62: 2017/10/09(月) 22:17:43.34 ID:mVKg0BtG0


前回:ケース2. 川島瑞樹

ケース3. 新田美波

P「『心頭滅却すれば火もまた涼し』という諺がある」

P「心を鎮め、清らかな気持ちを持っていれば、誰が妻になったとしても相手を難なく拒否することが出来るはずだ」

P「俺にはどんな誘惑も効かないというところを志希に知らしめれば、奴も退屈になって投薬をやめるだろう」

P「ああ、なんてグッドアイデアなんだ。俺は天才に違いない」

トコトコトコ……

美波「あ♪」

P「おや、美波じゃないか」

美波「こんなところで会うなんて奇遇ですね。あなた♪」

P「」
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63: 2017/10/09(月) 22:18:21.98 ID:mVKg0BtG0
(少しして)

P「(ちょっぴり驚いたが大丈夫だ。きっちりと美波を拒否してやろう)」

P「(少なくとも家にはあげるまい)」

美波「……どうかしましたか? うわの空みたいですけど」(ジッ)

P「上目遣いで覗いてくるのはずるい。可愛いぞ美波」

美波「ほら、帰りましょう。さっきスーパーで買い物をしたんです。今晩はお鍋ですよ♪」

P「わーい」

美波「ふふっ。あなたはお鍋好きですからね♪」

P「すきー」

P「って、そうじゃない。ちょっと待て美波」

美波「?」

64: 2017/10/09(月) 22:18:47.75 ID:mVKg0BtG0
P「危なかった。今日はお前を家にあげるわけにはいかないんだ」

美波「……どういうことです? あなた?」

P「いや、だから、その……」

美波「あ、わかりました」

P「わかってくれたか」

美波「家に帰らない……ということは2人でどこか泊まっていくということですよね」

P「ん?」

美波「でも、まずはこの食材を置いて来なければいけないので、鍵を渡してください」

P「あ。うん」

ジャラッ……

美波「この辺で待っていてください。すぐに戻りますから」

美波「2人でお泊まりなんて……久しぶりですね。嬉しいです♪」

P「」

65: 2017/10/09(月) 22:19:48.73 ID:mVKg0BtG0
(繁華街)

美波「お待たせしました」

P「うん」

美波「まだ明るいですね……少しこの辺りを散歩しませんか?」

P「ああ」

テクテクテク……

美波「……私。海の見える街で育ったので、街路樹やイルミネーションが並ぶ街中って、今でも慣れないんですよ」

P「綺麗だとは思わないのか?」

美波「ええ。綺麗だと思います。それに好きですよ」

美波「でも……時々、故郷のことを思い出すんです。都会とはまた違った美しさがある。素敵な場所です」

P「……」

美波「……あなたと一緒に海を見たくなっちゃいました。今度の休み。私の実家に来てください♪」

P「もちろん」

66: 2017/10/09(月) 22:20:27.42 ID:mVKg0BtG0
美波「あとですね……」

P「うん?」

美波「その……2人だけで見るより……もっと多くの家族で見られたら素敵だと思うんです……けど」

P「2人だけじゃないって、俺たちの親と一緒にってこと?」

美波「……違います」

P「でも、ほかに家族って……あ」

美波「……」

P「……」

美波「……私たちだけじゃない……新しい家族が欲しいんです……♪」

ぎゅっ

P「」

67: 2017/10/09(月) 22:21:03.89 ID:mVKg0BtG0
P「待って。まだ美波は学生だよね?」

美波「ええ……でも、もう結婚してますし。あなたと一緒ならどんなに大変なことでも乗り切れる自信があります」

P「うん。俺もそう思うんだけど、まだ早いと思うんだ」

美波「……」

P「美波。そんなに辛そうな顔をしないでおくれ。俺も辛くなる」

美波「……だって」

P「……」

美波「……」(ぐずっ)

P「(心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却煩悩最高心頭滅却)」

P「(耐えるんだ俺の理性……!)」

68: 2017/10/09(月) 22:21:38.09 ID:mVKg0BtG0
美波「……」

ぎゅっ

美波「……駄目ですか?」

P「」

美波「……私……欲しいです」

P「」(ズキュゥン)

69: 2017/10/09(月) 22:22:11.37 ID:mVKg0BtG0
P「(待て待て待ていかんいかん。ここで屈したらプロデューサーとしても、人間としても色々終わってしまいそうだ)」

P「(美波と幸せな家庭を築いて、氏ぬまで一緒に暮らすことになってしまうぞ)」

P「……」

P「(あれ? いい人生じゃないか……?)」

美波「……」(ジッ)

P「美波……」

美波「私……あなたとなら絶対に後悔しません……」

P「……」

P「食事にしようかーーーその後、な」

美波「……はい///」

70: 2017/10/09(月) 22:22:46.05 ID:mVKg0BtG0
(レストラン)

カチャカチャ……
モグモグモグ……

美波「わぁ……美味しいですね。このお料理♪」

P「だろ。実はさ、俺が初任給をもらった時、背伸びして来てみた店なんだよ」

P「……きちんとしたレストランで飯なんて食べたことなかったから緊張したな」

美波「あら、誰と来たんですか?」

P「1人」

美波「ふふっ♪ 勇気があるんですね」

P「いや、周りはカップルばかりだったし、顔から火が出るほど恥ずかしかったよ」

P「誰から非難されてるわけでもないのにな」

71: 2017/10/09(月) 22:23:16.30 ID:mVKg0BtG0
美波「あなたにもそういう頃があったんですね」

P「いまもあんまり変わんない気がするけど」

美波「私から見たらあなたはすごく大人ですよ」

P「そう?」

美波「ええ」

美波「いつでも自分を持っている。好きなことにはまっすぐで、とても信頼できる人です」

美波「……だから好きになったんですよ♪」(にこり)

P「(ぐぉぉぉ!!! 幸せな時間なのに心が痛むぅ!!)」

72: 2017/10/09(月) 22:23:54.80 ID:mVKg0BtG0
美波「……あ。ちょっとそれ食べてみてもいいですか?」

P「このグリル? いいよ、小分けにしてあるの取って」

美波「嫌です」

P「うん?」

美波「食べさせてください♪」

P「……あーん」

美波「♪」

パクッ……もぐもぐ

美波「……うん。美味しいですね♪」

美波「私のも食べてみてください。ほら♪」

スッ

美波「あーん♪」

P「」

ミシッ……ミシッ……(理性がきしむ音)

73: 2017/10/09(月) 22:24:38.96 ID:mVKg0BtG0
(食後)

美波「すごく楽しい時間でしたね……♪」

P「ああ。付き合ってくれてありがとう。美波」

美波「他人行儀ですよ。もう……夫婦なんですから♪」

P「……ぐぅ」

美波「それで……泊まるところは決めてあるんですか?」

P「いや、まだ。予約も入れてないんだ」

美波「……なるほど。では、あそこに見えるお城のようなホテルはどうです?」

P「」

美波「私……行ったことがないんで、少し興味があるんです。どうですか♪」

P「……」

P「え、美波。もしかして素で言ってる?」

美波「?」(きょとん)

P「あうち」

74: 2017/10/09(月) 22:25:12.77 ID:mVKg0BtG0
美波「……あそこって普通のホテルじゃないんですか?」

P「いや、あそこはね」

P「かくかくじかじか」

美波「ふんふんなるほど……え?」

P「……と、いう純粋な目的で建てられたホテルです」

美波「……」

P「……」

美波「……みゃー」

P「猫?」

美波「いえ、ちょっと驚きのあまり奇声が漏れました」

P「ははは」

美波「……どうりで友達に聞いた時、ニヤニヤしていたわけですね」

P「教えてもらえなかったのか」

美波「『楽しい場所』としか」

P「……なんか美波には教えたくない気持ちもわかる」

美波「ああああああっ!! 思い出したら恥ずかしいですっ///」

75: 2017/10/09(月) 22:25:44.38 ID:mVKg0BtG0
P「ははは」

美波「わ、笑わないでくださいよっ!!」

P「なんか。美波が悶えてる姿って新鮮だから」

美波「……もぅっ」(ぷくー)

P「可愛い」

美波「うるさいですっ」(ぷくー)

P「ごめんてば」

美波「……」

美波「あ、あの」

P「うん?」

美波「……行ってみたいです」

P「どこに?」

美波「だから……その……あのホテルに」

P「」

ぎゅっ

美波「今度は……用途がわかった上で、です」

P「」

76: 2017/10/09(月) 22:26:15.42 ID:mVKg0BtG0
(ホテル街)

P「(あ。もうなんか無理)」

P「(頭がぼーっとするし心臓ばくばくしてるし、幸せだし)」

P「(腕組んで歩いてる美波がすごいいい匂いするし柔らかいし)」

P「(理性なんてどうでもいい。このままGOだろ。GOしかないだろ)」

テクテクテク……

P「(ああ、お城の入り口が見えた。受付して大きな鏡と回転ベッドのある部屋に入って一晩過ごすんだ)」

P「(もう引けない。引きたくないし、引くべきでない)」

P「(レッツゴー。俺)」

プシュゥゥ(薬の切れる音)

77: 2017/10/09(月) 22:27:08.92 ID:mVKg0BtG0
美波「……あれ?」

P「ん?」

美波「……プロデューサーさん。ここ、どこですか?」

P「……薬切れた?」

美波「?」

P「いや、何でもない。ここは街です」

美波「街? 周りは何だかカップルばかりのような……」

美波「……あれ。このお城のようなホテル……は」

美波「……」

美波「……///」(カァァァッ)

P「……会話の節々は覚えてるみたいだな」

美波「プロデューサーさん」

P「はい?」

美波「……ななな、何でこんなところに連れてきてるんですかっ!!!」

スパーンッ!

P「パトローナムゥゥゥッ!!!」

美波「恥ずかしいですーーっ!!」

タッタッタ……!

P「ぐふぅ……結果的にはよかった、のか?」

パタリ

【しばらく道で寝ていたところ。やたらガタイのいいお兄さんに介抱されて一晩過ごしました】

ケース3. 新田美波 end

78: 2017/10/09(月) 22:27:48.63 ID:mVKg0BtG0
(その後)

美波「……プロデューサーさん?」

P「あら。どうしたのかしら。うっふん」

美波「すみません。あの後、いったい何が…あったんですか……?」

P「うふふふ。もうやだー、美波ちゃんったら♪」

P「……聞かないで」

美波「……はい」

P「それより志希を見つけたらよろしくね」

美波「ええ。今回ばかりは私もちょっぴり怒ってます」

P「やるぞ」

美波「ええ」

P「変な意味じゃないぞ?」

美波「……」

スパーンッ!!

P「グベラァァァァァァァァ!!」

美波「セクハラはもう許しません」(ゴゴゴゴ)

P「……そぉりぃ」

パタリ

79: 2017/10/09(月) 22:30:44.32 ID:mVKg0BtG0
休憩します。
あと大根のレスにちょっとふふってなりました。センスがとても好きです。元気が出たので頑張れそうです。

もちろん大根以外のレスも励みになってます。ありがとうございます。不眠不休を要求さえしてくれなければもっと嬉しいです。

87: 2017/10/09(月) 23:18:19.79 ID:Ze77dShbo
乙ー


引用: 志希「魔薬! 『ツマニナール(妻になる)』を投薬しまくるよ♪」