悟空「うーん、こりゃ困ったな」

クリリン「ああ……いつまたドラゴンボールが必要になるか分からないしな」

ベジータ「俺たちでその部品を扱ってる野郎どもを脅すってのはどうだ？」

ブルマ「そんなんですぐ入手できるんなら、とっくにやってもらってるわよ」

クリリン（ひええ、おっそろしい……）

悟空「……」ｼﾞｰｯ

クリリン「なんだよ悟空？　人の顔をジロジロ見て」

悟空「今、ふと思ったんだけどよ……」

悟空「クリリンの頭ってドラゴンボールの代わりになるんじゃねえか！？」

クリリン「え！？」

ブルマ「あ、確かに！」

ブルマ「クリリン君の頭、六星球みたいじゃない！」

クリリン「いい！？」

ベジータ「たしかに」

クリリン「ベジータまで！」

悟空「だよなぁ！」

クリリン「お、おい……怒るぞ！」

クリリン「仮に、俺の頭が六星球の代わりになるとして、あとの六つはどうするんだよ？」

悟空「あ～、そっかぁ」

ベジータ「ドラゴンボールは七つなければ意味がない」

ベジータ「こいつ一人が代わりになったところで、どうにもならん」

ブルマ「いいえ、大丈夫かもしれないわ！」

悟空「どういうことだ、ブルマ？」

ブルマ「他の六つも揃えればいいのよ！」

悟空「そりゃいいや！」

ベジータ「さすがだブルマ、名案だ」

クリリン「いいいいい！？」

クリリン「揃えるって、どうやって揃えるんですか！」

ブルマ「簡単よ～、クリリン君みたいに頭がつるつるとした人をあと六人集めればいいのよ」

ベジータ「さらにハゲ頭に星を描いてやれば、完璧だな」

悟空「よぉし、じゃあオラがさっそくドラゴンボールになりそうな奴を集めてくる」

悟空「誰がいいかな？」

ブルマ「頭がつるつるというと、思い出すのはやっぱり亀じいさんね」

悟空「亀仙人のじっちゃんだな！　分かった、行ってくる！」ﾋﾟｼｭﾝｯ

クリリン（とんでもないことになっちまった……）

＜カメハウス＞

悟空「オッス、じっちゃん！」

亀仙人「おお、悟空。なんの用じゃ？」

悟空「あのさ……ドラゴンボールになってくれ！」

亀仙人「へ？」

悟空「ってわけで、ブルマんちまでついてきてくれ！」ﾋﾟｼｭﾝｯ

＜カプセルコーポレーション＞

亀仙人「なんじゃと？　ワシの頭をドラゴンボール代わりに？」

クリリン「そうなんですよ～、武天老師様からも何かいってくださいよ」

亀仙人「面白そうじゃ、よかろう」

クリリン「え！？」

悟空「さすがじっちゃん！」

ブルマ「助かるわ～」

ベジータ「で、星の数はいくつにするんだ？」

亀仙人「そうじゃな……ワシはピースサインが好きだから、二星球にするかのう」ﾋﾟｯ

ブルマ「よっしゃ、二つ目ゲット！」

クリリン「ハハ……ゲットね」

クリリン「俺は六星球、武天老師様は三星球、として」

クリリン「三つ目はどうすんだ？」

悟空「うーん……」

ブルマ「あと私たちの仲間で、頭つるつるといったら……」

ベジータ「あの三つ目ヤロウがいるな」

悟空「そっか、天津飯かぁ！」

悟空「天津飯の気は、と……おっ、修行してるからかすぐ分かったぞ！」

悟空「じゃ、すぐ連れてくる！」ﾋﾟｼｭﾝｯ

天津飯「いきなり孫がやってきて、一緒に来てくれといわれたが……いったいなんの用だ？」

餃子「ボクたち修行してたのに……」

悟空「いやぁ～、すまねえ、すまねえ」

悟空「頼む、天津飯！　ドラゴンボールになってくれ！」

ブルマ「お願い！　ほら、ベジータも！」

ベジータ「……頼む」

クリリン（ベジータが頼んだ！）

天津飯「えーっと、ちゃんと説明して欲しいんだが……」

天津飯「……なるほど、そういうことか」

天津飯「いいぜ、ドラゴンボールになってやる」

悟空「サンキュー、天津飯！」

ブルマ「これで三つ目も決まりね！」

クリリン（天津飯も人がよすぎるぜ……）

ブルマ「さて、四つ目はどうしようかしら？」

クリリン「そういえば、餃子も頭はつるつるじゃなかったっけ？」

悟空「そういえばそうだな！」

餃子「残念。ボク、一本生えてる」ﾋﾟｮｺｯ

クリリン「あ、そっか！　だったらお前はドラゴンボールにはならないな……」

悟空「だったら抜いちまえばいいさ！」ﾌﾞﾁｯ

餃子「あっ！」

クリリン（ひ、ひでえ！）

天津飯「餃子ーッ！！！」

餃子「……」

天津飯「餃子、大丈夫か！？」

悟空「す、すまねえ……つい……」

餃子「……これで天さんとおそろい！　やったーっ！」

天津飯「おおっ……！」

ブルマ「よ、喜んでるわね……」

クリリン「嬉しいならそれでいいけどさ……」

亀仙人「中途半端なハゲじゃと、鶴仙人のジジイみたいじゃしな」

ブルマ「さあて、それじゃ二人は何星球がいい？」

天津飯「そうだな……」

天津飯「じゃあ俺は、四身の拳や四妖拳を使うから、四星球にしておこう」

悟空「おっ、じっちゃんの形見と一緒か！」

餃子「それじゃ、ボクは天さんの隣がいいから……三星球！」

ブルマ「よっしゃあ！　これで残り三つね！」

ベジータ「順調だな」ﾆﾔｯ

クリリン（……一体なにが順調なんだろうか）

悟空「五つ目はどうすっかなぁ……」

ブルマ「他に頭がつるつるな人というと……」

ベジータ「ピッコロだな」

悟空「そっかぁ！　あいつはハゲてるわけじゃねえけど、つるつるだな！」

クリリン「いっとくけど、俺も今は剃ってるだけだからな！」

悟空「ハハハ、じゃ、ちょっくら神殿まで行ってくる！」ﾋﾟｼｭﾝｯ

ピッコロ「なにぃ！？　俺の頭をドラゴンボール代わりにするだと！？」

デンデ「ものすごい試みですね……」

ポポ「ポポ、びっくり」

ピッコロ「そんな悪ふざけに付き合ってなどいられん……お断りだ！」

悟空「ううっ……」

クリリン（そりゃ怒るに決まってるよな。怒らなかった今までの四人がおかしいくらいだ）

ブルマ「でも……ドラゴンボールがなくなったら悟飯君も困るわよぉ～？」

ピッコロ「！」ﾋﾟｸｯ

ブルマ「だけど、あんたがドラゴンボールの代わりになったら、きっと喜ぶわよ！」

ピッコロ「……いいだろう、ドラゴンボールになってやる」

クリリン「はやっ！」

ベジータ「ピッコロ、星の数はどうする？」

ピッコロ「五星球にしておこう」

悟空「なんでだ？」

ピッコロ「ごは……ピッ“コ”ロだから、数字の５が一番いいと思ってな」

クリリン（絶対、悟飯から“５”を連想したろ……）

ブルマ「でも、その触角があると、イマイチ丸く見えないわね」

ピッコロ「そうか？」

ブルマ「ってわけで、今だけ抜いといてくれる？」

ピッコロ「仕方あるまい」ﾌﾞﾁｯﾌﾞﾁｯ

クリリン「おいおい、そんなあっさりと触角抜くなよ！」

ピッコロ「あとで再生すればいいだけのことだ」

クリリン「そうだけどさぁ……（ピッコロもどんどんこの雰囲気に毒されてやがる……）」

ブルマ「これで残り二つね！」

悟空「あと二つ……どうすっかなぁ……」

ベジータ「……」ﾁﾗｯ

デンデ「！」ｷﾞｸｯ

ベジータ「デンデの頭もピッコロと似たようなもんだし、デンデにしたらどうだ？」

悟空「あ、そっかぁ！」

デンデ（やっぱりこうなった！）

ポポ「ダメ！　神様を傷つけること、ポポ許さない！」ﾊﾞﾊﾞｯ

悟空「うぐ……ミスター・ポポがそういうならしょうがねえ」

デンデ（ポポさん……ありがとう！）

悟空「デンデは諦めるとして……」

悟空「あと他に、オラたちが知ってる奴でハゲ頭っていうと……誰だ？」

ブルマ「誰かいたかしら……」

ベジータ「そういや、ナッパはハゲ頭だったな……」

ベジータ「ちっ、こんなことなら生かしておくべきだったぜ」

クリリン（こんなことで生かしておけばよかったといわれても、あいつも嬉しくないだろうな）

亀仙人「一人心当たりがおるぞよ」

悟空「へ、誰だ？　じっちゃん」

亀仙人「ナムじゃよ」

悟空「ナムかぁ～……懐かしいなぁ～」

クリリン「でも、あの人ってターバン巻いてたから、髪の毛あるかもしれないっすよ？」

亀仙人「ワシに変装してもらったこともあるし、大丈夫じゃ。あやつも剃っておる」

悟空「へ？」

クリリン「ナムさんが武天老師様に変装？　どうしてです？」

亀仙人「ほら、ワシはジャッキ……あっ、いや、なんでもない！　なんでもないんじゃ！」

悟空「？」

クリリン「？」

悟空「ま、いいや！　連れてくる！」ﾋﾟｼｭﾝｯ

ナム「また君たちに会えるなんて……夢のようだ」

悟空「久しぶりだな、ナム！」

クリリン「お久しぶりです！」

亀仙人「ところで、村はどうじゃ？」

ナム「武天老師様、おかげさまで水が豊かな村になりました」

亀仙人「そうか、そりゃよかったのう」

ナム「はいっ！」

クリリン（この二人、接点あったっけ……。まあいいけど）

悟空「ところで……頼みがあるんだけどさ」

ナム「頼み？」

ナム「ドラゴンボールというものの代わりに？　もちろんいいとも！」

ナム「喜んで協力させてもらおう」

悟空「サンキュー！」

ブルマ「さっすが～！」

ベジータ「ふん……戦闘力こそ大したことないが、なかなかの戦士らしいな」

クリリン「……で、星の数はどうします？」

ナム「私はこのとおり、額にホクロがあるから……一星球にさせてもらおう」

ブルマ「これで六つ目！　残り一つね！」

悟空「さて、残り一つはどうっすかな……」

ブルマ「そうねえ……」


う～ん……


クリリン「あ、そうだ！　心当たりがある！」

悟空「誰だ！？」

クリリン「俺の先輩だよ」

クリリン「こうなったら、あの人に来てもらおう」

＜多林寺＞

多林寺師範「クリリン！？」

クリリン「お久しぶりです、先輩」

多林寺師範「お前と会うのは、天下一武道会の予選でブチのめされて以来だな……」

クリリン「あの時はすみませんでした」

多林寺師範「いや……お前をいじめてた俺たちが悪かったんだ」

多林寺師範「しかも、今のお前はさらに強くなっているな」

多林寺師範「俺もここの師範になったし、今のお前がとんでもなく強いってことぐらいは分かるぜ」

多林寺師範「もしかしたら、ミスター・サタンにだって勝てるんじゃないか？」

クリリン「ハハ、そりゃどうも……」

多林寺師範「……で、なんの用だ？」

クリリン「七星球になって下さい！　お願いしますっ！」ｶﾞﾊﾞｯ

多林寺師範「えええええ！？」

＜カプセルコーポレーション＞

悟空「やったーっ！」

ブルマ「これで、ドラゴンボールの代わりが七つ揃ったわ！」

ベジータ「ハゲ頭も七つ揃うと、なかなか壮観だな」


一星球：ナム

二星球：亀仙人

三星球：餃子

四星球：天津飯

五星球：ピッコロ

六星球：クリリン

七星球：多林寺師範

悟空「じゃあ、さっそくやるか！」

ブルマ「頼んだわよ、孫君！」

悟空「出でよ神龍、そして願いを叶えたまえ！」


バシュゥゥゥゥゥ……！


ブルマ「で、出た！」

悟空「すげえ、本当に代わりになったぞ！」

ベジータ「やってみるもんだな……」

ニセ神龍「……」


ナム「なんだこの龍は……！？」

亀仙人「ほっほっほ、こりゃすごいわい」

餃子「神龍が出た！　本当に出た！」

天津飯「正直いって、絶対失敗すると思ってたぜ……」

ピッコロ「こんなことが……信じられん！」

クリリン「ま、まさか、本当に俺たちが代わりになるなんて……！」

多林寺師範「ひいいいいいっ！　化け物だ……！」



悟空「……ん？　だけどこの神龍、どこか変じゃねえか？」

ブルマ「え、どこが？　同じに見えるけど」

悟空「なんちゅうか……威厳が足りねえっつうか……」

ブルマ「たしかに、なんだか頼りなさそうね」

ベジータ「あの神龍、どうやら全く毛が生えていないようだな」

悟空「あ、ホントだ！」

ブルマ「どうりでどこか貧相なわけだわ……」

クリリン（なんたって毛がない奴、七人から生まれたんだもんな）


ニセ神龍「どんな願いでも……一つだけ叶えてあげましょう……」ﾊｧ…


悟空「本物に比べると、どことなく元気もねえしな！」

ブルマ「ホント、ため息ついてるし」

ベジータ「ニセモノはしょせんニセモノだったということか……」

ニセ神龍「あの……どうします？」

悟空「……」

ブルマ「どうしたの？　孫君」

悟空「すまねえ、神龍！」

ニセ神龍「……へ？」

悟空「オラたちのせいで、元気がねえのにムリヤリ呼び出しちまって……」

ニセ神龍「はぁ……」

悟空「だからさ……せめてもの償いとして、おめえに元気をくれてやる！」

ブルマ「ちょ、ちょっと孫君、どういうこと？」

悟空「みんな！　ドラゴンボールを集めて、あの神龍に毛を生やしてやろうぜ！」

ブルマ「なるほど！」

ベジータ「それはいいな。生み出した者として、責任は取らねばならん」

ナム「素晴らしい考えだ！」

亀仙人「その手があったのう」

餃子「ボク、やる！」

天津飯「俺も手伝おう」

ピッコロ「ふん……いいだろう」ﾆﾔｯ

多林寺師範「頑張ります！」

クリリン（色々いいたいことはあるけど……飲み込む）ｺﾞｸｯ

クリリン「分かったよ……こうなったら俺も最後まで付き合うよ！」

悟空「みんなで力を合わせれば、レーダーがなくっても七つ探せるさ！」

オーッ！！！


ニセ神龍「皆さん……」ｼﾞｰﾝ…

……

……

悟空「やっとのことで、七つ揃ったぞ！」

クリリン「レーダーがなくても、やればできるもんだな……」

ベジータ「だいぶ手こずったがな……。恐竜に吐き出させるのは一苦労だったぜ」

悟空「よーし……出でよ神龍、そして願いを叶えたまえ！」


バシュゥゥゥゥゥ……！


神龍「願いをいえ。どんな願いでも叶えてやろう」

悟空「あっちにいるニセモノの神龍に毛を生やしてやってくれ！」

神龍「たやすい願いだ……」


ニセ神龍「あっ、私に毛が生えてきた！」ﾌｻﾌｻｯ


神龍「他に願いはあるか？」

悟空「いや、もういいや！　サンキュー！」

神龍「ではさらばだ」


バシュゥゥゥゥゥ……！

ニセ神龍「皆さん！　本当にありがとうございます！　私なんかのために……！」ﾌｻﾌｻｯ


クリリン「へへへ、よかったな！」

ベジータ「ほう……毛が生えたら、なかなか勇ましい龍になったじゃないか」ﾆﾔｯ

ブルマ「やったわね、孫君！」

悟空「ああ！　これでめでたしめでたしだ！　サンキュー、ドラゴンボール！」





おわり

イイハナシダナー乙

おつ