145: 2012/12/01(土) 00:26:40 ID:YM.JTjUA
気付けば第二部を書いていました
前作:まどか「すにーきんぐみっしょん!」

146: 2012/12/01(土) 00:32:27 ID:YM.JTjUA
―――――――――
――――

ほむら「………」カリカリ

ほむら「……うーん」ゴシゴシ

ほむら「…」カリカリ


まどか「……何してるの?」ウトウト

ほむら「内緒」カリカリ

まどか「むー…」ファーァ

ほむら「こればっかりは、ね」カリカリ


まどか「あぅ…おやすみー……」ポスッ

ほむら「お休み、まどか」カリカリ
もう誰にも頼らない
147: 2012/12/01(土) 00:36:24 ID:YM.JTjUA

スゥ……スゥ……

ほむら「……」カリカリ

ほむら「…一丁上がり」パタッ

ほむら「これだけ詳しければ間違い無いでしょうし、後は注文するだけね」

ほむら「さて、遅くなってしまったし早く寝て…」パチッ



ほむら「……しまいたいのだけど」ハァ

ほむら「軽く捻ってあげるから待ってなさい」

サッ ピシャッ


…………………ホムラチャン…

148: 2012/12/01(土) 00:38:09 ID:YM.JTjUA
―――――――――
――――

まどか「ねぇ、ほむらちゃん」

まどか「土曜日だけど、二人でお出かけしない?」

まどか「何するかはもう決めてあるんだよ!」

ほむら「土曜日? そうね………」

ほむら「…」


まどか(あれ?………ひょっとして、ダメなのかな……)

ほむら「…うん、行きましょうか」

まどか「よかった…」ホッ

ほむら「?」

149: 2012/12/01(土) 00:41:18 ID:YM.JTjUA
まどか「あ、えっと、何するかはお楽しみ!」

まどか「私に任せてね!」

ほむら「ええ。けど、少しだけ寄り道してもらってもいいかしら?」

まどか「うん、大丈夫!」


まどか「えへへ、早く土曜日にならないかな」

ほむら「それなら早く寝ないとね」

まどか「楽しみすぎて今日から寝れないかも」

ほむら「居眠りしてしまうかもしれないわよ?」

まどか「さやかちゃんみたいにはならないもん」


ほむら「それじゃ、お休み。まどか」
まどか「おやすみー」パチッ



ほむら「…………うまく出来てるといいな」

150: 2012/12/01(土) 00:43:36 ID:YM.JTjUA
―――――――――
――――

ほむら「起きてください、朝ですよ」ユサユサ

詢子「んぁ…………あと十時間………」ネムネム

ほむら「そんなに寝ていたら遅れてしまいます」バサッ

詢子「うっ、さっむー………」


ほむら「おはようございます、お義母様」

詢子「おはよう、ほむら」


詢子「さて、ほむらのおかげで今日は遅刻の心配も全くなしだ」

ほむら「いえいえ」

詢子「しかし、なかなか直らないねー。その堅っ苦しいの」

ほむら「努力はしているんですけど…」

151: 2012/12/01(土) 00:46:19 ID:YM.JTjUA
詢子「ま、何度でも言うさ」

詢子「今は理屈抜きに、ほむらは鹿目家の娘だ」

詢子「だから『お義母様』だけは許さない。百歩譲ってお母様」

詢子「お母さんでもいいし、なんならママでもいい」

ほむら「ママはちょっと……」

詢子「はっはっは、確かに柄じゃないね」


詢子「…今日は二人っきりで遊んでくるんだって?」

ほむら「はい」

詢子「そんじゃ、わがまままどかの事は頼んだよ。しっかり者の『お姉ちゃん』」

ほむら「!?」

詢子「さてさて、準備準備っと」  バタン



ほむら「…………お姉ちゃん?」

152: 2012/12/01(土) 00:49:08 ID:YM.JTjUA
―――――


まどか「うにゅ……」ポケー

まどか「……えーっと」グシグシ

まどか「…………あっ、もうこんな時間!?」

まどか「大変! 早くママを…」

イッテクルワー!
イッテラッシャーイ

まどか「あう」


マドカァー オキテルカー?

まどか「うん、起きてるよー」

まどか「……………」

153: 2012/12/01(土) 00:51:01 ID:YM.JTjUA

知久「おはよう、まどか」
まどか「おはよう」
タツヤ「おはよ!」

まどか「あれ、ほむらちゃんは?」

知久「ママと一緒に朝御飯を済ませて、今は洗濯物を干してくれてるよ」

知久「『お手伝いできることがあれば何でもしますから』って聞かなくてね」

知久「このまま行くと仕事を全部取られてしまうかな?」

まどか「そっ、そんなこと」

知久「はは、冗談だよ」


知久「さ、朝御飯食べようか」

まどか「うん」
タツヤ「ごはん!」

154: 2012/12/01(土) 00:55:57 ID:YM.JTjUA
―――――

ほむら「お義父様、干し終わりました」

知久「ご苦労様。ほむらちゃんもココア飲むかい?」

ほむら「はい、いただきます」


タツヤ「おはよ!」

ほむら「おはよう、たっくん」

まどか「もう、起こしてくれればよかったのに」プープー

ほむら「あれだけぐっすり寝てたら起こせないわ」

ほむら「それにしても、最近寝坊してばかりじゃない?」

まどか「………だって、ずっと楽しみだったもん!」

知久「お待ち遠様」コト

155: 2012/12/01(土) 00:58:01 ID:YM.JTjUA
ほむら「熱っ」

知久「それで、今日はどこに行くんだい?」

まどか「えへへ、ほむらちゃんに内緒だから、パパにも内緒!」

まどか「あ、お昼は食べてくるからね」

知久「分かった、あんまり遅くならないようにね」

ほむら「……」フーッフーッ


知久「そうだ。お使いを頼まれてくれるかな?」

まどか「うん」

知久「じゃあ後でメモとお金を渡すよ」

ほむら「…」フーフー
タツヤ「どったの?」

156: 2012/12/01(土) 01:01:11 ID:YM.JTjUA
―――――

まどか「うーん、どれ着てこう?」

ほむら「どれも似合うわ」

まどか「でも、……悩むなぁ」

まどか「ほむらちゃんは…」

ほむら「準備万端よ」

まどか「あ、またそれ着てる」

まどか「似合ってるんだけど、もっと他のも着ようよ」

ほむら「? 着れれば良いと思うけど」

まどか「せっかくの美人さんなんだからお洒落しなきゃ!」

ほむら「お洒落、ねぇ……」


まどか「…ふふふーん」ティヒヒ!

157: 2012/12/01(土) 01:02:19 ID:YM.JTjUA
―――――

知久「はいこれ、メモとお金」スッ

ほむら「忘れないようにしないとね」

まどか「むっ、忘れないもん!」

ほむら「さぁて、どうかしら?」クスクス


知久「それじゃ、気を付けて」

ほむら「はい」
まどか「うん!」

「「いってきます!」」

知久「行ってらっしゃい」
タツヤ「いってあー」

バタン

タツヤ「パパーあそぼー」

知久「よしよし、なにして遊ぼうか」

158: 2012/12/01(土) 01:03:39 ID:YM.JTjUA
―――――

トコトコ


ほむら「それで、まずはどこに連れていってくれるのかしら?」

まどか「えっと、お昼まではお散歩したいな」

まどか「たまにはこういうのもいいかなーって」

ほむら「ふふ、そうね」


まどか「こうやって二人っきりになるのも久しぶりだね」

ほむら「朝晩はいつも二人だけじゃない」

まどか「同じ部屋で寝てるんだから、それとこれとはちょっと違うよ」

ほむら「……だったら、あの日以来になるわね」

159: 2012/12/01(土) 01:05:58 ID:YM.JTjUA

テクテク

まどか「あの時のほむらちゃん、子供みたいにわんわん泣いちゃって」

ほむら「あれは、その………ね?」カァァ

ほむら「他言無用よ、絶対よ?」

まどか「どうしようかなー、あんなほむらちゃん滅多に見れないしなー」ティヒヒ!

ほむら「お願い! 皆に知られたら私、恥ずかしくって氏んじゃう…」オロオロ

まどか「じゃあ、皆には内緒にするね?………多分!」

ほむら「もう、多分じゃなくて絶対…」

160: 2012/12/01(土) 01:08:20 ID:YM.JTjUA

トコトコ

ほむら「それにしても気持ちのいい天気ね」

まどか「お日さまがあったかいね」


まどか「だいぶ寒くなってきたし、もうすぐ冬本番かぁ」

ほむら「冬………久しいわ」

まどか「またそんなこと言ってる」


まどか「そうだ、マフラーとか持ってないでしょ?」

ほむら「ええ」

まどか「だったら、私が編んであげる!」

まどか「ちゃんと編めるかはまた別なんだけど…」

ほむら「ふふ、楽しみにしてるわ」

161: 2012/12/01(土) 01:10:47 ID:YM.JTjUA

テクテク

ほむら「こんなに広い公園があったのね」

まどか「いい所でしょ? 小さいときはよく連れてきてもらったんだよ」



ほむら「ねえ、ベンチに寄りかかってるあの人……」

まどか「あ、上条君だ」


恭介「ん、やぁ、鹿目さんに、暁美さん」ゼェゼェ

まどか「上条君、こんな所でどうしたの?」

ほむら「無理は良くないわ、まだ本調子じゃないのでしょ?」

恭介「……ははは」ハァハァ

162: 2012/12/01(土) 01:13:51 ID:YM.JTjUA


恭介「ふぅ………えっと、どこから話した物かな…」

恭介「僕が復学したその日に何があったかは……勿論知ってるよね」ハァ

まどか「うん、校門でさやかちゃんと仁美ちゃんに告白されたんだよね」

ほむら「大勢の生徒がいるなかで、しかも大声で」

恭介「おかげであっという間に学校中に広まっちゃって…」

ほむら「災難だったわね」

恭介「向こう一週間は落ち着けやしなかったよ」

まどか「それで、返事はまだ決まらないの?」

恭介「考える余裕があれば、こんな目に遭ってないんだろうけど…」

ほむら「意気地無し」

恭介「はは、返す言葉もないよ…」

163: 2012/12/01(土) 01:17:31 ID:YM.JTjUA
恭介「で、そんな二人が、今日は三人でどこか出掛けようってね」

ほむら「二股だなんてあなた……」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「茶々よ、茶々」

恭介「断るに断れなかったんだ……。で、集合場所に行ってみたら二人が怒鳴り合ってて」

恭介「どうも行き先について二人で揉めてたらしいんだけど…」

恭介「僕を見つけるなりすごい剣幕で迫ってきてね」

恭介「なんていうかその、身の危険を感じて……」

ほむら「思わず逃げ出してきたのね」


まどか「…どこで待ち合わせしたの?」

恭介「……駅前だよ」

164: 2012/12/01(土) 01:20:53 ID:YM.JTjUA
恭介「向けられる視線が………」

まどか「………逃げ出しちゃうのもしょうがないよ……」

ほむら「その、えっと、頑張ってね……」


……オォーイ、キョースケェー………
…………キョースケサァーン……



ほむら「結局、あなたのその手は治らないままなの?」

恭介「それが、どうしても諦めさせてくれない頑固者がいてね」

恭介「ほら、見てくれ」ピク

まどか「あっ……!」

恭介「まるで奇跡だって、医者が言ってたよ」

恭介「今はまだほんの僅かに動く程度だけどね」

166: 2012/12/01(土) 01:25:30 ID:YM.JTjUA
恭介「もしもまたバイオリンが弾けたら、君達にも是非とも聞いてもらいたいな」

まどか「きっとまた弾けるようになるよ!」

ほむら「ふふ、楽しみね」

「あーっ!!」
「此処にいらしたのですね!?」

ダダダダダダッ

さやか「しかもナンパしてるだなんて、何考えてるのさ!!」

仁美「そうですよ!私というものがありながら……」

さやか「…いやいや、いやいやいやいやいや、いつ恭介が仁美だけの物になったのかなー?」ニコニコ

仁美「あら、そうなのだとばかり思っておりましたけど、違いますの?」ニコニコ

恭介「…」
ほむら「…こればかりは諦めたら?」

167: 2012/12/01(土) 01:27:51 ID:YM.JTjUA
まどか「ちょっと、二人とも落ち着こうよ!」

仁美「あら、まどかさんにほむらさん! ということは」

さやか「恭介ェ、まさかあたし達の友達に手を出そうとした訳!?」

仁美「それはいくら恭介さんでも許せませんわ! 反省していただかないと」

さやか「そうだ、仁美。今日はこれからさ……」ゴニョゴニョ

仁美「なるほど、素晴らしいですわ! でしたら…」モニョモニョ

さやか「いいねいいね、わかってるじゃん!」

さやか「さて、そうと決まれば……」

ほむら「彼なら向こうへ走っていったけど」

168: 2012/12/01(土) 01:31:54 ID:YM.JTjUA

タタタタタタタッ



恭介「………恩に着るよ」ヒョコ

まどか「私の知ってる二人じゃない………」

まどか「学校じゃ、いつも通りだったのに……」

ほむら「………」

恭介「…もう少し大人しくしてくれれば、落ち着いて考えられるんだけどなぁ」

ほむら「それにしても、仲が良いのか悪いのか…」ガシッ


さやか「さて、行こっか恭介」ニッコリ
仁美「もう逃がしませんわよ?」ニッコリ

恭介「」

169: 2012/12/01(土) 01:36:59 ID:YM.JTjUA
―――――

まどか「……二人ともどうしちゃったんだろう」

ほむら「…さやかが契約するかどうか悩んでいたでしょ?」

ほむら「そうさせない為に私、無理矢理に説き伏せたの」

ほむら「魔法少女になる前に、自分に対して本当に正直になりなさい」

ほむら「あなたにはまだ出来ることがあるはずだからって」

まどか「…そっか、ほむらちゃんだったんだ」

ほむら「まさか、ここまで自分に正直になっていたとは………」

ほむら「仁美さんまで巻き込んで…」

まどか「でも、さやかちゃんらしいよね」

ほむら「……それもそうね」

170: 2012/12/01(土) 01:41:36 ID:YM.JTjUA
―――――

ヒタヒタ

まどか「一緒に住んでるし、並んで歩いてると姉妹みたいに見えるかな?」

ほむら「びっくりするほど似てないわね」

まどか「むっ、どうせほむらちゃんみたいに美人さんじゃないもん」ムスッ

ほむら「私だってまどかみたいに可愛らしくないわ」

まどか「かわいいくせに、ふーんだ」プイッ

ほむら「『まどかの事をよろしく、お姉ちゃん』って、今朝お義母様が」

まどか「うそっ!? 私の方がお姉ちゃんじゃないの?」

まどか「私、ほむらちゃんよりお姉ちゃん歴長いんだよ!?」

ほむら「ほらほらまどか、落ち着きなさい」
ほむら「なんてね」クス

171: 2012/12/01(土) 01:43:47 ID:YM.JTjUA

コソコソ

まどか「お昼はあそこに見えるお店でね」

まどか「雰囲気がよくって、おいしいものばっかりなんだよ」

ほむら「ですって。ついてきて良かったわね」クルッ
まどか「?」

杏子「あちゃ、バレちまってたか」ヒョコッ

まどか「杏子ちゃん、いつの間に…」

ほむら「今日は全部私の奢りだから、二人とも遠慮せずにね」

まどか「え? でも、そんなのほむらちゃんに悪いよ……」

ほむら 「いいのよ。杏子はそのつもりで引っ付いて来たんでしょうし」

杏子「へへっ、そういうこった!」

172: 2012/12/01(土) 01:46:13 ID:YM.JTjUA
―――――

杏子「こんなに色々あると目移りしちまうなー!」キラキラ

杏子「どーれにしよっかなー」ジーッ


まどか「やっぱり、今日は私が誘ったんだし私が……」

ほむら「いいのよ。いつもお世話になっているし、たまにはね」

ほむら「それにこの子、物凄く食べるわよ?」

まどか「………うーん」


ほむら「お金ならあるから、気になる物は全部頼んだらいいわ」

杏子「え、本当か!? 後悔すんなよ?」

ほむら「ふふ、させてみなさい」

杏子「後で謝られても知らねーからな!!」

173: 2012/12/01(土) 01:48:27 ID:YM.JTjUA
ソレデハシバラクオマチクダサーイ


まどか「杏子ちゃん、もう学校には慣れた?」

杏子「いーや、全っ然。特に制服がアレだ、窮屈っていうか」

ほむら「授業には付いていけてる?」

杏子「マミに教えてもらってるし、どうにかね」

ほむら「『マミさん』じゃなくて?」

杏子「あれは無理矢理言わされただけだったろーが」

まどか「マミさん、すごく嬉しそうだったよ?」

杏子「駄目駄目、甘やかすと癖になっちまう」

杏子「その分ほむらが『巴先輩』って呼んでやれよ」

ほむら「嫌よ、柄でもない」

174: 2012/12/01(土) 01:50:41 ID:YM.JTjUA
杏子「そういや、新しい得物は見つかったか?」

杏子「取れる戦術が増えりゃもっと楽になるだろ」

ほむら「探しているのだけど、なかなかしっくりくる物が無くって」

まどか「獲物? 何か捕まえるの?」

杏子「いや、得意な武器って意味だよ。あたしの槍みたいな」

ほむら「銃は調達できないし、爆弾は作るのに手間がかかるから今は手ぶらね」

まどか「そんなの危ないよ!」

杏子「…あー、見たこと無いのか」

杏子「一回さ、ほむらの魔女狩りに連れてってもらいなよ」

ほむら「杏子」ジロリ

175: 2012/12/01(土) 01:53:03 ID:YM.JTjUA
オマタセシマシタ、コチラガ……

杏子「きたきた!」

ほむら「あ、それ私です」

まどか「どれもおいしそう…」

杏子「一口でも二口でもつまめばいいじゃん」


「「「いただきます!」」」


まどか「えっと、さっきの話だけど、ほむらちゃんは大丈夫なの?」

杏子「ああ、ほむらは並の魔女なら武器が無くても渡り合えるんだ」アムッ

杏子「ぶっちゃけ強すぎ」ムグムグ

まどか「…………そうなの?」

ほむら「食べるか話すかどちらかにしなさい」

176: 2012/12/01(土) 01:58:06 ID:YM.JTjUA
ほむら「私はただ、最低限の魔力を最大限に活用しているだけよ」

杏子「その操作技術と変換効率が卓絶しすぎだっつうの」ハムッ

ほむら「コツは教えたでしょ?」

杏子「そう簡単に出来れば苦労しねぇさ」モグモグ

ほむら「当たり前じゃない。私だってどれだけ難儀したことか」

まどか「……ほむらちゃんって、そんなにすごいんだ」

杏子「そりゃそうだ、ここを守った魔法少女だぞ?」カチャ

ほむら「何言ってるの、私一人では到底無理だったわ」


ほむら「そうだ、今度あなたの槍を貸してよ」

ほむら「ぐねぐね曲がって面白そうだと前から思ってたの」

杏子「貸すか! マミのマスケットにしとけ」

ほむら「どうせなら本物がいいわね。硝煙の匂いが懐かしい……」

177: 2012/12/01(土) 02:00:57 ID:YM.JTjUA
オマタセシマシタ、コチラ……

杏子「やーっと次がきたか」

まどか「あ、一口ちょうだい」

杏子「ほら、あーん」パクッ

まどか「うんっ、おいしい!」

杏子「ほむらも、あーん」スッ

ほむら「……」

ほむら「私は別にいいわ」フイッ

杏子「照れんな照れんな」グイグイ

まどか「そうだよほむらちゃん!」

ほむら「てっ、照れてなんか」カアァ

178: 2012/12/01(土) 02:04:22 ID:YM.JTjUA
オマタセシマシタ、コチラ……

杏子「いやー、最ッ高!」ガツガツ

まどか「……」

杏子「ん? どうかした?」グムグム

まどか「…普段からそんなに食べてるの?」

杏子「いいや。そんなことしてたらマミん家を食い潰しちまう」ゴクン

ほむら「でも、会う度に何かしら食べてるじゃない」

まどか「ずるい」

杏子「?」

オマタセシマシタ、コチラガ……

杏子「へへっ、前から食ってみたかったんだよね! こんな馬鹿でっかいパフェ!」

まどか「」

179: 2012/12/01(土) 02:08:27 ID:YM.JTjUA
杏子「そんで、二人はこの後どうすんの?」パクッ

まどか「えへへ、ほむらちゃんと二人でお出かけ中なんだよ」

ほむら「どうせ暇なんでしょうし、あなたも来る?」


杏子「……………あー、いいや」

杏子「マミに買い物頼まれてるし」パクパク

ほむら「そう、なら仕方ないわ」


杏子「ふー、ごっそさん!」ケプ

ほむら「いつ見ても気持ちのいい食べっぷりね」

まどか「あんなに沢山、どこいっちゃったんだろう…」

杏子「そりゃあ、胃袋の中に決まってるさ」ポンポン

180: 2012/12/01(土) 02:10:36 ID:YM.JTjUA


杏子「……悪いね」

ほむら「別にいいのよ。出世払いで返してもらうから」

杏子「えっ、奢りじゃねえの!?」

まどか「頑張ってお勉強しないとね」

ほむら「あら、杏子の事を言えるのかしら?」

まどか「う、だって、もっと分かりやすく教えてくれれば……」

ほむら「なら、もう少し真面目に取り組みましょうか」

まどか「むー」


ほむら「奢られに来た癖に、気にするのね」

杏子「…うっせ」

ゴウケイデヨンマントンデハチジュウエンニナリマース

181: 2012/12/01(土) 02:12:28 ID:YM.JTjUA
杏子「じゃーなー!」

まどか「うん、またね!」

ほむら「またね」


まどか「杏子ちゃん、あんなに食べるんだね……」

ほむら「あれでも抑えていた方よ」

まどか「………あれで?」

ほむら「あの子の事よ、どうせ何処かで引け目を感じているんでしょう」

ほむら「全く、素直じゃないのは誰なのかしら?」

ほむら「遠慮しないでって言ったのに」

まどか「………」

182: 2012/12/01(土) 02:16:31 ID:YM.JTjUA
以上、今回分でした
続きはまた夜に投下します

188: 2012/12/01(土) 23:39:29 ID:YM.JTjUA

テクテク

ほむら「さて、今度はどこ?」

まどか「ちょっと探してるものがあってね」

まどか「だから、ショッピングモール」

ほむら「…さては、私に荷物持ちをさせるために……」

まどか「そ、そんなつもりじゃ」

ほむら「ふふ、冗談よ」


まどか「……ほむらちゃん、よく笑うようになったね」

ほむら「そう?」

189: 2012/12/01(土) 23:41:13 ID:YM.JTjUA
―――――

ほむら「物凄い人ね」

まどか「うーん、どのお店が良さそうかな」

ほむら「こんなに広いんだし、のんびり探せばいいわ」



ツギハドチラニシマショウ?
ハッハッハ、サヤカチャンニオマカセアレー!
フ、フタリトモ、モウカンベンシテクレ……


まどか「あ、さやかちゃんと仁美ちゃんと………見たことない子だ」

ほむら「? ……………なるほど、顔立ちは端整だし、あの出来映えなら…」

まどか「…なんで私には紹介してくれないんだろ」ムスッ

ほむら「まどか、そっとしておいてあげましょう。彼の名誉の為に」

190: 2012/12/01(土) 23:43:53 ID:YM.JTjUA
まどか「え!? なぁんだ、勘違いしちゃった……」

ほむら「私も危うかったわ」



ほむら「あ……………………やっぱり要らないわね」

ほむら「所詮玩具は玩具よ、きっと」

まどか「あれ? あれあれ? ひょっとして、何か欲しいおもちゃがあるのかな?」
まどか「ほむらちゃんもまだまだ子供だね!」ティヒヒ!

ほむら「……かもしれないわね」

ほむら「慣れ親しんできた武器が懐かしくって……」

ほむら「モデルガンを改造して魔力を込めれば代用できるかも、なんて」

まどか「」

ほむら「流石に甘過ぎね。もう忘れることにするわ」

191: 2012/12/01(土) 23:45:44 ID:YM.JTjUA

まどか「ここなんか良さそう!」

ほむら「お洋服が欲しかったの?」

まどか「そんな所かな」



まどか「フリルたっぷり……」ブツブツ

まどか「レースとリボン……………」ブツブツブツ

ほむら「…多すぎて山積みになってるわよ?」

まどか「しんぷるいずべすと………」ブツブツ
まどか「あっ、何か言った?」クルッ

ほむら「ふふ、随分と熱心ね」


まどか「うーん、一回着てみよっか?」

ほむら「この量だと試すのも一苦労ね」

192: 2012/12/01(土) 23:48:07 ID:YM.JTjUA
まどか「はい」ボスッ


ほむら「?」

ほむら「………………??」

ほむら「………何故私に渡し
まどか「さぁさぁ、着てみよっかほむらちゃん!」キラキラ

ほむら「あなたの服を買いに来
まどか「ちっともお洒落に興味のない子の為のお洋服を選びに来たんだよ!!」ギラギラ

ほむら「あまり大きな声を
まどか「ほらほら、こっちこっち」グイグイ

ほむら「ちょ、ちょっと
まどか「それじゃ着替えたら言ってね!」バタン



ほむら「…………え? え?? こんな派手なのを、着るの…………?」

ティヒヒ、ホムラチャンマダー?

193: 2012/12/01(土) 23:50:18 ID:YM.JTjUA
コンナノッテ…ワタシ…


まどか「遅ーい!!」バッ

ほむら「ひゃ!?」
ほむら「え、えっと、着てみたけど………どうなのかしら…?」

まどか「鏡を見れば一目瞭然だよ?」

ほむら「見ても分からないから聞いたのに……」

まどか「まったく、ほむらちゃんには自覚が全然足りないね!」


まどか「それじゃ、次いってみよう!」ズイッ

ほむら「あの、まどか? 何故あなたまで入っ
まどか「だって、着替えるのが遅くって待ってられないもん!」バタン

194: 2012/12/01(土) 23:53:53 ID:YM.JTjUA

ほむら「こんなの絶対に似合わない……」ゴソゴソ

まどか「ほら、自分を見てみて」


まどか「ほむらちゃんは今、周りからどんな風に見えてると思う?」

ほむら「………やっぱり、分からないわ」

ギュッ

まどか「今のほむらちゃんはね」

まどか「とってもとってもかわいい、普通の女の子に見えるんだよ?」


ほむら「…………私が、普通の?」


まどか「うん、だから次はこれ!! ほらほら、早くそれ脱いで!」ウェヒヒ!

ほむら「そ、そんなに急かさないで」モゾモゾ

195: 2012/12/01(土) 23:55:35 ID:YM.JTjUA
―――――

ほむら「疲れた……」


まどか「どれもばっちり似合ってたから、全部買っちゃうよ!」

ほむら「……これを全部?」

まどか「うん! ほむらちゃんには、もっと普通の女の子らしい事をしてほしいもん」

まどか「だから、私からのプレゼント!!」

ほむら「……嬉しいのだけど、こんなに沢山、大丈夫?」

まどか「えへへ、お小遣い貯めてたし、とっといたお年玉もあるんだよ!」

まどか「えーと、合計で……」

まどか「……あ」

196: 2012/12/01(土) 23:58:40 ID:YM.JTjUA
まどか「半分足りない……」

ほむら「全く、そそっかしいんだから」クスクス

まどか「どうしよう……」

ほむら「足りない分は私が出すわ」

まどか「そんなの、私がプレゼントした事にならないもん……」

ほむら「だったら数を減らしましょう」

まどか「でも、全部ほむらちゃんに似合うし……」

ほむら「ふふ、まどかの欲張り屋さん」


ほむら「それなら、半分は私が自分で買うから」

ほむら「もう半分はあなたが、ね?」ニコ

まどか「……………」

まどか「………うん」

197: 2012/12/02(日) 00:00:51 ID:WGcnY9zM
―――――

ほむら「嵩張って歩きにくそうだけど?」

まどか「んしょ、そんなことないよ」

ほむら「…………そうだ、ちょっと仕舞ってくるから待っていて」ヒョイ

まどか「あ、私が持っていくのに」

タッタッタッタッ



まどか「……こんな時までドジばっかり」

まどか「……………うまくいかないなぁ……」



ほむら「……あの、お待たせ」

198: 2012/12/02(日) 00:03:38 ID:WGcnY9zM
まどか「!」

ほむら「えっと、その、…………着てみたの」モジモジ

ほむら「やっぱり慣れないけど、あなたからの贈り物だから………」

ほむら「……変じゃ、ないかしら?」

まどか「……………ううん、全然!」

まどか「でも、どうせだから髪型も変えてみよっか?」




まどか「……よし、完成!」

まどか「えへへ、とってもかわいいよほむらちゃん!」

ほむら「…………あ、ありがとう」カアァァ

199: 2012/12/02(日) 00:07:20 ID:WGcnY9zM
―――――

まどか「えーと、次はね…」

ほむら「……ちょっと言い難いのだけど」

ほむら「試着に時間が掛かりすぎて、もう時間が…」

まどか「あ、ほんとだ………他にもいっぱいやりたい事があったんだけどなぁ」

まどか「……今からじゃ、ちょっと遅くなっちゃうね」

ほむら「なら、今度連れていってくれないかしら?」

まどか「……うん、また今度だね」


まどか「あ、ほむらちゃん、なにか用事があるんだったよね?」

ほむら「それなら、帰り掛けに少し立ち寄るだけだから」

ほむら「さあ、帰る前にお使いを済ませないとね?」

まどか「……忘れてた!」

200: 2012/12/02(日) 00:09:23 ID:WGcnY9zM
―――――

まどか「えっと、にんじんの次は…」



ほむら「!! まずい」

ほむら「まどか? そういえば洗剤が切れ
まどか「あ! おーい、マミさーん!」フリフリ

「あら、鹿目さん!」

ほむら「ちょ、ちょっと! 私今こんな格好なのに」カアアァァ

まどか「?」

マミ「お昼は杏子が迷惑を掛けてしまってごめんなさいね」

まどか「いえいえ、私じゃなくって、ほむらちゃんに言ってください」

ほむら「」ボンッ

201: 2012/12/02(日) 00:11:12 ID:WGcnY9zM
まどか「マミさんもお買い物ですか?」

マミ「ええ。杏子に頼んだら、半分以上がお菓子に変わってたのよ?」

まどか「あはは、杏子ちゃんらしいですね……」

まどか「あれ、そういえば一緒じゃないんですか?」

マミ「罰としてふん縛って置いてきたわ」



マミ「所で、後ろに隠れているその子は」

ほむら「!」ビクッ

マミ「鹿目さんのお友達?」


まどか「え?」

202: 2012/12/02(日) 00:14:34 ID:WGcnY9zM
まどか「あ、えっと、ちょっと待ってください」


まどか(マミさん、ほむらちゃんだと思ってないみたいだよ)ゴニョゴニョ

ほむら(普段から何で判断してるのよ……)チラッ

マミ「?」

ほむら(こんな姿、他の皆には見られたくなかったのに……)モニョモニョ

まどか(こんなにかわいいのに?)ゴニョゴニョ

ほむら(こ、心の準備が出来ていないというか)モニョモニョ

まどか(あ、そうだ! 私に任せて)ゴニョゴニョ


まどか「すいません、この子すっごく人見知りで」

マミ「ふふ、そうみたいね」

まどか「だから、マミさんの事を教えてました」

203: 2012/12/02(日) 00:18:58 ID:WGcnY9zM
まどか「紹介しますね」

まどか「親戚の、鹿目明美ちゃんです!」
ほむら「!?」

まどか「私と同い年で、今度見滝原中に転校してくるんですよ」

マミ「改めまして、私は巴マミ。よろしくね」

ほむら「よ、よろしくお願いします……」ペコリ

マミ「同じ鹿目さんだとややこしいし、明美さんでいいかしら?」

ほむら「え……あ、はい」


マミ「そういえば、鹿目さんは今日はほむらちゃんと一緒だって杏子が言ってたけど」

ほむら「」ビク

まどか「えと、用事があるからって途中で別れました」

マミ「いつも一緒にいるのに、珍しいわね」

204: 2012/12/02(日) 00:20:27 ID:WGcnY9zM
マミ「そうだ、二人とも明日は暇かしら?」

まどか「はい、私は特には」

ほむら「私も……何も」

マミ「なら、私の家でお茶会しない? 新しい後輩の歓迎会も兼ねて、ね?」

ほむら「でも、いきなりなんて……」

マミ「遠慮なんかしなくていいのよ」

マミ「美樹さんには私から連絡しておくから、ほむらちゃんも誘っておいてね」

まどか「はい、もちろん」チラッ

マミ「ふふっ、ケーキの用意をしながら待ってるわ」

まどか「マミさんの作るお菓子ってとってもおいしいんだよ?」

ほむら「知っ………とても、楽しみです」

205: 2012/12/02(日) 00:22:44 ID:WGcnY9zM
オカイアゲアリガトウゴザイマシター


マミ「ねぇ、よかったら少しお茶していかない?」

ほむら「あの、まだ寄らないといけない所がありまして……」

ほむら「今日は失礼します」

まどか「でも、ほむらちゃん。それがどこかまだ聞いてなかったけど……」

ほむら「」

マミ「? 明美さんでしょ? ほむらちゃんじゃな…………あっ」

ゴソゴソ パシャ

ほむら「何故撮るのよ! 今すぐ消しなさい!!」カアァァァ

マミ「いやよ、手放すわけないじゃない!」

206: 2012/12/02(日) 00:24:15 ID:WGcnY9zM
―――――

トコトコ

マミ「でも、そんなに恥ずかしがる事?」

まどか「自信がないみたいです」

ほむら「…だって、こんな服着たのは初めてだから……」

マミ「なら杏子と美樹さんにも感想を聞いてみましょう」ピッ

ほむら「」


マミ「それにしても、リボンがよく似合ってる」

まどか「えへへ、私が結わえたんですよ?」

マミ「まるでお人形さんね。普段のクールさは何処へやら」

ほむら「うぅ……」カアァ

207: 2012/12/02(日) 00:26:23 ID:WGcnY9zM
まどか「そういえば、いつのまにか『ほむらちゃん』って呼ぶようになりましたよね」

マミ「色々あってね」

マミ「……よかったら、あなたと美樹さんの事も下の名前で呼びたいの」

マミ「あなた達とは一つ違うけど、………先輩より、友達でいたいから」モジモジ

まどか「うーん、……ちょっと、こそばゆいです」

まどか「でも、マミさんは私達の頼れる先輩だし、大切な友達ですから!」ニコ

マミ「そっか………ふふ、ありがとね」

ほむら「私も下の名前は勘弁願いたいのだけど」

マミ「それは聞き入れられないわね」

ほむら「なんで私には拒否権がないのよ!」

マミ「私の同情を買ってしまった事と、その可憐な姿のせいよ」

ほむら「っ!!」カアァァ

208: 2012/12/02(日) 00:30:21 ID:WGcnY9zM
―――――

ほむら「ちょっと見せられない物だから、ここで少し待ってて」



まどか「え、………お洋服屋さん?」

マミ「正確には仕立屋ね。どこに用があるのか気になって付いてきたけど…」

マミ「ふむ、中々興味深いわね」


まどか「…………私、余計な事しちゃったのかな…」

まどか「ほむらちゃん、お洒落に興味がないと思って、勝手に押し付けて………」

マミ「でも、あんなに恥ずかしがりながら、どこか嬉しそうだったわ」

マミ「それに嫌だったら、買ってもらったのをすぐに着るはずがないもの」

209: 2012/12/02(日) 00:32:47 ID:WGcnY9zM
まどか「でも、気を遣ってくれてるだけかも…」

マミ「私にはとてもそうとは思えないけどね」


ほむら「よいしょっと、お待たせ」

まどか「うわっ、大きい!」

マミ「可愛らしいラッピングだけど、一体誰へのプレゼントかしら?」

ほむら「内緒」

まどか「いいなー、何が入ってるの?」

ほむら「内緒」

マミ「もう、少しぐらい教えてくれてもいいじゃない」ムー

ほむら「なーいしょ。さて、さっさと仕舞わないと」パアァ

210: 2012/12/02(日) 00:35:30 ID:WGcnY9zM


マミ「今日は珍しい物も見れたし、帰って明日の準備をしなくっちゃね!」

マミ「そうそう、二人から返信が来てたわ。ふふ、『明日が楽しみ』ですって」

まどか「ほむらちゃん、期待されちゃってるね」

ほむら「……き、着ていけばいいんでしょう!?」


マミ「それじゃ、また明日ね」

まどか「はい、また明日!」

ほむら「…………」ハァ

ほむら「また明日」



まどか「さ、私達も帰ろっか」

217: 2012/12/03(月) 02:38:36 ID:R29nxz1U

テクテク

まどか「もうお日様も見えなくなっちゃった」

ほむら「もうすぐ暗くなるわね」


まどか「今日はあっという間だったなぁ」

ほむら「そうね、あっという間」


ほむら「少し寒くなってきたわね」

まどか「なら」

ギュ

まどか「こうすれば、ね?」

ほむら「でも、私の手、冷たくないかしら?」

まどか「ううん、とってもあったかいよ」

218: 2012/12/03(月) 02:39:30 ID:R29nxz1U

トコトコ

ほむら「はぁ、さやかと杏子になんて言われるか……」

まどか「そんなに心配?」

ほむら「そうじゃないんだけど……その………」

まどか「……」


まどか「……ねぇ、ほむらちゃんは今日、楽しかった?」

ほむら「ええ、それはもう。とても楽しかったわ」ニコ


まどか「……そっか」

まどか「楽しんでもらえて、……よかった」

219: 2012/12/03(月) 02:40:17 ID:R29nxz1U
―――――

ガチャ


「「ただいま!」」

知久「二人とも、おかえり」
タツヤ「おかーり!」

知久「ほむらちゃん、随分と可愛らしくなったね」

ほむら「そ、そうでしょうか……」カアァ

まどか「パパ、はいこれ」ガサッ

知久「うん、ありがとう」

知久「お風呂を入れておいたから、晩御飯を作っているうちに入っておいで」

ほむら「はい、ありがとうございます」

まどか「ねぇ、たまには一緒に入ろっか?」

220: 2012/12/03(月) 02:41:23 ID:R29nxz1U
―――――

チャポン

まどか「ほむらちゃんのお肌、真っ白ですべすべで、いいなぁ」

ほむら「病的な白よ。私はあなたぐらいの健康的な色の方がいいわ」

ほむら「あと…………あなたと違って、……伸び代が…」

まどか「伸び代?」


まどか「ほむらちゃんの髪の毛、今日ので少し癖ついちゃってるね」

まどか「そうだ、私に洗わせてくれない?」

ほむら「いいけど、代わりにあなたの髪は私に洗わせてもらうわね」

まどか「えへへ、洗いっこだね!」

221: 2012/12/03(月) 02:42:37 ID:R29nxz1U
―――――

まどか「ふぅ、さっぱりしたー!」ホワホワ

知久「ちょうど晩御飯も出来上がった所だよ」

知久「ママは今日は遅くなるみたいだし、皆で先に食べてしまおうか」

まどか「うーん、今日のほむらちゃん、ママにも見せたかったのに…」

知久「ママのことだから、着せ替え人形にされてしまうかもね」

ほむら「………親子だわ」

タツヤ「ごはんー」

知久「そうだね。それじゃ」


「「「「いただきます」」」」

222: 2012/12/03(月) 02:43:38 ID:R29nxz1U
―――――

タツヤ「ごちそさまー!」
ほむら「ご馳走さまでした」
まどか「ふぅ、お腹一杯!」


知久「そうだそうだ、ほむらちゃんに小包が届いてたんだった。はい」スッ

まどか「?」

ほむら「あ、届いてたんですね。ありがとうございます」

知久「………君の親御さんから聞かされるべき事なんだろうけど」

知久「お金の使い方には、気を付けなさい」

ほむら「大切な人への贈り物ですので、ついつい……」

ほむら「確かに度を過ぎていますね。気を付けます」

まどか「??」

223: 2012/12/03(月) 02:44:33 ID:R29nxz1U
ほむら「では、洗い物は私が済ませてしまいますので」

知久「わかった、よろしく」

まどか「私も手
タツヤ「ねーあそぼー!」ダキッ

まどか「あっ、こら、タツヤ!」

ほむら「大丈夫よ、私一人で済ませられるから」


カチャカチャ


まどか「ねぇタツヤ、ほむらちゃんって誰にプレゼントを送るんだろうね」

タツヤ「?」キョトン

まどか「もらえる人が、羨ましいなぁ……」

224: 2012/12/03(月) 02:45:26 ID:R29nxz1U
―――――

まどか「んん………」グシグシ

ほむら「ふふ、今日は歩き疲れてしまったものね」

まどか「ん……」

まどか「ふぁ……さっきの、…小包って………?」

ほむら「内緒」

まどか「?…………けちー……」ウトウト

ほむら「さぁ、もう寝ましょうか。きっとよく眠れるわ」

まどか「……おやすみー………」モゾモゾ

ほむら「お休みなさい、まどか」

パチッ

225: 2012/12/03(月) 02:46:16 ID:R29nxz1U
―――――

「ただいまー」

知久「おかえり」

知久「今日は随分と遅かったね」

詢子「はっはっ、ちょーーーっとね」

詢子「………腹が立って腹が立ってしょうがねぇ」ギリッ

詢子「けど、こればっかは我慢して煮詰めてかないとな…」

知久「そうか。晩御飯はどうする?」

詢子「んや、いいわ。碌に飲めなかったから付き合ってくれ」

226: 2012/12/03(月) 02:47:27 ID:R29nxz1U
ゴクッゴクッ

詢子「ふぅ……………んで、娘たちはどうだった?」コト

知久「ほむらちゃんが随分と様変わりして帰ってきたよ」

詢子「なんだそれ。あと、ほむらちゃんじゃなくてほむらだろ」

知久「なかなか慣れなくて」

詢子「…ま、追い追いでいいか」グイッ


詢子「………悪いね。まともに休みも取れなくて」

知久「気にしてないさ」

詢子「たまには皆でどっか行きたいもんだ」ンクッ

詢子「……うっし、もう一踏ん張りして暇でもぶんどってくるか」

227: 2012/12/03(月) 02:48:16 ID:R29nxz1U
詢子「…でも、驚いたね。……急にほむらを引き取りたいって言い出して……」

知久「あんなに必氏になっているまどかは見た事が無かったよ」

詢子「……まどかがほむらを連れてきた時、だいたい分かったけど…」ゴク

詢子「まぁ、……娘がもう一人くらい、欲しいとは思ってたんだ………」




カラン


詢子「…まどかもなぁ……貰う、ばっかだと思って………」ウトウト

詢子「………いい子、だから、………ふぁ…………」カクン

詢子「………………………すぅ…………すぅ…」

知久「……いつもお疲れさま」


ヨッコイショット アレ、オモタクナッタカナ……

228: 2012/12/03(月) 02:49:37 ID:R29nxz1U
―――――――――
――――

『さようなら』

待って、行かないで……

『どうして? 縛り付けるだけの理由があるの?』

私は、一緒にいたいの…

『一緒だなんて、迷惑なだけ』

『あなたのせいで、酷い目に遭ったのよ?』

なら、その埋め合わせをするから……

『ふざけないで。取り返しがつかない事ぐらい分かっているでしょう?』

『今日だって、楽しんでいたのはあなただけじゃないの?』

…………

229: 2012/12/03(月) 02:50:31 ID:R29nxz1U
『何もできない癖に』

だから、私は変わるの………

『何一つ変わって無いじゃない』

それは……………

『でしょう? 結局あなたは自分勝手』

『頼まれもしないのに同情を振り撒いて』

だって、だって、見てられないもん………

『目を背ければいいじゃない。あなたは魔法少女じゃないんだから』

関係無いよ、そんな事……

『関係無いのはあなたの方よ』

230: 2012/12/03(月) 02:51:14 ID:R29nxz1U
『それじゃ、さようなら』

まって………

『もう二度と会うことも無いでしょうね』

お願い、ほむらちゃん……

行かないで……!



まどか「行かないでよぉっ!!」


まどか「ぁ………」

まどか「………………また、夢」

まどか「……いつも…………………」


まどか「あれ………………ほむらちゃん?」

231: 2012/12/03(月) 02:51:58 ID:R29nxz1U
―――――

コロン


ほむら「……うーん、チェーンソーはいまいちね。よく切れたけど…」

QB「全く、とんでもないことをしてくれたね」ヒョコ

ほむら「あら、お勤め御苦労様」

QB「君のお陰で納期に間に合わないじゃないか」

QB「一時的とはいえ、魔女が枯渇したせいで新規契約が減ってしまったんだから」

ほむら「いいじゃない。世の中が平和になったって事でしょ」

QB「それが君達の首を絞めているんだと、何回言えば理解してもらえるのかな」

ほむら「別のエネルギー源を探しなさいよ」

QB「あったらこんな所にはいないさ」

232: 2012/12/03(月) 02:53:38 ID:R29nxz1U
QB「所で、穢れの溜まったグリーフシードはあるかい?」

QB「配給待ちが多発してるからさっさと徴収しなきゃならないんだ」

ほむら「…………………はい」ポイッ

QB「よっと、…きゅっぷい」ゲフ


ほむら「あなた、マミの所に顔出してる?」

QB「最近は行ってないね」

ほむら「ならたまには遊びに行ってあげなさい」

QB「何故だい? 正体を知った今、君達は僕らを憎悪している筈だろう」

ほむら「ええ、そうよ。今すぐ真っ二つにしてやりたいわ」ギュィイイイィィ

QB「それを止めてくれないかな」

ほむら「それでも、彼女にとってあなたは唯一無二の友達なのよ」

233: 2012/12/03(月) 02:54:17 ID:R29nxz1U
QB「さっぱり分からないね。何故仇敵を友人として迎えられるんだい?」

ほむら「あなたも感情を持ってみれば、痛いほどよく理解できるはずよ」

QB「それは到底無理な話さ。僕は至って健常な個体だからね」

ほむら「だったら頃してあげるから、あなたたちの言う精神疾患持ちを後釜に据えなさい」

ほむら「いい子なら歓迎するし、悪い子なら調教してあげる」

QB「貴重なサンプルをわざわざ手放す訳がないだろう」

ほむら「サンプルだなんて可哀想に」

QB「心にも無いことを」

ほむら「心を持たない癖に」

234: 2012/12/03(月) 02:55:11 ID:R29nxz1U
QB「しかし、この辺りは魔女が減るばかりで効率が非常に悪い」

QB「君達も早く魔女になってくれないかな」

ほむら「っ、余所を当たりなさい。今すぐに!」ギュィィイイイ

QB「わっ」ササッ



ほむら「……決して魔女になんてならない」ギリッ

ほむら「こんな私を認めてくれた、皆の為に………」


ほむら「もう、二度と…………!」グッ

スタスタ

235: 2012/12/03(月) 02:56:17 ID:R29nxz1U
―――――

サッ  ピシャッ  


「……お帰り、ほむらちゃん」

ほむら「あら、起こしてしまった? ごめんね」

まどか「…ううん、違うの。眠れなくて………」

まどか「……また、魔女?」

ほむら「ええ、チェーンソーの威力と取り回しの悪さがよく分かったわ」

まどか「……」

ほむら「さぁ、もう遅いし。早く寝ましょ」


まどか「……今日は、一緒に寝てくれない、かな………」

ほむら「? 構わないけど」

236: 2012/12/03(月) 02:57:45 ID:R29nxz1U
モゾモゾ


まどか「………ねぇ、私達と暮らして、どう?」

ほむら「どう? どう……………そうね」

ほむら「最初はやっぱり戸惑ったわ。ずっと一人で過ごしてきたから」

ほむら「でも、お義母様は本当の娘として扱ってくれて」

ほむら「お義父様も、本当の父親の様に接してくれて」

ほむら「たっくんも私によく懐いてくれて」

ほむら「あなたは、これ以上無く親しくしてくれて」

ほむら「まるで私が、最初からこの家の一員だったみたい」

ほむら「そう思えるぐらいに、私を受け入れてくれているんだって、今は実感してる」

まどか「……」

237: 2012/12/03(月) 02:59:36 ID:R29nxz1U
まどか「………毎日、楽しい?」

ほむら「ええ。こんなに素敵な日々を送れるなんて思ってなかった」


まどか「…………魔法少女の事、辛くないの?」

ほむら「……辛いわ。あの魔女を撃ち破った所で、全てが終わった訳じゃないのだから」


まどか「………ほむらちゃんは、……私のせいで、魔法少女になったんだよね………」

ほむら「…いいえ」

ほむら「私はあなたの……いえ、自分の為に」

ほむら「あなたを失いたくなかった。ただ、それだけ」

まどか「でも、それは………その時の私が、馬鹿だったから……」

ほむら「馬鹿なんかじゃない。あなたはいつだって他人の事を思い遣ってたわ」

238: 2012/12/03(月) 03:00:35 ID:R29nxz1U
まどか「………それは多分、思い遣りじゃないと思うの…」

まどか「誰かの為になりたくって、頼りにされたくて………」

まどか「してもらうばっかりの、……何もできない、自分が嫌だから……」

まどか「………結局、私のわがままなの……」

ほむら「…」

まどか「……ほむらちゃんを家に呼んだのだって」

まどか「今日、お出かけしたことだって………」

まどか「ほむらちゃんが、……私のせいで、苦しんだから」

まどか「…だから、私が責任取らなきゃいけないから……」

まどか「ほむらちゃんは、……笑ってないと、いけないから…」

まどか「今度は私が、ほむらちゃんを助けてあげないと…いけないから………」

239: 2012/12/03(月) 03:01:56 ID:R29nxz1U
まどか「……ほんとは、迷惑だったよね………」

まどか「無理矢理引き留めて……」

まどか「好きでもない格好させて…………」

まどか「………楽しくなんて……………なかった、よね…」


まどか「結局、私は、………何もできない。してあげられない…………」ジワ

まどか「私、……すこしも、かわれない…………」ポタッ



ほむら「ねぇ、こっちを向いて」

まどか「………わたし…」

ほむら「向いてくれないの? なら」ゴソゴソ


ギュッ

240: 2012/12/03(月) 03:05:04 ID:R29nxz1U
まどか「っ………!」

ほむら「ふふ。本当にわがままで、本当に欲張り屋さんね」

ほむら「他人の悲しみや苦しみまで背負い込んで」

ほむら「その癖、自分のはちっとも分けてくれないだなんて」

まどか「………」


ほむら「あのね、私はあなたから、掛け替えのない贈り物を貰ったの」

ほむら「何だと思う?」

まどか「………………そんなの、わかんないよ…」



ほむら「今という、この時間よ」



241: 2012/12/03(月) 03:06:00 ID:R29nxz1U
ほむら「初めて出逢ったその時から、私はずっとあなたに助けられてきた」

ほむら「何の取り柄も無かった私に、手を差し伸べてくれた」

ほむら「私が持っていなかったものは全部、あなたがくれた」

ほむら「例えば、それは友達、それは自信」

ほむら「あなたがいてくれたから、私が今、ここにいるの」

まどか「でもっ、それは私じゃない、私は何もしてない……」ポタ

ほむら「本当に?」

ほむら「あなたは、私の事を心配してくれて、私の所に来てくれて」

ほむら「私を赦してくれて、私の願いを叶えてくれているじゃない」ギュ

ほむら「あの時、引き留めてくれて、本当に嬉しかった」

ほむら「私の手を引いてくれて、本当に嬉しかった」

242: 2012/12/03(月) 03:08:01 ID:R29nxz1U
ほむら「今日だって、前から考えてくれていたんでしょう」

まどか「…………………うん……」

ほむら「私を楽しませようとしてくれたんでしょう」

まどか「…………うん…」

ほむら「私に、普通の女の子でいてほしかったんでしょう」

まどか「……うん…」

ほむら「ありがとう」

ほむら「今日は、これ以上ないぐらい楽しかった」

ほむら「それに、昨日だって、一昨日だって」

ほむら「あなたと過ごした毎日は、全部楽しかった」

まどか「……」

243: 2012/12/03(月) 03:09:02 ID:R29nxz1U
ほむら「ねぇ、こっちを向いて」

まどか「……」

まどか「…………」モゾモゾ

ギュッ


ほむら「ふふ、やっと向いてくれた」

ほむら「何もできないなんて言わないで」

ほむら「あなたは、私を受け止めてくれた」

ほむら「あなたのお陰で、今は心から笑うことができるの」

まどか「…本当、なの………?」ジワ

ほむら「ええ、本当」

まどか「……苦しく、ないの……?………辛くないの…?」ポタ

244: 2012/12/03(月) 03:09:57 ID:R29nxz1U
ほむら「いいえ。魔法少女の事は辛いし、苦しい」

ほむら「でもね、そんなの気にならなくなるぐらい、ずっとずっと」

ほむら「あなたとの約束を果たすことができて」

ほむら「あなた達が一緒にいてくれて」


ほむら「私は、こんなにも幸せ」


まどか「……………しあわ、せ……?」ポタ

まどか「……ほんとうに?………」ポタッ

ほむら「ふふ、まだ信じられない?」

245: 2012/12/03(月) 03:10:47 ID:R29nxz1U
ほむら「なら、分かるまであなたのわがままを聞いてあげる」

ほむら「ずっと、あなたの横で笑っていてあげる」

ほむら「もっと、あなたを頼ってあげる」

まどか「…………ぐすっ…」ポタ

まどか「……ほむらちゃんは、つよいね…………やさしいね……」ポロポロ

ほむら「そう思う? 強さも、優しさも、あなたがくれたのよ」


ほむら「だから、自信を持って」

ほむら「何もできないはずが無いわ」

ほむら「何故なら、あなたが私を救ってくれた事は、紛れもない真実なんだから」


まどか「……うぅ……………ひっく…」ポロポロ

246: 2012/12/03(月) 03:12:48 ID:R29nxz1U
ほむら「大丈夫よ。あなたの気持ちは、ちゃんと通じてる」

まどか「……わたし、…ぐす、うれしいな………」ポロポロ

まどか「……わたしなんかの、ひっく、こと、こんなにおもってくれてて………」ポロポロ

まどか「ぐすっ……ありが、ひっく、ありがとう………」ポロポロ

ほむら「こちらこそ、ありがとう。私の事を思ってくれて」ギュ

まどか「……うぅ…………ぐす…」ポロポロ

まどか「…………ひっく…」ポロポロ




ほむら「…私も、もう少しだけ素直にならなくちゃ」ボソ

まどか「…………すぅ…………すぅ…」

ほむら「ふふ、泣き疲れちゃって」ナデナデ

247: 2012/12/03(月) 03:14:03 ID:R29nxz1U
―――――――――
――――

『さようなら』

じゃあ、またね。

『本当に行ってしまうわよ?』

だって、ここにいるのは嫌なんでしょ?

『さて、どうかしら』

え? うーん、わかんないなぁ。

『あなたはどう思っているの?』

やっぱり、一緒にいてほしい、かな。

『こんな私と? 正気じゃないわ』

だって、ほむらちゃんが自信をくれたから。

248: 2012/12/03(月) 03:14:58 ID:R29nxz1U
『ならもう私は用無しのはずよ』

それでも、あなたは大切な人だから。

『大切? 何の役にも立てやしないのに』

だからって切り捨てるのは、やっぱり違うと思う。

『相変わらずね。そのままじゃいつまで経っても変われないわよ』

ううん、ほむらちゃんが教えてくれたの。
変われなかったんじゃなくて、気付けなかっただけ。

同情して、その人を通して、自分の事ばかり見てたんだ。

『ふふ、尚更お別れしないといけないわね。私の事はさっさと忘れなさい』

そっか………でも、私はあなたの事、覚えてるから。

『はぁ、最悪の餞ね。気が変わったわ、いつまでも付き纏ってあげる』

もう、素直じゃないんだから。

『当たり前じゃない。それじゃ、適当に頑張りなさい、私』

うん。頑張るよ、卑屈な私。

249: 2012/12/03(月) 03:16:39 ID:R29nxz1U
―――――――――
――――

ほむら「起きてください、朝ですよ」ユサユサ

詢子「むぐぅ…………あと十年………」ネムネム

ほむら「そんなに寝ていたら手遅れになってしまいます」バサッ

詢子「ひっ、さっむ……」


ほむら「おはようございます、お母さん」

詢子「おはよう、ほむら」


詢子「さて、ほむらのおかげで今日も遅刻の心配は全くなしだ」

ほむら「せっかくの日曜日ですのに……」

詢子「はっはっ、あたしはいいんだよ」

詢子「今日は会社に行くんじゃないし」

250: 2012/12/03(月) 03:17:43 ID:R29nxz1U
詢子「そんで、昨日は色々あったみたいだね」

ほむら「ええ、それはもう色々と」


詢子「今度さ、休みをどっさり取ってくるから」

詢子「あたしの買い物にも付き合え」

ほむら「私を着せ替え人形にするんですよね?」

詢子「そうそう。覚悟しとけな」

ほむら「分かりました。ふふ、楽しみです」


詢子「さ、朝飯朝飯」

251: 2012/12/03(月) 03:18:41 ID:R29nxz1U
―――――


まどか「ん……………ふぁあ」グシグシ

まどか「…………あー…」

まどか「…よし、頑張るぞー!」

ほむら「起きてる?」ヒョコ

まどか「わっ」

ほむら「ほらほら、後はあなただけよ。朝御飯が冷めちゃうわ」

まどか「うん、着替えたら行く」




「「「「「いただきます!」」」」」

252: 2012/12/03(月) 03:19:29 ID:R29nxz1U
知久「今日もどこかに行くのかい?」

まどか「うん、マミさんにお誘いされて」

知久「そうか、あまり迷惑を掛けないようにね」

まどか「あ、今日もお昼は食べてくるから」

知久「分かった。それじゃあタツヤはパパと遊んでようか」

タツヤ「うん!」

詢子「しかし、よく似合ってるわ」

ほむら「まどかが選んでくれたんですよ」

詢子「うんうん、流石はあたしの娘だ」

253: 2012/12/03(月) 03:20:50 ID:R29nxz1U
「行ってくるわー」

「「「「いってらっしゃい」」」」


ほむら「ねぇ、ちょっと来て」

まどか「?」


ほむら「本当は、もう少し様子を見てからがよかったんだけど……」

ほむら「はい」スッ

まどか「えっ、これ………」

ほむら「受け取ってくれるかしら?」

まどか「…………………うん、うん!」ジワ

まどか「ほむらちゃん、ありがとう!!」ポロ

254: 2012/12/03(月) 03:22:25 ID:R29nxz1U
ほむら「ふふ、そんなに喜んでくれるなんて」

まどか「えへへ………」グシグシ

まどか「……これ、マミさん家で開けていい?」

まどか「みんなに自慢したいな」

ほむら「ええ。あなたの物よ、どうぞご自由に」

まどか「じゃあ、早く行こ!」グイグイ

ほむら「そう慌てないで、連絡ぐらいしておかないと」

まどか「あっ、そうだね」

ほむら「全く、子供っぽいんだから」クス



「「行ってきまーす!!」」

255: 2012/12/03(月) 03:23:48 ID:R29nxz1U
―――――――――
――――

さやか「しっかし、杏子のエプロン姿もすっかり板に付いてきたねー」

マミ「腕前ももっと付いてくるといいんだけど」

杏子「中々上手くできねーんだよなぁ…」

マミ「練習あるのみよ」

ピンポーン

「「!」」

ダダダダッ

マミ「あらあら、二人ったら」ウフフ

ガチャッ

256: 2012/12/03(月) 03:24:48 ID:R29nxz1U
まどか「あ、さやかちゃんに杏子ちゃん」

さやか「………」
杏子「………」

ほむら「? どうしたの、二人とも」

さやか「……」プルプル
杏子「……」プルプル

まどか「?」

さやか「ほむら、ぷっ、あんた、柄じゃない、から」プルプル
杏子「そんな、格好して、くふっ、いつもの、ほむらが」プルプル

「「あーっはっはっはっはっは!!!」」

ほむら「何よ、失礼ね」ムスッ

「「!?」」

ダダダッ

257: 2012/12/03(月) 03:26:11 ID:R29nxz1U
杏子「おいマミ、どういう事だよ!!」

さやか「恥じらう様子が丸っきりありませんでしたよ!?」

まどか「お邪魔しまーす」
ほむら「失礼するわ」

「「ほら!」」ビシッ

マミ「あら、ほむらちゃん、今日も可愛らしいわね」

ほむら「ふふ、ありがとう」ニコ

さやか「あ………でも、結構かわいい」

杏子「………割りとアリだな」

マミ「それに、鹿目さんもよかったわね」

まどか「えへへへ……」テレテレ

258: 2012/12/03(月) 03:27:18 ID:R29nxz1U
杏子「ん? なんだ、そのでっかい箱とちっさい箱は」

まどか「じゃーん、ほむらちゃんからのプレゼントだよ!」

さやか「……ほむら、あんた変な物でも食べた?」

ほむら「その言葉、そっくりそのままあなたに返すわ」

マミ「誰の手に渡るかは分かってたけどね」


まどか「大きい方から開けてみよっと」ペリペリ

パカ

マミ「まあっ、素敵!!」

さやか「うわっ!」

杏子「……すげぇ」

ほむら「どうかしら?」

259: 2012/12/03(月) 03:28:05 ID:R29nxz1U
まどか「これって、私のノートの……」

ほむら「ノート?」

さやか「あぁ、あれね」プクス

まどか「あっ、いや、その」

杏子「なぁ、早速着てみなよ」

マミ「ふふ、私も見てみたいな」

まどか「えっと、じゃあお風呂場、借ります」スクッ

まどか「ほら、ほむらちゃんも来て」グイ

ほむら「え、私も?」

260: 2012/12/03(月) 03:29:45 ID:R29nxz1U
―――――

まどか「ねぇ、私のノート、見たの?」

ほむら「?? 何のノート?」

まどか「え、じゃあこれはどうして……」

ほむら「思い出して、設計して、仕立ててもらったのよ」

まどか「あ………」

まどか「……ごめんなさい」

ほむら「なんで謝られてるのかは分からないけど………」

ほむら「それより、帰ったらそのノートを見せてくれない?」

まどか「え、恥ずかしいよぉ」カアァ


ほむら「さ、着てみるんでしょ?」

まどか「う、うん」

261: 2012/12/03(月) 03:30:46 ID:R29nxz1U
―――――

ガチャ


まどか「……どうかな?」

杏子「へへ、まさにまどかだな」

さやか「こ、これは……」ゴクリ

マミ「まるで本物の魔法少女ね!」

ほむら「気に入ってくれた?」

まどか「…うん、とっても!」

さやか「まどかっ! 私の嫁になるのだーっ!!」ダキッ

まどか「わわっ」

262: 2012/12/03(月) 03:32:03 ID:R29nxz1U
杏子「でも、なんてったってこれを?」

ほむら「そうね……」

ほむら「まどかは私の魔法少女だから」

ほむら「で、どうかしら?」

まどか「……」カアァァ

杏子「ごっそさん」

さやか「ねーねー、あたしの分はないの?」

ほむら「ふふ、今度ね」

まどか「こっちも開けちゃうよー!」

マミ「分かった、あの大きさだとソウルジェムでしょ?」

ほむら「それも考えたんだけどね」

263: 2012/12/03(月) 03:34:13 ID:R29nxz1U
キラリ

まどか「わぁ……」

杏子「なるほどな。あたしたちとお揃いだ」

マミ「うふふ、素敵じゃない!」

さやか「ずるい、ずるいぞぉーー!」

ほむら「さあ、嵌めてみて」

まどか「……あ、これ、なんて彫ってあるの?」

ほむら「おまじないよ」

マミ「どれどれ?」

杏子「駄目だ、読めねぇ」

264: 2012/12/03(月) 03:35:01 ID:R29nxz1U
―――――

マミ「ねぇ、お昼から杏子の服選びでもしましょうか」

さやか「いいですなぁ、ほむらみたいにしてしまいましょうぞ!」

杏子「げ、あたしはやだぞ、あんなの!!」



まどか「ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「どうしたの?」

まどか「……えへへ、ありがとう!」

ほむら「どういたしまして」

265: 2012/12/03(月) 03:36:34 ID:R29nxz1U
まどか「でも、どうして?」

まどか「私を魔法少女にしない為に、頑張って来たんじゃなかったの?」

ほむら「そうね………一つは、あなたの夢を、形だけでも叶えてあげたかった」

ほむら「ふふ、余計なお節介よね」

まどか「ううん、嬉しいな」

ほむら「もう一つは、魔法少女姿のあなたを、もう一度だけ見たかった」

まどか「そっちが本音でしょ?」

ほむら「あら、お見通しなのね」クスクス

ほむら「でも、あなたは本当に私の魔法少女」

ほむら「あなたの魔法が、私に光をくれたの」

まどか「私はただ、わがままを言っただけなんだけどね」

266: 2012/12/03(月) 03:38:59 ID:R29nxz1U
まどか「あと、おまじないの文字だけど」

ほむら「何て書いてあるか、知りたい?」

まどか「ううん、分かっちゃった!」

ほむら「ふふ、なら」

まどか「これからも」


―――ずっと、一緒。


まどか「だね」

ほむら「ええ」





まどか「ずっと、ずっと一緒にいてくれる?」
おしまい。

267: 2012/12/03(月) 03:42:49 ID:R29nxz1U
投下終了です
次がありますのでこれ以上は書きません

それでは、お付き合いいただきありがとうございました

268: 2012/12/03(月) 06:10:15 ID:nS4FfKKQ

よかったぞ

269: 2012/12/03(月) 06:45:29 ID:rI0tJqVs

引用: まどか「すにーきんぐみっしょん!」