60: 2017/10/07(土) 21:54:35.32 ID:kaqjjIFmO


前回:ケース3. 堀裕子

ケース4. 双葉杏

(事務所)

カチャッ

杏「おはよー」

志希「あ。杏ちゃん♪ グッドタイミング!」(にこー)

杏「藪から棒に、開口一番、いきなり何さ。何なのさ。ずいぶんと嬉しそうな顔だけど」

志希「んふふ♪ コーラあるんだけど……飲むよね~♪ 好きだもんね~♪」

杏「……コーラは好きだし飲みたいけど、嫌な予感がするからいらない」

志希「えー」

杏「えー、じゃないよ。いまの反応からすると明らかに『親切』や『差し入れ』とは違うじゃんか。罠に引っかからなくて残念そうな反応でしょ」
【公式】二次元コスパ アイドルマスター シンデレラガールズ 一ノ瀬志希「実験中」 セリフアクリルスタンド
61: 2017/10/07(土) 21:55:11.68 ID:kaqjjIFmO
志希「杏ちゃんはこの純真な汚れのない眼を信用できないの……?」

キラキラキラ……

杏「子供ってさ、満面の笑みを浮かべて炭酸のペットボトルを全力で振ったりするからね。純真さは信用できないよ」

志希「えーっ! 飲んでよー! 楽しいことが起きるんだからさー!」

杏「せめて騙す努力は続けようよ。ストレートに言っても飲まないよ」

志希「のーんーでー!」

ジタバタジタバタ

杏「嫌だっての……まったく」

志希「ぶぅー!」

62: 2017/10/07(土) 21:56:19.85 ID:kaqjjIFmO
きらり「おっつおっつ☆ おっはようございまーす☆ 杏ちゃんおっきな声出してどうしたのぉ?」(にゅっ)

杏「おはよう、きらり。何でもないよ」

志希「きらりちゃんでもいいや。コーラ飲まない?」

きらり「うきゅ?」

杏「見境ないなぁ」

志希「美味しいよ♪」

杏「きらり。飲まないほうがいいよ。人格を再構築されるから」

63: 2017/10/07(土) 21:57:25.30 ID:kaqjjIFmO
志希「ひどい言い方だなぁ♪」

杏「事実じゃんか」

志希「きらりちゃん……あたしの親切は信じられない……?」

ぐずっ……しくしく……♪

きらり「志希ちゃん……」

杏「きらり? これ罠だよ? 見え見えの罠だよ? ちょっと笑ってるし」

きらり「で、でもぉ……志希ちゃん可哀想じゃない?」

志希「……」(ニヤリ)

杏「可哀想じゃない。ぜんぜん可哀想じゃないよ。あの悪意ある微笑みを見てよ」

64: 2017/10/07(土) 21:58:00.79 ID:kaqjjIFmO
志希「……」

ヒックヒック……うぇーん……♪

きらり「……」

杏「志希。演技派の杏が言うのも何だけど、嘘泣きはやめたほうがいいと思うんだ」

きらり「杏ちゃん! 人を疑うのはよくないっ!」

杏「……ん?」

きらり「志希ちゃん泣かないで? きらりは志希ちゃんのコーラ。飲みたいにぃ☆」

杏「待てい!」

65: 2017/10/07(土) 21:58:31.68 ID:kaqjjIFmO
きらり「……杏ちゃん。きらりはみんなとハピハピすゆの。志希ちゃんも仲間はずれは駄目だよ?」

杏「いや、きらりの頭がハピハピしちゃうから。ハッピーなヒッピーになっちゃうから」

きらり「むー……杏ちゃんの頑固!」

杏「なんだと! きらりの分からず屋!」

バチバチ!

志希「ほらほら、2人とも喧嘩しないの~♪」

杏「ふんっ!」(プイッ)

きらり「ふーんだ!」(プイッ)

66: 2017/10/07(土) 21:59:46.64 ID:kaqjjIFmO
志希「とりあえず落ち着こうよ。ほら、コーラだよん♪」

きらり「志希ちゃん。きらりが飲むにぃ」

志希「どうぞどうぞ♪」

杏「……」

きらり「……杏ちゃんのバカ」(ぼそっ)

ガシッ!

きらり「いただきまーす」

杏「……」

杏「ええいっ! 待て! きらりはこの私が守る!」

タッタッタ……パシッ!

きらり「あ!」

志希「お。まさかの強奪♪」

杏「こんなコーラなんて飲み干してやる!」

グビグビグビッ!

きらり「杏ちゃん!?」

ポイッ……
カランコロン……

杏「げぷっ……最悪だよ……」

ボンッ!

67: 2017/10/07(土) 22:00:14.42 ID:kaqjjIFmO
(しばらくして)

P「ふんふんふふーん。今日は志希は見つかるかなー」

P「もうなんかどうでもよくなってきたけどいるかなー」

タッタッタ……!

P「ん?」

きらり「はぁはぁ……やっと見つけたー! Pちゃん! 助けて!」

P「どうした。そんなに慌てて」

きらり「杏ちゃんが……杏ちゃんが……!」

P「杏に何があったんだ!?」

71: 2017/10/08(日) 11:56:45.85 ID:8OxcvSn40
(別室)

杏「ふはははは。誰かプロデューサーを呼べぇ。私はプロデューサーと結婚するのだ!」(どーん)

杏「けど、めんどくさいから手続きは全部誰かがやれ。私を動かすなっ。早くしろー!」(どーん)

P「……えぇ。なにこの『暴君』」

きらり「志希ちゃんにもらったコーラを飲んだら急にこうなっちゃって……」

P「なるほど。把握した」

きらり「杏ちゃん! Pちゃん連れてきたよ!」

杏「ふはは。プロデューサーを連れてきてくれて御苦労だ。きらり」

杏「そして私と結婚して子供を作るぞプロデューサー!」

P「……はい?」

杏「私の心配事をすべて解消するのだー!」

P「……」

きらり「杏ちゃん! 子供ならきらりがつくゆから元に戻ってよぉ!」

P「いや、それは無理だろ」

P「……とりあえず無害そうだし……話を聞いてみるか」

杏「飴玉を持ってこい!」

72: 2017/10/08(日) 11:57:19.72 ID:8OxcvSn40
(しばらくして)

P「ほれ。飴玉だよ」

杏「苦しゅうない」

パクっ……コロコロ

きらり「杏ちゃん。どーしてPちゃんと結婚すゆなんて言い出したのぉ?」

杏「杏は将来が心配なんだよ。だから早く結婚して家事をほどほどにこなすヒモ主婦になって悠々自適な生活を送るんだ」

杏「旦那が出かけたら掃除洗濯炊事を済ませて、ポテチパリパリ、おこたゴロゴロ、際限のない惰眠をむさぼるエリートニートになる。それが夢なんだ!」

杏「はっはっは。どーだ。このパーフェクトプランは」

P「きちんと家事はやってくれるんだな」

きらり「杏ちゃん。いい子だもん☆」

杏「そこっ! うるさいぞ!」

73: 2017/10/08(日) 11:57:53.69 ID:8OxcvSn40
きらり「ところで杏ちゃん。子供ができたらお世話で忙しくならない? 杏ちゃんは育児放棄なんかしないよね?」

P「俺もそんな姿は想像できない」

杏「……そりゃしないよ。ただ、老後が心配だからさ。子供がいた方が何かと都合がいいじゃん」

P「ほう」

杏「……何より可愛いし」(ぼそっ)

きらり「うっきゃぁ☆ 杏ちゃんカワイイ☆」

杏「げっ。聞こえてたのか」

ガシーン! はぐはぐはぐ!

杏「くそぅ! はぐはぐするなーっ!」

きらり「ぴゅー☆」

杏「抱っこもするなー!」

P「仲良いなぁ」

74: 2017/10/08(日) 11:58:27.44 ID:8OxcvSn40
(少しして)

杏「というわけでプロデューサー。結婚しよう。私に楽をさせるのだー」

P「困る」

杏「えー。ちょっと婚姻届を出して、ちょっと子供を作って、ちょっと働いて子供を育てて、ちょっと老後まで一緒に過ごすだけだからさー」

P「ちょっとじゃないな」

きらり「それもう本懐を遂げてるよぉ」

P「面倒くさいとは思わないの?」

杏「ん?」

きらり「やることいっぱいなのに結婚したいってことは……Pちゃんのことだーいすきなんだにぃ☆」

杏「んん?」

P「杏。なかなかすごいこと言ってるぞ? 気づいてるのか?」

杏「んんん?」

きらり「杏ちゃん。だいたーん☆」

75: 2017/10/08(日) 11:58:55.35 ID:8OxcvSn40
杏「……」

杏「考えるのが面倒になってきたよ。プロデューサー。とりあえず結婚しよう。それから考えよう」(ぐでー)

P「雑になったな」

きらり「むっ。杏ちゃん。人生の決断をすゆんだからテキトーは良くない!」

P「決断をさせる気はないぞ?」

杏「めんどくさい~。きらり~。手続きは任せた~」

P「結婚を取りやめにしようとは言わないんだな」

きらり「……」

P「きらり?」

きらり「杏ちゃんのためなら……ちょっとお手伝いくらいならいいかな☆」

P「きらりさん?」

76: 2017/10/08(日) 11:59:22.40 ID:8OxcvSn40
きらり「Pちゃんと杏ちゃんの結婚。応援するにぃ☆」

P「待て」

きらり「ガッシーン☆」

ガシッ!

P「待ってくれきらり」

杏「いいぞきらりー」

きらり「ガッシーン☆」

ガシッ!

杏「……あれ? なんで杏まで?」

きらり「誓いのキスから始めよ☆」

P「待て!」

杏「……まあ。いっか」

P「よくない!」

きらり「うぇへへ☆」

P「きらり。心の準備が欲しい。5分待ってくれ」

きらり「んー……じゃあ、そのあとね☆」

P「よし」

P「(逃げよう)」

77: 2017/10/08(日) 11:59:52.54 ID:8OxcvSn40
(少しして)

P「とは言ったものの逃げられない。思った以上に力が強くて逃げられない」

ガシッ!

きらり「そろそろ5分経つにぃ☆」

P「ヘルプミィ」

杏「……あ」

P「あ?」

プシュゥゥ……

杏「……」

きらり「?」

P「杏」

杏「うん」

P「薬切れた?」

杏「……うん」

78: 2017/10/08(日) 12:00:24.21 ID:8OxcvSn40
きらり「うきゅ?」

杏「きらり。ごめん。結婚はなし」

杏「あとさ。さっきはごめん」

きらり「……」

きらり「きらりこそ。ごめんにぃ。杏ちゃん、きらりんのこと考えてくれてたんだよね?」

杏「うん」

きらり「えへへぇ☆」

杏「きらり」

きらり「うん?」

杏「志希をとっちめよう」

79: 2017/10/08(日) 12:01:29.30 ID:8OxcvSn40
(しばらくして)

志希「ま、待ってよきらりちゃん。悪気はなかったんだって……」

きらり「志希ちゃん……わゆいことをしたら反省しなきゃダメだにぃ☆」(ゴゴゴゴ)

志希「待って待って待って。ニコニコしながら近づいてこないで。怖いから」

きらり「えへへぇ☆」(ゴゴゴゴ)

志希「ひっ」

ギニャァァァァァ!!!!!

(次の日)

志希「みんなでハピハピするにぃ☆」

キャピーン☆(きらりんポーズ)

杏「いいねぇ」

P「……おぅ」

ケース4. 双葉杏 end

終わり

80: 2017/10/08(日) 12:04:47.47 ID:8OxcvSn40
以上です。お読みいただき、応援いただきありがとうございました。フリスクとNWのみなさんを救出した後に寝ます。

志希博士の薬シリーズはまた近いうちに書くと思います。今後、極悪非道なレスがないことを祈りつつ続けて行きますので心優しいみなさん。どうぞよろしくお願いします。

ではまた。

81: 2017/10/08(日) 12:07:26.15 ID:8OxcvSn40
おまけ

書こうかと思ったけど書かなかった子たちのプロット

82: 2017/10/08(日) 12:07:54.42 ID:8OxcvSn40
おまけ

ごくん……ボン!

まゆ「うふふふふ。プロデューサーさん♪」

P「はい」

まゆ「うふふふふ♪」

P「待って。何その縄は。なんで笑ってるんだい? まゆ?」

まゆ「うふふふふ♪」

ギュッ……

P「待って。どこに連れてくんだい? まゆ。話を聞いてくれ」

まゆ「うふふふふ♪」

ずりずりずり……



83: 2017/10/08(日) 12:08:33.24 ID:8OxcvSn40
おまけ

ごくん…ボン!

茜「大変です!! プロデューサー!!」

P「どうした茜!!」

茜「はいっ!! 運動不足がたたって、プロデューサーの体力が落ちていないかと心配ですっ!!!」

P「なんだと!!!!」

茜「はいっ!! だから走りましょう!!」

P「よしきた行くぞ茜!!」

茜「はいっ!!! 夕日に向かってダッシュですよっ!!」

P「バーニングッ!!」

茜「ボンバァー!!」


84: 2017/10/08(日) 12:09:10.83 ID:8OxcvSn40
おまけ

ごくん……ボン!

幸子「フフーン」

P「なるほど。それは心配だ」

幸子「まだ何も言ってませんよっ!?」

P「大丈夫だ。幸子はカワイイぞ」

幸子「フ、フフーン。わかっていればいいんです」

P「よーしよしよし」

わしゃわしゃわしゃ

幸子「髪の毛をわしゃわしゃしないでくださいっ!」

P「よーしよしよし」

びょーんみょんみょんみょん

幸子「ほっぺたをみょんみょんしないでくださいっ!」

P「……」(ジッ)

幸子「あの。ガン見も困りますってば」


85: 2017/10/08(日) 12:09:40.79 ID:8OxcvSn40
おまけ

ごくん……ボン!

時子「跪け」

P「ブヒィィィィ!!」



終わり

86: 2017/10/08(日) 12:13:59.22 ID:IBNhX34Fo

将来に対するぼんやりとした不安を抱くアイドルがいなくてよかった

引用: 志希「新薬! 『シンパイニナール(心配性になる)』だよ♪」