812: 2016/10/11(火)19:10:22 ID:Hnx
813: 2016/10/11(火)19:11:25 ID:Hnx
ー廃墟の入口ー
長門「………」
長門「何を臆する事があるか!私は戦艦長門!いくら陸の上だからと言ってーーー」
ピシャァ!
長門「ひっ!?」ビクン
長門「い、今のは違う!いきなりだったから驚いただけだ!」
長門「決して怖くなど…」
長門「………」
長門「一人で何を言っているんだ」ハァ
長門「…しかし、いざ入るとなると…」ゴクリ
長門「ええい腹を括れ!行くぞ!」ガシッ
ーーーガチャン
長門「………?」グイ
814: 2016/10/11(火)19:12:10 ID:Hnx
ガチャン
長門「…鍵が掛かっているのか」ホッ
長門「っ、何で安堵しているんだ…」
長門「こうなれば別の入口を探すしかなかろう」
長門「裏手の方に行ってみるか…」
ーー
ー入口のすぐ横ー
長門「………」
長門「窓ガラスが割れてる…」ジー
長門「ここから入れないだろうか」
長門「しかしこれでは不法侵入になってしまうな」
長門「………」ウーン
長門「…緊急事態だ、致し方あるまい」
長門「少し跳ばねば手が届かないな」
長門「よし、行くぞ……はっ!」ピョン
ガシッ
815: 2016/10/11(火)19:15:47 ID:Hnx
長門「後はこのまま…」ヨイショ
長門「…後は飛び入るだけだな、っと!」ピョン
ピッ
長門「ん?」スタッ
ツー
長門「しまった、割れ残ったガラスで…」
長門「まぁこの位、かすり傷にもならん」ピッ
長門「よし、それじゃあーーー」
長門「お邪魔します」ペコ
ーー
ー
816: 2016/10/11(火)19:16:10 ID:Hnx
ー廃墟の中ー
長門「これは…うむ」キョロキョロ
長門「床は煤埃まみれ、天井には蜘蛛の巣」
長門「紛うことなき廃墟だな」
長門「………」
長門「…まぁいい、これで心置き無く見て回れる」
長門「………」
長門「い、一応玄関の鍵を開けておこう」
長門「もしかしたら…うむ、備えあればなんとやら、だな」クルッ
長門「………は?」ギョッ
長門「なんだ、これは……」
ーー
ー
817: 2016/10/11(火)19:16:47 ID:Hnx
ー明石ラボー
提督「…今度はどんな仕掛けが?」ドキドキ
提督「………」ドキドキ
提督「………」ドキドキ
提督「……あれ?」
提督「あーかーしー」
明石「はいー?」
提督「扉、開かないんだけど…」
明石「いえ、開くと思いますよ」
提督「えっ、まさか…」ドアノブヒネリ
ガチャ
提督「………」
明石「丁度良かった、そろそろお呼びしようと思ってたとこだったんですよ」
提督「………」
明石「どうしました?入って来ないんですか?」
提督「……いや、あのさ」
818: 2016/10/11(火)19:17:15 ID:Hnx
明石「はい」
提督「俺のなんと言うかこう…」
提督「少年が誕プレに心踊らせるような気持ち、返せよ」
明石「え、ちょっと何言ってるのか分かんないです」
提督「何でなんの仕掛けも無かったの?」
明石「いやいや、そんな毎回何かしらの仕掛けを施していたかのような言い方やめて下さいよ」
提督「してたよね!?」
明石「してましたっけ?」
提督「1スレ前から読み返して見ろ」
明石「1スレ?」
提督「んや、何でもない」
明石「……?」
819: 2016/10/11(火)19:17:41 ID:Hnx
提督「ま、いいさ」
明石「あっはい」
提督「烈風、戻ってきた?」
明石「はい、ですが…」
提督「とりあえず見つからなかったんだ」
明石「なので再度調整して、も少し捜索範囲を拡げてみます」
提督「とりあえず何処まで探したの?」
明石「ここの管理下は全て」
提督「マジか、それで見つからないとなると…」
明石「ですね」
提督「今から先は範囲が広過ぎるね」
提督「別途で捜索隊の段取りしとくよ」
明石「お願いします、万が一が有り得る段階に来ましたから」
提督「少しでも何か分かったら、すぐに呼んで」
明石「了解です」
提督「それじゃ、頼んだ」
ーー
ー
820: 2016/10/11(火)19:18:23 ID:Hnx
ー執務室ー
提督「はいるよー」ガチャ
提督「あれ?むっちゃんがいないね」キョロキョロ
提督「部屋に戻ったのかな?」
提督「んー、行ってみるかの前に…」ソロー
カチャ……キィ
赤城「……zzz」スヤァ
加賀「……zzz」スヤァ
提督「………」
提督「…まさか、ね」
提督(おーい、赤城、加賀やん)
加賀「……?」パチ
提督「!?」
821: 2016/10/11(火)19:18:46 ID:Hnx
加賀「てい…と、く…?」ネボケ
提督「…まだ寝てていいからね」ナデナデ
加賀「ん…は、ぃ…」スヤァ
提督「……赤城」ボソ
赤城「ふぁ…ていとく?」ムクリ
提督「うぉ、起きた」
赤城「はぃ…?」コシコシ
提督「いやいや、おやすみ」ナデナデ
赤城「んぅ…はぃ…」コテン
提督「………」ソローリ
キィ、パタン
提督「赤城もだいぶ俺探知の練度が上がってるけど…」
提督「加賀やん凄いな…一方通行だけど直接脳内じゃん」
提督「…こんなのばかりならいいんだけど」
スタスタ、パタン
ーー
ー
822: 2016/10/11(火)19:19:28 ID:Hnx
ー廃墟・玄関ー
長門「玄関の内側が…固定されている…?」
長門「これは…鉄板だな、小さな鉄板が無造作に貼られている…」
長門「しかし、雑だな…急ごしらえだったのか…?」
長門「まぁいい、先に進もう」スタスタ
ーー
ー
ー建物の東側ー
長門「うーむ…」
長門「ここで行き止まり、か」
長門「途中の部屋も全て見てきたが、とても人が住んでいる様な状態でもなかった」
長門「やはりここは無人なのか…?」
長門「………」
長門「…反対側にも行ってみるか」
スタスタスタ…
ーー
825: 2016/10/28(金)17:07:10 ID:LaL
ー廊下ー
提督「さて、むっちゃんはいるかな?」
提督「むっーちゃーん」コンコン
シーーン
提督「あれ?寝てんのかな」
グイ、キィ…
提督「ん?開いてる…」
提督「失礼しまーす」ボソ
提督「…あら、いないやん」
提督「え、むっちゃん何処いったの」
提督「…?何これ、紙?」カサ
提督「………」
提督「……あー、これは」
提督「うんまっずいな、急がなきゃ」
ーー
ー
826: 2016/10/28(金)17:07:52 ID:LaL
ー明石ラボー
提督「明石?」
明石「はい、どうぞ」
提督「普通の扉だね」
明石「それ弄ってる暇もないんですよ」
提督「それなんだけど、これ」スッ
明石「ん?何ですかこれ…」ウケトリ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
長門を探しに行ってくるわ
やっぱり、やらずに後悔する位ならやれるだけやった方がいいと思ったの
提督には迷惑かけちゃうから、戻って来れたら処分は甘んじて受け入れるわ
ごめんなさい 陸奥
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
明石「あー、これは…」
提督「これが怖かったから夜は一緒にいまんだけど…まさかだったよ」
明石「……ん?てことは…」スタスタ
明石「えーと、多分……」カチャカチャ
提督「……?」
明石「……あー、やっぱり」
提督「何がやっぱりなの?」
明石「提督、これ」ユビサシ
提督「ん?これ…ゲートのとこの映像?」
明石「そです、例のセキュリティの一部なんですが…」カチャカチャ
明石「えーと、ここですね」カチャ
提督「んー………は?」
827: 2016/10/28(金)17:08:26 ID:LaL
明石「陸奥さん、出てってますね」
提督「これ…え、何で?」
明石「えーと、何で、とは?」
提督「明石、リアルタイムで気付いてたんじゃないの?」
明石「えぇと、それがですね…」
ズイズイカクカク
提督「なるほどね」
明石「いやほんとにすいません…」
提督「まぁ、起きちゃった事をどうこう言っても仕方ないし」
提督「明石だけの責任ってわけでもないから」
明石「はい…」
提督「でも、もう本腰入れて探さないと」ヨイショ
明石「提督、どこへ?」
提督「何処って、決まってるやん」
提督「俺が二人を探すんだよ」
ーー
ー
828: 2016/10/28(金)17:09:03 ID:LaL
明石「提督!ダメですって!」スタタ
提督「もう四の五の言ってらんないよ」スタスタ
明石「だからって提督にもしもの事があったら…」スタタ
提督「無いよ」スタスタ
明石「何故言いきれるんですか!」
提督「明石が一番分かってるでしょ」
明石「むぅ…と、とにかく止まって下さい!」
提督「………」ピタ
明石「ちょっと、冷静になって考えてみて下さいよ」
明石「確かに提督が単独で出る事自体はそんなに危惧していませんよ、ええ」
提督「………」
明石「ただ、どうやって探すつもりなんですか?」
提督「………」
明石「加賀さんの時のボートを使ってもいいですが、あれだと長時間の航行は不可能です、ご存知かとは思いますけど」
明石「それに加えて、そもそもあれには船を動かす以外の機能がないんですよ?」
明石「まさかと思いますが、地球の7割を占める面積の、何処にいるかも分からない人間サイズの目標を、肉眼のみでお探しするつもりですか?」
提督「……っ」
829: 2016/10/28(金)17:09:43 ID:LaL
明石「ほら、そんな所だろうと思いましたよ」タメイキ
提督「でも、こうしてる間にも二人は…」
明石「宛も目星もない状態で闇雲に探したって、見つかるものも見つかりませんよ」
提督「………」グッ
明石「だから、ちょっと落ち着いて解決策をーー」
提督「落ち着いてられるかよ!」ドン
明石「っ!」ビク
提督「俺らは何もしない、できないまま指咥えてこのまま待ってろって言うのか?」
明石「そういうわけじゃ…」
提督「そうじゃないか、結局偵察機を出しても手掛り一つもってきやしない」
明石「そ、それは…すいません…」シュン
提督「くそっ…」ギリッ
明石「………」
提督「むっちゃんだって行方が分かんないのに…」
明石「………」
提督「だから、例え宛が無くても俺は出るから、明石はーー…」
明石「………」ジト
提督「あー…えぇと」
明石「役立たずですいませんね」
提督「いや、その…すまん」
830: 2016/10/28(金)17:10:22 ID:LaL
明石「いえいえ、焦る気持ちもそれが募った結果怒鳴ってしまったのも理解してますので」
提督「…怒ってる?」
明石「手掛かり一つ持ってこない偵察機」
提督「うぐ」
明石「いきなり壁ドン」
提督「ぐふ」
明石「提督の目の前にいるのは?」
提督「…?明石」
明石「提督の目の前にいるのは?」
提督「…非力で可憐で天才の明石様」
明石「それは言い過ぎです」
提督「なんなんだよ」ボソ
明石「はい?」ジト
提督「いえ、何でもございません」
明石「落ち着きました?」
提督「それはそれは心頭滅却できたそうな」
明石「反省しました?」
提督「それはもう海より深く」
明石「よろしい」
831: 2016/10/28(金)17:10:58 ID:LaL
提督「でも、現実どうしようか…」
明石「それなんですが」
提督「はい」
明石「提督がしびれを切らして出て行こうとした時の為の最終手段を準備しています」
提督「…そこまで読まれてたの?」
明石「どれだけ一緒に居たと思ってるんですか?」ドヤァ
提督「あぁ…まぁ、うん」
明石「てなわけで、四の五の言ってられないのも事実ですし…」
明石「ジョーカー、使っちゃいます?」ニヤリ
提督「やっちまおうか」ニヤリ
ーー
ー
836: 2016/11/12(土)19:03:13 ID:mLq
ー西側の廊下ー
長門「これは…」
言われてみれば、ここに足を踏み入れた時から違和感が無かったかと言えば嘘になる
用途の分からない建物…それから始まり、私の目に飛び込んでくる情報の一つ一つが、感じていた違和感を、勘違いから確信に近づけていた
そして、確信に至らないどころか、本来抱いている違和感の本質ともかけ離れているものの
この建物が廃棄された理由の断片を、ここで垣間見た
何が目的で、誰がこうしたかは皆目検討もつかないが
目前に映る光景、この先から感じる『何か』が、今に至るまではたしてどれ程の年月が過ぎているのか…少なからず新しくはないはずなのだが
837: 2016/11/12(土)19:03:47 ID:mLq
ただ、それでも尚、大きく口を開けたこの場所から確かに感じ取れる
数多くぐり抜けて来た戦場で、嫌という程感じた
怒りと悲しみ、そして憎しみ
私の目の前、東側と同じ作りになっている筈だった西側の廊下の先はーーー
長門「……階段、か」
木造の建物にお世辞にも馴染んでいるとは言えない、鉄の階段
階段の両隣には、厚さ二寸程の鉄製の扉。
鉄棒を横にはめ込んで錠をする物のようだが
そのどちらも蝶番が破損し、既に扉としての役目を終えていた
それが、何故今の状態に陥ったのか
答えは考える必要すら無いほど明白だった
内側から大きな力で
それでいて、私が先程まで見てきた光景と同じ様に…いや、それ以上に酷く、荒く朽ちたそれは
あまりに、異質
838: 2016/11/12(土)19:04:50 ID:mLq
長門「………」
足が、前に進まない
それは、予想を遥かに上回った状況の変化に、脳が、身体が、追い付いていないせいか
孤立無援、自分が今現在何処にいるのか分からない、何が起こるかも分からない、そして自ら逃げ出す事も困難に成り得る状況に、身を投じる事への恐怖か
長門「………」
歩を進め、地下へと続く階段を覗き込む
理由は、どうやら後者だったようだ
覗き込んだ先は、手前から数段が確認できただけで、その先は一寸の光も通さない「闇」そのもの
839: 2016/11/12(土)19:05:27 ID:mLq
長門「っ……」
生唾を飲み込む
この先に進むべきか否か、今の状況を省みるに、答えは赤子に聞くより明白
そして、私は踵を翻した
正直なところ、興味が無いかと言えば嘘になるが、その先に得られる何かに対してのリスクが余りに大きすぎたから
仮に人が居たとして、まるで整備の行き届いていない島の、廃れてから幾年も経つ様な廃墟の様な建物の、異様な損壊の仕方をした入口から降りる地下の先
まともな人間の理由がない
「それを言うならもっと早い段階でーー」
全くもってその通りだ。
840: 2016/11/12(土)19:05:49 ID:mLq
長門「駄目だ、引き返して別の方法を…」
自らに言い聞かせるように呟き、元来た道、つまり地下の入口とは反対方向に歩を進めーーー
「……ケテ」
長門「……?」ピタ
決意した筈の足が止まる
今のは、何だ?
聞こえるか聞こえないかの境目程の…音?
長門「…風の音だろう」
と、再び足を進めーーー
841: 2016/11/12(土)19:06:28 ID:mLq
「…タ……テ」
長門「………」
違う
風の音なんかじゃない
窓の外は相変わらずの雨
風も多少なりとも吹いている
が
聞こえた「なにか」は、その環境音に混じって私の耳に届いた訳ではなかった
長門「…どういう事だ、何が…」
「…タス……テ…」
長門「っ…」
842: 2016/11/12(土)19:06:58 ID:mLq
私の頭は理解した
聞こえていたのはーーー声
そして、それを捉えていたのは耳ではなく
頭…脳と言った方が分かりやすいか
長門「…誰だ?」クル
振り返る
見えるのは、先程と何ら変わりない光景
長門「…助けて、と言われた気がしたが…っ!?」ズキン
突如訪れる激しい頭痛
長門「ぐっ…何だ、頭がっ…」フラッ
ふらつき、思わず足が一歩前に
長門「っ……?」ズキズキ
まだ、激しい頭痛は収まっていない、が
一歩前にでたその時、ほんの少しだけ
頭痛が、和らいだ
843: 2016/11/12(土)19:07:20 ID:mLq
長門「…この先に、進め、と…?」ズキズキ
和らいだと言っても、未だ頭が割れそうな程の頭痛は治まる気配を見せず
一歩、また一歩と歩みを進める度に頭痛は少しずつ、その形を潜めていく
そして私は
まるで砂糖水に吸い寄せられる蟻の様に
階段を降りて行った
ーーー
857: 2016/12/08(木)23:44:41 ID:gE4
ー明石ラボ・秘密の部屋ー
提督「ここにジョーカーがあるの?」スタスタ
明石「そです」スタスタ
提督「確かこの先にあるのって…」
明石「ご名答、アレですよアレ」
提督「でもさ、何であれがジョーカーになるの?」
明石「ま、それは見てからのお楽しみです」
ーー
ー
858: 2016/12/08(木)23:45:14 ID:gE4
提督「で、着いたわけだけど…」
明石「改めて近くで見るとおっきいですねぇ」
提督「動かすの初めてだよね」
明石「なんで色々説明もしないとですから…それっ」バサッ
提督「おぉ…素晴らしい…」キラキラ
明石「見蕩れるのもいいですけど時間が推してますので、手短に」
提督「三時間くらい眺めてたいね」
明石「本気で言ってます?」
提督「んなわけ」
明石「ですよね、じゃあ手っ取り早くいきますよ」
提督「よしきた」
明石「ではでは…まずはスペックから」
859: 2016/12/08(木)23:45:38 ID:gE4
明石「この烈風は、ある方の我儘を天才明石様が腕を奮い完成させた物でありまして」
提督「それいる?」
明石「故に操縦方法以外は当時の烈風をそのまま再現しています」
提督「てか我儘って」
明石「んで、その操縦方法なんですが…提督」
提督「はい」
明石「エースコ〇バット、得意ですか?」
提督「まぁ、ちょっと世界狙えるくらい」
明石「なら大丈夫です」
明石「例のボートよろしく、この烈風の操縦桿もデュアルショックになっています」
提督「ソニーの回し者か」
明石「それに伴い、本来離陸前から着陸までしなければならない作業を半自動化しました」
提督「スルースキル高いな…」
明石「なら何処までが半自動なのか、疑問に思いますよね?」
提督「………」
明石「思いますよね?」
提督「…あっはい」
860: 2016/12/08(木)23:46:10 ID:gE4
明石「ではお教えしましょう、半自動化されている箇所はエ〇スコンバットで操作出来ない部分全てです」ドヤァ
提督「なるほど」
明石「まとめると、リアルエースコンバットですね」
提督「いつの間にかぼかすのやめてるね」
明石「別にいいんですよ、多分」
提督「まぁ大丈夫でしょ、多分」
明石「てなわけで、次の説明行きますよ」
提督「ほいよ」
明石「次は武装についてですが…その前に少し訂正があります」
提督「訂正?」
明石「はい、さっき操縦方法以外は当時の烈風をそのまま再現しています、と言いましたが」
提督「言いましたが?」
明石「武装はそのままじゃないんですね」
提督「ほう」
861: 2016/12/08(木)23:46:39 ID:gE4
明石「概算ですが、当時の烈風1機の戦闘力を1烈風としますと」
提督「しますと?」
明石「この烈風は約500烈風くらいあります」
提督「チート乙」
明石「それでも現代だとそうでもなかったりするんですよ」
提督「そうなんだ」
明石「まぁ、1から説明して回るの面倒臭いのでカットしますね」
提督「え、こっからが大切なんじゃないの?」
明石「…分かりましたよ」チッ
提督「今チッって言った!」
明石「気のせいです、では一気に行きますよーーー」
明石「凄く連射できるバルカン砲二門」
明石「マクロス顔負けの沢山追尾ミサイル」
明石「環境にとことん配慮した威力だけ核爆弾」
明石「以上になります」
提督「控えめに言って最強じゃない?」
明石「操縦者の腕次第で最強にも最弱にもなるんですよ」
提督「任せとけよ」ドヤァ
明石「じゃ、時間ないんで早速出てください」
提督「了解」
ーー
ー
862: 2016/12/08(木)23:46:59 ID:gE4
ー海上ー
陸奥「…ハァッ…ハァッ…」
陸奥「………ッ」
陸奥「ちょっと、不味いわね…」チッ
ーー
ー
863: 2016/12/08(木)23:47:21 ID:gE4
ー同時刻・地下ー
長門「さて、降りて来たが…」
地下への階段を降りきった時には既に、先程まで私を苦しめていた頭痛は形を潜めていた
意識を周囲に向けられる余裕ができて、改めて辺りを見渡してみる
長門「……暗いな」
手元に灯になる物はなく、ここは既に地下
当然窓なければ、陽の光も届かない
誰もが予想できて至極当然ではあるものの、それすらなおざりになっていた辺り、道中の私が如何に意識を削がれていたかが伺える。
…我ながら情けない
864: 2016/12/08(木)23:47:52 ID:gE4
長門「困ったな、先に進もうにもこれでは…」
チカッ…チカチカッ…
長門「なんだっ!?」ビクッ
突然、視界が激しく明暗する
瞬間、何が起きたのか分からず身構えるも、刹那にしてその正体に気付いた
長門「電灯が…ついた…?」
この建物にはまだ電気が通っているのだろうか…いや、通っていなければそもそも電灯などつくはずがない
…しかし、何故このタイミングで?
だが、私は操作などしていない
…では誰が?
やはりここには私以外の何者かが…
…あの声の主か?
865: 2016/12/08(木)23:48:15 ID:gE4
長門「…先に、進めという事だろう」
これ以上いくら考えても、考えるだけでは確信には到れない
そう悟った私は、しこりの残った幾つかの「不可解」の真相をこの目で確かめる為、奥へと進んだ。
ーー
ー
866: 2016/12/08(木)23:48:48 ID:gE4
ー明石ラボ・秘密の部屋ー
明石「どうです、簡単でしょ?」
提督「そだね」
明石「それと、今回ですね」
提督「うん?」
明石「前回の反省を活かして、燃料タンクを大幅に増設していますので」
提督「どれ位持つの?」
明石「テスト飛行もしてないのでなんともですが、ここにメーターがあります」ユビサシ
提督「車と同じだね」
明石「と、思うでしょう?」
提督「だって下にEって書いてあるやん」
提督「ここに針が来たらやばいってことでしょ?」
明石「はい残念、明石さんそんなダサい事しない」
867: 2016/12/08(木)23:49:29 ID:gE4
提督「別にダサくはないと思うけど…どう違うの?」
明石「これがエンプティになって、下からもう一回上がります」
明石「そして再度降りきった時に、Eが赤く光ります」
明石「そして、それが折り返しです」
提督「明石の燃料へ懸ける熱い情熱は十分伝わったよ」
明石「でしょう?天才は同じ失敗を二度しないんですよ」ドヤァ
提督「ただ、一つだけよろしくて?」
明石「よろしくてよ」
提督「その莫大な燃料、何処に積んでるの?」
明石「提督の座ってる所のすぐ後ろ、機体の後部全てです」
提督「なんでだよ!危ねぇだろ!?」
明石「そこしか無かったんですもん」
提督「だからって何で操縦席の真後ろなんだよ!引火したら即ミンチじゃねぇか!」
明石「大丈夫ですよ、シートは緊急脱出出来るようにしてありますから」
868: 2016/12/08(木)23:50:20 ID:gE4
提督「因みにそれ、どうやるの?」
明石「まずはそのパネルに24桁の暗証番号を」
提督「はい提督氏んだー」
明石「何なんですか!人が説明してる時に!」
提督「だってさ、考えてみてよ」
提督『くっ…敵の対空砲火で被弾!機体は無事だが操縦が効かない!脱出する!』
提督『よし!まずは24桁の暗証番号を…』
パララララ!…バスッ!
提督『えっ、ちょっ』
ドカーン
提督「ってね」
明石「それはアレですよ、被弾する方が悪いんですよ」
提督「なるほど、そうきたか」
提督「でも、もう一つ問題があってね」
明石「何ですか?」
提督「それだけの燃料を機体後部に詰め込んだら」
提督「積載オーバー&重量バランスガン無視みたいな感じがするんだけど」
提督「そこら辺は大丈夫なの?」
明石「ふっ、そんな事ですか」
提督「そんな事ってなぁ…」
明石「いえいえ、その二つの問題を軽視してる訳ではなくてですね」
869: 2016/12/08(木)23:51:14 ID:gE4
明石「既に対策済みなんだよ今更かよこのスカポンタン、と言う意味ででしてね」
提督「馬鹿にしてんじゃねぇか」
明石「え、してませんよ」
提督「…で?その対応とやらを御高説願おうか」
明石「はい、ではお教えしましょう!」
明石「実はこの烈風に使用している燃料、従来の戦闘機が積んでいる物と全くの別物でして」
明石「明石製100%の画期的なスペシャル燃料を使用しています!」
提督「燃料まで自給しだしたか」
明石「簡単に言いますけど大変だったんですよ?」
提督「なら、その大変だった特製燃料は今までのそれと比べてどれ位革新的なの?」
明石「よくぞ聞いてくれました!いいでしょう…本来企業秘密ですが、提督だけ特別ですよ?」
提督「いいから早くしろよ時間ないんでしょ?」
明石「では行ってらっしゃいませ」
提督「それは困る」
明石「時間ないんでしょ?」
提督「だからってそんな得体の知れんもん背中に仕込んだまま行けるかよ」
明石「だったら得体が知れるまで黙って聞くことをおすすめします」
提督「はいはい、黙って聞きますから」
明石「よろしい、では続けますね」
870: 2016/12/08(木)23:51:56 ID:gE4
明石「えぇと…そうだ、まずこの燃料はですね、凄く軽いんですよ」
提督「へぇ」
明石「そして、凄く燃費がいいんですよ」
提督「ほう」
明石「ここまでどうです?」
提督「かなりざっくりだけど、まぁいいんじゃない?」
明石「では続きをば」
明石「と、一見いい事尽くめに見えるこの明石燃料も、問題はここからなんですね」
提督「なんかあるのか…」
明石「はい、実はこの燃料…」
提督「………」ゴクリ
明石「可燃性抜群の上に空気に触れた瞬間、引火爆発します」
提督「……は?」
明石「その辺に被弾したら本当にひき肉ですからね!では行ってらっしゃい!」カチッ
ブロロン!バババババ!
提督「うおおぉおおお!!明石貴様ぁぁあ!!!」
明石「御武運をー!」フリフリ
明石「…行っちゃった」
明石「………」
明石「…ま、ひき肉になんかさせないんですけどねぇ」スタスタ
ーー
ー
891: 2017/02/08(水)21:40:43 ID:is1
ー同時刻・執務室の奥ー
ー仮眠室ー
加賀「………」zzz
赤城「………」zzz
加賀「……んっ」ピクッ
加賀「………」ムクリ
加賀「ていとく…?」キョロキョロ
シーーン
加賀「赤城さん、赤城さん」ユサユサ
赤城「んぁっ、加賀、さん?」オコサレ
加賀「大変です」ユサユサ
赤城「えっ…えっ?ちょっと待って下さい」
赤城「んっ、と」オキ
加賀「おはようございます」キリ
赤城「お、おはようございます」
赤城「それで、何が大変なんですか?」ファーア
加賀「提督がいません」
赤城「………」キョロ
892: 2017/02/08(水)21:41:08 ID:is1
赤城「確かにいませんね」
加賀「だから大変だと」
赤城「しかし、別に大変という訳でもないでしょう」
赤城「おおかた、昨日の片付けをしに鳳翔さんの所にでも行っているのでは?」
加賀「そんな筈はないわ」
赤城「え?何故ですか?」
加賀「提督は今、この施設内にいませんから」
赤城「………えっ?」
ーー
893: 2017/02/08(水)21:41:44 ID:is1
ー同時刻ー
ー地下ー
長門「……これは」
あれから、分岐の一つもない長い廊下を歩いてきたが…
景色はずっと変わらないまま、窓の一つもない四方を鉄の壁で覆われた空間が続いていた
そして、ここに来て一つ、変化が起きた
長門「…扉が、壊されているな」
ここもまた、不自然な程の厚みをもった扉が、その内側、私から見れば扉の奥から、力任せにこじ開けた様に開いていた
長門「ここから出てきたのか…?」
「何が」なのかを知るところではないが、その凶暴性とかなりの怪力を兼ね備えている事だけは理解できた
長門「…まだ、この施設内にいるのだろうか」
仮にまだ何処かに形を潜めていたとして、その「何か」と対峙した時、私に出来ることは…
894: 2017/02/08(水)21:42:27 ID:is1
長門「危険…だろうが…」
艦娘か…或いはまだ私の知らない何かが存在するのか
前に見た扉と合わせて二回目
捉え方によっては「警告」とも言える扉の破損具合
本来の開き方を知ってか知らずか、分からなくなる程理性が効かない相手なのか
何れにせよ、「それ」と遭遇してはいけない
ーーーが
長門「今更、後になど…」
逆に考えれば、ここまで人の、生物が現存してる痕跡や気配など微塵も感じなかった
かなり前向きな補正をかけているにしても
先に進んだ所で、出会うはおろか初めからここは既にもぬけの殻なのではないか
そう、思うに至った
だったらあの声はーーー?
それはそれで、尚更気になるだけの事
そして、先に進むだけのこと
895: 2017/02/08(水)21:43:20 ID:is1
長門「…よし、行くぞ」
壊れかけ…もとい、既に壊れた扉を力任せに開き、身をよじりながら中に踏み込む
そして、その瞬間
私が扉の奥に足を踏み入れて、最初の一呼吸
辺りは暗闇で視界は閉ざされているも同義
最初に仕事をしたのは、嗅覚だった
長門「っーー、なんだ…これはーー」
ーー
ー
896: 2017/02/08(水)21:44:26 ID:is1
前前々回位に小分けにあげるとか言ってすまんです
ぼちぼちやってくので気長にみてね
ぼちぼちやってくので気長にみてね
次回:提督「赤城のワガママ」【その10】
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