結衣「なんだろうこの封筒、宛先の住所もなにも書いてない……」

結衣「うーん、切手が無いってことは誰かが直接届けたのかな」

結衣「まぁ京子のイタズラかもしれないし、見る必要もないか」ﾎﾟｲｯ

結衣「……」

結衣「……」ﾁﾗｯ

結衣「ち、違う、これは寂しいからとかじゃなくて、送ってくれた人に失礼になっちゃうから」

結衣「ふふふ、でもお手紙なんて久々だ」ｺﾞｿｺﾞｿ

結衣「……わぁ、可愛い便箋」

～結衣ちゃんへ～

夏の日差しが厳しい中結衣ちゃんはいかがお過ごしでしょうか。

涼しいお部屋でゲームばかりしてないかな、あかりは心配だよぉ……。

ちゃんとご飯食べてる？ちゃんと夜の９時には寝てる？

夏休みだからって、あまりダラダラしたらダメなんだから！

ちゃんと三食ごはんを食べて、適度な運動もして、そしてお勉強もね。

結衣ちゃんはちゃんと出来てるかな、どうだろうなぁ～。

というわけであかりが直々に生活指導をしにいくね、しっかり準備しておくこと！

えっとね、……あ、遊ぶ人がいなくて寂しいワケじゃないよ、ほんとだよぉ。


結衣「……」ﾆｺﾆｺ

結衣「ほんと可愛いところあるなぁあかりも、こんなお手紙くれるなんて」

結衣「健康的な生活、か」

結衣「あー、今日はカップ麺で晩ご飯済ませちゃったもんなぁ……」

結衣「やっぱり見透かされてるのかな、一応幼馴染だし」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

結衣「ま、まぁ、あかりが来るまでに生活習慣を改善しておけばいいか」

結衣「エアコン入れて、ナモクエナモクエっと♪」

結衣「やっぱり夏休みは最高だ、天国天国……」ﾀﾞﾗｰ

＜ぴんぽーん！

結衣「……」ﾋﾞｸｯ

結衣「だ、誰だろう、もう日も沈んできたのに……」

結衣「やっぱりインターホンあると心強いね、どれどれ」ﾋﾟｯ

あかり『……』ﾆｺﾆｺ

結衣「あ、あかり！？」

あかり『あ、結衣ちゃん、お手紙読んでくれたかな？』

結衣「まぁいろいろお話もあるだろうし、とりあえずカギ開けるね」ﾋﾟｯ

結衣「……不味いな、さっそく生活指導に来たのか」

結衣「でも、いまさら居留守使うわけにもいかないしなぁ」ｶﾞﾁｬｯ

あかり「っと、結衣ちゃんこんばんはっ！」ﾆｺｯ

結衣「ふふ、元気いっぱいだね」

あかり「おじゃましま～す、ゴメンね急に押しかけて……」

結衣「ううん、私も暇してたしちょうど良かったよ」ﾆｺｯ

結衣「あ、エアコンこれくらいで大丈夫？」

あかり「うんっ！」

あかり「あ、えっと、あのお手紙読んでくれたかな……？」

結衣「ふふ、あかり先生が生活指導に来るって内容のあれだよね」

あかり「うぅぅぅ、あかり先生なんておちょくらないでよぉ！」

あかり「あかりはほんとに結衣ちゃんが心配だったんだから……」

結衣「そっか……」

結衣「大丈夫だよ、あかりが思ってるほどだらけてはないからさ」

あかり「うん……」ｷｮﾛｷｮﾛ

あかり「お部屋もしっかり片付いてるし、ほんと綺麗だね」

結衣「あー、あんまりジロジロ見られると恥ずかしい、かな……」

あかり「ぇへへ、京子ちゃんなら、結衣の部屋干し下着はどこだーって言うかな」

結衣「な、なっなななな……！」ｶｧｰ

結衣「はぁ、あいつならほんとに言いかねないから困るよ」

あかり「ふふ……でも良かった、結衣ちゃんの元気な顔が見られて」

結衣「あかり……」

結衣「あかり、ちょっと頭こっちに寄せてくれる？」

あかり「……？」ｽｯ

結衣「本当に心配してくれてたんだね、ありがとな」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

あかり「わわっ、……ぇへへ……」

あかり「だってね、一人暮らしで初めての長期休みでしょ」

結衣「そうだね、春先に一人暮らしを始めたから」

あかり「結衣ちゃんは一応しっかり者だけど、もしかしたらってこともあるしね」ﾆｺｯ

結衣「一応ねぇ、あかりも言うようになったなぁ」ﾑﾆｰ

あかり「むわ～ん、ほっぺたのばひゃないで……」

結衣「ふふ……」

あかり「ぶっひぇ～、クーラー涼しいよぉ……」

結衣「あ、そう言えばずいぶんと荷物多いねあかり」

あかり「うんっ、もし結衣ちゃんがダラダラしてたら付きっきりで指導するつもりでね……」

あかり「そのためのお泊りセットとか、歯ブラシとか持ってきたんだぁ」ﾆｺｯ

結衣「へぇ、そっかそっか」

あかり「でも取り越し苦労だったみたいだね、ほんとはお泊りするつもりだったけど……」ｽｯ

結衣「えっ、もう帰っちゃうの……？」

あかり「ふふ、結衣ちゃんもこんなうるさいのがいたら疲れちゃうでしょ」

結衣「そ、そんなことないって、なに言ってるんだよ！！」

あかり「だってせっかくの夏休みだもん、羽根を伸ばさないと」ﾆｺｯ

結衣「わ、私は、寂しかったのに……あかりともっと……」

あかり「食生活もしっかりしてそうだし、ゲームだってそこまで――」

あかり「ゆ、結衣ちゃん、このカップ麺の空の山はなに！？」

結衣「あー……」

あかり「……」ｶﾁｬｶﾁｬ

あかり「こ、このナモクエのプレイ時間3500時間超えてるよ！？」

結衣「あはは、でも夏休みは1日平均5時間くらいしかゲームしてないけど――」

あかり「……」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

結衣「……」ﾋﾞｸｯ

>>11　すみません訂正です

あかり「だってせっかくの夏休みだもん、羽根を伸ばさないと」ﾆｺｯ

結衣「わ、私は、寂しかった……あかりともっと……」

あかり「食生活もしっかりしてそうだし、ゲームだってそこまで――」

あかり「ゆ、結衣ちゃん、このカップ麺の空の山はなに！？」

結衣「あ゛ー……」

あかり「……」ｶﾁｬｶﾁｬ

あかり「こ、このナモクエのプレイ時間40時間超えてるよ！？」

結衣「あはは、でも夏休み1日平均5時間くらいしかゲームしてないけど――」

あかり「……」ｼﾞﾄｯ

結衣「……」ﾋﾞｸｯ

あかり「やっぱりダメだね、あかりが付きっきりで生活指導してあげなきゃ」ﾆｺｯ

結衣「ほ、ほんと……？」

あかり「あれっ、なんか結衣ちゃん嬉しそうだね」

結衣「う、嬉しくなんか、ない、こっちはせっかくの夏休みなのに」ﾌﾟｲｯ

あかり「うっ……でもね、このままじゃきっと結衣ちゃんはだらけちゃうから」

結衣「……うん」

あかり「心配しないでっ、あかりがビシバシ鍛えて直してあげる！」

あかり「ぇへへ、お泊りセット持ってきて良かったよぉ」ﾆｺﾆｺ

結衣「ふふ……お手柔らかにね、あかり」

あかり「結衣ちゃん、お風呂入ったしそろそろ寝たほうがいいんじゃない？」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

結衣「で、でもまだ夜の9時なんだけど……」

あかり「むむっ、そうやって寝るタイミングを先延ばししてたんじゃないのかな」

結衣「うー……」

あかり「明日から厳しく指導が入るからね、愛ゆえの指導だから」ﾆｺﾆｺ

結衣「ふふ怖い怖い、たまには早寝も悪くないか」

結衣「さてと、お布団敷くからあかりも手伝ってもらえるかな」

あかり「はーいっ！」

結衣「こっちが私で、そっちがあかりね」

あかり「あ、一つの布団じゃないんだ……」

結衣「ふふ、最近やっと布団をもう一組買ったんだよ」

あかり「ふーん、そうなんだ……」

結衣「暑かったら言ってね、扇風機持ってくるから」

あかり「ううんっ、大丈夫だよ」ﾎﾟｽﾝ

結衣「ふぅ……それじゃおやすみなさい、あかり」

あかり「あ、あのね、結衣ちゃん、ほんとはあかり……」

結衣「……あかり？」

あかり「やっ、あの、えっと、なんでもないよっ！」

あかり「おやすみなさい、結衣ちゃん」

結衣「……うん」

あかり「……」

結衣「あかり、理由はいろいろあったと思うけどさ、私は遊びに来てくれてほんと嬉しかった」

あかり「……」ﾋﾟｸｯ

結衣「ずーっと一人で、誰も来てくれなかったから、あかりの優しさで胸がいっぱいなんだ」

結衣「……私がいま言いたいのはそれだけ、おやすみなさい」

結衣「……」zzz

あかり「良かった、あかり、迷惑じゃないんだ」

あかり「結衣ちゃん屁理屈つけてごめんね、ほんとはあかりのワガママなのに」

あかり「……ぇへへ、おやすみなさい」

ピピピピピ、ピピピピピ、ピピピピピ！

結衣「う゛ぅ～ん……もう少し寝させて……」ﾓｿﾓｿ

結衣「ぁぁぁ、そっか、あかりに怒られちゃうな、寝坊なんかしてたら……」ｸｼｸｼ

結衣「んー、んん、しっかり者のあかりはもう起きてるかな――」

あかり「すぅ……すぴー……ふふふ……」zzz

結衣「爆睡かよ」

結衣「ていうかもう８時だけどね、学校あったら完璧遅刻だよあかり、……まったく」ﾂﾝﾂﾝ

あかり「むにゅっ……すぅ」

あかり「もぉ～結衣ちゃん、そんなオムライス食べられないよ……むにゃ」

あかり「んー……幸せ、ぇへへ」ｷﾞｭ

結衣「幸せそうだなぁ、隣のお布団からわざわざ引っ付いてくるなんて」

あかり「……」zzz

結衣「くすっ……、起こすのも忍びないし朝ごはん作っておこうかな」

あかり「……」ｷﾞｭｷﾞｭｯ-

結衣「ぐあっ、いててて！！こ、これがベアーバックって技なのか……」

あかり「……」zzz

あかり「んんっ！？、……このオムライスは出来損ないだね、食べられないよぉ」

あかり「ケチャップの量が多すぎて、素材のうま味も台無し」

あかり「さらにタマネギも炒めすぎてそのものの風味も消えてるね、ふんっ」

あかり「ライスはべちゃべちゃ、ほんのちょっとのパラっと感がまったくない」

あかり「おまけに肝心の卵の部分も焦げてて、はぁ……これじゃ材料が泣いてるね」

あかり「ふふふ……」zzz

あかり「明日結衣ちゃんのお家に来て下さい、本物のオムライスを見せて上げますよ」ｷｯ

あかり「あ、やっぱり来なくていいよ、あかりの分が減っちゃうから……」

あかり「……」zzz

結衣「おーいあかり、そろそろ朝ごはん出来たよ、って」

あかり「……」zzz

結衣「えぇぇぇぇ、いったい何時間寝るつもりなのあかりは……」

結衣「あー、あーあ……こほんっ」

結衣「緊急事態緊急事態、商店街に強引に値引きを迫るオバタリアンが出現」

結衣「被害は甚大、このままだと町内のお祭りにも影響が」

あかり「……」ﾋﾟｸｯ

結衣「あかり隊員、早速現場へ行きまずは八百屋さんの笑顔を取り戻すんだ」

あかり「ら、らじゃー、おやびん！！」ｶﾞﾊﾞｯ

あかり「はえっ……？……結衣ちゃん……？」ﾎﾟｹｰ

結衣「ぷっ……ふふふ、くふふふっ……」

結衣「おはようあかり、ご飯もう出来てるよ」

あかり「あっほんと……いい匂いだよぉ、んん～」ﾉﾋﾞｰ

結衣「あのさ、いまもう朝の9時なんだけど」

あかり「うんうん……」ｸｼｸｼ

あかり「ほんとよく寝たよ、結衣ちゃんのお布団と相性がいいのかな」ﾆｺﾆｺ

結衣「いや、だからさ、……その」

あかり「……？」ｷｮﾄｰﾝ

結衣「せ、生活指導する割にはお寝坊さんだね、って」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

あかり「あっ……」

あかり「ち、ちがうよ、あかりは普段もっと早起きだからね！」

結衣「はいはい、それよりご飯冷めちゃうからこっちおいでー」

あかり「うぅぅぅ、結衣ちゃん絶対信じてないよぉ……」ｼｸｼｸ


あかり「うわぁ、朝からとっても美味しそ～！」

あかり「鮭の焼き魚、ほうれん草のおひたし、お味噌汁、味付け海苔……」ｼﾞｭﾙｯ

結衣「普段はのりたまで済ませてるんだけどね、今日は特別です」

あかり「うんうんっ、これは指導するまでもない、ごーかく花丸だね！」ﾆｺｯ

結衣「あ、ありがと……ほんっと、憎めないというか、なんというか」ｸｽｯ

あかり「いっただきま～す♪」

あかり「……♪」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

結衣「あ、美味しい……やっぱり朝ごはんはしっかり取らないとダメだよね、ほんと」

あかり「うんうんっ、一日の始まりだからね～、当然だよぉ」

あかり「あ、結衣ちゃん、ご飯おかわりっ！」

結衣「ふふ、ほっぺたにご飯粒まで付けちゃってさ」

あかり「えっ、どこどこ！？」ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ

結衣「なんてね、冗談だよ冗談」

あかり「も、もう！！結衣ちゃんのいじわる……」

結衣「……」ｲｿｲｿ

あかり「……」ｼﾞｰｯ

あかり「ふふふ、結衣ちゃんは将来いいお嫁さんになりそうだね～」

結衣「あーもう、また朝から変なこと言う、……はいご飯」ｽｯ

あかり「ありがとっ、……だってね～面倒見もいいし、小さい子にも好かれるし」

あかり「はむはむっ、それにご飯もとっても美味しいもん」ﾆｺﾆｺ

結衣「……ま、まぁ言われて悪い気はしないけど」

あかり「ふふ、照れちゃって可愛いなぁ」

結衣「照れてないから、もう、変なこと言わないの」

あかり「ふふ～ん、結衣ちゃんって実は表情に出ちゃう人だよね」

結衣「……うっさいなー」

あかり「ちょーっと褒められると、すぐ口角がきゅって上がるもんっ！」

結衣「う、うそっ！？」

あかり「なんてね、冗談冗談」ﾆｺｯ

結衣「……えっ？」

あかり「あむあむっ、美味しい美味しい♪」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

結衣「……や、やられた、あかりなんかにいじられた……」ｶｧｰ

結衣「うーん、あかりにいじられるのはなんか悔しい……」

あかり「……♪」ﾓｷｭﾓｷｭ

結衣「……」ﾋﾟｺｰﾝ

結衣「あかりはさ、私のご飯ほんと美味しそうにたくさん食べてくれるよね」

あかり「だってね、ほんと美味しいもん！」

結衣「よく食べて、よく眠って、毎日規則正しい生活をして……」

あかり「ふふん、それがあかりのとりえだもんね～」ﾆｺﾆｺ

結衣「……大きくなればいいね」ﾎﾛﾘ

あかり「な゛っ！？」

結衣「その毎日の生活のリズムが実って、大きくなればいいね」

あかり「ちょ、ちょっと結衣ちゃん！！！！」ﾊﾞﾝｯ

結衣「なぁに、あまり大声出さないの、朝なんだから」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

あかり「いま、あかりのお胸を見て、そのセリフ言ったよね……！」ｷﾞﾛｯ

結衣「ん？気のせいじゃないかな、ふふ」

あかり「い、いま、ぜったい目線落としてたもん！哀れんだ目で見てたもん！！」

結衣「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

あかり「ゆ、ゆ、結衣ちゃんのおたんこなす！意地悪！！」

あかり「うぅぅ……タンスの角に足の小指ぶつけちゃえ」ｸﾞｽｯ

結衣「な、なんかいまさらっと恐ろしいことを言われたような」

結衣「あ、そうだあかり」

あかり「……ふんっ、結衣ちゃんなんかもう知らないんだから」ﾂｰﾝ

結衣「ご、ゴメンおちょくって悪かったよ、……朝ごはんはどうかな？」

あかり「んー、点数をつけるなら、……６０点かな」

結衣「……」ｼｭﾝ

あかり「うっ、いや、あのね、ほんとは１００点だけど……でも６０点」

結衣「えぇ……何その謎の減点は」

結衣「あ、そうだ、鮭の切り身半分あげる」ｽｯ


あかり「えっ、なら、は、８０点にしちゃおうかな、ぇへへ」

結衣（素直だなぁほんと）

あかり「味も栄養も文句なしに１００点だよ、でもね……」

結衣「うんうん、これからのためにメモしておこうかな、あかりからのダメ出しを」

あかり「あかりに意地悪なこと言ったからマイナス２０点」ﾂｰﾝ

結衣「うぅぅ……」

あかり「ちゃんと次で挽回してね、まったく、まったく」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

結衣「あはは……ほんとごめんなさい」

あかり「あかりだってちゃんと将来大きくなるんだから、ふんっ」ｶﾞﾂｶﾞﾂ

結衣「あ、そうだあかり、食後の牛乳飲む？」

あかり「……嫌がらせ？」

結衣「えぇ！？」

結衣「ち、違うよあかり、そんなつもりで私言ったわけじゃ！」

あかり「まぁいいけど、ぜったい結衣ちゃんより大きくなる、なるんだから……」ｸﾋﾟｸﾋﾟ

結衣「……ちょ、調子乗りすぎたかな」

あかり「けぷっ……ちょっと食べ過ぎちゃったかなぁ……」

結衣「お待たせあかり、お皿洗い終わったよ」

あかり「あっ、お疲れ様結衣ちゃん……ふふ」

あかり「……」ｶｷｶｷ

結衣「ん、メモ帳になにを書いてるのかなあかりは」

あかり「えっとね、いままでの生活態度の総評だよ」

結衣「……へぇ」

あかり「食後のあとすぐに食器を洗う、お嫁さんの鑑だね結衣ちゃん」ﾆｺｯ

結衣（どんなこと書いてあるんだろう、……気になるな）

あかり「……♪」ｶｷｶｷ

結衣「あかり、それ見せてもらってもいいかな？」

あかり「うんいいよっ、あまり大したことは書いてないけど」ｽｯ

結衣「あっさり見せてくれるんだ……どれどれ」

あかり「ちゃんと客観的に判断したよ、文句は受け付けません」

あかりのお嫁さんスキルチェック表
　　
　　　～NO.1　結衣ちゃん～

お嫁さんスキル　　S+に限りなく近いS

総評　　あかりが一日取材を通して印象に残ってることは、やっぱりお料理の腕だよねぇ。
　　　　　朝からあれだけバランスの良いご飯を作ってくれたのは高評価だよぉ～。　　　　　　　　　　
　　　　　あと、食器洗いを溜めないのもいいね。朝に強いのもプラスかな。
　　　　　悪い点としては、ゲームにのめり込むところがあるくらい、まぁあかりもゲーム好きだもん。
　　　　　この歳で一人暮らししてるしっかり者の結衣ちゃん、将来はいいお嫁さんになるね！（ニッコリマーク）


結衣「な、なんだこれ」

結衣「……あ、でもけっこう冷静に分析してるんだ」

結衣「……」ﾁﾗｯ

あかり「ん、なぁに結衣ちゃん？」

結衣「……い、いいお嫁さんになれるかな……わたし」

あかり「……」ｸﾞｯ

結衣「……あ、ありがと」

あかり「ふふ、どういたしまして、暇だからついそんなの作っちゃったの」

結衣（生活態度とはまったく関係ないんだけど、……まぁいいか、悪い気はしないし）ｸｽｯ

あかり（んー、今度は京子ちゃんとちなつちゃんの分も作ってみようかなぁ……）ﾆｺﾆｺ

あかり「ふぁ～……」

あかり「……」ｳﾄｳﾄ

あかり「……」ｺﾞﾛﾝ

結衣「おいコラあかり、……食べたあとに寝るのはちょっとどうなのかな」

あかり「はっ！……ご、ごめんねちょっとウトウトしちゃって」

結衣「手持ち無沙汰なのは分かるけどさ、その生活態度はちょっとマズイんじゃない……」ｼﾞﾄｯ

あかり「んんっ！？……ゆ、結衣ちゃんだってゲームとかしてるよねぇ？」

結衣「まぁ……五十歩百歩かな、私たち」

あかり「……だね」

あかり「……」ｳﾄｳﾄ

結衣「そうだ、散歩でも行こうか、眠気も覚めるだろうしさ」

あかり「んっ、んん……あ、それいいかもねぇ」ﾉﾋﾞｰ

結衣「このままじゃお昼寝して一日が終わりそうだし、……くぁ～」

結衣「あかりを見てたらこっちまで眠くなってくるよ……」ｸｼｸｼ

あかり「ほんと？……あ、あかりって癒し系なのかなぁ、ぇへへ？」

結衣「……かもね」ｸｽｯ

結衣「ん～……いい天気、お散歩日和って感じかな」ﾉﾋﾞｰ

あかり「そうだねぇ、……ふふ」

結衣「あかり、なにか嬉しいことでもあったの？」

あかり「えっとね、普段一人でお散歩をよくするんだけど……」

あかり「その時よりもずーっと楽しいの、つい頬が緩んじゃうというか」ﾆｺﾆｺ

結衣「そっか、……私も同じかな、いまとっても楽しいよ」

結衣「ただお散歩してるだけなのに、なんか落ち着くんだ」

あかり「うんうん……不思議だねぇ」

結衣「んー……誰かが隣にいるから、かな？」

あかり「そうだね、かわいい誰かが隣にいるからかな」ﾆｺｯ

結衣「そうだな、可愛い可愛い誰かが隣にいるからかな」

あかり「……ゆ、結衣ちゃんもかわいいよ？」

結衣「……あ、ありがと」

結あか「ぷっ……ふふ、ふふふ……」ｸｽｯ

結衣「顔赤くしちゃってどうしたの、あかりってば」

あかり「むむむっ、結衣ちゃんだってちょっとほっぺた赤いよぉ～」

結衣「ふふ、なんだか可笑しいねホント」

あかり「……」

結衣「あかり？」

あかり「な、なぁに結衣ちゃん、あかりは元気だよっ！」

結衣「あ、いや、良かったら公園で休んでいかないかなと思ってさ」

あかり「……うん」

結衣「うん、じゃああそこのベンチに座ってて、適当に飲み物買ってくるから」ﾀﾀｯ

あかり「あっ……結衣ちゃん……」

あかり「……」ﾎﾟｽﾝ

あかり「……結衣ちゃん」

あかり「ホントに楽しいのかな、……無理して嘘付いてるんじゃ」

あかり「……はぁ」


結衣「お待たせ」ﾋﾟﾄｯ

あかり「うひゃあっ！？」ﾋﾞｸｯ


あかり「も、もう結衣ちゃん！！……く、首筋に冷たい缶ジュースなんか当てないでよぉ」

結衣「ごめんごめん、はいぴっちょんオレンジ」ﾆｺｯ

あかり「……うん、ありがと」

結衣「んっ……」ｽﾞｽﾞｯ

あかり「……」

結衣「ん、……あかりもブラックコーヒーが良かった？」

あかり「ううん、あかりはぴっちょんオレンジ大好きだから……んぐっ」ｺﾞｸｯ

あかり「ん……ぶっひぇ～、よく冷えてて美味しいよぉ！」ﾆｺｯ

結衣「……」ｸｽｯ

結衣「そうだ、あかりはもう宿題は終わらせたの？」

あかり「うんっ、さすがにもうすぐ学校だからね」

結衣「えらいえらい、私もすることないからパパっと終わらせちゃった」

結衣「でも……はぁ、京子は宿題なんて手も付けてないだろうなぁ」

あかり「……京子ちゃん」

結衣「えっ？」

あかり「う、ううん、なんでももないよ」

あかり「平気だよ……な、なんでもないから……」

結衣「……ふぅ」

結衣「あのさあかり、昨日も寝る前に言ったよね」

あかり「……？」

結衣「……私の家に来た事情、それがどんな理由であってもさ」

結衣「遊びに来てくれてほんと嬉しかった、あかりの優しさで胸がいっぱいだって」ﾆｺｯ

あかり「っ……」

結衣「……本当はなにかあったんだよね？」

あかり「そっ、……そんなことないっ……」ｸﾞｽｯ

結衣「でもいまのあかりの顔とっても辛そうなんだ」

結衣「……私じゃ、あかりの力にはなれないかもしれない」

結衣「こんな性格だし気の利いたことは言えない、……それでも」

結衣「大切な幼なじみが苦しんでるのを見ると、とっても悲しいんだ」

結衣「やっぱりあかりにはずーっと笑っていて欲しいから……」

あかり「っ……うっ……」ｼﾞﾜｯ

結衣「……あかり」

あかり「ほっ、ほんと……ほんとはね……」ｸﾞｽｯ

結衣「大丈夫、少しずつでいいんだ、……落ち着いて、ゆっくりでいいよ」

あかり「っ……うんっ……うん」

あかり「あ、あかりね、みんなに嫌われちゃったんじゃないかなって……」

結衣「……どうして？」

あかり「ちなつちゃんにも、櫻子ちゃんにも、向日葵ちゃんにも……京子ちゃんにも」

あかり「み、みんなに、遊びに誘っても断られちゃったの……」ｸﾞｽｯ

結衣「そっか……」

あかり「みんなっ、お家の都合があるのは分かるけど、……うぅぅ」ｸﾞｽｯ

あかり「さ、さすがに４回連続で断られたら、……うわぁぁぁぁん……っ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

結衣「あかり……」

結衣「大体の事情は分かったよ、話してくれてありがとう」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

あかり「だからっ、ゆ、結衣ちゃんも、いやいや遊んでるんじゃないかって……うっ」ｸﾞｽｯ

結衣「なっ……これは相当弱ってるなあかり」

結衣「そんなことないよ、さっきも言った通りだから」

結衣「……このハンカチ、良かったら使って」ｽｯ

あかり「うん゛っ、うん……」ｸﾞｽｯ

あかり「……」ｸﾞｽｯ

結衣「落ち着いた？」

あかり「……うん、ゴメンね結衣ちゃん、取り乱しちゃって」

結衣「……」ﾌﾙﾌﾙ

結衣「この季節はしょうがないよ、お盆だからみんな帰省するだろうし」

あかり「……そっか、そうだよね」

結衣「でもさ、みんな喜んでると思うよ？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

あかり「えっ……？」

結衣「あかりから遊びに誘われてみんな嬉しいと思ってるよきっと」

結衣「ちなつちゃんだって、大室さや古谷さん、それに京子も」

結衣「……私もあかりが来てくれて嬉しかったし」

あかり「結衣ちゃん……ぇへへ」

結衣「あ、やっと笑った、……やっぱり笑顔が一番かなあかりは」

結衣「でもあかりの気持ちがなんとなく分かるんだ……」

結衣「さすがに４回も断られたら、素直に誘いづらくなっちゃうよね」

結衣「だから生活指導なんて言葉でお茶を濁した、……正解でしょ？」

あかり「……」ｺｸｯ

結衣「そうだ、メールは確認したの？」

あかり「あっ……！」

あかり「そう言えばケータイの電源切ったままだったよぉ！」ﾋﾟｯ

結衣「もしかしたらみんなからメール着てるかもね、この間はゴメンねって」

結衣「……」ｺﾞｿｺﾞｿ

結衣「あ、ちなつちゃんからメール着てる、……ふふ、やっぱりね」

結衣「今日親戚のお家から戻ります、帰ったらたくさん遊びましょうね～、だって」ｸｽｯ

あかり「……ホントだ、みんな帰省してたんだね」ﾊﾟｧ

あかり「……ふふ、ねえねえ結衣ちゃん」

あかり「向日葵ちゃんと櫻子ちゃんのメール面白いよぉ、これ見て」

結衣「どれどれ……」ｽｯ

from：櫻子ちゃん
題名：あかりちゃんへ♪

ヤッホーあかりちゃん、ちょっと前に遊びに誘ってくれてありがとう！
実はいま家族と一緒に北海道にいるの、こっちは涼しいよ～。
……なんとこっちで向日葵と遭遇しちゃってさ。はぁ、あり得ないよね！？
とりあえず、お土産はジンギスカンキャラメル、あとは白い恋人だよ！
帰ったら遊ぼうね、ばいばいっ。


from：向日葵ちゃん
題名：赤座さんへ

こんにちは赤座さん、この間は遊びに誘っていただいてありがとうございます。
いま家族で北海道の親戚を訪ねている最中で、気温が低くて肌寒いくらいです。
……余談ですけど、こっちでも櫻子と鉢合わせになりまして、頭が痛いですわ。
お土産は無難に白い恋人、……あ、あとはジンギスカンキャラメルなんかを選びました。
帰ったら届けに行きますね、お体に気をつけて、それでは失礼します。

結衣「……こ、これは」

あかり「ふふふ、本当に仲がいいんだねぇ二人とも」ｸｽｯ

結衣「完全にシンクロしてるけど、……ヤラセってことはないだろうし」

結衣「まぁ、ほんと仲がいいんだろうねこの二人の場合は」ｸｽｯ

あかり「だねっ、……京子ちゃんも大丈夫かな？」

結衣「そうだなぁ、そろそろラストスパートをかける時期だね」

あかり「……コムケも近いもんねぇ」

あかり「無茶してなきゃいいけど……」

結衣「っと、……アイツの家行ってみようよ、それが一番だよ」ｽｯ

結衣「たぶん泣いて喜ぶんじゃないかな、京子のやつ」

結衣「……あかりが遊びに来て、迷惑だなんて思う人はいないよ」ﾆｺｯ

あかり「……結衣ちゃん」

あかり「そうだね、それが一番かも」ﾆｺｯ

あかり「京子ちゃんも大事な幼なじみ、だもんね」

結衣「ふふ……そうだな」

あかり「……結衣ちゃん」ﾃｸﾃｸ

結衣「うん？」

あかり「いろいろと本当にありがとう、……ううん、ありがとうじゃ足りないくらい」

あかり「……これからも、ずーっと一緒にいてね」ﾆｺｯ

結衣「当たり前だよ、……ふふ」

結衣「でも……いや、別にいいんだけどさ」

結衣「……」ｷﾞｭｯ

あかり「えぇっ！？」

あかり「ゆ、結衣ちゃん、急に手なんか繋いでどうしたの！？」

結衣「なんかさ、あかりがみんなを遊びに誘う順序を考えると……悔しいというか」

あかり「えっ？」

結衣「だ、だから！！」ｷﾞｭｯ

あかり「あわわわわわわっ……」ｶｧｰ

結衣「ちなつちゃん→大室さん古谷さん→京子→……わたしの順、だったから」

あかり「あ、あの別に深い意味は……」

結衣「……なんか、悔しい」ﾑｽｯ

結衣「あかりの中で優先順位低いのかなぁ、と思って」

あかり「……ゆ、結衣ちゃんお餅焼いてるの？」

結衣「なっ！？」

あかり「……ふふ」ｷﾞｭｯ

結衣「あ、あかりなんかに焼き餅焼かないって……」

あかり「いいからいいから、……ただね、結衣ちゃんには迷惑かけたくなかった、とか」

あかり「無意識のうちにそう思ってたのかもね？」ｸｽｯ

結衣「うっ……なにその思わせぶりな態度」

あかり「……♪」

あかり「……このまま手を繋いでてもいいかな？」ｷﾞｭｯ

結衣「ダメだって言っても繋ぐんでしょ」

あかり「……ぇへへ」

結衣「……」ｸｽｯ

結衣「ちょっとワガママなくらいでちょうどいいんだよ、あかりは」

結衣「それくらいでお釣りがくるくらいなんだから」

あかり「……うん」

あかり「……今度、また遊びに行くね」

結衣「うん、いつでもおいで」

結衣「生活指導なんかじゃなくてもいいから、……理由なんかなくてもいい」

結衣「遊びにきたかったらいつでもおいで、あかりのこと待ってるから」

あかり「……」ｷﾞｭｯ


あかり「ありがとう、結衣ちゃん」ﾆｺｯ


おわり

今度は京あかor京ちなとか結ちなも書けたらいいですね
あと結ひまからのひまさく結京なんかも考えてます、長々とありがとうございました。

乙
次回は京あかが読みたいです