66: 2010/07/18(日) 06:56:32.78 ID:OAJ4H/md0
梓「やっと終わった……」
ある日の放課後。
掃除当番で居残りをしていた私は、ゴミ捨てを済ませ部室に急いでいた。
梓「うう、先輩たち待たせちゃってるかなあ?」
いつも通りお茶をしてだらけている可能性が高いが、もしかしたら練習を始めているかもしれない。
というかたまには自主的に始めていて下さい。
最近練習できてないんだよなあ……
唯先輩と律先輩は暑い暑いって言ってすぐだらけちゃうし。
梓「確かにすごく暑いっていうのは同感だけどね」
首筋に張り付いてしまっているうっとうしい髪を払い、ぽつりとぼやく。
恨みたくなるほどカンカンと照りつける太陽、梅雨が明けてその姿を存分に見せつける青空、引っ切り無しに続くセミの鳴き声……
季節はすっかり夏一色だ。
ある日の放課後。
掃除当番で居残りをしていた私は、ゴミ捨てを済ませ部室に急いでいた。
梓「うう、先輩たち待たせちゃってるかなあ?」
いつも通りお茶をしてだらけている可能性が高いが、もしかしたら練習を始めているかもしれない。
というかたまには自主的に始めていて下さい。
最近練習できてないんだよなあ……
唯先輩と律先輩は暑い暑いって言ってすぐだらけちゃうし。
梓「確かにすごく暑いっていうのは同感だけどね」
首筋に張り付いてしまっているうっとうしい髪を払い、ぽつりとぼやく。
恨みたくなるほどカンカンと照りつける太陽、梅雨が明けてその姿を存分に見せつける青空、引っ切り無しに続くセミの鳴き声……
季節はすっかり夏一色だ。
67: 2010/07/18(日) 06:58:20.94 ID:OAJ4H/md0
……
梓「ふう……」
階段を駆け上がり、部室に到着。
ずっと前から思っていたけど、何で音楽室とかは最上階に作ってしまうのだろうか?
一階とかに作ってくれればこんなに苦労は……無理か、うるさいし。
ガチャッ
梓「すみません、遅れました!」
唯「あ、あずにゃ~ん♪」
梓「にゃっ!?も、もう!毎度毎度いきなり抱きついて来ないで下さい!」
部室に入るとすぐに唯先輩のハグを受ける。
まあ嬉しく……はあるのだけど、こういう暑い日に抱きつかれるのはさすがに辛い。
梓「ふう……」
階段を駆け上がり、部室に到着。
ずっと前から思っていたけど、何で音楽室とかは最上階に作ってしまうのだろうか?
一階とかに作ってくれればこんなに苦労は……無理か、うるさいし。
ガチャッ
梓「すみません、遅れました!」
唯「あ、あずにゃ~ん♪」
梓「にゃっ!?も、もう!毎度毎度いきなり抱きついて来ないで下さい!」
部室に入るとすぐに唯先輩のハグを受ける。
まあ嬉しく……はあるのだけど、こういう暑い日に抱きつかれるのはさすがに辛い。
68: 2010/07/18(日) 07:01:27.55 ID:OAJ4H/md0
唯「いいじゃんあずにゃんが可愛いんだからさ~。それに寂しかったんだよ~っ」グリグリ
梓「顔押し付けないで下さい!……ってあれ?まだ唯先輩だけですか?」
唯先輩が私のお腹に顔を擦りつけ始めたので視界が開ける。
部室の中を見渡してみると、他の先輩達の姿は見えない。
どうやらまだ来ていないらしい。
私は意外なことに2番目だったようだ。
唯「そうなんだよ~、みんな用事で少し遅れるってさ!」
梓「そうなんですか……私だけ遅れたのかと思ってました」
唯「だから……」
梓「?」
梓「顔押し付けないで下さい!……ってあれ?まだ唯先輩だけですか?」
唯先輩が私のお腹に顔を擦りつけ始めたので視界が開ける。
部室の中を見渡してみると、他の先輩達の姿は見えない。
どうやらまだ来ていないらしい。
私は意外なことに2番目だったようだ。
唯「そうなんだよ~、みんな用事で少し遅れるってさ!」
梓「そうなんですか……私だけ遅れたのかと思ってました」
唯「だから……」
梓「?」
69: 2010/07/18(日) 07:03:17.45 ID:OAJ4H/md0
唯「ずっと一人ぼっちで寂しかったんだよ~!」ガバッ
梓「わあああっ!?」
唯「あずにゃんにゃん♪」スリスリ
梓「暑いですよ、やめて下さい~!」グイグイ
唯「むぐぐ……は~な~れ~ぬ~ぞ~」ギュウッ
相変わらずスキンシップが好きな人だ。
いつにも増してしつこいのは、一人でいるのが耐えきれなかったからだろう。
唯先輩、いっつも誰かと一緒にいるイメージあるし。
唯「えへへへ~」
梓「あついぃ……」
でも、そろそろ本当に勘弁して下さい。
熱中症で倒れそうです。
梓「わあああっ!?」
唯「あずにゃんにゃん♪」スリスリ
梓「暑いですよ、やめて下さい~!」グイグイ
唯「むぐぐ……は~な~れ~ぬ~ぞ~」ギュウッ
相変わらずスキンシップが好きな人だ。
いつにも増してしつこいのは、一人でいるのが耐えきれなかったからだろう。
唯先輩、いっつも誰かと一緒にいるイメージあるし。
唯「えへへへ~」
梓「あついぃ……」
でも、そろそろ本当に勘弁して下さい。
熱中症で倒れそうです。
72: 2010/07/18(日) 07:05:49.91 ID:OAJ4H/md0
……
梓「よし、練習しましょう!」
唯「ええっ!?」
梓「何で驚いてるんですか……。ほら、澪先輩たちが来るまでギターで合わせましょう」
唯「みんなが来るまでのんびりしようよ~」
梓「ダメです」
唯「あずにゃんのけ~ち!」
梓「け、ケチじゃないです!」
唯「私はみんなが来るまで動かないと決めました!さああずにゃん、一緒にのんびりしよう!」フンス!
梓「……」
唯「……」
梓「……」
梓「よし、練習しましょう!」
唯「ええっ!?」
梓「何で驚いてるんですか……。ほら、澪先輩たちが来るまでギターで合わせましょう」
唯「みんなが来るまでのんびりしようよ~」
梓「ダメです」
唯「あずにゃんのけ~ち!」
梓「け、ケチじゃないです!」
唯「私はみんなが来るまで動かないと決めました!さああずにゃん、一緒にのんびりしよう!」フンス!
梓「……」
唯「……」
梓「……」
73: 2010/07/18(日) 07:07:35.00 ID:OAJ4H/md0
唯「あ、あれ?どうしたのあずにゃん……」
梓「……はあ」
何でだろうか、唯先輩と話していると力が抜けてくる。
唯先輩の持つほんわかした空気と、持ち前のマイペースさがそうさせているのだろうか。
それにしても、いつも通りとはいえ堂々とサボりを宣言するとは……
唯「あ、あずにゃん?」
梓「分かりましたよ、皆さんが来るまでですよ?」
唯「……!」パアアッ
梓「そしたらちゃんと練習を……」
梓「……はあ」
何でだろうか、唯先輩と話していると力が抜けてくる。
唯先輩の持つほんわかした空気と、持ち前のマイペースさがそうさせているのだろうか。
それにしても、いつも通りとはいえ堂々とサボりを宣言するとは……
唯「あ、あずにゃん?」
梓「分かりましたよ、皆さんが来るまでですよ?」
唯「……!」パアアッ
梓「そしたらちゃんと練習を……」
74: 2010/07/18(日) 07:08:44.41 ID:OAJ4H/md0
唯「ありがと~あずにゃん!」ダキッ
梓「にゃっ!?」
唯「えへへ~、いいこいいこ♪」ナデナデ
梓「唯先輩は、ズルイです……」
唯先輩の言動に呆れかえってたはずなのに、一瞬でどうでもよくなってしまう。
これを天然でやってしまうのだから恐ろしい……
くう、その悪気のない笑顔は卑怯だ。
唯「え、ズルイって……私何かしたっけ?」
梓「何でもないです!」
……まあいっか。
梓「にゃっ!?」
唯「えへへ~、いいこいいこ♪」ナデナデ
梓「唯先輩は、ズルイです……」
唯先輩の言動に呆れかえってたはずなのに、一瞬でどうでもよくなってしまう。
これを天然でやってしまうのだから恐ろしい……
くう、その悪気のない笑顔は卑怯だ。
唯「え、ズルイって……私何かしたっけ?」
梓「何でもないです!」
……まあいっか。
75: 2010/07/18(日) 07:10:33.29 ID:OAJ4H/md0
……
ミーンミーン、とセミが鳴く。
ギラリと太陽が輝き、窓枠から日光が嫌というほど降り注ぐ。
たま~に涼しい風が吹き込み、火照った体を少しだけ冷ましてくれる。
そんな真夏の部室の中で私たちは今、
唯「……」
梓「……」
ただひたすらにボーっと窓の外を眺め続けていた……!
唯「……」
梓「……」
唯「……」
ミーンミーン、とセミが鳴く。
ギラリと太陽が輝き、窓枠から日光が嫌というほど降り注ぐ。
たま~に涼しい風が吹き込み、火照った体を少しだけ冷ましてくれる。
そんな真夏の部室の中で私たちは今、
唯「……」
梓「……」
ただひたすらにボーっと窓の外を眺め続けていた……!
唯「……」
梓「……」
唯「……」
76: 2010/07/18(日) 07:12:12.46 ID:OAJ4H/md0
梓「……あの、唯先輩」
唯「……んー?どうしたの、あずにゃん?」
梓「楽しいですか……?」
唯「えへへ、まったりしてるね~」
梓「……」
ダメだ、私にはイマイチ理解できない。
そもそもこの人、暑いの苦手なんじゃなかったっけ?
何でこんなに平然としていられるんだろう……
唯「あずにゃんは分かってないみたいだね」
梓「何をですか?」
唯「……んー?どうしたの、あずにゃん?」
梓「楽しいですか……?」
唯「えへへ、まったりしてるね~」
梓「……」
ダメだ、私にはイマイチ理解できない。
そもそもこの人、暑いの苦手なんじゃなかったっけ?
何でこんなに平然としていられるんだろう……
唯「あずにゃんは分かってないみたいだね」
梓「何をですか?」
79: 2010/07/18(日) 07:19:26.41 ID:OAJ4H/md0
唯「夏の日の、まったりした過ごし方だよ!」
梓「?」
唯「夏休みとかによくやってるんだよね~、私」
梓「ああ……」
なるほど、慣れか。
そういえば以前家を訪問した時もだら~っとしてたな。
唯「ほらほら、見て見てあずにゃん!」
何を見つけたのか、楽しそうに空を指差す唯先輩。
まあせっかくだし、唯先輩流の夏の楽しみ方を教えてもらおう。
梓「?」
唯「夏休みとかによくやってるんだよね~、私」
梓「ああ……」
なるほど、慣れか。
そういえば以前家を訪問した時もだら~っとしてたな。
唯「ほらほら、見て見てあずにゃん!」
何を見つけたのか、楽しそうに空を指差す唯先輩。
まあせっかくだし、唯先輩流の夏の楽しみ方を教えてもらおう。
80: 2010/07/18(日) 07:21:49.96 ID:OAJ4H/md0
梓「……何があるんですか?」
青い空、眩しい太陽、白い雲。
私の目に入ってくるのはそれだけだ。
唯「あれだよあれ!アイスクリーム!」
梓「……」
もしかして。
梓「あの雲……、のことですか?」
唯「そうそう、美味しそうだよね~♪」
梓「え~と……」
唯「あっ!あっちにメロンパン発見!おお、あれは見事なわたがし!」
梓「ノーコメントです……」
青い空、眩しい太陽、白い雲。
私の目に入ってくるのはそれだけだ。
唯「あれだよあれ!アイスクリーム!」
梓「……」
もしかして。
梓「あの雲……、のことですか?」
唯「そうそう、美味しそうだよね~♪」
梓「え~と……」
唯「あっ!あっちにメロンパン発見!おお、あれは見事なわたがし!」
梓「ノーコメントです……」
82: 2010/07/18(日) 07:27:04.24 ID:OAJ4H/md0
唯「もう、あずにゃんはまだまだだね~。あ、シュークリーム発見!」
梓「……」
この人の頭の中には食べ物のことしか入っていないのだろうか。
まあ唯先輩らしいといえば唯先輩らしいけど。
唯「美味しそう……」
梓「唯先輩、お腹空いてるんですか?」
唯「今日はまだムギちゃんのおやつ食べてないからね~」
梓「……ポッキーならありますけど。食べます?」
唯「食べる食べる!」
梓「……」
この人の頭の中には食べ物のことしか入っていないのだろうか。
まあ唯先輩らしいといえば唯先輩らしいけど。
唯「美味しそう……」
梓「唯先輩、お腹空いてるんですか?」
唯「今日はまだムギちゃんのおやつ食べてないからね~」
梓「……ポッキーならありますけど。食べます?」
唯「食べる食べる!」
83: 2010/07/18(日) 07:31:30.90 ID:OAJ4H/md0
……
唯「……」ポリポリ
梓「……」モグモグ
唯「あ、あれはパンダさんみたいだね」
梓「え……私には猫みたいに見えますが」
唯「そうかなあ……」
梓「あっ!あれは律先輩のドラムみたいですね!」
唯「え~、あれはカスタネットだよ~」
梓「ええ?か、カスタネット……」
ポッキーをつまみながら、再び二人で空を観察。
食欲が満たされてきたおかげか、唯先輩も食べ物以外のものを連想するようになった。
……でも、さっきから全く意見が合わない。
唯先輩の感性が独特だってことは知ってはいるけど……
唯「……」ポリポリ
梓「……」モグモグ
唯「あ、あれはパンダさんみたいだね」
梓「え……私には猫みたいに見えますが」
唯「そうかなあ……」
梓「あっ!あれは律先輩のドラムみたいですね!」
唯「え~、あれはカスタネットだよ~」
梓「ええ?か、カスタネット……」
ポッキーをつまみながら、再び二人で空を観察。
食欲が満たされてきたおかげか、唯先輩も食べ物以外のものを連想するようになった。
……でも、さっきから全く意見が合わない。
唯先輩の感性が独特だってことは知ってはいるけど……
84: 2010/07/18(日) 07:32:46.59 ID:OAJ4H/md0
梓「……なんか、悔しい」
唯「どうしたの?」
梓「何でもないですよ」
唯「そう?」
チラ、と唯先輩の横顔を覗き見る。
どうやらこんな謎の悔しさを感じているのは私だけのようだ。
梓「……」
唯「~♪」
でも楽しそうな唯先輩を見ていると、そんなことはどうでも良く思えてくる。
本当、不思議な人だ。
唯「どうしたの?」
梓「何でもないですよ」
唯「そう?」
チラ、と唯先輩の横顔を覗き見る。
どうやらこんな謎の悔しさを感じているのは私だけのようだ。
梓「……」
唯「~♪」
でも楽しそうな唯先輩を見ていると、そんなことはどうでも良く思えてくる。
本当、不思議な人だ。
85: 2010/07/18(日) 07:34:22.33 ID:OAJ4H/md0
唯「ところでさ~、ずっと気になっていたんだけど……」
梓「何がですか?」
唯「空って、何でこんなに青いのかなあ?」
梓「ああ、それは太陽の光のせいですよ?」
唯「太陽の光……?それでどうして青く見えるの?」
梓「ええと……詳しく説明すると難しくなるので、口頭だけで唯先輩に理解してもらえるかどうか……」
唯「えっ!?もしかして私、馬鹿にされてる!?」ガーン
梓「いえ、そういうわけでは……」
唯「ひどいよあずにゃん!私は3年生なんだよ!?あずにゃんが分かることくらい、私にも分かるよ!」プンスカ
梓「えっと、ですから」
唯「さあ早く説明して!ばっちり理解して、あずにゃんを見返してあげるから!」
梓「……はあ、そこまで言うなら」
みっちり叩き込んであげよう。
レイリー散乱の話からそれぞれの光の長短、青空と夕焼けの違いまでしっかりと。
梓「何がですか?」
唯「空って、何でこんなに青いのかなあ?」
梓「ああ、それは太陽の光のせいですよ?」
唯「太陽の光……?それでどうして青く見えるの?」
梓「ええと……詳しく説明すると難しくなるので、口頭だけで唯先輩に理解してもらえるかどうか……」
唯「えっ!?もしかして私、馬鹿にされてる!?」ガーン
梓「いえ、そういうわけでは……」
唯「ひどいよあずにゃん!私は3年生なんだよ!?あずにゃんが分かることくらい、私にも分かるよ!」プンスカ
梓「えっと、ですから」
唯「さあ早く説明して!ばっちり理解して、あずにゃんを見返してあげるから!」
梓「……はあ、そこまで言うなら」
みっちり叩き込んであげよう。
レイリー散乱の話からそれぞれの光の長短、青空と夕焼けの違いまでしっかりと。
87: 2010/07/18(日) 07:38:37.76 ID:OAJ4H/md0
……
梓「……というわけですけど」
唯「……」
梓「唯先輩?」
唯「……」プシュー
梓「唯せんぱーい!?」
最初はふんふん、と頷きながら聞いていた唯先輩。
説明が長くなるにつれて反応が薄くなって行き、最後は頭から煙を出して(比喩だけど)コテン、と倒れてしまわれた。
梓「……というわけですけど」
唯「……」
梓「唯先輩?」
唯「……」プシュー
梓「唯せんぱーい!?」
最初はふんふん、と頷きながら聞いていた唯先輩。
説明が長くなるにつれて反応が薄くなって行き、最後は頭から煙を出して(比喩だけど)コテン、と倒れてしまわれた。
89: 2010/07/18(日) 07:40:13.84 ID:OAJ4H/md0
唯「あずにゃ~ん……」
梓「は、はい」
唯「私は自分の実力を過信していたみたいだよ……あずにゃんの言ってること、途中から全然分からなくなってたよ~!」メソメソ
梓「な、泣かないで下さいよお」
唯「ところであずにゃんは何であんなに詳しいの?」
梓「え……」
泣き出したと思ったら、次の瞬間にはけろっとしている。
この変わり身の早さにはついていけない……
梓「は、はい」
唯「私は自分の実力を過信していたみたいだよ……あずにゃんの言ってること、途中から全然分からなくなってたよ~!」メソメソ
梓「な、泣かないで下さいよお」
唯「ところであずにゃんは何であんなに詳しいの?」
梓「え……」
泣き出したと思ったら、次の瞬間にはけろっとしている。
この変わり身の早さにはついていけない……
90: 2010/07/18(日) 07:41:49.88 ID:OAJ4H/md0
唯「ねえ何で~?」
梓「ええと……中学生の時、自由研究で調べたんです。私もずっと不思議に思ってたんで……」
唯「おおっそうなんだ~!あずにゃんは凄いねえ」
梓「いえ、そんな」
唯「謙遜しなくていいよ~。私は自由研究って何をすればいいのか分からなくて、アサガオの観察とかしてたな~」
梓「……」
アサガオってあんた。
小学生かよ……
いや待て、ある意味はまっているかもしれない。
アサガオを庭で育てる唯先輩。
芽が出るのを今か今かと心待ちにする唯先輩。
花が開いて喜ぶ唯先輩。
必氏にアサガオをスケッチする唯先輩。
梓「ええと……中学生の時、自由研究で調べたんです。私もずっと不思議に思ってたんで……」
唯「おおっそうなんだ~!あずにゃんは凄いねえ」
梓「いえ、そんな」
唯「謙遜しなくていいよ~。私は自由研究って何をすればいいのか分からなくて、アサガオの観察とかしてたな~」
梓「……」
アサガオってあんた。
小学生かよ……
いや待て、ある意味はまっているかもしれない。
アサガオを庭で育てる唯先輩。
芽が出るのを今か今かと心待ちにする唯先輩。
花が開いて喜ぶ唯先輩。
必氏にアサガオをスケッチする唯先輩。
92: 2010/07/18(日) 07:44:05.87 ID:OAJ4H/md0
梓「……く、くくっ……」プルプル
ヤバい、想像したらすごく似合う。
憂辺りは確実に見ているだろうから、今度話を聞かせてもらわなければ。
ひょっとしたら写真なんかもあるかも……
唯「……あずにゃん、何か失礼なこと考えてない?」
梓「えっ!?ま、まさかあ……」
唯「……」ジー
梓「あ、あはは……ほら唯先輩、空眺めましょう空!」
ううっ、こういう時だけ鋭いなあ。
でも憂と話すのは絶対に忘れないようにしよう。
ヤバい、想像したらすごく似合う。
憂辺りは確実に見ているだろうから、今度話を聞かせてもらわなければ。
ひょっとしたら写真なんかもあるかも……
唯「……あずにゃん、何か失礼なこと考えてない?」
梓「えっ!?ま、まさかあ……」
唯「……」ジー
梓「あ、あはは……ほら唯先輩、空眺めましょう空!」
ううっ、こういう時だけ鋭いなあ。
でも憂と話すのは絶対に忘れないようにしよう。
93: 2010/07/18(日) 07:46:52.48 ID:OAJ4H/md0
……
唯「……」
梓「……」
再度ボーっと空を眺める。
というか、澪先輩たちはいったいいつ来るんだろう?
けっこう時間経った気がするけど……
唯「ねえ、あずにゃん」
梓「今度は何ですか?」
唯「空って、おっきいね」
梓「そう……ですね。どうしたんですか、急に」
唯「……」
梓「……」
再度ボーっと空を眺める。
というか、澪先輩たちはいったいいつ来るんだろう?
けっこう時間経った気がするけど……
唯「ねえ、あずにゃん」
梓「今度は何ですか?」
唯「空って、おっきいね」
梓「そう……ですね。どうしたんですか、急に」
94: 2010/07/18(日) 07:49:10.83 ID:OAJ4H/md0
唯「ずっと眺めてたらたまに思うんだ~。この広い空と比べたら、私は何てちっぽけな存在なんだろう、って」
梓「唯先輩……?」
唯「……」
空を眺める唯先輩の顔は、いつものふにゃふにゃして柔らかい笑顔とは違っていた。
私が今まで見たこともない表情をしていて、そう……
大人の、表情だった。
唯先輩ってこんな顔も出来るんだ……
唯「まあ国語の教科書に載ってたセリフなんだけどね~♪」
梓「……」
唯先輩のこと、見直さないといけないなあと思った矢先にこれだ。
ふにゃっとした笑顔でネタばらし。
思わずガクッと力が抜けてしまったではないか。
梓「唯先輩……?」
唯「……」
空を眺める唯先輩の顔は、いつものふにゃふにゃして柔らかい笑顔とは違っていた。
私が今まで見たこともない表情をしていて、そう……
大人の、表情だった。
唯先輩ってこんな顔も出来るんだ……
唯「まあ国語の教科書に載ってたセリフなんだけどね~♪」
梓「……」
唯先輩のこと、見直さないといけないなあと思った矢先にこれだ。
ふにゃっとした笑顔でネタばらし。
思わずガクッと力が抜けてしまったではないか。
95: 2010/07/18(日) 07:52:05.80 ID:OAJ4H/md0
梓「はあ……そんなことだろうと思いましたよ」
唯「ひどっ!?言っとくけど、私にだってノタスルジアを感じる時だってあるんだからね!?」
梓「え~と、ノスタルジア……ですか?」
唯「ノストルジア!」
梓「……ノスタルジア」
唯「ノスタルジア!」
梓「はい、良くできました♪」
唯「あ、あずにゃんにからかわれてる!?」ガーン
梓「いえいえ、唯先輩らしくて良いと思いますよ」
郷愁を感じる、とか言っちゃう辺りがとくに。
まあ何となく意味は伝わってきたけど、ね。
唯「ひどっ!?言っとくけど、私にだってノタスルジアを感じる時だってあるんだからね!?」
梓「え~と、ノスタルジア……ですか?」
唯「ノストルジア!」
梓「……ノスタルジア」
唯「ノスタルジア!」
梓「はい、良くできました♪」
唯「あ、あずにゃんにからかわれてる!?」ガーン
梓「いえいえ、唯先輩らしくて良いと思いますよ」
郷愁を感じる、とか言っちゃう辺りがとくに。
まあ何となく意味は伝わってきたけど、ね。
96: 2010/07/18(日) 07:54:07.47 ID:OAJ4H/md0
唯「む~……」
梓「あはは、唸らないで下さいよ」
唯「……でもあずにゃんも思わない?空はこんなにおっきくて一つだけなのに、どうして私たちはちっぽけで、みんなバラバラなんだろうって」
梓「……」
唯「私たちはいま同じ空を眺めているけど、いつかは離れ離れになっちゃうんだよね……」
寂しそうに顔を伏せる唯先輩。
そんなことを考えたのは、一人で部室にいて寂しい思いをしたからなのだろうか。
それとも、将来のことに思いを馳せているためだろうか。
どんな理由にせよ、唯先輩にそんな表情は似合わない。
あの空に輝く太陽のように、明るい笑顔でいてほしい。
梓「あはは、唸らないで下さいよ」
唯「……でもあずにゃんも思わない?空はこんなにおっきくて一つだけなのに、どうして私たちはちっぽけで、みんなバラバラなんだろうって」
梓「……」
唯「私たちはいま同じ空を眺めているけど、いつかは離れ離れになっちゃうんだよね……」
寂しそうに顔を伏せる唯先輩。
そんなことを考えたのは、一人で部室にいて寂しい思いをしたからなのだろうか。
それとも、将来のことに思いを馳せているためだろうか。
どんな理由にせよ、唯先輩にそんな表情は似合わない。
あの空に輝く太陽のように、明るい笑顔でいてほしい。
97: 2010/07/18(日) 07:55:29.16 ID:OAJ4H/md0
梓「……大丈夫ですよ、唯先輩」
唯「あずにゃん……?」
梓「唯先輩は言ったじゃないですか、空は大きくて一つだって」
唯「うん……」
梓「だから、離れた場所にいてもみんな一緒です。見え方が違うだけで、みんな同じ空を眺めてるんですよ」
唯「……」
梓「だからバラバラなんて悲しいことは言わないで下さい。少なくとも私は、私たち軽音部は、この大きな空と同じように繋がってるんですから」
唯「……」
梓「今だって、私は唯先輩の隣にいるんですから……」
唯「あずにゃん……?」
梓「唯先輩は言ったじゃないですか、空は大きくて一つだって」
唯「うん……」
梓「だから、離れた場所にいてもみんな一緒です。見え方が違うだけで、みんな同じ空を眺めてるんですよ」
唯「……」
梓「だからバラバラなんて悲しいことは言わないで下さい。少なくとも私は、私たち軽音部は、この大きな空と同じように繋がってるんですから」
唯「……」
梓「今だって、私は唯先輩の隣にいるんですから……」
98: 2010/07/18(日) 07:56:39.07 ID:OAJ4H/md0
唯「……そうだよね!」
伏せられていた顔が上がる。
その表情はいつもと同じ……いや、いつも以上の明るい笑顔だ。
唯「私たちは一緒なんだね!あの空と同じように、繋がってるんだね!」
梓「はい、もちろん!」
唯「ふふ、何だか悩んでたのが馬鹿みたい!あずにゃん、ありがと~!」ギュッ
梓「ち、ちょっとお……」
ガチャッ
律「う~す!」
澪「遅れてごめんな、ちょっと手間取っちゃって……」
伏せられていた顔が上がる。
その表情はいつもと同じ……いや、いつも以上の明るい笑顔だ。
唯「私たちは一緒なんだね!あの空と同じように、繋がってるんだね!」
梓「はい、もちろん!」
唯「ふふ、何だか悩んでたのが馬鹿みたい!あずにゃん、ありがと~!」ギュッ
梓「ち、ちょっとお……」
ガチャッ
律「う~す!」
澪「遅れてごめんな、ちょっと手間取っちゃって……」
99: 2010/07/18(日) 07:58:24.90 ID:OAJ4H/md0
紬「すぐお茶の支度するわね」
唯「みんな!」ダダッ
先輩たちがやって来て、唯先輩はそっちに走り寄る。
助かったけど……ちょっと残念。
澪「ど、どうした唯……そんなに興奮して」
唯「私たちは一つなんだよ!」
律「はあ?何それ、エヴァンゲリオン?」
唯「みんな!空はみんな繋がっているからね!」
紬「え~と……何て返したらいいのかしら?」
唯「みんな!」ダダッ
先輩たちがやって来て、唯先輩はそっちに走り寄る。
助かったけど……ちょっと残念。
澪「ど、どうした唯……そんなに興奮して」
唯「私たちは一つなんだよ!」
律「はあ?何それ、エヴァンゲリオン?」
唯「みんな!空はみんな繋がっているからね!」
紬「え~と……何て返したらいいのかしら?」
100: 2010/07/18(日) 08:00:15.47 ID:OAJ4H/md0
唯「たとえイギリスにいてもフランスにいてもドイツにいても……みんな繋がってるからね!」
澪「何でヨーロッパ限定なんだ……」
律「唯のことだから、国の名前をよく知らないんじゃね?」キシシ
紬「うふふ、唯ちゃんらしいわね♪」
澪「いや、けっこうひどいこと言ってるぞそれ……」
興奮して捲くし立てる唯先輩。
引き気味になりながらも話を聞こうとする澪先輩。
茶化して笑い飛ばす律先輩。
楽しそうにほほ笑むムギ先輩。
さあ、みんな揃ったし約束通り練習だ!
……おっと。
言い忘れていたことが、一つ。
さっきは離れた場所にいても……なんて言ったけど、私はそう簡単に離れるつもりはありませんからね、唯先輩♪
終わり♪
澪「何でヨーロッパ限定なんだ……」
律「唯のことだから、国の名前をよく知らないんじゃね?」キシシ
紬「うふふ、唯ちゃんらしいわね♪」
澪「いや、けっこうひどいこと言ってるぞそれ……」
興奮して捲くし立てる唯先輩。
引き気味になりながらも話を聞こうとする澪先輩。
茶化して笑い飛ばす律先輩。
楽しそうにほほ笑むムギ先輩。
さあ、みんな揃ったし約束通り練習だ!
……おっと。
言い忘れていたことが、一つ。
さっきは離れた場所にいても……なんて言ったけど、私はそう簡単に離れるつもりはありませんからね、唯先輩♪
終わり♪
101: 2010/07/18(日) 08:02:40.84 ID:imu0vjPO0
やばい。唯梓が可愛かった
これは乙と言うしかない
これは乙と言うしかない
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