1: 2015/01/18(日) 22:11:35 ID:1yMwWxTM
小学六年生 松江こども麻雀大会決勝戦

実況「さあ、決勝を戦う四選手が会場に揃いました!」

慕(決勝戦だ…ここで勝てばおかーさんに…)

閑無「今年こそ勝たせてもらうぜ」

杏果「お手柔らかに」

はやり「はやや~、よろしく~」

実況「決勝戦の開始です!!」

慕(よし、今日もがんばろう…。鳥さんと一緒に!)

哲夫「君はいい子だね、僕は鳥人だよ」

慕「!?」
咲-Saki- 25巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
2: 2015/01/18(日) 22:12:53 ID:1yMwWxTM
東一局

慕「えっと…、はい?」

閑無「審判さーん!!審判さーん!!変な人が入ってきてますけど!!」

哲夫「君は麻雀が好きなんだろ?」

慕「?」

哲夫「でも叔父さんに牌を売られちゃったんだよね」

慕「!」ドキッ

哲夫「心配しなくていいよ、僕が代わりにステキなプレゼントをあげるからね」

慕「どうして知ってるんですか…?」

哲夫「ご存じだね、鳥人だからね」

慕「えっと…、もう返してもらいましたから…」

3: 2015/01/18(日) 22:14:06 ID:1yMwWxTM
哲夫「じゃあ君にいいものをあげようね」

慕「いいもの?」

哲夫「うん、君にこの、叔父さんには見えない一索をあげようね」

慕「えっ」

哲夫「君にも見えないから注意するんだよ」

慕「?」

哲夫「僕にはぼんやりと見えるんだよ」

慕「??」

4: 2015/01/18(日) 22:15:36 ID:1yMwWxTM
警備員「はいちょっと君ー、お話いいかなー」グイッ

哲夫「いや待って!痛い痛い!」

警備員「言い訳は警備員室でしてねー」

哲夫「すんません!大人しくしますんで!痛いのはやめて!」

バタン

杏果「連れて行かれちゃった…」

慕「???」

閑無「なんなんだよ……」

タンッ

はやり「ロン、2000です」

閑無「…………はい」

5: 2015/01/18(日) 22:17:42 ID:1yMwWxTM
東二局

閑無(くそっ、なんだったんだあの人… 私の親番が…)

慕(よくわかんなかったけど、気を取り直してもう一度…、鳥さん!)

西田「君は本当に鳥が好きだね、私は鳥人だよ」

閑無「審判さーん! また出たよ違う人ー!!」

西田「見てごらん、人間の体に鳥の頭がついているだろう?」

閑無「変な説明してくるよー! 気色悪いー!」

慕「??」

西田「友達になろう」

閑無「ならないよ友達なんて!ドン引きしてるだろ私たち!!」

6: 2015/01/18(日) 22:19:16 ID:1yMwWxTM
西田「友達の証に、このタキシードの胸元を開いて、人間の体と鳥の頭のちょうど境目を見せてやろう」

閑無「いや、上から下まで全部人間だろあんた!?」

警備員「はいはーい、君もこっち来てくれるー」グイッ

西田「痛い痛い痛い!すんません!痛いて!」

バタン

慕「…………」

杏果「…………」

はやり「…………」

閑無(くっそ…二度も惑わされるか……。見てろ!)

タンッ

閑無「ロン! 3900!!」

7: 2015/01/18(日) 22:20:29 ID:1yMwWxTM
東三局 舞台裏

西田「……おい相方」

哲夫「なんや」

西田「全然ウケてへんやん今日」

哲夫「あんなオモロイ事起こってんのにな」

西田「リアクションしてくれたん一人やで!」

哲夫「島根の小学生メンタル強いな」

西田「いやメンタルの話かどうか知らんけど」

9: 2015/01/18(日) 22:22:05 ID:1yMwWxTM
西田「なんでや、何があかん」

哲夫「やっぱリアリティが無いんちゃうか」

西田「リアリティ?」

哲夫「オレら鳥人言うてるけど実はただのオッサンやん」

西田「そうやな、自分で鳥人言うてるだけやからな」

哲夫「顔から上が鳥でもなんでもないしな」

西田「そうやな、ちびっこにはわかりにくいかもな」

哲夫「ほなこれつけていこか」バッ

西田「何やそれ?」

哲夫「鳥の頭のかぶりもんや、これかぶったら鳥人なるて」

西田「なんでかたっぽニワトリでかたっぽ鼠の国のダックやねん!」

哲夫「しゃーないやんか! これしか無かってん!!」

10: 2015/01/18(日) 22:23:41 ID:1yMwWxTM
西田「アカンて、オレの思てた鳥人とちゃうわ」

哲夫「贅沢言いなやもう」

西田「こんなんなら無しでええて、いつも通りで」

哲夫「ウケてへんからなんとかせな言うたんお前やろ!」

西田「こんなんオンエアでけへんやろ! 世界一怒られるダックやんけ!」

哲夫「オンエアてなんやねん! テレビ放送なんかされてへんて!」

西田「観客席に中継しとるやろが! こういうんが後々モザイクせなあかんてややこしなんねん!」

哲夫「はっ、モザイクで済めばええけどな!」

西田「なんでお前が逆ギレしとんねん」

はやり「ツモ 1300・2600です」

西田「ほら一局終わってもうたぞ! 早よ次行かな!」

哲夫「ほなオレ先な、ニワトリもらうで」サッ

西田「あっ、ズルっ! ダック置いてくなや!!」

11: 2015/01/18(日) 22:25:26 ID:1yMwWxTM
東四局

閑無(もう出てこないよな…?)

慕(鳥さん……?)

哲夫「んー、もぐもぐ」

閑無「何やってんのニワトリの頭なんか被って! あんたさっきの人だろ!」

哲夫「んー、焼き鳥のねぎまおいしいね」

閑無「共食いだよ! ニワトリが鶏肉食べるなよ!」

哲夫「僕は鳥人だよ、君にこの残ったねぎをあげよう」

慕「えっ」

閑無「いらないよ! あんた鶏肉しか食べないのかよ!」

哲夫「ううん、この手前のねぎは食べたんだよ」

閑無「どうでもいいよ!」

杏果(閑無……元気だなぁ……)

12: 2015/01/18(日) 22:27:42 ID:1yMwWxTM
警備員「はーいまたお前か、いい加減にしろよー」グイッ

哲夫「痛い痛い痛い!すんませんって!」

バタン

慕「…………」

杏果「…………」

閑無(……あんなの無視! 無視無視!!)

タンッ

閑無「ロン! 2600!」

はやり「はや~」

閑無「やっとあれが居ても慣れてきた…」

杏果「ねぎまの力?」

閑無「違うよ!」

13: 2015/01/18(日) 22:29:05 ID:1yMwWxTM
南一局

慕(鳥さん…来ないのかな…)

…………

……

実況「流局です!」

閑無「ノーテン」

杏果「テンパイ」

慕「テンパイ」

はやり「ノーテン」

閑無(くっ、親流れ……)

慕(…………)

西田「君は本当に鳥が好きだね」

閑無「警備員さーん、また来たよー!」

14: 2015/01/18(日) 22:31:23 ID:1yMwWxTM
西田「警備員さんは呼んでも来やしないよ」

警備員「いや、居るけども」

西田「見てごらん、人間の体に鳥の頭が付いているだろう」

閑無「毎回言わなくていいよ気色悪い! あんたもかぶりものでしょ!」

西田「ダックじゃなくて普通の鳥の頭だよ」

閑無「何言ってるかわかんないよ! なんだよダックって!?」

西田「君のクラスに転入することにしたよ」

閑無「えっ」

警備員「はいはい、君の転入先はここじゃないからねー、二度と出てこないでねー」グイッ

西田「あっ、ちょっ!! これだけ言わして!」

警備員「?」

慕「?」

15: 2015/01/18(日) 22:32:25 ID:1yMwWxTM
西田「待たせたね、ところで今の和了りは何飜かな?」

閑無「えっ? 流局ですけど?」

西田「チキン南蛮だよ!」

閑無「…………」

はやり「…………」

杏果「…………」

慕「…………」

閑無「…………流局ですけど」

16: 2015/01/18(日) 22:33:36 ID:1yMwWxTM
南二局一本場 舞台裏

哲夫「おい、今のずいぶん出るの遅かったやんか」

西田「ダックで出るわけにいかんやろが! せやから必氏で他の探しててん!」

哲夫「その普通の鳥のやつどこにあった!? それあるならオレもそれしたかったわ!」

西田「ギリで見つけたんや、ホンマギリやってんからな!」

哲夫「危うく一局終わるとこやったやんけ!」

西田「うっさいわ、ダックで出てたらオレ自身が終わってたいうねん!」

17: 2015/01/18(日) 22:34:43 ID:1yMwWxTM
西田「ほんでどうすんねん、もう後半戦やぞ」

哲夫「何がやねん、そんな焦んな」

西田「鳥好きのあの子ぜんぜん和了れてへんで」

哲夫「大丈夫やって、これからやから」

西田「オレらあの子の応援しに来たんちゃうんか! このままじゃ焼き鳥やで!」

哲夫「まあある意味焼き鳥でもおいしいんちゃう、鳥だけに」

西田「何もうまいこと言えてへんで」

哲夫「大丈夫大丈夫、お前今スベったから弱気になってるだけやって」

西田「スベった言うなや! 反応がなかっただけや」

哲夫「スベってんねんそれ!」

18: 2015/01/18(日) 22:36:13 ID:1yMwWxTM
はやり「ロン、5800の一本場は6100」

西田「また一局過ぎてもた…。もう切り札出すしかないやろ」

哲夫「鳥進一と手羽真一か? 早いて!最後のネタやんかそれ!」

西田「もうオレらがいたたまれへんて、あの子が和了れんと邪魔しにきただけやんか」

哲夫「そいでも落ち着けて! 焦って変えたら余計スベるて!」

西田「せやからスベる言うなや! スベってへんわ!」

??「苦戦しているようだな」ザッ

哲夫西田「あ、あなたはー!!」

??「ここは儂に任せてもらおう」

19: 2015/01/18(日) 22:37:16 ID:1yMwWxTM
南二局二本場

慕(鳥さん……どうしちゃったのかな……)タンッ

閑無(なんか慕がやつれてきてるな…)タンッ

杏果(慕ってときどきダークな表情見せるよね…)タンッ

はやり(はや~……)タンッ

…………

……

20: 2015/01/18(日) 22:38:48 ID:1yMwWxTM
    ________
    |              |
    |  / ̄ ̄ ヽ,  |
    | /        ', |
    | {0}  /¨`ヽ {0}, !
    |.l   ヽ._.ノ   ', |
    リ   `ー'′   ',|
    |              |
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

21: 2015/01/18(日) 22:40:16 ID:1yMwWxTM
閑無「!」ゾクッ

はやり「!」ゾクッ

杏果「!」ゾクッ

慕「?」

杏果(なんだろう…この嫌な感じ…)

閑無(なにかよくないものが……来るっ……!)

はやり(…………★)

慕「??」

22: 2015/01/18(日) 22:41:26 ID:1yMwWxTM
no title

23: 2015/01/18(日) 22:42:09 ID:1yMwWxTM
no title

24: 2015/01/18(日) 22:44:19 ID:1yMwWxTM
警備員「はい、ちょっと来てもらおうかー」グイッ

ジュウシマツ住職「待ちたまえ、まだ何もしてないが」

警備員「問答無用ですよーこの変質者めー」グイグイッ

ジュウシマツ住職「私は住職です」

バタン

はやり(最速の退場……)

慕「???」

閑無(なんなんだよもう……)

……

コトッ

杏果「ツモ。トイトイ三暗刻ドラ2、3200・6200です」

閑無(むう……。でも、まだこっからだ…!)

25: 2015/01/18(日) 22:45:37 ID:1yMwWxTM
南三局 舞台裏

哲夫「おい住職アカンやん! 全然アカンやんかお前!」

西田「おだんごの子まで和了ってもーたがな! ホンマにあの子だけ焼き鳥やんか!」

住職「問題ない、私は住職です」

哲夫「大ありやろ! オレらよりひどいやんけ!」

西田「お前あの子らと絡みすらでけてへんやろが!」

住職「大丈夫だ、私は住職です」

哲夫「あんたそればっかりやないか!」

閑無「ツモ! 1000・2000!」

西田「ほら終わってもうた! オーラスやぞもう!!」

住職「ふむ、かくなる上は…、三人一緒に出るぞ」

哲夫「!」

西田「!」

26: 2015/01/18(日) 22:46:51 ID:1yMwWxTM
オーラス

ダダダダッ

閑無(始まる前から来た…)

哲夫「鳥人だね、ご存じだね!」

閑無「だねってなんだよ! ご存知じゃないよあんたなんか!」

哲夫「今日は君にいいことを教えてあげようね」

閑無「いいこと?」

哲夫「先日僕が畑でイチジクの実をつついてたときに、僕に気付いた愚かな人間どもは僕のくちばしを縄で縛ったんだよ」

警備員「はいはい、手足まで縛られたくなかったら大人しくしなさい」グイッ

哲夫「くっ、ぼっ、僕はその縄を手で取ったんだよ、手ぇあるからねー!!」

警備員「はいこら抵抗しないー」ギチギチッ

27: 2015/01/18(日) 22:48:34 ID:1yMwWxTM
西田「人間の体に鳥の頭がついてるぞー」

閑無「もう説明から入ってきたよー!説明しながら来ちゃったよ!」

西田「君は大空を自由に飛びたくはないかい」

慕「はい?」

西田「空を飛んでお母さんを探しに行きたくないかな」

慕「!」ドキッ

西田「飛びたいなら私につかまるといい」

慕「そんなの…できるんですか…?」

西田「飛べやしないけどね!」

閑無「飛べないのかよ! 変な期待持たせるなよ!!」

警備員「はいはい、飛ばなくていいからもう出てくるんじゃないよ」ガシッ

西田「痛い痛い!痛いっすて!」

28: 2015/01/18(日) 22:51:13 ID:1yMwWxTM
住職「いやー、あちゅいですね!」

警備員「そいっ!」ゴリッ

住職「ぐふっ」

閑無「最速!?」

住職「私は住職です」

警備員「はいもう全員こっち来なさい!」グイグイッ

哲夫「めっ、目ヤニをあげよう!!」

西田「逆の人鳥だったらよかったね!!」

警備員(こいつら今回は粘るな…)グイグイッ

住職「それでは私は、先に、おしとします」

警備員「おりゃっ!」ドカッ ドスッ

バタン

29: 2015/01/18(日) 22:52:50 ID:1yMwWxTM
閑無「…………」

杏果「…………」

はやり「…………」

慕「あの……」

審判「いいですよ、始めちゃってください」

慕「はあ……」

実況「さあ、いよいよオーラス開始です!」

閑無(よし、やっと邪魔が無くなった……。集中!)

30: 2015/01/18(日) 22:55:00 ID:1yMwWxTM
閑無(あいつらはもう居ない、これで最後だ!)

慕(…………)タンッ

はやり(最速で逃げ切り……)タンッ

杏果(トップとは4800差か……)タンッ

閑無(逆転の高い手を作られる前に…、速攻で私が勝つ!)タンッ

…………

……

警備員「あいつらが逃げたぞー!!」

閑無「!」

バタンッ

31: 2015/01/18(日) 22:56:28 ID:1yMwWxTM
警備員「お前たち! いいかげんにしろ!!」グイッ

哲夫「これだけ! これだけやらしてくださいて!」

西田「オレらかって必氏やっちゅうねん!」

住職「ゲッゲッゲッ」

ダダダッ

哲夫「と、鳥進一だよ!」

西田「手羽真一だよ!」

住職「私は住職です」

警備員「ふんっ!」バキッ ドカッ ポーイ

三人「ぬわーーー!!!」

慕「ロン ピンフドラ1、2900です」

閑無(……速い……! 私や瑞原以上に……!)

杏果(完全にあいつらをスルーしたね……)

32: 2015/01/18(日) 22:57:25 ID:1yMwWxTM
オーラス一本場 舞台裏

哲夫「あかんやんか! ネタ全部でけへんかったやん!」

住職「何を言う、あの子が和了れたではないか」

西田「全然点数足らんやんけ! オレらもあんま関係なかったで!?」

哲夫「オーラス終わってもうたやないっすか!」

住職「大丈夫だ、あの子がオーラス親だから連荘できる。勝つまでな」

西田「他の子にやられてもーたら終わりやろ! 何を悠長なこと言うてんねん!」

33: 2015/01/18(日) 22:59:36 ID:1yMwWxTM
西田「どうすんねん! 早よせなこの一本場も終わるで!」

住職「焦らずともよい。最後だからあの子も慎重に攻めるはず――」

慕「ロン」

哲夫「早っ!!」

閑無(速度重視……!!)

はやり「はや~」

西田「おい住職なんもかんもアカンなお前!」

住職「……大丈夫だ、まだある」

慕「中のみ、1500の一本場は1800です」

哲夫「! まだ足らへん…!」

住職「よし、二本場になるぞ」

34: 2015/01/18(日) 23:00:55 ID:1yMwWxTM
西田「ほんでどうすんねんな!?」

住職「見なさい。ここに隣の部屋からくすねてきた一索……鳥の牌がひとつある」スッ

哲夫「!」

住職「これを山の中に仕込んで…、あの子に引いてもらえばいい」

西田「山に仕込むて…できんのかいなそんなん」

住職「儂が神速のすり替え技を見せよう…。大丈夫だ、問題ない」

35: 2015/01/18(日) 23:01:49 ID:1yMwWxTM
哲夫「ほいでも、ちょうどあの子が引ける場所なんかわかりませんやんか」

西田「そうや、他の子に引かれてもうたらどうすんねん」

住職「大丈夫だ。儂らからでも簡単に仕込めて、かつ確実にあの子に引いてもらえる場所がある……!」

哲夫「そないなもん……、あっ」

西田「……まさか」

住職「そう」

哲夫西田「嶺上牌……!」

36: 2015/01/18(日) 23:03:06 ID:1yMwWxTM
住職「お前たち二人でなんとか全員の視線を卓から逸らすのだ。その隙に儂が牌をすり替える」

哲夫「ホンマ大丈夫なんすか?」

住職「儂よりお前たちの心配だ……全員の注目を集めろ」

西田「全員の…」

住職「魂を見せよ…お前らの本気の芸人魂を…!」

哲夫「!」

西田「!」

哲夫西田「…………」コクッ

37: 2015/01/18(日) 23:04:08 ID:1yMwWxTM
オーラス二本場

実況「さあ、配牌が終わりました! オーラス二本場に突入です!」

ガチャッ

ダダダッ

慕「!」

閑無(やっぱり来たよ……)

哲夫西田「はいどうもー!笑い飯でーす!よろしくお願いしまーす!!」

閑無「とうとう普通に漫才始めちゃってるけど!?」

哲夫「テレビで野球見てたら面白いですよね、特にこう、キャッチャーと審判がたまに判定でケンカするとこね」

西田「あー判定ミスみたいなね」

杏果(! ……このネタ……)

38: 2015/01/18(日) 23:05:33 ID:1yMwWxTM
哲夫「ほなオレキャッチャーするからお前審判やってくれ」

西田「おう」

哲夫「しまっていこー!」

西田「パーンパーッパラッパーパ、パーンパーッパラッパーパ、……」

慕「??」

はやり(はや~?)

杏果「…………」

閑無(もう何も言わない方がいいか……)

…………

……

哲夫「ほんでラグビーも見てて面白いね」

杏果「!」ビキッ

39: 2015/01/18(日) 23:06:33 ID:1yMwWxTM
哲夫(やんのか!? ホンマにやんのか!?)

西田(芸人魂見せんねやろ! これしかないねん!)

哲夫(小学生女子の前やで!? オレら大丈夫か!?)

西田(さっきスベったせめてもの償い……。あの子のためなら…本望や)

哲夫(お前……)

西田(いくで……、チンポジ!)

スッ

杏果「はーい、見ない聞かない!!」ガタッ

哲夫西田「!?」

40: 2015/01/18(日) 23:07:30 ID:1yMwWxTM
杏果「警備員さん! この人たち痴漢です!!」

哲夫西田「なにィ!?」

警備員「確認しました、排除します」

閑無「ちょ、何言ってんだよ杏果!?」

杏果「はーい閑無、ちょっと我慢してねー」スッ

閑無「うわっ!? 目隠しすんなよ!?」

杏果(……ハンカチシュート!)シュッ シュッ

慕「!」パサッ

はやり「!」パサッ

哲夫(おだんごの子がみんなの目を隠した!)

西田(やるやんけあの子…)

41: 2015/01/18(日) 23:08:28 ID:1yMwWxTM
哲夫(今や! 住職!!)

住職(うむ!)シュッ ササッ

西田(やったッ!)

警備員「はーいお前たちいい加減にしろよー」ドスッ

哲夫「うぐっ… おなかはやめて…」

警備員「もうおまわりさん呼んじゃうぞー」グリグリギリギリ

西田「痛い痛い痛い! グーでグリグリは痛いて!」

警備員「大人しくしろ変質者!!」ドカッ

住職「いいえ私は住職です」ゲッゲッゲッ

…………

……

バタン

杏果「…………行ったか」フゥ

42: 2015/01/18(日) 23:09:33 ID:1yMwWxTM
空き部屋

警備員「終わるまでここで大人しくしてなさい」

三人「はい」

警備員「正座でな」

三人「……はい」

警備員「じゃ、鍵かけさせてもらうから」

バタン

ガチャリ

住職「…………」

哲夫「…………」

西田「…………」

三人「…………成功!」グッ

43: 2015/01/18(日) 23:10:31 ID:1yMwWxTM
哲夫「よっしゃ! 仕込んだったで嶺上牌!」

住職「うむ、よくやったぞ」

西田「住職もやるやんけ!」

住職「私は住職です」

哲夫「あとはあの子が一索待ちでカンするだけや!」

住職「うむ!」

西田「えっ」

哲夫「?」

住職「?」

44: 2015/01/18(日) 23:11:34 ID:1yMwWxTM
哲夫「どした、相方」

西田「…………どうやってや、それ」

哲夫「えっ」

住職「?」

西田「……どうやって一索待ちでカンしてもらうねん、あの子に」

住職「えっ」

哲夫「えっ」

西田「えっ」

45: 2015/01/18(日) 23:12:37 ID:1yMwWxTM
住職「…………」

哲夫「…………」

西田「…………」

住職「…………」

哲夫「…………」

西田「…………」

住職「……その発想は無かったわ……」

哲夫「おいぃぃぃ!!」

西田「住職ぅぅぅ!!!」

46: 2015/01/18(日) 23:14:47 ID:1yMwWxTM


バサッ


――まったく、仕方ないなお前たち



住職「!」クワッ

西田「ん?」

哲夫「?」

西田「何か言うたか住職?」

住職「…………いや」

47: 2015/01/18(日) 23:15:57 ID:1yMwWxTM


――あとは任せておきなさい


バサッ バサバサッ



哲夫「なんやあれ……」

西田「……鳥……?」

住職「…………」ゲッゲッゲッ

48: 2015/01/18(日) 23:17:24 ID:1yMwWxTM

フワッ

慕(!)


――(待たせたね、慕)


慕(鳥さん…!)


――(私はそこだ…。彼らが用意した山の上……)


慕(鳥さんの…声が聞こえた……!)

スウッ

慕「カン!」

閑無「!」

49: 2015/01/18(日) 23:19:11 ID:1yMwWxTM
タンッ

慕「ツモ! 嶺上開花,東! 2500オールです!!」パサッ

\オーッ/

実況「嶺上牌から一索ツモ! 大逆転の和了です!」

閑無「な…」

はやり「はや~」

実況「優勝は湯町小六年、白築慕さん!」

慕「ありがとうございました!」

\ワァァァァーーーー/

哲夫「やったー!」

西田「やっとやー!」

住職「ゲッゲッゲッ」

50: 2015/01/18(日) 23:20:56 ID:1yMwWxTM
バタンッ

哲夫「やった!やったな!」

西田「ああ、よかったよかった!」

警備員「あっ、お前たちどうやって部屋から!?」

慕「あ、ありがとうございます…?」

住職「よし、胴上げだ!」

哲夫西田「おう!」

慕「えっ」

ワーッショイ ワーッショイ ワーッショイ

…………

……

51: 2015/01/18(日) 23:22:02 ID:1yMwWxTM
警備員「はい、おまわりさんこちらですー」

警官「了解!」

三人「!!」ビビクン

警備員「とうとうお触りしやがったんでー、遠慮なく引っ張ってってくださいー」

哲夫「えっ、いやその」

西田「おい、これ問答無用のやつや」

住職「うむ、逃げるぞ」

警官「痴漢の現行犯で逮捕する! 大人しくしろ!」

三人「退却っ!!」

ダダダッ

警官「待てーー!!!」

…………

……

52: 2015/01/18(日) 23:23:45 ID:1yMwWxTM
帰り道

耕介「……なあ慕」

慕「ん?」

耕介「あの鳥かぶってた三人組ってさ……知り合い……?」

慕「うーん……わかんない」

耕介「お前がよく言ってる友達の鳥さんって……あいつらなの……?」

慕「…………わかんない」

耕介「……おじさんちょっと、お前の友達って心配になってきちゃったんだけど……」

慕「…………大丈夫だよ」

53: 2015/01/18(日) 23:25:32 ID:1yMwWxTM
その夜

悠彗「ただいま。遅くなりました」

父「おー、おかえり」

悠彗「……夕御飯遅らせてなんて言ってごめんなさい」

父「いいよ。お前も熱中することができたんだろ」

悠彗「うん……。今日の決勝戦を見てさ、私も舞台に立ちたいなって」

父「ふーん、憧れの舞台ってか? いいじゃないか、ステキな理由だよ」

悠彗「憧れか……。そうなんだけど、憧れで終わらせたくないって思った」

父「……そっか、がんばれ」

悠彗「それでさ、相談なんだけど」

父「ん?」

悠彗「麻雀と漫才ってさ、両立できるかな? オタクもやりながらで」

父「はい?」


カン

54: 2015/01/19(月) 12:38:04 ID:/IAgW7ec
くっそワロタ乙

55: 2015/01/19(月) 18:14:48 ID:.4.nPlJI

シノハユのSSはひどいのが多いな(ほめ言葉)

引用: 慕「鳥さんは友達!」哲夫「君はいい子だね、僕は鳥人だよ」