2:◆NirOX0FMME 2009/03/07(土) 22:11:53.18 ID:w1uBVb/y0
4: 2009/03/07(土) 22:14:00.82 ID:w1uBVb/y0
( ^ω^)ブーンの世界には魔法があるようです
第一章 青色の砂 第三話「国境の道端」
世界。
赤、青、黄、緑、紫、そして黒。
世界には六の国、六の魔法がある。
魔法の下、国は生まれていった。
5: 2009/03/07(土) 22:17:00.54 ID:w1uBVb/y0
世界には言い伝えがあった。
戦火は【魔王】を呼び寄せる。
その通り、戦争の度に魔王は現れた。
魔王の災厄を防ぐため【守護者】が生まれた。
守護者は魔王を封印するが、戦いの度に魔王は現れる。
そんな事が何時から始まったのか分からない位に続いていた。
魔王の軍勢、守護者の封印。
つい七年前も封印は行われた。
この七年前の戦いが俗にいう魔王大戦だ。
大戦時、類稀なる魔力を持つ守護者達が次々と魔王の謀略で殺された。
騒乱の中に出会ったジョルジュ達は、魔王を倒すべく行動を開始した。
( ゚∀゚)「意外ときっかけって思い出せないんだよなぁ」
( ^ω^)「…あなたは本当に英雄ですかお?」
( ゚∀゚)「そうは言ってもさ、七年以上前だぜ?
俺も下町で平民やってたし」
守護者の経歴も色々なのだろう。
7: 2009/03/07(土) 22:20:00.68 ID:w1uBVb/y0
( ゚∀゚)「つーわけで、俺、寝る!」
どういう訳か知らないがいきなり眠りだした。
出発して数日。馬車の中で暇な時間が続いていた。
馬に引かれた狭い部屋に車輪の音が響く。
僕達二人しか乗っていないので好きな姿勢で過ごしていた。
区切られた小さい窓の外には以前変わらず茶色の街道が流れていく。
( ^ω^)「えーと。あの山が…これで。 あっちの山が…」
ジョルジュから貰った『ニューソク地方トラベラー(この辺の地図)』を見ながら景色を眺めた。
地図に書いてある道の他に途切れ途切れの横道がいくつかある。
この街道を外れれば大戦時に使われた建物や、遺跡が多くなる。
そういった場所には魔物や山賊が住み着く事が多く危険なのだ。
もちろん僕の乗っている馬車は危険な場所に向かうはずもない。
正面にあった山に近づいたのだろうか、平原の隣にはゆるやかな崖が横たわっている。
( ^ω^)「後どんくらいだお?」
赤の国と青の国はそれほど離れていないはずだ。
地図をしまいながら、溜息をつく。
8: 2009/03/07(土) 22:23:00.61 ID:w1uBVb/y0
( ^ω^)「お?」
山岳地帯に沿って家が立ち並んでいる。
木で作られた簡素な家々だ。
規模は大きくないようだが、ここは村のようだ。
地図を見てみるとそこには載っていない。
国に統治されていない場所、その様な物は多くある。
と地図の但し書きに書いてあった。
流れる景色は徐々に速度を落としだす。
そして、馬車が止まった。
(;^ω^)「え? 何止まってんだお?」
( ゚∀゚)「おー?」
山岳地帯に挟まった道。
窓から顔を出すと、多くの岩が道を塞いでいた。
数名の作業員が撤去作業に奔走している。
( ゚∀゚)「うわぁ…何コレ?」
聞けば数日前の土石流で道が塞がれたらしい。
通行可能まで後一日はかかるとの話だ。
( ^ω^)「どうしますかお? 一応、近くに村があるみたいですお」
僕は戻るのは面倒だと思いながらも背後の道に顔を出す。
10: 2009/03/07(土) 22:26:02.06 ID:w1uBVb/y0
( ゚∀゚)「そうだなー。この辺りだったら知り合いがいるし、少し助けてもらうか」
かつて世界を股にかけて戦った守護者だけに顔は広かった。
*
―ニューソク地方 名も無い村―
( ^ω^)「すみませんお。聞きt」
取り敢えず村の入り口近くにいた少女に声をかける。
ミセ*゚ー゚)リ「!?」
少女はいきなり村の奥へ逃げて行った。
僕はそんな驚かれる顔か。
もしくはこの微妙に小太りな体系が悪いとでも言うのか。
まあ、確かに背も低くない。
急に話しかけられたら怖くないこともないかもしれないが…
( ゚∀゚)「どうしたよ?」
馬車の運転手達と話を付けて、ジョルジュが後ろから歩いてきた。
11: 2009/03/07(土) 22:29:03.50 ID:w1uBVb/y0
( ´W`)「あの~」
( ^ω^)「おおん?」
本気で考えこんでいた僕は低い声で顔の方向を変える。
(;´W`)「い、いえ。もしかして、旅の方でしょうか?」
白い髭を生やしたおじさん。
これ以外の特徴が無い人物が立っていた。
( ^ω^)「……」
( ゚∀゚)「久しぶりだな、おっさん!」
(;´W`)「ジョルジュさん! お久しぶりです!」
ジョルジュを見ておじさんは驚きを露わにしている。
対してジョルジュはいつもの笑みを浮かべている。
( ^ω^)「…そんな事より聞きたい事がありますお!」
この二人の関係など、今大した問題にならない。
確認すべき事は一つ。
(;´W`)「え!? 何でしょうか?」
12: 2009/03/07(土) 22:32:32.69 ID:w1uBVb/y0
( ^ω^)「僕の顔は怖いですかお…?」
( ゚∀゚)(;´W`)「…は?」
場所をおじさんの家に移し、この件を解決に導こう。
この場はそれで収まった。
―名も無い村 村長の家―
ミセ;゚ー゚)リ「ごめんなさい! 私勘違いを…」
結論から言おう。
僕の顔に問題は無い。
( ゚∀゚)「いやー。でっかくなったなーミセリも」
ジョルジュの視線はミセリの顔よりやや下に見えるが気のせいだろうか。
ミセ*゚ー゚)リ「あれから暫くたってますよ、ジョルジュさん」
問題なのはこの村の周辺に山賊が住み着いたというテンプレ通りの状況だ。
例に溺れず食糧を奪ったり、人をさらっていくとか。
13: 2009/03/07(土) 22:35:33.66 ID:w1uBVb/y0
(;´W`)「そういう訳で困った事になっていまして…」
( ^ω^)「だったら赤の国に助けてもらえばいいお」
(;´W`)「国に陳情しても統治下に置かれていない場所に兵は出せないと言われました。
ですから、今は村を離れた方が安全です」
そういうものなのだろうか。
国境ラインには相当数の兵士がいると思ったが。
( ゚∀゚)「山賊って、魔法は?」
ミセ;゚ー゚)リ「魔法使いじゃ無いんですけど、鉄の武器を持ってるんです」
( ゚∀゚)「…んな話聞いた事ねぇな。賊の情報は俺の管轄なんだけど」
村を襲うとは言え、魔法を使えない一般人なら問題にならないだろう。
何せこちらには【炎の騎士】が控えているのだ。
( ^ω^)「ふっ、ジョルジュさんがいれば…」
( ゚∀゚)「まあ、魔法が使えないならどうにか出来るだろうな」
14: 2009/03/07(土) 22:38:35.86 ID:w1uBVb/y0
ミセ;゚ー゚)リ「助けてくれるんですか!?」
( ゚∀゚)「そりゃお前…なぁ?」
当然。と言わんばかりに僕に目を合わせた。
ついでに僕の肩に手がかかっている。
( ^ω^)「………え?」
反対側ではミセリが目を輝かせている。
ミセ*゚ー゚)リ「ブーンさんも魔法使いなんですか!?」
今思えばこの時点で僕の未来は決まっていたのかもしれない。
この村に魔法使いがいない時点で、戦力は僕達二人なのだから。
その後。山賊の数や居場所を聞きき、すぐに殴り込みに向かった。
ジョルジュが僕を引きずりながら。
―村の西 山岳地帯 山賊のアジト付近―
木の一本も無い山岳。
所々から岩の突き出た地形だが、これがどちらに有利に働くのか。
一応、今の所僕達の役に立ってはいる。
( ゚∀゚)「…あれだな。よくもまぁこんだけ揃えたもんだ。
剣、斧? 軍隊崩れか…いや…」
16: 2009/03/07(土) 22:41:40.36 ID:w1uBVb/y0
岩陰の先にはへこんだ地形。その上に小さな砦がある。
大戦時に使われていた物なのか、何かの遺跡なのか。
正直、山賊のアジトなど来たくないし怖かったが、
相手が守護者では断りきれない。
僕も岩場の影から山賊の皆さんを見る。
( `ハ´)( `ハ´)( `ハ´)「………」
(;^ω^)「ちょっww数多いおwwwジョルジュさん、僕一旦帰りますお!」
その先では怖そうな人たちがわらわらとしていた。
冗談では無い。戦力比約1:20はある。
三流魔法使いが相手に出来る数という訳でもない。
それ以前に、僕の力は平均値より下だ。
( ゚∀゚)「…なんでもいいか。よし、行くぞ」
( ^ω^)「聞けお」
ジョルジュはこれでよく旅を出来たものだ。
( ゚∀゚)「あ、ブーン。コレやる」
ジョルジュはズボンのポケットから手袋を取り出した。
色は深い赤。手の甲の位置には紋章が刻まれている。
17: 2009/03/07(土) 22:44:43.90 ID:w1uBVb/y0
( ^ω^)「ありがとうございますお…これは…?」
( ゚∀゚)「知らねぇとか……魔法器だろ。
お前の魔法でも結構強化されるぜ。赤の魔法限定で。
名前は『ジョルジュ手袋三号』だ!」
世界を救った英雄のネーミングセンスは最悪だった。
僕は手袋をはめながら、この手袋をどんな名前に改名しようか考えていた。
( ゚∀゚)「今度こそ行くぜ。赤の魔法使いの知的な戦い方、お前に教えてやる」
生唾を飲み込みながらジョルジュが動くのを待った。
するとジョルジュはいきなり立ち上がった。
そのまま手を腰にあてて、息を吸い込む。
18: 2009/03/07(土) 22:46:57.88 ID:w1uBVb/y0
( ゚∀゚)「山賊の皆さん! これから! あなたがたを制圧します! 宜しいですね!」
( ゚ω゚)「はああああぁ!?」
山賊達に睨まれながら、確信した。
この人は馬鹿だ。僕が言うのもなんだが。
( ゚∀゚)「ブーン! お前は背後を守れ! 突撃だ!!」
( `ハ´)「「「敵襲だ! 囲めー!」」」
( ゚ω゚)「大声で言うなおおおおおぉ!!」
僕達の作戦は全て筒抜けだったが仕方なく走り出す。
しかし、考えてみたら僕で相手になるのだろうか。
( ゚∀゚)「起動! フレア…」
ジョルジュの魔法器の紋章に光が…反応しない。不思議そうに小手を眺める。
怪訝な目つきで暫く見た後、こう結論した。
( ゚∀゚)「うん。故障だ」
( ゚ω゚)「…」
ふざけてんのか。
19: 2009/03/07(土) 22:50:00.92 ID:w1uBVb/y0
もはや呆れて言葉が出ない。久しぶりに。
早くなんとかしておくべきだった。
( ゚∀゚)「よろしい! ならば小細工は抜きだ!」
(#^ω^)「…もとから細工なんかねーお」
すっかり包囲された僕達は背中を預け合い、下らないコントを終わらせる。
( ゚∀゚)「…右前方に飛ぶぞ」
( ^ω^)「飛ぶ?」
言うが早いかジョルジュは駆けだす。そのまま敵陣の前で飛びあがる。
そんな真似僕に出来る訳が無い。
空中でジョルジュが声をあげる。
( ゚∀゚)「お前もできるぞ! いいから魔法使って飛べ!」
どうせ残ったら袋叩きだ。
(;^ω^)「…仕方ないお」
僕の手の紋章が輝く。
赤い光で両手を覆いながら、走り出す。
一瞬屈み、地面を踏みしめる。
足を伸ばすと、僕は空にいた。
21: 2009/03/07(土) 22:56:48.45 ID:w1uBVb/y0
(;^ω^)「………おぉ」
この手袋は凄い。一気に僕の魔力を強化してくれていた。
夢心地も長くは続かない。高くジャンプしただけなのだから当たり前だった。
包囲とび越え陣の外へと着地する。
ジョルジュは足から、僕は顔面から。
( ゚∀゚)「まず重要なのは背後を取られない事だ!」
顔を上げた先では小手を外したジョルジュが構えていた。
赤い光が両腕を覆っている。
(#)^ω^)「まず…背後を取られたのは…あんたのせいだお」
顔をさすりながら僕も立ち上がる。
( ゚∀゚)「この危機的状況を覆したのが、赤の魔法の特性【身体強化】だ。
名の通りに運動能力が向上する。しかも魔法使っただけで。お得!」
( ^ω^)「聞けお」
目の前にずらりと並んだ山賊。
今度は左右に小高い崖があるため、囲む事が出来ない様だ。
( ゚∀゚)「次は…攻撃を当てる事だ。逃げんぞ、戦略的撤退~」
ジョルジュは後方に向かって走りだした。
僕は慌てて追いながら、もうどうでもいい、などと思い始めていた。
22: 2009/03/07(土) 22:59:59.26 ID:w1uBVb/y0
山賊の方も追って来た。
時折振り返り様子を見ていたジョルジュが立ち止まりながら振り返る。
( ゚∀゚)「お前はそのまま走れ! そっちにもいるぞ!」
追って来ている山賊達に向かい片手を突き出し、そう叫ぶ。
熱波が背中を押した。
一瞬振り返った僕が見たのは視界を埋める巨大な炎。
( ゚∀゚)『フレアショット!』
この狭い道、ジョルジュの前方全てを攻撃範囲として炎が放たれた。
視線を前方に戻した僕の前にも山賊が三名程向かって来ている。
この手袋があれば三人位はどうにかしてやる。
そう思い、山賊に向かって駆けこむ。
敵は二人が突出している。
向かって左側の山賊は既に剣を突き出していた。
動きが見える。
23: 2009/03/07(土) 23:03:00.69 ID:w1uBVb/y0
走る剣の腹に左の手の平をぶつけ、ずらす。
金属音が響いた。
体勢は変えずに右腕で右側の山賊を殴り倒す。
剣に合わせて手を滑らせ、体を一回転。
剣を押し返し、左手握りしめながら体勢を下げる。
左腕の肘を山賊の脇腹に叩きつけた。
崩れ落ちる二人の横を走り抜け、三人目の前へ。
(;`ハ´)「!?」
剣を構える前に懐に走りこむ。
右腕は脇をしめ、拳を腰だめに固めてある。
肉迫し右腕を僅かに前に動かす。
山賊の鳩尾に右手がめり込む。
勢いは全て乗った。
赤色の閃光が瞬き、山賊の体が吹き飛ぶ。
近くにあった岩にぶつかり動かなくなった。
大怪我だろうが、氏んではいないと思った。
( ^ω^)「…ふぅ」
24: 2009/03/07(土) 23:06:01.32 ID:w1uBVb/y0
魔法を使えない一般人なら僕でも十分戦えるようだ。
焦げた臭いの崖下で、戦いは終わった。
いや、まだ何かいる。
道の先に見えたのは…
あれは……
( ∴)「…………」
手が震えた。
(;゚ω゚)(何でこんなとこに!?)
紫の国方向に行ったというのは誤報か。
道の先にいるのだから既に見つかっている。
二人で何とか出来るのだろうか。
( ∴)「…」
だが踵を返し、道の奥へと消えていく。
ふらふらと動いていた。
ジョルジュから受けた傷が治っていないのだろう。
( ゚∀゚)「ブーン! 無事か?」
25: 2009/03/07(土) 23:09:01.71 ID:w1uBVb/y0
(;゚ω゚)「…一応は……それより、そこに仮面の…」
何とか声を捻り出す。
(;゚∀゚)「仮面の!? 厄介な…」
ジョルジュは赤い奇跡を残し崖に飛び上がる。
上から、山岳を見回す。
( ゚∀゚)「……」
(;゚ω゚)「……」
また、戦う事になるはずだ。
緊張状態のまま僕はジョルジュの返事を待った。
第一章 青色の砂 第三話「国境の道端」 完
26: 2009/03/07(土) 23:10:51.24 ID:w1uBVb/y0
以上で投下を終了します。
27: 2009/03/07(土) 23:11:57.81 ID:Kf7oel+X0
おつっ
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