322:◆7b3JfpIY/2  2010/03/02(火) 19:27:27.02 ID:B/UNIvQ0

勇者募集してたから王様に会いに行った【第一部】
勇者募集してたから王様に会いに行った【第二部】


--玉座の間--

王様「おお 勇者一行! 我が募集に応じた者達よ! そなた達が来るのを待っておった」

盗賊「王様どういうことですか!!なんで勇者さんが拘束されなくちゃならないんですか!!」

賢者「僕達は魔王をちゃんと討伐してきたんですよ!?捕まる理由なんて何もないっ!!」

闘士「ふ、ふご!!」

王様「はははwwまぁそう熱くなるな。まずはそうだな。皆の者、魔王討伐御苦労であった!!」

踊子(……なん……なのよ!!)
Lv1魔王とワンルーム勇者 9巻 (FUZコミックス)
323: 2010/03/02(火) 19:33:15.05 ID:B/UNIvQ0


--玉座の間--

盗賊「……王様。ちゃんと説明してください。でないと」

盗賊達を除くと、今玉座の間には王様とその横にいる受付、それと入口の所にいる兵士二名だけだった。
不自然にも武器は没収されていない。盗賊はナイフをいつでも取り出せるように、神経を張り詰める。

踊子「王様~?仮にもわたし達は魔王を倒してきたんですよ~……不用心すぎますね」

受付「!!王様に向かって口が過ぎます!!」

王様「はっはっは!!なかなかどうして。雇い主に向かって牙をむくとはやりおる」

盗賊「……王様」

王様「にらむな。今答えてやる。そうさなぁ、何から教えたらよいものか……ふむ、魔王とは話したかな?」

賢者「(質問したのはこちらだというのに)えぇ、少しではありますが」

王様「世界のシステムについてヤツは話したか?」

盗賊「いいえ」

王様「そうか……」

324: 2010/03/02(火) 19:41:24.45 ID:B/UNIvQ0


--地下牢獄--

日の光が全く入らない城の地下。その地下牢に一人の男が降りてくる。

カンカンカンカンカン

勇者「……?」

勇者は鎖で両手を拘束され牢に繋がれている。
その男は勇者のいる牢獄の前で足を止めると、

大賢者「久しいな……我が弟子よ」

勇者「大賢者……様」

325: 2010/03/02(火) 19:50:03.93 ID:B/UNIvQ0


--地下牢獄--

大賢者「使命を無事果たせたのだな……礼と賛辞の言葉を贈ろう」

大賢者は几帳面に頭を下げる。

勇者「はい……しかしこれはどういうことなんですか?」

大賢者「……うむ。それなのだがな」

326: 2010/03/02(火) 20:06:33.47 ID:B/UNIvQ0


--玉座の間--

王様「それは正直めんどくさいのぉ。お前達はまだまだ知らないことが多いようだし」

盗賊「……」

のらりくらりとした王様の態度に盗賊は確かな怒りを感じた。
自分でも単純だと思う。

盗賊は

この国を敵に回しても勇者を助けると決心した。



受付「王様への狼藉は許しません」

腰のナイフケースに手を伸ばした筈だったのだ。
それがなぜか、盗賊の右腕の肘から先は宙を舞っている。

盗賊「っ!!」

王様の横にいたはずの受付は、いつのまにか盗賊の首にナイフを当てている。

328: 2010/03/02(火) 20:27:43.94 ID:B/UNIvQ0


--玉座の間--

踊子「な!あんた!」

受付「魔王を倒したからなんなのですか?……今は王様のお話を聞くべきだと私は思います」

ブシュッ

盗賊の傷口から夥しい量の血が噴出する。

王様「あぁもう、賢者よ、盗賊の手当てをしてやれ。受付もやめるのじゃ。私は話をするためにこの者らをここへ呼んだのだ」

受付「はっ!申し訳ございません」

賢者は切断された腕を拾い、傷口にあてがう。

王様「それにしても盗賊。今のことは不問にするが、私に斬りかかろうとしたな?」

盗賊「……っ」

王様「お前達を思って言うのだがやめた方がいい。もし今お前が武器を掴んでいたら、この者がものの数秒で」

受付「お言葉ですが王様、『秒』はかかりません」

王様「あ、そう?そりゃすまなんだww」

盗賊「……!」

賢者「盗賊君!動かないでください!!」

329: 2010/03/02(火) 20:34:09.17 ID:B/UNIvQ0


--玉座の間--

王様「とはいえだ、私が焦らしたせいで、なんていう理由で優秀な部下を失うのは非常によろしくないな。では担当直入に勇者を拘束した理由を説明しよう」

盗賊(……こいつ……わざと俺に斬りかからせようとしたな……あの受付の実力を見せつけて行動を制限するために!!)

踊子(護衛はあいつ一人で十分……ってことなのね)



王様「まぁつまりはだ。簡単に言ってしまえば……」

大賢者「お前が拘束された理由はだな……」


        勇者募集してたから王様に会いに行った


王様「勇者は、次代の魔王なのだ」

大賢者「お前はすでに魔王だからだ」





              第三部
              勇 者

332: 2010/03/02(火) 22:06:23.09 ID:B/UNIvQ0


--玉座の間--

盗賊「何を……言ってるんだ」

賢者「冗談にもほどがあります!勇者さんはただの人間ですよ!?」

王様「ただの、ではない。そして厳密に言うと人間でもない」

踊子「……」

王様「踊子よ、多分そなたしか知らぬと思うから言うのだが、勇者因子について皆に喋ったことは?」

踊子「!?っっ……ありません」(……まさか)

王様「まぁ常識的に考えればそうよの。勇者因子というものはな、勇者が勇者足りうるために必要なものなのだ。それは同時代に一人だけ発現する」

盗賊(……勇者さんの過去で聞いたな……)

王様「研究の結果わかったことなのだが、勇者因子は別名、対魔因子とも呼べるもので、モンスター、魔族、そして魔王に対して絶大な力を発揮する」

踊子「……」

333: 2010/03/02(火) 22:09:24.42 ID:B/UNIvQ0


--地下牢獄--

勇者「っっ!!」

大賢者「……ショックか?」

勇者「な、何を言ってるのです!?私は人間です!!」

ズキ

大賢者「……お前に魔王を倒させるために、あえて伏せていたことが山ほどある。お前は……いや、まず謝ろう、すまなかった」

勇者「何を言ってるんだ!!!!」

ガチャガチャガチャ!!

勇者は鎖で繋がれているにも関わらず暴れ狂う。

勇者「謝るな……謝るなよ……お前らが勇者だというから、戦えというから私は!!」

大賢者「……すまなかったな」

334: 2010/03/02(火) 22:13:15.05 ID:B/UNIvQ0
10

--玉座の間--

王様「つまり勇者というものはだな、勇者因子という特別な力を持つ一世代限りの突然変異種なのだ。いくら外見は愛らしい人であっても、そのステータスを見ればわかるように人を遥かに超えた怪物なのだ」

盗賊「……怪物じみているから魔王のようなものだと言いたいのか?」

王様「違う。考えても見るがいい。魔王なんていう強大な存在を倒す者……確か古代の言葉で毒牙……ええとなんだったかな」

受付「毒を以て毒を制す、でございますか?」

王様「あぁそれだ。最も、火は火で治まる、の方が字的によかったかもしれんな」

賢者「……な」

王様「勇者因子はな、どうも魔王と接触すると変質するらしい。そして考えが改められた。私達が勝手に勇者因子と名付けて呼んでいたものは……魔王因子の初期状態だったのだ……とな」

盗賊「それが……本当なら」

王様「そう、魔王というのは勇者の発展した姿というわけだ」

335: 2010/03/02(火) 22:17:57.56 ID:B/UNIvQ0
11

--地下牢獄--

勇者「そん……な」

大賢者「お前はもうすぐ……いやすでに、お前の体は魔王化が始まっている」

勇者「っっ変わってる所なんてどこもない!!私は……私は……」

大賢者「許せ……世界の平和のためなのだ」

勇者「……っうあ……」

勇者は大粒の涙をこぼす。

大賢者「せめて……人として葬ってやる。処刑執行者の名を言え。私を怨むのなら私を指名しても構わない。それとも苦楽を共にした仲間に引導を渡してもらうか……」

勇者「っひ……!!」

どうしてこンナ

336: 2010/03/02(火) 22:24:45.88 ID:B/UNIvQ0
12

--玉座の間--

王様「魔王の雛は同族を狩るというわけだ……お前達が倒した魔王も……50年前は勇者だった男だ」

盗賊「!!」

王様「昨日のように思い出す……大勇者、大盗賊、大魔法使い、大賢者、そして私の五人で世界中旅をした」

闘士「……」

王様「お前達、サキュバスとワーウルフも打ち取ったのであろう?魔族……側近は勇者パーティの変化した姿だからな」

賢者「えっ!?……ならその話が本当なら王様はなぜ……」

王様「魔王を倒した後の旅に、私と大賢者は行かなかったのだ……というか少しずつ狂っていく大勇者を見ていられなかった……」


--過去--

大魔法使い「アンタは国に帰んな。お父上の後を継ぐんだろ?ww」

大剣士「!!ふ、ふざけるな!!あいつがこんな状態なのに故郷に帰れるか!!」

大盗賊「……俺達があいつに付いている。お前はお前のできることをしろ」

大賢者「……大剣士」

大勇者「ほーれ、行ッチまえョ!!オマエらなnカいなクタッて俺は困りゃシナいんダカらよっww」

337: 2010/03/02(火) 22:30:30.00 ID:B/UNIvQ0
13

--地下牢獄--

ズキ

勇者「ふぁ、ぅぐっ……ひっ」

大賢者「……辛いだろうが三日後だ。誰を指名するか考えておいてくれ」

そう言うと大賢者は地下牢獄から姿を消した。

勇者「う……うあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

ズキズキズキズキズキズキ!!

勇者は大賢者がいなくなった瞬間、力の限り咆哮した。

なんで、なイタんでイタイなんでこれkらやっイタイとイタイイタ!!

勇者「……っふ!」

ポタリ

なにか生温かい水が頬を伝って落下する。
決して涙では無い。涙はここまでドロッとしていない。

勇者「ひっく……」

地下牢獄は雨漏りがしているらしく、水たまりがあった。
そこに映る自分の顔。

勇者「………………あは、あはハハ、は」

まるで昔みた男の子のように、勇者の頭部からは角が二本つきでていた。

338: 2010/03/02(火) 22:34:20.91 ID:B/UNIvQ0
14

--玉座の間--

王様(あの頃にそれを知っていれば少しは変わったのだろうか……)

王様「推測にすぎないが、完全に魔王化した勇者は周囲の人間の体組織を作り変えてしまうのだろう。魔王の側近はどこか面影を残しながらも、完全な魔族になっていたからな」

賢者「……ずっとその繰り返しだったんですか?今まで!!勇者が魔王を倒して、勇者が魔王になって、また勇者が!!」

王様「そうだ。そしてこれは仕組まれたものなのだ。」

339: 2010/03/02(火) 22:37:47.87 ID:B/UNIvQ0
15

--玉座の間--

王様「なぁ賢者よ、空を飛べると思うか?」

賢者「?……魔法を使ってもいいのでしたら誰でも飛べると思いますが」

王様「違う。もっと上だ。もっと暗き空だ。あの星達が浮かぶ所だ」

賢者「何をおっしゃっているのかよくわかりません」

王様「そうか。信じられないことだがな、古代人はあの星の海まで行くことができたのだ」

賢者「……行く?とは?」

王様「まぁわからぬのも無理はないか。この世界の仕組みはな、人という種を極めつくした古代人が作り上げたのだ」

340: 2010/03/02(火) 22:41:02.83 ID:B/UNIvQ0
16

--玉座の間--

王様「神の如き存在に至った人が何を思ったのかは知らぬ。わからぬ。理解できぬ。わかっていることは魔王という抑止力を意図的に作りあげ、我々の文明の発展を妨げているということ!!」

賢者「な、何を言ってるのかさっぱりわかりません。先ほどの……勇者さんの話でさえ突拍子もない話だと言うのに……」

王様「うぅむ……そうだな。ともかくだ。人が次に進むためには、勇者と魔王のサイクルを止めねばならないのだ」

盗賊「……次の勇者が生まれる前に……勇者が魔王になった勇者さんと接触する前に……勇者さんを頃す……気か」

王様「その通りだ」


341: 2010/03/02(火) 22:45:14.33 ID:B/UNIvQ0
17

--玉座の間--

盗賊「何をいってやがる!!そんなこと認めるわけがないだろ!!」

王様「……元はと言えばそのために君らは私に募集されたのだぞ」

賢者「!?」

王様「勇者因子を持たぬ、真の人間による魔王頃し。サイクルを打ち切る唯一の方法、それをするために君らは集められたのだと言っている」

賢者「勇者募集しているというのが嘘で……勇者のお供を募集したと言っていたのは」

王様「真実は募集内容と一緒だ。次代の魔王を頃してくれる、人間による勇者を求めたのだ」

345: 2010/03/02(火) 22:55:20.11 ID:B/UNIvQ0
18

--玉座の間--

盗賊「俺らなんかを募集する意味なんてないだろ!!人間なんていくらでもいるじゃないか!!」

王様「魔王を頃した勇者は新しい世界の希望になる。そして私が求めた者は、底辺。ニート、引き籠り、少年犯罪者、いじめられっこ。彼らが一躍頂点に立てば、周りの人間は自分にもできる、私にも出来ると活気づく。つまりは原動力になってもらいたかったのだ」

賢者(王様は……本気で勇者を募集していた……)

王様「……今日すぐに答えが欲しいわけではない。だが三日後だ。三日後に勇者を……だからそれまでに返事をくれ」

盗賊「……」

賢者「……」

王様「今日話した内容を知る者はこの城でも限られている。君達だから話したということを忘れずにな」

賢者「……はい」

盗賊達は玉座の間を後にする。

王様「私だって……他の手段があればこんなことはしたくないのだ」

ガコォオン

玉座の間のドアが閉まった。

346: 2010/03/02(火) 22:59:48.36 ID:B/UNIvQ0
19

--城--

盗賊「あ!!そうだ!勇者さんに会わなきゃ!!」

踊子「そうですね、きっと……さびしくて泣いちゃってると思います」

賢者「……うん」

闘士「ゆ、ゆしゃさん、どこ、ですか?」

闘士は城にいた兵士に勇者の場所を聞く。

兵士D「え、えっとそれは、すいませんがお答えできません。許可がおりません」

踊子「なんでですか~……わたし達ずっと旅してきた仲間だったんですよぉ?世界の平和を守るために命を張って」

兵士D「あ、いや、ですから、わたくしのようなしがない兵士にそんなことを言われても……」

大賢者「いいだろう。私も今会って来た所だ」

兵士U「あ、大賢者様!!」

大賢者「通してやってくれ。王様には私から言っておく」

兵士D、U「は、はっ!!」

大賢者「しかし時間は20分きっかりだ。そして兵士Uお前もついていけ」

347: 2010/03/02(火) 23:06:19.84 ID:B/UNIvQ0
20

--城--

踊子「20分だけとか少ないです~。しかもスパイ付きとか。天下の大賢者様ともあろう方がちっちゃいですぅ」

大賢者「世界単位の問題なんだ、仕方なかろう?それに私のは極大だ。試してみるか?」

闘士「うっ!……」

盗賊「さすがに自重したか」

348: 2010/03/02(火) 23:11:10.44 ID:B/UNIvQ0
21

--地下牢獄--

カンカンカンカンカン

勇者「誰!?」

盗賊「お、まだ階段の途中だってのに」

踊子「ありゃ~やっぱり涙声です~ww」

勇者「……ひっ!」

カンカン

勇者「やめて!!来ないで!!」

悲痛な叫びが地下の中で響く。

勇者「はぁ……はぁ」

盗賊「!……」

盗賊の足がぴったりと止まってしまう。
今まで聞いたことがない勇者の悲鳴……。

盗賊「勇者……さん」

勇s者「おネがいだから来るなあああァああ!!」

349: 2010/03/02(火) 23:22:08.04 ID:B/UNIvQ0
22

--地下牢獄--

盗賊「……っ」

勇しゃ「っひっ……ふェ……」

盗賊「……わかった。よいしょっと。ちょい狭いけど、階段から話すよ」

勇者「……え?」

賢者「勇者さん、あの」

勇者a「なんで……話……聞いたんだろ?私が……魔王だッて」

踊子「うん。聞きましたよ」

勇者「う……っすん」

盗賊「こんなことなら王国に帰ってこなきゃよかったなww」

勇者「……遅かれ早カれ……私は」

盗賊「南の王国、食べ物おいしくて自然が綺麗らしいんだ。故郷に一回顔見せたらみんなで行こうとしてたんだけどさ。先に行っておけばよかったね」

勇者「……」

踊子「ボソ)ちょっと!何言ってるんですか!」

盗賊「だからさ、これが終わったら」

勇しha「私は……いケナい……」

352: 2010/03/02(火) 23:33:32.88 ID:B/UNIvQ0
23

--地下牢獄--

ゆう者「ワタシは……三日後に……」

盗賊「知ってる」

yuusha「ダッタラ!!」

盗賊「逃げよう」

兵士D「!!」

踊子(な、何いっちゃってるんですかああああああもおおおお兵士いんのに!!)

勇者「……私は、逃げない」

353: 2010/03/02(火) 23:44:01.37 ID:B/UNIvQ0
24

--地下牢獄--

勇者「私は、出来そこないの勇者だった……だから、だから、ここで逃げたりなんか出来ない。……世界の平和のために……三日後氏ぬ」

盗賊「……じゃあ俺が勇者さんの最後をしてあげたい」

賢者「!?」

勇しya「yだ」

盗賊「王様が言ってたんだ。俺らの誰かにそれをやらせたいらしい。なら俺が」

勇者「やだ!!」

盗賊「……勇者さ」

勇者「……に斬られたくない」

闘士「……」

勇者「大賢者様に伝えて。氏刑執行、貴方にお願いする……って」

354: 2010/03/02(火) 23:48:10.84 ID:B/UNIvQ0
25

--自宅--

盗賊「ただいま……」

母「!?あ、お帰り俺!!あ、いまは盗賊だっけ?よくやったわね、お母ちゃんうれしいよ!!」

盗賊「母ちゃん……」

母「あんなに駄目だ駄目だと思ってた息子がこんな立派に……!体つきもたくましくなって!!」

盗賊「母ちゃん」

母「しかも聞いたよ。魔王討伐した後に側近を捕獲して連れ帰って来たんだって?三日後には私も処刑場にいくからね!」

盗賊「!!」(……そういうことにしているのか……そりゃそうか)

母「今お前の大好きなシチュー作るからね」

355: 2010/03/02(火) 23:54:38.89 ID:B/UNIvQ0
26

--自宅--

コンコン

母「はいはーい」

盗賊(あれは世間には公表しないのか……だとすると国のみんなは処刑されるのが勇者だということを知らない)

母「盗賊ー、城の人がアンタに用だってー」

盗賊「わかったー」

トントントントン

盗賊(なんだ?なんの)「あ」

見習いB「……」

そこにいたのは、盗賊ギルドで供に修業した見習いBだった。

357: 2010/03/03(水) 00:07:26.51 ID:zXCVVV60
27

--自宅--

盗賊「あぁ!!久しぶり!!西の王国の復興でもしてるのかと思ったよ、こっちに来てたんだなww」

見習いB「……どの面下げてそんなことを言いやがる」

盗賊「……え?みなら」

見習いB「俺ら西の王国の人々を見捨てて魔王討伐に向かった勇者一行め!!」

盗賊「……何を言って」

見習いB「お前達に見頃しにされた18万人の命の恨み、決して忘れない!!」

359: 2010/03/03(水) 00:20:52.66 ID:zXCVVV60
28

--自宅--

氏刑執行の時に勇者の顔が分からないように布をかぶせる。それは勇者の視界を奪うということでもある。勇者には大賢者が氏刑執行すると伝えてあるが、本当の氏刑執行者はお前だ。

と見習いBは盗賊に伝えて去った。

母「さぁできたわよ!召し上がれ!!」

盗賊「あぁ頂きます……なぁ母ちゃん、西の王国のことなんだけど」

母「あぁ……魔族に襲撃されて……ってやつのこと?ひどい有様だったらしいわねぇ。生存者は300人くらだったんだっけ?」

盗賊「!?な、なんでそんなに少ないの!?」

母「なんでって母ちゃんに聞かれてもわかんないけど、奇跡的に生き残ってたのは氷漬けになってた300人だけだって……」

盗賊(なぜだ?……あの後すぐに王国に応援を要請した……なにが)

母「あぁ、さっきの人もしかして西の王国出身の人だったのかしら?大変よねぇ助け出されてまだ1週間も立ってないっていうのに」

360: 2010/03/03(水) 00:26:03.17 ID:zXCVVV60
29

--賢者の家--

次の日、盗賊達は賢者の家に集まった。

盗賊「賢者さんの家でか!!金持ちだったのか」

賢者「はは、とんだドラ息子さ……」

踊子「今は違うんじゃないですか~?」

闘士「すごく……いい男です」

盗賊「まぁ、そんなことはどうでもいいんだ」

賢者「いいんだ!?」

盗賊「勇者さんのことも気になるが、西の王国のその後について話したい」

踊子「なんか変ですよね~。近くの町の伝令にも頼んだし魔法使いさんにも応援救助要請を伝えにいってもらったのに~」

賢者「救助されたのはごく最近。つまり一か月以上放置されてたってことになりますね」

361: 2010/03/03(水) 00:33:10.29 ID:zXCVVV60
30

--賢者の家--

踊子「これだから税金で働いている連中は信用ならんです~」

賢者「そんな問題でもない気がします。だってサキュバスの魔法の氷は簡単には破壊できませんよ。それ相応の負荷を与えないと……山賊やモンスターが現れたところで18万人も破壊できません」

盗賊「……王様はこのこと知ってるんだよな、当たり前だけど」

踊子「あの狸は信用ならんですね……隠してること多そうです~」

盗賊「まぁこの件については話しても仕方ないか。ところでこいつを見てくれ、こいつをどう思う?」

皆の前に出されたのは、かなりでかい縮れ毛だった。

闘士「すごく…………ちん○です…」

362: 2010/03/03(水) 00:36:40.50 ID:zXCVVV60
31

--賢者の家--

盗賊「実はこれ、魔王の毛らしいんだ。俺の服についてた」

賢者「アッー!!」

盗賊「いや、違う違うから、ほら、俺最終決戦で魔王とくんずほぐれつしてた時があったじゃない?」

踊子「アッー!!」

盗賊「いや確かに今の表現はまずかったけどさ、多分その時についたんだ」

賢者「でも魔王ってそんなに毛生えてませんでしたよね。髪の毛はすごく長くて金髪でしたけど、これ黒くて縮れてるし」

盗賊「うん。まぁ多分魔王のち○げなんだと思う」

闘士「アッー!!」

363: 2010/03/03(水) 00:41:30.78 ID:zXCVVV60
32

--賢者の家--

盗賊「正直あの時、自分でも理解くらい早く動いてたから、どこ攻撃してたのかわかんないんだよね」

踊子「でもこれがあるってことは、魔王のパンツの中に手を突っ込んで○んこを攻撃したってことですよね~」

賢者「女の子がそんなことを言っちゃダメ!!」

盗賊「魔王の角とかだったら超強力なアイテムになりそうだけどね。いくら魔王ってついててもこれじゃあねぇ」

踊子「魔王の重殻とかですか~」

盗賊「そして取り出したるはこの本」

踊子(無視かよ)

闘士「?」

盗賊「これは毛髪を挟むと、その挟んだ人の過去を見ることができるんだ」

踊子「っげー便利」

盗賊「というわけでみんなで読んでみたいと思います」

364: 2010/03/03(水) 00:47:10.60 ID:zXCVVV60
33

--賢者の家--

2時間経過。

盗賊「……ふむ」

賢者「見終わりましたね」

盗賊「最後の俺のかっこよさは異常」

踊子「てっきりまた過去編でもやるかと思いましたが~」

盗賊「魔王の過去については番外編ss『俺勇者だけど魔王に求婚しにいくww(仮)』かなんかで語られるだろう」

賢者「……いや、やりませんよそんなの」

367: 2010/03/03(水) 00:54:54.49 ID:zXCVVV60
34

--賢者の家--

盗賊「しかしあらかた王様の言っていた通りだったな。魔王を倒したら魔王になっちゃったと」

賢者「世界の循環システムについては知らなかったようですね。魔王がいないと人間は~、というのは彼の持論だったと」

踊子「そんなことはどうでもいいです……勇者様が魔王になる……これは真実だったんですね」

闘士「……」

盗賊「完全に魔王になると人格も……」

369: 2010/03/03(水) 01:04:35.81 ID:zXCVVV60
35

--地下牢獄--

王様「久しいな勇者よ……」

yうしゃ「……?」

王様「魔王討伐、大義であった」

ゆうsha「haい……」

王様「とはいえ……だ。魔王となったおぬしを生かしておくわけにはいかん。今一度世界を救うために犠牲になってくれ。お前は魔王を倒

し、そして氏ぬことで二度世界を救った唯一の勇者としてかたりつが」

勇者「そんなことはどうでもいい。王様、私が勇者として戦うと決めた時に、王様に望んだことを覚えていますか?」

王様「……両親の捜索……か」

勇者「はい……」

王様「それなんだがな、お前はすでに両親に会っている」

勇者「!?」

王様「私がお前の……乳だ」

勇者「!!??」

372: 2010/03/03(水) 01:12:34.84 ID:zXCVVV60
アッー!!
父の……打ち間違い……でした……orz

373: 2010/03/03(水) 01:14:12.92 ID:zXCVVV60
36

--地下牢獄--

勇者「王様が……お父……さん?」

王様「……あぁ」

勇者「う、うそなんでしょ?」

王様「王様は嘘をつかない」

勇者「……な、なんで!!だったらなんで!!私を下水道に捨てた!!」

王様「そんなことを知りたいがために探しておったのか?」

勇者「そんなこと!?私の人生をお前は」

王様「最弱の魔王を作るためだ」

375: 2010/03/03(水) 01:18:05.18 ID:zXCVVV60
37

--地下牢獄--

勇者「なにを……言って」

王様「人の手でも殺せるように、手軽に殺せる魔王を作るためだ」

勇者「!?」

王様「勇者因子を持つ者は生まれからして違うのだ。王の家系、伝説の人物の血筋、竜の子孫。全て特殊な生まれ方をしている」

大賢者「……」

王様「魔王を倒した勇者パーティの一員でもあり、同時に王国の王でもある私。その娘たるお前が、勇者の素質を持って生まれた。不自然な点はあるまい?」

勇者「……あぐ」

王様「そして歴代の勇者は生まれ育つ環境も凡人とは違う。最高であれ最悪であれ、勇者の精神を強力にする手助けをする」

勇者「……ふあ」

王様「自信を持って育つ者、復讐を誓って力を求める者、様々なタイプこそあれど、下水道でワニに育てられサーカスに売られた勇者は存在しない。幼いころから心に傷を付け続けられた勇者は、果たして魔王の運命と力に耐えられるのだろうか」

勇者「……ひっ」

王様「もしかすると反骨精神が宿って強くなってしまうかとも考えたが……見よ、劣悪な環境で育ったにも関わらず、いまだに泣きわめくこの幼き少女の姿を!!見事な甘ったれではないか」

勇者「うぐあああ……!!」

少女の呻きと鎖の音が地下牢を響かせる。

勇者「……お、お母さん……は」

王様「母親?今までずっと一緒だったのではないか?」

勇者「……?」

王様「お前の母親はお前をずっと育てていたではないか。……醜いワニになりながらも」

376: 2010/03/03(水) 01:22:39.13 ID:zXCVVV60
38

--地下牢獄--

勇者「あれが……お母さん」

王様「あれとは随分な言い草だな。あれは素晴らしい女だったぞ?」

大賢者「……」

王様「生まれてきたお前が勇者因子を持っていたことを知った私は、すぐにお前の処置を決めた。しかしあの女は私に言ってきた」


--過去--


妃「王様、あの子をどうするおつもりですか?」

王様「最悪な環境で……飼う。勇者としての本分を発揮できるように、決して殺さずにだ」

妃「!!……ひどい、貴方様はあの子の父親でありましょう!?」

王様「勘違いをするな。人の子である前に、私は人の王なのだ。全て人類の未来にささげると誓った。そのためには人としての幸せなど捨

てる」

妃「……わかりました。それでは私も捨てていただきたく思います」

377: 2010/03/03(水) 01:26:08.26 ID:zXCVVV60
39

--地下牢獄--

王様「あの女はお前についていくと言ったのだ。だが温室育ちのお姫様に過酷な暮らしを続けていけるとは思わなかった」

勇者「…ぁ…」

王様「だから下水道でも楽に生活をできるようにとワニの姿にしてやったのさ」

勇者「!?」

王様「……睨むなよ。あいつが国一番の美白だということを誇りにしていたから、真っ白な肌を残してやった。全てあいつを思ってのこと」


白ワニ「この子には指一本触れさせはしないよ!!」


勇者「あ……あ……」


団長「白くてきれいですよねぇ……まったく農民の馬鹿が。この白い皮の価値を知らずに滅多打ちにしやがって。まぁそれでも仕方なくかざっているんですがねぇ」


勇者「お前は……」

王様「なんだ?」

勇者「お前らは……お前のほうが魔王だ!!オマエ達のために私は!!お前達のほうがよっぽど汚いじゃないかあああああ!!!!」

378: 2010/03/03(水) 01:28:48.61 ID:zXCVVV60
40

--地下牢獄--

イタイタイタイタイタイタイタイタイ

勇者「うあああああああああああああ!!!!」

ブシュッ

湯者の角が少しづつ長さを増していく。

王様「……」(そうだ……早く、その姿じゃなくなってくれ……)

大賢者「……王様、そろそろお時間がです」

王様「うむ……では三日後に処刑場にて会おう……魔王よ」

yuうしゃ「アアアアアaaaaaああaaaあaaアアアアア!!!!」

387: 2010/03/04(木) 01:23:10.56 ID:rv9g3NA0
すいません。前もって言っておくべきでした。
今日はちょっと時間がとれないので、3月4日の23時以降からまた再開したいと思います。

あ、書いてるものです。
ここだと誰が誰だかわかりませんから、名前の欄を変えた方がいいでしょうか?

389: 2010/03/04(木) 01:39:42.11 ID:rv9g3NA0
テスト

390: 2010/03/04(木) 01:42:25.68 ID:rv9g3NA0
アドバイス通り酉つけさせていただきました。
これからはこれで書きたいと思います。よろしくお願いします。

393: 2010/03/04(木) 21:15:43.24 ID:rv9g3NA0
どうも。フライングに定評のある私です。再開します。

394: 2010/03/04(木) 21:17:25.10 ID:rv9g3NA0
41

--地下牢獄--


ゆあがhs「オカアサン……オカアサン……オカアサン……」

勇者はそれから二日間泣いて過ごした。
暴れたため、鎖で繋がれた部分からは血が滲み、頭部からは少量の血が出続けていた。
蝋燭の炎に照らされる真っ赤に染まった勇者。


処刑は明日の昼行われる。

395: 2010/03/04(木) 21:26:14.95 ID:rv9g3NA0
42

--地下牢獄--

?「久しぶりだね……」

誰もいないはずの地下で声が聞こえる。
勇者は泣き晴らした顔をあげるとそこには、

勇者の牢の中に体育座りをしている何かがいた。

?「今日はこんなにも月が綺麗なのに」

逆光になっていて顔がよくわからない。
だけれど、そのポーズをどこかで見たことがある。
その声をどこかで聞いたことがある。

男の子「君はいつも辛そうだ」

396: 2010/03/04(木) 21:30:31.47 ID:rv9g3NA0
43

--地下牢獄--

Uうじゃ8「どうやって……ここに」

男の子「答えてもいいけど、それはどうでもいいことだと思う」

男の子の角は最後に見たときより長くなっていた。羊の角のように丸まり始めている。

男の子「僕はずっと君を見てきたんだ」

ゆう4な「……?」

男の子「僕は君の聞きたいことに対する全ての答えを持っている」

398: 2010/03/04(木) 21:36:49.58 ID:rv9g3NA0
44

--地下牢獄--

夕しゃ「……私はもうどうでもイイ……もう何も知らなくていい……」

男の子「そう……君がなぜ貧Oなのかについても知ってるけど」

勇者「!」

男の子「じゃあ、君がなぜ魔王を一人で倒せなかったのか、とか」

勇者「……あんなやつ、一人で倒せるわけがない」

男の子「勇者は魔王との最終決戦は一人で戦ってきていたんだ。そして勝ってきた。今までずっと」

勇者「……うそ」

男の子「それはなぜか……君が勇者じゃないから」

399: 2010/03/04(木) 21:40:41.69 ID:rv9g3NA0
45

--地下牢獄--

男の子「正確に言うと、君は勇者じゃなくなっていたから」

勇者「……え?」

男の子「君は既に魔王化が始まっていたんだよ。だから魔王に有効なはずの君の力が効かなかったんだ」

勇者「でも……なんで、いつ」

男の子「勇者がどうしたら魔王になるか。誰かに聞いた?」

勇者「魔王を倒したら。と聞いたけど」

男の子「それも一つの理由なんだけど、完璧な答えじゃないんだ。本当の引き金は、」


人に対して心の底から憎悪を抱くこと

400: 2010/03/04(木) 21:44:40.15 ID:rv9g3NA0
46

--地下牢獄--

男の子「それも生半可な憎悪じゃない。膨大な、何年にも渡り、色んな事で積み重ねた憎悪。その量が一定を超えると魔王化が始まる」

勇者「憎……悪……」

男の子「普通の人間ではそこまで憎んだりは決して出来ない。全てを背負った勇者だからとも言えるし、その特殊な精神パターンのせいでもあるんだが。それでも歴代の勇者の中でここまで早く魔王化が始まった人間はいないよ。みんな人間に絶望するまでに相当の年月を費やしたんだ」

勇者「……」

男の子「そして魔王化が始まると人間としての成長は終了する。君の身長、貧O、童顔の理由がそこにあるとしたら……君は随分前から人間に対して」



勇者「嘘だ!!!!!!」

401: 2010/03/04(木) 21:54:54.11 ID:rv9g3NA0
47

--地下牢獄--

勇者「嘘だ!!嘘だ!!嘘だああ!!」

男の子「嘘じゃないよ」

勇者「嘘だよ!!君は一体なんなのよ!!なんでそんなこと……知って」

男の子「僕のことはなんと呼んでもらってもいいよ。トリガー、鐘、最終装置、竜、そんな感じで呼ばれてきた」

兵士G「おい……なんか地下牢で騒いでるぞ」

兵士N「一応見てきたほうがよさそうだな」

男の子「……今日はこれで消えるね。また会いにくるから……」

402: 2010/03/04(木) 22:07:23.93 ID:rv9g3NA0
48

--自宅--

処刑執行日朝。

盗賊は身支度を整えている。

盗賊「……」

母「参列するだけだと思ったらあんたが処刑執行者だったとはね!いやぁ母さん今からドキドキしちゃうわよ!正直気持ち悪いのは見たくないんだけどね。歴史的な日でもあるし、あんたの晴れ舞台だものね!!」

盗賊「……じゃあ、先行くわ」

母「あら。あ、ほらお弁当作っておいたから食べなさい。ねっ」

盗賊「そんな気分になれないよ」

母「なによぉ、別に人を頃すんじゃないじゃない。魔族っていったって豚や家畜とかわりゃしないわ。人は彼らを頃すから生きていける。これは仕方の無いことじゃない」

盗賊「……っ」

403: 2010/03/04(木) 22:23:33.40 ID:rv9g3NA0
49

--城--

王様「それではお前に処刑を任せる。お前が新しい勇者となるのだ盗賊よ!!」

盗賊「……は!」

王様は勇者が使っていた大剣を盗賊へと渡す。

盗賊「これは……勇者さんの」

王様「元は私が使っていた剣だ」

盗賊「!!」

王様「あの子の無事にと持たせた剣。これであの子に終わりをあげてくれ」

盗賊「了解いたしました」

404: 2010/03/04(木) 22:33:43.93 ID:rv9g3NA0
50

--処刑場--

ザワザワ

勇者は処刑場の真ん中で拘束されていた。頭に布を被らされていて、勇者からは周りが見えず、周りからは勇者の顔を確認することは出来ない。

一般人A「あれが魔族ですか……まぁ恐ろしい!首から下は人間と全く変わらないじゃないですか」

一般人B「ちょっと小さいわね。子供なのかしら……でもきっとあの布の下は醜い顔に違いないですよ」

一般人C「おらー!!よくも西の王国潰しやがったな!!」

一般人の投げた石が勇者の頭部に当たる。

勇者「あがっ!!」

兵士K「やめなさい!!」

勇者の頭にかぶせられた布が染みていく。

勇者「……」

405: 2010/03/04(木) 22:44:07.93 ID:rv9g3NA0
51

--処刑場--

処刑場に盗賊達が到着し、勇者に向かって歩いていく。

一般人D「おお!!勇者さん達と王様だ!!」

一般人E「きゃああああ!!」

歓声が湧きあがる。

一般人F「ふざけんなああ!!てめぇら西の王国を見頃しにしやがって!!」

兵士V「おいお前やめろ!!虚言を吐くな!!」

見習いB「やめろ……」

一般人F「!?見習いBまで……なんでだよおまえだって恨んで……なんだよその格好」

見習いB改め兵士X「……いいからやめるんだ。ここで言ったって仕方がないだろ」

406: 2010/03/04(木) 22:59:04.88 ID:rv9g3NA0
52

--処刑場--

王様「それではこれより処刑を開始する。処刑する者の名は魔王軍幹部の魔族、サキュバス!!魔王軍の残党であるサキュバスを処刑したその時、長きに渡った魔王との戦いは終わるのだ!!」

民衆「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

賢者「……」

闘士「……」

踊子「……」

王様「それでは魔王を倒した勇者に処刑を任せたいと思う。勇者、前へ!!」

勇者「……っ」

勇者は一瞬自分が呼ばれたものと錯覚し反応した。

勇者(違う……私は魔族ということで処理されるのね……いや、でも大賢者様が勇者?……)

盗賊「……」

盗賊が大剣を持って勇者の横まで歩いていく。

勇者「……」

盗賊「……」

勇者「……大賢者様……ですよね?」

盗賊「っ!!」

勇者「……大賢者様なんですよね……大賢者様なら声を……聞かせてください」

盗賊「……」

王様(気付いたか……)

407: 2010/03/04(木) 23:08:23.33 ID:rv9g3NA0
53

--処刑場--

勇者「大賢者様じゃない……のね……盗賊……なんでしょ」

盗賊「気付いて……たのか」

王様「それでは氏刑を執行せよ!!」

勇者「やだって……言ったのに」

盗賊「……だって」

兵士Q「勇者様、早くお願いします」

盗賊「!!……っく」

盗賊は大剣を振り被る。

勇者「なんで……よりによって……君なのよ」

408: 2010/03/04(木) 23:12:11.65 ID:rv9g3NA0
54

--処刑場--

男の子「今なら間に合うよ」

勇者「!!その声」

男の子「うん、僕だよ。また会いに来るって言ったでしょ」

勇者「そんなだって警備が」

男の子「今僕を認識できるのは君だけなんだ。ほら、どうする?今にも斬られちゃうよ?」

勇者「何を……する気なの」

男の子「ここにいる人間全てを塵にしてあげる」

勇者「!!!!」

男の子「もちろん君の大事な人は無傷でね」

409: 2010/03/04(木) 23:19:44.76 ID:rv9g3NA0
55

--処刑場--

勇者「そんなことが……できるの?」

盗賊「?……」(誰と話してるんだ?)

王様「どうした勇者よ!!いつまで待たせるのか!!」

男の子「できるよ。君が望むなら一瞬さ。さぁどうする?」

勇者「……っうく」

男の子「……」

勇者「私は……私だって本当は生きたいっ!!」

盗賊「!!!!」

勇者「でも……私はみんなのために氏ぬの。それはもう決めたの」

男の子「……」

勇者「盗賊お願い……やって」

410: 2010/03/04(木) 23:27:19.15 ID:rv9g3NA0
56

--処刑場--

盗賊「……っふ」

王様「できんのなら私がやるまでだ。勇者よ、剣を貸すがよい」

盗賊「その言葉が聞きたかったんだ」

勇者「……!?」

盗賊「一緒に生きよう」

男の子「……」

王様「!?何を言い出」

盗賊「みんな!!」

闘士「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

大賢者「!?」

ドゴン!!

闘士は横にいた大賢者を殴り飛ばす。

大賢者「っっがっは!!」

踊子「眠れや眠れ~」

踊子の舞を見て兵士達が眠って倒れていく。

兵士P「お、王様を守れ!!」

賢者「水属性魔法レベル2」

ドバシャアアアン!!

兵士達「あぶはぁっ!!」

盗賊「ザ・勇者パーティご乱心☆」

411: 2010/03/04(木) 23:34:22.07 ID:rv9g3NA0
57

--処刑場--

盗賊は勇者の鎖を解き布を取る。

勇者「ぶはっ!?な、なにをしてるんだお前達は!!」

盗賊「勇者を助けてるに決まってんだろ。って、あらまぁ、なんか可愛らしい角が生えちゃってる……もしかして狙ってる?」

勇者「!!み、見るな!!これを……ってなんだ狙ってるって!!」

盗賊「じゃあ……誘ってる?」

勇者「どういう勘違いをしたらそうなるのっ!?」

兵士L「ちぇい!!」

兵士O「はああ!!」

盗賊の後ろから二人の兵士が飛びかかってくる。

勇者「あぶないっ!!」

ザシュ!!

盗賊の一閃によりなぎ倒される兵士達。

盗賊「やば、これ重い……やっぱ勇者に返すよこれ」

412: 2010/03/04(木) 23:40:08.44 ID:rv9g3NA0
58

--処刑場--

ワーキャー

王様「どういうことじゃ……勇者よ」

盗賊「俺は勇者じゃねぇ盗賊です。勇者様に仕える……な」

王様「……理解していなかったのか?私の話を」

盗賊「した。ただあんたの話より勇者のほうが大事なだけ……前の魔王とその側近の気持ちが今なら少しだけわかるかな」

王様「馬鹿なことをしたぞ……どのみちすぐ鎮圧されるのだ」

盗賊「そんなことは知らない。俺は盗賊、ほしい物は奪う」

ワーキャー

王様「……受付」

受付「ここに」

盗賊「!?」

王様の後ろには受付が隠れていた。

受付「実に盗賊らしいですね。なら、私はアサシン、主の敵はコロス」

413: 2010/03/04(木) 23:45:19.63 ID:rv9g3NA0
59

--処刑場--

王様「……勇者以外生かしておかんでいい。ヤレ」

受付「はい、主様」

ヒュン

ギィィン

盗賊「っっぐ!!!」

盗賊(早すぎる!!おかしい、俺のスピードは人類最速クラスのはずなのに!!)

勇者「あう……」

盗賊「勇者も手伝って!!俺一人じゃとてもじゃないけど」

勇者「だ、だって私は……」

受付「私以外に気を割いていいんですか?」

受付のナイフは盗賊に防御する時間も与えず、腹を切り裂いた。

盗賊「ごふっ!!」

ドサ

崩れるように盗賊は地に伏した。

受付「次はあなた、あなたはダルマにして主様にささげます」

受付は勇者に向かう。

勇者「ひ……盗賊……」

414: 2010/03/04(木) 23:53:08.93 ID:rv9g3NA0
60

--処刑場--

賢者「あ、あーあー!皆さん、聞いてください実は」

大賢者(いかん!)「発声機能封印魔法!!」

賢者「……っ……!?」(声がでない!?)

振り返ってみると踊子もそうらしい。

賢者(これだけ広範囲でありながらな僕達以外に魔法がかかっていない……対象を選択しているのか……さすが大賢者!!)

踊子(アー……声が出ないとなると賢者さんは使えないな……)

踊子は舞によって攻撃力と速力を上げる。

415: 2010/03/04(木) 23:58:05.73 ID:rv9g3NA0
61

--処刑場--

勇者(よくも!よくも!!盗賊をおおおおお!!)

ガイン!!

受付「あなたが強いのは知っています。魔王を倒せる人間なんて世界広しと言えどあなたしかいないでしょう。ですが」

ドシュッ

勇者「っっ!!」

勇者の右肩が斬られてしまう。

勇者(あああああああああ!!!!)

ギギギン!!

受付「あなたは対魔能力に長けた人間、私は対人能力に長けた人間……私達はまるっきりの正反対ですね。人を斬ったことはないですか?どうも鈍いです。私は斬らない日はありませんよ」

ドシュドシュドシュドシュ

勇者の手足は全て斬り落とされる。

勇者「っっ……」

受付「……人を頃す技術で私に勝てるものは存在しません」

417: 2010/03/05(金) 00:07:14.02 ID:pCaJ8lU0
62

--処刑場--

ドサ

盗賊「!!!!!!!」(勇者!!!!)

崩れ落ちる勇者を抱きとめようと盗賊は手を伸ばすが、盗賊の中身がこぼれてしまい、前に進めない。

盗賊(なんでだ……もっと致命的なダメージでも動いてたのに、なんでこんな一撃で……あ、g)

ドサ

受付「……」

踊子(ああああああああ!!)

ヒュンッ

後ろからの不意打ち。それでも踊子の飛び蹴りはあっさりとかわされる。

受付「無駄です」

一瞬の交差のうちに踊子の両足の腱は斬られていた。

踊子(へ……へへ)

踊子は不敵に笑う。
王様から受付を離れさせるという目論見は成功したのだから。

闘士「!!!!」

闘士が王様に突進する。

受付「!?王様!!」

受付がそれに気付いて走り出すがさすがに間に合わない。

兵士X「王様!!」

その時、兵士Xが闘士と王様の間に入る。

418: 2010/03/05(金) 00:13:59.61 ID:pCaJ8lU0
63

--処刑場--

兵士X「しぃっ!!」

バシッ

兵士Xの斬撃を闘士は左腕で受け止める。

兵士X「なっ!!」

ドゴッ

そして右腕で吹き飛ばされてしまう。

兵士X「ぐあっ!!」(これが魔王を倒した勇者達の……力!)

闘士「!!!!」

闘士の右腕が

受付「よく時間を稼ぎました。地位の向上をお約束いたします」

吹き飛ばされる。

419: 2010/03/05(金) 00:19:26.25 ID:pCaJ8lU0
64

--城門--

魔法使い「……何かあったのか?騒がしいが」

兵士A「魔族の処刑をしてるんですよね。逃げ出したんでしょうか」

魔法使い(……勇者……か)

兵士B「名前なんでしたっけ?あの魔族。サキュバスでしたっけ?」

バサッ

魔法使い「はっ!!」

サキュバス「はぁ?私はここにいるわよ?」

魔法使い「お前!!」

サキュバス「西の王国ではよくもやってくれたね。お返しにきたよ!」

魔法使い「雷属性レ」

サキュバス「氷の牢獄」

バッキャーン

魔法使いと二人の兵士は氷の檻に捕えられてしまう。

魔法使い「しまった……」

サキュバス「さぁてと……あっちか。じゃあねえ~」

サキュバスは処刑場へと飛んでいく。

420: 2010/03/05(金) 00:25:41.66 ID:pCaJ8lU0
65

--処刑場--

闘士「!!!!」

闘士は片腕を無くしながらも王様に近寄ろうとする。

受付「やはり耐久が高いですね。さすがです」

ドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュ!!!!

闘士の体が何度も何重にも斬りつけられ、血を噴き出しながら倒れて言った。

ドシン

賢者「!!」(みんな!!)

受付「あとは一匹ですか」

兵士R「ふんっ!!」

ドス

賢者「っ!!……っ」

後ろから兵士の剣で貫かれる賢者。

賢者(こんな……ことが)

ドスドスドスドス

王様「……終わったか」

王様は足元の踊子を見下ろして呟く。

処刑場には5人が血まみれになって倒れていた。

421: 2010/03/05(金) 00:35:28.54 ID:pCaJ8lU0
66

--処刑場--

王様「馬鹿なことを……たった一人氏ねばよかっただけなのに……馬鹿だな」

王様は心底残念そうに嘆いた。

勇者「…っ!!…っ!!」(あああああああああああああああああああああ!)

勇者は身動きすらできない。首の力だけで盗賊のもとへすり寄ろうとした。
そこに王様が歩いてやってくる。

ガチャリ

王様「私が結局やらねばならぬか……」

勇者(盗賊をっ!!……みんなをよくも!!!!)

勇者は涙を流しながら憎しみの目で王様を睨んだ。

男の子「さぁどうする?まだ今ならみんなは助かるかもしれないよ」

体育座りをしている男の子は勇者に問いかける。

男の子「心で思うだけでいいんだよ。さぁさぁ」

勇者「……」

王様「さらばだ、我が娘よ」

424: 2010/03/05(金) 00:42:37.34 ID:pCaJ8lU0
67

--処刑場--

バキバキバキ

突如空から氷の柱が飛来し、王様の大剣を封じる。

王様「!!お前は……」

大賢者「まさか、大魔法使い……か?」

サキュバス「久しぶりだねぇ、弱虫大賢者に甘ったれ大剣士」

王様「今更何をしに来た。お前の主は氏んだのだぞ?」

サキュバス「新しい主がそこにいるじゃないのさ」

サキュバスが指さしたのは、勇者。

王様「きさま!!」

受付「王様、空を飛ぶ魔族を相手に戦う手段を私は持ちません……」

大賢者「く!」

サキュバス「やめときなよ、あんたの魔法じゃ私に勝てないでしょ?」

425: 2010/03/05(金) 00:51:04.01 ID:pCaJ8lU0
68

--処刑場--

サキュバス「そこに転がってるのをもらってくよ。もういらないんでしょ?」

王様「そんなことを私が許せると思うか?」

サキュバス「じゃあ……出来る限り一般人頃しちゃうけど?」

王様「……脅迫か。落ちたな大魔法使い」

サキュバス「私は魔王様の永久なる右手、サキュバス様さ」

426: 2010/03/05(金) 00:55:29.56 ID:pCaJ8lU0
今日はもうちょっと行きます!!ですが休憩入りますー
しばらくしたらまた再開しますー

431: 2010/03/05(金) 01:34:15.37 ID:pCaJ8lU0
69

--魔王城--

盗賊「……あ?」

盗賊が目を覚ますとそこは、

モンスター「ぐえっぐえっ」

盗賊「……」

モンスター「ぐえっ?」

緑色の比較的グロテスクなモンスターが目の前にいた。

432: 2010/03/05(金) 01:37:47.88 ID:pCaJ8lU0
70

--魔王城--

盗賊「……あれぇ」

盗賊は緑色の溶液に浸っている。

盗賊(そういや俺、腹かっさばかれて……)

リアル沙耶みたいなモンスターは何かボードのようなものを掲げてきた。

『具合だいじょぶか?』

盗賊「あぁ……うん」(俺はモンスターに治されてたのか?)

ゆうsは「盗賊ー、意識戻っタカ?」

ひょっこり顔出した勇者。

盗賊「あ」

勇者「……あ////」

433: 2010/03/05(金) 01:42:29.86 ID:pCaJ8lU0
71

--魔王城--

盗賊と勇者は魔王城を歩いている。

盗賊「ここ、一週間くらい前にいたラスダンな感じがするんですけど……どうなってんだ?」

勇者m「うん、それなんだけどね……」

バン

勇者が扉を開くと、


賢者「あ、起きましたか?」

闘士「お、おで」

踊子「……はぁ~」

サキュバス「よぉ、久しぶりだなぁ男」

盗賊「!?サキュバス!?」

仲間とサキュバスが大広間で食事を取っていた。

435: 2010/03/05(金) 01:47:25.18 ID:pCaJ8lU0
72

--魔王城--

サキュバス「あ、醤油とって」

賢者「あ、はい。これですよね」

サキュバス「おお、さんきゅ」

盗賊「……」

サキュバス「ん、ご飯おかわりするけど、よそって欲しいやついるかい?」

踊子「……じゃあお願いします~」

盗賊「なにこれ」

勇者「素晴らしき日本の食卓だな」

436: 2010/03/05(金) 01:52:22.50 ID:pCaJ8lU0
73

--魔王城--

盗賊「で、何がどうなって魔族と食卓を囲むことに?」

サキュバス「なんてだいお前は。助けてもらった者に対してとる態度とは思えないね」

盗賊「助けた……俺達人間を?」

サキュバス「正確には新しい魔王とその側近達……ということかな」

勇者「……」

盗賊「俺達に何を求めてるのか知らないけど俺達は次の魔王にはならないぞ」

サキュバス「……誰だってそう言ってきたんだろうな。私らもそうだった」

盗賊「あ……」

437: 2010/03/05(金) 02:00:13.67 ID:pCaJ8lU0
74

--魔王城--

サキュバス「でもな、最後の、アイツが耐えきれなくなって魔王になった時、私らも汚染されたんだ。人への恨みにな」

ゆううさhs「……」

サキュバス「今までこんなものと戦ってたのか、って思うほどアイツは蝕まれすぎていた。一瞬で真っ黒さ。気付けば私達は人をコロスためだけに生きていたよ。当の本人はそうじゃなくなってたけど」

盗賊「……今はどうなんだ。なんか軽くなった感じが」

サキュバス「それがな、アイツを倒されちまってからなんか冷めちまった。外見はこのままだが、元に戻ったのかな」

盗賊「じゃあ、もう人間を襲ったりは?」

サキュバス「めんどくさくてする気はないわ。私があとしたいことは一つだけだ」

盗賊「そっか……そうだな。お前らは俺達の未来の姿なんだよな」

サキュバス「そうさ、先輩なんだぜ?」

賢者「……はぁ、嫌な運命ですね」

サキュバス「お前らも早めに決めておけ。勇者を取るか、世界を取るか。なに、難しいように見えて簡単だ。なぜなら片方はどのみち手に入らない」

ゆすaha「!!?」

サキュバス「お前らが何のために世界を救ったのか。よく考えて答えを出せ」

盗賊「俺は……」

①世界を取る
②勇者を取る

441: 2010/03/05(金) 02:06:30.46 ID:pCaJ8lU0
75

--魔王城--

③悩むまでもねぇ、貧Oを取るに決まってんだろ!!

盗賊「俺は貧Oを取るよ」

賢者「まぁあんだけ暴れてしまったしね」

闘士「ゆ、ゆしゃさんとともに!!」

踊子「わたしは勇者様がいないと寝られない体になってしまいましたから~」

yふうしゃ「み……みんなっ」

サキュバス「はぁーあ……その道を選んだ私が言っても説得力にかけたか……」

盗賊「そういう問題じゃないの」

サキュバス「……ふww」

443: 2010/03/05(金) 02:12:31.35 ID:pCaJ8lU0
76

--魔王城--

サキュバス「じゃあ……これからどうするんだい?人間達も魔王が完全に覚醒する前に攻撃してくるはずさ」

盗賊「ん……それなんだけど、南の王国に行きたいと思うんだ」

踊子「あ~なんか前も行ってましたね」

盗賊「ずっとみんなで行きたいと思ってたんだ」

勇者「でも、今私達は世界的なお尋ね者になっているんじゃ……」

賢者「これは毎度おなじみ賢者さんのお勉強の時間がやってきたんでしょうか?」

盗賊「いいよもうだるいよ、そんなんいいからもう行こうよ」

賢者「そ、そんな」

踊子「よしよし~」

444: 2010/03/05(金) 02:16:53.97 ID:pCaJ8lU0
77

--魔王城--

盗賊「あ、出かけてる時に尋ねてきたら悪いから書置き残しておこう。えーと、『バカンスに行ってるので用がある方は伝言を残しておいてください』っと」

踊子「わたし達どんだけ人間舐めてんでしょうね~」

勇さはおう「でも、本当に大丈夫なのかなぁ……」

踊子「南の王国は別名亜人種の国と呼ばれてまして、他の四カ国から迫害を受けているんですよ~。住んでいる全ての民が亜人種というわけじゃないんですけどね、まぁ何かを差別しておいたほうが自国はまとまりやすくなりますしね。まぁそんな背景があるので亜人種は普通の人間に対していい印象を持ってません。だから勇者パーティを見たところで、他の王国に密告するなんてことはないでしょうね~」

賢者「すっごい長々と説明された!!僕の数少ない出番だと思ったのに!!」

踊子「てひっ」


445: 2010/03/05(金) 02:20:35.38 ID:pCaJ8lU0
78


--魔王城--

ゆま者「で、でもそれじゃ私達も入れてくれないんじゃ」

盗賊「彼らだって人間の全てが悪いやつじゃないことはわかってる。ごく少数ではあるが、普通の人間も南の王国で共生している。それに今は可愛い角っ娘とサキュバスがうちのパーティにはいるからな。彼らは同族間の絆が強い。貧Oとサキュバスは同類じゃないけどまぁ見た目かわんないし。そんで亜人種と一緒にいる人間達ってのは彼らからしたら良い人間に見えるらしい。だから問題ないのよ」

賢者「盗賊君まで!!あんだけだるいとか言ってたのに!!」

盗賊「でへへへへっ」

サキュバス「私はいつの間にあんたらのパーティの一員になったの?……」

サキュバスが仲間になった。→なってた。

賢者「ぐすっ……あれ?6人目のパーティなのになんか別になんともない。まぁなんかあるわけじゃないんだけどさ」

盗賊「多分、もう勇者パーティとして認識されてないからだろうな」

ゆうsまお「……」

447: 2010/03/05(金) 02:24:27.89 ID:pCaJ8lU0
79

--魔王城--

盗賊「よおおし、久々の旅だあああああ!!いくぞおおおおお!!」

一同「おおー!!」

サキュバス「え、待って。あんた達ぃまさか歩いて行く気じゃないでしょうね?」

盗賊「旅は歩きに決まってんだろ!!」

サキュバス「えぇ~……冗談じゃないわ。グリフォン」

サキュバスの呼ぶ声に反応し、天空から巨大なグリフォンが飛んでくる。

ゴオオオオオオオバサッ

盗賊「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」

勇者「きゃああああスカートが!!」

というか風で飛ばされる勇者。

盗賊「ゆううしゃあああああああああああああ」

グリフォン「サー、イエスマム!!何の用でありますか!!」

サキュバス「私達を南の王国まで運んでちょうだい」

グリフォン「サー、イエスマム!!」

グリフォンは盗賊達を手で掴んで背中に乗せると飛び立った。

448: 2010/03/05(金) 02:31:23.29 ID:pCaJ8lU0
80

--南の王国--

一時間後。盗賊達は南の王国に到着した。

サキュバス「御苦労」

グリフォン「サー、イエスマム!!自分はこれより待機行動へ移ります!!御用があればいつでも呼んでください!!」

バサッゴオオオオオオオ

盗賊「うおおおおおおおおおおおおおおおおお」

勇者「きゃああああスカートが!!」

というか風で飛ばされる勇者。

盗賊「ゆううしゃあああああああああああああ」

踊子「……もうあれに乗りたくないです~」

賢者「ま、まったくです……あれ?」

踊子「どうしたんですか~?」

盗賊「大丈夫かゆうしゃあああああああああ」

勇者「きゃあああああ変態変態変態っ!!!!」

賢者「……闘士がいない」

サキュバス「……落ちたか」

闘士をロストした。

449: 2010/03/05(金) 02:34:27.35 ID:pCaJ8lU0
81

--南の王国--

盗賊「あーあ……みんなで歩いて旅するのが楽しいのにさぁ」

サキュバス「お前は何も知らないのね。間にある氏の砂漠を歩いて横断とか無理だから」

盗賊「ふーん……じゃあまあ入国するぞ。二人が先頭ね」

勇者「……なんで?」

サキュバス「角っ娘亜人コンビに見えるから、ってとこかい?」

踊子「あ~わたしもぉ、アイテムの猫耳つけます~ww」

踊子は猫耳を装着した。

盗賊「あ、じゃあ俺はうさ耳で」

賢者「なんで仮装になってるんでしょう」

--氏の砂漠--

闘士「……お、おで」

遠く離れた地で、闘士が目を覚ました。

450: 2010/03/05(金) 02:40:26.15 ID:pCaJ8lU0
82

--南の王国--

南の王国への入り口に城門兵が二人立っていた。

城門兵A「お前たちっ、何者だにゃんっ!?」

城門兵B「すっごいでかいモンスターに乗って来てたの見えてたぴょんっ!!」

盗賊「……」

盗賊の盗む攻撃。

城門兵B「ひゃああああああ!?助けてええええええ人さらいだぴょんんんん!!!!」

盗賊は犯罪に走った。

451: 2010/03/05(金) 02:43:34.35 ID:pCaJ8lU0
83

--南の王国--

魔王「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

盗賊「ま、まって……まって勇者さん、もう殴らないで……左目の穴からちょっと出て来ちゃってるから……」

城門兵B「うああああああああんっ!!怖かったぴょんっーーー!!」

踊子「よしよし~今のはある国での異常な性癖を持つ人の挨拶みたいなもんなんで許してあげてくださいねぇ~本気じゃなかったと思いますからぁ~(多分ガチだけど)」


城門兵B「ほ……本当かぴょん??」

城門兵Bの涙目上目遣い攻撃。

踊子「……えぇ~本当ですよ~。よいしょっと」

城門兵B「ぴょん?」

踊子は城門兵Bをお姫様だっこで持ちあげた。

踊子「へへへへへへへへへへ!!」

城門兵B「ひゃっ、ひゃああああああ!?助けてええええええまた人さらいだぴょんんんん!!!!」

踊子は犯罪に走った。

453: 2010/03/05(金) 02:48:58.52 ID:pCaJ8lU0
84

--南の王国--

魔王「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

盗賊「ぐふっ……ゆ、勇者さんの、女でも構わずグーパンなとこ……素敵だと思います……」

魔王「これで私の名前直らなかったらお前達のせいだからなっ!!??」

城門兵B「うああああああああんっ!!怖かったぴょんっーーー!!人間こわいいいいいいいい!!」

サキュバス「入国手続き済んだけど……入んないのかい?」

463: 2010/03/05(金) 22:59:59.13 ID:pCaJ8lU0
お絵かきしてたらこんな時間でした。今から再開しますー

465: 2010/03/05(金) 23:03:48.11 ID:pCaJ8lU0
85

--南の王国--

犬娘「ようこそっ!南の王国へだわんっ!!」

盗賊「……じゅる」

魔王「……なるほど……こうやって魔王になっていくのか……」

賢者「ほらほら、早く行きましょうよ。まずは泊まるとこ決めないと」

踊子「はい~。って、そういえば賢者さんはムラムラしてないんですね」

賢者「ぼ、僕は変な趣味はないです……それに好きな人がいますから」

踊子「ふ~ん?」

サキュバス「なんでこんなやつらに負けたのかなー?」

--氏の砂漠--

闘士「ここは……どこ?」

闘士はさまよっている。

466: 2010/03/05(金) 23:08:20.74 ID:pCaJ8lU0
86

--宿屋--

盗賊「そういえばそういえば」

魔者「なによ」

盗賊「あのごたごたから連れ去られたうちらがお金をもっているわけもなく」

魔者「……私だってずっとあんなことされてたんだからお金なんて持ってないよ」

盗賊「……むら」

盗賊が勇者ににじり寄る。

勇者「な、なにこいつ!!最近怖い!!」

賢者「もちろん僕達も無いです……」

踊子「ってことは~?」

サキュバス「魔族に金をたかるとか恥を知れっ!!」

踊子「いいじゃないですか先輩~ww」

サキュバス「こいつ……」

467: 2010/03/05(金) 23:13:44.99 ID:pCaJ8lU0
87

--宿屋--

盗賊「おし、じゃあ着替えてさっそく海に行こう!!」

勇者「え?着替えるって?」

踊子「え~?水着に決まってるじゃないですか~ん」

勇者「……私そんなの無いよ」

踊子「だからこれから買いにいくんですよ~。ネッ☆」

サキュバス「お前……氷で作ってやるよ」

盗賊「ごぼふっ!!」

盗賊の鼻血が噴き出る。

サキュバス「もちろん透けないようにはするよ?」

盗賊の鼻血が止まる。

踊子「女の子は水着を買って着替えなきゃいけないんです!!」

サキュバス「な、なんだその理論は……私も昔は人間の女だったけどそれは」

勇者「あっ、てかやだ!!私海いかない!!絶対やだ!!いかないからっ!!」

468: 2010/03/05(金) 23:18:32.73 ID:pCaJ8lU0
88

--宿屋--

盗賊「……しかしあれだよね。男女比が随分いいことになったよね。昔は男4女1だったのに」

賢者「今や男2女3という……それで思い出しました、闘士君どうしましょう?」

盗賊「う、うーん……勝手にこっちに来るってことはない?」

賢者「無理でしょう。てかひどすぎるでしょう!!」

盗賊「だって闘士いると女の子おっかけてる時も後ろ気にしないといけないんだもん……」

賢者「じ、持病の痔が」

勇者「いーかーなーいー!!」


--氏の砂漠--

闘士は地下へと繋がる門を発見した。

469: 2010/03/05(金) 23:21:23.55 ID:pCaJ8lU0
89

--海--

踊子「じゃじゃーん~どうですか~?」

賢者「すごく……大きいです……」

サキュバス「はぁ、結局私まで買わされてしまったわ」

魔王「」

盗賊「そ、そそそそれは!?!?」

踊子「ふっふっふ~。古代文明のロストテクノロジーの結晶、口リ専用水着です!!」

サキュバス「魔王化してるとこには突っ込まないのね」

賢者「なんか露出は少ないんですけど……くるものがありますね」

魔王「私今年で28なんすけど」

470: 2010/03/05(金) 23:24:31.65 ID:pCaJ8lU0
90

--海--

踊子「きゃーは~!!氷のサーフボード楽しいです~」

バシャバシャ

賢者「あははは!!」

盗賊「勇者さん、オイル塗ります」

勇者「この水着でどうしろと!?」

サキュバス「……ふぅ。私も何を付き合ってるのかしら」

--砂漠--

闘士の入った扉の向こうは、隠しダンジョンだった。

471: 2010/03/05(金) 23:28:48.18 ID:pCaJ8lU0
91

--海--

踊子「はい!ビーチボール対決をします!!」

賢者「じゃあ男女混合でいきますか」

勇者「……ぐす」

踊子「……なんで勇者さんの水着が乱れてるんですか~?盗賊さん……」

盗賊「いや、あの、オイルを」

賢者「……男対女で」

472: 2010/03/05(金) 23:33:21.70 ID:pCaJ8lU0
92

--海--

魔王「オオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

盗賊「勇者さんが見たことも無い真っ黒なオーラを纏ってあがあああああああああ!!」

ドゴッ

ビーチボールが直撃した盗賊の頭部が破裂した。

賢者「やべぇレイザー級のボールだ……」

サキュバス「おもしろそうだな、私もまぜろ!!」


--砂漠--

?「汝、そなたは何を求める?」

闘士「お、おで」

闘士は天使みたいな敵と遭遇していた。

473: 2010/03/05(金) 23:34:47.24 ID:pCaJ8lU0
93

--海--

盗賊「あ、右目も無くなりましたww」

474: 2010/03/05(金) 23:38:48.56 ID:pCaJ8lU0
94

--海--

踊子「第一回~盗賊の右目を探せ選手権~!!」

盗賊「いえーい!!ドンドンパフパフ~!!てかまじで!!まじで頼むから!!」

魔王「汚レタ目玉ナド、イラヌ」

賢者「……予期せぬ形でカウントダウンが始まりましたね」

サキュバス「優勝商品はないのかしら?」

踊子「今日一日勇者様とデートする権利です~」

勇者「な、なんで私が商品にならなくちゃならないのよ!?そういうのは盗賊の目玉のせいなんだから、盗賊が何か出すべきでしょ!?」

盗賊「oh-……勇者サンハ、ワタシノシブツ、トイウコトデスネ?ワカリマス」

勇者「!?////」

475: 2010/03/05(金) 23:43:47.85 ID:pCaJ8lU0
95

--海--

盗賊「てゆうか駄目だ!!こうしちゃおれん、俺が探さないと!!」

踊子「せいぜい目が見えない状態で探してください~」

サキュバス「商品はいらんのだが……まぁ宙から探すかな」

バサッ

賢者「ふふっ」

勇者「うぅ~!!私が見つけなきゃやばいことになるじゃないか!!」

盗賊「くそぉ、何か手は、何か手はないものか……あった!!奥儀、透視眼!!!!」

ギュイイイイン

盗賊の両目の穴が光出して気持ち悪かった。

盗賊「よおおおおしこれならって、弱点しか見えないじゃああああああん!!あっ!!勇者さんの胸が見える!!」

勇者「ひっ!!??弱点じゃないやいっ!!見んなっ!!」

踊子「盗賊さんはこれでも見ててくださいね~」

盗賊の前に連れてかれる賢者。

賢者「え?はは、僕に弱点なんてあるわけないじゃないですかww」

盗賊「ぽ、ポークビッツ!!!!がはぁっ」

魔王「モウイイ、モウイラヌ、コンナ世界……消炭ニ変エテクレル……」

男の子「呼んだ?」

476: 2010/03/05(金) 23:51:33.75 ID:pCaJ8lU0
96

--海--

踊子「ふぅ~無いですね~。砂漠に落としたコンタクトレンズと言いますか、ビーチに落とした目玉と言いますか」

賢者「波にさらわれてたりして」

盗賊「人の弱点しか見えない世界なんて嫌だ……」

勇者「おい、喋って無いでちゃんと探せよ」

サキュバス「ん?あっちで烏の亜人が何かを取り合っておるぞ」

盗賊(ちょっとまて)

盗賊はダッシュでビーチを駆けていく。

賢者「……烏は目玉を攻撃してくるらしいですからね」

478: 2010/03/06(土) 00:00:50.64 ID:gr/Bh1s0
97

--海--

烏亜人A「やだグア。これは僕達が拾ったんだグア」

烏亜人B「ツンツンするの楽しいグア」

ぐちゃぐちゃ

盗賊「やめろおおお!!見えないけどひどいことになってるのはわかるんだぞお!?お願い!!」

勇者「君達、すまないがそれを返してくれないか?じゃないとこいつがすごく困るんだ」

烏亜人B「あ……もしかして」

勇者「お願いだ」

烏亜人A「わかったグア!お返しするグア。はい」

ぐちょお

盗賊「返って……返って来たんだね!!吐しゃ物みたいな感触だけど」

勇者「ふぅ、ほら、早く賢者に治してもらってこい」

烏亜人A「この人ってもしかして……」

479: 2010/03/06(土) 00:02:36.93 ID:gr/Bh1s0
477さん
ありがとうございます。絵を描いていただいて嬉しいです。

480: 2010/03/06(土) 00:05:33.04 ID:gr/Bh1s0
98

--海--

踊子「というわけで、勝者は盗賊ぅぅーー!!」

盗賊「いえー!!」

勇者「なんでだー!!私が説得したから戻って来たんだろう!?」

踊子「持って帰って来たのは盗賊さんですので~」

盗賊「いえー!!」

勇者「さぎださぎださぎだーーーーー!!!!」

踊子「というわけでデートいってらっしゃーい。あ、これは鍵ですんで~」

勇魔王「ナンノダアアアアアアア!!!!」

--砂漠--

?「見事だ……お前にこれを託そう」

闘士「ふ、ふごっ!」

闘士は隠しダンジョンのボスを倒した!!

481: 2010/03/06(土) 00:11:39.06 ID:gr/Bh1s0
99

--海--

盗賊「夕日が……綺麗だね」

勇者「……」

盗賊「でも君の方が……」

勇者「……」

盗賊「なんで反応してくれないんすか」

勇者「だってこんなことする気なんてなかったから」

盗賊「いいじゃないすかぁ、俺は楽しいですよ」

勇者「……えっ?」

盗賊「みんなでアホみたいに騒いでさ」

勇者「あ、う///」

483: 2010/03/06(土) 00:21:35.92 ID:gr/Bh1s0
100

--海--

盗賊「来年もみんなで来よう。あ、その前に冬は温泉入りに来たいな」

勇者「……私にもそんな未来があるんだろうか」

盗賊「勇者……」

勇者「いや、お前たちはあるんだ……私を捨てればいいだけなんだ」

盗賊「!?」

勇者「そうだ、今からでも遅くは無い、私を王国へ連れて行けば君達はなんとか無事に済むはずだ」

盗賊「なにを言って」

勇者「それがいい、そうしろ。私はあの時はわがままを言ってしまったが……今なら大丈夫だ。盗賊、私は君に斬られてもいい」

盗賊「おい、だから」

勇者「私が君に最後にしてあげられることだ。君を……勇者にしてあげる」

盗賊「子供何人作る?」

484: 2010/03/06(土) 00:26:28.40 ID:gr/Bh1s0
101

--海--

勇者「君は……何をっ……言ってるんだっ!!私はなぁ!!」

盗賊「子供は男の子と女の子で会わせて2ダース欲しいですね」

勇者「そこは二人でいいだろ!?どんだけ私に産ませる気だよ!?……って違う!!」

盗賊「俺は墓まで一緒に行くと言ったでしょ。勇者を埋葬したら自分も棺桶入って、自分で墓石閉める」

勇者「なに……言って」

盗賊「……いくら強がっても先行き不安だからな……暗くなってくると不安が押し殺せなくなっちゃうんだろ?……」

勇者「ひっ……なに……いって」

盗賊「頑張るから。少なくとも俺は、俺達は頑張ってみるから」








勇者「……っふぇ」


485: 2010/03/06(土) 00:33:10.10 ID:gr/Bh1s0
102

--海--

踊子「ありゃりゃ~意外といい感じになってます??」

賢者「元からあの二人はお似合いだからねぇ。ってあれサキュバスさんは?」

踊子「(さんづけかい)グリフォンに会いに行きましたよ~」

賢者「そっか……じゃさ」

踊子「賢者さん」

賢者「あ、はい」

踊子「さっき好きな人がどうとか言ってましたけど、多分それ叶いませんよ~?」

賢者「え?あ、あぁ、踊子さん勘違いしてますよ、僕が好きなのは勇者さんじゃないです。す、好きなのは」

踊子「その女の子はある実験体だったんですよ~それでもう長くはないっぽいんです~」

賢者「……あの……え?それって」

踊子「その女の子の名前は勇者量産化計画、実験体36号って言うんですよ~」

487: 2010/03/06(土) 00:41:03.92 ID:gr/Bh1s0
103

--宿屋--

男部屋のベッドの上で賢者は天井を見つめている。

踊子『その計画は勇者因子を制御可能にして、勇者並の戦闘能力を持つ戦士をたくさん作る計画だったらしいです~。でもやっぱり人にはあまる力だったんでしょうねぇ~その女の子以外みんなすぐ氏にました。自分の属性じゃない魔力に蝕まれて……』

賢者「……」

踊子『でもその女の子も他よりちょっと適性があっただけなんです。だから未完成品の烙印を押されて、次の世代のためのデータ集めのためにモルモットになりました~』

賢者「……っ!!」

踊子『……だからやめておいた方がいいです。賢者さん、貴方は中々いい男ですし、次を探しましょう~ww』

賢者「……そんな……」

--亜人王の家--

先ほどの烏の亜人達が、この国を治める亜人王に何かを告げている。

亜人王「……それは本当なのか?勇者がこの国に……」

488: 2010/03/06(土) 00:49:52.58 ID:gr/Bh1s0
104

--テラス--

盗賊「えーへーへーへー」

勇者「や、やだよぉ。そ、そんなくっつくなよぉ////」

盗賊「えーへーへーhばぐぶっ!!」

踊子の回し蹴りが盗賊にヒットする。

踊子「……仲良くさせすぎたか。ちっ」

勇者「あ、あわわわ!!??い、いつからいたの!?」

踊子「いえいえいつからだなんて~……そうですね、強いて言えば、

勇者『あ……このドリンクストローが一個しかついてきてない……』

盗賊『ありゃりゃ……こうなったら二人で交互に……嘘です。すいません店員さはぁーん』

勇者『わ、……わかった////』

盗賊『……へ?』

辺りですかね~wwww」

勇者「あわ、あわわわわわわわ!!!!」

踊子「といいますか~……なんで最初から一個のドリンクを二人で飲むつもりだったのさ!!!」

489: 2010/03/06(土) 00:56:28.02 ID:gr/Bh1s0
105

--南の王国--

サキュバス「王国の連中とかはどうしてた?」

グリフォン「サー、イエスマム!!作戦会議中であったであります!!今後、四カ国間会議が行われる模様であります!!」

サキュバス「四カ国?……どうせ南は呼ばれないだろうから、王国、東の王国、北の王国……後は潰した西の残りってことかしら」

闘士「つ……つい、た」

ドサっ

サキュバス「おやまぁ、本当に自力で来るとは。やるねぇ」

490: 2010/03/06(土) 01:02:00.31 ID:gr/Bh1s0
106

--テラス--

踊子「やっぱり貴方には渡すのはやめです~」

盗賊「な、なぜだ!?」

勇者「べ、別に……////」


亜人王「お取り込み中申し訳ない。某は亜人王と申す者、あなた方にお話しがあって参った」

盗賊「!?」

勇者「なぜ……亜人王様が」

亜人王「なに……この国にあの勇者様がいらっしゃると小耳にはさんだもので」

勇者「!?」

491: 2010/03/06(土) 01:10:16.95 ID:gr/Bh1s0
107

--テラス--

勇者(ばれて……いた?)

盗賊「……何の用なんですか?」

亜人王「貴方方は……王国で魔族の処刑を妨害し、処刑するはずだった魔族を連れて脱走したようですね」

踊子(もう情報は各国に伝わっているようですね~……)

バサッバサッ

サキュバス「それで?どう言ったご用件なんだ?亜人の王よ」

亜人王「ほう……その方が魔族のようですね」

盗賊「ん?」(しまった。サキュバスを仲間にしたせいで嘘の情報の通りになっちまってる!!)

492: 2010/03/06(土) 01:17:44.21 ID:gr/Bh1s0
108

--テラス--

亜人王「貴方方は……一体誰の味方なのですかな」

勇者「……」

亜人王「人々の平和のために魔王を倒したと思ったら、魔族を守るために人々に剣を向ける。あべこべではないですか」

勇者「……はい」

盗賊「違う」

亜人王「?」

盗賊「俺達みんなはこの勇者を守るために戦ってるんだ。明確な敵なんて今はいない」

亜人王「それは随分とハタ迷惑な勇者一行なことだ……世界の全てが敵になることもあるわけですね?」

勇者「!!あ、いやそれは」

盗賊「ああ。王国で勇者を助ける時にそう決めた」

勇者「!!??」

踊子「ひゅーひゅー」

493: 2010/03/06(土) 01:24:35.52 ID:gr/Bh1s0
109

--テラス--

亜人王「世界の全てが敵なることもある……ということは世界の全てが味方になることもある……」

盗賊「何がいいたいんだ?」

踊子「貴方はちょっと失礼です~」

ドゴス

盗賊「ごほっ!!」

亜人王「いえ構いません……今現在貴方方がおかれている状況が非常に厳しいものだとわかった上でお願いする。勇者様、虐げられし者達の剣になっていただけないか?」

勇者「え?」

494: 2010/03/06(土) 01:32:01.07 ID:gr/Bh1s0
110

--テラス--

亜人王「我々はご存知の通り人間達から迫害を受けています。今までは魔王に対抗するための力として、亜人は必要とされてきました。しかし魔王という驚異が無くなってしまった今……我々の国が侵略の対象となるのは時間の問題でしょう」

勇者「……」


魔王「しかしいざ魔王を倒してみても世界は平和にならなかった。今まで協力していた人々の集団は、互いに新しい敵を見つけ戦争を起こした」


勇者(魔王はあの時……)

踊子(南の王国は他の国に比べて資源が豊かですからね~)

亜人王「同盟国であった西の王国も今はなくなりました。我々の力ではあの三国を相手にはできないのです。どうか!!」

盗賊「俺は……勇者さんの決めた答えならなんであれ賛同する」

勇者「……うん」

496: 2010/03/06(土) 01:37:33.79 ID:gr/Bh1s0
111

--テラス--

勇者「私は……彼らのために戦いたい。こんな出来そこないの私でもできるのなら」

亜人王「本当……ですか?」

盗賊「あーあ、言うと思ったよ」

踊子「まぁ甘ちゃんですからね~」

勇者「あ、甘ちゃんじゃないっ!!私は……一度全ての人間を犠牲にしてでも生き残ろうとしたんだぞ?」

盗賊「いつ?」

勇者「魔王との……戦いで」

盗賊「ベソかいてたもんなwww」

勇者「うっ!?」

闘士「うごおおおおおおおおおおおおお!!」

盗賊「げぇ!闘士!!」

サキュバス「あぁそいつさっき到着したんだが、ちょっと頭のネジはずれちまったみたいだ」

盗賊「た、助けて!!このパターンは!このパターンはあああああああああああ」

亜人王「……いい仲間をお持ちで」

勇者「まともなやつは一人もいなんですけどねww」

踊子(貴方がいいますか~)

498: 2010/03/06(土) 01:45:27.94 ID:gr/Bh1s0
112

--王国--

王様「この度は遠い所からわざわざお越しいただき感謝します」

東の王様「……ふん」

北の王様「ええですええですwwといいますかぁ、西の王様はどうしたんでっか?やっぱり氏んでもうたんですかな??」

王様「えぇ……その代わりに生き残りの彼が西の王国の代表を務めます」

兵士X改め西の代表「よろしくお願いします」

東の王様「……そんなことはどうでもいいのだ。わざわざ呼びつけた要件を言え王様」

北の王様「あちゃーww東の王様は相変わらずでんなぁwwゆっくりしましょうよww」

王様「貴方方を呼んだのは他でもありません……同盟を結びましょう」

東の王様「……む?」

北の王様「ほほー!!魔王が氏んだ今、対魔王同盟は無くなりますからねぇ、新たな結束というわけですか??」

王様「我々は人同士で争っていてはいけないのです」

受付「……ふふふ」

500: 2010/03/06(土) 01:54:13.20 ID:gr/Bh1s0
113

--王国--

東の王様「……南の王様がいないが?」

北の王様「ふぅむ!これはわしが考えるにぃ……亜人は人のうちに入らないから言葉を交わす必要がない、と?www」

王様「……ええ」

西の代表「……」

北の王様「ほほー!!こらまたきっついwwというわけは……」

東の王様「南の王国に攻め入るのだな?」

王様「えぇ……」

東の王様「攻める理由はなんだ?」

北の王様「亜人だからぁ。ぶはっwww」

東の王様「それでは国民が納得せん。中には亜人保護団体なんてものを我が国にはある」

王様「……勇者達のことは知っていますか?」

北の王様「あれでっしゃろ?魔族を助けて逃亡したとかいうwww全く何を考えているのやらwww」

王様「その勇者達が今南の王国にいるのです」

501: 2010/03/06(土) 01:59:02.64 ID:gr/Bh1s0
114

--王国--

東の王様「……魔族側に寝返った勇者達、そしてそれをかくまっている南の王国……そういう筋書きか」

王様「その通りです」

東の王様「ふん、ならば教えろ。なぜ魔王を倒した勇者一行が魔族側に寝返ったのかをだ」

西の代表「!?」

北の王様「きっと処刑しようとした魔族がすんごい可愛かったんちゃいますのん?www」

王様(東のはだませんか……)

王様「皆目見当がつきません」

東の王様「……ふん」

東の王様(処刑の人物とは別にサキュバスを見たという情報は入っている。お前達が勇者一行を瀕氏においやったこともだ……狸め)

王様「……とまぁ、南の王国を制圧した際は、どの国が損することのないように、公平な共有財産にしたいと思います」

東の王様「まて……我が国も戦争に行くとは言ってないぞ」

受付「!?」

502: 2010/03/06(土) 02:05:08.85 ID:gr/Bh1s0
115

--王国--

東の王様「あんな亜人の国、王国と北の王国が手を組みさえすればたやすくねじ伏せられるであろう?」

王様「……」

北の王様「そんなあんさん、わしらだけ疲弊してまうじゃないですかぁ」

王様「では……贈り物を差し上げます」

東の王様「ほぉ……」

王様「受付や」

受付「はい。どうか中庭をご覧ください王様方」

ザァア

部屋のカーテンが開けられる。

そこには30人の兵士が整列していた。

東の王様「あれがなんだと言うのだ。む?女や幼子までいるではないか」

王様「あれが我々の最終兵器、人造勇者です」

504: 2010/03/06(土) 02:10:29.98 ID:gr/Bh1s0
116

--王国--

東の王様「人造……勇者だと?」

受付「詳しくはこちらの資料をご覧くださいませ」

パラリ

受付「我々は勇者の力の要因を発見しました。その名は勇者因子。対魔能力に優れた人の最終形と言っても過言ではございません。しかしこの勇者因子、非常に不安定なものなのです」

パラリ

受付「ほんの少し間違うだけで制御不能になり、辺り一体を破壊し続けます」

東の王様「……」

受付「ですがご安心ください。長年の研究により、この度成功体を30体作りだすことに成功いたしました」

パラリ

受付「ステータスはオリジナルの勇者に比べ多少劣るものの、常人よりはるかに強く、全ての属性の魔法を使えます」

王様「これを貴方方に5体ずつ進呈いたします」

東の王様「!?」

505: 2010/03/06(土) 02:15:29.61 ID:gr/Bh1s0
117

--王国--

北の王様「おほぉー!?これは随分とふとっぱらでんなぁ王様wwwこれを作りだすために捨てた金は安いもんじゃないんでがしょ?」

王様「えぇ、ですが私はどうしても同盟を結びたいのです」

北の王様「わかりました。同盟を結びましょww我が北の王国を代表し、サインいたします」

サラサラ

王様「いかがでしょう?東の王様」

東の王様「10体だ」

受付「……え?」

東の王様「我が国がもらい受ける人造勇者は10体だ。そうでなければ結ばん」

北の王様「そ、それはいくらなんでもひどいでっせ!!」

王様(……一歩間違えばこの同盟連合を敵にまわすことになるというのに……ふ)

王様「わかりました。東の王国には10体申請いたします」

北の王様「な!?」

506: 2010/03/06(土) 02:18:51.29 ID:gr/Bh1s0
118

--王国--

東の王様「ペンを貸せ」

受付「はい。どうぞ」

サラサラ

王様「西の代表、貴方の所は5体でいいですか?」

西の代表「はい」

サラサラ

北の王様(くぅ~!!わしもごねておけばよかった!!……しかしいまさら約束を反故にもできん)

東の王様(……これでも少ないくらいだ。西は既に王国のものになっているし、北は王国の配下のようなもの……)


王様「それでは南の王国への進撃は、一週間後とします」

東の王様(おもちゃを与えられた子供はそれで遊びたくてたまらなくなる……そこで人造勇者の能力を試せということか)


--宿屋--

盗賊「ぐあっ!!ぱ……パワーアップ……している……だとぉお!!っがあああ」

523: 2010/03/06(土) 22:59:24.82 ID:gr/Bh1s0
119

--宿屋--

踊子「そいじゃあお休みなさい~」

サキュバス「こら、蝋燭を消してから寝ろ」

勇者「……」

ボッ

勇者(……これでいいんだ。私は勇者なんだ。虐げられし者達の剣。それが勇者の在り方なんだ)

ふわりと風が頬をなでる。窓を開けていないにも関わらず。
生温かい風とともにその気配は、

男の子「やぁ久しぶり」

勇者「!?」

524: 2010/03/06(土) 23:10:50.05 ID:gr/Bh1s0
120

--宿屋--

男の子「君は……本当に不思議だ」

勇者(?いきなりどうしたのよ)

男の子「とっくのとうに魔王化が始まっているというのに、ある一線を超えずにい続けている……こんなことは長い歴史の中でも初めてだよ」

勇者(そう……なの?)

男の子「いや、だからこそ僕は君に惹かれたのか」

勇者(?)

男の子「わかった。君には全てを伝えよう」

勇者(全て?)

男の子「なぜ魔王と勇者がいなければならないのかを」

525: 2010/03/06(土) 23:19:17.09 ID:gr/Bh1s0
121

--宿屋--

男の子「君も恨んだろう。この運命を、この物語を」

勇者「うん……」

男の子「この運命のレールをしいたのは古代人だ。でもそれは、全て人類のためを思って作ったんだ」

勇者「……」

527: 2010/03/06(土) 23:29:59.08 ID:gr/Bh1s0
122

--宿屋--

男の子「圧倒的欲望と進展の果てに、かつていた人類は到達したんだ。種の極致、種の極限、種の最終段階に」

勇者(種の最終段階?)

男の子「どんなものにも終わりがあるのだから成長にもそれはある。人類は遠くなるような年月の果てに人類の成長限界へと到達したんだ」

勇者(……想像もつかない。伸びしろがなくなっちゃったてこと?)

男の子「どういったらいいか。箱を埋め尽くしてしまった……うぅん。僕も言葉にするのには慣れていないな。まぁどこにもいけなくなったのさ。身動きすることすら。ある一つのゲームを隅から隅まで完璧にクリアしてしまったのさ」

勇者(それは……すごいことじゃない)

男の子「しかしね、完璧にクリアしたゲームを君はどう思う?やりたいとは思うかい?」

勇者(生きることは別だわ、やりたいやりたくないじゃない、必氏に生きるだけよ)

男の子「それは君らだから言えることなんだよ。その答えを持つように教育され、世間が言う。時代や世界によって価値観が違うんだ。現に何もすることがなくなった彼らが選んだのは、」

生きることの破棄だった。

528: 2010/03/06(土) 23:36:22.76 ID:gr/Bh1s0
123

--宿屋--

勇者(……氏んだの?)

男の子「氏んだ。色んな人がいっぱい。それこそ今の人類が知らないような数のね……でも全員がその考えに至ったわけではなかった。無意味な氏は種を極めた存在としてあまりに愚かだと思ったんだ。そして人類の大半は動物として、自然な生命として生きようとしたんだ」

勇者(え?あの動物?牛とか)

男の子「そう。動物として生きることが行きついた者の答えだったのさ」

勇者(馬鹿みたい)

男の子「そうかもしれない。結局彼らは姿をモンスターと化して世界をまた支配しようとしている」

勇者(……え……ちょっとまって……嘘でしょ、モンスターって)

男の子「?古代人のなれの果てさ」

530: 2010/03/06(土) 23:50:56.29 ID:gr/Bh1s0
124

--宿屋--

勇者(私達が今まで頃してきたのって)

男の子「気にしなくていいよ。彼らは彼らの望み通り生きようとしたんだから。中には個性強いのもいるけどね」

勇者(う……)

男の子「でもね、古代人の中にも君達みたいに人として生きることを望んだ人たちがいるんだ。彼らは人が人として生きられるようにとあるシステムを作ったんだ」

勇者(……それが)

男の子「進化抑制システム。人類が発展を遂げてあの結末に辿りつかないようにとつくられたんだ。魔王という存在が人間を抑制することにより、文化の発展が阻害される。人が人らしく永遠にこの時代を生きれるようにと……剣と魔法のRPGの世界で」

531: 2010/03/06(土) 23:57:28.46 ID:gr/Bh1s0
125

--宿屋--

男の子「でも壁だけあったら人々は絶望してしまうだろ?そこで生まれたのが人類の希望の化身、勇者だ」

勇者(……)

男の子「魔王は経験を積んだ勇者だけが倒せるようになっている。これで壁を壊し一時の平穏が世界を満たす」

勇者(じゃあ、なんで勇者は魔王になるの)

男の子「魔王を倒した勇者なんて残ってたら、次に魔王が出てきても速攻で倒しちゃうじゃん」

勇者(そんな理由なの……)

男の子「重要さ。世界が上手く循環するために、人類が幸せに生きていけるようにと」

勇者「全然幸せじゃないっ!!」

踊子「お、おふ!?」

サキュバス「んー……?どうしたんだ」

勇者「あ、ごめんなさい」

踊子(……んー?)

532: 2010/03/07(日) 00:10:22.01 ID:FXW16bQ0
126

--テラス--

勇者「今まで幸せなんてもの、私には来ないんだと思ってた」

男の子「君は古代種が作った重要なシステムのキーだからね」

勇者「でも……みんなに会ってから楽しいことが増えたんだ」

男の子「……執着しないほうがいい。辛くなるよ」

勇者「……君は残酷なことばっか言ってくるけど……私のこと心配してくれてるんだね」

男の子「そうさ、僕だけは君の味方であり続ける」

勇者「ねぇ……トリガー、貴方は何?」

男の子改めトリガー「……僕は氏を選んだ古代種達が作った、人類の最後の希望の鐘」

勇者「よく……わからない」

トリガー「この循環でも人類の発展が止められないような不測の事態が発生した時、僕は魔王の意志で人類をリセットするよう、プログラムされている」

533: 2010/03/07(日) 00:19:33.95 ID:FXW16bQ0
127

--テラス--

トリガー「魔王の意志、君だ。僕がこの世界に出てきたのはそれが近いことを悟ったからだ。もうすぐ世界のシステムは破綻し、人類の発展が始まる。それを止められるのは君だけなんだ」

勇者「なにそれ……リセットってどういうこと」

トリガー「人類を全滅させるっていうことさ。僕の赤の竜と青の竜を使ってね」

勇者「!!!!もしかしてあの時君が言ってたのって」

トリガー「そうだよ。あぁ、でも仲間は助けるつもりだったよ?僕も色々修正を受けていてね」

勇者「……私の意志で」




盗賊「……」

534: 2010/03/07(日) 00:29:40.33 ID:FXW16bQ0
128

--南の王国--

6日後。

亜人王「……そうか。わかった。下がってよいぞ」

狐男「はっ!!」

亜人王「聞いての通りです皆さん……王国、北の王国、東の王国、そして……西の連合が明日には我が国へと到達する」

盗賊「……かぁ~。文字通り世界が相手になっちゃったか」

勇まsおu「……」

亜人王「では、貴方達とともに戦う、我が国の精鋭を紹介しましょう。入れ」

?「はっ!!」

城門兵A「失礼しますにゃん」

城門兵B「失礼、あ!!変態だぴょん!!」

盗賊「あああああああああお前達はあああああああ!!!!」

535: 2010/03/07(日) 00:40:33.49 ID:FXW16bQ0
129

--南の王国--

亜人王「ふむ。昼の門番担当のお前が、この方達と既に知り合っているのはおかしいことではないな」

城門兵A「亜人王~!!この人達変態なんだぴょん!!だめだぴょん!!こんなのに任せてたら国が滅ぶぴょん!!」

亜人王「ほぉ……お前はこの方々が誰だか知らんようじゃ」

城門兵B「知ってるにゃん。人さらいだにゃ、あああああああああああああああああああああああ!?まってまってたすけえええええええ!!」

盗賊と踊子が城門兵Bを担いで走り去る。

盗賊「へそから上は俺、下はお前のだ」

踊子「ラジャッ」

亜人王「……うん……むぅ」

536: 2010/03/07(日) 00:48:42.38 ID:FXW16bQ0
130

--南の王国--

?「貴方が勇者ですか。なんとおうつく……お可愛らしい方だ。私の名は鷲男。この国一番の戦士です」

勇者「あ、あぁよろしく頼む」

亜人王「そして城門兵……A、Bじゃ。この子達は一見可愛らしいが、我が国の最も重要な役職である、城門兵を任せられるほどの実力を持っています」

城門兵A「やっ!?ちょっ、や、やだにゃんんんんんんんん!!!!んにゃっ!!」

亜人王「……片方は欠けましたな」

537: 2010/03/07(日) 00:57:35.83 ID:FXW16bQ0
131

--宿屋--

盗賊「はぁ~あ。とうとう明日かぁ。……人間達と戦うはめになるなんてなぁ」

賢者「……」

盗賊「……賢者さん、どうしました?」

賢者「あ、いや……うん、大丈夫だよ」

盗賊「……氏なんで下さいよ?みんな……誰一人として」

闘士「とう、ぞく」

盗賊「みんな大事なんですから」

賢者「……あぁ!!」


--南の王国--


城門兵A「にゃーん!にゃーん!!」

城門兵B「くっ!!なんてやつらだぴょん!!こんなひどいことを!!」

亜人王「いや、あの人たちはふざけているだけであってだな……」

城門兵B「わかってるぴょん。あの人たちかなり強いぴょん。最初に会った時、私達はお仕事してたぴょん。常に臨戦態勢でいたのに……二度も私をさらったぴょん……」

鷲男「……えぇ、あの人たちはきっと我々の力になってくれるでしょう」

亜人王「……ほっ」

538: 2010/03/07(日) 01:03:09.34 ID:FXW16bQ0
132

--草原--

草原を埋め尽くさんばかりの兵が整列している。その兵達が来ている鎧は統一されいるわけではない。
東の赤、北の鈍色、西の黒、そして王国の青。

即席で立てられたやぐらの上に三人の王様と代表が立っていた。


王様「皆の者、よく聞くがいい!!」

ざわ王様ざわ

王様「お前達がこれから行うのは決して悪しきことではない!人類の未来を勝ち取るために行う聖戦なのだ!!」

ざわざわじはーどざわ

王様「これから戦いに行く南の王国、別名亜人国はあの勇者をかくまっているのだ!!」

ざわざわ、勇者?ざわざわ貧O?ざわざわ

王様「勇者と聞いて動揺している者もおるだろう。そうだ、魔王を倒し人の未来を切り開いた者、あの勇者達だ!!」

ざわざわざわざわざわざわ

王様「そこだけ聞けば、何が悪いのかわかるまい。しかしだ。皆は魔王討伐という華やかな部分は知っていても、勇者の側面はわかるまい?」

ざわざわささざわ……

王様「……勇者達は魔王を倒すために、という大義名分を盾に、今まで彼らがやってきた悪行を知っているだろうか?」

ざわわ!?

539: 2010/03/07(日) 01:11:42.50 ID:FXW16bQ0
133

--草原--

王様「例えば……西の王国壊滅の原因になった……とか」

ざわざわざわわ!?

王様「彼らが西の王国に滞在していた時のことだ……ある魔族がモンスターを連れて西の王国へ進攻してきた」

ざわざわ

王様「偶然居合わせた彼らはモンスター達と戦ったらしいのだが……分が悪いと見るや否や、西の王国の民を見捨て逃げ出したのだそうだ」

東の王様「……」

ざわざわ見頃しざわ!?

王様「ここに生き証人がおる……」

西の代表「私達西の王国の民は、攻めてきた魔族やモンスター達と戦いましたが力及ばず氷漬けにされました……」

王様「西の王国と連絡が取れないことに気づいた我が国は、すぐさま救援を送ったのだが……そこは悲惨なありさまだった」

西の代表「西の王国の皆は……私達数百人を除き、皆頃しにされていました……」

王様「……やつらは勇者でありながらも、勝てない相手だと知ると、民を助けずに逃げ出したのだ……そしてその不手際を隠すべく……誰にも言わずに……」

ざわざわ……

王様「我々が駆け付ける数日前に息絶えた者もいたのだ……勇者達が見頃しにさえしなければもっと助かったかもしれない……」

北の王様「そぉしてぇ、これは皆さんご存知の通りだと思いますがぁ、彼らは魔族を助けて逃亡したのでぇす」

ざわざわきたざわ

540: 2010/03/07(日) 01:15:05.35 ID:FXW16bQ0
134

--草原--

北の王様「私が思うに、これは勇者達と魔族の間になんらかのつながりがあると言っていいでしょう。そうすれば全てうまく説明できるのですよ。
勇者『私達を見逃してぇん!!この人達は頃しちゃってもいいからあぁん!!』なんて交渉があったり……」

ざわざわおかまざわ

東の王様「……なんにせよ、魔族を連れて逃げているということに違いは無い」

王様「それではここに宣言する。勇者討伐戦争を」

開始する

542: 2010/03/07(日) 01:21:06.28 ID:FXW16bQ0
135

--草原--

盗賊「あーあ……すんごい量の敵が来てますね。地平線が真っ黒だぁ」

勇者「……あぁ」

賢者「……」

踊子「わたしたちは……いつ戦いをやめられるんでしょうね。魔王を倒した後は、プール尽きの豪邸で毎日遊んで暮らせるもんだとばっかり」

盗賊「……人を斬るのは初めてだけど、モンスター殺せて人間が殺せない道理もないか」

踊子「同種はタブーです☆」

鷲男「なら私は一体どちらに入るんでしょうね」

踊子「どちらかというと……鷹?」

鷲男「私は鷲の亜人なんですけれどもお嬢さん」

勇者「……くるぞ」

……ォォォォォォォォオオオオオオオオオ!!

勇者「みんな!!私は勇者だ!!勝利は我と共にある!!私に続け!!!!」

亜人軍「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


王国連合総兵数、301,764名
南の王国総兵数、21,213名

544: 2010/03/07(日) 01:28:32.32 ID:FXW16bQ0
136

--草原--

兵士M「あああああああああああああああ!!!!」

波のように押し寄せる兵士の大群。
その先頭に向かって勇者は駆けていく。


勇者「っっく!!!」

ドシュ!!

兵士M「がはっああああ!!!」

一番先頭を走っていた兵士を

きる。

盗賊「いくぞおおおおおおおおおおお!!!」

闘士「おおおおおおおおおおおおおお!!!」

鷲男「我が国を守れええええええええ!!」

亜人兵A「にょおおおおおおおおおおおお!!!」

城門兵A「にゃんにゃあああん!!」

城門兵B「ぴょんぴょおおおん!!」

盗賊「おまいらしまらねぇな!!」

サキュバス「私は急用ができたんで!!」

盗賊「え!?こ、こらああああああああああ!!」

サキュバスはグリフォンに乗って飛んで行ってしまう。

545: 2010/03/07(日) 01:39:29.27 ID:FXW16bQ0
137

--草原--

西の兵士A「お前らのせいで母さん達は!!!!」

勇者「!?」

勇者に後ろから西の兵士Aは斬りかかった。

盗賊「あぶねぇ!!」

ドン!!

盗賊は体当たりで西の兵士Aを弾き飛ばし、

ザブッ

西の兵士A「ぐひゅっ」


喉笛をかき切って息の根を止めた。

盗賊「馬鹿っ!!氏んじゃうだろ!?」

勇者「……うるさいっ!!それよりいつまで私の傍にいるつもりだ!!お前の役割はここじゃないだろ!?」

盗賊「っく!言われなくても行くさ!!生きろよ!?」

勇者「……あぁ」

546: 2010/03/07(日) 01:45:59.25 ID:FXW16bQ0
138

--草原--

東の兵士A「お前達が前線かっ!!勇者一行!!」

東の兵士B「図体ばかりでかくたって!!」

闘士「おおおおおおおおおおおおおお!!」

ドッゴオオオオン!!

鷲男「!!……地面をひっくり返すとは……!!」

闘士「おで、みんなのために、戦う!!!!」

??「ふぅぅん。おもしろそうなやつがいますね」

鷲男「!!あいつは北の人形使い!!」

人形使い「この前魔王城に遊びに行ったんですがね、おもしろいものがあったんですよ」

シュン

闘士「!?」

闘士は敵の攻撃をすんでの所で交わす。

ワーウルフ「あおいwr8ぎゅあ984」

548: 2010/03/07(日) 01:56:13.22 ID:FXW16bQ0
139

--草原--

城門兵A「にゃっはー!!雑魚共めぇ」

城門兵B「氏にたくば、あ、かかってくるがいいぴょん~」

キラン

盗賊「あ、カットインだ。どうやってやるんだろうあれ」

城門兵A、B『奥儀、滅殺猫うさ砲!!』

ドギャギャギャギャアアン!!!!

北の兵士A「ごっふ!!」

盗賊「……やべぇ、百人くらい吹っ飛んだぞ」

城門兵A、B『ふたりは、プ』

盗賊「まてまてまて」

549: 2010/03/07(日) 02:01:34.25 ID:FXW16bQ0
140

--草原--

?「ひひひひひっ、おいらもまぜてくださいでやんす」

盗賊「凡だ君か!?」

?「違うでやんす。北の召喚士でやんす」

盗賊「……特殊職業か」

召喚士「ししししっ、お前らのようなありふれた職業とは違うのでやんす。格の違いを見たらいいのでやんす」

城門兵A「聖にゃる土地を汚す者よ!」

城門兵B「あこぎな真似はやめるぴょん!」

召喚士「よ、よおおくわからんけど、今週のびっくりどっきり召喚獣~」

盗賊「あ、しまた!!」

空中に魔法陣が展開し、そこから巨大なモンスターが二体現れる。

召喚士「さぁいけ二頭巨象、サイクロプスよ!!」

城門兵A、B『来週もまた見てにゃん!!』

盗賊「逃げんな!!」

550: 2010/03/07(日) 02:04:28.00 ID:FXW16bQ0
141

--草原--

魔法使い「黄昏よりも黒いもの、血の流れより早きもの、冷蔵庫の下に隠れし偉大なる汝の名において、我今ここに闇に誓わん」

勇者「はっはっはっ……空が、暗雲に?……まずい!!」

魔法使い「超広域攻撃魔法、ゴキブスレイブ」

勇者「賢者!!踊子!!」

賢者、踊子「はい!!!!」

ガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

巨大な雷が南の王国を襲う。

その魔法を三人の魔法が食い止める。

魔法使い「はぁ、はぁ……氷、水、土による三種複合魔法障壁……か」


勇王「ぐぐぐぐがああ!!!」

踊子「きゃー!!まったこれ、辛い!!」

賢者「目の前を雷が!!雷が!!」

552: 2010/03/07(日) 02:08:24.11 ID:FXW16bQ0
142

--草原--

プスプスプス


ゆうあsh「な……なんっとか……防げたね」

踊子「もう一生分の魔力使い果たした気がします」

賢者「はぁ、はぁ、魔法使い君……君はどれだけ……」

勇者「ゆっくりしてたら二発目がくるわ……わかってるね?」

踊子「あーい。もう勇者様ったら人使いが荒いんですからぁ」

賢者「わかってます……勇者さん、ご無事で!!」

勇者「……君たちこそ」


魔法使い「……そうか。君らが僕の相手か」

受付「私は行かなくてもよろしいのですか?」

王様「お前は対人先頭じゃないと満足に戦えないだろう?我が横で待機していろ」

受付「はい……それでは」

受付は飛んできた矢を叩き落とす。

受付「私の今回の仕事は、主様の警護のみということで」

554: 2010/03/07(日) 02:11:09.04 ID:FXW16bQ0
143

--草原--

ザザザザ

盗賊「!?」

西の代表「……」

盗賊を待ちかまえている男がいた。

ガギィイン!!

盗賊「……どいてくれ。俺はお前と戦いたくない」

西の代表「俺は……お前と戦いたい。否、頃してやりたいんだ」

ギャリィン!!

盗賊「っ!!ツインソードか」

555: 2010/03/07(日) 02:14:17.27 ID:FXW16bQ0
144

--草原--

ギンッガギンッ!!

勇者「はっはっ!!」

???「言い太刀筋だ。が、まだ心が決めかねている、な!!」

ギン!!

勇者「あくっ!?」

???「あんたが伝説の英雄、勇者だというのなら。もっと俺を楽しませてくれ」

勇者(こいつは知ってる。東の……剣豪!!)

564: 2010/03/07(日) 23:00:39.10 ID:FXW16bQ0
145

--草原--

闘士「くっ、こいつ」

ワーウルフ「あ0お84hr9g8h8!!!!」

人形師「どおおおおおおですかぁあああ?わたしの!!私の人形はああ!!」

鷲男「くっ!!兵士の相手をしてるせいで助けにいけない!!闘士殿!!」

闘士「……お、おでは、あの頃とは、ちがう」

人形師「へぇ??」

闘士「真っ先に、氏んだ、あのころとは、ちがう!!」

ボゴキッ!!

ワーウルフ「???あろぐj0394が3えらp」

闘士の左の肘打ちがワーウルフの顔面を打ち砕く。

闘士「おでは、護るんだ!!」

565: 2010/03/07(日) 23:07:32.24 ID:FXW16bQ0
146

--草原--

鷲男「闘士殿……」

兵士U「ていぇえええええい!!!!」

鷲男「ふぅん!!」

ボッ!!

兵士U「ぐあああああ!!」

鷲男「しかし……多すぎる!!」

人形師「へぇ~……中々やりますね。でも」

ワーウルフ「!!!!」

闘士「!?」

人形師「そいつはただの人形でやんす……あ、間違えた。人形なんです。完膚無きまでに壊されない限り、」

ドゴッドゴッゴッゴゴゴゴゴゴゴゴgg!!!

闘士「おぅらおらおらおらおらおらおらおら!!!!」

ワーウルフ「あお8wg98あ4h9gは9348hg3!!!」

闘士「おらぁあ!!!」

ズゴン!!

566: 2010/03/07(日) 23:13:31.50 ID:FXW16bQ0
147

--草原--

闘士「はぁっ、はっ」

人形師「!!これは驚きました……ここまで破壊されては、動けません」

闘士「つぎは、お前!!」

人形師「確かに最高傑作は壊れてしまいましたが」

ザっ

人形師「おもちゃはまだあるんですよ、これが」

闘士師範代「……」

闘士「し、師匠……」

567: 2010/03/07(日) 23:21:20.73 ID:FXW16bQ0
148

--草原--

ワーワー

闘士「し、ししょ」

鷲男「!?闘士殿!!危ないっ!!」

メキメキっ

鷲男「!?」

闘士の蹴りが闘士師範代の股間を蹴りあげる。

闘士「師匠は氏んだ、もういない」

人形師「……まさかこうまであっさりやられるとは」

闘士「だけど、おでの股間に、この尻に、一つになって生き続ける!」

闘士の体が緑色のオーラに包み込まれる。

闘士「身体強化・獣化、獅子!」

ガオアオオオオオオオオオオオオオ!!!!

体長三メートルを超す巨大な獅子の亜人がそこにはあった。

568: 2010/03/07(日) 23:40:09.90 ID:FXW16bQ0
149

--草原--

鷲男「す、すごい……こんなことまでできるのか」

闘士『がおおおおおおおおおおおおお!!』

闘士が疾走するだけで数十人の兵士が吹き飛ばされ、闘士が腕をふるうたびに風が吹き荒れる。

人形師「す、すばらしい!!」

闘士『おおおおおおおお!!』

サイクロプス「ごえええええええええええ!!!!」

闘士「『!?』

同じく巨大な体を持つサイクロプスが体当たりをくらわした。

人形師「怪獣大決戦!!」

569: 2010/03/07(日) 23:47:26.25 ID:FXW16bQ0
150

--草原--

闘士『があああああ!!!』

サイクロプス『ごええええええ!!』

両者がぶつかり合う度に起こる衝撃波は、周囲の兵士達を吹き飛ばす。

兵士G「こ、こんなとこでなんて戦えない」

鷲男「よし、羽ナイフ乱れ打ち!!」


ドスドスドスドスドスドス!!

兵士達「ぎゃあああああ!!」

鷲男「ペースを掴んできましたよ!!」

570: 2010/03/07(日) 23:52:44.94 ID:FXW16bQ0
151

--草原--

二頭巨象「ばおおおおおおおん!!」

城門兵達は二頭巨象にしがみ付いている。


城門兵A「あわわ!でかすぎだにゃん!!」

城門兵B「!?このままじゃ!!やばいぴょん!!この速さでいったらすぐ南の王国まで!!」

ことの重大さに気付いた二人は顔を見合わせる。

城門兵A「……城門は」

城門兵B「……絶対に突破させない」

ドドス!!

二頭巨象「!?」

二人は二頭巨象の二つの頭を同時に刺す。

二頭巨象「ばおおおおおん!!!」

二頭巨象は暴れ狂い二人を払おうとする。

城門兵A「こいつまだ……」

城門兵B「なら……」

二人は二頭巨象の耳の穴に侵入する。

二頭巨象「ぶお!?!?」

そして
どぐしゃあああああああああ!!

両者はそれぞれの頭の頭頂部から姿を現す。

城門兵A「頭蓋をぶちぬけば」

城門兵B「おとなしくなるでしょ」

571: 2010/03/08(月) 00:14:25.60 ID:gK2akfY0
152

--草原--

魔法使い「範囲魔法、レベル2」

ビシャアアアン!!

しかしそれは賢者の魔法障壁に防がれてしまう。

賢者「元々僕の魔法は攻撃タイプじゃないから、こういうのは得意分野なのさ!!」

踊子「勇者様を裏切った悪い子はいねがー!!」

魔法使いの攻撃を交わし、踊子は魔法使いに接近して蹴りを見舞う。

ゲシッ

魔法使い「ふん、裏切ったのはあの女だ。雷属性、鎌精製」

魔法使いは雷の鎌を作り上げる。

魔法使い「お前らもあの女と一緒にいるのはやめろ。今なら俺がなんとかしてやれる」

賢者「!?」

踊子「はんっ、悪いですけど、あの子を置いてどっか行く気はさらさらないんで~!!」

魔法使い「そうか。じゃあ……氏ぬぞ?」

572: 2010/03/08(月) 00:43:12.93 ID:gK2akfY0
153

--草原--

踊子「氏ぬのは……どっちですかね!!」

踊子は舞いにより速度を上げる。

魔法使い「速度上昇か。だがいくら早くなったとしても、雷より早く動けるのか?」

魔法使いは鎌を振る。すると

バチバチバヂイイ!!

不可避の高速の斬撃が踊子を捕える。

踊子「ぎゃあああ!!!」

賢者「!?踊子さん!!」(雷の……攻撃補助の特性か!!斬撃速度が極限まで高められている!!)

魔法使い「やめろ賢者。俺はお前のことを仲間だと思っているんだ」

賢者「魔法使い……君」

魔法使い「短い間だったが、盗賊と闘士とお前、四人で西の王国で修業したあの日々……俺の人生の中で最も楽しかった時間だ」

573: 2010/03/08(月) 00:52:12.14 ID:gK2akfY0
154

--草原--

賢者「そう思う君が……なぜ王国につくんだ。僕達を仲間だと思ってくれているなら、」

魔法使い「仲間だと思っているからこそ、あの女から引き離そうとしているんだ」

賢者「……どうして君はそこまで勇者さんのことを……」

魔法使い「彼女が世界を滅ぼすからだ」

賢者「そうなるとどうして言いきれる?君も少しだが一緒に旅をしたじゃないか」

魔法使い「俺を……捨てた女さ」

賢者「あれには意味があったんだ!!」

魔法使い「……意味などない。いらない……あの時俺がどれだけ失意のどん底に叩き落とされたと思っている……俺はあの人に会う前からずっと憧れていた。生ける伝説だった。俺は必至に修業しあの人の役に立とうと……なのに魔王だったなんて」

賢者「そのことも知ってたのか……」

魔法使い「俺は王国の軍団長を任されている男だ」

574: 2010/03/08(月) 01:00:34.19 ID:gK2akfY0
155

--草原--

魔法使い「極秘事項のことですら耳に入る。そしてお前達を助けることもできる。戻ってこい……全て勇者のせいにするんだ。そうすれば」

踊子「やれやれ。女の子無視して男同士で熱い会話だなんて、本当ホ〇ですか貴方たち……も!!」

魔法使い「……しぶといな。サキュバスには効果的だったんだがな」

踊子「へ、あんなのと一緒にされちゃあ困りますよ……わたしはね」

踊子の体から6色の魔力が流れ出る。

踊子「貴方の嫌いな勇者もどきなんですから!!」

魔法使い「……お前もだったのか」

賢者「踊子さん!!」(僕もサポートを!!)

踊子「くぉ349う34いあ!!」

575: 2010/03/08(月) 01:12:48.04 ID:gK2akfY0
156

--草原--

魔法使い「だが俺はお前より性能のいい勇者人形と戦ってみたが勝ったぞ?」

踊子「!?」

魔法使い「対単体雷属性魔法、レベル5」

賢者(レベル……5?)

ゴオオオオオオオオン!!!!

横方向に打ち出される白い稲妻。その勢いは踊子だけではとどまらず、南の王国の城壁まで崩す。

賢者「そ……そんな、魔法はレベル4が限界なんじゃ」

魔法使い「人の限界を超えるから天才と呼ばれるんだ」

576: 2010/03/08(月) 01:22:48.72 ID:gK2akfY0
157

--草原--

魔法使い「わかったろ?抵抗は無駄なんだ。兵力からしてお前らの勝ちはないんだ」

賢者「……そうかもしれません。どの道この戦も……でも」

魔法使い「……でも?」

賢者「魔法使い君、君との戦いには勝たせてもらいます。それがここを任された僕達の仕事ですから」

魔法使い「……勝てるものか。残りはお前一人なんだぞ」

踊子「どどどっだrがどうかなあああ!?!?」

踊子は砂煙中から現れ魔法使いのもとへと走る。

魔法使い「!?なぜだ!!いくらなんでもレベル5が直撃して助かるはずが」

賢者「なら直撃してないんでしょうね。水属性拘束魔法!!」

大地から水が噴出し、魔法使いの体を締め上げる。

魔法使い「直撃していない……!!霧による幻影魔法か!?いつのまに!!」

賢者「どうせその拘束魔法も、貴方なら簡単に破るでしょう。でも一瞬でいいんです。それがチームプレイですから」

踊子「勇者だからこそ出来る必殺技を見せてあげるよ!!」

踊子は右手を前方に突き出すと、六色の光に包まれる。

魔法使い「なんだそれは……」

踊子「全属性複合攻撃魔法、六色剣!!」

ドバアアアアアアアアン!!

578: 2010/03/08(月) 01:34:45.42 ID:gK2akfY0
158

--草原--

西の代表「思えばお前は、最初から気に食わないやつだった!!」

盗賊「んだよ!!お前が勝手に嫌ってただけだろが!!」

キィン

盗賊は足元に魔法罠をセットする。

西の代表「それはそうだろ!!大した実力もないやつが勇者パーティの一員なんだからな!!」

ヒュン

感情的になりほんの少しだけ振りが大きくなってしまったのを盗賊は見逃さない。

ドシュ!

盗賊「……今は、それなりの実力があるつもりだ」

西の代表「ぐふっ!!」

盗賊(よし、あとはその魔法罠でしばらくしびれていてくれ)

しかし、西の代表が魔法罠に接触しても罠は反応しなかった。

盗賊「あれ?」

ズン!!

虚を突かれた盗賊。今度は逆に腹部を突き刺されてしまう。

西の代表「甘いな……しっかり止めを刺さないからこういうことになる」

579: 2010/03/08(月) 01:40:10.00 ID:gK2akfY0
159

--草原--

盗賊「がはっ!!」(しまった、くそ!!深い!!)

盗賊は深手により膝をついてしまう。
しかし西の代表も脇腹を押えたまま立つことが出来ない。

東の兵士C「もらったあああ!!」

盗賊「っぐ!!」

盗賊は剣での一撃をナイフで受け止める。

ブシュッ

盗賊(いってぇえ!!)

ザシュ!!

返しの刃で兵士の首を切ることに成功する。

西の代表「……なぜそいつはあっさり頃して俺を殺さない……」

盗賊「はぁっ!!っく……はぁ、はぁ、同じ釜の飯を食った……仲間だもんよ」

580: 2010/03/08(月) 01:46:40.51 ID:gK2akfY0
160

--草原--

西の代表「馬鹿か貴様。俺はお前のことなど……いや、それにしてもおかしな話だ。かつての仲間は殺せずに、赤の他人なら頃してもいいのか?」

盗賊「はっはっ……いじわる言うなよ。わかんねぇし簡単に答えられねぇ……よ」

西の代表「ふ、魔族を庇って人と戦うようなやつが、まともな思考で戦っているわけがないか」

盗賊「んだよそれ。なら人間同士で戦ってるお前らはまともな思考だっていうのかよ」

西の代表「……」

582: 2010/03/08(月) 01:52:39.08 ID:gK2akfY0
161

--草原--

剣豪「ほおおおおおおおお!!」

勇者「っ!!」

ギンっ!!ギンギンっ!!

勇者(こんな剣……見たことない!!)

剣豪「ちぇえい!!!」

ピッ

剣豪の得物は刀。この世界に技術は継承されてなく、既に知識でさえ残ってない代物であった。

勇者(ここまで鋭い切れ味は……今までに見たことが無い!!)

勇者な長い間使っていた大剣を、処刑騒動の際に回収することが出来なかったため、今は細身のクレイモアを使用している。

勇者(あんな細い剣、すぐに叩き折れるはずなのに!)

剣豪「どうした?この刀を折るつもりか?」

剣豪は勇者の剣筋を巧みにさばく。

ドッ

勇者の鎧に傷がつく。

583: 2010/03/08(月) 01:54:09.26 ID:gK2akfY0
162

--草原--

剣豪「それで終いか!!勇者よ!!」

剣豪の斬撃を剣で受けた勇者は、直観的に判断する。彼を倒すにはモンスターを倒す時と同じく、完全なる殺意をもって臨まねばならないと。

勇者「あああああああああああああ!!!!」

勇者の渾身の一振りは剣豪の体にかすりもしない。

剣豪「は、どうした」

その隙をつこうとしたのだが、剣豪は言い知れぬ不安を感じ取る。

剣豪(罠か?)

勇者の体から発せられる闘気には微塵の揺らぎもなかったのだ。

剣豪(ふむ)

剣豪は刀を鞘へと納める。

勇者(?……!!)

一瞬、剣豪が戦いをやめる気なのかと憶測を立てる。が、彼の眼を見てそれが間違いだったと思い直す。

勇者(あの構えからの……技があるのか?)

剣豪「……」

剣豪は勇者にじりじりと近づいている。

584: 2010/03/08(月) 01:54:46.05 ID:gK2akfY0
163


--草原--

勇者は勇者で、上段の構えをしたまま、いつでも攻撃できるように精神を張り詰める。

じり

じり

亜人兵E「うおおおおおおおおおおおお!!」

その一瞬は、亜人兵の咆哮がきっかけとなった。
目の前の勇者に、横から駆けてくる亜人兵。そこに剣豪が自分の不利を感じ取ったのだ。

シャッ

先に攻撃をしかけたのは剣豪。

剣豪(まだ遠い)

本来ならばあと一歩、いや半歩距離を縮めておきたかった。いつもの間合とは違う。これは剣豪にとって未知の領域だった。

勇者「おおおおお!!」

容赦無く振り下ろされる勇者の剣。その剣を剣豪は左の肩で受けた。

ズブウ

剣豪「ぬぅううう!!」

もはや左手は振るう刀に力を込められぬ。勢いと、残った右手で勇者の左手首を払った。

ブシュウー

勇者「!!!!」

確かに今の攻防で受けたダメージは剣豪の方が大きい。だが小柄な勇者が片手であのクレイモアを自在に振れるだろうか。

剣豪は刀の軌道を僅かにそらし、その力の余韻を利用して、

亜人兵E「!!」

迫る亜人兵Eの首を薙いだ。

585: 2010/03/08(月) 01:56:43.60 ID:gK2akfY0
164

--草原--

剣豪「勝負あったな、勇者よ」

勇者「っぐ!!」

ズバッ

剣豪の一振りを受け損ね、勇者は自らの赤き血によって大地を濡らす。

ボタッボタタ

勇あしhg「……あぐぁ!!」

余りに深く切り裂かれてしまった。
左斜めからの袈裟斬りは肩甲骨を叩き割り、いくつかの重要な臓器を切り裂いた。

ガラン

勇者は

ゆうsmお「あ……が」

剣を手放しその場に倒れ込んだ。

586: 2010/03/08(月) 01:57:32.45 ID:gK2akfY0
165

--草原--

王様「……頃会いか……よし、人造勇者を投入せよ」

兵士L「はっ!!」

王国連合が完全に押し始めたそのタイミングで、人造勇者は投入された。

589: 2010/03/08(月) 02:37:27.35 ID:gK2akfY0
166

--草原--

闘士『おおおおおおおお!!!!』

鷲男「イーグルパアアアアアアアアアアット!!」

サイクロプス「げええええええええええ!!」

ズッズウウウン

闘士と鷲男は力を会わせてサイクロプスを倒した。

闘士『どこにいった、人形師!!』

?「彼はもう引いたぞ!!」

??「戦場での役割はもう果たしたのだ!!」

鷲男「何……だ彼らは……赤いマフラー?」

人造勇者一号「人類の未来をまもるため……」

人造勇者二号「王国がつかわした正義の戦士」

人造勇者V3「人造勇者だ!!」

闘士『人造……勇者?』

人造勇者一号「対攻城、雷属性魔法レベル4!!」

人造勇者二号「範囲殲滅、氷属性魔法レベル4!!」

人造勇者V3「攻撃力、防御力、最大上昇の舞!!」

カっ

590: 2010/03/08(月) 02:42:19.07 ID:gK2akfY0
167

--草原--

城門兵A「がはっ……じょ、城門兵B?……へ、返事をするにゃ……じょ」

人造勇者X「醜き亜人どもめ……」

人造勇者アマゾン「きーーー!!」

人造勇者X「まとめて消えうせるがいいさ、複合攻撃魔法、炎レベル4」

人造勇者アマゾン「風レベルふぉおおおおおおおおおおおお!!」

ゴオオオオオオオオオオオオ!!!

炎の竜巻が亜人兵をのみ込んでいく。

591: 2010/03/08(月) 02:46:53.75 ID:gK2akfY0
168

--草原--

賢者「……やりましたね」

魔法使いは血を流して倒れている。

踊子「さ、さすがにこの技は耐えられないだろう。勇者スラッシュの元になったようなわざだっく!!があああっ!!」

賢者「踊子さん!!」

人造勇者ライダーマン「我らが同胞魔法使いが虫の息に……」

人造勇者ストロンガー「やっば~早く助けなくちゃww」

人造勇者スカイライダー「うむ」

踊子「くそ!!今はだれも相手なんてできないのに!!」

594: 2010/03/08(月) 02:51:48.37 ID:gK2akfY0
169

--草原--

盗賊「……!!」

人造勇者スーパー1「お前が勇者か?」

人造勇者ZX「……いや勇者因子を感じない。勇者パーティの一員だろう」

人造勇者BLACK「ならば頃すまでよ。おおお俺は王子なのだから!!」

西の代表「……投入したのか」

596: 2010/03/08(月) 02:56:28.07 ID:gK2akfY0
170

--草原--

人造勇者クウガ「ご苦労様です」

人造勇者アギト「オリジナルの勇者討伐、さすがです」

人造勇者龍騎「彼女の遺体を我が国に運びます」

剣豪「あぁ……いやまだ氏んではいない。かろうじてだが」

ゆうさいhsg「あ……ああ」

人造勇者龍騎「止めを刺しますか?」



処刑場の時は怒りがあった。
目の前でみんなを瀕氏に追いやられたから。体の痛みも尋常ではなかったのだが、怒りと苦しみが交互に精神を支配したため、理性が失われることはなかった。
dakede
ima
konokokoro wo shihai suruno ha

ナンデイツモワタシダケイタイノ

人造勇者アギト「これがオリジナル……」

ナンデイツモワタシダケクルシイノ

人造勇者クウガ「生かして連れて帰るぞ。いい実験材料になる」

トリガー「進化の袋小路。そこへ行きつく人の旅が始まろうとしている……」

痛い痛いよすごく痛い
声もでないし指もうごかせないやだよ

コンナイタイノハイヤダコンナクルシイノハイヤダ
タスケテミンナ
タスケテ
トウゾク!

トリガー「……ははっ」







            <◯> <◯>

597: 2010/03/08(月) 03:04:47.46 ID:gK2akfY0
171

--草原--

?????「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

人造勇者アギト「!!こr」

ジュッ

?????の傍に立っていた人造勇者アギトは一瞬で蒸発した。

剣豪「なっ……なんだ……これは」

トリガー「やっと……お目覚めだね」

人造勇者クウガ「私の体が震えています……この反応……まさか魔王!!??」

トリガー「ははは。おはよう、魔王勇者」

?????改め魔王勇者「……」

魔王勇者の体を黒い魔力が包み込み、傷を修復し、鎧を漆黒に変える。

人造勇者龍騎「お、臆するな!!俺達は勇者なんだ!!炎属性攻撃魔法レベル4!!」

人造勇者クウガ「雷属性攻撃魔法レベル4!!」

ドギャアアアン!!!!

トリガー「ははははっ!!こいつはお笑い草だww君らが勇者?違うだろ?似たような鍵をいくつ作ったところで鍵穴には合わないんだよ。魔王を倒せるのは真の勇者しかいないんだ!!」

598: 2010/03/08(月) 03:08:11.40 ID:gK2akfY0
終わる終わる詐欺ですいません(T_T)

本日はここで終わりにしたいと思います。
何かわかりにくかった点、疑問、質問などありましたら書きこんでください。
……決着つきませんでした。もしかすると自分の作った道をそれて、作品が一人歩きしているかもしれません。
それでは読んで下さった皆様方、ありがとうございました。m(__)m

603: 2010/03/08(月) 21:16:29.17 ID:gK2akfY0
172

--草原--

魔法煙の中から現れた魔王勇者は全くの無傷。

魔王勇者「……どいつもこいつも私を虐める……赤竜」

魔王勇者の直上に体長100メートルを超す竜が出現する。

魔王勇者「炎弾……咆哮」

赤竜の口が開き、炎の魔力が充填される。
そのあまりの熱量に、周囲に存在する人間は次々に蒸発していく。

人造勇者龍騎「……これが……魔王!!」

魔王勇者「放て」

ギュィン

604: 2010/03/08(月) 21:19:39.55 ID:gK2akfY0
173

--焼け野原--

放たれた炎弾は直進し、戦場に参加していない、王国連合の兵士をも巻き込んだ。
そして爆心地ではきのこ雲が形成されていた。

盗賊「……なん……だ……今の光は」

この一撃での氏者数は18万人を超える。

敵味方の区別無く、魔王に虐殺された人の数である。

魔王勇者「……あは」

605: 2010/03/08(月) 21:24:03.70 ID:gK2akfY0
174

--焼け野原--

王様「なんなのだこれは……あの火は、まさか覚醒したのか!?」

兵士W「ご報告申し上げます!!我らの兵士の……半数以上が消失しました」

王様「!!たったの一撃で……」

大賢者「どうしますか……王……これでは」

王様「……いやそのための人造勇者だ!!やつらがきっと」

王様達のいる本陣に急降下する者がいる。

ドオオン!!

王様「!!??」

兵士M「て、敵襲ー!!」

サキュバス「邪魔よ」


バキャアアアアアン

大賢者「大魔法使い!!」

サキュバス「最後の望みを叶えにきたわ……氏んでちょうだい」

サキュバスの氷が王様を襲う。

606: 2010/03/08(月) 21:29:30.06 ID:gK2akfY0
175

--焼け野原--

北の王様「ひいいいいい!!ま、魔族やああ!!」

大賢者「させると思うか!!」

サキュバス「させるさせないじゃない、されるのよ!!」

サキュバスは氷の矢を一斉に放つ。

大賢者「王様!!」

ドシュドシュ!!!

王様「っぐうう!!」

人造勇者BLACK RX「大丈夫ですか王様!!よくも!!」

サキュバス「人形が……邪魔しないでよ!!」

サキュバスは槍のようなものを作り上げる。

607: 2010/03/08(月) 21:32:32.63 ID:gK2akfY0
176

--焼け野原--

大賢者「あれは禁術、呪いの槍!!」

王様「火の魔王を倒した時のあれか……」

サキュバス「あの世で大勇者と大盗賊が待ってんのよ!!」

槍が王様に向かって投げられた。

人造勇者BLACK RX「!!間に合わない!!くそお!!」

人造勇者BLACK RXはそのままサキュバスに斬りかかる。

ドブ

大賢者「がっは……」

大賢者は王様の前に立ちはだかり、呪いの槍に貫かれる。

王様「大賢者!!お前!!」

大賢者「一足先に……あのパーティに戻ります……大剣士。貴方が背負ったもの……ゆめゆめ忘れることのないよう……に」

ドサリ

大賢者は倒れ、

ズバッ

サキュバスの首ははねられた。

608: 2010/03/08(月) 21:39:18.98 ID:gK2akfY0
177

--焼け野原--

盗賊「今の方向……勇者の、方からだ」

嫌な予感が盗賊に走ることを要求する。

盗賊「っく!!」

人造勇者スーパー1「ま、待て!!逃がすか!!」

人造勇者ZX「く!!本陣は無事なのか!?」

人造勇者BLACK「連絡が無い以上、俺らは闘うしかなああい!!」

盗賊「っ」(この傷では逃げ切れない!!)

バヂッ

人造勇者スーパー1「なっ!!こんなところに罠が!?」

人造勇者ZX「っぐうう!!」

人造勇者達は罠にかかり痺れている。

盗賊「さっきは機動しなかったのに……いや、どうだっていい!!」

盗賊は勇者の元へと走る。

西の代表「……好機」

609: 2010/03/08(月) 21:40:42.51 ID:gK2akfY0
178

--焼け野原--

闘士「あああああああああああ!!」

人造勇者二号「貴様ら、あの火はなんだ!!」

人造勇者一号「……恐ろしい……やはり貴様らは一匹残らず駆除せねばならぬ!!」

鷲男「っっ!!これまで……か」

盗賊「!!あれは闘士達……やばい!!やられる!!」


①仲間が殺されてしまう!!助けなきゃ!!
②今はそれより勇者の元へ!!

※非常に重大な選択肢です。
10時までに入った数の多い方の続きを書きます。

616: 2010/03/08(月) 22:04:37.90 ID:gK2akfY0
179

--焼け野原--

盗賊「ごめんっ!!」

盗賊は闘士を横目に走りさる。

闘士「ぐあああああああああ!!!!」

寄ってたかって放たれる人造勇者の魔法によって闘士は


盗賊「っっく!!」

617: 2010/03/08(月) 22:08:46.70 ID:gK2akfY0
180

--焼け野原--

魔王勇者「……あそこが本陣か」

魔王勇者は腕を向ける。すると赤竜の首もそちらに向いた。

盗賊「!!勇者あああああああああああああああ!!」

魔王勇者「!!」

魔王勇者の体がびくりと震えた。
声のする方を向くと、そこには

盗賊「駄目だ!!よくわからないけど、それは駄目だ!!」

魔王勇者「とう……ぞく」

靄のかかっていた魔王勇者の心が……少しだけ明確になる。
盗賊は魔王勇者に駆け寄り、肩を抱く。

盗賊「だめだ!!もう、あんなことをしては……!!」

魔王勇者「っ!!」

悲しい顔で叫ぶ盗賊の顔がを見て、心が痛んだ。

魔王勇者「……なんっで……」

盗賊「勇者?」

魔王勇者「なんでよ!!君だって私の目の前で人を頃して見せたじゃない!!殺さなきゃ氏ぬって!!一人頃すのは良くて、いっぱい頃す

のは駄目なの!?」

盗賊「勇者……」

魔王勇者「なんでよ!!どうして……うあああああああああああああん!!!!」

魔王勇者は、まるで幼い子供のように泣いた。

618: 2010/03/08(月) 22:17:47.73 ID:gK2akfY0
181

--焼け野原--

西の代表「……これは」

本陣はめちゃくちゃになっていた。
大賢者とサキュバスの氏体、散乱している氷の弾丸と血痕。

東の王様「……魔族が攻め込んできたのだ」

西の代表「なるほど……」

王様は大賢者の氏体の傍に立っていた。

王様「すまぬ……昔から面倒ばかりかけたな」

北の王様「ひぃやー!!おおおお恐ろしい!!がたがた」

西の代表「王様……大賢者様は氏んだのですね」

王様「?西の代表か……あぁ」

西の代表「そうですか……」

西の代表は剣を抜いた。

王様「西の代表。仇は討てたのか?」

西の代表「えぇ……」

ザン

王様は西の代表の剣に貫かれる。

619: 2010/03/08(月) 22:23:37.02 ID:gK2akfY0
182

--焼け野原--

王様「が……」

東の「!!……」

北の王様「ひっひええええええ!!??」

王様「き、貴様……助けてやった恩を!!」

西の代表「白々しい……西の民を皆頃しにした張本人が」

王様「!!」

北の王様「!!??」

王様「ば、馬鹿なことを!!誰か!!こいつをうつのじゃ!!ごほっ!!」

西の代表は胸元から一冊の本を出した。

王様「……それは!!」

西の代表「盗賊の家を家探ししている時に見つけたものだ。これであんたの過去は見た」

王様「!!!!」

西の代表の剣は王様の首をはねた。

西の代表「……今から俺が王国の王だ!!」

620: 2010/03/08(月) 22:28:47.69 ID:gK2akfY0
183

--焼け野原--

遥か遠くの空に煙が上がる。
それは王国連合の撤退の証だった。

盗賊「……今日の戦は終わり……ということか」

魔王勇者「ひっく、えっぐ!!」

魔王勇者は盗賊の胸で泣き続けている。

亜人王「……一日目は防いだ……圧倒的な虐殺で」

亜人王は悲しい顔をして戦場を見ていた。

ザっザっ

賢者「……」

賢者は瀕氏状態になりながらも、踊子を担いで帰還した。


その夜。

皆満身創痍だった。城内は氏者の身内の泣き声と、傷を負った兵士の呻き声で満たされている。

盗賊「ふざけるな!!!!」

盗賊の叫び声が木霊した。

622: 2010/03/08(月) 22:36:48.12 ID:gK2akfY0
184

--宿屋--

盗賊「あんたっ!!何考えてるんだ!!?こんな状況なんだぞ!!」

賢者「……」

盗賊に殴られ口を切った賢者は、右手の甲で拭う。

賢者「こんな状況だからさ、盗賊君。僕は……王国連合に行く」

魔王勇者「あ……う」

盗賊「っっ!!よくもそんなことが言えるな!!南の王国のみんなを見捨てるつもりか!?勇者だってこんな状態だっていうのに!!」

賢者「……君の本音はそこだろ?君は南の王国の人達が大事なんじゃない、勇者さんが大事なんだ」

盗賊「!!」

賢者「それが悪いとは言わないさ。僕も一緒だ。何よりも踊子さんが大事なんだ。君が闘士君を見捨てたように」

盗賊「ッッ……踊子さんがひどい状態だってのはわかるさ、だがなんで今王国連合側に……!!」

賢者「前に話してくれたんだ、踊子さんは勇者を量産するための実験台だったんだって。だから不安定で暴走してしまうし、きっと寿命も……」

盗賊「……」

賢者「だが、今日、盗賊君も見ただろ?勇者の量産は成功していたんだ。技術は確立している、王国へ行けばきっと彼女を助けられるんだ!!」

盗賊「確証も無いのに……出てこうとするのかよ!!……賢者さんの力がいるんだよ」

賢者「……ごめん」

盗賊「っ!!」



亜人王「……」

鷲男「……彼らも……迷っているんですね」

623: 2010/03/08(月) 22:49:26.69 ID:gK2akfY0
185

--宿屋--

賢者「そうやってなんでもかんでも勇者勇者勇者勇者、君のそれは勇者さんのためじゃなくて勇者さんのせいに聞こえるよ」

盗賊「!!賢者ああああああああああ!!」

魔王勇者「もういいっ!!もういいからっ!!行かせてあげようよぉ!!」

魔王勇者は盗賊を抱きとめる。

魔王勇者「賢者……今までお世話になったね……うっ」

賢者「今まで……ありがとうございました」

盗賊「俺はああ!!……俺の初めての友達だと思ってたのに」


賢者と踊子がパーティから外れた。

625: 2010/03/08(月) 22:58:12.65 ID:gK2akfY0
186

--王国本陣--

踊子「うっ……こ、ここは」

西の代表「……やっと目を覚ましたね」

踊子「へ?誰?こんな設備……」

賢者「ここは王国側のテントだよ」

踊子「!!な、なんで!?……うそ、鹵獲された……」

西の代表「違う、賢者君が貴方を救うために、わざわざこっち側にきたんだ」

踊子「ど、どういうことなんですか!?」

賢者「ごめん……君はきっと反対するだろうと、怒るだろうと思ってた。それでも僕は君を助けたかったんだ」

踊子「怒るに決まってます!!自分だけ助かりたいがために仲間を裏切って敵の所へ来るなんて!!」

西の代表「彼を責めないでくれ……姉さん」

踊子「……なに……言って」

628: 2010/03/08(月) 23:06:07.76 ID:gK2akfY0
187

--王国本陣--

西の代表「わからなくても無理は無い。俺と姉さんが別れたのは、俺がまだ小さい頃だから……」

踊子「嘘……本当に……弟なの?」

西の代表「あぁ!!……誘拐された姉さんをずっと探してたんだ!!」

踊子「あ、うう」

西の代表「王様の記憶を見たんだ。それで」

賢者(あの本か……)

629: 2010/03/08(月) 23:09:54.26 ID:gK2akfY0
188

--宿屋--

魔王勇者「……どんどん……仲間……いなくなっちゃうねww」

盗賊「……勇者」

魔王勇者「そうだよね……私……魔王だもんねww」

盗賊「俺は!!」

盗賊は魔王勇者を抱きしめる。

盗賊「俺は……ずっと傍にいるから!!」

魔王勇者「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………w」



翌日。

631: 2010/03/08(月) 23:18:28.57 ID:gK2akfY0
189

--南の王国--

亜人王「あと少しの辛抱だ!!これで退けられれば我が国に平和がもう一度訪れる!!」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!


魔王勇者「は……は」

盗賊「……」


--王国本陣--

西の代表「この戦で最後だ!!この戦で、人の醜い争いを終わらせる!!敵陣には魔王がいる!!魔王を倒すんだ!!」


うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!


--草原--

盗賊「はああああ!!」

ザシュ

兵士I「うあああああ!!」


召喚士「こんどはこれを召喚でやんす~」

キマイラ「ぐおおおおおおおおおおお!!!!」





この日南の王国は、勇者達は





敗北した。

633: 2010/03/08(月) 23:25:20.68 ID:gK2akfY0
190

--王国--

一年後。

踊子「新王様~リンゴ剥いたんですけど食べますか~?」

賢者改め新王「あ、いや、じゃあもらうよ」

王国の新しい王の座には賢者がついた。
魔族を助け魔族側に寝返ったということになっていたが、西の代表の協力もありそれは全くの嘘であると公言された。

踊子「……でもひどいですよね私達……勇者さんの誘惑魔法で操られていたことにしてるなんて……」

新王「……そうでもしないと盗賊君達の家族も危なかったんだ。勇者さんにだけ身寄りがないから……これは生きてる人のための」

踊子「ごめんなさい。貴方のせいじゃないのにね。」

賢者は元々貴族の家系だった。そして魔王討伐パーティの一人であり、新しい王の条件にかなうだけのものがあった。

新王「これからは少しでも幸せに生きよう。勇者さんや盗賊君達の分まで……妃」

踊子改め妃「とか言ってるけどww……もう結構幸せでちゅよねぇ~?」

634: 2010/03/08(月) 23:34:29.31 ID:gK2akfY0
191

--西の王国--

受付「西の王様。書類をお持ちいたしました」

西の代表改め西の王「あぁ、そこへ置いといてくれ」

勇者討伐戦争の開始時にはすでに、受付は王様から西の代表へと寝返っていた。
王様を頃す際に邪魔をしなかったのはそういうことである。

受付「長く……我が主でいてくださいね」

受付が主と認める者は王の器があるもの。そして老いた王より、野心を持った西の王の方が魅力的だった。

西の王(アサシンの心は読めない……)

西の王は、実の姉のいる王国と和平を結ぶ準備をしている。

635: 2010/03/08(月) 23:37:21.18 ID:gK2akfY0
192

--南の王国--

戦争に負けた南の王国は、四カ国の植民地と化した。
亜人は首輪をつけられて今日も労働を強いられている。


鷲男「許さん……人間ども……逃げ出した裏切り共も!!」

鷲男は飛行できるため捕まりはせず、毎日近くの山から南の王国の現状を見に来ている。

鷲男「……」

だが鷲男の命があるのも人間のおかげである。最後の最後に、闘士は体を張って鷲男を助けたのだ。

鷲男「……悪の元凶を……必ず討つ」


--南の島--

?「ただいま、今日はいっぱいとれたよ野菜」

??「あ9384gは3jのあsdhがd」

彼女はあれから壊れてしまった。

636: 2010/03/08(月) 23:40:36.88 ID:gK2akfY0
193

--南の島--

彼女「あ4899い3jgふぁksdg」

時々彼女が何もいないはずのところを見て何かを話している。そういう時俺は話しかけるタイミングを慎重にしなければならない。

俺「もうすぐご飯にしようと思うんだけど」

彼女「おmか0w9」

彼女が何かを伝えたい時は紙に書く。

『きょうのごはんはなに?』

639: 2010/03/08(月) 23:45:45.12 ID:gK2akfY0
194

--南の島--

彼女「あああああああああん!!ああああああああん!!」

時々彼女は幼子のように泣き喚く。
鏡で自分の姿を見た時もあれば、夜になって急に泣く時もある。

『なんで、あのとき、わたしをつれてにげたのよ』

俺「……ごめん」

俺は震える声でそう答えるのが精いっぱいだった。

641: 2010/03/08(月) 23:48:14.22 ID:gK2akfY0
195

--南の島--

ここは無人島ってことになってるけど違う。国で生きていけなくなったような人達が、何人もこの島に辿りついていた。
ここは最果ての島。

俺「今日は海に行こう」

彼女『あおいhぐぉjgふぁ』

彼女は嫌々と首を横に振る。

『だって』

俺「貧Oとか言わないからさ」

彼女は嫌々と首を横に振る。

『きっと怖がるから』

しっかりとした字で書かれていた。

642: 2010/03/08(月) 23:51:13.34 ID:gK2akfY0
196

--南の島--

俺「ただいま、今日は魚を……どした?」

俺達が住んでいる家が、誰かが暴れたように荒らされていた。そして彼女が部屋の隅でうずくまっている。
その瞳は涙で濡れていて……俺を睨んでいる。
そして部屋の中には少量の血が点々と。

俺「何か……あった?」

彼女「……うああああああああん!!」

彼女がまた泣いた。

643: 2010/03/08(月) 23:58:07.87 ID:gK2akfY0
197

--南の島--

俺「う……ん?」

朝目を覚ますと、目の前に彼女の顔があった。

彼女はふとんから降りると、ぺこりと頭を下げた。

俺「え?あ、あぁおはよ」

彼女はさらさらと紙に何かを書いている。

俺「ふああ……どしたの」


彼女「……あhg」









『いままでありがとうございました。もうじゅうぶんです。ころしてください』

644: 2010/03/08(月) 23:59:42.74 ID:gK2akfY0
198

--南の島--

俺「そんなことできるはずがないだろ……俺は君を……」

彼女「……」

『私はもう魔王なんだよ、今はかろうじて理性を保っているけどいつまで続くかはわからない』

俺「魔王は……生きていちゃいけないのか?」

彼女「!!……」

さらさら

『なんとなくだけど、わかるの、もうあと数十年もすれば、新しい勇者がくる』

俺「ならそいつを俺が倒すよ」

彼女「!?」

さらさら!!

『無理だよ!!すごく強い!!絶対に勝てない!!』

俺「……俺は」


①君を護る勇者になる

③君のための勇者になる

651: 2010/03/09(火) 00:24:01.63 ID:vC.oHh20
199

--南の島--

②君とずっと一緒にいたいから

彼女「……やめてよもう」

俺「!?……え、喋れて」

彼女「みんなみんな、諦めたのに……」

俺「……全て君のせいにしてごめん……でも昔も今も、これからも……俺の生きる理由なんだ」

彼女「……うぅ」

俺「魔王、君が好きだ」

彼女「う……すん……私も……貴方が好きです!!」



俺「これを……」

彼女「え?……これって……」

俺「あの後闘士の遺体を探しに行った時に見つけたんだ」

彼女「綺麗な……指輪」

俺「なんとなく……君に似合うかなっと思って……あ、拾い物ってとこには目をつぶって欲しいんだけどさ」

彼女「……ありがとう……これ……どの指にはめればいいの?」

俺「……この指」

656: 2010/03/09(火) 00:36:28.46 ID:vC.oHh20
200

--南の島--

嫁「ほら起きてよ」

俺「……んあ」

嫁「今日は闘士のお墓参りいくんだって言ってたのに!!なんで寝坊してんの!!」

俺「……だってさぁ」

嫁「……早く支度して/////」



あれからちょっとして、角を切った。
ちょっと血が出たけど、やっぱし邪魔なものだったし、町に買い物を行く時とか目立っちゃうし。


嫁「……どうかな」

俺「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い」

白いワンピースに麦わら帽子。季節はもう夏である。薬指の指輪が光って眩しい。いや嫁の笑顔のが眩しい。


角のせいかなんのせいかはわからないけど、もう嫁から黒いオーラを感じなくなった。
いわゆる……輝石?(指輪的な意味で)

やたらめったら厳しい人生だったけど、きっとこれからはその反動で幸せになれるに違いない。

嫁「じゃあ、行こう♪」

俺「まて、パッドはおいてけ」



               勇者募集してたから王様に会いに行った


 
                       完

657: 2010/03/09(火) 00:38:40.95 ID:vC.oHh20
長期に渡り、こんな駄文を読んで下さった皆様方、ありがとうございました!!
勇者募集してたから王様に会いに行った
これにて完結にしたいと思います。
それでは質問があればお受けしたいと思います。

660: 2010/03/09(火) 00:42:39.00 ID:vC.oHh20
最後の選択肢2についてですが、
本来ならば、前のイベントで闘士を守っておかないと勇者の手に指輪が渡らずに……っといった具合だったのですが、皆さまの2を希望してくれることがうれしく、半ば強引にハッピーエンドに変えました。

あの指輪には魔王の力を封じ込めるといった力があるわけでして。
ちなみに隠しダンジョンで入手しました。

663: 2010/03/09(火) 00:47:43.62 ID:vC.oHh20
前の選択肢の仲間を助ける助けないのとこですが、闘士を助けた場合は、

闘士存命+最後の選択肢で2がでる

くらいのもので、流れはそんなに変わりません。

666: 2010/03/09(火) 00:52:47.68 ID:vC.oHh20
同数の場合は、盗賊は迷ってしまったということで結局助けられないですかねぇ

668: 2010/03/09(火) 00:56:00.94 ID:vC.oHh20
前者の場合は、
大きく分けて盗賊が選ばれるか、他が選ばれるかで考えてました。本命は魔法使いだったので、書きやすかったです。
後者で世界を取った場合は速攻で勇者が魔王になって世界が滅んでました。アダムとイブですね。

669: 2010/03/09(火) 00:56:49.99 ID:vC.oHh20
ちなみに盗賊があの時点ではぶられますと、やさぐれて盗賊王になりますww


勇者募集してたから王様に会いに行った【IF外伝】

引用: 勇者募集してたから王様に会いに行った