1: 2010/09/17(金) 01:28:07 ID:4C6wXaLQO
元は総合短編ですが、30レスを越えたのでスレを立てさせて頂きます

連載作品ではありませんがご了承下さい

2: 2010/09/17(金) 01:29:02 ID:4C6wXaLQO
( ・∀・)「ここは……?」


そこは誰かの家だった
ひどく無機質な空間で、壁の白さがそれをさらに際だたせていた

天井には青空が広がっており、太陽が顔を覗かせる
上に向かって伸びる下り階段を降りると、また無機質な空間が広がっていた


はて、僕は何をやっていたのだろう
まったく思い出せないや


足下には月があった
この下はきっと夜なんだ

星空へ落っこちるのもいいかもしれないな


僕は星空へ飛び下りた
そうしたら太陽にたどりついた

ああ、暑いなぁ

3: 2010/09/17(金) 01:29:56 ID:4C6wXaLQO
ξ;⊿;)ξ「おーいおいおい。おーいおいおい」


太陽の上では女の人が泣いていた
いったい何が悲しいんだろうか


ξ;⊿;)ξ「しくしく。しくしく」


かわいそうに
きっとすごく悲しいことがあったに違いない

涙がぽつりと太陽に落ちて、あっという間に蒸発した
それにしても、ここは暑い


( ・∀・)「どうしてないているんだい?」


ξ;⊿;)ξ「こどもがころされてしまったの」

4: 2010/09/17(金) 01:30:51 ID:4C6wXaLQO
なんと、子供を頃すなんて
女の人の言葉に目眩をおぼえた

汗が頬を伝って落ちる
なんだか少し涼しくなったな


ξ;⊿;)ξ「さんかげつだったの…………。にんしんさんかげつ」


( ・∀・)「ひどいことをするひとがいたものだ。おなかのなかのこどもをころすなんて」


自分でそう言って違和感を感じた
なんでだろう、自分が間違った事を言っているような気がする

暑さのせいかな
それにしてはやけに涼いな


ξ;⊿;)ξ「れいてつなひとだったのよ、わたしのかれは」


ぞぞぞ
寒気がした
どうしたんだ、太陽

5: 2010/09/17(金) 01:31:55 ID:4C6wXaLQO
ξ;⊿;)ξ「ろまんちっくなよるも、いまとなってはただのいやなおもいでだわ」


( ・∀・)「ひどいだんなさんだったんだね」


ξ;⊿;)ξ「さいあくだわ」


そう言って女の人はまた声を出して泣き出してしまった
でも、不思議とかわいそうって気持ちは浮かんでこなかった

太陽がまた熱くなってきた
目眩がした


ξ゚⊿゚)ξ「くやしいわ」


女の人が泣きやんでこっちを睨んでくる
ああ、暑い暑い


ξ゚⊿゚)ξ「しになさい」

6: 2010/09/17(金) 01:32:58 ID:4C6wXaLQO
なんだって?
そんな物騒なこと言わないでくれ


( ・∀・)「なんでぼくがしななきゃいけないんだ」


逃げようとしたけど、いつの間にか足が溶けていた
太陽が僕の足を溶かすほど熱くなっていたのだ
どうりで暑いわけだ


( ・∀・)「やめてくれ、しにたくない」


ξ゚⊿゚)ξ「せめていたみはないようにしてあげる」


女の人が何かを手に取った
やかんだった
太陽の熱のせいでやかんの中身はグラグラと煮えたぎっていた

あれをかけるつもりか
とんでもない
あんなのがかかったら火傷じゃすまないぞ

7: 2010/09/17(金) 01:33:48 ID:4C6wXaLQO
早く逃げないと
だめだもう腰まで溶けてしまっている


( ・∀・)「きみはひどいひとだ。れいてつなにんげんだ」


ξ゚⊿゚)ξ「れいてつ?それはあなたでしょう」


お湯が降ってくる
あついあつい


僕の体はすっかりと溶けてなくなってしまった




※          ※          ※




( ・∀・)「おや……?」


気がついたら僕は灰色の地面の上に立っていた
溶けたと思った体も元通りだ
さっきのはいったい何だったんだろう

8: 2010/09/17(金) 01:34:39 ID:4C6wXaLQO
少し向こうに、黒いテントのようなものが見えた
ちょっと寄ってみようかな


( ^ω^)「まったくずいぶんよごれてしまった」


テントの中には福々しい顔をした生首がいた
いい笑顔だ
ついついこちらも笑顔になる

しかしちょっとこの臭いはキツすぎるかな
腐った生ゴミの臭いがプンプンする


( ^ω^)「たしかそこにふぁぶりーずがあったからつかいなさい」


( ・∀・)「ありがとうございます」


しゅっ、しゅっ、しゅっ
酸っぱいような、苦いような臭いが広がった

例えるなら人の汗が蒸れたような、少しいやらしい臭いだった

9: 2010/09/17(金) 01:35:23 ID:4C6wXaLQO
( ・∀・)「くさいですね」


( ^ω^)「ろくにふろにはいってませんからね」


( ・∀・)「はいればいいじゃないですか」


( ^ω^)「なんせくびからしたがみあたらないものでして」


( ・∀・)「なんでくびからしたがないんですか」


( ^ω^)「ろくでなしのつまのふりんあいてにばらばらにされてしまったのです」


( ・∀・)「ひどいことをするひとがいたものだ。からだをばらばらにするなんて」


臭いのせいか、また目眩がした
ついでに吐き気も

10: 2010/09/17(金) 01:36:14 ID:4C6wXaLQO
( ・∀・)「てあしはうごかないんですか?」


( ^ω^)「のうみそからしんけいがつながってないから、うごかしたくてもうごかないんですよ」


生首だけっていうのは不憫みたいだ
ああ、気持ちが悪い
気分が悪い

本当にひどい臭いだ


( ^ω^)「むりしなくてもいいですよ?くさいのでしょう?」


( ・∀・)「そうですね。すこしきぶんがわるいです」


( ^ω^)「やっぱりそうですか、むりはいけません」


( ・∀・)「すいませんね」


僕は足早にその場を後にした
臭いのだけのせいじゃない
とにかく急いでその場から離れたかった

11: 2010/09/17(金) 01:37:06 ID:4C6wXaLQO
( ・∀・)「ああ、くさかった」


頭がクラクラする
いったい僕の体はどうしてしまったんだろう

ちょっと歩いた先でまた奇妙な人がいた
頭が痛い、目眩がする


(,,゚Д゚)「ええと、そこのひと」


( ・∀・)「なんでしょう」


(,,゚Д゚)「どこかでおれのてあしをみなかったか」


男の人は、手足が生えていなかった
いや、生えていなかったというよりは、無くなったと言った方が自然だろうか


( ・∀・)「どうしててあしがないんですか」


(,,゚Д゚)「しらないおとこにきりおとされたのだ」

12: 2010/09/17(金) 01:38:05 ID:4C6wXaLQO
( ・∀・)「ひどいことをするひとがいたものだ。てあしをきってしまうなんて」


(,,゚Д゚)「いきなりおそわれたのだ。もちろんこころあたりはない」


( ・∀・)「さいきんはぶっそうですねぇ」


(,,゚Д゚)「のんきなことをいっていないで、てあしをさがすのをてつだってくれ」


男の人はこてん、と横になってごろごろと転がりだした
ごろごろ、ごろごろ


(,,゚Д゚)「ろーりんぐだ」


( ・∀・)「ろーりんぐですか」


僕の足は自然とさっきの黒いテントへと向かっていた
男の人は僕の後ろをごろごろと転がりながらついてくる

目は回らないのかな

13: 2010/09/17(金) 01:39:07 ID:4C6wXaLQO
(;゚Д゚)「いったいなんなんだ。このにおいは」


( ^ω^)「いやぁ。どうしましたか」


( ・∀・)「すこしようがありまして」


(,,゚Д゚)「しつれいだがおれのてあしをしらないか」


( ^ω^)「いいえ、ぞんじませぬが」


汚らしい何やかんやをよけて男の人の手足を探す
そういえば、なんでここにある気がしたんだろう
よく考えてみればここにあるっていう根拠はない
でもここにあることは間違いない

間違いなくここにあるんだ


( ・∀・)「あ、みつけた」


ほら、あった

14: 2010/09/17(金) 01:40:00 ID:4C6wXaLQO
(,,゚Д゚)「おお。そんなところにあったのか」


男の人に手足を渡すと、彼は大いに喜んでくれた
手と足をくっつけると、彼は自分で立ち上がり、歩き出す


よかったよかった

いいことをしたあとは気持ちがいい
でも気持ちが悪い

胃の中がグルグルとかき回されているようだ


( ・∀・)「じゃあぼくはこれで」


早足にここを離れようとした
だけどテントの出口が見当たらない
出口が無くなってしまった

どうしよう
これでは帰れない

15: 2010/09/17(金) 01:40:53 ID:4C6wXaLQO
すると先ほどまでニコニコしていた二人の様子がすっかりとかわってしまった
手足を手に入れた男は、右手に小さな斧を持っている


( ・∀・)「いったいぜんたいどうしたんですか」


僕の言葉は届いていないみたいだ
二人の男が近づいてくる


( ^ω^)「ろくでなしでも……つまのことはあいしていました」


( ・∀・)「いったいなんのはなしです。ぼくがなにをしたというのですか」


僕が何か悪いことをしただろうか
そんな記憶はない


(,,゚Д゚)「だったらおもいだしてもらおうか」


男が斧を振り下ろした
僕の左手がぼとりと落ちた

16: 2010/09/17(金) 01:41:35 ID:4C6wXaLQO
痛い痛い痛い
男は斧で僕の体をバラバラにしていく

そしてとうとう首まで切られて僕は氏んでしまった


*          *          *



( ・∀・)「あれ……?」


今度は僕は誰かの部屋にいた
さっきまで臭いテントにいたはずなのに、どういうことだろう

ああ、ここはいい匂いがする


(*゚ー゚)「がおー」


( ・∀・)「わあ、なんだなんだ」


(*゚ー゚)「うふふ、びっくりした?」

17: 2010/09/17(金) 01:42:47 ID:4C6wXaLQO
突然見知らぬ少女が姿を現した
かわいい顔をしていたが、体中の至る所に穴が空いていた


( ・∀・)「どうしてそんなにあなだらけなんだい?」


(*゚ー゚)「たくさんさされたの。ないふみたいなものでね」


( ・∀・)「ひどいことをするひとがいたものだ。からだじゅうをさすなんて」


また目眩がした
もうなんなんだ一体

ああ、きっとこの子の穴だらけの体が原因だ


女の子は紅茶をいれていた
紅茶の香りがここまでくる

いい匂いだ

18: 2010/09/17(金) 01:43:29 ID:4C6wXaLQO
(*゚ー゚)「のむ?」


( ・∀・)「のむ」


少女から紅茶を受け取って、一口飲んだ
とても美味しいお茶だった

少女も紅茶を一口飲んだ
体に空いた穴から紅茶がダラダラと流れ出ていた



(*゚ー゚)「ろくなしにかたじゃなかったわ」


(*゚ー゚)「わたし、かれをさがしていたの」


( ・∀・)「かれをですか」


(*゚ー゚)「いつもみたいにでーとしようとおもったのに」

19: 2010/09/17(金) 01:44:12 ID:4C6wXaLQO
部屋が歪む
手に持った紅茶の色が血のような赤に染まっていく

くらくらして気持ちが悪い

女の子の顔も歪み始めた


(*゚ー゚)「いきなりからだじゅうをさすなんてひどいわ」


ああ、まただ
また僕は殺されるのだろうか


紅茶から飛び出した液体が、無数のナイフになって僕にその切っ先を向けた


( ・∀・)「なんなんだ。なんでぼくがこんなめに」


(*゚ー゚)「まだおもいださないの?」

20: 2010/09/17(金) 01:44:51 ID:4C6wXaLQO
( ・∀・)「おもいだすってなんのことだ。たのむおしえてくれ」


少女は何も言わなかった
変わりに紅茶のナイフが僕の口を切り裂いた
悲鳴をあげようと思ったら今度はのどにナイフが突き刺さった

痛い痛い痛い

ナイフが体中に突き刺さる

少女は僕をみていやらしい笑みを浮かべてる


思い出せって何のことだ
わからないわからない


(*゚ー゚)「のろわれろ」


少女のその言葉を最後に、僕の意識は深い闇の底へ落ちていった


*          *          *

21: 2010/09/17(金) 01:45:25 ID:4C6wXaLQO
( ・∀・)「ん……?」


気がついたら、真っ青な野原の上に立っていた
体中に空いた穴も塞がっている

この世界は、何かがおかしい
そうだ、僕はこんな世界を知らない
僕は違う世界で生きていた


(;・∀・)「ここは一体……」


一体どういう世界なんだ
彼らは一体誰なんだ

頭が痛い
目眩がする


それでも顔をあげると、宙吊りにされた男と目があった

22: 2010/09/17(金) 01:46:05 ID:4C6wXaLQO
('A`)「こんにちは」


(;・∀・)「何……やってるの」


('A`)「しばられてます」


(#・∀・)「見ればわかるよ!ああもうなんなんだこの世界は!!」


('A`)「ゆっくりしていってね」


(#・∀・)「してられるか!!」


ああ、すごいイライラする
変な世界に、変な人たち
僕がいったい何をしたって言うんだ!

とりあえず、怒っても仕方ない
少し、落ち着こう


( ・∀・)「……縛られてて楽しい?」

23: 2010/09/17(金) 01:46:55 ID:4C6wXaLQO
('A`)「ろうをたらされたいきぶんです」


( ・∀・)「ダメだこいつ早く何とかしないと」


( ・∀・)「……ところで、あんたはなんでこんなことに」


('A`)「わたしはくるまにはねられて、しばられてうみにしずめられました」


( ・∀・)「ひどい目に遭ったんだ……」


('A`)「れいせいにかんがえれば、たしかにそうですね」


( ・∀・)「ひどい目に遭った自覚がないの?」


('A`)「たぶん、しにたかったんでしょうね。ろくなじんせいじゃなかったですから」


( ・∀・)「……かわいそうな奴」

24: 2010/09/17(金) 01:47:51 ID:4C6wXaLQO
突然、足が地面に飲み込まれ出した
地面が急にやわらかくなったみたいだ


(;・∀・)「わ!な、なんだこれは!!」


('A`)「かわいそうなひとですね、あなたは」


(;・∀・)「僕が!?」


('A`)「ええ、あなたです」


足をジタバタさせても、体はどんどん沈んでいく
さっきまで青い野原だったこの場所は、いつの間にか大きな海になっていた

おかしい、僕は確か泳げたはずだ
一生懸命もがいても、体は全然上にあがらない

とうとう鼻まで沈んでしまった
息が苦しい


('A`)「ろくでもないじんせいだったのは、あなただったのかもしれませんね」


*          *          *

25: 2010/09/17(金) 01:48:48 ID:4C6wXaLQO
(;・∀・)「はっ!?」


次に目を覚ました時、今度は真っ暗な空間にいた
いつもと違って、他の誰かの姿は見えない

暗いからか、それとも本当に誰もいないからか


(;・∀・)「そ、そうた!携帯電話!」


携帯電話を持っていたことを思い出し、慌ててポケットから取り出した
画面のライトがチカチカして目が痛い

ついでに誰かに助けを求める事が出来ると思ったが、
画面左上には圏外と表示されていた

だが明かりの代わりとしては十分に使える
とにかく、携帯の明かりを頼りに歩いていこう

26: 2010/09/17(金) 01:49:33 ID:4C6wXaLQO
血の臭いがした

気分が悪い

でも、足を止めてはいけない気がして、ひたすらに前へと進んでいった


そのうち、どこかで見たことのあるドアの前に辿り着いた

この光景、どこかで見たことがある気がする

デジャヴというやつだろうか
いや、違う
ここは……


( ・∀・)「僕の家……?」


そう、僕の家だ
間違いない、僕と妻が暮らす一軒家だ

27: 2010/09/17(金) 01:50:54 ID:4C6wXaLQO
川 ゚ -゚)「ろっこつというのは、ないぞうをまもるためにあるんだよな」


家の中に入ると、薄暗い部屋で妻のクーが迎え入れてくれた
なぜか服を着ていなかった


川 ゚ -゚)「てんでいみがないよな、これでは」


彼女の右手に握られていたのはピンク色の臓物だった
暗さに慣れた僕の目に飛び込んできたのは……


(;・∀・)「っ………!?」


血みどろの壁

あちこちに散乱した人間の臓器

腹に十文字の大きな切り傷がある僕の愛妻

そして片手に刃物を握って佇む男の姿

28: 2010/09/17(金) 01:51:38 ID:4C6wXaLQO
川 ゚ -゚)「るっくすはよくなるかな。じゃまなぞうきがなければ」


(;・∀・)「なん……だよ……これ……」


のどが引きつって、声がうわずる
ひどい目眩がして、立っていることすらままならない

僕はへなへなとその場に崩れた


(;・∀・)「なんで……誰がこんなことを!?」


川 ゚ -゚)「わたしのおっとにやられたんだ」


クーは刃物を持って佇む男の方を向かって、そう言った


待て

今、夫にやられたって……

29: 2010/09/17(金) 01:52:23 ID:4C6wXaLQO
川 ゚ -゚)「れいせいさをかいていたんだ。きっと」


クーの夫は僕だ
じゃあ、この男は……!?


川 ゚ -゚)「ろうぜきをはたらくようなおとこではなかった」


僕はフラフラと刃物を持つ男に近づいた
男は笑っているようだった


川 ゚ -゚)「いいやつだった」


顔を見るのが怖い
でも、確認しなきゃならない


川 ゚ -゚)「なんでこんなことをしたんだろうな、モララー」



―――果たしてそこに立っている男の正体は、僕だった

30: 2010/09/17(金) 01:53:00 ID:4C6wXaLQO
(;・∀・)「そんな、馬鹿な、嘘だ、有り得ない……!?」


信じられない
僕は何をしたんだ

その血に染まった刃物で誰に何をしたんだ


川 ゚ -゚)「のろいのことばはきこえていただろう」


川 ゚ -゚)「わたしたちののろいのことばだ」


(; ∀ )「う……ああああああ…………!?」


頭が痛い
吐き気がする

僕は何を、何で、何が

31: 2010/09/17(金) 01:53:44 ID:4C6wXaLQO
記憶がはっきりしてきた
今までの出来事が走馬灯のように流れ出てくる
今日出会った六人の頭が呪いの言葉を紡ぎ出す


ξ;⊿;)ξ『おーいおいおい。おーいおいおい』
( ^ω^)『まったくずいぶんよごれてしまった』
(,,゚Д゚)『ええと、そこのひと』
(*゚ー゚)『がおー』
('A`)『こんにちは』
川 ゚ -゚)『ろっこつはないぞうをまもるためにあるんだよな』


あの女は僕の不倫相手だった
僕はただの遊びだったのに、あいつが勝手に勘違いして……


『あなたとの子供を孕んだわ。責任を取って頂戴』


『僕はお前の事なんかどうでもいいんだ。子供なんて知ったことか』


しつこい女だった
妻と別れろと何度もせがんできやがった

32: 2010/09/17(金) 01:54:35 ID:4C6wXaLQO
ξ;⊿;)ξ『しくしく。しくしく』
( ^ω^)『たしかそこにふぁぶりーずがあったからつかいなさい』
(,,゚Д゚)『どこかでおれのてあしをみなかったか』
(*゚ー゚)『うふふ。びっくりした?』
('A`)『しばられてます』
川 ゚ -゚)『てんでいみがないよな、これでは』


六人の頭は、なおも呪いの言葉を紡ぎ続ける


そうだ、あの女の夫
不倫相手の夫

あの男、まずいところに怒鳴り込んできたんだ


『妻とはどういう関係なんだお!!全部話すお!!』


『うるさい!』


とっくに夫婦仲は冷めてたに違いないのに、頭の悪い男だったな
家に斧があって本当によかったよ

33: 2010/09/17(金) 01:55:25 ID:4C6wXaLQO
ξ;⊿;)ξ『こどもがころされてしまったの』
( ^ω^)『ろくにふろにはいってませんからね』
(,,゚Д゚)『しらないおとこにきりおとされたのだ』
(*゚ー゚)『たくさんさされたの。ないふみたいなものでね』
('A`)『ゆっくりしていってね』
川 ゚ -゚)『るっくすはよくなるかな。じゃまなぞうきがなければ』


呪いの言葉は僕の頭を冒していく


あの男、処理に困ってどうしたんだっけか
ああそうだ、バラバラにして黒いビニール袋に生ゴミと一緒に入れたんだ

バラバラにしないと袋に入らなかったからな


ξ;⊿;)ξ『さんかげつだったの…………。にんしんさんかげつ』
( ^ω^)『なんせくびからしたがみあたらないものでして』
(,,゚Д゚)『いきなりおそわれたのだ。もちろんこころあたりはない』
(*゚ー゚)『のむ?』
('A`)『ろうをたらされたいきぶんです』
川 ゚ -゚)『わたしのおっとにやられたんだ』

34: 2010/09/17(金) 01:56:24 ID:4C6wXaLQO
ξ;⊿;)ξ『れいてつなひとだったのよ、わたしのかれは』
( ^ω^)『ろくでなしのつまのふりんあいてにばらばらにされてしまったのです』
(,,゚Д゚)『のんきなことをいっていないで、てあしをさがすのをてつだってくれ』
(*゚ー゚)『ろくなしにかたじゃなかったわ』
('A`)『わたしはくるまにはねられて、しばられてうみにしずめられました』
川 ゚ -゚)『れいせいさをかいていたんだ。きっと』


呪いの言葉が形を成していく
完成したら、僕はどうなってしまうのだろう


そうそう
あの若い男、バラバラになったあいつを入れたビニール袋を調べようとしたんだ
バレたと思った

そいつもそのビニール袋で処理してやろうと思ったのに、
バラバラにしても手と足しか袋にはいらなかったんだ


ξ;⊿;)ξ『ろまんちっくなよるも、いまとなってはただのいやなおもいでだわ』
( ^ω^)『のうみそからしんけいがつながってないから、うごかしたくてもうごかないんですよ』
(,,゚Д゚)『ろーりんぐだ』
(*゚ー゚)『わたし、かれをさがしていたの』
('A`)『れいせいにかんがえれば、たしかにそうですね』
川 ゚ -゚)『ろうぜきをはたらくようなおとこではなかった』

35: 2010/09/17(金) 01:57:16 ID:4C6wXaLQO
ξ;⊿;)ξ『さいあくだわ』
( ^ω^)『むりしなくてもいいですよ?くさいのでしょう?』
(,,゚Д゚)『いったいなんなんだ。このにおいは』
(*゚ー゚)『いつもみたいにでーとしようとおもったのに』
('A`)『たぶん、しにたかったんでしょうね。ろくなじんせいじゃなかったですから』
川 ゚ -゚)『いいやつだった』


呪いの言葉が悲鳴を上げる
僕に何かを訴えてくる


ビニール袋に入れておくと、バレるのは時間の問題だった
どうすればいいか考えていたら、あの少女がやってきたんだ


『ギコくーん。あれぇ?どこ行ったのかな』


『あの少女が探しているのはきっとこの男だ。バレる前に何とかしなくちゃ』


その時には僕は壊れてしまっていたのかもしれない
柔らかい肉にナイフが埋まる感覚は、快楽以外のなにものでもなかった

36: 2010/09/17(金) 01:58:24 ID:4C6wXaLQO
ξ゚⊿゚)ξ『くやしいわ』
( ^ω^)『やっぱりそうですか、むりはいけません』
(,,゚Д゚)『しつれいだがおれのてあしをしらないか』
(*゚ー゚)『いきなりからだじゅうをさすなんてひどいわ』
('A`)『かわいそうなひとですね、あなたは』
川 ゚ -゚)『なんでこんなことをしたんだろうな、モララー』


やめろやめろ
それ以上言うな
やめてくれ


邪魔な荷物が増えたから、海に捨てようと思って車を飛ばしたんだ
落ち着いて運転できる状態じゃなかったのに
結局僕は事故を起こした
相手は足を骨折したみたいだが、命に別状はなかった


『今の事故は幸い誰も見ていない。こいつもついでに始末してしまえば誰にもバレることはない』


暴れる男は縛ってやった
縛った途端に大人しくなったけど

37: 2010/09/17(金) 01:59:20 ID:4C6wXaLQO
ξ゚⊿゚)ξ『しになさい』
( ^ω^)『いやぁ、どうしましたか』
(,,゚Д゚)『おお、そんなところにあったのか』
(*゚ー゚)『まだおもいださないの』
('A`)『ええ、あなたです』
川 ゚ -゚)『のろいのことばはきこえていただろう』



荷物は全部、海に捨てた
もうこれで、僕の人生を狂わせようとするものは誰もいない

すごく爽快な気分だった


『な、なんだ。どうしたんだモララー!やめろ……やめてくれ!!』


『あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは』


すごく気持ちよかった
僕は完全に壊れてしまった

38: 2010/09/17(金) 02:00:13 ID:4C6wXaLQO
ξ゚⊿゚)ξ『せめていたみはないようにしてあげる』
( ^ω^)『いえ、ぞんじませぬが』
(,,゚Д゚)『だったらおもいだしてもらおうか』
(*゚ー゚)『のろわれろ』
('A`)『ろくでもないじんせいだったのは、あなただったのかもしれませんね』
川 ゚ -゚)『わたしたちののろいのことばだ』
ξ゚⊿゚)ξ『れいてつ?それはあなたでしょう』
( ^ω^)『ろくでなしでも……つまのことはあいしていました』



六人の頭が、呪いの言葉を紡ぎ終えた

のろわれろ、のろわれろ、のろわれろ

呪いの言葉が何度も頭の中で反響する

この心に渦巻く感情はなんだろう

恨み?痛み?怒り?苦悩?快楽?


(  ∀ )「のろわれろ……?」

39: 2010/09/17(金) 02:01:12 ID:4C6wXaLQO
ξ ⊿ )ξ「のろわれろ」


(  ω )「のろわれろ」


(,, Д )「のろわれろ」


(* ー )「のろわれろ」


( A )「のろわれろ」


川  - )「のろわれろ」



巡る廻るめぐる呪いの言葉

僕の壊れた心を破壊し尽くす呪いの言葉


音を立てて壊れる僕の心

謝っても許しを求めても返ってくるのは呪いの言葉

40: 2010/09/17(金) 02:02:23 ID:4C6wXaLQO
( ;∀;)「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


壊れた心を壊したら、溢れ出すのは悲しみの心

どうして僕はこんな事を

なんで僕はこんな事を

溢れる後悔、触れられない位置まで離れていく幸福


それでも僕は許されない


そういうことを僕はやった


愛した妻を裏切って、一時の快楽に身を任せ、そこからすべてが始まって、
一つ罪を隠すためにまた罪を犯して、繰り返していく内に僕の心が壊れてしまって、
愛した妻を頃してしまった

41: 2010/09/17(金) 02:03:10 ID:4C6wXaLQO
( ;∀;)「僕は……!!僕はああああああああああああ!!」


川 ゚ -゚)「モララー、もういい」



差し出されたのは白い手

その手が掴んだのは、汚れた手



川 ゚ -゚)「君はもう十分苦しんだ。十分後悔した」


( ;∀;)「それでも僕は……僕は……」


川 ゚ -゚)「いいんだ。君は許された」


川 ゚ -゚)「さあ、帰ろう。また二人で一緒に暮らそう」

42: 2010/09/17(金) 02:04:09 ID:4C6wXaLQO
一度は汚れた僕の手が、君の手により綺麗にされていく


僕は許されたんだ

こんな僕でも許されたんだ


もう僕は間違えない

二度と間違いは犯さない


( ;∀;)「ありがとう、クー」


川 ゚ -゚)「大丈夫、私はお前を見捨てない」


君の手をしっかり握り締めたまま、僕の体は光に包まれた

ありがとう、本当にありがとう
僕は生きるよ
汚れのない僕自身を


*          *           *

43: 2010/09/17(金) 02:05:40 ID:4C6wXaLQO
( ・∀・)「ここは……?」


そこは誰かの家だった
ひどく無機質な空間で、壁の白さがそれをさらに際だたせていた

天井には青空が広がっており、太陽が顔を覗かせる
上に向かって伸びる下り階段を降りると、また無機質な空間が広がっていた





はて、僕は何をやっていたのだろう
まったく思い出せないや




( ・∀・)許されないようです
                終わり

44: 2010/09/17(金) 02:08:27 ID:4C6wXaLQO
以上です


読みにくい文章は仕様のつもりですが、それを考慮に入れても読みにくいかもしれません

もし、質問があればどうぞ
このスレについては三日後くらいに過去ログへ移動願いを出すつもりです

45: 2010/09/17(金) 02:09:06 ID:iMc05M2c0

引用: ( ・∀・)許されないようです