?」

('A`)「んーにゃ、ほら冷めるから食べな」

川 ゚ -゚)「わーいいただきまーす」

('A`)「おー食え食え」

川 ゚ -゚)「ご主人様は食べないんですか?」

('A`)「お菓子を作るのは好きだけど食うのは嫌い」

川 ゚ -゚)「変ですよご主人様」

('A`)「手作りって食えないんだよね俺」

川 ゚ -゚)「潔癖症ですか、キモいですねご主人様」

('A`)「潔癖=キモいみたいな言い方はよしなさい」

川 ゚ -゚)「すみません、ご主人様がキモいだけですね、反省します」

('A`)「こやつめ、ははは」

11: 2011/10/31(月) 21:34:20 ID:dLDDHNPcO

川 ゚ -゚)「そういやご主人様、仕事の依頼がポストに」

('A`)「魔王軍からのスカウトだろ、断っといて」

川 ゚ -゚)「魔王軍からの手紙と連合国からの手紙が一緒に入ってました」

('A`)「争いに魔法は使いません」

川 ゚ -゚)「どうせ勇者率いる連合国は正義のためって言いますよ、守るための力だーって」

('A`)「お互いがお互いの正義のために争ってるんだよ」

川 ゚ -゚)「端から見ればアホみたいでも、真剣にやってますからね」

('A`)「正義のために敵と見なした相手を滅ぼすんだから、何がなんだかね」

川 ゚ -゚)「ま、僕らには関係ないですし、お断りしときます」

('A`)「お願い」

川 ゚ -゚)「お隣さんも似た様な状況らしいですよ、次々とスカウトの手紙来るって」

('A`)「戦場がカボチャで溢れるのか、糖分補給は出来るな」

川 ゚ -゚)「ぶっちゃけお隣さんの魔法の腕はアレですよね」

('A`)「うん」

12: 2011/10/31(月) 21:36:12 ID:dLDDHNPcO

('A`)「俺は争うために魔法は使いたくないなあ」

川 ゚ -゚)「ご主人様はどんな魔導師を目指してるんですか?」

('A`)「さあ、趣味でやってたらこうなったし」

川 ゚ -゚)「趣味で大魔導師ですか」

('A`)「王室のお抱えになれって月に一回通知が来るけど、拒否するのもめんどくさいなあ」

川 ゚ -゚)「腕だけは良いんですけどね」

('A`)「ちょっと素質があっただけだよ、親が魔導師だったし」

川 ゚ -゚)「たまに魔法売るだけですしね、それも下級の」

('A`)「楽なだけであれ一般人でも使える様な魔法なんだけどね」

川 ゚ -゚)「いわゆるメラとかホイミですしね」

('A`)「ちょっと勉強すれば使えるのに、みんな楽したがりだから」

川 ゚ -゚)「まあ買ってくれるわけですし、楽万歳ですよ」

13: 2011/10/31(月) 21:38:06 ID:dLDDHNPcO

('A`)「また術式書いて市場に持ってくかなあ」

川 ゚ -゚)「ついでにフライパン買ってきて良いですか、古くなってて」

('A`)「それくらいなら錬成出来るよ」

川 ゚ -゚)「ご主人様は魔法使いじゃないんですか」

('A`)「最近は暇だから錬金術と召喚術も勉強してるよ」

川 ゚ -゚)「暇だからって出来る事ですかそれ」

('A`)「金は錬成出来る様になったから、あとは賢者の石かな」

川 ゚ -゚)「既に錬金術マスター寸前じゃないですか」

('A`)「召喚術ってさ、特に召喚したいのも居ないからあんま使えないんだよね」

川 ゚ -゚)「悪魔とか呼びましょうよ」

('A`)「呼んだら食費とかかかるじゃん」

川 ゚ -゚)「夢もへったくれも無いですね」

('A`)「現実しか見えない」

14: 2011/10/31(月) 21:40:04 ID:dLDDHNPcO

川 ゚ -゚)「ごちそうさまでした」

('A`)「お粗末さまでした」

川 ゚ -゚)「あー美味しかった、料理上手ですよねご主人様」

('A`)「楽しいよ、料理」

川 ゚ -゚)「炊事洗濯掃除も上手ですよね」

('A`)「楽しいよ、家事」

川 ゚ -゚)「僕は必要なんですか?」

('A`)「外には出たくない」

川 ゚ -゚)「ああ、なるほど」

('A`)「通知の返事とか、わざわざ城に出向けとかめんどくさいし」

川 ゚ -゚)「メイドなんですけどね僕、何で外に出る系の雑用ばっかり」

('A`)「クーがメイドなのに家事全般出来ないからだよ」

川 ゚ -゚)「萌えキャラですね」

('A`)「はは、ぬかせ」

15: 2011/10/31(月) 21:42:12 ID:dLDDHNPcO

川 ゚ -゚)「もう九時過ぎましたね」

('A`)「そろそろ寝るかあ」

川 ゚ -゚)「ですね、と言いたいがご主人様ちょっと早寝過ぎませんか」

('A`)「だってここの電気って蓄電式だし、俺が起きてる間に電気蓄えてるけど疲れる」

川 ゚ -゚)「何ですかこのアナログな気がするのに謎のハイブリット感のある環境は」

('A`)「常に電気を生成して貯めてるのって疲れるんだよね」

川 ゚ -゚)「ご主人様そろそろ人間じゃないと思います、電気ウナギか何かです」

('A`)「俺が居なくなったらこの塔は廃墟になるよ?」

川 ゚ -゚)「火も水も電気もご主人様が出してますもんね」

('A`)「その代わり疲れる」

川 ゚ -゚)「一週間普通のお宅に住んだらご主人様健康になるんじゃ」

('A`)「本の無い生活とか考えたくない」

川 ゚ -゚)「キモい、ビブリオマニアがではなくご主人様がキモい」

('A`)「こやつめ、ははは」

17: 2011/10/31(月) 21:44:10 ID:dLDDHNPcO

川 ゚ -゚)「じゃ、お休みなさいご主人様」

('A`)「うん、おやすみクー」

川 ゚ -゚)「今日も良い夢見れるかな、ハム太郎」

('A`)「誰だよ」

川 ゚ -゚)「ネズミの飼い主です」

('A`)「ウォルトさん?」

川 ゚ -゚)「危ないから止めてください」

('A`)「じゃ、おやすみ」

川 ゚ -゚)「おやすみなさーい」



【一話 おわり】

22: 2011/11/01(火) 21:01:11 ID:j7edjYawO

 そこは深く暗く、鬱蒼とした森の奥の奥。

 ぞろりと天を睨む様に聳える、蔦を這わせた灰色の塔。

 周囲には森があるだけ。
 聞こえるのは夜の鳥の声に木々のざわめき。

 緑と土の匂いが溢れるそこに住むのは、二人。


 一人は長身細身の、暗い顔をした魔導師。
 もう一人は、非常に美しく整った顔立ちの従者。



       【塔のようです】
   【二話 ご主人様、お客様です。】



 そこはいつも、陰鬱とした空間に存在する。

23: 2011/11/01(火) 21:02:12 ID:j7edjYawO

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「んー」

川 ゚ -゚)「ポストに城から手助けしろって通知がジャンジャンバリバリ届いてます」

('A`)「全部送り返しておいて」

川 ゚ -゚)「そんなに城行きたくないんですか」

('A`)「どうせ戦争のアレだろ、やだよめんどくさい」

川 ゚ -゚)「でもこれ、代金が割りと凄い値段ですよ」

('A`)「どれくらい?」

川 ゚ -゚)「ゼロがひーふーみー……ゼロ六つ」

('A`)「八つでならやるって言っといて、そしたらもう来ないだろ」

川 ゚ -゚)「魔王軍からは美人さん100人だとか」

('A`)「いらない、維持費大変そうだし」

24: 2011/11/01(火) 21:04:06 ID:j7edjYawO

川 ゚ -゚)「あ、さっきの古い手紙でした。今朝届いたのも」

('A`)「しつこいなー」

川 ゚ -゚)「ゼロ八つらしいですよ」

('A`)

川 ゚ -゚)

('A`)「ゼロ五つで良いから二度と送るなって言っといて」

川 ゚ -゚)「仕事するんですか?」

('A`)「しないとうるさいからなあ、中級術式でも一緒に送っといて」

川 ゚ -゚)「はーい」

('A`)「やだなーこう言う仕事、フライパン直す方が良いや」

川 ゚ -゚)「あ、市場からフライパン直したお代来てますよ」

('A`)「おお、肉だ」

川 ゚ -゚)「久々の肉ですね、塩漬けにして干しておきましょうか」

25: 2011/11/01(火) 21:06:19 ID:j7edjYawO

('A`)「やーだーなー、仕事やーだーなーあ」

川 ゚ -゚)「そんな流行最先端のニートみたいな事言わないで下さいよ」

('A`)「だって変な因縁出来るんだよ、めんどくさい」

川 ゚ -゚)「そうですけど、そろそろ貯蓄も乏しいですし」

('A`)「あー、そういや食材も無いなあ」

川 ゚ -゚)「ま、そろそろ諦めて一仕事してください、カボチャも無くなったし」

('A`)「お隣さんから今度は大量の芋が届いたよ」

川 ゚ -゚)「また失敗したんですか、何でお隣さんはホクホクしたものを使いたがるんでしょうか」

('A`)「美味しそうだからじゃないかな、今度はサツマイモ無双だな」

川 ゚ -゚)「次はジャガイモですかね」

('A`)「長期保存がかろうじて出来るのが救いだなあ」

川 ゚ -゚)「スイートポテト作ってくださいよ」

('A`)「また甘い主食だなあ」

26: 2011/11/01(火) 21:08:30 ID:j7edjYawO

川 ゚ -゚)「ん?」

('A`)「どうした?」

川 ゚ -゚)「なんか人影が……気のせいでしょうか」

('A`)「城の人じゃない? お引き取り願っといて、俺は術式書くから」

川 ゚ -゚)「はーい」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「サツマイモご飯か……何があるかな……」

川 ゚ -゚)「カボチャよりご飯にしづらいなあ、たまにはしょっぱいのが良いなあ」

川 ゚ -゚)「作るのご主人様だけど」

川 ゚ -゚)「さ、手紙の返事書かなきゃ」

川 ゚ -゚)「嫌々だけど手助けしてあげるんだからね! 別にあんたのためじゃ無いんだから! と」

川 ゚ -゚)「城でご主人様のイメージがツンデレになあれ」

27: 2011/11/01(火) 21:10:11 ID:j7edjYawO

( ・∀・)コソリ

( ・∀・)「ここが魔導師ドクオの搭、か……」

( ・∀・)「魔王様に手を貸さないとは、愚かな男だ……この四天王の一人、モララーが裁いて」

川 ゚ -゚)「あ、いらっしゃいませ」

(;・∀・)「見つかった!?」

川 ゚ -゚)「人んちの前でそんな派手な格好してバレないと思ったんですか」

(;・∀・)「クッ、これでも地味な格好を選んできたのに! そんなにフリンジがいけなかったのか!」

川 ゚ -゚)「そんなナイトフィーバーな格好が地味とか普段どんな服装なんですか」

( ・∀・)「羽根とかマントとか」

川 ゚ -゚)「厨二乙、ところで何のご用ですか?」

( ・∀・)「ハッ、そうだ魔導師ドクオの寝首を」

川 ゚ -゚)「ご主人様、お客様ですよー」

(;・∀・)「聞けよ!!」

川 ゚ -゚)「寝込み襲いに来たらしいですよー」

(;・∀・)「違う! いや違わない!? でも違う!!」

28: 2011/11/01(火) 21:12:09 ID:j7edjYawO

川 ゚ -゚)「どうぞ、入って下さい間男様」

(;・∀・)「モララーだよ!! その言葉の用途は間違ってる!!」

('A`)「お客様?」

川 ゚ -゚)「はい、間男☆厨二乙☆モララー様です」

(;・∀・)「不名誉! どこまでも不名誉!!」

('A`)「じゃあお掛けしてもらって、すぐ終わらせるから」

川 ゚ -゚)「はーい」

(;・∀・)「うわーもうこの流れるままに流されて行くテンションうざーい!!」

川 ゚ -゚)「お客様、ご主人様はお仕事中ですのでお静かに」

( ・∀・)「あ、すみません」

川 ゚ -゚)「お茶をお持ちしますので、かけてお待ちください」

( ・∀・)「あ、はい、ありがとうございます」

29: 2011/11/01(火) 21:14:14 ID:j7edjYawO

( ・∀・)(結構綺麗にしてるんだなあ、もっと散らかってると思ってた)

( ・∀・)(あ、クッションふかふか)

( ・∀・)(へー、刺繍もしてある、凝ってるなあ、どこで買ったんだろこれ)

( ・∀・)

(#・∀・)「違う! 違う!! 俺は魔王軍四天王白銀のモララー!!
      手を貸さない魔導師ドクオを魔王様の敵と見なし排除しに来たの!!」

川 ゚ -゚)「お客様、お静かに」

( ・∀・)「あ、ごめんなさい」

川 ゚ -゚)「どうぞ、お茶とクッキーです」

( ・∀・)「可愛いねこのクッキー、おばけの形だ」

川 ゚ -゚)「ハロウィンの残り物で申し訳ございません」

( ・∀・)「いえ、ああこれ美味しい、お茶凄い味だけど」

川 ゚ -゚)「申し訳ございません、お茶はちょっと」

30: 2011/11/01(火) 21:16:09 ID:j7edjYawO

('A`)「はーつかれた、向こう一ヶ月は仕事したくない」

川 ゚ -゚)「お疲れ様ですご主人様」

('A`)「お待たせしてすみません、魔導師のドクオです」

( ・∀・)「あ、いえ、急に来てすみません、モララーです」

('A`)「あー……クーお茶いれるなよ、すみません取り換えますから」

( ・∀・)「あ、重ね重ねすみません」

('A`)「クー、勝手にお客様にお茶いれない、不味いんだから」

川 ゚ -゚)「お茶をお出しした行為だけは誉めていただきたい」

('A`)「よしよし良い子良い子、だからもうお客様にはいれないようにね」

川 ゚ -゚)「はーい」

( ・∀・)(メイドにお茶いれるなって、一体……)

31: 2011/11/01(火) 21:18:42 ID:j7edjYawO

('A`)「どうぞ、お茶です」

( ・∀・)「ありがとうございま……うっめ、何だこのお茶うっめぇ」

('A`)「ありがとうございます」

( ・∀・)「こちらのクッキーはメイドさんが?」

('A`)「俺です」

( ・∀・)「だと思いました、凄く美味しいです」

川 ゚ -゚)イラッ☆

('A`)「いやお恥ずかしい、こう言ったものを作るのが好きで」

( ・∀・)「いえいえ素晴らしいです、あ、このクッションどこで買ったんですか?」

('A`)「あ、俺が作りました」

( ・∀・)「何者ですか」

('A`)「魔導師です」

32: 2011/11/01(火) 21:20:15 ID:j7edjYawO

( ・∀・)「こう、魔法でぱぱっと?」

('A`)「いえ、普通に作ります」

( ・∀・)「……凄いですね」

('A`)「いえそんな、趣味ですので」

川 ゚ -゚)「そのくせご主人様ご自身は無頓着ですよね」

('A`)「そう?」

川 ゚ -゚)「そんな古い毛布纏わないで下さいよ」

( ・∀・)「ローブじゃないんですかそれ」

川 ゚ -゚)「あと使い古したタオル首に巻かないで下さい、ブローチで止めても無駄です」

( ・∀・)「あ、それタオルなんだ……」

川 ゚ -゚)「僕を見習って下さいよご主人様、この美しい出で立ちを」

('A`)「メイドがよれた格好じゃ駄目だろ」

川 ゚ -゚)「魔導師なら良いんですか」

('A`)「着たまま寝れる」

川 ゚ -゚)「わあ便利とでも言うと思いましたかクソが」

35: 2011/11/01(火) 21:22:14 ID:j7edjYawO

( ・∀・)「…………ドクオさん、そんなに困窮してるんですか?」

('A`)「いや貧乏だからこの格好なわけでは」

川 ゚ -゚)「明日食う分もギリギリです」

( ・∀・)「……てっきり、腕の良い魔導師だから稼いでいらっしゃるのかと……」

('A`)「舞い込む仕事はみんなきな臭くて」

( ・∀・)「あまり、そういったお仕事は……?」

('A`)「はい、俺の仕事のせいで誰かが氏んだりとか嫌じゃないですか」

( ・∀・)「……」

('A`)「嫌ですよああいった仕事は、俺の背中はそんなに沢山の命を背負うほど広くない
      俺のせいで誰かが傷付いたり、氏んだり、そんな仕事で食う飯は不味いですよ」

川 ゚ -゚)「僕の料理よりですか?」

('A`)「クーの料理が美味しいと感じるよ、血の味がする飯なんか食いたくない」

( ・∀・)「だから……魔王軍からも、連合軍からも呼ばれて……拒否するんですか?」

('A`)「はい、自分が頃すより、見ない方がまだマシです」

( ・∀・)「なる、ほど……そう、か…………だから……」

36: 2011/11/01(火) 21:24:33 ID:j7edjYawO

('A`)「だから、モララーさんのご主人にも言っておいて下さい、俺は誰も傷付けないと」

( ・∀・)「ぇ……あ、……」

('A`)「力のある魔族の方なんですね、普通にしていても力を感じます」

( ・∀・)「…………」

('A`)「俺は誰が何をしようと、文句は言いません、それが仕事でそれこそが正義でしょうから」

( ・∀・)「……はい」

('A`)「俺は、あくまでも一般人の立場を通したいだけです」

川 ゚ -゚)「連合軍に送る術式書いてましたよね」

('A`)「ああアレね、発動すると杉花粉が充満する術式」

川 ゚ -゚)「ご主人様は鬼畜ですか」

('A`)「誰の心も痛まない良い魔法だ」

川 ゚ -゚)「鉄仮面乙」

38: 2011/11/01(火) 21:26:16 ID:j7edjYawO

( ・∀・)「……わかりました、魔王様に言っておきます」

('A`)「めんどくさがりの甘ちゃんだって伝えて下さい」

川 ゚ -゚)「あとツンデレだと」

('A`)「なにそれこわい」

( ・∀・)「俺は、そんな風に考えた事がありませんでした……ただ、仕事をするだけで」

('A`)「それが普通ですよ、自分の仕事に疑問を持ったら、その瞬間から輪から弾き出されます」

( ・∀・)「……です、ね……不安因子、です」

('A`)「モララーさんは、モララーさんの仕事を全うして下さい、俺が口を挟む事じゃない」

( ・∀・)「……ありがとうございます」

('A`)「いえ、これ持っていって下さい、包みます」

( ・∀・)「ああ、ありがとうございます」

('A`)「あとクッション、欲しければ作りますから」

( ・∀・)「重ね重ねありがとうございます」

39: 2011/11/01(火) 21:28:15 ID:j7edjYawO



川 ゚ -゚)「帰られましたね」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「クッキーがっさり持って」

('A`)「また焼くよ」

川 ゚ -゚)「……ご主人様は、変な方ですね」

('A`)「自覚はしてるよ」

川 ゚ -゚)「本来なら、富豪なのに……わざわざこんな所に僕と住んで」

('A`)「気に入ってるんだ、この生活が」

川 ゚ -゚)「……変なご主人様に使える僕も、変ですね」

('A`)「そうだな」

川 ゚ -゚)「否定しろよ」

('A`)「やだよ」

川 ゚ -゚)「クソド貧乏童O王が」

('A`)「主人になんつう言いぐさだろうか」

40: 2011/11/01(火) 21:30:05 ID:j7edjYawO

川 ゚ -゚)「知りませんよ、それよりお腹が空きました」

('A`)「そろそろ晩飯作るか」

川 ゚ -゚)「サツマイモがどうなるか期待してます」

('A`)「クーは何作るんだ」

川 ゚ -゚)「やきいも」

('A`)「口の水分持ってかれる晩飯だな」

川 ゚ -゚)「食物繊維のカタマリ、健康的です」

('A`)「よし、じゃあ飯作ろう」

川 ゚ -゚)「はい」

('A`)「近々また良いもん食えるな」

川 ゚ -゚)「期待してます」



【二話 おわり】

46: 2011/11/02(水) 20:59:21 ID:M6gdIC.kO

 そこは深く暗く、鬱蒼とした森の奥の奥。

 ぞろりと天を睨む様に聳える、蔦を這わせた灰色の塔。

 周囲には森があるだけ。
 聞こえるのは夜の鳥の声に木々のざわめき。

 緑と土の匂いが溢れるそこに住むのは、二人。


 一人は長身細身の、暗い顔をした魔導師。
 もう一人は、非常に美しく整った顔立ちの従者。



       【塔のようです】
   【三話 これだからご主人様は。】



 そこはいつも、陰鬱とした空間に存在する。

47: 2011/11/02(水) 21:02:13 ID:M6gdIC.kO

('A`)「クー、さっきから何してるんだ」

川 ゚ -゚)「求人情報紙見てます」

('A`)「お前そんなにこの職場に不満があったのか」

川 ゚ -゚)「いえ別に、ただ色々すればもっと良い感じになるかと思って」

('A`)「良い感じって何だよ」

川 ゚ -゚)「カリスマなメイドとして敬われたり」

('A`)「家事の出来ないメイドが?」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「お昼にしましょう」

('A`)「うん」

49: 2011/11/02(水) 21:04:26 ID:M6gdIC.kO

('A`)「しかし、敬われて楽しいか?」

川 ゚ -゚)「気持ち良いんじゃないですかね、ご主人様はどうですか」

('A`)「敬われた事はないからなあ」

川 ゚ -゚)「いえ、この絶世の美メイドにご主人様と呼ばれて」

('A`)

川 ゚ -゚)

('A`)「今度はカリフラワーかぁ」

川 ゚ -゚)「流さないで下さいよド腐れニート様」

('A`)「そんな顎と鼻の尖ったギャンブルで生計を立てる青年の様な呼び方はやめなさい」

川 ゚ -゚)「ご主人様ですよご主人様、追加料金とられますよこんなの」

('A`)「メイド喫茶でもご主人様は通常メニュー内だと思うよ」

川 ゚ -゚)「よく見てくださいよ、こんな美メイド他に居ると思います?」

('A`)「はいはい」

50: 2011/11/02(水) 21:06:10 ID:M6gdIC.kO

川 ゚ -゚)「クソが、美メイドでしょうよ僕は、愛らしくも美しい傾国のメイドでしょうよ」

('A`)「何言ってんだ12歳児」

川 ゚ -゚)「なおさら希少価値ですよ、この若さにしてこの美しさ、ご主人様タマ無しだからもう」

('A`)「あるよ、全力で二つあるよ」

川 ゚ -゚)「キモいですねご主人様」

('A`)「お前は本当にひどいメイドだ」

川 ゚ -゚)「タマ無しじゃなきゃ僕を野放しにはしませんよ」

('A`)「野放しにしたつもりは無い、寧ろこんなメイドを野放しに出来るか」

川 ゚ -゚)「ああ、野放しにしたらそこらじゅうで国が傾きますよね」

('A`)「家事出来ないもんな」

川 ゚ -゚)「本当に腹が立ちますねご主人様は、いつ頃氏ぬご予定なんですか」

('A`)「まだ氏にませんーだ」

51: 2011/11/02(水) 21:08:22 ID:M6gdIC.kO

川 ゚ -゚)「しかし、ご主人様は本当に名誉や地位に興味は無いんですか」

('A`)「名声とか?」

川 ゚ -゚)「あって困るもんでもないでしょう、僕ならかき集めますよ」

('A`)「興味無いし、それに地位とかあったらめんどくさいぞ」

川 ゚ -゚)「ご主人様がめんどくさがり過ぎなんです」

('A`)「地位なんか持ってみろよ、やる事なす事みーんな制限されるんだ」

川 ゚ -゚)「まあ、自由は無くなりますね」

('A`)「名声って事はそれだけ人に見られるんだ、そんな息苦しい生活があるかよ」

川 ゚ -゚)「む……」

('A`)「好きな時に寝て、起きて、本を読んで不味い飯食う生活が好きだよ、俺は」

川 ゚ -゚)「マゾですかご主人様」

('A`)「あれ、かっこいい話じゃなかった?」

川 ゚ -゚)「いえ、ご主人様がドマゾなだけの話です」

('A`)「あれえ」

52: 2011/11/02(水) 21:10:36 ID:M6gdIC.kO

川 ゚ -゚)「つまり、高みを目指すつもりは無いと」

('A`)「専門分野は極めたいと思うよ」

川 ゚ -゚)「ご主人様って職業カンストして勇者になるタイプですよね」

('A`)「6は全員勇者にしてからが本番だよ」

川 ゚ -゚)「やっぱドマゾですねご主人様」

('A`)「否定できない気がする」

川 ゚ -゚)「ご飯出来ましたよ」

('A`)「カリフラワーの味噌汁ってなんか斬新だな」

川 ゚ -゚)「カリフラワーとかどう料理するのはよくわかりません」

('A`)「俺はグラタンにしてみた」

川 ゚ -゚)「何となく新感覚ですね」

53: 2011/11/02(水) 21:12:21 ID:M6gdIC.kO

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「どうした、カリフラワー不味かったか?」

川 ゚ -゚)「いえ意外と美味しいです」

('A`)「じゃあ何だ?」

川 ゚ -゚)「……ご主人様、僕は必要ですか?」

('A`)「止めろよシリアス路線、疲れるよ」

川 ゚ -゚)「茶化さない」

('A`)「普段茶化す側のくせに……必要だよ、外に出たくないし」

川 ゚ -゚)「それだけですか」

('A`)「一人はな」

川 ゚ -゚)「はい」

('A`)「一人きりだとな、寂しいよ」

川 ゚ -゚)「……」

54: 2011/11/02(水) 21:14:11 ID:M6gdIC.kO

('A`)「親元から飛び出してここに住んで、気が付いたら親は氏んでた」

川 ゚ -゚)「……ご主人様、」

('A`)「親の氏に目にあえないどころか、墓の場所も知らないんだ俺は」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「まだ十代だった、天涯孤独になって、本としか向き合えなかった」

川 ゚ -゚)「ご主人様は、寂しいんですか」

('A`)「寂しいよ、寂しくない生き物なんて居ない」

川 ゚ -゚)「孤独が、力にもなるんですね」

('A`)「ああ……孤独だから、魔導師になれたんだろうなあ俺は」

川 ゚ -゚)「…………ご主人様は孤独が似合いますよ」

('A`)「厨二乙」

川 ゚ -゚)「すっげーむかつく」

55: 2011/11/02(水) 21:16:50 ID:M6gdIC.kO

川 ゚ -゚)「何ですかもう、せっかく寂しそうなご主人様をこの胸で泣かせて差し上げようと思ったのに」

('A`)「胸無いだろ」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「無いですけどね」

('A`)「無いよな」

川 ゚ -゚)「無いと自覚してますが、改めて言われると何となく腹立たしいですね」

('A`)「良いじゃん、無いもんは無いんだから」

川 ゚ -゚)「そうですけど」

('A`)「ほら後片付けして」

川 ゚ -゚)「はーい」

('A`)「洗うと皿割るから置くだけにしろよー」

56: 2011/11/02(水) 21:19:09 ID:M6gdIC.kO

('A`)

('A`)「喋りすぎたなあ……」

('A`)「孤独かあ……」

('A`)

('A`)「名声とかあっても、孤独は孤独、かあ」

('A`)「だったら、今のままで良いな」

('A`)

('A`)「クー、お茶しようか」

('A`)「俺がいれるから触らないで、そのお茶葉良いやつだからやめて、やめて」

('A`)「やめて! なみなみと茶葉入れないで!!」

('A`)「そのままお湯入れるのはもっとやめてえええええ!!」

57: 2011/11/02(水) 21:20:03 ID:M6gdIC.kO



('A`)「……」

川 ゚ -゚)「どうしたんですかご主人様、顔が悪いですよ」

('A`)「唐突に暴言ですか」

川 ゚ -゚)「間違えました、顔は生まれつきですよね、顔色が悪いですよ」

('A`)「ああ、うん、もう良いや否定できないし……まずお前のせいだ」

川 ゚ -゚)「僕が何をしたんですか失礼な」

('A`)「一缶5kのお茶葉を駄目にしてくれたね」

川 ゚ -゚)「そんなもん買ってるから飯食えないんですよ」

('A`)「良いお茶は美味しいだろ……美味しい方が良いだろ……」

川 ゚ -゚)「僕は夏場に飲むきんきんに冷えた麦茶が世界で一番美味しいお茶だと思います」

('A`)

川 ゚ -゚)

('A`)「そうだね」

川 ゚ -゚)「はい」

58: 2011/11/02(水) 21:22:05 ID:M6gdIC.kO

('A`)「クーは名声が欲しいのか?」

川 ゚ -゚)「いえ、もうどうでも良いです」

('A`)「そっか」

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「名声は良いですから仕事はしてください」

('A`)「今度は魔王軍に術式売ってみようか」

川 ゚ -゚)「どんな感じのを?」

('A`)「発動したらコショウが充満する術式」

川 ゚ -゚)「ご主人様はやっぱり鬼畜ですか、何で鼻がむずむずする魔法ばっかりなんですか」

('A`)「じゃあ辺り一面トリモチの海になる術式」

川 ゚ -゚)「ご主人様は戦場に個人的な感情で嫌がらせをしたいだけですよね」

59: 2011/11/02(水) 21:24:04 ID:M6gdIC.kO

('A`)「何か良い術考えようぜ」

川 ゚ -゚)「発動したら目が充血する術式とか」

('A`)「めばちこ出来るとか」

川 ゚ -゚)「工口本が全部机に並べられるとか」

('A`)「ベルトのバックルが突然吹っ飛ぶとか」

川 ゚ -゚)「利き手と逆の鋏を買うとか」

('A`)「厨二病が再発するとか」

川 ゚ -゚)「ジョジョ立ちしないと会話が出来ないとか」

('A`)「邪気眼が疼くとか」

川 ゚ -゚)「ひたすらサクランボを舌で転がし続けるとか」

('A`)「やおい穴が出来るとか」

川 ゚ -゚)「なにそれこわい」

60: 2011/11/02(水) 21:26:08 ID:M6gdIC.kO

川 ゚ -゚)「やおい穴が出来たら人体ってどうなるんでしょうか」

('A`)「さあ」

川 ゚ -゚)「うんこどこから出るんでしょうね」

('A`)「肛門じゃね」

川 ゚ -゚)「ああ、肛門が二つ三つになる術式とか」

('A`)「息子が2、3本になるとか」

川 ゚ -゚)「何と奇遇な」

('A`)「ホ〇じゃねーか」

川 ゚ -゚)「そう言うニーズもありますよ、きっと」

('A`)「なにそれこわい」

川 ゚ -゚)「ご主人様が盾となり喜ぶ人も居ますよきっと」

('A`)「なにそれとてもこわい」

川 ゚ -゚)「盾に矛突っ込むんですよね」

('A`)「その盾って不良品じゃない?」

61: 2011/11/02(水) 21:28:43 ID:M6gdIC.kO

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「攻めの反対語は?」

('A`)「特防」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「ポケモンかよ……」

('A`)「クー、攻めの反対語は?」

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「ちょっと待って、それはどう言う意味なの」

川 ゚ -゚)「攻められたらご主人様を盾にして逃げます」

('A`)「お前は本当にメイドとしての自分を見直してみるべきだ」

川 ゚ -゚)「可愛いは正義です」

('A`)「もうやだこのメイド」

62: 2011/11/02(水) 21:30:09 ID:M6gdIC.kO

川 ゚ -゚)「アホ言ってないでこの大量のカリフラワー何とかしてくださいよ」

('A`)「アホ言ったのは間違いなくお前だけどカリフラワーは足が早いな」

川 ゚ -゚)「お隣さん今度はカリフラワー魔法失敗したんですね」

('A`)「ホクホク……してるかな、一応」

川 ゚ -゚)「ご主人様、一回このカリフラワーで魔法使って下さいよ」

('A`)「食べ物を粗末にはしたくないなあ」

川 ゚ -゚)「カリフラワーを媒体に食べ物を出しましょうよ」

('A`)「じゃあやってみるかあ」

川 ゚ -゚)「魔方陣描きます?」

('A`)「いや、このくらいなら要らない」

川 ゚ -゚)「お隣さんはガチガチの魔方陣描いてるのに」

('A`)「もう八百屋やった方が良いんじゃないかなお隣さん」

63: 2011/11/02(水) 21:32:10 ID:M6gdIC.kO

('A`)「よっと…………ドクオ・ソリテールの名において命ず、」

川 ゚ -゚)「そう言うの良いですから」

('A`)「本当にお前はひどい、わかったよちゃちゃっとやるよ」

川 ゚ -゚)「はいはい」

('A`)「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿はカリフラワー!!」

川 ゚ -゚)「何その呪文」

('A`)「ちゃちゃっとやった結果がこれだよ」

川 ゚ -゚)「って事は本当は長々とそれを言うつもりだったんですか」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「ご主人様おかしいです、主に頭部周辺が…………あ、カリフラワーが」

('A`)

川 ゚ -゚)

('A`)「ブロッコリーになった」

川 ゚ -゚)「何ですかこのミラクルは」

64: 2011/11/02(水) 21:34:08 ID:M6gdIC.kO

川 ゚ -゚)「ご主人様、お野菜の錬金術師って称号はどうですか」

('A`)「そんなお野菜特化型錬金術は嫌だ」

川 ゚ -゚)「じゃ、夕飯はブロッコリーですね」

('A`)「お隣さんにお裾分け持っていってね」

川 ゚ -゚)「びっくりするでしょうねお隣さん」

('A`)「だろうね、じゃあまたグラタンでも作るか」

川 ゚ -゚)「昼夜グラタンとか胃もたれしますよ」

('A`)「若いんだから頑張れ」

川 ゚ -゚)「中年が」

('A`)「俺は今とても傷付いた」

川 ゚ -゚)「はいはい、夕飯作りましょうね」

('A`)「んー」



【三話 おわり】

69: 2011/11/03(木) 21:00:49 ID:zLmX/B86O

 そこは深く暗く、鬱蒼とした森の奥の奥。

 ぞろりと天を睨む様に聳える、蔦を這わせた灰色の塔。

 周囲には森があるだけ。
 聞こえるのは夜の鳥の声に木々のざわめき。

 緑と土の匂いが溢れるそこに住むのは、二人。


 一人は長身細身の、暗い顔をした魔導師。
 もう一人は、非常に美しく整った顔立ちの従者。



       【塔のようです】
   【四話 ご主人様、何か届いた。】



 そこはいつも、陰鬱とした空間に存在する。

70: 2011/11/03(木) 21:02:15 ID:zLmX/B86O

川 ゚ -゚)「ご主人様、今日の平均株価はいつも通りです」

('A`)「今まで一度も気にした事は無いけど」

川 ゚ -゚)「いや、新聞が来てたのでつい」

('A`)「契約してないけど」

川 ゚ -゚)「この間あんまりにも必氏に契約してくれと淫獣の様に言うので」

('A`)「したのか?」

川 ゚ -゚)「いえ、取り敢えず一ヶ月投函して様子を見てから決めると」

('A`)「とんでもないよなお前」

川 ゚ -゚)「毎日こんな森の奥までご苦労様ですよ」

('A`)「本当にとんでもないよなお前」

川 ゚ -゚)「あ、小包届いてますよ」

('A`)「誰から?」

川 ゚ -゚)「城からですね、先日の術式で戦況がひっくり返ったからそのお礼らしいです」

('A`)「ふーん」

71: 2011/11/03(木) 21:04:45 ID:zLmX/B86O

川 ゚ -゚)「何度も城に勲章貰いに来いって通知をうんことだけ書いて送り返してましたからね」

('A`)「何してるのお前は」

川 ゚ -゚)「口座に500kも振り込まれてますよ、これで色々回せますね」

('A`)「ネトゲみたいに言うな」

川 ゚ -゚)「ところでこれ、勲章なんですかね」

('A`)「開けてみたら?」

川 ゚ -゚)「わーい」バリバリ

川 ゚ -゚)

('A`)「何だった?」

川 ゚ -゚)「金の杯と勲章です」

('A`)「文鎮壊れたからちょうど良いな」

川 ゚ -゚)「これ何CC入るんですかね」

('A`)「重い計量カップだな」

72: 2011/11/03(木) 21:06:18 ID:zLmX/B86O

( ;∀;)「ドクオさーん……へきしっ」

('A`)「あ、モララーさん」

川 ゚ -゚)「お久しぶりです間男様、どうなさいましたか」

( ;∀;)「ぇっくしゅ……こないだ、術式送ったでしょ……」

('A`)「ああ、魔王軍にも送りましたね」

( ;∀;)「あれ、ぶぇくしっ……連合国と同時に発動させたみた……いっきし……いで」

('A`)「……」

( ;∀;)「俺、ちょうどその間に居たんです……えっきしゅん!」

('A`)「……花粉症、ですか……」

( ;∀;)「それだけ、っくしゅ……なら、まだしも……」

('A`)「あ」

( ;∀;)「主に下半身が凄い事に……ぶぇきしっ……なったんですけど……っくしゅん!」

川 ゚ -゚)「取り敢えず花粉症の方を治して差し上げましょうよ」

('A`)「うん、そうだな」

( ;∀;)「いや、それより……へぶしっ……下半身……」

73: 2011/11/03(木) 21:08:22 ID:zLmX/B86O



( ・∀・)「あー……つらかった……」

('A`)「いやあ、まさか両方食らう猛者が居るとは」

( ・∀・)「いや、本当に……腕良いですねドクオさん……」

川 ゚ -゚)「間男様、下半身どうなったんですか」

(;・∀・)「モララーです! ……ちょっと、言いづらい事に……」

川 ゚ -゚)「見せて下さい」

(;・∀・)「嫌だよ!? 何でさも当然みたいな顔で言ってるの!?」

川 ゚ -゚)「気になるじゃありませんか、と言うかどれ送ったんですかご主人様」

('A`)「なんと奇遇なやおい穴」

川 ゚ -゚)「混ぜたよこの人」

(;・∀・)「もうひどい有り様ですよ戦場……」

74: 2011/11/03(木) 21:10:12 ID:zLmX/B86O

('A`)「いやあすみません、まさかマジで両方食らうとは」

(;・∀・)「あの……これ、治せます?」

('A`)

(;・∀・)

('A`)「クー、昨日焼いたスコーン持ってきて」

川 ゚ -゚)「はい」

(;・∀・)「な、治せない!? 治せないの!? 俺ずっとこの下半身なの!?」

('A`)「ちょっと出してください」

(;・∀・)「あのメイドにしてこの主人あり!?」

('A`)「いや、状態確認しないと治しようがないので」

(;・∀・)「う……分かりました……」

('A`)「人払いもしましたし、どうぞ」

75: 2011/11/03(木) 21:13:02 ID:zLmX/B86O

(;・∀・)「じゃ、じゃあ失礼して……」

(;・∀・)ボロンッ

('A`)

(;・∀・)

('A`)

(;・∀・)「ドクオさん……?」

('A`)「ハッ…………いや、うん……あの……」

(;・∀・)「は、はい……」

('A`)「すげぇなコレ……」

(;・∀・)「張本人! こうした張本人!!」

川 ゚ -゚)「ご主人様、もう無かっ」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「失礼しました」

(;・∀・)「待って! 何か待って!! いや待たないで!! もう行って!! もうやだ!!」

76: 2011/11/03(木) 21:15:12 ID:zLmX/B86O

(;・∀・)「……ドクオさぁん……」

('A`)「あ、ああ……はい……すみません、衝撃映像で……」

(;・∀・)「一応こうしたのドクオさんですから……」

('A`)「ええと、治せますけど」

(;・∀・)「本当ですか!?」

('A`)「ただ、あの、ちょっと……」

(;・∀・)「えっ……何か、問題が……?」

('A`)「調合した薬を、患部に塗り込むんですけど……」

(;・∀・)「うわあああああああああ!!?」

('A`)「薬はお渡ししますから……ご自分で、あの……うん……」

(;・∀・)「もうやだ! もうやだ!! 何だこの悲惨な図!!」

('A`)「あの……頑張って、やおい穴に塗り込んでください……」

( ;∀;)「ほわぁあああああああああッ!!!!」

川 ゚ -゚)(ひでぇ会話だなあ……)

77: 2011/11/03(木) 21:16:20 ID:zLmX/B86O



川 ゚ -゚)「……ご主人様、スコーン無かったからカリッとサクッと美味しいスコーン持ってきました」

('A`)「ああ、うん、ありがとう」

川 ゚ -゚)「……モララー様は?」

('A`)「…………トイレ」

川 ゚ -゚)「ああ……薬、調合したんですか」

('A`)「作りおきを混ぜるだけでいけたから……うん……」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「やり過ぎましたかね」

('A`)「せめて一つにすべきだったかな……」

川 ゚ -゚)「ですね……」

78: 2011/11/03(木) 21:18:10 ID:zLmX/B86O

('A`)「あ」

川 ゚ -゚)「どうしました」

('A`)「あの薬、消すところ以外に塗ると大変な事になるんだけど」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「伝えて来ま」

( ;∀;)「ドクオさあああああああああん!!!!」

川 ゚ -゚)「すと言いたかったが遅かったみたいですね」

('A`)「ごめん、モララーさんごめん、本当にごめん」

( ;∀;)「どうするんですかコレ!! マネキンみたいになりましたよ!!?」

('A`)「生やす術探すから……ごめん……」

( ;∀;)「うわあああああん!! もうやだこの下半身!!」

川 ゚ -゚)(どうなったのか気になるけどさすがに言いづらいな……)

79: 2011/11/03(木) 21:21:24 ID:zLmX/B86O

川 ゚ -゚)「落ち着かれましたか」

( ・∀・)「はい……すみません……」

川 ゚ -゚)「どんな感じですか」

( ・∀・)「下半身の喪失感がハンパないです」

川 ゚ -゚)「申し訳ございません、ご主人様って勉強できるタイプのアホで」

( ・∀・)「アホって……ただちょっとうっかりしただけじゃ……」

川 ゚ -゚)「ただのうっかりさんは毛布纏って彷徨きません」

( ・∀・)「あ、うん……まあ……でもドクオさん、魔法学院とか出てないんですか?」

川 ゚ -゚)「無学歴ですよ、僕もですけど」

( ・∀・)「ああうん、俺もだけど……学校に行くにはかなりかかるからなあ」

川 ゚ -゚)「良いとこのボンボンですけどね」

( ・∀・)「ソリテール家ですよね、超名門の魔導師家系の」

川 ゚ -゚)「今じゃご主人様しか居ませんけどね」

( ・∀・)「……ドクオさんも、色々あったんでしょうね」

80: 2011/11/03(木) 21:22:37 ID:zLmX/B86O

川 ゚ -゚)「生まれて32年、ただただ本読んでたらしいです」

( ・∀・)「なのに眼鏡してないんですね」

川 ゚ -゚)「こまめにホイミしてるみたいです」

( ・∀・)「ホイミってただの癒し魔法だったような」

川 ゚ -゚)「ま、ご主人様は趣味であれだけの力を付けていらっしゃいますから」

( ・∀・)「趣味で大魔導師とか」

川 ゚ -゚)「氏ぬほどめんどくさがりやですけどね」

( ・∀・)「それはわかります」

川 ゚ -゚)「めんどくさがりで勉強しか生き甲斐のないド貧乏オナ禁童O王です」

(;・∀・)「ご主人に対してその言いぐさはどうなんだろう……」

川 ゚ -゚)「良いんですよ、僕は事実のみを口にしていますから」

(;・∀・)「良くない、きっと色々良くない!」

81: 2011/11/03(木) 21:24:33 ID:zLmX/B86O

川 ゚ -゚)「じゃあモララー様はご主人様をどう良い感じに表現しますか」

( ・∀・)「えっ」

川 ゚ -゚)「良い感じに」

(;・∀・)

川 ゚ -゚)

(;・∀・)「……勤勉で、邪な欲求に左右されない……無欲な、魔導師……?」

川 ゚ -゚)「そんなに頑張って表現なさらなくても」

(;・∀・)「いや、あの……うん……ごめん……」

川 ゚ -゚)「ほら、僕が言った通りでしょう? ガリ勉ド貧乏オナ禁童O王なんですよ」

(;・∀・)「ひ、否定しづらくなってきた……」

('A`)

(・∀・;)「ドクオさん!?」

('A`)「分かってる……自分の事は、自分が一番分かってる……から……」

(・∀・;)「すみません! すみません! 本当すみません!! ごめんなさい!!」

82: 2011/11/03(木) 21:26:11 ID:zLmX/B86O

('A`)「……これ、薬作りましたから……生やしたい場所とかにのみ適量塗って下さい……」

(;・∀・)「本当ごめんなさい……ありがとうございます……」

('A`)「うん…………うん……」

(;・∀・)「……あ、あの……お手洗い借ります……」

('A`)「どうぞ……」

川 ゚ -゚)「ご主人様しょげないで下さいよ、鬱陶しい」

('A`)「うるせえ……」

川 ゚ -゚)「じゃあガリ勉ド貧乏オナ禁童O王じゃないと否定してみてください」

('A`)「あのね、人間は本当の事を言われると傷付く事もあるの」

川 ゚ -゚)「ごめんなさい」

('A`)「謝るな、余計に傷付く」

川 ゚ -゚)「本当にごめんなさい」

('A`)「やめろ、もう心を抉るな、それ以上俺を傷付けるな」

83: 2011/11/03(木) 21:28:26 ID:zLmX/B86O

川 ゚ -゚)「元からこれ以上ないくらいに歪みきってるじゃないですか」

('A`)「いや傷付けるなとは言ったけど歪みについて口にした記憶はない」

川 ゚ -゚)「顔が」

('A`)「泣きたい」

川 ゚ -゚)「あと性根も」

('A`)「お前が言うな」

川 ゚ -゚)「ガリ勉ド貧乏オナ禁童O王ご主人様、夕飯はどうしましょう」

('A`)「今日はお隣さんから里芋が大量に届いてるから煮物にしようかクソガキ」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「喧嘩なら70%オフで買いますよ」

('A`)「そんなところでやりくり上手な出来るメイド感を出すな」

84: 2011/11/03(木) 21:31:15 ID:zLmX/B86O

川 ゚ -゚)「うふふ、僕ってば最高なメイドですよね」

('A`)

川 ゚ -゚)「ご主人様、何ですかその顔」

('A`)「地顔です」

川 ゚ -゚)「ああ、地盤から歪んでるからそうなられたんですね」

('A`)「無言に対して辛辣かつえげつない言葉を浴びせるとは」

川 ゚ -゚)「否定なさいますか」

('A`)「いいえ」

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「なんとなくムカつくから殴らせて下さい」

('A`)「なんとなくで殴られてなるものか」

川 ゚ -゚)「じゃあいつ頃お氏にになるご予定ですか」

('A`)「そんなに主人の氏を願うな」

85: 2011/11/03(木) 21:32:43 ID:zLmX/B86O

( ・∀・)「はー……治った……良かった……」

('A`)「あ、大丈夫でしたか」

( ・∀・)「はい、ありがとうございました」

('A`)「いえ、元はと言えば俺のせいですから」

川 ゚ -゚)「タマ無し様もご夕飯いかがですか」

(;・∀・)「もうあります! あ、じゃあご好意に甘えて……」

('A`)「里芋と鶏肉でも煮物にしますか、クーは?」

川 ゚ -゚)「焼き芋です」

('A`)「そんなに焼き芋に固執するなよ、里芋だって言ってるのに」

( ・∀・)「あ、僕も手伝います」

('A`)「じゃ、作りますか」

川 ゚ -゚)「はーい」



【四話 おわり】

90: 2011/11/04(金) 21:02:51 ID:1LjcggkAO

 そこは深く暗く、鬱蒼とした森の奥の奥。

 ぞろりと天を睨む様に聳える、蔦を這わせた灰色の塔。

 周囲には森があるだけ。
 聞こえるのは夜の鳥の声に木々のざわめき。

 緑と土の匂いが溢れるそこに住むのは、二人。


 一人は長身細身の、暗い顔をした魔導師。
 もう一人は、非常に美しく整った顔立ちの従者。



       【塔のようです】
   【五話 これはいったい何です。】



 そこはいつも、陰鬱とした空間に存在する。

91: 2011/11/04(金) 21:04:09 ID:1LjcggkAO

('A`)「クー、お前メイドなんだからちょっとは働けよ」

川 ゚ -゚)「嫌ですよ、働くくらいなら氏にます」

('A`)「なら氏ねば良いのに」

川 ゚ -゚)「嫌ですよ何言ってるんですかご主人様、頭おかしいんじゃないですか」

('A`)

川 ゚ -゚)

('A`)「裏から薬草とってきて」

川 ゚ -゚)「わかりました」

('A`)「もう間違えてマンドラゴラ持ってこないでよ」

川 ゚ -゚)「あれ凄くうるさいんですよね」

('A`)「引き抜く時の声を聞いたら氏ぬって言う植物なんだけどあれ」

川 ゚ -゚)「ピンピンしてますが」

('A`)「お前は何者だ」

92: 2011/11/04(金) 21:06:14 ID:1LjcggkAO

('A`)「うん、またお隣さんから野菜が」

('A`)

('A`)「今度は冬瓜か……」

('A`)「スープにするくらいしか調理法が思い付かないなこれ」

('A`)

('A`)「成功した事あんのかな、お隣さん……」

('A`)「今度、教えに行こうかな」

('A`)「いや外に出るのめんどくさいから良いや」

('A`)「うん、まだ何か…………手紙か、また城からかな」

('A`)

('A`)?

('A`)「なんだこれ」

93: 2011/11/04(金) 21:08:12 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「とってきましたよご主人様、マンドラゴラ」

('A`)「お前は本当に中途半端な話の聞き方をする」

川 ゚ -゚)「あれ、何ですかそれ」

('A`)「魔王軍の方からお礼」

川 ゚ -゚)「へー、律儀ですね魔王軍も…………何ですかこれ」

('A`)「わからん」

川 ゚ -゚)「スーパーゲームボーイですかね」

('A`)「そうとしか見えないよな」

川 ゚ -゚)「本体ありませんよね」

('A`)「まずテレビが無いからな」

川 ゚ -゚)「スーパーゲームボーイに似た魔導具ですかね」

('A`)「かな、しかしどう使うやら」

94: 2011/11/04(金) 21:11:22 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「しかしまあ、両軍とも飽きずに戦争しますね」

('A`)「向こうさんも仕事だろうしな」

川 ゚ -゚)「ご主人様は氏体を見た事がありますか」

('A`)「あるよ、虫とか」

川 ゚ -゚)「それは氏体と言うより氏骸」

('A`)「大して違わないだろ」

川 ゚ -゚)「虫の氏骸見てもうへぇで済みますすけど、氏体はもっと違うでしょ」

('A`)「そうでもないよ」

川 ゚ -゚)「え?」

('A`)「他人が氏んで、そう悲しむのか?」

川 ゚ -゚)「悲しまないんですか?」

('A`)「可哀想だとは思うよ、故人や遺族の方に」

川 ゚ -゚)「それだけですか?」

('A`)「それ以上の感情が生まれたところで、何か出来るのか?」

川 ゚ -゚)「……出来ませんね」

95: 2011/11/04(金) 21:12:19 ID:1LjcggkAO

('A`)「そう言う事だよ」

川 ゚ -゚)「でも、悲しみますよ、少しは」

('A`)「悲しんでも、何も出来ないからな」

川 ゚ -゚)「そう、ですけど」

('A`)「誰かが簡単に氏なない環境を作る事に尽力する方がずっと効率的だ」

川 ゚ -゚)「効率厨が」

('A`)「事実だよ」

川 ゚ -゚)「理解は出来ますが、釈然としません」

('A`)「お前は若いからな」

川 ゚ -゚)「中年」

('A`)「中年だから、ドライになるんだよ」

川 ゚ -゚)「それにしたってご主人様、感情の起伏が無さすぎます」

('A`)「疲れる」

川 ゚ -゚)「クソが」

96: 2011/11/04(金) 21:14:40 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「もう少し泣いたり笑ったり出来ないんですか」

('A`)「お前が言うな」

川 ゚ -゚)「僕はこのクールなフェイスの向こうで魂が熱く燃えていますから」

('A`)

川 ゚ -゚)

('A`)「で?」

川 ゚ -゚)「ご主人様は僕が氏んだら悲しみますか」

('A`)「わからん」

川 ゚ -゚)「従い甲斐の無いご主人様ですね」

('A`)「そうかもなあ」

川 ゚ -゚)「そう思うならもっと愛を下さいよ」

('A`)「めんどくさい」

川 ゚ -゚)「早々にお亡くなりになる事をお勧めしますご主人様」

('A`)「さすがに拒絶する」

97: 2011/11/04(金) 21:16:23 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「もう良いですご主人様のハゲ」

('A`)「髪はある」

川 ゚ -゚)「ハゲろ」

('A`)「嫌だ」

川 ゚ -゚)「おハゲ下さいませご主人様」

('A`)「丁寧に言っても嫌だ」

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「そろそろ夕飯の準備をしましょうか」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「冬瓜のパスタにしますね」

('A`)「じゃあ俺はグラタンね」

川 ゚ -゚)「またですか……」

98: 2011/11/04(金) 21:18:07 ID:1LjcggkAO

('A`)「悲しい、かあ」

川 ゚ -゚)「まだ悩んでるんですか」

('A`)「親が氏んだって聞いて、悲しかったのかなあ俺」

川 ゚ -゚)「その時には僕まだ生まれてませんから」

('A`)「今とんでもなく悲しみが押し寄せた」

川 ゚ -゚)「ご主人様が僕くらいの歳の時にはまだ種にすらなってませんから僕」

('A`)「わかった、もうわかった、今すごく悲しい、俺とても悲しいから」

川 ゚ -゚)「ご主人様が二十歳の時に生まれてますから僕」

('A`)「ごめんやめて悲しい、これ半端無く悲しい、中年を思い知ったからやめて」

川 ゚ -゚)「良かったですね、ご主人様にも悲しむ心がありましたよ」

('A`)「わーいやったー全く嬉しくなーい」

川 ゚ -゚)「喜びましょうよ、多少は人間味があったんですから」

('A`)「こんな確認のしかたはしたくなかった」

99: 2011/11/04(金) 21:20:05 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「じゃあどんなのなら良かったんですか」

('A`)「メイドが氏ぬとか」

川 ゚ -゚)「おほざきにならないで下さいご主人様、寿命的にはご主人様の方が遥かに先ですから」

('A`)「そんな新しく遠回しな氏ねを聞いたのは初めてだ」

川 ゚ -゚)「ゲームじゃないんですからそう簡単に殺さないで下さいよ」

('A`)「お前がそれを言うのか」

川 ゚ -゚)「うるせー氏ね」

('A`)「初めてかも知れないね、単刀直入な氏ねは」

川 ゚ -゚)「はいはい、お隣さんにお裾分け持っていくから良い子にしてて下さいよ」

('A`)「何となく釈然としない言いぐさだ」

川 ゚ -゚)「あーはいはいそうですか」

('A`)「解せぬ」

100: 2011/11/04(金) 21:22:33 ID:1LjcggkAO

('A`)「……」

('A`)「グラタンの作り方」

('A`)「は、別に良いか……」

('A`)「ぶっちゃけ冬瓜のグラタンって美味しいのかな……」

('A`)

('A`)「食うの俺じゃないしまあ良いか」

('A`)「もっと悲惨なものを食う運命だしなあ」

('A`)「そういや、確かに感情はあんま動かないかなあ」

('A`)「最後に泣いたの、いつだったかな……」

('A`)

('A`)「えっ、マジでいつだ」

('A`)

('A`)「思い出せない事実に泣きたい」

101: 2011/11/04(金) 21:24:13 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「ひとよーんであーくまのしょっかー」

('A`)「お帰りショッカー」

川 ゚ -゚)「ただいま戻りました、主に顔が怪人のご主人様」

('A`)

川 ゚ -゚)「かいじーんあやつーるきょうふだしょっかー」

('A`)「止めなさい」

川 ゚ -゚)「まさかの素の制止」

('A`)「邪魔な相手は許さんぞ」

川 ゚ -゚)「人呼んで悪魔のショッカー」

('A`)「若い子わからないからこのネタ」

川 ゚ -゚)「僕12歳ですけど」

('A`)「お前はもう別枠だよ」

川 ゚ -゚)「ひとよーんであーくまのしょっかー」

('A`)「ひとよーんであーくまのしょっかー」

102: 2011/11/04(金) 21:26:16 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「ご主人様あれでしょ、ディスクシステムの時代でしょ」

('A`)「否定はしない」

川 ゚ -゚)「僕もうPS2くらいからの世代なんで」

('A`)「殴って良い?」

川 ゚ -゚)「ご主人様が暴力で訴えようとするの初めてですね」

('A`)「謎の怒りにうち震える」

川 ゚ -゚)「腹立たしくて腹立たしくて震えるんですか、寂しくて会いたくて震えたりしないんですか」

('A`)「会いたい相手が居ない」

川 ゚ -゚)「生きてて楽しいですかご主人様」

('A`)「居たとしても会いに行く服がない」

川 ゚ -゚)「ご主人様の人生に何の彩りも感じない上に端から見ていて生きる理由が見当たりません」

('A`)「なぜお前に俺の人生にまでダメ出しをされなければいけないのだろうか」

川 ゚ -゚)「いやマジで」

('A`)「マジであればあるほど泣きたい」

103: 2011/11/04(金) 21:28:34 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「ご主人様、意外と感情豊かじゃないですか」

('A`)「そうかな」

川 ゚ -゚)「常に真顔ですけど」

('A`)「お前もな」

川 ゚ -゚)「僕ら二人を合わせてなんて呼ばれてるか知ってますか」

('A`)「いや」

川 ゚ -゚)「氏体とネクロマンサー」

('A`)

川 ゚ -゚)

('A`)「なかなか的確だ」

川 ゚ -゚)「ああ……って納得しちゃうのが悔しいです」

('A`)「怪人操る恐怖だショッカー」

川 ゚ -゚)「邪魔な相手は許さんぞ」

104: 2011/11/04(金) 21:30:16 ID:1LjcggkAO

('A`)「俺がネクロマンサーなのかな」

川 ゚ -゚)「でしょうね、見た目的な意味で」

('A`)「せっかくだから氏体操る術でも覚えてみるか」

川 ゚ -゚)「ガチじゃないですか、笑い話にもならなくなりますよ」

('A`)「人を影でこそこそ笑うのならそれなりの覚悟をするべきだ」

川 ゚ -゚)「さすがご主人様、陰険かつ陰湿かつ陰鬱」

('A`)「どれだけ湿っぽいんだ俺は」

川 ゚ -゚)「足元からコケとキノコに侵食されてそうなくらい」

('A`)「なにそれこわい」

川 ゚ -゚)「そんなガチっぽい魔法覚えてどうするんですか、それよりもっと違うの覚えてくださいよ」

('A`)「たとえば?」

川 ゚ -゚)「トイレットペーパーが減らない魔法とか」

('A`)「切実じゃねーか」

105: 2011/11/04(金) 21:32:19 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「それよりショッカーが頭に回って離れないんですけど」

('A`)「奇遇だな、俺もだ」

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「テレビとスーファミ錬成してください」

('A`)

川 ゚ -゚)

('A`)「わかった」

川 ゚ -゚)「やったー」

('A`)「じゃあ錬成するから、それまで一人でショッカー歌ってて」

川 ゚ -゚)「地味にきついこと言いますねご主人様」

('A`)「ひとよーんであーくまのしょっかー」

川 ゚ -゚)「ひとよーんであーくまのしょっかー」

106: 2011/11/04(金) 21:34:28 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「かぜーがふくーみーよしょっかー」

川 ゚ -゚)「あらしーがあれるーちからーよしょっかー」

川 ゚ -゚)「せーかいはせーいふくいーだいなしょっかー」

川 ゚ -゚)「かいじーんあやつーるきょうふだしょっかー」

川 ゚ -゚)「じゃーまなあいてはゆるさんぞー」

川 ゚ -゚)「しゅつげきーそれゆけーかいじんぐーん」

川 ゚ -゚)「ひとよーんであーくまのしょっかー」

川 ゚ -゚)「ひとよーんであーくまのしょっかー」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「一番歌いきっちゃったぞおい……」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「ご主人様ー、まだー?」

107: 2011/11/04(金) 21:36:14 ID:1LjcggkAO

('A`)「出来たよ」

川 ゚ -゚)「ご主人様のわけのわからないポテンシャル」

('A`)「作れって言ったくせに、ほらテレビとスーファミ」

川 ゚ -゚)「わーいこれで僕も情報通」

('A`)「ここ電波が来てないよ」

川 ゚ -゚)

('A`)「あと地デジじゃない」

川 ゚ -゚)

('A`)「よく考えたらこの塔にコンセント無いわ」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「夕飯にしましょう」

('A`)「うん」

108: 2011/11/04(金) 21:38:24 ID:1LjcggkAO

川 ゚ -゚)「ご主人様、今度地デジのために工事しましょうよ」

('A`)「やだよめんどくさい」

川 ゚ -゚)「ご主人様ってそう言う人間ですよね」

('A`)「あのテレビどうしようか」

川 ゚ -゚)「知りませんよあんなブラウン管」

('A`)「お前ってひどいよな」

川 ゚ -゚)「もう知りませんよ、ご飯食べたら寝ましょう」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「結局魔王軍から届いたのなんだったんでしょうね」

('A`)「さあ?」



【四話 おわり】

111: 2011/11/05(土) 21:05:08 ID:vy6bFI2MO

 そこは深く暗く、鬱蒼とした森の奥の奥。

 ぞろりと天を睨む様に聳える、蔦を這わせた灰色の塔。

 周囲には森があるだけ。
 聞こえるのは夜の鳥の声に木々のざわめき。

 緑と土の匂いが溢れるそこに住むのは、二人。


 一人は長身細身の、暗い顔をした魔導師。
 もう一人は、非常に美しく整った顔立ちの従者。



       【塔のようです】
   【六話 ご主人様、大概にしろ。




 そこはいつも、陰鬱とした空間に存在する。

112: 2011/11/05(土) 21:06:42 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「ご主人様、お手紙が届いてます」

('A`)「届いてない日があった気がしない」

川 ゚ -゚)「こないだのスーパーゲームボーイは送り先間違えたみたいです」

('A`)「魔王軍はどこにスーパーゲームボーイを送ろうとしていたんだ」

川 ゚ -゚)「お隣さんです」

('A`)「どう言う事なの」

川 ゚ -゚)「そのお隣さんから今度は大量のへちまが届いてます」

('A`)「食えねぇ」

川 ゚ -゚)「へちま料理って無いんですかね」

('A`)「へちま水とたわししか作れる気がしない」

川 ゚ -゚)「一応食べる地域はあるみたいです」

('A`)「じゃあ料理してみるか」

113: 2011/11/05(土) 21:08:06 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「しかし瓜系は足が早そうですね」

('A`)「残ったのはたわしにするよ」

川 ゚ -゚)「久々のあまり嬉しくないお野菜ですね」

('A`)「へちまを野菜と言われて沸き上がるこの違和感はどうしようもないと思う」

川 ゚ -゚)「小学生が育てるレベル」

('A`)「ところで、お隣さんはスーパーゲームボーイどうしたの?」

川 ゚ -゚)「大画面でカエルのために鐘はなるやってました」

('A`)「神ゲーか、ならしょうがない」

川 ゚ -゚)「まずお隣さんの家には普通に電気が通じてて驚きましたよ」

('A`)「だってお隣さんは普通の一軒家だし、ここ数百年前から遺棄されてた廃墟同然の塔だし」

川 ゚ -゚)「何でこんなとこ住んでるんですか、むしろなぜ住み始めたんですか」

('A`)「土地代込みで氏ぬほど安かったから」

川 ゚ -゚)「ならしょうがないですね」

('A`)「な、しょうがないだろ」

114: 2011/11/05(土) 21:10:12 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「そう言えばご主人様、街の魔導師が凄い勢いで手柄をあげてるみたいですよ」

('A`)「ふーん」

川 ゚ -゚)「名声に興味がないのはわかってますが、何か悔しくないですか?」

('A`)「いや別に」

川 ゚ -゚)「ご主人様より10歳も下の若造なんですよ? 前に街に行った時に見かけましたけどマジ若造」

('A`)「若さはそのまま強みにもなるからなあ」

川 ゚ -゚)「悔しくはないのですか? 嫉妬したりしないんですか?」

('A`)「非合理的」

川 ゚ -゚)「効率厨うっぜ」

('A`)「若いから名声とか地位も欲しくなるだろうし、若い芽を摘む気もないし……それに」

川 ゚ -゚)「それに?」

('A`)「腕は、間違いなく俺の方が良いから」

115: 2011/11/05(土) 21:12:18 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「凄い自信ですね、珍しい」

('A`)「多少の自負は自己を保つのに必要なもんだよ、根拠もある」

川 ゚ -゚)「根拠と申しますと」

('A`)「その青年は王室専属になれと週一回通知が届く?」

川 ゚ -゚)「通知が来る頻度上がりまくってんじゃないですか、王室切羽詰まってるんですか」

('A`)「知らん、それにその青年が俺と同じ生活を出来るとも思えない」

川 ゚ -゚)「僕と二人で過ごすと言う煩悩と理性のせめぎあいが巻き起こる生活ですか」

('A`)「ここの水も火も電気も裏の畑も空気洗浄も木の手入れも塔の維持も、俺がしてる」

川 ゚ -゚)「流さないでくださいよ……と言うか、そういや全部やってるんですか?」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「いつ?」

('A`)「常に」

116: 2011/11/05(土) 21:15:51 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「……常に?」

('A`)「今こうして話してる間も、俺は常に魔力を放出してここを生活出来る空間にしている」

川 ゚ -゚)「ご主人様、常々思っていた上に言った事もありますが、化け物でしょうあなた」

('A`)「だから言っただろ、その青年には無理だって」

川 ゚ -゚)「いや、どんな修行すればそうなるんですか、気持ち悪い域ですよそれ」

('A`)「ただのガリ勉じゃないんだから、魔力の使い方くらいお手のものだよ?」

川 ゚ -゚)「いや、いや……いや」

('A`)「だから外に出たくないし、何しても疲れるしめんどくさい」

川 ゚ -゚)「最後のは間違いなくご主人様の性根が歪んでるからですが」

('A`)「お前は本当にひどいメイドだ」

川 ゚ -゚)「前にも聞きましたけど……本当に、ここ維持してたんですね」

('A`)「うん」

117: 2011/11/05(土) 21:17:56 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「でもたまにシダックス行ってますよね」

('A`)「シダックスに行くのはクーが街に行ってる時だし、結界張ってるから」

川 ゚ -゚)「そうまでしてシダックス行きたいんですか」

('A`)「たまには普通の飯を食わないと氏ぬ」

川 ゚ -゚)「ご主人様、お亡くなりになるご予定が迫っております」

('A`)「俺が氏ぬ事を前提に話を進めようとするな」

川 ゚ -゚)「わかりました、つまりご主人様は若造に手柄を取られようが悔しくも妬きもしないと」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「じゃあその若造がご主人様を嘲っていたら?」

('A`)「若いんだなあ」

川 ゚ -゚)「大人ぶって達観した様に言わないでください」

('A`)「一応は普通に大人なんだけど」

118: 2011/11/05(土) 21:20:21 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「ご主人様を老いぼれに近いだのただの陰気な男だのと笑うのですよ?」

('A`)「老いぼれはひどいと思う、まだ30代だし働き盛りだし」

川 ゚ -゚)「……ソリテール家も落ちぶれたものだと、笑われても平気なんですか」

('A`)「それも事実だよ、俺が家出をしたからだ」

川 ゚ -゚)「…………気味の悪いメイドを従えている、とも、言っていました」

('A`)

川 ゚ -゚)「ご主人様は……何も、悔しくはないのですね」

('A`)「クー」

川 ゚ -゚)「はい」

('A`)「昼飯」

川 ゚ -゚)「……わかりました」

('A`)「俺、仕事あるからクーの分は待ってね」

川 ゚ -゚)「はい……」

119: 2011/11/05(土) 21:22:40 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「気味悪くねーよ、くそったれ」

川 ゚ -゚)「ちょっと無表情なだけの美メイドだっつーの」

川 ゚ -゚)「ご主人様もご主人様だよ……何で平気そうな顔してんだよ」

川 ゚ -゚)「どうせ、氏んでも悲しくないもんな……僕なんて」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「へちまの味噌汁……」

川 ゚ -゚)「ん……あれ、コンロに火がつかない」

川 ゚ -゚)「え、水も出ないし、冷蔵庫が常温になってる」

川 ゚ -゚)「えー、なにこれ……テンション下がるー……」

川 ゚ -゚)「ご主人様、ご主人様ー? 何かキッチン調子悪いのですがー」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「? 聞こえないのかな……ご主人様ー?」

120: 2011/11/05(土) 21:24:08 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「ご主人様ー、ご主人様ー? キッチンが……」

川 ゚ -゚)「あれ……自室に居ない……って事は、地下の図書室かな」

川 ゚ -゚)「ご主人様ー?」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「何か街の方から凄い音したな今」

川 ゚ -゚)「んもー、ご主人様ー?」

('A`)「どしたー?」

川 ゚ -゚)「ああご主人様、どこに居たんですか」

('A`)「ちょっと裏の方に」

川 ゚ -゚)「何かキッチンの調子悪いんです、コンロつかなくって」

('A`)「んー、どれどれ」

川 ゚ -゚)「こっちですこっち」

121: 2011/11/05(土) 21:26:31 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「あれ」

('A`)「点くよ、火」

川 ゚ -゚)「っかしいなあ……さっきまで水も出なかったのに……」

('A`)「接触悪かったんだよ、ほら戻ったんだし飯作ろう」

川 ゚ -゚)「お仕事は?」

('A`)「終わった」

川 ゚ -゚)「どんな仕事だったんですか、毛布の裾が焦げてますよ」

('A`)「ローブって言って、良いからほら、腹減ったよ」

川 ゚ -゚)「はいはい、全くご主人様は」

('A`)「へちまの味噌炒めのレシピあったから作ってみるかー」

川 ゚ -゚)「何か不思議ですね、へちま食べるって」

('A`)「だなあ、食べ物のイメージが無い」

川 ゚ -゚)「ですねえ」

122: 2011/11/05(土) 21:28:46 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「何か街の方が賑やかですね」

('A`)「爆弾テロか何かがあったらしいよ」

川 ゚ -゚)「マジですか、魔王軍でも来ちゃったんですかね」

('A`)「いや、お礼参りらしい」

川 ゚ -゚)「ヤンキーじゃないんですから……」

('A`)「久々だなあ自分で攻撃魔法放ったの」

川 ゚ -゚)「はい?」

('A`)「何でもない、腹減った」

川 ゚ -゚)「はいはい、今作ってますよ」

('A`)「怪我はさせてないし良いよね?」

川 ゚ -゚)「何がですか?」

('A`)「いや、何となく」

川 ゚ -゚)「? まあ良いや、それよりご主人様は何を作るんですか、味噌炒めですか」

('A`)「グラタン」

川 ゚ -゚)「グラタンに固執しすぎでしょうご主人様、何がそこまでご主人様を掻き立てるんですか」

123: 2011/11/05(土) 21:30:27 ID:vy6bFI2MO

('A`)


 『よう若造、君が最近有名になった魔導師か』

 『はぁ? 誰だよおっさん』

 『ドクオ・ソリテール、うちのメイドを蔑ろにして良いのは俺だけなんだよね』

 『は? 何言って、』

 『ついでに現実も思い知らせてあげよう、なあにちょっと熱いだけだよ』

 『ドクオってあのドクオかよ、老いぼれは引っ込んで』

 『時は来た 許されざる者の頭上に星砕け 降り注げ』

 『えっ』

 『じゃ、帰るわ』

 『ちょっ』



('A`)

('A`)「疲れた」

124: 2011/11/05(土) 21:32:11 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「出来ましたよご主人様」

('A`)「俺も出来た」

川 ゚ -゚)「んじゃ食べましょうか」

('A`)「メテオはやり過ぎたかなあ」

川 ゚ -゚)「何の話ですか」

('A`)「腹減った、食おう」

川 ゚ -゚)「はいはい」

('A`)「嫉妬されてたのかなあ」

川 ゚ -゚)「ご主人様、どの面下げて」

('A`)「お前はひどい、間違いなくひどい」

川 ゚ -゚)「その面下げて嫉妬とか」

('A`)「俺もなかなか堪え性がない」

川 ゚ -゚)「ご主人様、独り言が大きくはありませんか」

125: 2011/11/05(土) 21:34:29 ID:vy6bFI2MO

('A`)「この味噌汁すごく前衛的な味がする」

川 ゚ -゚)「こっちは割と普通に美味しいです、ホワイトソースは万能」

('A`)「ある種の独占欲かな」

川 ゚ -゚)「会話のキャッチボールしませんか」

('A`)「味噌汁に脳がやられてるから無理だ」

川 ゚ -゚)「僕の味噌汁で世界を狙えるレベル」

('A`)「お前が魔王なんじゃないのか」

川 ゚ -゚)「世界の半分あげましょうか」

('A`)「めんどくさいからいらない」

川 ゚ -゚)「無欲すぎます」

('A`)「だって間違いなく管理がめんどくさい」

川 ゚ -゚)「まあ確かに」

126: 2011/11/05(土) 21:36:13 ID:vy6bFI2MO

('A`)「クー」

川 ゚ -゚)「はい」

('A`)「今日は一緒に風呂に入ろうか」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「心から気持ち悪い」

('A`)「自分でもそう思った」

川 ゚ -゚)「親子ほど歳が離れてるのに引きますわ」

('A`)「いや変な意味じゃないよ」

川 ゚ -゚)「それでも引きますから」

('A`)「さすがに自己弁護がしづらい」

川 ゚ -゚)「どういった風の吹き回しですか気持ち悪い」

('A`)「気持ち悪いが語尾みたいに言うのやめて」

127: 2011/11/05(土) 21:38:08 ID:vy6bFI2MO

川 ゚ -゚)「一緒にお風呂に入りたいんですか」

('A`)「いや、うん、忘れて」

川 ゚ -゚)「無理です気持ち悪い」

('A`)「本当ごめんもうやめて」

川 ゚ -゚)「若さ故の過ちですか」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「若くありませんよね」

('A`)「言われると思った」

川 ゚ -゚)「一緒に入ったあとでお風呂掃除してくださいね」

('A`)「いつも俺が洗ってるけど」

川 ゚ -゚)「だから一緒に入るって事ですよ、言わせないでください気持ち悪い」

('A`)「えっ?」

川 ゚ -゚)「ほらさっさと食べる」

('A`)「あ、はい」



【六話 おわり】

131: 2011/11/06(日) 21:02:33 ID:ZQMb5ntkO

 そこは深く暗く、鬱蒼とした森の奥の奥。

 ぞろりと天を睨む様に聳える、蔦を這わせた灰色の塔。

 周囲には森があるだけ。
 聞こえるのは夜の鳥の声に木々のざわめき。

 緑と土の匂いが溢れるそこに住むのは、二人。


 一人は長身細身の、暗い顔をした魔導師。
 もう一人は、非常に美しく整った顔立ちの従者。



       【塔のようです】
   【最終話 これでこそご主人様だ。】



 そこはいつも、陰鬱とした空間に存在する。

132: 2011/11/06(日) 21:04:13 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「クー、お隣さんから大量のくわいが届いたぞ」

川 ゚ -゚)「食べきれる気がしませんね」

('A`)「何か他にもいっぱい増えたらしいからあとで持ってくるって」

川 ゚ -゚)「八百屋さんにでもなるんですかね」

('A`)「その方が良いとは思う」

川 ゚ -゚)「くわい……正月にしか見た事ありませんね」

('A`)「あと餃子に入れたり」

川 ゚ -゚)「天さんごめん」

('A`)「餃子ー!」

川 ゚ -゚)「じゃ、お昼はお隣さんと食べましょうか」

('A`)「そうだな」

川 ゚ -゚)「餃子パーリィですね」

('A`)「包むのは任せろ」

川 ゚ -゚)「全部お任せします」

('A`)「うん、わかってた」

133: 2011/11/06(日) 21:06:07 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「そう言えばモララー様も来ますよ」

('A`)「何で魔王軍の四天王そんなにしょっちゅう来れるんだろう」

川 ゚ -゚)「暇なんじゃないですか、戦争真っ只中ですけど」

('A`)「いつまでやってんだろうなあ戦争」

川 ゚ -゚)「ご主人様、なんかぱぱっと戦争が終わる魔法ありませんか」

('A`)「どんな魔法だよ」

川 ゚ -゚)「全員ホ〇になる魔法とか」

('A`)「それもう呪いだろ」

川 ゚ -゚)「アスキー大爆発とか」

('A`)「やめたげてよぉ!」

川 ゚ -゚)「両軍のトップが結婚するとか」

('A`)「魔王って男だよね」

川 ゚ -゚)「ですね」

('A`)「勇者は?」

川 ゚ -゚)「存じません」

134: 2011/11/06(日) 21:08:36 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「まあ良いや、餃子作ろう」

川 ゚ -゚)「道具と材料持ってきます」

('A`)「うん、じゃあ他の準備する」

川 ゚ -゚)「ひとよーんであくまーのしょっかー」

('A`)「まだ引きずってたのそれ」

川 ゚ -゚)「あれから延々と頭に回ってて」

('A`)「俺はシャアが来るが回ってる」

川 ゚ -゚)「歳が出ますね」

('A`)「泣くわ」

川 ゚ -゚)「やめてください気持ち悪い」

('A`)「あんまりな返しだと思うんだけどクーはどう思う?」

川 ゚ -゚)「存じません」

('A`)「お前ってひどいよな」

135: 2011/11/06(日) 21:10:43 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「あ、白菜と肉が無い」

川 ゚ -゚)「餃子のメインじゃないですか」

('A`)「買いに行く?」

川 ゚ -゚)「めんどくさいですね」

('A`)「メイドェ」

( ^ω^)「こんにちはー」

('A`)「あ、お隣さん」

( ^ω^)「どうもドクオさん、お野菜持ってきましたお」

('A`)「いつも悪いねー」

( ^ω^)「いえいえ、僕が増やしちゃうから」

('A`)「どうやって増やしてるのあのお野菜」

( ^ω^)「いや、さあ……」

('A`)「試しにやってみたらカリフラワーがブロッコリーに変化したんだよね」

( ^ω^)「何ですかそのミラクル」

('A`)「わからない」

136: 2011/11/06(日) 21:12:21 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「あ、お隣さん」

( ^ω^)「こんにちはー」

川 ゚ -゚)「おや、それはまさか」

( ^ω^)「白菜ですお」

川 ゚ -゚)「やりましたねご主人様、買いに行かずに済みました」

('A`)「肉は?」

川 ゚ -゚)「お隣さんからこそぎましょうか」

( ^ω^)「いくら僕がふくよかだからってあんまりだお」

('A`)「野菜生活なのに何ですそうなるの」

( ^ω^)「ドクオさんこそ何でそんなに痩せこけてるんですかお」

('A`)

( ^ω^)

('A`)「餃子作ろう」

( ^ω^)「お手伝いしますお」

137: 2011/11/06(日) 21:14:13 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「肉なし餃子とはヘルシーですお」

('A`)「買いに行くのがめんどくさくて」

( ^ω^)「さすがドクオさん……そういや街で騒ぎがあったみたいですお」

('A`)「ほー……ああクー、裏からニラ取ってきて」

川 ゚ -゚)「はいはい」

( ^ω^)「……あれドクオさんでしょ」

('A`)「バレてるだと」

( ^ω^)「この辺でメテオ撃てる人なんて他にいませんお」

('A`)「もっと下級魔法にすれば良かった」

( ^ω^)「でもあいつには僕も腹立たしく思ってましたお、天狗になりすぎで」

('A`)「ま、若いからねえ」

138: 2011/11/06(日) 21:16:33 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「同年代ですがあれは嫌なもんですお」

('A`)「お隣さん20代だっけ」

( ^ω^)「22歳ですお」

('A`)「スーファミ世代か」

( ^ω^)「ロクヨン世代ですお」

('A`)ギリッ

( ^ω^)「ドクオさん、本当に今の生活が好きなんですおね」

('A`)「うん」

( ^ω^)「普通なら、もう王室お抱え魔導師なのに」

('A`)「楽しくないでしょそれ」

( ^ω^)「かもしれませんおねー、好きに出来ないだろうし」

('A`)「お隣さんわかってらっしゃる」

( ^ω^)「でも、メテオの件で今までより強く城に来いって言われてるんでしょ」

('A`)「……」

139: 2011/11/06(日) 21:18:22 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「一度くらい、ちゃんと断った方が良いですお」

('A`)「塔から出たくないなあ」

( ^ω^)「クーさんに行かせて、陰口言われたくも無いんでしょ」

('A`)「……うん」

( ^ω^)「だったら、ちゃんとはっきり言わなきゃですお」

('A`)「……」

( ^ω^)「服の仕立てなら任せて下さいお、洋裁は得意ですお」

('A`)「これじゃ駄目かな」

( ^ω^)「毛布にタオルはちょっと」

141: 2011/11/06(日) 21:20:17 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「めんどくさいなあ……お隣さんは戦場行くんですか?」

( ^ω^)「行きませんお、僕が行ってもお野菜が増えるだけだし」

('A`)「ある意味才能だと思うよ」

( ^ω^)「八百屋に転職しろってみんな言いますお」

('A`)「それはしょうがないわ」

( ^ω^)「自覚してますお」

( ・∀・)「こんにちはー」

('A`)「あ、モララーさん」

( ^ω^)「お? 初めましておー」

( ・∀・)「あ、初めまして、モララーと申します」

( ^ω^)「ご丁寧にどうも、ブーンと呼んでくださいお」

('A`)「お野菜のお隣さんです」

( ・∀・)「ああ、あの」

( ^ω^)「えぇ……有名になってる……」

142: 2011/11/06(日) 21:22:13 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「あ、これ遊びに来たお土産です」

('A`)「おお、これは……」

川 ゚ -゚)「ご主人様ー、ニラ無かった……ああモララー様、こんにちは」

( ・∀・)「こんにちは」

( ^ω^)「モララーさんの持ってきたの良いお肉ですおねー」

( ・∀・)「いやあ、ちょうど活きの良いオークが氏んで」

川 ゚ -゚)「食欲無くしますね」

( ・∀・)「ごめんなさい」

('A`)「あとはニラかー」

( ^ω^)「ありますお」

川 ゚ -゚)「お隣さんは何者ですか」

( ^ω^)「野菜魔導師とでも呼んでくださいお」

川 ゚ -゚)「略して八百屋ですね」

( ^ω^)「なんと」

143: 2011/11/06(日) 21:24:42 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「良い感じに餃子作れますね」

( ・∀・)「おお、良いですね」

( ^ω^)「餃子パーティーですおー」

川 ゚ -゚)「はい、皆さん各自ノルマきっちり作ってくださいね」

( ・∀・)「クーさんは?」

川 ゚ -゚)「見てます」

( ^ω^)「そうしていただけるとありがたいですお」

川 ゚ -゚)「白豚が」

( ^ω^)「あんまりだお」

('A`)「一人30個がノルマです」

(;・∀・)「多くないですか!?」

( ^ω^)「すみません」

(;・∀・)「えっ」

( ^ω^)「大食漢ですみません」

(;・∀・)「あ……じゃあ、しょうがないですね……」

144: 2011/11/06(日) 21:26:27 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「しかし22歳かー、若いなー」

( ^ω^)「ここから先は早いですお」

('A`)「30代の前で言わないで」

( ・∀・)「あれ、ブーンさん22歳ですか?」

( ^ω^)「はいですお、モララーさんは……20の……?」

( ・∀・)「42歳です、綺麗な階段になってますねー」

( ^ω^)

('A`)

川 ゚ -゚)

(;・∀・)「えっ、えっ?」

( ^ω^)「20代前半のイケメンにしか……見えませんお……?」

(;・∀・)「あ、ああ……魔族ですから、人間とは成長速度が違うんです」

('A`)「魔族は長寿ですからね」

( ^ω^)「おー……同年代くらいだとばっかり……」

145: 2011/11/06(日) 21:28:22 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「一応は俺が最年長ですか」

('A`)「ですね」

川 ゚ -゚)「中年が増えましたね」

('A`)「ぴゅう太もしらない世代は黙っているが良い」

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

( ・∀・)「懐かしいなあぴゅう太」

('A`)「ディスクシステム」

( ・∀・)「ポケコン」

('A`)「ツインファミコン」

( ・∀・)「ロムロム」

('A`)「ゲームギア」

( ・∀・)「アタリ2600」

('A`)「えっ」

( ・∀・)「えっ」

146: 2011/11/06(日) 21:30:31 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「アタリ……?」

( ・∀・)「テレビゲーム15、とか……」

('A`)「えっ……?」

( ・∀・)

('A`)

( ・∀・)「……PONG」

('A`)

( ・∀・)「チャンネルF……」

('A`)

( ・∀・)「テレビ……テニス……」

('A`)

::( ∩∀∩)::

川 ゚ -゚)(何の話してんだろ……)

( ^ω^)(大人の話だお……)

147: 2011/11/06(日) 21:32:09 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「なんか……ごめん……」

::( ∩∀∩)::「ううん……俺が、俺が思いの外オッサンだっただけ……」

('A`)「だから最初エルビス・プレスリーみたいな格好してたんですね」

川 ゚ -゚)「える……?」

( ^ω^)「シーッ、クーさんシーッ」

::( ∩∀∩)::「異様に突き刺さるなあ……なんか……」

川 ゚ -゚)「良かったですねご主人様、オッサンが増えましたよ」

('A`)「やめたげてよぉ!」

( ^ω^)「ほら餃子作って忘れましょうお、焼きたて食べれば幸せですお」

::( ∩∀∩)::「うん……」

川 ゚ -゚)「モララー様」

::( ∩∀∩)::「はい……」

川 ゚ -゚)「邪魔なのでそのボスっぽさ溢れるマントと肩当てを外してください」

( ・∀・)「あ、はい、すみません」

148: 2011/11/06(日) 21:34:17 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「立派なマントと肩当てですおねー」

( ・∀・)「上司から渡される支給品なんですよ、四天王だからそれなりの格好をしろって」

( ^ω^)「おー四天王さんですかお、通り名なんかは?」

( ・∀・)「あ、白銀のモララエルです」

( ^ω^)「他の三名は?」

( ・∀・)「ギコエルとしぃエル、あと一人は永久欠番」

( ^ω^)「まず天使が魔王軍の四天王って」

( ・∀・)「色々あったんですよ…………たぶん」

( ^ω^)「そんななげやりな……」

('A`)「クー、俺のノルマ終わったから皿に並べてくれ」

川 ゚ -゚)「はい、ご主人様」

( ^ω^)「おっ、早く作らなきゃ」

( ・∀・)「ですね」

149: 2011/11/06(日) 21:36:20 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「俺の分が終わったんで、ちょっと席を外しますね」

( ^ω^)「お? わかりましたおー」

( ・∀・)「行ってらっしゃいドクオさん」

川 ゚ -゚)「どちらへ?」

('A`)「屋上、そろそろ星が見えるから」

川 ゚ -゚)「真っ昼間ですよ」

('A`)「見えるんだよ八つ目の星が」

川 ゚ -゚)「ご主人様、それは見えてはいけないフラグ、絶対的なフラグ」

('A`)「こんな所に居てられるか俺は外の様子を見に行くぞなあにすぐ戻るさこれが終わったら幼馴染みを故郷の村へ迎えに行くんだ」

川 ゚ -゚)「詰め込みすぎですからやめてください、氏んでしまいます」

('A`)「だが俺はフラグをへし折る」

川 ゚ -゚)「だから童Oなんですよ」

('A`)

川 ゚ -゚)

150: 2011/11/06(日) 21:38:22 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「しかし、仮に星が見えたとしてどうなさるんですか」

('A`)「星詠み」

川 ゚ -゚)「月奏で」

('A`)「いや違う、なんか違う」

川 ゚ -゚)「ネタ振りだとばっかり」

('A`)「まあ良いや、一人で見るからお二人を頼む」

川 ゚ -゚)「何を頼まれれば良いのでしょうか」

('A`)「メイドなんだから頑張れよ」

川 ゚ -゚)「えぇ……」

('A`)「えぇ……」

川 ゚ -゚)「じゃあお茶入れます」

('A`)「冷蔵庫に麦茶あるから」

川 ゚ -゚)「結構寒いですよ今日」

151: 2011/11/06(日) 21:40:14 ID:ZQMb5ntkO

('A`)

('A`)「んー、あの辺か……」

('A`)

('A`)「ああ……」

('A`)「そう言う戦争かこれ……」

川 ゚ -゚)(ご主人様の独り言がヤバい)

('A`)「あーはいはい……ああ、なるほど……」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うわびっくりした」

川 ゚ -゚)「独り言が怖いです」

('A`)「お黙れ」

153: 2011/11/06(日) 21:42:17 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「空見上げて何をぶつぶつおっしゃってるんですか」

('A`)「いや、ちょっと」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「降りますか」

('A`)「先に行ってて」

川 ゚ -゚)「お二人の命が惜しければ早めに来てくださいね」

('A`)「何をするつもりだ」

川 ゚ -゚)「お茶をお出しします」

('A`)「やめなさい」

川 ゚ -゚)「メイドにお茶を出すなと」

('A`)「お前は特例だ」

川 ゚ -゚)「照れますね」

('A`)「照れる要素が見当たらない」

154: 2011/11/06(日) 21:44:14 ID:ZQMb5ntkO



( ・∀・)「それで、術式が発動して」

( ^ω^)「おー、それはきつい」

川 ゚ -゚)「何のお話ですか」

( ・∀・)「ああクーさん、この間の」

川 ゚ -゚)「なんと奇遇なやおい穴」

(;・∀・)「そうだけどやめて!」

( ^ω^)「大変でしたおね、モララーさん」

川 ゚ -゚)「お隣さんの魔法なら股間にパイナップルとか生えたかもしれませんね」

( ^ω^)「なぜ下半身にダイレクトアタック」

( ・∀・)「パイナップルとか生えたら自害したかもしれません」

( ^ω^)「行かなくてよかったあ」

川 ゚ -゚)「お隣さんはなぜお野菜ばかり量産なさるのですか」

( ^ω^)「好きで量産してるわけでは」

155: 2011/11/06(日) 21:46:20 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「ふー、ただいま」

川 ゚ -゚)「お帰りなさいませ」

( ・∀・)「どうでした?」

('A`)「戦争の理由がやっとわかりました」

( ^ω^)「五年くらい戦争しててやって知ったんですかお」

('A`)「塔の外に興味がなくて」

( ^ω^)「なんてアグレッシブな引きこもり」

('A`)「そろそろ夕方ですね、餃子焼きますか」

( ・∀・)「お手伝いします」

( ^ω^)「お野菜なら任せろーバリバリ」

川 ゚ -゚)「やめないで」

( ^ω^)「制止されなかった」

川 ゚ -゚)「家計は大助かりです」

156: 2011/11/06(日) 21:48:13 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「あ、ついでにお酒持ってきたんですけど飲みますか?」

('A`)「あー、弱いんですよね」

( ^ω^)「僕はあんまり飲んだ事ないですおー」

川 ゚ -゚)「未成年なので」

( ・∀・)「なんて健全な空間……」

川 ゚ -゚)「お隣さん、お酒をジュースに変える魔法を」

( ^ω^)「えっ」

( ・∀・)「お、やってみてください」

( ^ω^)「えっ」

( ^ω^)

( ^ω^)「ドクオさん」

('A`)「俺は餃子焼いてますから頑張ってください」

( ^ω^)「四面楚歌、だと……」

157: 2011/11/06(日) 21:50:06 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「じゃあ……オーディナリ・ホライゾンの名において命ず」

川 ゚ -゚)「内藤じゃないんですか」

( ^ω^)「それ芸名です」

( ・∀・)「ブーンさんって呼び名はどこから来たんですか?」

( ^ω^)「空中浮遊は得意なんですお」

( ・∀・)「なるほど」

川 ゚ -゚)「お隣さん」

( ^ω^)「お?」

川 ゚ -゚)「くっちゃべってる間にお酒が」

( ^ω^)

( ・∀・)

川 ゚ -゚)「立派なロマネスコに」

( ^ω^)「何これ怖い、主に見た目が怖い」

( ・∀・)「魔族にこんなの居た気がする……」

158: 2011/11/06(日) 21:52:23 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「今焼いて……何それ怖い」

( ^ω^)「見た目が怖い……」

( ・∀・)「なんて見事なフラクタル……」

川 ゚ -゚)「ヤマカン大爆発(笑)がどうしましたか」

( ・∀・)「いえそのフラクタルじゃなくて」

('A`)「……料理しましょうか、それ」

( ^ω^)「これ食べたら体から生えてきそう」

川 ゚ -゚)「痒くてかきむしったら肌を突き破ってロマネスコが」

(;・∀・)「普通に怖い!」

('A`)「マタンゴを思い出すな……」

川 ゚ -゚)「何ですかそれ」

( ^ω^)「昔の映画ですお」

159: 2011/11/06(日) 21:54:12 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「子供の頃、親に見せられた記憶が」

川 ゚ -゚)「DVDあったんですか」

( ^ω^)「クーさん、昔はビデオって言うのがあってね」

('A`)「ベータでしたか」

( ・∀・)「VHSです、マタンゴはわざわざ映画館で見せられました」

('A`)「まだやってたんですか」

( ・∀・)「親が魔王様と友達で、結構融通がきいたみたいです」

('A`)「すげえ」

川 ゚ -゚)「お隣さん、僕には何の話をしてるのか全くわからない」

( ^ω^)「うん、まあ、うん」

('A`)「若者は黙れ」

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

160: 2011/11/06(日) 21:56:18 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「お、焼けた」

川 ゚ -゚)「お皿出します」

( ^ω^)「クーさん座ってて、僕が出しますお」

( ・∀・)「クーさん、机片付けましょうか」

川 ゚ -゚)「はーい」

('A`)「ロマネスコ、湯がいてサラダにしたよ」

( ^ω^)「ドクオさん……一株まるごとは……」

('A`)「見た目をいかすしかないと思って」

川 ゚ -゚)「さすがご主人様、狂ってますね」

('A`)「はは、お前は本当にひどいなあ」

( ・∀・)「何これ……なんか生まれるじゃないの……魔族に居たってこんなの……」

( ^ω^)「モララーさんが地味にダメージを……」

川 ゚ -゚)「自分の持ってきたお酒だったのに……」

161: 2011/11/06(日) 21:58:43 ID:ZQMb5ntkO



( ^ω^)「みかん量産してきましたおー!」

('A`)「よーしジュースにするぞー」

川 ゚ -゚)「そのままだと苦酸っぱいですよ」

( ・∀・)「ガムシロ入れましょうか」

('A`)「良いオレンジジュースはそんな苦くないよ」

川 ゚ -゚)「へー、ゼリーとシャーベット作ってくださいよご主人様」

('A`)「もうじき冬だけど」

川 ゚ -゚)「お風呂上がりに食べます」

('A`)「腹壊すぞ」

川 ゚ -゚)「親ですかご主人様」

('A`)「保護者です」

川 ゚ -゚)「一緒に入りますか」

('A`)「ごめんなさい」

162: 2011/11/06(日) 22:00:27 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「お風呂?」

( ^ω^)「クーさんデレ期ですかお?」

川 ゚ -゚)「僕は素直クールであってクーデレではありませんよ白豚様」

( ^ω^)「あんまりだあ」

( ・∀・)「? 取り敢えずご飯にしますか?」

('A`)「ですね、運んで貰えますか?」

( ・∀・)「はい、お隣さん行きましょう」

( ^ω^)「名前がお隣さんになりつつあるだと」

('A`)「ジュース注ぐから持っていってクー」

川 ゚ -゚)「子供だってーうまいんだもーん」

('A`)「飲んでも言うな」

川 ゚ -゚)「ボケを殺された」

('A`)「アイスとゼリーの下ごしらえするからさっさと行きなさい」

川 ゚ -゚)「はーい」

163: 2011/11/06(日) 22:02:29 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「よし、と……餃子しかありませんね」

( ^ω^)「餃子が主食の本場形式ですお」

( ・∀・)「本場では水餃子らしいですけどね」

( ^ω^)「美味しいが正義ですお」

( ・∀・)「なるほど」

川 ゚ -゚)「!!ああっと!!」

(;・∀・)「毒吹きアゲハ!?」

( ^ω^)「そんな初心者キラートラウマNo.1を……」

川 ゚ -゚)「なーんてね、三頭飛南瓜でした」

(;・∀・)「魔法っ気ゼロ脳筋パーティ頃し!!」

( ^ω^)「バランス良く行かないから……」

164: 2011/11/06(日) 22:04:09 ID:ZQMb5ntkO

(;・∀・)「あ……氷竜相手にパラディン育て直すはめになったトラウマが……」

( ^ω^)「ああ……育てすぎた……」

('A`)「世界樹はヌルゲーマー頃し」

川 ゚ -゚)「ご主人様はどの辺で」

('A`)「カマキリ」

( ^ω^)「アレはきつい」

( ・∀・)「鹿もなかなか」

川 ゚ -゚)「初見頃しばっかじゃないですか……」

('A`)「準備終わったから食べますかー」

川 ゚ -゚)「はーい」

('A`)「はい座ってー、手を合わせてくださいー」

( ^ω^)「合わせましたー」

('A`)「いただきまーす」


   「「「いただきまーす」」」

165: 2011/11/06(日) 22:06:07 ID:ZQMb5ntkO



( ^ω^)「げぷ……あー、食べた飲んだ……」

('A`)「…………」

( ^ω^)「お、どうしましたおドクオさん」

('A`)「クーは?」

( ^ω^)「お風呂ですお」

('A`)「……」

( ^ω^)「……ドクオさん?」

('A`)「ちょっと、塔を出ます」

( ^ω^)「お、塔を……?」

('A`)「はい、用事が出来て」

( ・∀・)「洗い物終わりました……どうしたんですか?」

166: 2011/11/06(日) 22:08:25 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「少し、塔を留守にする事になりまして」

( ・∀・)「え……でも、この塔は……」

('A`)「はい、俺が出たら機能しなくなります」

( ^ω^)「……クーさんは?」

('A`)「…………」

( ・∀・)「ドクオさん、まさか……」

('A`)「お隣さん、モララーさん」

( ^ω^)「はい」

( ・∀・)「は、はい……」

('A`)「留守の間、塔とクーを頼めますか」

( ・∀・)「でも、ドクオさん」

( ^ω^)「引き受けますお」

(;・∀・)「お隣さんっ!」

('A`)「……すみません、ありがとうございます」

167: 2011/11/06(日) 22:10:22 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「……ドクオさん、どちらへ……?」

('A`)「ちょっと」

( ・∀・)「ちょっと?」

('A`)「戦争、終わらせて来ます」

( ・∀・)「ぇ……」

( ^ω^)「終わらせられるんですかお」

('A`)「はい」

( ^ω^)「絶対に、断言出来ますかお」

('A`)「はい」

( ^ω^)「誰かを頃しますかお」

('A`)「いえ」

( ^ω^)「ドクオさんは氏にませんかお」

('A`)「はい」

( ^ω^)「なら、行って下さいお」

168: 2011/11/06(日) 22:12:17 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「ドクオさん、そんな……」

('A`)「きな臭いのは、嫌いなんです」

( ・∀・)「でもっ」

( ^ω^)「大丈夫ですお、モララーさん」

( ・∀・)「……信用、なさってるんですね」

( ^ω^)「お隣さんになって長いですから」

( ・∀・)「……わかりました」

('A`)「すみません」

( ・∀・)「いえ……その代わり、ちゃんと帰って来て下さいよ」

('A`)「もちろん」

( ・∀・)「……終わったら、みんなでマターリしましょうね」

('A`)「もちろん」

169: 2011/11/06(日) 22:14:53 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「明日出るんですかお?」

('A`)「はい、クーに文句言われますから」

( ・∀・)「黙って行くんですか?」

('A`)「……はい」

( ・∀・)「恨まれませんか……?」

('A`)「慣れました」

( ・∀・)「なんという」

( ^ω^)「じゃあ、身支度は」

('A`)「あーいりません」

( ^ω^)「えっ」

('A`)「そのままで良いです、お願いしますね」

( ^ω^)「……はいですお」

( ・∀・)「行ってらっしゃい、ドクオさん」

('A`)「はい、行ってきます」

170: 2011/11/06(日) 22:16:14 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「お風呂出ましたよー」

('A`)「おー、んじゃお二人どうぞ」

( ^ω^)「一緒に入れと言わんばかりの言い方はどうかと思いますお」

('A`)「ははは、お好きにどうぞ」

川 ゚ -゚)「想像したら割と気持ち悪かったです」

( ^ω^)「あんまりだ」

( ・∀・)「いや気持ち良くてもちょっと」

( ^ω^)「確かに」

川 ゚ -゚)「ご主人様、アイス」

('A`)「まだ出来てないから明日」

川 ゚ -゚)「えー、ブリザガとかして下さいよ」

('A`)「無駄に魔力を使わせない、ほら寝なさい」

川 ゚ -゚)「一緒に寝ますか」

('A`)「ごめんなさい」

171: 2011/11/06(日) 22:18:36 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「……」

( ・∀・)「……寝ましたね」

('A`)「はい」

( ・∀・)「ドクオさん」

('A`)「はい?」

( ・∀・)「…………ご無事で」

('A`)「なあに戦場の様子を見に行くだけさ、すぐ戻る」

(;・∀・)「そんな分かりやすい氏亡フラグ!」

('A`)「しーっ」

(;・∀・)「あ、ごめんなさい……」

('A`)「大丈夫ですよ、……大丈夫」

( ・∀・)「……よろしくお願いします」

('A`)「え?」

( ・∀・)「魔王様を、お願いします」

('A`)「……任せてください」

172: 2011/11/06(日) 22:20:12 ID:ZQMb5ntkO



川 ゚ -゚)「ふぁ……あー……ああ、よく寝た」

川 ゚ -゚)「ご主人様ー、おはようございますー」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「あれ、まだ寝てるのかな……いつも僕より早起きなのに……」

川 ゚ -゚)「ご主人様ー? 昨日はお楽しみでしたかー?」

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「あ、れ……?」

( ^ω^)「ふぁ……クーさん、おはようございますお」

川 ゚ -゚)「あ、お隣さん……」

( ^ω^)「どうしましたお」

川 ゚ -゚)「なんか、……変なんです」

173: 2011/11/06(日) 22:22:14 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「ご主人様が僕より遅く起きるのも……なんか、塔の様子も、変で……」

( ^ω^)「……」

川 ゚ -゚)「ご主人様、ご主人様っ? ご主人様ーっ!?」

( ^ω^)「クーさん……」

川 ゚ -゚)「ご主人様っ! ご主人様っ!! 童Oッ!!」

( ^ω^)(ひでえ)

( ・∀・)「あ、クーさん……お隣さん……」

( ^ω^)「おはようございますお、モララーさん」

川 ゚ -゚)「…………まただ」

( ・∀・)「え?」

川 ゚ -゚)「コンロ、火が点かない……水も出ないし……」

174: 2011/11/06(日) 22:24:55 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「……ご主人様」

( ・∀・)「クーさん、テーブルに手紙が」

川 ゚ -゚)「へ……み、見せてください」

( ・∀・)「はい」

川 ゚ -゚)「え、と……」


     『少し出掛けるからお二人の世話になれ、アイスとゼリーは時限装置付きの冷蔵庫にある』


川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「…………馬鹿ですか、うちのご主人様は……」

( ^ω^)「クーさん……」

( ・∀・)「ドクオさんは……」

川 ゚ -゚)「僕だけアイス食べて、楽しいと思ってるんですか……」

( ^ω^)(あ、一人で食べるんだ……)

( ・∀・)(シーッ)

175: 2011/11/06(日) 22:27:02 ID:ZQMb5ntkO

川 ゚ -゚)「…………馬鹿ですよ……何考えてるか、わかんないし……」

( ・∀・)「クーさん、」

川 ; -゚)

( ・∀・)「あ……」

川 っ -;)

( ^ω^)「クーさん……泣かないでくださいお」

川 っ - )「泣いて……ません……」

( ・∀・)「……クーさん、ドクオさんは……」

川っ - )「馬鹿です、あの人は……僕置いて、拾ったくせに……」

( ・∀・)「拾った……?」

( ^ω^)「クーさんが小さい頃に捨てられていたのを、ドクオさんが拾ったんですお」

( ・∀・)「そう……だったんですか……」

川っ - )「何ですか、やっぱ僕なんていらないんじゃないですか……
     メイドとしても使えない、何も出来ない、氏んだって悲しくない……僕は何ですか……」

176: 2011/11/06(日) 22:28:41 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「違いますお、クーさん……」

川っ - )「結局、僕を捨てるんですよ……どうせ、僕はいらないんです」

(#・∀・)「クーさんッ!」

川っ - )「ッ」

(#・∀・)「そうやって投げ遣りになるのはやめなさい! ドクオさんの一番側に居たのは誰ですか!
     側に居たのはクーさんでしょ!? ならドクオさんを信じてあげたらどうですか!!」

(;^ω^)「も、モララーさん……」

(#・∀・)「信じようとしなければ、心を開かなきゃ誰もそれに応えません!!
     ドクオさんは戻ってくる、ドクオさんはクーさんを大事にしてる、そう信じられないんですかッ!?」

川 ; -;)「だって! だって僕は役立たずなんですよ!?
     どんなに頑張っても努力しても、メイドらしくなんてなれない!!」

(#・∀・)「なら家族になれば良いでしょう!?」

178: 2011/11/06(日) 22:30:36 ID:ZQMb5ntkO

川 ; -;)「ぇ…………かぞ、く……?」

(#・∀・)「クーさんもドクオさんも一人で、けど側にはお互いが居るんでしょう!?
     一人は不幸かも知れません、でも常に誰かが側に居れば一人じゃない! それがどんなに幸せか!!」

川 ; -;)「だ、て……僕は……」

(#・∀・)「だって何ですか! メイドだからって距離を置くのはクーさんでしょう!!」

川 ; -;)「……家族、なっても……良いんですか……?」

(#・∀・)「家族の居ちゃいけない人間が存在しますか!!」

( ^ω^)「モララーさん、落ち着いて下さいお……あんまり子供に強く言わないで下さいお」

( ・∀・)「あ……すみ、ません……」

川 ; -;)「ご主人様……ご主人、様…………ッご主人様ぁあああああああッ!!」



 古びた塔、響くのはか細いメイドの悲鳴の様な泣き声。

 ぼろぼろと涙をこぼして、そこに居ない主人をただ呼んだ。

180: 2011/11/06(日) 22:32:47 ID:ZQMb5ntkO

 自我もまだ芽生えない様な歳の頃に捨てられ、それを拾った主人。

 歳を貸さねども、主人を父とも兄とも呼べず、従者としての立場に落ち着いた。

 けれど家事全般は壊滅的に出来ず、出来ることは主人の代わりに外に出て仕事をする事。


 自分をメイドと言う子供。
 そのまま受け止める大人。


 たとえメイドとして役立たずでも、側に誰かが居た。
 一人にはなりたくなくて、いつもその存在を噛み締めた。

 誰かと一緒だと言う幸せを主人は知っていたので、全てを優しく受け止める。
 その優しさがまだ理解できなくて、胸を痛める従者の子供。


 僕はどうしてここに居るのか。
 僕はここに居ても良いのか。
 僕が存在する価値はあるのか。
 僕はいったいなんなのか。

 ご主人様と一緒に居ても、良いのだろうか。



 いいよ、と
 主人が笑った気がして。

181: 2011/11/06(日) 22:34:20 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「ただいまー」

( ・∀・)「あ、お帰りなさい」

( ^ω^)「早かったですおね」

('A`)「いやー思ったより早く片付いて」

川 ; -;)

('A`)「あれ、クーどうしたの」

( ・∀・)「色々ありました」

( ^ω^)「色々ありました」

('A`)「ふーん、クー」

川 ; -;)「は、い……」

('A`)「腹減った、昼飯」

川 ; -;)「…………ご主人様……」

('A`)「うん」

川 ; -;)「葬儀場の予約をしておきます……」

('A`)「そこまで俺の氏を望み始めたか」

182: 2011/11/06(日) 22:36:20 ID:ZQMb5ntkO

川っ -;)「ご主人様……ひとつ、お尋ねします……」

('A`)「うん」

川っ -;)「僕は……ご主人様の家族に、なれますか……」

('A`)

川っ -;)

('A`)「そんなプロポーズまがいな事を言われるとは思わなかった」

川っ -;)「お隣さん、包丁持ってきて下さい」

( ^ω^)「犯罪の片棒は担ぎたくないですお」

('A`)「家族、家族なあ……なれんじゃね?」

川っ -;)「軽っ」

('A`)「だって俺も家族居なくなって長いから、どう言うものかもうよくわからないし」

川っ -;)「……」

('A`)「だから、なろうと思えばなれるんじゃない? 」

川っ -;)「……わかりました」

183: 2011/11/06(日) 22:38:40 ID:ZQMb5ntkO



( ・∀・)「クーさん、ごめんなさい怒鳴って」

川 ゚ -゚)「ふぅ……いえ、僕も悪いんです」

( ^ω^)「ま、クーさんまだ子供ですからお」

川 ゚ -゚)「すぐ大人になりますよ」

( ・∀・)「大人になったらどうします?」

川 ゚ -゚)「ご主人様、嫁になって差し上げましょうか」

('A`)「いらん」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「無性に腹が立つ」

( ^ω^)「何とも言えない」

( ・∀・)「否定を出来ない」

184: 2011/11/06(日) 22:40:08 ID:ZQMb5ntkO

( ^ω^)「ま、大人になったクーさんは綺麗でしょうね」

( ・∀・)「ですね、将来有望は間違いないです」

川 ゚ -゚)「だってのに、僕を拒絶するとはご主人様」

('A`)「いや、いや無いわ」

川 ゚ -゚)「無性にムカつくわ」

('A`)「いやだってお前……」

川 ゚ -゚)「家事が出来ないのは愛嬌でカバー」

('A`)「突っ込みたいけど家事出来ないのは横に置いといて、まずお前は12歳だ」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「そうですけど」

185: 2011/11/06(日) 22:42:12 ID:ZQMb5ntkO

('A`)「この国の法律では16歳からしか嫁にはなれん」

川 ゚ -゚)「何とかなりますって」

('A`)「そんなに嫁になりたいのか」

川 ゚ -゚)「いえ全然」

('A`)「こやつめ、ははは」

( ・∀・)「ドクオさん、ドクオさん」

('A`)「あ、はい?」

( ・∀・)「戦争は?」

('A`)「ああ、終わりました」

( ^ω^)「そんなあっさり」

( ・∀・)「いったい、どうやって?」

('A`)「元々あの戦争、恋煩いだったわけで」

( ・∀・)

('A`)「恋煩いを拗らせて戦争」

( ^ω^)「迷惑すぎる」

186: 2011/11/06(日) 22:43:10 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「え、と……つまり……?」

('A`)「まあ細かいところはすっ飛ばしますが、幼馴染み同士が小さい頃に離ればなれになったけど
     その頃にはもう初恋と言うフラグが建設されてて成長に従いその幼馴染みを探すように
     しかし片方は勇者で片方は魔王と言う立場になっててなかなか探す事も出来ずにいて
     もやもやする日々の上に敵軍が突っついてくるからムカついて戦争になって長引いてた」

(;・∀・)「長い!」

( ^ω^)「しかもロマンスを感じさせないその言いぐさ」

川 ゚ -゚)「さすがはご主人様」

('A`)「昨日、星からそれを知って解決しに行きました」

川 ゚ -゚)「あ、そう言うあれですか」

( ・∀・)「なるほど戦争を終わらせてくる」

( ^ω^)「どこの一級フラグ建築士かと」

('A`)「良いじゃん実際に戦争終わらせたんだから……」

(;・∀・)「そうですけど……」

187: 2011/11/06(日) 22:44:31 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「え、と……つまり……?」

('A`)「まあ細かいところはすっ飛ばしますが、幼馴染み同士が小さい頃に離ればなれになったけど
     その頃にはもう初恋と言うフラグが建設されてて成長に従いその幼馴染みを探すように
     しかし片方は勇者で片方は魔王と言う立場になっててなかなか探す事も出来ずにいて
     もやもやする日々の上に敵軍が突っついてくるからムカついて戦争になって長引いてた」

(;・∀・)「長い!」

( ^ω^)「しかもロマンスを感じさせないその言いぐさ」

川 ゚ -゚)「さすがはご主人様」

('A`)「昨日、星からそれを知って解決しに行きました」

川 ゚ -゚)「あ、そう言うあれですか」

( ・∀・)「なるほど戦争を終わらせてくる」

( ^ω^)「どこの一級フラグ建築士かと」

('A`)「良いじゃん実際に戦争終わらせたんだから……」

(;・∀・)「そうですけど……」

188: 2011/11/06(日) 22:45:32 ID:ZQMb5ntkO



('A`)『魔王モナファーさん、こんちゃーっす』

( ´∀`)『モナ? あ、ドクオさん?』

('A`)『ちっす、戦争終わらせに来ました』

( ´∀`)『軽いなあ……じゃあ魔王軍に手を?』

('A`)『だって飲み仲間だし、手は貸さない』

( ´∀`)『えぇー……』

('A`)『その代わり勇者連れてきました』

(;´∀`)『何してるの!?』

|゚ノ ^∀^)『モナー……君……?』

( ´∀`)『えっ……レモナ……?』

('A`)『魔王と勇者で世界を幸せにー』

( ´∀`)『歌わない』

189: 2011/11/06(日) 22:47:22 ID:ZQMb5ntkO

( ´∀`)『勇者って、レモナ……?』

|゚ノ ^∀^)『魔王って、モナー君だったの……?』

( ´∀`)『そんな、探してた人と争ってたなんて……』

|゚ノ ^∀^)『モナー君、ごめんなさい……レモナ……』

('A`)『俺の前でラブロマンスるな』

( ´∀`)『うわびっくりした』

('A`)『はいはい、んじゃ見つめあっても素直にお喋り出来る魔法かけますから』

|゚ノ ^∀^)『ドクオさん……』

('A`)『リリカルト☆カレフキ☆ルゼムオール』

|゚ノ;^∀^)『呪文がひどい!?』

( ´∀`)『レモナ気にしちゃ駄目モナ、この人こう言う人だから』

|゚ノ;^∀^)『ああ……』

('A`)『素直にお喋り出来るのと無遠慮になるのは違うよモナファーさん……』

( ´∀`)『ごめんドックン』

('A`)『ドックン言うな』

190: 2011/11/06(日) 22:48:53 ID:ZQMb5ntkO

('A`)『取り敢えず戦争の理由ってそれでしょ、だったらもう終わらせてよね』

( ´∀`)『はーい』

|゚ノ ^∀^)『あ、でも……今さら「戦争終わりましたーwwww」とは言えないわ……』

( ´∀`)『大丈夫大丈夫』

('A`)『平気平気』

|゚ノ ^∀^)『えぇ……軽すぎる……』

( ´∀`)『ドックン、手伝って』

('A`)『そう呼ばれる内は手伝わない』

( ´∀`)『黙れ』

('A`)『ごめんなさい』

|゚ノ ^∀^)『……元通りにしちゃうの? この五年間を』

( ´∀`)『なあに、魔王と大魔導師にかかれば簡単な事モナ』

('A`)『チート性能うめぇ』

191: 2011/11/06(日) 22:50:20 ID:ZQMb5ntkO

|゚ノ ^∀^)『でも、この五年間は人の心に成長ももたらしたわ……』

( ´∀`)『あー大丈夫モナ、レモナ』

|゚ノ ^∀^)『え……』

( ´∀`)『何も元通りにするわけじゃないモナ、それは難しいモナ』

|゚ノ ^∀^)『じゃあ……』

('A`)『憎しみとか悲しみをしまっちゃおうねぇ』

|゚ノ;^∀^)『トラウマっ!?』

( ´∀`)『じゃあ強欲な壺を用意したので、ドックンやるモナ』

('A`)『あーはいはい、いっくぞー』

( ´∀`)『モナー』

|゚ノ;^∀^)『なんだろ……この、異様な軽さ……』

( ´∀`)『おーわったー』

('A`)『あーつかれたー』

|゚ノ;^∀^)『早いっ!?』

192: 2011/11/06(日) 22:52:13 ID:ZQMb5ntkO



('A`)「と言う事が」

川 ゚ -゚)「途方もなく下らない」

('A`)「そんなずんばらばっさり」

( ^ω^)「つまり、戦争からなる負の感情をしまっちゃうおじさん?」

('A`)「あと被害を被った地域とかそう言うの直した」

( ・∀・)「ドクオさん」

('A`)「はい」

( ・∀・)「チートですよね明らかに」

('A`)「ちがうもん」

川 ゚ -゚)「ご主人様」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「気持ち悪い」

('A`)「否定しない」

193: 2011/11/06(日) 22:54:10 ID:ZQMb5ntkO

( ・∀・)「で、戦争終わり……ですか」

('A`)「終わりました」

( ・∀・)「弊害は?」

('A`)「知らん」

( ^ω^)「アフターケアェ……」

('A`)「それより腹減った」

川 ゚ -゚)「じゃあ何か作ります」

('A`)「俺も作る」

( ^ω^)「お野菜持ってきますお」

( ・∀・)「手伝います」



 そこは深く暗く、鬱蒼とした森の奥の奥。

 周囲には森があるだけ、外から聞こえるのは夜の鳥の声に木々のざわめき。

 緑と土の匂いが溢れるそこは、いつも賑やかな空気が包むそこは───。



【塔のようです おわり】

194: 2011/11/06(日) 22:56:03 ID:ZQMb5ntkO



('A`)「クー、あとな」

川 ゚ -゚)「はい?」

('A`)「男は、男の嫁にはなれないから」

川 ゚ -゚)「当然ですよ」

('A`)「お前は男だ」

川 ゚ -゚)

('A`)

川 ゚ -゚)「ご飯にしましょう」

('A`)「うん」

川 ゚ -゚)「ロマネスコ残ってますから」

('A`)「もうやだあれ怖い」




【おしまい】

196: 2011/11/06(日) 22:57:17 ID:ZQMb5ntkO
『塔のようです』はこれにて終了です、お付き合いくださりありがとうございました。

昨日来週と言ったな、あれは嘘だ。
あと色々ミスとかあって恥ずかしい。最終回で恥ずかしい。だが気持ち良い。



199: 2011/11/06(日) 23:00:38 ID:EVsyb70QO
何と言う、何と言う詐欺じみてさらっとした終わりwww
男でも良いじゃない嫁にしてやれよ
乙!

201: 2011/11/07(月) 00:35:52 ID:2O8XR34A0

最後まで騙されてばかりだったぜ

引用: 搭のようです