38: ◆hAKnaa5i0. 2017/08/06(日) 17:59:24.00 ID:iSLHoo+dO

前回:ケース6.「塩見周子」

ケース7.「五十嵐響子」

【キッチン】

志希「世の中にはスーパーテイスターと呼ばれる人がいます」

志希「『味』を感じる味蕾という舌の器官の量が多く、密集しており、『苦みや甘み』に対して非常に敏感な特徴を持っています」

志希「つまりスーパーテイスターとは『味覚がやや特殊かつ敏感』な人のことを指すのです…」

響子「いきなりキッチンにやってきて、いきなり何の話を始めるんです? 志希ちゃん?」(こねこね)

響子「クッキー作っているんですけど、あとで食べますか?」(こねこね)

志希「にゃはは。食べる食べる♪」

志希「話の続きだけどプロデューサーは実はスーパーテイスターなのです」

響子「へぇ、そうなんですか。何でも美味しそうに食べてくれるから意外です」

志希「味に敏感ではあるけど、好き嫌いは克服出来るからねぇ」

志希「はい。本題に入ります。こちらの小瓶に入っているのはPTC。フェニルチオカルバミドの粉末です」

響子「ふぇにるち…?」

志希「簡単に言うと『スーパーテイスター』だけが痛烈な苦味を感じるものです」

志希「つまり。ナニかに混ぜて食べさせたらプロデューサーだけが『苦いっ!!』となるわけ♪」

響子「…志希ちゃん。そんなことやったら許しませんからね?」

志希「にゃはは♪ あたしはしないよ~♪」

志希「とりあえずここに置いとくから♪」

コトッ

響子「あ、ちょっと!」

志希「ばいばーい♪」

タッタッタ…

響子「もぅ…いきなり来て、いきなり話をして、いきなり帰っていっちゃった」

響子「…何だったんだろ?」
【公式】二次元コスパ アイドルマスター シンデレラガールズ 一ノ瀬志希「実験中」 セリフアクリルスタンド
39: 2017/08/06(日) 17:59:59.21 ID:iSLHoo+dO
(しばらくして)

響子「~♪」

こねこねこね…

響子「~♪」

響子「よしっ、クッキーの生地は完成っと♪」

響子「あとは型抜きして、並べて、焼くだけでオッケーかな♪」

響子「(プロデューサーさん…喜んでくれる、よね。ふふふ♪)」

響子「(…と、仕上げ何か飲もうかな)」

響子「(最近、すごく暑い…事務所の中なのに汗かいちゃった)」

響子「…?」

【お疲れ様。よかったら飲んで♪ by志希】

(ペットボトルの麦茶。イタズラッコニナール入)

響子「あ。麦茶♪」

響子「…志希ちゃん。優しいな♪」

とくとくとく…
ゴクッゴクッゴクッ…

響子「…」

響子「…」(むらっ)

40: 2017/08/06(日) 18:00:35.52 ID:iSLHoo+dO
カチャッ

美穂「あ、響子ちゃん。こんな時間までまだ残ってたんだ」

響子「…はい。クッキーを焼いているんですよ♪」

美穂「へぇ~♪ 美味しそう♪ 出来上がりが楽しみだね」

響子「…うん。明日までにはできるから、美穂ちゃん食べてくれるかな?」

美穂「いいの? もちろん♪」

響子「…ありがとう♪ 卯月ちゃんにも、プロデューサーさんにも、おすそ分けしようかなってかんがえてるんだ♪」

美穂「きっと2人とも喜んでくれるよ」

響子「…えへへ、そうかな。だとしたら嬉しいんだけど♪」

響子「…」(ニヤッ)

スッ

【フェニルチオカルバミドの粉末】

パッ…パッ…パッ…ドバババ…

41: 2017/08/06(日) 18:06:22.80 ID:iSLHoo+dO
(事務所)

P「くそぅ…志希のやつ。どこへ行ったんだ」

プンスカプンスカ

P「まあいい。まずは仕事だ。こちらに集中しよう…」

カチャッ…

P「おはよう」

PCS「「「おはようございます♪」」」

P「うむ。みんな志希見なかったか?」

響子「見ませんでしたよ?」

卯月・美穂「「同じくですっ」」

P「ぐぬぬ。ちくしょうめ」

響子「まぁまぁ。プロデューサーさん♪ クッキー焼いたんです。いかがですか?♪」

P「んー…じゃ、せっかくだしいただこうかな」

卯月「このクッキー、とっても美味しいですよ♪」

美穂「ええ♪ さすが響子ちゃんですっ♪」

響子「照れちゃうから2人ともやめてよ~♪」

P「ほほう。楽しみだ」

響子「もうっ。プロデューサーさんまで~♪」

P「はっはっは。イタダキマス」

サクッ…

P「…」

サクサクサク…

P「(…ん?)」

P「…えふっ…!」

卯月「…? どうしましたか?」

P「…こほっ、こほっ…な、何でもないゾ」

P「(なんだこれ!!!!?? 苦ぇぇぇぇっっっ!!!!!)」

P「(苦い苦い苦い!!! 舌が痺れるレベルで苦いぃぃ!!!!)」

P「(な、何が練りこまれてるんだよこのクッキー!?!?)」

42: 2017/08/06(日) 18:07:04.77 ID:iSLHoo+dO
サクサクサク…

美穂「うーん…美味しいです♪」

P「嘘ぉ!?」

美穂「え? 嘘ってなんです?」

卯月「ど、どうしました? プロデューサーさん? そんなにビックリして?」

P「や、2人とも平気…なのか?」

美穂「?」

卯月「?」

響子「あはは…もしかして…お口に合わなかった…のかな…」

P「そ、そういうことじゃなくてだな…こほっ…こほっ…げふん…」

響子「えへへ…いいんです…むり…しなくても…えへへ…」

ポ口リ…

響子「大丈夫です…で、でも、ちょっとだけ…悲しい…かな」

響子「…ごめんなさい…席外します…ね…」

トットットッ…

P「…えふぅ…こほっ…こほっ…ちょっ…」

卯月「…」

美穂「…」

P「ふ、2人ともそんな冷たい目で見ないでおくれ…こほっ…」

卯月「響子ちゃん…泣いてましたね…」

美穂「はい」

卯月「響子ちゃん。昨日から仕込みにずいぶん時間をかけてましたね」

美穂「はい」

卯月「響子ちゃん…『プロデューサーさんに喜んでもらいたいな♪』って言ってましたね」

美穂「はい」

P「…」

P「えふっ」

卯月「…」

美穂「響子ちゃん…可哀想…」

P「違うんだ。これは誤解だ」

卯月「し、仕方ありませんよ。誰だって食べ物に好き嫌いってありますしね」

P「もうやめてくれぇぇぇっ!!! 俺が完全に悪人じゃないかぁぁっ!!」

43: 2017/08/06(日) 18:07:35.80 ID:iSLHoo+dO
しばらくして

美穂「はい。じゃあ半分こにして…どうぞ」

P「うむ」

美穂「いただきまーす」

P「いただきます」

ぽりぽり…

美穂「ん~…♪ 美味しい!」

P「えふぅぐ…ぐふぅぇぇぇっ!!!」

P「苦い苦い苦いっ!!!」

美穂「ど、どこがですか?」

P「ひぇぇん…苦いぃ…」

卯月「…プロデューサーさん。そんなに響子ちゃんのクッキー。嫌なんですか…?」

P「違う違う。苦くて食べられないんだ…」

美穂「…苦手ならそんなに大げさにしなくても」

P「ち、違うんだって」

卯月「響子ちゃん。嘘付かれるより、苦手だってことを伝えられた方が悲しくないと思います。嘘を付かれるのは傷つきますから…」

P「(駄目だ。完全に『苦手な味だから下手な嘘を付いてる男』扱いされてる…!)」

P「(ホントに苦いのに…!!)」

44: 2017/08/06(日) 18:08:04.75 ID:iSLHoo+dO
カチャッ…

響子「戻りました…♪」(ぐずっ)

卯月「おかえりなさい♪」

美穂「おかえり♪」

P「お、おかえり」

美穂「(プロデューサーさん。もう絶対に響子を傷付けたりしたら許しませんからね)」(こそっ)

卯月「(響子ちゃんの気持ち。考えてあげてください)」(こそっ)

P「お、おぅ…」

響子「あ…クッキー。もう下げちゃいますね…こんなもの置いておいてもプロデューサーさんに失礼ですし…えへへ…」

卯月「…」(じっ)

美穂「…」(じっ)

P「(視線が痛い。視線が辛い。2人の視線が突き刺さる)」

P「(『クッキーを全部食え』という無言の圧力がある…)」

P「(だが、あんなもの食えるはずがない…食えるはずが…)」

響子「…」(ぐずっ)

P「…」

P「待てっ! 響子! そのクッキーは全部俺が食べるっ!! 持っていくことは許さんぞっ!」

響子「え?」

P「響子が作ってくれたんだ。残すわけないだろっ!!」

響子「ぷ、プロデューサーさん…♪」

P「(覚悟を決めたぞ…残り10個くらい…根性でどうにかしてやるっ!)」

45: 2017/08/06(日) 18:08:36.04 ID:iSLHoo+dO
響子「はい♪ プロデューサーさん。どうぞ♪ 甘いのでコーヒーも用意してありますよ♪」

P「お、おう」

P「(甘くない。苦いんだよ…)」

響子「隣。座らせてもらいますね♪ たくさん食べてください♪」

すっ…

P「…おぅ。イタダキマス…」

スッ…サクサクサク…

P「…えふっ…美味いっ」

P「(苦い苦い苦いぃぃぃぃ…っ)」

響子「えへへ♪ 喜んでもらえると嬉しいなっ♪ どうぞっ、あーんしてあげます♪」

美穂「わ。響子ちゃん大胆♪」

卯月「プロデューサーさん。羨ましいです♪」

響子「あーん♪」

P「あ、あ、あーん…」

P「(し、幸せと絶望が…っ…!)」

サクッ…もそもそ…

P「えふぅぅぅ…うっ…うっ…ぐふっ」

P「美味いっ!!」(にっこり)

P「(…あかん…青汁の粉を固めたものを食わされているような感じだっ…!!)」

響子「…♪」

46: 2017/08/06(日) 18:11:09.06 ID:iSLHoo+dO
こそっ

響子「(プロデューサーさん。クッキー。とっても『苦い』んじゃないですか…?♪)」(小声)

P「(…!? き、響子。気づいてたのかっ!?)」(小声)

響子「(はいっ…♪ 実はこのクッキー。スーパーテイスターの人だけが『苦み』を感じるようになってる特殊なクッキーなんです♪)」

P「(…だから美穂たちは普通に食べてたわけか)」

P「(というか、なぜこんなことを?)」

響子「(…なんだか。プロデューサーさんにイタズラをしたくなっちゃいまして…♪)」

P「(…もしかして、響子。志希から何かもらわなかった?)」

響子「(…飲み物はいただきましたけど?♪)」

P「(あ。コレやっぱそうだ)」

P「(…はぁ。とにかく、クッキーがおかしいことはわかったから。残りは食べないぞ。いいな?)」

響子「(それは駄目ですよ♪)」(にこっ)

P「(…ん?)」

響子「(残したら…私。悲しむフリをしちゃいます♪ もちろんクッキーの秘密は話しません♪ )」

響子「(そんな私を見たら…美穂ちゃんと卯月ちゃん…きっとプロデューサーさんのこと嫌いになっちゃうんだろうなぁ…)」(こそっ)

P「(!?)」

響子「(だから…ぜーんぶ食べてくださいね…♪ 大丈夫です。代わりにあーんさせてあげますから…♪)」(にこっ)

P「(ちょ、待っておくれ)」

響子「(毒はありませんから大丈夫ですよ…♪ プロデューサーさんがクッキーを美味しそうに食べる姿…近くて見させてもらいます…♪)」

響子「(ふふふ…さっきもとても素敵な表情でしたから…もーっと楽しませてもらいますね…♪)」(うっとり)

P「(ひぇっ…笑顔が恍惚したまゆみたいに…)」

47: 2017/08/06(日) 18:11:42.39 ID:iSLHoo+dO
響子「はい♪ プロデューサーさん♪ あーんしてくださいっ♪」

P「うぅ…ぁあーん…」

サクッ…もそもそもそ…

P「…えふっ…ぅぅ…」

響子「美味しく…ないんですか?」(にっこり)

P「美味しいです…おいちい…ぐふぅ…」

サクッ…もそもそもそ…

P「(苦いぃぃぃぃ…響子の笑顔が怖いぃぃぃっ…生き地獄かよぉ…!!)」

卯月「ふふふ♪ 響子ちゃんラブラブですねっ♪」

美穂「お似合いですよ♪」

響子「もー、2人ともやめてよ♪」

響子「でも…嬉しいなっ♪」

P「あ、あはは…」

響子「そうだ。2人もプロデューサーさんにあーんしてみたらどうかな?♪」

P「!?」

美穂「私はプロデューサーさんが良ければ…やってみたいな♪」

卯月「そ、そんな。いいんですか?」

P「…」

響子「プロデューサーさん…大丈夫ですよね?♪」(にっこり)

P「ひぇぇん」

P「無論。OKだっ!!」

49: 2017/08/06(日) 22:48:00.83 ID:Y6DqdKy10
卯月「はい。あーん♪ です」

P「あーん…」

サクッ…もそもそ…

P「えふっ…う、うまぃ…」

卯月「えへへ♪ 響子ちゃんが作ってくれたクッキーですからねっ」

美穂「はい。じゃあ、次は私ですっ♪ あーん♪」

P「あーん…」

サクッ…もそもそ…

P「うぅぇ…うん…まぃ…」

P「(氏ぬ…苦すぎて氏ぬぅぅ…!!)」

サクサクサク…サクサクサク…


響子「全部食べてくれましたねっ♪」

P「」

卯月「それじゃあ仕事に…ってプロデューサーさん?」

美穂「…寝ちゃってる。疲れてたのかな?」

響子「ええ…きっとそうなんでしょうね♪」

響子「いい夢見てるといいんですが…♪」

P「クッキー嫌だ…もぅクッキー嫌だぁ…」

ケース7.「五十嵐響子」end

50: 2017/08/06(日) 22:49:45.58 ID:Y6DqdKy10
とりあえず終わりです。お読みいただきありがとうございました。
気が向いたら続きを別のスレで書いていこうと思いますので、その時はまたお付き合いいただけたら嬉しいです

51: 2017/08/07(月) 01:35:54.35 ID:7fRjo+vAO
ひえっ


引用: 志希「なんと!! イタズラッコニナールが出来てしまったよ~!♪」