139: 2010/07/18(日) 12:00:19.30 ID:48Zn5hIZP
唯「やっほー!」
澪「お、やっと来たか」
律「おお澪ちゅわーん。会いたかったぞー!」
澪「はいはい」
律「扱いひどっ。唯ちゃま癒して……」
唯「おいでりっちゃん! 私の胸はいつでもりっちゃんが飛び込んで来ていいようになってるよ!」
律「おお。ありがたやーありがたやー」バッ
梓「――ムギ先輩も、お疲れ様です」
紬「うん。梓ちゃんこんにちわ」
律「よーし早速だけどムギ! お茶の用用意だ!」
紬「あ、えっと。うん、任せてりっちゃん」
澪「お、やっと来たか」
律「おお澪ちゅわーん。会いたかったぞー!」
澪「はいはい」
律「扱いひどっ。唯ちゃま癒して……」
唯「おいでりっちゃん! 私の胸はいつでもりっちゃんが飛び込んで来ていいようになってるよ!」
律「おお。ありがたやーありがたやー」バッ
梓「――ムギ先輩も、お疲れ様です」
紬「うん。梓ちゃんこんにちわ」
律「よーし早速だけどムギ! お茶の用用意だ!」
紬「あ、えっと。うん、任せてりっちゃん」
140: 2010/07/18(日) 12:05:13.58 ID:48Zn5hIZP
紬「今日はバームクーヘンよ。今朝空輸で届いたの」
澪「空輸って……。やっぱり海外製、なのか?」
紬「ええ。本場ドイツの私の家の行きつけのお店からなんだけど」
梓「バームクーヘンってドイツのお菓子だったんですね。てっきり日本生まれかと思ってました」
律「あらあら梓ちゃんったら。意外と世間を知らないんでございますわね」
梓「む。た、たまたまです!」
律「どーだか」
紬「一応紅茶もシッキム産に変えてみたんだけど。お口にあうかしら」
唯「それっていつものと違うの?」
紬「産地が違ってね、こっちのはちょっと香りが強くてコクがあるの」
澪「私には違いがわからないな……。ダージリンみたいな味だと思うけど」
141: 2010/07/18(日) 12:10:08.30 ID:48Zn5hIZP
梓「なんかちょっと甘味があるような」
律「梓はほんとに違いがわかってるのか?」
梓「わかりますよ! もう、さっきからなんなんですか!」
唯「怒ってるあずにゃんもかわいー」
梓「ああもう! 早く食べ終わって練習しますよ、れんしゅう!」
澪「……そうだな。今年で私たちも3年生だし、今のうちから気合入れとかないと」
唯「早いもんですなぁ……」
律「そうですなぁ……」
紬「――あ、あの!」
唯「ムギちゃんどうしたの?」
142: 2010/07/18(日) 12:15:03.45 ID:48Zn5hIZP
紬「あの、あのね」
律「なんだなんだムギ。そんなにキョドるなんて、らしくないぞ?」
紬「ごめんなさい。でもその、ちょっと言いづらいことなの」
澪「……でも言ってくれないと私たちにわからないぞ? ゆっくりでいいから、な?」
紬「うん。……えっとね、私ね、転校することになったの」
唯「え。え?」
律「……マジ?」
紬「ごめんない……。実はもうほとんど決まったことなの」
梓「そ、それはいつの話なんですか?!」
紬「今年度いっぱい。3月の終業式で、ね」
143: 2010/07/18(日) 12:20:03.68 ID:48Zn5hIZP
澪「なんとか、なんとかならないのか? あと1年くらいさ。卒業しちゃえば、進路だって……」
紬「お父様が勝手に決めてから、水面下で手続きが進んでたみたいで。私は転入のテストを受けるどころか、転校先に行ったことすらないんだけど……」
律「ムギ自身は、それでいいのか? 親父の作ったレールに乗せられるだけなんて」
澪「お、おい律。そんな言い方ってないだろ。親父さんのことも考えてやれよ」
律「だってそうだろ! ムギの意志が存在してなんだからさ!」
梓「律先輩ちょっと落ち着いてください! ヒステリックになったって状況は好転しません!」
律「こちとらムギとはもう2年の付き合いなんだよ! 梓はちょっと黙ってろ!」
梓「なっ! 最低です……。幻滅しました!」
澪「律やめろって! 梓に謝れよ!」
律「澪だって悔しくないのかよ?! 最後の、最後の1年になるんだぞ」
144: 2010/07/18(日) 12:24:08.09 ID:48Zn5hIZP
唯「……みんなケンカはやめてよ。ムギちゃん、泣いてるよ?」
紬「ひっぐ……ごめんね。ごめんねわたし……」
梓「あ……」
律「――ムギ、ごめん。その」
唯「まずはさ、ムギちゃんの気持ちをちゃんと聞こうよ。私たちが行動したりするのはそれからでいいはずでしょ?」
澪「そうだな……。で、どうなんだ? ムギ的にはさ」
紬「ゆいちゃんありがとう。――私は、転校してもいいって思ってるんだけど」
律「え、と。それは、2年が終わったときって事だよな?」
紬「……うん」
澪「どういう事だ? ちゃんと説明してくれ、ムギ」
145: 2010/07/18(日) 12:28:03.72 ID:48Zn5hIZP
紬「うん。うん、ちゃんと説明します」
唯「ゆっくりでいいからね?」
紬「うん。――私がね、この高校を選んだ理由。それはただの我儘だったの」
梓「わがまま?」
紬「そうなの。それまで、自分から何かを決めようだとか、そんなことは思わなかったし、できなかったから」
律「……それで?」
紬「気づいたら中学生になってた。私がいたのはとある私立の学校でね、エスカレーター式に大学まで決まってたの」
律「ふむ」
澪「ムギは、それが嫌になったのか?」
紬「嫌……。そうね、嫌だったのかもしれない。お父様には、飽きてしまったとだけ伝えたわ。毎日同じ景色を見ながら登校して、勉強してまた帰るだけなんて、ね」
146: 2010/07/18(日) 12:32:05.80 ID:48Zn5hIZP
紬「そしたらお父様は、私と二人だけで話す時間を取ってくださったの」
唯「普段そういう時間は無いの?」
紬「たまに夕食を一緒に食べていたけど、喋るのなんて一言二言がざらだったの。その時はおかしいなんて思わなかったけど、今思えばちょっと異質よね」
紬「続けるね。それで私は、丁度そのとき思いついたことを話したの」
唯「『私に高校を選ばせて欲しい』?」
紬「そう。そうしたらお父様、ずいぶん驚いた顔をしてたわ」
律「初めてムギがモノ申したんだもんな」
紬「もちろん、初めは反対されたわ。エスカレーター式で上がるのが一番楽だって何度も言われた」
紬「その頃の私はなんだかおかしくて、高校の話なんて本当にただの思いつきだったのに、ムキになっちゃって」
147: 2010/07/18(日) 12:36:06.33 ID:48Zn5hIZP
澪「子どもっぽいムギか……」
唯「今がオトナっぽいから、ちょっと想像できないよね」
紬「そうかしら。――それで、この高校を選んだの。偏差値もそこそこ、第一、女子高っていうのが興味をそそったわ」
律(そういやムギってそういう趣味だっけ)
紬「それでここに入って。合唱部に入部しようとしたら――って感じね、簡単に説明するとだけど」
梓「それで、それと転校の何の関係が? お父さんだってムギ先輩がこの学校に通うことを承諾してくれたはずなのに……」
紬「やっぱり受験のためだって言ってたわ。最後の一年だけでも、進学校へ行くべきだって」
澪「でもそれって、約束違いじゃないのか? ここに行かせるっていう」
紬「お父様も不条理だってわかってて言ってる顔をしてた。それは、伝わってきたの」
149: 2010/07/18(日) 12:40:06.81 ID:48Zn5hIZP
唯「それでムギちゃんは? なんでそれを受け入れようと思うの?」
紬「仕方ないかなって。ほら、高校選びで我儘言ったの私じゃない? その分お父様の、我儘って言ったらおかしいけど――言うことも聞かなきゃだめかなって」
律「……そうかよ。ムギは友達よりお父様だもんな」
澪「おい律やめろって。いい加減大人になれよ」
紬「りっちゃんが怒るのもわかるよ。でもどうしようもないって、気づいたら意外と簡単に受け入れられたの」
梓「……私は正直受け入れられませんけどね。ムギ先輩みたいには」
紬「梓ちゃんはまだ少し幼いだけよ。きっといつか分かってくれるわ」
梓「嫌です。そんなの分かりたくありません!」
律「あたしもだよ。それがオトナになるってことなら、あたしはずっと子供でいい。友達のことが一番大好きな、子供のままでいい」
澪「だから部内でケンカみたいになるなよ! お互いが妥協しなきゃ話がまとまらないだろ」
律「澪、さっきからなんだよ。ムギの味方に付くってんならあたしもう知らないぞ」
150: 2010/07/18(日) 13:00:33.74 ID:48Zn5hIZP
澪「律、お前な……。私がせっかく止めてやろうと思って――」
唯「ムギちゃんさ、無理してるでしょ」
紬「え? ど、どういうこと?」
梓「そりゃ少し位、無理して飲み込んでるんじゃないんですか?」
唯「違うよ。いつものムギちゃんじゃないって感じだもん。まるでドラマに出てる人みたいな振舞い方してるじゃん」
律「唯何いってんだ? 私もいつものムギじゃないって思いたいけど、ムギはムギだろ」
唯「ムギちゃん違うよね? ホントは3年の終わりまでここに居たいんだよね?」
紬「違うわ! もう割り切れたもの! お父様の言う事を聞こうって思ってるもの!」
澪「ムギ……?」
紬「――ごめんね、もう斉藤が迎えに来るみたいだから……。帰るね」
151: 2010/07/18(日) 13:05:30.31 ID:48Zn5hIZP
律「……明日は、斉藤さんに遅くなるって伝えとけよ」
紬「……わかったわ」
バタン
律「どうすんだよぉ」
梓「あ、今日も練習無しですか?」
律「いやそういう問題じゃないから。今日の梓ちょっとおかしいぞ」
梓「おかしいのは律先輩の方ですから。そういうことなら、私も帰りますね」
律「おい梓! 自分勝手なことすんな! 今からムギのこと話しあうんだから残れよ!」
澪「梓、私からも頼む。これ以上輪を壊したくないんだ」
梓「すいません澪先輩。でもなにより輪を壊してるのは、そこの部長さんだと思いますけど。……失礼します」
152: 2010/07/18(日) 13:10:04.95 ID:48Zn5hIZP
澪「で。どうすんだよ律」
律「なんであたしに聞くんだよ」
澪「部長だろ? 責任持てよ」
律「私が悪いってのかよ!」
澪「そうは言ってないだろ……。その直ぐ感情的になる癖、どうにかしろよな」
律「うるさいなー。澪は私の小姑かっての!」
澪「なんで、そんなに、邪険に扱うんだよぉ……。りつの、ばかぁ……」
律「ふ、ふんっ。澪の方こそ何時になったらすぐにメソメソする癖直すんだよ。ガキじゃないんだから」
澪「うう、ふえーん……」
唯「澪ちゃん大丈夫? りっちゃん、言い過ぎだよ」
153: 2010/07/18(日) 13:15:12.85 ID:48Zn5hIZP
唯「第一さ、二人ともムギちゃんがおかしいことに気づこうよ」
律「だからいつものムギだったじゃないか。なにがおかしいんだよ」
唯「ムギちゃん、普段あんなひどいこと言わないよ?」
律「そういうのは水掛け論になるだけだろ。主観でモノを話すもんじゃないぜ」
唯「はあ。――学祭前にさ、りっちゃんと澪ちゃんがケンカしたこと合ったでしょ?」
律「……まあ、そんなこともあったな」
唯「帰っちゃったりっちゃんは知らないだろうけどさ。あの時さわちゃん先生が来て、代わりのドラマー探そう、なんて私たちに助言してたんだよ」
律「え」
唯「それに反論したのがムギちゃんだったの。りっちゃんはきっと来るからって、涙目になりながら、下むいて唇噛みながら、私たちを説得したんだよ?」
154: 2010/07/18(日) 13:20:11.88 ID:48Zn5hIZP
唯「りっちゃんはムギちゃんのこと薄情者だとか思ってるかもしれないけどさ」
唯「事情を知ってる私から見れば、りっちゃんの方こそ薄情者に見えるよ?」
律「うそ。あ、ああっ……」
澪「ゆ、唯。それくらいにしてあげて」
唯「……そうだね。でも軽音部内でこんなに確執があったらつまらないじゃん。仲良くやろうよ」
律「でもムギが……ムギがいなくなっちゃう……謝らなきゃいけないのに……」
唯「まだ大丈夫だよりっちゃん。明日、ちゃんと言えればね」
律「そう、だよな……。梓にも悪いこと言っちゃったし」
唯「あれはあずにゃんも、ちょっと空気よめてなかったけどね~」
律「あ、あと澪にも謝らなきゃ」
澪「わわ! だ、抱きつくなぁ!」
155: 2010/07/18(日) 13:25:09.29 ID:48Zn5hIZP
唯「もうこんな時間だよー」
律「知らない間に時間って過ぎてくもんだよな~」
澪「なんか思い返すと、今日っていったい何だったんだろうって気がするけどな」
唯「とりあえず帰ろーよ! 私お腹へっちゃった……」
律「よーし、アイスでも食うか?」
澪「もうご飯の時間だろ。食べきれなくなるぞ」
律「ぶーぶー!」
唯「りっちゃん豚さんだねー!」
律「ぶーぶー! 唯も豚になるぶー!」
唯「のーせんきゅーですぶー!」
バタン
157: 2010/07/18(日) 13:30:08.31 ID:48Zn5hIZP
唯「あつまるだけでわーらえるなんてー、うたうだけでしーあわせーなんてー」
澪「cagayakeか」
律「あ、あたしもそこんところ好きだぞ!」
唯「おお、りっちゃん分かってるねぇ」
律「褒めるでない褒めるでないぞ」
澪「なんだそりゃ」
唯「でもホントに、集まるだけで笑えるのが軽音部じゃない?」
澪「気兼ねしないからな。沸点が下がっちゃうというか」
律「でも歌って幸せになれるのは唯と澪だけじゃんかー!」
唯「じゃありっちゃんもヴォーカルやる?」
律「あ、いや。無理です、はい」
158: 2010/07/18(日) 13:35:06.44 ID:48Zn5hIZP
―――
――
―
澪「あれ? ムギは?」
律「そーじ当番。遅れるって」
唯「あずにゃんもまだみたいだねー」
律(梓、来るよな……?)
澪「律、分かってるな? ちゃんと――」
律「わーかってるよ! ここは部長にまかせときなしゃいって澪ちゃん」
澪「そこまで言うなら……。まあ律に、任せるけど……」
ガチャ
梓「こんにちはです」
唯「あ、あずにゃーんっ」
159: 2010/07/18(日) 13:40:07.10 ID:48Zn5hIZP
梓「わわっ、唯先輩……」
唯「今日もあずにゃんは柔らかいねぇ」ダキ
梓「――離して、ください唯先輩」
唯「あずにゃん……」
律「梓っ」
梓「……なんですか? 律先輩」
律「昨日は悪かった。この通りだ」
梓「……」
律「あたしさ、空回りしてたんだ。よく考えればあんな言い方しようなんて思わない。確かに客観的にみて子供なんだろうな」
律「軽音部をまとめなきゃいけない存在なのにな。梓。あんなこと言って、ごめんなさい」
160: 2010/07/18(日) 13:45:17.79 ID:48Zn5hIZP
梓「……知ってます」
律「え?」
梓「律先輩が空回りしやすいことなんて知ってます。子どもっぽいことも、熱くなりやすことも。全部知ってますから」
唯「あずにゃん……」
梓「ほんと幻滅しますよ」
律「え、えと……」
梓「ちょっとくらいの口論で、律先輩に『幻滅しました』なんて言っちゃう自分をです」
律「梓……。っあずさぁ!」
梓「ちょっ、抱きつかないでくださいってばー!」
唯「私も入れてよ~」
梓「にゃ、に゛ゃあああっ」
163: 2010/07/18(日) 14:00:43.59 ID:48Zn5hIZP
ガチャ
紬「……こんにちは」
律「――よう、ムギ」
紬「りっちゃん、私考えたの。一昨日も凄く考えたけど、昨日もそれ以上に考えたわ」
律「知ったのは一昨日なんだよな?」
紬「うん、そうよ。でもね、やっぱり私の考えは変わらなかったの。ごめんなさい……」
唯「ムギちゃん! いつまでそんな――」
律「いいんだ。唯、あたしに話しをさせてくれ」
唯「りっちゃん……」
165: 2010/07/18(日) 14:05:14.51 ID:48Zn5hIZP
紬「き、キーボードなんて居なくたってバンドは組めるわ! ベースとかドラムスだったら氏活問題になるだろうけど」
紬「だからいいじゃない! 私なんて居なくても放課後ティータイムには支障がないもん!」
律「大ありだよ」
紬「え……?」
律「まず作曲が居なくなる。美味しいお茶が飲めない。お菓子が食べられない。しかも――」
律「ムギがいない。これは充分、氏活問題だよ」
紬「なに、なにを言って――!」
律「だってそうじゃん。ムギ以上に友達思いの奴なんていないんだからさ」
166: 2010/07/18(日) 14:11:10.87 ID:48Zn5hIZP
澪「ふふ。たまにはいいこと言うじゃないか律」
律「冒頭だけが余分だぞ」
唯「それに案外さ、ムギちゃんが一番軽音したがってるんじゃない?」
律「どういう意味だ?」
唯「ちっちっち。さて問題です。今年の学祭で、私がふわふわを歌い終わったあと、誰がどうしたでしょうか!」
梓「……すんごい楽しそうな顔でキーボードにコード刻み始めた人が居ましたね」
澪「その次に合わせ始めたのが律だったよな」
律「なんだよー。その次は澪じゃんかー」
唯「きっとそういうことなんだよ、ムギちゃん」
167: 2010/07/18(日) 14:16:45.57 ID:48Zn5hIZP
律「あたしたちはさ、ムギに無理に残って欲しいとは思ってないよ。いやあたしはできる事なら残っては欲しいとは思ってるけど」
紬「――わ、私は! 早く忘れて、欲しくて。どうせ居なくなるなら、いなくなった後まで迷惑かけたくないから!」
律「それが無理だって言うなら、せめて『放課後ティータイムで氏ぬまでバンドやりたい』ってそんな言葉が聞きたいだけなんだ」
紬「忘れてよ! わたしのことなんか忘れて!」
律「やだよ。絶対忘れるもんか。武道館まで行ったら、ウチのバンドには琴吹紬って最高のキーボードがいましたって自慢してやる」
紬「そんなの……誰も得しないじゃない……」
律「確かに、それはあたしの勝手な自己満かもしれないけど。それでも、それはあたしらができるささやかな抵抗じゃん」
律「……ムギの気持ちも教えてよ。どうなの? ここでバンドしたいの? したくないの?」
紬「そんなの……」
168: 2010/07/18(日) 14:20:21.82 ID:48Zn5hIZP
紬「したいに決まってるじゃない! わたしもりっちゃん達とずっとバンド組んでいたいもん!」
律「――ありがとな。多分それだけが、聞きたかったんだと思う」
唯「ムギちゃーんっ!」ギュ
紬「唯ちゃん……」
唯「ムギちゃん、転校しても友達だよ? どこかで会ったらお菓子食べに行こうね?」
紬「うん。うん、うん!」
梓「唯先輩はなんというか、食いっけが半端じゃないですね」
唯「ち、ちがうんもん! 美味しいスウィーツがあるなら食べない訳にはいかないだけだもん!」
紬「くすっ、唯ちゃんらしいわ」
唯「あーん、ムギちゃんまでぇ」
律「――ありがとな。多分それだけが、聞きたかったんだと思う」
唯「ムギちゃーんっ!」ギュ
紬「唯ちゃん……」
唯「ムギちゃん、転校しても友達だよ? どこかで会ったらお菓子食べに行こうね?」
紬「うん。うん、うん!」
梓「唯先輩はなんというか、食いっけが半端じゃないですね」
唯「ち、ちがうんもん! 美味しいスウィーツがあるなら食べない訳にはいかないだけだもん!」
紬「くすっ、唯ちゃんらしいわ」
唯「あーん、ムギちゃんまでぇ」
170: 2010/07/18(日) 14:26:05.64 ID:48Zn5hIZP
律「それじゃお別れまであとちょっとしかないけど、それまでちゃんと練習して、ティータイムもして、そんで……」
澪「まあいつも通りって訳だな」
梓「ちゃんと、ですからね! 唯先輩とかサボらないでくださいよ」
唯「ぶう。ちょっとくらい信用してよ~」
紬「それじゃまずはお茶にしましょ? 今日はフランスからマカロンが届いたの」
唯「マカロンってなになに? 栗の親戚?」
律「ばーか。マロンって英語じゃん。マカロンはフランスのお菓子だぞー」
梓「栗は英語でチェスナットですよ、りつせんぱーい?」
律「ぎくっ」
紬「ふふ。りっちゃんったらおもしろーい」
171: 2010/07/18(日) 14:30:11.38 ID:48Zn5hIZP
―――
――
―
律「さて、諸君。我々も遂にここまで来たわけだが」
梓「ほんとに武道館でワンマンライブ出来るなんて……」
澪「地道にやってきた成果だな。本心から思うよ」
唯「でもムギちゃんとお別れしてからすんごい真面目になったよねー」
梓「ですねぇ。でも元々みなさん遊び半分の練習であそこまで上手かったんですから、真面目に練習したらどうなるかは分かってましたけどね」
律「おお梓。やっと先輩のことを敬えるようになったのか。いやぁ、やっぱり人間って年を取ると進歩するもんだ」
梓「もう……元から尊敬してますってば」
唯「あずにゃんたらお世辞まで使ってるよ!」
梓「だから唯先輩までー!」
172: 2010/07/18(日) 14:35:37.60 ID:48Zn5hIZP
律「ふっふっふ。せっかくだからサポートメンバーとか、募集してみるか」
澪「せっかくだからって……。今までの曲に全部キーボードパートを作ってた癖によく言うよ」
唯「やっとりっちゃんの密かな努力が実るときが来るんだね~」
梓「じゃあ募集条件は……。高校のとき2年間キーボードやってた人、とか?」
律「髪の色はペールイ工口ーチックなクリーム色だろ、もちろん」
澪「眼の色は青だな。カラコン禁止」
唯「天然のゆるゆるパーマじゃないと認めないよー?」
律「おっけーおっけー。ブログで募集してみる。当然、今の条件をクリアしてる人限定だけど」
173: 2010/07/18(日) 14:40:20.04 ID:48Zn5hIZP
梓「応募、来ますかね?」
澪「……来るさ」
唯「必ず来るよ。空はどこまでも繋がってるんだよ? おまけにこの日本はすんごく狭いときたもんだ」
~♪
律「新着メールいっけーん。中身はー、履歴書と顔写真か」
澪「速いな……。って顔、全然変わってないじゃないか」
梓「カラコンじゃありません、なんて律儀に書き込んであるのも。らしいですね」
唯「返信早く早くー! 合格通知送らなきゃ!」
律「そうだな」
律「宛先、琴吹紬様、と」
fin.
174: 2010/07/18(日) 14:55:39.26 ID:BxpKX4JOP
おつです
176: 2010/07/18(日) 15:08:41.46 ID:L++7ZRwRO
全員で武道館ENDはいいな
乙
乙
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