1: 2009/03/11(水) 21:52:03.73 ID:0Wg8DOIe0
3: 2009/03/11(水) 21:55:05.23 ID:0Wg8DOIe0
先にあったのは始まりの魔術師
何時からか、始まっている
( ^ω^)ブーンの世界には魔法があるようです
第一章 青色の砂 第四話「正位置の『魔術師』」
4: 2009/03/11(水) 21:58:06.21 ID:0Wg8DOIe0
ジョルジュは暫く見続け、こう呟いた。
( ゚∀゚)「いねぇな」
馬鹿な。
高台から見れば見通しはいい。
そうそう見失うはずはない。
(;^ω^)「…そんな」
確かに見た、しかし仮面の魔法使いはいない。
だが、会わずにすんだ安堵からか、腰が抜けた。
地面に座り込む。
( ゚∀゚)「っと」
ジョルジュが降りてきた。
( ゚∀゚)「ま、見間違い…だろうな」
いつも見せる笑顔でそう言った。
(;^ω^)「…すみませんお。 でも、いないなら幸いですお」
( ゚∀゚)「お前…苦手意識持ち過ぎだろ。
今度襲撃してきたら返り討ちにしてやる位の気概は無いのか?」
5: 2009/03/11(水) 22:01:06.78 ID:0Wg8DOIe0
( ^ω^)(そりゃ出来れば苦労はねーお)
返り討ちにする、か。
だが仮面の魔法使いが何故自分を襲って来たのか。
その前に何者なのかも分かっていない。
もし、仮面の魔法使いを超える力を持てたら。
その時は僕でも話を聞けるかもしれない。
山賊達を倒した事でついた自信だろうか。
そんな考えが、一瞬頭をよぎった。
( ゚∀゚)「じゃあ戻るか。コイツらほっとく訳にもいかねぇし」
すすけた道に向き直る。
あれだけの炎が駆け抜けたのだが、誰一人氏んでいなかった。
( ^ω^)「…分かりましたお」
さすがは守護者だ。
僕は開幕時に『コイツは馬鹿』と思っていた自分を忘れ、道を戻った。
( ゚∀゚)(見間違い…もしくは……)
6: 2009/03/11(水) 22:04:07.73 ID:0Wg8DOIe0
―ニューソク地方 名も無い村 入口―
( ゚∀゚)「じゃあな、ミセリ、おっさん!」
( ^ω^)「お世話になりましたお!」
その後村に戻り山賊達を捕まえておくように言って、僕達の仕事は終わった。
翌日、軽く食事をとり、早々に村を出る事にする。
村人たちからは大いに感謝され、食べ物を進められた。
ミセ*゚ー゚)リ「本当にもう行っちゃうんですか?」
(;^ω^)「なごり惜しいけど先を急ぐんだお」
僕の一人旅ならもう一日は滞在したかもしれないが、問題は仮面の魔法使いだ。
見間違いならいいが、あんなのにまた襲われたら今度こそ終わりだ。
この村の人達を巻き込むわけにもいかない。
それに、実際ジョルジュが急いでいる事も確かだ。
( ´W`)「十分なお礼もできずに…ですが、ありがとうございました」
ミセ*゚ー゚)リ「また来てください、今度こそおもてなしします!」
( ゚∀゚)「ああ、また全力で世話になってやるぜ!」
二人の他多くの村人から声をかけられる。
ジョルジュもずれた返事で対応していた。
7: 2009/03/11(水) 22:07:08.68 ID:0Wg8DOIe0
( ^ω^)「またいつかですお!」
( ゚∀゚)「じゃ、またなー」
挨拶をし、茶色の道に戻る。
少し歩いたところで振り返ると村人全員が手を振っていた。
馬車に乗りながら、大きく手を振る。
村が見えなくなるまで皆が見送ってくれた。
―ニューソク地方・中部―
慣れ始めた震動が体に響く。
馬車の車輪が石を弾き飛ばすのが見えた。
( ゚∀゚)「まあ、そんな訳でそれは旅の時に使ってた魔法器って事だ」
( ^ω^)「そんな大事な物を僕にくれていいんですかお?」
( ゚∀゚)「かまわねぇさ。俺の魔法器の修理は終わったし、第一使わねぇ」
村を離れてから数時間程ジョルジュと話していた。
出発する時に青の国へは連絡されているので、
守護者に会いに行けば分かるらしい。
震動が弱まり、音が消える。
8: 2009/03/11(水) 22:10:09.60 ID:0Wg8DOIe0
( ゚∀゚)「お、じゃあ俺はここで一旦降りるぜ」
( ^ω^)「また後でですお」
( ゚∀゚)「ああ、お前も俺が戻るまで氏ぬなよ!」
物騒な事を言い残し、ジョルジュは馬車から飛び出して行った。
扉が閉まると一人だけの空間が残る。
一人の時間は慣れてる。
だが、今まで騒がしい人と過ごしていたためか、少し寂しく感じた。
( ^ω^)「さて、一眠りするかお」
僕は頭を通り抜けた感覚を捨てるため、その場に転がった。
気づけば日が昇る直前だった。
南へと馬車が進む。
道が途切れはじめていた。
背後に並ぶ山脈を縁取る様に、光が漏れる。
( ^ω^)「何か見えてきたお」
太陽は昇った。
目を細めながら日の出を眺めていた。
冬だというのに気温も上がってきている、と言うか暑い。
9: 2009/03/11(水) 22:13:10.66 ID:0Wg8DOIe0
逆光の中にある背後。
正面は茶色が映し出されていた。
ひび割れた地面の先に違う色が混ざっていた。
今進んでいる茶色の道とは違う茶色。
薄く、白くどこまでも続く。
陰で暗く見える丘が砂の海の奥に山を錯覚させる。
幾つもの色が砂漠を形作っていた。
( ^ω^)「あ、そうだお」
身に付けていたマントを外し上から被る。
首の下あたりで革の留め具で固定すれば日光対策になるらしい。
流石は旅人ご用達の『トラベラーシリーズ(各地域の地図)』だ。
こういった知識があれば砂漠など…
(;^ω^)「あちぃw」
何故か知らないが快適では無い。
馬車の中で一人騒ぎながら国境への到着を待った。
※旅というものはしっかりとした知識と準備を持って臨んでいただきたい。
10: 2009/03/11(水) 22:16:11.79 ID:0Wg8DOIe0
―青の国 国境―
( ^ω^)「こんな場所なのに広い街だお」
砂漠の前にある貿易中継地点。
柵で囲まれた街は端が見えず、かなり広いのだろう。
泥と土で出来た家が並び、国境に入ってすぐ見える大通りには幾つものテントが張ってある。
ここは幾つもの店がある商店街らしい。
入口では旅人と言ったらすぐに通してもらえた。
(;^ω^)「混んでるお。とりあえず何か食べるお」
薄い色のマントやローブを着た人で溢れ返る大通りを抜ける。
視界にある近くの酒場らしき所に入った。
中には数名の客がテーブルに、店長がカウンターに立っている。
テーブルやカウンターは木製だが、壁や床は外と同じように泥でできている。
さほど広くない店内の中心から吊り下げられたカンテラが周囲を薄暗く照らす。
カウンターの席に座り、パンと水を注文する。
( ・∀ )「やあ、旅でもしてるのかい?」
頭からローブを被っている人が隣から声をかけてきた。
半分程顔が隠れているため表情は読み取れない。
11: 2009/03/11(水) 22:19:24.84 ID:0Wg8DOIe0
( ^ω^)「そうですお。あなたも?」
( ・∀ )「ああ、あてもなくブラブラしてるだけだけど」
( ^ω^)「僕もそんな感じですお」
カウンターからパンと水が出された。
やけに平べったいパンだ。
( ・∀ )「見たところ若い様だが、何でまた?」
(;^ω^)「うーん、追放されたから仕方ないんですお」
出てきた水を一口飲む。不味い水だった。
味が無いというより、変な味が混ざっているみたいだ。
( ・∀ )「申し遅れたね。僕はモララーと言う者だ」
( ^ω^)「ブーンですお」
次にパンをひとかじり。
こちらは旨い。
小麦を焼いただけのようだが、小麦の味と僅かな油の風味がよいバランスだ。
( ・∀ )「しかし、追放か。何をしたんだ?」
( ^ω^)「えーと…」
12: 2009/03/11(水) 22:22:20.93 ID:0Wg8DOIe0
見知らぬ人にそこまで話していいのだろうか。
僕は少し躊躇した。
( ・∀ )「無理には話さなくていい。人には事情って物があるから」
( ^ω^)「…大した話じゃ無いんですお」
結局僕はこのモララーという男にこれまでいきさつを話していた。
深い事情があった訳でもない。
と、後から言う事は出来るが、やはり軽率だったかもしれない。
( ・∀ )「要するに、仮面の男が悪いんじゃないか」
大体を話終えるとそんな事を言われた。
確かに仮面の魔法使いがいなければ平和な生活をしていた。
ただ、アイツがいなければ何も変わらない毎日だったはずだ。
何の変化も無い日々。
( ・∀ )「そう言えば妙な仮面と言うのは?」
( ^ω^)「( ∴)こんなんですお。モララーさんも気を付けた方がいいと思いますお」
( ・∀ )「…これはどうやって前を見ているのかね?」
確かに。
13: 2009/03/11(水) 22:25:26.91 ID:0Wg8DOIe0
( ^ω^)「ふう、結構腹にたまるお」
だされたパンと水をたいらげ、しばし食休みを取っている。
こう暑いと外に出たくなくなる。
( ・∀ )「僕はそろそろ行くかな。これから赤の国を見に行ってくる」
( ^ω^)「いい所ですお、けど町はずれは何もありませんお」
自分の住んでいた所には何も無い。
住宅地付近に何かあっても問題だろうが、実際は退屈だった。
モララーが席を立つ。
それと同時に店の扉が乱暴に開く。
( ・-・ )「兵士団だ! 全員そこから動かないでほしい」
( ´ω`)「…………」
兵士ってのはどこでも同じ顔なのか。
14: 2009/03/11(水) 22:27:53.49 ID:0Wg8DOIe0
( ・∀ )「何があったんだ?」
( ・-・ )「この国境に犯罪者が逃げ込んだという伝令があった」
犯罪者。
それがただの村人なら問題にならなかったかもしれない。
( ・-・ )「全員の荷物を調べさせてもらう」
やはり魔法使いか。
(;^ω^)「何で荷物なんか…」
( ・∀ )「その犯罪者が魔法器でも持っているんだろう」
今回は捕まる事はなさそうだ。
見られて困るようなものは持って…
(;^ω^)(魔法器持ってるお…)
( ・-・ )「魔法器を持っているのは二人だけか」
( ・∀ )「いやーまいったね」
(;^ω^)「……」
15: 2009/03/11(水) 22:30:54.67 ID:0Wg8DOIe0
実はモララーも魔法器を持っていたようだ。
腕輪の形をした紫色の魔法器。
僕の持っていた赤い手袋型の魔法器も取られてしまった。
(;´・_ゝ・`)「大変です! 向こうで魔法使いが…」
また新しい兵士が入ってきた。
( ・-・ )「何か分かったか?」
(;´・_ゝ・`)「い、いえ。魔法使いが二名殺害されていました」
(;・-・ )「なんだと!? では、巡回の兵士を増やせ!」
(;´・_ゝ・`)「分かりました!」
そのまま走り去って行った。
二人も魔法使いが殺されたというのは穏やかじゃない話だ。
( ・-・ )「二人には私と来てもらう」
( ・∀ )「手短にしてくれると嬉しいんだが」
( ^ω^)「僕の魔法器はいつ返してくれるんですかお?」
(#・-・ )「…とにかく一緒に来てもらおう」
16: 2009/03/11(水) 22:33:55.50 ID:0Wg8DOIe0
人を頃すような輩が首都に入るのは何としてでも阻止するつもりなのだろう。
( ・-・ )「さあ、こっちだ」
モララーの肩に手をかけ、引く。
頭のフードが外れモララーの顔があらわになる。
( ・∀・)「そう焦らなくても行くさ」
( ・-・ )「…………」
( ・∀・)「どうしたね?」
(#・-・ )「兵士を集めろおおおおぉ!!」
モララーの顔に見て、一呼吸おいて兵士が叫んだ。
すぐに狭い店内は兵士でいっぱいになる。
加えて全員が鉄製の剣やら槍をこちらに向けている。
(#・-・ )「マタンキ! 堂々としたものだな!」
(;^ω^)「またんきって何ですかお?」
(;´・_ゝ・`)「君じゃない、そっちだ」
全員の視線がモララーに集まる。
17: 2009/03/11(水) 22:36:57.20 ID:0Wg8DOIe0
( ・∀・)「……何ソレ?」
(#・-・ )「これを見てもそんな事が言えるか!?」
『(・∀ ・)』
手配書の人相書。
確かにモララーが書いてあるが、微妙に違うような気もする。
言う程凶悪そうな顔でもなかった。
( ・∀・)「………」
( ・∀・)「違うよ、全然違うよ。 もう向きから違うよ」
向きに関しては書き手次第だと思う。
(#・-・ )「言い逃れできるか!?」
( ・∀・)「君は本気でコレ(・∀ ・)と僕が似ていると言っているのか?」
モララーは兵士から人相書を奪い取り逆に兵士につき付ける。
モララーの手は何故か震えている。
18: 2009/03/11(水) 22:39:59.00 ID:0Wg8DOIe0
(#・-・ )「何を言っている! どう見ても同一人b」
(#・∀・)「ふざけるんじゃない! よく見たまえ!」
↓
(・∀ ・)
(#・∀・)「どうだね?」
( ・-・ )(´・_ゝ・`)「「…微妙」」
部屋にいた全員が異口同音に言った。
ちなみに僕も言っていたが、聞こえていないと信じている。
本当に暴れだしたので、その後すぐにモララーに飛びかかり抑える。
(#・∀・)「歳が違うだろうがあああああぁ!!」
(;^ω^)「僕たちは…関係無い…って事でいいですかお!?」
モララーを抑えながらの交渉。
まさか僕がこんな役回りになるとは。
しかし『微妙』なのだから疑いは薄れたと思いたい。
20: 2009/03/11(水) 22:43:00.68 ID:0Wg8DOIe0
(´・_ゝ・`)「君はいいけど、そっちの人は一応話を聞きたい」
( ・-・ )「お前たちは街の警備に戻ってくれ」
後ろではぎっしりと店に入っていた兵士たちがはけていく。
(#・∀・)「話? まぁ、その位ならいいが…」
( ・-・ )「じゃあ後ほど、本部まで来てほしい」
(´・_ゝ・`)「私が残ります」
あれほどいた兵士がたった二人だけに戻っていた。
素晴らしい統率力だ。
( ・∀・)「やれやれ、そういう事らしいので僕は行くよ」
(;^ω^)「分かりましたお」
モララーが荷物をまとめる。
僕も同じように店を立つ準備を進める。
( ・∀・)「ああ、そうだ。ブーン君」
( ^ω^)「?」
21: 2009/03/11(水) 22:46:01.97 ID:0Wg8DOIe0
荷物を背負い直したモララーがフードに手をかける。
しばし空間を見つめていた。
その後、ゆっくりと動いた瞳が僕を捉えた。
表情に変化は無い。
( ・∀・)「例の仮面の魔法使いだが、ゼアフォーって言うらしいね」
変わらない笑顔で、そう言った。
第一章 青色の砂 第四話「正位置の『魔術師』」 完
22: 2009/03/11(水) 22:47:27.74 ID:0Wg8DOIe0
以上で今回の投下を終了します。
25: 2009/03/11(水) 22:53:33.99 ID:0Wg8DOIe0
ありがとうございました。
やはり、地の文過多は読みずらいでしょうか?
やはり、地の文過多は読みずらいでしょうか?
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